(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
互いに直交する縦方向と横方向と厚さ方向とを有するおむつ本体部が、第1胴回り部と股下部と第2胴回り部とを前記縦方向に並んで有し、前記第2胴回り部から前記横方向の外側に突出して設けられたファスニングテープの係止部を、前記第1胴回り部に係止することによって、前記第1胴回り部と前記第2胴回り部とが連結されて、一つの胴回り開口部と一対の脚回り開口部とが形成される展開型使い捨ておむつであって、
少なくとも前記ファスニングテープの前記係止部を、前記第2胴回り部から切り離すための切り離し線が設けられており、
前記切り離し線の少なくとも一部に対応させて前記一部の位置を示す目印が設けられており、
前記目印は、前記切り離し線の少なくとも一方の端部に対応する位置に、前記縦方向の内側又は前記横方向の内側にへこんで形成された切り欠き部であることを特徴とする展開型使い捨ておむつ。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
互いに直交する縦方向と横方向と厚さ方向とを有するおむつ本体部が、第1胴回り部と股下部と第2胴回り部とを前記縦方向に並んで有し、前記第2胴回り部から前記横方向の外側に突出して設けられたファスニングテープの係止部を、前記第1胴回り部に係止することによって、前記第1胴回り部と前記第2胴回り部とが連結されて、一つの胴回り開口部と一対の脚回り開口部とが形成される展開型使い捨ておむつであって、
少なくとも前記ファスニングテープの前記係止部を、前記第2胴回り部から切り離すための切り離し線が設けられており、
前記切り離し線の少なくとも一部に対応させて前記一部の位置を示す目印が設けられていることを特徴とする展開型使い捨ておむつである。
【0015】
このような展開型使い捨ておむつによれば、おむつ交換の際に、第1胴回り部に係止されたファスニングテープの係止部を当該第1胴回り部から取り外し難いうつぶせ姿勢の場合でも、着用対象者からおむつを容易に取り外すことができる。すなわち、このおむつには、当該係止部を第2胴回り部から切り離すための切り離し線が設けられている。よって、この切り離し線を切断すれば、上記係止部が第1胴回り部に係止された状態のまま、第1胴回り部と第2胴回り部との連結を解くことができて、その結果、うつぶせ姿勢の着用対象者からおむつを速やかに取り外すことができる。
また、切り離し線の少なくとも一部に対応して当該一部の位置を示す目印が設けられている。よって、切り離し線の位置を目視で認識し易くなっている。
【0016】
かかる展開型使い捨ておむつであって、
前記目印は、前記切り離し線の少なくとも一方の端部に対応する位置に、前記縦方向の内側又は前記横方向の内側にへこんで形成された切り欠き部であるのが望ましい。
【0017】
このような展開型使い捨ておむつによれば、上記目印は切り欠き部である。よって、おむつ交換の作業者は、当該切り欠き部に手で触れることにより、目視だけで無く手の触感でも切り離し線の位置を認識することができる。よって、切り離し線の位置をより確実に認識可能となる。
【0018】
かかる展開型使い捨ておむつであって、
前記切り離し線の前記一方の端部は、前記切り欠き部内に収まっているのが望ましい。
【0019】
このような展開型使い捨ておむつによれば、切り欠き部の切り欠き効果を確実に享受することができて、これにより、切り離し線を円滑且つ安定的に切り始めることができる。
【0020】
かかる展開型使い捨ておむつであって、
前記切り離し線の前記一方の端部は、前記切り欠き部の外に位置しているのが望ましい。
【0021】
このような展開型使い捨ておむつによれば、切り欠き効果が減退することから、ファスニングテープを横方向の両側に引っ張った際に意図せず切り離し線が切れてしまうことを有効に防ぐことができる。
【0022】
かかる展開型使い捨ておむつであって、
前記目印は、前記切り離し線の少なくとも一方の端部に対応する位置に、前記縦方向の外側又は前記横方向の外側に突出して形成された突出部であるのが望ましい。
【0023】
このような展開型使い捨ておむつによれば、上記目印は突出部である。よって、おむつ交換の作業者は、当該突部に手で触れることにより、目視だけなく手の触感でも切り離し線の位置を認識することができる。よって、切り離し線の位置をより確実に認識可能となる。
【0024】
かかる展開型使い捨ておむつであって、
前記突出部が突出し始める突出開始位置に前記切り離し線の前記一方の端部が位置しているのが望ましい。
【0025】
このような展開型使い捨ておむつによれば、突出部を摘まみとして摘まんだ状態で同突出部を縦方向又は横方向に移動することにより、切り離し線を速やかに切断可能となる。
【0026】
かかる展開型使い捨ておむつであって、
前記突出部が突出し始める突出開始位置が、前記切り離し線の前記一方の端部から離間しているのが望ましい。
【0027】
このような展開型使い捨ておむつによれば、上記の突出部と突出開始位置とが離間していることから、突出開始位置及びその近傍位置の凹曲線状部分が奏し得る切り欠き効果に類する効果が減退し得て、その結果、意図せずに切り離し線が切れてしまうことを有効に防ぐことができる。
【0028】
かかる展開型使い捨ておむつであって、
前記目印は、前記切り離し線の前記一部に沿って前記厚さ方向の非肌側から視認可能に描かれた図柄であるのが望ましい。
【0029】
このような展開型使い捨ておむつによれば、上記目印は、切り離し線の上記一部に沿って厚さ方向の非肌側から視認可能に描かれた図柄である。よって、当該切り離し線の位置をより視認し易くなる。
【0030】
かかる展開型使い捨ておむつであって、
前記切り離し線は、前記第2胴回り部のうちで前記ファスニングテープが固定されている部分を切り取るための切り取り線であるのが望ましい。
【0031】
このような展開型使い捨ておむつによれば、切り離し線は、第2胴回り部に形成されており、かかる第2胴回り部は、うつぶせ姿勢においては着用対象者の上側に位置している。よって、切り離し線の切断作業を容易に行うことができる。
【0032】
===本実施形態===
図3は、本実施形態の使い捨ておむつ1dpの展開状態の概略平面図である。また、
図4A、
図4B、及び
図4Cは、それぞれ、
図3中のA−A断面図、同B−B断面図、及び同C−C断面図である。更に、
図5は、装着状態の使い捨ておむつ1dpの概略斜視図である。
【0033】
このおむつ1dpは、ファスニングテープ11を用いて着用対象者101に装着される展開型のおむつ1dpであり、特に3000グラム以下の低体重児101に好適に使用されるものである。以下では、着用対象者を低体重児101として説明するが、何等これに限らず、着用対象者は、乳児や幼児でも良いし、大人でも良い。
【0034】
おむつ1dpは、尿等の排泄液を吸収すべく吸収体3を有したおむつ本体部1と、おむつ本体部1に固定された一対のファスニングテープ11,11と、を有する。そして、
図3の展開状態においては、おむつ本体部1は、互いに直交する三方向として縦方向と横方向と厚さ方向とを有する。ここで、同おむつ本体部1は、縦方向に関しては、第1胴回り部1aと股下部1mと第2胴回り部1bとをこの順番で並んで有していて、
図5の装着状態では、一般に、第1胴回り部1aは低体重児101の腹側を覆い、股下部1mは同児101の股間を覆い、第2胴回り部1bは同児101の背側を覆う。但し、場合によっては、おむつ本体部1の縦方向を上述とは逆向きにして低体重児101に装着することもある。つまり、第1胴回り部1aが低体重児101の背側を覆い、第2胴回り部1bが同腹側を覆うようにおむつ1dpを装着しても良い。
【0035】
一方、各ファスニングテープ11,11は、それぞれ第2胴回り部1bの横方向の各端部1bsfe2,1bsfe2に設けられている。そして、同おむつ本体部1を低体重児101に装着する際には、
図5に示すように、第1胴回り部1aに設けられたターゲット領域1atに、各ファスニングテープ11の係止部11mを係止する。すると、同
図5に示すように、同テープ11を介して第1胴回り部1aと第2胴回り部1bとが環状に連結されて、これにより、胴回り開口部1HBと一対の脚回り開口部1HL,1HLとが形成されて、おむつ本体部1は低体重児101に装着される。
【0036】
なお、以下では、おむつ本体部1の厚さ方向の一方側のことを「肌側」とも言い、他方側のことを「非肌側」とも言う。ちなみに、
図3の概略平面図は、展開状態のおむつ1dpを肌側から見たものである。
【0037】
<<<おむつ本体部1>>>
図3の展開状態では、おむつ本体部1の外形形状は、平面視略砂時計形状をなしている。すなわち、第1胴回り部1aと第2胴回り部1bとは、それぞれ股下部1mよりも横方向の両側に突出しており、これにより、厚さ方向から見たおむつ1dpの外形形状は平面視略砂時計形状をなしている。更に換言すると、おむつ1dpは、排泄液を吸収する吸収体3と、この吸収体3よりも横方向及び縦方向の外側に突出した柔軟且つ薄厚なシート状部分と、を有しているが、このシート状部分の外形形状が、平面視略砂時計形状をなしている。
【0038】
以下では、このシート状部分のうちで吸収体3よりも横方向の両側に突出した各部分1sfのことを、「サイドフラップ1sf」とも言う。また、かかるサイドフラップ1sfは、第1胴回り部1aと股下部1mと第2胴回り部1bとの三者に跨がって延在しており、以下では、第1胴回り部1aに位置するサイドフラップ1asfのことを「第1サイドフラップ1asf」とも言い、股下部1mに位置するサイドフラップ1msfのことを「股下部サイドフラップ1msf」とも言い、第2胴回り部1bに位置するサイドフラップ1bsfのことを「第2サイドフラップ1bsf」とも言う。
【0039】
また、同おむつ本体部1を別の見方で見ると、当該おむつ本体部1は、排泄液を吸収する略縦長形状の吸収体3と、吸収体3を肌側から覆う液透過性のトップシート2と、吸収体3を非肌側から覆う液不透過性の防漏シート4と、防漏シート4を非肌側から覆い、おむつ1dpの外形形状をなす略砂時計形状の外装シート5と、トップシート2上に横方向に一対並んで設けられ、吸収体3の横方向の各端部にそれぞれ立体ギャザー6g,6gを形成する一対の立体ギャザーシート6,6と、を有している。
【0040】
図4A乃至
図4Cに示すように、吸収体3は、吸収性コア3cと、吸収性コア3cのほぼ全外周面を被覆するコアラップシート3rsと、を有する。吸収性コア3cは、所定の液体吸収性素材を所定形状の一例としての平面視略砂時計形状に成形したものである(
図3)。液体吸収性素材としては、パルプ繊維等の液体吸収性繊維や、高吸収性ポリマー(所謂SAP)等の液体吸収性粒状物を例示できる。また、コアラップシート3rsには、ティッシュペーパーや不織布等の液透過性シートが使用される。なお、吸収性コア3cの形状は、何等上記の平面視略砂時計形状に限らず、例えば、平面視略矩形形状でも良い。
【0041】
トップシート2は、エアスルー不織布等の不織布で形成され、
図3、
図4A乃至
図4Cに示すように、吸収体3の縦方向の両側及び横方向の両側から突出するような平面寸法を有する。また、防漏シート4も吸収体3の縦方向の両側及び横方向の両側から突出するような平面寸法を有し、ポリエチレンフィルム等の樹脂フィルムで形成される。そして、これら両シート2,4は、吸収体3から縦方向及び横方向に突出した部分で接着や溶着等によって互いに接合され、これにより、両シート2,4同士の間に吸収体3が保持されている。
【0042】
図3に示すように、外装シート5は、例えば、柔軟なシートの一例としてSMS不織布(スパンボンド/メルトブローン/スパンボンド不織布)やスパンボンド不織布、エアスルー不織布等の不織布で形成され、おむつ1dpの外形形状をなす。そして、かかる外装シート5の肌側面に、上記両シート2,4及び両シート2,4同士の間に保持された吸収体3が、横方向の中央位置を互いに揃えながら重ね合わせられて接着又は溶着等で一体化されている(
図4A乃至
図4C)。なお、かかる一体化の状態においては、吸収体3は、第1胴回り部1aと股下部1mと第2胴回り部1bとに亘って延在している(
図3)。
【0043】
立体ギャザーシート6,6は、不織布等の柔軟なシートで形成され、
図3に示すように、トップシート2の横方向の各端部2eをそれぞれ肌側から覆うように当該各端部2eに対応させて一対で設けられている。そして、各シート6,6は、それぞれトップシート2の肌側面から起立する立体ギャザー6g,6gを縦方向に沿って形成する。すなわち、各立体ギャザーシート6は、トップシート2にホットメルト接着剤等で固定されて起立不能な縦方向に沿った帯状の基端部6kと、同基端部6kを支点として厚さ方向の肌側に起立可能な起立部6sとを横方向に並んで有している。そして、起立部6sの横方向の先端部には、縦方向に沿った立体ギャザー用弾性部材6rとしての糸ゴム6rが縦方向に伸長状態でホットメルト接着剤等により固定されている。また、
図3、
図4A、及び
図4Cに示すように、同起立部6sのうちの縦方向の各端部6sea,6sebは、それぞれトップシート2に伏せられた状態で同シート2に同接着剤6j等で固定されている。よって、当該起立部6sには、上記の立体ギャザー用弾性部材6rから縦方向の収縮力が付与されていて、これにより、起立部6sが複数の襞を形成しながら縦方向に収縮して、厚さ方向の肌側に起立する(
図3、
図4B)。ちなみに、この例では、
図3、
図4A乃至
図4Cに示すように、起立部6sが横方向の内側に延びた状態で、縦方向の端部6sea,6sebにて伏せられてトップシート2に固定されているが、何等これに限らない。例えば、起立部6sが横方向の外側に折り返された状態で、縦方向の端部6sea,6sebにてトップシート2に伏せられて固定されていても良い。
【0044】
かかる立体ギャザーシート6に好適な材料としては、適宜な不織布を例示できて、ここではSMS不織布が使用されているが、柔軟性を有していれば、何等これに限らない。
【0045】
なお、同立体ギャザーシート6は、
図3、
図4A乃至
図4Cに示すように、横方向の外側の方へ、外装シート5の外側の端縁とほぼ同位置まで延在しており、そして、かかる端縁或いはその近傍位置で外装シート5と接着又は溶着で一体化されている。そして、これにより、同立体ギャザーシート6と外装シート5とが互いに共同して、第1胴回り部1a及び第2胴回り部1bには、それぞれ前述の第1サイドフラップ1asf,1asf及び第2サイドフラップ1bsf,1bsfが形成されている。一方、股下部1mでも、同様に、上記の端縁或いはその近傍位置で立体ギャザーシート6と外装シート5とが接着又は溶着で一体化されていて、これにより、端縁から横方向の内側の所定範囲に亘って前述の股下部サイドフラップ1msf,1msfが形成されている。
【0046】
各股下部サイドフラップ1msf,1msfは、それぞれ、上記の第1サイドフラップ1asfの一部及び第2サイドフラップ1bsfの一部と共同して、装着状態において脚回り開口部1HLとなる部分であり、つまり低体重児101の脚回りを覆う部分を構成する。そして、各股下部サイドフラップ1msfを縦方向に収縮させてレッグギャザーを形成すべく、各股下部サイドフラップ1msfには、それぞれ脚回り弾性部材21として縦方向に一直線に沿った糸ゴム21が縦方向に伸長状態で接着等により固定されている。よって、当該脚回り弾性部材21の伸長状態が緩和されると、股下部サイドフラップ1msfは縦方向に収縮して複数の襞が形成されて当該襞がレッグギャザーとなる。
【0047】
<<<ファスニングテープ11>>>
図3に示すように、ファスニングテープ11,11は、一対の第2サイドフラップ1bsf,1bsfの横方向の各外端部1bsfe2,1bsfe2にそれぞれ設けられている。各ファスニングテープ11は、それぞれ横長形状の不織布製の帯状シートをテープ基材11aとし、このテープ基材11aの横方向の一端部が第2サイドフラップ1bsfの外端部1bsfe2の一部1bkに固定され、他端部が第2サイドフラップ1bsfの外端部1bsfe2よりも横方向の外方に突出している。
そして、この突出している部分の肌側面には、面ファスナーのフック材11mが固定されており、更にフック材11mは、その肌側面に、複数の係止用突起(不図示)を有している。よって、フック材11mの係止用突起が、第1胴回り部1aの非肌側面に設定されたターゲット領域1atに引っ掛かることにより、第1胴回り部1aにファスニングテープ11が係止される。フック材11mには、面ファスナーの分野で周知なものを適宜適用できて、例えば、係止用突起が釣り針状のものやT字状のもの等を使用可能である。
【0048】
ちなみに、この例では、外装シート5が不織布であることに起因して、同シート5が上記のフック材11mとの間で十分な係止力を確保可能であることから、外装シート5の非肌側面の一部がターゲット領域1atとして使用されている。但し、何等これに限らない。例えば、ターゲット領域1atの形成用として、別途、専用のターゲットテープを外装シート5の非肌側面に貼着しても良い。
【0049】
以上、おむつ1dpの基本構成について説明したが、本実施形態では、
図2Aのうつぶせ姿勢の低体重児101からおむつ1dpを取り外し可能にする目的で、第2胴回り部1bの各第2サイドフラップ1bsf,1bsfには、それぞれ切り離し線の一例として切り取り線1c,1cが、
図3のようなおむつ1dpの展開状態において形成されている。また、切り取り線1cの位置を認識し易くする目的で、切り取り線1cの少なくとも一部に対応させて当該一部の位置を示す目印Q(以下、切り取り線用目印Qとも言う)が設けられている。以下、これら切り取り線1c及び切り取り線用目印Qについて説明する。
【0050】
<<<切り取り線1c>>>
図6は、切り取り線1cを説明するための要部拡大図である。同
図6に示すように、切り取り線1cは、第2胴回り部1bのうちでファスニングテープ11のテープ基材11aが固定されている部分1bk(
図6中、ハッチングで示す部分1bkであり、以下、ファスニングテープ固定部1bkとも言う)を切り取り可能なようにミシン目で形成されている。詳しくは、かかる切り取り線1cは、各ファスニングテープ11に対応させて各第2サイドフラップ1bsfに形成されている。そして、各切り取り線1cは、それぞれ第2胴回り部1bのうちで胴回り開口部1HBとなる部分1bHBから、ファスニングテープ固定部1bkよりも横方向の内側の位置を通って、第2胴回り部1bのうちで脚回り開口部1HLとなる部分1bHLの方へと延びたルートで形成されている。
【0051】
よって、
図2Aに示すようなうつぶせ姿勢の低体重児101から、
図2Bに示すようにおむつ1dpを速やかに取り外すことができる。すなわち、
図2Aに示すように、通常は、ファスニングテープ11が固定された第2胴回り部1bの方が、低体重児101の背側に位置するように、当該おむつ1dpは低体重児101に装着される。そのため、うつぶせ姿勢においては、第2胴回り部1bは鉛直方向の上方に位置しているが、ここで、このおむつ1dpによれば、上記のように第2胴回り部1bのファスニングテープ固定部1bkを切り取り線1cで切り取ることができる(
図2B)。そして、これにより、ファスニングテープ11のフック材11mを第2胴回り部1bから切り離すことができて、その結果、ファスニングテープ11のフック材11mを第1胴回り部1aに係止させたまま、第1胴回り部1aと第2胴回り部1bとの連結を解いておむつ1dpを展開することができる。よって、最後に、第2胴回り部1bを後方(脚側)へ引き抜けば、おむつ1dpをうつぶせ姿勢の低体重児101から取り外し可能である。
【0052】
なお、かかる切り取り線1cのミシン目は、複数の直線状のスリットの集合体である。すなわち、厚さ方向に第2サイドフラップ1bsfを貫通する直線状のスリット(不図示)が、切り取り線1cが延びるべき方向に沿って複数並んだものである。そして、スリットの長さや、スリットのピッチについては、切断性などを考慮して適宜設定されるが、ここで具体例を挙げると、スリットの長さについては、1mm〜3mmを例示でき、また、スリットとスリットとの間の間隔(つまり、スリット同士の間に位置するスリットが無い部分の長さ)については、0.5mm〜2mmを例示できる。ちなみに、上記のスリットのピッチとは、スリットの長さと上記の間隔との合算値のことであると言うこともできる。
【0053】
また、この例では、
図6に示すように、一方の第2サイドフラップ1bsfに形成された切り取り線1cと、他方の第2サイドフラップ1bsfに形成された切り取り線1cとは、互いに、横方向のおむつ1dpの中心線C1に関して線対称に形成されている。そして、各切り取り線1cは、縦方向に沿った直線状部分1cLと、湾曲形状の曲線状部分1cBとを有した略J字状をなしている。
【0054】
直線状部分1cLは、第2胴回り部1bのうちで胴回り開口部1HBとなる部分1bHB、すなわち、第2胴回り部1bにおける縦方向の略外端縁1be1を起点として、縦方向に平行な直線に沿って縦方向の内側へと進み、そして、縦方向に関してファスニングテープ11の位置と同じ位置、或いは同位置を若干内側に超えた位置まで達している。そして、この位置にて曲線状部分1cBに繋がっていて、そこから、同曲線状部分1cBは、更に縦方向の内側へと延びている。詳しくは、同曲線状部分1cBは、縦方向の内側へ進むに従って、所定の曲率半径でもって横方向の外側へと変位していて、最終的には、第2胴回り部1bのうちの脚回り開口部1HLとなる部分1bHL、すなわち、第2胴回り部1bの横方向の外端縁1be2に至っている。
【0055】
そして、かかる切り取り線1cのルートによれば、同線1cは、ファスニングテープ固定部1bkを横方向の内側から完全に囲んでいる。よって、当該切り取り線1cを切断すれば、ファスニングテープ11のフック材11mを、ファスニングテープ固定部1bkを含めファスニングテープ11ごと、第2胴回り部1bから切り離すことができる。
【0056】
また、上記のような曲線状部分1cBを有していれば、切り取り線1cを、第2胴回り部1bの横方向の外端縁1be2に比較的短いルートで到達させることができる。すなわち、当該切り取り線1cのルートを縦方向の内側に大きく延ばすことなく終わらせることができる。そして、これにより、切り取り線1cのルートが、縦方向の内側に大きく延びた場合に起こり得る不具合、例えば、同ルートが第1サイドフラップ1asf(
図3)まで至った場合に、ポジショニング姿勢の低体重児101の腹部とM字に開脚した脚とによって切り取り線1cの一部が挟み込まれて切断し難くなることを有効に防ぐことができる。
【0057】
ちなみに、この
図6の例では、切り取り線1cは、第2サイドフラップ1bsf内に完全に収まっているが、何等これに限らない。すなわち、場合によっては、切り取り線1cの一部が、股下部サイドフラップ1msfの方にはみ出していても良い。但し、はみ出し量が過大になると、低体重児101の腹部とM字の脚との間に挟み込まれ易くなったり、切断長が長くなる等の理由により、上述の切り取り線1cを切断し難くなるという不具合を招き得る。
【0058】
また、この例では、直線状部分1cLの形成位置には、複数枚のシート4,5,6が存在している。具体的には、厚さ方向の肌側から立体ギャザーシート6、防漏シート4、及び外装シート5の三者が存在しており、シートの積層枚数は三枚となっている。そのため、この直線状部分1cLでは、これら積層された三枚のシート4,5,6を貫通してミシン目が形成されている。
一方、既述のように、曲線状部分1cBの形成位置は、縦方向の内側に進むに従って横方向の外側に変位している。そのため、当該曲線状部分1cBの一端から他端へと進む過程で、シートの積層枚数は変化している。すなわち、
図6の左半部に示すように、曲線状部分1cBのうちで直線状部分1cLに連続する所定範囲の部分1cB1では、上記の直線状部分1cLと同様にシートの積層枚数は三枚であるが、曲線状部分1cBのうちで上記所定範囲の部分1cB1よりも縦方向の内側に隣接する部分1cB2では、防漏シート4が存在しなくなるために、立体ギャザーシート6と外装シート5との二枚構成となっている。そのため、前者の部分1cB1では、三枚のシート4,5,6を貫通してミシン目が形成されているが、後者の部分1cB2では、二枚のシート5,6を貫通してミシン目が形成されている。
そして、このように曲線状部分1cBのうちの一部1cB2でも、シートの積層枚数が少なくなっている場合には、かかる一部1cB2については相対的に切断し易くなっている。そのため、一般に直線よりも難しいとされる曲線の切断の容易化を図れて、その結果、曲線状部分1cBを、その湾曲した目標形状に沿って正確に切断可能となる。
【0059】
また、この例では、ミシン目の工夫により切り取り線1cの切断し易さを、縦方向の位置に応じて異ならせている。例えば、
図7に示すように、切り取り線1cを仮想的に縦方向に三つの部分1c1,1c2,1c3に区分した場合に、各部分1c1,1c2,1c3に対応させて切断し易さを設定している。詳しくは、三つの部分1c1,1c2,1c3のうちの一つの部分1c1たる第1部分1c1は、第2胴回り部1bのうちで胴回り開口部1HBとなる部分1bHBを含む位置に位置しているが、この第1部分1c1については、切断し易いミシン目にしている。また、別の一つの部分1c2たる第2部分1c2は、縦方向の位置に関してファスニングテープ固定部1bkと同じ位置を含むように位置しているが、この第2部分1c2については、第1部分1c1よりも切断し難いミシン目にしている。更に、残る一つの部分1c3たる第3部分1c3は、前述の曲線状部分1cBであるが、この部分1c3については、第1部分1c1と同仕様の切断し易いミシン目にしている。
【0060】
そして、このようにしていれば、おむつ1dpを低体重児101に装着すべく各ファスニングテープ11,11をそれぞれ横方向の外側に引っ張る際に、不意に切り取り線1cが切れてしまうことを、第2部分1c2の切断し難いミシン目に基づいて有効に防止することができる。また、おむつ1dpを低体重児101から取り外す際には、第1部分1c1の切断し易いミシン目に基づいて、上記の胴回り開口部1HBとなる部分1bHBから容易に切り始めることができるとともに、第3部分1c3たる曲線状部分1cBについても、その切断し易いミシン目に基づいて、同部分1cBを、その湾曲した目標形状に沿って正確に切断可能となる。
【0061】
ちなみに、上記の切断し易いミシン目及び切断し難いミシン目の設定は、ミシン目が具備するスリットの長さを変更することで実現することができて、この例では、そのようにしている。すなわち、この例では、スリットのピッチを一定に維持しつつ、スリットの長さを異ならせることにより、切り取り線1cが延びる方向の単位長さ当たりに占めるスリットの長さの割合を上記部分1c2と上記部分1c1,1c3とで互いに異ならせており、そして、一般に、この割合が大きい方が切断し易く、この割合が小さい方が切断し難い。そのため、この例では、第2部分1c2での割合を、第1部分1c1での割合及び第3部分1c3での割合よりも小さくしている。
【0062】
また、この
図3の例では、第1胴回り部1aの各第1サイドフラップ1asf,1asfにも、ミシン目で切断線1caが形成されている。すなわち、第1サイドフラップ1asfには、縦方向の外端縁1asfeから縦方向の内側に延びて切断線1caが形成されている。そして、この切断線1caの横方向の形成位置は、第2サイドフラップ1bsfの縦方向の外端縁1bsfeにおける切り取り線1cの形成位置と揃っている。
【0063】
従って、第1胴回り部1aにおいて切断線1ca,1ca同士の間に比較的広い間隔をあけることができる。そして、これにより、各切断線1ca,1caのミシン目の切断後に、第1胴回り部1aのうちで切断線1ca,1ca同士の間の部分1amを折り返せば、低体重児101の腹部を露出させることができて、このことは、腹部に光線治療等の適宜な処理が必要な場合に有効である。また、切断線1ca,1caの切断後には、各切断線1ca,1caはそれぞれ横方向に容易に開くことができるため、第1胴回り部1aは横方向に柔軟に変形可能である。よって、腹部が大きめの低体重児101にも無理なく装着可能となる。
【0064】
<<<切り取り線用目印Q>>>
図6に示すように、この例では、切り取り線用目印Qとして、切り取り線1cの切断開始位置となる同線1cの一方の端部1ce1に対応させて切り欠き部k1が形成されている。すなわち、第2胴回り部1bの縦方向の外端縁1be1において切り取り線1cが位置する部分には、縦方向の内側にへこんだ切り欠き部k1が略V字状に形成されている。よって、おむつ交換の作業者は、当該切り欠き部k1に手で触れることにより、目視だけで無く手の触感でも切り取り線1cの切断開始位置を認識することができる。よって、薄暗い作業環境下においても、切り取り線1cの位置をより確実に認識可能となる。
【0065】
また、切り欠き部k1の切り欠き効果に基づいて、切り取り線1cを切り始める際に比較的容易に切断できることから、切り取り線1cを円滑且つ安定的に切り始めることができて、結果、切り取り作業を行い易くなる。
【0066】
なお、この切り欠き効果を確実に享受する観点からは、望ましくは、同
図6に示すように切り欠き部k1内に切り取り線1cの端部1ce1が収まっていると良い。しかし、何等これに限らない。例えば、
図8に示すように、切り欠き部k1から横方向に1mm〜3mmだけ離れた位置に、切り取り線1cの上記端部1ce1が位置していても良い。すなわち、切り欠き部k1の外に切り取り線1cの端部1ce1が位置していても良い。そして、この場合には、切り欠き効果が減退することから、第2サイドフラップ1bsfを横方向の外側に引っ張った際に意図せず切り取り線1cが切れてしまうことを有効に防ぐことができる。
【0067】
かかる切り欠き部k1のへこみ方向たる縦方向の寸法は、例えば最大値が2mm〜20mmの範囲に入るように設定され、また、へこみ方向と直交する方向たる横方向の寸法は、例えば最大値が2mm〜15mmの範囲に入るように設定される。また、切り欠き部k1の形状は何等上記の略V字状に限るものではなく、例えばU字状としても良いし、これら以外の形状としても良い。
【0068】
なお、場合によっては、
図9に示すように、上記の切り欠き部k1に代えて、或いはそれに加えて、切り取り線1cの他方の端部1ce2に対応させて切り欠き部k2を形成しても良い。すなわち、第2胴回り部1bの横方向の外端縁1be2において切り取り線1cが位置する部分に、横方向の内側に凹んだ切り欠き部k2が形成されていても良い。そして、この場合には、切り取り線1cの他方の端部1ce2に関して、上述と同様の作用効果を奏することができる。
【0069】
更に、場合によっては、
図10に示すように、切り取り線用目印Qとして、上記の切り欠き部k1,k2に代えて摘まみ部T1,T2を形成しても良い。すなわち、第2胴回り部1bの縦方向の外端縁1be1において切り取り線1cが位置する部分に対しては、縦方向の外側に略V字状に突出した突出部T1を形成する一方、同
図10に示すように第2胴回り部1bの横方向の外端縁1be2において切り取り線1cが位置する部分に対しては、横方向の外側に略V字状に突出した突出部T2を形成しても良い。そして、このような摘まみ部T1,T2によっても、おむつ交換の作業者は、目視だけで無く手の触感で切り取り線1cの切断開始位置を認識することができる。
【0070】
かかる摘まみ部T1,T2の突出方向の寸法は、例えば最大値が2mm〜20mmの範囲に入るように設定され、また、突出方向と直交する方向の寸法は、例えば最大値が2mm〜15mmの範囲に入るように設定される。また、摘まみ部T1,T2の形状は何等上記の略V字状に限るものではなく、例えばU字状としても良いし、これら以外の形状としても良い。
【0071】
なお、当該摘まみ部T1,T2は、文字通り、作業者が切り取り線1cを切断する際に摘まむ摘まみとして機能させることもできるが、その場合、望ましくは、摘まみ部T1,T2と切り取り線1cとの位置関係が次のようになっていると良い。すなわち、前者のように、摘み部T1が第2胴回り部1bの縦方向の外端縁1be1に形成されている場合には、摘まみ部T1が縦方向に突出し始める突出開始位置PT1に、切り取り線1cの一方の端部1ce1が位置していると良い。そして、このようになっていれば、作業者は、摘まみ部T1を摘まみとして摘まんだ状態で同摘まみ部T1を縦方向の内側に移動することにより、切り取り線1cを速やかに切断することができる。同様に、後者のように摘み部T2が第2胴回り部1bの横方向の外端縁1be2に形成されている場合には、摘まみ部T2が横方向に突出し始める突出開始位置PT2に、切り取り線1cの他方の端部1ce2が位置していると良い。そして、このようになっていれば、作業者は、摘まみ部T2を摘まみとして摘まんだ状態で同摘まみ部T2を横方向の内側に移動することにより、切り取り線1cを速やかに切断することができる。
【0072】
但し、摘まみ部T1(T2)の突出開始位置PT1(PT2)と切り取り線1cの端部1ce1(1ce2)との位置関係は、何等上記に限らない。すなわち、摘まみ部T1(T2)の突出開始位置PT1(PT2)が、切り取り線1cの端部1ce1(1ce2)から所定の離間距離だけ離間していても良い。そして、このように離間していれば、突出開始位置PT1(PT2)及びその近傍位置の凹曲線状部分が奏し得る切り欠き効果に類する効果を減退することができて、その結果、意図せずに切り取り線1cが切れてしまうことを有効に防ぐことができる。ちなみに、上記の離間距離の大きさは、例えば1mm〜20mmの範囲から選択される。
【0073】
図11乃至
図15は、切り取り線用目印Qの変形例の説明図である。なお、何れの図も、おむつ本体部1を厚さ方向の非肌側から見た場合の概略平面図である。
【0074】
上述の実施形態では、切り取り線用目印Qとして切り欠き部k1,k2又は摘まみ部T1,T2を例示したが、
図11乃至
図15の変形例では、同目印Qとして、おむつ本体部1に図柄が描かれている。すなわち、何れの変形例についても、第2胴回り部1bには、切り取り線1cの少なくとも一部に沿って図柄Zが描かれている。そして、このようにしても、作業者は、切り取り線1cの位置を視認し易くなる。
【0075】
ちなみに、
図11の変形例では、切り取り線1cに沿った図柄Zとして複数の矢印が並んで描かれている。また、この例では、当該矢印が、切り取り線1cに重なって描かれているが、場合によっては、縦方向及び横方向にそれぞれ±2mmの範囲でずれて描かれていても良い。更に、当該矢印に代えて矢印を連想させる三角形(不図示)を複数描いても良いし、或いは、
図12にドット模様で示すように、切り取り線1cを横方向に跨ぐ帯状図柄Zを切り取り線1cに沿って描いても良い。また、
図13中の変形例のように、切り取り線1cよりも横方向の外側の領域を着色して(ドット模様を参照)、これを上記切り取り線1cに沿った図柄Zとしても良い。
【0076】
更に、
図14の変形例のように、切り取り線1cの直線状部分1cLに沿った直線ZLを、図柄Zとしておむつ本体部1の縦方向の全長に亘って点線や実線で描いても良いし、或いは、
図15の変形例のように、上記直線ZLよりも横方向の外側の領域を着色して(ドット模様を参照)、これを上記切り取り線1cに沿った図柄Zとしても良い。
【0077】
なお、かかる図柄Zを描く対象面としては、外装シート5の非肌側面が一般的であり、この例では、そのようにしている。但し、厚さ方向の非肌側から視認可能であれば、何等これに限らない。例えば、この例では外装シート5は不織布であるので、図柄Zを同シート5の肌側面に描いた場合でも、同シート5を透かす形で図柄Zを視認することができる。また同様に、防漏シート4の非肌側面に図柄Zを描いた場合でも、外装シート5を透かす形で防漏シート4に描かれた図柄Zを視認することができる。よって、図柄Zを描く対象面は、外装シート5の肌側面でも良いし、防漏シート4の非肌側面でも良い。
【0078】
また、図柄Zを描く方法については、周知な印刷方法を例示できる。すなわち、インクジェット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷等を例示できる。
【0079】
ところで、前述の実施形態では、切り離し線の一例として平面視略J字状の切り取り線1cを例示したが、何等これに限らない。例えば、
図16又は
図17の変形例のようにしても良い。
【0080】
すなわち、先ず、
図16に示す変形例の切り取り線1c’は、曲線状部分1cBを有しておらず、直線状部分1cLのみを有している。詳しくは、この変形例では、切り取り線1c’は、前述の切り取り線1cよりも横方向の外側にシフトしていて、これにより、縦方向に沿った一本の直線状部分1cLのみでファスニングテープ固定部1bkを切り取り可能としている。そして、このような切り取り線1c’によれば、直線状部分1cLのみであることから、その切断は容易であり、その結果、切り取り線1c’から大きく位置ずれすることなく正確に切断可能である。
また、この例では、切り取り線用目印Qとして、切り取り線1cの両方の端部1ce1’,1ce2’にそれぞれ対応させて切り欠き部k1、k1が形成されているが、切り欠き部k1に代えて前述の摘まみ部T1が形成されていても良いし、或いは、前述の図柄Zが描かれていても良い。
【0081】
一方、
図17の変形例の切り取り線1c’’は、ファスニングテープ固定部1bkを三方から囲むように略U字状に形成されている。すなわち、かかる切り取り線1c’’にあっては、その始端Psは、第2胴回り部1bの第2サイドフラップ1bsfにおける横方向の最外端縁1bsfeeに位置し、そこから、略U字のルートの内周側にファスニングテープ固定部1bkが入るように延びて、最終的に、上記の始端Psと同じく第2サイドフラップ1bsfにおける横方向の最外端縁1bsfeeに至り、そして、当該最外端縁1bsfeeに至った位置Peを切り取り線1c’’の終端Peとしている。
【0082】
そして、この例では、切り取り線用目印Qとして、切り取り線1c’’の両方の端部1ce1’’,1ce2’’にそれぞれ対応させて摘まみ部T2,T2が形成されているが、摘まみ部T2に代えて前述の切り欠き部k2が形成されていても良いし、或いは、前述の図柄Zが描かれていても良い。
【0083】
ところで、冒頭では、本実施形態のおむつ1dpが特に3000グラム以下の低体重児101に好適な旨を述べたが、当該おむつ1dpが、ポジショニング姿勢及びミニマルハンドリングに伴う前述の課題を有効に解決可能なことを勘案すると、よりポジショニング姿勢になり易く、またミニマルハンドリングがより要求されるような場合には、当該おむつ1dpがより有効なものと考えられる。そして、このような場合とは、体重がより軽い場合である。
よって、本実施形態のおむつ1dpは、望ましくは1500グラム以上2500グラム未満の低出生体重児に使用されると良く、より望ましくは1000グラム以上1500グラム未満の極低出生体重児に使用されると良く、より一層望ましくは1000グラム未満の超低出生体重児に使用されると良い。
【0084】
また、本実施形態のおむつ1dpは、低体重児101用に特化していることから、既存の新生児用のおむつよりも小さく形成されている。例えば、新生児用のおむつの製品長が365mmであり、また装着状態における胴回り開口部1HBの周長L1HBが304mmであるのに対して、本実施形態のおむつ1dpでは、製品長L1(
図3)が210mm〜330mmとされており、また、装着状態における胴回り開口部1HBの周長L1HBは160〜295mmとされている。
【0085】
なお、製品長L1については、例えば、おむつ1dpを展開状態して測定される。すなわち、
図3に示すように、展開状態では、先ずターゲット領域1atへの各ファスニングテープ11,11の係止を解いて、第1胴回り部1aと股下部1mと第2胴回り部1bとが縦方向に並んだ状態にするとともに、立体ギャザー用弾性部材6rによる立体ギャザーシート6の収縮、及び脚回り弾性部材21,21に基づく股下部サイドフラップ1msf,1msfの収縮がちょうど無くなるまで、縦方向におむつ1dpを伸ばした状態にする。そして、この伸ばした状態における縦方向の最大寸法L1を測定し、その測定値が、上記の製品長L1となる。
【0086】
一方、上記の胴回り開口部1HBの周長L1HBについては、一対のファスニングテープ11,11を、ファスニングテープ重なり形態の係止状態にして測定される。
図18は、その説明図である。なお、以下では説明の都合上、
図18中で左側に位置する第2サイドフラップ1bsfのファスニングテープ11のことを「左側テープ11−1」と呼び、同様に、右側に位置する第2サイドフラップ1bsfのファスニングテープ11のことを「右側テープ11−2」と呼ぶ。
先ず、測定の準備として、二つのファスニングテープ11−1,11−2を、ファスニングテープ重なり形態の係止状態にする。すなわち、
図18に示すように、左側テープ11−1のフック材11mを第1胴回り部1aのターゲット領域1atに係止した後に、右側テープ11−2のフック材11mを左側テープ11−1の非肌側面11−1sに係止する。但し、その際には、これらテープ11−1,11−2同士の互いの縦方向の中央位置C11−1,C11−2を揃えながら、右側テープ11−2の先端11−2eが左側テープ11−1のフック材11mの根元側の端11meに揃うように位置合わせする。そして、これにより、ファスニングテープ重なり形態の係止状態にされる。
【0087】
そうしたら、この係止状態に基づいて形成された胴回り開口部1HBを、胴回り弾性部材21に基づく収縮がちょうど無くなるまで伸長する。そして、かかる伸長状態において、同胴回り開口部1HBの周長L1HBを測定し、これにより、当該周長L1HBが取得される。
【0088】
ちなみに、低出生体重児の製品長L1及び胴回り開口部1HBの周長L1HBの一例としては、それぞれ310mm及び273.5mmを挙げることができ、また、極低出生体重児の製品長L1及び胴回り開口部1HBの周長L1HBの一例としては、それぞれ270mm及び220mmを挙げることができ、また、超低出生体重児の製品長L1及び胴回り開口部1HBの周長L1HBの一例としては、それぞれ230mm及び219mmを挙げることができる。
【0089】
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。例えば、以下に示すような変形が可能である。
【0090】
上述の実施形態では、ファスニングテープ11の係止部11mの一例としてフック材11mを例示したが、第1胴回り部1aのターゲット領域1atに係止可能であれば、何等これに限らない。例えば、係止部11mとして粘着テープを用いても良い。
【0091】
上述の実施形態では、切り離し線の一例として、
図6に示すように第2胴回り部1bに形成された切り取り線1cを例示した。すなわち、かかる切り取り線1cは、第2胴回り部1bのうちでファスニングテープ11が固定されている部分1bkたるファスニングテープ固定部1bkを切り取るためのものであったが、何等これに限らない。つまり、ファスニングテープ11のフック材11mを、第2胴回り部1bから切り離すための切り離し線であれば、うつぶせ姿勢の低体重児101からおむつ1dpを取り外すことが可能であるので、例えば
図19に示すような切り離し線11acを有した態様も、本発明の範囲に含まれる。すなわち、ファスニングテープ11のテープ基材11aにおいてファスニングテープ固定部1bkとフック材11mとの間の部分に縦方向に沿って切り離し線11acが形成された態様も、本発明の範囲に含まれる。
ちなみに、この
図19の例では、切り離し線11acの目印Qとして、切り離し線11acの両方の端部11ace1,11ace2にそれぞれ対応させて切り欠き部k1,k1がファスニングテープ11のテープ基材11aに形成されているが、何等これに限らない。すなわち、切り欠き部k1に代えて前述の摘まみ部T1が形成されていても良いし、或いは、前述の図柄Zが描かれていても良い。
【0092】
上述の実施形態では、切り取り線1c,1c’,1c’’ 及び切り離し線11acの一例としてミシン目を挙げ、当該ミシン目は、複数の直線状のスリットの集合体であったが、何等これに限らない。例えば、切り取り線1c,1c’,1c’’等の延びるべき方向に沿った円弧状や波形のスリットにしても良いし、或いは、スリットに代えて、平面形状が円形や楕円形等の貫通孔にしても良い。
【0093】
上述の実施形態では、切り取り線1c,1c’,1c’’ 及び切り離し線11acの一例としてミシン目を挙げたが、何等これに限らない。すなわち、周囲の部分と比べて切り取り線1c,1c’,1c’’等が切断し易くなっていれば、ミシン目以外でも良い。例えば、厚さ方向に圧搾又は圧搾溶着して形成された複数の凹部、又は連続した溝状の凹部によって、切り取り線1c,1c’,1c’’等を形成しても良い。
【0094】
上述の実施形態では、使い捨ておむつ1dpを、うつぶせ姿勢の着用対象者101から取り外すことについて主に説明したが、何等これに限らず、仰向け姿勢の着用対象者101からも取り外しても良いのは言うまでもない。