(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0012】
縦方向と、前記縦方向と交差する横方向と、を有し、
前身頃部、後身頃部、前記前身頃部と前記後身頃部との間に位置する股下部を備え、前記前身頃部と前記股下部とが接合され、前記後身頃部と前記股下部とが接合されている外層シートと、
前記前身頃部から前記後身頃部に亘って設けられ、排泄物を吸収する吸収性本体と、を備え、
前記前身頃部の前記横方向における前身頃側縁と前記後身頃部の前記横方向における後身頃側縁が接合されている使い捨ておむつであって、
前記股下部には、股下レッグギャザーが設けられ、前記股下レッグギャザーは、前記吸収性本体とは接合されておらず、
前記前身頃部と前記股下部との接合部は、前記縦方向において、前記前身頃側縁の前記股下部側の端よりも前記股下部側に位置することを特徴とする使い捨ておむつ。
【0013】
このような使い捨ておむつによれば、内腿や腹部に対しての使い捨ておむつの着用感を向上させることができる。
【0014】
かかる使い捨ておむつであって、
前記股下部の前記横方向における側縁は、内側に湾曲した湾曲部を備えており、
前記湾曲部に沿って前記股下レッグギャザーが設けられていることが望ましい。
【0015】
このような使い捨ておむつによれば、内腿に対しての使い捨ておむつの着用感をより一層向上させることができる。
【0016】
かかる使い捨ておむつであって、
前記湾曲部は、前記前身頃部と重なっていることが望ましい。
【0017】
このような使い捨ておむつによれば、湾曲部を介して股下部を前身頃部にスムーズに繋げることが可能となる。
【0018】
かかる使い捨ておむつであって、
前記前身頃部と前記股下部とが重なった重なり部分において、前記接合部が設けられている一方で、該重なり部分の前記横方向における両端部には非接合部が設けられていることが望ましい。
【0019】
このような使い捨ておむつによれば、内腿に対しての使い捨ておむつの着用感をより一層向上させることができる。
【0020】
かかる使い捨ておむつであって、
前記股下レッグギャザーは前記非接合部と重なっていることが望ましい。
【0021】
このような使い捨ておむつによれば、股下レッグギャザーの可動領域が減ることを防止することが可能となる。
【0022】
かかる使い捨ておむつであって、
前記吸収性本体の前記横方向における横方向両端部分のうちの、前記縦方向における縦方向端部においては、前記吸収性本体が前記外層シートに接合されている一方で、
前記横方向両端部分のうちの、前記縦方向における縦方向非端部であって前記接合部と重なっている部分においては、前記吸収性本体が前記外層シートに接合されていないことが望ましい。
【0023】
このような使い捨ておむつによれば、吸収性本体の前記横方向における横方向両端部分について、吸収性本体の固定すべきでない所を固定せず、固定すべき所をしっかりと固定することが可能となる。
【0024】
かかる使い捨ておむつであって、
前記接合部は、前側接合部であり、
前記後身頃部と前記股下部とは後側接合部にて接合されており、
前記股下部の最狭部からの前記前側接合部の離間距離は、該最狭部からの前記後側接合部の離間距離よりも小さいことが望ましい。
【0025】
このような使い捨ておむつによれば、前側接合部で未然に皺を途切れさせつつ、後側でごわごわ感を緩和することが可能となる。
【0026】
かかる使い捨ておむつであって、
前記吸収性本体の前記横方向における横方向中央部分においては、前記吸収性本体が、前記後身頃部の前記股下部側の端部と重なる部分を除いて、前記縦方向に沿って前記外層シートに接合されていることが望ましい。
【0027】
このような使い捨ておむつによれば、吸収性本体の前記横方向における横方向中央部分について、吸収性本体の固定すべきでない所を固定せず、固定すべき所をしっかりと固定することが可能となる。
【0028】
===本実施の形態に係る使い捨ておむつについて===
図1は、本実施の形態に係る使い捨ておむつ(以下、単に、おむつ1と呼ぶ)の斜視イメージ図である。
図2は、展開状態のおむつ1の平面図である。
図3は、展開状態のおむつ1の断面図である。
図4は、展開状態のおむつ1における筒状胴回り領域24及び股下パネル50の位置を示した平面図である。
図5は、展開状態のおむつ1における前側接合部62、後側接合部66、及び、本体接合部70の位置を示した平面図である。
【0029】
本実施の形態に係る使い捨ておむつ(以下、単におむつ1とも呼ぶ)は、主に大人を着用対象としたパンツ型おむつである。
【0030】
以下の説明では、おむつ1の横方向のことを、単に「横方向」と言う場合がある。また、
図1の状態(着用状態)でのおむつ1の縦方向のことを、単に「縦方向」と言う場合がある。また、
図2の状態(展開状態)でのおむつ1の長手方向のことを、単に「長手方向」と言う場合がある。また、着用者に接触する側のことを「肌側」、その反対側を「非肌側」と言う。また、以下の説明では「横方向」のことを「幅方向」とも呼ぶ。
【0031】
本実施の形態に係るおむつ1は、所謂インナーアウタータイプであり、2つの部品を有している。すなわち、このおむつ1は、第1部品として、着用者の股間部にあてがわれ尿等の排泄物を吸収する吸収性本体10(すなわち、インナー部材)を有し、第2部品として、吸収性本体10の外側(非肌側)に位置する外層シート20(すなわち、アウター部材)を有している。
【0032】
吸収性本体10は、着用者の股間(股下)に対応し、尿等の排泄物を吸収するためのものである。この吸収性本体10は、
図2に示すように(展開状態において)、平面視長方形状を有しており、長辺方向がおむつ1の長手方向に沿うように設けられている。
【0033】
吸収性本体10には、吸収体11が設けられている。この吸収体11は、液体吸収性素材を積層してなる部材(吸収性コア)であり、尿等の排泄物を吸収することができる。吸収体11は、パルプ(パルプ繊維)と吸収性ポリマー(SAP)とを有している。
【0034】
吸収体11は、液透過性シート(不織布)からなるコアラップ(不図示)に包まれ、厚み方向においてトップシート部材12とバックシート部材14により挟まれている。なお、トップシート部材12は、不織布製の液透過性シートであり、バックシート部材14は、ポリエチレン又はポリプロピレン製の液不透過性防漏シートと不織布製の液透過性外装シートとからなる二層構造のシートである。
【0035】
外層シート20は、前身頃部30、後身頃部40、前身頃部30と後身頃部40との間に位置する股下部(股下パネル50と呼ぶ。
図4において、右下がり斜線部で示す)の3分割構造を有するシートである。つまり、外層シート20は、前身頃部30、後身頃部40、股下パネル50に分かれており、前身頃部30と股下パネル50とが接合(固定)され、後身頃部40と股下パネル50とが接合(固定)されることにより形成されている。なお、本実施の形態において、当該接合はホットメルト接着剤により実現されている。
【0036】
前身頃部30は、着用者の腹部に対応する部分であり、後身頃部40は、着用者の背部(尻部)に対応する部分であり、股下パネル50は、着用者の股下に対応する部分である。したがって、
図2に示すように、股下パネル50は、長手方向において、前身頃部30と後身頃部40との間に位置している。そして、吸収性本体10は、前身頃部30から後身頃部40に亘って設けられている。換言すれば、吸収性本体10は、前身頃部30、後身頃部40、股下パネル50と重なるように設けられている。そして、おむつ1の外観形状は、
図2に示すように(展開状態において)、平面視略H形状をなしている。
【0037】
そして、この状態から、吸収性本体10及び股下パネル50が、長手方向におけるおむつ1の真ん中(おむつ1の長手方向における一端と他端の真ん中)の位置(
図2において、符号CLで表す)を折り位置として二つ折りされる。この二つ折りの状態において互いに対向する前身頃部30と後身頃部40とが、接合・連結されると、これらが環状に成形される(
図1参照)。つまり、前身頃部30の横方向における前身頃側縁31と後身頃部40の横方向における後身頃側縁41が連結(接合)されて筒状胴回り領域24(当該領域を、
図4において右上がり斜線部で示す)が形成されている。これにより、
図1に示すような胴周り開口1a及び一対の脚周り開口1bが形成された着用状態のおむつ1となる。なお、本実施の形態においては、前身頃側縁31の上端31aの縦方向における位置と後身頃側縁41の上端41aの縦方向における位置とが一致し、前身頃側縁31の下端31b(すなわち、股下パネル50側の端)の縦方向における位置と後身頃側縁41の下端41b(すなわち、股下パネル50側の端)の縦方向における位置とが一致した状態で、前身頃側縁31と後身頃側縁41が上端31a(上端41a)から下端31b(下端41b)に亘って接合されている(
図2において、接合部を符号Jで示している)。
【0038】
前身頃部30は、
図3に示すように、二枚の不織布により形成されており、それらのうちの一枚(非肌側の不織布)が伸縮性の不織布となっている。
【0039】
また、前身頃部30は、前述した筒状胴回り領域24(前身頃部30に属する筒状胴回り領域24。以下、前側胴回り領域32と呼ぶ)と、当該前側胴回り領域32よりも股下パネル50側(股下側)に位置する領域(前身頃股下側領域34と呼ぶ)とに、便宜上分けることができる。
【0040】
前側胴回り領域32は、
図2及び
図4に示すように、平面視長方形状を有しており、長辺方向が幅方向に沿っており、短辺方向が長手方向(縦方向)に沿っている(つまり、前述した前身頃側縁31は長手方向(縦方向)に沿っている)。一方、前身頃股下側領域34は、平面視において等脚台形に類似した形状を有している。等脚台形と異なるのは、脚が直線ではなく内側に湾曲している点である。また、下底(長い方の底。つまり、前側胴回り領域32との境界線)の長さは、前側胴回り領域32の長辺の長さよりも小さくなっている。
【0041】
したがって、前身頃部30の外周縁としては、前述した前身頃側縁31(前側胴回り領域32の横方向における両端に計2箇所)の他に、横方向に沿った前身頃上端縁35と、横方向に沿った一つの第一前身頃下端縁36a及び二つの第二前身頃下端縁36bと、内側に湾曲し第一前身頃下端縁36aと第二前身頃下端縁36bとの間に位置する二つの第三前身頃下端縁36cと、からなる前身頃下端縁36が設けられている。前身頃側縁31、前身頃上端縁35、第二前身頃下端縁36bは、前側胴回り領域32に設けられ、第一前身頃下端縁36a、第三前身頃下端縁36cは、前身頃股下側領域34に設けられている。
【0042】
また、前身頃部30(前側胴回り領域32)には、横方向に沿って伸縮する弾性部材(具体的には、糸ゴム。便宜上、前身頃糸ゴム30aと呼ぶ)が複数配置されている。この前身頃糸ゴム30aは、前記前身頃上端縁35に沿って前身頃上端縁35の一端部から他端部に亘って設けられている。この前身頃糸ゴム30aは、二枚の不織布の間に介装され、二枚の不織布に接合固定されている。そして、このことにより、前身頃部30には、横方向の伸縮性が付与され、おむつ1の胴周り開口1aに伸縮性を与えている。
【0043】
また、前身頃部30には、所謂レッグギャザー26(脚周り伸縮部)が設けられている。後述するように、レッグギャザー26は、前身頃部30のみならず、後身頃部40、股下パネル50にも設けられている。したがって、これらを区別するため、それぞれを、前側レッグギャザー37、後側レッグギャザー47、股下レッグギャザー54と呼ぶ。前側レッグギャザー37、後側レッグギャザー47、股下レッグギャザー54は、協働しておむつ1の脚周り開口1b(外層シート20の脚周り部分)に伸縮性を与えている。
【0044】
二枚の不織布の間には、複数の弾性部材(具体的には、糸ゴム。便宜上、LG糸ゴムと呼ぶ)が配置(接合固定)されており、当該LG糸ゴムが不織布に伸縮性を付与することによって、前側レッグギャザー37が構成されている。この前側レッグギャザー37(LG糸ゴム)は、前述した第二前身頃下端縁36b及び第三前身頃下端縁36cに沿ってこれらの縁の一端部から他端部に亘って連続して設けられている。
【0045】
後身頃部40は、
図3に示すように、二枚の不織布により形成されており、それらのうちの一枚(非肌側の不織布)が伸縮性の不織布となっている。
【0046】
また、後身頃部40は、前述した筒状胴回り領域24(後身頃部40に属する筒状胴回り領域24。以下、後側胴回り領域42と呼ぶ)と、当該後側胴回り領域42よりも股下パネル50側(股下側)に位置する領域(後身頃股下側領域44と呼ぶ)とに、便宜上分けることができる。
【0047】
後側胴回り領域42は、
図2及び
図4に示すように、平面視長方形状を有しており、長辺方向が幅方向に沿っており、短辺方向が長手方向(縦方向)に沿っている(つまり、前述した後身頃側縁41は長手方向(縦方向)に沿っている)。一方、後身頃股下側領域44は、平面視において等脚台形に類似した形状を有している。等脚台形と異なるのは、脚が直線ではなく外側に湾曲している点である。また、下底(長い方の底。つまり、後側胴回り領域42との境界線)の長さは、後側胴回り領域42の長辺の長さよりも僅かに小さくなっている。
【0048】
したがって、後身頃部40の外周縁としては、前述した後身頃側縁41(後側胴回り領域42の横方向における両端に計2箇所)の他に、横方向に沿った後身頃上端縁45と、横方向に沿った一つの第一後身頃下端縁46a及び二つの第二後身頃下端縁46bと、外側に湾曲し第一後身頃下端縁46aと第二後身頃下端縁46bとの間に位置する二つの第三後身頃下端縁46cと、からなる後身頃下端縁46が設けられている。後身頃側縁41、後身頃上端縁45、第二後身頃下端縁46bは、後側胴回り領域42に設けられ、第一後身頃下端縁46a、第三後身頃下端縁46cは、後身頃股下側領域44に設けられている。
【0049】
また、後身頃部40(後側胴回り領域42)には、横方向に沿って伸縮する弾性部材(具体的には、糸ゴム。便宜上、後身頃糸ゴム40aと呼ぶ)が複数配置されている。この後身頃糸ゴム40aは、前記後身頃上端縁45に沿って後身頃上端縁45の一端部から他端部に亘って設けられている。この後身頃糸ゴム40aは、二枚の不織布の間に介装され、二枚の不織布に接合固定されている。そして、このことにより、後身頃部40には、横方向の伸縮性が付与され、おむつ1の胴周り開口1aに伸縮性を与えている。
【0050】
また、二枚の不織布の間には、LG糸ゴムが配置(接合固定)されており、当該LG糸ゴムが不織布に伸縮性を付与することによって、後側レッグギャザー47が構成されている。この後側レッグギャザー47(LG糸ゴム)は、前述した第二後身頃下端縁46b及び第三後身頃下端縁46cに沿ってこれらの縁の一端部から他端部に亘って連続して設けられている。
【0051】
股下パネル50は、
図3に示すように、二枚の不織布により形成されている。この股下パネル50は、平面視略砂時計形状を備えている。すなわち、股下パネル50は、当該股下パネル50の長手方向における中央部分(具体的には、中央よりも前身頃部30側)に、横方向における内側へ湾曲した湾曲部52(窪んだ窪み部)を備えている。換言すれば、股下パネル50の横方向における両側縁は、内側に湾曲した湾曲部52を有している。そのため、当該中央部分(湾曲部52)において、股下パネル50の幅が最も狭くなっている(最狭部53となっている)。一方で、股下パネル50の長手方向における両端部には、湾曲部52が設けられておらず、当該両端部においては、股下パネル50の幅が最も広くなっている(最広部となっている)。
【0052】
また、二枚の不織布の間には、LG糸ゴムが配置(接合固定)されており、当該LG糸ゴムが不織布に伸縮性を付与することによって、股下レッグギャザー54が構成されている。この股下レッグギャザー54(LG糸ゴム)は、前述した湾曲部52に沿って連続して設けられている。また、股下レッグギャザー54(LG糸ゴム)は、湾曲部52を越えて、股下パネル50の長手方向における前記両端部に位置する前記最広部まで延びている。
【0053】
そして、前身頃部30、後身頃部40、股下パネル50については、前述したとおり、前身頃部30と股下パネル50とが接合され、後身頃部40と股下パネル50とが接合されている。以下において、前身頃部30と股下パネル50との接合部(前側接合部62と呼ぶ)と、後身頃部40と股下パネル50との接合部(後側接合部66と呼ぶ)について、この順に説明する。
【0054】
図2及び
図3に示すように、前身頃部30と股下パネル50は、前身頃部30が股下パネル50よりも非肌側に位置するように重ねられている。また、股下パネル50の縦方向における上端部が前身頃部30の縦方向における下端部に重なっている。より具体的には、股下パネル50の前記最広部だけでなく(最広部を越えて)、前記湾曲部52まで、前身頃部30と重なっている。一方、前身頃部30については、前記前側胴回り領域32及び前身頃股下側領域34のうちの前身頃股下側領域34のみが、股下パネル50と重なっている。
【0055】
そして、このような重なり部分において、前側接合部62(
図5の右上がり斜線部参照)が設けられている(この前側接合部62は、周囲の非接合部分よりも剛性が高い高剛性部となっている)。したがって、前側接合部62は、股下パネル50の縦方向における上端部に設けられている。そして、前側接合部62は、股下パネル50の前記最広部だけでなく(最広部を越えて)、前記湾曲部52まで至っている。なお、
図5に示すように、股下パネル50の湾曲部52に位置する前記最狭部53からの前側接合部62の離間距離D1は、該最狭部53からの後述する後側接合部66の離間距離D2よりも小さくなっている。
【0056】
また、前側接合部62は、前身頃部30の縦方向における下端部に設けられている。そして、前側接合部62は、前側胴回り領域32及び前身頃股下側領域34のうちの前身頃股下側領域34のみに備えられている。すなわち、前側接合部62は、長手方向(縦方向)において、前側胴回り領域32(の下端)よりも股下パネル50側(下側)に位置している。換言すれば、前側接合部62は、長手方向(縦方向)において、前記前身頃側縁31の股下パネル50側の端(下端31b)よりも股下パネル50側(下側)に位置している。
【0057】
また、
図5に示すように、前側接合部62は、長辺方向が横方向に沿う平面視長方形状を有し、横方向両端部のうち縦方向(長手方向)における股下パネル50側(下側)には切り欠きAを備えている。つまり、前身頃部30と股下パネル50を長方形状に接合するのではなく、長方形状の中で一部接合しない部分を設けている。この切り欠きAに相当する非接合部64は、前身頃部30と股下パネル50の重なり部分において、横方向における両端部に位置する。つまり、非接合部64は、当該重なり部分の横方向における両端部に設けられている。なお、
図5に示すように、当該非接合部64には、前述した股下レッグギャザー54(LG糸ゴム)が延出しており、股下レッグギャザー54(LG糸ゴム)と非接合部64は重なっている。
【0058】
また、
図2及び
図3に示すように、後身頃部40と股下パネル50は、後身頃部40が股下パネル50よりも非肌側に位置するように重ねられている。また、股下パネル50の縦方向における上端部が後身頃部40の縦方向における下端部に重なっている。より具体的には、股下パネル50の前記最広部が後身頃部40と重なっている(前身頃部30とは異なり、湾曲部52とは重なっていない)。一方、後身頃部40については、前記後側胴回り領域42及び後身頃股下側領域44のうちの後身頃股下側領域44のみが、股下パネル50と重なっている。
【0059】
そして、このような重なり部分において、後側接合部66(
図5の右上がり斜線部参照)が設けられている(この後側接合部66は、周囲の非接合部分よりも剛性が高い高剛性部となっている)。したがって、後側接合部66は、股下パネル50の縦方向における上端部に設けられている。そして、後側接合部66は、股下パネル50の前記最広部に備えられている。
【0060】
また、後側接合部66は、後身頃部40の縦方向における下端部に設けられている。そして、後側接合部66は、後側胴回り領域42及び後身頃股下側領域44のうちの後身頃股下側領域44のみに備えられている。すなわち、後側接合部66は、長手方向(縦方向)において、後側胴回り領域42(の下端)よりも股下パネル50側(下側)に位置している。換言すれば、後側接合部66は、長手方向(縦方向)において、前記後身頃側縁41の股下パネル50側の端(下端41b)よりも股下パネル50側(下側)に位置している。
【0061】
また、
図5に示すように、後側接合部66は、長辺方向が横方向に沿う平面視長方形状を有している(前側接合部62に存在した切り欠きAは設けられていない)。
【0062】
また、前述したとおり、外層シート20(前身頃部30、後身頃部40、股下パネル50)は、吸収性本体10と重なっている。すなわち、
図2及び
図3に示すように、外層シート20と吸収性本体10は、外層シート20が吸収性本体10よりも非肌側に位置するように重ねられている。なお、吸収性本体10の全ての部分が外層シート20と重なっているわけではない。例えば、股下パネル50の長手方向における中央部分には、内側へ湾曲した湾曲部52が備えられているため、当該中央部分において、長方形状の吸収性本体10は、湾曲部52から横方向にはみ出している。そして、はみ出した部分は、外層シート20(股下パネル50)とは重なっていない。
【0063】
外層シート20と吸収性本体10とが重なった重なり部分においては、外層シート20と吸収性本体10が接合部(
図5の右下がり斜線部参照。便宜上、本体接合部70と呼ぶ)にて接合されている。なお、重なり部分の全てにおいて、外層シート20と吸収性本体10が接合されているわけではない。例えば、
図5に示すように、外層シート20の股下レッグギャザー54(LG糸ゴム)は、吸収性本体10と接合されていない。つまり、本体接合部70は、股下レッグギャザー54(LG糸ゴム)との重なりを回避するように、設けられている。
【0064】
本体接合部70は、おむつ1の横方向で見たときには、5箇所に分けて設けられている。そのうちの一つ(第一本体接合部71と呼ぶ)は、吸収性本体10の当該横方向における横方向中央部分に設けられており、そのうちの二つ(第二本体接合部72及び第三本体接合部73と呼ぶ)は、吸収性本体10の当該横方向における横方向両端部分に設けられており、残りの二つ(第四本体接合部74及び第五本体接合部75と呼ぶ)は、当該横方向において、第一本体接合部71と第二本体接合部72(第三本体接合部73)との間に設けられている。
【0065】
第一本体接合部71は、縦方向に沿って吸収性本体10の一端から他端に亘って設けられている。しかしながら、後身頃部40の股下パネル50側の端部(下端部)と重なる部分には、接合部の切れ目B(非接合部)が存在している。すなわち、吸収性本体10の横方向における横方向中央部分においては、吸収性本体10が、後身頃部40の股下パネル50側の端部(下端部)と重なる部分を除いて、縦方向に沿って外層シート20に接合されている。
【0066】
第二本体接合部72及び第三本体接合部73は、吸収性本体10の縦方向における縦方向端部に設けられている。つまり、第二本体接合部72及び第三本体接合部73は、吸収性本体10の四隅を外層シート20に接合する役割を果たしている。そして、当該第二本体接合部72及び第三本体接合部73は、吸収性本体10の縦方向における縦方向非端部であって前述した前側接合部62や後側接合部66と重なっている部分には、設けられていない(至っていない)。すなわち、吸収性本体10の横方向における横方向両端部分のうちの、縦方向における縦方向端部においては、吸収性本体10が外層シート20に接合されている一方で、前記横方向両端部分のうちの、縦方向における縦方向非端部であって前側接合部62や後側接合部66と重なっている部分においては、吸収性本体10が外層シート20に接合されていない。
【0067】
第四本体接合部74及び第五本体接合部75は、前述した本体接合部70とは異なり、縦方向に沿って連続的に吸収性本体10の一端から他端に亘って設けられている。つまり、吸収性本体10が、第四本体接合部74及び第五本体接合部75にて、縦方向に沿って連続的に外層シート20に接合されている。
【0068】
===本実施の形態に係るおむつ1の有効性について===
上述したとおり、本実施の形態に係るおむつ1は、縦方向と、縦方向と交差する横方向と、を有し、前身頃部30、後身頃部40、前身頃部30と後身頃部40との間に位置する股下パネル50を備え、前身頃部30と股下パネル50とが接合され、後身頃部40と股下パネル50とが接合されている外層シート20と、前身頃部30から後身頃部40に亘って設けられ、排泄物を吸収する吸収性本体10と、を備え、前身頃部30の横方向における前身頃側縁31と後身頃部40の横方向における後身頃側縁41が接合されているおむつ1であった。そして、股下パネル50には、股下レッグギャザー54が設けられ、股下レッグギャザー54は、吸収性本体10とは接合されておらず、前身頃部30と股下パネル50との前側接合部62は、縦方向において、前身頃側縁31の股下パネル50側の端(下端31b)よりも股下パネル50側に位置することとした。そのため、内腿や腹部に対してのおむつ1の着用感を向上させることが可能となる。
【0069】
比較例に係るおむつは、本実施の形態に係るおむつと同様、前身頃部、後身頃部、前身頃部と後身頃部との間に位置する股下パネルを備え、前身頃部と股下パネルとが接合され、後身頃部と股下パネルとが接合されている外層シートと、前身頃部から後身頃部に亘って設けられ、排泄物を吸収する吸収性本体と、を備え、前身頃部の横方向における前身頃側縁と後身頃部の横方向における後身頃側縁が接合されているものの、以下の点で、本実施の形態に係るおむつとは異なっていた。
【0070】
すなわち、比較例に係るおむつにおいては、股下パネルの股下レッグギャザーが吸収性本体と接合されていた。そして、このことに起因して、以下の問題が生じていた。
【0071】
すなわち、おむつを着用した際には、吸収性本体が両太腿に挟まれると、吸収性本体は変形し、その幅が狭くなる。そして、吸収性本体に股下パネルの股下レッグギャザーが接合されているため、股下レッグギャザーが、吸収性本体の当該変形(幅が狭くなること)の影響を受け、太腿に適切に沿わないという事態が生じていた。したがって、股下パネルが内腿に適切にフィットしないという問題が発生していた。
【0072】
また、比較例に係るおむつ1においては、前身頃部と股下パネルとの前側接合部が、縦方向において、前身頃側縁の股下パネル側の端(下端)よりも股下パネル側とは反対側(上側)に位置していた。換言すれば、前側接合部は、前側胴回り領域に備えられていた。そして、このことに起因して、以下の問題が生じていた。
【0073】
すなわち、おむつを着用した際には、股下パネルが両太腿の間に位置することにより、股下パネルに縦方向(長手方向)に沿った皺が発生する。そして、この皺が、前身頃部にも影響を与えて、前側胴回り領域まで当該皺が伸びる可能性があった。この場合には、当該皺により腹部に関しての着心地がよくないという問題が生じていた。
【0074】
これに対し、本実施の形態においては、股下パネル50の股下レッグギャザー54が吸収性本体10と接合されていないため、股下レッグギャザー54が、吸収性本体10の前述した変形(幅が狭くなること)の影響を受けず、太腿に適切に沿わないという事態を回避することができる。つまり、吸収性本体10が当該変形をしても、股下レッグギャザー54の方は吸収性本体10とは独立して動けるので、股下レッグギャザー54は太腿に適切に沿うことができる。したがって、股下パネル50が内腿に適切にフィットしないという問題を抑えることが可能となる。
【0075】
また、本実施の形態においては、前身頃部30と股下パネル50との前側接合部62は、縦方向において、前身頃側縁31の股下パネル50側の端(下端31b)よりも股下パネル50側(下側)に位置するため、股下パネル50に発生した縦方向(長手方向)に沿った皺が前身頃部30に影響を与える問題を抑えることができる。つまり、股下パネル50に発生した当該皺が前側胴回り領域32に至る前に、高剛性部である前側接合部62が、前側胴回り領域32(下端31b)よりも下側で皺の前側胴回り領域32への伝達を止める作用を発揮する。そのため、前側胴回り領域32まで皺が伸びて、当該皺により腹部に関しての着心地がよくないという問題を抑えることが可能となる。
【0076】
以上のことから、本実施の形態に係るおむつ1によれば、内腿や腹部に対してのおむつ1の着用感を向上させることができる。また、股下パネル50が内腿に適切にフィットしないという問題を抑えることが可能となるため、おむつ1と内腿との間から排泄物が漏れることを抑止することができる。また、前側胴回り領域32まで皺が伸びる問題を抑えることが可能となるため、前側胴回り領域32におけるおむつ1のシルエットを適切な状態に維持する(見た目が美しい)ことが可能となる。
【0077】
また、本実施の形態においては、股下パネル50の横方向における側縁は、内側に湾曲した湾曲部52を備えており、当該湾曲部52に沿って股下レッグギャザー54が設けられていることとした。
【0078】
そのため、湾曲部52の湾曲した形状が内腿に沿うことにより、股下パネル50を内腿に、より一層適切にフィットさせることが可能となる。したがって、内腿に対してのおむつ1の着用感をより一層向上させることができる。また、おむつ1と内腿との間から排泄物が漏れることをより一層抑止することができる。
【0079】
また、本実施の形態においては、当該湾曲部52は、前身頃部30と重なっていることとした。
【0080】
仮に、股下パネル50の前述した最広部のみが前身頃部30に重なり、湾曲部52が前身頃部30に重なっていない場合には、股下パネル50から前身頃部30にかけての側縁のラインが凸凹してしまう。これに対し、本実施の形態においては、湾曲部52を介して股下パネル50を前身頃部30にスムーズに繋げることが可能となる。
【0081】
また、本実施の形態においては、前身頃部30と股下パネル50とが重なった重なり部分において、前側接合部62が設けられている一方で、該重なり部分の横方向における両端部には非接合部64(切り欠きAに相当する部分)が設けられていることとした。
【0082】
前身頃部30と股下パネル50とが重なった重なり部分の横方向における両端部は、おむつ1を着用した際に、太腿に当たる可能性が高い部分である。本実施の形態においては、当該重なり部分全体に前側接合部62(高剛性部)を設けるのではなく、当該両端部においては接合を行わないことにより剛性が高い部分が太腿に当たらないような工夫をしている。したがって、内腿に対してのおむつ1の着用感をより一層向上させることができる。
【0083】
また、本実施の形態においては、股下レッグギャザー54が当該両端部に設けられた非接合部64と重なっていることとした。
【0084】
仮に、股下レッグギャザー54が当該非接合部64と重なっていない場合には、股下レッグギャザー54の伸縮性が接合によりうまく働かず、股下レッグギャザー54の可動領域が減ることとなる。これに対し、本実施の形態においては、股下レッグギャザー54が当該両端部において前身頃部30に接合されていない(非接合部64と重なっている)ため、股下レッグギャザー54の可動領域が減ることを防止することが可能となる。
【0085】
また、本実施の形態においては、吸収性本体10の横方向における横方向両端部分のうちの、縦方向における縦方向端部においては、吸収性本体10が外層シート20に接合されている一方で、横方向両端部分のうちの、縦方向における縦方向非端部であって前側接合部62と重なっている部分においては、吸収性本体10が外層シート20に接合されていないこととした。
【0086】
そのため、当該横方向両端部分のうちの縦方向端部、つまり、吸収性本体10の四隅については、しっかりと吸収性本体10を外層シート20に固定できる。
【0087】
一方で、当該横方向両端部分のうちの前側接合部62と重なっている部分(縦方向非端部)については、吸収性本体10が外層シート20に接合されていない。仮に、吸収性本体10が外層シート20に接合されている場合には、剛性が高い吸収体11を備える吸収性本体10が前側接合部62に固定されることとなるため、当該剛性の高さに起因して前側接合部62に皺が出来やすくなる。かかる際には、皺の伝達を止める作用を有する前側接合部62に、皺が発生し得ることとなり、望ましくない。これに対し、本実施の形態においては、皺の伝達を止める作用を有する前側接合部62に、吸収性本体10による皺が出来にくくすることが可能となる。
【0088】
このように、本実施の形態によれば、吸収性本体10の横方向における横方向両端部分について、吸収性本体10の固定すべきでない所を固定せず、固定すべき所をしっかりと固定することが可能となる。
【0089】
また、本実施の形態においては、股下パネル50の最狭部53からの前側接合部62の離間距離D1は、該最狭部53からの後側接合部66の離間距離D2よりも小さいこととした。
【0090】
おむつ1においては、股下パネル50の当該最狭部53で最も皺が発生しやすい。したがって、最狭部53からの接合部の離間距離を小さくすれば、接合部で未然に皺を途切れさせることができる。一方で、接合部は高剛性部であるため、当該接合部においてはおむつ1の着用時にごわごわ感が発生する。そして、後側(尻側、背側)においては、最狭部53からの接合部の離間距離を大きくすれば(つまり、尻よりも背の方に接合部を持って行けば)、ごわごわ感を緩和することができる。
【0091】
そこで、本実施の形態においては、かかる事情に鑑み、最狭部53からの前側接合部62の離間距離D1と最狭部53からの後側接合部66の離間距離D2を同じにするのではなく、差を設けている。すなわち、後側(離間距離D2)については、前側よりも位置的に皺が目立ちにくく(目に入りにくく)、ごわごわ感の問題があるため、皺よりもごわごわ感の問題を重視して、離間距離D1よりも大きくしている。一方、前側(離間距離D1)については、ごわごわ感の場所による緩和度合いにあまり差がなく、後側よりも位置的に皺が目立ちやすい(目に入りやすい)ため、ごわごわ感よりも皺の問題を重視して、離間距離D2よりも大きくしている。
【0092】
このように、本実施の形態によれば、前側接合部62で未然に皺を途切れさせつつ、後側でごわごわ感を緩和することが可能となる。
【0093】
また、本実施の形態においては、吸収性本体10の横方向における横方向中央部分においては、吸収性本体10が、後身頃部40の股下パネル50側の端部(下端部)と重なる部分を除いて、縦方向に沿って外層シート20に接合されていることとした。
【0094】
吸収性本体10の横方向中央部分であって後身頃部40の下端部と重なる部分は、おむつ1を着用した際に尻溝に対応した部分となる。そして、仮に、当該部分も外層シート20に接合してしまうと、尻溝に入り込もうとするような吸収性本体10の折り曲がり変形が外層シート20に悪影響を与えてしまう(外層シート20も当該変形に影響を受けて尻溝の方へ引っ張られてしまう)。そこで、本実施の形態においては、当該部分は外層シート20に接合しないようにして、吸収性本体10の折り曲がり変形が外層シート20に悪影響をなるべく与えないようにしている。
【0095】
このように、本実施の形態によれば、吸収性本体10の横方向における横方向中央部分について、吸収性本体10の固定すべきでない所を固定せず、固定すべき所をしっかりと固定することが可能となる。
【0096】
===その他の実施の形態===
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。
【0097】
上記実施の形態に係るおむつ1は、大人を着用対象としたが、これに限定されるものではなく、新生児、乳児、幼児等の子供を着用対象としてもよい。