(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記高分子化合物が、さらに、ヒドロキシ基、ラクトン環、エーテル基、エステル基、カルボニル基、シアノ基、スルホン酸エステル基、スルホンアミド基、環状の−O−C(=O)−S−又は−O−C(=O)−NH−から選ばれる1種以上の密着性基の繰り返し単位bを共重合した高分子化合物(ここで、bは0<b<1.0の範囲である。)を含むものであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のレジスト材料。
前記パターン形成方法における現像液が、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチルから選ばれる1種以上であり、現像によりネガパターンを形成することを特徴とする請求項12に記載のパターン形成方法。
前記高エネルギー線が、波長364nmのi線、波長248nmのKrFエキシマレーザー、波長193nmのArFエキシマレーザー、波長13.5nmのEUVリソグラフィー、又は電子ビームであることを特徴とする請求項12から請求項14のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【背景技術】
【0002】
近年、LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められている中、現在汎用技術として用いられている光露光では、光源の波長に由来する本質的な解像度の限界に近づきつつある。レジストパターン形成の際に使用する露光光として、1980年代には水銀灯のg線(436nm)もしくはi線(365nm)を光源とする光露光が広く用いられた。さらなる微細化のための手段として、露光波長を短波長化する方法が有効とされ、1990年代の64Mビット(加工寸法が0.25μm以下)DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー)以降の量産プロセスには、露光光源としてi線(365nm)に代わって短波長のKrFエキシマレーザー(248nm)が利用された。しかし、さらに微細な加工技術(加工寸法が0.2μm以下)を必要とする集積度256M及び1G以上のDRAMの製造には、より短波長の光源が必要とされ、10年ほど前からArFエキシマレーザー(193nm)を用いたフォトリソグラフィーが本格的に検討されてきた。当初ArFリソグラフィーは180nmノードのデバイス作製から適用されるはずであったが、KrFエキシマリソグラフィーは130nmノードデバイス量産まで延命され、ArFリソグラフィーの本格適用は90nmノードからである。さらに、NAを0.9にまで高めたレンズと組み合わせて65nmノードデバイスが量産された。次の45nmノードデバイスには露光波長の短波長化が推し進められ、波長157nmのF
2リソグラフィーが候補に挙がった。しかしながら、投影レンズに高価なCaF
2単結晶を大量に用いることによるスキャナーのコストアップ、ソフトペリクルの耐久性が極めて低いためのハードペリクル導入に伴う光学系の変更、レジスト膜のエッチング耐性低下等の種々問題により、F
2リソグラフィーの開発が中止され、ArF液浸リソグラフィーが導入された。
【0003】
ArF液浸リソグラフィーにおいては、投影レンズとウエハーの間に屈折率1.44の水がパーシャルフィル方式によって挿入され、これによって高速スキャンが可能となり、NA1.3級のレンズによって45nmノードデバイスの量産が行われている。
【0004】
32nmノードのリソグラフィー技術としては、波長13.5nmの真空紫外光(EUV)リソグラフィーが候補に挙げられている。EUVリソグラフィーの問題点としては、レーザーの高出力化、レジスト膜の高感度化、高解像度化、低エッジラフネス(LER、LWR)化、無欠陥MoSi積層マスク、反射ミラーの低収差化等が挙げられ、克服すべき問題が山積している。
【0005】
32nmノードのもう一つの候補の高屈折率液浸リソグラフィーは、高屈折率レンズ候補であるLUAGの透過率が低いことと、液体の屈折率が目標の1.8に届かなかったことによって開発が中止された。
【0006】
ここで最近注目を浴びているのは1回目の露光と現像でパターンを形成し、2回目の露光で1回目のパターンの丁度間にパターンを形成するダブルパターニングプロセスである。ダブルパターニングの方法としては多くのプロセスが提案されている。例えば、1回目の露光と現像でラインとスペースが1:3の間隔のフォトレジストパターンを形成し、ドライエッチングで下層のハードマスクを加工し、その上にハードマスクをもう1層敷いて1回目の露光のスペース部分にフォトレジスト膜の露光と現像でラインパターンを形成してハードマスクをドライエッチングで加工して初めのパターンのピッチの半分のラインアンドスペースパターンを形成する方法である。また、1回目の露光と現像でスペースとラインが1:3の間隔のフォトレジストパターンを形成し、下層のハードマスクをドライエッチングで加工し、その上にフォトレジスト膜を塗布してハードマスクが残っている部分に2回目のスペースパターンを露光しハードマスクをドライエッチングで加工する。いずれも2回のドライエッチングでハードマスクを加工する。
【0007】
ラインパターンに比べてホールパターンは微細化が困難である。従来法で細かなホールを形成するために、ポジ型レジスト膜にホールパターンマスクを組み合わせてアンダー露光で形成しようとすると、露光マージンが極めて狭くなってしまう。そこで、大きなサイズのホールを形成し、サーマルフローやRELACS
TM法等で現像後のホールをシュリンクする方法が提案されている。しかしながら、現像後のパターンサイズとシュリンク後のサイズの差が大きく、シュリンク量が大きいほど制御精度が低下する問題がある。また、ホールシュリンク法ではホールのサイズは縮小可能であるが、ピッチを狭くすることはできない。
【0008】
また、ポジ型レジスト膜を用いてダイポール照明によりX方向のラインパターンを形成し、レジストパターンを硬化させ、その上にもう一度レジスト組成物を塗布し、ダイポール照明でY方向のラインパターンを露光し、格子状ラインパターンの隙間よりホールパターンを形成する方法(非特許文献1)が提案されている。高コントラストなダイポール照明によるX、Yラインを組み合わせることによって広いマージンでホールパターンを形成できるが、上下に組み合わされたラインパターンを寸法精度高くエッチングすることは難しい。一方、X方向ラインのレベンソン型位相シフトマスクとY方向ラインのレベンソン型位相シフトマスクを組み合わせてネガ型レジスト膜を露光してホールパターンを形成する方法が提案されている(非特許文献2)。しかし、架橋型ネガ型レジスト膜は超微細ホールの限界解像度がブリッジマージンで決まるために、解像力がポジ型レジスト膜に比べて低い欠点がある。
【0009】
また、X方向のラインとY方向のラインの2回露光を組み合わせて露光し、これを画像反転によってネガパターンにすることによって形成されるホールパターンは、高コントラストなラインパターンの光を用いることによって形成が可能であるために、従来の方法よりもより狭ピッチでかつ微細なホールを開口できる。
【0010】
非特許文献3では、以下3つの方法による画像反転によるホールパターンの作製方法が報告されている。
即ち、ポジ型レジスト組成物のX、Yラインのダブルダイポールの2回露光によりドットパターンを作製し、この上にLPCVDでSiO
2膜を形成し、O
2−RIEでドットをホールに反転させる方法、加熱によってアルカリ可溶で溶媒不溶になる特性のレジスト組成物を用いて同じ方法でドットパターンを形成し、この上にフェノール系のオーバーコート膜を塗布してアルカリ現像によって画像反転させてホールパターンを形成する方法、ポジ型レジスト組成物を用いてダブルダイポール露光、有機溶剤現像による画像反転によってホールを形成する方法である。
【0011】
ここで、有機溶剤現像によるネガパターンの作製は古くから用いられている手法である。環化ゴム系のレジスト組成物はキシレン等のアルケンを現像液として用いており、ポリ−tert−ブトキシカルボニルオキシスチレンベースの初期の化学増幅型レジスト組成物はアニソールを現像液としてネガパターンを得ていた。
【0012】
近年、有機溶剤現像が再び脚光を浴びている。ポジティブトーンでは達成できない非常に微細なホールパターンをネガティブトーンの露光で解像するために、解像性の高いポジ型レジスト組成物を用いた有機溶剤現像でネガパターンを形成するのである。
【0013】
従来型のアルカリ現像型のネガレジストは架橋反応を用いていた。架橋反応型のネガレジストでは、露光部未露光部の中間領域で中途半端に架橋が進行し、これによって膨潤が発生する。膨潤によって寸法均一性が低下したり、パターン間がくっついて倒れたりして解像性が低くなる問題があった。一方、有機溶剤現像では膨潤が発生しない。これがアルカリ現像の架橋型ネガレジストよりも有機溶剤現像ネガレジストの方が優れている点であり、有機溶剤現像ネガレジストの検討が加速された。
【0014】
有機溶剤によるネガティブトーン現像用のArFレジスト組成物としては、従来型のポジ型ArFレジスト組成物を用いることができ、特許文献1〜3にパターン形成方法が示されている。
【0015】
これらの出願において、ヒドロキシアダマンタンメタクリレートを共重合、ノルボルナンラクトンメタクリレートを共重合、あるいはカルボキシル基、スルホ基、フェノール基、チオール基等の酸性基を2種以上の酸不安定基で置換したメタクリレートを共重合した有機溶剤現像用レジスト組成物及びこれを用いたパターン形成方法が提案されている。
【0016】
脱保護反応によってカルボキシル基が発生し、アルカリ水溶液の現像液との中和反応によって溶解速度が向上するポジティブ現像における未露光部と露光部の溶解速度の比率は1,000倍以上であり、大きな溶解コントラストを得ている。一方、有機溶剤現像によるネガティブ現像における溶媒和による未露光部分の溶解速度は遅く、露光部と未露光部の溶解速度の比率は100倍以下である。有機溶剤現像によるネガティブ現像においては、溶解コントラスト拡大のために、新たな材料開発が必要である。
【0017】
加えて、ネガティブトーン現像によって形成した孤立トレンチパターンの変形が問題となっている(非特許文献4)。即ち、孤立トレンチの膜表面が大きく開口し、テーパー形状のトレンチパターンが形成されるのである。テーパー形状のパターンは、現像後のドライエッチングにおける寸法シフトを生じる原因となり、好ましいことではない。ポジレジストのアルカリ現像によって孤立トレンチパターンを作製した場合は、このようなパターン変形は生じない。また、ポジレジストでアルカリ現像によって孤立ラインパターンを作製した場合は、現像直前まで有機溶剤現像によって孤立トレンチパターンを形成する場合と同じであるが、この場合でもこのようなパターン変形は生じない。非特許文献4においては、保護基の脱保護によって膜がシュリンクし、シュリンクした部分が現像後に残るネガティブトーン現像は、残った膜に応力がかかっており、これによってトレンチパターンが変形することが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
上述のように、特に有機溶剤現像においては、孤立パターンの変形の原因となるPEB後の膜のシュリンクを低減する必要がある。膜のシュリンクを低減させるためには酸不安定基の保護基の割合を減らすことが有効であるが、この場合溶解コントラストが低下して解像性が低下する。膜のシュリンク低減と溶解コントラスト向上とは相反する関係であり、トレードオフの関係である。このトレードオフの関係を打破するレジスト材料、特に化学増幅レジスト材料のベース樹脂として好適な高分子化合物を用いたレジスト材料の開発が求められている。
【0021】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、レジスト膜の溶解コントラストを向上させるとともに、PEB後の膜のシュリンクを低減させることができるレジスト材料、及びこれを用いたパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記課題を解決するため、本発明は、カルボキシル基の水素原子が下記一般式(1−1)〜(1−5)から選ばれる1種以上の酸不安定基によって置換されている繰り返し単位を有する高分子化合物をベース樹脂として含有するレジスト材料を提供する。
【化1】
(式中、R
1〜R
5は炭素数1〜4の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、もしくは炭素数2〜4のアルキニル基である。R
6はヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はアシロキシ基であり、mは1又は2である。)
【0023】
このようなレジスト材料であれば、得られるレジスト膜の溶解コントラストを向上させるとともに、PEB後の膜のシュリンクを低減させることができる。
【0024】
このとき、前記高分子化合物が、下記一般式(2−1)〜(2−5)で示される繰り返し単位a1〜a5から選ばれる1種以上を有し、重量平均分子量が1,000〜500,000の範囲である高分子化合物を含むものであることが好ましい。
【化2】
(式中、R
1〜R
6は前記と同様である。X
1〜X
5は単結合、又は−C(=O)−O−R
12−であり、R
12は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エステル基、エーテル基又はラクトン環を有していてもよい。R
7〜R
11は水素原子又はメチル基である。a1〜a5は、0≦a1≦1.0、0≦a2≦1.0、0≦a3≦1.0、0≦a4≦1.0、0≦a5≦1.0、0<a1+a2+a3+a4+a5≦1.0の範囲である。)
【0025】
このようなものであれば、得られるレジスト膜の溶解コントラストをより向上させるとともに、PEB後の膜のシュリンクをより低減させることができる。
【0026】
またこのとき、前記高分子化合物が、さらに、ヒドロキシ基、ラクトン環、エーテル基、エステル基、カルボニル基、シアノ基、スルホン酸エステル基、スルホンアミド基、環状の−O−C(=O)−S−又は−O−C(=O)−NH−から選ばれる1種以上の密着性基の繰り返し単位bを共重合した高分子化合物(ここで、bは0<b<1.0の範囲である。)を含むものであることが好ましい。
【0027】
このようなものであれば、基板への密着性を向上させることができる。
【0028】
またこのとき、前記繰り返し単位bが、フェノール性水酸基又はラクトン環もしくはこれらの両方を有する繰り返し単位であることが好ましい。
【0029】
このようなものであれば、基板への密着性をより向上させることができる。
【0030】
またこのとき、前記フェノール性水酸基を有する繰り返し単位が、下記一般式(3)で示される繰り返し単位b1〜b8から選ばれることが好ましい。
【化3】
(式中、X
6、X
7は単結合、−C(=O)−O−R
15−、又は−C(=O)−NH−であり、X
8、X
9は−C(=O)−O−R
15−であり、R
15は単結合、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基である。R
14はシアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、炭素数1〜5の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基であり、R
13は同一又は異種の水素原子又はメチル基である。Y
1、Y
2はメチレン基又はエチレン基であり、Z
1はメチレン基、酸素原子、又は硫黄原子であり、pは1又は2である。qは0〜4の整数である。b1〜b8は、0≦b1<1.0、0≦b2<1.0、0≦b3<1.0、0≦b4<1.0、0≦b5<1.0、0≦b6<1.0、0≦b7<1.0、0≦b8<1.0、0<b1+b2+b3+b4+b5+b6+b7+b8<1.0の範囲である。)
【0031】
このようなものであれば、電子ビームやEUVで露光を行った場合に増感効果を得ることができる。
【0032】
またこのとき、前記高分子化合物が、さらに、下記一般式(4)で示される繰り返し単位c1〜c5から選ばれる1種以上を共重合した高分子化合物を含むものであることが好ましい。
【化4】
(式中、R
16〜R
20はそれぞれ水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、一部又は全てがハロゲン原子で置換されたアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基又はアルコキシカルボニル基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、又は1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール基である。Z
2はメチレン基、酸素原子、又は硫黄原子である。c1〜c5は、0≦c1<1.0、0≦c2<1.0、0≦c3<1.0、0≦c4<1.0、0≦c5<1.0、0<c1+c2+c3+c4+c5<1.0の範囲である。)
【0033】
このようなものであれば、本発明の効果をより一層向上させることができる。
【0034】
またこのとき、前記高分子化合物が、さらに、下記一般式(5)で示されるスルホニウム塩を持つ繰り返し単位d1〜d3のいずれか1種以上を共重合した高分子化合物を含むものであることが好ましい。
【化5】
(式中、R
21、R
25、R
29は水素原子又はメチル基であり、R
22は単結合、フェニレン基、−O−R
33−、又は−C(=O)−Y−R
33−である。Yは酸素原子又はNHであり、R
33は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R
23、R
24、R
26、R
27、R
28、R
30、R
31、R
32は同一又は異種の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよく、又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又はチオフェニル基を表す。Z
3は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R
34−、−C(=O)−O−R
34−、又は−C(=O)−NH−R
34−である。R
34は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M
−は非求核性対向イオンを表す。d1、d2、及びd3は、0≦d1≦0.3、0≦d2≦0.3、0≦d3≦0.3、0<d1+d2+d3≦0.3の範囲である。)
【0035】
このようなものであれば、酸拡散を小さくし、酸拡散のぼけによる解像性の低下を防止できる。また、酸発生剤が均一に分散することによって、エッジラフネス(LER、LWR)を改善することができる。
【0036】
またこのとき、前記レジスト材料が、さらに、有機溶剤及び酸発生剤を含有する化学増幅レジスト材料であることが好ましい。
【0037】
有機溶剤を含有することで、例えば、レジスト材料の基板等への塗布性を向上させることができる。また、酸発生剤を含有させ、酸触媒反応を利用した化学増幅レジスト材料とすると、より高感度のものとすることができるとともに、諸特性が一層優れたものとなり、極めて有用なものとなる。
【0038】
またこのとき、前記レジスト材料が、さらに、添加剤として塩基性化合物又は界面活性剤もしくはこれらの両方が配合されたものであることが好ましい。
【0039】
塩基性化合物を添加することによって、例えばレジスト膜中での酸の拡散速度を抑制し解像度を一層向上させることができ、界面活性剤を添加することによってレジスト材料の塗布性を一層向上あるいは制御することができる。
【0040】
また、本発明では、上述のレジスト材料を基板上に塗布する工程と、加熱処理後、高エネルギー線で露光する工程と、現像液を用いて現像する工程とを含むパターン形成方法を提供する。
【0041】
このように、本発明のレジスト材料を用いてパターン形成を行うと、露光後のパターン形状とエッジラフネスが良好となる。
【0042】
また、前記パターン形成方法における現像液が、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチルから選ばれる1種以上であり、現像によりネガパターンを形成することが好ましい。
【0043】
このように、本発明では、現像液として上記のようなものを用いることにより、ネガパターンを形成することができる。
【0044】
また、前記パターン形成方法における現像液がアルカリ水溶液であり、現像によりポジパターンを形成することが好ましい。
【0045】
このように、本発明では、現像液としてアルカリ水溶液を用いることにより、ポジパターンを形成することができる。
【0046】
またこのとき、前記高エネルギー線が、波長364nmのi線、波長248nmのKrFエキシマレーザー、波長193nmのArFエキシマレーザー、波長13.5nmのEUVリソグラフィー、又は電子ビームであることが好ましい。
【0047】
このように、本発明のパターン形成方法においては、高エネルギー線として上記のようなものを好適に用いることができる。
【0048】
またこのとき、前記パターン形成方法において、露光後に乾燥空気1kg当たりの水分量が10g以上の条件下で加熱処理(PEB)を行い、現像を行うことが好ましい。
【0049】
このような方法でパターン形成を行えば、レジスト膜のシュリンクが低減され、現像後のレジスト膜の残膜量も増える。
【発明の効果】
【0050】
本発明のレジスト材料は、露光前後の溶解コントラストが大幅に高く、PEB後の膜のシュリンクを低減させることができるため、有機溶剤現像後のネガパターンの孤立トレンチパターンのパターンの変形を抑えることができる。さらに、高解像性を有し、露光余裕度があり、プロセス適応性に優れ、露光後のパターン形状とエッジラフネスが良好で、特に酸拡散速度を抑制することから粗密寸法差が小さく、優れたエッチング耐性を示すものとなる。従って、本発明のレジスト材料は、これらの優れた特性を有することから実用性が極めて高いものとなり、特に超LSI製造用あるいはフォトマスクの微細パターン形成材料、KrF、ArF、電子ビーム(EB)、EUV露光用のパターン形成材料として非常に有効かつ好適なレジスト材料、特には化学増幅レジスト材料を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0051】
上述のように、レジスト膜の溶解コントラストを向上させるとともに、PEB後の膜のシュリンクを低減させることができるレジスト材料、及びこれを用いたパターン形成方法が求められていた。
【0052】
本発明者らは、有機溶剤現像によるネガパターン形成において孤立パターンの変形の原因となるPEB後の膜のシュリンクを低減させるために、PEB中の蒸発がないような巨大かつ沸点の高い保護基が脱保護する酸不安定基で置換された高分子化合物(ポリマー)を適用することを考察した。その結果、ステロイド系の酸不安定基で置換された3級のカルボキシル基エステルを有する、特に(メタ)アクリル酸及びその誘導体から選ばれる繰り返し単位を有する高分子化合物をレジスト材料、特に化学増幅レジスト材料のベース樹脂として用いれば極めて有効であることを見出し、本発明を完成させた。
【0053】
即ち、本発明は、カルボキシル基の水素原子が下記一般式(1−1)〜(1−5)から選ばれる1種以上の酸不安定基によって置換されている繰り返し単位を有する高分子化合物をベース樹脂として含有するレジスト材料を提供する。
【化6】
(式中、R
1〜R
5は炭素数1〜4の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、もしくは炭素数2〜4のアルキニル基である。R
6はヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はアシロキシ基であり、mは1又は2である。)
【0054】
以下、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0055】
[高分子化合物]
本発明に係るレジスト材料は、カルボキシル基の水素原子が下記一般式(1−1)〜(1−5)から選ばれる1種以上の酸不安定基によって置換されている繰り返し単位(以下、繰り返し単位aとも言う)を有する高分子化合物をベース樹脂として含有するものである。
【化7】
(式中、R
1〜R
5は炭素数1〜4の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、もしくは炭素数2〜4のアルキニル基である。R
6はヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はアシロキシ基であり、mは1又は2である。)
【0056】
上記一般式(1−1)〜(1−5)で示される酸不安定基によって置換されている繰り返し単位としては、好ましくは(メタ)アクリル酸もしくはその誘導体(以下、(メタ)アクリレートと総称する)のカルボキシル基の水素原子を置換したものである。特には、本発明のレジスト材料は、下記一般式(2−1)〜(2−5)で示される繰り返し単位a1〜a5から選ばれる1種以上を有し、重量平均分子量が1,000〜500,000の範囲である高分子化合物を含むことが好ましい。
【化8】
(式中、R
1〜R
6は前記と同様である。X
1〜X
5は単結合、又は−C(=O)−O−R
12−であり、R
12は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エステル基、エーテル基又はラクトン環を有していてもよい。R
7〜R
11は水素原子又はメチル基である。a1〜a5は、0≦a1≦1.0、0≦a2≦1.0、0≦a3≦1.0、0≦a4≦1.0、0≦a5≦1.0、0<a1+a2+a3+a4+a5≦1.0の範囲である。)
【0057】
なお、R
1〜R
5としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基等が挙げられる。
また、R
6がアルコキシ基又はアシロキシ基の場合のR
6の炭素数は1〜6であり、好ましくは1〜4である。
また、R
12としては、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、シクロへキシレン基、アダマンチレン基等が挙げられる。
また、R
12のラクトン環を有する炭素数1〜10のアルキレン基としては、下記式
【化9】
のものが挙げられる。
【0058】
本発明に係る上記一般式(1−1)〜(1−5)の酸不安定基で置換されている繰り返し単位を有する高分子化合物は、上記一般式(2−1)〜(2−5)の(メタ)アクリレートの繰り返し単位a1〜a5に加えて、ヒドロキシ基、ラクトン環、エーテル基、エステル基、カルボニル基、シアノ基、スルホン酸エステル基、スルホンアミド基、環状の−O−C(=O)−S−又は−O−C(=O)−NH−から選ばれる1種以上の密着性基の繰り返し単位bが共重合した高分子化合物(ここで、bは0<b<1.0の範囲である。)を含むことが好ましく、さらに、この繰り返し単位bがフェノール性水酸基又はラクトン環もしくはこれらの両方を有する繰り返し単位であることが好ましい。
【0059】
特に、上記繰り返し単位bとしては、電子ビーム及びEUV露光によって増感効果があるフェノール性水酸基を有するものが好ましい。フェノール性水酸基を有する繰り返し単位は、下記一般式(3)で示される繰り返し単位b1〜b8から選ばれることが好ましい。
【化10】
(式中、X
6、X
7は単結合、−C(=O)−O−R
15−、又は−C(=O)−NH−であり、X
8、X
9は−C(=O)−O−R
15−であり、R
15は単結合、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基である。R
14はシアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、炭素数1〜5の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基であり、R
13は同一又は異種の水素原子又はメチル基である。Y
1、Y
2はメチレン基又はエチレン基であり、Z
1はメチレン基、酸素原子、又は硫黄原子であり、pは1又は2である。qは0〜4の整数である。b1〜b8は、0≦b1<1.0、0≦b2<1.0、0≦b3<1.0、0≦b4<1.0、0≦b5<1.0、0≦b6<1.0、0≦b7<1.0、0≦b8<1.0、0<b1+b2+b3+b4+b5+b6+b7+b8<1.0の範囲である。)
【0060】
上記フェノール性水酸基を有する繰り返し単位b1〜b8を得るためのモノマーとしては、下記に示すものを挙げることができる。
【0061】
【化11】
(式中、R
13は前記と同様である。)
【0062】
また、フェノール性水酸基以外のヒドロキシ基、ラクトン環、エーテル基、エステル基、カルボニル基、シアノ基、スルホン酸エステル基、スルホンアミド基、環状の−O−C(=O)−S−又は−O−C(=O)−NH−から選ばれる1種以上の密着性基の繰り返し単位bを得るためのモノマーとしては、具体的には下記のものを例示することができる。
【0071】
なお、ヒドロキシ基を有するモノマーを用いる場合、重合時にヒドロキシ基をエトキシエトキシ基等の酸によって脱保護し易いアセタールで置換しておいて、重合後に弱酸と水によって脱保護を行ってもよいし、アセチル基、ホルミル基、ピバロイル基等で置換しておいて重合後にアルカリ加水分解を行ってもよい。
【0072】
本発明に係るレジスト材料が含有する高分子化合物は、さらに、下記一般式(4)で示される繰り返し単位c1〜c5(インデン、アセナフチレン、クロモン、クマリン、ノルボルナジエン及びこれらの誘導体:以下、これら繰り返し単位c1〜c5を繰り返し単位cとも言う)から選ばれる1種以上を共重合した高分子化合物を含むこともできる。
【0073】
【化20】
(式中、R
16〜R
20はそれぞれ水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、一部又は全てがハロゲン原子で置換されたアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基又はアルコキシカルボニル基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、又は1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール基である。Z
2はメチレン基、酸素原子、又は硫黄原子である。c1〜c5は、0≦c1<1.0、0≦c2<1.0、0≦c3<1.0、0≦c4<1.0、0≦c5<1.0、0<c1+c2+c3+c4+c5<1.0の範囲である。)
【0074】
この場合、上記繰り返し単位c1〜c5を得るためのモノマーとしては、具体的には下記に示すものを例示することができる。
【化21】
【0075】
さらに、重合性オレフィンを有するオニウム塩の酸発生剤dを共重合することもできる。
特開平4−230645号公報、特開2005−84365号公報、特開2006−045311号公報には、特定のスルホン酸が発生する重合性オレフィンを有するスルホニウム塩、ヨードニウム塩が提案されている。また、特開2006−178317号公報には、スルホン酸が主鎖に直結したスルホニウム塩が提案されている。
【0076】
本発明のレジスト材料が含有する高分子化合物は、下記一般式(5)で示されるスルホニウム塩を持つ繰り返し単位d1〜d3のいずれか1種以上を共重合した高分子化合物を含むことが好ましい。
【化22】
(式中、R
21、R
25、R
29は水素原子又はメチル基であり、R
22は単結合、フェニレン基、−O−R
33−、又は−C(=O)−Y−R
33−である。Yは酸素原子又はNHであり、R
33は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R
23、R
24、R
26、R
27、R
28、R
30、R
31、R
32は同一又は異種の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよく、又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又はチオフェニル基を表す。Z
3は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R
34−、−C(=O)−O−R
34−、又は−C(=O)−NH−R
34−である。R
34は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M
−は非求核性対向イオンを表す。d1、d2、及びd3は、0≦d1≦0.3、0≦d2≦0.3、0≦d3≦0.3、0<d1+d2+d3≦0.3の範囲である。)
【0077】
M
−の非求核性対向イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン等のハライドイオン、トリフレート、1,1,1−トリフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート等のフルオロアルキルスルホネート、トシレート、ベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、1,2,3,4,5−ペンタフルオロベンゼンスルホネート等のアリールスルホネート、メシレート、ブタンスルホネート等のアルキルスルホネート、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロブチルスルホニル)イミド等のイミド酸、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、トリス(パーフルオロエチルスルホニル)メチド等のメチド酸等を挙げることができる。
【0078】
このように、ポリマー(高分子化合物)主鎖に酸発生剤を結合させることによって、酸拡散を小さくし、酸拡散のぼけによる解像性の低下を防止できる。また、酸発生剤が均一に分散することによって、エッジラフネス(LER、LWR)を改善することができる。
【0079】
本発明のレジスト材料は、酸不安定基を有する繰り返し単位として、繰り返し単位aを有する高分子化合物を含むことを必須とするが、下記一般式(7)で示される酸不安定基R
36で置換された(メタ)アクリル酸エステルの繰り返し単位eや、酸不安定基R
38で置換されたヒドロキシスチレンの繰り返し単位fを追加共重合することもできる。
【化23】
(式中、R
35、R
37は水素原子又はメチル基を表し、R
36、R
38は前記一般式(1−1)〜(1−5)で示される基以外の酸不安定基である。Z
4は単結合、フェニレン基、ナフチレン基、又は−C(=O)−O−R
39−であり、R
39は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキレン基であり、エステル基、エーテル基、又はラクトン環を有していてもよく、Z
5は単結合あるいはエステル基、アミド基である。rは1又は2である。e及びfは、0≦e≦0.5、0≦f≦0.5の範囲である。)
【0080】
繰り返し単位a、b、c、d、e、f以外に共重合できる繰り返し単位gとしては、スチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルピレン、メチレンインダン等に由来する繰り返し単位が挙げられる(ここで、gは0≦g≦0.5の範囲である。)。
【0081】
前記一般式(1−1)〜(1−5)で示される基以外の酸不安定基(上記一般式(7)中のR
36、R
38の酸不安定基)は、種々選定されるが、同一でも異なっていてもよく、特に下記式(A−1)〜(A−3)で示されるものが挙げられる。
【0083】
上記式(A−1)において、R
L30は炭素数4〜20、好ましくは4〜15の3級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基又は上記一般式(A−3)で示される基を示し、3級アルキル基としては、具体的には、tert−ブチル基、tert−アミル基、1,1−ジエチルプロピル基、1−エチルシクロペンチル基、1−ブチルシクロペンチル基、1−エチルシクロヘキシル基、1−ブチルシクロヘキシル基、1−エチル−2−シクロペンテニル基、1−エチル−2−シクロヘキセニル基、2−メチル−2−アダマンチル基等が挙げられ、トリアルキルシリル基としては、具体的には、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基等が挙げられ、オキソアルキル基としては、具体的には、3−オキソシクロヘキシル基、4−メチル−2−オキソオキサン−4−イル基、5−メチル−2−オキソオキソラン−5−イル基等が挙げられる。A1は0〜6の整数である。
【0084】
上記式(A−1)の酸不安定基としては、具体的には、tert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニルメチル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニルメチル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等が例示できる。
【0085】
さらに、下記式(A−1)−1〜(A−1)−10で示される置換基を挙げることもできる。
【化25】
【0086】
ここで、R
L37は互いに同一又は異種の炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、もしくは環状のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基、R
L38は水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、もしくは環状のアルキル基である。
また、R
L39は互いに同一又は異種の炭素数2〜10の直鎖状、分岐状、もしくは環状のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基である。
A1は前記と同様である。
【0087】
次に、上記式(A−2)において、R
L31、R
L32は水素原子又は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基を示し、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基等を例示できる。
R
L33は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の酸素原子等のヘテロ原子を有してもよい1価の炭化水素基を示し、直鎖状、分岐状、もしくは環状のアルキル基、又はこれらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基等に置換されたものを挙げることができ、具体的には下記の置換アルキル基等が例示できる。
【0089】
R
L31とR
L32、R
L31とR
L33、R
L32とR
L33とは、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には環の形成に関与するR
L31、R
L32、R
L33はそれぞれ炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示し、好ましくは環の炭素数は3〜10、特に4〜10である。
【0090】
上記式(A−2)で示される酸不安定基のうち、直鎖状又は分岐状のものとしては、下記式(A−2)−1〜(A−2)−35のものを例示することができる。
【化27】
【0092】
上記式(A−2)で示される酸不安定基のうち、環状のものとしては、テトラヒドロフラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロフラン−2−イル基、テトラヒドロピラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロピラン−2−イル基等が挙げられる。
【0093】
また、下記一般式(A−2a)あるいは(A−2b)で表される酸不安定基によってベース樹脂が分子間あるいは分子内架橋されていてもよい。
【化29】
【0094】
式中、R
L40、R
L41は水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基を示す。また、R
L40とR
L41は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、環の形成に関与するR
L40、R
L41は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R
L42は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキレン基を示し、B1、D1は0又は1〜10、好ましくは0又は1〜5の整数であり、C1は1〜7の整数である。Aは、(C1+1)価の炭素数1〜50の脂肪族もしくは脂環式飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基、又はヘテロ環基を示し、これらの基はヘテロ原子を介在してもよく、またその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、又はフッ素原子によって置換されていてもよい。Bは−C(=O)−O−、−NH−C(=O)−O−又は−NH−C(=O)−NH−を示す。
【0095】
この場合、好ましくは、Aは2〜4価の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキレン基、アルキルトリイル基、アルキルテトライル基、炭素数6〜30のアリーレン基であり、これらの基はヘテロ原子を介在していてもよく、またその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、アシル基又はハロゲン原子によって置換されていてもよい。また、C1は好ましくは1〜3の整数である。
【0096】
上記一般式(A−2a)、(A−2b)で示される架橋型アセタール基としては、具体的には、下記式(A−2)−36〜(A−2)−43のものが挙げられる。
【化30】
【0097】
次に、上記式(A−3)において、R
L34、R
L35、R
L36は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、もしくは環状のアルキル基等の1価炭化水素基であり、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子等のヘテロ原子を含んでもよく、R
L34とR
L35、R
L34とR
L36、R
L35とR
L36とは、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に、炭素数3〜20の環を形成してもよい。
【0098】
上記式(A−3)で示される3級アルキル基としては、tert−ブチル基、トリエチルカルビル基、1−エチルノルボニル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロペンチル基、2−(2−メチル)アダマンチル基、2−(2−エチル)アダマンチル基、tert−アミル基等を挙げることができる。
【0099】
また、3級アルキル基としては、下記に示す式(A−3)−1〜(A−3)−18を具体的に挙げることもできる。
【化31】
【0100】
上記式(A−3)−1〜(A−3)−18中、R
L43は同一又は異種の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状、もしくは環状のアルキル基、又は炭素数6〜20のフェニル基、ナフチル基等のアリール基を示す。R
L44、R
L46は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、もしくは環状のアルキル基を示す。R
L45は炭素数6〜20のフェニル基等のアリール基を示す。
【0101】
さらに、下記式(A−3)−19、(A−3)−20に示すように、2価以上のアルキレン基、アリーレン基であるR
L47を含んで、ポリマーの分子内あるいは分子間が架橋されていてもよい。
【化32】
【0102】
上記式(A−3)−19、(A−3)−20中、R
L43は前記と同様であり、R
L47は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、もしくは環状のアルキレン基、又はフェニレン基等のアリーレン基を示し、酸素原子や硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。E1は1〜3の整数である。
【0103】
特に上記式(A−3)で示される酸不安定基でカルボキシル基の水素原子を置換した繰り返し単位eとしては、下記式(A−3)−21で示されるエキソ体構造を有する(メタ)アクリル酸エステルの繰り返し単位が好ましく挙げられる。
【化33】
(式中、R
35、eは前記と同様である。R
c3は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状、もしくは環状のアルキル基、又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示す。R
c4〜R
c9及びR
c12、R
c13はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよい1価の炭化水素基を示し、R
c10及びR
c11は水素原子を示す。あるいは、R
c4とR
c5、R
c6とR
c8、R
c6とR
c9、R
c7とR
c9、R
c7とR
c13、R
c8とR
c12、R
c10とR
c11、又はR
c11とR
c12は互いに環を形成していてもよく、その場合には炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよい2価の炭化水素基を示す。またR
c4とR
c13、R
c10とR
c13、又はR
c6とR
c8は隣接する炭素に結合するもの同士で何も介さずに結合し、二重結合を形成してもよい。また、本式により、鏡像体も表す。)
【0104】
ここで、上記一般式(A−3)−21に示すエキソ構造を有する繰り返し単位を得るためのエステル体のモノマーとしては特開2000−327633号公報に示されている。具体的には、下記に示すものを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
【0106】
さらに、上記式(A−3)で示される酸不安定基でカルボキシル基の水素原子を置換した繰り返し単位eとしては、下記式(A−3)−22で示されるフランジイル、テトラヒドロフランジイル、又はオキサノルボルナンジイルを有する(メタ)アクリル酸エステルの繰り返し単位を挙げることができる。
【化35】
(式中、R
35、eは前記と同様である。R
c14、R
c15はそれぞれ独立に炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、又は環状の1価炭化水素基を示す。また、R
c14、R
c15は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に脂肪族炭化水素環を形成してもよい。R
c16はフランジイル、テトラヒドロフランジイル、又はオキサノルボルナンジイルから選ばれる2価の基を示す。R
c17は水素原子又はヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、又は環状の1価炭化水素基を示す。)
【0107】
フランジイル、テトラヒドロフランジイル、又はオキサノルボルナンジイルを有する酸不安定基で置換された繰り返し単位を得るためのモノマーとしては、下記に示すものを例示できる。なお、下記式中、Acはアセチル基、Meはメチル基を示す。
【0110】
[高分子化合物の製造方法]
本発明のレジスト材料が含有するこれら高分子化合物を合成するには、1つの方法としては、繰り返し単位a〜gを与えるモノマーのうち所望のモノマーを、有機溶剤中、ラジカル重合開始剤を加え加熱重合を行い、共重合体の高分子化合物を得る方法が挙げられる。
【0111】
重合時に使用する有機溶剤としては、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等が例示できる。重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が例示でき、好ましくは50〜80℃に加熱して重合できる。反応時間としては2〜100時間、好ましくは5〜20時間である。
【0112】
ヒドロキシスチレン、ヒドロキシビニルナフタレンを共重合する場合は、ヒドロキシスチレン、ヒドロキシビニルナフタレンの代わりにアセトキシスチレン、アセトキシビニルナフタレンを用い、重合後、上記アルカリ加水分解によってアセトキシ基を脱保護してポリヒドロキシスチレン、ヒドロキシポリビニルナフタレンにする方法もある。
【0113】
アルカリ加水分解時の塩基としては、アンモニア水、トリエチルアミン等が使用できる。また反応温度としては−20〜100℃、好ましくは0〜60℃であり、反応時間としては0.2〜100時間、好ましくは0.5〜20時間である。
【0114】
ここで、繰り返し単位a1〜a5、b〜gの割合は、下記の通りである。
a1〜a5は、0≦a1≦1.0、0≦a2≦1.0、0≦a3≦1.0、0≦a4≦1.0、0≦a5≦1.0、0<a1+a2+a3+a4+a5≦1.0、好ましくは0≦a1≦0.9、0≦a2≦0.9、0≦a3≦0.9、0≦a4≦0.9、0≦a5≦0.9、0.01≦a1+a2+a3+a4+a5≦0.9、より好ましくは0≦a1≦0.8、0≦a2≦0.8、0≦a3≦0.8、0≦a4≦0.8、0≦a5≦0.8、0.02≦a1+a2+a3+a4+a5≦0.8、さらに好ましくは0≦a1≦0.7、0≦a2≦0.7、0≦a3≦0.7、0≦a4≦0.7、0≦a5≦0.7、0.03≦a1+a2+a3+a4+a5≦0.7の範囲である。
bは、0≦b<1.0、好ましくは0.1≦b≦0.9、さらに好ましくは0.15≦b≦0.8の範囲である。
cは、0≦c<1.0、好ましくは0≦c≦0.9、さらに好ましくは0≦c≦0.8の範囲である。なお、cは、c1+c2+c3+c4+c5である。
dは、0≦d≦0.5、好ましくは0≦d≦0.4、さらに好ましくは0≦d≦0.3の範囲である。なお、dは、d1+d2+d3である。
eは、0≦e≦0.5、好ましくは0≦e≦0.4、さらに好ましくは0≦e≦0.3の範囲である。
fは、0≦f≦0.5、好ましくは0≦f≦0.4、さらに好ましくは0≦f≦0.3の範囲である。
gは、0≦g≦0.5、好ましくは0≦g≦0.4、さらに好ましくは0≦g≦0.3の範囲である。
また、0.2≦a1+a2+a3+a4+a5+b+c≦1.0の範囲であることが好ましく、特に0.3≦a1+a2+a3+a4+a5+b+c≦1.0の範囲であることが好ましく、a1+a2+a3+a4+a5+b+c+d+e+f+g=1であることが好ましい。
【0115】
なお、例えば、a1+a2+a3+a4+a5+b+c=1とは、繰り返し単位a1、a2、a3、a4、a5、b、及びcを含む高分子化合物において、繰り返し単位a1、a2、a3、a4、a5、b、及びcの合計量が全繰り返し単位の合計量に対して100モル%であることを示し、a1+a2+a3+a4+a5+b+c<1とは、繰り返し単位a1、a2、a3、a4、a5、b、及びcの合計量が全繰り返し単位の合計量に対して100モル%未満で、繰り返し単位a1、a2、a3、a4、a5、b、及びc以外に他の繰り返し単位を有していることを示す。
【0116】
さらに、本発明のレジスト材料に用いられる高分子化合物は、それぞれ重量平均分子量が好ましくは1,000〜500,000、より好ましくは2,000〜30,000である。重量平均分子量が1,000以上であれば、レジスト材料が十分な耐熱性を有するものとなり、500,000以下であれば、アルカリ溶解性が低下することがなく、パターン形成後に裾引き現象が生じることもない。
なお、重量平均分子量(Mw)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いたポリスチレン換算による測定値である。
【0117】
さらに、本発明のレジスト材料に用いられる高分子化合物においては、多成分共重合体の分子量分布(Mw/Mn)が広い場合は低分子量や高分子量のポリマーが存在するために、露光後、パターン上に異物が見られたり、パターンの形状が悪化したりすることがある。それ故、パターンルールが微細化するに従ってこのような分子量、分子量分布の影響が大きくなり易いことから、微細なパターン寸法に好適に用いられるレジスト材料を得るには、使用する多成分共重合体の分子量分布は1.0〜2.0であることが好ましく、特に1.0〜1.5と狭分散であることが好ましい。
また、組成比率や分子量分布や分子量が異なる2つ以上のポリマーをブレンドすることも可能である。
【0118】
<レジスト材料>
本発明のレジスト材料が含有する高分子化合物は、レジスト材料、特に化学増幅レジスト材料のベース樹脂として好適である。従って、このような高分子化合物をベース樹脂とし、これに有機溶剤、酸発生剤、溶解制御剤、塩基性化合物、界面活性剤等を目的に応じ適宜組み合わせて配合してレジスト材料を構成することによって、露光部では前記高分子化合物が触媒反応により現像液に対する溶解速度が加速されるので、極めて高感度のレジスト材料とすることができ、レジスト膜の溶解コントラスト及び解像性が高く、露光余裕度があり、プロセス適応性に優れ、露光後のパターン形状が良好でありながら、より優れたエッチング耐性を示し、特に酸拡散を抑制できることから粗密寸法差が小さいものとすることができる。本発明のレジスト材料は、これらのことから実用性が高く、超LSI用レジスト材料として非常に有効なものとすることができる。
【0119】
特に、酸発生剤を含有させ、酸触媒反応を利用した化学増幅レジスト材料とすると、より高感度のものとすることができるとともに、諸特性が一層優れたものとなり極めて有用なものとなる。
【0120】
また、レジスト材料に溶解制御剤を配合することによって、露光部と未露光部との溶解速度の差を一層大きくすることができ、解像度を一層向上させることができる。
【0121】
さらに、塩基性化合物を添加することによって、例えばレジスト膜中での酸の拡散速度を抑制し解像度を一層向上させることができ、界面活性剤を添加することによってレジスト材料の塗布性を一層向上あるいは制御することができる。
【0122】
上述のように、本発明のレジスト材料には、本発明のパターン形成方法に用いる化学増幅レジスト材料を機能させるために酸発生剤を含んでもよく、例えば、活性光線又は放射線に感応して酸を発生する化合物(光酸発生剤)を含有してもよい。光酸発生剤の成分としては、高エネルギー線照射により酸を発生する化合物であればいずれでも構わない。好適な光酸発生剤としてはスルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミド、オキシム−O−スルホネート型酸発生剤等がある。以下に詳述するが、これらは単独であるいは2種以上混合して用いることができる。
酸発生剤の具体例としては、特開2008−111103号公報の段落[0122]〜[0142]に記載されている。
【0123】
本発明のレジスト材料は、上述のように、有機溶剤、塩基性化合物、溶解制御剤、界面活性剤、アセチレンアルコール類のいずれか1つ以上を含有することができる。
有機溶媒の具体例としては、特開2008−111103号公報の段落[0144]〜[0145]に記載のシクロヘキサノン、メチル−2−n−アミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類及びその混合溶剤が挙げられ、塩基性化合物としては段落[0146]〜[0164]に記載の1級、2級、3級のアミン化合物、特にはヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、ラクトン環、シアノ基、スルホン酸エステル基を有するアミン化合物を挙げることができ、界面活性剤は段落[0165]〜[0166]、溶解制御剤としては特開2008−122932号公報の段落[0155]〜[0178]、アセチレンアルコール類は段落[0179]〜[0182]に記載されている。特開2008−239918号公報記載のポリマー型のクエンチャーを添加することもできる。これは、コート後のレジスト表面に配向することによってパターン後のレジストの矩形性を高める。ポリマー型クエンチャーは、液浸露光用の保護膜を適用したときのパターンの膜減りやパターントップのラウンディングを防止する効果もある。
【0124】
なお、酸発生剤の配合量は、ベース樹脂100質量部に対し0.01〜100質量部、特に0.1〜80質量部とすることが好ましく、有機溶剤の配合量は、ベース樹脂100質量部に対し50〜10,000質量部、特に100〜5,000質量部であることが好ましい。また、ベース樹脂100質量部に対し、溶解制御剤は0〜50質量部、特に0〜40質量部、塩基性化合物は0〜100質量部、特に0.001〜50質量部、界面活性剤は0〜10質量部、特に0.0001〜5質量部の配合量とすることが好ましい。
【0125】
本発明のレジスト材料、例えば有機溶剤と、前記一般式(1−1)〜(1−5)で示される酸不安定基で置換されている繰り返し単位を有する高分子化合物と、酸発生剤、及び塩基性化合物を含む化学増幅レジスト材料を種々の集積回路製造に用いる場合は、特に限定されないが公知のリソグラフィー技術を適用することができる。
【0126】
以上のような本発明のレジスト材料、特には化学増幅レジスト材料の用途としては、例えば、半導体回路形成におけるリソグラフィーだけでなく、マスク回路パターンの形成、あるいはマイクロマシーン、薄膜磁気ヘッド回路形成にも応用することができる。
【0127】
(パターン形成方法)
本発明では、上述の本発明のレジスト材料を基板上に塗布する工程と、加熱処理後、高エネルギー線で露光する工程と、現像液を用いて現像する工程とを含むパターン形成方法を提供する。
【0128】
例えば、本発明のレジスト材料を、集積回路製造用の基板(Si、SiO
2、SiN、SiON、TiN、WSi、BPSG、SOG、有機反射防止膜等)あるいはマスク回路製造用の基板(Cr、CrO、CrON、MoSi、SiO
2等)上にスピンコート、ロールコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート、ドクターコート等の適当な塗布方法により塗布膜厚が0.1〜2.0μmとなるように塗布する。これをホットプレート上で60〜150℃、10秒〜30分間、好ましくは80〜120℃、30秒〜20分間プリベークする。
【0129】
次いで、紫外線、遠紫外線、電子ビーム、X線、エキシマレーザー、γ線、シンクロトロン放射線、真空紫外線(軟X線)等の高エネルギー線から選ばれる光源で目的とするパターンを所定のマスクを通じてもしくは直接露光を行う。露光量は1〜200mJ/cm
2程度、好ましくは10〜100mJ/cm
2、又は0.1〜100μC、好ましくは0.5〜50μC程度となるように露光することが好ましい。次に、ホットプレート上で60〜150℃、10秒〜30分間、好ましくは80〜120℃、30秒〜20分間ポストエクスポージャベーク(PEB)する。
【0130】
PEBは大気中や窒素気流中でも良いが、高湿度条件で行うことがより好ましい。高温高湿のPEB条件とは、好ましくは乾燥空気1kg当たりの水分量が10g以上の条件下で加熱処理することであり、より好ましくは乾燥空気1kg当たりの水分量が15g以上であり、さらに好ましくは水分量が20g以上である。なお、乾燥空気1kg当たりの水分量が10gというのは、23℃における60%の湿度である。
【0131】
強酸が存在すると水はH
3O
+となり、脱保護反応によって生成したオレフィンに付加し、アルコールが生成する。アルコールは沸点が高いためにレジスト膜から蒸発しにくく、レジスト膜のシュリンクが低減される機構である。加えて、アルコールは有機溶剤現像液への溶解性が低いために、現像後のレジスト膜の残膜量も増える。
【0132】
PEBの加熱はホットプレート上で行うのがもっとも好ましく、高湿度の水蒸気環境下で行う。高温高湿度のスチームを吹き付けながらレジスト膜の加熱を行うこともできる。
【0133】
PEB後の膜のシュリンク率が少ないほど孤立トレンチパターンの変形率が少なくなる傾向がある。前述の非特許文献4には、PEB後の膜のシュリンク量が15%であり、この場合に孤立トレンチパターンの変形が生じることが示されている。よって、PEB後の膜のシュリンク率は15%以下が好ましく、より好ましくは12%、さらに好ましくは10%以下である。
【0134】
さらに、0.1〜10質量%、好ましくは2〜10質量%、特に2〜8質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAH)、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAH)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)等のアルカリ水溶液の現像液を用い、3秒〜3分間、好ましくは5秒〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像することにより、光を照射した部分は現像液に溶解し、露光されなかった部分は溶解せず、基板上に目的のポジ型のパターンが形成される。なお、本発明のレジスト材料は、高エネルギー線の中でもi線、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、電子ビーム、真空紫外線(軟X線)、X線、γ線、シンクロトロン放射線による微細パターニングに好適であり、特に波長364nmのi線、波長248nmのKrFエキシマレーザー、波長193nmのArFエキシマレーザー、波長13.5nmのEUVリソグラフィー、又は電子ビームによる微細パターニングに最適である。
【0135】
テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)現像液は2.38質量%の水溶液が最も広く用いられている。これは0.26Nに相当し、TEAH、TPAH、TBAH水溶液も同じ規定度であることが好ましい。0.26NとなるTEAH、TPAH、TBAHの質量は、それぞれ3.84質量%、5.31質量%、6.78質量%である。
【0136】
なお、一般的に広く用いられているTMAH水溶液よりも、アルキル鎖を長くしたTEAH、TPAH、TBAHは現像中の膨潤を低減させてパターンの倒れを防ぐ効果がある。特許第3429592号公報には、アダマンタンメタクリレートのような脂環構造を有する繰り返し単位と、tert−ブチルメタクリレートのような酸不安定基を有する繰り返し単位を共重合し、親水性基が無く撥水性の高いポリマーの現像のために、TBAH水溶液を用いた例が提示されている。
【0137】
EB、EUVで解像される32nm以下のパターンにおいて、ラインがよれたり、ライン同士がくっついたり、くっついたラインが倒れたりする現象が起きている。これは、現像液中に膨潤して膨らんだライン同士がくっつくのが原因と考えられる。膨潤したラインは、現像液を含んでスポンジのように軟らかいために、リンスの応力で倒れ易くなっている。アルキル鎖を長くした現像液はこのような理由で、膨潤を防いでパターン倒れを防ぐ効果がある。
【0138】
有機溶剤現像によってネガ型のパターンを得ることもできる。現像液としては、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチルから選ばれる1種以上を挙げることができる。
【0139】
現像の終了時には、リンスを行う。リンス液としては、現像液と混溶し、レジスト膜を溶解させない溶剤が好ましい。このような溶剤としては、炭素数3〜10のアルコール、炭素数8〜12のエーテル化合物、炭素数6〜12のアルカン、アルケン、アルキン、芳香族系の溶剤が好ましく用いられる。
【0140】
具体的には、炭素数6〜12のアルカンとしては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、メチルシクロペンタン、ジメチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン等が挙げられる。炭素数6〜12のアルケンとしては、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、ジメチルシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等が挙げられ、炭素数6〜12のアルキンとしては、ヘキシン、ヘプチン、オクチン等が挙げられ、炭素数3〜10のアルコールとしては、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、シクロヘキサノール、1−オクタノール等が挙げられる。
炭素数8〜12のエーテル化合物としては、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−sec−ペンチルエーテル、ジ−tert−アミルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテルから選ばれる1種以上の溶剤が挙げられる。
前述の溶剤に加えてトルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、メシチレン等の芳香族系の溶剤を用いることもできる。
【実施例】
【0141】
以下、合成例、比較合成例、実施例、及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例によって限定されるものではない。
なお、重量平均分子量(Mw)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いたポリスチレン換算による測定値である。
【0142】
[合成例1]モノマーの合成
高分子化合物の合成に用いるモノマーを以下のように合成した。
【0143】
[合成例1−1]モノマー1の合成
【化38】
(式中、Etはエチル基を示す。)
メタクリル酸クロリド120g、17α−メチルアンドロスタン−17β−オール−3−オン300gとトルエン1,500gの混合物に、氷冷、撹拌下で、トリエチルアミン111gを添加した。その後、室温にて16時間撹拌した。通常の水系後処理(aqueous work−up)、溶媒留去により粗生成物を得た。さらに、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、目的物のモノマー1を得た。
【0144】
[合成例1−2]モノマー2の合成
17α−メチルアンドロスタン−17β−オール−3−オンをメチルテストステロンに換えて合成を行った以外は、合成例1−1と同様の方法で合成を行い、モノマー2を得た。
【0145】
[合成例1−3]モノマー3の合成
17α−メチルアンドロスタン−17β−オール−3−オンをβ−ヒドロキシ−17−メチルアンドロスタ−1,4−ジエン−3−オンに換えて合成を行った以外は、合成例1−1と同様の方法で合成を行い、モノマー3を得た。
【0146】
[合成例1−4]モノマー4の合成
17α−メチルアンドロスタン−17β−オール−3−オンをβ−ヒドロキシ−17−メチルアンドロスタ−4,9(11)−ジエン−3−オンに換えて合成を行った以外は、合成例1−1と同様の方法で合成を行い、モノマー4を得た。
【0147】
[合成例1−5]モノマー5の合成
17α−メチルアンドロスタン−17β−オール−3−オンをメストラノールに換えて合成を行った以外は、合成例1−1と同様の方法で合成を行い、モノマー5を得た。
【0148】
[合成例1−6]モノマー6の合成
メタクリル酸クロリドをメタクリル酸−5−カルボン酸−4−オキサトリシクロ[4.2.1.0
3,7]ノナン−5−オン−2−イルに換えて合成を行った以外は、合成例1−1と同様の方法で合成を行い、モノマー6を得た。
【0149】
上記合成例1−1〜1−6で合成したモノマー1〜6の構造を以下に示す。
【化39】
【0150】
[合成例2]高分子化合物(ポリマー)の合成
合成例1−1〜1−6で得たモノマー1〜6を用いてポリマー1〜6の合成を行った。なお、合成例2及び比較合成例において使用したPAGモノマー1、2の構造は、以下の通りである。
【化40】
【0151】
[合成例2−1]ポリマー1の合成
2Lのフラスコにモノマー1の9.3g、メタクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル3.5g、メタクリル酸−2−オキソオキソラン−3−イル10.2g、溶媒としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、濾過し、60℃で乾燥を行い、白色重合体を得た。
得られた重合体を
13C,
1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー1:メタクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル:メタクリル酸−2−オキソオキソラン−3−イル=0.25:0.15:0.60
重量平均分子量(Mw)=9,800
分子量分布(Mw/Mn)=1.62
この高分子化合物を(ポリマー1)とする。
【0152】
【化41】
【0153】
[合成例2−2]ポリマー2の合成
2Lのフラスコにメタクリル酸3−tertブチル−3−シクロペンチル4.2g、モノマー6の8.3g、メタクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル2.4g、β−メタクリルオキシ−β,γジメチル−γ−ブチロラクトン9.9g、溶媒としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、濾過し、60℃で乾燥を行い、白色重合体を得た。
得られた重合体を
13C,
1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
メタクリル酸3−tertブチル−3−シクロペンチル:モノマー6:メタクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル:β−メタクリルオキシ−β,γジメチル−γ−ブチロラクトン=0.20:0.15:0.15:0.50
重量平均分子量(Mw)=9,200
分子量分布(Mw/Mn)=1.69
この高分子化合物を(ポリマー2)とする。
【0154】
【化42】
【0155】
[合成例2−3]ポリマー3の合成
2Lのフラスコにモノマー2の3.7g、4−tertアミロキシスチレン5.7g、メタクリル酸−3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル4.1g、メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン−9−イル9.0g、溶媒としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、濾過、60℃で乾燥を行い、白色重合体を得た。
得られた重合体を
13C,
1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー2:4−tertアミロキシスチレン:メタクリル酸−3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル:メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン−9−イル=0.10:0.30:0.20:0.40
重量平均分子量(Mw)=8,300
分子量分布(Mw/Mn)=1.69
この高分子化合物を(ポリマー3)とする。
【0156】
【化43】
【0157】
[合成例2−4]ポリマー4の合成
2Lのフラスコにモノマー3の3.7g、メタクリル酸4−tertブトキシフェニル7.0g、メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル3.6g、メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン−9−イル5.6g、PAGモノマー1の8.6g、溶媒としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を
13C,
1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー3:メタクリル酸4−tertブトキシフェニル:メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル:メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン−9−イル:PAGモノマー1=0.10:0.30:0.20:0.25:0.15
重量平均分子量(Mw)=8,500
分子量分布(Mw/Mn)=1.91
この高分子化合物を(ポリマー4)とする。
【0158】
【化44】
【0159】
[合成例2−5]ポリマー5の合成
2Lのフラスコにモノマー4の3.7g、4−tertアミロキシスチレン5.7g、メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル3.6g、メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン−9−イル5.6g、PAGモノマー2の11.0g、溶媒としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を
13C,
1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー4:4−tertアミロキシスチレン:メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル:メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン−9−イル:PAGモノマー2=0.10:0.30:0.20:0.25:0.15
重量平均分子量(Mw)=7,500
分子量分布(Mw/Mn)=1.95
この高分子化合物を(ポリマー5)とする。
【0160】
【化45】
【0161】
[合成例2−6]ポリマー6の合成
2Lのフラスコにモノマー5の3.8g、4−tertアミロキシスチレン5.7g、メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル3.6g、メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン−9−イル5.6g、PAGモノマー2の11.0g、溶媒としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を
13C,
1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー5:4−tertアミロキシスチレン:メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル:メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン−9−イル:PAGモノマー2=0.10:0.30:0.20:0.25:0.15
重量平均分子量(Mw)=7,900
分子量分布(Mw/Mn)=1.88
この高分子化合物を(ポリマー6)とする。
【0162】
【化46】
【0163】
[比較合成例1]
上記合成例2と同様の方法で比較ポリマー1を合成した。
共重合組成比(モル比)
メタクリル酸3−イソプロピル−3−シクロペンチル:メタクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル:メタクリル酸−2−オキソオキソラン−3−イル=0.50:0.10:0.40
重量平均分子量(Mw)=9,300
分子量分布(Mw/Mn)=1.82
この高分子化合物を(比較ポリマー1)とする。
【化47】
【0164】
[比較合成例2]
上記合成例2と同様の方法で比較ポリマー2を合成した。
共重合組成比(モル比)
メタクリル酸1−(アダマンタン−1−イル)−1−メチルエチル:4−tertアミロキシスチレン:メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル:メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン−9−イル:PAGモノマー2=0.20:0.20:0.20:0.25:0.15
重量平均分子量(Mw)=7,700
分子量分布(Mw/Mn)=1.89
この高分子化合物を(比較ポリマー2)とする。
【化48】
【0165】
[実施例1〜6、比較例1,2]レジスト材料の調製
上記で合成した高分子化合物(ポリマー1〜6、比較ポリマー1,2)を用いて、界面活性剤として住友スリーエム(株)製の界面活性剤のFC−4430を100ppm溶解させた溶剤に表1に示される組成で溶解させた溶液を、0.2μmサイズのフィルターで濾過してレジスト材料(実施例1〜6、比較例1,2)を調製した。
【0166】
表1中の各組成は次の通りである。
ポリマー1〜6:上記合成例2−1〜2−6で得られたもの
比較ポリマー1,2:上記比較合成例1、2で得られたもの
【0167】
有機溶剤:PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
CyH(シクロヘキサノン)
GBL(γ−ブチロラクトン)
【0168】
酸発生剤:PAG1、PAG2(下記構造式参照)
【化49】
【0169】
塩基性化合物:Quencher1、Quencher2(下記構造式参照)
【化50】
【0170】
撥水性ポリマー1(下記構造式参照)
分子量(Mw)=10,100
分散度(Mw/Mn)=1.51
【化51】
【0171】
【表1】
【0172】
ArF露光評価
表1に示す組成で調製したレジスト材料(実施例1,2、比較例1)を、シリコンウエハーに信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−102を200nm、その上に珪素含有スピンオンハードマスクSHB−A940を35nmの膜厚で成膜したトライレイヤープロセス用の基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて表2に記載の温度で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを90nmにした。
これをArFエキシマレーザー液浸スキャナー((株)ニコン製、NSR−610C、NA1.30、σ0.98/0.78、ダイポール開口20度、Azimuthally偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)を用いて露光量を変化させながら露光を行い、露光後表2記載の温度で、第一科学製の精密湿度供給装置SRG−1R−ASを用い、乾燥空気1kg当たり水分量25g、温度40℃(50%湿度)の大気を密閉したマニュアル式のホットプレートに毎分2Lの流量で封入してベーク(PEB)を行った。60秒間PEBし、酢酸−n−ブチルの現像液で30秒間パドル現像して40nmラインアンドスペースパターンを形成した。この時の感度及び現像後のラインウィドスラフネス(LWR)を測長SEM((株)日立製作所製CG−4000)で測定した。結果を表2に示す。
【0173】
【表2】
【0174】
電子ビーム描画評価
描画評価では、表1に示される組成で調製したレジスト材料(実施例3〜6、比較例2)をHMDS(ヘキサメチルジシラザン)ベーパープライムされた直径6インチφのSi基板上に、クリーントラックMark 5(東京エレクトロン(株)製)を用いてスピンコートし、ホットプレート上で110℃で60秒間プリベークして100nmのレジスト膜を作製した。これに、(株)日立製作所製HL−800Dを用いてHV電圧50keVで真空チャンバー内描画を行った。
描画後、表3記載の温度で、第一科学製の精密湿度供給装置SRG−1R−ASを用い、乾燥空気1kg当たり水分量25g、温度40℃(50%湿度)の大気を密閉したマニュアル式のホットプレートに毎分2Lの流量で封入してPEBを行ない、2.38質量%のTMAH水溶液で30秒間パドル現像を行い、ポジ型のパターンを得た。
【0175】
得られたレジストパターンを次のように評価した。
120nmのラインアンドスペースを1:1で解像する露光量における、最小の寸法を解像力とし、120nmLSのラインウィドスラフネス(LWR)をSEMで測定した。
レジスト組成とEB露光における感度、解像力、及びLWRの結果を表3に示す。
【0176】
【表3】
【0177】
表2、3の結果より、前記一般式(1−1)〜(1−5)の酸不安定基で置換された繰り返し単位を有する高分子化合物を含有する実施例1〜6は、十分な解像力、感度、LWRを満たす。
また、ポリマー型の酸発生剤を共重合した場合(実施例4〜6)は、LWRの性能が一段向上し、ポリマー型の酸発生剤を含まない実施例3よりも優れる場合があり、本発明のレジスト材料に用いられる高分子化合物が酸発生剤を共重合したものを含むことによる相乗効果によって極めて優れた解像性能と小さなLWRを示した。
【0178】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。