特許第6409853号(P6409853)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6409853
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】液浸露光装置及びデバイス製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20181015BHJP
【FI】
   G03F7/20 521
【請求項の数】13
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-227059(P2016-227059)
(22)【出願日】2016年11月22日
(62)【分割の表示】特願2015-219233(P2015-219233)の分割
【原出願日】2004年4月1日
(65)【公開番号】特開2017-37350(P2017-37350A)
(43)【公開日】2017年2月16日
【審査請求日】2016年12月13日
(31)【優先権主張番号】60/462,112
(32)【優先日】2003年4月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/485,033
(32)【優先日】2003年7月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】ノヴァク, トーマス, ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ハゼルトン, アンドリュー, ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ワトソン, ダグラス, シイ.
【審査官】 田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第99/049504(WO,A1)
【文献】 特開2000−076707(JP,A)
【文献】 特開2002−200453(JP,A)
【文献】 特許第4650413(JP,B2)
【文献】 特開平10−303114(JP,A)
【文献】 特開平06−168866(JP,A)
【文献】 特開平06−124873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC H01L 21/30、
21/027、
21/46、
G03F 7/20−7/24、
9/00−9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
終端光学素子と基板との間の液浸液体を介して前記基板を露光する液浸露光装置において、
前記終端光学素子を含む光学アセンブリと、
底面が前記終端光学素子の下面よりも下方において前記終端光学素子の直下の空間を囲むように配置され、前記底面の下方において前記基板が移動するコンテインメント部材と、
前記終端光学素子の下面よりも上方に配置され、前記液浸液体を供給するアウトレットと、
前記コンテインメント部材の下に形成されるギャップに面するように前記コンテインメント部材の前記底面に配置され、前記ギャップから液体を回収可能なインレットと、
前記アウトレットに液浸液体を送る液体供給装置と、を備え、
前記液体供給装置は、前記アウトレットに送られる液浸液体の流量を測定する流量センサと、前記アウトレットに送られる液浸液体の温度を測定する温度センサとを有する液浸露光装置。
【請求項2】
前記流量センサは、前記温度センサの下流に設けられている請求項1記載の液浸露光装置。
【請求項3】
前記液体供給装置は、前記アウトレットに供給される液浸液体の温度を制御する温度制御器を有する請求項1又は2記載の液浸露光装置。
【請求項4】
前記温度制御器は、熱交換器又は冷却装置である請求項3記載の液浸露光装置。
【請求項5】
前記温度センサは、前記温度制御器の下流に設けられている請求項3又は4記載の液浸露光装置。
【請求項6】
前記液体供給装置は、前記アウトレットに供給される液浸液体の流量を制御する流量制御器を有し、
前記流量制御器は、前記温度制御器の下流に設けられている請求項3〜5のいずれか一項記載の液浸露光装置。
【請求項7】
前記液体供給装置は、前記アウトレットに供給される液浸液体の流量を制御する流量制御器を有する請求項1〜5のいずれか一項記載の液浸露光装置。
【請求項8】
前記液体供給装置は、エアレータでガスを除去した液体を液浸液体として前記アウトレットに送る請求項1〜7のいずれか一項記載の液浸露光装置。
【請求項9】
前記液体供給装置は、フィルタで濾過された液体を液浸液体として前記アウトレットに送る請求項1〜8のいずれか一項記載の液浸露光装置。
【請求項10】
前記液体供給装置は、前記アウトレットに送られる液浸液体の圧力を測定する圧力センサを有する請求項1〜9のいずれか一項記載の液浸露光装置。
【請求項11】
前記アウトレットから、前記コンテインメント部材の内面と前記光学アセンブリとの間の空間に液浸液体が供給される請求項1〜10のいずれか一項記載の液浸露光装置。
【請求項12】
前記コンテインメント部材は、前記基板の表面の一部のみが液浸液体で覆われるように液浸液体を保持する請求項1〜11のいずれか一項記載の液浸露光装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の液浸露光装置を使ってウエハを露光することを含むデバイス製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2003年4月10日に出願した「液浸リソグラフィ用の減圧リングシステム及びウィックリングシステム」と題する仮出願第60/462,112号、及び2003年7月2日に出願した「液浸リソグラフィ用の液浸流体を取り除き且つ検査するための、レンズ周囲のポンプ及びウィックの多重同心配置」と題する仮出願第60/485,033号の優先権を主張する。許容される範囲において、仮出願第60/462,112号及び第60/485,033号の内容をここに援用して本文の記載の一部とする。
【背景技術】
【0002】
露光装置は、一般的に、半導体処理中にレチクルから半導体ウェハに像を転写するために使用される。典型的な露光装置は、照明源、レチクルを位置付けるレチクルステージアセンブリ、光学アセンブリ、半導体ウェハを位置付けるウェハステージアセンブリ、及びレチクルとウェハの位置を正確にモニター(監視)する測定システムを含む。
【0003】
液浸リソグラフィシステムは、光学アセンブリとウェハの間のギャップ(間隙)を充たす液浸流体層を利用する。ウェハは典型的なリソグラフィシステム内で急速に移動させられ、ギャップから液浸流体が運び去られることが予期される。ギャップから漏出した液浸流体は、リソグラフィシステムの他の構成要素の動作に干渉し得る。例えば、液浸流体は、ウェハの位置をモニターする測定システムに干渉し得る。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、デバイスステージに保持されるデバイスと光学アセンブリのギャップの環境を制御する環境システムを対象とする。環境システムは、液浸流体源、及びデバイスの近くに位置付けられた移送領域を含む。液浸流体源は、ギャップに入る液浸流体を供給する。移送領域は、ギャップから出る液浸流体を捕える。この設計により、ある実施形態では、本発明が、デバイス及び/又は光学アセンブリを変形させる可能性のある直接的な減圧吸引をデバイスに使用することを回避する。
【0005】
一実施形態では、環境システムは、デバイスの近くに位置付けられ且つギャップを囲む流体バリアを含む。また、流体バリアは、デバイスの近くに移送領域を保持できる。
【0006】
一実施形態では、環境システムは、移送領域の近くから液浸流体を除去する流体除去システムを含む。別の実施形態では、流体除去システムは、移送領域から液浸流体を除去する除去流体を供給できる。この実施形態では、除去流体を、液浸流体の液浸流体温度より高い除去流体温度にすることができる。
【0007】
一実施形態では、移送領域は、移送領域近くの液浸流体を捕集する複数の通路を有する基板である。一例として、移送領域は、毛管作用によって液浸流体を運ぶ材料で製作できる。この実施形態では、通路は複数の細孔であり得る。代替実施形態では、通路は、移送領域を通って延在する、間隔を隔てられた複数の移送孔とすることができる。
【0008】
本発明はまた、露光装置、ウェハ、デバイス、ギャップ内の環境を制御する方法、露光装置を製作する方法、デバイスを製作する方法、及びウェハを製造する方法も対象にしている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の特徴を備えた露光装置の側面図である。
図2A図2Aは、図1の露光装置の一部の斜視図である。
図2B図2Bは、図2Aの2B-2B線に沿った断面図である。
図2C図2Cは、図2Bの2C-2C線で囲まれた部分の拡大詳細図である。
図2D図2Dは、露光装置の一部の別の実施形態の拡大詳細図である。
図3A図3Aは、本発明の特徴を有する液浸流体源の側面図である。
図3B図3Bは、本発明の特徴を有する流体除去システムの側面図である。
図3C図3Cは、本発明の特徴を有する流体除去システムの別の実施形態の側面図である。
図3D図3Dは、本発明の特徴を有する流体除去システムの更に別の実施形態の側面図である。
図4図4は、露光装置の別の実施形態の拡大断面図である。
図5A図5Aは、露光装置の更に別の実施形態の一部の拡大断面図である。
図5B図5Bは、図5Aの5B-5B線で囲まれた部分の拡大詳細図である。
図6A図6Aは、本発明に従ってデバイスを製造するプロセスを概説するフローチャートである。
図6B図6Bは、デバイス処理をより詳細に概説するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、精密アセンブリ、すなわち、本発明の特徴を備えた露光装置10の概略図である。露光装置10は、装置フレーム12、照明システム14(照射装置)、光学アセンブリ16、レチクルステージアセンブリ18、デバイスステージアセンブリ20、測定システム22、制御システム24、及び流体環境システム26を含む。露光装置10の構成要素の設計は、露光装置10の設計要件に合うように変更することができる。
【0011】
複数の図は、X軸、X軸に直交するY軸、及びX軸とY軸に直交するZ軸を示す方位系を含む。なお、これらの軸は、第一軸、第二軸及び第三軸とも呼ばれることができる点に注目されたい。
【0012】
露光装置10は、レチクル28から半導体ウェハ30(破線で図示)に集積回路のパターン(図示されない)を転写するリソグラフィックデバイスとして特に有用である。ウェハ30は、一般的に、デバイス又はワークピースとも呼ばれる。露光装置10は、設置基盤(取付ベース)32、例えば、地面、基礎、又は床などの支持構造に取り付けられる。
【0013】
リソグラフィックデバイスには多くの異なったタイプがある。例えば、露光装置10は、レクチル28及びウェハ30が同期移動している状態でレチクル28からウェハ30にパターンを露光する走査型フォトリソグラフィシステムとして使用できる。走査型リソグラフィック装置では、レチクル28はレチクルステージアセンブリ18によって光学アセンブリ16の光軸に対して垂直に移動させられ、ウェハ30はウェハステージアセンブリ20によって光学アセンブリ16の光軸の垂直方向に移動される。レチクル28及びウェハ30の走査は、レチクル28及びウェハ30が同期移動している間に行われる。
【0014】
あるいは、露光装置10は、レチクル28及びウェハ30が静止している間にレチクル28を露光するステップアンドリピート型フォトリソグラフィシステムとすることもできる。ステップアンドリピート処理では、ウェハ30は、個々のフィールド(領域)の露光中、レチクル28及び光学アセンブリ16に対して一定の位置にある。その後、連続する複数の露光工程の間に、ウェハ30の次のフィールドが光学アセンブリ16及びレチクル28に対する所定の露光位置に運ばれるように、ウェハ30をウェハステージアセンブリ20と共に光学アセンブリ16の光軸に対して垂直に連続して移動する。この処理に続いて、レチクル28上の像が、順次、ウェハ30のフィールド上に露光され、その後、ウェハ30の次のフィールドが光学アセンブリ16及びレチクル28に対する位置に運ばれる
【0015】
しかし、ここで提供される露光装置10の用途は、半導体製造用フォトリソグラフィシステムに限定されない。例えば、露光装置10は、液晶ディスプレイデバイスのパターンを矩形のガラス板に露光するLCDフォトリソグラフィシステム、又は薄膜磁気ヘッド製造用フォトリソグラフィシステムとして使用できる。
【0016】
装置フレーム12は、露光装置10の構成要素を支持する。図1に示される装置フレーム12は、レチクルステージアセンブリ18、ウェハステージアセンブリ20、光学アセンブリ16、及び取付台32の上方にある照明システム14を支持する。
【0017】
照明システム14は、照明源34及び照明光学アセンブリ36を含む。照明源34は、光エネルギーのビーム(照射)を放つ。照明光学アセンブリ36は、光エネルギーのビームを照明源34から光学アセンブリ16に導く。ビームは、レチクル28の異なる部分を選択的に照らし、ウェハ30を露光する。図1において、照明源34は、レチクルステージアセンブリ18の上方に支持されているように図示されている。しかし典型的には、照明源34は装置フレーム12の一側面に固定され、照明源34からのエネルギービームは照明光学アセンブリ36でレチクルステージアセンブリ18の上方に向けられている。
【0018】
照明源34は、g線源(436nm)、i線源(365nm)、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)又はF2レーザー(157n
m)とすることができる。あるいは、照明源34は、X線又は電子ビームのような荷電粒子ビームを生成できる。例えば、電子ビームを使用する場合、熱電子放出型の六ホウ化ランタン(LaB6)又はタンタル(Ta)を電子銃用の陰極として使用できる。さらに、
電子ビームを使用する場合、構造は、マスクを使用する構造又はマスクを使用せずに基板上に直接パターンを形成できる構造とすることができる。
【0019】
光学アセンブリ16は、レチクル28を透過する光をウェハ30に投影及び/又は合焦する。露光装置10の設計により、光学アセンブリ16は、レチクル28上で照射された像を拡大又は縮小できる。光学アセンブリ16は、縮小システムに限定される必要はなく、等倍システム又は拡大システムにすることもできる。
【0020】
エキシマレーザーのような遠紫外線を使用する場合、遠紫外線を透過する石英及び蛍石のようなガラス材料を光学アセンブリ16で使用できる。F2型レーザー又はX線を使用
する場合、光学アセンブリ16はカタディオプトリック又は屈折性(レチクルも反射性が望ましい)のいずれとすることもでき、電子ビームを使用する場合、電子光学系を電子レンズ及びデフレクター(偏向器)で構成できる。電子ビーム用の光路は減圧状態にあるべきである。
【0021】
また、波長が200nm以下の真空紫外線(VUV)を使用する露光デバイスでは、カタディオプトリック型光学システムの使用を考慮することができる。カタディオプトリック型光学システムの例として、特許公開公報に公開された特開平10−20195及びこれに対応する米国特許第5,835,275号、並びに特開平8−171054及びこれに対応する米国特許第5,668,672号の開示に含まれている。これらの場合、反射光学装置は、ビームスプリッター及び凹面鏡を組み込んだカタディオプトリック光学システムとすることができる。特開平10−3039及びその対応米国特許出願第873,605号(出願日:1997年6月12日)、並びに特開平8−334695及びその対応米国特許第5,689,377号もまた、凹面鏡などを組み込んだ反射屈折型光学システムを使用するが、この光学システムはビームスプリッターを組み込んでいない。これらも本発明に採用できる。許容される範囲において、前記特許公開公報に記載の日本国特許出
願及び、前記米国特許における開示をここに援用して本文の記載の一部とする。
【0022】
一実施形態では、光学アセンブリ16は、一つ以上の光学マウントアイソレータ37で装置フレーム12に固定されている。光学マウントアイソレータ37は、装置フレーム12の振動が光学アセンブリ16に振動を生じるのを抑える。各光学マウントアイソレータ37は、振動を遮断する空気圧シリンダ(図示されない)、及び振動を遮断して少なくとも2つの運動の自由度で位置を制御するアクチュエータ(図示されない)を含むことができる。好適な光学マウントアイソレータ37が、マサチュセッツ州のウォバーンにあるIntegrated Dynamics Engineeringによって販売されている。図示を容易にするために、離れた位置に置かれた2つの光学マウントアイソレータ37が、光学アセンブリ16を装置フレーム12に固定するのに使用されるように示されている。しかし、例えば、離れた位置に置かれた3個の光学マウントアイソレータ37が、光学アセンブリ16を装置フレーム12にキネマテッィクに固定するように使用できる。
【0023】
レチクルステージアセンブリ18は、光学アセンブリ16とウェハ30に対してレチクル28を保持し、光学アセンブリ16とウェハ30に対してレチクル28を位置付ける。一実施形態では、レチクルステージアセンブリ18は、レチクル28を保持するレチクルステージ38、及びレチクルステージ38とレチクル28を移動して位置付けるレチクルステージ移動アセンブリ40を含む。
【0024】
幾分同様に、デバイスステージアセンブリ20は、レチクル28の照射部分の投影像に対してウェハ30を保持し、レチクル28の照射部分の投影像に対してウェハ30を位置付ける。一実施形態では、デバイスステージアセンブリ20は、ウェハ30を保持するデバイスステージ42、デバイスステージ42を支持して案内するデバイスステージベース43、及びデバイスステージ42とウェハ28を光学アセンブリ16とデバイスステージベース43に対して移動して位置付けるデバイスステージ駆動アセンブリ44を含む。デバイスステージ42について以下により詳細に説明する。
【0025】
各ステージ駆動アセンブリ40、44は、それぞれのステージ38、42を3の自由度、3未満の自由度又は3を超える自由度で動かすことができる。例えば、代替実施形態では、各ステージ移動アセンブリ40、44は、それぞれのステージ38、42を1、2、3、4、5又は6自由度で移動させることができる。レチクルステージ駆動アセンブリ40及びデバイスステージ駆動アセンブリ44は、それぞれ、ロータリーモーター、ボイスコイルモーター、ローレンツ力を利用して駆動力を生じるリニアモーター、電磁駆動機、平面モーター又はその他の力による駆動機のような、一つ以上の駆動機を含むことができる。
【0026】
フォトリソグラフィシステムでは、ウェハステージアセンブリ又はレチクルステージアセンブリにリニアモーター(米国特許番号5,623,853号又は5,528,118号参照)が使用される時、リニアモーターは、エアベアリングを使用した空気浮上型、又はローレンツ力又はリアクタンス力を利用した磁気浮上型のどちらにすることもできる。また、ステージは、ガイドに沿って移動可能であってもよく、あるいはガイドを使用しないガイドレスタイプのステージであってもよい。許容される範囲において、米国特許番号5,623,853及び5,528,118における開示をここに援用し、本文の記載の一部とする。
【0027】
あるいは、これらのステージの一つは平面モーターで駆動しうる。平面モーターは、2次元配置された複数の磁石を有するマグネットユニット及び対向位置に2次元配置された複数のコイルを有する電機子コイルユニットによって生じる電磁力によってステージを駆動する。この型式の駆動システムでは、マグネットユニット及び電機子コイルユニットの
一方がステージベース(ステージ基盤)に接続され、他方がステージの移動平面側に取り付けられる。
【0028】
上記のようなステージの移動は、フォトリソグラフィシステムの性能に影響を与えうる反力を生じる。ウェハ(基板)ステージの動作によって生じる反力は、米国特許第5,528,100号及び特開平8−136475に記載されているようなフレーム部材の使用によって機械的に床(地面)に伝達できる。また、レチクル(マスク)ステージの動作によって生じる反力は、米国特許第5,874,820号及び特開平8−330224に記
載されているようなフレーム部材によって機械的に床(地面)に伝達できる。許容される範囲において、米国特許番号5,528,100及び5,874,820及び特開平8−330224における開示をここに援用し、本文の記載の一部とする。
【0029】
測定システム22は、光学アセンブリ16又は別の基準に対するレチクル28及びウェハ30の移動をモニターする。この情報により、制御システム24はレチクルステージアセンブリ18を制御してレチクル28を正確に位置付けることができ、デバイスステージアセンブリ20を制御してウェハ30を正確に位置付けることができる。測定システム22の設計は変更可能である。例えば、測定システム22は、多軸レーザー干渉計、エンコーダ、ミラー、及び/又はその他の測定デバイスを利用できる。
【0030】
制御システム24は、測定システム22から情報を受信し、ステージ移動アセンブリ18、20を制御してレチクル28及びウェハ30を正確に位置付ける。また、制御システム24は、環境システム26の構成要素の動作を制御できる。制御システム24は、一つ以上のプロセッサー及び回路を含むことができる。
【0031】
環境システム26は、光学アセンブリ16とウェハ30のギャップ246(図2Bに図示)における環境を制御する。ギャップ246は、結像領域を含む。結像領域は、ウェハ30の露光されている領域に隣接するエリア及び光エネルギーのビームが光学アセンブリ16とウェハ30の間を進行するエリアを含む。この設計により、環境システム26は結像領域内の環境を制御できる。
【0032】
環境システム26によってギャップ246内で生成及び/又は制御される所望の環境は、ウェハ30及び照明システム14を含む露光装置10の残りの構成要素の設計に従って変更可能である。例えば、制御される所望の環境は、水のような流体にすることができる。あるいは、制御される所望の環境は、別種の流体にすることができる。
【0033】
図2Aは、ウェハ30、及び光学アセンブリ16、デバイスステージ42及び環境システム26を含む、図1の露光装置10の一部の斜視図である。
【0034】
図2Bは、光学アセンブリ16、デバイスステージ42及び環境システム26を含む、図2Aの露光装置10の前記一部の断面図である。図2Bは、光学アセンブリ16が光学ハウジング250A、終端光学素子250B、及び終端光学素子250Bを光学ハウジング250Aに固定するエレメントリテーナ250Cを含むことを示す。また、図2Bは、終端光学素子250Bとウェハ30のギャップ246を示す。一実施形態では、ギャップ246は約1mmである。
【0035】
一実施形態では、環境システム26は、結像領域及びギャップ246の残部を液浸流体248(円で図示)で充たす。環境システム26及び環境システム26の構成要素の設計は変更可能である。図2Bに示された実施形態では、環境システム26は、液浸流体システム252、流体バリア254、及び移送領域256を含む。この実施形態では、(i)液浸流体システム252は、液浸流体248をギャップ246に送出し、且つ/又は注入
し、移送領域256又はその近くから液浸流体248を取り除き、且つ/又は液浸流体248が移送領域256を通過するのを促進し、(ii)流体バリア254は、ギャップ246付近から液浸流体248が流れ去るのを阻止し、(iii)移送領域256は、ギャップ246から流出する液浸流体248を移送し、且つ/又は搬送する。また、流体バリア254はギャップ246の近くにチャンバー(室)257を形成する。
【0036】
液浸流体システム252の設計は変更可能である。例えば、液浸流体システム252は、ギャップ246及びチャンバー257、光学アセンブリ16の縁、又はその近くの1箇所又は数箇所に、及び/又は光学アセンブリ16とウェハ30の直接的な間に、液浸流体248を注入できる。さらに、液浸流体システム252は、デバイス30、ギャップ246及び/又は光学アセンブリ16の縁又はその近くの1箇所若しくは数箇所で、液浸流体248の除去及び/又は排出を支援できる。
【0037】
図2Bに示される実施形態では、液浸流体システム252は、光学アセンブリ16の周囲近くに位置する一つ以上のインジェクタノズル258(一つのみ図示)及び液浸流体源260を含む。図2Cは、一つのインジェクタノズル258を更に詳細に示す。この実施形態では、各インジェクタノズル258は、液浸流体源260と流通(連通)しているノズルアウトレット262を含む。適当な時に、液浸流体源260は、チャンバー257中に放出される液浸流体248を一つ以上のノズルアウトレット262に供給する。
【0038】
図2B及び図2Cは、チャンバー257内の液浸流体248がウェハ30の上側に在ることも示している。液浸流体248はギャップ246に流れ込む。さらに、ウェハ30が光学アセンブリ16の下方を移動する時、ウェハ30上面付近の液浸流体248はウェハ30によりギャップ246中に引き込まれる。
【0039】
一実施形態では、流体バリア254は、ギャップ246の周りにチャンバー257を形成し、ギャップ246からの液浸流体248の流量を制限し、ギャップ246を液浸流体248で満たした状態に維持することを支援し、ギャップ246から漏出する液浸流体248の回収を容易にする。一実施形態では、流体バリア254は、ギャップ246及び光学アセンブリ16底部の周りを囲み、その周り全体に渡って配置されている。さらに、一実施形態では、流体バリア254は、光学アセンブリ16の中央に位置付けられたウェハ30及びデバイスステージ42の上の領域に液浸流体248を閉じ込める。あるいは、例えば、流体バリア254を、ギャップ246の一部のみの周りに配置することができ、又は流体バリア254を光学アセンブリ16に対して偏心させることができる。
【0040】
図2B及び図2Cに示された実施形態では、流体バリア254はコンテインメントフレーム264及びフレーム支持体268を含む。この実施形態では、コンテインメントフレーム264は概して環状のリング形状であり、ギャップ246を囲んでいる。また、この実施形態では、コンテインメントフレーム264は、頂面270A、ウェハ30に面する反対側の底面270B、ギャップ246に面する内面270C、及び外面270Dを有する。さらに、この実施形態では、流体バリア254は、移送領域256を受け入れる流路272を有する。例として、流路272は環状にすることができる。
【0041】
なお、「頂」及び「底」という用語は単に便宜上使用されているだけであり、コンテインメントフレーム264の向きは回転できる。また、コンテインメントフレーム264は他の形状をとることができる。例えば、コンテインメントフレーム264は、矩形フレーム形状、八角フレーム形状、楕円フレーム形状又は別の好適な形状をとることができる。
【0042】
フレーム支持体268は、ウェハ30及びデバイスステージ42の上方で、装置フレーム12、別の構造体及び/又は光学アセンブリ16にコンテインメントフレーム264を
接続して支持する。一実施形態では、フレーム支持体268は、コンテインメントフレーム264の全重量を支持する。あるいは、例えば、フレーム支持体268は、コンテインメントフレーム264の重量の一部のみを支持できる。一実施形態では、フレーム支持体268は、一つ以上の支持アセンブリ274を含むことができる。例えば、フレーム支持体268は、3個の離れた支持アセンブリ274(図2Bに2個のみ示す)を含むことができる。この実施形態では、各支持アセンブリ274は、光学アセンブリ16とコンテインメントフレーム264の内面270Cの間に延在する。
【0043】
一実施形態では、各支持アセンブリ274は、コンテインメントフレーム264を光学アセンブリ16に堅く固定するマウントである。あるいは、例えば、各支持アセンブリは、コンテインメントフレーム264をフレキシブルに支持するフレクシャであり得る。ここでは、用語「フレクシャ」は、ある方向に比較的高い剛性を有し、他の方向に比較的低い剛性を有する部品を意味する。一実施形態では、複数のフレクシャは、(i)X軸及びY軸の方向に比較的硬く、(ii)Z軸の方向に比較的フレキシブルであるように、協働する。この実施形態では、複数のフレクシャは、Z軸に沿ったコンテインメントフレーム264の動作を許容し、X軸及びY軸に沿ったコンテインメントフレーム264の動作を抑制することができる。
【0044】
あるいは、例えば、各支持アセンブリ274は、ウェハ30及びデバイスステージ42に対してコンテインメントフレーム264の位置を調整するためのアクチュエータとすることができる。この実施形態では、フレーム支持体268は、コンテインメントフレーム264の位置をモニターするフレーム測定システム(図示されない)を含むこともできる。例えば、フレーム測定システムは、Z軸に沿った、X軸周りの、且つ/又はY軸周りのコンテインメントフレーム264の位置をモニターすることができる。この情報により、支持アセンブリ274を、コンテインメントフレーム264の位置調整に使用できる。この実施形態では、支持アセンブリ274は、コンテインメントフレーム264の位置を能動的に調整できる。
【0045】
また、図2B及び図2Cは移送領域256をより詳細に示す。この実施形態では、移送領域256は、実質的に環状円板の形状で、ギャップ246を囲み、実質的に光学アセンブリ16と同心である基板275である。あるいは、例えば、基板275は、楕円フレーム形状、矩形フレーム形状又は八角形フレーム形状を含む別の形状にすることができる。あるいは、例えば、移送領域256は、ギャップ246の一部を囲むように協働する複数の基板片、及び/又は実質的に同心の複数の基板を含むことができる。
【0046】
移送領域256の寸法は、所望の液浸流体回収率を達成するように選択できる。
【0047】
さらに、この実施形態では、移送領域256は、コンテインメントフレーム264の底面270B又はその近くに固定されており、移送領域256の上に隣接した除去チャンバー276をコンテインメントフレーム264と共に形成している。また、図2Cに示されているように、移送領域256は除去チャンバー276に隣接した第一表面278Aと、デバイス30及びギャップ246に隣接した反対側の第二表面とを有する。
【0048】
この実施形態では、移送領域256は、コンテインメントフレーム264とウェハ30やデバイスステージ42の間を流れる液浸流体248の少なくとも一部を捕え、保持し、且つ/又は吸収する。移送領域256で使用される材料の種類は変更することができる。一実施形態では、基板275は複数の通路280を含む。例えば、通路280は比較的小さく、ぎっしり詰まっている。
【0049】
一例として、移送領域256は、毛管作用によって液浸流体248を運ぶ多数の細孔、
及び/又は隙間を有する多孔性材料とすることができる。この実施形態では、通路280は、毛管力が液浸流体248を細孔に引き込むのに十分なほど小さくすることができる。好適な材料の例は、金属、ガラス又はセラミックから形成されたウィック型構造を含む。好適なウィック型構造は、互いにつながった小さい通路の網を有するあらゆる材料を含み、ガラス繊維織物、焼結された金属粉末、スクリーン(網)、ワイヤーメッシュ、又はあらゆる材料の溝を含むが、これらに限定されない。移送領域256は親水性にすることができる。
【0050】
一実施形態では、移送領域256は約20〜200ミクロンの孔径を有する。他の非排他的な実施形態では、移送領域256は、少なくとも約40、80、100、140、160又は180の多孔度を有することができる。
【0051】
ある実施形態では、比較的大きい流量の許容量が要求される。より大きい流量に対応するには、より高い多孔度の材料が移送領域256に必要となる場合もある。移送領域256の多孔度の選択は、移送領域256の全体のフローレートの要件に依存する。より大きな全体のフローレートは、より高い多孔度を有する移送領域256を使用すること、移送領域256の厚さを減らすこと、又は移送領域256の表面積を増やすことによって達成できる。一実施形態では、液浸リソグラフィにおける0.3〜1.0リットル/分のフローレートで、液浸流体248の回収用の30〜150cm2の面積をカバーするのに、4
0〜150μmの孔径を使用できる。多孔性材料の種類及び仕様も液浸流体248の使用条件と特性に依存する。
【0052】
図2Bに戻ると、ある実施形態では、移送領域256の液浸流体248を吸収する能力(許容量)に限界がある。一実施形態では、液浸流体システム252は、移送領域256又はその近くから液浸流体248を取り除く流体除去システム282を含む。流体除去システム282は、移送領域256及び除去チャンバー276と流通している。この設計により、液浸流体248は、移送領域256で捕えることができ、流体除去システム282によって取り除くことができる。
【0053】
一実施形態では、流体除去システム282は、移送領域256の頂部の第一表面278Aから液浸流体248を除去し、移送領域256の底部の第二表面278Bに追加の液浸流体248を流入させる。例えば、流体除去システム252は、移送領域256に差圧を生成できる。一実施形態では、流体除去システム282は、第一表面278Aにおける圧力を第二表面278Bにおける圧力より低くさせる。
【0054】
液浸流体248を取り除くことは幾つかの異なる方法で達成でき、流体除去システム282の複数の実施形態を以下に述べる。
【0055】
図2Cは、フレームギャップ284が(i)コンテインメントフレーム264の底面270B及び移送領域256の第二表面278Bと、(ii)ウェハ30及び/又はデバイスステージ42との間に存在して、コンテインメントフレーム264に対するデバイスステージ42及びウェハ30の移動を容易としていることを示している。フレームギャップ284のサイズは変更することができる。一実施形態では、フレームギャップ284は、約0.1〜2mmである。別の例では、フレームギャップ284は、約0.05、0.1、0.2、0.5、1、1.5、2、3又は5mmの値をとることができる。
【0056】
この実施形態では、液浸流体248の大部分は流体バリア254内に閉じ込められ、周辺の漏出物の大部分は移送領域256によって狭いフレームギャップ284内で排出される。この場合、液浸流体248は、移送領域256に触れると移送領域256中に引き込まれ、吸収される。このように、移送領域256は、液浸流体248が環から流出するの
を抑制する。
【0057】
図2Dは、図2Cに示された実施形態に幾分類似した露光装置10Dの別の実施形態の部分断面図を示す。しかし、図2Dでは、デバイス30D及び/又はステージ42Dは、移送領域256Dの第二表面278BDより、コンテインメントフレーム264Dの内面270CDの方に近い、且つ/又は外面270DDの下側270BDの方に近い。換言すれば、下側278BDとデバイス30D及び/又はステージ42Dとの間の距離は、第二表面278DBとデバイス30D及び/又はステージ42Dとの間の距離より短い。
【0058】
図3Aは液浸流体源260の一実施形態を示す。この実施形態では、液浸流体源260は、(i)液浸流体248を保持する流体リザーバ(流体容器)386A、(ii)流体リザーバ386Aと流通し、液浸流体248を濾過するフィルタ386B、(iii)フィルタ386Bと流通し、液浸流体248からあらゆる空気、汚染物質、又はガスを除去するエアレータ(通気装置)386C、(iv)エアレータ386Cと流通し、液浸流体248の温度を制御する温度制御器386D、例えば熱交換器又は冷却装置、(v)温度制御器386Dと流通している圧力源386E、例えばポンプ、及び(vi)圧力源386Eと流通しているインレット及びノズルアウトレット262(図2Cに示す)と流通しているアウトレットを有する流量制御器386Fを含む。流量制御器386Fは、ノズルアウトレット262への圧力及び流量を制御する。
【0059】
また、液浸流体源260は、(i)ノズルアウトレットに送出される液浸流体248の圧力を測定する圧力センサー386G、(ii)ノズルアウトレット262への液浸流体248の流量を測定する流量センサー386H、及び(iii)ノズルアウトレット262に流れる液浸流体248の温度を測定する温度センサー386Iを含むことができる。
これらの構成要素の動作を制御システム24(図1に示す)で制御することにより、ノズルアウトレット262に流れる液浸流体248の流量、温度及び/又は圧力を制御できる。これらのセンサー386G〜386Iからの情報が制御システム24に転送されることにより、制御システム24は液浸源360Aの他の構成要素を適切に調節して、液浸流体248の所望の温度、流量及び/又は圧力を達成することができる。
【0060】
なお、液浸流体源260の構成要素の配向は変更できる。さらに、一つ以上の構成要素が不要な場合もあり、幾つかの構成要素は二重にできる。例えば、液浸流体源260は、複数のポンプ、複数の容器、(複数の)温度制御器又はその他の構成要素を含むことができる。さらに、環境システム26は、複数の液浸流体源260を含むことができる。
【0061】
液浸流体248をギャップ246(図2Bに示す)中に注入する割合は変更可能である。一実施形態では、液浸流体248は、約0.5リットル/分から2リットル/分の間の割合でノズルアウトレット262を経由してギャップ246に供給される。しかし、この割合は、これらの値より大きくすることもでき、又は小さくすることもできる。
【0062】
液浸流体248の種類は装置10の設計要件に合うように変更できる。一実施形態では、液浸流体248は、脱気及び脱イオン化した水のような流体である。あるいは、例えば、液浸流体248は、フォンブリン(Fomblin)オイルのような過フッ化ポリエーテル(PFPF)のような別種の流体とすることができる。
【0063】
図3Bは、流体除去システム382Bの第一実施形態と、流体バリア254の一部、移送領域256、ウェハ30、及び液浸流体248の図を図示している。本願では、流体除去システム382Bを圧力システムとも呼ぶ。一実施形態では流体除去システム382Bは移送圧力を生成し、且つ/あるいは移送圧力を移送領域256の第一表面278Aに加える。この実施形態では、第一表面278Aと第二表面278Bとの間に差圧が存在する
ように、流体除去システム382Bは移送領域256の第一表面278Aにおける移送圧力を維持する。他の非排他的な実施形態では、第一表面278Aの移送圧力が約−10、−100、−500、−1000、−2000、−5000、−7000又は−10,000パスカルのゲージ圧となるように、流体除去システム382Bは除去チャンバー276内の圧力を制御する。
【0064】
図3Bでは、流体除去システム382Bは、(i)除去チャンバー276内に低い室圧を生成する低圧源390BA、及び(ii)除去チャンバー276からの液浸流体248を捕える回収容器390BCを含む。この実施形態では、低圧源390BAはポンプすなわち真空源390BD、及びチャンバー276のチャンバー内の圧力を正確に制御する室圧調整器390BEを含むことができる。他の非排他的な実施形態では、例えば、チャンバー内の圧力は約−10、−100、−500、−1000、−2000、−5000、−7000又は−10,000パスカルのゲージ圧となるように制御される。室圧調整器390BEを制御システム24で制御することによりチャンバー内の圧力を制御できる。
【0065】
図3Cは、流体除去システム382Cの別の実施形態と、流体バリア254の一部、移送領域256、ウェハ30及び液浸流体248の図を図示している。この実施形態では、流体除去システム382Cは、乾燥した除去流体396(三角形で図示)、例えば空気を、除去チャンバー276を通過させ、移送領域256の頂部の第一表面278Aを横断させる。除去流体396は移送領域256の頂部表面278Aを乾燥させ、移送領域256から液浸流体248を排出する。場合により、除去流体396を加熱するができ、乾燥流体396への液浸流体248の流入(流量)を改善できる。換言すれば、一実施形態では、除去流体396は、液浸流体248の液浸流体温度より高い除去流体温度にある。
【0066】
図3Cでは、流体除去システム382Cは、(i)加圧された乾燥除去流体396の流体源396A、(ii)乾燥除去流体396の温度を制御する温度制御器396B、(iii)乾燥除去流体396の流量を測定する流量センサー396C、及び(iv)乾燥除去流体396の温度を測定する温度センサー396Dを含む。流体源396Aは、制御システム24によって制御されるポンプを含むことができる。温度制御器396Bは、制御システム24によって制御されるヒーターとすることができる。
【0067】
図3Dは、流体除去システム382Dのさらに別の実施形態と、流体バリア254の一部、移送領域256、ウェハ30及び液浸流体248の図を図示している。この実施形態では、移送領域256は流体バリア254の外側に延在している。さらに、流体除去システム382Cは熱源397を含む。熱源397が移送領域256の第一表面278Aに加熱された流体396F(三角形で図示)を供給することにより、液浸流体248は沸騰して移送領域256から排出され、捕えられる。
【0068】
なお、図3B〜3Dに示される流体除去システム382B及び382Cの構成要素の配向は変更できる。さらに、一つ以上の構成要素が不要な場合もあり、幾つかの構成要素は二重にできる。例えば、各流体除去システム382B、382C、382Dは、複数のポンプ、複数のリザーバ、(複数の)弁又は他の構成要素を含むことができる。また、環境システム26は、複数の流体除去システム382B、382C、382Dを含むことができる。
【0069】
図4は、環境システム426の別の実施形態の一部、ウェハ30の一部及びデバイスステージ42の一部の拡大図である。この実施形態では、環境システム426は、上で記述され、且つ図2A〜2Cに示された対応する構成要素にいくらか類似している。しかし、この実施形態では、移送領域456が僅かに異なる。特に、この実施形態では、移送領域456の基板475に形成された通路480(二つのみ図示)は、第一表面478Aと第
二表面の間で実質的に基板475を貫通している、間隔をあけた複数の移送孔である。
【0070】
この実施形態では、例えば、基板475は、ガラス又は他の親水性材料のような材料で製作できる。一実施形態では、移送孔480は約0.1〜0.2mmの直径を有することができる。しかし、ある実施形態では、移送孔はこれらの寸法より大きくすることができ、又は小さくすることができる。
【0071】
この設計により、例えば、流体除去システム382B、382C(図3B及び図3Cに図示)の一つ以上を使用して、移送孔480に減圧又は部分減圧を適用できる。部分減圧は、移送領域456を通して液浸流体248を引き寄せる。
【0072】
図5Aは、光学アセンブリ516、デバイスステージ542、及び環境システム526を含む露光装置510の別の実施形態の一部の断面図である。図5Aはウェハ30、ギャップ546及び液浸流体548がギャップ546を充たしていることも示す。図5Bは、図5Aの5B−5B線で囲まれた拡大部分を示す。
【0073】
この実施形態では、環境システム526は、上記対応構成要素に幾分類似した液浸流体システム552、流体バリア554及び移送領域556を含む。この実施形態では、流体バリア554は、ギャップ546の周りにチャンバー557を形成するコンテインメントフレーム564、及びコンテインメントフレーム564を装置フレーム12に接続して支持するフレーム支持体568を含む。しかし、この実施形態では、コンテインメントフレーム564は、(i)液浸流体システム552の液浸流体源560と流通しているノズルアウトレット562を形成している環状第一流路581、(ii)環状第二流路583、(iii)環状第三流路585、及び(iv)移送領域556を受ける環状第四流路587を有する。この実施形態では、流路581、583、585、587は、ほぼ同心であり、光学アセンブリ516を中心にしている。さらに、この実施形態では、第二流路583は第一流路581を囲み、第三流路585は第二流路583を囲み、第四流路587は第三流路585を囲んでいる。しかし、流路581、583、585、587の形状、配向及び/又は位置は変更できる。
【0074】
一実施形態では、液浸流体システム552は、チャンバー557に放出される液浸流体548を第一流路581及びノズルアウトレット562に供給する。移送領域556はコンテインメントフレーム564と共に、移送領域556の上側に隣接した除去チャンバー576を形成する。さらに、移送領域556は、除去チャンバー576に隣接する第一表面578Bと、デバイス30及びギャップ546に隣接する反対側の第二表面578Bとを有する。
【0075】
この実施形態では、第三流路585は第一除去システム582Aと流通している。一実施形態では、第一除去システム582Aは、液浸流体548を第三流路585に引く及び/又は引き込む減圧又は部分減圧を第三流路585に生成する。例えば、他の非排他的な実施形態では、第一除去システム582Aは、第三流路585内の圧力を約−10、−100、−500、−1000、−2000、−5000、−7000又は−10,000パスカルのゲージ圧に維持できる。
【0076】
さらに、この実施形態では、第四流路587は第二除去システム582Bと流通している。この実施形態では、第二除去システム582は、移送領域556の頂部の第一表面578Aから液浸流体548を取り除き、移送領域556の底部の第二表面578Bに追加の液浸流体548を流入させる。
【0077】
一実施形態では、第一除去システム582Aの設計は、図3B〜3Dに示された除去シ
ステム382B、382Cの一つの設計と類似することができ、且つ/又は、第二除去システム582Bの設計は、図3B〜3Dに示された設計の一つに幾分類似することができる。
【0078】
一実施形態では、ギャップ546から流出する液浸流体548の大部分は、第三流路585を通して回収される。例えば、第三流路585は、ギャップ546から回収される液浸流体548の約80〜90%を回収できる。別の実施形態では、第三流路は、ギャップ546から回収される液浸流体548の少なくとも約50、60、70、80又は90%を回収できる。この設計により、第四流路587を使用して、第三流路585で捕えられない液浸流体548を捕えることができる。
【0079】
また、一実施形態では、環境システム526は、ギャップ546内の圧力の制御に使用できる圧力制御器591を含む。一実施形態では、圧力制御器591は、ギャップ546内の圧力をギャップ546外の圧力とほぼ等しくさせることができる。例えば、一実施形態では、第二流路が圧力制御器591を形成している。この実施形態では、第二流路583は大気圧に開放され、第三流路585の内側に位置する。この設計により、第三流路585内の負圧(減圧又は部分減圧)は光学アセンブリ516とウェハ30の間の圧力に強く影響しない。
【0080】
あるいは、例えば、制御圧力源593がギャップ546中に放出される制御流体595(三角形で図示)を第二流路583に供給できる。一実施形態では、制御流体595は、液浸流体548に容易に吸収されないガスとすることができる。例えば、液浸流体548が水の場合、制御流体595は水とすることができる。液浸流体548が制御流体595を吸収しない場合、又はそれに別の形で反応しない場合には、ウェハ30の表面に泡が形成される可能性を減らすことができる。
【0081】
さらに別の実施形態では、環境システム526は、コンテインメントフレーム564とウェハ30及び/又はデバイスステージ542の間に流体ベアリング(図示なし)を生成するデバイスを含むことができる。例えば、コンテインメントフレーム564は、ベアリング流体(図示なし)のベアリング流体源(図示なし)と流通している一つ以上のベアリングアウトレット(図示なし)を含むことができる。この実施形態では、ベアリング流体源は、加圧された流体をベアリングアウトレットに供給して静的空気ベアリングを生成する。流体ベアリングはコンテインメントフレーム564の重量の全部又は一部を支持できる。
【0082】
なお、各実施形態において、必要に応じて別の移送領域を追加できる。
【0083】
概略的に図6Aに示されるプロセスによって、上記システムを使用して半導体デバイスを製造できる。工程601で、デバイスの機能特性及び性能特性を設計する。次に、工程602で、その前の設計工程に従って、パターンを有するマスク(レチクル)を設計し、並行する工程603で、シリコン材料からウェハを製作する。工程604では、工程602で設計したマスクパターンを、工程603で製作したウェハに、本発明に従ってこれまでに記述したフォトリソグラフィシステムにより露光する。工程605で、半導体デバイスを組み立てる(ダイシングプロセス、ボンディングプロセス、及びパッケージングプロセスを含む)。最後に、工程606で、このデバイスを検査する。
【0084】
図6Bは、半導体デバイスを製造する場合の上記工程604の詳細なフローチャートの例を示す。図6Bにおいて、工程611(酸化工程)で、ウェハ表面を酸化する。工程612(CVD工程)で、ウェハ表面に絶縁フィルムを形成する。工程613(電極形成工程)で、蒸着によりウェハ上に電極を形成する。工程614(イオン注入工程)で、ウェ
ハ中にイオンを注入する。上記工程611〜614はウェハ処理におけるウェハに対する前処理工程を形成し、処理要件に応じて各工程が選択される。
【0085】
ウェハ処理の各段階において、上記前処理工程が完了すると、下記の後処理工程が実施される。後処理では、まず、工程615(フォトレジスト形成工程)で、ウェハにフォトレジストを塗布する。次に、工程616(露光工程)で、上記露光デバイスを使用してウェハにマスク(レチクル)の回路パターンを転写する。それから、工程617(現像工程)で、露光されたウェハを現像し、工程618(エッチング工程)で、残存フォトレジスト以外(露光された材料表面)の部分をエッチングにより除去する。工程619(フォトレジスト除去工程)で、エッチング後に残る不要フォトレジストを除去する。
【0086】
これらの前処理工程及び後処理工程を繰り返すことにより多重の回路パターンを形成する。
【0087】
本願に図示され且つ開示された特定の露光装置10は、充分に目標を達成することができ、且つ本願で以前に記述した利点を十分に提供できるが、本発明の現在望ましい実施形態を単に例示するものであり、添付の請求項に記載されているもの以外で、本願に示された構造又は設計の詳細に限定するものでは無いと解されるものとする。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5A
図5B
図6A
図6B