特許第6410100号(P6410100)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6410100
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】干渉計
(51)【国際特許分類】
   G01B 9/02 20060101AFI20181015BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20181015BHJP
【FI】
   G01B9/02
   G01B11/00 G
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-258420(P2014-258420)
(22)【出願日】2014年12月22日
(65)【公開番号】特開2016-118467(P2016-118467A)
(43)【公開日】2016年6月30日
【審査請求日】2017年8月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(72)【発明者】
【氏名】林 恭平
(72)【発明者】
【氏名】森井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】青戸 智浩
【審査官】 河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−083433(JP,A)
【文献】 米国特許第07764384(US,B1)
【文献】 特開2006−023279(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0015153(US,A1)
【文献】 特開2010−210326(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 9/00
G01B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
頂点が切除された構造のコーナーキューブで構成され、前記光源からの光の一部を頂部から測定光として透過してターゲットに向けて出射し、残りを参照光として反射して、光を前記測定光と前記参照光とに分岐する光分岐素子と、
前記光分岐素子にて反射された中空円筒状の前記参照光と、前記ターゲットで反射されて前記光分岐素子の前記頂部を透過して前記参照光の内側を通る前記測定光と、を集光して干渉させる集光レンズと、
前記集光レンズで集光して干渉させた光の強度を検出する光検出器と、
前記光検出器の出力に基づいて測長する測長部と、
を備える干渉計。
【請求項2】
前記光分岐素子の頂部が、凸レンズ面で構成される、
請求項1に記載の干渉計。
【請求項3】
前記光分岐素子が、前記光源から出射される光の光軸と同軸上に配置され、
前記光源と前記光分岐素子との間に、前記光源からの光を透過し、かつ、前記参照光及び前記測定光を前記光検出器に向けて反射するビームスプリッターを備え、
前記ビームスプリッターと前記光検出器との間に前記集光レンズが配置される、
請求項1又は2に記載の干渉計。
【請求項4】
第1ポート、第2ポート、及び、第3ポートを備え、前記第1ポートに入射する光を前記第2ポートから出射し、かつ、前記第2ポートに入射する光を前記第3ポートから出射する光サーキュレーターと、
前記第1ポートに接続され、前記光源からの光を前記第1ポートに伝播する第1の光ファイバーと、
前記第2ポートに接続され、前記第2ポートから出射する光をファイバー端から出射し、かつ、前記ファイバー端に入射する光を前記第2ポートに伝播する第2の光ファイバーと、
前記第3ポートに接続され、前記第3ポートから出射する光を前記光検出器に伝播する第3の光ファイバーと、
を備え、前記集光レンズと前記光分岐素子とが同軸上に配置され、前記第2の光ファイバーの前記ファイバー端から出射する光が、前記集光レンズを介して前記光分岐素子に入射し、かつ、前記集光レンズで集光された光が前記第2の光ファイバーの前記ファイバー端に入射する、
請求項1又は2に記載の干渉計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、干渉計、及び、その干渉計に組み込まれる光分岐素子に関する。
【背景技術】
【0002】
干渉計では、光源からの光を分岐し、それぞれを異なる光路を伝播させたあと、再び合成して干渉光を生成する。したがって、干渉計を構成するためには、光源と、光源からの光を分岐する手段と、分岐した光を再び合成する手段と、が必要となる。従来、光源からの光を分岐する手段、及び、分岐した光を再び合成する手段には、ビームスプリッターやハーフミラーが用いられていた。
【0003】
ビームスプリッターを用いて光を分岐し、かつ、合成する構成の干渉計では、光源からの光をビームスプリッターで参照光と測定光とに分岐し、それぞれを独立した光路を伝播させたあと、再びビームスプリッターに戻して合成し、干渉光を生成する(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
ハーフミラーを用いて光を分岐し、かつ、合成する構成の干渉計では、光源からの光の一部を参照光としてハーフミラーで反射し、残りを測定光として透過させる。そして、ターゲットで反射した測定光をハーフミラーで反射した参照光と合成して干渉光を生成する(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−35506号公報
【特許文献2】特開平11−83433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ビームスプリッターを用いて光を分岐し、かつ、合成する構成の干渉計では、分岐した光がそれぞれ独立した光路を伝播するため、外乱の影響を受けやすく、誤差が生じやすいという欠点がある。また、この種の干渉計では、反射光の角度安定性を確保するため、反射用の光学素子としてコーナーキューブが用いられるが、コーナーキューブを用いると、装置が大型化するという欠点がある。
【0007】
一方、ハーフミラーを用いて光を分岐し、かつ、合成する構成の干渉計では、ハーフミラーを正確に位置決めして設置しないと、測定光の光軸と参照光の光軸との間に傾きが生じ、効率よく干渉信号が得られないという欠点がある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、コンパクトな構成で高精度な測定ができ、組み立ての容易な干渉計及び光分岐素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
課題を解決するための手段は、次のとおりである。
【0010】
(1)光源と、頂点が切除された構造のコーナーキューブで構成され、光源からの光の一部を頂部から測定光として透過し、残りを参照光として反射して、光を分岐する光分岐素子と、参照光及び測定光を集光して干渉させる集光レンズと、集光レンズで集光して干渉させた光の強度を検出する光検出器と、光検出器の出力に基づいて測長する測長部と、を備える干渉計。
【0011】
光源からの光は、光分岐素子によって測定光と参照光とに分岐される。光分岐素子は、頂点が切除された構造のコーナーキューブで構成される。光源からの光は、光分岐素子に入射することにより、一部が頂部を透過し、残りが元来た方向に反射される。頂部を透過する光が測定光とされ、反射する光が参照光とされる。測定光はターゲットに照射され、その反射光が参照光と合成されて、干渉光が生成される。干渉光の生成は集光レンズを介して行われる。ターゲットで反射した測定光、及び、参照光は、集光レンズに入射し、その集光レンズで集光されて合成される。これにより、干渉光が生成される。光検出器は、生成された干渉光の強度を検出する。測長部は、光検出器の出力に基づいて測長する。
【0012】
本態様によれば、測定光と参照光とが同軸上を伝播するため、外乱の影響を受けにくい構成にできる。これにより、高精度な測定が可能になる。また、測定光の光路と参照光の光路とが同軸上に配置されるため、コンパクトな構成にできる。また、光分岐素子は、光源からの光を反射する部分に関して、コーナーキューブと同じ構造を有する。このため、測定光の光軸に対して傾いて設置された場合であっても、測定光の光軸と同じ方向に参照光を反射できる。これにより、設置精度をラフにでき、組み立てを容易にできる。
【0013】
(2)光分岐素子の頂部が、凸レンズ面で構成される、上記(1)の干渉計。
【0014】
本態様によれば、光分岐素子の頂部が、凸レンズ面で構成される。これにより、ターゲットに対して測定光を集光させて照射でき、光を効率よく利用できる。
【0015】
(3)光分岐素子が、光源から出射される光の光軸と同軸上に配置され、光源と光分岐素子との間に、光源からの光を透過し、かつ、参照光及び測定光を光検出器に向けて反射するビームスプリッターを備え、ビームスプリッターと光検出器との間に集光レンズが配置される、上記(1)又は(2)の干渉計。
【0016】
本態様によれば、光源から出射される光の光軸と同軸上にビームスプリッターが配置される。ターゲットで反射した測定光及び参照光は、光軸と同軸上を伝播し、ビームスプリッターによって光検出器の方向に反射される。そして、集光レンズを通して光検出器に入射される。
【0017】
(4)第1ポート、第2ポート、及び、第3ポートを備え、第1ポートに入射する光を第2ポートから出射し、かつ、第2ポートに入射する光を第3ポートから出射する光サーキュレーターと、第1ポートに接続され、光源からの光を第1ポートに伝播する第1の光ファイバーと、第2ポートに接続され、第2ポートから出射する光をファイバー端から出射し、かつ、ファイバー端に入射する光を第2ポートに伝播する第2の光ファイバーと、第3ポートに接続され、第3ポートから出射する光を光検出器に伝播する第3の光ファイバーと、を備え、集光レンズと光分岐素子とが同軸上に配置され、第2の光ファイバーのファイバー端から出射する光が、集光レンズを介して光分岐素子に入射し、かつ、集光レンズで集光された光が第2の光ファイバーのファイバー端に入射する、上記(1)又は(2)の干渉計。
【0018】
本態様によれば、光源からの光が光ファイバーを介して光分岐素子に導かれる。また、干渉光が光ファイバーを介して光検出器に導かれる。これにより、光源と測定部(集光レンズと光分岐素子を含む構成要素)、光検出器と測定部、光源と光検出器を相互に分離でき、レイアウトの自由度を向上できる。
【0019】
(5)干渉計に組み込まれて、光源からの光を測定光と参照光とに分岐する光分岐素子であって、頂点が切除された構造のコーナーキューブで構成され、入射した光の一部を頂部から測定光として透過し、残りを参照光として反射して、入射した光を測定光と参照光と分岐する光分岐素子。
【0020】
本態様によれば、光分岐素子は、頂点が切除された構造のコーナーキューブで構成される。光源からの光は、光分岐素子に入射することにより、一部が頂部を透過し、残りが元来た方向に反射される。頂部を透過する光が測定光とされ、反射する光が参照光とされる。
【0021】
(6)頂部が、凸レンズ面で構成される、上記(5)の光分岐素子。
【0022】
本態様によれば、光分岐素子の頂部が、凸レンズ面で構成される。これにより、測定光を集光させて照射でき、光を効率よく利用できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、コンパクトな構成で高精度な測定ができる。また、組み立ても容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係る干渉計の第1の実施の形態の概略構成図
図2】光分岐素子の斜視図
図3】光分岐素子の側面図
図4】光分岐素子の正面図
図5】光分岐素子とビームスプリッターとの間の光路を伝播する測定光及び参照光の概念図
図6】本発明に係る干渉計の第2の実施の形態の概略構成図
図7】本発明に係る干渉計の第3の実施の形態の概略構成図
図8】第3の実施の形態の干渉計で使用する光分岐素子の側面図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
【0026】
《第1の実施の形態》
〈構成〉
図1は、本発明に係る干渉計の第1の実施の形態の概略構成図である。
【0027】
同図に示すように、本実施の形態の干渉計10は、光源12、ビームスプリッター14、光分岐素子16、ターゲット18、光検出器20、集光レンズ22、及び、測長部24を備えて構成される。
【0028】
光源12は、コリメートされた単一波長のレーザー光を出射する。光源12は、一定位置に固定して設置される。
【0029】
ビームスプリッター14は、光源12から出射されるレーザー光の光軸Lと同軸上に配置される。ビームスプリッター14は、一定位置に固定して設置される。ビームスプリッター14は、光源12からのレーザー光を透過し、かつ、光分岐素子16からの参照光及び測定光を光検出器20に向けて反射する。
【0030】
光分岐素子16は、光源12から出射されるレーザー光の光軸Lと同軸上に配置される。光分岐素子16は、一定位置に固定して設置される。光分岐素子16には、ビームスプリッター14を透過した光源12からのレーザー光が入射される。光分岐素子16は、この光源12からのレーザー光を測定光と参照光とに分岐する。
【0031】
図2図3図4は、それぞれ光分岐素子の斜視図、側面図、正面図である。
【0032】
図2図4に示すように、光分岐素子16は、頂点が切除された構造のコーナーキューブプリズム(CCP:Corner Cube Prism)で構成される。CCPとは、光を入射方向によらず、元来た方向に反射(再帰反射)するプリズムのことであり、コーナーキューブの一形態である。CCPは、直角に交わる3つ面を有し、その3つの面の内部全反射を利用して、プリズムへ入射する光を入射方向へ180度折り返す。
【0033】
光分岐素子16は、全体として錐台の形状を有し、入射面16Aと、3つの反射面16B、16C、16Dと、透過面16Eと、を備えて構成される。
【0034】
入射面16Aは、光源12からのレーザー光が入射する面である。本実施の形態の光分岐素子16は、入射面16Aが平滑な円形状を有する。入射面16Aには、反射防止膜(ARコート:Anti-Reflective coat)が備えられる。
【0035】
3つの反射面16B、16C、16Dは、入射面16Aに入射したレーザー光の一部を元来た方向に反射(再帰反射)する。3つの反射面16B、16C、16Dは、互いに直角に配置される。入射面16Aに入射したレーザー光の一部は、3つの反射面16B、16C、16Dで1回ずつ反射したのち、元来た方向に戻ってゆく。
【0036】
透過面16Eは、入射面16Aに入射したレーザー光の一部を透過させる面である。透過面16Eは、光分岐素子16の頂部に配置される。透過面16Eは、平坦な三角形状を有し、入射面16Aと平行に設けられる。透過面16Eには、ARコートが備えられる。
【0037】
光分岐素子16は、光源12から出射されるレーザー光の光軸Lと同軸上に配置される。光源12から出たレーザー光は、ビームスプリッター14を透過して、光分岐素子16の入射面16Aの中央に垂直に入射する。入射面16Aに入射したレーザー光は、中央部分の光が透過面16Eを透過する。そして、残り(周辺部分の光)が反射面16B、16C、16Dで反射して、入射方向に180度折り返される。透過面16Eを透過する光が測定光、反射面16B、16C、16Dで入射方向に折り返される光が参照光とされる。測定光と参照光とは、互いに同軸上を逆方向に伝播する。
【0038】
このように、光分岐素子16は、一部を直進させて透過し、残りを元来た方向に反射することにより、入射したレーザー光を測定光と参照光とに分岐する。このため、光源12から出射するレーザー光は、反射光(参照光)を得るのに十分なビーム径とされる。
【0039】
ターゲット18は、図1に示すように、光源12から出射されるレーザー光の光軸Lと同軸上に配置される。ターゲット18は、CCPで構成され、図示しない移動体に設置される。この移動体は、光源12から出射されるレーザー光の光軸Lに沿って前後移動可能に設けられる。ターゲット18は、光分岐素子16から出射する測定光を元来た方向に反射する。
【0040】
ターゲット18で反射した測定光は、元来た光路を伝播し、光分岐素子16の透過面16Eに入射する。そして、光分岐素子16を通って参照光とともにビームスプリッター14に入射する。
【0041】
図5は、光分岐素子とビームスプリッターとの間の光路を伝播する測定光及び参照光の概念図である。
【0042】
図5に示すように、光分岐素子16とビームスプリッター14との間の光路を伝播する測定光L1及び参照光L2は、参照光L2が測定光L1を包む形で伝播する。したがって、同じ光路を伝播しても、測定光L1及び参照光L2は、ほぼ交わることなく光分岐素子16とビームスプリッター14との間の光路を伝播する。
【0043】
光検出器20は、ビームスプリッター14で反射した測定光及び参照光を受光し、その強度を検出する。光検出器20は、ビームスプリッター14で反射した測定光及び参照光の光路上に配置され、一定位置に固定して設置される。
【0044】
集光レンズ22は、ビームスプリッター14と光検出器20との間に配置され、一定位置に固定して設置される。集光レンズ22は、ビームスプリッター14から出射された測定光及び参照光を集光して、光検出器20に入射する。測定光及び参照光は、集光レンズ22で集光されることにより合成される。これにより、測定光及び参照光の干渉光が生成される。したがって、光検出器20では、測定光と参照光との干渉光の強度が検出される。
【0045】
測長部24は、光検出器20から出力される干渉信号を解析し、ターゲット18の変位量を測長する。測長部24は、コンピュータで構成される。コンピュータは、所定の測長プログラムを実行することにより、測長部として機能する。
【0046】
〈作用〉
光源12から出射されたレーザー光は、ビームスプリッター14を透過し、光分岐素子16に入射する。光分岐素子16に入射したレーザー光は、一部(中央部分の光)が測定光として透過面16Eを透過し、残りが参照光として元来た方向に180度折り返される。
【0047】
透過面16Eを透過した測定光は、そのまま直進してターゲット18に入射する。そして、ターゲット18で元来た方向に折り返されて、再び光分岐素子16に入射する。
【0048】
光分岐素子16に入射した測定光は、参照光とともにビームスプリッター14に入射し、光検出器20に向けて出射される。測定光及び参照光は、集光レンズ22で集光されて、光検出器20に入射する。測定光及び参照光は、集光レンズ22で集光されることにより合成される。これにより、測定光と参照光との干渉光が生成される。したがって、光検出器20には、測定光と参照光との干渉光が入射される。
【0049】
光検出器20は、干渉光の強度を検出する。測長部24は、光検出器20の検出出力に基づいて、ターゲット18の変位量を測長する。
【0050】
本実施の形態の干渉計10によれば、測定光と参照光とが同軸上を伝播するため、外乱の影響を受けにくい構成にできる。これにより、高精度な測定が可能になる。
【0051】
また、測定光の光路と参照光の光路とが同軸上に配置されるため、コンパクトな構成にできる。
【0052】
さらに、光分岐素子16が、光源12からのレーザー光を反射する部分に関して、コーナーキューブと同じ構造を有することにより、組み立ても容易にできる。すなわち、光源12からのレーザー光を反射する部分(参照光を分離する部分)が、コーナーキューブと同じ構造であることにより、仮に光分岐素子16がレーザー光の光軸に対して傾いて設置された場合であっても、常に参照光をレーザー光の光軸と同軸方向に反射させることができる。これにより、光分岐素子16の設置精度をラフにでき、装置の組み立てを容易にできる。また、径年変化にも頑強な構成にできる。
【0053】
《第2の実施の形態》
〈構成〉
図6は、本発明に係る干渉計の第2の実施の形態の概略構成図である。
【0054】
図6に示すように、本実施の形態の干渉計100は、光源112、光伝播部114、光分岐素子116、ターゲット118、光検出器120、集光レンズ122、及び、測長部124を備えて構成される。
【0055】
光源112は、単一波長のレーザー光を出射する。光源112は、一定位置に固定して設置される。
【0056】
光伝播部114は、光源112から出射されるレーザー光を集光レンズ122に伝播し、かつ、集光レンズ122から出射される干渉光を光検出器120に伝播する。光伝播部114は、光サーキュレーター126と、第1の光ファイバー128と、第2の光ファイバー130と、第3の光ファイバー132と、を備えて構成される。
【0057】
光サーキュレーター126は、第1ポート126A、第2ポート126B、及び、第3ポート126Cの3つのポートを備え、第1ポート126Aに入射する光を第2ポート126Bから出射する。また、第2ポート126Bに入射する光を第3ポート126Cから出射する。
【0058】
第1の光ファイバー128は、光サーキュレーター126の第1ポート126Aに接続される。第1の光ファイバー128は、光源112から出射するレーザー光を第1ポート126Aに伝播する。
【0059】
第2の光ファイバー130は、光サーキュレーター126の第2ポート126Bに接続される。第2の光ファイバー130は、第2ポート126Bから出射するレーザー光を伝播し、ファイバー端から出射する。また、ファイバー端に入射する光を第2ポート126Bに伝播する。
【0060】
第3の光ファイバー132は、光サーキュレーター126の第3ポート126Cに接続される。第3の光ファイバー132は、第3ポートから出射する光を光検出器120に伝播する。
【0061】
第2の光ファイバー130のファイバー端は、一定位置に固定して設置される。第2の光ファイバー130のファイバー端から出射するレーザー光は、集光レンズ122を介して光分岐素子116に入射する。集光レンズ122は、第2の光ファイバー130のファイバー端から出射するレーザー光の光軸Lと同軸上に配置される。
【0062】
光分岐素子116は、第2の光ファイバー130のファイバー端から出射するレーザー光の光軸Lと同軸上に配置される。光分岐素子116は、一定位置に固定して設置される。光分岐素子116の構成は、上述した第1の実施の形態の干渉計10の光分岐素子16と同じである。
【0063】
光分岐素子116に入射したレーザー光は、一部が透過面を透過し、残りが反射面を反射して元来た方向に180度折り返される。透過面を透過した光が測定光、元来た方向に折り返される光が参照光とされる。
【0064】
ターゲット118は、第2の光ファイバー130のファイバー端から出射するレーザー光の光軸Lと同軸上に配置される。ターゲット118は、CCPで構成され、図示しない移動体に設置される。この移動体は、第2の光ファイバー130のファイバー端から出射するレーザー光の光軸Lに沿って前後移動可能に設けられる。ターゲット118は、光分岐素子116から出射する測定光を元来た方向に反射する。
【0065】
ターゲット118で反射した測定光は、元来た光路を伝播し、光分岐素子116の透過面に入射する。そして、光分岐素子116を通って参照光とともに集光レンズ122に入射する。
【0066】
集光レンズ122は、測定光及び参照光を集光して、第2の光ファイバー130のファイバー端に入射する。測定光及び参照光は、集光レンズ22で集光されることにより合成される。これにより、測定光及び参照光の干渉光が生成される。したがって、第2の光ファイバー130のファイバー端には、測定光と参照光との干渉光が入射する。
【0067】
第2の光ファイバー130のファイバー端に入射した干渉光は、第2の光ファイバー130を伝播して光サーキュレーター126の第2ポート126Bに入射する。第2ポート126Bに入射した干渉光は、第3ポート126Cから出射して第3の光ファイバー132に入射する。そして、第3の光ファイバー132を伝播して、光検出器120に入射する。
【0068】
光検出器120は、入射した干渉光の強度を検出する。測長部124は、光検出器120の検出出力に基づいて、ターゲット118の変位量を測長する。
【0069】
〈作用〉
光源12から出射されたレーザー光は、第1の光ファイバー128を伝播して、光サーキュレーター126の第1ポート126Aに入射する。第1ポート126Aに入射したレーザー光は、第2ポート126Bから出射して第2の光ファイバー130に入射する。第2の光ファイバー130に入射したレーザー光は、第2の光ファイバー130を伝播して、第2の光ファイバー130のファイバー端から出射する。第2の光ファイバー130のファイバー端から出射したレーザー光は、集光レンズ122を介して光分岐素子116に入射する。
【0070】
光分岐素子116に入射したレーザー光は、一部(中央部分の光)が測定光として透過面を透過し、残り(周辺部分の光)が参照光として元来た方向に180度折り返される。
【0071】
透過面を透過した測定光は、そのまま直進してターゲット118に入射する。そして、ターゲット118で元来た方向に折り返されて、再び光分岐素子116に入射する。
【0072】
光分岐素子116に入射した測定光は、参照光とともに集光レンズ122に入射する。そして、集光レンズ122で集光されて、第2の光ファイバー130のファイバー端に入射する。測定光及び参照光は、集光レンズ122で集光されることにより合成される。これにより、測定光と参照光との干渉光が生成される。そして、この干渉光が、第2の光ファイバー130のファイバー端に入射する。
【0073】
第2の光ファイバー130のファイバー端に入射した干渉光は、第2の光ファイバー130を伝播して光サーキュレーター126の第2ポート126Bに入射する。第2ポート126Bに入射した干渉光は、第3ポート126Cから出射して第3の光ファイバー132に入射する。そして、第3の光ファイバー132を伝播して、光検出器120に入射する。光検出器120は、入射した干渉光の強度を検出する。測長部124は、光検出器120の検出出力に基づいて、ターゲット118の変位量を測長する。
【0074】
本実施の形態の干渉計100においても、測定光と参照光とが同軸上を伝播するため、外乱の影響を受けにくい構成にできる。これにより、高精度な測定が可能になる。
【0075】
また、測定光の光路と参照光の光路とが同軸上に配置されるため、コンパクトな構成にできる。
【0076】
さらに、光分岐素子116が、光源12からのレーザー光を反射する部分に関して、コーナーキューブと同じ構造を有することにより、組み立ても容易にできる。
【0077】
また、本実施の形態の干渉計100によれば、光源112と測定部(集光レンズ122と光分岐素子116とターゲット118とを含む構成要素)、光検出器120と測定部、光源112と光検出器120を相互に分離できるので、レイアウトの自由度を向上できる。
【0078】
《第3の実施の形態》
〈構成〉
図7は、本発明に係る干渉計の第3の実施の形態の概略構成図である。
【0079】
図7に示すように、本実施の形態の干渉計200は、光源212、光伝播部214、光分岐素子216、ターゲット218、光検出器220、集光レンズ222、及び、測長部224を備えて構成される。
【0080】
本実施の形態の干渉計200は、光分岐素子216及びターゲット218の構成が、上述した第2の実施の形態の干渉計100と相違する。光源212、光伝播部214、光検出器220、集光レンズ222、及び、測長部224の構成については、上述した第2の実施の形態の干渉計100の光源112、光伝播部114、光検出器120、集光レンズ122、及び、測長部124の構成と同じなので、ここでは、光分岐素子216及びターゲット218の構成についてのみ説明する。
【0081】
図8は、本実施の形態の干渉計で使用する光分岐素子の側面図である。
【0082】
本実施の形態の光分岐素子216も頂点が切除された構造のCCPで構成されるが、頂部が凸レンズ面で構成される点で上記第1及び第2の実施の形態の光分岐素子と相違する。
【0083】
図8に示すように、光分岐素子216は、入射面216Aと、3つの反射面216B、216C、216Dと、透過面216Eと、を備えて構成される。そして、頂部を構成する透過面216Eが、凸レンズ面で構成される。
【0084】
入射面216Aに入射したレーザー光は、中央部分の光が透過面216Eを測定光として透過し、残りが参照光として反射面216B、216C、216Dで入射方向に反射される。
【0085】
ここで、透過面216Eを透過する測定光は、透過面216Eが凸レンズ面で構成されることにより、集光されてターゲット218に照射される。これにより、ターゲット218に対して効率よく測定光を照射できる。
【0086】
図7に示すように、ターゲット218は、矩形状の板状片で構成される。ターゲット218は、照射面218Aを有する。照射面218Aは、粗面で構成される。ターゲット218は、図示しない移動体に設けられる。移動体は、測定光の光軸に沿って前後移動可能に設けられる。測定光は、ターゲット218の照射面218Aの中央に垂直に入射する。
【0087】
〈作用〉
光分岐素子216の入射面216Aに入射したレーザー光は、一部(中央部分の光)が測定光として透過面216Eを透過し、残り(周辺部分の光)が参照光として元来た方向に180度折り返される。
【0088】
ここで、本実施の形態の光分岐素子216は、透過面216Eが凸レンズ面で構成されている。このため、透過面216Eを透過する測定光は、集光されてターゲット218の照射面218Aに照射される。
【0089】
ターゲット218の照射面218Aに照射された測定光は、散乱光となり、その散乱光の一部が光分岐素子216の透過面216Eに入射する。光分岐素子216の透過面216Eに入射した測定光の散乱光は、参照光とともに光分岐素子216の入射面216Aから出射し、集光レンズ222に入射する。
【0090】
集光レンズ222に入射した測定光及び参照光は、集光レンズ222で集光されることにより合成される。これにより、測定光と参照光との干渉光が生成される。
【0091】
本実施の形態の干渉計200によれば、光分岐素子216の頂部が凸レンズ面で構成されることにより、ターゲット218に対して効率よく測定光を照射できる。これにより、ターゲット218をCCPで構成せずに済み、構成を更に簡素化できる。
【0092】
本実施の形態では、第2の実施の形態の干渉計100の光分岐素子及びターゲットを変更した場合を例に説明したが、第1の実施の形態の干渉計10の光分岐素子及びターゲットを本実施の形態の光分岐素子及びターゲットに変更した場合も同様の作用効果を奏することができる。
【0093】
《その他の実施の形態》
〈光分岐素子のその他の形態〉
上記実施の形態では、CCPを利用して光分岐素子を構成しているが、光分岐素子は、その他の構造のコーナーキューブを利用して構成することもできる。たとえば、3枚の反射ミラーを直角に組み合わせた構造のコーナーキューブを利用して構成することもできる。
【0094】
また、光分岐素子の頂部のサイズ(透過面のサイズ)は、光分岐素子に入射するレーザー光のビーム径に応じて適宜設定される。すなわち、本発明の光分岐素子は、光分岐素子に入射した光の一部を頂部から透過させて、測定光と参照光とに分岐するので、頂部は入射面に入射した光の一部のみを透過するサイズに設定される。
【0095】
一例として、光の強度分布がI(r)=I0exp(-2r2/w02)と表される標準的なガウシアンビームを考える。ここで、Iは光強度、I0は全強度を示す定数、rは光軸からの半径、w0は光強度が1/e2となる半径(ガウシアンビーム半径)である。
【0096】
このとき、光強度が半分となる半径は0.59w0と計算される。そのため半径w0の光ビームを使用する際には、頂部のサイズ(透過面の面積)を半径0.59w0の円と等しい面積にすることで参照光と測定光との比(参照光:測定光)を50:50にすることができる。
【0097】
また、必要に応じて頂部のサイズを変更した光分岐素子を用いることで任意の分岐比を得ることができる。
【0098】
〈ターゲットのその他の形態〉
ターゲットについては、CCPに限らず、反射ミラーで構成することもできる。
【0099】
〈干渉計の構造〉
上記実施の形態では、一般的な単一波長干渉計に本発明を適用した場合を例に説明したが、本発明の適用は、これに限定されるものではない。この他、たとえば、多波長干渉計(光源の波長を走査することにより複数波長による合成波長を用いて光路差を求める干渉計)などにも適用できる。
【0100】
また、上記実施の形態では、移動体に備えられたターゲットに測定光を照射して、ターゲットの変位量を測定する場合を例に説明したが、測定光を測定対象物に直接照射して、その距離や変位量を測定する場合にも同様に適用できる。
【符号の説明】
【0101】
10…干渉計、12…光源、14…ビームスプリッター、16…光分岐素子、16A…入射面、16B…反射面、16C…反射面、16C…反射面、16E…透過面、18…ターゲット、20…光検出器、22…集光レンズ、24…測長部、100…干渉計、112…光源、114…光伝播部、116…光分岐素子、118…ターゲット、120…光検出器、122…集光レンズ、124…測長部、126…光サーキュレーター、126A…第1ポート、126B…第2ポート、126C…第3ポート、128…第1の光ファイバー、130…第2の光ファイバー、132…第3の光ファイバー、200…干渉計、212…光源、214…光伝播部、216…光分岐素子、216A…入射面、216B…反射面、216C…反射面、216D…反射面、216E…透過面、218…ターゲット、218A…照射面、220…光検出器、222…集光レンズ、224…測長部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8