(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記規制部材は、板状とされ、板面が前記直交方向を向いて前記蓄熱部と当たる当接部と、前記当接部の端部に連結され、板面が前記積層方向を向いて前記蓄熱部と前記熱交換部とに挟まれ、前記熱交換部に取り付けられる前記取付部と、を有する請求項1に記載の蓄熱反応器。
前記熱交換部と、前記熱交換部に重なる前記蓄熱部と、前記蓄熱部に重なる前記流路部とを含んで単位ユニットとされ、前記容器の内部に、前記積層方向において、一方の単位ユニットに他方の単位ユニットが重なり、
一方の単位ユニットに備えられる前記規制部材は、前記直交方向において、他方の単位ユニットに備えられる前記熱交換部と当たって他方の前記単位ユニットの前記直交方向の位置を規制する請求項1〜4の何れか1項に記載の蓄熱反応器。
【発明を実施するための形態】
【0024】
≪第1実施形態≫
本発明の第1実施形態に係る蓄熱反応器及び蓄熱システムの一例について
図1〜
図11を用いて説明する。
【0025】
(全体構成)
図11には、第1実施形態の一例としての蓄熱システム10の概略構成が示されている。蓄熱システム10は、蒸発部の一例としての蒸発凝縮器12と、蓄熱反応器の一例としての反応器20と、を備えている。蒸発凝縮器12では、反応媒体の一例としての水Wa(H2O)の蒸発、凝縮が行われるようになっている。反応器20では、後述する蓄熱材44(
図5参照)の水和反応(結合)又は脱水反応(離脱)が行われる。さらに、蓄熱システム10は、蒸発凝縮器12及び反応器20に接続され、これらの内部を連通させる水蒸気流路14を有している。なお、本実施形態では一例として、蓄熱システム10を自動車(図示省略)に適用している。
【0026】
〔蒸発凝縮器〕
蒸発凝縮器12は、貯留した水Waを蒸発させて反応器20に水蒸気Wbを供給する(水蒸気を生成する)蒸発部、反応器20から導入された水蒸気Wbを凝縮する凝縮部、及び水蒸気が凝縮された水Waを貯留する貯留部としての各機能を備えている。
【0027】
また、蒸発凝縮器12は、内部に水Waを貯留した貯留容器16を有している。貯留容器16内には、水蒸気Wbの凝縮用の冷媒が流れる冷媒流路17及び水Waの蒸発用のヒータ18が備えられている。冷媒流路17は、貯留容器16内における少なくとも気相部16Aを含む部分で熱交換を行うように配置されている。また、ヒータ18は、貯留容器16内における少なくとも液相部(貯留部)16Bを含む部分で通電により加熱を行うように配置されている。
【0028】
水蒸気流路14には、蒸発凝縮器12(貯留容器16)と反応器20(後述する容器22)との連通、非連通を切り替えるための開閉弁19が備えられている。貯留容器16、容器22、水蒸気流路14、及び開閉弁19は、互いの接続部位が気密に構成されており、これらの内部空間が予め真空脱気されている。
【0029】
〔反応器〕
反応器20は、
図10に示されるように、水蒸気Wbが内部に供給される容器22と、容器22内に封入された単位ユニットの一例としての蓄熱ユニット30、32と、を有している。即ち、本実施形態では、一例として、反応器20が2つの単位ユニットを有している。さらに、反応器20は、蓄熱ユニット30、32を拘束する拘束部62を有している。
【0030】
なお、以後の説明では、反応器20を正面視して、水平方向であって反応器20の幅方向を容器幅方向(矢印X方向)とし、鉛直方向(重力方向)であって反応器20の上下方向を容器上下方向(矢印Y方向)とする。さらに、反応器20を正面視して、水平方向であって容器幅方向及び容器上下方向に直交する反応器20の奥行方向を容器奥行方向(矢印Z方向)とする。
【0031】
<容器>
容器22は、全体が直方体に形成されており、容器上下方向から見て矩形の底壁22Aと、底壁22Aから容器上下方向の上側に延びる側壁22Bと、容器上下方向に見て矩形であり側壁22Bの上端を覆う天井壁22Cと、を有している(
図10参照)。
【0032】
側壁22Bにおいて容器上下方向の中央側には、水蒸気流路14の一端が接続されている。なお、容器22は、2つの部材に分割されており、蓄熱ユニット30、32を内部に配置した後、2つの部材の接合部(図示省略)で接合(溶接)されることで、蓄熱ユニット30、32が容器22の内部に封入されるようになっている。
【0033】
また、後述する配管57A、及び配管57Bは、天井壁22Cを容器上下方向に貫通するようになっている。
【0034】
<蓄熱ユニット>
蓄熱ユニット30、32は、
図10に示されるように、容器22内で容器上下方向に重ねられている。なお、蓄熱ユニット30、32は、同じ構成となっている。このため、蓄熱ユニット30の構成について説明し、蓄熱ユニット32の構成については、蓄熱ユニット30と同じ符号を付与して説明を省略する。また、本実施形態では、一例として、蓄熱ユニット30、32が、容器22の内部において後述する配管57A、57Bによって吊り下げられた状態となっており、容器22の内面とは非接触状態とされている。
【0035】
蓄熱ユニット30は、水蒸気Wbが流れる流路部36と、フィルタ39と、蓄熱部42と、蓄熱部42に対する熱供給及び熱回収の少なくとも一方を行う熱交換部52と、備えている。
【0036】
[流路部]
流路部36は、
図6(A)に示すように、容器上下方向から見て矩形状の天板37と、天板37に固定される流路部材38と、を有している。流路部材38は、水蒸気Wbが流れる容器奥行方向に延び、容器幅方向に複数並んでいる。
【0037】
流路部材38は、
図6(B)に示されるように、天板37に対して下方に配置され、一例として、容器奥行方向から見て蓄熱部42(
図10参照)側が開放された逆U字状とされている。具体的には、流路部材38は、板面が容器幅方向を向いた一対の側壁38Aと、一対の側壁38Aの上端部を繋ぐ上壁38Bとを有している。この流路部材38は、一例としてステンレス鋼板をプレス加工することで形成される。
【0038】
そして、上壁38Bが天板37の下面に溶接されている。これにより、流路部材38の内側、及び隣り合う流路部材38の間が、全て水蒸気Wbが、蓄熱部42に面して流れる拡散流路C1となっている。そして、複数の側壁38Aは、フィルタ39(
図10参照)の上面に載せられるようになっている。
【0039】
[フィルタ]
フィルタ39(
図10参照)は、板面が容器上下方向を向いた一枚の板状に形成された単体の金属箔で構成され、一例として、ステンレス箔が用いられる。このフィルタ39は、容器上下方向から見て、矩形状され、流路部36の天板37と同様の形状とされている。
【0040】
また、フィルタ39には、容器上下方向を軸方向として貫通した断面円形の複数の貫通孔(図示省略)が形成されている。この複数の貫通孔の直径は、一例として、後述する蓄熱材44(
図5参照)を構成する蓄熱粒子(図示省略)の平均粒子径の5倍以下で設定されている。
【0041】
[蓄熱部]
蓄熱部42は、容器上下方向から見て矩形状とされ、
図5に示されるように、蓄熱材44と、蓄熱材44を拘束する枠部材46とを有している。
【0042】
蓄熱材44は、一例として、容器幅方向及び容器奥行方向に広がる扁平な直方体(ブロック)状に形成されている
また、蓄熱材44は、一例として、アルカリ土類金属の酸化物の1つである酸化カルシウム(CaO)の成形体が用いられている。この成形体は、例えば、酸化カルシウム粉体をバインダ(例えば粘土鉱物等)と混練し、焼成することで形成されている。さらに、蓄熱材44は、フィルタ39(
図10参照)に密着した状態で配置されている。
【0043】
さらに、蓄熱材44は、
図10に示す反応器20において、水蒸気Wbと結合する水和に伴って発熱(放熱)し、水蒸気Wbが脱離する脱水に伴って蓄熱(吸熱)するものである。そして、反応器20内では、以下に示す反応で放熱、蓄熱を可逆的に繰り返し得る構成とされている。
【0044】
CaO + H2O ⇔ Ca(OH)2
この式に蓄熱量Q、発熱量Qを併せて示すと、
CaO + H2O → Ca(OH)2 + Q
Ca(OH)2 + Q → CaO + H2O
となる。なお、蓄熱材44の1kg当たりの蓄熱容量は、一例として、1.86[MJ/kg]とされている。
【0045】
この蓄熱材44は、発熱の際の水和により膨張し、蓄熱の際の脱水により収縮することで、膨張、収縮を繰り返すようになっている。
【0046】
また、枠部材46は、容器上下方向が開放された枠状に形成され、蓄熱材44の容器幅方向、及び容器奥行方向の側面を囲んでいる。これにより、蓄熱材44における容器幅方向、及び容器奥行方向の膨張が拘束されるようになっている。
【0047】
[熱交換部]
熱交換部52は、容器上下方向から見て矩形状とされ、
図4(A)に示されるように、容器幅方向及び容器奥行方向に広がる扁平な直方体状の熱媒容器54と、熱媒容器54の内部に収容(固定)された伝熱壁である熱媒流路部材58とを有している。また、熱交換部52には、内部に熱媒体が流れる配管57A、57Bを介して、熱媒体が流れるようになっている。熱媒体は、蓄熱材44(
図10参照)から得た熱を加熱対象に輸送するためのものであり、本実施形態では、一例として、熱媒オイルを用いている。なお、熱媒体の他の例として、水等の流体を用いてもよい。
【0048】
熱媒容器54は、容器上下方向の上方が開放されており、後述する規制部材80の取付部80Aによって熱媒容器54の開放口が覆われるようになっている。熱媒容器54は、底板54Aと、底板54Aの縁部で容器上下方向の上方に立ち上がる側板54B、54C、54D、54Eとを有している。側板54Bと側板54Dとは、容器奥行方向で対向配置され、側板54Cと側板54Eとは、容器幅方向で対向配置されている。
【0049】
また、側板54Bの容器幅方向の端部側(図中左側)には、容器奥行方向に貫通された貫通孔59Aが形成されている。さらに、側板54Dの容器幅方向の端部側(図中右側)には、容器奥行方向に貫通された貫通孔59Bが形成されている。貫通孔59Aには、配管57Aの一端が接続され、貫通孔59Bには、配管57Bの一端が接続されている。これにより、配管57Aから貫通孔59Aを通って熱媒容器54内に流入した熱媒オイル(図示省略)が、熱媒流路部材58の後述する熱媒流路C2及び貫通孔59Bを通って配管57Bへ流出するようになっている。
【0050】
この熱媒流路部材58は、
図4(B)に示されるように、容器奥行方向から見て凹凸を繰り返す矩形波状とされ、一例として、ステンレス鋼板をプレス加工することで形成される。
【0051】
具体的には、熱媒流路部材58は、容器幅方向に間隔をあけて直立配置された複数の側壁58Aを有している。さに、熱媒流路部材58は、容器幅方向で1つおきに2つの側壁58Aの上端を繋ぐ上壁58Bと、上壁58Bとずらして容器幅方向で1つおきに2つの側壁58Aの下端を繋ぐ下壁58Cとを有している。
【0052】
このように、熱媒流路部材58は、熱媒オイルが流れる容器奥行方向に沿うと共に、複数の側壁58Aが容器幅方向で並んでいる。そして、熱媒流路部材58では、複数の側壁58Aの間が、熱媒オイルが流れる熱媒流路C2となっている。
【0053】
そして、蓄熱ユニット30では、 熱交換部52、蓄熱部42、フィルタ39、及び流路部36が、容器上下方向においてこの順番で下方から上方へ積層されている(重ねられている)。即ち、本実施形態では、容器上下方向が、これらの積層方向となっている。
【0054】
なお、規制部材80については、後述する。
【0055】
<拘束部>
拘束部62は、
図7に示されるように、容器上下方向において蓄熱ユニット30、32の上側、下側に配置された拘束部材63、64と、拘束部材63、64を連結するボルト68及びナット69とを有する。なお、拘束部材63と拘束部材64は、一例として、同じ構成であるため、拘束部材63について説明し、拘束部材64の説明を省略する。また、
図7では、ボルト68及びナット69を1組のみ示しており、残りの3組のボルト68及びナット69の図示を省略している。
【0056】
拘束部材63は、容器幅方向を長手方向とし容器奥行方向に間隔をあけて並んだ複数の角筒材65と、容器奥行方向に沿って複数の角筒材65に溶接され複数の角筒材65を連結する複数の角筒材66とを有している。さらに、拘束部材63は、角筒材66と同軸で夫々の角筒材65から容器奥行方向の外側へ突出した複数の角筒材67を有している。
【0057】
複数の角筒材65、66、67は、容器上下方向の高さがそろえられている。即ち、複数の角筒材65、66、67は、容器上下方向の面がほぼ同一面上に配置されている。
【0058】
また、角筒材67には、容器上下方向に貫通された貫通孔67Aが形成されている。貫通孔67Aは、ボルト68を挿通可能な大きさとなっている。ここで、拘束部材63、64が蓄熱ユニット30、32を挟んだ状態で、拘束部材63の貫通孔67Aと拘束部材64の貫通孔67Aとにボルト68を挿通させ、ナット69を締結することで、蓄熱ユニット30、32が拘束部62に拘束される。即ち、拘束部62は、蓄熱ユニット30、32を容器上下方向(積層方向)で拘束するようになっている。なお、ボルト68は、蓄熱ユニット30、32に対して容器奥行方向の手前側と奥側に配置されている。
【0059】
(全体構成の作用)
次に、全体構成の作用について説明する。
【0060】
蓄熱システム10において反応器20に蓄熱された熱を放熱する際には、
図9(A)に示されるように、開閉弁19を開放した状態で、蒸発凝縮器12のヒータ18により液相部16Bの水Waを蒸発させる。そして、生成された水蒸気Wbが、水蒸気流路14内を矢印B方向に移動して反応器20内に供給される。
【0061】
続いて、
図10に示されるように、反応器20内では、供給された水蒸気Wbが、蓄熱ユニット30の流路部36内、及び蓄熱ユニット32の流路部36内を流れる。そして、各流路部36内の水蒸気Wbが、フィルタ39を通って各蓄熱材44(
図5参照)と接触することにより、蓄熱材44は、水和反応を生じつつ放熱する。この熱は、熱交換部52内を流れる熱媒オイルによって、加熱対象に輸送される。
【0062】
一方、
図9(B)に示されるように、蓄熱システム10において反応器20の蓄熱材44(
図5参照)に蓄熱する際には、開閉弁19を開放した状態で、配管57A、熱交換部52、及び配管57B内に熱源(図示省略)によって加熱された熱媒オイルを流通させる。この熱媒オイルによって加熱されることで、蓄熱材44が脱水反応を生じ、この熱が蓄熱材44に蓄熱される。このとき、蓄熱材44から脱水された水蒸気Wbは、流路部36から水蒸気流路14内を矢印A方向に流れて蒸発凝縮器12内に導入される。そして、蒸発凝縮器12の気相部16Aにおいて、冷媒流路17を流通する冷媒によって水蒸気Wbが冷却され、凝縮された水Waが貯留容器16の液相部16Bに貯留される。
【0063】
以上説明した蓄熱材44の蓄熱、放熱について、蓄熱システム10のサイクル(一例)を参照しつつ補足する。
図8には、PT線図に示された圧力平衡点における蓄熱システム10(
図11参照)のサイクルが示されている。
図8において、上側の等圧線が脱水(吸熱)反応を示し、下側の等圧線が水和(発熱)反応を示している。なお、蓄熱システム10の構成については、
図11を参照する。
【0064】
このサイクルでは、例えば、蓄熱材44の温度が410[℃]で蓄熱された場合、水蒸気Wbは50[℃]が平衡温度となる。そして、蓄熱システム10では、水蒸気Wbは蒸発凝縮器12において冷媒流路17の冷媒との熱交換によって50[℃]以下に冷却され、凝縮されて水Waになる。
【0065】
一方、ヒータ18により加熱を行うことで、該ヒータ18の温度に応じた蒸気圧の水蒸気が発生する。例えば、
図8のサイクルにおいて、5[℃]で水蒸気を発生させる場合、蓄熱材44は、315[℃]で放熱することが解る。このように、内部が真空脱気されている蓄熱システム10では、5[℃]付近の低温熱源から熱を汲み上げて、315[[℃]もの高温を得ることができる。
【0066】
(要部構成)
次に、熱交換部52の熱媒容器54に取り付けられる規制部材80について説明する。
【0067】
図4(A)に示されるように、規制部材80は、板金をプレス加工することで形成され、熱媒容器54の開放口を上方から覆う取付部80Aと、取付部80Aの縁部から容器上下方向の上方に立ち上がる一対の当接部80Bとを有している。
【0068】
取付部80Aは、板面が容器上下方向(積層方向の一例)を向いて容器上下方向から見て矩形状とされ、蓄熱部42(
図2(A)参照)と熱交換部52とに挟まれるようになっている。そして、取付部80Aは、熱媒容器54の側板54B、54C、54D、54Eの上端面に溶接によって取り付けられる。これにより、熱媒容器54の内部を流れる熱媒体が外部に漏れないようになっている。
【0069】
また、一対の当接部80Bは、容器幅方向に対向し、当接部80Bの板面は、容器幅方向(直交方向の一例)を向いている。
【0070】
図2(A)に示されるように、一対の当接部80Bの間隔(図中寸法D)は、容器幅方向における蓄熱部42の長さ(図中寸法E1)、流路部36及びフィルタ39の長さ(図中寸法E2)、並びに熱媒容器54の長さ(図中寸法E3)を考慮して決めされている。
【0071】
さらに、当接部80Bの高さ(図中寸法H)は、容器上下方向における蓄熱部42の高さ(図中寸法J)、流路部36及びフィルタ39の高さ(図中寸法K)、並びに熱媒容器54の高さ(図中寸法L)を考慮して決めされている。
【0072】
具体的には、寸法E1、寸法E2、及び寸法E3は、同様の長さとされている。そして、寸法Dは、寸法E1、寸法E2、及び寸法E3に対して、同等又は大きくされている。
【0073】
また、寸法Hは、寸法Jに寸法Kを加算した寸法(J+K)より大きく、寸法Jに寸法K及び寸法Lを加算した寸法(J+K+L)より小さくなっている。
【0074】
この構成により、規制部材80が取り付けられた熱媒容器54に、各部材を容器上下方向の上側から積層する際に、規制部材80が、各部材の容器幅方向の位置を規制するようになっている(詳細は後述する)。
【0075】
(要部構成の作用)
次に、各部材を積層して蓄熱ユニット30を組み立てる作業、及び蓄熱材44の膨張に伴なう規制部材80の作用等について説明する。
【0076】
蓄熱ユニット30を組み立てる作業については、
図1(A)、
図2(A)に示されるように、熱交換部52に容器上下方向の上方から蓄熱部42が重ねられ、さらに、蓄熱部42に容器上下方向の上方から流路部36及びフィルタ39が重ねられる。
【0077】
熱交換部52に容器上下方向の上方から蓄熱部42を重ねる場合に、蓄熱部42における容器幅方向の位置は、蓄熱部42が規制部材80の当接部80Bと当たって規制される。
【0078】
同様に、蓄熱部42に容器上下方向の上方からフィルタ39及び流路部36を重ねる場合に、フィルタ39及び流路部36における容器幅方向の位置は、フィルタ39及び流路部36が規制部材80の当接部80Bと当たって規制される。このようにして、
図1(B)、
図2(B)に示されるように、蓄熱ユニット30が組み立てられる。
【0079】
そして、蓄熱ユニット30が組み立てられた状態で、当接部80Bの一部が、流路部36より上方へ突出している。そこで、蓄熱ユニット30に蓄熱ユニット30と同様に組み立てられた蓄熱ユニット32を重ねる場合に、蓄熱ユニット32における容器幅方向の位置は、蓄熱ユニット32の熱媒容器54が蓄熱ユニット30の上方に突出した部分の当接部80Bと当たって規制される。
【0080】
一方、蓄熱材44が水蒸気Wbと結合する水和に伴って発熱(放熱)する場合に、蓄熱材44は膨張し、容器幅方向、容器奥行方向、及び容器上下方向に膨張力Fが作用する。
【0081】
そして、
図3に示されるように、容器上下方向の下側に向かって生じる膨張力F1により、規制部材80の取付部80Aの一部が、熱媒流路部材58の上壁58Bに押し付けられる。さらに、容器幅方向の外側に向かって生じる膨張力F2により、枠部材46及び当接部80Bが容器幅方向の外側に変形しようとする。
【0082】
また、拘束部62(
図10参照)は、蓄熱ユニット30を容器上下方向で拘束している。これにより、規制部材80の取付部80Aの他の一部が、拘束部62によって生じる拘束力F3により、枠部材46と側板54C、54Eの上面との間に拘束される。
【0083】
ここで、前述したように、膨張力F2により、枠部材46及び当接部80Bが容器幅方向の外側に変形しようとする。しかし、膨張力F1により取付部80Aの一部が上壁58Bに押し付けられ、拘束力F3により取付部80Aの他の一部が枠部材46と側板54C、54Eの上面との間に拘束されている。このため、当接部80Bが規制部材80の角部Vを中心として外方向(図中矢印Q方向)に倒れるのが抑制される。換言すれば、枠部材46及び当接部80Bが容器幅方向の外側に変形するのが抑制される。
【0084】
(要部構成のまとめ)
以上説明したように、熱交換部52に容器上下方向の上方から蓄熱部42を重ねる場合に、蓄熱部42における容器幅方向の位置は、蓄熱部42が規制部材80の当接部80Bと当たって規制される。このように、容器幅方向において、熱交換部52に対する蓄熱部42の位置を規制することができる。
【0085】
また、容器上下方向の上方からフィルタ39及び流路部36を重ねる場合に、フィルタ39及び流路部36における容器幅方向の位置は、フィルタ39及び流路部36が規制部材80の当接部80Bと当たって規制される。このように、容器幅方向において、熱交換部52に対するフィルタ39及び流路部36の位置を規制することができる。
【0086】
また、蓄熱ユニット30に蓄熱ユニット32を重ねる場合に、蓄熱ユニット32における容器幅方向の位置は、蓄熱ユニット32の熱媒容器54が蓄熱ユニット30の上方に突出した部分の当接部80Bと当たって規制される。このように、容器幅方向において、蓄熱ユニット30に対する蓄熱ユニット32の位置を規制することができる。
【0087】
また、容器幅方向において、各部材が規制部材80の当接部80Bと当たって各部材の位置が規制されるため、別途位置決め冶具を用いる場合と比して、各部材を積み重ねる工数を低減することができる。
【0088】
また、膨張力F2により、枠部材46及び当接部80Bが容器幅方向の外側に変形しようとする。しかし、膨張力F1により取付部80Aの一部が上壁58Bに押し付けられ、拘束力F3により取付部80Aの他の一部が枠部材46と側板54C、54Eの上面との間に拘束されている。このため、枠部材46及び当接部80Bが容器幅方向の外側に変形するのを抑制することができる。
【0089】
また、蓄熱システムにおいては、熱交換部52に対する各部材の位置が規制されることで、各部材の位置が規制されない場合と比して、熱交換部52での熱交換効率を向上させることができる。
【0090】
≪第2実施形態≫
次に、本発明の第2実施形態に係る蓄熱反応器及び蓄熱システムの一例について
図12に従って説明する。なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を主に説明する。
【0091】
図12(A)(B)に示されるように、第2実施形態に係る単位ユニットの一例としての蓄熱ユニット100の熱交換部102には、熱媒容器54の開放口を上方から覆う板状の蓋部材104が備えられている。蓋部材104は、容器上下方向から見て、矩形状とされ、熱媒容器54と同様の形状とされている。
【0092】
蓋部材104は、熱媒容器54の側板54B、54C、54D、54Eの上端面と溶接によって取り付けられている。これにより、熱媒容器54の内部を流れる熱媒体が外部に漏れないようになっている。
【0093】
一方、規制部材110は、容器幅方向で対向するように2個備えられている。一方の規制部材110は、他方の規制部材110に対して対称形状とされている。
【0094】
規制部材110は、板金をプレス加工することで形成され、容器奥行方向から見てL字形状(逆L字形状)とされている。また、規制部材110は、蓋部材104に溶接によって取り付けられる取付部110Aと、取付部110Aの縁部から容器上下方向の上方に立ち上がる当接部110Bとを有している。
【0095】
取付部110Aの容器幅方向の長さ(図中寸法M)は、蓄熱部106の枠部材46の容器幅方向の長さ(図中寸法N)と同等とされている。
【0096】
さらに、蓄熱材108は、枠部材46から下方に突出している。この蓄熱材108の突出量(図中寸法P)は、規制部材110の板厚と同等とされている。
【0097】
そして、熱交換部102に蓄熱部106を重ねた状態で、
図12(B)に示されるように、蓄熱材108の下面が蓋部材104の上面に接触するようになっている。
【0098】
第2実施形態の作用については、蓄熱材44の膨張力F1により取付部80Aの一部が、上壁58Bに押し付けられることで生じる作用以外の第1実施形態の作用と同様である。
【0099】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る蓄熱反応器及び蓄熱システムの一例について
図13に従って説明する。なお、第2実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略し、第2実施形態と異なる部分を主に説明する。
【0100】
図13(A)(B)に示されるように、第3実施形態に係る単位ユニットの一例としての蓄熱ユニット120の蓄熱部42の蓄熱材44は、第1実施形態と同様で、枠部材46から下方に突出しておらず、蓄熱材44の下面と枠部材46の下面とは、同一面状に配置されている。
【0101】
さらに、蓄熱材44と蓋部材104との間には、板面が容器上下方向を向いた板状のスペーサ126が備えられている。スペーサ126の板厚は、規制部材110の板厚と同等とされている。
【0102】
そして、熱交換部102に蓄熱部42を重ねた状態で、
図13(B)に示されるように、蓄熱材44の下面と蓋部材104の上面とに、スペーサ126が挟まれるようになっている。
【0103】
第3実施形態の作用については、第2実施形態の作用と同様である。
【0104】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係る蓄熱反応器及び蓄熱システムの一例について
図14に従って説明する。なお、第2実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略し、第2実施形態と異なる部分を主に説明する。
【0105】
図14(A)(B)に示されるように、第4実施形態に係る単位ユニットの一例としての蓄熱ユニット130の規制部材132は、蓋部材104に溶接によって取り付けられる取付部132Aを有している。さらに、規制部材132は、取付部132Aの一方の縁部から容器上下方向の上方に立ち上がる当接部132Bと、取付部132Aの他方の縁部の一部から容器上下方向の上方に立ち上がる補強部132Cとを有している。この補強部132Cの高さ(図中寸法R)は、枠部材46の高さ(図中寸法S)より低くされている。
【0106】
そして、熱交換部102に蓄熱部106を重ねた状態で、
図14(B)に示されるように、補強部132Cが、蓄熱材108と枠部材46との間に入り込むようになっている。この状態で、枠部材46の下側の部分は、当接部132Bと補強部132Cとに挟まれている。
【0107】
このように、枠部材46の下側の部分を当接部132Bと補強部132Cとで挟むことで、枠部材46が当接部132Bと補強部132Cとで挟まれない場合と比して、蓄熱材108の膨張による枠部材46の変形を抑制することができる。
【0108】
他の第4実施形態の作用については、第2実施形態の作用と同様である。
【0109】
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態に係る蓄熱反応器及び蓄熱システムの一例について
図15に従って説明する。なお、第2実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略し、第2実施形態と異なる部分を主に説明する。
【0110】
図15(A)(B)に示されるように、第5実施形態に係る単位ユニットの一例としての蓄熱ユニット140には、容器奥行方向で対向するように一対の規制部材142が備えられている。一方の規制部材142は、他方の規制部材142と対称形状とされている。
【0111】
そして、規制部材142は、板金をプレス加工することで形成され、容器幅方向から見てL字形状(逆L字形状)とされている。また、規制部材142は、蓋部材104に溶接によって取り付けられる取付部142Aと、取付部142Aの縁部から容器上下方向の上方に立ち上がる当接部142Bとを有している。
【0112】
また、規制部材142の取付部142Aの形状と、規制部材110の取付部111Aとの形状とは、容器上下方向で重ならないようになっている。
【0113】
さらに、
図15(A)に示されるように、一対の当接部142Bの間隔(図中寸法T1は、容器奥行方向における蓄熱部106の長さ(図中寸法T2)を考慮して決めされている。さらに、当接部142Bの高さ(図中寸法U1)は、容器上下方向における蓄熱部106の高さ(図中寸法U2)を考慮して決めされている。
【0114】
具体的には、寸法T1は、寸法T2に対して、同等又は大きくされている。また、寸法U1は、寸法U2に対して同等又は小さくされている。
【0115】
この構成により、熱交換部52に容器上下方向の上方から蓄熱部106を重ねる場合に、蓄熱部106における容器奥行方向(直交方向の一例)の位置は、蓄熱部106が規制部材142の当接部142Bと当たって規制される。
【0116】
また、寸法U1は、寸法U2に対して同等又は小さくされている。このため、当接部142Bが流路部36の水蒸気Wbの流れを阻害することがない。
【0117】
他の第5実施形態の作用については、第2実施形態の作用と同様である。
【0118】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態をとることが可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記第2〜第4実施形態では、容器幅方向に対向するように一対の規制部材110、132が配置されたが、規制部材110、132は1個であってもよい、この際には、熱交換部52に各部材を重ねる場合に、容器幅方向において、各部材を規制部材110、132に突き当てることで、熱交換部52に対する各部材の位置が規制される。
【0119】
また、上記実施形態では、当接部80B、110B、132B、142Bが、熱交換部52の一辺の全域に配置されたが、熱交換部52の一辺の一部に配置されてもよい。
【0120】
また、上記実施形態では、蓄熱部42に容器上下方向の上方から流路部36及びフィルタ39を重ねたが、流路部36とフィルタ39とを別々に重ねてもよい。
【0121】
また、上記実施形態では、ヒータ18を用いて水Waを蒸発させたが、排熱を利用して水Waを蒸発させてもよい。
【0122】
また、上記実施形態では、熱交換部52の熱媒流路C2(
図4(A)(B)参照)を流れる熱媒オイルは、容器奥行方向に流れるように、熱媒流路部材58が配置されたが、熱媒オイルが容器幅方向に流れるように、熱媒流路部材58を配置してもよい。これにより、蓄熱ユニット30、32の剛性を向上させることができる。