特許第6411270号(P6411270)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6411270非水電解液用添加剤、非水電解液、及び、蓄電デバイス
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  • 特許6411270-非水電解液用添加剤、非水電解液、及び、蓄電デバイス 図000017
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6411270
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】非水電解液用添加剤、非水電解液、及び、蓄電デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0567 20100101AFI20181015BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20181015BHJP
   H01G 11/64 20130101ALI20181015BHJP
【FI】
   H01M10/0567
   H01M10/052
   H01G11/64
【請求項の数】8
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-72768(P2015-72768)
(22)【出願日】2015年3月31日
(65)【公開番号】特開2016-192362(P2016-192362A)
(43)【公開日】2016年11月10日
【審査請求日】2017年12月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000195661
【氏名又は名称】住友精化株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100140578
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 英樹
(72)【発明者】
【氏名】河野 佑軌
(72)【発明者】
【氏名】藤田 浩司
(72)【発明者】
【氏名】高井 恭幸
【審査官】 神野 将志
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第103078139(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0308564(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0088160(US,A1)
【文献】 特開2014−127682(JP,A)
【文献】 特開2014−194872(JP,A)
【文献】 特表2010−506373(JP,A)
【文献】 特開2014−127354(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/023719(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0020266(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/052、10/0567
H01G 11/64
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される化合物を含む、非水電解液用添加剤。
【化1】

[式(1)中、Xは硫黄原子、窒素原子及びZとともに環状基を形成する基を示し、Zはスルホニル基又はカルボニル基を示し、Rは置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、置換されていてもよい炭素数2〜4のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換されていてもよいヘテロアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数2〜4のアルケニルオキシ基、又は、置換されていてもよいアミノ基を示す。]
【請求項2】
下記式(2)で表される化合物を含む、非水電解液用添加剤。
【化2】

[式(2)中、Xは硫黄原子及び窒素原子とともに環状基を形成する基を示し、R10は置換されていてもよい炭素数2〜4のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換されていてもよいヘテロアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数2〜4のアルケニルオキシ基、又は、置換されていてもよいアミノ基を示す。]
【請求項3】
請求項1又は2に記載の非水電解液用添加剤、非水溶媒、及び電解質を含有する、非水電解液。
【請求項4】
前記非水溶媒が非プロトン性溶媒である、請求項3に記載の非水電解液。
【請求項5】
前記電解質がリチウム塩を含む、請求項3又は4に記載の非水電解液。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれか一項に記載の非水電解液と、正極及び負極と、を備える、蓄電デバイス。
【請求項7】
請求項3〜5のいずれか一項に記載の非水電解液と、正極及び負極と、を備える、リチウムイオン電池。
【請求項8】
請求項3〜5のいずれか一項に記載の非水電解液と、正極及び負極と、を備える、リチウムイオンキャパシタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水電解液用添加剤、非水電解液、及び蓄電デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題の解決、持続可能な循環型社会の実現に対する関心が高まるにつれ、リチウムイオン電池に代表される非水電解液二次電池の研究が広範囲に行われている。リチウムイオン電池は、高い使用電圧とエネルギー密度を有していることから、ノート型パソコン、携帯電話等の電源として用いられている。リチウムイオン電池は、鉛電池及びニッケルカドミウム電池と比較して高いエネルギー密度を有していることから、電池の高容量化の実現が期待されている。
【0003】
しかし、リチウムイオン電池は、充放電サイクルの経過に伴って電池の容量が低下するという問題を有している。容量低下の要因は、例えば、長期間の充放電サイクルに伴って、電極反応による電解液の分解、電極活物質層への電解質の含浸性の低下、更にはリチウムイオンのインターカレーション効率の低下が生じることにあると考えられている。
【0004】
充放電サイクルに伴う電池の容量低下を抑制する方法として、電解液に各種添加剤を加える方法が検討されている。添加剤は、一般に、最初の充放電時に分解され、電極表面上に固体電解質界面(SEI)と呼ばれる被膜を形成する。最初の充放電サイクルにおいてSEIが形成されるため、その後の充放電において、電解液の分解に電気が消費されることを抑制しながら、リチウムイオンがSEIを介して電極を行き来することができる。すなわち、SEIの形成が、充放電サイクルを繰り返したときの二次電池の劣化を抑制し、電池特性、保存特性及び負荷特性等を向上させることに大きな役割を果たすと考えられている。
【0005】
電解液用添加剤として、例えば、特許文献1〜3には環状モノスルホン酸エステル、特許文献4には含硫黄芳香族化合物、特許文献5にはジスルフィド化合物、特許文献6〜9にはジスルホン酸エステルがそれぞれ開示されている。また、特許文献10〜15は環状炭酸エステル又は環状スルホン、特許文献16は含窒素環状基及び電子吸引性基を有する化合物、特許文献17はスルホン酸アミド基を含む化合物を含有する電解液を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭63−102173号公報
【特許文献2】特開2000−003724号公報
【特許文献3】特開平11−339850号公報
【特許文献4】特開平05−258753号公報
【特許文献5】特開2001−052735号公報
【特許文献6】特開2009−038018号公報
【特許文献7】特開2005−203341号公報
【特許文献8】特開2004−281325号公報
【特許文献9】特開2005−228631号公報
【特許文献10】特開平04−87156号公報
【特許文献11】特開平10−50342号公報
【特許文献12】特開平08−45545号公報
【特許文献13】特開2001−6729号公報
【特許文献14】特開昭63−102173号公報
【特許文献15】特開平05−74486号公報
【特許文献16】特開2014−127354号公報
【特許文献17】特開2014−194866号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Geun−Chang,Hyung−Jin kim,Seung−ll Yu,Song−Hui Jun,Jong−Wook Choi,Myung−Hwan Kim.Journal of The Electrochemical Society,147,12,4391(2000)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
LUMOエネルギーが低い化合物は、優れた電子受容体であり、非水電解液二次電池等の電極表面上に安定なSEIを形成し得ると考えられている(例えば、非特許文献1)。
【0009】
特許文献1〜9に開示される化合物等の従来の添加剤のいくつかは、低いLUMOエネルギーを示すものの、それらは化学的に不安定であり、水分及び温度の影響で劣化し易いという問題を有していた。例えば、ジスルホン酸エステル化合物は低いLUMOエネルギーを示すものの、水分に対する安定性が低く容易に劣化するため、長期間保管する場合には、厳密な水分含有量及び温度の管理を必要とする。一般的にリチウムイオン電池では約60℃、リチウムイオンキャパシタでは約80℃の耐熱温度が求められていることから、蓄電デバイスに用いられる非水電解液用添加剤の高温での安定性の向上は、重要な課題の1つであった。
【0010】
また、従来の添加剤を含有する電解液の場合、充放電サイクルを繰り返しながら長期に亘って蓄電デバイスを使用したときに、蓄電デバイスの電池特性が低下し易いため、サイクル特性の点で更なる改善が求められていた。
【0011】
特許文献10〜14に記載されている電解液は、電気化学的還元分解によって負極表面上に生成するSEIによって、不可逆的な容量低下をある程度抑制することができる。しかし、これらの電解液中の添加剤によって形成されたSEIは、電極を保護する性能に優れるものの、長期間の使用に耐えるための強度の点で十分でなかった。そのため、蓄電デバイスの使用中にSEIが分解したり、SEIに亀裂が生じたりすることによって負極表面が露出し、電解液溶媒の分解が生じて電池特性が低下するといった問題があった。特許文献15に記載されるビニレンカーボネート系の化合物を添加剤として用いた電解液は、ビニレンカーボネートが電極上で分解された際に、二酸化炭素を初めとするガスを発生し、電池性能の低下につながるといった問題を有していた。ガス発生は、高温、または長期に亘る充放電サイクルを繰り返したときに特に顕著である。
【0012】
このように、非水電解液用添加剤に関して、保存安定性、充放電サイクルを繰り返したときに性能を維持するサイクル特性、又はガス発生の抑制の点で、更なる改善の余地があった。
【0013】
そこで、本発明の主な目的は、高い保存安定性を有するとともに、蓄電デバイスに関して、サイクル特性の改善及びガス発生の抑制を可能とする、非水電解液用添加剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、特定の部分構造を含む化合物が、低いLUMOエネルギーを示し、かつ、化学的に安定であることを見出した。さらに本発明者らは、係る化合物を非水電解液用添加剤として用いたときに、優れたサイクル特性が得られるとともに、ガス発生が抑制されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0015】
すなわち、本発明の一側面は、下記式(1)で表される化合物を含む、非水電解液用添加剤を提供する。
【0016】
【化1】
【0017】
式(1)中、Xは硫黄原子、窒素原子及びZとともに環状基を形成する基を示し、Zはスルホニル基又はカルボニル基を示し、Rは置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、置換されていてもよい炭素数2〜4のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換されていてもよいヘテロアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数2〜4のアルケニルオキシ基、又は、置換されていてもよいアミノ基を示す。
【0018】
式(1)で表される化合物は、窒素原子並びにこれに結合したスルホニル基及びZ(スルホニル基又はカルボニル基)を含む環状構造を有し、しかもその窒素原子にカルボニル基が更に結合していることから、電気化学的還元によって開環し、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等を含む極性基を多数含有するSEIを形成すると考えられる。このような極性基を多数含有しているSEIは、優れたイオン伝導度を示すとともに、長期間の使用に耐える十分な強度を有すると考えられる。
【0019】
本発明の他の側面は、下記式(2)で表される化合物を含む、非水電解液用添加剤を提供する。
【0020】
【化2】
【0021】
式(2)中、Xは硫黄原子及び窒素原子とともに環状基を形成する基を示し、R10は置換されていてもよい炭素数2〜4のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換されていてもよいヘテロアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数2〜4のアルケニルオキシ基、又は、置換されていてもよいアミノ基を示す。
【0022】
式(2)で表される化合物は、窒素原子及びこれに結合したスルホニル基を含む環状構造を有し、しかもその窒素原子にカルボニル基が更に結合していることから、電気化学的還元によって開環し、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等を含む極性基を多数含有するSEIを形成すると考えられる。このような極性基を多数含有しているSEIは、優れたイオン伝導度を示すとともに、長期間の使用に耐える十分な強度を有すると考えられる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、高い保存安定性を有するとともに、蓄電デバイスに関して、サイクル特性の改善及びガス発生の抑制を可能とする、非水電解液用添加剤が提供される。いくつかの実施形態に係る非水電解液用添加剤は、非水電解液二次電池、電気二重層キャパシタ等の蓄電デバイスに用いた場合に、電極表面上に安定なSEI(固体電解質界面)を形成してサイクル特性、充放電容量、内部抵抗等の電池特性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】蓄電デバイスの一実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0026】
本実施形態に係る非水電解液用添加剤は、下記式(1)で表される化合物を1種又は2種以上含む。
【0027】
【化3】
【0028】
式(1)中、Xは硫黄原子、窒素原子及びZとともに環状基を形成する基を示し、Zはスルホニル基又はカルボニル基を示す。Xが形成する環状基は置換されていてもよい。この環状基は、4〜6員環であってもよく、2個以上の環を含む縮合環であってもよい。
【0029】
式(1)の化合物の具体例は、下記式(1a)、(1b)又は(1c)で表される化合物を含む。これら化合物によれば、サイクル特性及び内部抵抗等の点で特に優れた効果が得られる。
【0030】
【化4】
【0031】
式(1a)、(1b)及び(1c)中、R、R及びRは、置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、置換されていてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、又はハロゲン原子を示す。なかでも、入手性および反応性等の観点から、R、R及びRは、置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、置換されていてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基、又は、ハロゲン原子であってもよい。
【0032】
mは0〜4の整数を示し、nは0〜2の整数を示し、oは0〜4の整数を示す。m、n及びoが2以上の整数であるとき、複数のR、R及びRはそれぞれ異なっていてもよい。
【0033】
入手性、反応性等の観点から、mは0又は1であってもよく、nは0又は1であってもよく、oは0又は1であってもよい。入手性、反応性等の観点から、m、n及びoは0であってもよい。
【0034】
oが1であるとき、Rの置換位置は、例えば、4位である。oが2であるとき、Rの置換位置は、例えば、4位及び5位である。
【0035】
、R又はRとしての置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基の具体例は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、及びt−ブチル基を含む。なかでも、入手性や反応性等の観点から、R〜Rはメチル基であってもよい。
【0036】
、R又はRとしての置換されていてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基の具体例は、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、及びn−ブトキシ基を含む。なかでも、入手性や反応性等の観点から、R〜Rはメトキシ基であってもよい。
【0037】
、R又はRとしてのハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であってもよい。なかでも、入手性や反応性等の観点から、R〜Rはフッ素原子であってもよい。
【0038】
式(1)、及び式(1a)〜(1c)中のRは、置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、置換されていてもよい炭素数2〜4のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換されていてもよいヘテロアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数2〜4のアルケニルオキシ基、又は、置換されていてもよいアミノ基を示す。なかでも、イオン伝導性に優れるSEIを形成できることから、Rは、置換されていてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換されていてもよいヘテロアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数2〜4のアルケニルオキシ基、又は、置換されていてもよいアミノ基であってもよい。
【0039】
本実施形態に係る非水電解液用添加剤の他の形態は、下記式(2)で表される化合物を1種又は2種以上含む。
【0040】
【化5】
【0041】
式(2)中、Xは硫黄原子及び窒素原子とともに環状基を形成する基を示す。Xが形成する環状基は置換されていてもよい。この環状基は、4〜6員環であってもよく、2個以上の環を含む縮合環であってもよい。
【0042】
式(2)中のR10は置換されていてもよい炭素数2〜4のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換されていてもよいヘテロアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数2〜4のアルケニルオキシ基、又は、置換されていてもよいアミノ基を示す。
【0043】
としての置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基の具体例は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、トリフルオロメチル基、1,1−ジクロロエチル基、及び置換されていてもよいベンジル基を含む。置換されていてもよいベンジル基は、例えば、ベンジル基、2−メチルベンジル基、3−メチルベンジル基、4−メチルベンジル基、2−エチルベンジル基、3−エチルベンジル基、4−エチルベンジル基、2−メトキシベンジル基、3−メトキシベンジル基、4−メトキシベンジル基、2−エトキシベンジル基、3−エトキシベンジル基、4−エトキシベンジル基、2−(ジメチルアミノ)ベンジル基、3−(ジメチルアミノ)ベンジル基、4−(ジメチルアミノ)ベンジル基、2−フルオロベンジル基、3−フルオロベンジル基、4−フルオロベンジル基、2−クロロベンジル基、3−クロロベンジル基、4−クロロベンジル基、2−ブロモベンジル基、3−ブロモベンジル基、又は4−ブロモベンジル基であってもよい。
【0044】
及びR10としての置換されていてもよい炭素数2〜4のアルケニル基の具体例は、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、イソブテニル基及び1、1―ジフルオロ−1−プロピニル基を含む。なかでも、Rはアリル基であってもよい。
【0045】
及びR10としての置換されていてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基の具体例は、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、トリフルオロメトキシ基、トリクロロメトキシ基、及び置換されていてもよいベンジルオキシ基を含む。置換されていてもよいベンジルオキシ基は、例えば、ベンジルオキシ基、2−メチルベンジルオキシ基、3−メチルベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、2−エチルベンジルオキシ基、3−エチルベンジルオキシ基、4−エチルベンジルオキシ基、2−メトキシベンジルオキシ基、3−メトキシベンジルオキシ基、4−メトキシベンジルオキシ基、2−エトキシベンジルオキシ基、3−エトキシベンジルオキシ基、4−エトキシベンジルオキシ基、2−(ジメチルアミノ)ベンジルオキシ基、3−(ジメチルアミノ)ベンジルオキシ基、4−(ジメチルアミノ)ベンジルオキシ基、2−フルオロベンジルオキシ基、3−フルオロベンジルオキシ基、4−フルオロベンジルオキシ基、2−クロロベンジルオキシ基、3−クロロベンジルオキシ基、4−クロロベンジルオキシ基、2−ブロモベンジルオキシ基、3−ブロモベンジルオキシ基、又は4−ブロモベンジルオキシ基であってもよい。
【0046】
及びR10としての置換されていてもよいアリール基又はヘテロアリール基の具体例は、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、4−エチルフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−エトキシフェニル基、3−エトキシフェニル基、4−エトキシフェニル基、2−(ジメチルアミノ)フェニル基、3−(ジメチルアミノ)フェニル基、4−(ジメチルアミノ)フェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、3−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、フリル基、チエニル基、ピリジル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、及びキノリル基を含む。なかでも、電気化学的還元を受けやすい低いLUMOエネルギーを示すこと等から、Rは、フェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、又は4−フルオロフェニル基であってもよい。
【0047】
及びR10としての置換されていてもよいアリールオキシ基又はヘテロアリールオキシ基の具体例は、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2−エチルフェノキシ基、3−エチルフェノキシ基、4−エチルフェノキシ基、2−メトキシフェノキシ基、3−メトキシフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、2−エトキシフェノキシ基、3−エトキシフェノキシ基、4−エトキシフェノキシ基、2−(ジメチルアミノ)フェノキシ基、3−(ジメチルアミノ)フェノキシ基、4−(ジメチルアミノ)フェノキシ基、2−フルオロフェノキシ基、3−フルオロフェノキシ基、4−フルオロフェノキシ基、2−クロロフェノキシ基、3−クロロフェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、2−ブロモフェノキシ基、3−ブロモフェノキシ基、4−ブロモフェノキシ基、フリルオキシ基、チエニルオキシ基、ピリジルオキシ基、オキサゾリルオキシ基、イミダゾリルオキシ基、及びキノリルオキシ基を含む。
【0048】
及びR10としての置換されていてもよいアルケニルオキシ基の具体例は、2−プロペニルオキシ基、1−メチル−2−プロペニルオキシ基、2−メチル−2−プロペニルオキシ基、2−ブテニルオキシ基、3−ブテニルオキシ基、2−へキセニルオキシ基、及び5−ヘキセニルオキシ基を含む。
【0049】
及びR10としての置換されていてもよいアミノ基は、例えば下記式(10)で表すことができる。
【化6】
【0050】
式(10)中、R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、置換されていてもよい炭素数2〜4のアルケニル基、置換されていてもよいアリール基、又は置換されていてもよいヘテロアリール基を示し、R11及びR12は互いに結合して2価の基を形成していてもよい。
【0051】
11又はR12としての置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアリール基、及び置換されていてもよいヘテロアリール基は、Rに関して例示されたものと同様のものであってもよい。R11及びR12の具体例は、メチル基、エチル基、n−ブチル基、アリル基、フェニル基、及びベンジル基を含む。式(10)で表されるアミノ基の具体例は、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n−ブチルメチルアミノ基、アリルアミノ基、ジフェニルアミノ基、及びジベンジルアミノ基を含む。
【0052】
〜R、及びR10〜R12がアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、又はアルケニルオキシ基であるとき、これらに結合し得る置換基は、例えば、ハロゲン原子、アミノ基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、ヘテロアリール基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、炭素数2〜4のアルケニルオキシ基から選ばれる。置換基がハロゲン原子、特にフッ素原子であると、LUMOエネルギーが低くなる傾向がある。
【0053】
〜R、及びR10〜R12がベンジル基又はベンジルオキシ基であるとき、これらに結合し得る置換基は、例えば、ハロゲン原子、アミノ基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、ヘテロアリール基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、炭素数2〜4のアルケニルオキシ基から選ばれる。置換基がハロゲン原子、特にフッ素原子であると、LUMOエネルギーが低くなる傾向がある。
【0054】
式(1c)において、Zがカルボニル基であり、Rが置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、置換されていてもよい炭素数2〜4のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換されていてもよいヘテロアリールオキシ基、又は、置換されていてもよい炭素数2〜4のアルケニルオキシ基であり、Rが置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、置換されていてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基、又は、ハロゲン原子であり、oが0〜4の整数である化合物の具体例は、N−ベンゾイルサッカリン、N−フェノキシカルボニルサッカリン、N−アセチルサッカリン、N−メトキシカルボニルサッカリン、N−プロパノイルサッカリン、N−エトキシカルボニルサッカリン、N−ブタノイルサッカリン、N−プロポキシカルボニルサッカリン、2−ベンゾイル−4−メチルサッカリン、2−フェノキシカルボニル−4−メチルサッカリン、2−アセチル−4−メチルサッカリン、2−メトキシカルボニル−4−メチルサッカリン、2−プロパノイル−4−メチルサッカリン、2−エトキシカルボニル−4−メチルサッカリン、2−ブタノイル−4−メチルサッカリン、2−プロポキシカルボニル−4−メチルサッカリン、2−ベンゾイル−5−メチルサッカリン、2−フェノキシカルボニル−5−メチルサッカリン、2−アセチル−5−メチルサッカリン、2−メトキシカルボニル−5−メチルサッカリン、2−プロパノイル−5−メチルサッカリン、2−エトキシカルボニル−5−メチルサッカリン、2−ブタノイル−5−メチルサッカリン、及び2−プロポキシカルボニル−5−メチルサッカリンを含む。
【0055】
式(1)及び式(2)の化合物は、電気化学的還元を受けやすい低いLUMOエネルギーを示すため、これらを非水電解液用添加剤として含有する非水電解液は、非水電解液二次電池等の蓄電デバイスに用いられたときに、電極表面上に安定なSEIを形成してサイクル特性、充放電容量、内部抵抗等の電池特性を改善することができる。また、式(1)及び式(2)の化合物は、水分及び温度変化に対して安定であるため、これを含む添加剤及び非水電解液は、長期間、室温で保存することが可能である。
【0056】
式(1)又は式(2)で表される化合物の最低空分子軌道(LUMO)エネルギーは、−3.0eV以上であってもよく、0.0eV以下であってもよい。LUMOエネルギーが−3.0eV以上であると、化合物の過剰な分解によって負極上に高い抵抗を示すSEIが形成されることを回避しやすい。LUMOエネルギーが0.0eV以下であると、負極表面により安定なSEIをより容易に形成することができる。同様の観点から、LUMOエネルギーは−2.9eV以上であってもよく、−0.5eV以下であってもよい。当業者であれば、式(1)又は式(2)で定義される化合物の範囲内で、これら数値範囲内のLUMOエネルギーを示す化合物を過度の試行錯誤なく見出すことができる。
【0057】
本明細書において、「最低空分子軌道(LUMO)エネルギー」は、半経験的分子軌道計算法であるPM3と密度汎関数法であるB3LYP法とを組み合わせて算出される値である。具体的には、LUMOエネルギーは、Gaussian03(Revision B.03、米ガウシアン社製ソフトウェア)を用いて算出することができる。
【0058】
当業者は、式(1)又は式(2)の化合物を、入手可能な原料を用い、通常の反応を組み合わせて合成することができる。例えば、式(1)又は式(2)の化合物は、対応する環状化合物にハロゲン化物を反応させる方法によって、合成することができる。
【0059】
式(1c)において、oが0であり、Zがカルボニル基であり、Rがフェノキシ基である化合物(N−フェノキシカルボニルサッカリン)を製造する場合の具体例を以下に示す。まず、有機溶媒にサッカリン及びトリエチルアミンを溶解させ、次いで、クロロ蟻酸フェニルを滴下し、室温で2時間撹拌する。その後、得られた反応物を水で洗浄し、結晶化させ、濾過することで、目的の化合物を得ることができる。
【0060】
本実施形態に係る非水電解液用添加剤は、式(1)又は式(2)の化合物の他に、SEI形成に寄与し得る化合物等の、他の成分を含んでいてもよい。あるいは、式(1)又は式(2)の化合物自体を非水電解液用添加剤として用いてもよい。本実施形態に係る非水電解液用添加剤は、本発明が奏する効果を損なわない範囲内で、他の一般的な成分を含んでいてもよい。他の一般的な成分としては、例えば、ビニレンカーボネート(VC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、1,3−プロパンスルトン(PS)、負極保護剤、正極保護剤、難燃剤、過充電防止剤等が挙げられる。
【0061】
本実施形態に係る非水電解液は、上記非水電解液用添加剤、非水溶媒、及び電解質を含有する。この非水電解液における非水電解液用添加剤(又は式(1)若しくは式(2)の化合物)の含有量は、非水電解液の全質量を基準として、0.005質量%以上であってもよいし、10質量%以下であってもよい。この含有量が0.005質量%以上であると、電極表面での電気化学反応によって安定なSEIが充分に形成され易くなる。この含有量が10質量%以下であると、非水電解液用添加剤を非水溶媒に容易に溶解させることができる。また、非水電解液用添加剤の含有量を過度に多くしないことにより、非水電解液の粘度上昇を抑制して、イオンの移動度を特に容易に確保することができる。イオンの移動度が充分に確保されないと、非水電解液の導電性等を充分に確保することができず、蓄電デバイスの充放電特性等に支障をきたすおそれがある。同様の観点から、非水電解液用添加剤(又は式(1)若しくは式(2)の化合物)の含有量の下限は0.01質量%であってもよい。
【0062】
非水電解液は、2種以上の非水電解液用添加剤(SEIを形成する2種以上の化合物)を含んでいてもよい。この場合、非水電解液用添加剤の合計の含有量は、非水電解液の全質量を基準として、0.005質量%以上であってもよく、10質量%以下であってもよい。他の添加剤としては、例えば、ビニレンカーボネート(VC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、及び1,3−プロパンスルトン(PS)等がある。
【0063】
非水溶媒としては、得られる非水電解液の粘度を低く抑える等の観点から、非プロトン性溶媒を選択することができる。非プロトン性溶媒は、環状カーボネート、鎖状カーボネート、脂肪族カルボン酸エステル、ラクトン、ラクタム、環状エーテル、鎖状エーテル、スルホン、ニトリル、及び、これらのハロゲン誘導体からなる群より選択される少なくとも1種であってもよい。なかでも、環状カーボネート、及び/又は鎖状カーボネートを選択することができる。
【0064】
環状カーボネートとしては、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレンが挙げられる。鎖状カーボネートとしては、例えば、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチルが挙げられる。脂肪族カルボン酸エステルとしては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチルが挙げられる。ラクトンとしては、例えば、γ−ブチロラクトンが挙げられる。ラクタムとしては、例えば、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドンが挙げられる。環状エーテルとしては、例えば、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソランが挙げられる。鎖状エーテルとしては、例えば、1,2−ジエトキシエタン、エトキシメトキシエタンが挙げられる。ニトリルとしては、例えば、アセトニトリルが挙げられる。スルホンとしては、例えば、スルホランが挙げられる。ハロゲン誘導体としては、例えば、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンが挙げられる。これらの非水溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの非水溶媒は、例えば、リチウムイオン電池等の非水電解液二次電池、リチウムイオンキャパシタ等の電気二重層キャパシタに特に適している。
【0065】
非水電解液を構成する電解質は、リチウムイオンのイオン源となるリチウム塩であってもよい。なかでも、電解質は、LiAlCl、LiBF、LiPF、LiClO、LiAsF、及び、LiSbFからなる群より選択される少なくとも1種であってもよい。解離度が高く電解液のイオン伝導度を高めることができ、さらには耐酸化還元特性により長期間使用による蓄電デバイスの性能劣化を抑制する作用がある等の観点から、LiBF及び/又はLiPFを選択してもよい。これらの電解質は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。LiBF及びLiPFは、非水溶媒として、環状カーボネート及び鎖状カーボネートをそれぞれ1種以上と組み合わせることができる。特に、LiBF及び/又はLiPFと、炭酸エチレン及び炭酸ジエチルとを組み合わせてもよい。
【0066】
非水電解液における電解質の濃度は、0.1mol/L以上であってもよく、2.0mol/L以下であってもよい。電解質の濃度が0.1mol/L以上であると、非水電解液の導電性等を充分に確保しやすい。そのため、蓄電デバイスの安定した放電特性及び充電特性が得られ易い。電解質の濃度が2.0mol/L以下であると、非水電解液の粘度上昇を抑制して、イオンの移動度を特に容易に確保することができる。イオンの移動度が充分に確保されないと、電解液の導電性等を充分に確保することができず、蓄電デバイスの充放電特性等に支障をきたすおそれがある。同様の観点から、電解質の濃度は0.5mol/L以上であってもよく、1.5mol/L以下であってもよい。
【0067】
本実施形態に係る蓄電デバイスは、上記非水電解液と、正極及び負極とから主として構成される。蓄電デバイスの具体例は、非水電解液二次電池(リチウムイオン電池等)及び電気二重層キャパシタ(リチウムイオンキャパシタ等)を含む。本実施形態に係る非水電解液は、リチウムイオン電池、及びリチウムイオンキャパシタの用途において特に効果的である。
【0068】
図1は、蓄電デバイスの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示す蓄電デバイス1は、非水電解液二次電池である。蓄電デバイス1は、正極板4(正極)と、正極板4と対向する負極板7(負極)と、正極板4と負極板7との間に配置された非水電解液8と、非水電解液8中に設けられたセパレータ9と、を備える。正極板4は、正極集電体2とその非水電解液8側に設けられた正極活物質層3とを有する。負極板7は、負極集電体5と非水電解液8側に設けられた負極活物質層6とを有する。非水電解液8として、上述の実施形態に係る非水電解液を用いることができる。図1では、蓄電デバイスとして非水電解液二次電池を示したが、当該非水電解液が適用され得る蓄電デバイスはこれに限定されることはなく、電気二重層キャパシタ等のその他の蓄電デバイスであってもよい。
【0069】
正極集電体2及び負極集電体5は、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、及びステンレス等の金属からなる金属箔であってもよい。
【0070】
正極活物質層3は正極活物質を含む。正極活物質は、リチウム含有複合酸化物であってもよい。リチウム含有複合酸化物の具体例は、LiMnO、LiFeO、LiCoO、LiMn、LiFeSiO、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、及びLiFePOを含む。
【0071】
負極活物質層6は負極活物質を含む。負極活物質は、例えば、リチウムを吸蔵、放出することができる材料であってもよい。このような材料の具体例は、黒鉛及び非晶質炭素等の炭素材料、酸化インジウム、酸化シリコン、酸化スズ、酸化亜鉛及び酸化リチウム等の酸化物材料を含む。負極活物質は、リチウム金属、又は、リチウムと合金を形成することができる金属材料であってもよい。リチウムと合金を形成することができる金属の具体例は、Cu、Sn、Si、Co、Mn、Fe、Sb、及びAgを含む。これらの金属と、リチウムとを含む2元又は3元からなる合金を負極活物質として用いることもできる。これらの負極活物質は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0072】
セパレータ9は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂等からなる多孔質フィルムであってもよい。
【0073】
蓄電デバイスを構成する各部材の形状、厚み等の具体的な形態は、当業者であれば適宜設定することができる。蓄電デバイスの構成は、図1の実施形態に限られず、適宜変更が可能である。
【実施例】
【0074】
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0075】
[実施例1〜10、比較例1〜9]
1.非水電解液の調製
(実施例1)
炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)とを、EC:DEC=30:70の体積比で混合して、混合非水溶媒を準備し、これに電解質としてLiPFを1.0mol/Lの濃度となるように溶解した。得られた溶液に、表1に示した化合物1を非水電解液用添加剤として添加し、非水電解液を調製した。非水電解液用添加剤(化合物1)の含有割合は、非水電解液の全質量に対して0.5質量%とした。
【0076】
(実施例2)
化合物1の含有割合を1.0質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして非水電解液を調製した。
【0077】
(実施例3)
非水電解液用添加剤を化合物1から表1に示した化合物2に変更し、その含有割合を1.0質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、非水電解液を調製した。
【0078】
(実施例4)
非水電解液用添加剤を化合物1から表1に示した化合物3に変更し、その含有割合を1.0質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、非水電解液を調製した。
【0079】
(実施例5)
非水電解液用添加剤を化合物1から表1に示した化合物4に変更し、その含有割合を1.0質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、非水電解液を調製した。
【0080】
(実施例6)
非水電解液用添加剤を化合物1から表1に示した化合物5に変更し、その含有割合を1.0質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、非水電解液を調製した。
【0081】
(実施例7)
非水電解液用添加剤を化合物1から表1に示した化合物6に変更し、その含有割合を1.0質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、非水電解液を調製した。
【0082】
(実施例8)
非水電解液用添加剤を化合物1から表1に示した化合物7に変更し、その含有割合を1.0質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、非水電解液を調製した。
【0083】
(実施例9)
非水電解液用添加剤を化合物1から表1に示した化合物8に変更し、その含有割合を1.0質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、非水電解液を調製した。
【0084】
(実施例10)
非水電解液用添加剤を化合物1から表1に示した化合物9に変更し、その含有割合を1.0質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、非水電解液を調製した。
【0085】
(比較例1)
化合物1を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして、非水電解液を調製した。
【0086】
(比較例2)
非水電解液用添加剤を化合物1から1,3−プロパンスルトンに変更し、その含有割合を1.0質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、非水電解液を調製した。
【0087】
(比較例3)
非水電解液用添加剤を化合物1からビニレンカーボネート(VC)に変更し、その含有割合を1.0質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、非水電解液を調製した。
【0088】
(比較例4)
ビニレンカーボネート(VC)の含有割合を2.0質量%としたこと以外は比較例3と同様にして、非水電解液を調製した。
【0089】
(比較例5)
非水電解液用添加剤を化合物1からフルオロエチレンカーボネート(FEC)に変更し、その含有割合を1.0質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、非水電解液を調製した。
【0090】
(比較例6)
フルオロエチレンカーボネート(FEC)の含有割合を2.0質量%としたこと以外は比較例5と同様にして非水電解液を調製した。
【0091】
(比較例7)
非水電解液用添加剤を化合物1から表1に示した化合物10に変更し、その含有割合を1.0質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、非水電解液を調製した。
【0092】
(比較例8)
非水電解液用添加剤を化合物1から表1に示した化合物11に変更し、その含有割合を1.0質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、非水電解液を調製した。
【0093】
(比較例9)
非水電解液用添加剤を化合物1から表1に示した化合物12に変更し、その含有割合を1.0質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、非水電解液を調製した。
【0094】
2.評価
(LUMOエネルギーの測定)
実施例で用いた化合物1〜9のLUMO(最低空分子軌道)エネルギーを、Gaussian03ソフトウェアにより、半経験的分子軌道計算により求めた。算出されたLUMOエネルギーを表1に示した。
【0095】
【表1】
【0096】
(安定性)
実施例で用いた化合物1〜9、及び、比較例5、6で用いたフルオロエチレンカーボネート(FEC)を、温度40±2℃、湿度75±5%の恒温恒湿環境下で90日間放置する保存試験に供した。保存試験前後の各非水電解液用添加剤のH−核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)を測定し、以下の基準で各化合物の安定性を評価した。表2は安定性の評価結果を示す。
○:保存試験前後でH−NMRスペクトルのピーク変化がなかった。
△:保存試験前後でH−NMRスペクトルのわずかなピーク変化が確認された。
×:保存試験前後でH−NMRスペクトルの明らかなピーク変化が確認された。
【0097】
【表2】
【0098】
表2に示したように、比較例5、6で用いたフルオロエチレンカーボネート(FEC)は、一部加水分解されていると考えられ、安定性が劣るものであった。一方、実施例で用いた化合物1〜9は、ほとんど変化が見られず、優れた安定性を示した。
【0099】
(正極の作製)
正極活物質としてのコバルト酸リチウム(LiCoO2)と、導電性付与剤としてのカーボンブラックとを乾式混合した。得られた混合物を、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を溶解させたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に均一に分散させ、スラリーを作製した。得られたスラリーをアルミ金属箔(角型、厚さ20μm)の両面に塗布した。塗膜を乾燥してNMPを除去した後、全体をプレスして、正極集電体としてのアルミ金属箔と、その両面上に形成された正極活物質層とを有する正極シートを得た。正極シートの正極活物質層における固形分比率は、質量比で、正極活物質:導電性付与剤:PVDF=90:5:5とした。
【0100】
(負極の作製)
負極活物質としてのグラファイト粉末と、導電性付与剤としてのカーボンブラックとを乾式混合した。得られた混合物を、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を溶解させたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に均一に分散させ、スラリーを作製した。得られたスラリーを銅箔(角型、厚さ10μm)の片面に塗布した。塗膜を乾燥してNMPを除去した後、全体をプレスして、負極集電体としての銅箔と、その片面上に形成された負極活物質層とを有する負極シートを得た。負極シートの負極活物質層における固形分比率は、質量比で、負極活物質:導電性付与剤:PVDF=93:3:4とした。
【0101】
(非水電解液二次電池の作製)
実施例及び比較例で得られた各非水電解液中にて、負極シート、ポリエチレン製のセパレータ、正極シート、ポリエチレン製のセパレータ、負極シートの順に積層して、電池要素を作成した。この電池要素を、アルミニウム(厚さ40μm)とその両面を被覆する樹脂層とを有するラミネートフィルムから形成された袋に、正極シート及び負極シートの端部が袋から突き出るように挿入した。次いで、実施例及び比較例で得られた各非水電解液を袋内に注入した。袋を真空封止し、シート状の非水電解液二次電池を得た。更に、電極間の密着性を高めるために、ガラス板でシート状非水電解液二次電池を挟んで加圧した。
【0102】
(放電容量維持率及び内部抵抗比の評価)
非水電解液二次電池を、25℃において、0.2Cに相当する電流で4.2Vまで充電し、その後、0.2Cに相当する電流で3Vまで放電する操作を2サイクル繰り返して、電池を安定させた。
次いで、充電レートを0.3C、放電レートを0.3C、充電終止電圧を4.2V、及び、放電終止電圧を2.5Vとして充放電サイクル試験を行った。表3は、各電池に関して、200サイクル後の放電容量維持率(%)と200サイクル後の内部抵抗比を示す。
「200サイクル後の放電容量維持率(%)」とは、200サイクル試験後の放電容量(mAh)の、10サイクル試験後の放電容量(mAh)に対する割合(百分率)である。また、「200サイクル後の内部抵抗比」とは、サイクル試験前の抵抗を1としたときの、200サイクル試験後の抵抗の相対値である。
【0103】
(ガス発生量の測定)
サイクル試験に用いた電池とは別に、実施例及び比較例の各電解液を含む同様の構成の非水電解液二次電池を準備した。この電池を25℃において、0.2Cに相当する電流で4.2Vまで充電し、その後、0.2Cに相当する電流で3Vまで放電する操作を2サイクル繰り返して、電池を安定させた。
次いで、充電レートを0.3Cとして再度、電池を4.2Vまで充電した後、電池を60℃の環境下に168時間、放置した。その後、電池を室温まで冷却した。放置後の電池におけるガス発生量を、アルキメデス法により測定した。結果を表3に示した。
【0104】
【表3】
【0105】
表3から、式(1)及び式(2)の化合物である化合物1〜9を含む各実施例の非水電解液を用いた非水電解液二次電池は、比較例の非水電解液を用いた非水電解液二次電池と比較して、サイクル試験時における放電容量維持率と、充電にともなう保存ガス発生の抑制の両方の点で優れていることが分かる。これは、式(1)及び式(2)の化合物が、非水電解液二次電池に用いられたときに、充放電サイクル、及び高温保存に対して安定なSEIを形成することを強く示唆している。また、式(1)及び式(2)の化合物は、充放電サイクルによる内部抵抗の増加が少ない点でも、優れていることが確認された。
【0106】
[実施例11〜20、比較例10〜19]
1.非水電解液の調製
(実施例11)
炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)とを、EC:DEC=30:70の体積比で混合して、混合非水溶媒を準備し、これに電解質としてLiPFを1.0mol/Lの濃度となるように溶解した。得られた溶液に、表4に示した化合物13を非水電解液用添加剤として添加し、非水電解液を調製した。非水電解液用添加剤(化合物13)の含有割合は、非水電解液の全質量に対して1.0質量%とした。
【0107】
(実施例12)
非水電解液用添加剤を化合物13から表4に示した化合物14に変更したこと以外は実施例11と同様にして、非水電解液を調製した。
【0108】
(実施例13)
非水電解液用添加剤を化合物13から表4に示した化合物15に変更したこと以外は実施例11と同様にして、非水電解液を調製した。
【0109】
(実施例14)
非水電解液用添加剤を化合物13から表4に示した化合物16に変更したこと以外は実施例11と同様にして、非水電解液を調製した。
【0110】
(実施例15)
非水電解液用添加剤を化合物13から表4に示した化合物17に変更したこと以外は実施例11と同様にして、非水電解液を調製した。
【0111】
(比較例10)
化合物13を添加しなかったこと以外は実施例11と同様にして、非水電解液を調製した。
【0112】
(比較例11)
非水電解液用添加剤を化合物13から1,3−プロパンスルトンに変更したこと以外は実施例11と同様にして、非水電解液を調製した。
【0113】
(比較例12)
非水電解液用添加剤を化合物13からビニレンカーボネート(VC)に変更したこと以外は実施例11と同様にして、非水電解液を調製した。
【0114】
(比較例13)
ビニレンカーボネート(VC)の含有割合を2.0質量%としたこと以外は比較例12と同様にして、非水電解液を調製した。
【0115】
(比較例14)
非水電解液用添加剤を化合物13からフルオロエチレンカーボネート(FEC)に変更したこと以外は実施例11と同様にして、非水電解液を調製した。
【0116】
(比較例15)
フルオロエチレンカーボネート(FEC)の含有割合を2.0質量%としたこと以外は比較例14と同様にして、非水電解液を調製した。
【0117】
(比較例16)
非水電解液用添加剤を化合物13からサッカリンに変更したこと以外は実施例11と同様にして、非水電解液を調製した。
【0118】
2.評価
(LUMOエネルギーの計算)
実施例で用いた化合物13〜17のLUMO(最低空分子軌道)エネルギーを、Gaussian03ソフトウェアにより、半経験的分子軌道計算により求めた。算出されたLUMOエネルギーを表4に示した。
【0119】
【表4】
【0120】
(安定性)
実施例で用いた化合物13〜17、及び、比較例14、15で用いたフルオロエチレンカーボネート(FEC)を、温度40±2℃、湿度75±5%の恒温恒湿環境下で90日間放置する保存試験に供した。保存試験前後の各非水電解液用添加剤のH−核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)を測定し、以下の基準で各化合物の安定性を評価した。表5は安定性の評価結果を示す。
○:保存試験前後でH−NMRスペクトルのピーク変化がなかった。
△:保存試験前後でH−NMRスペクトルのわずかなピーク変化が確認された。
×:保存試験前後でH−NMRスペクトルの明らかなピーク変化が確認された。
【0121】
【表5】
【0122】
表5に示したように、比較例14、15で用いたフルオロエチレンカーボネート(FEC)は、一部加水分解されていると考えられ、安定性が劣るものであった。一方、実施例で用いた化合物13〜17は、ほとんど変化が見られず、優れた安定性を示した。
【0123】
(正極の作製)
正極活物質としてのLiMnと、導電性付与剤としてのカーボンブラックとを乾式混合した。得られた混合物を、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を溶解させたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に均一に分散させ、スラリーを作製した。得られたスラリーをアルミ金属箔(角型、厚さ20μm)の両面に塗布した。塗膜を乾燥してNMPを除去した後、全体をプレスして、正極集電体としてのアルミ金属箔と、その両面上に形成された正極活物質層とを有する正極シートを得た。正極シートの正極活物質層における固形分比率は、質量比で、正極活物質:導電性付与剤:PVDF=80:10:10とした。
【0124】
(負極の準備)
負極シートとして、市販の黒鉛塗布電極シート(宝泉社製、商品名:電極シート負極単層)を準備した。
【0125】
(非水電解液二次電池の作製)
実施例及び比較例で得られた各非水電解液中にて、負極シート、ポリエチレン製のセパレータ、正極シート、ポリエチレン製のセパレータ、負極シートの順に積層して、電池要素を作成した。この電池要素を、アルミニウム(厚さ40μm)とその両面を被覆する樹脂層を有するラミネートフィルムから形成された袋に、正極シート及び負極シートの端部が袋から突き出るように挿入した。次いで、実施例及び比較例で得られた各非水電解液を袋内に注入した。袋を真空封止し、シート状の非水電解液二次電池を得た。更に、電極間の密着性を高めるために、ガラス板でシート状非水電解液二次電池を挟んで加圧した。
【0126】
(放電容量維持率及び内部抵抗比の評価)
非水電解液二次電池を、25℃において、0.2Cに相当する電流で4.2Vまで充電し、その後、0.2Cに相当する電流で3Vまで放電する操作を2サイクル繰り返して、電池を安定させた。
次いで、充電レートを0.3C、放電レートを0.3C、充電終止電圧を4.2V、及び、放電終止電圧を2.5Vとして充放電サイクル試験を行った。表6は、各電池に関して、200サイクル後の放電容量維持率(%)と200サイクル後の内部抵抗比を示す。
「200サイクル後の放電容量維持率(%)」とは、200サイクル試験後の放電容量(mAh)の、10サイクル試験後の放電容量(mAh)に対する割合(百分率)である。また、「200サイクル後の内部抵抗比」とは、サイクル試験前の抵抗を1としたときの、200サイクル試験後の抵抗の相対値である。
【0127】
【表6】
【0128】
(ガス発生量の測定)
サイクル試験に用いた電池とは別に、実施例11〜15並びに比較例1、14及び12の各電解液を含む同様の構成の非水電解液二次電池を準備した。この電池を25℃において、0.2Cに相当する電流で4.2Vまで充電し、その後、0.2Cに相当する電流で3Vまで放電する操作を2サイクル繰り返して、電池を安定させた。
次いで、充電レートを0.3Cとして再度、電池を4.2Vまで充電した後、電池を60℃の環境下に168時間、放置した。その後、電池を室温まで冷却した。放置後の電池におけるガス発生量を、アルキメデス法により測定した。実施例11〜15並びに比較例1、14及び12の電解液を含む非水電解液二次電池に関する結果を、それぞれ実施例16〜20及び比較例17〜19として表7に示した。
【0129】
【表7】
【0130】
表6及び表7から、式(1)及び式(2)の化合物である化合物13〜17を含む各実施例の非水電解液を用いた非水電解液二次電池は、比較例の非水電解液を用いた非水電解液二次電池と比較して、サイクル試験時における放電容量維持率と、充電にともなう保存ガス発生の抑制の両方の点で優れていることが分かる。これは、式(1)及び式(2)の化合物が、非水電解液二次電池に用いられたときに、充放電サイクル、及び高温保存に対して安定なSEIを形成することを強く示唆している。また、式(1)及び式(2)の化合物は、充放電サイクルによる内部抵抗の増加が少ない点でも、優れていることが確認された。
【符号の説明】
【0131】
1…蓄電デバイス(非水電解液二次電池)、2…正極集電体、3…正極活物質層、4…正極板、5…負極集電体、6…負極活物質層、7…負極板、8…非水電解液、9…セパレータ。
図1