(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
接地側に接続するモータに備えられたコイルの端部を切り替える第1の切替回路と、駆動電源側に接続する前記コイルの端部を切り替える第2の切替回路と、を備え、前記第1の切替回路と前記第2の切替回路とにより前記コイルに流れる電流を制御するモータ駆動装置を制御する半導体装置であって、
前記モータに備えられた回転子の回転位置の変化を検出して、変化した回転位置に対応する検出信号を出力する位置検出部と、
前記検出信号に基づいて、前記第1の切替回路に対し、前記接地側に接続する前記コイルの端部を切り替えさせるPWM信号を出力するPWM制御部と、
前記PWM制御部が動作していない状態では、前記検出信号にかかわらず、前記第2の切替回路による前記コイルの端部と前記駆動電源側との接続切替を制御する第3の切替回路に対し、所定の固定値信号を出力するコントローラと、
を備え、
前記第2の切替回路は第1のトランジスタと第2のトランジスタを含み、
前記第3の切替回路は第3のトランジスタと第4のトランジスタを含み、
前記PWM制御部が動作していない状態では、
前記第3のトランジスタは前記第1のトランジスタにオフ信号を出力し、
前記第4のトランジスタは前記第2のトランジスタにオフ信号を出力する、
半導体装置。
接地側に接続するモータに備えられたコイルの端部を切り替える第1の切替回路と、駆動電源側に接続する前記コイルの端部を切り替える第2の切替回路と、を備え、前記第1の切替回路と前記第2の切替回路とにより前記コイルに流れる電流を制御するモータ駆動装置を制御する半導体装置のモータ駆動制御方法であって、
前記モータに備えられた回転子の回転位置の変化を検出して、変化した回転位置に対応する検出信号を出力し、
前記検出信号に基づいて、前記第1の切替回路に対し、前記接地側に接続する前記コイルの端部を切り替えさせるPWM信号をPWM制御部が出力し、
前記PWM制御部が動作していない状態では、前記検出信号にかかわらず、前記第2の切替回路による前記コイルの端部と前記駆動電源側との接続切替を制御する第3の切替回路に対し、所定の固定値信号を出力し、
前記第2の切替回路は第1のトランジスタと第2のトランジスタを含み、
前記第3の切替回路は第3のトランジスタと第4のトランジスタを含み、
前記PWM制御部が動作していない状態では、
前記第3のトランジスタは前記第1のトランジスタにオフ信号を出力し、
前記第4のトランジスタは前記第2のトランジスタにオフ信号を出力する、
モータ駆動制御方法。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1において、モータの駆動制御を、マイクロコントローラ(以下、マイコンともいう)等の半導体装置を用いて行なう技術が開示されている。この特許文献1では、マイコン、ドライブ回路、及び位置検出回路を用いて駆動回路(上アーム、下アーム)のスイッチング素子を制御してブラシレスモータの回転制御を行なっている。
【0003】
また、特許文献2では、ドライブ回路を用いることなく、マイコン及び位置検出回路のみで駆動回路(上アーム、下アーム)のスイッチング素子を制御してモータの回転制御及び電源制御を行なう技術が開示されている。
【0004】
モータでは、モータ内の界磁コイルに流す電流量によってトルク等を制御している。何らかの原因で、この界磁コイルに流す電流を制御することができなくなると、重大な事故を発生させる場合がある。そのため、界磁コイルに流す電流を制御することができなくなった場合には、安全措置として直ちに界磁コイルに流す電流を遮断する必要がある。
【0005】
一般に、モータを駆動させて、回転途中でモータへの通電を止めると、コイルにたまった電流が逆起電力となって電源の電位を上昇させ、その電源の電位の上昇によって、電源に接続されている素子の耐圧を超過して当該素子が破壊される場合があった。
【0006】
その問題を解決するため、従来のマイコンを用いたブラシレスモータの駆動制御では、ブラシレスモータの過電流を検知して止めようとする場合、電流を検知するコンパレータの割り込みがCPU(Central Processing Unit;中央処理装置)に入って、ブラシレスモータとグランド間の通電を制御する下アームのトランジスタをオフすると共に、ブラシレスモータと電源間の通電を制御する上アームのトランジスタをオンさせてコイルの両端をショートすることで電流を回生させて、コイルにたまった誘導電流を放電することで逆起電力を抑え、電源に接続されている素子が破壊されるのを防いでいる。
【0007】
しかし、この場合、電流を検知するコンパレータの割り込み処理を、CPUによりソフト処理をする必要がある。そのため、タイムラグが発生し、直ちに逆起電力を抑えることができず、逆起電力による素子の破壊が起きる危険があった。
【0008】
特許文献3では、ICチップで構成された回転電機制御装置により、三相交流モータの駆動制御を行なう技術に関連して、回転電機の界磁コイルに流れる電流が何らかの原因で制御できなくなった場合に、安全措置として、界磁コイルに流れる電流を直ちに遮断する技術が開示されている。具体的には、回転電機の界磁コイルに流れる電流が何らかの原因で制御できなくなった場合に、当該界磁コイルに直列に挿入接続されたPMOSトランジスタとNMOSトランジスタを、マイコンからの制御により遮断している。
【0009】
また、特許文献4では、モータに流れる電流値と予め設定された目標電流値とをコンパレータで比較し、モータに流れる電流値が目標電流値を超えると、CPUからの制御信号を遮断し、モータに流れる電流値を抑制するための信号を駆動回路へ直接出力することにより、電流変化が大きな反転時等における、目標電流値に対する電流値変動を抑制する技術が開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図を用いて本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態(第1の実施例)に係る半導体装置1(以下、マイコンともいう)を備えた駆動機構20の構成を示している。半導体装置1は、プログラムの実行により駆動機構20に備えられたモータ10の駆動制御を含む各種処理を行うCPU2と、CPU2による各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるRAM(Random Access Memory3と、各種制御プログラムや各種パラメータ等が予め記憶された記録媒体であるROM(Read Only Memory)4と、を備えると共に、アナログ回路からなる本発明に係る位置検出部としてのコンパレータ(a)5、ロジック回路からなる本発明に係る第2の切替部としてのコンパレータコントローラ(a)6、及びPWM(Pulse Width Modulation)パルスを出力する本発明に係る第1の切替部としてのPWM7を、1チップ上に備えた構成(1チップマイコン)となっている。
【0022】
なお、本実施の形態(第1の実施例)では、例えば半導体装置1はDC5.0V駆動で、制御対象となるモータ10はDC12.0V駆動とする。また、本実施の形態では、モータ10は単相のブラシレスモータとする。
【0023】
駆動機構20は、半導体装置1とモータ10と共に、PMOSトランジスタT1,T2を備えた本発明に係る第2の切替回路としての上アーム12、NMOSトランジスタT5,T6を備えた本発明に係る第1の切替回路としての下アーム13を具備し、モータ10内には、コイル10aと、モータ10の回転の変化を検出するホール素子Hallが備えられている。なお、モータ10において、コイル10aは固定され、このコイル10aに流れる電流で生成される磁力と、モータ10の図示していない回転子に備えられた磁石等の磁力とによりモータ10は回転する。
【0024】
上アーム12に備えられたPMOSトランジスタT1,T2の各々のドレインはダイオード11を介してモータ10を駆動するための駆動電源VDDH(DC12.0V)に接続されている。PMOSトランジスタT1のソースは、モータ10内のコイル10aの一方の端部M−と、下アーム13に備えられたNMOSトランジスタT5のドレインに接続されている。また、PMOSトランジスタT2のソースは、モータ10内のコイル10aの他方の端部M+と、下アーム13に備えられたNMOSトランジスタT6のドレインに接続されている。
【0025】
さらに、PMOSトランジスタT1,T2の各々のゲートは、抵抗R1,R2及びダイオード11を介して駆動電源VDDHに接続されると共に、本発明に係る第3の切替回路としてのNMOSトランジスタT3,T4のドレインに接続され、当該NMOSトランジスタT3,T4を介して接地GND側に接続される。
【0026】
すなわち、NMOSトランジスタT3,T4は、ドレインがPMOSトランジスタT1,T2の各々のゲートに接続され、ソースが接地GND側に接続されている。なお、NMOSトランジスタT3,T4のゲートは、半導体装置1におけるコンパレータコントローラ(a)6の出力端に接続され、コンパレータコントローラ(a)6から出力される信号UAD0,UAD1により各々オン/オフ制御される。
【0027】
下アーム13に備えられたNMOSトランジスタT5は、ドレインが上アーム12に備えられたPMOSトランジスタT1のソース及びモータ10内のコイル10aのM−端に接続され、ソースが接地GND側に接続されている。
【0028】
同様に、下アーム13に備えられたNMOSトランジスタT6は、ドレインが上アーム12に備えられたPMOSトランジスタT2のソース及びモータ10内のコイル10aの端部M+に接続され、ソースが接地GND側に接続されている。
【0029】
そして、下アーム13に備えられたNMOSトランジスタT5,T6のゲートは、半導体装置1におけるPWM7の出力端に接続され、PWM7から出力される信号LAD0,LAD1により各々オン/オフ制御される。
【0030】
なお、実際には、PMOSトランジスタT1,T2、及びNMOSトランジスタT3〜T6のそれぞれにおいては、ドレインとソース間にダイオードが接続されているが、ここでは説明を簡単にするために図示していない。
【0031】
また、コンパレータ(a)5は、本発明の位置検出部に相当し、ホール素子Hallから出力される位置検知信号HALL+,HALL−を入力して、モータ10に設けられた回転子の回転位置の変化を検出し、変化した回転位置に対応する検出信号を出力する。
【0032】
また、下アーム13は本発明の第1の切替回路に相当し、PWM7は本発明の第1の切替部に相当する。そして、PWM7は、位置検出部としてのコンパレータ(a)5から出力された検出信号に基づいて、接地GND側に接続するモータ10のコイル10aの端部M+,M−を切り替えるように下アーム13を制御するための第1の切替信号としての信号LAD0,LAD1を出力する。
【0033】
また、上アーム12は本発明の第2の切替回路に相当し、コンパレータコントローラ(a)6は本発明の第2の切替部に相当する。そして、コンパレータコントローラ(a)6は、位置検出部としてのコンパレータ(a)5から出力された検出信号に基づいて、駆動電源VDDHに接続するモータ10のコイル10aの端部M+,M−を切り替えるように上アーム12を制御するための第2の切替信号としての信号UAD0,UAD1を出力する。
【0034】
このように、上アーム12と下アーム13とにより、コンパレータ(a)5から出力された検出信号に基づいて、モータ10のコイル10aの端部M+,M−の接続先を駆動電源VDDHと接地GNDに切り替えることにより、モータ10のコイル10aに流れる電流の方向を切り替え、モータ10が一方向に回転するよう制御する。
【0035】
例えば、ホール素子Hallから出力される位置検知信号HALL+がロー(L)でHALL−がハイ(H)に変化した場合、コンパレータ(a)5の出力はロー(L)となる。また、ホール素子Hallから出力される位置検知信号HALL+がハイ(H)でHALL−がロー(L)に変化した場合、コンパレータ(a)5の出力はハイ(H)となる。このコンパレータ(a)5からの出力はPWM7及びコンパレータコントローラ(a)6に入力される。
【0036】
PWM7は、コンパレータ(a)5からの出力がハイ(H)からロー(L)、または、ロー(L)からハイ(H)に変化すると、動作状態が停止状態となり、CPU1からの起動信号の入力を待つ。
【0037】
すなわち、CPU1において、PWM7による信号LAD0,LAD1の出力を、コンパレータ(a)5からの出力が変化した後、予め定められた時間だけ遅らせるよう制御する。このようにして、上アーム12と下アーム13とが同時にオンした場合に発生する不具合を回避させるためのデッドタイムを設定する。
【0038】
例えば、コンパレータ(a)5の出力がハイ(H)からロー(L)に変化してCPU1によるデッドタイムが経過すると、PWM7は動作状態となり、信号LAD0をハイ(H)とする。なお、PWM7は、PWMパルスを出力しており、パルス幅に基づきモータ10の回転速度が制御される。
【0039】
また、コンパレータコントローラ(a)6は、本実施の形態において、PWM7が動作していない状態では、コンパレータ(a)5からの出力にかかわらず、信号UAD1をロー(L)、信号UAD0をロー(L)とする。
【0040】
さらに、コンパレータコントローラ(a)6は、PWM7が動作状態となると、信号UAD1と信号UAD0の切替を行う。
【0041】
例えば、コンパレータコントローラ(a)6は、コンパレータ(a)5の出力がハイ(H)からロー(L)に変化してPWM7が動作状態となると、信号UAD0をハイ(H)とする。
【0042】
このように、コンパレータコントローラ(a)6からの信号UAD0がハイ(H)になると、NMOSトランジスタT3がオンとなり、PMOSトランジスタT1がオンとなる。また、この状態では、コンパレータコントローラ(a)6からの信号UAD1はロー(L)であり、NMOSトランジスタT4はオフであり、PMOSトランジスタT2がオフ状態である。
【0043】
さらに、この状態では、NMOSトランジスタT5は、PWM7から出力される信号LAD1がロー(L)で、オフ状態であり、NMOSトランジスタT6は、PWM7から出力される信号LAD0がハイ(H)で、オン状態である。
【0044】
その結果、モータ10のコイル10aの端部M−側が、PMOSトランジスタT1及びダイオード11を介して駆動電源VDDHに接続され、モータ10のコイル10aの端部M+側が、NMOSトランジスタT6を介して接地GND側に接続され、モータ10が回転する。なお、ここでの回転を順方向の回転とする。
【0045】
このようにしてモータ10が順方向に回転して、モータ10の回転子に備えられた磁石の磁極とコイル10aで生成される磁力の磁極との関係がモータ10の回転を抑止する位置となる所定の回転角度まで回転すると、ホール素子Hallから出力される位置検知信号HALL+がハイ(H)でHALL−がロー(L)に変化する。この場合、コンパレータ(a)5の出力はハイ(H)となり、このコンパレータ(a)5からの出力(H)がPWM7及びコンパレータコントローラ(a)6に入力される。
【0046】
PWM7は、コンパレータ(a)5からの出力がロー(L)からハイ(H)に変化すると、信号LAD0を直ちにロー(L)とし、デッドタイム分の時間が経過した後に、信号LAD1をハイ(H)としてPWMパルスを出力する。
【0047】
コンパレータコントローラ(a)6は、コンパレータ(a)5の出力がロー(L)からハイ(H)に変化すると、信号UAD0を直ちにロー(L)とし、その後、PWM7の動作開始に応じて、信号UAD1をハイ(H)とする。
【0048】
このように、コンパレータコントローラ(a)6からの信号UAD1がハイ(H)になると、NMOSトランジスタT4がオンとなり、PMOSトランジスタT2がオンとなる。また、この状態では、コンパレータコントローラ(a)6からの信号UAD0はロー(L)で、NMOSトランジスタT3はオフであり、PMOSトランジスタT1がオフとなる。
【0049】
さらに、この状態では、NMOSトランジスタT5は、PWM7から出力される信号LAD1がハイ(H)で、オン状態であり、NMOSトランジスタT6は、PWM7から出力される信号LAD0がロー(L)であり、オフ状態である。
【0050】
その結果、モータ10のコイル10aの端部M+側が、PMOSトランジスタT2及びダイオード11を介して駆動電源VDDHに接続され、モータ10のコイル10aの端部M−側が、NMOSトランジスタT5を介して接地GND側に接続され、コイル10aに流れる電流の方向が今までとは逆の方向となり、コイル10aで生成される磁力の磁極が反転する。これにより、モータ10の順方向の回転が継続される。
【0051】
このようにしてモータ10が順方向に回転して所定の回転角度まで回転すると、再度、ホール素子Hallから出力される位置検知信号HALL+がロー(L)でHALL−がハイ(H)に変化し、コンパレータ(a)5の出力がロー(L)となり、順方向の回転が継続される。
【0052】
このように、本実施の形態では、モータ10のコイル10aの端部M+,M−を切り替えて電源電位VDDH(DC12.0V)に接続制御するために設けた上アーム12に備えられたPMOSトランジスタT1,T2を、NMOSトランジスタT3,T4を介してオン/オフ制御しており、DC5.0Vで駆動するマイコンの半導体装置1によりDC12.0Vで駆動するモータ10の駆動を制御することができる。
【0053】
このような本実施の形態の半導体装置1の動作を、
図2のタイムチャートを用いて説明する。なお、半導体装置1の起動時には、CPU2によりコンパレータコントローラ(a)6が起動され、さらに、コンパレータコントローラ(a)6によりコンパレータ(a)5が起動される。
【0054】
t1のタイミングでは、ホール素子Hallから出力される位置検知信号HALL+がロー(L)に、HALL−がハイ(H)に変化し、コンパレータ(a)5の出力はロー(L)となる。
【0055】
このコンパレータ(a)5からの出力がPWM7及びコンパレータコントローラ(a)6に入力される。PWM7は、コンパレータ(a)5からの出力がハイ(H)からロー(L)に変化すると、動作状態が停止状態となり、信号LAD1を直ちにロー(L)とし、CPU2からデッドタイムを設定して起動信号を入力する。コンパレータコントローラ(a)6は、信号UAD1を直ちにロー(L)にする。
【0056】
t2のタイミングでは、PWM7のデッドタイムが経過し、PWM7は動作状態となり、信号LAD0(PWMパルス)を出力する。また、PWM7が動作状態となると、コンパレータコントローラ(a)6は、信号UAD0をハイ(H)とする。
【0057】
このように、PWM7から信号LAD0(PWMパルス)が出力され、コンパレータコントローラ(a)6からの信号UAD0がハイ(H)になると、上述したように、モータ10が順方向に回転する。
【0058】
t3のタイミングでは、モータ10が順方向に回転して所定の回転角度まで回転して、ホール素子Hallから出力される位置検知信号HALL+がハイ(H)でHALL−がロー(L)に変化して、コンパレータ(a)5の出力がハイ(H)となる。
【0059】
このコンパレータ(a)5からの出力(H)がPWM7及びコンパレータコントローラ(a)6に入力される。PWM7は、コンパレータ(a)5からの出力がロー(L)からハイ(H)に変化すると、動作状態が停止状態となり、信号LAD0を直ちにロー(L)とし、CPU2からデッドタイムを設定して起動信号を入力する。コンパレータコントローラ(a)6は、信号UAD0を直ちにロー(L)とする。
【0060】
t4のタイミングでは、PWM7のデッドタイムが経過し、PWM7は、信号LAD1をハイ(H)としてPWMパルスを出力し、コンパレータコントローラ(a)6は、信号UAD1をハイ(H)とする。
【0061】
このように、PWM7から信号LAD1(PWMパルス)が出力され、コンパレータコントローラ(a)6からの信号UAD1がハイ(H)になると、上述したように、モータ10のコイル10aに流れる電流の方向が変わり、モータ10の順方向の回転が継続される。
【0062】
t5のタイミングでは、モータ10が順方向の回転を継続して所定の回転角度まで回転して、ホール素子Hallから出力される位置検知信号HALL+がロー(L)でHALL−がハイ(H)に変化して、コンパレータ(a)5の出力がロー(L)となり、t1のタイミングと同様の動作となり、t6のタイミングで、t2のタイミングの動作となり、以下、同様の動作を繰り返す。
【0063】
次に、
図3、
図4、及び
図5を用いて、他の本実施の形態(第2の実施例)を説明する。
【0064】
図3に示す駆動機構20aは、
図1に示す駆動機構20に対して、新たに、抵抗R3,R4、コンデンサC1を備え、半導体装置1内にロジック回路のコンパレータコントローラ(b)8とアナログ回路のコンパレータ(b)9を備えた構成となっている。
【0065】
抵抗R3,R4、コンデンサC1、及び半導体装置1内のコンパレータコントローラ(b)8とコンパレータ(b)9以外の構成に関しては、
図1における駆動機構20と同じであり、その動作の説明は省略する。
【0066】
抵抗R4は、NMOSトランジスタT3〜T6の各々のソースと接地GND間に接続され、抵抗R3とコンデンサC1とにより、抵抗R4に流れる電流値、すなわち、モータ10に流れる電流値を測定する構成となっている。
【0067】
なお、コンパレータコントローラ(b)8は本発明の緊急停止部に相当し、コンパレータ(b)9は本発明の過電流検出部に相当する。
【0068】
このような構成において、抵抗R3とコンデンサC1とにより測定されたモータ10に流れる電流値は、コンパレータ(b)9に入力される。コンパレータ(b)9は、入力された電流値(CS_I)と予め設定された基準値とを比較し、モータ10に基準値を超えた異常な値の電流(過電流)が流れた場合に、過電流検出信号を出力する。なお、ここでは、電流値は電圧値に変換されてコンパレータ(b)9に入力され、コンパレータ(b)9において基準電圧と比較される。
【0069】
コンパレータコントローラ(b)8は、コンパレータ(b)9から出力された過電流検出信号を入力し、モータ10の回転を緊急停止させるよう、PWM7及びコンパレータコントローラ(a)6に、緊急停止信号CS_Oを出力する。
【0070】
本実施の形態では、コンパレータコントローラ(b)8は、モータ10のコイル10aへの通電を止め、かつ、コイル10aに貯まった電流を回生させるように、コイル10aの両端を短絡(ショート)させるよう、PWM7及びコンパレータコントローラ(a)6を制御する信号を出力する。
【0071】
例えば、コンパレータコントローラ(b)8は、PWM7に、下アーム13を制御して接地GND側とコイル10aとの接続を遮断させる遮断信号を出力し、また、コンパレータコントローラ(a)6には、上アーム12を制御して駆動電源VDDHにコイル10aの両端を接続させて短絡させる短絡信号を出力する。
【0072】
あるいは、コンパレータコントローラ(b)8は、コンパレータコントローラ(a)6に、上アーム12を制御して駆動電源VDDHとコイル10aとの接続を遮断させる遮断信号を出力し、PWM7には、下アーム13を制御して接地GND側とコイル10aの両端を接続させて短絡させる短絡信号を出力する。
【0073】
このように、モータ10の回転途中でモータ10への通電を止めた際に発生する逆起電力を直ちに抑えることで、電源(駆動電源VDDH)に接続されている素子への耐圧超過を防ぎ、素子への破壊を防ぐことができるとの効果が得られる。
【0074】
このような本実施の形態に係る半導体装置1aの動作を、
図4及び
図5のタイムチャートを用いて説明する。なお、t1〜t6のタイミングでの動作は、
図2での説明と同様であり、ここでは、省略する。
【0075】
まず、
図4を用いて、上アーム12側でコイル10aの両端を接続させて短絡させる動作例を説明する。
図4のt7のタイミングでは、コンパレータ(b)9において、モータ10(コイル10a)に過電流が流れたことを検知し、コンパレータ(b)9は、過電流検知信号(H)を出力する。
【0076】
コンパレータ(b)9が過電流検知信号(H)を出力すると、コンパレータコントローラ(b)8は、PWM7に緊急停止信号CS_Oを出力し、PWM7の動作を直ちに緊急停止させる。
【0077】
PWM7は、コンパレータコントローラ(b)8から緊急停止信号CS_Oが入力されると、動作を停止し(PWM_STATがロー(L)となる)、出力信号LAD0,LAD1を共にロー(L)とする。
【0078】
PWM7が緊急停止してPWM_STATがロー(L)となり、PWM7からコンパレータコントローラ(a)へ緊急停止信号が入力されると、コンパレータコントローラ(a)7は、出力信号UAD0,UAD1を共にハイ(H)とする。
【0079】
このように、コンパレータコントローラ(a)7からの出力信号UAD0,UAD1が共にハイ(H)となると、
図3におけるNMOSトランジスタT3,T4は共にオンとなり、上アーム12に備えられたNMOSトランジスタT1,T2が共にオンとなる。また、PWM7からの出力信号LAD0,LAD1は共にロー(L)であり、
図3における下アーム13に備えられたNMOSトランジスタT5,T6が共にオフとなる。
【0080】
その結果、モータ10のコイル10aの両端部M+,M−は、PMOSトランジスタT1,T2を介して短絡され、コイル10aに貯まっていた電流が回生される。このようにして、タイムラグ無く電流を回生させて逆起電力を抑えることができる。
【0081】
次に、
図5を用いて、下アーム13側でコイル10aの両端を接続させて短絡させる動作例を説明する。
図5のt7のタイミングでは、コンパレータ(b)9において、モータ10(コイル10a)に過電流が流れたことを検知し、コンパレータ(b)9は、過電流検知信号(H)を出力する。
【0082】
コンパレータ(b)9が過電流検知信号(H)を出力すると、コンパレータコントローラ(b)8は、PWM7に緊急停止信号CS_Oを出力し、PWM7の動作を直ちに緊急停止させる。
【0083】
PWM7は、コンパレータコントローラ(b)8から緊急停止信号CS_Oが入力されると、動作を停止し(PWM_STATがロー(L)となる)、出力信号LAD0,LAD1を共にハイ(H)とする。
【0084】
PWM7が緊急停止してPWM_STATがロー(L)となり、PWM7からコンパレータコントローラ(a)へ緊急停止信号が入力されると、コンパレータコントローラ(a)7は、出力信号UAD0,UAD1を共にロー(L)とする。
【0085】
このように、コンパレータコントローラ(a)7からの出力信号UAD0,UAD1が共にロー(L)となると、
図3におけるNMOSトランジスタT3,T4は共にオフとなり、上アーム12に備えられたNMOSトランジスタT1,T2が共にオフとなる。また、PWM7からの出力信号LAD0,LAD1は共にハイ(H)であり、
図3における下アーム13に備えられたNMOSトランジスタT5,T6が共にオンとなる。
【0086】
その結果、モータ10のコイル10aの両端部M+,M−は、NMOSトランジスタT5,T6を介して短絡され、コイル10aに貯まっていた電流が回生される。このようにして、タイムラグ無く電流を回生させて逆起電力を抑えることができる。
【0087】
なお、
図4及び
図5で説明した緊急停止動作においては、PWM7が緊急停止した際に、緊急停止フラグがハイ(H)となる。この緊急停止フラグは、CPU2によるレジスタ書込みによってクリアでき、書込み後、通常状態に復帰する。
【0088】
次に、
図6を用いて、
図1における半導体装置1の本実施の形態に係るモータ駆動制御動作を説明する。コンパレータ(a)5は、ホール素子Hallの出力に基づいてモータ10に備えられた回転子の回転位置が変化したことを検出すると(ステップ601)、検出信号(H/L)を出力する(ステップ602)。
【0089】
コンパレータ(a)5からの検出信号(H/L)が出力されると、PWM7は、下アーム13に、検出信号(H/L)に基づいて、接地GND側に接続するコイル10aの端部を切り替えさせる切替信号(LAD0,LAD1)を出力し(ステップ603)、コンパレータコントローラ(a)6は、検出信号(H/L)に基づいて、本発明の第3の切替回路に相当するNMOSトランジスタT3,T4に対し、上アーム12において駆動電源VDDHに接続するコイル10aの端部を切り替えさせる切替信号(UAD0,UAD1)を出力する(ステップ604)。
【0090】
本実施の形態では、コンパレータコントローラ(a)6は、NMOSトランジスタT3,T4を介して上アーム12に備えられたPMOSトランジスタT1,T2をオン/オフ制御する。
【0091】
コンパレータ(a)5から出力される検出信号(H/L)はマイコン出力であり、本実施の形態によれば、DC5.0Vで駆動するマイコンである半導体装置1によりDC12.0Vで駆動するモータ10の駆動を制御することができる。
【0092】
なお、上記ステップ601〜604の動作中に、
図3に示すコンパレータ(b)9から過電流検出信号(H)が出力された場合には、
図4及び
図5を用いて説明した緊急停止動作を行い、コイル10aの両端部M+,M−を短絡させて、コイル10aに貯まっていた電流を回生させることで、逆起電力を抑えることができる。
【0093】
以上、各図を用いて説明したように、本実施の形態の半導体装置1,1aを備えた駆動機構20,20aでは、DC5.0Vで駆動する1チップマイコン構成の半導体装置1,1aによりDC12.0Vで駆動するモータ10の駆動を制御することができる。
【0094】
また、モータ10に過電流が流れた場合には、コンパレータ(b)9から過電流検出信号(H)が出力され、緊急停止動作が行われ、コイル10aの両端部M+,M−を短絡させて、コイル10aに貯まっていた電流をタイムラグ無く回生させることができ、逆起電力を抑えることが可能となり、逆起電力による素子の破壊を回避することができる。
【0095】
なお、本発明は、各図を用いて説明した実施の形態例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。例えば、本実施の形態では、半導体装置1,1aはDC5.0V駆動で、制御対象となるモータ10はDC12V駆動としたが、半導体装置1,1aはDC3.3V駆動、モータ10はDC24V駆動としても良い。また、本実施の形態では、モータ10は単相のブラシレスモータとしたが、3相のブラシレスモータ等にも適用することができる。