特許第6408506号(P6408506)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6408506窒化チタンハードマスクの選択的除去及びエッチング残留物の除去
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6408506
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】窒化チタンハードマスクの選択的除去及びエッチング残留物の除去
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20181004BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20181004BHJP
   H01L 21/3213 20060101ALI20181004BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   H01L21/306 F
   H01L21/304 647Z
   H01L21/88 C
【請求項の数】22
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-70848(P2016-70848)
(22)【出願日】2016年3月31日
(65)【公開番号】特開2016-195251(P2016-195251A)
(43)【公開日】2016年11月17日
【審査請求日】2016年5月11日
(31)【優先権主張番号】62/140,846
(32)【優先日】2015年3月31日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/077,374
(32)【優先日】2016年3月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517114182
【氏名又は名称】バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ジャック キャスティール,ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】稲岡 誠二
(72)【発明者】
【氏名】リウ ウエン ダー
(72)【発明者】
【氏名】ティエンニウ チェン
【審査官】 高橋 宣博
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/017659(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0157472(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0087148(US,A1)
【文献】 特表2015−506583(JP,A)
【文献】 特開2014−103179(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/306
H01L 21/304
H01L 21/3213
H01L 21/768
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒化チタン(TiN又はTiNxOy;式中、x=0超〜1.3及びy=0〜2)及び第2の材料を含む半導体デバイスから窒化チタンを選択的に除去するための組成物であって、該組成物が、
塩化アンモニウム;硫酸水素アンモニウム;リン酸アンモニウム;シュウ酸アンモニウム;クエン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、乳酸アンモニウムから選択される有機酸のアンモニウム塩;及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択される、アミン塩バッファー;
過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム及びそれらの組み合わせからなる群より選択される過硫酸塩;ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸塩、Cl(I、III又はV)化合物、Br(I、III又はV)化合物、及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択される、非周囲環境酸化剤;
アンモニウムビフルオリド、フッ化水素酸、アルキルアンモニウムビフルオリド、水性フッ化水素、水和フルオロアルミネートの酸、及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択される、<4000ppmの酸性フッ化物;及び
液体キャリア、を含み、
該組成物が過酸化水素を含まず、
該組成物がpH<4であり、
該第2の材料が、Cu、W、窒化アルミニウム(AlNxで、x=0.5〜1)、酸化アルミニウム(AlOxで、x=1〜1.5)、low−k誘電材料、及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択され、
該組成物が、>1:1のTiN又はTiNxOy:該第2の材料の除去選択性を示す、組成物(ただし、該組成物は不動態化剤を含む組成物を除く)。
【請求項2】
請求項1に記載の組成物であって、
該アミン塩バッファーが0.5〜10wt%の範囲で存在する、組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の組成物であって、
該非周囲環境酸化剤が0.2〜3wt%の範囲で存在する、組成物。
【請求項4】
請求項1に記載の組成物であって、
該アミン塩バッファーが、塩化アンモニウム、硫酸水素アンモニウム及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択され;該非周囲環境酸化剤が、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択され;該酸性フッ化物が、アンモニウムビフルオリド、フッ化水素酸、及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択される、組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の組成物であって、
該組成物が、水と、ジメチルスルホン、乳酸、グリコール、極性非プロトン性溶媒であって、スルホラン、スルホキシド、ニトリル、ホルムアミド及びピロリドン、からなる群より選択される極性非プロトン性溶媒、及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択される少なくとも1つの非水液体キャリアとを含む液体キャリアを有する半水性の組成物である、組成物。
【請求項6】
請求項5に記載の組成物であって、
該アミン塩バッファーが、塩化アンモニウム、硫酸水素アンモニウム及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択され;該非周囲環境酸化剤が、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択され;該酸性フッ化物が、アンモニウムビフルオリド、フッ化水素酸、及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択される、組成物。
【請求項7】
請求項1に記載の組成物であって、
該組成物が、水と、スルホラン、スルホキシド、ニトリル、ホルムアミド、ピロリドン、及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択される極性非プロトン性溶媒とからなる液体キャリアを有する半水性の組成物である、組成物。
【請求項8】
請求項7に記載の組成物であって、
該アミン塩バッファーが、塩化アンモニウム、硫酸水素アンモニウム及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択され;該非周囲環境酸化剤が、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択される、組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の組成物であって、
弱配位性アニオンであって、1〜10wt%の範囲で存在し、p−トルエンスルホン酸イオン(C78SO3-)、硫酸イオン(SO42-)、硝酸イオン(NO3-)、トリフレートイオン(CF3SO3-)、パーフルオロスルホン酸イオン(RfSO3-;式中RfはC1〜C4のパーフルオロアルキル基)、パーフルオロスルホンイミドイオン((Rf2NSO2-;式中RfはC1〜C4のパーフルオロアルキル基)、ヘキサフルオロケイ酸イオン(SiF62-)、ヘキサフルオロチタン酸イオン(TiF62-)、テトラフルオロホウ酸イオン(BF4-)、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF6-)、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン(SbF6-)、パーフルオロアルキルアルミネートイオン((RfO)4Al-、Rfはパーフルオロアルキル基)、及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択される、弱配位性アニオン;及び
腐食阻害剤であって、<2000ppmの範囲にあり、ベンゾトリアゾール又は置換ベンゾトリアゾール、ポリエチレンイミン、カテコール、システイン及びシスチン誘導体、グリシン、チオ尿素及びチオビウレット、シロキサン、塩化アルミニウム、フッ化アルミニウム、イミダゾール、トリアゾール、ホウ酸、及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択される、腐食阻害剤、
からなる群より選択される、少なくとも1つをさらに含む、組成物。
【請求項10】
該組成物のpHが<3であり;該組成物が、>5:1のTiN又はTiNxOy:該第2の材料の除去選択性を示す、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
マイクロエレクトロニクスデバイスの表面から窒化チタン(TiN又はTiNxOy、式中、x=0超〜1.3及びy=0〜2)を選択的に除去するためのシステムであって、
TiN又はTiNxOy及び第2の材料を含む、半導体デバイスと、
該半導体デバイスから該TiN又はTiNxOyを選択的に除去するための組成物であって、該組成物が、
0.5〜10wt%のアミン塩バッファーであって、塩化アンモニウム;硫酸水素アンモニウム;リン酸アンモニウム;シュウ酸アンモニウム;クエン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、乳酸アンモニウムから選択される有機酸のアンモニウム塩;及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択され、該アンモニウムはN(R1234+の形を有し;R1、R2、R3、R4は独立して、H、CH3、C25、及びC37からなる群より選択される、アミン塩バッファー;
0.2〜3wt%の非周囲環境酸化剤であって、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム及びそれらの組み合わせからなる群より選択される過硫酸塩、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸塩、Cl(I、III又はV)化合物、Br(I、III又はV)化合物、及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択される、非周囲環境酸化剤;
アンモニウムビフルオリド、フッ化水素酸、アルキルアンモニウムビフルオリド、水性フッ化水素、水和フルオロアルミネートの酸、及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択される、<4000ppmの酸性フッ化物;及び
液体キャリア、を含む組成物と、を含み、
該組成物が過酸化水素を含まず、
該組成物がpH<4であり、
該第2の材料が、Cu、W、窒化アルミニウム(AlNxで、x=0.5〜1)、酸化アルミニウム(AlOxで、x=1〜1.5)、low−k誘電材料、及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択され、
該組成物が、>1:1のTiN又はTiNxOy:該第2の材料の除去選択性を示す、ただし、該組成物は不動態化剤を含む組成物を除く、
システム。
【請求項12】
該アミン塩バッファーが、塩化アンモニウム、硫酸水素アンモニウム及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択され;該非周囲環境酸化剤が、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択され;該酸性フッ化物が、アンモニウムビフルオリド、フッ化水素酸、及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
該組成物が、水と、ジメチルスルホン、乳酸、グリコール、極性非プロトン性溶媒であって、スルホラン、スルホキシド、ニトリル、ホルムアミド及びピロリドン、からなる群より選択される極性非プロトン性溶媒、及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択される少なくとも1つの非水液体キャリアとを含む液体キャリアを有する半水性の組成物である、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
該組成物中の該アミン塩バッファーが、塩化アンモニウム、硫酸水素アンモニウム及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択され;該組成物中の該非周囲環境酸化剤が、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択され;該組成物中の該酸性フッ化物が、アンモニウムビフルオリド、フッ化水素酸、及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
該組成物が、水と、スルホラン、スルホキシド、ニトリル、ホルムアミド、ピロリドン、及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択される極性非プロトン性溶媒とからなる液体キャリアを有する半水性の組成物である、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
該組成物中の該アミン塩バッファーが、塩化アンモニウム、硫酸水素アンモニウム及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択され;該組成物中の該非周囲環境酸化剤が、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
窒化チタン(TiN又はTiNxOy、式中、x=0超〜1.3及びy=0〜2)を選択的に除去する方法であって、
TiN又はTiNxOy及び第2の材料を含む半導体デバイスを提供する工程と、
該半導体デバイスを、窒化チタン(TiN又はTiNxOy、式中、x=0超〜1.3及びy=0〜2)を選択的に除去するための組成物に接触させる工程であって、該組成物が、
0.5〜10wt%のアミン塩バッファーであって、塩化アンモニウム;硫酸水素アンモニウム;リン酸アンモニウム;シュウ酸アンモニウム;クエン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、乳酸アンモニウムから選択される有機酸のアンモニウム塩;及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択され、該アンモニウムはN(R1234+の形を有し;R1、R2、R3、R4は独立して、H、CH3、C25、及びC37からなる群より選択される、アミン塩バッファー;
0.2〜3wt%の非周囲環境酸化剤であって、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム及びそれらの組み合わせからなる群より選択される過硫酸塩、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸塩、Cl(I、III又はV)化合物、Br(I、III又はV)化合物、及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択される、非周囲環境酸化剤;
アンモニウムビフルオリド、フッ化水素酸、アルキルアンモニウムビフルオリド、水性フッ化水素、水和フルオロアルミネートの酸、及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択される、<4000ppmの酸性フッ化物;及び
液体キャリア、を含み、
該組成物が過酸化水素を含まず、
該組成物がpH<4である、工程と、
TiN又はTiNxOyを選択的に除去する工程と、を含み、
該第2の材料が、Cu、W、窒化アルミニウム(AlNxで、x=0.5〜1)、酸化アルミニウム(AlOxで、x=1〜1.5)、low−k誘電材料、及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択され、
TiN又はTiNxOyが該組成物に直接接触し;TiN又はTiNxOy:該第2の材料の除去選択性が>1:1である、
ただし、該組成物は不動態化剤を含む組成物を除く、方法。
【請求項18】
該アミン塩バッファーが、塩化アンモニウム、硫酸水素アンモニウム及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択され;該非周囲環境酸化剤が、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択され;該酸性フッ化物が、アンモニウムビフルオリド、フッ化水素酸、及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
該組成物が、水と、ジメチルスルホン、乳酸、グリコール、極性非プロトン性溶媒であって、スルホラン、スルホキシド、ニトリル、ホルムアミド及びピロリドン、からなる群より選択される極性非プロトン性溶媒、及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択される少なくとも1つの非水液体キャリアとを含む液体キャリアを有する半水性の組成物である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
該組成物中の該アミン塩バッファーが、塩化アンモニウム、硫酸水素アンモニウム及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択され;該組成物中の該非周囲環境酸化剤が、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択され;該組成物中の該酸性フッ化物が、アンモニウムビフルオリド、フッ化水素酸、及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
該組成物が、水と、スルホラン、スルホキシド、ニトリル、ホルムアミド、ピロリドン、及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択される極性非プロトン性溶媒とからなる液体キャリアを有する半水性の組成物である、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
該組成物中の該アミン塩バッファーが、塩化アンモニウム、硫酸水素アンモニウム及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択され;該組成物中の該非周囲環境酸化剤が、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択される、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2015年3月31日に出願された米国仮出願第62/140,846の利益を主張する。本出願の開示は、参照により本明細書の一部となる。
【背景技術】
【0002】
スケーリングがさらにより小さいフィーチャーサイズになり続けているのにつれて、集積回路(IC)の信頼性に対する関心がIC製造技術において高まっている。トレース相互接続故障メカニズムがデバイス性能及び信頼性に与える影響は、集積スキーム、相互接続材料、及びプロセスから、より多くを要求する。最適なlow−k誘電材料並びにその関連する堆積、パターンリソグラフィー、エッチング及びクリーニングが、デュアルダマシン相互接続パターンを形成するのに必要である。相互接続−パターニングウェーハ製造のハードマスクスキームアプローチは、最大限厳重に最適に寸法制御しながら、層下にパターンを移動させることができる。
【0003】
テクノロジーノードがナノテクノロジーに進むにつれて、パターンエッチングプロセスの間、low−k材料に対し、より良好なエッチング/除去選択性、より良好なパターン保持及びプロファイル制御を得るために、TiNなどの金属ハードマスク材料が用いられている。
【0004】
処方物は、これらのタイプの金属ハードマスクを基質からプルバックする又は除去するように開発されてきた。
【0005】
以下の特許が代表的なものである。
【0006】
米国特許出願公開第2013/0157472号明細書は、low−k誘電体及びCuを含有する基質をクリーニングし、TiN又はTiNxOyハードマスク及びタングステンをエッチングする、Cl-、又はBr-酸化剤及び潜在的にCu腐食阻害剤を含む処方物を記載している。処方物は典型的には、酸化剤として6%過酸化水素、及びpHを>7に調節するジグリコールアミンを含有する。
【0007】
米国特許出願公開第2009/0131295号明細書は、TiNからの、1〜8のpHでの、酸性又は塩基性のフッ化物又はビフルオリドを用いる、プラズマエッチング後のハードマスク残留物(典型的にはTiF含有)の除去を記載している。
【0008】
米国特許第7479474号明細書は、low−K誘電体を含む基質における酸化物エッチングを低減する、H2SiF6又はHBF4を含むクリーニング処方物を記載している。
【0009】
国際公開第2013/101907号は、ヘキサフルオロケイ酸及びヘキサフルオロチタン酸塩と、高原子価金属、過酸化物又は高酸化状態種を含む少なくとも1つの酸化剤と、少なくとも1つの溶媒とを含むエッチング液を含む処方物を記載している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、存在する金属導体層及びlow−k誘電層に比べて、ハードマスク層及び/又はエッチング残留物を選択的にエッチングするための、組成物、システム及び方法に関する。より具体的には、本発明は、タングステン、銅及びlow−k誘電層に比べて、窒化チタンハードマスク及び/又はエッチング残留物を選択的にエッチングするための、組成物、システム及び方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一つの態様は、TiN又はTiNxOy及び第2の材料を含む半導体デバイスから窒化チタン(TiN又はTiNxOy;式中、x=0〜1.3及びy=0〜2)を選択的に除去するための組成物であって、該組成物が、
アミン塩バッファー;
非周囲環境酸化剤;及び
液体キャリア、を含み、
該組成物が過酸化水素を含まず、
該組成物がpH<4、好ましくは<3、より好ましくは<2.5であり、
該第2の材料が、Cu、W、窒化アルミニウム(AlNxで、x=0.5〜1)、酸化アルミニウム(AlOxで、x=1〜1.5)、low−k誘電材料、及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択され、
該組成物が、>1:1、好ましくは>5:1、及びより好ましくは>10:1のTiN又はTiNxOy:該第2の材料の除去選択性を示す、組成物である。
【0012】
別の態様は、マイクロエレクトロニクスデバイスの表面から窒化チタン(TiN又はTiNxOy、式中、x=0〜1.3及びy=0〜2)を選択的に除去するためのシステムであって、
TiN又はTiNxOy及び第2の材料を含む、半導体デバイスと、
該半導体デバイスから該TiN又はTiNxOyを選択的に除去するための組成物であって、
アミン塩バッファー;
非周囲環境酸化剤;及び
液体キャリア、を含む組成物と、を含み、
該組成物が過酸化水素を含まず、
該組成物がpH<4、好ましくは<3、より好ましくは<2.5であり、
該第2の材料が、Cu、W、窒化アルミニウム(AlNxで、x=0.5〜1)、酸化アルミニウム(AlOxで、x=1〜1.5)、low−k誘電材料、及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択され、
該組成物が、>1:1、好ましくは>5:1、及びより好ましくは>10:1のTiN又はTiNxOy:該第2の材料の除去選択性を示す、システムである。
【0013】
さらに別の態様は、窒化チタン(TiN又はTiNxOy、式中、x=0〜1.3及びy=0〜2)を選択的に除去する方法であって、
TiN又はTiNxOy及び第2の材料を含む半導体デバイスを提供する工程と、
該半導体デバイスを、組成物に接触させる工程であって、該組成物が、
アミン塩バッファー;
非周囲環境酸化剤;及び
液体キャリア、を含み、
該組成物が過酸化水素を含まず、
該組成物がpH<4、好ましくは<3、より好ましくは<2.5であり、
該第2の材料がCu、W、窒化アルミニウム(AlNxで、x=0.5〜1)、酸化アルミニウム(AlOxで、x=1〜1.5)、low−k誘電材料、及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択される、工程と、
TiN又はTiNxOyを選択的に除去する工程と、を含み、TiN又はTiNxOy:該第2の材料の除去選択性が>1:1、好ましくは>5:1、及びより好ましくは>10:1である、方法である。
【0014】
アミン塩バッファーとしては、塩化アンモニウム;硫酸水素アンモニウム;リン酸アンモニウム;シュウ酸アンモニウム;パーフルオロスルホン酸アンモニウム;テトラフルオロホウ酸アンモニウム;ヘキサフルオロチタン酸アンモニウム;ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム;クエン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、乳酸アンモニウムから選択される有機酸のアンモニウム塩;及びそれらの組み合わせ、が含まれるが、それらに限定されず、該アンモニウムはN(R1234+の形を有し、式中R1、R2、R3、R4は独立して、H、CH3、C25、及びC37からなる群より選択される。
【0015】
非周囲環境酸化剤としては、過硫酸塩(これには過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムが含まれるがそれらに限定されない);ヨウ素酸塩;過ヨウ素酸塩;Cl(I、III又はV)化合物;Br(I、III又はV)化合物;及びそれらの組み合わせ、が含まれるが、それらに限定されない。
【0016】
液体キャリアとしては、水と、ジメチルスルホン、乳酸、グリコール、及び極性非プロトン性溶媒(これにはスルホラン、スルホキシド、ニトリル、ホルムアミド及びピロリドンが含まれるがそれらに限定されない)からなる群より選択される非水液体キャリアとが含まれるが、それらに限定されない。極性非プロトン性溶媒の具体例としては、スルホラン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド及びN−メチルピロリドンが含まれるが、それらに限定されない。
【0017】
液体キャリアが水である場合、組成物は水性であることができる。水性の組成物は、酸性フッ化物をさらに含む。
【0018】
組成物が、水及び少なくとも1つの非水液体キャリアを含有する場合、組成物は半水性であることができる。非水液体キャリアが極性非プロトン性溶媒ではない場合、半水性の組成物は、酸性フッ化物をさらに含むことができる。
【0019】
酸性フッ化物としては、アンモニウムビフルオリド、アルキルアンモニウムビフルオリド又は水性フッ化水素それ自体、フルオロケイ酸、フルオロホウ酸、水和フルオロアルミネートの酸、及びそれらの組み合わせ、が含まれるが、それらに限定されない。組成物は、その構造全体に高度に分散した負電荷を有する弱配位性アニオン、腐食阻害剤、及び界面活性剤をさらに含んでよい。
【0020】
弱配位性アニオンとしては、p−トルエンスルホン酸イオン(C78SO3-)、硫酸イオン(SO42-)、硝酸イオン(NO3-)、トリフレートイオン(CF3SO3-)、フルオロ硫酸イオン、パーフルオロスルホン酸イオン(RfSO3-;RfはC1〜C4のパーフルオロアルキル基)、パーフルオロスルホンイミドイオン((Rf2NSO2-;式中RfはC1〜C4のパーフルオロアルキル基)、ヘキサフルオロケイ酸イオン(SiF62-)、ヘキサフルオロチタン酸イオン(TiF62-)、テトラフルオロホウ酸イオン(BF4-)、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF6-)、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン(SbF6-)、パーフルオロアルキルアルミネートイオン((RfO)4Al-、Rfはパーフルオロアルキル基)、及びそれらの組み合わせ、が含まれるが、それらに限定されない。
【0021】
本発明の他の態様、特徴及び実施形態が、次の開示及び添付の請求項から、より完全に明らかとなるだろう。
【0022】
発明の詳細な説明
一般に、本発明は、存在する金属導体層及びlow−k誘電層に比べて、ハードマスク層及び/又はフォトレジストエッチング残留物を選択的にエッチングするための組成物、システム及び方法に関する。具体的には、本発明は、窒化チタンハードマスク材料(TiN又はTiNxOy、式中、x=0〜1.3及びy=0〜2)(以下、簡単にするためにTiNハードマスク材料と呼ぶ)に対し良好な除去速度を有し;金属1層(M1)(タングステンなど)及びlow−k誘電材料を含む他のM1レベル成分、並びに場合によっては窒化アルミニウム(AlNxで、x=0.5〜1)、酸化アルミニウム(AlOxで、x=1〜1.5)誘電層に損傷を与えない、組成物、システム及び方法を記載する。
【0023】
ウェーハパターニング後に窒化チタンハードマスク材料(TiN又はTiNxOy、式中、x=0〜1.3及びy=0〜2)を除去するために設計された組成物、又は処方物(組成物、処方物は、本発明において交換可能に用いられる)は、典型的には、酸化剤として過酸化水素を用いる。本明細書において用いられる「処方物」及び「組成物」という用語は、交換可能に用いられる。
【0024】
窒化チタンハードマスク除去のために、酸化剤として、過酸化水素を含有する化学物質が効果的であると証明されているが、ウェーハのM1層中のタングステン金属と不適合性のようである。処方物はしばしば、所望のTiNハードマスクよりもさらに容易にタングステンをエッチングする。わずかに塩基性の条件下で酸化剤として過酸化水素を用いて、窒化チタンをチタン過酸化物種として可溶化すると、残念なことに、タングステンなどのM1レベル金属もまた、容易に可溶性の過酸化物を形成し、これらの化学物質によって攻撃される。
【0025】
本発明の化学物質は、過酸化水素の使用を回避する。すなわち、より具体的には、本発明は、28nmウェーハ及びより小さいノード上の窒化チタンハードマスク除去のための、新規の、過酸化水素を含有しない、剥離剤(処方物)のプラットフォームを記載する。本発明のこの態様は、化学物質を、タングステンに対してさらにより適合性の高いものにする。
【0026】
大気条件の空気は、穏やかな周囲環境酸化剤の一例である。非周囲環境酸化剤という用語は、空気又は空気中の酸素ではない任意の酸化剤を包含する。
【0027】
指定のない限り、大気条件の空気は通常、ツール動作の間存在しており、処方物に対して穏やかな周囲環境酸化剤が存在するとみなされる。
【0028】
本発明は、<4、好ましくは<3、及びより好ましくは<2.5の低いpHで動作する。処方物は、水性の処方物(水のみを含有するもの)及び半水性の処方物(水及び少なくとも1つの非水液体キャリアを含有するもの)の両方であることが可能である。処方物は、アミン塩バッファー、非周囲環境酸化剤、酸性フッ化物源、及び液体キャリアを含み、タングステンをエッチングすることなく、窒化チタンハードマスクを除去する。この化学物質は、タングステンとlow−k誘電層との間のTiNライナをエッチングすることもない。アミン塩バッファーは、処方物のpHを4未満、好ましくは<3、及びより好ましくは<2.5に維持するのに用いられる。非周囲環境酸化剤及び酸性フッ化物は、TiNを効率よく除去するのに用いられる。
【0029】
処方物はアミン塩バッファーを含有する。アミン塩バッファーは、塩化アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、リン酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、パーフルオロスルホン酸アンモニウム、テトラフルオロホウ酸アンモニウム、ヘキサフルオロチタン酸アンモニウム又はヘキサフルオロケイ酸アンモニウム(これは、水酸化アンモニウム及びヘキサフルオロケイ酸から形成され得る)、又は有機酸のアンモニウム塩(これには、クエン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、乳酸アンモニウムが含まれるが、それらに限定されない)、及びそれらの組み合わせ、を含み得るが、それらに限定されない。
【0030】
アンモニウムは、N(R1234+(式中R1、R2、R3、R4は、全て同じか若しくは異なっていてよく、又はH、CH3、C25、C37を構成してよい)の形の、任意のアミンの塩を意味する。
【0031】
アミン塩バッファーの量は、0.5〜10wt%、好ましくは1〜10wt%及びより好ましくは2〜8wt%の範囲である。
【0032】
処方物は非周囲環境酸化剤を含有し、この非周囲環境酸化剤には、過硫酸塩(これには、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムが含まれるが、それらに限定されない)、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸塩、Cl(I、III又はV)化合物、Br(I、III又はV)化合物、及びそれらの組み合わせ、が含まれるが、それらに限定されない。
【0033】
非周囲環境非金属酸化剤は、0.2〜3wt%、好ましくは0.5〜2wt%及びより好ましくは0.5〜1%の範囲の量で用いられる。
【0034】
処方物は酸性フッ化物を含有し、この酸性フッ化物は、酸化物、例えば、O3−テトラエチルオルトケイ酸塩(TEOS)層、又は他のlow−k誘電層の安定性に応じて、<4000ppm、又は<2000ppm、又は<500ppmの量の加溶媒分解性酸性フッ化物であることができる。
【0035】
加溶媒分解性酸性フッ化物は、アンモニウムビフルオリド、アルキルアンモニウムビフルオリド又は水性フッ化水素それ自体、フルオロケイ酸、フルオロホウ酸、及び水和フルオロアルミネートの酸、を含み得るが、それらに限定されない。
【0036】
処方物はまた液体キャリアを含む。液体キャリアは、水と、ジメチルスルホン、乳酸、グリコール、及び極性非プロトン性溶媒(これは、スルホラン、スルホキシド、ニトリル、ホルムアミド及びピロリドン、を含むが、それらに限定されない)からなる群より選択される非水液体キャリアとを含み得るが、それらに限定されない。極性非プロトン性溶媒の具体例としては、スルホラン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド及びN−メチルピロリドン、が含まれるが、それらに限定されない。スルホラン、ジメチルスルホン、乳酸、プロピレングリコールなどのグリコール、及びそれらの混合物、からなる群より選択される。
【0037】
処方物は、酸の形又はアミン置換された形のいずれかの、弱配位性アニオンをさらに含有してよい。弱配位性アニオンはまた、処方物のpHを、4未満及び好ましくは3未満;及びより好ましくは2.5未満に維持するのにも用いられる。
【0038】
弱配位性アニオンは、その構造全体に高度に分散した負電荷を有し、それで水性の処方物中で、溶解した窒化チタンのカチオンなどの、非常に反応性の高いカチオンを安定化し保つように設計されている。
【0039】
弱配位性アニオンは、p−トルエンスルホン酸イオン(C78SO3-)、硫酸イオン(SO42-)、硝酸イオン(NO3-)、トリフレートイオン(CF3SO3-)、フルオロ硫酸イオン、パーフルオロスルホン酸イオン(RfSO3-;式中RfはC1〜C4のパーフルオロアルキル基)、パーフルオロスルホンイミドイオン((Rf2NSO2-;式中RfはC1〜C4のパーフルオロアルキル基)、ヘキサフルオロケイ酸イオン(SiF62-)、ヘキサフルオロチタン酸イオン(TiF62-)、テトラフルオロホウ酸イオン(BF4-)、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF6-)、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン(SbF6-)及びパーフルオロアルキルアルミネートイオン((RfO)4Al-、式中Rfはパーフルオロアルキル基)、及びそれらの組み合わせ、を含み得るが、それらに限定されない。
【0040】
弱配位性アニオンの量は、1〜10wt%、好ましくは2〜8wt%、及びより好ましくは4〜8wt%の範囲である。
【0041】
処方物は腐食阻害剤を含有し、他の金属に対する適合性を向上させてよい。
【0042】
腐食阻害剤は、ベンゾトリアゾール又は置換ベンゾトリアゾール、ポリエチレンイミン、カテコール、システイン及びシスチン誘導体、グリシン、チオ尿素及びチオビウレット、シロキサン、塩化アルミニウム、フッ化アルミニウム、イミダゾール、トリアゾール及びホウ酸を含み得るが、それらに限定されない。
【0043】
腐食阻害剤は、<10000ppm、好ましくは<5000ppm及びより好ましくは<1000ppmの量で用いられる。
【0044】
処方物は界面活性剤を含有し、ウェーハ表面の濡れ性を向上させてもよい。界面活性剤の例としては、ラウリル硫酸アンモニウム及びp−トルエン硫酸塩を含む広範囲の有機硫酸塩が含まれるが、それらに限定されない。界面活性剤は、典型的には、<1000ppm、好ましくは<500ppm及びより好ましくは<100ppmの量で用いられる。
【0045】
本発明の処方物は、以下の利点を提供する。
1.70℃以下で、高速の窒化チタンエッチングが観察される。
2.処方物の水性の溶液及び半水性の溶液が安定である。
3.低活性フッ化物含有処方物が、低いTEOS及びパターン化PDEMs(登録商標)2.2 ILD膜エッチングを示す。
4.タングステン、Wのエッチングが低いか、又は本質的に観察されない。そのため、このプラットフォームの処方物は、M1層と適合性であり、M1層のクリーニングに用いられ得る。
5.処方物が、タングステンとlow−k誘電層との間のTiNライナを損傷しない。
6.半水性の処方物が、他の処方物と比較して低い窒化アルミニウムエッチングを示す。
【0046】
実施例が、本発明の主要な特徴及び利益を示している。
【実施例】
【0047】
水性の処方物を、表1Aに記載の成分をブレンドすることにより調製した。半水性の処方物を、表1Bに記載のように調製した。
【0048】
処方物を500rpmで撹拌し40〜70℃に加熱しながら、TiN、W、TEOSの様々なタイプのウェーハ、及び典型的な層間誘電(ILD)材料、例えば、パターン化PDEMs2.2を、処方物に浸漬した。エッチング速度に応じて浸漬時間を変えた。
【0049】
金属についてのエッチング速度は、Creative Design Engineering、 20565 Alves Drive、 Cupertino、 CA 95014により製造された、CDE RESMAP Model 273、卓上4探針、でのシート抵抗により、エッチングプロセス前後の膜厚を決定することにより、決定した。ILD及びTEOSについてのエッチング速度は、SCI FilmTeKエリプソメータでの前後の厚さにより測定した。
【0050】
水性の処方物を表1Aに示した。
【表1】
【0051】
非水液体キャリアを用いる半水性の処方物を表1Bに示した。
【0052】
処方物92I以外の全ての処方物はpH<4であった。処方物92IはpH>4であった。
【表2】
【0053】
処方物を用いる、40〜70℃でのTiN剥離試験を、以下の例及び比較例において実施した。ブレンドデータは他の例に用いられる。
【0054】
例1 非周囲環境酸化剤としての過硫酸塩の使用
表1A及び1Bに示されている処方物についての、45℃及び50℃でのエッチングデータを表2に示した。
【0055】
処方物92Aは、酸化剤として過酸化水素が用いられた比較例であった。処方物は、非周囲環境酸化剤として0.5%過酸化水素を含有した。この処方物は、3wt%塩化アンモニウムでpH〜4に緩衝された。処方物92Aから最小のTiNエッチングが観察され、その一方でタングステンの顕著なエッチングが観察された。
【0056】
処方物92Bは、処方物が非周囲環境酸化剤(すなわち過硫酸塩)を含有したが、酸性フッ化物(すなわち微量ビフルオリド)を含有しなかった、別の比較例であった。92Bからの結果は、低いTiNエッチング速度を示している。
【0057】
処方物92Iはまた、処方物のpHが>4であった比較例であった。処方物92Iは、最小のTiNエッチング速度、幾分相対的に高いWエッチング速度を示した。
【表3】
【0058】
水性の処方物92D、E及びFからのデータは、非周囲環境酸化剤(すなわち過硫酸塩)、及び酸性フッ化物(すなわち微量ビフルオリド)を含有するpH<4の本発明の処方物が、W及びlow−k誘電材料に対して優れた適合性を備えながら、高いTiNエッチング速度を示すことができたことを示している。処方物は、TiN対W(最大17)及びTiN対low−k誘電材料(最大>100)の良好な選択性を示した。
【0059】
スルホラン(極性非プロトン性溶媒)又はジメチルスルホンなどの非水液体キャリアが添加された半水性の処方物について、表2のデータは、非周囲環境酸化剤(すなわち過硫酸塩)を含有し、酸性フッ化物(すなわち微量ビフルオリド)を含む又は含まない、pH<4の半水性の処方物もまた、W及びlow−k誘電材料に対して優れた適合性を備えながら、高いTiNエッチング速度を示すことができたことを示した。処方物は、TiN対W(最大10)及びTiN対low−k誘電材料(最大>100)の良好な選択性を示した。
【0060】
さらに、表2のデータはまた、酸性フッ化物を含有する半水性の処方物が、温度<50℃での良好なTiN対W、及び/又はTiN対low−k誘電体エッチング選択性を維持しながら、窒化アルミニウム(AlN)エッチング速度を大いに減少させたことを示した。処方物は、AlN層の保護を示した。
【0061】
極性非プロトン性溶媒スルホランを唯一の非水液体キャリアとして含有し、酸性フッ化物を含まない、半水性の処方物(94D)は、良好なTiN対W、及び/又はTiN対low−k誘電体エッチング選択性を維持しながら、窒化アルミニウム(AlN)エッチング速度を大いに減少させた。処方物は、AlN層の保護を示した。
【0062】
本発明の処方物は、TiNハードマスクの除去についてのそれらの有効性、並びにW、窒化アルミニウム(AlN)、及びlow−k誘電材料に対するそれらの良好な適合性を示している。
【0063】
本発明の半水性の処方物は、窒化アルミニウム又は酸化アルミニウムに対する適合性が望まれるシステムにとって、極めて有用である。
【0064】
前述の例及び好ましい実施形態の記載は、請求項により規定される本発明を限定するものとしてではなく、例示するものとして理解されるべきである。容易に理解されるように、請求項に記載の本発明から逸脱することなく、上記の特徴の多数のバリエーション及び組み合わせを利用することができる。このようなバリエーションは、本発明の精神及び範囲からの逸脱とはみなされていなかった。そして、全てのこのようなバリエーションは、以下の請求項の範囲内に含まれることが意図されていた。