特許第6407811号(P6407811)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6407811
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】撮像装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/64 20060101AFI20181004BHJP
【FI】
   G01N21/64 Z
【請求項の数】14
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-136628(P2015-136628)
(22)【出願日】2015年7月8日
(65)【公開番号】特開2017-20822(P2017-20822A)
(43)【公開日】2017年1月26日
【審査請求日】2017年8月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 康武
(72)【発明者】
【氏名】石川 弘美
(72)【発明者】
【氏名】大田 恭義
【審査官】 吉田 将志
(56)【参考文献】
【文献】 特表平02−503961(JP,A)
【文献】 米国特許第04740803(US,A)
【文献】 特開2012−073298(JP,A)
【文献】 特開平05−223738(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0024968(US,A1)
【文献】 特開2008−017486(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0007804(US,A1)
【文献】 特開平10−206756(JP,A)
【文献】 特開2008−176257(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0195078(US,A1)
【文献】 特開2002−168787(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0066866(US,A1)
【文献】 特開2007−171181(JP,A)
【文献】 特開平10−133003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察対象を保持する観察対象保持部と、
前記観察対象から発せられた光を検出する検出素子が2次元状に配列された検出部と、
複数の屈折率分布型レンズがライン状に配列されたレンズアレイが、前記屈折率分布型レンズの配列方向に直交する方向に複数配列され、かつ前記レンズアレイ間に前記光を遮光するレンズ保持部を有するレンズ部であって、前記観察対象保持部と前記検出部との間に配置されたレンズ部と、
前記レンズ部または前記観察対象保持部および前記検出部を前記直交する方向に移動させる移動機構と、
該移動機構を制御する移動機構制御部とを備え、
該移動機構制御部が、前記移動機構を制御することによって、前記レンズ部または前記観察対象保持部および前記検出部を第1の位置から第2の位置に移動させ、
前記第2の位置が、前記レンズ部が前記第1の位置に配置されているときに前記レンズ保持部によって遮光される前記検出部の検出面に対向する位置に、前記移動後の前記レンズ部の前記レンズアレイが配置される位置であることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第1の位置から前記第2の位置までの移動距離が、前記直交する方向に隣接して配列された前記レンズアレイの中心軸間の距離よりも短い距離である請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第2の位置が、前記直交する方向について複数設定されている請求項1または2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第1の位置で前記検出部によって検出された第1の画像と前記第2の位置で前記検出部によって検出された第2の画像とを重ね合わせて1枚の画像を形成する画像形成部を備えた請求項1から3いずれか1項記載の撮像装置。
【請求項5】
前記移動機構制御部が、予め設定された1回の露光時間の間に、前記レンズ部または前記観察対象保持部および前記検出部を前記第1の位置から前記第2の位置に移動させる請求項1から3いずれか1項記載の撮像装置。
【請求項6】
前記移動機構制御部が、前記1回の露光時間の間に、前記レンズ部または前記観察対象保持部および前記検出部を、前記第1の位置と前記第2の位置との間で往復して移動させる請求項5記載の撮像装置。
【請求項7】
前記観察対象に対して励起光を照射する励起光照射部を備え、
前記検出部が、前記励起光の照射によって前記観察対象から発せられた蛍光を検出する請求項1から6いずれか1項記載の撮像装置。
【請求項8】
前記励起光照射部と前記観察対象保持部との間に設けられ、前記励起光の中心波長を含む予め設定された波長帯域を透過し、該波長帯域以外の波長を抑制する励起光フィルタを備えた請求項7記載の撮像装置。
【請求項9】
前記観察対象保持部と前記検出部との間に設けられ、前記励起光の前記検出部への入射を抑制する励起光カットフィルタを備えた請求項7または8記載の撮像装置。
【請求項10】
前記励起光照射部と前記観察対象との間に設けられ、前記励起光を遮光する遮光部材に対して前記レンズアレイの中心軸間隔に対応する間隔で開口が設けられたシャッター部を備えた請求項7から9いずれか1項記載の撮像装置。
【請求項11】
前記シャッター部を前記直交する方向に移動させるシャッター移動機構を備え、
前記移動機構制御部が、前記シャッター移動機構を制御することによって、前記シャッター部を前記レンズ部の移動に同期させて移動させる請求項10記載の撮像装置。
【請求項12】
前記レンズ部の移動に同期させて前記シャッター部の開口の位置を切り替えるシャッター制御部を備えた請求項10記載の撮像装置。
【請求項13】
前記励起光照射部が、前記レンズ部または前記観察対象保持部および前記検出部の移動の間、前記励起光の照射を停止する請求項7から12いずれか1項記載の撮像装置。
【請求項14】
観察対象保持部によって保持された観察対象から発せられた光を、検出素子が2次元状に配列された検出部によって検出する撮像方法であって、
複数の屈折率分布型レンズがライン状に配列されたレンズアレイが、前記屈折率分布型レンズの配列方向に直交する方向に複数配列され、かつ前記レンズアレイ間に前記光を遮光するレンズ保持部を有するレンズ部であって、前記観察対象保持部と前記検出部との間に配置されたレンズ部または前記観察対象保持部および前記検出部を前記直交する方向に移動させることによって第1の位置から第2の位置に移動させ、
前記第2の位置が、前記レンズ部が前記第1の位置に配置されているときに前記レンズ保持部に遮光される前記検出部の検出面に対向する位置に、前記移動後の前記レンズ部の前記レンズアレイが配置される位置であることを特徴とする撮像方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察対象保持部によって保持された観察対象から発せられた光を、検出素子が2次元状に配列された検出部によって検出する撮像装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、観察対象から発せられた化学発光または蛍光を検出素子によって光電的に検出し、その検出信号に基づいて画像を表示させることが行われている。化学発光や蛍光を検出する方法としては、たとえば検出素子を1次元状に配列した1次元検出部を、検出素子の配列方向に直交する方向に移動させることによって観察対象を走査する方法があり、密着イメージセンサなどが使用可能である。
【0003】
しかしながら、上記のように1次元検出部を走査することによって化学発光を検出した場合、1次元検出部による走査開始から終了までの間に化学発光が褪色してしまう場合があり、画像にムラができてしまい好ましくない。
【0004】
そこで、上述したような1次元検出部ではなく、検出素子を2次元状に配列した2次元検出部によって化学発光または蛍光を検出することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平01−094775号公報
【特許文献2】特開2010−187214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したような2次元検出部を用いた場合、2次元検出部の保護と画像のボケが問題となる。具体的には、たとえば2次元検出部の検出面に対して観察対象を直接設置して観察対象から発せられた光を検出した場合、2次元検出部の検出面と観察対象との接触によって検出面に傷がついてしまうおそれがある。
【0007】
そこで、2次元検出部と観察対象との間に、観察対象を保持し、かつ2次元検出部の検出面を保護する保護部材を設けることが考えられる。しかしながら、このような保護部材を設けた場合、観察対象から発せられた光が保護部材を介して2次元検出部に到達するため、2次元検出部によって検出される画像がボケてしまう問題がある。
【0008】
観察対象と2次元検出部との距離を離し、かつ2次元検出部によって検出される画像のボケを防止する方法としては、たとえば観察対象と2次元検出部との間に、ファイバーオプティクスまたは屈折率分布型レンズを配列したレンズアレイなどの結像光学系を設けることが考えられる。
【0009】
しかしながら、ファイバーオプティクスは非常に高価であるのでコストアップとなる問題がある。これに対し、屈折率分布型レンズを配列したレンズアレイはファイバーオプティクスほど高価ではないので、コストアップの影響は小さい。
【0010】
しかしながら、上述したように2次元検出部によって観察対象から発せられた光を検出する場合、屈折率分布型レンズを2次元状に配列したものが必要となるが、一般的に市販されているレンズアレイとしてはライン状のものしかない。
【0011】
したがって、ライン状のレンズアレイを長さ方向に直交する方向に複数配列する必要があるが、一般的に市販されているレンズアレイにおいては、屈折率分布型レンズの列を挟んで保持するレンズ保持部が設けられており、このレンズ保持部は黒色の樹脂などから形成されるため光を透過することができない。すなわち、このようなレンズ保持部を有するレンズアレイを複数配列した場合、レンズ保持部に対応する観察対象の範囲から発せられた光はレンズ保持部によって遮光されてしまい、2次元検出部によって検出することができない問題がある。
【0012】
なお、特許文献1および特許文献2では、屈折率分布型レンズを2次元状に配列したものを用いて観察対象の画像を検出する装置が提案されているが、上述したようなレンズ保持部による光の遮光を解決する方法については何も提案されていない。
【0013】
本発明は、上記の問題に鑑み、レンズ保持部に対応する観察対象の範囲から発せられた光も検出することができ、画像ボケのない適切な画像を撮像することができる撮像装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の撮像装置は、観察対象を保持する観察対象保持部と、観察対象から発せられた光を検出する検出素子が2次元状に配列された検出部と、複数の屈折率分布型レンズがライン状に配列されたレンズアレイが、屈折率分布型レンズの配列方向に直交する方向に複数配列され、かつレンズアレイ間に光を遮光するレンズ保持部を有するレンズ部であって、観察対象保持部と検出部との間に配置されたレンズ部と、レンズ部または観察対象保持部および検出部を上記直交する方向に移動させる移動機構と、その移動機構を制御する移動機構制御部とを備え、移動機構制御部が、移動機構を制御することによって、レンズ部または観察対象保持部および検出部を第1の位置から第2の位置に移動させ、第2の位置が、レンズ部が第1の位置に配置されているときにレンズ保持部によって遮光される検出部の検出面に対向する位置に、移動後のレンズ部のレンズアレイが配置される位置であることを特徴とする。
【0015】
また、上記本発明の撮像装置において、第1の位置から第2の位置までの移動距離は、上記直交する方向に隣接して配列されたレンズアレイの中心軸間の距離よりも短い距離とすることが好ましい。
【0016】
また、上記本発明の撮像装置において、第2の位置は、上記直交する方向について複数設定することができる。
【0017】
また、上記本発明の撮像装置において、第1の位置で検出部によって検出された第1の画像と第2の位置で検出部によって検出された第2の画像とを重ね合わせて1枚の画像を形成する画像形成部を備えることができる。
【0018】
また、上記本発明の撮像装置において、移動機構制御部は、予め設定された1回の露光時間の間に、レンズ部または観察対象保持部および検出部を第1の位置から第2の位置に移動させることができる。
【0019】
また、上記本発明の撮像装置において、移動機構制御部は、1回の露光時間の間に、レンズ部または観察対象保持部および検出部を、第1の位置と第2の位置との間で往復して移動させることができる。
【0020】
また、上記本発明の撮像装置において、観察対象に対して励起光を照射する励起光照射部を備えることができ、検出部は、励起光の照射によって観察対象から発せられた蛍光を検出することができる。
【0021】
また、上記本発明の撮像装置において、励起光照射部と観察対象保持部との間に設けられ、励起光の中心波長を含む予め設定された波長帯域を透過し、その波長帯域以外の波長を抑制する励起光フィルタを備えることができる。
【0022】
また、上記本発明の撮像装置において、観察対象保持部と検出部との間に設けられ、励起光の検出部への入射を抑制する励起光カットフィルタを備えることができる。
【0023】
また、上記本発明の撮像装置において、励起光照射部と観察対象との間に設けられ、励起光を遮光する遮光部材に対してレンズアレイの中心軸間隔に対応する間隔で開口が設けられたシャッター部を備えることができる。
【0024】
また、上記本発明の撮像装置において、シャッター部を上記直交する方向に移動させるシャッター移動機構を備えることができ、移動機構制御部は、シャッター移動機構を制御することによって、シャッター部をレンズ部の移動に同期させて移動させることができる。
【0025】
また、上記本発明の撮像装置において、レンズ部の移動に同期させてシャッター部の開口の位置を切り替えるシャッター制御部を備えることができる。
【0026】
また、上記本発明の撮像装置において、励起光照射部は、レンズ部または観察対象保持部および検出部の移動の間、励起光の照射を停止することができる。
【0027】
本発明の撮像方法は、観察対象保持部によって保持された観察対象から発せられた光を、検出素子が2次元状に配列された検出部によって検出する撮像方法であって、複数の屈折率分布型レンズがライン状に配列されたレンズアレイが、屈折率分布型レンズの配列方向に直交する方向に複数配列され、かつレンズアレイ間に光を遮光するレンズ保持部を有するレンズ部であって、観察対象保持部と検出部との間に配置されたレンズ部または観察対象保持部および検出部を上記直交する方向に移動させることによって第1の位置から第2の位置に移動させ、第2の位置が、レンズ部が第1の位置に配置されているときにレンズ保持部に遮光される検出部の検出面に対向する位置に、移動後のレンズ部のレンズアレイが配置される位置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明の撮像装置および方法によれば、複数の屈折率分布型レンズがライン状に配列されたレンズアレイが、その配列方向に直交する方向に複数配列され、かつレンズアレイ間に光を遮光するレンズ保持部を有するレンズ部を、観察対象保持部と検出部との間に配置する。そして、レンズ部または観察対象保持部および検出部を上記直交する方向に移動させ、第1の位置から第2の位置に移動させる。
【0029】
そして、レンズ部が第1の位置に配置されているときにレンズ保持部に遮光される検出部の検出面に対向する位置に、移動後のレンズ部のレンズアレイが配置される位置に第2の位置を設定するようにしたので、レンズ保持部に対応する観察対象の範囲から発せられた光も検出することができ、画像ボケのない適切な画像を撮像することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の撮像装置の一実施形態を用いた撮像システムにおける撮像装置本体の概略構成を示す図
図2】検出部を模式的に示した斜視図
図3】セルフォック(登録商標)レンズアレイの概略構成を示す斜視図
図4】レンズ部の上面図および移動機構の概略構成を示す図
図5】レンズ部の第1の位置から第2の位置までの移動を説明するための図
図6】第2の位置を複数設定した場合を説明するための図
図7】本発明の撮像装置の一実施形態を用いた撮像システムにおける撮像制御装置の概略構成を示すブロック図
図8】本発明の撮像装置の一実施形態を用いた撮像システムの作用を説明するためのフローチャート
図9】1回の露光時間の間に、レンズ部を第1の位置から第2の位置まで移動させる実施形態を説明するためのフローチャート
図10】観察対象の蛍光を検出する実施形態の概略構成を示す図
図11】観察対象の蛍光を検出するその他の実施形態の概略構成を示す図
図12】輝尽性蛍光体層を含む蛍光体シートから発せられた蛍光を検出する実施形態の概略構成を示す図
図13図12に示す実施形態におけるシャッター部の概略構成を示す平面図
図14】液晶シャッターなどの空間光変調素子でシャッター部を構成した場合の撮像制御装置の概略構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の撮像装置および方法の一実施形態を用いた撮像システムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態の撮像システムは、撮像装置本体とその撮像装置本体を制御する撮像制御装置と備えたものである。図1は、本実施形態の撮像システムにおける撮像装置本体の概略構成を示す図である。
【0032】
本実施形態の撮像装置本体は、図1に示すように、検出部10と、レンズ部20と、観察対象保持部30とを備えている。なお、本実施形態においては、図1に示す検出部10、レンズ部20および観察対象保持部30と、図4に示す移動機構40と、図7に示す移動機構制御部52とから本発明の撮像装置が構成されている。
【0033】
観察対象保持部30は、観察対象Sを保持するものである。具体的には、観察対象保持部30は、観察対象Sから発せられた光に対して透過性を有するガラスまたは樹脂などの材料から形成されたものであり、観察対象Sが設置される設置面を有する平板状に形成されたものである。観察対象Sから発せれる光としては、化学発光および蛍光などがある。
【0034】
検出部10は、観察対象Sから発せられ、観察対象保持部30およびレンズ部20を透過した光を検出する検出素子が2次元状に配列されたものである。図2は、検出部10を模式的に示した斜視図である。検出部10は、図2に示すように、矩形状の検出面を有するものである。具体的には、たとえば、FPD(Flat Panel Detector)、CCD(charge-coupled device)型検出器およびCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)型検出器などを用いることができる。検出部10を構成する各検出素子(画素)のサイズとしては、たとえば50μm〜100μm四方程度のものを用いることができる。検出部10のサイズとしては、たとえば10cm×10cm以上のものを用いることができるが、観察対象Sの大きさなどに応じて適宜変更可能である。
【0035】
レンズ部20は、観察対象保持部30と検出部10との間に配置されたものであり、複数のセルフォック(登録商標、以下、同様)レンズアレイ21(本発明のレンズアレイに相当する)を備えたものである。図3は、セルフォックレンズアレイ21の概略構成を示す斜視図である。セルフォックレンズアレイ21は、図3に示すように、複数のセルフォックレンズ22(本発明の屈折率分布型レンズに相当する)をライン状に配列したものである。セルフォックレンズアレイ21としては、たとえばセルフォックレンズ22のレンズ径が0.1mm〜5mm程度のものを用いることができる。
【0036】
ライン状に配列されたセルフォックレンズ22の両側面には、図3に示すように、セルフォックレンズ22を保持するレンズ保持部23が設けられている。レンズ保持部23は、平板状に形成されたものであり、観察対象Sから発せられる光を遮光する部材から形成されたものである。たとえば、レンズ保持部23は黒色樹脂から形成されるものである。なお、本実施形態においては、セルフォックレンズアレイ21として、セルフォックレンズ22を一列配列したものを用いるようにしたが、これに限らず、セルフォックレンズを2列以上配列したものを上述したレンズ保持部23によって挟んだものを用いるようにしてもよい。
【0037】
レンズ部20は、図3に示すようなセルフォックレンズアレイ21を、そのセルフォックレンズ22の配列方向(図3に示すX方向)に直交する方向(図3に示すY方向)に複数配列したものである。
【0038】
撮像装置本体は、図1に示すように、上述したような検出部10、レンズ部20および観察対象保持部30を、X方向およびY方向に直交するZ方向(セルフォックレンズ22の延伸方向)に所定の間隔を空けて配置したものである。なお、検出部10、レンズ部20および観察対象保持部30の間隔は、セルフォックレンズアレイ21の焦点距離によって設定される。
【0039】
また、撮像装置本体は、図4に示すように、レンズ部20を、セルフォックレンズ22の配列方向に直交する方向(図4に示すY方向)に移動させる移動機構40を備えている。移動機構40は、図4に示すように、支持部材41と、バネ部材42と、カム43とを備えている。バネ部材42の一端が支持部材41に接続され、他端がレンズ部20に接続されている。そして、カム43とレンズ部20のX方向に平行な側面とが接するように配置されており、カム43が回転することによってレンズ部20がY方向に移動するように構成されている。
【0040】
ここで、レンズ部20の移動距離について、図5を参照しながら説明する。
【0041】
移動機構40は、レンズ部20を第1の位置から第2の位置まで移動させるものであり、図5の上図が第1の位置を示しており、図5の下図が第2の位置を示している。第2の位置は、レンズ部20が第1の位置に配置されているときにレンズ保持部23によって遮光される検出部10の検出面に対向する位置に、移動後のレンズ部20のセルフォックレンズアレイ21が配置される位置である。
【0042】
具体的には、本実施形態においては、第1の位置から第2の位置までの移動距離は、Y方向に隣接して配列されたセルフォックレンズアレイ21のY方向についての中心軸間の距離Lの半分の距離L/2に設定されている。なお、本実施形態においては、レンズ保持部23のY方向の長さがセルフォックレンズ22の直径以下であることが好ましいが、セルフォックレンズ22のY方向の視野がレンズ保持部23のY方向の長さよりも広い場合には、レンズ保持部23のY方向の長さがセルフォックレンズ22の直径よりも長くてもよい。
【0043】
また、レンズ保持部23のY方向の長さがセルフォックレンズ22の直径またはY方向の視野よりも長い場合には、第2の位置を複数設定するようにしてもよい。図6は、第2の位置を複数設定した場合の一例を示すものである。なお、図6は、第2の位置として2つの位置を設定した場合を示しており、ここでは、この2つの位置を第3の位置および第4の位置と呼ぶこととする。図6の上図が第1の位置を示しており、図6の中央の図が第3の位置を示しており、図6の下図が第4の位置を示している。第3および第4の位置も、レンズ部20が第1の位置に配置されているときにレンズ保持部23によって遮光される検出部10の検出面に対向する位置に、移動後のレンズ部20のセルフォックレンズアレイ21が配置される位置である。
【0044】
具体的には、本実施形態においては、第1の位置から第3の位置までの移動距離および第3の位置から第4の位置までの移動距離は、Y方向に隣接して配列されたセルフォックレンズアレイ21のY方向についての中心軸間の距離Lの3分の1の距離L/3に設定されている。
【0045】
なお、図6に示す例は、第2の位置として2つの位置を設定した例であるが、レンズ保持部23のY方向の長さとセルフォックレンズ22またはY方向の視野に応じて、第2の位置として3つ以上の位置を設定するようにしてもよい。
【0046】
また、本実施形態では、セルフォックレンズアレイ21として、セルフォックレンズ22が一列に並んだものを用いるようにしたが、たとえばセルフォックレンズアレイ21として、セルフォックレンズ22がY方向に複数列に並んだものを用いる場合にも、レンズ部20の移動距離は、Y方向に隣接して配列されたセルフォックレンズアレイ21のY方向についての中心軸間の距離Lの2分の1や3分に設定するようにすればよい。なお、上述したようにセルフォックレンズアレイ21として、セルフォックレンズ22をY方向に複数列に並んだものを用いる場合、セルフォックレンズアレイ21の中心軸とは、Y方向について両端に配置されたセルフォックレンズ22の列の中心軸間の中央位置のことをいう。
【0047】
また、本実施形態においては、移動機構40を、支持部材41、バネ部材42およびカム43を備えたものとしたが、移動機構40の構成としてはこれに限らず、レンズ部20をY方向に移動させる構成であれば如何なる構成でもよい。たとえばカム43の代わりに、圧電材料などを用いるようにしてもよい。具体的には、カム43の代わりに、圧電材料からなる圧電アクチュエーターをレンズ部20のX方向に平行な側面に対して設け、移動機構制御部52から圧電アクチュエーターに対して駆動電圧を供給することによって圧電アクチュエーターを駆動し、これによりレンズ部20をY方向に移動させるようにしてもよい。
【0048】
図7は、撮像制御装置50の概略構成を示すブロック図である。撮像制御装置50は、撮像装置本体を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)やストレージデバイスを備えたコンピュータなどから構成されるものである。撮像制御装置50は、制御部51と、画像形成部53と、表示制御部54とを備えている。制御部51は、検出部10など撮像装置全体を制御するものであり、特に、移動機構40を制御する移動機構制御部52を備えている。
【0049】
画像形成部53は、第1の位置で検出部10によって検出された第1の画像と第2の位置で検出部10によって検出された第2の画像とを重ね合わせて1枚の画像を形成するものである。
【0050】
表示制御部54は、画像形成部53によって形成された画像を表示装置60に表示させるものである。
【0051】
撮像装置本体には、入力装置70と上述した表示装置60とが接続されている。入力装置70は、キーボードやマウスなどの入力デバイスを備えたものであり、ユーザによる設定入力を受け付けるものである。
【0052】
表示装置60は、液晶ディスプレイなどの表示デバイスから構成されるものであり、画像形成部53によって形成された画像などを表示するものである。なお、表示装置60をタッチパネルで構成し、その画面の押圧による設定入力を可能にすることによって、表示装置60が入力装置を兼ねてもよい。
【0053】
次に、本実施形態の撮像システムの作用について、図8に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0054】
まず、観察対象保持部30上の観察対象Sが設置される(S10)。そして、ユーザが、入力装置70を用いて撮影開始指示を入力することによって撮影が開始される。
【0055】
具体的には、レンズ部20が、第1の位置に設置された状態で検出部10の露光が開始され、レンズ部20のセルフォックレンズアレイ21を透過した光が検出部10によって検出され、予め設定された露光時間経過後に露光を終了して第1の位置での撮影が行われる(S12)。このとき観察対象Sから発せられた光のうちレンズ部20のレンズ保持部23に照射された光はレンズ保持部23によって吸収される。したがって、レンズ保持部23に範囲に対応する検出部10の検出面の範囲では光は検出されない。
【0056】
レンズ部20が第1の位置に設置された状態での撮影によって検出された第1の画像は制御部51からの制御信号に応じて検出部10から読み出され、画像形成部53に記憶される。
【0057】
次に、移動機構制御部52から出力された制御信号に応じて、移動機構40のカム43が回転し、これによりレンズ部20がY方向に移動し、第2の位置まで移動する(S14)。
【0058】
そして、レンズ部20が、第2の位置に設置された状態で検出部10の露光が開始され、レンズ部20のセルフォックレンズアレイ21を透過した光が検出部10によって検出され、予め設定された露光時間経過後に露光を終了し、第2の位置での撮影が行われる(S16)。第2の位置での撮影においても、観察対象Sから発せられた光のうちレンズ部20のレンズ保持部23に照射された光はレンズ保持部23によって吸収され、レンズ保持部23の範囲に対応する検出部10の検出面の範囲では光は検出されない。レンズ部20が第2の位置に設置された状態での撮影によって検出された第2の画像は制御部51からの制御信号に応じて検出部10から読み出され、画像形成部53に記憶される。
【0059】
画像形成部53は、第1の画像における観察対象Sの撮影範囲と第2の画像における観察対象Sの撮影範囲とが交互に並ぶように第1の画像と第2の画像とを重ね合わせることによって、一枚の観察対象Sの全体画像を形成する(S18)。
【0060】
画像形成部53によって形成された全体画像は表示制御部54に出力され、表示制御部54は、観察対象Sの全体画像を表示装置60に表示させる。
【0061】
上記実施形態の撮像システムによれば、複数のセルフォックレンズ22がライン状に配列されたセルフォックレンズアレイ21が複数配列され、かつセルフォックレンズアレイ21間に光を遮光するレンズ保持部23を有するレンズ部20を、観察対象保持部30と検出部10との間に配置し、レンズ部20を第1の位置から第2の位置に移動させるようにしたので、レンズ保持部23に対応する観察対象Sの範囲から発せられた光も検出することができ、画像ボケのない適切な画像を撮像することができる。
【0062】
なお、上記実施形態の撮像システムにおいては、レンズ部20が第1の位置に設置された状態で撮影される第1の画像の露光時間と、第2の位置に設置された状態で撮影される第2の画像の露光時間とを異なる長さとしてもよい。たとえば、化学発光の褪色を考慮して、後に撮影される第2の画像の露光時間を第1の画像の露光時間よりも長くするようにしてもよい。
【0063】
また、上記実施形態の撮像システムにおいては、レンズ部20が第1の位置に設置された状態で撮影された第1の画像と第2の位置に設置された状態で撮影された第2の画像とを重ね合わせて1枚の全体画像を形成して取得するようにしたが、以下、全体画像の別の取得方法を、図9に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0064】
まず、上記実施形態と同様に、観察対象保持部30上の観察対象Sが設置される(S30)。そして、ユーザが、入力装置70を用いて撮影開始指示を入力することによって撮影が開始される。
【0065】
具体的には、レンズ部20が、第1の位置に設置された状態で検出部10の露光が開始され、レンズ部20のセルフォックレンズアレイ21を透過した光が検出部10によって検出される(S32)。
【0066】
次に、上記実施形態のように第1の画像が検出部10から読み出されることなく、移動機構制御部52から出力された制御信号に応じて移動機構40のカム43が回転し、これによりレンズ部20がY方向に移動し、第2の位置まで移動する(S34)。
【0067】
そして、レンズ部20が、第2の位置に設置された状態でセルフォックレンズアレイ21を透過した光が検出部10によって検出され、予め設定された露光時間経過後に露光を終了する(S36)。すなわち、レンズ部20が第1の位置に設置された状態での露光とレンズ部20が第2の位置に設置された状態での露光とを、画像の読出しを行うことなく連続して行う。これにより検出部10によって観察対象Sの全体画像が撮影される。
【0068】
次いで、制御部51から出力された制御信号に応じて検出部10から観察対象Sの全体画像が読み出され、その読み出された全体画像が表示制御部54に出力される(S38)。表示制御部54は、観察対象Sの全体画像を表示装置60に表示させる(S40)。
【0069】
上述したように、予め設定された1回の露光時間の間に、レンズ部20を第1の位置から第2の位置に移動させることによって、全体画像を取得するようにしてもよい。
【0070】
また、さらに1回の露光時間の間に、レンズ部20を第1の位置と第2の位置との間で往復して移動させるようにしてもよい。往復移動のさせ方としては、たとえば10分間の露光時間の間に1Hzの周期で往復移動させるようにすればよい。
【0071】
なお、上記実施形態においては、レンズ部20を第1の位置から第2の位置まで移動させるようにしたが、レンズ部20を移動させるのではなく、観察対象保持部30および検出部10をY方向に移動させるようにしてもよい。また、レンズ部20と観察対象保持部30および検出部10とをY方向についてそれぞれ反対方向に移動させるようにしてもよい。
【0072】
次に、観察対象Sに励起光を照射し、その励起光の照射によって観察対象Sから発せられた蛍光を検出部10によって検出する実施形態について説明する。図10は、観察対象Sの蛍光を検出する実施形態の概略構成を示す図である。本実施形態は、上記実施形態の構成に加えて、励起光照射部80と、励起光カットフィルタ15とを備えたものである。
【0073】
励起光照射部80は、観察対象Sに対して励起光を照射するものである。励起光照射部80は、励起光源81と、励起光フィルタ82とを備えたものである。
【0074】
励起光源81は、たとえば励起光を出射するLED(light emitting diode)を2次元状に配列したものを用いることができる。なお、励起光源81としては、このような構成に限らず、励起光を面発光するものであれば如何なる構成でもよい。また、励起光源81として、白色光を出射する白色光源を用いるようにしてもよい。
【0075】
励起光フィルタ82は、励起光源81と観察対象保持部30との間に設けられ、励起光の中心波長を含む予め設定された波長帯域を透過し、その波長帯域以外の波長を抑制するものである。
【0076】
励起光カットフィルタ15は、観察対象保持部30と検出部10との間に設けられ、励起光の検出部10への入射を抑制するものである。励起光カットフィルタ15を設けることによって検出部10への励起光の入射によるノイズの発生を抑制することができ、観察対象Sの画像のS/Nを向上させることができる。
【0077】
本実施形態においては、励起光照射部80から出射された励起光が観察対象Sに照射され、その励起光の照射によって観察対象Sから発せられた蛍光はレンズ部20のセルフォックレンズアレイ21を透過して検出部10によって検出される。
【0078】
そして、上記実施形態と同様に、レンズ部20が第1の位置に設置された状態で第1の蛍光画像が撮影され、レンズ部20が第2の位置に設置された状態で第2の蛍光画像が撮影され、第1の蛍光画像と第2の蛍光画像とが画像形成部53に入力される。
【0079】
画像形成部53に入力された第1および第2の蛍光画像が重ね合わされて全体蛍光画像が形成され、全体蛍光画像は、表示制御部54によって表示装置60に表示される。
【0080】
なお、蛍光画像を撮影する実施形態においても、レンズ部20が第1の位置に設置された状態での露光とレンズ部20が第2の位置に設置された状態での露光とを、蛍光画像の読出しを行うことなく連続して行うようにしてもよい。
【0081】
また、励起光照射部80の構成としては、図10に示すように観察対象Sの上方から照射する構成に限らず、図11に示すように、観察対象Sの斜め下から照射する構成としてもよい。図11に示す構成では、励起光源81と励起光フィルタ82とが一体的に構成され、その一体的に構成された励起光照射部80が、観察対象保持部30の両側の斜め下に配置される。観察対象保持部30に照射された励起光は、観察対象保持部30内を透過または反射して観察対象Sまで到達し、観察対象に対して照射される。
【0082】
また、上述した蛍光を検出する実施形態においても、レンズ部20を移動させるのではなく、観察対象保持部30および検出部10をY方向に移動させるようにしてもよい。また、レンズ部20と観察対象保持部30および検出部10とをY方向についてそれぞれ反対方向に移動させるようにしてもよい。
【0083】
また、図10または図11に示すような励起光の照射によって観察対象Sから発せられた蛍光を検出部10によって検出する実施形態において、観察対象Sとして輝尽性蛍光体層を含む蛍光体シートを用い、蛍光体シートから発せられた輝尽性発光光を検出部10によって検出するようにしてもよい。蛍光体シートは、たとえば被写体を透過した放射線の照射を受けて被写体の放射線画像を記録し、励起光の照射によって輝尽性蛍光体が励起されて放射線画像に応じた輝尽性発光光を発するものである。
【0084】
ここで、上述したような蛍光体シートから発せられた輝尽性発光光を検出する場合、図10または図11に示す実施形態では、蛍光体シートに対して一様に励起光が照射されるため、たとえばレンズ部20が第1の位置に設置されているとき、各セルフォックレンズアレイ21に対応する蛍光体シート上の位置だけでなく、レンズ保持部23に対応する蛍光体シート上の位置にも励起光が照射されるため、すなわちレンズ部20が第2の位置に設置されているときに検出されるべき蛍光体シートの範囲まで励起されてしまい、その範囲の蛍光を検出することができなくなってしまう。
【0085】
そこで、図12に示すように、励起光照射部80と観察対象Sとの間に、シャッター部90を設けるようにしてもよい。本実施形態におけるシャッター部90は、図13に示すように、励起光を遮光する材料から形成される平板形状の遮光部材92に対して、X方向に延びる開口91が、Y方向に複数配列されて設けられたものである。複数の開口91は、セルフォックレンズアレイ21の中心軸間隔に対応する間隔で設けられており、開口91のY方向の幅は、セルフォックレンズアレイ21のY方向の幅の同等以下の幅に設定されている。
【0086】
上述したシャッター部90は、シャッター移動機構95によって、Y方向に移動する。シャッター移動機構95としては、たとえば、上記実施形態におけるレンズ部20を移動させる移動機構40と同様に、支持部材、バネ部材およびカムから構成されたものを用いることができる。ただし、この構成に限らず、シャッター部90をY方向に移動させる機構であれば、その他の公知な機構を用いることができる。
【0087】
そして、シャッター移動機構95は、移動機構制御部52から出力された制御信号に応じて制御される。移動機構制御部52は、シャッター移動機構95を制御することによって、シャッター部90をレンズ部20の移動に同期させて移動させる。シャッター部90とレンズ部20のY方向への移動距離は同じである。
【0088】
そして、上記のようにシャッター部90をレンズ部20の移動に同期させて移動させることによって、レンズ部20が第1の位置に設置されているとき、各セルフォックレンズアレイ21に対応する蛍光体シート上の位置だけでなく、レンズ保持部23に対応する蛍光体シート上の位置にも励起光が照射されてしまうのを防止することができる。
【0089】
また、シャッター部90は、上述したような機械的な構成に限らず、液晶シャッターなどの空間光変調素子をシャッター部90として用いるようにしてもよい。この場合、図14に示すように、撮像制御装置50の制御部51は、空間光変調素子を有するシャッター部90を制御するシャッター制御部55を備える。シャッター制御部55は、シャッター部90に制御信号を出力し、開口の位置を切り替えるものである。シャッター部90を空間光変調素子から構成する場合における開口位置の切り替えは、上述した機械的な構成からなるシャッター部90の移動と同様に、レンズ部20の移動に同期させて切り替えるようにすればよい。上述したように、シャッター部90として空間光変調素子などを用いることによって、シャッター部90を移動させる機械的な構成を省略することができるので、装置を小型化することができる。
【0090】
また、上記のようにシャッター部90の開口位置およびレンズ部20をY方向に移動させる場合、その移動の間、励起光照射部80からの励起光の照射を停止するようにしてもよい。これにより、さらにレンズ保持部23に対応する蛍光体シート上の位置への励起光の照射を防止することができる。
【0091】
また、図10および図11に示したようなシャッター部90を設けていない実施形態においても、また、レンズ部20または観察対象保持部30および検出部10をY方向に移動する間、励起光照射部80からの励起光の照射を停止することが望ましい。
【符号の説明】
【0092】
10 検出部
15 励起光カットフィルタ
20 レンズ部
21 セルフォックレンズアレイ
22 セルフォックレンズ
23 レンズ保持部
30 観察対象保持部
40 移動機構
41 支持部材
42 バネ部材
43 カム
50 撮像制御装置
51 制御部
52 移動機構制御部
53 画像形成部
54 表示制御部
55 シャッター制御部
60 表示装置
70 入力装置
80 励起光照射部
81 励起光源
82 励起光フィルタ
90 シャッター部
91 開口
92 遮光部材
95 シャッター移動機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14