(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記半導体レーザ素子の各々のレーザ光が前記同一点に合流されるまでの損失は、それら複数のレーザ光が構成する波長帯域において、その波長帯域の端側が中心側よりも小さいように、前記アレイ導波路回折格子が構成されている、請求項1に記載の光半導体装置。
前記半導体レーザ素子の発振波長の順とは異なる箇所を、発振波長帯域全体の出力光強度差が小さくなるように設定した、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光半導体装置。
前記複数の半導体レーザ素子の発振波長のうち前記最短波長および前記最長波長は、前記アレイ導波路回折格子における隣り合う回折次数に対応する各自由スペクトラルレンジの中心波長にそれぞれ略等しい、
請求項5または請求項6に記載の光半導体装置。
前記半導体光集積素子では、前記複数の半導体レーザ素子と複数の入力導波路と前記アレイ導波路回折格子が同一基板上に集積されている、請求項8に記載の光半導体装置。
前記半導体光集積素子は、前記複数の半導体レーザ素子と前記アレイ導波路回折格子が異なる基板上に形成され、複数の入力導波路を介して光学的に接続されることで集積されている、請求項8に記載の光半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る光半導体装置を詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0030】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る光半導体装置100を示す図である。なお、
図1に示される光半導体装置100は、半導体光集積素子の部分のみを抽出して要部を記載したものである。したがって、半導体光集積素子から出力される光線を調整するためのレンズ等の光学系や半導体光集積素子の温度を制御するためのペルチェ素子およびサーミスタ等、
図1に記載がなくても光半導体装置100の構成の一部に含み得るものとする。
【0031】
図1に示すように、光半導体装置100は、埋め込み型導波路によって導波路が形成された埋め込み型導波構造領域110と、スラブ導波路によって導波路が形成されたスラブ導波構造領域120a,120bと、ハイメサ型導波路によって導波路が形成されたハイメサ型導波構造領域130とを有する。
【0032】
埋め込み型導波構造領域110は、発振波長の異なる複数の分布帰還型(DFB:Distributed Feed−Back)レーザ素子111
1〜111
12および入力導波路113を備えている。スラブ導波構造領域120aは、入力側スラブ導波路141を備え、スラブ導波構造領域120bは、出力側スラブ導波路142を備え、ハイメサ型導波構造領域130は、アレイ導波路143を備えている。入力側スラブ導波路141、出力側スラブ導波路142、およびアレイ導波路143は、一体としてAWG140を構成している。なお、ここでは発振波長の異なる12個のDFBレーザ素子111
1〜111
12を備える光半導体装置100を用いて本実施形態を説明するが、本実施形態はDFBレーザ素子の個数によって限定されるものではない。
【0033】
DFBレーザ素子111
1〜111
12は、半導体レーザ素子の一形態であり、例えば1.55μm波長帯域において各DFBレーザ素子111
1〜111
12の発振波長が3.5nmずつ異なるように設計されている。DFBレーザ素子111
1〜111
12は温度を変更することによって発振波長が変化するという特性を有する。光半導体装置100では、複数のDFBレーザ素子111
1〜111
12のうち一つを選択することによって、出力波長の粗調を行い、温度変更によって出力波長の微調を行う。結果、光半導体装置100全体として、連続的な波長範囲でのレーザ発振を行う波長可変光源として動作する。
【0034】
また、
図1に示すように、複数のDFBレーザ素子111
1〜111
12は、グループG1とグループG2とにグループ分けされている。このグループ分けは、後に詳述するように、DFBレーザ素子111
1〜111
12の発振波長の違いによってグループ分けされている。同一のグループ内では、隣り合うDFBレーザ素子111
1〜111
6およびDFBレーザ素子111
7〜111
12の発振波長が連続的に配列されているが、グループG1とグループG2との間では、隣り合うDFBレーザ素子111
6とDFBレーザ素子111
12との発振波長が大きく異なっている。本実施形態では、グループ数が2個である構成を例示しているが、グループ数が3以上でも同様に、同一のグループ内では隣り合うDFBレーザ素子の発振波長が連続的に配列されるように構成する。
【0035】
DFBレーザ素子111
1〜111
12から出射されたレーザ光は、入力導波路113を介して入力側スラブ導波路141へ導波される。入力側スラブ導波路141は、基板と平行な方向に関して光の閉じ込めがない導波路であり、入力導波路113から入力されたレーザ光を基板と平行方向に回折させながら、アレイ導波路143へレーザ光を導波する。
【0036】
アレイ導波路143は、経路が曲げられて構成された多数の導波路から構成されており、波長に依存した光路長差が設けられている。したがって、この波長に依存した光路長差に対応させて入力側スラブ導波路141に対するレーザ光の入力位置を変えると、出力側スラブ導波路142の出力端では、すべての波長のレーザ光が同一位置に結合することになる。
【0037】
本実施形態では、出力側スラブ導波路142の出力端142aから直接レーザ光が出射され、光半導体装置100の出力端を兼ねている。
【0038】
ここで、本実施形態に係るAWG140の具体的構成例について開示する。
【0039】
アレイ導波路143を構成するハイメサ型導波路の群屈折率n
gは3.54であり、等価屈折率n
effは3.19である。また、アレイ導波路143を構成する導波路における隣接する導波路間の光路長差ΔLは16.3μmである。AWG140の焦点距離L
fは480μmである。
【0040】
入力側スラブ導波路141の入力端面141bにおけるアレイ導波路143の導波路間隔d
1は3.5μmである(
図2参照)。また、入力側スラブ導波路141の入力端面141aにおける入力導波路113の導波路間隔d
2は5μmである(
図3参照)。なお、
図2および
図3は、アレイ導波路143および入力導波路113と入力側スラブ導波路141との入力端面141b,141aの拡大図である。
図2および
図3に示すように、アレイ導波路143および入力導波路113は、それぞれ入力側スラブ導波路141の入力端面141b,141aの接続部分で導波路幅にテーパが設けられており、入力側スラブ導波路141の入力端面141b,141aに対する開口が大きくなるように設計されている。
【0041】
図4は、DFBレーザ素子111
1〜111
12から入力側スラブ導波路141へレーザ光を導波する入力導波路113の並び順を示す図である。
図4に示すように、本構成例では、入力側スラブ導波路141へレーザ光を導波する入力導波路113の本数は、ch1からch12までの12本である。なお、入力導波路113のチャンネル番号は、入力側スラブ導波路141の入力端面141aの幅方向(AWG140の波長分解方向)に関する並び順でch1からch12を割り振っている。また、ch1からch6までの入力導波路113は、グループG2に属するDFBレーザ素子111
7〜111
12に接続されており、ch7からch12までの入力導波路113は、グループG1に属するDFBレーザ素子111
1〜111
6に接続されている。
【0042】
図4に示されるように、ch1からch6までの入力導波路113は、それぞれ、発振波長がλ
7からλ
12までのDFBレーザ素子111
7〜111
12に接続されている。また、ch7からch12までの入力導波路113は、それぞれ、発振波長がλ
1からλ
6までのDFBレーザ素子111
1〜111
6に接続されている。言い換えると、発振波長λ
1〜λ
6であるDFBレーザ素子111
1〜111
6がグループG1に属し、発振波長λ
7〜λ
12であるDFBレーザ素子111
7〜111
12がグループG2に属している。
【0043】
ここで、発振波長λ
1〜λ
12は、長波長から短波長への並び順となっている。すなわち、発振波長λ
1〜λ
12は以下の関係を満たす。
λ
1>λ
2>λ
3>λ
4>λ
5>λ
6>λ
7>λ
8>λ
9>λ
10>λ
11>λ
12
なお、各発振波長の波長間隔Δλは3.5nmに略等しい。具体的には、λ
i-1−λ
i≒3.5nm(i=2,…,12)となる。ただし、上述のようにDFBレーザ素子111
1〜111
12は温度を変更することによって発振波長が変化するという特性を有するので、ここでの各発振波長の波長間隔とは、同一温度における波長間隔を意味するものとする。上記のように、波長間隔Δλを3.5nmに略等しくし、12個のDFBレーザ素子111
1〜111
12にて中心波長1.55μmの波長帯域を構成した場合、1.53μmから1.57μmまでの範囲を可変する波長帯域になる。
【0044】
図4に示されるように、グループG1に属する発振波長λ
1〜λ
6に割り当てられたch7からch12までの入力導波路では、入力端面141aの幅方向に関する並び順と接続されているDFBレーザ素子111
1〜111
6の発振波長の並び順とが一致している。同様に、グループG2に属する発振波長λ
7〜λ
12に割り当てられたch1からch6までの入力導波路では、入力端面141aの幅方向に関する並び順と接続されているDFBレーザ素子111
7〜111
12の発振波長の並び順とが一致している。
【0045】
一方、
図4に示されるように、最長波長λ
1に割り当てられたch7の入力導波路と最短波長λ
12に割り当てられたch6の入力導波路とは、グループG1とグループG2との間で隣り合っている。つまり、ch7の入力導波路とch6の入力導波路との間で、物理的並び順と発振波長の並び順とが入れ替わっている。言い換えると、入力端面の幅方向における入力導波路の並び順は、それぞれの入力導波路が導くレーザ光の波長の大小の順序に対して、順序が反転する箇所が少なくとも1カ所ある。なお、特許文献1においては、AWGは、すべての波長帯域にわたる入力導波路において、物理的並び順と発振波長の並び順とが一致しているので、本構成のAWG140の並び順は特徴的である。
【0046】
上記のように、AWG140における入力導波路の物理的並び順と、当該入力導波路に割り当てられた発振波長の並び順とが入れ替わっている箇所が存在している理由は、AWG140が異なる次数の回折現象を利用しているからである。具体的には、AWG140では、グループG1に属するch7からch12までの入力導波路は、回折次数mが33の回折現象を用いて発振波長λ
1〜λ
6のレーザ光を合流し、グループG2に属するch1からch6までの入力導波路は、回折次数mが34の回折現象を用いて発振波長λ
7〜λ
12のレーザ光を合流している。グループG1に対応するレーザの発振波長帯域は、回折次数m=33のFSRの半分と略等しく、グループG2に対応するレーザの発振波長帯域は、回折次数m=34のFSRの半分と略等しい。ここで、AWGの自由スペクトラルレンジ(FSR:Free Spectral Range)とは、所与の次数に対する波長範囲であって、隣の次数におけるその波長範囲と重複しない最大の範囲のことをいう。
【0047】
最長波長λ
1に割り当てられたch7の入力導波路と最短波長λ
12に割り当てられたch6の入力導波路とが隣り合っている理由は、ch7の入力導波路が回折次数m=33における最長波端であり、ch6の入力導波路が回折次数m=34における最短波端だからである。言い換えると、最長波長λ
1に割り当てられたch7の入力導波路と最短波長λ
12に割り当てられたch6の入力導波路との間には、回折次数m=33と回折次数m=34との間の境界が存在していることになる。
【0048】
上記説明からも解るように、AWG140のFSRは、12個のDFBレーザ素子111
1〜111
12によって構成される可変波長の帯域幅に略等しいことになる。なお、AWG140のFSRとDFBレーザ素子111
1〜111
12によって構成される帯域幅とは、完全に一致させる必要はない。AWG140のFSRとDFBレーザ素子111
1〜111
12によって構成される帯域幅との差異は、ch6の入力導波路とch7の入力導波路との間の導波路間隔によって調整可能だからである。つまり、先述のようにチャンネルの入力導波路の導波路間隔d
2は5μmであるが、ch6の入力導波路とch7の入力導波路との間の導波路間隔を5μmから変更することによって、AWG140のFSRとDFBレーザ素子111
1〜111
12によって構成される帯域幅との差異を吸収することが可能となる。
【0049】
ここで、上記構成を実現するためのAWGの設計指針について説明する。
【0050】
AWG140の中心波長λ
cを、DFBレーザ素子111
1〜111
12の発振波長の並びに合わせて決定する。この中心波長λ
cは、典型的には、DFBレーザ素子111
1〜111
12によって構成される帯域幅の最短波長または最長波長を選択する。なぜならば、先述のように、DFBレーザ素子111
1〜111
12の活性層の利得は帯域幅の中心波長付近が最も大きくなるように設計されることが多く、中心波長から離れるほど利得が小さくなるからである。この活性層の利得の波長特性とAWG140の波長特性とを相殺させてDFBレーザ素子111
1〜111
12の波長依存性を抑制するためには、DFBレーザ素子111
1〜111
12によって構成される帯域幅の最短波長または最長波長をAWG140の中心波長λ
cに設定することが好ましい。
【0051】
なお、上記例に限らず、AWG140の中心波長λ
cをDFBレーザ素子111
1〜111
12によって構成される帯域幅の最短波長または最長波長以外にすることも可能である。複数のDFB半導体レーザ素子111
1〜111
12のうちの光出力の最小値を改善させるという視点に立脚した場合、最小値となっているDFB半導体レーザ素子111
i(i=1〜12)の発振波長をAWG140の中心波長λ
cに設定することが好ましい。また、最小値を改善するのではなく、平均値を改善しようとした場合でも、DFBレーザ素子111
1〜111
12によって構成される帯域幅の最短波長または最長波長以外にすることが最適である場合も生じ得るので、AWG140の中心波長λ
cは適宜設計によって修正されるべきパラメータである。
【0052】
次に、AWG140のFSRとDFBレーザ素子111
1〜111
12によって構成される帯域幅とが同程度なる回折次数mを、下式(1)を用いて選択する。つまり、要求仕様によって定まるDFBレーザ素子111
1〜111
12が構成すべき帯域幅とほぼ同じ波長幅をFSRとする回折次数mを下式(1)によって計算する。
【数1】
【0053】
次に、式(1)により求められた回折次数mと中心波長λ
cとを用いて、AWG140における隣接する導波路間の光路長差ΔLを、下式(2)を用いて決定する。
【数2】
【0054】
さらに、入力側スラブ導波路141の入力端面141aにおける導波路間隔d
2が波長間隔Δλに合う波長分解能となるように、AWG140の焦点距離L
fを、下式(3)を用いて決定する。なお、下式(3)におけるn
sは、入力側スラブ導波路の等価屈折率である。
【数3】
【0055】
ここで、本実施形態のAWG140とDFBレーザ素子111
1〜111
12とを集積した場合の光出力の補償の効果を説明する。
図5は、AWG単体の透過率の波長依存性のグラフを示す図であり、
図6は、集積素子内で波長依存性を補償させた結果のグラフを示す図である。
【0056】
図5および
図6の何れも、本実施形態と比較例1と比較例2との比較が記載されている。
図5および
図6において、本実施形態とは、上記説明したAWG140を用いた例であり、比較例1とは、回折次数m=30の従来型のAWGを用いた例であり、比較例2とは、回折次数m=15の従来型のAWGを用いた例である。
図5および
図6の横軸は1.55μm波長
帯域における波長をμmで記載してあり、
図5の縦軸は、AWG単体の結合効率を表し、
図6の縦軸は出力光高度を表す任意単位(a.u.)である。
【0057】
図5に示されるグラフから解るように、比較例のAWGの波長特性は上に凸であり、可変波長帯域の中心波長(1.55μm)における損失が最も低く、中心波長から離れるほど損失が大きくなる。また、比較例1と比較例2とを比較すると解るように、回折次数が高いほどその傾向は顕著である。
【0058】
一方、式(3)から求まるAWG140の焦点距離L
fは回折次数mに反比例するため、比較例1に比べ比較例2のAWG140のサイズは大きくなる。そのため量産性や光半導体装置の小型化、高密度集積化の観点では回折次数が大きいほうが好ましい。
【0059】
一方、本実施形態のAWG140は、波長特性が下に凸であり、可変波長帯域の中心波長(1.55μm)における損失が最も大きく、中心波長から離れるほど損失が小さくなる。これは、上述したように、本実施形態のAWG140では、1.55μm波長
帯域における最短波長および最長波長がAWG140における中心波長となっているからである。また、可変波長帯域の中心波長(1.55μm)は、グラフの波長軸では中心であっても、入力側スラブ導波路141の入力端面141aの幅方向に関する並び順では、入力端面141aの両端に位置している。
【0060】
図6は、
図5に示されるAWGの波長特性と集積素子内の他の波長依存性とを組み合わせた結果を示している。ここでは、DFBレーザ素子の活性層の利得における波長依存性を想定しているが、
図6に示される結果は一例であり、DFBレーザ素子の設計によっては波長依存性が大きく異なる。また、
図6に示される結果は、DFBレーザ素子の活性層の利得における波長依存性であるが、後に説明する半導体光増幅器(SOA:Semiconductor Optical Amplifier)をAWGと集積した場合であっても同様の結果が得られる。
【0061】
図6に示すように、比較例1および比較例2では、AWGの波長特性と活性層の利得における波長依存性とが相乗され、集積素子全体での波長依存性が強くなっている。具体的には、中心波長付近では光出力の強度が大きいが、中心波長から離れるほど光強度が小さくなっている。これは、光集積素子としての光出力を高出力化しようとした場合、1.53μmおよび1.57μm付近の光出力が製品としての性能を制約してしまうことを意味する。
【0062】
一方、本実施形態のAWG140は、AWG140単体の波長依存性が中心波長における損失が最も大きく、中心波長から離れるほど損失が小さくなるので、DFBレーザ素子の活性層の利得における波長依存性と相殺され、光出力の最小値と最大値との間の差が縮小している。結果、半導体光集積素子としての光出力を高出力化しようとした場合、最小値が改善された分だけ、製品としての光出力の高出力が得られる。なお、このことは、最小値が改善された分だけ、低消費電力化が達成されたと見ることも可能である。
【0063】
図7は、本実施形態の変形例のAWGの波長依存性のグラフを示す図である。なお、
図7の横軸は1.55μm波長
帯域における波長をμmで記載してあり、
図7の縦軸はAWGの結合効率を表している。既述のように、AWGの中心波長λ
cをDFBレーザ素子によって構成される帯域幅の最短波長または最長波長以外にすることも可能である。複数のDFBレーザ素子111
1〜111
12のうちの活性層の利得の最小値を改善させるという視点に立脚した場合、最小値となっているDFBレーザ素子111
i(i=1〜12)の発振波長をAWGの中心波長λ
cに設定することが好ましいからである。
図7に示されるAWGの波長依存性の例は、波長1.543μm付近にAWGの中心波長λ
cを設定し、波長1.564μm付近に入力導波路のスラブ導波路端面における並びの両端の波長λ
bを配置した例である。
図7に示される波長依存性のAWGを、活性層の利得の最小値が波長1.543μm付近にあるDFBレーザ素子アレイと組み合わせた場合、波長依存性が相殺され、光出力の最小値が改善されることになる。
【0064】
このように、本実施形態のAWG140を実際の半導体光集積素子に適用する際には、レーザ素子やSOAの設計により得られる波長依存性に合わせて、波長依存性が小さくなるようにAWGの中心波長λ
cの位置を選択するとよい。
【0065】
以上のように、第1実施形態に係る光半導体装置100は、複数の半導体レーザ素子111
1〜111
12が第1グループG1と第2グループG2に分かれ、第1グループG1に属する半導体レーザ素子111
1〜111
6からのレーザ光は、AWG140内において第1の回折次数の回折によって同一点に合流され、第2グループG2に属する半導体レーザ素子111
7〜111
12からのレーザ光は、AWG140内において第1の回折次数とは異なる第2の回折次数の回折によって同一点に合流されるように構成されているので、AWG140の波長依存性とDFBレーザ素子111
1〜111
12の活性層の波長依存性とを相殺させることができ、光半導体装置100の光出力における波長依存性を低減することができる。
【0066】
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態に係る光半導体装置200を示す図である。
図8に示される光半導体装置200は、第1実施形態の光半導体装置100と同様に、半導体光集積素子の部分のみを抽出して要部を記載したものである。また、第2実施形態に係る光半導体装置200は、第1実施形態の光半導体装置100と同様の構成を有しているので、細部に関する説明は適宜省略するものとする。
【0067】
図8に示すように、光半導体装置200は、埋め込み型導波路によって導波路が形成された埋め込み型導波構造領域210と、スラブ導波路によって導波路が形成されたスラブ導波構造領域220a,220bと、ハイメサ型導波路によって導波路が形成されたハイメサ型導波構造領域230と、導波路構造を有しない窓構造領域250とを有する。
【0068】
埋め込み型導波構造領域210は、発振波長の異なる複数のDFBレーザ素子211
1〜211
12および入力導波路213を備えている。スラブ導波構造領域220aは、入力側スラブ導波路241を備え、スラブ導波構造領域220bは、出力側スラブ導波路242を備え、ハイメサ型導波構造領域230は、アレイ導波路243を備えている。入力側スラブ導波路241、出力側スラブ導波路242、およびアレイ導波路243は、一体としてAWG240を構成している。窓構造領域250は、出力側スラブ導波路242と出射端との間に形成されている。出力側スラブ導波路242からのレーザ光を、窓構造領域250を介して出射することにより、端面反射による戻り光を抑制すると共に、射出されるレーザ光の非点隔差を抑えることができる。なお、ここでは発振波長の異なる12個のDFBレーザ素子211
1〜211
12を備える光半導体装置200を用いて本実施形態を説明するが、本実施形態はDFBレーザ素子の個数によって限定されるものではない。
【0069】
DFBレーザ素子211
1〜211
12は、第1実施形態と同様に、例えば中心波長1.55μmの波長帯域において波長可変光源として機能し得るように構成されている。また、第1実施形態と同様に、複数のDFBレーザ素子211
1〜211
12は、グループG1とグループG2とにグループ分けされている。このグループ分けは、第1実施形態と同様に、同一のグループ内では、隣り合うDFBレーザ素子211
1〜211
6およびDFBレーザ素子211
7〜211
12の発振波長が連続的に配列されているが、グループG1とグループG2との間では、複数のDFBレーザ素子211
1〜211
12の発振波長のうち最短波長のDFBレーザ素子211
1と最長波長のDFBレーザ素子211
12が隣接している。
【0070】
DFBレーザ素子211
1〜211
12から出射されたレーザ光は、入力導波路213を介して、AWG240へ導波される。AWG240の具体的構成は、例えば第1実施形態のAWG140と同様とすることができる。
【0071】
上記構成の第2実施形態に係る光半導体装置200も、複数の半導体レーザ素子211
1〜211
12が第1グループG1と第2グループG2に分かれ、第1グループG1に属する半導体レーザ素子211
1〜211
6からのレーザ光は、AWG240内において第1の回折次数の回折によって同一点に合流され、第2グループG2に属する半導体レーザ素子211
7〜211
12からのレーザ光は、AWG240内において第1の回折次数とは異なる第2の回折次数の回折によって同一点に合流されるように構成されているので、AWG240の波長依存性とDFBレーザ素子211
1〜211
12の活性層の波長依存性とを相殺させることができ、光半導体装置200の光出力における波長依存性を低減することができる。
【0072】
(第3実施形態)
図9は、第3実施形態に係る光半導体装置300を示す図である。
図9に示される光半導体装置300は、第1実施形態の光半導体装置100と同様に、半導体光集積素子の部分のみを抽出して要部を記載したものである。また、第3実施形態に係る光半導体装置300は、第1実施形態の光半導体装置100と同様の構成を有しているので、細部に関する説明は適宜省略するものとする。
【0073】
図9に示すように、光半導体装置300は、埋め込み型導波路によって導波路が形成された埋め込み型導波構造領域310,360と、スラブ導波路によって導波路が形成されたスラブ導波構造領域320a,320bと、ハイメサ型導波路によって導波路が形成されたハイメサ型導波構造領域330とを有する。
【0074】
埋め込み型導波構造領域310は、発振波長の異なる複数のDFBレーザ素子311
1〜311
12および入力導波路313を備えている。スラブ導波構造領域320aは、入力側スラブ導波路341を備え、スラブ導波構造領域320bは、出力側スラブ導波路342を備え、ハイメサ型導波構造領域330は、アレイ導波路343を備えている。入力側スラブ導波路341、出力側スラブ導波路342、およびアレイ導波路343は、一体としてAWG340を構成している。埋め込み型導波構造領域360は、SOA361と出力導波路362,363とを備えている。なお、ここでは発振波長の異なる12個のDFBレーザ素子311
1〜311
12を備える光半導体装置300を用いて本実施形態を説明するが、本実施形態はDFBレーザ素子の個数によって限定されるものではない。
【0075】
DFBレーザ素子311
1〜311
12は、第1実施形態と同様に、例えば中心波長1.55μmの波長帯域において波長可変光源として機能し得るように構成されている。また、第1実施形態と同様に、複数のDFBレーザ素子311
1〜311
12は、グループG1とグループG2とにグループ分けされている。このグループ分けは、第1実施形態と同様に、同一のグループ内では、隣り合うDFBレーザ素子311
1〜311
6およびDFBレーザ素子311
7〜311
12の発振波長が連続的に配列されているが、グループG1とグループG2との間では、複数のDFBレーザ素子311
1〜311
12の発振波長のうち最短波長のDFBレーザ素子311
1と最長波長
のDFBレーザ素子311
12が隣接している。
【0076】
DFBレーザ素子311
1〜311
12から出射されたレーザ光は、入力導波路313を介して、AWG340へ導波される。AWG340の具体的構成は、例えば第1実施形態のAWG140と同様とすることができる。
【0077】
AWG340の出力側スラブ導波路342から出力されるレーザ光は、出力導波路362によってSOA361に導波される。SOA361は、出力導波路362から入力されたレーザ光を増幅する。出力導波路363は、SOA361によって増幅されたレーザ光を光半導体装置300の外へ導波するための導波路である。
【0078】
図9に示すように、第3実施形態に係る光半導体装置300では、DFBレーザ素子311
1〜311
12とSOA361とが同一の半導体光集積素子上に構成されている。このような場合、製造上の観点から、DFBレーザ素子311
1〜311
12の活性層とSOA361の活性層とが同種となることが多い。したがって、DFBレーザ素子311
1〜311
12の活性層とSOA361の活性層の波長依存性も同種のものとなってしまう。つまり、DFBレーザ素子311
1〜311
12における利得の最小値を与える波長と、SOA361における利得の最小値を与える波長とが一致してしまい、波長依存性の相乗効果が強く作用することになる。
【0079】
第3実施形態に係る光半導体装置300では、AWG340の波長依存性とDFBレーザ素子311
1〜311
12およびSOA361の活性層の波長依存性とを相殺させることができるので、DFBレーザ素子311
1〜311
12とSOA361とによって波長依存性の相乗効果が強く作用する場合であっても、光半導体装置300全体としての波長依存性を抑制することができる。DFBレーザ素子311
1〜311
12の活性層とSOA361の活性層とを同種とすれば設計の自由度が少なくなるところ、第3実施形態に係る光半導体装置300では、AWG340の波長依存性に設計の自由度が生まれるので、光半導体装置300全体としての波長依存性を抑制するための自由度が確保できる。
【0080】
また、一般に、DFBレーザ素子311
1〜311
12の波長依存性よりも、SOA361の波長依存性の方が大きい。そこで、SOAの利得に関する最小値を与える波長をAWG340の中心波長に設定することが効率的設計となる。
【0081】
(第4実施形態)
図10は、第4実施形態に係る光半導体装置400を示す図である。第4実施形態に係る光半導体装置400は、SOAを備える構成であるが、第3実施形態に係る光半導体装置300とは異なり、半導体光集積素子とは別個体のSOAを備える構成である。
【0082】
図10に示すように、第4実施形態に係る光半導体装置400は、半導体光集積素子410と、第1の光学系420と、SOA430と、第2の光学系440と、光ファイバ450とを備えている。
【0083】
半導体光集積素子410は、実質的に第2実施形態に係る光半導体装置200と同一構成とすることができる。したがって、半導体光集積素子410が備える複数のDFBレーザ素子は、グループG1とグループG2とにグループ分けされており、このグループ分けは、同一のグループ内では、隣り合うDFBレーザ素子の発振波長が連続的に配列されているが、グループG1とグループG2との間では、複数のDFBレーザ素子の発振波長のうち最短波長のDFBレーザ素子と最長波長のDFBレーザ素子が隣接している。その他、半導体光集積素子410は、AWGも備えているが、実質的に第2実施形態と同一構成であるので、ここでは説明を省略する。
【0084】
第1の光学系420は、半導体光集積素子410から射出されるレーザ光をSOA430に空間結合するための光学系である。第1の光学系420は、例えば2枚のコリメータレンズによって構成されており、半導体光集積素子410から所定のNA(開口数)で射出されるレーザ光を平行光化し、その平行光をSOA430に適したNAに変換してSOA430へレーザ光を入射する。なお、第4実施形態では、半導体光集積素子410から射出されるレーザ光をSOA430に結合する際に、空間結合するための光学系を用いたが、半導体光集積素子410とSOA430とのバットカップリングを用いたり、PLCやSi導波路等の結合のための導波路を用いてもよい。
【0085】
SOA430は、入力されたレーザ光を増幅するための半導体光増幅素子である。SOA430は、半導体光集積素子410と独立した半導体光増幅素子であるので、その選択の自由度は大きい。半導体光集積素子410から出射されるレーザ光の波長帯域を増幅することが可能であれば、どのような半導体光増幅素子であっても本実施形態のSOA430として採用することができる。
【0086】
第2の光学系440は、SOA430から射出されるレーザ光を光ファイバ450に空間結合するための光学系である。第2の光学系440は、例えば2枚のコリメータレンズによって構成されており、SOA430から所定のNAで射出されるレーザ光を平行光化し、その平行光を光ファイバ450に適したNAに変換して光ファイバへレーザ光を入射する。
【0087】
上記構成による光半導体装置400は、半導体光集積素子410に集積されたDFBレーザ素子とは、別個にSOA430を選択することができる。つまり、波長依存性を相殺するための設計の自由度が大きい。したがって、DFBレーザ素子の活性層の波長依存性とAWGの波長依存性との相殺だけではなく、SOA430の設計によっても波長依存性の相殺効果を高めることができる。結果、第4実施形態に係る光半導体装置400は、例えば最小値の改善のみならず、波長帯域全体における波長依存性の低減等のより高度な調整が可能になる。
【0088】
また、本実施形態においても、第3実施形態と同様に、SOA430の利得に関する最小値を与える波長をAWGの中心波長に設定することが効率的設計となる。
【0089】
(変形例)
ここで、半導体光集積素子の変形例について説明する。以下で説明する半導体光集積素子の変形例は、第1実施形態から第4実施形態の光半導体装置に対しても適宜修正の上適用し得るが、ここでは代表として、第1実施形態の半導体光集積素子に対する変形例を説明する。
【0090】
図11は、半導体光集積素子の第1変形例を示す図である。
図11に示される半導体光集積素子500は、光半導体装置における半導体光集積素子の部分のみを抽出して要部を記載したものである。また、半導体光集積素子500のうち、既に説明した細部に関する説明は適宜省略するものとする。
【0091】
図11に示すように、半導体光集積素子500は、DFBレーザ領域510、入力導波路領域510aと、スラブ導波路によって導波路が形成されたスラブ導波構造領域520a,520bと、アレイ導波路領域530とを有する。
【0092】
ただし、半導体光集積素子500では、入力導波路領域510aの一部と、スラブ導波構造領域520a,520bと、アレイ導波路領域530とが、いわゆるシリコン細線導波路で構成され、DFBレーザ領域510と入力導波路領域510aの一部がInP系の半導体材料で形成された導波路で構成されている。つまり、第1変形例に係る半導体光集積素子500は、シリコン細線導波路で構成された領域R2とその他の材料で形成された導波路で構成された領域R1を有するハイブリッド半導体光集積素子である。
【0093】
ここで、シリコン細線導波路とは、シリコン(Si)からなるコアと当該コアよりも屈折率が低いクラッドとを有し、コアにより光を閉じ込めて導波する構成の光導波路のことである。
【0094】
DFBレーザ領域510は、InP系の半導体材料で形成され、発振波長の異なる複数のDFBレーザ素子511
1〜511
12を備えている。DFBレーザ素子511
1〜511
12は、第1実施形態と同様に、例えば中心波長1.55μmの波長帯域において波長可変光源として機能し得るように構成されている。また、第1実施形態と同様に、複数のDFBレーザ素子511
1〜511
12は、グループG1とグループG2とにグループ分けされている。このグループ分けは、第1実施形態と同様に、同一のグループ内では、隣り合うDFBレーザ素子511
1〜511
6およびDFBレーザ素子511
7〜511
12の発振波長が連続的に配列されているが、グループG1とグループG2との間では、複数のDFBレーザ素子511
1〜511
12の発振波長のうち最短波長のDFBレーザ素子511
1と最長波長のDFBレーザ素子511
12が隣接している。
【0095】
一方、スラブ導波構造領域520a,520b、および、アレイ導波路領域530は、シリコン系の半導体材料で形成され、それぞれ、入力側スラブ導波路541、出力側スラブ導波路542、AWG540を備えている。なお、これら各構成の機能は第1実施形態と同様である。
【0096】
入力導波路513はInP系、シリコン系両方の領域上にそれぞれ形成され、シリコン細線導波路で構成された入力導波路513とInP材料で形成された入力導波路513とは領域R1と領域R2との間で光学的に接続されている。
【0097】
上記構成の半導体光集積素子500も、AWG540の波長依存性とDFBレーザ素子511
1〜511
12の活性層の波長依存性とを相殺させることができ、半導体光集積素子500の光出力における波長依存性を低減することができる。
【0098】
図12は、半導体光集積素子の第2変形例を示す図である。
図12に示される半導体光集積素子600は、光半導体装置における半導体光集積素子の部分のみを抽出して要部を記載したものである。また、半導体光集積素子600のうち、既に説明した細部に関する説明は適宜省略するものとする。
【0099】
図12に示すように、半導体光集積素子600は、DFBレーザ領域610と、スラブ導波路によって導波路が形成されたスラブ導波構造領域620aa,620ab,620bと、アレイ導波路領域630とを有する。
【0100】
ただし、半導体光集積素子600では、スラブ導波構造領域620ab,620bと、アレイ導波路領域630とが、いわゆるシリコン細線導波路で構成され、DFBレーザ領域610とスラブ導波構造領域620aaとがInP系の半導体材料で形成された導波路で構成されている。つまり、第2変形例に係る半導体光集積素子600も、第1変形例と同様に、シリコン細線導波路で構成された領域R
2とその他の材料で形成された導波路で構成された領域R
1を有するハイブリッド半導体光集積素子である。
【0101】
DFBレーザ領域610は、InP系の半導体材料で形成され、発振波長の異なる複数のDFBレーザ素子611
1〜611
12および入力導波路613を備えている。DFBレーザ素子611
1〜611
12は、第1実施形態と同様に、例えば中心波長1.55μmの波長帯域において波長可変光源として機能し得るように構成されている。また、第1実施形態と同様に、複数のDFBレーザ素子611
1〜611
12は、グループG1とグループG2とにグループ分けされている。このグループ分けは、第1実施形態と同様に、同一のグループ内では、隣り合うDFBレーザ素子611
1〜611
6およびDFBレーザ素子611
7〜611
12の発振波長が連続的に配列されているが、グループG1とグループG2との間では、複数のDFBレーザ素子611
1〜611
12の発振波長のうち最短波長のDFBレーザ素子611
1と最長波長のDFBレーザ素子611
12が隣接している。また、スラブ導波構造領域620aaも、InP系の半導体材料で形成され、入力側スラブ導波路641の一部を備えている。
【0102】
一方、スラブ導波構造領域620ab
,620b、および、アレイ導波路領域630は、シリコン系の半導体材料で形成され、それぞれ、入力側スラブ導波路641の一部、出力側スラブ導波路642、AWG640を備えている。なお、これら各構成の機能は第1実施形態と同様である。
【0103】
上記構成の半導体光集積素子600も、AWG640の波長依存性とDFBレーザ素子611
1〜611
12の活性層の波長依存性とを相殺させることができ、半導体光集積素子600の光出力における波長依存性を低減することができる。
【0104】
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば、上述の実施形態において挙げた数値はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値を用いてもよい。また、上述の実施形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。