(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のサーバが運用できない場合、前記複数の予備サーバのうち、電話サービスを提供させる予備サーバを順次特定したリストを保有する管理サーバから、前記予備サーバが、電話サービスを提供する指示を受けた場合、
前記第1の予備提供手段は、前記第1局の電話サービスの提供を開始し、
前記第2の予備提供手段は、前記第2局の電話サービスの提供に関するデータの取得を中止する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
前記第1のサーバが運用できない場合、かつ、前記複数の予備サーバのうち、電話サービスを提供させる予備サーバを順次特定したリストを保有する管理サーバから、前記予備サーバが、電話サービスを提供する指示を受けた場合、
前記予備サーバが、前記第1局の電話サービスの提供を開始するステップと、
前記予備サーバが、前記第2局の電話サービスの提供に関するデータの取得を中止するステップ
を備えることを特徴とする請求項3に記載の通信方法。
【背景技術】
【0002】
一般的に電話サービスなど高可用性が求められるサービスにおいて、激甚災害時は、現用系のサービス提供システムから、予備系のサービス提供システムに切り替えて、サービス継続性を向上させる。激甚災害が発生した後に電話サービスの早期復旧を実現するため、予備系のサービス提供システムは、定期的に現用系のサービス提供システムのデータの同期をとる必要がある。このため、現用系のサービス提供システムに対し、予備系のサービス提供システムによるオーバレイネットワークを構成する必要がある。
【0003】
例えば
図8に示す例は、X局およびY局のサービス提供システムを説明する図である。X局に関して、X局現用アクトサーバ201、X局現用スタンバイサーバ202、X局予備アクトサーバ203およびX局予備スタンバイサーバ204を備え、これらはネットワークN200で相互に通信可能に接続される。
【0004】
平常時、X局現用アクトサーバ201およびX局現用スタンバイサーバ202は、連携して電話サービスを提供する。X局現用アクトサーバ201の稼働中に、コンピュータやソフトウエアの障害などの不備が発生すると、不備が解消するまでの間、X局現用スタンバイサーバ202が稼働する。激甚災害が発生し、X局現用アクトサーバ201およびX局現用スタンバイサーバ202が罹災すると、X局予備アクトサーバ203およびX局予備スタンバイサーバ204が、連携して電話サービスを提供する。X局予備アクトサーバ203の稼働中に、コンピュータやソフトウエアの障害などの不備が発生すると、不備が解消するまでの間、X局予備スタンバイサーバ204が稼働する。
【0005】
X局現用アクトサーバ201の不備に備え、X局現用スタンバイサーバ202は、X局現用アクトサーバ201から、電話サービスに関するデータを受信し、同期をとる。さらに、X局現用サーバ群(X局現用アクトサーバ201およびX局現用スタンバイサーバ202)が設置されたデータセンタの罹災に備え、X局予備サーバ群(X局予備アクトサーバ203およびX局予備スタンバイサーバ204)は、X局現用サーバ群から電話サービスに関するデータを受信し、同期をとる。
【0006】
従って、このようなオーバレイネットワークを構成する場合、
図8に示す様に、X局の電話サービスを提供するにあたり、少なくとも4台のサーバを用意する必要がある。また、Y局などの各局が、X局と同様のシステムを備える。
【0007】
また、現用サーバが故障した際に、短時間で且つ容易に予備サーバへの切替処理を実行するシステムがある(例えば特許文献1参照。)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の電話提供システムは、現用系および予備系のそれぞれのサービス提供システムを有することになり、サービス提供システムにおける設備を多重に保有する必要がある。さらに、現用系および予備系のそれぞれにおいて、アクト系およびスタンバイ系のそれぞれのサーバが稼働する場合もある。このように、高可用性サービスの提供において、サービス設備維持に係るサービス提供者の負担が大きくなる問題があった。
【0010】
従って本発明の目的は、設備維持に係る負担を軽減して、電話サービスを提供する通信システムおよび通信方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の第1の特徴は、局毎に電話サービスを提供する通信システムに関する。第1の特徴に係る通信システムは、第1局の電話サービスを提供する第1のサーバと、第2局の電話サービスを提供する第2のサーバと、第1のサーバおよび第2のサーバと接続する予備サーバを備える。予備サーバは、第1のサーバから、記第1局の電話サービスの提供に関するデータを取得して、第1のサーバが運用できない場合、第1局の電話サービスを提供する第1の予備提供手段と、第2のサーバから、第2局の電話サービスの提供に関するデータを取得して、第2のサーバが運用できない場合、第2局の電話サービスを提供する第2の予備提供手段とを備え、第1の予備提供手段および第2の予備提供手段は、予備サーバの仮想化ミドルウエア上で、それぞれ仮想マシンとして動作する。
【0012】
ここで、通信システムは、複数の予備サーバを備え、各予備サーバにおいて、第1の予備提供手段および第2の予備提供手段は、予備サーバの仮想化ミドルウエア上で、それぞれ仮想マシンとして動作しても良い。
【0013】
また、第1のサーバが運用できない場合、予備サーバにおいて、第1の予備提供手段は、第1局の電話サービスの提供を開始し、第2の予備提供手段は、第2局の電話サービスの提供に関するデータの取得を中止しても良い。
【0014】
さらに、第1のサーバが運用できない場合、複数の予備サーバのうち、第1のサーバに最も近い予備サーバにおいて、第1の予備提供手段は、第1局の電話サービスの提供を開始し、第2の予備提供手段は、第2局の電話サービスの提供に関するデータの取得を中止しても良い。
【0015】
本発明の第2の特徴は、局毎に電話サービスを提供する通信システムに用いられる通信方法に関する。本発明の第2の特徴に係る通信方法が用いられる通信システムは、第1局の電話サービスを提供する第1のサーバと、第2局の電話サービスを提供する第2のサーバと、第1のサーバおよび第2のサーバと接続する予備サーバを備える。予備サーバは、第1のサーバから、第1局の電話サービスの提供に関するデータを取得して、第1のサーバが運用できない場合、第1局の電話サービスを提供する第1の予備提供手段と、第2のサーバから、第2局の電話サービスの提供に関するデータを取得して、第2のサーバが運用できない場合、第2局の電話サービスを提供する第2の予備提供手段とを備え、第1の予備提供手段および第2の予備提供手段は、予備サーバの仮想化ミドルウエア上で、それぞれ仮想マシンとして動作する。本発明の第2の特徴に係る通信方法は、第1のサーバが運用できない場合、予備サーバが、第1局の電話サービスの提供を開始するステップと、予備サーバが、第2局の電話サービスの提供に関するデータの取得を中止するステップを備える。
【0016】
本発明の第3の特徴は、局毎に電話サービスを提供する通信システムに関する。本発明の第3の特徴に係る通信システムは、所定局の電話サービスを提供するアクトサーバと、アクトサーバの不備時に、所定局の電話サービスを提供するスタンバイサーバと、アクトサーバに接続する第1の予備サーバと、スタンバイサーバに接続する第2の予備サーバを備える。第1の予備サーバは、アクトサーバおよびスタンバイサーバが運用できない場合、所定局の電話サービスを提供する予備アクト提供手段を備え、予備アクト提供手段は、他局に電話サービスを提供する提供手段とともに、第1の予備サーバの仮想化ミドルウエア上で、それぞれ仮想マシンとして動作する。第2の予備サーバは、アクトサーバおよびスタンバイサーバが運用できない場合、かつ、予備アクト提供手段の不備時に、所定局の電話サービスを提供する予備スタンバイ提供手段を備え、予備スタンバイ提供手段は、他局に電話サービスを提供する提供手段とともに、第2の予備サーバの仮想化ミドルウエア上で、それぞれ仮想マシンとして動作する。ここで、第1の予備サーバおよび第2の予備サーバは、互いに地理的に遠い位置に設置される。
【0017】
本発明の第4の特徴は、局毎に電話サービスを提供する通信システムに関する。本発明の第4の特徴に係る通信システムは、所定局の電話サービスを提供するアクトサーバと、アクトサーバの不備時に、所定局の電話サービスを提供するスタンバイサーバと、アクトサーバおよびスタンバイサーバと接続する予備サーバを備える。予備サーバは、アクトサーバおよびスタンバイサーバが運用できない場合、所定局の電話サービスを提供する予備アクト提供手段と、アクトサーバおよびスタンバイサーバが運用できない場合、かつ予備アクト提供手段の不備時に、所定局の電話サービスを提供する予備スタンバイ提供手段を備え、予備アクト提供手段および予備スタンバイ提供手段は、予備サーバの仮想化ミドルウエア上で、それぞれ仮想マシンとして動作する。
【0018】
本発明の第5の特徴は、局毎に電話サービスを提供する通信システムに関する。本発明の第5の特徴に係る通信システムは、所定局の電話サービスを提供するアクトサーバと、アクトサーバの不備時に、所定局の電話サービスを提供するスタンバイサーバと、アクトサーバに接続する第1の予備サーバと、スタンバイサーバに接続する第2の予備サーバと、アクトサーバおよびスタンバイサーバと接続する第3の予備サーバとを備える。第1の予備サーバは、アクトサーバおよびスタンバイサーバが運用できない場合、所定局の電話サービスを提供する第1の予備アクト提供手段を備え、第1の予備アクト提供手段は、他局に電話サービスを提供する提供手段とともに、第1の予備サーバの仮想化ミドルウエア上で、それぞれ仮想マシンとして動作する。第2の予備サーバは、アクトサーバおよびスタンバイサーバが運用できない場合、かつ第1の予備アクト提供手段の不備時に、所定局の電話サービスを提供する第1の予備スタンバイ提供手段を備え、第1の予備スタンバイ提供手段は、他局に電話サービスを提供する提供手段とともに、第2の予備サーバの仮想化ミドルウエア上で、それぞれ仮想マシンとして動作する。第3の予備サーバは、アクトサーバおよびスタンバイサーバが運用できない場合、所定局の電話サービスを提供する第2の予備アクト提供手段と、アクトサーバおよびスタンバイサーバが運用できない場合、かつ第2の予備アクト提供手段の不備時に、所定局の電話サービスを提供する第2の予備スタンバイ提供手段を備え、第2の予備アクト提供手段と第2の予備スタンバイ提供手段は、第3の予備サーバの仮想化ミドルウエア上で、それぞれ仮想マシンとして動作する。ここで第3の予備サーバは、第1の予備サーバおよび第2の予備サーバと比べて、アクトサーバおよびスタンバイサーバから地理的に遠い位置に設置される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、設備維持に係る負担を軽減して、電話サービスを提供する通信システムおよび通信方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付している。また図面において、アクトを「ACT」、スタンバイを「SBY」と略して記載する。
【0022】
(概要)
本発明の実施の形態に係る通信システムにおいて、現用サーバと、予備サーバは、異なるハードウエア構成を有する。
【0023】
現用サーバは、1つのコンピュータハードウエアと、1つのOSと、現用系サービスを提供する提供手段とを含む。現用系サービスは、所定の局の加入者に、電話サービスを提供する。
【0024】
ここで、現用系サービスは、現用アクト系サービスおよび現用スタンバイ系サービスを含んでも良い。この場合、現用アクトサーバと現用スタンバイサーバとが、連携して現用系サービスを提供する。現用アクトサーバおよび現用スタンバイサーバは、それぞれ、1つのコンピュータは、1つのOSと、1つの局の現用アクト系サービスまたは現用スタンバイ系サービスを提供する手段を実装する。現用アクト系サービスは、所定の局の加入者に、電話サービスを提供する。現用スタンバイ系サービスは、現用アクトサーバから、バックアップデータを受信して同期し、現用アクトサーバの不備時に、所定局の電話サービスを提供する。ここで「不備」は、コンピュータやソフトウエアの障害などにより、一時的にサーバが稼働できない場合である。
【0025】
これに対し予備サーバは、1つのコンピュータハードウエアと、1つの仮想化ミドルウエアと、局毎に、OSと、予備系サービスを提供する提供手段とを含む。予備サーバは、現用サーバが罹災等により運用できない場合に、現用サーバに代わって、所定局の電話サービスを提供する。ここで「運用できない場合」は、災害等によりサーバが格納されるデータセンタが破壊されたり、データセンタへのインフラが破壊されたりなどにより、復旧に時間がかかる状態である。
【0026】
予備系サービスは、平常時は現用系サービスからバックアップデータを受信する。予備系サービスは、現用系サービス、具体的には、現用サーバ、または、現用アクトサーバおよび現用スタンバイサーバが、激甚災害等により運用できない場合、所定の局の加入者に、電話サービスを提供する。OSおよび予備系サービスを提供する提供手段は、局毎に複数設けられ、それぞれ仮想マシンとして、仮想化ミドルウエア上に同時に実行できるように実装される。
【0027】
また予備系サービスは、予備アクト系サービスおよび予備スタンバイ系サービスを含んでも良い。予備アクト系サービスおよび予備スタンバイ系サービスは、平常時は現用系サービスからバックアップデータを受信する。現用系サービスが、激甚災害等により運用できない場合、予備アクト系サービスは、所定の局の加入者に、電話サービスを提供する。予備スタンバイ系サービスは、現用系サービスが、激甚災害等により運用できない場合、かつ、予備アクト系サービスに不備がある場合、予備アクト系サービスに代わって、所定の局の加入者に、電話サービスを提供する。
【0028】
予備サーバは、平常時は、電話サービスを提供することなく、現用サーバからバックアップデータを受信して記憶し、同期を取る処理を実行する。従って、予備サーバにおいて、複数の予備系サービスを同時に実装したとしても、処理能力に問題はない。
【0029】
このような構成により、本発明の実施の形態に係る通信システムは、設備維持に係る負担を軽減して、高可用性を担保して電話サービスを提供することができる。
【0030】
以下、第1の実施の形態から第4の実施の形態において、仮想マシンを使った予備系システムによりコスト負担を軽減する例を説明する。第5の実施の形態から第7の実施の形態において、現用系サービスおよび予備系サービスが同時に罹災する多重故障に対応可能な通信システムの例を説明する。
【0031】
(第1の実施の形態)
図1を参照して、第1の実施の形態に係る通信システム6aを説明する。通信システム6aは、局毎に電話サービスを提供し、X局現用サーバ群8、Y局現用サーバ群9および予備サーバ1を備える。予備サーバ1は、通信ネットワークN8を介してX局現用サーバ群8に接続するとともに、通信ネットワークN9を介してY局現用サーバ群9に接続する。
【0032】
X局現用サーバ群8は、X局の加入者に現用系サービスを提供する。X局現用サーバ群8は、現用アクト系サービスを提供するX局現用アクトサーバ80と、現用スタンバイ系サービスを提供するX局現用スタンバイサーバ85を備える。X局現用アクトサーバ80およびX局現用スタンバイサーバ85は相互に通信可能に接続される。X局現用アクトサーバ80は、X局の電話サービスを提供し、一つのコンピュータのハードウエア81上に、OS82を実装し、X局に現用アクト系サービスを提供するためのX局現用アクト提供手段83を備える。X局現用スタンバイサーバ85は、一つのコンピュータのハードウエア86上に、OS87を実装し、X局に現用スタンバイ系サービスを提供するためのX局現用スタンバイ提供手段88を備える。
【0033】
X局現用アクトサーバ80は、ハードウエア、ソフトウエアおよびインフラ等に不備がない場合、X局に属する加入者に、電話サービスを提供する。X局現用スタンバイサーバ85は、X局現用アクトサーバ80からバックアップデータを受信して記憶する。X局現用アクトサーバ80に不備が生じると、X局現用スタンバイサーバ85は、X局現用アクトサーバ80に代わって、X局に属する加入者に、電話サービスを提供する。
【0034】
Y局現用サーバ群9は、Y局の加入者に現用系サービスを提供する。Y局現用サーバ群9は、X局現用サーバ群8と同様に、Y局現用アクトサーバ90およびY局現用スタンバイサーバ95を備える。Y局現用アクトサーバ90は、Y局に現用アクト系サービスを提供するためのY局現用アクト提供手段93を備える。Y局現用スタンバイサーバ95は、Y局に現用スタンバイ系サービスを提供するためのY局現用スタンバイ提供手段98を備える。
【0035】
予備サーバ1は、一つのコンピュータのハードウエア11上に、仮想化ミドルウエア12を実装する。仮想化ミドルウエア12は、複数の局の予備アクト系サービスおよび予備スタンバイ系サービスをそれぞれ提供する手段を、仮想マシンとして仮想的にエミュレートする。
図1に示す例では、仮想ミドルウエア12は、X局予備アクト提供手段2a、X局予備スタンバイ提供手段2b、Y局予備アクト提供手段3aおよびY局予備スタンバイ提供手段3bを、それぞれに対応するOSとともに、仮想的にエミュレートする。X局予備アクト提供手段2a、X局予備スタンバイ提供手段2b、Y局予備アクト提供手段3aおよびY局予備スタンバイ提供手段3bは、予備サーバ1の仮想化ミドルウエア12上で、それぞれ仮想マシンとして動作する。X局予備アクト提供手段2aは予備アクト系サービスを提供し、X局予備スタンバイ提供手段2bは予備スタンバイ系サービスを提供し、Y局予備アクト提供手段3aは予備アクト系サービスを提供し、Y局予備スタンバイ提供手段3bは予備スタンバイ系サービスを提供する。
【0036】
ここで、X局予備アクト提供手段2aおよびX局予備スタンバイ提供手段2bは、連携してX局の予備系サービスを提供し、X局予備提供手段2と称される場合がある。Y局予備アクト提供手段3aおよびY局予備スタンバイ提供手段3bは、連携してY局の予備系サービスを提供し、Y局予備提供手段3と称される場合がある。
【0037】
X局予備アクト提供手段2aおよびX局予備スタンバイ提供手段2bは、平常時、電話サービスを提供することなく、X局現用サーバ群8から、X局の電話サービスの提供に関するバックアップデータを受信して記憶し、X局現用サーバ群8と同期をとる。X局現用サーバ群8が罹災などにより、ある一定の長期間使用できない状態に陥り、運用できない場合、X局予備アクト提供手段2aおよびX局予備スタンバイ提供手段2bは、連携して、X局現用サーバ群8に代わって、X局の加入者に局の電話サービスを提供する。
【0038】
この際、X局予備アクト提供手段2aは、X局の加入者に電話サービスを提供する。X局予備スタンバイ提供手段2bは、X局予備アクト提供手段2aからバックアップデータを受信して記憶する。X局予備アクト提供手段2aに不備が生じると、X局予備スタンバイ提供手段2bは、X局予備アクト提供手段2aに代わって、X局に属する加入者に、電話サービスを提供する。
【0039】
Y局予備アクト提供手段3aおよびY局予備スタンバイ提供手段3bは、それぞれ、X局予備アクト提供手段2aおよびX局予備スタンバイ提供手段2bと同様に処理する。
【0040】
このように第1の実施の形態に係る通信システム6aは、一つの予備サーバ上に、仮想マシンとして稼働する複数の予備サーバの機能を実現する。これにより、複数の予備サーバの機能を、一つのコンピュータ上に集約して実現するので、設備効率を向上させることができる。
【0041】
また、予備サーバの機能は、平常時はサービスを提供することなく、現用サーバからデータを受信するのみであるので、一つのコンピュータ上に複数の予備サーバの機能を集約して実現しても、十分に稼働可能である。
【0042】
(第2の実施の形態)
図2を参照して、第2の実施の形態に係る通信システム6bを説明する。
図1に示す通信システム6aは、一つの予備サーバ1を備えているのに対し、
図2に示す通信システム6bは、第1の予備サーバ1a、第2の予備サーバ1bおよび第3の予備サーバ1cを備える点が異なる。
【0043】
図1に示す予備サーバ1と同様に、第1の予備サーバ1aにおいて、X局予備アクト提供手段2a1、X局予備スタンバイ提供手段2b1、Y局予備アクト提供手段3a1およびY局予備スタンバイ提供手段3b1は、第1の予備サーバ1aの仮想化ミドルウエア上で、それぞれ仮想マシンとして動作する。第2の予備サーバ1bおよび第3の予備サーバ1cも、第1の予備サーバ1aと同様の構成を備える。
【0044】
このように、複数の予備サーバ機能がそれぞれ仮想マシンとして実現されることにより、第2の実施の形態に係る通信システム6bは、一つのコンピュータで、複数の予備サーバ機能を実現することができる。これにより、容易に予備サーバ機能の多重化を実現することができる。
【0045】
(第3の実施の形態)
図3を参照して、第3の実施の形態に係る通信システム6cを説明する。
図3を参照して、Y局現用サーバ群9が罹災した場合を説明する。
【0046】
図3に示す通信システム6cは、X局現用サーバ群8、Y局現用サーバ群9、第1の予備サーバ1aおよび第2の予備サーバ1bを備える。第1の予備サーバ1aおよび第2の予備サーバ1bは同様の構成を備え、多重化される。Y局現用サーバ群9が罹災することにより、Y局の予備系サービスが稼働する。この際、予備サーバ上のX局の予備系サービスは、何ら動作しないように制御される。
【0047】
図3に示す例において、第1の予備サーバ1a上のY局予備スタンバイ提供手段3b1と、第2の予備サーバ1b上のY局予備アクト提供手段3a2とが、連携して、Y局現用サーバ群9に代わって、Y局の加入者に電話サービスを提供する。
【0048】
すなわち、Y局予備アクト提供手段3a2は、Y局の加入者に電話サービスを提供し、Y局予備スタンバイ提供手段3b1は、Y局予備アクト提供手段3a2からバックアップデータを受信して同期する。Y局予備アクト提供手段3a2に不備が生じると、Y局予備スタンバイ提供手段3b1は、Y局予備アクト提供手段3a2に代わって、Y局の加入者に電話サービスを提供する。
【0049】
このとき、第1の予備サーバ1aおよび第2の予備サーバ1bにおいて、Y局の予備系サービス提供システムとして稼働する機能以外の機能は停止される。Y局が罹災したとしても、X局が罹災しない場合、第1の予備サーバ1aのX予備アクト提供手段2a1およびX局予備スタンバイ提供手段2b1、第1の予備サーバ1aのX予備アクト提供手段2a1およびX局予備スタンバイ提供手段2b1は、X局現用サーバ群8からバックアップデータを受信して同期する必要があるとも考えられる。
【0050】
しかしながら第3の実施の形態係る通信システム6cは、X局現用サーバ群8との接続を切断し、X局現用サーバ群8との同期を停止する。これにより、第1の予備サーバ1aおよび第2の予備サーバ1bのリソースを、Y局予備系の電話サービスに集中させることができる。罹災により予備系サービスが稼働する場合、通常時よりも多い呼接続が発生し、負荷が高くなることが想定される。そこで、第1の予備サーバ1aおよび第2の予備サーバ1bのリソースを、Y局予備系の電話サービスに集中させることにより、通常時よりも多い呼接続に対応することができる。
【0051】
さらに、第1の予備サーバ1aは、X局予備アクト提供手段2a1、X局予備スタンバイ提供手段2b1およびY局予備アクト提供手段3a1をシャットダウンし、第2の予備サーバ1bは、X局予備アクト提供手段2a2、X局予備スタンバイ提供手段2b2およびY局予備スタンバイ提供手段3b2をシャットダウンしても良い。これによりさらに、第1の予備サーバ1aおよび第2の予備サーバ1bのリソースを、Y局予備系サービスに集中させることができる。
【0052】
特に
図3に示すように、第1の予備サーバ1aがY局予備スタンバイ提供手段3b1を、第2の予備サーバ1bがY局予備アクト提供手段3a2を、それぞれ仮想マシンとして実装する場合、一つのコンピュータのリソースを各手段が独占してフルに使用することができる。従って、Y局現用サーバ群9と同様のリソースで処理することができるので、スループットの低下を抑制することができる。
【0053】
図3に示す例は、予備サーバが多重化されている場合を説明したがこれに限られない。例えば
図1に示す例において、予備サーバ1が多重化されていない状態でY局現用サーバ群9が罹災した場合、予備サーバ1において、X局予備アクト提供手段2aおよびX局予備スタンバイ提供手段2bは、X局現用サーバ群8との同期を停止し、シャットダウンしても良い。これにより、予備サーバ1のリソースを、Y局予備系サービスに集中させることができる。
【0054】
(第4の実施の形態)
図4を参照して、第4の実施の形態に係る通信システム6dを説明する。
図4に示す通信システム6dは、第1の予備サーバ1a、第2の予備サーバ1bおよび第3の予備サーバ1cを備え、それぞれ同様の機能を備え、多重化している。
【0055】
このような通信システム6dにおいて、Y局現用サーバ群9が罹災した場合、予備サーバにおいてY局予備系の電話サービスを実現する必要があるが、どの予備サーバにおいて、電話サービスを実現するかが問題となる。
【0056】
そこで第4の実施の形態に係る通信システム6dにおいて、現用サーバ群の位置と、各予備サーバの位置とに基づいて、Y局予備系電話サービスを実現する予備サーバを決定する。具体的には、複数の予備サーバのうち、罹災した現用系サーバ群に近い予備サーバの予備系サービスから順次、電話サービスを提供するように制御される。
【0057】
図4に示す例で、Y局現用サーバ群9に、第3の予備サーバ1c、第2の予備サーバ1b、第1の予備サーバ1aの順に設置位置が遠くなる場合を説明する。Y局現用サーバ群9が罹災した場合、第3の予備サーバ1cにおいて、Y局予備系サービス、具体的には予備アクト系サービスおよび予備スタンバイ系サービスが連携して電話サービスを提供する。すなわち、第3の予備サーバ1cは、Y局予備アクト提供手段3a3にサービスを提供させ、Y局予備スタンバイ提供手段3b3に、Y局予備アクト提供手段3a3からバックアップデータを受信させ同期させる。
【0058】
さらに、第3の予備サーバ1cが罹災すると、第2の予備サーバ1bにおいて、Y局予備系サービスを実現する。さらに第2の予備サーバ1bが罹災すると、第1の予備サーバ1aにおいて、Y局予備系サービスを実現する。
【0059】
このように、現用系サーバ群に最も近い予備サーバにおいて予備系サービスを実現することにより、現用系サーバ群と同様のオーバヘッドで電話サービスを提供することができる。
【0060】
ここで、予備アクト系サービスおよび予備スタンバイ系サービスが同一の予備サーバ上で稼働して、電話サービスを提供する場合を説明したが、これに限られない。異なる予備サーバが予備アクト系サービスおよび予備スタンバイ系サービスを連携して提供しても良い。このとき、罹災した現用サーバに最も近い予備サーバにおいて、予備アクト系サービスで電話サービスを提供し、その次に近い予備サーバにおいて、予備アクト系サービスと連携する予備スタンバイ系サービスを提供しても良い。具体的には、
図4に示すように、Y局現用サーバ群9に最も近い第3の予備サーバ1cのY局予約アクト提供手段3a3と、その次に近い第2の予備サーバ1bのY局予約スタンバイ提供手段3b2とが連携して、Y局の加入者に電話サービスを提供しても良い。
【0061】
このように、現用系サーバ群に最も近い予備サーバで、予備アクト系サービスを提供することにより、予備アクト系サービスは、現用系サーバ群と同様のオーバヘッドでサービスを提供することができる。またその次に近い予備サーバで、予備スタンバイ系サービスを提供することにより、予備アクト系サービスおよび予備スタンバイ系サービスの電話サービスに十分なリソースを割り当てることができる。さらに、現用系および予備系を巻き込んだ多重故障に対応することができる。
【0062】
また第4の実施の形態において、予備系サービスが電話サービスを提供する場合、予備サーバ上で稼働する他の局の予備系サービスの仮想マシンは、現局サーバ群との接続を切断したり、シャットダウンしたりしても良い。例えば、
図4に示すように、Y局現用サーバ群9に最も近い第3の予備サーバ1cのY局予約アクト提供手段3a3と、その次に近い第2の予備サーバ1bのY局予約スタンバイ提供手段3b2とが連携して、Y局の加入者に電話サービスを提供する場合を説明する。第3の予備サーバ1cは、X局現用サーバ群8との接続を切断し、Y局予約アクト提供手段3a3以外の手段の仮想マシンをシャットダウンし、第2の予備サーバ1bは、X局現用サーバ群8との接続を切断し、Y局予約スタンバイ提供手段3b2以外の仮想マシンをシャットダウンしても良い。さらに、第1の予備サーバ1aは、X局現用サーバ群8との接続を切断し、各仮想マシンをシャットダウンしても良い。
【0063】
ここで、罹災した現用系サーバ群に近い予備サーバの予備系サービスから順次、電話サービスを提供するように制御するために、様々な方法が考えられる。例えば、各予備サーバに接続する管理サーバが、電話サービスを提供させる予備系サービスを順次特定したリストを保持し、このリストに基づいて、各予備サーバに指示を送信する。このリストは、例えば、現用サーバの識別子と、この現用サーバが罹災した場合に代わりに稼働する予備系サービスの仮想マシンと、この仮想マシンを実装する予備サーバとを対応づけたデータである。
【0064】
また、各予備サーバが、リストを保持しても良い。具体的には、各予備サーバは、現用サーバの識別子と、この現用サーバが罹災した場合に代わりに稼働する、この予備サーバ内の予備系サービスの仮想マシンと、この仮想マシンを実装する予備サーバとを対応づけたリストを保持する。各予備サーバは、現用サーバが罹災したことを検知すると、この現用サーバに対応づけられた仮想マシンの予備系サービスに、電話サービスを提供させる。
【0065】
なお本発明の実施の形態において、罹災した現用系サーバ群に近い予備サーバの予備系サービスから順次、電話サービスを提供する方法は、問わない。
【0066】
(第5の実施の形態)
図5を参照して、第5の実施の形態に係る通信システム6eを説明する。通信システム6eは、第1の予備サーバ1aおよび第2の予備サーバ1bを備えるとともに、図示しないX局現用サーバ群、Y局現用サーバ群およびZ局現用サーバ群を備える。ここで、第1の予備サーバ1aおよび第2の予備サーバ1bは、互いに地理的に遠い位置に設置される。
【0067】
第1の予備サーバ1aにおいて、所定局の電話サービスを提供する予備アクト提供手段は、他局に電話サービスを提供する提供手段とともに、第1の予備サーバ1aの仮想化ミドルウエア上で、それぞれ仮想マシンとして動作する。第2の予備サーバ1bにおいて、予備アクト提供手段の不備時に、記所定局の電話サービスを提供する予備アクト提供手段は、他局に電話サービスを提供する提供手段とともに、第2の予備サーバ1bの仮想化ミドルウエア上で、それぞれ仮想マシンとして動作する。
【0068】
例えば
図5に示す例において第1の予備サーバ1aは、予備アクト系サービスを実装し、X局予備アクト提供手段2a、Y局予備アクト提供手段3aおよびZ局予備アクト提供手段4aが、それぞれ仮想マシンとして稼働する。第2の予備サーバ1bは、予備スタンバイ系サービスを実装し、X局予備スタンバイ提供手段2b、Y局予備スタンバイ提供手段3bおよびZ局予備スタンバイ提供手段4bが、それぞれ仮想マシンとして稼働する。
【0069】
これにより、いずれかの現用サーバ群が罹災した場合、予備アクト系サービスを実装する第1の予備サーバ1aと、予備スタンバイ系サービスを実装する第2の予備サーバ1bとが遠隔地に設置されるので、広範囲激甚災害への耐性を向上させることができる。
【0070】
(第6の実施の形態)
図6を参照して、第6の実施の形態に係る通信システム6fを説明する。通信システム6fは、第1の予備サーバ1aおよび第2の予備サーバ1bを備えるとともに、図示しないX局現用サーバ群、Y局現用サーバ群およびZ局現用サーバ群を備える。ここで、第1の予備サーバ1aおよび第2の予備サーバ1bは、それぞれ、特定の局の予備アクト系サービスおよび予備スタンバイ系サービスを実装する。
【0071】
第1の予備サーバ1aは、X局の予備系サービスを実装し、X局予備アクト提供手段2aおよびX局予備スタンバイ提供手段2bが、それぞれ仮想マシンとして稼働する。X局予備アクト提供手段2aおよびX局予備スタンバイ提供手段2bは、第1の予備サーバ1aの仮想化ミドルウエア上で、それぞれ仮想マシンとして動作する。同様に、第2の予備サーバ1bは、Y局の予備系サービスを実装し、Y局予備アクト提供手段3aおよびY局予備スタンバイ提供手段3bが、それぞれ仮想マシンとして稼働する。Y局予備アクト提供手段3aおよびY局予備スタンバイ提供手段3bは、第2の予備サーバ1bの仮想化ミドルウエア上で、それぞれ仮想マシンとして動作する。
【0072】
このような構成をとることにより、予備系サービスが稼働する場合に、予備スタンバイ系サービスが予備アクト系サービスからバックアップデータを受信し同期するオーバヘッドを抑制することができる。
【0073】
(第7の実施の形態)
図7を参照して、第7の実施の形態に係る通信システム6gを説明する。通信システム6gは、X局現用サーバ群8、第1の予備サーバ1a、第2の予備サーバ1b、第3の予備サーバ1cおよび第4の予備サーバ1dを備えるとともに、図示しないY局現用サーバ群およびZ局現用サーバ群を備える。
【0074】
図7に示す例において、第1の予備サーバ1aおよび第2の予備サーバ1bは、X局現用サーバ群8から近い位置に設置され、第3の予備サーバ1cおよび第4の予備サーバ1dは、第1の予備サーバ1aおよび第2の予備サーバ1bよりも、X局現用サーバ群8から遠い位置に設置される。
【0075】
第1の予備サーバ1aは、第5の実施の形態で説明したように、予備アクト系サービスを実装し、第2の予備サーバ1bは、予備スタンバイ系サービスを実装する。さらに第3の予備サーバ1cおよび第4の予備サーバ1dは、第6の実施の形態で説明したように、それぞれX局予備系サービスおよびY局予備系サービスを実装する。
【0076】
第7の実施の形態において、現用サーバ群に近い、異なる予備サーバで、複数の局の予備アクト系サービスと、複数の局の予備スタンバイ系サービスとを、それぞれ実現する。さらに、現用サーバ群に遠い、一つの予備サーバで、所定の局の予備アクト系サービスと予備スタンバイ系サービスとを実現する。これにより、現用サーバ群に近い位置では、現用系サービスおよび予備系サービス、ならびに、予備アクト系サービスおよび予備スタンバイ系サービスの二重故障による障害を回避する。さらに現用サーバ群から遠い位置では、予備アクト系サービスおよび予備スタンバイ系サービス間のバックアップデータ送信のスループットの低下を抑制することができる。
【0077】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明の第1ないし第7の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなる。
【0078】
本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。従って、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。