特許第6411675号(P6411675)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6411675堆積速度を測定するための方法及び堆積速度制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6411675
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】堆積速度を測定するための方法及び堆積速度制御システム
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/24 20060101AFI20181015BHJP
   C23C 14/52 20060101ALI20181015BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20181015BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20181015BHJP
【FI】
   C23C14/24 U
   C23C14/24 A
   C23C14/52
   H05B33/14 A
   H05B33/10
【請求項の数】15
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-557378(P2017-557378)
(86)(22)【出願日】2015年6月17日
(65)【公表番号】特表2018-519415(P2018-519415A)
(43)【公表日】2018年7月19日
(86)【国際出願番号】EP2015063636
(87)【国際公開番号】WO2016202387
(87)【国際公開日】20161222
【審査請求日】2018年1月9日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ディエゲス−カンポ, ホセ マヌエル
(72)【発明者】
【氏名】ランドグラフ, ハイケ
(72)【発明者】
【氏名】コック, トーマス
(72)【発明者】
【氏名】バンゲルト, シュテファン
【審査官】 若土 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−185344(JP,A)
【文献】 特開2007−039762(JP,A)
【文献】 特開平04−034891(JP,A)
【文献】 特開平11−222670(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0316788(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0133387(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0306803(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00−14/58
H01L 27/32
H05B 33/00−33/28
H01L 51/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸発材料の堆積速度を測定するための方法(100)であって、
第1の測定と第2の測定との間の時間間隔で前記堆積速度を測定すること(110)であって、前記時間間隔は、前記第1の測定の終了時から前記第2の測定の開始時までの時間で定義される、測定することと、
測定された前記堆積速度に依存して前記時間間隔を調節すること(120)と
を含む測定方法(100)。
【請求項2】
測定された前記堆積速度への前記依存が、前記堆積速度の関数である、請求項1に記載の測定方法(100)。
【請求項3】
測定された前記堆積速度の関数は、前記堆積速度の傾き、所定の範囲内にある前記堆積速度のブール決定、測定された前記堆積速度の所定の堆積速度の公称/設定値に対する差の多項式関数、及び測定された前記堆積速度の発振関数から成る群から選択される、請求項1又は2に記載の測定方法(100)。
【請求項4】
前記第1の測定と前記第2の測定との間に、堆積速度測定デバイスを蒸発材料から遮蔽すること(130)を更に含む、請求項1から3の何れか一項に記載の測定方法(100)。
【請求項5】
前記遮蔽すること(130)が、前記堆積速度測定デバイス(211)と、前記蒸発材料を前記堆積速度測定デバイス(211)に供給するための測定出口(230)との間でシャッター(213)を移動させることを含む、請求項4に記載の測定方法(100)。
【請求項6】
前記第1の測定と前記第2の測定との間に、堆積速度測定デバイス(211)を堆積材料から洗浄すること(140)を更に含む、請求項1から5の何れか一項に記載の測定方法(100)。
【請求項7】
前記洗浄すること(140)が、前記堆積材料を前記堆積速度測定デバイス(211)から蒸発させることを含む、請求項6に記載の測定方法(100)。
【請求項8】
前記堆積材料を前記堆積速度測定デバイス(211)から蒸発させることが、前記堆積速度測定デバイスを加熱することによって実行される、請求項7に記載の測定方法(100)。
【請求項9】
蒸発材料の堆積速度を測定するための堆積速度測定アセンブリ(210)と、
前記堆積速度測定アセンブリ(210)及び蒸発源(300)に結合されたコントローラ(220)と
を備え、前記コントローラが、制御信号を前記堆積速度測定アセンブリ(210)に提供するように構成されており、
前記コントローラが、プログラムコードを実行するように構成されており、前記プログラムコードが実行されると、請求項1から8に記載の方法が実行される、堆積速度制御システム(200)。
【請求項10】
前記コントローラ(220)が、前記堆積速度を制御するための少なくとも1つの比例積分微分(PID)コントローラを含む閉ループ制御を含む、請求項9に記載の堆積速度制御システム(200)。
【請求項11】
前記堆積速度測定アセンブリ(210)が、前記堆積速度を測定するための発振水晶(212)を含む堆積速度測定デバイス(211)を備える、請求項9又は10に記載の堆積速度制御システム(200)。
【請求項12】
前記堆積速度測定アセンブリ(210)が、蒸発材料を堆積速度測定デバイス(211)に供給するための測定出口(230)から供給された前記蒸発材料から前記堆積速度測定デバイス(211)を遮蔽するための可動シャッター(213)を備える、請求項9から11の何れか一項に記載の堆積速度制御システム(200)。
【請求項13】
前記堆積速度測定アセンブリ(210)が、堆積速度測定デバイス(211)の上に堆積した材料が蒸発する温度まで、前記堆積速度測定デバイス(211)を加熱するための少なくとも1つの加熱要素(214)を備える、請求項9から12の何れか一項に記載の堆積速度制御システム(200)。
【請求項14】
材料を蒸発させるように構成されている蒸発るつぼ(310)と、
堆積速度で蒸発材料を基板に供給するための分配管の長さに沿って設けられた一又は複数の出口を有する分配管(320)であって、前記蒸発るつぼ(310)と流体連通している分配管(320)と
請求項9から13の何れか一項に記載の堆積速度制御システム(200)と
を備える、材料蒸発のための蒸発源(300)。
【請求項15】
請求項14に記載の少なくとも1つの蒸発源(300)を備える、堆積速度で真空チャンバ(410)の中の基板(444)に材料を塗布するための堆積装置(400)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蒸発材料の堆積速度を制御するための方法、堆積速度制御システム及び材料蒸発のための蒸発源に関する。本開示は、特に、蒸発した有機材料の堆積速度を制御するための方法及び制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
有機蒸発器は、有機発光ダイオード(OLED)製造のためのツールである。OLEDは、特殊な発光ダイオードであり、その中で発光層がある有機化合物の薄膜を含んでいる。有機発光ダイオード(OLED)は、情報を表示するためのテレビ画面、コンピュータモニタ、携帯電話、その他の携帯型デバイスなどの製造時に使用される。OLEDは、一般的な空間照明にも使用することができる。OLEDディスプレイで可能な色、輝度、及び視野角の範囲は、OLEDピクセルが直接発光し、バックライトを含んでいないので、従来のLCDディスプレイの範囲よりも大きい。したがって、OLEDディスプレイのエネルギー消費は、従来のLCDディスプレイのエネルギー消費よりもかなり少ない。更に、実際、OLEDは、フレキシブル基板上に製造することができ、更なる用途がもたらされる。
【0003】
OLEDの機能性は、有機材料のコーティング厚さ次第で決まる。この厚さは、所定範囲内でなければならない。それゆえにOLEDの製造において、有機材料によるコーティングが影響を受ける堆積速度は、所定の許容範囲内にあるように制御される。換言すれば、有機蒸発器の堆積速度は、製造プロセスにおいて完全に制御されなければならない。
【0004】
したがって、OLED用途だけでなく、他の蒸発処理についても、比較的長い時間にわたって高精度の堆積速度が必要とされる。利用可能な蒸発器の堆積速度を測定するための複数の測定システムがある。しかし、これらの測定システムは、所望の期間にわたって不十分な精度及び/又は不十分な安定性のいずれかを被る。
【0005】
したがって、改良された堆積速度測定方法、堆積速度制御システム、蒸発器及び堆積装置の提供に対する継続的な需要がある。
【発明の概要】
【0006】
上記に鑑み、独立請求項による蒸発材料の堆積速度を測定するための方法、堆積速度制御システム、蒸発源、及び堆積装置が提供される。更なる利点、特徴、態様、及び細部は、従属請求項、本明細書、及び図面から明らかである。
【0007】
本開示の1つの態様によれば、蒸発材料の堆積速度を測定するための方法が提供される。方法は、第1の測定と第2の測定との時間間隔で堆積速度を測定することと、測定された堆積速度に依存して時間間隔を調節することとを含む。
【0008】
本開示の他の態様によれば、堆積速度制御システムが提供される。堆積速度制御システムは、蒸発材料の堆積速度を測定するための堆積速度測定アセンブリと、堆積速度測定アセンブリに結合されたコントローラと、蒸発源とを含み、コントローラは、制御信号を堆積速度測定アセンブリに提供するように構成される。特に、コントローラは、プログラムコードを実行するように構成され、プログラムコードを実行すると、本明細書に記載の実施形態による蒸発材料の堆積速度を測定するための方法が実行される。
【0009】
本開示の更なる態様によれば、材料蒸発のための蒸発源が提供される。蒸発源は、材料を蒸発させるように構成されている蒸発るつぼと、堆積速度で蒸発材料を基板に供給するための分配管の長さに沿って設けられた一又は複数の出口を有する分配管であって、蒸発るつぼと流体連通している分配管と、本明細書に記載の実施形態による堆積速度制御システムとを含む。
【0010】
本開示のさらに別の態様によれば、堆積速度で材料を真空チャンバの中の基板に塗布するための堆積装置が提供される。堆積装置は、本明細書に記載の実施形態による少なくとも1つの蒸発源を含む。
【0011】
本開示はまた、方法を実行するための装置部分を含む開示された方法を実施するための装置も対象にする。方法は、ハードウェア構成要素、適切なソフトウェアによってプログラミングされたコンピュータ、これらの2つの任意の組合せ、又は任意の他の方法で実行され得る。さらに、本開示はまた、記載の装置の操作も対象とする。これは、装置のすべての機能を実施するための方法を含む。
【0012】
本明細書に記載の本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、実施形態を参照することによって、先ほど簡単に概説した本開示のより具体的な説明を得ることができよう。添付の図面は、本開示の実施形態に関連し、以下で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本明細書に記載の実施形態による蒸発材料の堆積速度を測定するための方法を図示するブロック図を示す。
図2】本明細書に記載の実施形態による堆積速度制御システムの概略図を示す。
図3】本明細書に記載の実施形態による堆積速度制御システムの概略図を示す。
図4】本明細書に記載の実施形態による堆積速度制御システムの概略図を示す。
図5】本明細書に記載の堆積速度を測定するための方法の実施形態による堆積速度を測定する概略図を示す。
図6】A及びBは各々、本明細書に記載の蒸発材料の堆積速度を測定するための方法の実施形態を図示するブロック図を示す。
図7】Aは、本明細書に記載の実施形態による第1の状態における測定アセンブリの概略図を示し、Bは、本明細書に記載の実施形態による第2の状態の測定アセンブリの概略側面図を示す。
図8】A及びBは、本明細書に記載の実施形態による蒸発源の概略側面図を示す。
図9】本明細書に記載の実施形態による、真空チャンバの中の基板に材料を塗布するための堆積装置の概略上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここから、本開示の種々の実施形態が詳細に参照されることになり、そのうちの一又は複数の例が図示される。図面に関する以下の説明の中で、同じ参照番号は同じ構成要素を指している。下記において、個々の実施形態に関する違いのみが説明される。各実施例は、本開示の説明のために提供されているが、本開示を限定することが意図されているわけではない。更に、1つの実施形態の一部として図示及び説明されている特徴は、更に別の実施形態を得るために、他の実施形態で用いられてもよく、又は他の実施形態と併用されてもよい。本説明は、このような修正及び改変を含むことが意図されている。
【0015】
本開示において、「堆積速度を測定するための発振水晶」という表現は、発振水晶共振器の周波数における変化を測定することにより、単位面積当たりの発振水晶上の堆積材料の質量変化を測定するための発振水晶と理解され得る。特に、本開示において、発振水晶は、石英水晶共振器と理解され得る。より具体的には、「堆積速度を測定するための発振水晶」は、石英水晶マイクロバランス(QCM)と理解され得る。
【0016】
本開示において、「堆積速度の精度」という表現は、予め選択されたターゲット堆積速度からの実際の堆積速度の偏差、例えば、測定された堆積速度に関する。例えば、予め選択されたターゲット堆積速度から測定された実際の堆積速度の偏差が小さくなればなるほど、堆積速度の精度は高くなる。
【0017】
図1を参照すると、本明細書に記載の実施形態による蒸発材料の堆積速度を測定するための方法100は、第1の測定と第2の測定との時間間隔ΔTで堆積速度を測定すること110と、測定された堆積速度に依存して時間間隔を調節すること120とを含む。特に、測定された堆積速度の依存は、堆積速度の関数であり得る。例えば、第1の測定及び/又は第2の測定は、5分以下、特に3分以下、より具体的には1分以下で実施され得る。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、第1の測定と第2の測定との間の時間間隔ΔTは、50分以下、特に35分以下、より具体的には20分以下に調節され得る。したがって、堆積速度の関数に依存した2つの測定の間の時間間隔を調節することによって、堆積速度の測定精度が増すことがある。特に、堆積速度の関数に依存した2つの測定の間の時間間隔を調節することによって、堆積測定デバイスの寿命が延長されることがある。特に、蒸発材料の堆積速度を測定するための測定デバイスの蒸発材料への露出は、最小値まで低減され、これは、測定デバイスの寿命全体に有益となり得る。
【0018】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、予め選択されたターゲット堆積速度の最初の調節中に、第1の測定と第2の測定との間の時間間隔ΔTは、予め選択されたターゲット堆積速度に到達したときの第1の測定と第2の測定との間の時間間隔ΔTと比較して短くなり得る。例えば、予め選択されたターゲット堆積速度の最初の調節中に、第1の測定と第2の測定との間の時間間隔ΔTは、10分以下、特に5分以下、より具体的には3分以下であり得る。予め選択されたターゲット堆積速度に到達したとき、第1の測定と第2の測定との間の時間間隔ΔTは、10分の下限、特に20分の下限、より具体的には30分の下限と、35分の上限、特に45分の上限、より具体的には50分の上限との間の範囲から選択され得る。特に、予め選択されたターゲット堆積速度に到達したとき、第1の測定と第2の測定との間の時間間隔ΔTは、40分であり得る。
【0019】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、測定された堆積速度の関数は、堆積速度の傾き、所定の範囲内にある堆積速度のブール決定、測定された堆積速度の所定の堆積速度の公称/設定値に対する差の多項式関数、及び測定された堆積速度の発振関数から成る群から選択される。したがって、堆積速度の関数に基づく2つの測定の間の時間間隔ΔTを調節することによって、堆積速度の測定精度が増すことがある。更に、蒸発材料の堆積速度を測定するための測定デバイスの蒸発材料への露出は、最小値まで低減され、これは、測定デバイスの寿命全体に有益となり得る。
【0020】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、第1の測定と第2の測定との間の時間間隔は、堆積速度の予め選択された傾きからの堆積速度の測定された傾きの偏差に依存して調節され得る。とりわけ、5%未満、特に3%未満、より具体的には1.5%未満、例えば1%以下の堆積速度の予め選択された傾きが検出される場合、第1の測定と第2の測定との間の時間間隔は、増加し得る。とりわけ、5%、特に約3%、より具体的には1%を上回る、例えば1.5%の堆積速度の予め選択された傾きから測定された傾きの偏差が検出される場合、第1の測定と第2の測定との間の時間間隔は、減少し得る。
【0021】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、第1の測定と第2の測定との間の時間間隔は、ブール決定に基づき調節され得る。例えば、予め選択されたターゲット堆積速度からの測定された堆積速度の偏差が、予め選択された上限の堆積速度を上回るか予め選択された堆積速度の下限を下回る場合に、第1の測定と第2の測定との間の時間間隔は、減少し得る。例えば、予め選択された上限の堆積速度は、ターゲット堆積速度190の+3%以下、特に+2%以下、より具体的には+1%以下であり得る。特に、予め選択された上限堆積速度は1.5%であり得る。下限堆積速度は、ターゲット堆積速度190の−3%以下(例えば、−2.5%)、特に−2%以下(例えば、−1.5%)、より具体的には−1%以下(例えば、0.75%)であり得る。特に、予め選択された下限堆積速度は−1.5%であり得る。
【0022】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、第1の測定と第2の測定との間の時間間隔は、測定された堆積速度の予め選択された堆積速度の公称/設定値に対する差の多項式関数に基づき調節され得る。例えば、5%未満、特に3%未満(例えば、1.5%未満)、より具体的には1%未満である、予め選択されたターゲット堆積速度から測定された堆積速度に対する関数の多項式関数の偏差が検出される場合、第1の測定と第2の測定との間の時間間隔は増加し得る。したがって、5%、特に約3%、より具体的には1%(例えば、1.5%以上)を上回る、予め選択されたターゲット堆積速度から測定された堆積速度に対する多項式関数の偏差が検出される場合、第1の測定と第2の測定との間の時間間隔は減少し得る。
【0023】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、第1の測定と第2の測定との間の時間間隔は、測定された堆積速度の発振関数に基づき調節され得る。例えば、5%未満、特に3%未満(例えば、1.5%以下)、より具体的には1%未満である予め選択されたターゲット堆積速度から測定された堆積速度に対する発振関数の偏差が検出される場合、第1の測定と第2の測定との間の時間間隔は増加し得る。したがって、5%、特に約3%、より具体的には1%(例えば、1.5%以上)を上回る、予め選択されたターゲット堆積速度から測定された堆積速度に対する発振関数の偏差が検出される場合、第1の測定と第2の測定との間の時間間隔は減少し得る。
【0024】
図2は、本明細書に記載の実施形態による堆積速度制御システム200の概略図を示す。堆積速度制御システム200は、蒸発材料の堆積速度を測定するための堆積速度測定アセンブリ210と、堆積速度測定アセンブリ210及び蒸発源300に結合されたコントローラ220とを含む。本明細書に記載の実施形態によれば、コントローラ220は、制御信号を堆積速度測定アセンブリ210に提供するように構成され得る。特に、コントローラ220は、プログラムコードを実行するように構成され、プログラムコードを実行すると、本明細書に記載の実施形態による堆積速度を測定するための方法が実行される。
【0025】
例えば、コントローラ220から堆積速度測定アセンブリ210に提供される制御信号は、堆積速度の第1の測定と第2の測定との間の時間間隔を調節するためのものであり得る。特に、測定された堆積速度に依存して、第1の測定と第2の測定との間の時間間隔は、増減し得る。例えば、測定された堆積速度が、予め選択された基準、例えば、安定性の基準を満たすように決定される場合、第1の測定と第2の測定との間の時間間隔は、増加し得る。したがって、測定された堆積速度が、予め選択された基準、例えば、安定性の基準を満たさないように決定される場合、第1の測定と第2の測定との間の時間間隔は、増加し得る。
【0026】
図2を参照すると、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、堆積速度測定アセンブリ210は、実際の堆積速度199を測定し得る。測定される実際の堆積速度199のデータは、堆積速度測定アセンブリ210からコントローラ220まで送信される。測定された実際の堆積速度199に依存して、コントローラ220は、堆積速度を調節するための蒸発源300を制御する第1の制御信号125、例えば、堆積源に提供される加熱要素を加熱するための信号及び/又は堆積源に供給される冷却要素を冷却するための信号などを提供し得る。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、コントローラ200は、堆積速度を制御するための少なくとも1つの比例積分微分(PID)コントローラを含む閉ループ制御を含み得る。更に、測定された実際の堆積速度199に依存して、コントローラ220は、2つの測定の間、例えば、図4に示されるように、第1の測定M1と第2の測定M2との間の時間間隔ΔTを調節するための堆積速度測定アセンブリ210に第2の制御信号121を提供し得る。したがって、堆積速度測定アセンブリに制御信号を提供するように構成されているコントローラを含む堆積速度制御システムを提供することによって、蒸発材料の堆積速度を測定するための測定デバイスの蒸発材料への露出は、最小値まで低減され得る。このことは、測定デバイスの寿命全体に有益であり得る。
【0027】
図3に示されるように、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、堆積速度に対して予め選択された値dm/dtが、堆積速度制御システム200に対して定義されてもよい。特に、ターゲット堆積速度190、上限堆積速度191、及び下限堆積速度192が選択されてもよい。例えば、測定された実際の堆積速度199は、図3に示されるように、上限堆積速度191及び下限堆積速度192の範囲にある場合に、選択された堆積速度精度基準を満たすように決定されてもよい。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、上限堆積速度191は、ターゲット堆積速度190の+3%以下、特にターゲット堆積速度190の+2%以下(例えば、1.5%以下)、より具体的にはターゲット堆積速度190の+1%以下であり得る。下限堆積速度192は、ターゲット堆積速度190の−3%以下(例えば、−2.5%)、特にターゲット堆積速度190の−2%以下(例えば、−1.5%)、より具体的にはターゲット堆積速度190の−1%以下(例えば、−0.75%)であり得る。
【0028】
図4を参照すると、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、コントローラ220によって堆積速度測定アセンブリ210に提供される制御信号、例えば、第2の制御信号121は、堆積速度の第1の測定M1と第2の測定M2との間の時間間隔ΔTを調節するためのものであり得る。図4に示されるように、第1の測定M1は、第1の期間で実施され得る。実際の堆積速度199の堆積速度測定データは、堆積速度測定アセンブリ210からコントローラ220まで送信され得る。第1の測定M1における測定された実際の堆積速度199次第で、第1の測定M1と続く測定、例えば、第2の測定M2との間の時間間隔ΔTが決定され得る。例えば、測定された堆積速度が、選択された堆積速度精度基準を満たすように決定される場合、第1の測定M1と続く測定、例えば、第2の測定M2との間の時間間隔ΔTが増加し得る。例えば、第1の測定M1と続く測定との間の時間間隔ΔTは、2つの測定の間、特に2つの続く測定の間の時間間隔の予め設定された値と比較して増加し得る。
【0029】
したがって、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、第2の測定M2と続く測定、例えば、第3の測定との間の時間間隔は、第2の測定M2の測定された実際の堆積速度199次第で決定され得る。例えば、第2の測定M2の測定された堆積速度が、第1の測定M1の測定された堆積速度より正確であると決定される場合、第2の測定M2と続く測定との間の時間間隔が増加し得る。逆に、第2の測定M2の測定された堆積速度が、第1の測定M1の測定された堆積速度より精度が低いと決定される場合、第2の測定M2と続く測定との間の時間間隔が減少し得る。
【0030】
図5において、本明細書に記載の実施形態による堆積速度を測定するための方法を使用して堆積速度を測定する例示的概略図が示されている。とりわけ、図5では、例示的な実際の堆積速度199[dm/dt]が時間tにわたって描写されている。更に、図5は、例示的ターゲット堆積速度190、例示的上限堆積速度191、及び例示的下限堆積速度192を示す。図5に例示的に示されるように、例示的な実際の堆積速度199は、時間tにわたって変化し得る。理想的な場合、実際の堆積速度199は、時間にわたって一定であり、予め選択されたターゲット堆積速度190に対応する。しかしながら、現実には、実際の堆積速度199は、図5に例示的に示されるように、予め選択されたターゲット堆積速度190周囲で発振することがある。したがって、第1の測定と第2の測定との間の時間間隔は、測定された堆積速度に依存して調節され得る。
【0031】
例えば、測定された堆積速度は、予め選択された基準、例えば、安定性の基準に関して特徴付けられ、予め選択された基準が評価されなければならない測定と続く測定との間の時間間隔は、評価の結果次第で調節され得る。例えば、測定された測定の実際の堆積速度199が、以前の測定よりも正確であると評価される場合、続く測定が実施される時間間隔は増加し得る。とりわけ、図5に例示的に示されるように、第2の測定M2の測定された堆積速度は、第1の測定M1と比較してより正確であると決定され、よって続く第3の測定は、第1の時間間隔ΔT1と比較して増加した第2の時間間隔ΔT2で実施される。したがって、図5に例示的に示されるように、測定された測定の実際の堆積速度199が、以前の測定よりも精度が低いと評価される場合、続く測定が実施される時間間隔は減少し得る。とりわけ、図5に例示的に示されるように、第4の測定M4の測定された堆積速度は、第3の測定M3と比較して精度が低いと決定され、よって続く第5の測定M5は、第3の時間間隔ΔT3と比較して減少した第4の時間間隔ΔT4で実施される。
【0032】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる蒸発材料の堆積速度を測定するための方法100の実施形態によれば、方法100は、図6Aのブロック図に例示的に示されるように、第1の測定と第2の測定との間に蒸発材料から堆積速度測定デバイスを遮蔽すること130を含み得る。例えば、遮蔽すること130は、図7A及び図7Bに例示的に示されるように、堆積速度測定デバイス211と、蒸発材料を蒸発速度測定デバイス211に供給するための測定出口230との間でシャッター213を移動させることを含み得る。したがって、堆積速度測定デバイスは、測定と測定との間で蒸発材料から保護され、このことは、堆積速度測定デバイスの寿命全体にとって有益であり得る。
【0033】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる蒸発材料の堆積速度を測定するための方法100の実施形態によれば、方法100は、第1の測定と第2の測定との間に堆積材料の堆積速度測定デバイス211を洗浄すること140を含み得る。とりわけ、洗浄すること140は、堆積速度測定デバイス211の上に堆積した材料を蒸発させることを含み得る。例えば、堆積速度測定デバイス211の上に堆積した材料を蒸発させることは、堆積速度測定デバイスを加熱することによって実行され得る。したがって、測定の間に堆積速度測定デバイスを洗浄することによって、堆積速度測定デバイスの寿命全体が延長され得る。
【0034】
図7A及び図7Bにおいて、本明細書に記載の実施形態による堆積速度制御システムの測定アセンブリの概略図が示されている。とりわけ、本明細書に記載の実施形態による蒸発材料の堆積速度を測定するための堆積速度測定アセンブリ210は、堆積速度を測定するための発振水晶212を含む堆積速度測定デバイス211を含み得る。図7A及び図7Bに例示的に示されるように、堆積速度測定デバイス211は、発振水晶212が配置されるホルダ250を含み得る。ホルダ250は、測定孔122を含み、これは、蒸発材料が、蒸発材料の堆積速度を測定するために発振水晶212の上に堆積するように構成及び配置することができる。
【0035】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、堆積速度測定アセンブリ210は、蒸発材料を堆積速度測定デバイス211に、特に発振水晶212に供給するために、測定出口230から供給された蒸発材料を遮断するためのシャッター230を含み得る。図7A及び図7Bを参照すると、シャッター213は、シャッターの第1の状態からシャッターの第2の状態に移動可能に、例えば、直線的に移動可能に構成され、即ち、シャッターは、可動シャッターとすることができる。代替的には、シャッターは、第1の状態から第2の状態にピボット可能に構成されてもよい。例えば、シャッターの第1の状態は、シャッター213が、図7Aに例示的に示されるように、蒸発材料を発振水晶212に提供するために測定出口230を遮断しない開放状態であり得る。したがって、シャッター213の第2の状態は、シャッター213が測定出口230を遮断し、よって発振水晶212が、図7Bに例示的に示されるように、測定出口230を通って供給される蒸発材料から保護されるような状態であり得る。
【0036】
測定アセンブリにシャッターを設けることによって、測定デバイス、特に発振水晶は、堆積速度測定間に蒸発材料から保護され、堆積速度測定デバイスの寿命全体に有益であり得る。更に、シャッターを使用して第1の測定と第2の測定との間で蒸発材料から堆積速度測定デバイスを遮蔽することによって、測定デバイス上の蒸発材料によって供給される熱のマイナス効果が、低減又は排除さえされることがある。例えば、堆積速度測定の質、精度及び安定性は、本明細書に記載の実施形態によるシャッターで堆積速度測定デバイスを遮蔽することによって増加し得る。
【0037】
図7Bを参照すると、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、シャッター213は、蒸発材料から発振水晶212を保護するための熱保護シールド216を含み得る。図7Bに例示的に示されるように、熱保護シールド216は、測定出口230に面するシャッター213の側面に配置され得る。特に、熱保護シールド216は、測定出口230を通って供給される蒸発材料によって供給される熱エネルギーを反射するように構成され得る。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、熱保護シールド216は、プレート、例えばシート金属であり得る。代替的には、熱保護シールド216は、例えば0.1mm以上の間隙によって、互いに対して間隔が空いている、2以上のプレート、例えばシート金属を含んでいてもよい。例えば、シート金属は、0.1mmから3.0mmの厚さを有していてもよい。とりわけ、熱保護シールドは、鉄材料又は非鉄材料、例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銅合金、アルミニウム合金、黄銅、鉄、チタン(Ti)、セラミック及び他の適した材料から成る群から選択された少なくとも1つを含む。
【0038】
したがって、本明細書に記載の実施形態による熱保護シールドを含む測定アセンブリは、特にシャッターが閉鎖状態にあるときに、蒸発材料の温度、例えば熱から発振水晶を保護するのに有益であり得る。特に、堆積速度測定デバイスは、2つの測定の間に蒸発材料から遮蔽されるときに、冷却され得る。したがって、堆積速度測定デバイスの寿命全体が延長され得る。
【0039】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、堆積速度測定アセンブリ210は、図7A及び図7Bに例示的に示されるように、堆積速度測定デバイス211上に堆積した材料が蒸発する温度まで堆積速度測定デバイス211を加熱するための少なくとも1つの加熱要素214を含み得る。とりわけ、加熱要素214は、例えば、発振水晶212に隣接又は近接するようにホルダ250の中に配置され得る。加熱要素124は、発振水晶及び/又はホルダを加熱するように構成され得る。したがって、堆積速度測定デバイスは、2つの測定の間にインシトゥ(その場)で洗浄され得る。これは、堆積速度測定デバイスの寿命全体及び達成可能な測定精度に有益であり得る。
【0040】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、堆積速度測定アセンブリ210は、熱交換器232を含み得る。とりわけ、熱交換器は、例えば、発振水晶に隣接又は近接して及び/又は加熱要素214に隣接又は近接して、ホルダの中に配置され得る。熱交換器232は、発振水晶と及び/又はホルダ120と及び/又は加熱要素214と熱を交換するように構成され得る。例えば、熱交換器は、冷却流体がそれを通って供給されるチューブを含み得る。冷却流体は、水などの液体、又は空気などの気体であり得る。加えて又は代替的には、熱交換器は、一又は複数のペルチェ素子を含み得る。したがって、測定アセンブリに熱交換器232を設けることによって、堆積速度測定の質、精度及び安定性への高温のマイナス効果は、低減又は排除さえされ得る。とりわけ、測定アセンブリに熱交換器を設けることは、例えば第1の測定と第2の測定との間に、堆積速度測定デバイスから堆積材料を蒸発させるために、測定デバイスが加熱によって洗浄された後に測定デバイスを冷却するのに有益であり得る。
【0041】
図7Bを参照すると、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、堆積速度測定アセンブリ210は、堆積速度測定デバイス211の温度、特に発振水晶212及び/又はホルダ250の温度を測定するための温度センサを含み得る。堆積速度測定アセンブリ210に温度センサ217を設けることによって、測定アセンブリの温度についての情報が得られ、発振水晶が不正確に測定されるような臨界温度が検出され得る。したがって、堆積速度検出デバイス211の臨界温度が温度センサによって検出される場合、例えば、熱交換器を用いることによる冷却が開始されるなどの適切な反応が開始され得る。
【0042】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、堆積速度測定アセンブリ210は、発振水晶212の温度及び/又はホルダ250の温度を制御するための温度制御システムを含み得る。とりわけ、温度制御システムは、一又は複数の温度センサ217、熱交換器232、加熱要素214及びセンサコントローラ233を含み得る。図7Bに例示的に示されるように、センサコントローラ233は、温度センサ217によって測定されたデータを受信するために温度センサ217に結合され得る。更に、センサコントローラ233は、ホルダ250及び/又は発振水晶212の温度を制御するために熱交換器232に結合され得る。更に、センサコントローラ233は、例えば、前述の洗浄中に、ホルダ250及び/又は発振水晶212の加熱温度を制御するために、加熱要素214に結合され得る。
【0043】
図8A及び図Bは、本明細書に記載の実施形態による蒸発源300の概略側面図を示す。実施形態によれば、蒸発源300は、材料、例えば有機材料を蒸発させるように構成されている蒸発るつぼ310を含む。更に、蒸発源300は、図8Bに典型的に示されるように、蒸発材料を提供するための分配管の長さに沿って設けられた一又は複数の出口322を有する分配管320を含む。実施形態によれば、分配管320は、図8Bに典型的に示されるように、例えば、蒸気導管322を介して、蒸発るつぼ310と流体連通している。蒸気導管322は、分配管の中心部分で、又は分配管の下端と分配管の上端との間の別の位置で、分配管320に対して設けることができる。更に、本明細書に記載の実施形態による蒸発源300は、本明細書に記載の実施形態による堆積速度測定アセンブリ210を含む。図8A及び図8Bに例示的に示されるように、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、蒸発源300は、堆積速度測定アセンブリ210及び蒸発源300に結合されたコントローラ220を含み得る。本明細書に記載されるように、コントローラ220は、堆積速度を調節するために第1の制御信号125を蒸発源300に設け得る。更に、コントローラは、2つの測定の間の時間間隔ΔTを調節するために、第2の制御信号121を堆積速度測定アセンブリ210に設け得る。したがって、堆積速度が高精度で測定及び制御できるような蒸発源300が設けられる。
【0044】
図8Aに例示的に示されるように、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、分配管320は、加熱要素315を含む細長いチューブであり得る。蒸発るつぼ130は、材料、例えば、有機材料を、加熱ユニット325で蒸発させるためのリザーバとすることができる。例えば、加熱ユニット325は、蒸発るつぼ310の筐体内に設けられ得る。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、分配管320は、線源を提供し得る。例えば、図8Bに例示的に示されるように、ノズルなどの複数の出口322は、少なくとも1つの線に沿って配置することができる。代替的実施形態(図示されず)によれば、少なくとも1つの線に沿って延びるスリットなどの1つの細長い孔が設けられ得る。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、線源は、本質的に垂直に延び得る。
【0045】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、分配管320の長さは、堆積装置において材料が堆積する基板の高さに対応し得る。代替的には、分配管320の長さは、材料が堆積する基板の高さよりも長く、例えば少なくとも10%又は20%長いことがある。これにより、基板の上端及び/又は基板の下端における均一な堆積を提供することができる。例えば、分配管320の長さは、1.3m以上、例えば2.5m以上とすることができる。
【0046】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、蒸発るつぼ310は、図8Aに例示的に示されるように、分配管320の下端に設けられ得る。例えば有機材料などの材料は、蒸発るつぼ310で蒸発させることができる。蒸発材料は、分配管320の底部で分配管に侵入し、分配管320の複数の出口322を通して本質的に横向きに、例えば、本質的に垂直な基板に向かって、案内され得る。図8Bを参照すると、本明細書に記載の実施形態による堆積速度測定アセンブリ210は、分配管320の上部分、例えば分配管320の上端に設けられ得る。
【0047】
図8Bに例示的に示されるように、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、測定出口230は、分配管320の壁、例えば分配管の裏側224Aの壁に設けられ得る。代替的には、測定出口230は、分配管320の上壁224Cに設けられ得る。図8Bで矢印231によって例示的に示されるように、蒸発材料は、分配管320の内側から測定出口230を通って堆積速度測定アセンブリ210まで提供され得る。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、測定出口230は、直径0.5mmから4mmまでの孔を有し得る。測定出口230は、ノズルを含み得る。例えば、ノズルは、堆積速度測定アセンブリ210に提供される蒸発材料の流れを調節するための調節可能な孔を含み得る。とりわけ、ノズルは、蒸発源によって提供される全流量の1/70の下限、特に蒸発源によって提供される全流量の1/60の下限、更に具体的には蒸発源によって提供される全流量の1/50の下限から、蒸発源によって提供される全流量の1/40の上限、特に蒸発源によって提供される全流量の1/30の上限、更に具体的には蒸発源によって提供される全流量の1/25の上限までの範囲から選択される測定流量を提供するように構成され得る。例えば、ノズルは、蒸発源によって提供される全流量の1/54の測定流量を提供するように構成され得る。
【0048】
図9は、本明細書に記載の実施形態による真空チャンバ410の中の基板444に材料を塗布するための堆積装置400の概略上面図を示す。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、蒸発源300は、軌道、例えば線形ガイド420又はループ状軌道などの上の真空チャンバ410内に設けられ得る。線形ガイド420の軌道が、蒸発源300の並進運動のために構成されてもよい。したがって、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、並進運動のためのドライバは、真空チャンバ410内の軌道及び/又は線形ガイド420において、蒸発源300に提供することができる。隣接する真空チャンバ(図9には示されず)への真空密閉を可能にする、第1のバルブ405、例えばゲートバルブが設けられてもよい。第1のバルブは、基板444又はマスク432の真空チャンバ410内への又は真空チャンバ410から外への搬送のために開放することができる。
【0049】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、保守真空チャンバ411などの更なる真空チャンバが、図9に典型的に示されるように、真空チャンバ410に隣接して設けられてもよい。したがって、真空チャンバ410及び保守真空チャンバ411は、第2のバルブ407に結合され得る。第2のバルブ407は、真空チャンバ410と保守真空チャンバ411との間の真空密閉を開閉するように構成され得る。蒸発源300は、第2のバルブ407が開放状態にある間、保守真空チャンバ411に移送することができる。その後、第2のバルブ407は、真空チャンバ410と保守真空チャンバ411との間に真空密閉を設けるよう閉じることができる。第2のバルブ407が閉じられる場合、保守真空チャンバ411は、真空チャンバ410の中の真空を破壊せずに、蒸発源300保守のために換気及び開放することができる。
【0050】
図9に典型的に示されるように、2つの基板は、真空チャンバ410内のそれぞれの搬送軌道上で支持され得る。更に、その上にマスクを提供するための2つの軌道を設けることができる。したがって、コーティング中に、基板444は、それぞれのマスクによってマスキングすることができる。例えば、マスクは、マスク432を所定の位置に保持するために、マスクフレーム431に設けられ得る。
【0051】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、基板444は、位置合わせユニット412に結合させることができる基板支持体426によって支持され得る。位置合わせユニット412は、マスク432に対する基板444の位置を調節し得る。図9に典型的に示されるように、基板支持体426は、位置合わせユニット412に結合され得る。したがって、基板は、材料の堆積中に、基板とマスクとの間で正確な位置合わせを行うために、マスク432に対して移動するのだが、これは高品質なディスプレイ製造に有益であり得る。代替的に又は追加的に、マスク432及び/又はマスク432を保持するマスクフレーム431は、位置合わせユニット412に結合することができる。したがって、マスク432を基板444に対して位置付けることができるか、マスク432及び基板444の双方を互いに対して位置付けることができるかのどちらかである。
【0052】
図9に示されるように、線形ガイド420は、蒸発源300の並進運動の方向を提供し得る。蒸発源300の両側に、マスク432が提供されてもよい。マスクは、並進運動の方向に実質的に平行に延び得る。更に、蒸発源300の対向面の基板はまた、並進運動の方向に本質的に平行に延びることができる。図9に典型的に示されるように、堆積装置400の真空チャンバ410に設けられた蒸発源300は、線形ガイド420に沿った並進運動のために構成され得る支持体302を含み得る。例えば、支持体302は、2つの蒸発るつぼ、及び蒸発るつぼ310の上に設けられた2つの分配管320を支持し得る。これにより、蒸発るつぼで生成された蒸気は、上に向かって、分配管の一又は複数の排出口から移動することができる。
【0053】
図9に例示的に示されるように、堆積源には、2以上の分配管が設けられ得る。例えば、2以上の分配管は、三角形状に設計され得る。三角形状の分配管320は、2以上の分配管が互いに隣合わせに配置される場合に有利であり得る。特に、三角形状の分配管320により、隣接する分配管の蒸発材料の出口は、互いにできるだけ接近させることが可能になる。これにより、例えば、2つ、3つ又は更に多い異なる材料の同時蒸発の場合など、異なる分配管からの異なる材料の混合が改良可能となる。
【0054】
したがって、本明細書に記載の実施形態による蒸発材料の堆積速度を測定するための方法、堆積速度制御システム、蒸発源及び堆積装置は、改良された堆積速度測定及び/又は改善された堆積速度制御を提供する。これは、高品質ディスプレイ製造、例えば高品質OLED製造に有利であり得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9