【実施例】
【0111】
実施例により本発明をさらに詳しく説明する。本発明はこれらの実施例によっては制限されない。
【0112】
まず、本発明の素子に用いる液晶組成物について説明する。本発明は、実施例1の組成物と実施例2の組成物との混合物を含む。本発明は、実施例の組成物の少なくとも2つを混合した混合物をも含む。合成した化合物は、NMR分析などの方法により同定した。化合物、組成物および素子の特性は、下記に記載した方法により測定した。
【0113】
NMR分析:測定には、ブルカーバイオスピン社製のDRX−500を用いた。
1H−NMRの測定では、試料をCDCl
3などの重水素化溶媒に溶解させ、測定は、室温で、500MHz、積算回数16回の条件で行った。テトラメチルシランを内部標準として用いた。
19F−NMRの測定では、CFCl
3を内部標準として用い、積算回数24回で行った。核磁気共鳴スペクトルの説明において、sはシングレット、dはダブレット、tはトリプレット、qはカルテット、quinはクインテット、sexはセクステット、mはマルチプレット、brはブロードであることを意味する。
【0114】
ガスクロマト分析:測定には島津製作所製のGC−14B型ガスクロマトグラフを用いた。キャリアーガスはヘリウム(2mL/分)である。試料気化室を280℃に、検出器(FID)を300℃に設定した。成分化合物の分離には、Agilent Technologies Inc.製のキャピラリカラムDB−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm;固定液相はジメチルポリシロキサン;無極性)を用いた。このカラムは、200℃で2分間保持したあと、5℃/分の割合で280℃まで昇温した。試料はアセトン溶液(0.1重量%)に調製したあと、その1μLを試料気化室に注入した。記録計は島津製作所製のC−R5A型Chromatopac、またはその同等品である。得られたガスクロマトグラムは、成分化合物に対応するピークの保持時間およびピークの面積を示した。
【0115】
試料を希釈するための溶媒は、クロロホルム、ヘキサンなどを用いてもよい。成分化合物を分離するために、次のキャピラリカラムを用いてもよい。Agilent Technologies Inc.製のHP−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)、Restek Corporation製のRtx−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)、SGE International Pty. Ltd製のBP−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)。化合物ピークの重なりを防ぐ目的で島津製作所製のキャピラリカラムCBP1−M50−025(長さ50m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)を用いてもよい。
【0116】
組成物に含有される液晶性化合物の割合は、次のような方法で算出してよい。液晶性化合物の混合物をガスクロマトグラフ(FID)で検出する。ガスクロマトグラムにおけるピークの面積比は液晶性化合物の割合(重量比)に相当する。上に記載したキャピラリカラムを用いたときは、各々の液晶性化合物の補正係数を1とみなしてよい。したがって、液晶性化合物の割合(重量%)は、ピークの面積比から算出することができる。
【0117】
測定試料:組成物および素子の特性を測定するときは、組成物をそのまま試料として用いた。化合物の特性を測定するときは、この化合物(15重量%)を母液晶(85重量%)に混合することによって測定用の試料を調製した。測定によって得られた値から外挿法によって化合物の特性値を算出した。(外挿値)={(試料の測定値)−0.85×(母液晶の測定値)}/0.15。この割合でスメクチック相(または結晶)が25℃で析出するときは、化合物と母液晶の割合を10重量%:90重量%、5重量%:95重量%、1重量%:99重量%の順に変更した。この外挿法によって化合物に関する上限温度、光学異方性、粘度、および誘電率異方性の値を求めた。
【0118】
下記の母液晶を用いた。成分化合物の割合は重量%で示した。
【0119】
測定方法:特性の測定は下記の方法で行った。これらの多くは、社団法人電子情報技術産業協会(Japan Electronics and Information Technology Industries Association;以下JEITAという)で審議制定されるJEITA規格(JEITA・ED−2521B)に記載された方法、またはこれを修飾した方法であった。測定に用いたTN素子には、薄膜トランジスター(TFT)を取り付けなかった。
【0120】
(1)ネマチック相の上限温度(NI;℃):偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレートに試料を置き、1℃/分の速度で加熱した。試料の一部がネマチック相から等方性液体に変化したときの温度を測定した。ネマチック相の上限温度を「上限温度」と略すことがある。
【0121】
(2)ネマチック相の下限温度(T
C;℃):ネマチック相を有する試料をガラス瓶に入れ、0℃、−10℃、−20℃、−30℃、および−40℃のフリーザー中に10日間保管したあと、液晶相を観察した。例えば、試料が−20℃ではネマチック相のままであり、−30℃では結晶またはスメクチック相に変化したとき、T
Cを<−20℃と記載した。ネマチック相の下限温度を「下限温度」と略すことがある。
【0122】
(3)粘度(バルク粘度;η;20℃で測定;mPa・s):測定には東京計器株式会社製のE型回転粘度計を用いた。
【0123】
(4)粘度(回転粘度;γ1;25℃で測定;mPa・s):測定は、M. Imai et al., Molecular Crystals and Liquid Crystals, Vol. 259, 37 (1995) に記載された方法に従った。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が20μmのVA素子に試料を入れた。この素子に39ボルトから50ボルトの範囲で1ボルト毎に段階的に印加した。0.2秒の無印加のあと、ただ1つの矩形波(矩形パルス;0.2秒)と無印加(2秒)の条件で印加を繰り返した。この印加によって発生した過渡電流(transient current)のピーク電流(peak current)とピーク時間(peak time)を測定した。これらの測定値とM. Imaiらの論文、40頁の計算式(8)とから回転粘度の値を得た。この計算に必要な誘電率異方性は、(6)項で測定した。
【0124】
(5)光学異方性(屈折率異方性;Δn;25℃で測定):測定は、波長589nmの光を用い、接眼鏡に偏光板を取り付けたアッベ屈折計により行った。主プリズムの表面を一方向にラビングしたあと、試料を主プリズムに滴下した。屈折率n‖は偏光の方向がラビングの方向と平行であるときに測定した。屈折率n⊥は偏光の方向がラビングの方向と垂直であるときに測定した。光学異方性の値は、Δn=n‖−n⊥、の式から計算した。
【0125】
(6)誘電率異方性(Δε;25℃で測定):誘電率異方性の値は、Δε=ε‖−ε⊥、の式から計算した。誘電率(ε‖およびε⊥)は次のように測定した。
1)誘電率(ε‖)の測定:よく洗浄したガラス基板にオクタデシルトリエトキシシラン(0.16mL)のエタノール(20mL)溶液を塗布した。ガラス基板をスピンナーで回転させたあと、150℃で1時間加熱した。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が4μmであるVA素子に試料を入れ、この素子を紫外線で硬化する接着剤で密閉した。この素子にサイン波(0.5V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の長軸方向における誘電率(ε‖)を測定した。
2)誘電率(ε⊥)の測定:よく洗浄したガラス基板にポリイミド溶液を塗布した。このガラス基板を焼成した後、得られた配向膜にラビング処理をした。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が9μmであり、ツイスト角が80度であるTN素子に試料を入れた。この素子にサイン波(0.5V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の短軸方向における誘電率(ε⊥)を測定した。
【0126】
(7)透過率(T;25℃で測定;%):測定にはTOPCON株式会社製のBM−5AS輝度計を用いた。輝度を測定する前にまずバックライトモジュールの電源をオンにし、30分間予熱した。BM−5ASを用い、バックライトモジュールの輝度値を測定した。バックライトモジュールに偏光子、組成物を注入した素子、検光子、輝度計を取り付けた。電圧を印加しない状態で、最小光量となるように、偏光子と検光子の相対回転角度を調整し、偏光子と検光子の角度を固定させた。波形発生器を用い、0Vから15V(peak to peak)まで、充電時間を0.1sec.で0.2V(peak to peak)ずつ増加させ、素子へ電圧印加を繰り返し行った。輝度計を用い、各電圧における素子を透過した光量を測定した。上記で得られた輝度値を用いて、次の式から各印加電圧での透過率を算出した。(透過率)={(素子を透過した光量)/(バックライトモジュールの輝度値)}×100。
【0127】
(8)しきい値電圧(Vth;25℃で測定;V):上記(7)において、光量が最大になったときの透過率を100%、光量が最小であったときの透過率を0%として、電圧−透過率曲線を作成した。しきい値電圧は、電圧−透過率曲線において、透過率が10%であるときの電圧で表した。
【0128】
(9)電圧保持率(VHR−1;25℃で測定;%):測定に用いたTN素子はポリイミド配向膜を有し、そして2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)は5μmであった。この素子は試料を入れたあと紫外線で硬化する接着剤で密閉した。このTN素子にパルス電圧(5Vで60マイクロ秒)を印加して充電した。減衰する電圧を高速電圧計で16.7ミリ秒のあいだ測定し、単位周期における電圧曲線と横軸との間の面積Aを求めた。面積Bは減衰しなかったときの面積であった。電圧保持率は面積Bに対する面積Aの百分率で表した。
【0129】
(10)電圧保持率(VHR−2;80℃で測定;%):25℃の代わりに、80℃で測定した以外は、上記と同じ手順で電圧保持率を測定した。得られた値をVHR−2で表した。
【0130】
(11)電圧保持率(VHR−3;25℃で測定;%):紫外線を照射したあと、電圧保持率を測定し、紫外線に対する安定性を評価した。測定に用いたTN素子はポリイミド配向膜を有し、そしてセルギャップは5μmであった。この素子に試料を注入し、光を20分間照射した。光源は超高圧水銀ランプUSH−500D(ウシオ電機製)であり、素子と光源の間隔は20cmであった。VHR−3の測定では、16.7ミリ秒のあいだ減衰する電圧を測定した。大きなVHR−3を有する組成物は紫外線に対して大きな安定性を有する。VHR−3は90%以上が好ましく、95%以上がさらに好ましい。
【0131】
(12)電圧保持率(VHR−4;25℃で測定;%):試料を注入したTN素子を80℃の恒温槽内で500時間加熱したあと、電圧保持率を測定し、熱に対する安定性を評価した。VHR−4の測定では、16.7ミリ秒のあいだ減衰する電圧を測定した。大きなVHR−4を有する組成物は熱に対して大きな安定性を有する。
【0132】
(13)応答時間(τ;25℃で測定;ms):測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプであった。ローパス・フィルター(Low-pass filter)は5kHzに設定した。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が4μmであり、ラビング方向がアンチパラレルであるノーマリーブラックモード(normally black mode)のVA素子に試料を入れた。この素子を紫外線で硬化する接着剤を用いて密閉した。この素子に矩形波(60Hz、10V、0.5秒)を印加した。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%であるとみなした。応答時間は透過率90%から10%に変化するのに要した時間(立ち下がり時間;fall time;ミリ秒)で表した。
【0133】
(14)比抵抗(ρ;25℃で測定;Ωcm):電極を備えた容器に試料1.0mLを注入した。この容器に直流電圧(10V)を印加し、10秒後の直流電流を測定した。比抵抗は次の式から算出した。(比抵抗)={(電圧)×(容器の電気容量)}/{(直流電流)×(真空の誘電率)}。
【0134】
実施例における化合物は、下記の表3の定義に基づいて記号により表した。表3において、1,4−シクロヘキシレンに関する立体配置はトランスである。記号の後にあるかっこ内の番号は化合物の番号に対応する。(−)の記号はその他の液晶性化合物を意味する。液晶性化合物の割合(百分率)は、液晶組成物の重量に基づいた重量百分率(重量%)である。最後に、組成物の特性値をまとめた。
【0135】
【0136】
以下の実施例では、高分子支持配向(PSA;polymer sustained alignment)型の素子を用いた。しかしながら、本発明の液晶表示素子は、PSA型の素子に限定されない。実施例において記載する透過率(T)は、上記測定方法(7)に記載した方法で測定した、15V(peak to peak)での透過率である。
【0137】
[比較例1]
3−BB(2F,3F)−O2 (1−4) 10%
5−BB(2F,3F)−O2 (1−4) 5%
2−HH1OB(2F,3F)−O2 (1−8) 12%
3−HH1OB(2F,3F)−O2 (1−8) 22%
3−HDhB(2F,3F)−O2 (1−16) 7%
2−HH−3 (2−1) 20%
3−HH−4 (2−1) 3%
1−BB−3 (2−2) 4%
1−BB−5 (2−2) 8%
3−HHB−1 (2−5) 6%
3−HBB−2 (2−6) 3%
上記組成物に化合物(3−1−1)を0.3重量%の割合で添加した。
NI=75.7℃;Tc<−20℃;Δn=0.103;Δε=−3.9;η=19.4mPa・s.
上記液晶組成物を用いて
図3に示す構造の液晶表示素子を作製し、しきい値電圧(Vth)および透過率(T)を測定した。
Vth=2.78V;T=15.6%.
【0138】
[実施例1]
3−BB(2F,3F)−O2 (1−4) 10%
5−BB(2F,3F)−O2 (1−4) 5%
2−HH1OB(2F,3F)−O2 (1−8) 12%
3−HH1OB(2F,3F)−O2 (1−8) 22%
3−HDhB(2F,3F)−O2 (1−16) 7%
2−HH−3 (2−1) 20%
3−HH−4 (2−1) 3%
1−BB−3 (2−2) 4%
1−BB−5 (2−2) 8%
3−HHB−1 (2−5) 6%
3−HBB−2 (2−6) 3%
上記組成物に化合物(3−1−1)を0.3重量%の割合で添加した。
NI=75.7℃;Tc<−20℃;Δn=0.103;Δε=−3.9;η=19.4mPa・s.
上記液晶組成物を用いて
図1に示す構造の液晶表示素子を作製し、しきい値電圧(Vth)および透過率(T)を測定した。
Vth=2.66V;T=19.3%.
【0139】
[比較例2]
2−BB(2F,3F)−O2 (1−4) 11%
3−BB(2F,3F)−O2 (1−4) 10%
2−HH1OB(2F,3F)−O2 (1−8) 20%
3−HH1OB(2F,3F)−O2 (1−8) 13%
2−HH−3 (2−1) 20%
3−HH−4 (2−1) 5%
3−HH−5 (2−1) 4%
7−HB−1 (2−2) 4%
3−HHB−1 (2−5) 8%
3−HHB−3 (2−5) 5%
上記組成物に化合物(3−25−1)を0.32重量%の割合で添加した。
NI=74.8℃;Tc<−20℃;Δn=0.089;Δε=−3.6;η=18.2mPa・s.
上記液晶組成物を用いて
図3に示す構造の液晶表示素子を作製し、しきい値電圧(Vth)および透過率(T)を測定した。
Vth=2.82V;T=14.3%.
【0140】
[実施例2]
2−BB(2F,3F)−O2 (1−4) 11%
3−BB(2F,3F)−O2 (1−4) 10%
2−HH1OB(2F,3F)−O2 (1−8) 20%
3−HH1OB(2F,3F)−O2 (1−8) 13%
2−HH−3 (2−1) 20%
3−HH−4 (2−1) 5%
3−HH−5 (2−1) 4%
7−HB−1 (2−2) 4%
3−HHB−1 (2−5) 8%
3−HHB−3 (2−5) 5%
上記組成物に化合物(3−25−1)を0.32重量%の割合で添加した。
NI=74.8℃;Tc<−20℃;Δn=0.089;Δε=−3.6;η=18.2mPa・s.
上記液晶組成物を用いて
図1に示す構造の液晶表示素子を作製し、しきい値電圧(Vth)および透過率(T)を測定した。
Vth=2.66V;T=18.9%.
【0141】
実施例1と比較例1では、実施例1は透過率が相対的に24%向上した。さらに、実施例1は、比較例1と比べ低電圧化されていた。実施例2と比較例2では、実施例2は透過率が相対的に32%向上した。さらに、実施例2は、比較例2と比べ低電圧化されていた。
【0142】
[実施例3]
3−HB(2F,3F)−O2 (1−1) 10%
5−HB(2F,3F)−O2 (1−1) 7%
2−BB(2F,3F)−O2 (1−4) 7%
3−BB(2F,3F)−O2 (1−4) 7%
3−B(2F,3F)B(2F,3F)−O2 (1−5) 3%
2−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 5%
3−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 10%
2−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 8%
3−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 10%
2−HH−3 (2−1) 14%
3−HB−O1 (2−2) 5%
3−HHB−1 (2−5) 3%
3−HHB−O1 (2−5) 3%
3−HHB−3 (2−5) 4%
2−BB(F)B−3 (2−8) 4%
上記組成物に化合物(3−25−1)を0.3重量%の割合で添加した。
NI=73.2℃;Tc<−20℃;Δn=0.113;Δε=−4.0;η=22.6mPa・s;Vth=2.65V;T=19.8%.
【0143】
[実施例4]
3−HB(2F,3F)−O4 (1−1) 6%
3−H2B(2F,3F)−O2 (1−2) 8%
3−H1OB(2F,3F)−O2 (1−3) 4%
3−BB(2F,3F)−O2 (1−4) 7%
2−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 7%
3−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 7%
3−HH2B(2F,3F)−O2 (1−7) 7%
5−HH2B(2F,3F)−O2 (1−7) 4%
2−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 5%
3−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 5%
4−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 6%
2−HH−3 (2−1) 12%
1−BB−5 (2−3) 12%
3−HHB−1 (2−5) 4%
3−HHB−O1 (2−5) 3%
3−HBB−2 (2−6) 3%
上記組成物に化合物(3−24−1)を0.3重量%の割合で添加した。
NI=82.8℃;Tc<−30℃;Δn=0.118;Δε=−4.4;η=22.5mPa・s;Vth=2.66V;T=20.3%.
【0144】
[実施例5]
3−HB(2F,3F)−O2 (1−1) 7%
5−HB(2F,3F)−O2 (1−1) 7%
3−H1OB(2F,3F)−O2 (1−3) 5%
3−BB(2F,3F)−O2 (1−4) 8%
3−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 5%
5−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 4%
3−HH1OB(2F,3F)−O2 (1−8) 4%
2−BB(2F,3F)B−3 (1−9) 5%
2−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 3%
3−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 8%
4−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 5%
5−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 8%
3−HH−V (2−1) 22%
3−HH−V1 (2−1) 6%
V−HHB−1 (2−5) 3%
上記組成物に化合物(3−24−1)を0.3重量%の割合で添加した。
NI=76.7℃;Tc<−30℃;Δn=0.109;Δε=−3.7;η=18.3mPa・s;Vth=2.73V;T=18.4%.
【0145】
[実施例6]
3−HB(2F,3F)−O2 (1−1) 10%
5−HB(2F,3F)−O2 (1−1) 10%
3−H2B(2F,3F)−O2 (1−2) 8%
5−H2B(2F,3F)−O2 (1−2) 8%
2−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 6%
3−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 8%
4−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 7%
5−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 7%
3−HDhB(2F,3F)−O2 (1−16) 5%
3−HH−4 (2−1) 14%
V−HHB−1 (2−5) 10%
3−HBB−2 (2−6) 7%
上記組成物に化合物(3−25−1)を0.2重量%の割合で添加した。
NI=88.5℃;Tc<−30℃;Δn=0.108;Δε=−3.8;η=24.6mPa・s;Vth=2.75V;T=18.7%.
【0146】
[実施例7]
3−HB(2F,3F)−O2 (1−1) 7%
3−HB(2F,3F)−O4 (1−1) 8%
3−H2B(2F,3F)−O2 (1−2) 8%
3−BB(2F,3F)−O2 (1−4) 10%
2−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 4%
3−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 7%
3−HHB(2F,3F)−1 (1−6) 6%
2−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 6%
3−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 6%
4−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 5%
5−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 4%
3−HEB(2F,3F)B(2F,3F)−O2 (1−11) 3%
3−H1OCro(7F,8F)−5 (1−14) 3%
3−HDhB(2F,3F)−O2 (1−16) 5%
3−HH−O1 (2−1) 5%
1−BB−5 (2−3) 4%
V−HHB−1 (2−5) 4%
5−HB(F)BH−3 (2−12) 5%
上記組成物に化合物(3−3−1)を0.3重量%の割合で添加した。
NI=81.1℃;Tc<−30℃;Δn=0.119;Δε=−4.5;η=31.4mPa・s;Vth=2.63V;T=20.8%.
【0147】
[実施例8]
3−HB(2F,3F)−O4 (1−1) 15%
3−H1OB(2F,3F)−O2 (1−3) 5%
3−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 8%
4−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 5%
5−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 7%
3−dhBB(2F,3F)−O2 (1−17) 5%
3−chB(2F,3F)−O2 (1−18) 7%
2−HchB(2F,3F)−O2 (1−19) 8%
5−HH−V (2−1) 18%
7−HB−1 (2−2) 5%
V−HHB−1 (2−5) 7%
V2−HHB−1 (2−5) 7%
3−HBB(F)B−3 (2−13) 3%
上記組成物に化合物(3−2−1)を0.3重量%の割合で添加した。
NI=86.7℃;Tc<−30℃;Δn=0.102;Δε=−3.6;η=22.6mPa・s;Vth=2.75V;T=18.9%.
【0148】
[実施例9]
3−H2B(2F,3F)−O2 (1−2) 18%
5−H2B(2F,3F)−O2 (1−2) 17%
3−H1OB(2F,3F)−O2 (1−3) 8%
3−HHB(2F,3Cl)−O2 (1−12) 5%
3−HBB(2F,3Cl)−O2 (1−13) 8%
5−HBB(2F,3Cl)−O2 (1−13) 7%
3−HDhB(2F,3F)−O2 (1−16) 5%
3−HH−V (2−1) 11%
3−HH−VFF (2−1) 4%
F3−HH−V (2−1) 5%
3−HHEH−3 (2−4) 4%
3−HB(F)HH−2 (2−10) 4%
3−HHEBH−3 (2−11) 4%
上記組成物に化合物(3−18−1)を0.3重量%の割合で添加した。
NI=74.6℃;Tc<−30℃;Δn=0.087;Δε=−3.3;η=26.4mPa・s;Vth=2.75V;T=18.6%.
【0149】
[実施例10]
3−HB(2F,3F)−O2 (1−1) 8%
3−H2B(2F,3F)−O2 (1−2) 10%
3−BB(2F,3F)−O2 (1−4) 10%
2O−BB(2F,3F)−O2 (1−4) 3%
2−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 4%
3−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 7%
2−HHB(2F,3F)−1 (1−6) 5%
2−BB(2F,3F)B−3 (1−9) 6%
2−BB(2F,3F)B−4 (1−9) 6%
2−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 4%
3−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 7%
3−HH1OCro(7F,8F)−5 (1−15) 4%
3−HDhB(2F,3F)−O2 (1−16) 6%
3−dhBB(2F,3F)−O2 (1−17) 4%
3−HH−V (2−1) 11%
1−BB−5 (2−3) 5%
上記組成物に化合物(3−24−1)を0.3重量%の割合で添加した。
NI=70.6℃;Tc<−20℃;Δn=0.129;Δε=−4.3;η=27.0mPa・s;Vth=2.62V;T=20.5%.
【0150】
[実施例11]
3−HB(2F,3F)−O4 (1−1) 14%
3−H1OB(2F,3F)−O2 (1−3) 3%
3−BB(2F,3F)−O2 (1−4) 10%
2−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 7%
3−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 7%
3−HH1OB(2F,3F)−O2 (1−8) 6%
2−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 4%
3−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 6%
4−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 4%
3−HH−V (2−1) 14%
1−BB−3 (2−3) 3%
3−HHB−1 (2−5) 4%
3−HHB−O1 (2−5) 4%
V−HBB−2 (2−6) 4%
1−BB(F)B−2V (2−8) 6%
5−HBBH−1O1 (−) 4%
上記組成物に化合物(3−1−1)を0.5重量%の割合で添加した。
NI=93.0℃;Tc<−30℃;Δn=0.123;Δε=−4.0;η=29.6mPa・s;Vth=2.75V;T=18.6%.
【0151】
[実施例12]
3−HB(2F,3F)−O4 (1−1) 6%
3−H2B(2F,3F)−O2 (1−2) 8%
3−H1OB(2F,3F)−O2 (1−3) 5%
3−BB(2F,3F)−O2 (1−4) 10%
2−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 7%
3−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 7%
5−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 7%
2−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 4%
3−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 7%
5−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 6%
3−HH−V (2−1) 11%
1−BB−3 (2−3) 6%
3−HHB−1 (2−5) 4%
3−HHB−O1 (2−5) 4%
3−HBB−2 (2−6) 4%
3−B(F)BB−2 (2−7) 4%
上記組成物に化合物(3−18−1)を0.3重量%の割合で添加した。
NI=87.6℃;Tc<−30℃;Δn=0.126;Δε=−4.5;η=25.3mPa・s;Vth=2.61V;T=20.9%.
【0152】
[実施例13]
3−HB(2F,3F)−O4 (1−1) 6%
3−H2B(2F,3F)−O2 (1−2) 8%
3−H1OB(2F,3F)−O2 (1−3) 4%
3−BB(2F,3F)−O2 (1−4) 7%
2−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 6%
3−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 10%
5−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 8%
2−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 5%
3−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 7%
5−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 5%
2−HH−3 (2−1) 12%
1−BB−3 (2−3) 6%
3−HHB−1 (2−5) 3%
3−HHB−O1 (2−5) 4%
3−HBB−2 (2−6) 6%
3−B(F)BB−2 (2−7) 3%
上記組成物に化合物(3−2−1)を0.3重量%の割合で添加した。
NI=93.0℃;Tc<−20℃;Δn=0.124;Δε=−4.5;η=25.0mPa・s;Vth=2.65V;T=20.8%.
【0153】
[実施例14]
3−HB(2F,3F)−O2 (1−1) 9%
5−HB(2F,3F)−O2 (1−1) 9%
3−BB(2F,3F)−O2 (1−4) 8%
3−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 4%
5−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 5%
3−HH1OB(2F,3F)−O2 (1−8) 5%
2−BB(2F,3F)B−3 (1−9) 4%
2−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 3%
3−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 8%
4−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 5%
5−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 8%
3−HH−V (2−1) 29%
V−HHB−1 (2−5) 3%
上記組成物に化合物(3−25−1)を0.3重量%の割合で添加した。
NI=75.4℃;Tc<−30℃;Δn=0.105;Δε=−3.5;η=17.5mPa・s;Vth=2.75V;T=18.9%.
【0154】
[実施例15]
2−H1OB(2F,3F)−O2 (1−3) 6%
3−H1OB(2F,3F)−O2 (1−3) 7%
3−BB(2F,3F)−O2 (1−4) 3%
2−HH1OB(2F,3F)−O2 (1−8) 14%
2−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 7%
3−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 11%
5−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 9%
2−HH−3 (2−1) 5%
3−HH−VFF (2−1) 27%
1−BB−3 (2−3) 5%
3−HHB−1 (2−5) 3%
3−HBB−2 (2−6) 3%
上記組成物に化合物(3−1−1)を0.2重量%、化合物(3−25−1)を0.2重量%の割合で添加した。
NI=77.3℃;Tc<−20℃;Δn=0.104;Δε=−3.5;η=19.3mPa・s;Vth=2.75V;T=18.5%.
【0155】
[実施例16]
3−HB(2F,3F)−O2 (1−1) 8%
5−HB(2F,3F)−O2 (1−1) 7%
3−BB(2F,3F)−O2 (1−4) 8%
3−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 5%
5−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 4%
3−HH1OB(2F,3F)−O2 (1−8) 5%
2−BB(2F,3F)B−3 (1−9) 4%
2−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 3%
3−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 9%
4−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 4%
5−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 8%
3−HH−V (2−1) 24%
3−HH−V1 (2−1) 6%
V−HHB−1 (2−5) 5%
上記組成物に化合物(3−24−1)を0.3重量%の割合で添加した。
NI=80.2℃;Tc<−20℃;Δn=0.108;Δε=−3.4;η=16.9mPa・s;Vth=2.74V;T=18.6%.
【0156】
[実施例17]
3−H2B(2F,3F)−O2 (1−2) 15%
2−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 4%
3−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 8%
3−HH1OB(2F,3F)−O2 (1−8) 15%
2−BB(2F,3F)B−3 (1−9) 7%
2−BB(2F,3F)B−4 (1−9) 7%
3−HDhB(2F,3F)−O2 (1−16) 3%
5−HDhB(2F,3F)−O2 (1−16) 4%
2−HchB(2F,3F)−O2 (1−19) 8%
4−HH−V (2−1) 10%
1−HH−2V1 (2−1) 6%
3−HH−2V1 (2−1) 4%
V2−BB−1 (2−3) 4%
1V2−BB−1 (2−3) 5%
上記組成物に化合物(3−25−1)を0.3重量%の割合で添加した。
NI=83.9℃;Tc<−30℃;Δn=0.117;Δε=−3.5;η=23.8mPa・s;Vth=2.73V;T=18.4%.
【0157】
[実施例18]
V2−H2B(2F,3F)−O2 (1−2) 8%
V2−H1OB(2F,3F)−O4 (1−3) 4%
3−BB(2F,3F)−O2 (1−4) 7%
2−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 7%
3−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 7%
3−HH2B(2F,3F)−O2 (1−7) 7%
5−HH2B(2F,3F)−O2 (1−7) 4%
V−HH2B(2F,3F)−O2 (1−7) 6%
V2−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 5%
V−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 5%
V−HBB(2F,3F)−O4 (1−10) 6%
2−HH−3 (2−1) 12%
1−BB−5 (2−3) 12%
3−HHB−1 (2−5) 4%
3−HHB−O1 (2−5) 3%
3−HBB−2 (2−6) 3%
上記組成物に化合物(3−25−1)を0.3重量%の割合で添加した。
NI=89.9℃;Tc<−20℃;Δn=0.122;Δε=−4.2;η=23.4mPa・s;Vth=2.69V;T=20.0%.
【0158】
[実施例19]
3−HB(2F,3F)−O2 (1−1) 3%
V−HB(2F,3F)−O2 (1−1) 3%
V2−HB(2F,3F)−O2 (1−1) 5%
5−H2B(2F,3F)−O2 (1−2) 5%
3−H1OB(2F,3F)−O2 (1−3) 7%
V2−BB(2F,3F)−O2 (1−4) 3%
1V2−BB(2F,3F)−O2 (1−4) 3%
3−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 6%
V−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 6%
V−HHB(2F,3F)−O4 (1−6) 5%
V2−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 4%
V2−BB(2F,3F)B−1 (1−9) 4%
V2−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 5%
V−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 4%
V−HBB(2F,3F)−O4 (1−10) 5%
V−HHB(2F,3Cl)−O2 (1−12) 3%
3−HH−V (2−1) 20%
3−HH−V1 (2−1) 6%
V−HHB−1 (2−5) 3%
上記組成物に化合物(3−1−1)を0.3重量%の割合で添加した。
NI=75.1℃;Tc<−20℃;Δn=0.104;Δε=−3.6;η=17.3mPa・s;Vth=2.72V;T=19.2%.
【0159】
[実施例20]
V−HB(2F,3F)−O2 (1−1) 10%
V2−HB(2F,3F)−O2 (1−1) 10%
2−H1OB(2F,3F)−O2 (1−3) 3%
3−H1OB(2F,3F)−O2 (1−3) 3%
2O−BB(2F,3F)−O2 (1−4) 3%
V2−BB(2F,3F)−O2 (1−4) 8%
V2−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 5%
2−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 3%
3−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 3%
V−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 6%
V−HBB(2F,3F)−O4 (1−10) 8%
V−HHB(2F,3Cl)−O2 (1−12) 7%
3−HH−4 (2−1) 14%
V−HHB−1 (2−5) 10%
3−HBB−2 (2−6) 7%
上記組成物に化合物(3−24−1)を0.3重量%の割合で添加した。
NI=75.9℃;Tc<−20℃;Δn=0.114;Δε=−3.9;η=24.7mPa・s;Vth=2.66V;T=18.9%.
【0160】
比較例1の素子のしきい値電圧(Vth)および透過率(T)は、それぞれ2.78V、15.6%であった。また比較例2の素子のしきい値電圧(Vth)および透過率(T)は、それぞれ2.82V、14.3%であった。一方、実施例1から20の素子のしきい値電圧(Vth)および透過率(T)は、それぞれ2.61Vから2.75V、18.2%から20.9%であった。以上のとおり、本発明の液晶表示素子により透過率の向上およびしきい値電圧の低下を達成することができる。透過率の向上により輝度が向上する。または透過率の向上により、駆動電圧の低電圧化が可能となる。低電圧化が可能となると、セルギャップを薄くすることができる。セルギャップを薄くできると、応答速度を速くすることができる。また、透過率の向上により、バックライトの消費電力を削減することができる。
【0161】
さらに、
図1、
図3に示す構造の液晶表示素子について、
図6は、新規PSAセルと従来PSAセルの電極設計におけるプレチルト角の均一性の検証結果を示す図である。スリットを形成した第2の電極(最上位電極、
図1では22a)について、電極の存在する領域(ITO)と電極の存在しない領域(スリット、Slit)とのプレチルト角(PTA)の差を示す。測定は、駆動電圧0Vで、
図6(a)に示ように、同一ピクセル中の6箇所(ピンホールサイズ:3μm)についてそれぞれ行った。
図6(b)は
図3に示す構造の液晶表示素子の測定結果であり、
図6(c)は
図1に示す構造の液晶表示素子の測定結果である。
図6(b)は、ITOとスリットのPTA差が大きい(約0.3度)のに対し、
図6(c)は、ITOとスリットのPTA差が小さい(約0.1度)。このことから本発明の新規PSAセルでは、電極設計の適用が、ピクセル内において、プレチルト角および輝度の均一性の向上に寄与しているのがわかる。
【0162】
図1、
図3に示す構造の液晶表示素子について、
図7は、新規PSAセルと従来PSAセルの電極設計におけるチルト角の均一性の検証結果を示す図である。スリットを形成した第2の電極(最上位電極、
図1では22a)について、電極の存在する領域(ITO)と電極の存在しない領域(スリット、Slit)でのチルト角(Tilt Angle)を示す。測定は、駆動電圧15V(peak to peak)で、
図7(a)に示ように、同一ピクセル中の3箇所(ピンホールサイズ:20μm)について行った。
図7(b)は
図3に示す構造の液晶表示素子の測定結果であり、
図7(c)は
図1に示す構造の液晶表示素子の測定結果である。(b)のグラフはチルト角が小さいのに対し、(c)のグラフはチルト角が約4度大きい。このことから本発明の新規PSAセルでは、ピクセル内において、電場増強による効果が、液晶分子がより水平に倒れること(リタデーションの増加)に寄与しているのがわかる。
【0163】
さらに、
図2に示す構造のPSA素子について、
図12は、ITOの溝の深さ(第2の電極aの厚み)と下部ITOの厚み(第2の電極bの厚み)を変えたときの輝度のシミュレーション結果を等高線図で示したものである。条件範囲は、ITOの溝の深さを0.075μm以下とし、下部ITOの厚みを0.035μm以上とした。好ましくは、溝の深さは0.055μm以下であり、下部の厚みは0.055μm以上であった。特に好ましくは、溝の深さは0.035μm以下であり、下部の厚みは0.075μm以上であった。なお、シミュレーションでは、シンテック(株)製ソフトウェア「LCDMaster 3D ver.8」を使用した(以下、同様)。
【0164】
図2に示す構造のPSA素子について、
図13は、
図1に示す構造のPSA素子および
図3に示す構造のPSA素子との輝度を比較するシミュレーション結果を示すグラフである。
図2の素子について、数値(0.035−0.075等)は「溝の深さ−下部の厚み(μm)」を示す。
図2の素子は、従来の
図3に示す構造の素子に比べ、輝度が最大で40%向上した。
【0165】
図2に示す構造のPSA素子について、
図14は、電圧−輝度曲線のシミュレーション結果を示すグラフである。
図2の素子について、数値(0.035−0.075等)は「溝の深さ−下部の厚み(μm)」を示す。
図1に示す構造のPSA素子および
図3に示す構造のPSA素子に比べ、曲線のカーブがより左にシフトしている。すなわち、
図2の素子は、液晶表示素子の操作電圧を下げることができる。
【0166】
図2に示す構造のPSA素子について、
図15は、応答時間のシミュレーション結果を示すグラフである。
図2の素子について、数値(0.02−006等)は「溝の深さ−下部の厚み(μm)」を示す。
図1および
図2に示す構造のPSA素子は、
図3に示す構造のPSA素子に比べ、曲線のカーブがより左にシフトしており、立ち上がり時間(Ton)の顕著な改善が見られる。下記表4.に立ち上がり時間(Ton)の改善幅を示す。
【0167】
【0168】
図16に示す構造のPVA素子について説明する。
図16(a)は本発明の新規ITOパターンを有する素子であり、
図16(b)は従来のITOパターンを有する素子である。
図16(a)に示す構造のPVA素子は、絶縁層23を介して複数層に積層された第2の電極(22a、22b’)を備え、第2の電極b’(22b’)はスリットを有する。
【0169】
図17は、
図16(a)に示す構造のPVA素子と、
図16(b)に示す構造のPVA素子の電圧−透過率曲線のシミュレーション結果を示すグラフである。従来のITOパターン(T%=59.6%)に比べ、新規ITOパターン(T%=64.8%)では、透過率が著しく向上し、かつ低電圧化する傾向にあった。
【0170】
図18に、
図16(a)(b)に示す構造のPVA素子のITOパターンを説明するための、ITOマスクを示す。
図18に示す第2の電極b’のITOマスクは、ITO電極部の中央に図の縦方向にスリット部を有している。
【0171】
図19(a)に、第2の電極のITOパターンを示す。新規ITOパターン(P1〜P4)は、第2の電極aのITOパターンと第2の電極b’のITOパターンを重ねたものである。さらに
図19(b)に、各パターンついて、透過率(T)と、従来ITOパターンを基準とした透過率の改善率のシミュレーション結果を示すグラフを示す。新規ITOパターン(P1〜P4)は、明らかに透過率が向上した。特にP4の透過率は、約9%向上している。
【0172】
図20(a)に、新規ITOパターンP4および従来ITOパターンの俯瞰図を示す。
図20(b)に、これらのパターン、および、新規ITOパターンP4と条件の異なる新規ITOパターンP4−1について、透過率(T)と、従来ITOパターンを基準とした透過率の改善率のシミュレーション結果を示すグラフを示す。P4とP4−1の条件は、下記表5.のとおりである。新規ITOパターンでは透過率が向上した。P4は改善率が約9%であり、P4−1は改善率がさらに向上し約15%であった。
【0173】
【0174】
図21に、新規ITOパターンP4および従来ITOパターン(
図21(b))について、パターンの位置と、透過率のシミュレーション結果との関係を示す。
図21(a)は、俯瞰図の縦方向の位置に対する透過率の変化を示す。新規ITOパターンでは、第2の電極b’を有しているため、第2の電極aの櫛型ITOおよびスリットエッジの明暗分布が比較的均一で、全体の透過率も高い傾向であった。
図21(c)は、俯瞰図の横方向の位置に対する透過率の変化を示す。第2の電極b’を有しているため、スリット部の電場が増加し、暗線エリアの透過率が向上したことにより、素子全体の透過率は高くなった。
【0175】
新規ITOパターンP4(
図22(a))について、DOE法を用い、各影響因子の条件範囲を設定するため、
図22(b)に「S
d−ITO」「Ratio1」「Ratio2」「Ratio3」の定義を示す。
【0176】
図23(a)はS
d−ITOとRatio1を変えたときの透過率のシミュレーション結果を等高線図で示す。
図23(a)に示すように、S
d−ITOが小さければ小さいほど透過率は高くなる。
図23(b)はS
d−ITOとRatio2を変えたときの透過率のシミュレーション結果を等高線図で示す。
図23(b)では、透過率がより高くなるのは、Sd>6およびSd<4の範囲である。したがって、条件範囲は、下記のとおりとなる。
1.条件範囲
1.S
d−ITO<6μm
2.4.0≦Ratio1≦4.6
3.Ratio2≧0.95
2.好ましい条件範囲
1.S
d−ITO<5μm
2.4.0≦Ratio1≦4.6
3.Ratio2≧1.05
3.特に好ましい条件範囲
1.S
d−ITO<4μm
2.4.0≦Ratio1≦4.6
3.1.10≦Ratio2≦1.30
上記を踏まえ、最適条件は、Sd<4.1、1.10<Ratio2<1.30の範囲とすべきである。
【0177】
図24は、従来ITOパターンと新規ITOパターンP4について応答時間のシミュレーション結果を比較したグラフである。下記表6.に測定結果を示す。立ち上がり(Ton)は、従来ITOパターンよりも新規ITOパターンが速い。立ち下がり(Toff)は、従来ITOパターンと新規ITOパターンにおいて顕著な差はなかった。新規ITOパターンでは、電場密度が大きくなり、液晶が速く倒れるため、応答速度(RTon)が向上した。
【0178】
【0179】
以上のとおり、本発明は、高分子支持配向(PSA)型のTFT基板側にITO電極を増加し(絶縁層を隔てて追加またはTopITOと一体化させて追加)、液晶分子の電圧駆動による倒れ角度を増大させることで、液晶性化合物の配向の均一性を改善し、スリット領域の透過率を向上させ、パネル全体の透過率の向上を可能とした。