【文献】
森元 幸,色彩豊かなカラフルポテトの特徴と健康機能性,ニューフードインダストリー,株式会社食品資材研究会,2014年10月 1日,第56巻,第10号,第26-32頁,ISSN:0547-0277
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の検査画像の中から、対象患者と同一の症例の患者の同一症例画像であって、前記対象患者の前記検査画像である対象画像内の病変と特徴が類似する病変が描出された前記同一症例画像を検索する検索部を備え、
前記検索部は、前記対象画像内の病変が属するグループと前記同一症例画像内の病変が属するグループを参照して前記検索を行う請求項1ないし6のいずれか1項に記載の診療支援装置。
前記治療効果情報は、前記病変の大きさの時系列変化、前記病変の大きさの縮小率、または前記抗癌剤治療により前記病変の状態が安定してから悪化するまでの期間である無増悪期間のうちの少なくともいずれか1つを含む請求項1ないし7のいずれか1項に記載の診療支援装置。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1実施形態]
図1において、診療支援システム10は、医療施設内に構築され、クライアント端末11、および診療支援装置に相当する診療支援サーバ12等を備える。クライアント端末11と診療支援サーバ12は、医療施設内に敷設されたLAN(Local Area Network)等のネットワーク13を介して相互に通信可能に接続されている。
【0023】
ネットワーク13には、電子カルテサーバ14および画像サーバ15(以下、まとめてサーバ群16と表記)も接続されている。電子カルテサーバ14はカルテデータベース(以下、DB(Data Base)と略記)14Aを有し、カルテDB14Aには電子カルテ17が検索可能に記録されている。画像サーバ15は画像DB15Aを有し、画像DB15Aには各種画像検査で得られた検査画像18、および検査画像18内の病変の情報である病変情報19が検索可能に記録されている。
【0024】
クライアント端末11、診療支援サーバ12、およびサーバ群16は、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、ワークステーションといったコンピュータをベースに、オペレーティングシステム等の制御プログラムや、各種アプリケーションプログラムをインストールして構成される。
【0025】
診療支援サーバ12は、癌を発症した患者に抗癌剤を投与する抗癌剤治療による治療効果を示す治療効果情報の表示画面20を出力する機能を有する。電子カルテサーバ14は電子カルテ17を管理する機能、画像サーバ15は検査画像18および病変情報19を管理する機能をそれぞれ有する。
【0026】
クライアント端末11は、患者を診療する医師や患者を看護する看護師、各種医療検査を実施する検査技師等(以下、まとめて医療スタッフと表記)により操作される。クライアント端末11は、内科、外科、検査科、リハビリ科等の診療科毎や医療スタッフ毎に複数台配備されている。クライアント端末11は、診療支援サーバ12およびサーバ群16が提供する各種機能を利用して患者の診療を行う際、具体的には電子カルテ17、検査画像18、病変情報19、あるいは表示画面20を閲覧する際や、電子カルテ17に各種情報を入力したり、病変情報19を編集する際等に使用される。なお、クライアント端末11は、各診療科に据え置かれる据え置き型でもよいし、各医療スタッフが持ち運ぶ携帯型でもよい。
【0027】
診療支援サーバ12は、クライアント端末11からの配信要求を受け付ける。また、診療支援サーバ12は、医療施設を受診した患者の診療過程で取得された各種診療データをサーバ群16から取得する。診療支援サーバ12は、取得した診療データに基づいて治療効果情報を生成し、生成した治療効果情報を治療効果情報DB12Aに格納する。診療支援サーバ12は、治療効果情報DB12Aの治療効果情報を元に表示画面20を生成する。診療支援サーバ12は、生成した表示画面20を、配信要求の要求元のクライアント端末11に送信する。
【0028】
診療支援サーバ12は、ウェブブラウザ上で閲覧可能な表示画面20を配信する。診療支援サーバ12は、クライアント端末11に対して認証キーを発行して、診療支援サーバ12へのアクセス権限を与える。クライアント端末11には、診療支援サーバ12から配信された表示画面20が表示される。
【0029】
診療支援サーバ12は、表示画面20を、例えば、XML(Extensible Markup Language)等のマークアップ言語によって作成されるウェブ配信用の画面データの形式で出力する。クライアント端末11は、画面データに基づき表示画面20をウェブブラウザ上に再現して表示する。なお、XMLに代えて、JSON(JavaScript(登録商標) Object Notation)等の他のデータ記述言語を利用してもよい。
【0030】
図2において、カルテDB14Aの電子カルテ17は、「P001」といった患者ID(Identification Data)が関連付けられて患者単位で管理される。電子カルテサーバ14は、この患者IDを検索キーとしてカルテDB14Aから電子カルテ17を検索することが可能である。
【0031】
電子カルテ17は複数種類の診療データで構成される。診療データの種類には、診察記録、投薬、イベント等がある。診療データは、これらの種類別に整理されて時系列に記録されている。診察記録には、医師が電子カルテ17に入力した患者の主訴や、オーダした各種医療検査、処方等の措置、確定診断名といった診察内容が記録されている。投薬には、処方した薬剤名、薬種、投与量が記録されている。イベントには、初診、再診、入退院、および抗癌剤治療の開始、終了といった、患者の診療過程で生じた様々なイベント名が記録されている。
【0032】
各種診療データの1件分のレコードは、診察日、投薬日、イベントの発生日といった日付と、診察内容、薬剤名、薬種、投与量、イベント名といった具体的な内容とで構成される。なお、電子カルテ17には、患者IDの他、患者の氏名、性別、年齢、生年月日、嗜好(喫煙、飲酒の有無)といった患者情報が記録されている。また、診療データの種類には、上記に挙げたものの他に、患者の心拍、脈拍、血圧、体温等のバイタルサインの測定結果、血液検査、尿検査等の検体検査の検査結果、各種医療検査、医用レポート作成、手術、麻酔等の指示を記したオーダ、既往歴、医療スタッフ間の連絡事項や備忘録を記したメモ等がある。
【0033】
図3において、画像DB15Aの検査画像18は、電子カルテ17と同じく、患者IDが関連付けられて患者単位で管理される。電子カルテサーバ14と同じく、画像サーバ15は、患者IDを検索キーとして画像DB15Aから検査画像18を検索することが可能である。
【0034】
検査画像18は、各種画像検査で得られた画像である。各種画像検査には、例えば心電図検査、CT(Computed tomography;コンピュータ断層撮影)検査、DR(Digital Radiography;デジタルX線撮影)検査、US(Ultrasonography;超音波)検査、MRI(Magnetic Resonance Imaging;核磁気共鳴画像法)検査、内視鏡検査等がある。CT検査、DR検査、MRI検査等の検査画像18は、例えばDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格のデータファイル形式で作成される。
【0035】
検査画像18の1件分のファイルは、検査画像18の本体と、画像検査の実施日の日付、画像IDおよびオーダID、DR検査等の画像検査の種類および胸部等の撮影部位、方向といった様々な付帯情報とで構成される。画像サーバ15は、こうした付帯情報とともに検査画像18を診療データとして診療支援サーバ12に送信する。
【0036】
画像IDは、各検査画像18を識別するための番号や記号である。また、オーダIDは、画像検査を指示する個々のオーダを識別するための番号や記号である。CT検査等、1回に複数枚の検査画像18が撮影される画像検査の場合は、複数枚の検査画像18が1回の画像検査で得られたことを示すために各検査画像18に共通のオーダIDが付与され、1まとめの検査画像18として管理される。
【0037】
図4において、画像DB15Aの病変情報19は、電子カルテ17、検査画像18と同じく、患者IDが関連付けられて患者単位で管理される。画像サーバ15は、患者IDを検索キーとして画像DB15Aから病変情報19を検索することが可能である。画像サーバ15は、病変情報19を診療データとして診療支援サーバ12に送信する。
【0038】
病変情報19には、検査画像18と同様に画像検査の実施日の日付が記録される。また、病変情報19には画像IDが記録される。この画像IDによって、検査画像18と病変情報19が関連付けられる。
【0039】
病変IDは、検査画像18内の病変を識別するための番号や記号である。ここでは病変IDを、アルファベットの「L」と「1、2、3、4、・・・」の数字との組み合わせとする。病変IDの数字は病変の発生順に付される。つまり、ここでは病変ID「L1」の病変が最初に発生した病変である。1つの検査画像18内に複数の病変が存在する場合には、日付「2014/10/01」の画像ID「DR050」の病変ID「L1」、「L2」、「L3」のように、複数の病変に対応する複数の病変IDが1つの画像IDに対して記録される。
【0040】
発生時期には、その病変IDが最初に付された検査画像18の画像検査の実施日の日付、言い換えればその病変IDで表される病変が最初に発見された検査画像18の画像検査の実施日の日付が記録される。例えば病変ID「L1」の発生時期には「2014/04/12」が、病変ID「L4」の発生時期には「2014/12/22」が記録される。
【0041】
各病変IDには、病変が発生した臓器と区域、並びに画像特徴量が記録される。臓器と区域は、例えば医師により入力されるか、あるいは画像サーバ15で画像解析により自動的に検出される。画像特徴量には、検査画像18内の病変の位置を示す位置座標や、病変の大きさの指標である長径および短径がある。
【0042】
位置座標は、検査画像18を構成する画素の位置を数値で表したものである。位置座標は、検査画像18がDR画像等の二次元画像である場合は二次元座標、検査画像18がCT画像等の三次元画像である場合は三次元座標となる。位置座標には、例えば医師が指定した病変の領域、あるいは画像サーバ15で画像解析により自動的に抽出した病変の領域の、中心や重心の座標が記録される。長径および短径には、例えば医師が入力した数値、あるいは画像サーバ15で画像解析により自動的に算出した数値が記録される。
【0043】
なお、図示は省略するが、画像特徴量には、上記の位置座標、長径、短径の他に、病変の領域の画素値の最大値、最小値、平均値、分散といった画素値関連特徴量、病変の領域の扁平度、凹凸度、円形度といった形状関連特徴量がある。
【0044】
図5は、患者ID「P003」の患者の病変の発生時期を時間軸で表したものである。患者ID「P003」の患者には、発生時期が異なる病変ID「L1」、「L2」、「L3」、「L4」の計4個の病変が発生している。このうち病変ID「L1」の病変は発生時期が最も古く「2014/04/12」である。次いで「2014/10/01」に病変ID「L2」、「L3」の2つの病変が発生し、「2014/12/22」に病変ID「L4」の病変が発生している。
【0045】
画像サーバ15は、新たな検査画像18を画像DB15Aに記録する際に、病変の同定を行う。病変の同定は、これから記録しようとする新たな検査画像18内の病変と、既に画像DB15Aに記録されている過去の検査画像18内の病変とが同じ病変であるか異なる病変であるかを判定する処理である。
【0046】
画像サーバ15は、新たな検査画像18内の病変と過去の検査画像18内の病変とが同じ病変であると判定した場合、新たな検査画像18内の病変に、過去の検査画像18内の病変と同じ病変IDを付す。一方、新たな検査画像18内の病変と過去の検査画像18内の病変とが異なる病変であると判定した場合、新たな検査画像18内の病変に、新たな病変IDを付す。過去の検査画像18がない場合も同様に新たな病変IDを付す。
【0047】
図6は、患者ID「P003」の患者の検査画像18に対する病変の同定の様子を示したものである。ここでは、点線の枠および符号GQで示す、日付「2014/10/01」、画像ID「DR050」、検査種類「DR検査」、撮影部位「胸部」の検査画像18を新たに画像DB15Aに記録する場合を示している。
【0048】
まず、画像サーバ15は、患者ID、検査種類、撮影部位が検査画像GQと一致する検査画像18を画像DB15Aから検索する。ここでは、点線の枠および符号GTで示すように、日付「2014/04/12」、画像ID「DR010」、日付「2014/04/19」、画像ID「DR011」、および日付「2014/04/26」、画像ID「DR012」の3つの検査画像18が検索される。これらの検査画像GTは、上述の過去の検査画像18に相当し、新たな検査画像GQと同一の患者に対して、同一の画像検査かつ同一の撮影部位で異なる日に撮影して得られたものである。
【0049】
次いで、画像サーバ15は、検査画像GT内の病変の領域R010、R011、R012と、検査画像GQ内の病変の領域R050−1、R050−2、R050−3とが同じ領域であるか否かを判定する。この際、画像サーバ15は、例えば特表2005−528974号公報に記載の非剛体位置合わせ技術を用いて判定を行う。
【0050】
図6では、検査画像GQ内の病変の領域R050−1が、検査画像GT内の病変の領域R010、R011、R012と同一であると判定され、一方で検査画像GQ内の病変の領域R050−2、R050−3が、検査画像GT内の病変の領域R010、R011、R012と異なると判定された場合を例示している。この場合、画像サーバ15は、領域R050−1の病変に対して、領域R010、R011、R012の病変に既に付されている病変ID「L1」を付す。一方、領域R050−2、R050−3の病変に対しては、新たな病変ID「L2」、「L3」をそれぞれ付す。こうした病変の同定を行うことで、同じ病変に異なる病変IDが付されたり、異なる病変に同じ病変IDが付されることを防止することができる。
【0051】
図7において、クライアント端末11および診療支援サーバ12を構成するコンピュータは、基本的な構成は同じであり、それぞれ、ストレージデバイス25、メモリ26、CPU(Central Processing Unit)27、通信部28、ディスプレイ29、および入力デバイス30を備えている。これらはデータバス31を介して相互接続されている。
【0052】
ストレージデバイス25は、クライアント端末11等を構成するコンピュータに内蔵、またはケーブルやネットワークを通じて接続されたハードディスクドライブ、もしくはハードディスクドライブを複数台連装したディスクアレイである。ストレージデバイス25には、オペレーティングシステム等の制御プログラムや各種アプリケーションプログラム、およびこれらのプログラムに付随する各種画面の表示データ等が記憶されている。
【0053】
メモリ26は、CPU27が処理を実行するためのワークメモリである。CPU27は、ストレージデバイス25に記憶されたプログラムをメモリ26へロードして、プログラムにしたがった処理を実行することにより、コンピュータの各部を統括的に制御する。
【0054】
通信部28は、ネットワーク13を介した各種情報の伝送制御を行うネットワークインターフェースである。ディスプレイ29は、マウスやキーボード等の入力デバイス30の操作に応じた各種画面を表示する。画面にはGUI(Graphical User Interface)による操作機能が備えられる。クライアント端末11等を構成するコンピュータは、各種画面を通じて入力デバイス30からの操作指示の入力を受け付ける。
【0055】
なお、以下の説明では、クライアント端末11を構成するコンピュータの各部には添え字の「A」を、診療支援サーバ12を構成するコンピュータの各部には添え字の「B」をそれぞれ符号に付して区別する。
【0056】
図8において、ウェブブラウザが起動されると、クライアント端末11のCPU27Aは、メモリ26等と協働して、GUI制御部35、およびブラウザ制御部36として機能する。
【0057】
GUI制御部35は、各種画面をディスプレイ29Aに表示し、かつ各種画面を通じて入力デバイス30Aから入力される操作指示を受け付ける。操作指示には、診療支援サーバ12への表示画面20の配信指示がある。GUI制御部35は、受け付けた操作指示をブラウザ制御部36に出力する。
【0058】
ブラウザ制御部36は、ウェブブラウザの動作を制御する。ブラウザ制御部36は、GUI制御部35からの配信指示に応じた配信要求を診療支援サーバ12に対して発行する。
【0059】
また、ブラウザ制御部36は、診療支援サーバ12からの表示画面20の画面データを受け取る。ブラウザ制御部36は、画面データに基づきウェブブラウザ上に表示する表示画面20を再現し、これをGUI制御部35に出力する。GUI制御部35は、表示画面20をディスプレイ29Aに表示する。
【0060】
図9において、診療支援サーバ12のストレージデバイス25Bには、診療支援プログラム40が記憶されている。診療支援プログラム40は、診療支援サーバ12を構成するコンピュータを、診療支援装置として機能させるためのアプリケーションプログラムであり、診療支援装置の作動プログラムに相当する。
【0061】
診療支援プログラム40が起動されると、診療支援サーバ12のCPU27Bは、メモリ26等と協働して、要求受付部41、提供部42、診療データ取得部43、分類部44、情報生成部45、および管理部46として機能する。提供部42は画面生成部47と画面出力制御部48とで構成される。
【0062】
要求受付部41は、クライアント端末11からの配信要求を受け付ける。要求受付部41は、配信要求を画面生成部47に出力する。
【0063】
画面生成部47は、配信要求に応じて管理部46から治療効果情報を受け取り、受け取った治療効果情報に基づいて表示画面20を生成する。画面生成部47は、生成した表示画面20を画面出力制御部48に出力する。画面出力制御部48は、表示画面20を配信要求の要求元のクライアント端末11に出力する。
【0064】
診療データ取得部43は、サーバ群16に対して、定期的、例えば1日毎に診療データの取得要求を発行する。診療データ取得部43は、この取得要求に応じてサーバ群16から送信された診療データを取得する。診療データ取得部43は、取得した診療データを分類部44および情報生成部45に出力する。
【0065】
分類部44は、抗癌剤治療を施された患者が有する複数の病変を、発生時期に応じて複数のグループに分類する。分類部44は、分類の結果をまとめた分類情報を生成し、これを管理部46に出力する。
【0066】
情報生成部45は、診療データ取得部43からの診療データ、および管理部46からの分類情報に基づいて、複数のグループ毎に治療効果情報を生成する。情報生成部45は、生成した治療効果情報を管理部46に出力する。
【0067】
また、情報生成部45は、診療データ取得部43からの診療データに基づいて、抗癌剤治療を施された患者の抗癌剤治療の履歴を示す治療履歴情報を生成する。情報生成部45は、生成した治療履歴情報を管理部46に出力する。分類部44は、診療データ取得部43からの診療データ、管理部46からの治療履歴情報、並びにストレージデバイス25Bに格納された分類条件テーブル49からの分類条件(
図10および
図11参照)に基づいて分類を行う。
【0068】
治療効果情報DB12Aには、治療履歴情報が登録される治療履歴情報テーブル50(
図12参照)、分類情報が登録される分類情報テーブル51(
図13参照)、および治療効果情報が登録される治療効果情報テーブル52(
図14参照)が格納されている。管理部46は、各テーブル50〜52への各情報の登録、および各テーブル50〜52からの各情報の読み出しを管理する。例えば、管理部46は、治療効果情報テーブル52から治療効果情報を読み出し、読み出した治療効果情報を表示画面20の生成のために画面生成部47に出力する。
【0069】
図10において、分類条件テーブル49には、複数のグループを識別するための番号や記号であるグループIDおよびグループ名と、分類条件として各グループの期間の起算日(開始日)および満了日(終了日)とが登録されている。
【0070】
グループは、大別して、第1回抗癌剤治療を開始する前の治療前グループ(グループID「G0」)と、第1回抗癌剤治療の開始以後の治療以後グループ(グループID「G1」、「G2」、・・・)とに分けられる。治療前グループの起算日には何も登録されておらず、満了日には「第1回抗癌剤治療の開始日の前日」が登録されている。このため、治療前グループには、第1回抗癌剤治療の開始日より前に発生時期が該当する病変(以下、原発病変)が分類される。
【0071】
一方、各治療以後グループの起算日には、例えばグループID「G2」の2回治療以後グループの「第2回抗癌剤治療の開始日」のように、「今回の抗癌剤治療の開始日」、満了日には、例えばグループID「G3」の3回治療以後グループの「第4回抗癌剤治療の開始日の前日」のように、「次回の抗癌剤治療の開始日の前日」がそれぞれ登録されている。これを1以上の自然数Nを用いて表現すると、N回治療以後グループの起算日には「第N回の抗癌剤治療の開始日」、満了日には「第N+1回の抗癌剤治療の開始日の前日」がそれぞれ登録されている、となる。このため、各治療以後グループには、第1回抗癌剤治療以後で、今回の抗癌剤治療の開始日から次回の抗癌剤治療の開始日の前日までに発生時期が該当する病変(以下、後発病変)が分類される。
【0072】
図11は、
図10の分類条件テーブル49の分類条件を時間軸で表したものである。このように、グループは、各回の抗癌剤治療の開始日を基準に分けられる。なお、次回の抗癌剤治療が開始されていない場合は、当該治療以後グループの満了日には診療データ取得部43で診療データを取得した日が自動的に設定される。
【0073】
図12に示すように、治療履歴情報テーブル50には、患者ID毎に治療履歴情報が登録されている。治療履歴情報は、各回の抗癌剤治療の開始日および終了日と、投与した抗癌剤の薬剤名とで構成される。なお、
図12では患者ID「P003」の患者の治療履歴情報のみを示しているが、実際には他の患者の治療履歴情報も登録されている。
図13の分類情報テーブル51、
図14の治療効果情報テーブル52も同様である。
【0074】
図13に示すように、分類情報テーブル51には、患者ID毎に分類情報が登録されている。分類情報は、病変IDと、各病変IDの病変が分類部44によって分類されたグループのグループIDとで構成される。なお、
図13では、理解を助けるためにグループIDにグループ名を併記している。
図14の治療効果情報テーブル52も同様である。
【0075】
図14に示すように、治療効果情報テーブル52には、患者ID毎に治療効果情報が登録されている。治療効果情報はグループID毎にまとめられており、病変IDと、画像検査の実施日の日付と、画像特徴量のうちの長径とで構成される。グループIDと病変IDの対応関係は、分類情報テーブル51の病変IDとグループIDの対応関係と一致している。1つの病変IDの治療効果情報は、その病変IDの病変の長径の時系列変化を示している。
【0076】
図15に示すように、治療履歴情報テーブル50の抗癌剤、分類情報テーブル51の病変ID(病変)およびグループID(グループ)、並びに治療効果情報テーブル52の治療効果情報は、患者IDで互いに関連付けられている。なお、患者IDではなく、専用の関連付けIDを管理部46で発行して各情報を関連付けてもよい。また、各テーブル50〜52を統合し、1つのテーブルで各情報を管理してもよい。
【0078】
図16において、情報生成部45は、診療データ取得部43からの投薬およびイベントの診療データに基づいて、治療履歴情報を生成する。なお、
図16では、簡単化のため管理部46の図示を省略している。
図17、
図19、
図21、
図24〜
図27も同様である。
【0079】
図17は、患者ID「P003」の患者の治療履歴情報の生成の様子を示したものである。この場合、情報生成部45は、患者ID「P003」の患者のイベントの診療データから、第1回抗癌剤治療の開始日である「2014/04/13」や第2回抗癌剤治療の終了日である「2014/11/03」等、各回の抗癌剤治療の開始日および終了日を抜き出す。
【0080】
また、情報生成部45は、患者ID「P003」の患者の投薬の診療データから、第1回抗癌剤治療の開始日である「2014/04/13」に投与された「イリノテカン」、「シスプラチン」等、各回の抗癌剤治療で投与された抗癌剤の薬剤名を抜き出す。
【0081】
こうして情報生成部45が抜き出した各回の抗癌剤治療の開始日および終了日、並びに各回の抗癌剤治療で投与された抗癌剤の薬剤名は、治療履歴情報として治療履歴情報テーブル50に登録される。この患者ID「P003」の患者の抗癌剤治療の治療履歴と、病変の発生時期とを時間軸で表すと、
図18に示すようになる。
【0082】
分類部44は、病変の分類に先立ち、2つの中間処理データを生成する。まず、
図19に示すように、分類部44は、治療履歴情報テーブル50からの治療履歴情報、および分類条件テーブル49からの分類条件に基づいて、中間処理データとして患者別分類条件テーブル60を生成する。患者別分類条件テーブル60は、分類条件テーブル49の分類条件を各患者の治療履歴情報に応じて書き換え、書き換えた各患者専用の分類条件を患者ID毎に登録したものである。
【0083】
また、
図20に示すように、分類部44は、診療データ取得部43からの病変情報19に基づいて、中間処理データとして患者別発生時期テーブル61を生成する。患者別発生時期テーブル61は、各患者の病変情報19の病変IDとこれに対応する発生時期を、患者ID毎に登録したものである。分類部44でこうした患者別分類条件テーブル60および患者別発生時期テーブル61を生成するのは、抗癌剤治療の回数、各回の抗癌剤治療の開始日および終了日、並びに各病変の発生時期が患者によって異なるためである。
【0084】
図21は、患者ID「P003」の患者の患者別分類条件テーブル60の生成の様子を示したものである。この場合、分類部44は、治療履歴情報テーブル50の患者ID「P003」の項から、各回の抗癌剤治療の開始日である「2014/04/13」、「2014/10/02」、「2014/12/23」を抜き出し、患者別分類条件テーブル60の患者ID「P003」の項の各治療以後グループの起算日に転記する。
【0085】
また、分類部44は、各回の抗癌剤治療の開始日から1を減算した日、すなわち各回の抗癌剤治療の開始日の前日である「2014/04/12」、「2014/10/01」、「2014/12/22」を、患者別分類条件テーブル60の患者ID「P003」の項の治療前グループ、および1回、2回治療以後グループの満了日に転記する。
【0086】
患者ID「P003」の患者には第4回の抗癌剤治療は開始されていないので、3回治療以後グループの満了日には、診療データを取得した日である「2015/01/30」が自動的に設定される。この患者ID「P003」の患者の各グループの期間と、病変の発生時期と治療履歴とを時間軸で表すと、
図22に示すようになる。なお、分類条件には各回の抗癌剤治療の終了日は関わらないため、治療履歴情報テーブル50に各回の抗癌剤治療の終了日を登録しなくてもよい。
【0087】
図23は、患者ID「P003」の患者の患者別発生時期テーブル61の生成の様子を示したものである。この場合、分類部44は、患者ID「P003」の病変情報19から、各病変ID「L1」、「L2」、「L3」、「L4」とこれらに対応する発生時期「2014/04/12」、「2014/10/01」、「2014/10/01」、「2014/12/22」を抜き出し、患者別発生時期テーブル61の患者ID「P003」の項に転記する。
【0088】
図24に示すように、分類部44は、患者別分類条件テーブル60および患者別発生時期テーブル61に基づいて、患者毎に病変をグループに分類し、分類情報を生成する。また、
図25に示すように、情報生成部45は、診療データ取得部43からの病変情報19、および分類情報テーブル51からの分類情報に基づいて、治療効果情報を生成する。
【0089】
図26は、患者ID「P003」の患者の分類情報の生成の様子を示したものである。この場合、分類部44は、患者別分類条件テーブル60の患者ID「P003」の各グループの起算日および満了日と、患者別発生時期テーブル61の患者ID「P003」の各病変IDの発生時期とを照合する。そして、発生時期が起算日および満了日で示す期間に該当するグループを、その病変IDの病変のグループと決定する。例えば病変ID「L4」の病変は、発生時期が「2014/12/22」であるため、起算日「2014/10/02」〜満了日「2014/12/22」の2回治療以後グループと決定する(
図22も参照)。こうした照合により各病変IDに対して決定したグループのグループIDが、病変IDとともに分類情報として出力され、分類情報テーブル51に登録される。
【0090】
図27は、患者ID「P003」の患者の治療効果情報の生成の様子を示したものである。この場合、情報生成部45は、患者ID「P003」の患者の病変情報19から、日付と長径を抜き出す。こうして情報生成部45が抜き出した日付と長径は、治療効果情報テーブル52の患者ID「P003」の、分類情報テーブル51の分類情報によって分けられた各グループの各病変IDの項に転記される。
【0091】
図28において、表示画面20は、第1領域70と第2領域71とを有する。第1領域70は、表示画面20の配信指示を入力するための領域である。第2領域71は、治療効果情報を表示するための領域である。
【0092】
第1領域70には、第2領域71に治療効果情報を表示する患者の患者IDを入力するための患者ID入力ボックス72、第2領域71に表示する治療効果情報の期間を入力するための期間入力ボックス73A、73B、および表示ボタン74が設けられている。
【0093】
図28は、診療支援サーバ12への認証後にディスプレイ29Aに最初に表示される表示画面20を示している。この場合、第2領域71には治療効果情報は表示されず、患者IDと期間の入力、および表示ボタン74の選択を促すメッセージが表示される。
【0094】
患者ID入力ボックス72に所望の患者ID、期間入力ボックス73A、73Bに所望の期間がそれぞれ入力され、表示ボタン74がカーソル75で選択されると、GUI制御部35は、患者ID入力ボックス72に入力された患者ID、期間入力ボックス73A、73Bに入力された期間を含む配信指示をブラウザ制御部36に出力する。ブラウザ制御部36は、患者IDおよび期間を検索キーとする配信要求を発行する。
【0095】
画面生成部47は、配信要求で検索キーとして指定された患者IDの治療効果情報を管理部46から受け取る。画面生成部47は、受け取った治療効果情報のうち、配信要求で検索キーとして指定された期間内の日付の長径の時系列変化を表す折れ線グラフを生成する。画面生成部47は、生成した折れ線グラフを、治療効果情報として第2領域71に表示する。
【0096】
より具体的には
図29および
図30に示すように、画面生成部47は、第2領域71に、病変の長径を縦軸、日付を横軸とする二次元平面76を描画し、この二次元平面76内に折れ線グラフLを表示する。折れ線グラフLは、二次元平面76に各日付の長径をプロットした点を、直線で結んだものである。
【0097】
二次元平面76には、折れ線グラフLがどのグループの病変の長径の時系列変化を表すものであるかを示す凡例77と、病変の縮小率78とが表示される。凡例77は、治療効果情報のグループIDに基づいて表示される。縮小率78は、指定された期間内で最新の日付の長径を、指定された期間内で最も古い日付の長径で除算した値である。例えば最新の日付の長径が「1」、最も古い日付の長径が「41」であった場合、縮小率78は1/41≒0.02である。縮小率78が小さいほど、治療効果が高いといえる。
【0098】
また、二次元平面76には、指定された患者IDの治療履歴情報に基づいて、抗癌剤治療の期間、および抗癌剤の薬剤名が表示される。
【0099】
縦軸の長径は、指定された期間内で最も古い日付の長径を基準の「1.0」として、他の日付の長径を規格化したものである。このため折れ線グラフLは全て長径「1.0」が起点となる。また、折れ線グラフLの各プロットに対応する縦軸の長径は、指定された期間内で最も古い日付からの長径の縮小率に他ならない。なお、縦軸の長径は規格化せずともよいが、規格化したほうが各折れ線グラフLの比較がしやすいため好ましい。
【0100】
図29は、患者ID「P003」の患者について、第1回の抗癌剤治療の治療効果を判定するべく、患者ID入力ボックス72に患者ID「P003」、期間入力ボックス73A、73Bに「2014/4」、「2014/6」がそれぞれ入力されて表示ボタン74が選択された場合の表示画面20を示している。この場合、「2014/4」〜「2014/6」の期間には、
図14の治療効果情報テーブル52からも分かるように、病変ID「L2」〜「L4」の病変は発生しておらず、これらの治療効果情報が治療効果情報テーブル52にないため、第2領域71には、「2014/4」〜「2014/6」の期間に治療効果情報がある、病変ID「L1」の病変の長径の時系列変化を示す折れ線グラフLG0(ダイヤ形の点および実線で示す)のみが表示される。また、縮小率78として、病変ID「L1」の病変の長径の縮小率78G0が表示される。
【0101】
一方、
図30は、患者ID「P003」の患者について、第2回の抗癌剤治療の治療効果を判定するべく、患者ID入力ボックス72に患者ID「P003」、期間入力ボックス73A、73Bに「2014/10」、「2014/12」がそれぞれ入力されて表示ボタン74が選択された場合の表示画面20を示している。この場合、「2014/10」〜「2014/12」の期間には、
図14の治療効果情報テーブル52からも分かるように、病変ID「L1」の病変に加えて、病変ID「L2」、「L3」の病変が発生しており、これらの治療効果情報も治療効果情報テーブル52にあるため、第2領域71には、折れ線グラフLG0に加えて、病変ID「L2」の病変の長径の時系列変化を示す折れ線グラフLG1A(正方形の点および破線で示す)、および病変ID「L3」の病変の長径の時系列変化を示す折れ線グラフLG1B(円形の点および破線で示す)が表示される。また、縮小率78として、縮小率78G0に加えて、病変ID「L2」、「L3」の病変の長径の各縮小率を平均した平均縮小率78G1が表示される。
【0102】
折れ線グラフLG0は、治療前グループの病変ID「L1」の病変の長径の時系列変化を示している。一方、折れ線グラフLG1A、LG1Bは、1回治療以後グループの病変ID「L2」、「L3」の病変の長径の時系列変化をそれぞれ示している。また、縮小率78G0は、治療前グループの病変ID「L1」の病変の長径の縮小率を示し、縮小率78G1は、1回治療以後グループの病変ID「L2」、「L3」の病変の長径の平均縮小率を示している。このように、第2領域71には、各グループの病変の長径の時系列変化および縮小率が比較可能に並べて表示される。
【0103】
なお、図示は省略するが、例えば第3回の抗癌剤治療の期間を含む「2014/12」〜「2015/2」が期間に指定された場合は、折れ線グラフLG0、LG1A、LG1Bに加えて、2回治療以後グループの病変ID「L4」の病変の長径の時系列変化を示す折れ線グラフLが表示される。また、縮小率78G0、78G1に加えて、2回治療以後グループの病変ID「L4」の病変の長径の縮小率78が表示される。
【0104】
以下、上記構成による作用について、
図31および
図32のフローチャートを参照して説明する。まず、
図31に示すように、診療支援サーバ12では、以下のように情報生成・登録処理S100が実施される。まずステップS101に示すように、サーバ群16からの診療データが診療データ取得部43で取得される。診療データは分類部44および情報生成部45に出力される。
【0105】
情報生成部45では、診療データ取得部43からの投薬およびイベントの診療データに基づいて、治療履歴情報が生成される(ステップS102)。治療履歴情報は、管理部46により治療履歴情報テーブル50に登録される(ステップS103)。
【0106】
分類部44では、治療履歴情報テーブル50からの治療履歴情報、および分類条件テーブル49からの分類条件に基づいて、患者別分類条件テーブル60が生成される。また、診療データ取得部43からの病変情報19に基づいて、患者別発生時期テーブル61が生成される。そして、ステップS104に示すように、患者別分類条件テーブル60および患者別発生時期テーブル61に基づいて、各患者の病変が発生時期に応じたグループに分類される。これにより生成された分類情報は、管理部46により分類情報テーブル51に登録される(ステップS105)。
【0107】
次いでステップS106に示すように、情報生成部45により、診療データ取得部43からの病変情報19、および分類情報テーブル51からの分類情報に基づいて、治療効果情報が生成される。治療効果情報は、管理部46により治療効果情報テーブル52に登録される(ステップS107)。
【0108】
治療履歴情報テーブル50の抗癌剤、分類情報テーブル51の病変ID(病変)およびグループID(グループ)、並びに治療効果情報テーブル52の治療効果情報が、患者IDで互いに関連付けられているので、どの患者がどういった抗癌剤を使用し、どういった発生時期で何個病変が発生し、さらに抗癌剤治療によってどういった治療効果があったのかを把握することができる。
【0109】
抗癌剤治療の治療効果を判定する場合、医師は、クライアント端末11を通じて診療支援サーバ12にアクセスして認証を行う。認証後、クライアント端末11のディスプレイ29Aには、
図28に示す表示画面20が表示される。医師は、表示画面20の第1領域70を通じて配信指示を入力する。これによりクライアント端末11から診療支援サーバ12に表示画面20の配信要求が送信される。
【0110】
図32において、診療支援サーバ12では、要求受付部41により配信要求が受け付けられる(ステップS200でYES)。配信要求は画面生成部47に出力される。これにより治療効果情報の提供処理S300が提供部42で実施される。より具体的には、まず管理部46から画面生成部47に、配信要求で指定された患者IDの患者の治療効果情報が出力される。そして、ステップS301に示すように、画面生成部47により治療効果情報に基づく表示画面20が生成される。生成された表示画面20は画面出力制御部48により配信要求の要求元のクライアント端末11に出力される(ステップS302)。
【0111】
クライアント端末11では、診療支援サーバ12からの表示画面20がブラウザ制御部36で受け取られる。そして、GUI制御部35により表示画面20がディスプレイ29Aに表示される。
【0112】
医師は、表示画面20を閲覧し、抗癌剤治療の治療効果を判定する。表示画面20の第2領域71には、治療効果情報として、病変の長径の時系列変化を示す折れ線グラフL、および指定された期間内の病変の長径の縮小率78が表示される。このため医師は、抗癌剤治療によって病変がどれだけ縮小したかを容易に確認することができる。例えば
図29では、第1回の抗癌剤治療により、病変が略なくなるまで縮小していることが分かり、第1回の抗癌剤治療で良好な治療効果が表れていることが分かる。
【0113】
分類部44により病変を発生時期に応じてグループに分類し、情報生成部45によりグループ毎に治療効果情報を生成するので、
図30に示す折れ線グラフLG0、LG1A、LG1Bおよび縮小率78G0、78G1のように、各グループの病変の長径の時系列変化および縮小率を比較可能に並べて表示することができる。これにより医師は、治療効果をグループ毎に見分けることができる。
【0114】
例えば
図30では、折れ線グラフLG1A、LG1Bおよび縮小率78G1により、第2回の抗癌剤治療では、1回治療以後グループの病変に対しては、第1回の抗癌剤治療における治療前グループの病変と同様の治療効果が認められることが分かる。一方、折れ線グラフLG0および縮小率78G0により、治療前グループの病変に対しては、1回治療以後グループの病変と比較して、第2回の抗癌剤治療ではあまり治療効果が上がっていないことが分かる。
【0115】
このように病変の発生時期による治療効果の差を明示するので、例えば次回の抗癌剤治療では治療効果が上がっていないグループの病変に治療を集中させる等、医師は抗癌剤治療の治療方針を決定しやすくなる。したがって、抗癌剤治療の治療方針を決定する際の医師の負担を軽減することができる。
【0116】
各回の抗癌剤治療の開始日を基準にグループが分けられるので、各回の抗癌剤治療の開始前に発生した病変と、各回の抗癌剤治療の開始以後に発生した病変のそれぞれの治療効果の差を明示することができる。
【0117】
また、第1回抗癌剤治療の開始日より前に発生時期が該当する原発病変が分類される治療前グループと、第1回抗癌剤治療以後に発生時期が該当する後発病変が分類される治療以後グループとに分けられるので、原発病変と後発病変のそれぞれの治療効果の差を明示することができる。
【0118】
なお、グループは、例えば
図33に示す分類条件テーブル85のように、原発病変の発生時期を基準に分けてもよい。
【0119】
図33において、分類条件テーブル85には、原発病変の発生時期から、その3か月経過日の前日までの「0〜3か月グループ」(グループID「G0−3」)、3か月経過日から半年経過日の前日までの「3か月〜半年グループ」(グループID「G3−6」)等、期間を3か月毎に区切った複数のグループの分類条件が登録されている。このように、各回の抗癌剤治療の開始日と関係なくグループが分けられていれば、各回の抗癌剤治療の開始日が不明の場合でも病変をグループ分けすることができる。なお、グループを区切る期間を、1か月毎、3か月毎、半年毎等、表示画面20上で医師がマニュアル操作により設定変更可能に構成してもよい。
【0120】
分類条件を医師がマニュアル操作により設定変更する例を
図34に模式的に示す。この場合、
図10に示す分類条件や
図33に示す分類条件等、複数の分類条件1、2、3、・・・が登録された分類条件テーブル86を用意し、医師の求めに応じて使用する分類条件を切り替える。なお、
図34は、矢印の左側の分類条件1を使用している状態から、医師のマニュアル操作により分類条件2に設定変更されて、分類条件2を使用する右側の状態に切り替わった様子を示している。
【0121】
さらに、医師が独自に設定した分類条件を、分類条件テーブルに登録可能に構成してもよい。
【0122】
上記第1実施形態では、病変の発生時期を画像検査の実施日の日付としているが、病変の発生時期は、必ずしも画像検査の実施日の日付と一致しないことがある。例えば初診の日に撮影した検査画像18内の病変がある程度の大きさを有する場合は、初診の日よりも前に病変が発生している。また、ある検査画像18で発生したと判断した病変が、ある検査画像18よりも過去の検査画像18にも描出されていることもある。そこで、医師による病変の発生時期の修正を受け付け、病変の発生時期を修正可能に構成してもよい。
【0123】
上記第1実施形態では、診療データ取得部43で定期的に診療データを取得し、分類部44による病変のグループ分けや情報生成部45による治療効果情報の生成を行っているが、要求受付部41で配信要求を受け付けたときに、診療データの取得、病変のグループ分け、および治療効果情報の生成を行ってもよい。
【0124】
[第2実施形態]
抗癌剤治療による治療効果は、病変が発生した臓器、または種類に応じても異なることが予想される。そこで、
図35に示す第2実施形態では、発生時期に応じてグループ分けした病変を、さらに臓器および種類に応じて分ける。なお、この場合は、病変情報19の各病変IDに種類が記録される。種類は、医師が入力したものを記録してもよいし、画像サーバ15で画像解析により自動的に判断したものを記録してもよい。
【0125】
図35において、本実施形態の治療効果情報テーブル90には、病変が発生した臓器と病変の種類の項が設けられており、各グループに分類された病変が、さらに臓器と種類で細かく分けられている。例えば1回治療以後グループに分類された病変は、乳房に発生した非浸潤性癌である病変ID「L3」の病変と、肺に発生した小細胞癌である病変ID「L4」の病変とに分けられる。
【0126】
こうして病変を臓器と種類でさらに分けることで、例えば折れ線グラフLを臓器や種類別に区別して表示したり、臓器や種類毎に縮小率78を表示したりすることができる。なお、
図35では臓器と種類に応じて病変を分けたが、臓器、または種類のうちのいずれか1つに応じて分けてもよい。
【0127】
図35の治療効果情報テーブル90のようなグループ、臓器、種類毎に登録された治療効果情報に統計処理を施した結果を治療効果情報として表示することもできる。
【0128】
例えば
図36に示すように、肺に発生した小細胞癌について、抗癌剤別の治療効果を示す抗癌剤別治療効果表91を、治療効果情報として表示画面20の第2領域71に表示する。抗癌剤別治療効果表91は、抗癌剤「イリノテカン シスプラチン」と「シスプラチン エトポシド」の各組合せについて、治療前グループと1回治療以後グループの各々の適用症例(患者)数、並びに治療前グループと1回治療以後グループの各々のグループの肺小細胞癌の病変に対する縮小率と無増悪期間のそれぞれの平均(平均縮小率、平均無増悪期間)を示したものである。
【0129】
抗癌剤の情報は治療履歴情報テーブル50から得ることができ、適用症例数は各組合せの抗癌剤を使用した患者の数をカウントすることで求めることができる。平均縮小率は、治療効果情報の長径の最小値を最大値で除算することで各適用症例の縮小率を算出し、各適用症例の縮小率を積算して適用症例数で除算すれば求められる。
【0130】
ここで、無増悪期間は、抗癌剤治療により病変の状態が安定してから悪化するまでの期間である。例えば
図37に示すように、ある患者のある病変が、抗癌剤治療により縮小して「2015/06/10」に長径「1」となり、「2015/09/19」に再発して長径「22」となった場合、無増悪期間は「2015/06/10」〜「2015/09/18」の100日間である。無増悪期間が長いほど、治療効果が高いといえる。平均無増悪期間は、平均縮小率と同じく、各適用症例の無増悪期間を積算して適用症例数で除算すれば求められる。
【0131】
こうした統計処理の結果を治療効果情報として表示すれば、医師はより適切な抗癌剤治療の治療方針を容易に決定することができる。例えば
図36の抗癌剤別治療効果表91から、どの抗癌剤がどのグループの病変に対して治療効果があるかが分かる。より具体的には、治療前グループの病変に対する治療効果は、抗癌剤「イリノテカン シスプラチン」の組合せのほうが高いが、1回治療以後グループの病変に対する治療効果は、抗癌剤「シスプラチン エトポシド」の組合せのほうが高いことが分かる。このことから、例えば1回治療以後グループの病変に集中して治療を施したい場合には、抗癌剤「イリノテカン シスプラチン」の組合せよりも、抗癌剤「シスプラチン エトポシド」の組合せを選択したほうがよいことが分かる。
【0132】
なお、上記第1実施形態では、病変の長径の時系列変化を折れ線グラフLの形態で表示しているが、日付と病変の長径を羅列した表の形態で表示してもよい。また、病変の長径だけでなく短径の時系列変化や縮小率を治療効果情報として表示してもよい。さらに、統計処理をする場合は、抗癌剤治療の開始から所定年数経過した患者の生存率(例えば5年生存率)または病変の再発率(例えば1年再発率)や、病変が完全に消失または所定割合縮小した患者の割合である奏効率等を治療効果情報として表示してもよい。
【0133】
[第3実施形態]
患者の診療過程においては、類似画像検索がしばしば行われる。類似画像検索は、具体的には、複数の検査画像18の中から、対象患者と同一の症例の患者の検査画像18(以下、同一症例画像18S)であって、対象患者の検査画像18(以下、対象画像18R)内の病変と特徴が類似する病変が描出された同一症例画像18Sを検索するものである。
【0134】
従来の類似画像検索では、対象画像18R内の病変と同一症例画像18S内の病変との画像特徴量に基づく類似性は加味されていたが、各病変が属するグループの類似性までは加味されていなかった。そこで、
図38〜
図41に示す第3実施形態では、診療支援サーバ12のCPU27Bに類似画像検索機能を担わせ、各病変が属するグループも加味した類似画像検索を行わせる。
【0135】
図38において、本実施形態の診療支援サーバ12のCPU27Bには、上記第1実施形態の各機能部に加えて、検索部95が構築される。なお、
図38では、診療データ取得部43、分類部44、および情報生成部45の図示を省略している。
【0136】
この場合、要求受付部41は、クライアント端末11からの類似画像の検索要求を受け付ける。要求受付部41は、検索要求を検索部95に出力する。
【0137】
検索要求には、対象画像18Rの画像IDが含まれる。また、検索要求には、対象患者と同一の症例の患者を特定するための情報が含まれる。対象患者と同一の症例の患者を特定するための情報は、具体的には対象患者の病変の発生臓器や種類等である。
【0138】
検索部95は、画像サーバ15に検索要求を発行する。画像サーバ15は、画像DB15Aの複数の検査画像18の中から、対象画像18Rと同じ検査種類および撮影部位で、かつ検索要求で指定された臓器や種類と同じ臓器や種類が病変情報19に記録された検査画像18を同一症例画像18Sとして検索する。画像サーバ15は、検索した同一症例画像18Sおよびその病変情報19を検索部95に送信する。検索部95は、画像サーバ15から送信された同一症例画像18Sおよび病変情報19を取得する。
【0139】
検索部95は、画像サーバ15から送信された同一症例画像18Sの中から、さらに最終的に類似画像とする同一症例画像18Sを決定する。より詳しくは、検索部95は、対象画像18R内の病変と、同一症例画像18S内の病変の類似度を算出する。
【0140】
類似度は、例えば特開2011−118543号公報に記載されているように、対象画像18R内の病変と同一症例画像18S内の病変の双方の画像特徴量の差分の絶対値に適当な重み付け係数を掛けたものの総和である。この場合、双方の画像特徴量の差分が小さいほど類似度は低い値となり、対象画像18R内の病変と同一症例画像18S内の病変は類似性が高いといえる。一方、双方の画像特徴量の差分が大きいほど類似度は大きい値となり、対象画像18R内の病変と同一症例画像18S内の病変は類似性が低いといえる。なお、画像特徴量は、画像サーバ15からの病変情報19に記録されている。
【0141】
検索部95は類似度に閾値を設定し、設定した閾値による判定条件をクリアした同一症例画像18Sを類似画像と決定する。検索部95は、類似画像と決定した同一症例画像18Sを画面生成部47に出力する。
【0142】
画面生成部47は、対象画像18Sと、検索部95から類似画像として出力された同一症例画像18Sを比較可能に表示する検索結果表示画面(図示せず)を生成し、これを画面出力制御部48に出力する。画面出力制御部48は、検索結果表示画面を、検索要求の要求元のクライアント端末11に送信する。なお、検索結果表示画面も表示画面20と同様に、ウェブ配信用の画面データの形式で出力される。
【0143】
図39に示すように、検索部95は、類似画像の決定に先立ち、画像サーバ15からの同一症例画像18Sの病変情報19と、分類情報テーブル51からの分類情報とに基づいて、画像グループ対応テーブル100を生成する。画像グループ対応テーブル100は、画像サーバ15から送信された同一症例画像18S毎に、同一症例画像18S内の病変が属するグループを登録したものである。
【0144】
図40は、患者ID「P500」の画像ID「DR500」の同一症例画像18Sの画像グループ対応テーブル100の生成の様子を示したものである。この場合、検索部95は、患者ID「P500」の病変情報19の画像ID「DR500」に記録された4つの病変ID「L1」、「L2」、「L3」、「L4」の各病変が、分類部44によりどのグループに分類されたかを、分類情報テーブル51の患者ID「P500」の分類情報から調べる。そして、調べたグループのグループIDを、画像グループ対応テーブル100の画像ID「DR500」の項に転記する。なお、図示は省略するが、検索部95は、画像ID「DR500」以外の同一症例画像18Sおよび対象画像18Rについても同様に、病変のグループを分類情報で調べて画像グループ対応テーブル100を生成する。
【0145】
検索部95は、画像グループ対応テーブル100に登録された対象画像18Rと同一症例画像18Sの双方のグループIDを比較し、対象画像18Rと同じ組合せのグループIDが登録された同一症例画像18Sを抽出する。そして、抽出した同一症例画像18Sのみを類似度の算出対象とする。
【0146】
図41は、画像ID「DR250」の対象画像18Rの類似画像検索の様子を示している。この場合、検索部95は、対象画像18Rの画像グループ対応テーブル100Aに登録されたグループIDの組合せ「G0」、「G1」、「G2」と同じ組合せが画像グループ対応テーブル100Bに登録された、画像ID「DR400」の同一症例画像18Sを類似度の算出対象とする。一方、画像ID「DR500」の同一症例画像18Sは、対象画像18Rとは異なるグループIDの組合せであるため、検索部95は類似度を算出せず、類似画像の候補から外す。
【0147】
このように、対象画像18Rと同じ組合せのグループIDが登録された同一症例画像18Sを類似度の算出対象とすれば、対象画像18R内の病変と同じグループに属する病変が描出された同一症例画像18Sを類似画像とすることができる。したがって、画像特徴量に基づく類似性だけでなく、病変が属するグループの類似性も高い類似画像を医師に提供することができる。
【0148】
なお、病変が属するグループを加味した類似画像検索の方法としては、上記の対象画像18Rと同じ組合せのグループIDが登録された同一症例画像18Sのみを類似度の算出対象とする方法の他に、以下の2つの方法が考えられる。
【0149】
第1の方法は、まず、画像サーバ15から送信された同一症例画像18Sの全てに対して類似度を算出し、閾値による判定を行って類似画像の候補となる同一症例画像18Sを抽出する。そして、抽出した類似画像の候補の中から、対象画像18Rと同じ組合せのグループIDが登録された同一症例画像18Sをさらに抽出し、これを最終的に出力する類似画像とする。
【0150】
第2の方法は、対象画像18Rと異なる組合せのグループIDが登録された同一症例画像18Sよりも、対象画像18Rと同じ組合せのグループIDが登録された同一症例画像18Sのほうが類似画像として決定される確率を高くする方法である。
【0151】
例えば特開2011−118543号公報に記載の方法で類似度を算出する場合、対象画像18Rと異なる組合せのグループIDが登録された同一症例画像18Sの場合は類似度に例えば10を加算し、対象画像18Rと同じ組合せのグループIDが登録された同一症例画像18Sの場合は逆に類似度から10を減算する。
【0152】
なお、対象画像18RとグループIDが全て同じ場合は類似度から10を減算し、対象画像18Rと一致するグループIDが1個ある場合は類似度から5を減算し、対象画像18RとグループIDが全て異なる場合は類似度に10を加算する等、対象画像18RのグループIDと一致する数に応じて類似度を上下させてもよい。
【0153】
あるいは、対象画像18Rと異なる組合せのグループIDが登録された同一症例画像18Sよりも、対象画像18Rと同じ組合せのグループIDが登録された同一症例画像18Sの場合の類似度の判定条件を緩めてもよい。
【0154】
なお、検索結果表示画面には、類似画像の患者に施した抗癌剤治療の治療履歴情報や、類似画像内の病変の大きさの時系列変化、縮小率、無増悪期間といった治療効果情報も類似画像と併せて表示することが好ましい。こうすれば、類似画像検索と同時に、類似画像の患者の治療履歴情報や治療効果情報を参照して対象患者の抗癌剤治療の治療方針を決定することができる。
【0155】
本発明の診療支援装置に相当する診療支援サーバ12を構成するコンピュータのハードウェア構成は種々の変形が可能である。例えば、診療支援サーバ12を、処理能力や信頼性の向上を目的として、ハードウェアとして分離された複数台のサーバコンピュータで構成することも可能である。例えば、要求受付部41および提供部42の機能と、診療データ取得部43、分類部44、および情報生成部45の機能と、管理部46の機能とを、3台のサーバコンピュータに分散して担わせる。この場合は3台のサーバコンピュータで診療支援装置を構成する。また、治療効果情報DB12Aは、管理部46の機能を担うサーバコンピュータに設けられる。
【0156】
上記第3実施形態の検索部95の機能を、画像サーバ15が担ってもよい。この場合は分類情報テーブル51が治療効果情報DB12Aだけでなく画像DB15Aでも共有される。また、画像サーバ15は診療支援サーバ12とともに診療支援装置を構成する。
【0157】
なお、治療効果情報DB12Aは、診療支援装置とは別に設けてもよい。逆に、診療支援サーバ12と電子カルテサーバ14および画像サーバ15とを統合し、診療支援サーバ12にカルテDB14Aおよび画像DB15Aを設けてもよい。
【0158】
上記第1実施形態では、診療支援サーバ12で表示画面20を生成し、診療支援サーバ12からの表示画面20の画面データに基づいて、クライアント端末11側で表示画面20を再現してディスプレイ29Aに表示する態様を例示したが、表示画面20の生成の元となる治療効果情報を診療支援サーバ12からクライアント端末11に送信し、クライアント端末11側で表示画面20を生成してもよい。この場合、提供部42は表示画面20の生成の元となる治療効果情報の出力を制御する情報出力制御部で構成され、画面生成部47はクライアント端末11のCPU27Aに構築される。
【0159】
さらに、画面出力制御部48を除く診療支援サーバ12のCPU27Bに構築した各機能部をクライアント端末11のCPU27Aに構築し、クライアント端末11を診療支援装置として稼働させてもよい。この場合、要求受付部41は、配信要求に代えて、GUI制御部35から配信指示を受け付ける。また、画面生成部47は、表示画面20をGUI制御部35に出力する。すなわち、GUI制御部35が画面出力制御部48の機能を担う。
【0160】
このように、コンピュータのハードウェア構成は、処理能力、安全性、信頼性等の要求される性能に応じて適宜変更することができる。さらに、ハードウェアに限らず、診療支援プログラム40等のアプリケーションプログラムについても、安全性や信頼性の確保を目的として、二重化したり、あるいは、複数のストレージデバイスに分散して格納することももちろん可能である。
【0161】
治療効果情報の提供形態としては、上記各実施形態で例示したウェブによる表示画面20の配信に限らない。例えば、治療効果情報を記録したファイルを格納するDBを設け、このDBへのアクセス権限を医師に与えて、DBからファイルを読み出させる形態でもよい。FTPS(File Transfer Protocol over SSL/TLS)等の周知のファイル転送プロトコルを用いて、ファイルをクライアント端末11に自動的に送信する形態でもよい。ファイル転送プロトコルの代わりに電子メールを利用してもよい。また、治療効果情報を印刷した紙資料を提供してもよい。
【0162】
上記各実施形態では、診療支援サーバ12を1つの医療施設内で利用する形態で説明したが、診療支援サーバ12を複数の医療施設が利用可能な形態としてもよい。
【0163】
上記各実施形態では、診療支援サーバ12は、1つの医療施設内に設置されるクライアント端末11がLAN等のネットワーク13を介して通信可能に接続され、クライアント端末11からの配信要求等に応じた表示画面20を提供する形態である。これを複数の医療施設で利用可能とするためには、診療支援サーバ12を、例えば、インターネットや公衆通信網等のWAN(Wide Area Network)を介して、複数の医療施設に設置される各クライアント端末11と通信可能に接続する。そして、複数の医療施設の各クライアント端末11からの配信要求等を、WANを介して診療支援サーバ12で受け付けて、各クライアント端末11に対して表示画面20を提供する。なお、WANを利用する場合には、情報セキュリティを考慮して、VPN(Virtual Private Network)を構築したり、HTTPS(Hypertext Transfer Protocol Secure)等のセキュリティレベルの高い通信プロトコルを使用することが好ましい。
【0164】
なお、この場合は電子カルテ17および検査画像18は医療施設毎に管理される。また、この場合の診療支援サーバ12の設置場所および運営主体は、例えば医療施設とは別の会社が運営するデータセンタでもよいし、複数の医療施設のうちの1つでもよい。
【0165】
本発明は、上述の種々の実施形態や種々の変形例を適宜組み合わせることも可能である。また、上記各実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない限り種々の構成を採用し得ることはもちろんである。さらに、本発明は、プログラムに加えて、プログラムを記憶する記憶媒体にも及ぶ。