(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
薄膜電池製造の方法および薄膜電池製造用の工場を説明する。以下の説明には、本発明を完全に理解できるよう、製造条件や材料形態など数多くの具体的な詳細が説明してある。これら具体的な詳細を用いることなく本発明を実施してもよいことが、当業者には明白になろう。他の例では、本発明を不必要に曖昧にしないよう、薄膜電池の用途などよく知られた態様について詳細には説明していない。さらに、各図に示した様々な実施形態は例示的な表示であり、必ずしも一定の縮尺で描かれてはいないことを理解されたい。さらに、他の配置および構成は、本明細書において明瞭に開示されていない可能性がある、依然として本発明の趣旨および範囲内にあると考えられる。
【0009】
薄膜電池製造のための方法が、本明細書において開示される。一実施形態では、方法は、薄膜電池を製造するための作業を含む。
【0010】
また、薄膜電池製造のための工場が、本明細書において開示される。一実施形態では、工場は、薄膜電池を製造するための1つまたは複数のツールセットを含む。
【0011】
本発明の実施形態によれば、本明細書において開示される方法および工場は、以下の問題または特徴、すなわち(a)集積化された堆積のシステムおよび工場、(b)環境空気に適合した製造技術、(c)複雑さおよびコストの削減、(d)シリコン集積回路のプラットフォーム、ならびに(e)インライン堆積プラットフォームの1つまたは複数に取り組む。実施形態によっては、薄膜電池製造技術についての完全な工場モデルを本明細書において提示する。様々なシステムの独自性には、(a)複雑さを最小限に抑え、製造集積化を改善するための集積化されたプラットフォーム、(b)シャドーマスクレスの集積化適合ツール、および(c)全てのプロセスについての完全なツールセット、たとえば薄膜電池工場モデルが含まれ得る。
【0012】
本明細書において開示される方法および工場に関して、完全工場モデルコンポーネントには、(a)金属、カソード、電解質、およびアノードの材料のための物理的気相堆積チャンバ、(b)通常は、ポリマー、誘電体、および金属の堆積チャンバまたはツールからなる保護コーティングシステム、(c)マスク集積方式のための位置合わせシステム、(d)マスクレス集積のための周辺ツール(たとえば、レーザまたはリソグラフィパターン形成)が含まれ得る。本発明のいくつかの実施形態によれば、薄膜電池工場についての特性には、(a)(マスク集積化またはマスクレス集積化と関係なく)不活性環境の要求事項を必要としないようスマート「クラスタリング」または集積化を使用すること、(b)搬送中の空気曝露のリスクをなくしながら、または軽減しながら、通常は独立型のリチウム堆積チャンバをなくすために独自のチャンバを使用する、および(c)任意選択の真空搬送モジュール(VTM)を使用することが含まれる。本発明の一実施形態によれば、工場タイプには、たとえば、200ミリメートルプラットフォーム、300ミリメートルプラットフォーム、インラインプラットフォーム、または組合せプラットフォームなどの構成が含まれるが、それらには限定されない。本発明の一実施形態によれば、プロセス集積化方式には、マスク集積化方式またはマスクレス集積化方式などの方式が含まれるが、それらには限定されない。
【0013】
様々な薄膜電池アーキテクチャは、本明細書に記載のプロセス構成およびツール構成で製造するように企図してもよい。
図2には、本発明の一実施形態による、本明細書に記載の製造プロセスおよびツール構成によって製造するよう企図された代表的な薄膜電池の横断面図が示してある。
図2を参照すると、薄膜電池200は、基板204上に製造された積み重ねられた層202を含む。積み重ねられた層202は、カソード集電装置層206と、アノード集電装置層208と、カソード層210と、アノード層212と、電解質層214と、保護コーティング層216とを含む。一実施形態では、積み重ねられた層202の厚さは、ほぼ15ミクロンである。実際の合計の厚さは、所与の装置領域における電池の所望容量に依存することがあり、カソード、アノード、および電解質の厚さに影響を及ぼす。一実施形態では、薄膜電池200のアノード層212は、リチウムアノード層である。しかし、
図2には、薄膜電池構造について実現可能な構成が1つだけ示してあるが、本明細書において開示される考え方は、たとえば、米国特許出願公開第2009/0148764号に記載の集積化方式を含む、従来のプロセスフローおよび集積化方式によって製造される任意の薄膜電池構造に適用できることを理解されたい。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、薄膜電池製造プロセスは2つのカテゴリ、すなわち(1)材料層の堆積、および(2)材料層のパターン形成に分割することができる。一実施形態では、機能に関しては、堆積プロセスは能動素子の製造および保護コーティングの製造に分割され、その両方とも何らかの形式のパターン形成を必要とする。したがって、一実施形態では、本明細書に記載の工場モデルは、3つのセクタ、すなわち(1)デバイス材料の堆積、(2)保護コーティングの堆積、および(3)パターン形成技術からなる。
【0015】
一実施形態では、能動素子製造に必要となる典型的な層は、集電装置、カソード(正の電極)、電解質、およびアノード(負の電極)の材料などの層であるが、それらには限定されない。通常、保護コーティングとしては、積み重ねられた複数の層が使用される。一実施形態では、有用な材料には、ポリマー、誘電体、金属、または半導体などの材料が含まれるが、それらには限定されない。パターン形成においては、従来の方法には、シャドーマスクの使用が含まれていた。本発明の一実施形態では、マスクレス集積化方式が使用され、レーザベースの方法とリソグラフィベースの方法の両方またはそのいずれかが含まれる。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、工場モデルの例には、Si−IC(200ミリメートルまたは300ミリメートルの基板)ならびにシャドーマスクベースの集積化とマスクレスベースの集積化のいずれかまたは両方におけるインラインプラットフォームが含まれる。一実施形態では、シャドーマスクレスベースの最適化されたシリコン集積回路のプラットフォームの各機能は、エクスシトゥリソグラフィまたはレーザベースの位置合わせおよびパターン形成技術を使用し(たとえば、シャドーマスクを使用するインシトゥパターン形成に潜在的に存在する複雑さおよび位置合わせミスを排除する)、集積化された1つまたは複数のリチウムチャンバ、および独自の集積化法を使用すると、空気に影響されやすい材料層(たとえば、カソード層およびアノード層)についての不活性環境への要求事項がなくなるか、または少なくとも最低限に抑えられる。
【0017】
本発明の一態様では、マスク集積化用の工場モデルが提供される。
図3には、本発明の一実施形態による、マスクプロセスを使用する200ミリメートルの薄膜電池の製造工場のブロック図が示してある。
【0018】
図3を参照すると、薄膜電池を製造するための工場300は、金属層または半導体層を堆積させるための第1のプロセスツール302と、活性層を堆積させるための第2のプロセスツール304と、急速熱処理のための第3のプロセスツール306と、誘電体層を堆積させるための第4のプロセスツール308と、反応性イオンエッチングを実行するための第5のプロセスツール310と、薄膜電池用の特殊層を堆積させるための第6のプロセスツール312とを含む。本発明の一実施形態によれば、
図3に示すように、第6のプロセスツール312は、リチウム層(たとえば、リチウムアノード層)と保護コーティング(たとえば、ポリマー層)の両方の同じプロセスツールでの堆積のために構成される。この図において、様々なツール上にグローブボックスが配置されるか、配置されないかは、所与のツールの結果として生じる層またはプロセスにより、「上部」表面が、空気に対して安定になるか、空気の影響を受けやすくなるかのいずれかであるという仮定に基づいてもよい。したがって、集積化方式(デバイスのパターン形成)により、所与のツールで処理した後の層または上部の表面の性質が変わる場合に、配置を変更することができる。一実施形態では、ツールチャンバもしくはSMFモジュールのうちの1つまたは複数を、
図3に示すツールのうちの1つまたは複数向けに、真空搬送モジュール(VTM)で代用してもよいことを理解されたい。
【0019】
本発明の一態様では、アノード材料とカソード材料の両方にオンボードのリチウムチャンバおよび改善された集積化方式を使用する影響に取り組む。
図4には、リチオ化されたカソードおよびリチウムアノードを有するセル用の従来方法による、薄膜電池を製造するための集積化方式での作業を表す流れ
図400が示してある。流れ
図400の作業402を参照すると、薄膜電池の製造プロセスは、集電装置層のパターン形成された堆積を含む。流れ
図400の作業404を参照すると、薄膜電池の製造プロセスは、カソード層のパターン形成された堆積を含む。流れ
図400の作業406を参照すると、薄膜電池の製造プロセスは、カソード層のアニール処理を含む(任意選択)。流れ
図400の作業408を参照すると、薄膜電池の製造プロセスは、電解質層のパターン形成された堆積を含む。流れ
図400の作業410を参照すると、薄膜電池の製造プロセスは、アノードのパターン形成された堆積を含む。また、流れ
図400の作業412を参照すると、薄膜電池の製造プロセスは、保護コーティング層の堆積を含む。実際の薄膜電池スタックの要求事項に応じて、上記作業に続いて、堆積後のパターン形成を実行することもできる。
【0020】
具体的な実施形態では、各堆積プロセスの合間にカソード層を環境空気に曝すことなく、カソード層上への電解質層の堆積が後に続いて実行される。
図5には、本発明の一実施形態による、薄膜電池を製造するための集積化方式での作業を表す流れ
図500が示してある。流れ
図500の作業502を参照すると、薄膜電池の製造プロセスは、カソード層の堆積を含む。任意選択の作業503aを参照すると、一実施形態では、リチウムを含んでいてもいなくてもよい基本的なカソード材料が堆積した後に、カソード層がリチオ化される。任意選択の作業503bを参照すると、一実施形態では、たとえばカソード層を加熱することによってカソード層がアニール処理される。具体的な一実施形態では、リチウムを含んでいてもいなくてもよい基本的なカソード材料が堆積した後にカソード層がリチオ化され、続いて、たとえばカソード層を加熱することによってカソード層がアニール処理される。一実施形態では、ステップ503aおよび503bの順序を逆にすることができる。流れ
図500の作業504を参照すると、次いで、カソード層を環境空気状態に曝すことなくカソード層上に電解質層が形成される。流れ
図500の作業506を参照すると、マスク作業を含む第2の電解質層堆積作業が実行される。上記各層が堆積する基板が環境空気に曝される場合、電解質層はカソード層を保護する。
【0021】
他の具体的な実施形態では、各堆積プロセスの合間にアノード層を環境空気に曝すことなく、金属層、誘電体層、誘電体有機複合体層、または有機層のアノード層上への堆積が後に続いて実行される。
図6には、本発明の一実施形態による、薄膜電池を製造するための集積化方式での作業を表す流れ
図600が示してある。流れ
図600の作業602を参照すると、薄膜電池の製造プロセスは、アノード層の堆積を含む。任意選択の作業603aを参照すると、一実施形態では、リチウムを含んでいてもいなくてもよい基本的なアノード材料が堆積した後に、アノード層がリチオ化される。任意選択の作業603bを参照すると、一実施形態では、たとえばアノード層を加熱することによってアノード層がアニール処理される。具体的な一実施形態では、リチウムを含んでいてもいなくてもよい基本的なアノード材料が堆積した後にアノード層がリチオ化され、続いて、たとえばアノード層を加熱することによってアノード層がアニール処理される。流れ
図600の作業604を参照すると、次いで、アノード層を環境空気状態に曝すことなくアノード層上に最初の保護コーティング層が形成される。流れ
図600の作業606を参照すると、マスク作業を含む第2のコーティング層堆積作業が実行される。上記各層が堆積する基板が環境空気に曝される場合、最初の保護コーティング層はアノード層を保護する。
【0022】
図7には、本発明の一実施形態による、リチウムアノードの組込みおよびカソードのリチオ化を含む薄膜電池の方法に適している、処理装置の従来構成に対する200ミリメートルのクラスタツールの構成が示してある。
図7を参照すると、クラスタツール702は、エクスシトゥ(グローブボックスへの)マスクアライメントを伴うプロセスの流れに対応するように構成される。従来のツール構成704も図示してある。一実施形態では、クラスタツール702は、前述の通り追加の保護堆積作業に対応するための追加チャンバを有し、グローブボックス内でのアライメントを必要とする。一実施形態では、クラスタツール702は、シャワーヘッドベース(外部貯蔵器を有する)または内部貯蔵器ベースの直接リチウム蒸発器706を含む。具体的な一実施形態では、オンボードのリチウム堆積チャンバ706をクラスタツール702に組み込むことにより、ツールからツールへのエクスシトゥ搬送の必要性がなくなる。他の実施形態では、クラスタツール702は、リチウムスパッタリングチャンバなどの高リチウム堆積速度のチャンバを含むが、それには限定されない。具体的な一実施形態では、高リチウム堆積速度のチャンバは、リチウムターゲットのスパッタリングを実行するためのアルゴンガス用の供給源ポイントを含む。一実施形態では、クラスタツール702は、
図7に示すような急速熱アニール(RTAチャンバ)などのアニール処理チャンバ705を備える。
【0023】
図8には、本発明の一実施形態による、合金アノードの形成を含む薄膜電池の方法に適している、処理装置の従来構成に対する200ミリメートルのクラスタツールの構成が示してある。
図8を参照すると、クラスタツール802は、エクスシトゥマスクアライメントを伴うプロセスの流れに対応するように構成される。従来のツール構成804も図示してある。一実施形態では、クラスタツール802は、前述の通り追加の保護堆積作業に対応するための追加チャンバを有する。一実施形態では、オンボードのリチウムチャンバ806は、シリコンリチウムシリコンまたはリチウムシリコン(シリコンオントップ)タイプの堆積を可能にする。一実施形態では、クラスタツール802は、
図8に示すような急速熱アニール(RTAチャンバ)などのアニール処理チャンバ805を含む。この例は、200ミリメートルのSi−ICプラットフォームおよびチャンバで示してあるが、同じ考え方を300ミリメートルおよびインラインのツールにまで拡張することができる。
【0024】
本発明の他の一態様では、最適化された薄膜電池工場が提供される。例として200ミリメートルのツールセットが示してあるが、このような手法は300ミリメートルのツールセットで容易に実施できることを理解されたい
図9には、本発明の一実施形態による、最適化されたマスクプロセスを使用する200ミリメートルの薄膜電池の製造工場のブロック図が示してある。
【0025】
図9を参照すると、最適化されたマスクプロセスを使用して薄膜電池を製造するための工場900は、金属層または半導体層を堆積させるための第1のプロセスツール902を含む。本発明の一実施形態によれば、第1のプロセスツール902はリチウムチャンバ904を含む。一実施形態では、第1のプロセスツール902は、マスクアライナ906と連動する。工場900はまた、活性層を堆積させるための第2のプロセスツール908を含む。本発明の一実施形態によれば、
図9に示すように、第2のプロセスツール908は、1つまたは複数のカソード堆積チャンバと、金属堆積チャンバと、1つまたは複数の電解質堆積チャンバと、リチウム堆積チャンバとを含む。工場900はまた、急速熱処理用の第3のプロセスツール910と、誘電体層を堆積させるための第4のプロセスツール912と、反応性イオンエッチングを実行するための第5のプロセスツール914とを含む。本発明の一実施形態によれば、工場900はまた、薄膜電池用の特殊層を堆積させるための第6のプロセスツール916を含む。本発明の一実施形態によれば、
図9に示すように、第6のプロセスツール916は、ポリマー層の堆積のために構成される。さらに、第1のツールセット902および第2のツールセット908は、それぞれ金属層/半導体層および活性層向けであり、
図7および
図8について説明してあるように、オンボードのアニールチャンバを取り付けることができる。このようなツールセットにより、複数の材料および集積化方式での薄膜電池の製造が可能になる。
【0026】
本発明の一態様では、マスクレスプロセスの集積化方式向けの、工場のツールセットが提供される。一実施形態では、工場は、クラスタツールプラットフォーム、インラインプラットフォーム、ハイスループットをターゲットにするインラインプラットフォーム、または200mmのインライン組合せプラットフォームなどのプラットフォームを備えるが、それらには限定されない。一実施形態では、200mmインライン組合せプラットフォームにより、製造者は、堆積速度が比較的低いデバイス材料層(たとえば、カソードおよび電解質)のスケーリングが容易になる。具体的な一実施形態では、システムレイアウトは本質的にモジュール式であり、薄膜電池製造向けの集積化堆積およびパターン形成の複数の方式を採用することが可能になる。
【0027】
図10には、本発明の一実施形態による、マスクレス集積化プロセスを使用する200ミリメートルの薄膜電池の製造工場のブロック図が示してある。
【0028】
図10を参照すると、マスクレス集積化プロセスを使用して薄膜電池を製造するための工場1000は、金属層を堆積させるための第1のプロセスツール1002を含む。本発明の一実施形態によれば、第1のプロセスツール1002はリチウムチャンバ1004を含む。工場1000はまた、活性層を堆積させるための第2のプロセスツール1006を含む。本発明の一実施形態によれば、
図10に示すように、第2のプロセスツール1006は、1つまたは複数のカソード堆積チャンバと、1つまたは複数の金属堆積チャンバと、1つまたは複数の電解質堆積チャンバと、リチウム堆積チャンバとを備える。工場1000はまた、急速熱処理用の第3のプロセスツール1008と、誘電体層を堆積させるための第4のプロセスツール1010と、反応性イオンエッチングを実行するための第5のプロセスツール1012とを含む。本発明の一実施形態によれば、工場1000はまた、薄膜電池の製造においてプロセス作業を実行するための、追加のプロセスツール1014、1016、1018、および1020を含む。本発明の一実施形態によれば、
図10に示すように、プロセスツール1014は、ポリマー層の堆積用に構成され、プロセスツール1016は、リソグラフィ露光作業およびレジスト除去作業用に構成され、プロセスツール1018は、エッチング作業および清浄作業用に構成され、プロセスツール1020は、薄膜電池が製造されるウェーハのレーザスクライビング用に構成される。
図9と同様に、第1のツールセット1002および第2のツールセット1006は、それぞれ、金属層および活性層向きであり、オンボードのアニールチャンバを取り付けることができる。集積化方式に応じて、エクスシトゥのパターン形成中に空気の影響を受けやすい層の側壁が曝されてもよいことが可能である。このような場合には、たとえば、グローブボックスで適切なツールとインターフェースし、または各チャンバを集めて直接の搬送を可能にすることによって空気曝露をなくすように、適切なツールを構成することが必要になる。
【0029】
図11には、本発明の一実施形態による、マスクレス集積化プロセスを使用するインライン大面積の塗工機の薄膜電池製造工場のブロック図が示してある。
【0030】
図11を参照すると、マスクレス集積化プロセスを使用して薄膜電池を製造するための工場1100は、活性層を堆積させるための第1のプロセスツール1102を含む。本発明の一実施形態によれば、
図11に示すように、第1のプロセスツール1102は、複数のカソード堆積チャンバ1104と、金属堆積チャンバ1106と、複数の電解質堆積チャンバ1108と、複数のリチウム堆積チャンバ1110とを含む。工場1100はまた、金属層または半導体層を堆積させるための第2のプロセスツール1112を含む。本発明の一実施形態によれば、第2のプロセスツール1112は、複数の金属チャンバ1114を含む。一実施形態では、工場1100はまた、薄膜電池の製造において様々なプロセス作業を実行するための、追加のプロセスツール1116、1118、1120、1122、および1124を含む。一実施形態では、
図11に示すように、プロセスツール1116は、急速熱処理用に構成され、プロセスツール1118は、ポリマー層の堆積用に構成され、プロセスツール1120は、リソグラフィ露光作業およびレジスト除去作業用に構成され、プロセスツール1122は、エッチング作業および清浄作業用に構成され、プロセスツール1124は、薄膜電池が製造されるウェーハのレーザスクライビング用に構成される。堆積ツール用のこの特定の構成は、空気の影響を受けにくいか(アニールの有無に関係なく)、空気の影響を受けやすいかのいずれかであるカソード向けであるが、リチウムアノードの場合はアニールを必要としない。他のタイプのカソード/アノード対およびプロセス集積化の流れについての類似の構成は、同様の考え方を使用して容易に導き出すことができる。
【0031】
図12には、本発明の一実施形態による、マスクレス集積化プロセスを使用する、ハイスループット向けに設計されたインライン大面積の塗工機の薄膜電池製造工場のブロック図が示してある。
【0032】
図12を参照すると、マスクレス集積化プロセスを使用して薄膜電池を製造するための、ハイスループット向けに設計された工場1200は、電解質層およびアノード層を堆積させるための第1のプロセスツール1202を含む。本発明の一実施形態によれば、
図12に示すように、第1のプロセスツール1202は、複数の電解質堆積チャンバ1204と、1つまたは複数の金属堆積チャンバ1206と、1つまたは複数のリチウム堆積チャンバ1208とを含む。工場1200はまた、カソード層を堆積させるための第2のプロセスツール1210を含む。本発明の一実施形態によれば、
図12に示すように、第2のプロセスツール1210は、複数のカソード堆積チャンバ1212を含む。工場1200はまた、金属層または半導体層を堆積させるための第3のプロセスツール1214を含む。本発明の一実施形態によれば、第3のプロセスツール1214は、複数の金属チャンバ1216および複数の半導体チャンバ1218を含む。一実施形態では、工場1200はまた、薄膜電池の製造において様々なプロセス作業を実行するための、追加のプロセスツール1218、1220、1222、1224、1226、および1228を含む。一実施形態では、
図12に示すように、プロセスツール1218は、急速熱処理用に構成され、プロセスツール1220は、ポリマー層の堆積用に構成され、プロセスツール1222は、リソグラフィ露光作業およびレジスト除去作業用に構成され、プロセスツール1224は、エッチング作業および清浄作業用に構成され、プロセスツール1226は、レーザアブレーション用に構成され、プロセスツール1228は、誘電体層の堆積用に構成される。この特定のシステムは、LiCoO
2−Liセル用にセットアップしてもよい。他のタイプのカソード/アノード対およびプロセス集積化の流れについての類似の構成は、同様の考え方を使用して容易に導き出すことができる。
【0033】
図13には、本発明の一実施形態による、200ミリメートルの薄膜電池の製造工場とインライン大面積の塗工機の薄膜電池製造工場とを組み合わせたブロック図が示してある。この場合、インラインツールは、200ミリメートルのツールに適合した複数の基板を処理することになる。
【0034】
図13を参照すると、薄膜電池を製造するための工場1300は、金属層または半導体層を堆積させるための第1のプロセスツール1302を備える。本発明の一実施形態によれば、第1のプロセスツール1302はリチウムチャンバ1304を備える。
図7および
図8に示すように、第1のプロセスツール1302には、オンボードのアニールチャンバを取り付けることができる。工場1300はまた、活性層を堆積させるための第2のインラインプロセスツール1306を含む。本発明の一実施形態によれば、
図13に示すように、第2のプロセスツール1306は、複数のカソード堆積チャンバ1308と、1つまたは複数の金属堆積チャンバ1310と、複数の電解質堆積チャンバ1312と、1つまたは複数のリチウム堆積チャンバ1314とを含む。工場1300はまた、急速熱処理用の第3のプロセスツール1316と、誘電体層を堆積させるための第4のプロセスツール1318と、反応性イオンエッチングを実行するための第5のプロセスツール1320とを含む。本発明の一実施形態によれば、工場1300はまた、薄膜電池の製造においてプロセス作業を実行するための、追加のプロセスツール1322、1324、1326、および1328を備える。本発明の一実施形態によれば、
図13に示すように、プロセスツール1322は、ポリマー層の堆積用に構成され、プロセスツール1324は、リソグラフィ露光作業およびレジスト除去作業用に構成され、プロセスツール1326は、清浄作業用に構成され、プロセスツール1328は、薄膜電池が製造されるウェーハのレーザスクライビング用に構成される。
【0035】
本発明の他の一態様では、シャドーマスクベースの集積化方式向けのインライン工場モデルが提供される。一実施形態では、マスクのアライメントおよび管理は、インシトゥで実行される。一実施形態では、ツールセットは、例示的なプロセス集積化方式に基づいており、集積化の流れの中での任意の変更に容易に適応することができる。
図14には、本発明の一実施形態による、インシトゥマスク管理を含むマスク集積化を用いて薄膜電池を製造するための大量製造用のツールセットのブロック図が示してある。
【0036】
図14を参照すると、インシトゥのマスク管理を含むマスク集積化を用いて薄膜電池を製造するための工場1400は、活性層、金属、および半導体を堆積させるための結合されたプロセスツールを有するシステム1402を含む。本発明の一実施形態によれば、システム1402は、金属層および誘電体層を堆積させるための第1のプロセスツール1404と、半導体層を堆積させるための第2のプロセスツール1406と、電解質層を堆積させるための第3のプロセスツール1408と、カソード層を堆積させるための第4のプロセスツール1410と、金属層を堆積させるための第5のプロセスツール1412とを含む。工場1400はまた、ポリマーを堆積させるためのシステム1414と、保護コーティングを形成するための結合されたプロセスツールを有するシステム1416とを含む。本発明の一実施形態によれば、システム1416は、保護コーティングの堆積およびパターン形成のためのシステムである。この特定の構成は、2つの異なるマスク作業を伴う、複数の層と材料に対応するシステムを示す。したがって、3つの集積モジュール1418、1420、および1422は、パターン形成のためのエッチングプロセス用の誘電体層や金属層なども、一般材料と特定材料の組合せに使用することができる。同様に、マスク管理システムのユニットが
図14に示してある。たとえば、1450は、回転アライメントモジュールであり、1452は、対応するチャンバをベントアップすることなく再生し、再投入するための、別々のマスク出し/入れポートを有するマスク格納領域である。
【0037】
本発明の他の一態様では、標準のリチウム蒸発ツールを有する工場モデルが提供される。
図15には、本発明の一実施形態による、標準のリチウム蒸発ツールを使用する200ミリメートルの薄膜電池の製造工場のブロック図が示してある。この構成は、空気の影響を受けやすいカソード材料を降り扱うためであってもよい。
【0038】
図15を参照すると、薄膜電池を製造するための工場1500は、金属層または半導体層を堆積させて薄膜電池用の接点を形成するための第1のプロセスツール1502を含む。工場1500はまた、カソード層、電解質層、およびリチウムを堆積させるための第2のプロセスツール1504を含む。第2のプロセスツール1504は、カソード層の堆積のための第1のクラスタツール1550と、電解質層の堆積のための第2のクラスタツール1552とを。一実施含む形態では、
図15に示すように、第1のクラスタツール1550には、インシトゥアニール処理用の熱処理チャンバ1554が設けられているが、リチウム層またはリチウム含有層を堆積させるためのチャンバは設けられていない。代わりに、本発明の一実施形態によれば、第2のプロセスツール1504は、1つまたは複数のグローブボックス(GB)が設けられた標準のリチウム蒸発ツール1556を含んでおり、このグローブボックスは、標準のリチウム蒸発ツール1556を第1のクラスタツール1550および第2のクラスタツール1552に結合する。
【0039】
やはり
図15を参照すると、工場1500はまた、急速熱処理用の第3のプロセスツール1506と、プラズマ促進物理気相堆積(PECVD)によって各層を堆積させるための第4のプロセスツール1508と、反応性イオンエッチングを実行するための第5のプロセスツール1510と、ポリマー層など薄膜電池用の特殊層を堆積させるための第6のプロセスツール1512とを含む。一実施形態では、
図15に示すように、第4のプロセスツール1508は、特殊プロセスで必要になるグローブボックス(GB)に結合されている。
【0040】
図16には、本発明の一実施形態による、単一マスク集積化プロセスを使用する、ハイスループット向けに設計されたインライン大面積の塗工機の薄膜電池製造工場のブロック図が示してある。
【0041】
図16を参照すると、単一マスク集積化プロセスを使用して薄膜電池を製造するための、ハイスループット向けに設計された工場1600は、電解質層およびリチウムベースの層を堆積させるための第1のプロセスツール1602を含む。本発明の一実施形態によれば、
図16に示すように、第1のプロセスツール1602は、複数の電解質堆積チャンバ1604と、1つまたは複数の金属堆積チャンバ1606と、1つまたは複数のリチウム堆積チャンバ1608とを含む。工場1600はまた、カソード層を堆積させるための第2のプロセスツール1610を含む本発明の一実施形態によれば、
図16に示すように、第2のプロセスツール1610は、複数のカソード堆積チャンバ1612を含む。工場1600はまた、薄膜電池の接点を形成するのに使用するための金属層または半導体層を堆積させるための第3のプロセスツール1614を含む。本発明の一実施形態によれば、
図16に示すように、第3のプロセスツール1614は、チタニウム(Ti)、アルミニウム(Al)、金/白金(Au/Pt)の堆積チャンバなど、複数の金属チャンバ1616を含む。一実施形態では、工場1600はまた、薄膜電池の製造において様々なプロセス作業を実行するための、追加のひとまとまりのプロセスツール1618、1620、1622、1624、および1626を含む。一実施形態では、
図16に示すように、ひとまとまりの周辺ツールには、急速熱処理用に構成されたプロセスツール1618と、ポリマー層の堆積用に構成されたプロセスツール1620と、エッチング作業、清浄作業、および除去作業用に構成されたプロセスツール1622とが含まれる。一実施形態では、
図16に示すように、ひとまとまりのパターン形成ツールには、リソグラフィ露光用に構成されたプロセスツール1624と、レーザスクライビング用に構成されたプロセスツール1626とが含まれる。本発明の一実施形態によれば、工場1600を使用して、マスクレス集積化方式とマスク集積化方式との混成方式である集積化プロセスを実行することができる。この特定の工場は、LiCoO
2−Liセル用でもよい。他のタイプのカソード/アノード対およびプロセス集積化の流れについての類似の構成は、同様の考え方を使用して導き出すことができる。
【0042】
本発明の他の態様では、ハイブリッドクラスタ構成およびインライン構成に基づくレイアウトが考慮されている。一実施形態では、ハイブリッド構成は、様々に異なる堆積プラットフォームの使用およびその組合せを説明する。一例として、
図17には、本発明の一実施形態による、標準のリチウム蒸発ツールを使用する200ミリメートルの薄膜電池のハイブリッド製造工場のブロック図が示してある。
【0043】
図17を参照すると、薄膜電池を製造するための工場1700は、金属を堆積させて薄膜電池用の接点を形成するための第1のプロセスツール1702を含む。あるいは、第1のプロセスツール1702は、たとえば、合金ベースのアノード形成用など、半導体層の堆積用である。工場1700はまた、カソード層、電解質層、およびリチウムを堆積させるための第2のプロセスツール1704を含む。第2のプロセスツール1704は、カソード層の堆積のためのクラスタツール1750と、電解質層の堆積のためのインラインツール1752とを備える。しかし、他の実施形態では、電解質層または他の層の堆積のためにクラスタツール1750を使用してもよく、カソード層または他の層の堆積のためにインラインツール1752を使用してもよいことを理解されたい。一実施形態では、
図17に示すように、クラスタツール1750には、インシトゥアニール処理用の熱処理チャンバ1754が設けられているが、リチウム層またはリチウム含有層を堆積させるためのチャンバは設けられていない。代わりに、本発明の一実施形態によれば、第2のプロセスツール1704は、1つまたは複数のグローブボックス(GB)が設けられた標準のリチウム蒸発ツール1756を含んでおり、このグローブボックスは、標準のリチウム蒸発ツール1756をクラスタツール1750およびインラインツール1752に結合する。
【0044】
やはり
図17を参照すると、工場1700はまた、急速熱処理用の第3のプロセスツール1706と、プラズマ促進物理気相堆積(PECVD)によって各層を堆積させるための第4のプロセスツール1708と、反応性イオンエッチングを実行するための第5のプロセスツール1710と、ポリマー層など薄膜電池用の特殊層を堆積させるための第6のプロセスツール1712とを含む。一実施形態では、
図17に示すように、第4のプロセスツール1708は、特殊プロセスで必要になるグローブボックス(GB)に結合されている。一実施形態では、グローブボックスを受ける領域は、大面積の搬送装置に対応するサイズになっている。
【0045】
ハイブリッドの構成またはレイアウトは、モジュール式の基板の使用に対応してもよい。たとえば、一実施形態では、複数の基板の搬送装置とともに、スループットが比較的低い作業での大面積の塗工機を使用してもよい。一実施形態では、モジュール式の基板は、2枚以上のこうした基板(たとえば、複数の200ミリメートル基板)を同時に保持するように構成された比較的大きい搬送装置内に収められる基板である。一実施形態では、ハイブリッド構成では、ハイスループット作業用に、比較的小面積のツール(たとえば、斜めも含む上下横方向などに堆積する、Si−ICの比較的小さいインラインなど)の使用が含まれる。一実施形態では、大面積の塗工機にスケーリングする必要もなく、したがって所有コストが低減する。一実施形態では、インラインツールは、部分的にはセラミックターゲットからの粒子不良を低減するために実装される。ハイブリッドプラットフォームの例示的な実施形態には、それだけには限らないが、堆積プラットフォームと処理プラットフォームの組合せ、比較的遅いプロセスとモジュール式の基板のスループットの必要性のバランス、またはセラミックターゲットからの粒子不良の低減が含まれる。したがって、一実施形態では、ハイブリッド構成は、様々なツールの任意の組合せを含んでもよく、たとえば、それによって製造および所有コストが最適化する。
【0046】
グローブボックス構成は、ハイブリッドレイアウトに適したように設計してもよい。たとえば、
図18には、本発明の一実施形態による、ハイブリッド薄膜電池製造レイアウトで使用するためのグローブボックスが示してある。
図18を参照すると、装置1800は、第1のインラインツール1804および第2のインラインツール1806に結合されたグローブボックス1802を含む。一実施形態では、
図18に示すように、第1のインラインツール1804は、カソード層を堆積するためのツールであり、第2のインラインツール1806は電解質層を堆積するためのツールである。一実施形態では、やはり
図18に示すように、アライナ1808は、装置1800と連動している。一実施形態では、グローブボックス1802は、大面積の基板搬送装置に対処するように設計される。一実施形態では、アライナ1808は、シャドーマスクベースの集積化方式に対応するよう示してある。したがって、一実施形態では、モジュール式の基板は、単一マスクを大面積の搬送装置に置いて、個別に位置合わせされた複数の単一基板を配置することによって搬送される。
【0047】
インラインツールとクラスタツールの組合せを、薄膜電池製造向けに構成してもよい。たとえば、
図19には、本発明の一実施形態による、薄膜電池製造に適したハイブリッド施設レイアウトが示してある。
図19を参照すると、工場レイアウト1900は、電解質堆積用の第1のインラインツール1902と、カソード層堆積用の第2のインラインツール1904を含む。第1のクラスタツール1906は、接点層の形成用に含まれ、第2のクラスタツール1908は、プラズマ促進化学気相堆積(PECVD)用に備えられ、第3のクラスタツール1910は、反応性イオンエッチング(RIE)用に含まれる。リチウム堆積装置1912も備えられる。
図19に示すように、レーザスクライビングおよびリソグラフィ用の作業所(station)1914も含まれてよい。
【0048】
したがって、本発明の1つまたは複数の実施形態では、リチウムベースの薄膜電池製造用のハイブリッド工場レイアウトが提供される。ハイブリッド工場レイアウトは、活性層を堆積させるためのプロセスツールを含む。この処理ツールは、1つまたは複数の活性層の堆積のためのクラスタツールを含む。このプロセスツールはまた、1つまたは複数の活性層、または、1つもしくは複数の他の層の堆積のためのインラインツールも含む。プロセスツールはまた、リチウム蒸発ツールをクラスタツールとインラインツールに結合する1つまたは複数のグローブボックスを備える、リチウム蒸発ツールを含む。上記は、代表的な実施形態であり、本発明の趣旨および範囲を限定することは決して意図しない。
【0049】
このように、薄膜電池製造の方法および薄膜電池製造用のハイブリッド工場を開示してきた。本発明の一実施形態によれば、方法は、薄膜電池を製造するための作業を含む。本発明の他の実施形態によれば、工場は、薄膜電池を製造するための1つまたは複数のツールセットを備える。