(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、アミノ基を有する有機ケイ素化合物は、シランカップリング剤、表面処理剤、繊維処理剤、接着剤、塗料添加剤等に有用であることが知られている。特に、高分子材料の機械的特性や耐熱性を向上させる目的で無機材料(例えばガラス繊維、金属、酸化物充填剤)を添加する場合、上記有機ケイ素化合物を用いることで、高分子材料と無機材料との密着性向上や無機材料の分散状態がよくなることが知られており、期待される添加効果がより高くなることが知られている。
【0003】
上記のような有機ケイ素化合物を含め、シランカップリング剤は、使用する際の混合プロセス中において、相当量のアルコールが発生することは公知である。近年、地球温暖化や健康問題等に関係の深い環境問題において、揮発性有機化合物の削減が大きなテーマとして挙げられており、シランカップリング剤から発生するアルコール量を削減することで揮発性有機化合物の削減に取り組む開発が行われている。例えば、アルコキシシランのアルコキシル基の一部を不揮発性の長鎖アルキルポリエーテル基に交換したり(特許文献1:特開2006−249069号公報)、アルコキシシランを一部にアルコキシル基を残したまま部分的に加水分解・縮合したシロキサンオリゴマーとした場合(特許文献2:特許第2962934号公報、特許文献3:特開2002−226490号公報)、使用時に発生するアルコール量を低減できることが知られている。
【0004】
上記のアルコール発生低減のために、有機ケイ素化合物は、不揮発性のアルコキシル基に交換されたり、分子間でシロキサン結合を形成して高分子量化するため蒸留による精製が困難となり、目的物が高純度化できない。また、目的物が混合物となるために使用した際に物性が安定しないといった問題が発生していた。これらを改善するため、アミノ基を有し、容易に精製が可能で、かつ、使用時に発生するアルコール量を削減できる有機ケイ素化合物が報告されている(特許文献4:特許第5359585号公報)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記アルコール量を削減した有機ケイ素化合物は、使用した際に樹脂との相溶性や密着性が不十分な場合があり、更なる改善が望まれていた。
【0007】
よって、アミノ基を有し、容易に精製が可能で、かつ、使用時に発生するアルコール量の削減が可能であり、更に使用した際に樹脂との相溶性や密着性の向上が可能な有機ケイ素化合物の開発が望まれていた。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、アミノ基を有し、容易に精製が可能で、かつ、使用時に発生するアルコール量の削減が可能であり、更に使用した際に樹脂との相溶性や密着性の向上が可能な有機ケイ素化合物及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成するものとして、下記アミノ基を有する有機ケイ素化合物及びその製造方法を提供する。
[1] 下記一般式(1)
【化1】
(式中、R
1は炭素数1〜10
の非置換のアルキル基、炭素数2〜10
の非置換のアルケニル基
又は炭素数6〜10
の非置換のアリール
基である。R
2は炭素数2〜10
の非置換のアルケニル基
又は炭素数6〜10
の非置換のアリール
基である。R
3及びR
4は炭素数1〜10
の非置換の1価炭化水素基であり、各々同一又は異なっていてもよい。nは0〜2の整数である。)
で示されるアミノ基を有する有機ケイ素化合物。
[2] 下記一般式(2)
【化2】
(式中、R
1は炭素数1〜10
の非置換のアルキル基、炭素数2〜10
の非置換のアルケニル基
又は炭素数6〜10
の非置換のアリール
基である。R
2は炭素数2〜10
の非置換のアルケニル基
又は炭素数6〜10
の非置換のアリール
基である。)
で示されるアミン化合物と下記一般式(3)
【化3】
(式中、R
3及びR
4は炭素数1〜10
の非置換の1価炭化水素基であり、各々同一又は異なっていてもよい。nは0〜2の整数である。)
で示されるγ−グリシドキシプロピルアルコキシシランを反応させ、得られた反応混合物を溶媒還流下で脱アルコール環化することを特徴とする[1]記載のアミノ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
[3] 下記一般式(2)
【化4】
(式中、R
1は炭素数1〜10
の非置換のアルキル基、炭素数2〜10
の非置換のアルケニル基
又は炭素数6〜10
の非置換のアリール
基である。R
2は炭素数2〜10
の非置換のアルケニル基
又は炭素数6〜10
の非置換のアリール
基である。)
で示されるアミン化合物に、下記一般式(3)
【化5】
(式中、R
3及びR
4は炭素数1〜10
の非置換の1価炭化水素基であり、各々同一又は異なっていてもよい。nは0〜2の整数である。)
で示されるγ−グリシドキシプロピルアルコキシシランを反応する際に、溶媒還流下で脱アルコール環化反応を同時に行うことを特徴とする[1]記載のアミノ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
[4] 塩基性触媒の存在下で脱アルコール環化することを特徴とする[2]又は[3]記載のアミノ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、上記アミノ基を有する有機ケイ素化合物を用いることにより、高分子材料への相溶性や密着性が向上し、高分子材料に高い機械的特性や耐熱性を付与することができる。また、本発明の有機ケイ素化合物は、容易に精製が可能で、使用時に発生するアルコール量を低減することができる。更に、本発明の有機ケイ素化合物は、活性な水素原子を有さないため、イソシアネート基やエポキシ基等の活性水素と反応性を有する官能基を持ったポリマー組成物へ添加する場合、官能基が反応することがなく、使用する時に加水分解等により水酸基を発生させることが可能である。また、アニオン重合末端変性剤として用いた場合、アニオン重合末端は環内の酸素原子とは反応せず、選択的にアルコキシケイ素部位と反応するため、定量的にアニオン重合末端にケイ素原子と結合した酸素原子を導入することができ、その後の加水分解等により容易にアミノ基及び水酸基変性高分子を製造することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のアミノ基を有する有機ケイ素化合物は、下記一般式(1)
【化6】
(式中、R
1は炭素数1〜10の置換又は非置換のアルキル基、炭素数2〜10の置換又は非置換のアルケニル基、炭素数6〜10の置換又は非置換のアリール基、又は炭素数7〜10の置換又は非置換のアラルキル基である。R
2は炭素数2〜10の置換又は非置換のアルケニル基、炭素数6〜10の置換又は非置換のアリール基、又は炭素数7〜10の置換又は非置換のアラルキル基である。R
3及びR
4は炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基であり、各々同一又は異なっていてもよい。nは0〜2の整数である。)
で示されるアミノ基を有する有機ケイ素化合物である。
【0013】
上記一般式(1)中、R
1は炭素数1〜10、好ましくは1〜6の置換又は非置換のアルキル基、炭素数2〜10、好ましくは2〜6の置換又は非置換のアルケニル基、炭素数6〜10の置換又は非置換のアリール基、又は炭素数7〜10の置換又は非置換のアラルキル基である。具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基等の直鎖状、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、イソヘキシル基、イソヘプチル基、イソオクチル基、tert−オクチル基、イソノニル基、イソデシル基、イソウンデシル基、イソドデシル基等の分岐状、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状のアルキル基、ビニル基、アリル基、メタリル基、ブテニル基、ヘプテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基が挙げられる。特に、樹脂との相溶性を改善する観点から、ビニル基、アリル基、フェニル基が好ましい。また、炭化水素基の水素原子の一部又は全部が置換されていても良く、該置換基としては、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、(イソ)プロポキシ基等のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子からなる基、シアノ基、アミノ基、芳香族炭化水素基、エステル基、酸素原子を介在するアルキル基、アシル基、スルフィド基、アルキルシリル基、アルコキシシリル基等が挙げられ、これらを組み合わせて用いることもできる。これらの置換基の置換位置は特に限定されず、置換基数も限定されない。
【0014】
上記一般式(1)中、R
2は炭素数2〜10、好ましくは炭素数2〜6の置換又は非置換のアルケニル基、炭素数6〜10の置換又は非置換のアリール基、又は炭素数7〜10の置換又は非置換のアラルキル基である。具体例としては、例えば、ビニル基、アリル基、メタリル基、ブテニル基、ヘプテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基が挙げられる。特に、樹脂との相溶性を改善する観点から、ビニル基、アリル基、フェニル基が好ましい。また、炭化水素基の水素原子の一部又は全部が置換されていても良く、該置換基としては、上記R
1と同様の置換基が挙げられる。
【0015】
また、式(1)において、R
3及びR
4は炭素数1〜10、好ましくは1〜6の置換又は非置換の1価炭化水素基であり、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、アリール基等が挙げられる。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基等の直鎖状、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、イソヘキシル基、イソヘプチル基、イソオクチル基、tert−オクチル基、イソノニル基、イソデシル基、イソウンデシル基、イソドデシル基等の分岐状、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基が挙げられる。また、炭化水素基の水素原子の一部又は全部が置換されていても良く、該置換基としては、上記R
1と同様の置換基が挙げられ、特に経済性の観点から、メチル基、エチル基が好ましい。
【0016】
一般式(1)で示される化合物として具体的には、2,2−ジメトキシ−8−(N−メチル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメトキシ−8−(N−エチル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメトキシ−8−(N−プロピル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメトキシ−8−(N−ブチル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメトキシ−8−(N−イソプロピル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメトキシ−8−(N−シクロヘキシル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメトキシ−8−(N,N−ジビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメトキシ−8−(N−アリル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメトキシ−8−(N−フェニル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメトキシ−8−(N−ベンジル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメトキシ−8−(N−メチル−N−アリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメトキシ−8−(N−エチル−N−アリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメトキシ−8−(N−プロピル−N−アリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメトキシ−8−(N−ブチル−N−アリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメトキシ−8−(N−イソプロピル−N−アリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメトキシ−8−(N−シクロヘキシル−N−アリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメトキシ−8−(N,N−ジアリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメトキシ−8−(N−フェニル−N−アリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメトキシ−8−(N−ベンジル−N−アリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメトキシ−8−(N−メチル−N−フェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメトキシ−8−(N−エチル−N−フェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメトキシ−8−(N−プロピル−N−フェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメトキシ−8−(N−ブチル−N−フェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメトキシ−8−(N−イソプロピル−N−フェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメトキシ−8−(N−シクロヘキシル−N−フェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメトキシ−8−(N,N−ジフェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメトキシ−8−(N−アリル−N−フェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメトキシ−8−(N−ベンジル−N−フェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジエトキシ−8−(N−メチル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジエトキシ−8−(N−エチル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジエトキシ−8−(N−プロピル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジエトキシ−8−(N−ブチル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジエトキシ−8−(N−イソプロピル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジエトキシ−8−(N−シクロヘキシル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジエトキシ−8−(N,N−ジビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジエトキシ−8−(N−アリル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジエトキシ−8−(N−フェニル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジエトキシ−8−(N−ベンジル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジエトキシ−8−(N−メチル−N−アリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジエトキシ−8−(N−エチル−N−アリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジエトキシ−8−(N−プロピル−N−アリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジエトキシ−8−(N−ブチル−N−アリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジエトキシ−8−(N−イソプロピル−N−アリルアミノ)メチル−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジエトキシ−8−(N−シクロヘキシル−N−アリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、
2,2−ジエトキシ−8−(N,N−ジアリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジエトキシ−8−(N−フェニル−N−アリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジエトキシ−8−(N−ベンジル−N−アリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジエトキシ−8−(N−メチル−N−フェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジエトキシ−8−(N−エチル−N−フェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジエトキシ−8−(N−プロピル−N−フェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジエトキシ−8−(N−ブチル−N−フェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジエトキシ−8−(N−イソプロピル−N−フェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジエトキシ−8−(N−シクロヘキシル−N−フェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジエトキシ−8−(N,N−ジフェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジエトキシ−8−(N−アリル−N−フェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジエトキシ−8−(N−ベンジル−N−フェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−メトキシ−2−メチル−8−(N−メチル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−メトキシ−2−メチル−8−(N−エチル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−メトキシ−2−メチル−8−(N−プロピル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−メトキシ−2−メチル−8−(N−ブチル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−メトキシ−2−メチル−8−(N−イソプロピル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−メトキシ−2−メチル−8−(N−シクロヘキシル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−メトキシ−2−メチル−8−(N,N−ジビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−メトキシ−2−メチル−8−(N−アリル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−メトキシ−2−メチル−8−(N−フェニル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、
2−メトキシ−2−メチル−8−(N−ベンジル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−メトキシ−2−メチル−8−(N−メチル−N−アリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−メトキシ−2−メチル−8−(N−エチル−N−アリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−メトキシ−2−メチル−8−(N−プロピル−N−アリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−メトキシ−2−メチル−8−(N−ブチル−N−アリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−メトキシ−2−メチル−8−(N−イソプロピル−N−アリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−メトキシ−2−メチル−8−(N−シクロヘキシル−N−アリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−メトキシ−2−メチル−8−(N,N−ジアリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−メトキシ−2−メチル−8−(N−フェニル−N−アリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−メトキシ−2−メチル−8−(N−ベンジル−N−アリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−メトキシ−2−メチル−8−(N−メチル−N−フェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−メトキシ−2−メチル−8−(N−エチル−N−フェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−メトキシ−2−メチル−8−(N−プロピル−N−フェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−メトキシ−2−メチル−8−(N−ブチル−N−フェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−メトキシ−2−メチル−8−(N−イソプロピル−N−フェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−メトキシ−2−メチル−8−(N−シクロヘキシル−N−フェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−メトキシ−2−メチル−8−(N,N−ジフェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−メトキシ−2−メチル−8−(N−アリル−N−フェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−メトキシ−2−メチル−8−(N−ベンジル−N−フェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−エトキシ−2−メチル−8−(N−メチル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−エトキシ−2−メチル−8−(N−エチル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−エトキシ−2−メチル−8−(N−プロピル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−エトキシ−2−メチル−8−(N−ブチル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−エトキシ−2−メチル−8−(N−イソプロピル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−エトキシ−2−メチル−8−(N−シクロヘキシル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−エトキシ−2−メチル−8−(N,N−ジビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−エトキシ−2−メチル−8−(N−アリル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−エトキシ−2−メチル−8−(N−フェニル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−エトキシ−2−メチル−8−(N−ベンジル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−エトキシ−2−メチル−8−(N−メチル−N−アリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−エトキシ−2−メチル−8−(N−エチル−N−アリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−エトキシ−2−メチル−8−(N−プロピル−N−アリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−エトキシ−2−メチル−8−(N−ブチル−N−アリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−エトキシ−2−メチル−8−(N−イソプロピル−N−アリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−エトキシ−2−メチル−8−(N−シクロヘキシル−N−アリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−エトキシ−2−メチル−8−(N,N−ジアリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−エトキシ−2−メチル−8−(N−フェニル−N−アリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−エトキシ−2−メチル−8−(N−ベンジル−N−アリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−エトキシ−2−メチル−8−(N−メチル−N−フェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−エトキシ−2−メチル−8−(N−エチル−N−フェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−エトキシ−2−メチル−8−(N−プロピル−N−フェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−エトキシ−2−メチル−8−(N−ブチル−N−フェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−エトキシ−2−メチル−8−(N−イソプロピル−N−フェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−エトキシ−2−メチル−8−(N−シクロヘキシル−N−フェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−エトキシ−2−メチル−8−(N,N−ジフェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−エトキシ−2−メチル−8−(N−アリル−N−フェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−エトキシ−2−メチル−8−(N−ベンジル−N−フェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメチル−8−(N−メチル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメチル−8−(N−エチル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメチル−8−(N−プロピル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメチル−8−(N−ブチル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメチル−8−(N−イソプロピル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメチル−8−(N−シクロヘキシル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメチル−8−(N,N−ジビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメチル−8−(N−アリル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメチル−8−(N−フェニル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメチル−8−(N−ベンジル−N−ビニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメチル−8−(N−メチル−N−アリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメチル−8−(N−エチル−N−アリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメチル−8−(N−プロピル−N−アリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメチル−8−(N−ブチル−N−アリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメチル−8−(N−イソプロピル−N−アリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメチル−8−(N−シクロヘキシル−N−アリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメチル−8−(N,N−ジアリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメチル−8−(N−フェニル−N−アリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメチル−8−(N−ベンジル−N−アリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメチル−8−(N−メチル−N−フェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメチル−8−(N−エチル−N−フェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメチル−8−(N−プロピル−N−フェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメチル−8−(N−ブチル−N−フェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメチル−8−(N−イソプロピル−N−フェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメチル−8−(N−シクロヘキシル−N−フェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメチル−8−(N,N−ジフェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメチル−8−(N−アリル−N−フェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメチル−8−(N−ベンジル−N−フェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン等が挙げられる。これらの化合物は、相溶性パラメータの値が好ましくは10(cal/cm
3)
1/2(Fedors計算法25℃)以上、より好ましくは11±1(cal/cm
3)
1/2以上の樹脂において、相溶性が向上する。
【0017】
次に、上記一般式(1)で示されるアミノ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法について、説明する。上記一般式(1)で示されるアミノ基を有する有機ケイ素化合物は、例えば下記一般式(2)
【化7】
(式中、R
1は炭素数1〜10の置換又は非置換のアルキル基、炭素数2〜10の置換又は非置換のアルケニル基、炭素数6〜10の置換又は非置換のアリール基、又は炭素数7〜10の置換又は非置換のアラルキル基である。R
2は炭素数2〜10の置換又は非置換のアルケニル基、炭素数6〜10の置換又は非置換のアリール基、又は炭素数7〜10の置換又は非置換のアラルキル基である。)
で示されるアミン化合物と、下記一般式(3)
【化8】
(式中、R
3及びR
4は炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基であり、各々同一又は異なっていてもよい。nは0〜2の整数である。)
で示されるγ−グリシドキシプロピルアルコキシシランを反応させ、得られた反応混合物を溶媒還流下で脱アルコール環化することにより得られる。
【0018】
一般式(2)で示される化合物として具体的には、メチルビニルアミン、エチルビニルアミン、n−プロピルビニルアミン、n−ブチルビニルアミン、イソプロピルビニルアミン、シクロヘキシルビニルアミン、ジビニルアミン、アリルビニルアミン、フェニルビニルアミン、ベンジルビニルアミン、メチルアリルアミン、エチルアリルアミン、n−プロピルアリルアミン、n−ブチルアリルアミン、イソプロピルアリルアミン、シクロヘキシルアリルアミン、ジアリルアミン、フェニルアリルアミン、ベンジルアリルアミン、メチルフェニルアミン、エチルフェニルアミン、n−プロピルフェニルアミン、n−ブチルフェニルアミン、イソプロピルフェニルアミン、シクロヘキシルフェニルアミン、ビニルフェニルアミン、アリルフェニルアミン、ジフェニルアミン、ベンジルフェニルアミン等が挙げられる。
【0019】
一般式(3)で示される化合物として具体的には、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン等が挙げられる。
【0020】
上記一般式(2)のアミン化合物と一般式(3)のγ−グリシドキシプロピルアルコキシシラン化合物を反応させる場合、一般式(2)で示されるアミン化合物と、一般式(3)で示されるγ−グリシドキシプロピルアルコキシシラン化合物の配合比は特に限定されないが、反応性、生産性の点から、一般式(3)で示されるシラン化合物1モルに対し、一般式(2)で示されるアミン化合物0.5〜10モル、好ましくは0.5〜5モル、更に好ましくは0.8〜5モルの範囲である。
【0021】
上記反応の反応温度は特に限定されないが、50〜200℃、好ましくは70〜200℃、特に80〜160℃が好ましく、反応時間は1〜20時間、特に1〜15時間が好ましい。
【0022】
なお、上記反応は無溶媒でも進行するが、溶媒を用いることもできる。用いられる溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素系溶媒等が例示される。これらの溶媒は1種を単独で使用してもよく、あるいは2種以上を混合して使用してもよい。溶媒を用いた場合、溶媒の還流下で反応させることが、分子間での縮合を抑制する点で好ましい。
【0023】
また、上記式(2)のアミン化合物と式(3)のγ−グリシドキシプロピルアルコキシシランの反応により得られた反応混合物を溶媒還流下で脱アルコール環化反応する際に用いられる溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素系溶媒、上記式(2)のアミン化合物等が例示される。これらの溶媒は1種を単独で使用してもよく、あるいは2種以上を混合して使用してもよい。好ましくは、発生するアルコールより沸点の高い溶媒が良い。
反応により発生したアルコールは反応器より気体又は凝集した液体として留去するとよい。また、アルコールを留去する際に、用いた溶媒を共に留去した方がアルコールを留去しやすいため好ましく、更に留去した留分から溶媒のみを分留して反応器内に戻すと用いる溶媒の量を減少することが可能である。
【0024】
更に、上記一般式(2)で示されるアミン化合物に、上記一般式(3)で示されるγ−グリシドキシプロピルアルコキシシランを反応する際に、溶媒還流下で脱アルコール環化反応を同時に行うことにより、上記一般式(1)記載のアミノ基を有する有機ケイ素化合物を製造することも可能であり、収率の観点から有利である。
【0025】
上記脱アルコール環化反応は無触媒でも進行するが、触媒を用いることもできる。用いられる触媒としては、酸性触媒、塩基性触媒、遷移金属触媒等が挙げられ、反応性の観点から塩基性触媒が好適に用いられる。塩基性触媒の例としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ土類金属アルコキシド、4級アンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。具体的には、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物、カリウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムエトキシド等のアルカリ金属アルコキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等のアルキル、アリール基等を有する4級アンモニウムヒドロキシド等が挙げられ、特にアルカリ金属アルコキシドが好適に用いられる。また、塩基性触媒は水溶液やアルコール溶液等として用いることができる。
【0026】
上記触媒は、単独又は複数で併用してもよく、触媒の配合比は特に限定されないが、ケイ素原子1モルに対し、触媒を0.001〜1.0モル、特に0.005〜0.1モル用いるのが好ましい。触媒が少なすぎると触媒の充分な効果が発現しない場合があり、多すぎると、触媒の量に見合うだけの反応促進効果が得られない場合がある。
【0027】
本発明の有機ケイ素化合物は、そのまま使用しても問題ないが、溶媒に希釈して用いた方が簡便で好ましい。溶媒としては、水、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素系溶媒等が例示され、特に水、アルコール溶液が好ましい。用いる濃度としては、有機ケイ素化合物が、0.001〜50質量%となるように希釈して用いるとよい。
【0028】
本発明の有機ケイ素化合物は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、顔料、消泡剤、潤滑剤、防腐剤、pH調節剤、フィルム形成剤、帯電防止剤、抗菌剤、界面活性剤、染料等から選択される他の添加剤の1種以上を含有するものであってもよい。
【0029】
本発明の有機ケイ素化合物の用途は特に限定されるものではないが、具体的には、無機充填剤の表面処理、液状封止剤、鋳物用鋳型、樹脂の表面改質、高分子変性剤及び水系塗料の添加剤等を挙げることができる。
【0030】
本発明の有機ケイ素化合物を用いることで、無機充填剤の表面処理をすることが可能である。無機充填剤としては、ガラス繊維、粉末シリカ、粉末アルミナ、粉末タルク、粉末炭酸カルシウム等が挙げられる。また、該ガラス繊維の材料としては、Eガラス、Cガラス等の一般的に用いられる種類のガラスを用いることができる。該ガラス繊維は、その製品形態に限定されない。ガラス繊維製品は多岐にわたるが、例えば、繊維径が3〜30μmのガラス糸(フィラメント)の繊維束、撚糸、織物を挙げることができる。
【0031】
無機充填剤を前記の有機ケイ素化合物を用いて処理する方法としては、一般的に用いられる方法が採用できる。即ち、本発明の表面処理剤をそのままもしくは希釈して用い、これに前記無機充填剤を浸漬させた後、無機充填剤を引き上げて乾燥する方法や、この表面処理剤をそのままもしくは希釈したものを無機充填剤表面にスプレーした後、無機充填剤を乾燥する方法等が挙げられる。
【実施例】
【0032】
以下、合成例及び実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記例中、Meはメチル基、Etはエチル基を示す。
【0033】
[実施例1]2,2−ジメトキシ−8−(N,N−ジアリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタンの製造
撹拌機、還流器、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、ジアリルアミン47g(0.48モル)を仕込み、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン94g(0.40モル)を105〜115℃で6時間かけて滴下し、その温度で2時間撹拌して、黄色透明な反応液を得た。
【0034】
次いで、撹拌機、分留頭、還流管、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、トルエン300ml、28質量%ナトリウムメトキシドメタノール溶液1.5gを仕込み、還流下に上記得られた反応液を滴下しながら、アルコールを含む留分を徐々に抜き出した。更に、内温が145℃になるまで留分を抜き出し反応を終了した。得られた反応液を蒸留することで、139〜141℃/0.3kPaの淡黄色透明な留分を92g得た。
【0035】
得られた留分の質量スペクトル、
1H−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒)、IRスペクトルを測定した。
図1には
1H−NMRスペクトルのチャート、
図2にはIRスペクトルのチャートを示した。質量スペクトルの結果を下記に示す。
質量スペクトル
m/z 301、260、228、110、41
以上の結果より、得られた留分は2,2−ジメトキシ−8−(N,N−ジアリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタンであることを確認した。
【0036】
[実施例2]2,2−ジメトキシ−8−(N−メチル−N−フェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタンの製造
撹拌機、還流器、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、メチルアニリン96g(0.90モル)を仕込み、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン71g(0.30モル)を125〜130℃で6時間かけて滴下し、その温度で2時間撹拌して、黄色透明な反応液を得た。
【0037】
次いで、撹拌機、分留頭、還流管、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、トルエン200ml、28質量%ナトリウムメトキシドメタノール溶液0.5gを仕込、還流下に上記得られた反応液を滴下しながら、アルコールを含む留分を徐々に抜き出した。更に内温が145℃になるまで留分を抜き出し反応を終了した。得られた反応液を蒸留することで、157〜158℃/0.2kPaの淡黄色透明な留分を68g得た。
【0038】
得られた留分の質量スペクトル、
1H−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒)、IRスペクトルを測定した。
図3には
1H−NMRスペクトルのチャート、
図4にはIRスペクトルのチャートを示した。質量スペクトルの結果を下記に示す。
質量スペクトル
m/z 311、280、191、120、77
以上の結果より、得られた留分は2,2−ジメトキシ−8−(N−メチル−N−フェニルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタンであることを確認した。
【0039】
[実施例3]2−エトキシ−2−メチル−8−(N,N−ジアリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタンの製造
撹拌機、分留頭、還流管、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、ジアリルアミン190g(2.0モル)、20質量%ナトリウムエトキシドエタノール溶液0.5gを仕込み、還流下γ−グリシドキシプロピルジエトキシメチルシラン74g(0.30モル)を8時間かけて滴下しながら、生成するエタノールを含む留分を徐々に抜き出した。得られた反応液を蒸留することで、121〜122℃/0.2kPaの黄色透明な留分を52g得た。
【0040】
得られた留分の質量スペクトル、
1H−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒)、IRスペクトルを測定した。
図5には
1H−NMRスペクトルのチャート、
図6にはIRスペクトルのチャートを示した。質量スペクトルの結果を下記に示す。
質量スペクトル
m/z 299、284、258、110、41
以上の結果より、得られた留分は2−エトキシ−2−メチル−8−(N,N−ジアリルアミノメチル)−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタンであることを確認した。