(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記製品フィーチャが、スクライブレーンによって分離された複数の製品エリアに配置され、前記第1のロケーションが主に前記スクライブレーン内にあると共に前記第2のロケーションが前記製品エリア内に分散している、請求項1に記載の基板。
前記第1のセットの各ターゲットが、前記第2のセットの各ターゲットが占める面積の3分の1よりも小さい面積を占める、請求項1から3のいずれか一項に記載の基板。
前記パラメータがオーバーレイであり、各ターゲットが2つ以上のパターニングステップで形成されたオーバーレイターゲットである、請求項1から4のいずれか一項に記載の基板。
(e)前記第1のターゲットセットの前記第2のサブセットの少なくとも1つのターゲットに、150nmよりも長い波長の放射を照射し、前記第2のサブセットの前記ターゲットによって回折又は反射された放射の検出とステップ(d)において決定した前記補正とに基づいて前記パラメータの値を算出すること、を更に備える、請求項8に記載の方法。
第1及び第2のメトロロジーターゲットセットを画定するパターンを基板に転写するのと同時に、リソグラフィプロセスを用いて機能デバイスパターンをパターニングデバイスから前記基板上に転写することと、
前記基板に適用された前記メトロロジーターゲットを測定して、前記リソグラフィプロセスの1つ以上のパラメータの値を決定することと、
前記メトロロジーの結果に従って、前記リソグラフィプロセスの以降の動作において補正を適用することと、を含み、
前記メトロロジーターゲットが、同一のパラメータを測定するための第1のターゲットセット及び第2のターゲットセットを含み、
前記第1のターゲットセットの第1のサブセットが、前記第2のセットのターゲットも配置された前記基板の第1のロケーションにほぼ分散し、
前記第1のターゲットセットの第2のサブセットが、前記第1のロケーションに追加された第2のロケーションに分散し、
前記メトロロジーターゲットを測定する前記ステップが、請求項9又は10に記載の方法によって前記第2のロケーションの1つ以上で前記パラメータの値を決定することを含む、
デバイス製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
[0009] 本発明は、小さいターゲットのメトロロジーを用いて、例えば半導体基板上の製品エリア内のロケーションにおけるパラメータの測定を可能にすると共に、それらの測定値が製品フィーチャのパラメータを表す精度の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[0010] 本発明の第1の態様によれば、基板であって、この基板上に形成され分散している1つ以上の製品フィーチャと、複数のメトロロジーターゲットと、を有する基板が提供される。複数のメトロロジーターゲットは、製品パターンが基板に適用されたリソグラフィプロセスの性能のパラメータの測定に用いるために適合され、メトロロジーターゲットは、
パラメータを測定するための第1のターゲットセットと、
同一のパラメータを測定するための第2のターゲットセットと、を含み、
第1のターゲットセットの第1のサブセットは、第2のセットのターゲットも配置された基板の第1のロケーションにほぼ分散し、第1のターゲットセットの第2のサブセットは、第1のロケーションに追加された第2のロケーションに分散し、
第1のターゲットセットは、製品フィーチャの最小のものよりも何倍も大きいサイズを有する主要フィーチャを備え、第2のターゲットセットは、フィーチャを含む製品フィーチャの最小のものと同様のサイズの主要フィーチャを備え、
これによって、150nmよりも長い波長の放射を用いて第1のセットのターゲットを検査すると共に、X放射を用いて第2のセットのターゲットを検査することにより、第1のロケーションの各々でパラメータを測定することができる。
【0011】
[0011] 第1及び第2の双方のセットのターゲットは各々、格子のような1つ以上の周期構造を備えることができる。第1のセットのターゲットの格子は100nmより大きいピッチ(空間周期)を有することができ、これは例えば200nmより大きい。主要フィーチャの内部に製品フィーチャと同一又は類似の規模であり得る下部構造(sub−structure)が含まれる実施形態を除外することなく、主要フィーチャのサイズを規定することができる。
【0012】
[0012] 第1のターゲットセットの測定用の放射は、可視光範囲、又はUVもしくはDUV範囲とすることができる。UV及びDUV波長は多数の層を貫通しないので、多数の層に生成されたフィーチャ間のオーバーレイの測定には適さない可能性がある。クリティカルディメンション(CD)、又はマルチパターニング層内のオーバーレイのような他の構造特性では、単一の層のみを検査すればよいので、貫通しないことは支障とならない場合がある。
【0013】
[0013] X放射は、例えば1nm未満、又は0.2nm未満の波長を有し得る。多くの場合、X線は波長でなく光子エネルギによって特徴付けられる。これによって表すと、X放射は、13KeVより大きいか又は15KeVより大きいエネルギを有し得る。
【0014】
[0014] US20130059240号では、光学スキャトロメータを使用して行うオーバーレイ測定の精度を向上させるために、大きいターゲット及び小さいターゲットの組み合わせを用いる提案が行われたことを注記しておく。しかしながら、その場合の大きいターゲット及び小さいターゲットの双方は、同一の形態及びフィーチャサイズを有し、同一の光学計器内で異なる分岐によって測定される。従って、この提案は、製品同様のフィーチャのオーバーレイを精度高く測定するという問題には対処していない。
【0015】
[0015] パラメータはオーバーレイとすることができ、各ターゲットは2つ以上のパターニングステップで形成されたオーバーレイ格子とすることができる。本発明のいくつかの実施形態では、製品フィーチャはスクライブレーンによって分離された製品エリアに配置され、第2のセットのターゲットは主にスクライブレーン内に位置すると共に第1のセットのターゲットは製品エリア内に分散している。第1のセットのターゲットの方が第2のセットのターゲットよりも数が多く、第2のセットのターゲットの各々の方が大きい面積を占める。
【0016】
[0016] 本開示において、「製品フィーチャ」という表現は、製造された機能デバイスにおける最終形態の製品フィーチャに限定されることは意図しておらず、そのようなフィーチャの前駆体(precursor)を含む。その例として、パターンを物理的な製品フィーチャへと変化させる現像やエッチング等を行う前の、露光によってパターンが記録された感光性レジスト材料の部分が挙げられる。2つの層間のオーバーレイの測定では、例えば、完成品の半導体デバイス又は他の製造される製品内に存在する機能フィーチャを形成する前に、下の層にエッチングされている物理的な製品フィーチャを、レジスト層に潜像として又は現像済みの形態で存在する製品フィーチャと比較すればよい。
【0017】
[0017] 本発明は更に、製品フィーチャが基板に適用されたリソグラフィプロセスの性能のパラメータを測定する方法を提供する。この方法は、
(a)製品フィーチャの基板への適用と同時に、同一のパラメータを測定するための第1のターゲットセット及び第2のターゲットセットを含む複数のメトロロジーターゲットを適用することであって、第1のターゲットセットの第1のサブセットが、第2のセットのターゲットも配置された基板の第1のロケーションにほぼ分散し、第1のターゲットセットの第2のサブセットが、第1のロケーションに追加された第2のロケーションに分散していることと、
(b)第1のターゲットセットの第1のサブセットの少なくとも1つのターゲットに、150nmよりも長い波長の放射を照射し、ターゲットによって回折又は反射された放射を検出し、放射を表す信号を処理して、第1のロケーションの対応する1つにおけるパラメータの第1の値を決定することと、
(c)同一の第1のロケーションにおける第2のセットのターゲットにX放射を照射し、第2のセットのターゲットによって散乱された放射を検出し、放射を表す信号を処理して、第1のロケーションにおけるパラメータの第2の値を決定することと、
(d)同一の第1のロケーションで測定した第1及び第2の値間の比較に基づいて、第1のターゲットセットを用いて測定したパラメータ値の補正を決定することと、
を含む。
【0018】
[0018] 本発明は更に、デバイス製造方法を提供する。この方法は、
第1及び第2のメトロロジーターゲットセットを画定するパターンを基板に転写するのと同時に、リソグラフィプロセスを用いてパターニングデバイスから基板上に機能デバイスパターンを転写することと、
基板に適用されたメトロロジーターゲットを測定して、リソグラフィプロセスの1つ以上のパラメータの値を決定することと、
メトロロジーの結果に従って、リソグラフィプロセスの以降の動作において補正を適用することと、を含み、
メトロロジーターゲットが、同一のパラメータを測定するための第1のターゲットセット及び第2のターゲットセットを含み、第1のターゲットセットの第1のサブセットが、第2のセットのターゲットも配置された基板の第1のロケーションにほぼ分散し、第1のターゲットセットの第2のサブセットが、第1のロケーションに追加された第2のロケーションに分散し、
メトロロジーターゲットを測定するステップが、上述したような本発明に従った方法によって第2のロケーションの1つ以上でパラメータの値を決定することを含む。
【0019】
[0019] 以下で、本発明の別の特徴及び利点、並びに本発明の様々な実施形態の構造及び動作について、添付図面を参照して詳細に記載する。本発明は、本明細書に記載する特定の実施形態に限定されないことに留意すべきである。このような実施形態は、例示の目的のためにのみ本明細書に提示する。本明細書に包含される教示に基づき、当業者には追加の実施形態が明らかであろう。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[0021] 本発明の実施形態について詳述する前に、本発明の実施形態を実施することができる例示的な環境を提示することが有用である。
【0023】
[0022]
図1はリソグラフィ装置LAを概略的に示す。この装置は、放射ビームB(例えばUV放射又はDUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構成され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを精度高く位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続されたパターニングデバイス支持体又は支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、各々が基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、特定のパラメータに従って基板を精度高く位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された2つの基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTa及びWTbと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ以上のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(例えば屈折投影レンズシステム)PSと、を含む。基準フレームRFは様々なコンポーネントを接続し、パターニングデバイス及び基板、並びにそれらのフィーチャの位置を設定及び測定するための基準として機能する。
【0024】
[0023] 照明システムは、放射を誘導し、整形し、又は制御するための、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、又はその他のタイプの光学コンポーネント、あるいはそれらの任意の組み合わせ等の様々なタイプの光学コンポーネントを含むことができる。
【0025】
[0024] パターニングデバイス支持体は、パターニングデバイスの方向、リソグラフィ装置の設計、及び、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否か等の他の条件に応じた方法で、パターニングデバイスを保持する。パターニングデバイス支持体は、パターニングデバイスを保持するために、機械的、真空、静電気、又はその他のクランプ技術を使用することができる。パターニングデバイス支持体は、例えばフレーム又はテーブルでよく、必要に応じて固定式又は可動式でよい。パターニングデバイス支持体は、パターニングデバイスが例えば投影システムに対して確実に所望の位置にくるようにできる。本明細書において「レチクル」又は「マスク」という用語を使用した場合、その用語は、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義と見なすことができる。
【0026】
[0025] 本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを付与するために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。放射ビームに付与されるパターンは、例えばパターンが位相シフトフィーチャ又はいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分における所望のパターンに正確には対応しないことがある点に留意すべきである。一般的に、放射ビームに付与されるパターンは、集積回路等のターゲット部分に生成されるデバイスの特定の機能層に相当する。
【0027】
[0026] パターニングデバイスは透過性又は反射性とすることができる。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスク等のマスクタイプ、更には様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小さなミラーのマトリクス配列を使用し、そのミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するように個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームにパターンを与える。従って、「パターニングデバイス」という用語は、そのようなプログラマブルパターニングデバイスによって実現されるパターンを規定する情報をデジタル形式で記憶するデバイスを指すものと解釈することも可能である。
【0028】
[0027] 本明細書において使用する「投影システム」という用語は、使用する露光放射、又は液浸液の使用や真空の使用のような他の要因に合わせて適宜、例えば屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、磁気光学システム、電磁気光学システム及び静電気光学システム、又はその任意の組み合わせを含む任意のタイプの投影システムを網羅するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書において「投影レンズ」という用語を使用した場合、これは更に一般的な「投影システム」という用語と同義と見なすことができる。
【0029】
[0028] 本明細書で示すように、本装置は、(例えば透過マスクを使用する)透過タイプである。あるいは、装置は、(例えば上記で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイを使用する、又は反射マスクを使用する)反射タイプでもよい。
【0030】
[0029] 例示として示すリソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)又はそれ以上の基板テーブルWta及びWtb(及び/又は2つ以上のマスクテーブル)を有するタイプである。このような「マルチステージ」機械では、追加のテーブルを並行して使用するか、あるいは、1つ以上の他のテーブルを露光に使用している間に1つ以上のテーブルで予備工程を実行することができる。
【0031】
[0030] リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を充填するように、基板の少なくとも一部を水等の比較的高い屈折率を有する液体で覆えるタイプでもよい。液浸液は、例えばマスクと投影システムの間等、リソグラフィ装置の他の空間に適用することもできる。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させるために当技術分野で周知である。
【0032】
[0031]
図1を参照すると、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受ける。放射源とリソグラフィ装置とは、例えば放射源がエキシマレーザである場合に、別々の構成要素であってもよい。このような場合、放射源はリソグラフィ装置の一部を形成すると見なされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダを含むビームデリバリシステムBDを利用することで、放射源SOからイルミネータILへと渡される。他の事例では、例えば放射源が水銀ランプの場合は、放射源がリソグラフィ装置の一体部分であってもよい。放射源SO及びイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDと共に放射システムと呼ぶことができる。
【0033】
[0032] イルミネータILは、例えば、放射ビームの角度強度分布を調整するためのアジャスタAD、インテグレータIN、及びコンデンサを含むことができる。イルミネータを用いて放射ビームを調節し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。
【0034】
[0033] 放射ビームBは、パターニングデバイス支持体(例えばマスクテーブルMT)上に保持されたパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射し、パターニングデバイスによってパターンが付与される。パターニングデバイス(例えばマスク)MAを横断した放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSはビームを基板Wのターゲット部分C上に合焦させる。第2のポジショナPWと位置センサIF(例えば干渉計デバイス、リニアエンコーダ、2Dエンコーダ、又は容量センサ)を利用して、基板テーブルWTa又はWTbは、例えば、様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路に位置決めするように正確に移動できる。同様に、第1のポジショナPMと別の位置センサ(
図1には明示されていない)を用いて、例えばマスクライブラリからの機械的な取り出し後又はスキャン中に、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイス(例えばマスク)MAを正確に位置決めできる。
【0035】
[0034] パターニングデバイス(例えばマスク)MA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2と基板アライメントマークP1、P2とを使用して整合させることができる。図示する基板アライメントマークは専用のターゲット部分を占めているが、基板アライメントマークをターゲット部分間の空間内に配置することもできる(これらはスクライブレーンアライメントマークとして既知である)。同様に、2つ以上のダイがパターニングデバイス(例えばマスク)MA上に提供されている場合、これらのダイ間にマスクアライメントマークを配置してもよい。また、ダイ内でデバイスフィーチャ間に小さいアライメントマークを含めてもよい。この場合、マーカはできるだけ小さくし、隣接するフィーチャと異なる結像条件又はプロセス条件を必要としないことが望ましい。
【0036】
[0035] 図示する装置は多種多様なモードで用いることができる。スキャンモードでは、パターニングデバイス支持体(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTa(又はWTb)が同期的にスキャンされる一方、放射ビームに付与されるパターンがターゲット部分Cに投影される(すなわち単一動的露光)。パターニングデバイス支持体(例えばマスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTaの速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光におけるターゲット部分の(非スキャン方向における)幅が制限され、スキャン動作の長さによってターゲット部分の(スキャン方向における)高さが決まる。他のタイプのリソグラフィ装置及び動作モードも可能であり、これらは当技術分野では周知である。例えばステップモードが知られている。いわゆる「マスクレス」リソグラフィでは、プログラマブルパターニングデバイスは静止状態に保持されるがパターンが変化し、基板テーブルWTaを移動又はスキャンする。
【0037】
[0036] 上述した使用モードの組み合わせ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
【0038】
[0037] リソグラフィ装置LAは、2つの基板テーブルWTa、WTbと、2つのステーションすなわち露光ステーションEXP及び測定ステーションと、を有する、いわゆるデュアルステージタイプであり、これらのステーション間で基板テーブルを交換することができる。露光ステーションで一方の基板テーブル上の1枚の基板が露光されている間、測定ステーションで他方の基板テーブルに別の基板を搭載し、様々な予備行程を実行することができる。予備行程には、レベルセンサLSを用いて基板の表面制御をマッピングすること、アライメントセンサASを用いて基板上のアライメントマーカの位置を測定することが含まれ得る。これによって装置のスループットを大幅に高めることができる。基板テーブルが測定ステーション及び露光ステーションにある間にその位置を位置センサIFが測定できない場合、第2の位置センサを設けて、基準フレームRFに対して双方のステーションにおける基板テーブルの位置を追跡することも可能である。
【0039】
[0038]
図2に示すように、リソグラフィ装置LAはリソグラフィセルLCの一部を形成する。リソグラフィセルLCはリソセル(lithocell)又はクラスタと呼ばれることもあり、基板に露光前プロセス及び露光後プロセスを実行する装置も含む。従来、これらには、レジスト層を堆積するためのスピンコータSC、露光したレジストを現像するためのデベロッパDE、チルプレート(chill plate)CH、及びベークプレート(bake plate)BKが含まれる。基板ハンドラすなわちロボットROは、入出力ポートI/O1、I/O2から基板を取り出し、それらを上記の様々なプロセス装置間で移動させた後、リソグラフィ装置のローディングベイLBに引き渡す。これらのデバイスは、まとめてトラックと称されることも多く、トラック制御ユニットTCUの制御下にある。TCU自体は監督制御システムSCSによって制御され、SCSはリソグラフィ制御ユニットLACUを介してリソグラフィ装置も制御する。従って、これら様々な装置はスループット及び処理効率を最大化するように動作させることができる。
【0040】
[0039]
図3は、リソグラフィセルLCでリソグラフィ装置LAによって処理される基板のパラメータ測定に用いられるメトロロジーシステムを示す。このメトロロジーシステムは、
図1及び
図2に示すものだけでなく、他の製造システムと併用することも可能である。具体的な目的はオーバーレイを測定することであるが、他のパラメータを測定することも可能であり、その場合は適宜、本明細書に開示する技法を適合させる。
【0041】
[0040]
図3に、本発明の一実施形態において有用なメトロロジーシステムが示されている。メトロロジーシステム1は、光学タイプである第1のメトロロジー装置102と、X線を使用する第2のメトロロジー装置104と、を備えて言える。図示のように、装置102は、リソグラフィプロセスによって基板W上に形成された第1のメトロロジーターゲットT1の特性を測定する。実際には装置全体を通していくつかの分岐を有する第1の光軸が、点線O1によって単純に表されている。装置102内の照明光学システムによって、光源からの照明放射がターゲットT1上のスポット内に形成される。説明のため、図では1本の入射光線I1を示す。照明放射は、光線0、+1、及び−1として表されるように、ターゲットT1で反射され回折される。これらの光線の少なくとも一部を、装置102内の検出光学システムによって収集して処理することで、第1のオーバーレイ測定値OV1を得る。
【0042】
[0041] 装置104は、ターゲットT1と同一のリソグラフィプロセスによって同一の基板上に形成された第2のメトロロジーターゲットT2の特性を測定する。点線O2によって第2の光軸が単純に表されている。照明システム104aは、光線I2で表すX線放射ビームを与え、これがターゲットT2上に照射スポットを形成する。この放射はターゲットT2を通過し、基板Wを通過する。この放射の一部は様々な角度に回折され、装置104の検出システム104bによって検出される。これらの角度はこの概略図では誇張されているが、実際には極めて小さい角度であり得る。検出システム104bによって検出された信号を処理して、ターゲットT2におけるオーバーレイの測定値OV2を得る。
【0043】
[0042] ターゲットT1及びT2は、製品フィーチャPと同一の基板上に同一のプロセスによって形成される。従って、ターゲットT1、T2を提供して測定することにより、メトロロジーシステム100は、製品フィーチャPのオーバーレイを間接的に測定することができる。以下で更に説明するように、基板全体に分布するロケーションに多数のターゲットT1及びT2が形成されている。認められるように、リソグラフィによって作製される典型的な製品は、相互に重なって形成されたいくつかの製品フィーチャ層を有する。測定対象のパラメータがオーバーレイである場合、ターゲットT1、T2の各々は、例えば相互に重なった層内に形成された複数のフィーチャを含み得る。
【0044】
[0043] 別の形態のオーバーレイは、単一の層に形成された複数のフィーチャの様々なポピュレーション(population)間のものである。そのようなフィーチャは、いわゆるダブルパターニングプロセス(一般にはマルチパターニング(multiple−patterning))で製造されるデバイスで生成されることがある。このカテゴリの技法には、例えば、LELE(litho−etch−litho−etch)及びバックエンド(BEOL)層の自己整合デュアルダマシン(self−aligned dual−damascene)によるピッチ倍増(pitch doubling)が含まれる。マルチパターニングプロセスでは、製品の1つの層に、1つのパターニング動作でなく2つ以上のパターニングステップで構造が形成される。このため、例えば構造の第1のポピュレーションが構造の第2のポピュレーションと交互になり(interleave)、これらのポピュレーションは異なるステップで形成されて、1つのステップだけで生成可能であるよりも高い解像度を達成することができる。これらのポピュレーションの配置は、基板上の他のフィーチャに対して同一かつ完璧でなければならないが、むろん実際のパターンは全てある程度の位置オフセットを示す。ポピュレーション間の意図しない位置オフセットはオーバーレイの一形態と見なすことができ、本明細書に開示するものと同様の技法によって測定可能である。更に、単一の層にフィーチャの多数のポピュレーションが形成される場合、下の層又は上の層内のフィーチャに対するオーバーレイはポピュレーション毎に異なることがあり、所望の場合は、これらのポピュレーションの各々で別個にオーバーレイを測定することができる。ターゲット及び方法は、要望どおりに、例えばクリティカルディメンション(CD)等のリソグラフィプロセスの他のパラメータを測定するように適合することができる。説明の目的のため、以下の例では、2つの層内のフィーチャ間のオーバーレイが対象のパラメータであることを想定する。
【0045】
[0044]
図3に概略的に示すように、ターゲットT1を形成する個々のフィーチャは、製品フィーチャPと比べて比較的サイズが大きい。ターゲットT2を形成する個々のフィーチャは、製品フィーチャPと同一か又は同様のサイズである。
図3には示さないが、装置104の光線I2が形成する放射スポットは、装置102の光線I1が形成する照明スポットよりも直径が大きい場合がある。従って、ターゲットT2が占める面積は、ターゲットT1が占めるものよりも大きい場合がある。ターゲットT2が占める面積は、ターゲットT1が占める面積の例えば2倍、3倍、又は4倍であり得る。このような大きい面積の利点は、良好な測定のための充分な放射をより迅速に収集できることである。X線メトロロジー装置104は、プロセスのばらつきに比較的影響を受けず、オーバーレイの正確かつ絶対的な測定値を与えることができるが、大きいターゲットT2が占める空間は、とりわけ製品エリア内でない多くのロケーションに含めるには大きすぎる。ターゲットT1は、製品エリア内を含めて基板の比較的多くのロケーションに設けるには充分に小さいが、これらのターゲットからの測定値はプロセスのばらつきによって影響され、必ずしも製品フィーチャP内に存在するオーバーレイを表すものではない。新規のメトロロジーシステムでは、処理ユニット106が、装置102、104を共に用いて双方のタイプのターゲットからの信号を処理して、基板の多くのポイントでオーバーレイの正確な測定値を得る。
【0046】
[0045] 説明の目的のため、
図3は、第1及び第2のメトロロジー装置102、104が基板W上のターゲットT1及びT2を同時に測定することを示すが、実際には、異なる時点及び場所で測定が行われる場合がある。ターゲットT1及びT2は、実際は基板Wのサイズに比べて極めて小さく、実際の基板上にはそれぞれのタイプの多くのターゲットが形成される。メトロロジー装置102、104は各々、大型の機器であり得る。このため、実用的な実施形態では、基板が装置102内にある間に全てのターゲットT1を測定し、(それより前又は後の)異なる時点で、基板が装置104内に搭載されている間に全てのターゲットT2を測定するということが考えられる。第1及び第2のメトロロジー装置は、単独のデバイスであるか、又は共通のハードウェアシステム内で相互に組み込むことができる。第1及び第2のメトロロジー装置の一方又は双方を、リソグラフィ装置LA自体と一体化するか、又はリソグラフィセルLC内に組み込んでもよい。
【0047】
[0046] 各メトロロジー装置のいっそう詳細な実施に関して、第1の実施形態では、第1のメトロロジー装置102は、序論(introduction)で述べたタイプの暗視野結像装置である。しかしながら、例えば画像ベースのターゲットのような他のタイプの小さいターゲットメトロロジーの精度向上のために本発明を適用可能であることは理解されよう。
【0048】
[0047] 装置102及びターゲットT1の内部構造については、ここでは詳細な図示も説明もしない。適切な装置102の構造及び動作、並びに適切なターゲットT1の設計の詳細は、国際特許出願WO2009/078708号及びWO2009/106279号で見ることができる。これらの文書は参照により全体が本願にも含まれるものとする。こういったターゲットは、照明スポットよりも小さく、ウェーハ上で製品構造によって囲まれる場合がある。複合格子ターゲットを用いて、1つの画像において多数の格子を測定することも可能である。この技法の更に別の開発は、公開特許公報US20110027704A号、US20110043791A号、US20120044470A号、US20120123581A号、US20130258310A号、US20130271740A号、及びWO2013178422号に記載されている。これらの開発のいずれも、本開示の装置102に関連して適用することができ、これら全ての出願の内容は参照により本願にも含まれるものとする。
【0049】
[0048] 暗視野オーバーレイメトロロジーのための装置102の動作を簡潔にまとめると、軸Oから外れた角度からターゲットT1内の格子に入射する照明光線I1は、ゼロ次の光線(実線0)及び2つの一次光線(一点鎖線+1及び二点鎖線−1)を生じる。これらの光線は、メトロロジーターゲット格子T及び場合によっては(オーバーフィルされた小さいターゲット格子と共に)他のフィーチャを含む基板エリアをカバーする多くの平行光線の1つに過ぎないことに留意すべきである。図示する方向からの照明を用いて、格子の暗視野像を形成するために+1次のみが選択される。照明の方向を変化させることで、−1次を別個に結像することができる。これら2つの画像を捕獲し、これらを比較すると、格子における非対称性を検出し解析することができる。2つ以上のバイアスさせた格子(プロセスによって生じる未知のオーバーレイエラーに加えて、既知のオフセットがプログラムされている格子)を用いて、これらの非対称性測定値をオーバーレイ測定値OV1に変換することができる。
図3の例示は、X方向の回折を示す格子のみを示す。これと同じ原理が、直交格子(これはY方向の回折を生じる)の測定にも適用される。1つの代替案では、照明角を回転させる代わりに基板を180度回転させる。検出は暗視野像の形態であるので、単一のステップで多数の格子を測定することができる。
【0050】
[0049] 例示的な実施形態における第2のメトロロジー装置104は、透過小角X線散乱(T−SAXS)装置である。典型的には、13KeVより大きいか又は15KeVより大きいエネルギを有し、0.1nm未満の極めて短い波長を有するX線を用いる。様々なエネルギを用いたコンパクトなX線源が容易に入手できる。これらの波長では、シリコン基板は透明である。このような短い波長では、シリコンウェーハは透明であり、ウェーハを通してターゲットの散乱パターン(例えば格子の回折パターン)を測定することができる。T−SAXS技法は材料解析のために広く用いられており、適切なT−SAXS装置は、例えばXenocs(仏国グレノーブル、www.xenocs.com)、又はBruker AXS GmbH(独国カールスルーエ、www.bruker.com)から市販されている。オーバーレイの測定に適用されるT−SAXS装置は、US2007224518号(Yokhin等、Jordan Valley)に開示されており、この出願の内容は参照により本願にも含まれるものとする。この例の照明システム104aは、X線源と、モノクロメータ等の光学要素と、コリメータと、を備えている。モノクロメータは、使用する波長の狭い範囲を保証し、コリメータは、X線照射スポットを形成するための入射角の狭い範囲を保証する。スポットサイズは数十ミクロンとすることができ、例えば直径20μから200μmである。スポットサイズはもっと小さい場合もある。検出システム104bは主として、典型的には検出要素のアレイである位置感応型X線検出器を備えている。このアレイは線形アレイとすることができるが、要素(画素)の2次元アレイを設けることで、X方向及びY方向の双方の回折パターンを同時に捕獲することも可能である。場合によっては、ビームストップ104cを含ませて、散乱していないビーム108が検出器に到達するのを防ぐことで、ターゲットにより散乱される(比較的弱い)光線を容易に検出できるようにする。
【0051】
[0050] また、反射X線散乱装置も利用可能である。これらは例えば、GI−SAXS(GIはかすめ入射を表す)、及び高反射率高解像度X線結晶構造解析を含む。Yuri Shvyd’ko及び他による論文が、「High−reflectivity high−resolution X−ray crystal optics with diamonds」(Nature Physics6、196〜199(2010年)、Published online、2010年1月17日、doi:10.1038/nphys1506)を記載している。Shvyd’koの論文は、X線波長で高い反射率を達成可能であることを裏付けているが、通常の材料の場合は貫通する。これらの反射技法は、原理上、T−SAXSに加えて又はT−SAXSの代わりに、リソグラフィプロセスによって製造される周期構造の特性を測定するように適合して使用することができる。GI−SAXSでは、照射スポットは、半導体製造における典型的なオーバーレイターゲットに望ましいものよりも著しく大きい傾向がある。しかしながら、高反射率X線技法は、必要に応じて小さいスポットを用いて機能することができる。
【0052】
[0051] 製品同様のフィーチャ寸法及びX線波長から得られる散乱角によって、いくつかの回折次数を検出できることになる。X線波長帯におけるオーバーレイターゲットの場合、双方の層の寄与は回折振幅について付加的であり、上層と下層との間に結合はない。しかしながら、完璧に整合した格子及びわずかに整合していない格子は、異なる回折ピーク強度を有する。回折パターンの全体的な形状を表す回折包絡線は異なっている。回折次数の強度を測定することで、オーバーレイ及び強度をリンクさせる経験的モデルを構築することができる。このモデルは、ピーク強度のみに基づくか、又はピークもしくはスペクトル全体の形状を考慮することができる。このモデルの詳細な設計は、特性が測定されるターゲットの性質、計算能力における妥協、測定時間等によって決まる。回折ピークの形状を用いて、例えば、ターゲットの不規則性(ラインエッジの粗さLER)等のターゲットに関する何らからの情報を得ることができる。これは、例えば透過電子顕微鏡法(TEM)又は光学CDメトロロジー(OCD)により行われる測定を用いたデジタル処理及び比較によって実行される。また、回折プロセスを明示的にモデル化することによってオーバーレイターゲットを復元することも実行可能である。X線散乱では、CD、高さ等のパラメータ間の相互相関は無視することができ、測定値はプロセスのばらつきに影響されない。
【0053】
[0052] 回折プロセスは以下のようにモデル化することができる。Aは、位置x
1及びx
2にフィーチャf
1及びf
2を有する2つの格子の回折振幅を表すものとする。オーバーレイメトロロジーに用いられるような単周期的(monoperiodic)(「1D−p」)格子の回折次数(h、0、0)では、振幅は以下の通りである。
【数1】
このため、回折強度は以下の通りとなる。
【数2】
ここでcは定数である。オーバーレイovはx
2−x
1と定義される。一方の格子を半ピッチだけ他方の格子上でシフトすることにより、強度とオーバーレイとの間のサイン依存性(sine−dependency)を得る。
【数3】
hは個々の回折ピークの次数である。各回折次の強度は、オーバーレイに関する情報を伝えることができる。
【0054】
[0053] X線方法は、プロセスロバスト性が高く、パターン形成されていない層の影響を受けない。これによって、多数のバイアスさせたターゲットに頼ることなく絶対的なオーバーレイ測定値を得ることができるが、所望の場合は多数のバイアスさせたターゲットを用いることも可能である。しかしながら、これが最良に機能するのは、2つのみの対象の格子(レベル1及びレベル2)が存在する透過のための透明なエリアが存在する場合である。これは、少数のみの層が生成されているリソグラフィ製造プロセスの「フロントエンド」(FEOL)に当てはまることが多い。一般に、これらのフロントエンド層は、オーバーレイ等のパラメータについて最もクリティカルな仕様を有するものである。対象のターゲットとピッチが異なる場合、X線経路内にパターン形成された構造を有し得る。原理的には、その場合、オーバーレイターゲットについて得られる情報を、異なる周期性を有するバックグラウンドから区別することができる。しかしながら一般的には、他の構造が存在することで、ダイ内又は製品内の測定はいっそう複雑になるか又は不可能となるので、相互に重なった2つのみの対象の構造を有することが好ましい。
【0055】
[0054]
図4は、基板W上のメトロロジーターゲットT1及びT2の代表的な例を示す。
図4(a)は基板Wを概略的に示す断面図である。製造プロセス中に、この基板に対して下部及び上部の製品層L1及びL2が追加される。基板に載っている製品フィーチャ(機能デバイス構造)の品質がオーバーレイの注意深い制御に左右されることは理解されよう。実際の製品は多数の層を有する。
図4(b)は、これらのターゲット領域における基板の平面図を示す。断面図(a)に示すように、これらのターゲットは双方の層L1及びL2の双方に格子フィーチャを有するが、平面図では上層のフィーチャのみを見ることができる。
【0056】
[0055] この例において、ターゲットT1は、暗視野オーバーレイ測定技法において既知であるような、基板上の複合ターゲットを含む。複合ターゲットは、第1のメトロロジー装置102の照明ビームによって形成される測定スポット408内に収まるように近接配置された4つの小さい格子402〜405を備えている。このため、これら4つの格子は全て同時に照明され、同時にセンサ上に結像される。オーバーレイ測定専用の例では、格子402〜405自体は、基板W上に形成された半導体デバイスの異なる層内にパターニングされたオーバーレイ格子で形成されている。格子402〜405は、複合格子の異なる部分が形成されている層間のオーバーレイの測定を容易にするため、異なるバイアスが与えられている。本例では、格子は異なる向き(orientation)を有する。例えば、
図4に示すターゲット内にX格子及びY格子が概略的に示されている。X方向の格子402、404はそれぞれオフセット+d及び−dを有すると共に、Y方向の格子403、405は+d及び−dのオフセットを有することができる。別の例では、4つの格子は単一の向きを有するが、それぞれ+d、−d、+3d、−3dのオフセットを有することができる。この「バイアス」とは、格子の一方において、コンポーネントが双方とも正確に公称位置で印刷された場合にコンポーネントの一方が他方に対して距離dだけオフセットされるようにコンポーネントが配置されていることを意味する。第2の格子では、コンポーネントが完璧に印刷された場合にオフセットdを有するが、これが第1の格子とは逆方向であるようにコンポーネントが配置されている等とする。4つの格子を示すが、実際的な実施形態では、所望の精度を得るためにもっと多くの格子を用いることも可能である。
【0057】
[0056] ターゲットT1の寸法L1は、例えば約10μmであり、例えば5〜20μmの範囲とすればよい。第1のメトロロジー装置102は、画像センサに形成された暗視野像内の異なる個々の格子402〜405を分解する。画像プロセッサ及びコントローラPUはこれらの画像を処理して、例えばパターンマッチング技法によって、格子の別々の画像を識別する。
【0058】
[0057] いったん格子の別々の画像が識別されたら、例えば識別したエリア内の選択した画素の強度値を平均化又は合計することによって、これらの個々の画像の強度を測定することができる。画像の強度及び/又は他の特性を相互に比較することができる。異なる向き又は照明方向を用いて、異なる測定値の取得が可能となる。これらの結果を組み合わせて、リソグラフィプロセスのパラメータとしてオーバーレイを測定することができる。
【0059】
[0058] また、ターゲットT2は、層L1及びL2に形成されたオーバーレイ格子420及び422を備えている。この図示する例では、一方の格子420はX方向に周期的であり、X方向のオーバーレイ測定値を与えるのに対し、格子422はY方向に周期的であり、Y方向で測定されるオーバーレイを与える。第2のメトロロジー装置104は、円424で表す照射スポットを用いて、検出システム104bで回折スペクトルを得る。これについては上述し、更に(例えば)US2007224518A号に開示されている。ターゲットT2のターゲットフィーチャ(格子ライン)はターゲットT1のフィーチャよりもはるかにピッチが細かいが、それらは一定の縮尺通りに描かれていないことに留意すべきである。特に、それらは、最もクリティカルな製品フィーチャP(
図4(b)には示さないが、
図3に示すように基板上に存在する)と同一又は同様の寸法を有する場合がある。これに対して、第1のターゲットT1の格子フィーチャ又は他のフィーチャは、製品フィーチャよりもはるかに大きい。一例として、ターゲットT2は、一方又は双方の方向において50nm未満のピッチの周期パターンを有し得る。一例として、ターゲットT1は、100nmよりも大きい、例えば400nmよりも大きいピッチの周期パターンを有し得る。
【0060】
[0059] ここで言及するピッチ及びフィーチャサイズは、ターゲットの主要フィーチャに関連することに留意すべきである。様々な理由で、格子又はその他のメトロロジーターゲットの主要フィーチャ自体が細分される(sub−segment)場合があることは既知である。このような細分は、例えば、露光及びエッチングプロセスにおいてフィーチャをいっそう製品同様にするために行われる。また、細分は、例えば正弦格子を近似するため、主要フィーチャの有効屈折率を変調するために提案されている。しかしながら、もっと長い波長で動作する光学メトロロジー装置は、細分が「見えない(blind)」ので、主要フィーチャのみを見る。
【0061】
[0060]
図5は、ターゲットT1及びT2の代替的な形態を平面図で示す。この例におけるターゲットT1は、格子の代わりに「ボックスインボックス(box−in−box)」フィーチャ502、503を有する。1つのボックス型フィーチャ502は1つの層に形成され、別のフィーチャ503は別の層に形成されている。508は、例えばKLA−Tencor Corporation(www.kla−tencor.com)により製造されたArcher(TM)とすることができる画像ベースのオーバーレイメトロロジー装置の視野を表す。フィーチャ502、503は、装置が捕獲した画像内で別々に分解され、内側フィーチャ503が外側フィーチャ502に対して中心にあるか又は中心から外れているかを判定することによってオーバーレイを測定することができる。画像ベースのオーバーレイメトロロジーのための様々な強化(enhanced)ターゲットが、Adel等による論文「Optimized Overlay Metrology Marks: Theory and Experiment」(IEEE Transactions on Semiconductor Manufacturing(17巻、2号、2004年5月、166〜179ページ、DOI 10.1109/TSM.2004.826955))に開示されている。
図5に示すボックスインボックス設計は概略的なものに過ぎない。上述のように、502、503と表記するボックス等の主要フィーチャは、(細分された)もっと小さいフィーチャから構成され得る。これらのフィーチャのサイズに対する言及は、図示する主要フィーチャについてのものである。光学メトロロジー装置には、細分が「見えない(blind)」。
【0062】
[0061] この例のターゲットT2は、
図4の格子420、422の一方と同様のサイズの二次元(2−D)格子520を備えている。X線照射スポット524は同様のサイズであるが、この場合の適切なメトロロジー装置104は、単一の露光によって、X方向及びY方向の双方で別々に回折パターンを分解することができる。図示する格子520のフィーチャはドットであり、製品同様の寸法を有し、例えば各方向のピッチは50nmである。上述したUS2007224518A号に示すタイプのボックス及びバーのようなフィーチャを含む、異なる形態の2−Dフィーチャも想定することができる。一実施形態において、
図5のターゲットT1を
図4のターゲットT2と共に使用することができ、その逆もまた同様であることに留意すべきである。
【0063】
[0062]
図4及び
図5のいずれの実施形態においても、ターゲットT2はターゲットT1よりも著しく大きい寸法L2を有することがわかる。例えば、これは40μm又はそれ以上であり得る。ターゲットは照射スポット424によってアンダーフィルされることが好ましい。X線源システム104aにおいて適切なコリメータを用いて、照射スポット424のサイズを例えば10x10μmの小ささに縮小することにより、もっと小さいターゲットを達成可能である。しかしながらその場合、既存のX線機器は、正確な回折スペクトルを得るために比較的長い捕獲時間を必要とする。もっと大きいターゲットを提供することによってスポットサイズを拡大することは、精度及びスループットの必要な組み合わせを得るための1つの方法である。一方、製品エリア内でオーバーレイを測定することも重要であり(いわゆる「ダイ内」メトロロジー)、その目的のためには小さいターゲットが重要である(ダイ内のスペース(real estate)は極めて高価である)。
【0064】
[0063] 従って、本開示は、非製品エリアにおける製品同様の大きいターゲットのX線測定と、製品エリアにおける小さいターゲットの光学メトロロジーとを組み合わせた、ハイブリッドな解決策を提案する。小さいターゲットの隣に並置してスクライブラインに大きいX線ターゲットを配置することにより、X線測定を用いて小さいターゲットの光学測定を較正することができ、X線測定は、「解像度レベルの(at resolution)」フィーチャ(例えば50nmピッチ)で測定されたオーバーレイと、もっと粗いターゲット(例えば500nmピッチ)で測定されたオーバーレイを、変換する(translate)ように機能することができる。これにより、例えば非対称性感度の差によって引き起こされ、リソグラフィ装置LAの投影システムPSにおける収差に関連した感度の差によって引き起こされ得る、粗いピッチと細かい解像度レベルのピッチとのオーバーレイ間の系統的バイアスを、処理ユニット106によって補正することができる。
【0065】
[0064]
図6は、上述のハイブリッド技法をサポートするパターニングデバイスMの全体的なレイアウトを概略的に示す。パターニングデバイスMは、例えばレチクルであり得る。すでに述べたように、メトロロジーターゲット600は、機能デバイスパターンエリア602の間の、適用されたパターンのスクライブレーン部分に含めることができる。周知のように、パターニングデバイスMは、単一のデバイスパターンを含むか、又はリソグラフィ装置のフィールドが充分に大きいのでこれに収まる場合には複数のデバイスパターンのアレイを含むことも可能である。
図6の例は、D1からD4と表記する4つのデバイスエリアを示す。スクライブレーンターゲット600は、これらのデバイスパターンエリアに隣接してこれらの間に配置されている。半導体デバイス等の完成基板において、基板Wは、これらのスクライブレーンに沿って切断することで個々のデバイスにダイシングされるので、ターゲットの存在が機能デバイスパターンのために利用できるエリアを縮小することはない。ターゲットが従来のメトロロジーターゲットに比べて小さい場合、ターゲットをデバイスエリア内に配置して、基板全体のリソグラフィ及びプロセス性能を綿密に監視することができる。このタイプのいくつかのダイ内ターゲット604をデバイスエリアD1に示す。
図6はパターニングデバイスMを示すが、リソグラフィプロセスの後に同じパターンが基板W上で再現されるので、結果として、この説明は基板W及びパターニングデバイスに当てはまる。
【0066】
[0065] 製品内スペースを犠牲にすることなくオーバーレイ測定の性能及び密度を向上させるため、
図8のスクライブレーンターゲット600及びダイ内ターゲット604は、小さい(光学)ターゲットT1及び大きい(X線)ターゲットT2のハイブリッドに基づいている。これについて以下で説明する。
【0067】
[0066]
図7は、パターニングデバイスM上の製品エリア602の1つを更に詳細に示し、ターゲット600及び604を更に詳細に示す。リソグラフィプロセス中に、基板上の各フィールドで同一のパターンが生成及び反復される。製品エリアをDと表記し、スクライブラインエリアをSLと表記する。製品エリア602には、小さいターゲット604が、製品フィーチャ間の様々なロケーションに所望の密度で散在している。これらのターゲット604は、例えば
図4又は
図5に示すターゲットT1の形態を有し、
図3のメトロロジーシステムの第1のメトロロジー装置102を用いて測定することができる。スクライブレーンエリアSLには、例えば
図4又は
図5に示すタイプT2の大きいターゲット600aが設けられ、これらはX線を用いる第2のメトロロジー装置104を使用して測定することができる。大きいターゲット600aの各々の横に1つ以上の小さいターゲット600bが設けられているが、これらはスクライブレーンエリアSL内にあってもよく、又は製品エリア602内部にあってもよい。各ターゲットが2つ以上の個々の格子から成るグループを含む場合、小さいターゲット及び大きいターゲットの個々の格子は、完全に別々ではなく、大きいターゲットの格子の間に位置付けることができる。小さいターゲット600bは、製品エリア602に分布した小さいターゲット604と同一の形態である。ターゲットのこの組み合わせにより、大きいスクライブレーンターゲット600aを用いてオーバーレイの低次のモデルを高い精度で測定することができると共に、小さい製品内ターゲット604を高密度で測定し、低次モデルの摂動(perturbation)としてモデル化することができる。規則的なターゲット600aには近傍に小さいターゲット600bが付随するので、例えば小さいターゲットを用いて測定したオーバーレイのプロセス依存性が引き起こす不正確さを認識して補償することができる。
【0068】
[0067] 序論及び特許請求の範囲の用語で述べると、
図7から、基板上に設けられたターゲットが、タイプT1の第1のターゲットセット及びタイプT2の第2のターゲットセットを含むことがわかる。第1のターゲットセットの第1のサブセット(ターゲット600b)は、第2のターゲットセット(600a)も配置された基板の第1のロケーションにほぼ分散している。第1のターゲットセットの第2のサブセット(604)は、第1のロケーションに追加された第2のロケーションに分散している。
【0069】
[0068]
図8は、上述の新規のハイブリッド測定概念と、
図3のメトロロジーシステムにおいて処理ユニット106が実施する処理とをグラフで示す。横軸Xは、基板の幅方向の(across)1つの次元を表す。この軸上に製品エリアD及びスクライブレーンエリアSLが画定される。縦軸は、測定されたオーバーレイ値OVLを表す。700aと表記する円で囲んだ2つのポイントが記入され、大きいターゲット600aで測定したオーバーレイを示している。大きいターゲットに隣接した小さいターゲット600bを用いて測定したオーバーレイ値は700bと表記され、小さいターゲット604を用いて製品エリアで測定されたオーバーレイ値は704と表記されている。例示のため、この製品エリアの両端のオーバーレイに単純な線形モデルを適用して、ポイント700a間で一点鎖線のプロファイル曲線706を描くことができる。この曲線は又は、ポイント700aでオーバーレイをサンプリングする場合に高い精度を有すると見なすことができるが、それらの間の製品エリアでは詳細がない。小さいターゲット測定値700b及び704から、別のプロファイル曲線708(二点鎖線)が描かれる。この高次のプロファイルは明らかにX方向の詳細をもっと含むが、その測定オーバーレイ値は、プロセス依存性及び測定計器の限界のためにエラーを生じやすいことが知られている。しかしながら、ターゲット600b及び600aが基板上のほぼ同じポイントに位置することがわかっているので、グラフ上のポイント700bが表す真のオーバーレイ値はポイント700aの値によってもっと正確に表されると想定することができる。従って、オフセット710を計算し、全てのポイント704に適用することにより、曲線708からの詳細を直線706の摂動として適用して、絶対精度と製品エリアにおける詳細な構造の双方を有する曲線712を得ることができる。
【0070】
[0069]
図8の簡略化した図示は1つのみの次元を示すが、測定及びモデルがX方向及びY方向の双方に拡張されることは当業者には認められよう。X方向及びY方向のオーバーレイを、この2次元エリアにおいて別々にモデル化することができる。同様に、曲線706は2つのみのサンプルポイント間の線形モデルであるが、実際の基板は多数の測定値700aを有し、これらは2次元においても高次モデルに結び付ける(join)ことができる。この線形補間は、例えばスキャンタイプのリソグラフィ装置において、オーバーレイに対する結像効果の影響が照明スリット上で線形に変動する場合、充分に機能し得る。別の代替案は、追加の大きいターゲット及び小さいターゲットの対を用いて、下部スクライブレーンに沿ったばらつきを測定することである。これらによって、装置は、スリットに沿った高次の挙動を捕獲することができる。いずれの場合であっても、曲線708から摂動を追加することで、特に製品内ばらつきを示す更なる高次をモデルに追加することができ、しかも、大きいX線ターゲットに必要なエリアを犠牲にすることはなく、小さいX線ターゲットを用いるのに必要なスループットを犠牲にすることもない。オーバーレイ値は多数の方法で解析することができる。例えばプロセッサ106は、基板の全てのフィールドに共通する摂動を、基板全体で様々に異なるものから分離させることができる。このため、フィールド間オーバーレイ指紋からフィールド内オーバーレイ指紋を分離させることができる。
【0071】
[0070]
図9は、
図3のメトロロジーシステムにおいて、オーバーレイ等のリソグラフィプロセスのパラメータを測定するための全体的なプロセスの一例を示すフローチャートである。このプロセスは、基板に比較的まばらに分布したX線ターゲットと、もっと高密度に分布した小さい光学ターゲットとの組み合わせを使用する。ステップS1では、1つのパターニングデバイス(レチクル)又はパターニングデバイスのセットに、
図4及び
図5で示したもののようなターゲットパターンを、製品パターンエリア602の周りに及び内部に分散させて設ける。ターゲットのレイアウトは、例えば
図8に示したものと同様とすればよい。ターゲットがオーバーレイ測定のためのものである場合、半導体又は他の製品の異なる層L1、L2内にパターンを画定する少なくとも2つの異なるレチクルに、ターゲットを生成するためのパターンを含ませる。レチクルをプログラマブルパターニングデバイスで置き換える場合、パターンはデータ形態で与えられるが、プロセスは本質的に同じである。S2では、リソグラフィプロセスを用いて基板のフィールドエリア上にメトロロジーターゲット及び製品フィーチャを形成する。むろん、実際には一連の基板にパターンを形成し、ステップS2及び以降のステップを繰り返す。以下のステップは特定の順序で図示し記載するが、プロセスの原理から逸脱することなく様々な順序で実行することができる。
【0072】
[0071] 次いで、パターンを形成した基板を、
図3のメトロロジーシステム100を形成するもの等のメトロロジー装置内に搭載する。ステップS3及びS5は、第2の(X線)メトロロジー装置104における大きいターゲット600aのオーバーレイの測定に関する。S3では、小角X線散乱を用いて、各ターゲット(及び、多数の格子が設けられている場合はターゲット内の各格子)の回折スペクトルを捕獲する。S5では、スペクトルを処理して、1つ以上のターゲット600aにおける測定値を導出する。S6では、測定した大きいターゲットオーバーレイ値を組み合わせて、
図10の曲線706で表される基板のオーバーレイの低次プロファイルを得る。
【0073】
[0072] ステップS7及びS8では、暗視野結像技法を想定し、基板における小さいターゲット600b及び604を、−1次及び+1次回折放射を用いてそれぞれ測定する。単に一例として
図3のスキャトロメータを用いて、これらの測定を暗視野結像分岐及びセンサ23によって従来の出願に述べられているように実行する。ステップS9では、各ターゲット及びターゲット内の各格子について、2つの測定強度を比較して、小さいターゲットの各々のオーバーレイ測定値を得る。S10では、これらを組み合わせて、
図8の曲線708と同様の、基板のオーバーレイの高次プロファイルを規定することができる。第1のメトロロジー装置が、例えば画像ベースのメトロロジー装置のような異なるタイプである場合、異なるステップS7〜S9を実行して、小さいターゲットからのオーバーレイ測定値を得ることができる。
【0074】
[0073] S11では、小さい光学ターゲット600bが大きい製品同様のターゲット600aに隣接しているという知識を用いて、ステップS6及びS11からの低次プロファイル及び高次プロファイルをマージすることで、ハイブリッドプロファイル(すなわち
図8の曲線712)を生成する。2つのタイプのターゲットからのデータを組み合わせる方法は重要でなく、実際にはそれらのデータを別々に記憶し、使用の際に相互参照及び/又は調整を行うことも可能である。原理は、小さいターゲットを用いて測定したパラメータ(例えばオーバーレイ)を、相互に隣接した小さいターゲットと大きいターゲットとの間で観察されたオフセットを参照して補正できるということである。
【0075】
[0074] 上述のように、オーバーレイ及びその他のパラメータのプロファイルは、基板全体で1つのばらつきとして表現する必要はない。これは例えば、全てのフィールドに共通するフィールド内プロファイル(基板W上の異なるロケーションにおけるパターニングデバイスMを用いたパターニングの各インスタンス)と、フィールド内ばらつきが繰り返し重畳される低次のフィールド間ばらつきとして、表現することができる。
【0076】
[0075] オーバーレイエラーのプロファイルが、全てのフィールドについてほぼ同じである強力なフィールド内成分を有すると想定すると、ステップS12で破線が示すように、短縮した測定プロセスを実施することができる。プロセスのこの変更された実施形態では、小さいターゲット600b、604は全て、フィールド内プロファイル及びオフセット710を決定し記録するのに充分な少数の代表的なフィールドについてのみ測定される。基板の小さいターゲットを全て測定することなく、フィールド内ばらつきを、基板の全てのフィールドについて、低次フィールド間プロファイル上に重畳することができる。むろん、この実施形態はフィールド内プロファイルが充分に繰り返されることを想定しており、これは各プロセスで実験によって検証する必要がある。利点は、時間及び測定スループットの犠牲が、小さいターゲットを全て測定するプロセスほど大きくないことである。同様に、小さいターゲット測定と大きいターゲット測定との間に適用される補正は基板全体で一定であり得るので、少数のみの比較から予測可能である。従って、スループットを向上させるために、与えられたターゲットのサブセットのみを実際に測定すればよい。あるいは、実験によって、補正が極めて変わりやすいこと、それ自体をフィールドごとに変わりやすいパラメータとしてモデル化しなければならないことが明らかになる場合もある。
【0077】
[0076] スクライブレーン内のスペースは、製品エリア内のスペースほどではないものの、やはり高価であるので、製品同様のフィーチャを有するX線ターゲット600aのサイズを縮小することが望ましい場合がある。スループットを犠牲にして、例えば10μmx10μmの小さいターゲットを設けることができる。その場合の各ターゲットは、測定に数秒を要する場合がある(が、X方向及びY方向は単一の露光で測定可能である)。測定する必要のあるターゲットが少数のみである場合、小さいX線ターゲットに伴うスループットの犠牲は許容可能であり得る。今後のもっと明るいX線源では、1つのターゲット当たりの捕獲時間は、1秒未満まで短縮される可能性があり、精度が低下しても所望のオーバーレイ性能測定のために充分な精度が得られるならばもっと短縮され得る。しかしながら当分の間は、比較的迅速な光学測定に比べて、X線測定に伴う時間に関する欠点は常に存在する。
【0078】
[0077]
図10は、
図3及び
図10のメトロロジーシステム並びに適切なパターニングデバイス及び基板が、メトロロジー及び/又は生成プロセスの性能を監視するために、更にそれらを制御するための基礎として用いられる製造プロセスを示すフローチャートである。ステップS21では、ウェーハを処理して、製品フィーチャと、上述のような小さい光学ターゲット及びX線ターゲットの双方を含むメトロロジーターゲットと、を生成する。ステップS22では、
図10の方法を用いて、オーバーレイ及び/又は他のパラメータを測定し算出する。ステップS23では、測定したパラメータを(利用可能な他の情報と共に)用いて、メトロロジーレシピを更新する。メトロロジーレシピは、例えば、ターゲットを照明するためにどの波長(複数の波長)及び/又はどの偏光を用いるか、又は入射光線I1のどの角度を用いるかを規定することができる。更新したメトロロジーレシピは、オーバーレイの再測定のため、及び/又はこの後に処理されるウェーハのオーバーレイの測定のために用いられる。このようにして、算出したオーバーレイ測定値の精度を向上させる。所望の場合、更新プロセスを自動化することができる。
【0079】
[0078] ステップS24では、更に別のウェーハの処理のため、第1及び第2のメトロロジー装置からの測定値を組み合わせて得られた解像度レベルのオーバーレイの知識を用いて、デバイス製造プロセスのリソグラフィパターニングステップ及び/又は処理ステップを制御するレシピを更新する。所望の場合、この更新も自動化することができる。
【0080】
[0079] 本発明の特定の実施形態について上述したが、本発明は記載したものとは異なる実施が可能であることは認められよう。基板及びパターニングデバイス上で実現されるような新規のターゲットに関連して、一実施形態は、基板上にターゲットを生成し、基板上のターゲットを測定し、及び/又は測定値を処理してリソグラフィプロセスに関する情報を得る方法を記述する機械読み取り可能命令の1つ以上のシーケンスを含むコンピュータプログラムを含むことができる。このコンピュータプログラムは、例えば
図3の装置におけるユニットPU、及び/又は
図2の制御ユニットLACU内で実行することができる。また、そのようなコンピュータプログラムを記憶したデータ記憶媒体(例えば半導体メモリ、磁気又は光ディスク)も提供することができる。
【0081】
[0080] 物理的なレチクルの形態のパターニングデバイスについて記載したが、本出願における「パターニングデバイス」という用語は、例えばプログラマブルパターニングデバイスと関連付けて用いられる、デジタル形態のパターンを有するデータ製品も含む。
【0082】
[0081] 光リソグラフィの分野での本発明の実施形態の使用に特に言及してきたが、本発明は文脈によってはその他の分野、例えばインプリントリソグラフィでも使用することができ、光リソグラフィに限定されないことを理解されたい。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイス内のトポグラフィが基板上に作成されたパターンを画定する。パターニングデバイスのトポグラフィは基板に供給されたレジスト層内に刻印され、電磁放射、熱、圧力又はそれらの組み合わせを印加することでレジストは硬化する。パターニングデバイスはレジストから取り除かれ、レジストが硬化すると、内部にパターンが残される。
【0083】
[0082] 本明細書で使用する「放射」及び「ビーム」という用語は、イオンビーム又は電子ビームなどの粒子ビームのみならず、紫外線(UV)放射(例えば、365nm、355nm、248nm、193nm、157nmもしくは126nm、又はこれら辺りの波長を有する)及び極端紫外線光(EUV)放射(例えば、5nm〜20nmの範囲の波長を有する)を含むあらゆるタイプの電磁放射を網羅する。
【0084】
[0083] 「レンズ」という用語は、状況が許せば、屈折、反射、磁気、電磁気及び静電気光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントのいずれか一つ、又はその組み合わせを指すことができる。
【0085】
[0084] 特定の実施形態に関する以上の説明は、本発明の全体的性質を十分に明らかにしているので、当技術分野の知識を適用することにより、過度の実験をせず、本発明の全体的概念から逸脱することなく、このような特定の実施形態を容易に修正する、及び/又はこれらを様々な用途に適応させることができる。従って、このような適応及び修正は、本明細書に提示された教示及び案内に基づき、開示された実施形態の同等物の意味及び範囲内に入るものとする。本明細書の言葉遣い又は用語は説明のためのもので、限定するものではなく、従って本明細書の用語又は言葉遣いは、当業者には教示及び案内の観点から解釈されるべきことを理解されたい。
【0086】
[0085] 本発明の幅及び範囲は、上述した例示的実施形態のいずれによっても限定されず、特許請求の範囲及びその同等物によってのみ規定されるものである。