【実施例】
【0046】
以下、本発明の実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0047】
(実施例1)
1次粒子径6nmの酸化ジルコニウムをアルコール中に分散させ10質量%分散液とし、撹拌しながら3−アミノプロピルトリエトキシシラン及びβ−カルボキシエチルトリエトキシシランをそれぞれ3%質量添加し、2時間撹拌を続け反応させた後、遠心分離により砥粒を回収することで酸化ジルコニウムの表面をこれら2種類の有機化合物で修飾した。このとき2種類の有機化合物の官能基(A)はいずれもエトキシ基、官能基(B)はそれぞれアミノ基、カルボキシル基である。
【0048】
続いて、この酸化ジルコニウムを含有量が1.0質量%となるよう純水に分散させ、さらに溶液のpHが11.5となるように水酸化カリウム溶液を加えて研磨組成物を調製した。
【0049】
(実施例2)
1次粒子径6nmの酸化ジルコニウムを水中に分散させ10質量%分散液とし、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを3質量%添加し、50℃で加熱・撹拌をしながら過酸化水素を少量加え、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランに含まれるメルカプト基を反応させスルホ基とした。反応後の溶液に、3−アミノプロピルトリエトキシシランを3%質量添加し、2時間撹拌を続け反応させた後、遠心分離により砥粒を回収することで酸化ジルコニウムの表面を2種類の有機化合物で修飾した。この2種類の有機化合物の官能基(A)はそれぞれメトキシ基及びエトキシ基であり、官能基(B)はそれぞれスルホ基及びアミノ基である。
【0050】
続いて、この酸化ジルコニウムを含有量が1.0質量%となるよう純水に分散させ、さらに溶液のpHが11.5となるように水酸化カリウム溶液を加えて研磨組成物を調製した。
【0051】
(実施例3)
1次粒子径6nmの酸化ジルコニウムを水中に分散させ10質量%分散液とし、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを3質量%添加し、50℃で加熱・撹拌をしながら過酸化水素を少量加え、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランに含まれるメルカプト基を反応させスルホ基とした。反応後の溶液に、β−カルボキシエチルトリエトキシシランを3質量%添加し、2時間撹拌を続け反応させた後、遠心分離により砥粒を回収することで酸化ジルコニウムの表面を2種類の有機化合物で修飾した。この2種類の有機化合物の官能基(A)はそれぞれメトキシ基及びエトキシ基であり、官能基(B)はそれぞれメルカプト基及びカルボキシル基である。
【0052】
この酸化ジルコニウムを含有量が1.0質量%となるよう純水に分散させ、さらに溶液のpHが11.5となるように水酸化カリウム溶液を加えて研磨組成物を調製した。
【0053】
(実施例4)
1次粒子径15nmの酸化チタンをアルコール中に分散させ10質量%分散液とし、撹拌しながら3−アミノプロピルトリエトキシシラン及び3−メルカプトプロピルトリメトキシシランをそれぞれ3質量%添加し、2時間撹拌を続け反応させた後、遠心分離により砥粒を回収することで酸化ジルコニウムの表面をこれら2種類の有機化合物で修飾した。このとき2種類の有機化合物の官能基(A)はそれぞれエトキシ基及びメトキシ基、さらに官能基(B)はそれぞれアミノ基、メルカプト基である。
【0054】
この酸化チタンを含有量が1.0質量%となるよう純水に分散させ、さらに溶液のpHが11.5となるように水酸化カリウム溶液を加えて研磨組成物を調製した。
【0055】
(実施例5)
1次粒子径15nmの酸化チタンと1次粒子径10nmの水酸化ジルコニウムを1:1の割合で水中に分散させ10質量%分散液とし、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを3質量%添加し、50℃で加熱・撹拌をしながら過酸化水素を少量加えメルカプト基と反応させスルホ基とした。反応後の溶液に、3−アミノプロピルトリエトキシシランを3質量%添加し、2時間撹拌を続け反応させた後、遠心分離により砥粒を回収することで酸化チタン及び水酸化ジルコニウム表面を2種類の有機化合物で修飾した。このとき2種類の有機化合物の官能基(A)はそれぞれメトキシ基及びエトキシ基、官能基(B)はアミノ基及びスルホ基である。
【0056】
この水酸化ジルコニウムを含有量が1.0質量%となるよう純水に分散させ、さらに溶液のpHが11.5となるように水酸化カリウム溶液を加えて研磨組成物を調製した。
【0057】
(実施例6)
1次粒子径37nmの酸化アルミニウムと1次粒子径10nmの水酸化ジルコニウムを1:1の割合でアルコール中に分散させ10質量%分散液とし、撹拌しながら3アミノプロピルトリエトキシシラン及び1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]尿素をそれぞれ3%添加し、2時間撹拌を続け反応させた後、遠心分離により砥粒を回収することで酸化アルミニウム及び水酸化ジルコニウム表面を2種類の有機化合物で修飾した。このとき2種類の有機化合物の官能基(A)はそれぞれエトキシ基及びメトキシ基であり、官能基(B)はそれぞれアミノ基及びウレイド基である。
【0058】
この酸化アルミニウムと酸化ジルコニウムの混合物を含有量が1.0質量%となるよう純水に分散させ、さらに溶液のpHが11.5となるように水酸化カリウム溶液を加えて研磨組成物を調製した。
【0059】
(実施例7)
1次粒子径48nmの酸化アルミニウムをアルコール中に分散させ10質量%分散液とし、撹拌しながら3−アミノプロピルトリエトキシシラン及び1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]尿素をそれぞれ3質量%添加し、2時間撹拌を続け反応させた後、遠心分離により砥粒を回収することで酸化アルミニウム表面を2種類の有機化合物により修飾した。2種類の有機化合物における官能基(A)はそれぞれエトキシ基及びメトキシ基であり、官能基(B)はそれぞれアミノ基及びウレイド基である。
【0060】
この酸化アルミニウムの含有量が1.0重量%となるよう純水に分散させ、さらに溶液のpHが11.5となるように水酸化カリウム溶液を加えて研磨液を調整した。
【0061】
(実施例8)
1次粒子径3nmの酸化ジルコニウムをアルコール中に分散させ10質量%分散液とし、撹拌しながら3−アミノプロピルトリエトキシシラン及びβ−カルボキシエチルトリエトキシシランをそれぞれ3%質量添加し、2時間撹拌を続け反応させた後、遠心分離により砥粒を回収することで酸化ジルコニウムの表面をこれら2種類の有機化合物で修飾した。このとき2種類の有機化合物の官能基(A)はいずれもエトキシ基、官能基(B)はそれぞれアミノ基、カルボキシル基である。
【0062】
この酸化ジルコニウムを含有量が1.0質量%となるよう純水に分散させ、さらに溶液のpHが11.5となるように水酸化カリウム溶液を加えて研磨組成物を調製した。
【0063】
(比較例1)
1次粒子径6nmの酸化ジルコニウムを含有量が1.0質量%となるよう純水に分散させ、さらに溶液のpHが11.5となるように水酸化カリウム溶液を加えて研磨組成物を調製した。
【0064】
(比較例2)
1次粒子径15nmの酸化チタンをアルコール中に分散させ10質量%分散液とし、撹拌しながら3−アミノプロピルトリエトキシシランを3質量%添加し、2時間撹拌を続け反応させた後、遠心分離により砥粒を回収することで酸化チタン表面を1種類の有機化合物により修飾した。この酸化チタンを含有量が1.0質量%となるよう純水に分散させ、さらに溶液のpHが11.5となるように水酸化カリウム溶液を加えて研磨組成物を調製した。
【0065】
上記の実施例1〜7及び比較例1、2の研磨組成物をそれぞれ用いて、下記の研磨条件により直径12インチ(300mm)の単結晶シリコン基板の片面研磨を行った。研磨装置はPoli−762(G&P Technology, Inc.)、研磨パッドとしてSUBA400(ニッタ・ハース(株)製)を使用した。被研磨基板である単結晶シリコン基板に加える加重を193g/cm
2とし、定盤回転数を70rpm、ヘッド回転数を70rpmとし、研磨組成物の供給量を400mL/minとした。
【0066】
研磨後の半導体基板を公知技術であるSC−1(29%アンモニア水、30%過酸化水素水、純水の混合溶液、体積比率:アンモニア水:過酸化水素水:純水=1:1:10、75℃、5分浸漬)及びSC−2(30%塩酸、30%過酸化水素水、純水の混合溶液、体積比率:塩酸:過酸化水素水:純水=1:1:10、75℃、5分浸漬)によるRCA洗浄を行った。その後、研磨工程における欠陥評価として暗室内で集光灯による目視検査、並びに表面検査装置(KLA−Tencor社製SP−1)により基板表面上のLPD欠陥(0.100μm以上)を評価した。目視検査においては欠陥が観察されたものを不合格、欠陥が観察されなかったものを合格として判定した。
【0067】
実施例1〜7、比較例1、2の研磨組成物を用いた研磨の研磨速度、目視検査の結果、及びLPD欠陥数を表1にまとめた。
【0068】
【表1】
【0069】
表1から分かるように、実施例1〜8は、比較例1、2に比べ、研磨速度が大きく、目視検査により観察されるような比較的大きい欠陥もなく、またLPDのような微細な欠陥の数も少ない。つまり、本発明の研磨組成物は、高い研磨レートを確保し、かつ、研磨に起因する欠陥の発生を抑制できることが確認された。
【0070】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。