特許第6408152号(P6408152)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6408152
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】光音響画像生成装置及び挿入物
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/13 20060101AFI20181004BHJP
【FI】
   A61B8/13
【請求項の数】17
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-526168(P2017-526168)
(86)(22)【出願日】2016年6月23日
(86)【国際出願番号】JP2016003035
(87)【国際公開番号】WO2017002337
(87)【国際公開日】20170105
【審査請求日】2017年9月15日
(31)【優先権主張番号】特願2015-131068(P2015-131068)
(32)【優先日】2015年6月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】入澤 覚
【審査官】 宮川 哲伸
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/109148(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/148379(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/169178(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0131299(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 − 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部が被検体内に挿入される挿入物であって、
切り替えて入射される第1の波長の光、及び、該第1の波長とは異なる第2の波長の光を導光する導光部材と、
前記導光部材により導光された光を出射する光出射部と、
前記光出射部から出射した前記第1の波長の光を吸収して光音響波を発生し、かつ、前記光出射部から出射した前記第2の波長の光を通過させる光吸収部材とを備える挿入物。
【請求項2】
前記光吸収部材は前記光出射部を少なくとも部分的に覆う請求項1に記載の挿入物。
【請求項3】
前記光吸収部材は、前記第1の波長の光を吸収し、かつ前記第2の波長の光を通過させる光吸収体と、該光吸収体を含有する樹脂とを含む請求項1又は2に記載の挿入物。
【請求項4】
前記挿入物は、該挿入物の内部に内腔を有しており、前記光吸収部材は、前記導光部材を前記内腔の内壁に固定する固定部材を兼ねる請求項1から3何れか1項に記載の挿入物。
【請求項5】
少なくとも前記第2の波長の光を透過する透明樹脂を更に有し、前記光吸収部材が前記透明樹脂により覆われる請求項1から3何れか1項に記載の挿入物。
【請求項6】
内部に内腔を有しており、前記導光部材及び前記光吸収部材は前記透明樹脂により前記内腔の内壁に固定される請求項5に記載の挿入物。
【請求項7】
前記挿入物は、該挿入物の内部に内腔を有する穿刺針であり、前記導光部材を内部に収容する中空の管を更に有する請求項1から3何れか1項に記載の挿入物。
【請求項8】
前記穿刺針が内針と外針とを含み、該内針が前記中空の管を含み、前記内針は前記内腔の少なくとも一部を封止する請求項7に記載の挿入物。
【請求項9】
前記光吸収部材は、前記導光部材を前記中空の管の内壁に固定する固定部材を兼ねる請求項7又は8に記載の挿入物。
【請求項10】
少なくとも前記第2の波長の光を透過する透明樹脂を更に有し、該透明樹脂により、前記導光部材と前記光吸収部材とが前記中空の管の内壁に固定される請求項7又は8に記載の挿入物。
【請求項11】
前記光出射部から出射した前記第2の波長の光を、前記第1の波長及び第2の波長と異なる第3の波長の光に変換する蛍光体を更に有する請求項1から10何れか1項に記載の挿入物。
【請求項12】
前記導光部材と、光源から出射した前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光を導光する光ファイバとを着脱可能に接続する光コネクタを更に有する請求項1から11何れか1項に記載の挿入物。
【請求項13】
第1の波長の光を出射する第1の光源と、
前記第1の波長とは異なる第2の波長の光を出射する第2の光源と、
少なくとも一部が被検体内に挿入される挿入物であって、切り替えて入射される前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光を導光する導光部材と、前記導光部材により導光された光を出射する光出射部と、前記光出射部から出射した前記第1の波長の光を吸収して光音響波を発生し、かつ前記光出射部から出射した前記第2の波長の光を通過させる光吸収部材と備える挿入物と、
前記光吸収部材が前記第1の波長の光を吸収することで発生した第1の光音響波、及び前記光出射部から出射した光に起因して前記被検体内で発生した第2の光音響波を検出する音響波検出手段と、
前記第1の光音響波に基づいて第1の光音響画像を生成し、前記第2の光音響波に基づいて第2の光音響画像を生成する光音響画像生成手段とを備えた光音響画像生成装置。
【請求項14】
前記第2の光音響波は、前記被検体が、前記光吸収部材を通過した前記第2の波長の光を吸収することによって発生したものである請求項13に記載の光音響画像生成装置。
【請求項15】
前記挿入物は、前記光出射部から出射した前記第2の波長の光を、前記第1の波長及び第2の波長と異なる第3の波長の光に変換する蛍光体を更に有し、
前記第2の光音響波は、前記被検体が、前記蛍光体が発する第3の波長の光を吸収することによって発生したものである請求項13に記載の光音響画像生成装置。
【請求項16】
前記音響波検出手段は、被検体に向けて送信された音響波に対する反射音響波を更に検出し、
前記反射音響波に基づいて反射音響波画像を生成する反射音響波画像生成手段を更に備えた請求項13から15何れか1項に記載の光音響画像生成装置。
【請求項17】
前記第1の光音響画像及び前記第2の光音響画像の少なくとも一方と前記反射音響波画像とを合成する画像合成手段を更に有する請求項16に記載の光音響画像生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光音響画像生成装置に関し、更に詳しくは、光吸収体が光を吸収することで生じた光音響波を検出して光音響画像を生成する光音響画像生成装置に関する。
【0002】
また、本発明は、上記光音響画像生成装置に用いられる穿刺針などの挿入物に関する。
【背景技術】
【0003】
生体内部の状態を非侵襲で検査できる画像検査法の一種として、超音波検査法が知られている。超音波検査では、超音波の送信及び受信が可能な超音波探触子が用いられる。超音波探触子から被検体(生体)に超音波を送信させると、その超音波は生体内部を進んでいき、組織界面で反射する。その反射超音波を超音波探触子によって受信し、反射超音波が超音波探触子に戻ってくるまでの時間に基づいて距離を計算することで、内部の様子を画像化することができる。
【0004】
また、光音響効果を利用して生体の内部を画像化する光音響イメージングが知られている。一般に光音響イメージングでは、レーザパルスなどのパルスレーザ光を生体内に照射する。生体内部では、生体組織がパルスレーザ光のエネルギーを吸収し、そのエネルギーによる断熱膨張により超音波(光音響波)が発生する。この光音響波を超音波探触子などによって検出し、検出信号に基づいて光音響画像を構成することにより、光音響波に基づく生体内の可視化が可能である。
【0005】
光音響イメージングに関し、特許文献1には、光源から出射した光を、光ファイバなどを用いて穿刺針の先端付近まで導光し、そこから穿刺針の光音響波発生部に光を照射することが記載されている。光音響波発生部は例えば光吸収部材を含む。特許文献1には、光吸収部材に、黒顔料を混合したエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、若しくはフッ素樹脂、シリコーンゴム、又はレーザ光の波長に対して光吸収性が高い例えば黒色の塗料を用いることができると記載されている。また、レーザ光の波長に対して光吸収性を有する金属膜又は酸化物の膜を、光吸収部材として用いることも記載されている。光音響波発生部に光を照射することによって発生した光音響波は超音波探触子によって検出され、その検出信号に基づいて光音響画像が生成される。光音響画像では、光音響波発生部の部分が輝点として現れ、光音響画像を用いて穿刺針の位置の確認が可能となる。
【0006】
また、特許文献2には、発光部を有する穿刺針が記載されている。特許文献2では、光源から出射した光は、例えば光ファイバなどを用いて穿刺針の発光部まで導光され、発光部から外部に出射する。被検体内では、発光部から出射した光を吸収したことに起因する光音響波が発生する。穿刺針の発光部から出射した光を吸収することによって発生した光音響波を超音波探触子によって検出し、その検出信号に基づいて光音響画像を生成することで、穿刺針の位置の確認が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2015−37519号公報
【特許文献2】特開2013−13713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、例えば穿刺針を血管に穿刺する場合に、術者は、穿刺針の先端が血管に入ったかどうかを、血液が針内又は針基部へ流入したか否かを見ることにより判断することができる。しかしながら、特許文献1及び特許文献2では、針内に光ファイバなどの導光部材を通しているため、光ファイバなどがない場合に比べて血液の流入経路が細くなっている。このため、血液の流入に時間がかかり、穿刺針の先端が血管に入ったかどうかの判定に時間を要する。
【0009】
特許文献1では、針先端に配置された光吸収体において光音響波を発生させており、光音響波発生部に照射された光は光吸収体でほぼ全て吸収される。このため、被検体内の針の穿刺方向の前方に光吸収体が存在している状況でも、その光吸収体において光音響波を発生させることはできない。したがって、特許文献1において取得できるのは針先の位置情報のみであり、針周辺の光吸収体の存在の有無などの周辺の環境情報を取得することはできない。一方、特許文献2では、発光部から出射した光が針の穿刺方向の前方に存在する被検体内の光吸収体に照射されるため、血液(血管)が吸収する波長の光を発光部から出射すれば、光音響画像における輝点の有無により、針先が血管に入ったか否かの判断が可能である。
【0010】
しかし、特許文献2では、発光部から出射した光が針の穿刺方向の前方に存在する被検体内の光吸収体で吸収されることにより生じた光音響波だけでなく、発光部から出射した光が穿刺針本体を構成する金属などで吸収されることにより生じた光音響波も検出される。この場合、光音響波の発生源が2つあるため、光音響画像には2つの輝点が混在することになる。検出される光音響波の強度は、体動やプローブの移動により逐一変化するため、光音響画像において輝点がちらつくことがある。特許文献2では、2つの輝点が個別にちらつくため、光音響画像においてどの部分が穿刺針の位置情報を示し、どの部分が周辺の環境情報を示すのかの判別が困難である。このような問題は、穿刺針に限らず、カテーテルやガイドワイヤなど、被検体に挿入する他の挿入物について、光音響画像によりその位置と周辺の環境情報とを取得しようとする場合にも生じ得る。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑み、挿入物の位置情報と周辺の環境情報との双方を切り分けて取得することが可能な光音響画像生成装置を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、上記光音響画像生成装置に用いられる挿入物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明は、少なくとも一部が被検体内に挿入される挿入物であって、切り替えて入射される第1の波長の光、及び、それとは異なる第2の波長の光を導光する導光部材と、導光部材により導光された光を出射する光出射部と、光出射部から出射した第1の波長の光を吸収して光音響波を発生し、かつ、光出射部から出射した第2の波長の光を通過させる光吸収部材と備える挿入物を提供する。
【0014】
本発明の挿入物において、光吸収部材は光出射部を少なくとも部分的に覆うことが好ましい。
【0015】
光吸収部材は、第1の波長の光を吸収し、かつ第2の波長の光を通過させる光吸収体と、その光吸収体を含有する樹脂とを含むことが好ましい。
【0016】
本発明の挿入物は、その内部に内腔を有していてもよく、光吸収部材は、導光部材を挿入物の内腔の内壁に固定する固定部材を兼ねていてもよい。
【0017】
本発明の挿入物は、少なくとも第2の波長の光を透過する透明樹脂を更に有していてもよく、光吸収部材はその透明樹脂に覆われていてもよい。挿入物が内部に内腔を有するものである場合、導光部材及び光吸収部材は透明樹脂により穿刺針の内腔の内壁に固定されてもよい。
【0018】
本発明の挿入物は、その内部に内腔を有する穿刺針であってもよい。その場合、挿入物は、導光部材を内部に収容する中空の管を更に有していてもよい。
【0019】
穿刺針は内針と外針とを含んでいてもよく、内針は中空の管を含んでいてもよい。内針は、穿刺針の内腔の少なくとも一部を封止してもよい。
【0020】
光吸収部材は、導光部材を上記中空の管の内壁に固定する固定部材を兼ねてもよい。
【0021】
本発明の挿入物は少なくとも第2の波長の光を透過する透明樹脂を更に有してもよく、導光部材及び光吸収部は透明樹脂により中空の管の内壁に固定されてもよい。
【0022】
本発明の挿入物は、光出射部から出射した第2の波長の光を、第1の波長及び第2の波長と異なる第3の波長の光に変換する蛍光体を更に有してもよい。
【0023】
導光部材と、光源から出射した第1の波長の光及び第2の波長の光を導光する光ファイバとを着脱可能に接続する光コネクタを更に有することが好ましい。
【0024】
本発明は、また、第1の波長の光を出射する第1の光源と、第1の波長とは異なる第2の波長の光を出射する第2の光源と、少なくとも一部が被検体内に挿入される挿入物であって、切り替えて入射される第1の波長の光及び第2の波長の光を導光する導光部材と、導光部材により導光された光を出射する光出射部と、光出射部から出射した第1の波長の光を吸収して光音響波を発生し、かつ光出射部から出射した第2の波長の光を通過させる光吸収部材とを備える挿入物と、光吸収部材が第1の波長の光を吸収することで発生した第1の光音響波、及び光出射部から出射した光に起因して被検体内で発生した第2の光音響波を検出する音響波検出手段と、第1の光音響波に基づいて第1の光音響画像を生成し、第2の光音響波に基づいて第2の光音響画像を生成する光音響画像生成手段とを備えた光音響画像生成装置を提供する。
【0025】
本発明の光音響画像生成装置において、第2の光音響波は、被検体が、光吸収部材を通過した第2の波長の光を吸収することによって発生したものであってもよい。
【0026】
挿入物は、光出射部から出射した第2の波長の光を、第1の波長及び第2の波長と異なる第3の波長の光に変換する蛍光体を更に有してもよい。その場合、第2の光音響波は、被検体が、蛍光体が発する第3の波長の光を吸収することによって発生したものであってもよい。
【0027】
音響波検出手段は、被検体に向けて送信された音響波に対する反射音響波を更に検出してもよい。その場合、本発明の光音響画像生成装置は、反射音響波に基づいて反射音響波画像を生成する反射音響波画像生成手段を更に備えてもよい。
【0028】
本発明の光音響画像生成装置は、第1の光音響画像及び第2の光音響画像の少なくとも一方と反射音響波画像とを合成する画像合成手段を更に有していてもよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明の光音響画像及び挿入物は、挿入物の位置情報と周辺の環境情報との双方を切り分けて取得することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の第1実施形態に係る光音響画像生成装置を示すブロック図。
図2】穿刺針の先端付近を示す斜視図。
図3】光吸収部材の吸収スペクトルの一例を示すグラフ。
図4】変形例に係る穿刺針の先端付近を示す断面図。
図5】光音響画像生成装置の動作手順を示すフローチャート。
図6】第1の光音響画像生成処理の手順を示すフローチャート。
図7】第2の光音響画像生成処理の手順を示すフローチャート。
図8】超音波画像生成処理の手順を示すフローチャート。
図9】蛍光体の吸収率の波長特性を示すグラフ。
図10】蛍光体の発光強度の波長特性を示すグラフ。
図11】本発明の第3実施形態における穿刺針の先端付近を示す断面図。
図12】変形例に係る穿刺針の先端付近を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る光音響画像生成装置を示す。光音響画像生成装置10は、プローブ(超音波探触子)11、超音波ユニット12、第1の光源(レーザユニット)13、第2の光源(レーザユニット)14、及び穿刺針15を含む。なお、本発明の実施形態では、音響波として超音波を用いるが、超音波に限定されるものでは無く、被検対象や測定条件等に応じて適切な周波数を選択してさえいれば、可聴周波数の音響波を用いても良い。
【0032】
第1の光源13は、第1の波長の光を出射する。第2の光源14は、第2の波長の光を出射する。第1の光源13及び第2の光源14は、例えばパルス時間幅1ns〜100ns程度で、パルスエネルギー0.3μJ〜30μJ程度のパルス光を出射する。第1の波長と第2の波長とは相互に異なる。第1の光源13及び第2の光源14は、例えば固体レーザ光源である。光源のタイプは特に限定されず、第1の光源13及び第2の光源14が、レーザダイオード光源(半導体レーザ光源)であってもよいし、或いはレーザダイオード光源を種光源とする光増幅型レーザ光源であってもよい。レーザ光源以外の光源を用いてもよい。
【0033】
第1の光源13と第2の光源14とは、切り替えて使用される。第1の光源13が第1の波長の光を出射する場合、第2の光源14は第2の波長の光を出射しない。これとは逆に、第2の光源14が第2の波長の光を出射する場合、第1の光源13は第1の波長の光を出射しない。
【0034】
第1の光源13から出射した第1の波長の光と、第2の光源14から出射した第2の波長の光とは、例えば光ファイバ17などの導光手段を用いて波長分割多重カプラ18にそれぞれ入射する。波長分割多重カプラ18は、第1の波長の光と第2の波長の光とを合波し、1つの光ファイバに入射させる。波長分割多重カプラ18から出射した光は、光ファイバ19などの導光部材により穿刺針15まで導光される。波長分割多重カプラ18を用いて合波させるのに代えて、第1の波長の光と第2の波長の光のうちの一方を透過し他方を反射するダイクロイックミラーを用いて第1の波長の光と第2の波長の光とを合波させてもよい。より詳細には、光学系の箱の中にダイクロイックミラーを配置し、そのダイクロイックミラーによって第1の波長の光と第2の波長の光とを合波し、1つの光ファイバに入射させてもよい。
【0035】
穿刺針15は、被検体に穿刺される針である。穿刺針15の内部には光ファイバ19が挿通される。波長分割多重カプラ18と光ファイバ19との間には、光コネクタ20が設けられる。光コネクタ20は、光ファイバ19と波長分割多重カプラ18から延びる光ファイバとを着脱可能に接続する。光コネクタ20の接続を解除することで、光ファイバ19は、穿刺針15と一緒に使い捨てにすることができる。
【0036】
図2は、穿刺針15の先端付近を示す。穿刺針15は、先端の近傍に光吸収部材51を有する。光吸収部材51は、光出射部19aから出射した第1の波長の光を吸収して光音響波を発生する。光吸収部材51は穿刺針15の先端の近傍に存在しており、穿刺針15の先端の近傍の一点で光音響波を発生させることができる。光音響波の発生源(音源)の長さは、穿刺針全体の長さに比べて十分に短く、音源は点音源とみなすことができる。また、光吸収部材51は、第2の波長の光は吸収せずに、穿刺針15の先端開口の外部方向へ第2の波長の光を通過させる。光吸収部材51は、第2の波長の光は吸収しないため、光出射部19aから出射した光の波長が第2の波長の場合は、光音響波を発生しない。
【0037】
光ファイバ19の先端(光源側から見た遠端側)は、導光された光を出射する光出射部19aを構成する。光出射部19aは穿刺針15の先端の近傍に配置され、光ファイバ19は、光源側から切り替えて入射される第1の波長及び第2の波長の光を、穿刺針15の先端の近傍まで導光する。ここで、「先端の近傍」とは、光出射部19aがその位置に配置された場合に、先端に配置される光吸収部材51において穿刺作業に必要な精度で穿刺針15の先端の位置を画像化できる光音響波を発生可能な位置をいうものである。例えば、穿刺針15の先端から基端側へ0mm〜3mmの範囲内となる。光ファイバ19は被覆されていてもよい。被覆にはポリイミド、フッ素樹脂、又はアクリル樹脂などを用いることができる。
【0038】
なお、光吸収部材51が第2の波長の光を透過させるとは、第2の波長の光を全く吸収しない、つまり光吸収率が0%であることまでは要しない。光吸収部材51の第2の波長の光に対する吸収と通過の比率は例えば1:9程度であればよい。同様に、光吸収部材51が第1の波長の光を吸収するとは、第1の波長の光を全て吸収する、つまり光吸収率が100%であることまでは要しない。光吸収部材51の第1の波長の光に対する吸収と通過の比率は例えば9:1程度であればよい。第2の波長の光の透過及び第1の波長の光の吸収や、後述する第3の波長の光についても同じ説明が適用される。
【0039】
光吸収部材51は、光出射部19aを少なくとも部分的に覆っていてもよい。また、光吸収部材51は、光ファイバ19を穿刺針15の内腔の内壁に固定する固定部材を兼ねていてもよい。
【0040】
光吸収部材51は、例えば第1の波長の光を吸収し、かつ第2の波長の光を通過させる光吸収体と、その光吸収体を含有するエポキシ樹脂などの樹脂とを含む。例えば第1の光源13に波長905nmのパルスレーザダイオードを用いた場合、その波長の光を吸収する材料を光吸収体として樹脂に混合する。光吸収体には、例えば、フタロシアニン系である山本化学YKR-2900、YKR-2081、山田化学工業FDN-004、FDN-005、特許第5243056号公報に記載されたシアニン系の吸収体である材料、Exciton社のIRA908やIRA912、IRA931、又は、FEWChemicals社のS0433などを用いることができる。これら吸収体を用いる場合、波長870nmのパルスレーザダイオードを第1の光源13として用いてもよい。
【0041】
上記吸収体を含む樹脂を光吸収部材51とした場合、第1の光源13から出射した波長905nmの光は音響波に変換される。この音響波は穿刺針15の先端の位置検出に利用できる。一方、第2の光源14から出射した光は、光吸収部材51を通過して穿刺針15の外部に照射される。この光は、穿刺針15の先端部分の周辺環境の評価に用いることができる。第2の光源14が出射する光の波長は、上記吸収体の吸収率の波長特性において吸収が低い波長領域から適宜選択できる。
【0042】
図3は、光吸収部材51の吸収スペクトルの一例を示す。横軸は波長を表し、縦軸は吸収率を表す。光吸収部材51に含まれる吸収体には、アニン系の吸収体材料を用いた。光吸収部材51は、波長905nm付近の光の吸収率が最も高く、それよりも長波長側及び短波長側では、吸収率が急激に低下する。このような光吸収部材51を用いた場合、第2の光源14が出射する光の波長は、400nm〜650nm、又は1000nm以上の範囲から適宜選択すればよい。
【0043】
第2の波長は、穿刺針15が穿刺される箇所の周辺に存在する物質に応じて設定される。別の言い方をすれば、穿刺針15の周辺環境の評価対象の物質に応じて設定される。第2の光源には、評価対象の物質が吸収して光音響波を発生する波長の光を出射するものが用いられる。例えば、評価対象が血液(血管)であれば、第2の光源14には、波長530nmの光を出射する光源が用いられる。評価対象が神経であれば、波長1210nmの光を出射する光源が用いられる。
【0044】
評価対象が、リンパ節やリンパ管などの造影に用いられる造影剤であれば、第2の光源14には、その造影剤が吸収して光音響波を発生する波長の光を出射するものを用いればよい。例えば、ICG(インドシアニングリーン)造影の場合は、波長780nmの光を出射する光源を第2の光源14として用いればよい。メチレンブルー造影の場合は、波長663nmの光を出射する光源を用いればよい。パテントブルーV造影の場合は、波長638nmの光を出射する光源を用いればよい。
【0045】
また、がん細胞などに特異的にDDS(Drug Delivery System)により伝達された物質がある場合に、その物質の有無を評価したい場合は、第2の光源14には、その物質が吸収して光音響波を発生する波長の光を出射するものを用いればよい。例えば評価対象が金ナノ粒子であれば、金ナノ粒子の径に応じて波長600nm〜900nmの範囲の中の光を出射する光源を、第2の光源14として用いればよい。評価対象がカーボンナノチューブであれば、波長670nm〜820nmの範囲の中の光を出射する光源を、第2の光源14として用いればよい。
【0046】
なお、第1の光源13と第2の光源14とは、必ずしも分離した独立の光源である必要はない。複数波長の発振が可能な1つの光源を用いて、第1の波長の光と第2の波長の光とを切り替えて出射してもよい。第1の波長(905nm)を含む複数波長の出射が可能な光源の例としては、Ti:Sfレーザや、Nd:YAG−OPO(Optical Parametric Oscillation)レーザなどが挙げられる。この場合、波長分割多重カプラやダイクロイックミラーといった合波手段を省くことができる。
【0047】
第2の光源14は1つの光源である必要はなく、第2の光源14が2以上の光源を有する構成であってもよい。例えば、光音響画像生成装置10は、第2の光源14として、波長530nmの光を出射する光源と波長1210nmの光を出射する光源とを有していてもよい。この場合、第2の光源14のうちの何れの光源を発光させるかは、評価対象に応じて選択すればよい。具体的には、評価対象が血液(血管)であれば波長530nmの光を出射する光源を発光させ、評価対象が神経であれば波長1210nmの光を出射する光源を発光させればよい。例えば、メニュー画面などに評価対象を選択するメニューを設け、ユーザの選択に応じて発光させる光源を選択すればよい。
【0048】
第2の光源14が2以上の光源を有する場合、それら2以上の光源を時系列で切り替えて発光させてもよい。その場合、各光源を発光させるごとに光音響波(第2の光音響波)の検出を行い、各波長の光に対して第2の光音響画像を生成してもよい。その場合、各波長の光に対応した第2の光音響画像を切り替えて表示し又は並べて表示することにより、複数種類の評価対象の評価が可能である。
【0049】
第2の光源14は、必ずしも単波長の光を出射する光源により構成される必要はなく、複数波長の光を切り替えて出射可能なものであってもよい。例えば第2の光源14にOPOを用い、OPOを広帯域発振させて、その中から任意の波長の光を分光することにより、波長選択を行ってもよい。また、第2の光源14から第1の波長とは異なる複数の波長の光を切り替えて出射し、そのそれぞれに対して光音響波を検出し、波長と検出された光音響波の強度との関係を求めることで、周辺環境の評価を行ってもよい。そのような周辺環境の評価を行うことで、メラニン(悪性黒色腫転移)の評価、焼灼状態のモニタ、エタノール注入における組織死モニタ、神経のピークの検出、アテロームプラークの性状評価、肝臓の線維化(散乱)、炎症の進行度合の評価をしてもよい。
【0050】
穿刺針15は、少なくとも第2の波長の光を透過する透明樹脂を有していてもよい。図4は、透明樹脂を有する穿刺針15の先端部分の断面を示している。透明樹脂52は、少なくとも第2の波長の光を透過する。透明樹脂52は、入射する第2の波長の光の大部分を透過させればよく、入射する第2の波長の光を全て透過させる必要まではない。つまり、透明樹脂52は、第2の波長の光を100%透過させるものである必要はない。透明樹脂52には、例えばエポキシ樹脂(接着剤)が用いられる。透明樹脂52には、例えば熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、又は光硬化性樹脂などが用いられる。
【0051】
穿刺針15の本体部分を構成する穿刺針本体151は内部に内腔を有している。透明樹脂52は、穿刺針本体151の内腔において、光吸収部材51を覆う。透明樹脂52は、穿刺針本体151の内腔において光ファイバ19を覆ってもよい。透明樹脂52は、光吸収部材51及び光ファイバ19を穿刺針本体151の内壁に固定する固定部材として機能してもよい。図4では、光吸収部材51は光ファイバ19の光出射部19aを覆っており、光ファイバ19(その先端部分)及び光吸収部材51は、透明樹脂52により穿刺針本体151の内壁に固定されている。
【0052】
図1に戻り、プローブ11は、音響波検出手段であり、例えば一次元的に配列された複数の検出器素子(超音波振動子)を有している。プローブ11は、被検体に穿刺針15が穿刺された後に、光吸収部材51(図2を参照)から発生された光音響波を検出する。プローブ11は、光音響波の検出に加えて、被検体に対する音響波(超音波)の送信、及び送信した超音波に対する反射音響波(反射超音波)の受信を行う。音波の送受信は分離した位置で行ってもよい。例えばプローブ11とは異なる位置から超音波の送信を行い、その送信された超音波に対する反射超音波をプローブ11で受信してもよい。プローブ11は、リニアプローブに限定されず、コンベクスプローブ、又はセクタープローブでもよい。
【0053】
超音波ユニット12は、受信回路21、受信メモリ22、データ分離手段23、光音響画像生成手段24、超音波画像生成手段25、画像出力手段26、送信制御回路27、及び制御手段28を有する。超音波ユニット12は、信号処理装置を構成する。超音波ユニット12は、典型的にはプロセッサ、メモリ、及びバスなどを有する。超音波ユニット12には、光音響画像生成に関するプログラムが組み込まれており、そのプログラムが動作することで、超音波ユニット12内の各部の少なくとも一部の機能が実現する。
【0054】
受信回路21は、プローブ11が出力する検出信号を受信し、受信した検出信号を受信メモリ22に格納する。受信回路21は、典型的には、低ノイズアンプ、可変ゲインアンプ、ローパスフィルタ、及びAD変換器(Analog to Digital convertor)を含む。プローブ11の検出信号は、低ノイズアンプで増幅された後に、可変ゲインアンプで深度に応じたゲイン調整がなされ、ローパスフィルタで高周波成分がカットされた後にAD変換器でデジタル信号に格納され、受信メモリ22に格納される。受信回路21は、例えば1つのIC(Integral Circuit)で構成される。
【0055】
プローブ11は、光音響波の検出信号と反射超音波の検出信号とを出力し、受信メモリ22には、AD変換された光音響波及び反射超音波の検出信号(サンプリングデータ)が格納される。データ分離手段23は、受信メモリ22から光音響波の検出信号のサンプリングデータを読み出し、光音響画像生成手段24に送信する。また、受信メモリ22から反射超音波のサンプリングデータを読み出し、超音波画像生成手段(反射音響波画像生成手段)26に送信する。
【0056】
光音響画像生成手段24は、プローブ11で検出された光音響波の検出信号に基づいて光音響画像を生成する。光音響画像の生成は、例えば、位相整合加算などの画像再構成や、検波、対数変換などを含む。超音波画像生成手段25は、プローブ11で検出された反射超音波の検出信号に基づいて超音波画像(反射音響波画像)を生成する。超音波画像の生成も、位相整合加算などの画像再構成や、検波、対数変換などを含む。画像出力手段26は、光音響画像と超音波画像とをディスプレイ装置などの画像表示手段16に出力する。
【0057】
制御手段28は、超音波ユニット12内の各部を制御する。制御手段28は、例えば光音響画像を取得する場合は、第1の光源13又は第2の光源14にトリガ信号を送信し、第1の光源13又は第2の光源14からレーザ光を出射させる。また、レーザ光の出射に合わせて、受信回路21にサンプリングトリガ信号を送信し、光音響波のサンプリング開始タイミングなどを制御する。
【0058】
制御手段28は、超音波画像を取得する場合は、送信制御回路27に超音波送信を指示する旨の超音波送信トリガ信号を送信する。送信制御回路27は、超音波送信トリガ信号を受けると、プローブ11から超音波を送信させる。プローブ11は、例えば音響ラインを一ラインずつずらしながら走査して反射超音波の検出を行う。制御手段28は、超音波送信のタイミングに合わせて受信回路21にサンプリングトリガ信号を送信し、反射超音波のサンプリングを開始させる。
【0059】
制御手段28は、3つの動作モードの間で、光音響画像生成装置10の動作モードを切り替えてもよい。第1の動作モードは、第1の光源13から第1の波長の光を出射し、光吸収部材51において発生した光音響波(第1の光音響波)を検出して光音響画像(第1の光音響画像)を生成する動作モードである。第2の動作モードは、第2の光源14から第2の波長の光を出射し、光吸収部材51を通過した第2の波長の光が被検体に照射されることで生じた光音響波(第2の光音響波)を検出して光音響画像(第2の光音響画像)を生成する動作モードである。第3の動作モードは、被検体に対して超音波を送信し、その反射超音波を検出して超音波画像を生成する動作モードである。医師などのユーザは、図示しないキーボードやコンソールスイッチなどの入力手段を用いて、動作モードの選択を行うことができる。あるいは、3つの動作モードを順次に自動的に切り替え、各動作モードで得られた画像を合成して表示してもよい。
【0060】
続いて動作手順を説明する。図5は、光音響画像生成装置10の動作手順を示す。ユーザが選択した動作モードは、変数modeに格納される。制御手段28は、変数modeに応じて処理を切り替える(ステップS1)。制御手段28は、変数modeが第1の動作モードを示す場合は、光音響画像生成装置10において第1の光音響画像生成処理を実施する(ステップS2)。制御手段28は、変数modeが第2の動作モードを示す場合は、光音響画像生成装置10において第2の光音響画像生成処理を実施する(ステップS3)。制御手段28は、変数modeが第3の動作モードを示す場合は、光音響画像生成装置10において第3の光音響画像生成処理を実施する(ステップS4)。光音響画像生成装置10は、ステップS2、S3又はS4で生成された画像を画像表示手段16に表示する(ステップS5)。
【0061】
図6は、第1の光音響画像生成処理の手順を示す。制御手段28は、第1の光源13を発光させる(ステップS21)。制御手段28は、ステップS21では、第1の光源13にトリガ信号を送信する。第1の光源13がフラッシュランプとQスイッチとを含む固体レーザ装置である場合、トリガ信号には、例えばフラッシュランプトリガ信号とQスイッチトリガ信号とが含まれる。第1の光源13では、フラッシュランプトリガ信号に応答してフラッシュランプが点灯され、その後Qスイッチトリガ信号に応答してQスイッチが駆動されて第1の波長のパルスレーザ光が出射される。第1の光源13がレーザダイオードの場合には、レーザドライバ回路がトリガ信号に応答してレーザダイオードにあらかじめ定められた大きさの電流をパルス幅に対応した時間だけ流すことで第1の波長のパルスレーザ光が出射される。
【0062】
第1の光源13から出射したパルスレーザ光は、光ファイバ17、波長分割多重カプラ18、及び光コネクタ20を通じて光ファイバ19に入射し、光ファイバ19により穿刺針15の先端の近傍まで導光され、光出射部19a(図2を参照)から出射して、少なくともその一部が穿刺針15の先端に配置された光吸収部材51に照射される。光吸収部材51は第1の波長の光を吸収して光音響波を発生する(ステップS22)。
【0063】
プローブ11は、レーザ光の照射により発生した光音響波、すなわち光吸収部材51から発せられた光音響波(第1の光音響波)を検出する(ステップS23)。プローブが検出した光音響波は、受信回路21で受信され、そのサンプリングデータが受信メモリ22に格納される。光音響画像生成手段24は、データ分離手段23を介して光音響波の検出信号のサンプリングデータを受信し、光音響画像(第1の光音響画像)を生成する(ステップS24)。光音響画像生成手段24は、カラーマップを適用し(ステップS25)、光音響画像における信号強度を色に変換してもよい。光音響画像生成手段24が生成した光音響画像は、例えば画像出力手段26が有する図示しない画像メモリに格納される(ステップS26)。
【0064】
図7は、第2の光音響画像生成処理の手順を示す。制御手段28は、第2の光源14を発光させる(ステップS31)。制御手段28は、ステップS31では、第2の光源14にトリガ信号を送信する。第2の光源14がフラッシュランプとQスイッチとを含む固体レーザ装置である場合、トリガ信号には、例えばフラッシュランプトリガ信号とQスイッチトリガ信号とが含まれる。第2の光源14では、フラッシュランプトリガ信号に応答してフラッシュランプが点灯され、その後Qスイッチトリガ信号に応答してQスイッチが駆動されて第2の波長のパルスレーザ光が出射される。第2の光源14がレーザダイオードの場合には、レーザドライバ回路がトリガ信号に応答してレーザダイオードにあらかじめ定められた大きさの電流をパルス幅に対応した時間だけ流すことで第1の波長のパルスレーザ光が出射される。
【0065】
第2の光源14から出射したパルスレーザ光は、光ファイバ17、波長分割多重カプラ18、及び光コネクタ20を通じて光ファイバ19に入射し、光ファイバ19により穿刺針15の先端の近傍まで導光され、光出射部19a(図2を参照)から出射する。光出射部19aを覆う光吸収部材51は第2の波長の光を通過させるため、光出射部19aから出射した第2の波長のパルスレーザ光は、穿刺針15の開口から被検体内へ照射される。第2の波長のパルスレーザ光が出射した範囲に第2の波長の光を吸収する吸収体が存在した場合、その吸収体において光音響波(第2の光音響波)が発生する(ステップS32)。
【0066】
プローブ11は、レーザ光の照射により発生した光音響波、すなわち被検体内から発生した光音響波(第2の光音響波)を検出する(ステップS33)。プローブが検出した光音響波は、受信回路21で受信され、そのサンプリングデータが受信メモリ22に格納される。光音響画像生成手段24は、データ分離手段23を介して光音響波の検出信号のサンプリングデータを受信し、光音響画像(第2の光音響画像)を生成する(ステップS34)。光音響画像生成手段24は、カラーマップを適用し(ステップS35)、光音響画像における信号強度を色に変換してもよい。ステップS35で用いられるカラーマップは、第1の光音響画像生成に用いられるカラーマップとは異なることが好ましい。光音響画像生成手段24が生成した光音響画像は、例えば画像出力手段26が有する図示しない画像メモリに格納される(ステップS36)。
【0067】
図8は、超音波画像生成処理の手順を示す。制御手段28は、送信制御回路27に超音波トリガ信号を送信する。送信制御回路27は、それに応答してプローブ11から超音波を送信させる(ステップS41)。プローブ11は、超音波の送信後、反射超音波を検出する(ステップS42)。プローブ11が検出した反射超音波は、受信回路21で受信され、そのサンプリングデータが受信メモリ22に格納される。超音波画像生成手段25は、データ分離手段23を介して反射超音波の検出信号のサンプリングデータを受信し、超音波画像を生成する(ステップS43)。超音波画像生成手段25は、カラーマップを適用し(ステップS44)、超音波画像における信号強度を色に変換してもよい。超音波画像生成手段25が生成した超音波画像は、例えば画像出力手段26が有する図示しない画像メモリに格納される(ステップS45)。
【0068】
ユーザは、穿刺針15の穿刺を行いながら、第1の動作モードから第3の動作モードの間で、動作モードを適宜切り替えることができる。ユーザは、例えば穿刺針15の穿刺開始時は、第3の動作モードを選択して、画像表示手段16に超音波画像を表示させる。穿刺開始後、第1の動作モードに切り替えて、画像表示手段16に第1の光音響画像を表示させる。第1の光音響画像では、第1の波長の光を吸収して光音響波を発生する光吸収部材51の位置が輝点として現れ、第1の光音響画像を参照することにより、穿刺針15の先端位置の確認が可能となる。
【0069】
ユーザは、ある程度穿刺が進んだ場合に、動作モードを第2の動作モードに切り替え、画像表示手段16に第2の光音響画像を表示させる。被検体内の穿刺針15の先端の周辺に第2の波長の光を吸収する光吸収体が存在する場合、第2の光音響画像では、その光吸収体の位置が輝点として現れる。例えば、第2の波長が血液が吸収する波長である場合、穿刺針15の先端の周辺に血液が存在すれば、第2の光音響画像に輝点が現れる。ユーザは、輝点の有無により、穿刺針15を血液が存在する部分まで穿刺できたか否かの判定が可能となる。光音響画像生成装置10は、第2の光音響画像の信号合計値をしきい値判断し、信号合計値がしきい値以上となったときに、ユーザにその旨を通知してもよい。ユーザは、第1の動作モードと第2の動作モードとの間で動作モードを交互に切り替えながら穿刺作業を行ってもよい。
【0070】
上記では、第1の光音響画像、第2の光音響画像、及び超音波画像をそれぞれ独立した動作モードで生成することとしたが、これには限定されない。例えば1つの動作モードの中で、第1の光音響画像及び第2の光音響画像の少なくとも一方と、超音波画像とを生成してもよい。その場合は、画像出力手段26は、第1の光音響画像、第2の光音響画像、及び超音波画像のうちの少なくとも2つの画像を合成する画像合成手段として機能してもよい。画像出力手段26は、第1の光音響画像と超音波画像とを合成して画像表示手段16に表示してもよいし、第2の光音響画像と超音波画像とを合成して画像表示手段16に表示してもよいし、第1の光音響画像と第2の光音響画像と超音波画像とを合成して画像表示手段16に表示してもよい。
【0071】
本実施形態では、第1の光源13が出射する第1の波長の光と、第2の光源14が出射する第2の波長の光とが、選択的に光ファイバ19に入射され、光吸収部材51には、第1の波長の光と第2の波長の光とが選択的に照射される。第1の波長の光が照射される場合、光吸収部材51は光音響波を発生し、その光音響波の検出信号に基づいて第1の光音響画像が生成される。この第1の光音響画像は、穿刺針15の先端の位置情報を含む。一方、第2の波長の光が照射される場合、光吸収部材51は第2の波長の光を通過させ、第2の波長の光は穿刺針15の先端から被検体に照射される。被検体の第2の波長の光が照射された部分に光吸収体が存在する場合、その光吸収体において光音響波が発生し、その光音響波の検出信号に基づいて第2の光音響画像が生成される。この第2の光音響画像は、周辺の環境情報が含まれる。
【0072】
本実施形態では、第1の波長の光を吸収して光音響波を発生し、かつ第2の波長の光は吸収せずに通過させる光吸収部材51を用いる。このような光吸収部材を用い、第1の波長の光と第2の波長の光とを選択的に光吸収部材51に照射することで、一つの穿刺針15で、針先の位置情報と周辺の環境情報との双方を切り分けて取得することができる。第2の波長として、穿刺したい部位に存在する物質が吸収して光音響波を発生する波長を選べば、第2の光音響画像を用いて、穿刺針15を穿刺したい部位まで穿刺できたか否かの判定が可能である。
【0073】
ここで、特許文献2では、発光部から出射した光が針の穿刺方向の前方に存在する被検体内の光吸収体で吸収されることにより生じた光音響波と、発光部から出射した光が穿刺針本体を構成する金属などで吸収されることにより生じた光音響波とが分離不能であるため、光音響画像には2つの輝点が混在することになる。検出される光音響波の強度は、体動やプローブの移動により逐一変化するため、光音響画像において輝点がちらつくことがある。特許文献2では、光音響画像において輝点に輝度低下などが生じた場合、術者は超音波プローブの位置や角度を変えるなどして輝度最大となるプローブ位置や角度を再確認する必要があり、余計な動作を行う必要が生じるという問題があった。本実施形態では、位置情報と周辺の環境情報とを切り分けられるため、そのような問題が生じないというメリットもある。
【0074】
次いで、本発明の第2実施形態を説明する。本実施形態は、穿刺針15が蛍光体を更に有する点で第1実施形態と相違する。蛍光体は、光出射部19a(図2を参照)から出射した光が照射される位置に配置され、光出射部19aから出射した第2の波長の光を第3の波長の光に変換する。第3の波長は、第1の波長及び第2の波長とは異なる。本実施形態では、第2の光源14が第2の波長の光を出射した場合、被検体には第2の波長の光ではなく、第3の波長の光が照射される。その他の点は、第1実施形態と同様でよい。
【0075】
蛍光体は、例えばナノ秒オーダーで発光するものが好ましい。蛍光体には、例えば量子ドット又は有機蛍光体(有機色素)が用いられる。量子ドットはPbS系のものが好ましい。量子ドットには、例えばEvident technologies社のものが用いられる。蛍光体は、例えば光吸収部材51の中に混入される。より詳細には、第1の波長の光を吸収しかつ第2の波長の光を通過させる光吸収体と、蛍光体とが、エポキシ樹脂などの樹脂に混入されている。あるいは、光出射部19aを、蛍光体が混入された樹脂で覆った後に、その蛍光体が混入された樹脂ごと、光吸収体が混入された樹脂で覆ってもよい。逆に、光出射部19aを、光吸収体が混入された樹脂で覆った後に、蛍光体が混入された樹脂で覆ってもよい。
【0076】
光吸収部材51に混入される蛍光体は、穿刺針15ごとに異なっていてもよい。例えば複数の穿刺針15があった場合に、第2の光源14から出射する光の波長を第2の波長としたままで、蛍光体から発せられる蛍光の波長を穿刺針15ごとに異ならせてもよい。例えば、血液用の穿刺針15には、第2の波長の光を波長530nmの光に変換する蛍光体を含ませる。一方、神経用の穿刺針15には、第2の波長の光を波長1210nmの光に変換する蛍光体を含ませる。穿刺場所が血管である場合は血液用の穿刺針15を用い、穿刺場所が神経である場合は神経用の穿刺針を用いる。このようにすることで、第2の光源14が出射する光の波長を変更しなくても、周辺の環境情報の評価対象を選択することができる。
【0077】
図9は、蛍光体の吸収率の波長特性を示す。横軸は波長を表し、縦軸は吸収率を表している。図9には、グラフa〜グラフcのPbS系の3つの蛍光体(量子ドット)の吸収率の波長特性が示されている。図9を参照すると、これら蛍光体は、波長400nm〜500nm程度の範囲において吸収率が高いことがわかる。したがって、第2の光源14には、波長400nm〜500nmの範囲内にある波長の光を出射するものを用いることが好ましい。なお、第1の波長が905nmである場合、グラフb及びcの蛍光体はある程度光を吸収して光音響波を発生するが、発生する光音響波は、光吸収部材51の光吸収体において発生する光音響波に比べて十分に弱く、ノイズ程度であるので問題はない。
【0078】
図10は、蛍光体の蛍光の発光強度の波長特性を示す。横軸は波長を表し、縦軸は発光強度を表す。図10には、グラフa〜グラフcのPbS系の3つの蛍光体(量子ドット)の発光強度の波長特性が示されている。グラフaの蛍光体は、第2の波長の光を励起光として波長約800nmの蛍光を発生する。グラフbの蛍光体は、第2の波長の光を励起光として波長約1100nmの蛍光を発生する。グラフcの蛍光体は、第2の波長の光を励起光として波長約1500nmの蛍光を発生する。このように、第2の波長はそのままで、用いる蛍光体に応じて、異なる波長の蛍光を発生させることができる。
【0079】
本実施形態では、穿刺針15が第2の波長の光を第3の波長の光に変換する蛍光体を有する。この場合も、第3の光の照射により生じた光音響波を検出し、その検出信号に基づいて第2の光音響画像を生成することで、穿刺針15の先端の周辺環境の評価が可能である。本実施形態では、用いられる蛍光体を変えることで蛍光の波長を変更することができるため、評価対象が複数ある場合でも、多数の波長の光を出射する光源を用意する必要がない。このため、装置全体としてコストを低く抑えることができる。その他の効果は第1実施形態と同様である。
【0080】
引き続き、本発明の第3実施形態を説明する。本実施形態は、穿刺針15が外針と内針とを有する点で、第1実施形態及び第2実施形態と相違する。その他の点は、第1実施形態又は第2実施形態と同様でよい。
【0081】
図11は、本実施形態の穿刺針15aの断面を示す。外針を構成する穿刺針本体151は、鋭角に形成された先端に開口を有し、内部に内腔を有する。内針152は、穿刺針本体151の内腔とほぼ同じ大きさの外径を有しており、中空の穿刺針本体151に対して抜き差し可能に構成される。内針152は、穿刺針本体151の基端部側から穿刺針本体151の内腔に挿入され、穿刺針本体151の内腔の少なくとも一部を、例えば生体の切片等が内腔に侵入するのを防ぐ程度に封止する。内針152の基端部には、接続位置合わせのための突起部が設けられており、穿刺針本体151の基端部には、内針152の基端部の突起部に係合する溝が設けられている。穿刺針本体151内に内針152をセットする際は、内針152の基端部の突起と穿刺針本体151の基端部の溝との位置を合わせた上で、内針152の基端部を穿刺針本体151の基端部に嵌合させる。
【0082】
内針152は、光ファイバ19、光吸収部材51、チューブ158、及び透明樹脂159を含む。チューブ158は、例えばポリイミドから成る中空の管である。チューブ158は、ステンレスなどの金属の管であってもよい。チューブ158の外径は、穿刺針本体151の内腔の直径よりもわずかに小さい。透明樹脂159は、チューブ158の管内に配置される。透明樹脂159には、例えばエポキシ樹脂(接着剤)が用いられる。チューブ158及び透明樹脂159は、鋭角に形成された穿刺針先端と同様に、鋭角になっている。透明樹脂159には、光硬化型、熱硬化型、又は常温硬化型のものを用いることができる。
【0083】
光ファイバ19は、透明樹脂159によりチューブ158の中に埋め込まれる。光ファイバ19の先端には光吸収部材51が配置されており、光出射部19aから出射した光は光吸収部材51に照射される。光吸収部材51には、第2実施形態で説明した蛍光体が更に含まれていてもよい。第1の光源13(図1を参照)を発光した場合、光吸収部材51が照射された第1の波長の光を吸収することで、穿刺針の先端において光音響波が発生する。
【0084】
医師などの術者は、穿刺針本体151内に内針152がセットされた状態で、穿刺針15aを被検体へ穿刺する。穿刺針本体151の内腔が内針152により塞がれるため、針を穿刺している途中に肉片などを巻き込むことを防止でき、術者の刺す感覚が妨げられることを防止できる。また、穿刺部位から穿刺針本体151の内腔への水分の流入も防止できる。術者は、被検体への穿刺後、内針152の基端部と穿刺針本体151の基端部との接続を解除し、穿刺針本体151から内針152を抜き取る。内針152を抜き取った後、例えば、穿刺針本体151の基端部にシリンジなどを装着し、麻酔薬などの薬剤の注入を行うことができる。
【0085】
なお、透明樹脂159は、チューブ158の少なくとも先端部分を塞げばよく、必ずしもチューブ158の内部の全体を塞いでいる必要はない。図12は、変形例の穿刺針の先端付近の断面を示す。穿刺針15bにおいて、透明樹脂159は、光ファイバ19の光出射部19aを覆う光吸収部材51を覆い、光ファイバ19(その先端部分)及び光吸収部材51は、透明樹脂159によりチューブ158の内壁に固定される。加えて、透明樹脂159は、チューブ158の先端部分の開口を塞いでいる。このような構成を採用する場合も、内針152の内部への水分などの流入を防ぐことができる。
【0086】
光ファイバ19は、透明樹脂159によってチューブ158の内壁に固定されている必要はなく、光吸収部材51によりチューブ158の内腔に固定されていてもよい。光吸収部材51によりチューブ158の先端部分が塞いでもよく、その場合、透明樹脂159は省略してもよい。また、透明樹脂159を用いて光ファイバ19を埋め込むのに代えて、第1実施形態で説明した光吸収体及び第2実施形態で説明した蛍光体の少なくとも一方が混入された樹脂によって光ファイバ19を埋め込むこととしてもよい。
【0087】
本実施形態では、穿刺針15aは、穿刺針本体151の内腔に内針152を有する。穿刺針15aの穿刺中は、内針152が穿刺針本体151の内腔を塞ぐことで、術者の刺す感覚が妨げられることや、穿刺部位から穿刺針本体151の内腔への水分の流入を防止できる。その他の効果は第1実施形態又は第2実施形態と同様である。
【0088】
なお、上記実施形態では、挿入物として穿刺針15を考えたが、これには限定されない。挿入物は、内部にラジオ波焼灼術に用いられる電極を収容するラジオ波焼灼用針であってもよいし、血管内に挿入されるカテーテルであってもよいし、血管内に挿入されるカテーテルのガイドワイヤであってもよい。あるいは、レーザ治療用の光ファイバであってもよい。
【0089】
上記実施形態では、針として先端に開口を有する針を想定したが、開口は必ずしも先端部分に設けられている必要はない。針は、注射針のような針には限定されず、生体検査に用いられる生検針であってよい。すなわち、生体の検査対象物に穿刺して検査対象物中の生検部位の組織を採取可能な生検針であってもよい。その場合には、生検部位の組織を吸引して採取するための採取部(吸入口)において光音響波を発生させればよい。また、針は、皮下や腹くう内臓器など、深部までの穿刺を目的とするガイディングニードルとして使用されてもよい。
【0090】
穿刺針15は、経皮的に被検体外部から被検体に穿刺されるものには限定されず、超音波内視鏡用の針であってもよい。超音波内視鏡用の針に光ファイバ19と光吸収部材51とを設け、針先端部分に設けられた光吸収部材51に対して第1の波長の光及び第2の波長の光を切り替えて照射し、光音響波を検出して光音響画像(第1の光音響画像及び第2の光音響画像)を生成してもよい。その場合、第1の光音響画像を観察して超音波内視鏡用の針の先端部の位置を確認しながら穿刺することができる。また、第2の光音響画像により、針の周辺に評価対象物質が存在するか否かの判断が可能である。超音波内視鏡用の針の先端部で発生した第1の光音響波及びその周辺で発生した第2の光音響波は、体表用プローブを用いて検出してもよいし、内視鏡に組み込まれたプローブを用いて検出してもよい。
【0091】
第3実施形態では、内針152(図11又は図12を参照)がチューブ158を有する例を説明したが、これには限定されない。チューブ158を用い、チューブ158の内部に透明樹脂159により光ファイバ19を埋め込むことに代えて、穿刺針本体151の内径とほぼ同じ大きさの外径を有する光ファイバ19を用い、光ファイバ19自体を内針として用いてもよい。または、ポリイミド、又はフッ化物樹脂やアクリル樹脂などの樹脂であらかじめ被覆された光ファイバを用いてもよい。
【0092】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明の光音響画像生成装置及び挿入物は、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。例えば、第1の波長の光と第2の波長の光とを切り替えて光ファイバ19に送り込むための具体的構成として、波長多重分割カプラ18を用いているが、これに限定されない。複数の光源からの光を導く複数の光ファイバ17を並べ、穿刺針の先端側に接続されている光ファイバ19の端部をそれら複数の光ファイバ17のうちの1つの端部と位置合わせするスイッチ部材も、適宜用いられる。
【符号の説明】
【0093】
10:光音響画像生成装置
11:プローブ
12:超音波ユニット
13:第1の光源
14:第2の光源
15:穿刺針
16:画像表示手段
17:光ファイバ
18:波長分割多重カプラ
19:光ファイバ
19a:光出射部
20:光コネクタ
21:受信回路
22:受信メモリ
23:データ分離手段
24:光音響画像生成手段
25:超音波画像生成手段
26:画像出力手段
27:送信制御回路
28:制御手段
51:光吸収部材
52:透明樹脂
151:穿刺針本体(外針)
152:内針
158:チューブ
159:透明樹脂
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12