特許第6407297号(P6407297)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルジー・ケム・リミテッドの特許一覧

特許6407297シーリングラインが形成されている外周面シーリング部を含む電池セル、及びそれを生産するための電池セルシーリング装置
<>
  • 特許6407297-シーリングラインが形成されている外周面シーリング部を含む電池セル、及びそれを生産するための電池セルシーリング装置 図000002
  • 特許6407297-シーリングラインが形成されている外周面シーリング部を含む電池セル、及びそれを生産するための電池セルシーリング装置 図000003
  • 特許6407297-シーリングラインが形成されている外周面シーリング部を含む電池セル、及びそれを生産するための電池セルシーリング装置 図000004
  • 特許6407297-シーリングラインが形成されている外周面シーリング部を含む電池セル、及びそれを生産するための電池セルシーリング装置 図000005
  • 特許6407297-シーリングラインが形成されている外周面シーリング部を含む電池セル、及びそれを生産するための電池セルシーリング装置 図000006
  • 特許6407297-シーリングラインが形成されている外周面シーリング部を含む電池セル、及びそれを生産するための電池セルシーリング装置 図000007
  • 特許6407297-シーリングラインが形成されている外周面シーリング部を含む電池セル、及びそれを生産するための電池セルシーリング装置 図000008
  • 特許6407297-シーリングラインが形成されている外周面シーリング部を含む電池セル、及びそれを生産するための電池セルシーリング装置 図000009
  • 特許6407297-シーリングラインが形成されている外周面シーリング部を含む電池セル、及びそれを生産するための電池セルシーリング装置 図000010
  • 特許6407297-シーリングラインが形成されている外周面シーリング部を含む電池セル、及びそれを生産するための電池セルシーリング装置 図000011
  • 特許6407297-シーリングラインが形成されている外周面シーリング部を含む電池セル、及びそれを生産するための電池セルシーリング装置 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6407297
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】シーリングラインが形成されている外周面シーリング部を含む電池セル、及びそれを生産するための電池セルシーリング装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/02 20060101AFI20181004BHJP
【FI】
   H01M2/02 K
【請求項の数】19
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-553627(P2016-553627)
(86)(22)【出願日】2015年1月29日
(65)【公表番号】特表2017-506802(P2017-506802A)
(43)【公表日】2017年3月9日
(86)【国際出願番号】KR2015000950
(87)【国際公開番号】WO2015130017
(87)【国際公開日】20150903
【審査請求日】2017年1月11日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0022981
(32)【優先日】2014年2月27日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ウー・ユ
(72)【発明者】
【氏名】イン・スン・ウン
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・ヨン・キム
【審査官】 松本 陶子
(56)【参考文献】
【文献】 韓国公開特許第10−2012−0102935(KR,A)
【文献】 特開2006−244911(JP,A)
【文献】 特開2000−200585(JP,A)
【文献】 特開2013−157286(JP,A)
【文献】 特開2006−040747(JP,A)
【文献】 特開2009−224147(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂層と金属層を含むラミネートシートの電池ケースに電極組立体が装着されており、前記電池ケースには、電極組立体が装着される収納部の外周面に電池ケースの密封のための熱融着シーリング部(外周面シーリング部)が形成されている電池セルであって、
電極端子は、上端シーリング部、または下端シーリング部、または上端及び下端シーリング部に位置しており、
前記上端又は下端シーリング部に隣接する両側面シーリング部のうちの少なくとも1つには、互いに平行に離隔している2つ以上のシーリングラインが形成されており、
前記シーリングラインは、電池ケースの長手方向の全長に沿って連続的に形成され、
前記シーリングラインが形成されている外周面シーリング部は、シーリングラインの間で30°〜180°の範囲で折り曲げられており、
前記シーリングラインの間は、シーリングラインと比較して熱融着強度の低い低融着部であり、前記低融着部の熱融着強度は、シーリングラインに対して5%〜90%の強度であることを特徴とする、電池セル。
【請求項2】
前記電池セルは、長方形の板状型構造からなっていることを特徴とする、請求項1に記載の電池セル。
【請求項3】
前記電池ケースは、電極組立体が収納される収納部が形成されている第1ケース、及び前記収納部を覆う構造であって、外周面が第1ケースの外周面と熱融着されて密封される第2ケースで構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の電池セル。
【請求項4】
前記第1ケース及び第2ケースは、それぞれ独立した部材であるか、または一側端部が結合されている1単位の部材であることを特徴とする、請求項3に記載の電池セル。
【請求項5】
前記シーリングラインは、平面視で隣接する収納部の外周面と平行な直線形状からなっていることを特徴とする、請求項1に記載の電池セル。
【請求項6】
前記シーリングラインの幅は互いに等しいことを特徴とする、請求項1に記載の電池セル。
【請求項7】
前記シーリングラインの幅は、相対的に内側シーリングラインの幅が外側シーリングラインの幅よりも広いことを特徴とする、請求項1に記載の電池セル。
【請求項8】
前記シーリングラインの幅は、相対的に外側シーリングラインの幅が内側シーリングラインの幅よりも広いことを特徴とする、請求項1に記載の電池セル。
【請求項9】
前記シーリングラインのそれぞれの幅は、シーリングラインが形成されている外周面シーリング部の幅を基準として10%〜45%の大きさであることを特徴とする、請求項1に記載の電池セル。
【請求項10】
前記シーリングラインの離隔距離は、シーリングラインの平均幅の大きさに対して10%〜100%の大きさであることを特徴とする、請求項1に記載の電池セル。
【請求項11】
前記シーリングラインの熱融着温度は、低融着部の熱融着温度よりも高いことを特徴とする、請求項に記載の電池セル。
【請求項12】
前記シーリングラインは、収納部に隣接する順に第1シーリングライン、第2シーリングライン及び第3シーリングラインを含んでおり、前記第1シーリングラインと第2シーリングラインとの間の第1折曲部、及び前記第2シーリングラインと第3シーリングラインとの間の第2折曲部を含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の電池セル。
【請求項13】
前記第2折曲部は、第3シーリングラインが第2シーリングラインと対面するように折り曲げられていることを特徴とする、請求項12に記載の電池セル。
【請求項14】
前記第2折曲部が折り曲げられた状態で、第1折曲部は、第2シーリングラインに対する第3シーリングラインの対向面が収納部に対面するように折り曲げられていることを特徴とする、請求項13に記載の電池セル。
【請求項15】
請求項1から14のいずれかに記載の電池セルを含んでいる、デバイス。
【請求項16】
前記デバイスは、携帯電話、タブレットコンピュータ、ノートパソコン、パワーツール、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、または電力貯蔵装置であることを特徴とする、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
請求項1に記載の電池セルの外周面をシールする装置であって、
電池ケースの外周面シーリング予定部の上面を下向きに加圧しながら高温を印加する上部シーリングツール(sealing tool)と、
電池ケースの外周面シーリング予定部の下面を支持する下部シーリングツール(sealing tool)と、
を含んでおり、
前記上部シーリングツール及び下部シーリングツールのうちの少なくとも1つには、外周面シーリング部にシーリングラインを形成する2つ以上の線状突起が形成されていることを特徴とする、電池セルシーリング装置。
【請求項18】
前記線状突起は、垂直断面視で外周面シーリング予定部に接する端部が平面又は曲面であることを特徴とする、請求項17に記載の電池セルシーリング装置。
【請求項19】
請求項1に記載の電池セルの外周面をシールする装置であって、
電池ケースの外周面シーリング予定部の上面を下向きに加圧しながら高温を印加する上部シーリングツール(sealing tool)と、
電池ケースの外周面シーリング予定部の下面を支持する下部シーリングツール(sealing tool)と、
を含んでおり、
前記上部シーリングツール及び下部シーリングツールのうちの少なくとも1つには、外周面シーリング部にシーリングラインを形成する2つ以上の線状熱線が内蔵されていることを特徴とする、電池セルシーリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シーリングラインが形成されている外周面シーリング部を含む電池セル、及びそれを生産するための電池セルシーリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モバイル機器に対する技術開発及び需要の増加に伴い、エネルギー源としての二次電池の需要が急増しており、特に、二次電池のうち、高いエネルギー密度と放電電圧を有するリチウム二次電池に対して多くの研究が行われており、また商用化されている。
【0003】
代表的に、電池の形状の観点では、薄い厚さで携帯電話などのような製品に適用できる角型二次電池とパウチ型二次電池に対する需要が高く、材料の観点では、高いエネルギー密度、放電電圧、出力安定性のリチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池などのようなリチウム二次電池に対する需要が高い。
【0004】
このような二次電池は、その形状によって、円筒型電池セル、角型電池セル、パウチ型電池セルなどに区分することができる。その中でも、高い集積度で積層可能であり、重量当たりのエネルギー密度が高く、安価であり、変形が容易なパウチ型電池セルが多くの関心を集めている。
【0005】
このようなパウチ型電池は、それに内蔵される電極組立体として、分離膜に正極と負極が熱融着された状態でリチウム電解質が含浸された電極組立体が多く使用されている関係で、リチウムイオンポリマー電池と呼ぶこともある。
【0006】
図1には、従来の代表的なパウチ型二次電池の一般的な構造を分解斜視図として模式的に示している。
【0007】
図1を参照すると、パウチ型二次電池100は、多数の電極タブ31,32が突出しているスタック型電極組立体30、電極タブ31,32にそれぞれ接続されている2つの電極リード41,42、及び電極リード41,42の一部が外部に露出するようにすると共に、スタック型電極組立体30を収納及び密封する構造の電池ケース20を含んで構成されている。
【0008】
電池ケース20は、スタック型電極組立体を装着できる凹状の収納部23を含む下部ケース21、及びそのような下部ケース21の蓋であって、スタック型電極組立体30を密封する上部ケース22からなっている。上部ケース22と下部ケース21は、スタック型電極組立体30を内蔵した状態で熱融着され、シーリング部24を形成する。
【0009】
図2は、従来のパウチ型二次電池110において、電極組立体101を収納した後、シールした状態の斜視図を示しており、電極タブ106,107が突出したシーリング部104,105を含め、側面シーリング部102,103全体が熱融着シールされている。
【0010】
パウチ型二次電池の場合、密封性、絶縁抵抗などを確保するためにシーリングが非常に重要であり、特に、中大型電池の場合、内部容量が大きく要求されるため、シーリング部もまた広くなり、そのためには追加工程が必要である。したがって、無駄な空間を減らすために、シーリング後に残る面積を折り曲げる方式を適用しているが、シールされたパウチの機械的加工が容易でないという問題がある。
【0011】
したがって、上記の問題を解決し、パウチ型二次電池のシーリング部を折り曲げる場合に生じる問題点もまた解決できる技術に対する必要性が高い実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記のような従来技術の問題点及び過去から要請されてきた技術的課題を解決することを目的とする。
【0013】
本出願の発明者らは、鋭意研究と様々な実験を重ねた結果、後述するように、電池ケースの長手方向に上端シーリング部の外周端部から下端シーリング部の外周端部まで連続的にシーリングラインが形成され、前記シーリングラインの間に融着が行われない未融着部又は低融着部を構成して、前記未融着部又は低融着部でシーリング部の折り曲げが行われ得るようにすることによって、電池ケースの縁部のシーリング部を円滑に折り曲げることができるように構造が改善された電池セルを完成するに至った。
【0014】
本発明の他の目的は、前記のような電池セルの製造が可能なようにシーリングラインを形成する、線状突起が形成されているシーリングツールを含む電池セルシーリング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このような目的を達成するための本発明に係る電池セルは、
【0016】
樹脂層と金属層を含むラミネートシートの電池ケースに電極組立体が装着されており、前記電池ケースには、電極組立体が装着される収納部の外周面に電池ケースの密封のための熱融着シーリング部(外周面シーリング部)が形成されている電池セルであって、電極端子は、上端シーリング部、または下端シーリング部、または上端及び下端シーリング部に位置しており、前記上端又は下端シーリング部に隣接する両側面シーリング部のうちの少なくとも1つには、互いに平行に離隔している2つ以上のシーリングラインが形成されており、前記シーリングラインは、電池ケースの長手方向に上端シーリング部の外周端部から下端シーリング部の外周端部まで連続的に形成され、前記シーリングラインが形成されている外周面シーリング部は、シーリングラインの間で30°〜180°の範囲で折り曲げられる。
【0017】
すなわち、本発明に係る電池セルは、パウチ型電池ケースの側面シーリング部に2つ以上のシーリングラインを間隔を置いて平行に備え、前記シーリングラインの間で、すなわち、未融着部又は低融着部で折り曲げが行われるようにすることによって、電池ケースの縁部のシーリング部を円滑に折り曲げることができ、これによって、折曲部の位置を正確に設定及び加工可能であり、結果的に、工程誤差を大幅に低減することができる。また、シーリングラインがある部分は、折り曲げられることなく電池ケースの収納部の外面に位置するようになるので、電池の体積減少効果を達成することができる。
【0018】
したがって、従来にラミネートシートからなるパウチ型二次電池を密封する場合に、シーリング部の全ての面積を均一に熱融着することによってシーラント層のポリマーが必要以上に溶融されることにより、シーリング後に硬化したポリマーによりシーリング部の折り曲げが困難であった問題点を解決できるようになった。
【0019】
本発明に係る電池セルは、電極組立体が装着される収納部の外周面に電池ケースの密封のための熱融着シーリング部が形成されている電池セルであって、収納部の外周面と平行にシーリングラインが形成されているので、長方形の板状型構造からなっている。
【0020】
このとき、前記電池ケースは、水分浸透防止、電解液などの漏液防止、密封時の気密性提供などを目的として、樹脂層と金属層を含むシート状構造からなっている。一具体例において、電池ケースは、金属層と樹脂層を含むラミネートシートで構成されてもよく、電極組立体が収納される収納部が形成されている第1ケース、及び前記収納部を覆う構造であって、外周面が第1ケースの外周面と熱融着されて密封される第2ケースで構成されてもよい。また、前記第1ケース及び第2ケースは、それぞれ独立した部材であるか、または一側端部が結合されている1単位の部材であってもよい。このようなラミネートシートの代表的な例としては、両外面に樹脂層が形成されているアルミニウムラミネートシートを挙げることができる。
【0021】
本発明に係る電池セルは、電池ケースの外周面の側面シーリング部にシーリングラインが形成されている。前記シーリングラインの間でシーリング部の折り曲げが容易に行われるためには、シーリングラインの間に一定の幅が形成されなければならず、このとき、シーリングラインの形状は、特に限定されないが、好ましくは、収納部の外周面と平行な直線形状からなることができる。
【0022】
また、前記シーリングラインの幅は互いに等しく形成することができ、このようにシーリングラインの幅が互いに同一である場合には、折曲部の位置を正確に設定及び加工可能であるので、工程誤差を大幅に低減することができ、セルを作製した後の品質検査過程で、シーリングラインの個数の検査を通じてシーリング部の面積の均一性も容易に評価できるので、工程の正確度及び迅速度を向上させることができる。
【0023】
一方、シーリング部は、折り曲げ後、収納部の側面と対面する部位に位置するようになるので、シーリングラインの幅は、収納部の高さよりも狭いことが好ましく、一具体例において、シーリングラインの幅は、相対的に内側シーリングラインの幅が外側シーリングラインの幅よりも広く形成されてもよく、逆に、相対的に外側シーリングラインの幅が内側シーリングラインの幅よりも広く形成されてもよい。
【0024】
より具体的に、前記シーリングラインのそれぞれの幅は、折り曲げ回数、折り曲げ方向及びラミネートシートの厚さなどを考慮して多様に構成することができ、シーリングラインが形成されている外周面シーリング部の幅を基準として10%〜45%の大きさ内で適宜選択することができる。しかし、シーリングラインの幅がシーリング部の幅を基準として10%未満であると、シール強度が低下してしまい、安全性が問題となり得、45%よりも広い場合、シーリング部の容易な折り曲げで電池の体積減少効果を達成することが難しいため、好ましくない。
【0025】
本発明に係る電池セルにおいて、前記シーリングラインの離隔距離は、シーリングラインの幅に比べて狭いことが好ましく、具体的に、シーリングラインの平均幅の大きさに対して10%〜100%の大きさであってもよく、シーリングラインの平均幅の大きさに対して10%未満であると、ラミネートシートの厚さによって容易に折り曲げを行うことができず、100%よりも大きいと、折曲部の位置を正確に設定及び加工するのに困難があるため、好ましくない。
【0026】
また、前記シーリングライン部分は熱融着が起こった部分であり、シーリングラインの間の部分ではシーリング部の折り曲げが行われるところ、前記シーリングラインの間の部分は、熱融着が起こらない未融着部を形成することができる。このように、シーリングラインと未融着部が繰り返して交互に形成されるところ、シーリングラインは、熱融着による圧力によって、未融着部に比べて垂直端部の厚さがさらに薄く形成される。
【0027】
他の具体例において、本発明の電池セルを製造するための熱融着過程において、高い温度と圧力によって電池ケースの内部シーラント層が溶融されてシーリングが行われるところ、前記溶融された内部シーラント層がシーリングラインの間に流れ、弱い強度の融着が起こり得る。したがって、前記シーリングラインの間は、シーリングラインと比較して熱融着度の低い低融着部が形成され得る。
【0028】
より具体的に、前記低融着部の熱融着度は、シーリングラインの熱融着度に対して5%〜90%の大きさの範囲内で適宜選択されてもよい。
【0029】
このとき、低融着部の熱融着度がシーリングラインの熱融着度に対して90%よりも大きい場合は、シーリングラインの間の低融着部で外周面シーリング部が容易に折り曲げられるようにするための本発明の目的を達成することが難しいため、好ましくない。
【0030】
他の具体例において、シーリングラインは、低融着部の形成により密封性が低下することを防止するために、さらに高い融着強度が要求されるところ、前記シーリングラインの熱融着温度は、低融着部の熱融着温度よりも高く形成することができる。
【0031】
本発明の電池セルにおいて、シーリングラインの個数は、電池セルの使用目的及び使用対象に応じて2つ以上形成されてもよく、電解液漏液などからの安全性を考慮して密封性を低下させないために、少なくとも収納部の外周面部位及びシーリング部の外周面の最外郭に形成されることが好ましい。
【0032】
一具体例において、前記シーリングラインは、収納部に隣接する順に第1シーリングライン、第2シーリングライン及び第3シーリングラインを含んでおり、前記第1シーリングラインと第2シーリングラインとの間の第1折曲部、及び前記第2シーリングラインと第3シーリングラインとの間の第2折曲部を含むことができる。
【0033】
このとき、前記第2折曲部は、第3シーリングラインが第2シーリングラインと対面するように折り曲げられていてもよく、第2折曲部で第3シーリングラインが収納部の方向に180°折り曲げられ、隣接する第2シーリングラインと対面するようになる。
【0034】
また、電池セルの体積を減少させるために、シーリング部を2回以上折り曲げることもでき、前記第2折曲部が折り曲げられた状態で、第1折曲部は、第2シーリングラインに対する第3シーリングラインの対向面が収納部の側面に対面するように折り曲げられていてもよい。
【0035】
したがって、よりコンパクトな構造の電池セルを得ることができるだけでなく、折曲部の位置を正確に設定及び加工可能であり、工程誤差を大幅に低減することができる。
【0036】
本発明はまた、電池セルの外周面をシールする装置であって、
【0037】
電池ケースの外周面シーリング予定部の上面を下向きに加圧しながら高温を印加する上部シーリングツール(sealing tool)と、

電池ケースの外周面シーリング予定部の下面を支持する下部シーリングツール(sealing tool)とを含んでおり、
【0038】
前記上部シーリングツール及び下部シーリングツールのうちの少なくとも1つには、外周面シーリング部にシーリングラインを形成する2つ以上の線状突起が形成されている構造で構成されている。
【0039】
前記のような構造のシーリング装置は、上部シーリングツールだけでなく下部シーリングツールも熱を印加する役割を果たすことができ、電池ケースの熱融着時に、シーリングツールに形成された線状突起の形状通りに電池セルの外周面シーリング部にシーリングラインが形成されるようにして、シーリングラインの間でシーリング部の折り曲げが容易な電池セルを提供することができる。
【0040】
このとき、前記線状突起は、垂直断面視で外周面シーリング予定部に接する端部が平面又は曲面であってもよく、シーリング部の密封性を考慮すれば、平面端部が適切であり、内部シーラント層の溶融及び流れによる低融着部の形成の防止を考慮すれば、曲面端部が適切である。
【0041】
本発明はまた、電池セルの外周面をシールする装置であって、
【0042】
電池ケースの外周面シーリング予定部の上面を下向きに加圧しながら高温を印加する上部シーリングツール(sealing tool)と、
【0043】
電池ケースの外周面シーリング予定部の下面を支持する下部シーリングツール(sealing tool)とを含んでおり、
【0044】
前記上部シーリングツール及び下部シーリングツールのうちの少なくとも1つには、外周面シーリング部にシーリングラインを形成する2つ以上の線状熱線が内蔵されている構造で構成されている。
【0045】
前記のような構造のシーリング装置は、上部シーリングツールだけでなく下部シーリングツールも熱を印加する役割を果たすことができ、前記シーリングツールに線状突起が形成されているシーリング装置と同じ目的を有し、同じ効果を発揮することができるが、線状突起が形成される位置に線状熱線を内蔵することによって、シーリングラインにのみ高温で熱融着が可能であり、熱融着温度の設定及び調節がより容易である。また、別途の線状突起を形成しなくても、シーリングツールに熱線を追加することによって、より容易に本発明の効果を達成することができる。
【0046】
本発明はまた、前記電池セルを単位電池として含む電池モジュールを提供し、前記電池モジュールを含む電池パックを提供する。
【0047】
本発明はまた、前記電池パックを電源として含んでいるデバイスを提供する。
【0048】
具体的に、前記電池パックは、高温安全性、長いサイクル特性及び高いレート特性などが要求されるデバイスの電源として使用することができ、このようなデバイスの詳細な例としては、スマートフォン、携帯電話、ノートパソコン、タブレットコンピュータ、または電池ベースのモータによって動力を受けて動くパワーツール(power tool);電気自動車(Electric Vehicle、EV)、ハイブリッド電気自動車(Hybrid Electric Vehicle、HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(Plug−in Hybrid Electric Vehicle、PHEV)などを含む電気車;電気自転車(E−bike)、電気スクーター(E−scooter)を含む電気二輪車;電気ゴルフカート(electric golf cart);電力貯蔵用システムなどから選択されるものであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0049】
これらデバイスの構造及びその作製方法は当業界に公知となっているので、本明細書では、それについての詳細な説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】従来の代表的なパウチ型二次電池の分解斜視図である。
図2】従来のパウチ型二次電池のシール状態を示した斜視図である。
図3】本発明の一実施例に係るシーリングラインが形成されている電池セルの透視平面図である。
図4図3のA部位に対する拡大図である。
図5図4のB−B線に沿った垂直断面図である。
図6】従来のパウチ型二次電池とそのシーリング部の拡大図、及び本発明の実施例に係る電池セルのシーリング部の拡大写真である。
図7】本発明の一実施例に係るパウチ型電池セルの折り曲げ過程を示す部分正面図である。
図8】従来のパウチ型二次電池及び本発明の実施例に係る電池セルの折り曲げ後の写真である。
図9】本発明の一実施例に係るシーリング装置の正面図である。
図10】本発明の他の一実施例に係るシーリング装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下では、本発明の実施例に係る図面を参照して説明するが、これは、本発明のより容易な理解のためのものであり、本発明の範疇がそれによって限定されるものではない。
【0052】
図3には、本発明の一実施例に係るシーリングラインが形成されている電池セルが示されている。
【0053】
図3は、電極タブと電極リードが接続された構造の電極端子が一端と他端にそれぞれ形成されている構造のパウチ型電池セルを示しているが、電極端子が一端に共に形成されている構造のパウチ型電池セルなども含まれることは勿論である。
【0054】
図3を参照すると、本発明に係る電池セル200は、電極組立体が装着される収納部201の外周面に電池ケースの密封のための熱融着シーリング部が形成されており、電極端子210,220は、上端シーリング部204及び下端シーリング部205に位置し、前記上端シーリング部204及び下端シーリング部205に隣接する両側面シーリング部202,203には、互いに平行に離隔している2つ以上のシーリングライン230が形成されている。このとき、前記シーリングライン230は、電池ケースの長手方向に上端シーリング部204の外周端部から下端シーリング部205の外周端部まで連続的に形成されている。シーリングラインの間で折り曲げを容易に行うことができる電池セルを提供するための本発明の目的を考慮するとき、シーリングラインは、収納部の長さに相応する長さに限定されず、上端及び下端シーリング部の外周端部まで延びることが好ましい。
【0055】
図4は、図3のA部分の拡大図を示している。
【0056】
図4を参照すると、電池ケース収納部201の外周面の側面シーリング部には、多数個のシーリングラインが直線状に形成されている。このとき、シーリングラインは、熱融着が起こった部分232と熱融着が起こっていない未融着部231が交互に繰り返して位置し、前記未融着部は、融着が全く起こっていない部分であってもよいが、シーリングラインと比較して熱融着度が低い低融着部であってもよい。
【0057】
また、全てのシーリングラインの幅Lが同一であってもよく、異なっていてもよい。例えば、収納部201側に形成された内側シーリングラインの幅が外側シーリングラインの幅よりも広くてもよく、逆に、外側シーリングラインの幅が内側シーリングラインの幅よりも広くてもよい。もし、全てのシーリングラインの幅が同一である場合には、セルを作製した後の品質検査過程で、シーリングラインの個数の検査を通じてシーリング部の面積の均一性を容易に評価できるという利点があるが、ラミネートシートの厚さ及びシーリング部の幅を考慮した折り曲げ回数を勘案して、シーリングラインの幅は互いに異なっていてもよい。
【0058】
このとき、シーリングラインのそれぞれの幅は、シーリングラインが形成されている外周面シーリング部の幅Wを中心に10%〜45%の大きさで適宜選択することができる。
【0059】
一方、前記シーリングラインの間ではシーリング部の折り曲げが行われるため、この部分は比較的細く形成されることが好適であり、好ましくは、未融着部又は低融着部の幅であるシーリングラインの離隔距離(LとLとの間の距離)は、シーリングラインの幅に比べて狭く形成することができ、具体的には、シーリングラインの平均幅の大きさに対して10%〜100%の大きさに形成することができる。
【0060】
一方、図5には、図4のB−B線に沿って切断した場合の垂直断面図を示しており、熱融着が起こったシーリングライン部分232は、シーリング部の外周面の垂直断面視で厚さが相対的に薄くなり、シーリングラインの間の未融着部又は低融着部231は、相対的に厚さが厚くなることを確認することができる。
【0061】
一方、図6は、従来のパウチ型二次電池(a)とそのシーリング部の拡大写真(b)、及び本発明の実施例に係る電池セルのシーリング部の拡大写真(c)を示しており、従来のシーリング部の拡大写真(b)では、シーリング部の表面が滑らかに表現されているが、シーリングラインを形成した本発明(c)は、直線状のシーリングラインを形成する未融着部又は低融着部が交互に繰り返して表現されている。
【0062】
図7は、本発明の一実施例に係るパウチ型電池セルの折り曲げ過程を示している。
【0063】
図7を参照すると、側面シーリング部に生じるシーリングラインは、収納部310に隣接する順に第1シーリングライン311、第2シーリングライン312及び第3シーリングライン313を含んでおり、前記第1シーリングライン311と第2シーリングライン312との間の第1折曲部321、及び前記第2シーリングライン312と第3シーリングライン313との間の第2折曲部322を含んでいる。
【0064】
このとき、第2折曲部322での折り曲げにより、第3シーリングライン313が第2シーリングライン312と対面するようになり、第2折曲部322が折り曲げられた状態で、第1折曲部321は、第2シーリングライン312に対する第3シーリングライン313の対向面が収納部330に対面するように折り曲げられる。このような方法で、不必要なシーリング部が1回或いは2回以上折り曲げられるようにすることによって、電池セルの体積増加の問題を解決することができる。
【0065】
また、図8は、従来のパウチ型電池セル(a)と本発明の実施例に係る電池セル(b)の比較写真を示しており、本発明のようにシーリング部の一部にのみ熱融着が起こるようにシーリングラインを形成する場合、電池セルの折り曲げステップにおいてシーリング部が均一且つコンパクトに折り曲げられる効果を得ることができる。
【0066】
図9及び図10は、本発明の一実施例に係るシーリング装置を示している。
【0067】
まず、図9を参照すると、電池セルの外周面をシールする装置600は、上部シーリングツール611及び下部シーリングツール612を含んでおり、前記上部シーリングツール611は、電池ケースの外周面シーリング予定部620の上面を下向きに加圧しながら高温を印加する役割を果たし、下部シーリングツール612は、外周面シーリング予定部の下面を支持し、また、熱を印加する役割を果たすこともできる。前記上部シーリングツール611及び下部シーリングツール612のうちの少なくとも1つには2つ以上の線状突起631が形成されている。前記線状突起631は、電池ケースの外周面シーリング予定部620に向かって突出しており、垂直断面視で外周面シーリング予定部に接する端部が平面又は曲面で形成されてもよい。前記シーリング装置600を用いてシールする場合、ラミネートシートを構成する樹脂層621、金属層622及びシーラント層623のうち、シーラント層623の溶融により、突起が電池ケースのシーリング部と接する部分の内部でシーリングが行われる。
【0068】
一方、図10に示されたシーリング装置700は、上部シーリングツール711及び下部シーリングツール712を含んでおり、前記上部シーリングツール711は、電池ケースの外周面シーリング予定部720の上面を下向きに加圧しながら高温を印加する役割を果たし、下部シーリングツール712は、外周面シーリング予定部の下面を支持し、また、熱を印加する役割を果たすこともできる。前記上部シーリングツール711及び下部シーリングツール712のうちの少なくとも1つには2つ以上の線状熱線731が内蔵されている。前記熱線は、シーリングツールの内部に内蔵されていてもよいが、シーリングラインに特に高温を加えることでより安全性が向上したシーリングラインを形成するためには、シーリングツールの表面に位置してもよい。
【0069】
前記シーリング装置700を用いてシールする場合、ラミネートシートを構成する樹脂層721、金属層722及びシーラント層723のうち、シーラント層723の溶融により、熱線が電池ケースのシーリング部と接する部分の内部でシーリングが行われる。
【0070】
本発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、上記内容に基づいて本発明の範疇内で様々な応用及び変形を行うことが可能であろう。
【産業上の利用可能性】
【0071】
以上で説明したように、本発明に係る電池セルは、電極端子が位置した上端シーリング部又は下端シーリング部に隣接する両側面シーリング部のうちの少なくとも1つには、互いに平行に離隔している2つ以上のシーリングラインを形成することによって、シーリングラインの間で融着がなされていない未融着部でシーリング部の折り曲げが行われ、他の部分は、折り曲げられることなく電池ケースの収納部の外面に位置するようになるので、容易に折り曲げることができるだけでなく、電池の体積減少効果を発揮することができる。
【0072】
また、本発明は、シーリングラインでシーリング部の折り曲げを容易に行うことができるので、折曲部の位置を正確に設定及び加工可能であるので、工程誤差を大幅に低減することができ、セルを作製した後の品質検査過程で、シーリングラインの個数の検査を通じてシーリング部の面積の均一性も容易に評価できるので、工程の正確度及び迅速度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0073】
20 電池ケース
21 下部ケース
22 上部ケース
23 収納部
24 シーリング部
30 スタック型電極組立体
31 電極タブ
32 電極タブ
41 電極リード
42 電極リード
100 パウチ型二次電池
101 電極組立体
102 側面シーリング部
103 側面シーリング部
104 シーリング部
105 シーリング部
106 電極タブ
107 電極タブ
110 パウチ型二次電池
200 電池セル
201 電池ケース収納部
202 両側面シーリング部
203 両側面シーリング部
204 上端シーリング部
205 下端シーリング部
210 電極端子
220 電極端子
230 シーリングライン
231 未融着部
231 低融着部
232 部分
232 シーリングライン部分
310 収納部
311 第1シーリングライン
312 第2シーリングライン
313 第3シーリングライン
321 第1折曲部
322 第2折曲部
330 収納部
600 装置
600 シーリング装置
611 上部シーリングツール
612 下部シーリングツール
620 外周面シーリング予定部
621 樹脂層
622 金属層
623 シーラント層
631 線状突起
700 シーリング装置
711 上部シーリングツール
712 下部シーリングツール
720 外周面シーリング予定部
721 樹脂層
722 金属層
723 シーラント層
731 線状熱線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8(a)】
図8(b)】
図9
図10