特許第6410081号(P6410081)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6410081-プラスチック着色用顔料組成物 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6410081
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】プラスチック着色用顔料組成物
(51)【国際特許分類】
   C09B 67/20 20060101AFI20181015BHJP
   C09B 67/12 20060101ALI20181015BHJP
   C09B 67/16 20060101ALI20181015BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20181015BHJP
   C08K 5/56 20060101ALI20181015BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20181015BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20181015BHJP
【FI】
   C09B67/20 G
   C09B67/20 L
   C09B67/12
   C09B67/16
   C08L101/00
   C08K5/56
   C08K3/04
   C08K3/22
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-147721(P2014-147721)
(22)【出願日】2014年7月18日
(65)【公開番号】特開2016-23222(P2016-23222A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2017年5月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100159293
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 真
(72)【発明者】
【氏名】勝部 浩史
(72)【発明者】
【氏名】駒田 政夫
(72)【発明者】
【氏名】鮎田 勇一
【審査官】 岡谷 祐哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−130919(JP,A)
【文献】 特開平07−216252(JP,A)
【文献】 特開平11−189731(JP,A)
【文献】 特開2005−272760(JP,A)
【文献】 特開2005−306840(JP,A)
【文献】 特開2000−160046(JP,A)
【文献】 特開昭61−181861(JP,A)
【文献】 特開昭64−077622(JP,A)
【文献】 特開2005−029633(JP,A)
【文献】 特開2005−023310(JP,A)
【文献】 特開平02−255863(JP,A)
【文献】 特開昭52−111926(JP,A)
【文献】 特開昭52−055724(JP,A)
【文献】 特開昭54−006034(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均塩素置換基数が0.1〜3の塩素化銅フタロシアニンと下記一般式(1)で示される顔料誘導体を硫酸に溶解させた硫酸溶液を、エジェクターにより貧溶媒と混合することで、顔料組成物を析出させることを特徴とするプラスチック着色用顔料組成物の製造方法。
CuPc−(Y)n (1)
(式中、CuPcは銅フタロシアニン残基を表し、Yはスルホン酸またはその塩、スルホン酸アミン、アルキルフタルイミドの置換基を表す。nは、0.5〜3で平均置換基数を表す。)
【請求項2】
請求項1記載の貧溶媒が水または、水100重量部に対して、有機溶媒1〜300重量部からなる混合溶媒である請求項1記載のプラスチック着色用顔料組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックの着色に使用される塩素化銅フタロシアニン顔料組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以前より、青色顔料としてフタロシアニン顔料が用いられている。フタロシアニン顔料は、そのフタロシアニン構造から由来する堅牢性の高い顔料で、高耐光性、高耐候性を有する青色顔料としてよく知られており、インキ、プラスチック、塗料、トナー、カラーフィルタ等の多くの用途に着色材として使用されている。
【0003】
特に、プラスチック用途においては、プラスチック成形物の表面反射による、ブロンズ(金属光沢)性低減の改良が求められている。ブロンズ性は、プラスチック成形物を視覚角度により、金属光沢、色相変色が観察される現象である。
【0004】
塩素含有量が1〜6重量%の粗製銅フタロシアニンとフタルイミドメチル金属フタロシアニンを硫酸中に溶解して、水で希釈することで、低塩素化銅フタロシアニン顔料組成物の製造方法が引用文献1に開示されている。銅フタロシアニンとフタルイミドメチル金属フタロシアニンにより、耐光性の良い顔料組成物が提案されている。
【0005】
また、引用文献2には、ε型銅フタロシアニンと銅フタロシアニンのフタルイミドメチル誘導体を含むいくつかの銅フタロシアニン顔料誘導体との顔料組成物が、カラーフィルタ用の青色顔料組成物として提案されている。ε型銅フタロシアニンと顔料誘導体をニーダー混練により微細化することで、コントラストに優れ、鮮明性、明度を維持したまま耐熱性の高いカラーフィルタを提供できることが提案されている。
【0006】
さらに、各種顔料と顔料粒子成長抑制剤(顔料誘導体)を一時予備磨砕し、極性溶剤により所望の顔料粒子サイズによる調製方法(顔料化)が、引用文献3に提案されている。しかし、これらの顔料組成物、および顔料組成物の製造方法において、ブロンズ性低減に関する提案はされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−216252号公報
【特許文献2】特開2005−234009号公報
【特許文献3】特開平5−222314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ブロンズ性のないプラスチックの着色に使用される塩素化銅フタロシアニン顔料組成物、および塩素化銅フタロシアニンと黒色顔料からなる顔料組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明者は平均塩素置換基数が低い塩素化銅フタロシアニンと特定の比率の銅フタロシアニン誘導体からなる顔料組成物、および該フタロシアニン顔料組成物と黒色顔料からなる顔料組成物をプラスチック用の着色材として使用することで、ブロンズ性のないプラスチック成形物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、平均塩素置換基数が0.1〜3の塩素化銅フタロシアニン100重量部に対して、下記一般式(1)で示される顔料誘導体1〜20重量部を含有してなることを特徴とするプラスチック着色用顔料組成物。
CuPc−(Y)n (1)
(式中、CuPcは銅フタロシアニン残基を表し、Yはスルホン酸またはその塩、スルホン酸アミン、アルキルフタルイミドの置換基を表す。nは、0.5〜3で平均置換基数を表す。)。
【0011】
また、前記平均塩素置換基数が0.1〜3の塩素化銅フタロシアニンと前記一般式(1)で示される顔料誘導体を硫酸に溶解させた硫酸溶液を、エジェクターにより貧溶媒と混合することで、顔料組成物を析出させることを特徴とするプラスチック着色用顔料組成物の製造方法。
【0012】
また、前記貧溶媒が水または、水100重量部に対して、有機溶媒1〜300部 からなる混合溶媒であるプラスチック着色用顔料組成物の製造方法。
【0013】
また、前記プラスチック着色用顔料組成物100重量部に対して、黒色顔料100〜2000重量部からなるプラスチック着色用顔料組成物。
【0014】
また、前記黒色顔料が、カーボンブラック、酸化チタン、アニリンブラックの少なくともひとつから選ばれる黒色顔料であるプラスチック着色用顔料組成物。
【0015】
さらに、 前記いずれか一項記載のプラスチック着色用顔料組成物またはプラスチック用顔料組成物の製造方法より得られるプラスチック着色用顔料組成物を含有することを特徴とするプラスチック成形物に関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の塩素化銅フタロシアニン顔料組成物、さらに該塩素化銅フタロシアニンと黒色顔料組成物をプラスチック用の着色材として使用することで、プラスチック成形物を作成した時に、ブロンズ性のないプラスチック成形物が得られることを見出し、本発明するに至った。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】プラスチック成形物のブロンズ性評価結果を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0019】
本発明で使用する塩素化銅フタロシアニンは、公知慣用の方法により得ることができる。それらの一例は、次の通りである。
【0020】
まず、芳香環の水素原子の一部を塩素に置換した塩素化無水フタル酸と尿素と銅または銅化合物とを反応させるワイラー法や、一部芳香環の水素原子の一部を塩素に置換した塩素化フタロニトリルと銅または銅化合物を高沸点溶媒で反応させるフタロニトリル法によって塩素化銅フタロシアニンを製造することができる。ここで得られた塩素化銅フタロシアニンは、塩素化銅フタロシアニンクルード(粗顔料)と本発明では定義する。
【0021】
また、別の製造方法として、クロロスルホン酸法による塩素化方法がある。銅フタロシアニンを、クロロスルホン酸等の硫黄酸化物系の溶媒に溶解し、これに塩素ガスを仕込みハロゲン化する方法が挙げられる。この際の反応は、温度20〜120℃かつ3〜20時間の範囲で行われる。
【0022】
さらに、塩素化方法として、溶融法が知られている。溶融法としては、塩化アルミニウム、四塩化チタンの様なハロゲン化チタン、塩化ナトリウム等の様なアルカリ金属塩素化物またはアルカリ土類金属塩素化物〔以下、アルカリ(土類)金属塩素化物という〕、塩化チオニル等、各種の塩素化の際に溶媒となる化合物の一種または二種以上の混合物からなる10〜170℃程度の溶融物中で、銅フタロシアニンを塩素化剤にて塩素化する方法が挙げられる。
【0023】
また、本発明において、塩素化銅フタロシアニンの平均塩素置換基数は、質量分析計(FD−MS、TOF−MS)において同定されるものであり、塩素化銅フタロシアニンの製造方法において、原料である塩素化無水フタル酸法または塩素化フタロニトリル法により合成される塩素置換基数の分布は狭くなる。一方、銅フタロシアニンを溶融、塩素化するクロロスルホン酸等の合成法で得られる塩素化銅フタロシアニンの塩素置換基数の分布は塩素化出発原料由来のものより、反応条件により左右されるが一般的には大きくなる傾向にある。
【0024】
本発明において、ブロンズ性(ブロンズ現象)とは、照明光がプラスチック成形物表面上で乱反射することにより、本来とは異なる偽色や金属光沢が見えてしまう現象をいうものである。ブロンズ現象が多いと茶褐色の反射色となってしまい、プラスチック用の着色材としては、適さない。
【0025】
本発明の塩素化銅フタロシアニンの平均塩素置換基数は、プラスチック成形物の着色材として使用した時に、ブロンズ性が少なくなる様に設計したものであり、平均塩素置換基数が1分子中0.1〜4が好ましく、着色力がさらに大きくなるため、さらに少ない0.1〜3がさらに好ましい。
【0026】
次に本発明の一般式(1)で示される顔料誘導体について、説明する。本発明で使用される一般式(1)の顔料誘導体は、フタルイミドメチル化銅フタロシアニンであり、公知公用の方法で合成される。フタルイミドメチル化銅フタロシアニンは、銅フタロシアニンの結晶成長抑制剤としての効果はよく知られており、小粒径が求められるカラーフィルタ用フタロシアニン顔料やトナー用フタロシアニン顔料では、含有される場合が多い。本発明では、これらの効果と同様に小粒径化や結晶成長抑制効果のみならず、顔料の一次粒子径のバラツキの分布を抑制することで、乱反射を抑えることでブロンズ現象を小さくしていると推測している。
【0027】
前記顔料誘導体のフタルイミドメチル基は、置換基構造が大きいため1分子中に通常の合成方法では、最大で2置換体である。本発明で使用される一般式(1)の顔料誘導体における置換基数は、0.5〜2である。
【0028】
本発明の顔料組成物において、塩素化銅フタロシアニンに対する一般式(1)で示される顔料誘導体量は、塩素化銅フタロシアニン100重量部に対して、1〜20重量部、ブロンズ現象を抑制させつつ、顔料誘導体による色変化をなるべく起こさないために、1〜15重量部がさらに好ましい。
【0029】
本発明のプラスチック着色用顔料組成物は、上記塩素化銅フタロシアニンと一般式(1)の顔料誘導体を単に混合させるだけでもブロンズ現象を抑制することが可能であるが、分子レベルで両物質を均一にさせるためには、一旦両物質を混合し、溶解させ、析出することで、分子レベルで均一な顔料組成物を製造することができる。
【0030】
製造方法として、塩素化銅フタロシアニンと一般式(1)の顔料誘導体100部に対して50〜10000部の強酸に、0〜90℃で、完全または一部溶解(酸濃度によりアシッドペースティング、アシッドスラリー、アシッドスェリング)した後、貧溶媒と混合することで析出させる。
【0031】
上記強酸としては、硫酸、塩酸、硝酸を使用することができる。中でも、コスト、ハンドリング性、量産性を考慮すると硫酸が好ましい。また、硫酸の酸濃度としては、フタロシアニン顔料が溶解可能な70%〜100%(無水硫酸)である。ただし、顔料が完全に溶解可能な濃度としては、90%以上が好ましい。
【0032】
顔料組成物の硫酸溶液を貧溶媒と混合させる際に、貧溶媒量は、顔料組成物を十分に析出させることが必要であり、硫酸溶液100部に対して、50〜10000部を用いる。析出が完了した後、得られた顔料組成物スラリーをろ過、洗浄後、乾燥、粉砕して本発明のプラスチック着色用顔料組成物が得られる。
【0033】
上記貧溶媒としては、顔料組成物が酸濃度の低下により析出すれば如何なる溶媒でも使用することができるが、本発明では水、または水100重量部に対して、有機溶媒1〜300重量部の有機溶媒からなる混合溶媒を使用することができる。有機溶媒としては、水溶性および水不溶性どちらの有機溶媒も使用することができる。アルコール類、グリコール類、ケトン類、炭化水素類等、水不溶性溶媒の場合は、高速撹拌または乳化剤、界面活性剤の添加によりエマルジョン化して、水との混合溶媒とすることができる。
【0034】
貧溶媒に顔料の硫酸スラリーを取り出す方法としては、大量の貧溶媒溶液中に顔料硫酸スラリーを徐々に追加する方法や顔料硫酸スラリーを貧溶媒と常に接触させて析出させる、いわゆるマイクロリアクター方式の取り出し方法もある。エジェクター法による取り出しはマイクロリアクター同様に顔料硫酸スラリーと貧溶媒とを常に接触させて析出させるため、接触時の硫酸濃度が均一であること、温度一定下で粒子を析出させるため、粒度分布が狭い粒子ができることでより好ましい取り出し方法である。
【0035】
強酸溶液と貧溶媒との混合方法は、公知公用の方法が使用可能であり、強酸溶液を貧溶媒に取り出しても良いし、その逆でも構わない。ただし、これらの方法では、取り出し時に貧溶媒により希釈されるため酸濃度が初期と後期では変化してしまい、析出環境が随時変化する。取り出し温度、速度により、粒子サイズへの影響が大きく、再現性が非常に難しくなるとの問題が発生している。しかし、本発明のエジェクターによる析出方法では、強酸溶液と貧溶媒の接触条件が、絶えず一定であることが最大の利点である。酸濃度の変化がないことで、希釈熱の生成も計算により算出できるため、顔料組成物の粒径制御も容易に設計することが可能となった。
【0036】
また、本発明の塩素化フタロシアニン顔料組成物を単独で使用した場合でも、黒色顔料との混合系で使用した場合でもブロンズ現象を抑制することができる。黒色顔料との混合系では、所望の黒色度により混合割合を調製し、混合顔料組成物とする。
【0037】
上記黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、アニリンブラック、ペリレンブラック等があげられる。中でもカーボンブラック、酸化チタン、アニリンブラックは、光学濃度(OD値)が高く、遮蔽効果の高い黒色顔料として好ましく、少なくともこれらのひとつから選ばれる黒色顔料であればよい。
【0038】
プラスチックに使用される樹脂は、加熱により軟化し、冷却により再度、硬化する部分的に結晶性を有する樹脂であり、特にエチレン、プロピレン、ブチレン、スチレンおよび/またはジビニルベンゼンのホモポリマー、あるいはブロックもしくはランダムコポリマーまたはターポリマー、特にHDPE、LDPE、ポリプロピレンおよびポリスチレンのようなα−オレフィン類である。その他の有用な樹脂の例としては、ポリエチレンテレフタレートのようなポリエステル類、ナイロン6、ナイロン66のようなポリアミド類、および熱可塑性アイオノマー類、エンジニアリングプラスチック類でPPS樹脂やPBT樹脂類であり、本発明のプラスチック着色用顔料組成物の着色に適する樹脂としては、HDPE、LDPE、ポリプロピレンおよびポリスチレンのようなα−オレフィン類が好ましい。
【0039】
プラスチック成形方法としては、特に限定されないが、例えばプレス成形、射出成形、ガスアシスト射出成形、溶着成形、押出成形、吹込成形、フィルム成形、中空成形、多層成形、及び溶融紡糸など、一般に知られているプラスチック成形方法が挙げられる。本発明では、 射出成形によりプラスチック成形物を得ている。
【0040】
次に、プラスチック成形物のブロンズ性の評価方法について、説明する。
【0041】
[ブロンズ性評価方法]
黒色との混合系は表面色の赤味(茶褐色)の変化でブロンズ性の評価が良くわかるため、測色計で測定したLab値のa値を採用した。そして、ブロンズ性には観察表面で入射光に対して観察角度を変化させた場合、観察角度によって赤味(茶褐色)の度合いで強弱が異なるため、変角分光光度計(X-Lite社製 MA98)で測色した。
【実施例】
【0042】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、もとより本発明はこれら実施例の範囲
に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」及び「%」はいずれも質量
基準である。
【0043】
(実施例1)
塩素化銅フタロシアニン(平均塩素置換基数0.5)18.5部、フタルイミドメチル銅フタロシアニン1.5部を45℃、95%硫酸(和光純薬社製、試薬一級)180部に溶解させ、エジェクター(樹脂製アスピレータ)で吸引しながら温湯と混合させて硫酸スラリーを得た。この硫酸スラリーを70℃、1時間熟成させて濾過、その後中性になるまで水洗を繰り返した。その後、キシレンを乳化剤でエマルジョン化した溶液を顔料スラリーに加え、キシレン留去後、濾過、水洗、乾燥した。乾燥物を粉砕し、塩素化銅フタロシアニン顔料組成物1を得た。
【0044】
(実施例2)
塩素化銅フタロシアニン(平均塩素置換基数0.5)18.5部、ジメチルプロピルスルファモイルアミン銅フタロシアニン(ジメチルプロピルスルファモイルアミン置換基数1.0、DIC株式会社製)1.5部を45℃、95%硫酸(和光純薬株社製、試薬一級)180部に溶解させ、樹脂製アスピレータで吸引しながら温湯と混合させて硫酸スラリーを得た。この硫酸スラリーを70℃、1時間熟成させて濾過、その後中性になるまで水洗を繰り返した。その後、その後、キシレンを乳化剤でエマルジョン化した溶液を顔料スラリーに加え、キシレン留去後、濾過、水洗、乾燥した。乾燥物を粉砕し、塩素化銅フタロシアニン顔料組成物2を得た。
【0045】
(実施例3)
塩素化銅フタロシアニン(平均塩素置換基数0.5)18.5部、銅フタロシアニンスルホン酸ジメチルジオレイルアンモニウム塩(スルホン酸置換基数1.0)1.5部を45℃、95%硫酸(和光純薬社製、試薬一級)180部に溶解させ、樹脂製アスピレータで吸引しながら温湯と混合させて硫酸スラリーを得た。この硫酸スラリーを70℃、1時間熟成させて濾過、その後中性になるまで水洗を繰り返した。その後、その後、キシレンを乳化剤でエマルジョン化した溶液を顔料スラリーに加え、キシレン留去後、濾過、水洗、乾燥した。乾燥物を粉砕し、塩素化銅フタロシアニン顔料組成物3を得た。
[比較例1]
塩素化銅フタロシアニン(平均塩素置換基数0.5)20部を45℃、95%硫酸(和光純薬社製、試薬一級)180部に溶解させ、樹脂製アスピレータで吸引しながら温湯と混合させて硫酸スラリーを得た。この硫酸スラリーを70℃、1時間熟成させて濾過、その後中性になるまで水洗を繰り返した。その後、その後、キシレンを乳化剤でエマルジョン化した溶液を顔料スラリーに加え、キシレン留去後、濾過、水洗、乾燥した。乾燥物を粉砕し、塩素化銅フタロシアニン顔料組成物4を得た。
【0046】
[ブロンズ性評価]
実施例1、2、3および比較例1で得られた塩素化銅フタロシアニン顔料組成物1.25部、カーボンブラック(三菱化学社製#44)1.25部、ステアリン酸マグネシウム(堺化学社製)1.25部、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、ノバテックBC3)500部を均一になるように混合させて、220℃で射出成型し、プラスチック成形物1〜4を得た。次にこれらの成形物を変角分光光度計(X−Lite社製、MA98)でLab値測定したところ、表1に示した様に、実施例1,2,3で作成した成型物は比較例で作成した成型物に較べて45度の入射光に対する−15度、15度、25度、45度、75度、110度のa値が低かった。このことは赤味が低減し、ブロンズ消失に繋がったと判断する。
【0047】
【表1】
図1