【課題を解決するための手段】
【0011】
一つの態様は、TiN又はTiNxOy及び第2の材料を含む半導体デバイスから窒化チタン(TiN又はTiNxOy;式中、x=0〜1.3及びy=0〜2)を選択的に除去するための組成物であって、該組成物が、
アミン塩バッファー;
非周囲環境酸化剤;及び
液体キャリア、を含み、
該組成物が過酸化水素を含まず、
該組成物がpH<4、好ましくは<3、より好ましくは<2.5であり、
該第2の材料が、Cu、W、窒化アルミニウム(AlNxで、x=0.5〜1)、酸化アルミニウム(AlOxで、x=1〜1.5)、low−k誘電材料、及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択され、
該組成物が、>1:1、好ましくは>5:1、及びより好ましくは>10:1のTiN又はTiNxOy:該第2の材料の除去選択性を示す、組成物である。
【0012】
別の態様は、マイクロエレクトロニクスデバイスの表面から窒化チタン(TiN又はTiNxOy、式中、x=0〜1.3及びy=0〜2)を選択的に除去するためのシステムであって、
TiN又はTiNxOy及び第2の材料を含む、半導体デバイスと、
該半導体デバイスから該TiN又はTiNxOyを選択的に除去するための組成物であって、
アミン塩バッファー;
非周囲環境酸化剤;及び
液体キャリア、を含む組成物と、を含み、
該組成物が過酸化水素を含まず、
該組成物がpH<4、好ましくは<3、より好ましくは<2.5であり、
該第2の材料が、Cu、W、窒化アルミニウム(AlNxで、x=0.5〜1)、酸化アルミニウム(AlOxで、x=1〜1.5)、low−k誘電材料、及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択され、
該組成物が、>1:1、好ましくは>5:1、及びより好ましくは>10:1のTiN又はTiNxOy:該第2の材料の除去選択性を示す、システムである。
【0013】
さらに別の態様は、窒化チタン(TiN又はTiNxOy、式中、x=0〜1.3及びy=0〜2)を選択的に除去する方法であって、
TiN又はTiNxOy及び第2の材料を含む半導体デバイスを提供する工程と、
該半導体デバイスを、組成物に接触させる工程であって、該組成物が、
アミン塩バッファー;
非周囲環境酸化剤;及び
液体キャリア、を含み、
該組成物が過酸化水素を含まず、
該組成物がpH<4、好ましくは<3、より好ましくは<2.5であり、
該第2の材料がCu、W、窒化アルミニウム(AlNxで、x=0.5〜1)、酸化アルミニウム(AlOxで、x=1〜1.5)、low−k誘電材料、及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択される、工程と、
TiN又はTiNxOyを選択的に除去する工程と、を含み、TiN又はTiNxOy:該第2の材料の除去選択性が>1:1、好ましくは>5:1、及びより好ましくは>10:1である、方法である。
【0014】
アミン塩バッファーとしては、塩化アンモニウム;硫酸水素アンモニウム;リン酸アンモニウム;シュウ酸アンモニウム;パーフルオロスルホン酸アンモニウム;テトラフルオロホウ酸アンモニウム;ヘキサフルオロチタン酸アンモニウム;ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム;クエン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、乳酸アンモニウムから選択される有機酸のアンモニウム塩;及びそれらの組み合わせ、が含まれるが、それらに限定されず、該アンモニウムはN(R
1R
2R
3R
4)
+の形を有し、式中R
1、R
2、R
3、R
4は独立して、H、CH
3、C
2H
5、及びC
3H
7からなる群より選択される。
【0015】
非周囲環境酸化剤としては、過硫酸塩(これには過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムが含まれるがそれらに限定されない);ヨウ素酸塩;過ヨウ素酸塩;Cl(I、III又はV)化合物;Br(I、III又はV)化合物;及びそれらの組み合わせ、が含まれるが、それらに限定されない。
【0016】
液体キャリアとしては、水と、ジメチルスルホン、乳酸、グリコール、及び極性非プロトン性溶媒(これにはスルホラン、スルホキシド、ニトリル、ホルムアミド及びピロリドンが含まれるがそれらに限定されない)からなる群より選択される非水液体キャリアとが含まれるが、それらに限定されない。極性非プロトン性溶媒の具体例としては、スルホラン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド及びN−メチルピロリドンが含まれるが、それらに限定されない。
【0017】
液体キャリアが水である場合、組成物は水性であることができる。水性の組成物は、酸性フッ化物をさらに含む。
【0018】
組成物が、水及び少なくとも1つの非水液体キャリアを含有する場合、組成物は半水性であることができる。非水液体キャリアが極性非プロトン性溶媒ではない場合、半水性の組成物は、酸性フッ化物をさらに含むことができる。
【0019】
酸性フッ化物としては、アンモニウムビフルオリド、アルキルアンモニウムビフルオリド又は水性フッ化水素それ自体、フルオロケイ酸、フルオロホウ酸、水和フルオロアルミネートの酸、及びそれらの組み合わせ、が含まれるが、それらに限定されない。組成物は、その構造全体に高度に分散した負電荷を有する弱配位性アニオン、腐食阻害剤、及び界面活性剤をさらに含んでよい。
【0020】
弱配位性アニオンとしては、p−トルエンスルホン酸イオン(C
7H
8SO
3-)、硫酸イオン(SO
42-)、硝酸イオン(NO
3-)、トリフレートイオン(CF
3SO
3-)、フルオロ硫酸イオン、パーフルオロスルホン酸イオン(R
fSO
3-;R
fはC1〜C4のパーフルオロアルキル基)、パーフルオロスルホンイミドイオン((R
f)
2NSO
2-;式中R
fはC1〜C4のパーフルオロアルキル基)、ヘキサフルオロケイ酸イオン(SiF
62-)、ヘキサフルオロチタン酸イオン(TiF
62-)、テトラフルオロホウ酸イオン(BF
4-)、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF
6-)、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン(SbF
6-)、パーフルオロアルキルアルミネートイオン((R
fO)
4Al
-、R
fはパーフルオロアルキル基)、及びそれらの組み合わせ、が含まれるが、それらに限定されない。
【0021】
本発明の他の態様、特徴及び実施形態が、次の開示及び添付の請求項から、より完全に明らかとなるだろう。
【0022】
発明の詳細な説明
一般に、本発明は、存在する金属導体層及びlow−k誘電層に比べて、ハードマスク層及び/又はフォトレジストエッチング残留物を選択的にエッチングするための組成物、システム及び方法に関する。具体的には、本発明は、窒化チタンハードマスク材料(TiN又はTiNxOy、式中、x=0〜1.3及びy=0〜2)(以下、簡単にするためにTiNハードマスク材料と呼ぶ)に対し良好な除去速度を有し;金属1層(M1)(タングステンなど)及びlow−k誘電材料を含む他のM1レベル成分、並びに場合によっては窒化アルミニウム(AlNxで、x=0.5〜1)、酸化アルミニウム(AlOxで、x=1〜1.5)誘電層に損傷を与えない、組成物、システム及び方法を記載する。
【0023】
ウェーハパターニング後に窒化チタンハードマスク材料(TiN又はTiNxOy、式中、x=0〜1.3及びy=0〜2)を除去するために設計された組成物、又は処方物(組成物、処方物は、本発明において交換可能に用いられる)は、典型的には、酸化剤として過酸化水素を用いる。本明細書において用いられる「処方物」及び「組成物」という用語は、交換可能に用いられる。
【0024】
窒化チタンハードマスク除去のために、酸化剤として、過酸化水素を含有する化学物質が効果的であると証明されているが、ウェーハのM1層中のタングステン金属と不適合性のようである。処方物はしばしば、所望のTiNハードマスクよりもさらに容易にタングステンをエッチングする。わずかに塩基性の条件下で酸化剤として過酸化水素を用いて、窒化チタンをチタン過酸化物種として可溶化すると、残念なことに、タングステンなどのM1レベル金属もまた、容易に可溶性の過酸化物を形成し、これらの化学物質によって攻撃される。
【0025】
本発明の化学物質は、過酸化水素の使用を回避する。すなわち、より具体的には、本発明は、28nmウェーハ及びより小さいノード上の窒化チタンハードマスク除去のための、新規の、過酸化水素を含有しない、剥離剤(処方物)のプラットフォームを記載する。本発明のこの態様は、化学物質を、タングステンに対してさらにより適合性の高いものにする。
【0026】
大気条件の空気は、穏やかな周囲環境酸化剤の一例である。非周囲環境酸化剤という用語は、空気又は空気中の酸素ではない任意の酸化剤を包含する。
【0027】
指定のない限り、大気条件の空気は通常、ツール動作の間存在しており、処方物に対して穏やかな周囲環境酸化剤が存在するとみなされる。
【0028】
本発明は、<4、好ましくは<3、及びより好ましくは<2.5の低いpHで動作する。処方物は、水性の処方物(水のみを含有するもの)及び半水性の処方物(水及び少なくとも1つの非水液体キャリアを含有するもの)の両方であることが可能である。処方物は、アミン塩バッファー、非周囲環境酸化剤、酸性フッ化物源、及び液体キャリアを含み、タングステンをエッチングすることなく、窒化チタンハードマスクを除去する。この化学物質は、タングステンとlow−k誘電層との間のTiNライナをエッチングすることもない。アミン塩バッファーは、処方物のpHを4未満、好ましくは<3、及びより好ましくは<2.5に維持するのに用いられる。非周囲環境酸化剤及び酸性フッ化物は、TiNを効率よく除去するのに用いられる。
【0029】
処方物はアミン塩バッファーを含有する。アミン塩バッファーは、塩化アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、リン酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、パーフルオロスルホン酸アンモニウム、テトラフルオロホウ酸アンモニウム、ヘキサフルオロチタン酸アンモニウム又はヘキサフルオロケイ酸アンモニウム(これは、水酸化アンモニウム及びヘキサフルオロケイ酸から形成され得る)、又は有機酸のアンモニウム塩(これには、クエン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、乳酸アンモニウムが含まれるが、それらに限定されない)、及びそれらの組み合わせ、を含み得るが、それらに限定されない。
【0030】
アンモニウムは、N(R
1R
2R
3R
4)
+(式中R
1、R
2、R
3、R
4は、全て同じか若しくは異なっていてよく、又はH、CH
3、C
2H
5、C
3H
7を構成してよい)の形の、任意のアミンの塩を意味する。
【0031】
アミン塩バッファーの量は、0.5〜10wt%、好ましくは1〜10wt%及びより好ましくは2〜8wt%の範囲である。
【0032】
処方物は非周囲環境酸化剤を含有し、この非周囲環境酸化剤には、過硫酸塩(これには、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムが含まれるが、それらに限定されない)、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸塩、Cl(I、III又はV)化合物、Br(I、III又はV)化合物、及びそれらの組み合わせ、が含まれるが、それらに限定されない。
【0033】
非周囲環境非金属酸化剤は、0.2〜3wt%、好ましくは0.5〜2wt%及びより好ましくは0.5〜1%の範囲の量で用いられる。
【0034】
処方物は酸性フッ化物を含有し、この酸性フッ化物は、酸化物、例えば、O
3−テトラエチルオルトケイ酸塩(TEOS)層、又は他のlow−k誘電層の安定性に応じて、<4000ppm、又は<2000ppm、又は<500ppmの量の加溶媒分解性酸性フッ化物であることができる。
【0035】
加溶媒分解性酸性フッ化物は、アンモニウムビフルオリド、アルキルアンモニウムビフルオリド又は水性フッ化水素それ自体、フルオロケイ酸、フルオロホウ酸、及び水和フルオロアルミネートの酸、を含み得るが、それらに限定されない。
【0036】
処方物はまた液体キャリアを含む。液体キャリアは、水と、ジメチルスルホン、乳酸、グリコール、及び極性非プロトン性溶媒(これは、スルホラン、スルホキシド、ニトリル、ホルムアミド及びピロリドン、を含むが、それらに限定されない)からなる群より選択される非水液体キャリアとを含み得るが、それらに限定されない。極性非プロトン性溶媒の具体例としては、スルホラン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド及びN−メチルピロリドン、が含まれるが、それらに限定されない。スルホラン、ジメチルスルホン、乳酸、プロピレングリコールなどのグリコール、及びそれらの混合物、からなる群より選択される。
【0037】
処方物は、酸の形又はアミン置換された形のいずれかの、弱配位性アニオンをさらに含有してよい。弱配位性アニオンはまた、処方物のpHを、4未満及び好ましくは3未満;及びより好ましくは2.5未満に維持するのにも用いられる。
【0038】
弱配位性アニオンは、その構造全体に高度に分散した負電荷を有し、それで水性の処方物中で、溶解した窒化チタンのカチオンなどの、非常に反応性の高いカチオンを安定化し保つように設計されている。
【0039】
弱配位性アニオンは、p−トルエンスルホン酸イオン(C
7H
8SO
3-)、硫酸イオン(SO
42-)、硝酸イオン(NO
3-)、トリフレートイオン(CF
3SO
3-)、フルオロ硫酸イオン、パーフルオロスルホン酸イオン(R
fSO
3-;式中R
fはC1〜C4のパーフルオロアルキル基)、パーフルオロスルホンイミドイオン((R
f)
2NSO
2-;式中R
fはC1〜C4のパーフルオロアルキル基)、ヘキサフルオロケイ酸イオン(SiF
62-)、ヘキサフルオロチタン酸イオン(TiF
62-)、テトラフルオロホウ酸イオン(BF
4-)、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF
6-)、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン(SbF
6-)及びパーフルオロアルキルアルミネートイオン((R
fO)
4Al
-、式中R
fはパーフルオロアルキル基)、及びそれらの組み合わせ、を含み得るが、それらに限定されない。
【0040】
弱配位性アニオンの量は、1〜10wt%、好ましくは2〜8wt%、及びより好ましくは4〜8wt%の範囲である。
【0041】
処方物は腐食阻害剤を含有し、他の金属に対する適合性を向上させてよい。
【0042】
腐食阻害剤は、ベンゾトリアゾール又は置換ベンゾトリアゾール、ポリエチレンイミン、カテコール、システイン及びシスチン誘導体、グリシン、チオ尿素及びチオビウレット、シロキサン、塩化アルミニウム、フッ化アルミニウム、イミダゾール、トリアゾール及びホウ酸を含み得るが、それらに限定されない。
【0043】
腐食阻害剤は、<10000ppm、好ましくは<5000ppm及びより好ましくは<1000ppmの量で用いられる。
【0044】
処方物は界面活性剤を含有し、ウェーハ表面の濡れ性を向上させてもよい。界面活性剤の例としては、ラウリル硫酸アンモニウム及びp−トルエン硫酸塩を含む広範囲の有機硫酸塩が含まれるが、それらに限定されない。界面活性剤は、典型的には、<1000ppm、好ましくは<500ppm及びより好ましくは<100ppmの量で用いられる。
【0045】
本発明の処方物は、以下の利点を提供する。
1.70℃以下で、高速の窒化チタンエッチングが観察される。
2.処方物の水性の溶液及び半水性の溶液が安定である。
3.低活性フッ化物含有処方物が、低いTEOS及びパターン化PDEMs(登録商標)2.2 ILD膜エッチングを示す。
4.タングステン、Wのエッチングが低いか、又は本質的に観察されない。そのため、このプラットフォームの処方物は、M1層と適合性であり、M1層のクリーニングに用いられ得る。
5.処方物が、タングステンとlow−k誘電層との間のTiNライナを損傷しない。
6.半水性の処方物が、他の処方物と比較して低い窒化アルミニウムエッチングを示す。
【0046】
実施例が、本発明の主要な特徴及び利益を示している。