(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための半導体発光装置及びその製造方法を例示するものであって、本発明は半導体発光装置及びその製造方法を以下のものに特定しない。また、本明細書は、特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に、実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれ1のみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに、以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、一部の実施例、実施形態において説明された内容は、他の実施例、実施形態等に利用可能なものもある。
【0013】
本発明の実施形態に係る半導体発光装置は、リードフレームと、前記リードフレーム上に実装される半導体発光素子と、前記リードフレームを被覆してなる樹脂パッケージとを備えている。前記リードフレームは、前記樹脂パッケージ内で互いに対向して配置された第一リードと第二リードとを備えている。前記第一リード及び前記第二リードは、前記樹脂パッケージに被覆されるインナーリード部と、前記インナーリード部から延在して前記樹脂パッケージの側面に配置されるアウターリード部とを備えると共に、それぞれの下面を前記樹脂パッケージの底面から露出させた第一露出面及び第二露出面としている。前記第一リードは、前記第一リードと前記第二リードとが対向する方向において、前記第二リードよりも長く構成されて、その上面に前記半導体発光素子を実装している。前記第二リードは、前記第二露出面において、前記第一リードと対向する側の両端部を前記第一リード側に向かって先細り状に延伸させた一対の延伸部を設けている。
【0014】
本明細書において「樹脂パッケージに被覆される」とは、第一リードと第二リードの対向方向に垂直な横断面において、リードフレームの外周面の少なくとも一部が樹脂パッケージに接触する状態を意味するものとし、一部が露出する状態を含む広い意味で使用する。
【0015】
本発明の実施形態に係る半導体発光装置は、前記一対の延伸部の先細り状を三角形状に形成することができる。上記構成により、第二露出面における延伸部の面積を確保しつつ、第一リード側の対向縁の後退する領域を小さくして、第一リード上面の半導体発光素子を実装する領域の面積を確保しやすくできる。
【0016】
本発明の実施形態に係る半導体発光装置は、前記第一リード及び前記第二リードが、前記樹脂パッケージの側面の内、前記アウターリード部が配置される側面と交差する側面を、前記リードフレームを露出させない被覆面とすることができる。上記構成により、半導体発光装置の導電部材であるリードフレームの露出が一方向のみとなるため、実装基板への実装時に狭ピッチで半導体発光装置を配置しやすくできる。
【0017】
本発明の実施形態に係る半導体発光装置は、前記第一リードが、前記第二リードと対向する側の両端部に、前記一対の延伸部に対向して一対の窪み部を備えることができる。上記構成により、第一リードと第二リードの対向部分の両端部において、第二リードには第一リード側に向かって延伸する延伸部を設けつつも、第一リードには延伸部に対向する部分を窪ませて窪み部を設けることで、両者の間を離間させた状態を維持でき、絶縁性の信頼性を確保できる。また、第二リードに設ける延伸部を第一リード側に向かって先細り状に延伸させて延伸部の面積を小さくしつつ、これと対向する第一リードの窪み部の面積を小さくすることで、第一リードにおける半導体発光素子の実装領域を確保できる。
【0018】
本発明の実施形態に係る半導体発光装置は、前記第二リードが、前記第一リードと対向する領域において、前記一対の延伸部の間に略直線状の第二中間領域を形成し、前記第一リードが、前記第二リードと対向する領域において、前記一対の窪み部の間に略直線状の第一中間領域を形成することができる。上記構成により、第一リードと第二リードが対向する領域において、第二リード側の周縁部における樹脂パッケージの破損を抑制しながら、第一リードと第二リードとを一定の間隔で離間させて絶縁性を維持できる。また、対向する領域の中央部に直線部分を設けることで、半導体発光素子を配置しやすくできる。
【0019】
本発明の実施形態に係る半導体発光装置は、前記樹脂パッケージが、上面に断面凹状の開口部を形成すると共に、前記開口部の底面において前記リードフレームの上面を前記樹脂パッケージから露出させて、前記半導体発光素子の実装面を構成し、前記第二リードは、前記延伸部が前記樹脂パッケージで被覆されると共に、前記第二中間領域が前記開口部の底面に露出することができる。上記構成により、第二リードの延伸部を樹脂パッケージで被覆して、第二リードを樹脂パッケージに確実に固定しながら、樹脂パッケージの開口部における第二リード側の露出領域を広く確保して、第一リードに実装される半導体発光素子と接続する導電性ワイヤを接続しやすくできる。
【0020】
本発明の実施形態に係る半導体発光装置は、前記樹脂パッケージが、上面に断面凹状の開口部を形成すると共に、前記開口部の底面において前記リードフレームの上面を前記樹脂パッケージから露出させて、前記半導体発光素子の実装面を構成し、前記第一リードは、前記第一中間領域と前記窪み部を前記開口部の底面に露出させることができる。上記構成により、樹脂パッケージの開口部の底面において、第一リード側では、窪み部を表出させることにより、開口部の底面に露出する樹脂パッケージの面積を大きくできる。これにより、樹脂パッケージの開口部に樹脂等の充填物を充填する構造においては、充填される樹脂と開口部底面の樹脂が接する面積が増えるので、充填される樹脂の密着性を向上できる。
【0021】
本発明の実施形態に係る半導体発光装置は、前記樹脂パッケージが、上面に断面凹状の開口部を形成すると共に、前記開口部の底面において前記リードフレームの上面を前記樹脂パッケージから露出させて、前記半導体発光素子の実装面を構成し、前記開口部の中央領域において、前記第一リードに前記半導体発光素子を実装することができる。上記構成により、樹脂パッケージに設けた開口部の中央領域に配置された半導体発光素子からバランス良く光を照射できる。
【0022】
本発明の実施形態に係る半導体発光装置は、前記リードフレームが、側面視において、前記第一リードと前記第二リードとがオーバーラップする部分を有することができる。
【0023】
本発明の実施形態に係る半導体発光装置は、前記第一リードと前記第二リードが、側縁にフランジ部を備え、前記フランジ部を、前記樹脂パッケージに埋設させることができる。上記構成により、第一リードと第二リードの側縁にフランジ部を設けて、このフランジ部を樹脂パッケージで被覆することにより、リードフレームと樹脂パッケージとの連結強度を高めることができる。また、リードフレームの周縁における樹脂パッケージの破損を有効に防止できる。
【0024】
本発明の実施形態に係る半導体発光装置は、前記第二リードに設けられる前記フランジ部が、前記延伸部の側縁から先端縁に沿って連続して回り込むように配置された延長部を形成することができる。上記構成により、延伸部の先端部周辺における強度をアップして、この部分における樹脂パッケージの破損を有効に防止できる。
【0025】
本発明の実施形態に係る半導体発光装置は、前記一対の延伸部が、互いに対向する辺を傾斜させて、前記第二リードから離れるにつれて末広がりとなるように形成することができる。上記構成により、延伸部の延伸方向を外側に向けたことで斜め方向に距離を稼ぎ、応力を外側に逃がす効果が得られる。
【0026】
本発明の実施形態に係る半導体発光装置は、前記第二リードが、前記第二露出面の側縁を前記第一リード側に延長して前記延伸部の一辺を構成することができる。上記構成により、第二リードの横幅を広くすることなく、いいかえると、樹脂パッケージの外形を大きくすることなく、第一リード側に向かって延伸する延伸部を設けて、第二リード側の周縁における樹脂パッケージの破損を有効に防止できる。
【0027】
本発明の実施形態に係る半導体発光装置は、前記第一露出面と前記第二露出面を、前記インナーリード部から前記アウターリード部まで連続させることができる。上記構成により、樹脂パッケージの底面から露出するリードフレームの露出面をインナーリード部からアウターリード部まで連続させて一続きとすることで放熱性を向上できる効果が得られる。
【0028】
本発明の実施形態に係る半導体発光装置は、前記第一露出面と前記第二露出面とを、前記樹脂パッケージの底面と同一平面上に配置することができる。上記構成により、第一リードの第一露出面と第二リードの第二露出面とを外部接続面として回路基板等の基材の表面に電気接続することができる。とくに、リードフレームの下面と樹脂パッケージの底面とを同一平面上に配置することで、基材の表面に対してリードフレームの下面を密着させて良好な電気接続が実現できる。
【0029】
本発明の実施形態に係る半導体発光装置は、前記第二リード上に、前記半導体発光素子を保護するための保護素子を実装することができる。上記構成により、第二サブフレーム上にツェナーダイオード等の保護素子を実装して、半導体発光素子を保護できる。
【0030】
本発明の実施形態に係る半導体発光装置の製造方法は、リードフレームと、前記リードフレーム上に実装される半導体発光素子と、前記リードフレームを被覆してなる樹脂パッケージと、を備える半導体発光装置の製造方法であって、リード準備工程と、樹脂パッケージ成形工程と、実装工程と、切断工程とを含んでいる。前記リードフレームは、互いに対向して配置された第一リードと第二リードとを備え、前記第一リードと前記第二リードは、互いに対向する方向において、前記第一リードが前記第二リードよりも長く形成され、かつ、前記第二リードは、前記第一リードと対向する側の両端部が前記第一リード側に向かって先細り状に延伸されて一対の延伸部が形成されており、リード準備工程では、該リードフレームを、その両端がリード連結部を介してリードランナーに連結された状態に成形する。樹脂パッケージ成形工程は、前記リードフレームを樹脂で被覆して、前記リードフレームの両端を対向する両側面に配置し、かつ、前記第一リードと前記第二リードの下面を底面から露出する状態で前記樹脂パッケージを成形する。実装工程は、前記リードフレーム上に、前記半導体発光素子を実装する。切断工程は、前記樹脂パッケージが成形された前記リードフレームの両端において、前記リード連結部を切断して、該リードフレームを前記リードランナーから分離する。
【0031】
本発明の実施形態に係る半導体発光装置の製造方法は、前記リード準備工程において、複数のリードフレームを、1ないし複数列に並べる状態で前記リードランナーに連結してなるフレームユニットを成形することができる。これにより、多数のリードフレームをリードランナーに連結した状態で成形して、半導体発光装置を効率よく多量生産できる。
【0032】
以下、本発明の一実施の形態に係る半導体発光装置を
図1ないし
図7に基づいて詳述する。
図1は半導体発光装置の垂直縦断面図を、
図2は
図1に示す半導体発光装置の斜視図を、
図3ないし
図7は
図1に示す半導体発光装置の一製造工程を示す平面図、底面図、垂直縦断面図、水平断面図、及び垂直横断面図をそれぞれ示している。これ等の図に示す半導体発光装置100は、表面実装タイプの半導体発光装置である。この半導体発光装置100は、導電性の部材からなるリードフレーム1と、このリードフレーム1上に実装される半導体発光素子3と、このリードフレーム1を被覆してなる絶縁性の樹脂パッケージ2とを備えている。
【0033】
図の半導体発光装置100は、リードフレーム1の上面側を被覆する樹脂パッケージ2を備える。図の樹脂パッケージ2は、上面に断面凹状の開口部21を形成しており、この開口部21の底面においてリードフレーム1の上面を露出させて、半導体発光素子の実装面19を構成しており、この実装面19上に半導体発光素子3が実装されている。さらに、
図1に示す半導体発光装置100は、半導体発光素子3が実装される樹脂パッケージ2の開口部21内部に、封止部材4が充填されている。なお、本発明の実施形態に係る半導体発光装置は、表面が樹脂パッケージ2で被覆されて定位置に配置されるリードフレーム1の形状を特徴とするものである。したがって、リードフレーム1に実装される半導体発光素子3や樹脂パッケージ2の開口部21に充填される封止部材4には、現在すでに開発され、あるいは今後開発される全ての半導体発光素子や封止部材が使用できる。以下に個々の部材について説明する。
【0034】
(リードフレーム1)
リードフレーム1は、導電性の金属板を所定の形状に加工したものである。
図1ないし
図8に示すリードフレーム1は、全体の形状を帯状として、両側縁を互いに平行な姿勢としている。リードフレーム1を構成する導電性の金属板には、各種の金属を用いることができる。例えば、銅もしくは銅合金、ステンレス鋼およびインバー合金を含む鉄合金等が挙げられる。また、異種の金属をクラッドしたクラッド材であっても良い。さらに、リードフレーム1は、半導体発光素子3の実装面や外部電極との接続部位等にメッキ層を有しても良い。メッキ層は任意の種類のメッキでよく、既知の任意のメッキ方法を用いて形成することができる。好ましくは、銀、金、ニッケル、アルミニウム、パラジウム、ロジウム、銅から選択される1つ以上の元素を含む。より好ましくは、銀、ニッケル、パラジウムおよび金から選択される1つ以上を主成分として含む。特に半導体発光素子が実装される最表面は、発光素子からの光に対する反射率の高い材料である銀や、ワイヤと良好な密着性を有する金を含むメッキ層を有することが好ましい。
【0035】
リードフレーム1は、樹脂パッケージ2内で互いに対向して配置された第一リード1Aと第二リード1Bとを備える。第一リード1Aと第二リード1Bからなるリードフレーム1は、部分的に樹脂パッケージ2で被覆されており、この樹脂パッケージ2を介して定位置に配置されている。第一リード1A及び前記第二リード1Bは、樹脂パッケージ2に被覆されるインナーリード部11、12と、インナーリード部11、12から延在して樹脂パッケージ2の側面に配置されるアウターリード部13とを備えている。図に示すリードフレーム1は、両端部を樹脂パッケージ2から突出させており、樹脂パッケージ2の側面から突出する端部をアウターリード部13として、外部接続できるようにしている。図のリードフレーム1は、両側縁が樹脂パッケージ2で被覆される横幅(W)とすると共に、両端部が樹脂パッケージ2の外側まで延長されて樹脂パッケージ2の両側面から突出する長さとしている。すなわち、リードフレーム1は、樹脂パッケージ2の側面の内、アウターリード部13が配置される側面と交差する側面を、リードフレーム1を露出させない被覆面2bとしている。
【0036】
さらに、図に示すリードフレーム1は、下面1aを樹脂パッケージ2の底面2aから露出させて露出面とすると共に、半導体発光素子3が実装される実装面19を樹脂パッケージ2の開口部21の底面に露出させている。すなわち、リードフレーム1は、両端部と下面1aと上面の一部を除く部分が樹脂パッケージ2で被覆されている。このように、リードフレーム1の横断面における外周面のうち、少なくとも一部が樹脂パッケージ2に接触するように被覆された部分、すなわち、リードフレーム1の上面、下面、及び両側縁部のうち、少なくとも一部が樹脂パッケージ2で被覆された部分をインナーリード部11、12としている。
【0037】
第一リード1Aは、リードフレーム1の長さ方向、すなわち、第一リード1Aと第二リード1Bとが対向する方向において、第二リード1Bよりも長く構成されている。言い換えると、リードフレーム1は、
図4に示すように、第二リード1Bのインナーリード部12の長さ(L2)を第一リード1Aのインナーリード部11の長さ(L1)よりも短くしている。これにより、
図1ないし
図8に示すリードフレーム1は、樹脂パッケージ2の開口部21において、第一リード1Aと第二リード1Bが対向する領域を、中央部から偏在させる状態で配置している。
図1ないし
図8に示すリードフレーム1は、第一リード1Aと第二リード1Bとの対向領域を、第二リード1B側(
図1〜
図6において右側)に偏在させており、
図1と
図2に示すように、開口部21の中央領域において、第一リード1Aの上面に半導体発光素子3を配置している。第一リード1Aと第二リード1Bの対向縁は所定の間隔を離して配置されて、これ等の間に絶縁隙間20が形成されており、この絶縁隙間20に充填される樹脂を介して互いに絶縁されている。
【0038】
第一リード1Aは、樹脂パッケージ2の中央部を含む領域から一方の端部にわたって配置されている。この第一リード1Aは、樹脂パッケージ2に被覆されるインナーリード部11と、外部接続される端子として樹脂パッケージ2の外部に引き出されるアウターリード部13とからなる。第一リード1Aのインナーリード部11は、開口部21の中央領域に配置されて、半導体発光素子3が実装されるリード中央領域17と、このリード中央領域17とアウターリード部13の間に設けられて、樹脂パッケージ2との連結構造を強めるための樹脂連結部14とからなる。
図1と
図2の第一リード1Aは、リード中央領域17を樹脂パッケージ2の開口部21から露出させて実装面19とし、この実装面19に半導体発光素子3を実装している。第一リード1Aに実装される半導体発光素子3は、発光面側に一対の電極を備えており、一方の電極に接続される導電性ワイヤ32を、第一リード1Aのリード中央領域17に電気接続し、他方の電極に接続される導電性ワイヤ32を対向する第二リード1Bに電気接続している。
図2に示す半導体発光装置100は、6個の半導体発光素子3を実装しているが、半導体発光装置は、1〜5個、あるいは7個以上の半導体発光素子を実装することもできる。
【0039】
第二リード1Bは、樹脂パッケージ2の片側であって、第一リード1Aと反対側の端部に配置されている。この第二リード1Bは、樹脂パッケージ2に被覆されるインナーリード部12と、外部接続される端子として樹脂パッケージ2の外部に引き出されるアウターリード部13とからなる。第二リード1Bのインナーリード部12は、第一リード1Aと対向する位置に配置されるリード接続領域18と、このリード接続領域18とアウターリード部13の間に設けられて、樹脂パッケージ2との連結構造を強めるための樹脂連結部14とからなる。
図1と
図2の第二リード1Bは、リード接続領域18を樹脂パッケージ2の開口部21から露出させており、このリード接続領域18に、第一リード1Aに実装される半導体発光素子3の他方の電極に接続される導電性ワイヤ32を電気接続している。
【0040】
図の第一リード1Aと第二リード1Bは、樹脂パッケージ2から外部に引き出されるアウターリード部13を同じ構造とすると共に、樹脂パッケージ2に連結される樹脂連結部14を同じ構造としている。
【0041】
アウターリード部13は、リードフレーム1の長さ方向に突出する略凸形状の外部リード凸部13aが同一面上に延伸されて形成されている。
図2の例では、外部リード凸部13aは、各々のアウターリード部13の両側に設けられている。図の外部リード凸部13aは、コーナー部を面取りしている。また、アウターリード部13は、
図3ないし
図6、及び
図8に示すように、外部リード凸部13aの間に、外側に向かって突出するリード連結部10が連結されるようにしている。第一リード1Aと第二リード1Bは、このリード連結部10を介して、後述するリードランナー60(
図10参照)に連結されている。なお、
図1と
図2においては、このリード連結部10を切断した状態を示している。このリード連結部10は、製造工程の一工程である切断工程において切断される。
【0042】
さらに、図に示す半導体発光装置100は、第一リード1Aと第二リード1Bの下面1aを、樹脂パッケージ2の底面2aからさせて、それぞれ第一露出面51及び第二露出面52としている。樹脂パッケージ2の底面2aから露出する、第一リード1Aの第一露出面51と第二リード1Bの第二露出面52は、樹脂パッケージ2の底面2aと同一平面上に配置されている。さらに、このリードフレーム1は、
図4と
図5に示すように、樹脂パッケージ2に被覆されるインナーリード部11、12からアウターリード部13まで連続して、リードフレーム1の下面1aを樹脂パッケージ2の底面2aに露出させている。この構造は、第一リード1Aの第一露出面51と第二リード1Bの第二露出面52とを外部接続面として回路基板等の基材の表面に電気接続することができる。また、リードフレーム1の下面をインナーリード部11、12からアウターリード部13まで一続きとして露出させることで放熱性を向上できる特徴がある。
【0043】
樹脂連結部14は、表面に設けた凹凸形状や開口部等により、樹脂パッケージ2で被覆されるリードフレーム1を強固に樹脂パッケージ2に連結する。
図4ないし
図6に示す樹脂連結部14は、両側部に切欠部14aを形成すると共に、中央部に貫通孔14bを開口している。樹脂連結部14は、切欠部14aや貫通孔14bにより、リードフレーム1を強固に樹脂パッケージ2に連結している。さらに、樹脂連結部は、切欠部や貫通孔に代わって凸部や凸条、凹部等を設けて、リードフレームと樹脂パッケージとの連結強度を向上させることもできる。
【0044】
さらに、第二リード1Bは、リードフレーム1に外力が加えられる際の衝撃で樹脂パッケージ2が破損するのを防止するために、
図4に示すように、第二露出面52において、第一リード1Aと対向する側の両端部を第一リード1A側に向かって延伸させた延伸部15を設けている。第二リード1Bは第一リード1Aよりも長さが短いので、リードフレーム1に外力が加えられる際には、外力に起因する応力が伝わりやすく、第二リード1Bの周縁部で樹脂パッケージ2が破損しやすくなる。本発明の実施形態に係る半導体発光装置では、長さが短い第二リード1Bにおいて、第一リード1Aと対向する領域の隅部を第一リード1A側に延伸させることで切断時の応力を分散させて樹脂パッケージ2が破損するのを抑制している。
【0045】
図4と
図6の第二リード1Bは、第一リード1Aと対向する領域の両端部に延伸部15を設けると共に、延伸部15の間の第二中間領域18Aを略直線状に形成している。このように、対向縁の両端部に延伸部15を設ける構造は、第二リード1Bの両側縁部をより広い面積で樹脂パッケージ2で被覆できる。ここで、第二リード1Bは、延伸部15の面積(t)を大きくし、樹脂パッケージ2で被覆される面積を大きくするほど周縁部での損傷を効果的に抑制できる。ただ、延伸部15の面積を大きくするために、延伸部15をリードフレーム1の幅方向に大きく延伸させると、リードフレーム1の横幅が広くなるため、これを被覆する樹脂パッケージ2の外形も大きくする必要があり、半導体発光装置全体を小型化できなくなると共に、使用する樹脂の量が多くなって製造コストが高くなる。また、第二リード1Bのアウターリード部13に上下方向の外力が加わった際には、その反対側である対向縁側に応力が集中しやすくなるため、上下方向に働く回転モーメントを考慮すると、第二リード1Bは、リードフレーム1の幅方向に延伸部15を延伸させるよりも、第一リード1A側に延伸部15を延伸させる構造の方がより効果的に対向縁側に働く応力を小さくできる。それは、回転モーメントによる応力の大きさが、回転の中心からの距離に反比例するからである。したがって、第二リード1Bに設ける延伸部15は、好ましくは、第一リード1A側へ延伸する面積(t)を大きくする。ただ、第一リード1Aと第二リード1Bは、互いに絶縁させるために対向縁を所定の間隔離す必要があるため、第二リード1Bから第一リード1A側に延伸する延伸部15の面積(t)を大きくすると、これと対向する第一リード1Aの対向縁を大きく後退させる必要があり第一リード1Aのリード中央領域17が削られて面積が小さくなる。第一リード1Aのリード中央領域17は半導体発光素子3を実装する領域であるため、その面積を小さくすることはあまり好ましくない。したがって、第二リード1Bに設ける延伸部15は、これ等のことを考慮して、その形状や面積等を決定する。
【0046】
図4と
図6の延伸部15は、第一リード1A側に向かって次第に幅が狭くなる形状に成形している。一対の延伸部15は、互いに対向する辺を傾斜させており、第二リード1Bから離れるにつれて、対向する辺が末広がりとなるように、各延伸部15を先細り状に形成している。
図4の延伸部15は、先細り状を平面視で略三角形状としており、第二露出面52の側縁1cを第一リード1A側に延長して略三角形状の延伸部15の一辺を構成している。さらに、延伸部15の互いに対向する辺を末広がりになるように傾斜させた辺として、略三角形状の延伸部15の一辺を構成している。つまり、この第二リード1Bは、横幅(W)を広くすることなく、第一リード1A側に延伸する延伸部15を設けることができる。このため、樹脂パッケージ2の外形を大きくすることなく、第二リード1B側の周縁部における樹脂パッケージ2の破損を抑制できる。ただ、第二リードは、樹脂パッケージの外形範囲内において、リードフレームの幅方向に延伸部を延伸させることもできる。すなわち、第二リードは、延伸部の側縁における横幅を、リード接続領域の中央部における横幅よりも多少広くすることもできる。
【0047】
さらに、図に示す第二リード1Bは、側縁1cの延長線上に延伸部15の一辺を設けると共に、延伸方向に向かって次第に幅を狭くするので、延伸部15の先端部の面積を小さくしながら延伸部の面積(t)を大きくできる。このため、これと対向する第一リード1Aの対向縁の後退する領域を小さくして、第一リード1Aのリード中央領域17の面積を確保できる特徴もある。ただ、延伸部は、必ずしも略三角形状とする必要はなく、延伸させる方向に向かって幅の狭くなる種々の形状、たとえば、略台形状とすることもできる。
【0048】
さらに、延伸部15は、先端部を面取りしている。
図4の一部拡大図に示す延伸部15は、先端縁を湾曲形状として面取りしている。この形状の延伸部15は、樹脂パッケージ2との境界部分において、応力が先端部に集中するのを有効に防止できる。このように、延伸部15を面取りする構造は、樹脂パッケージ2が破損するのをさらに効果的に抑制できる。
【0049】
また、第一リード1Aは、第二リード1Bと対向する領域の端部において、延伸部15に対向して窪み部16を設けている。
図4と
図6に示す第二リード1Bは対向縁の両端部に延伸部15を設けているので、第一リード1Aはこれ等の延伸部15と対向する両端部に窪み部16を設けている。図に示す第一リード1Aは、延伸部15と対向する隅部を窪ませて窪み部16としている。第一リード1Aと第二リード1Bは、互いに絶縁するために、対向縁を所定の間隔離す必要がある。このように、第二リード1Bの延伸部15に対向して第一リード1Aに窪み部16を設けることで、第一リード1Aと第二リード1Bとを一定の間隔で離間させて絶縁性を維持できる。
【0050】
第一リード1Aに設けられる窪み部16の形状や大きさは、これと対向する延伸部15によって特定される。すなわち、第二リード1Bの延伸部15を大きくすると、これに対向して形成される第一リード1Aの窪み部16も大きくする必要がある。それは、第一リード1Aと第二リード1Bの対向縁の間に所定の間隔を設けて絶縁隙間20を形成するためである。ただ、前述のように、第一リード1Aの窪み部16を大きくすると、第一リード1Aは、リード中央領域17の面積が小さくなって半導体発光素子3の実装に制約を受けることがある。通常、半導体発光素子を実装する半導体発光装置においては、発光素子の配置のズレが発光装置の光軸のズレとなるため、半導体発光素子はリード中央領域の実装面上に実装することが好ましい。したがって、第一リードは、好ましくは窪み部を小さくしてリード中央領域の面積を確保することが望ましい。したがって、窪み部16は、延伸部15との間に所定の間隔の絶縁隙間20を形成できる構造としながら、できる限り小さく形成される。
図4と
図6の窪み部16は、第二リード1B側の開口縁からアウターリード部13側に向かって、開口幅が次第に狭くなる形状としている。図の第一リード1Aは、リード中央領域17の対向縁部が第二リード1B側からアウターリード部13側に向かって裾広がりの等脚台形状となるように窪み部16を形成している。これにより、第一リード1Aは、リード中央領域17の中央部において、半導体発光素子3を実装できる十分なスペースを確保している。図のリードフレーム1は、第二リード1Bに設ける延伸部15を略三角形状としているので、これと対向する窪み部16の平面形状を略台形状として、対向する対向縁の間隔が所定の間隔となるようにしている。ただ、窪み部は、必ずしも略台形状とする必要はなく、延伸部の対向縁との間に所定の間隔を確保できる種々の形状とすることができる。
【0051】
さらに、
図4の第一リード1Aは、第二リード1Bと対向する領域において、両端部に設けた窪み部16の間の第一中間領域17Aを略直線状に形成している。
図4のリードフレーム1は、第一リード1Aの第一中間領域17Aと第二リード1Bの第二中間領域18Aとを互いに平行な略直線状として所定の間隔(K)に保持している。これにより、第一リード1Aと第二リード1Bとを一定の間隔で離間させて絶縁性を維持している。
【0052】
さらに、第一リード1Aと第二リード1Bは、
図4、及び
図6ないし
図8に示すように、フランジ部53を側縁部に備えており、このフランジ部53を樹脂パッケージ2に埋設させている。このフランジ部53は、リードフレーム1よりも薄く成形されており、リードフレーム1の側面から外側に突き出すように形成されている。
図7に示すフランジ部53は、リードフレーム1の側面の中央部から外側に突き出すように成形されている。フランジ部53は、上下の両面が樹脂で被覆されるように樹脂パッケージ2に埋設されている。このリードフレーム1は、フランジ部53をリードフレーム1よりも薄く成形することにより、フランジ部全体を樹脂パッケージ2に埋設させて、樹脂パッケージ2との連結強度を強くしている。
【0053】
図7に示すフランジ部53は、板状のリードフレーム1の側縁部を押し潰すようにプレス成形して、リードフレーム1の側面から突き出した形状に形成されている。リードフレーム1は、例えば、
図9に示すように、両側縁部の上面をプレス型59でプレスしてコーナー部を押し潰し、潰された部分を肉移動させて、外側に突き出したフランジ部53を形成することができる。
図9のリードフレーム1は、プレス型59の内側縁59aをリードフレーム1の下面側の側縁1c、すなわち露出面の側縁1cよりも内側に位置させてプレスすることにより、上面側の側縁部に段差部54を設けて、外側に突き出したフランジ部53を設けている。このリードフレーム1は、
図7に示すように、上面側における両側縁1dの間隔である横幅(W1)を下面側における両側縁1cの間隔である横幅(W2)よりも狭くしている。ただ、リードフレームは、これとは反対にプレス加工して、すなわち、両側縁部の下面をプレス型でプレスすると共に、このプレス型の内側縁をリードフレームの上面側の側縁よりも内側に位置させてプレスすることで、下面側に段差部を設けて、上面側における両側縁の間隔を下面側における両側縁の間隔よりも広くすることもできる。さらにまた、リードフレームは、側縁部を一対のプレス型で上下からプレスして、外側に突き出したフランジ部を中央部に沿って形成して、上面側における両側縁の間隔と下面側における両側縁の間隔を等しくすることもできる。
【0054】
図7と
図8に示すリードフレーム1は、第一リード1Aの第一露出面51の両側縁1cと第二リード1Bの第二露出面52の両側縁1cに沿って、外側に突き出したフランジ部53を設けている。第一リード1Aは、リード中央領域17の側縁であって、窪み部16を除く領域の両側縁1cに沿ってフランジ部53を設けている。第二リード1Bは、リード接続領域18の両側縁1cと延伸部15の両側縁1cに沿ってフランジ部53を設けている。さらに、第二リード1Bは、
図8に示すように、延伸部15の先端側にも延長してフランジ部53を設けている。すなわち、第二リード1Bのフランジ部53は、延伸部15の側縁1cに沿って延長されると共に、第一リード1A側の先端部を延伸部15の側縁から先端縁に沿って連続して回り込むように配置して延長部53Aを設けている。この延長部53Aは、延伸部15の先端縁に沿って形成されている。このように、延伸部15の先端縁に沿ってフランジ部53を設ける構造は、延伸部15と樹脂パッケージ2との連結強度をより高めることができる。ただ、第二リードは、必ずしも延伸部の先端縁に沿ってフランジ部の延長部を設ける必要はなく、側縁に沿ってのみフランジ部を設けることもできる。
【0055】
また、
図4と
図8に示すフランジ部53の延長部53Aは、窪み部16の内側に位置させている。このリードフレーム1は、側面視において、第一リード1Aと第二リード1Bとがオーバーラップする部分を有する構造としている。これにより、半導体発光装置100の機械的強度を向上させることができる。本実施形態に係る半導体発光装置100は、
図4と
図8に示すように、第二リードの延伸部の先端縁に沿って設けたフランジ部の延長部が、側面視において第一リードとオーバーラップする部分を有している。このように、オーバーラップする部分をフランジ部が有することにより、リードフレームはオーバーラップする部分を有しつつ、樹脂パッケージ底面においては、半導体発光装置の電極となる第一露出面と第二露出面とを一定の間隔で離間させることができるため好ましい。
【0056】
以上のように、リードフレーム1にフランジ部53を設けて、このフランジ部53を樹脂パッケージ2に埋設する構造は、リードフレーム1と樹脂パッケージ2との連結強度を高めることができる。このため、リードフレーム1の周縁における樹脂パッケージ2の破損を有効に防止できる。とくに、
図8に示すように、第二リード1Bの延伸部15の側縁1c及び先端縁に沿ってフランジ部53を設けることで、第二リード1Bの周縁での破損をより有効に防止できる。
【0057】
以上の半導体発光装置100は、
図4に示すように、第二リード1Bの第二露出面52において、一対の延伸部15を設けている。この延伸部15は、リード接続領域18と等しい厚さに形成されており、その下面を樹脂パッケージ2の底面2aから露出させている。この構造は、先細り状に形成される延伸部15の厚さを、リードフレーム1の他の部分の厚さと等しくすることで強度を高くしている。
【0058】
(フレームユニット6)
以上のリードフレーム1は、製造工程の一つである樹脂成形工程において、第一リード1Aと第二リード1Bが定位置に配置された状態で、樹脂パッケージ2で被覆される。リードフレーム1は、樹脂成形工程で第一リード1Aと第二リード1Bを定位置に配置するために、リードフレーム1の両端、すなわち、第一リード1Aと第二リード1Bの外側の端縁がリード連結部10を介して枠形状のリードランナー60に連結された状態で成形される。ここで、
図10は、実施例1の半導体発光装置100の一製造工程を示す平面図であって、複数のリードフレーム1がリード連結部10を介してリードランナー60に連結してなるフレームユニット6を示している。
【0059】
図10は、導電性部材からなる金属プレートを所定のパターンに加工して、複数のリードフレーム1が複数列に配列された状態でリードランナー60に連結されたフレームユニット6を示している。図に示すフレームユニット6は、枠形状のリードランナー60に、複数のリードフレーム1がリード連結部10を介して枝状に連結されるよう、打抜加工等により金属プレートを加工している。図に示すフレームユニット6は、第一リード1Aと第二リード1Bとをリード連結部10を介して枠形状のリードランナー60に連結することで、第一リード1Aと第二リード1Bを位置決めしている。第一リード1Aと第二リード1Bを、リード連結部10を介してリードランナー60に連結する状態で、リードフレーム1を被覆する樹脂パッケージ2を成形して、第一リード1Aと第二リード1Bが樹脂パッケージ2の定位置に配置される。
【0060】
このフレームユニット6は、後述する製造工程を経て、複数のリードフレーム1から複数の半導体発光装置100が製造される。そして、切断工程において、リード連結部10が切断されることによって、リードフレーム1がリードランナー60から切り離されて、個々の半導体発光装置100に分離される。このように、複数のリードフレーム1を連結してなるフレームユニット6は、多数の半導体発光装置100を能率良く製造できる。
図10に示すフレームユニット6は、複数のリードフレーム1が複数列に配列された状態でリードランナー60に連結されており、複数のリードフレーム1をマトリックス状に配置している。ただ、フレームユニットは、複数のリードフレームを複数列に配列するのみに限らず、一列に配列することも、単一のリードフレームをリードランナーに連結することもできる。以上のように、第一リード1Aと第二リード1Bからなるリードフレーム1を、リード連結部10を介してリードランナー60に連結する構造は、製造工程において、リードランナー60を介してリードフレーム1を扱うことができるので、作業性を向上できる。
【0061】
(樹脂パッケージ2)
樹脂パッケージ2は、リードフレーム1の表面を部分的に被覆する所定の形状に成形されている。
図3の樹脂パッケージ2は、平面視を方形状とするブロック状として、四隅のコーナー部を面取りしている。ブロック状の樹脂パッケージ2は、互いに対向する第一リード1Aと第二リード1Bを部分的に被覆してインナーリード部11、12としている。樹脂パッケージ2は、樹脂パッケージ2の対向する両側面から第一リード1Aおよび第二リード1Bのアウターリード部13を突出させると共に、アウターリード部13が突出する側面と交差する側面を、リードフレーム1を露出させない被覆面としている。さらに、樹脂パッケージ2は、上面の中央部に断面凹状に開口している開口部21を形成し、この開口部21の底面において第一リード1Aのリード中央領域17と第二リード1Bのリード接続領域18を露出させている。さらに、樹脂パッケージ2は、開口部21の周囲に枠部22を形成しており、この枠部22により、リードフレーム1の樹脂連結部14を被覆すると共に、第一リード1Aのリード中央領域17と第二リード1Bのリード接続領域18の両側縁部も被覆している。
図2、
図3、及び
図6に示す樹脂パッケージ2は、第二リード1Bの延伸部15を被覆して、第二中間領域18Aを開口部21の底面に露出させると共に、第一リード1Aの第一中間領域17Aと窪み部16の一部とを開口部21の底面に露出させている。
【0062】
樹脂パッケージ2の開口部21は、開口部21の底面のほぼ中央部に半導体発光素子3が実装される。このため、開口部21の底面の大きさは、好ましくは、1ないし複数個の半導体発光素子3を第一リード1Aのリード中央領域17の上面に実装して、導電性ワイヤ32を第一リード1Aと第二リード1Bに電気接続できる大きさとしている。さらに、開口部21の容積は、半導体発光素子3からの光が開口部21の内面へ反射する際の反射角度や配光色度、また開口部21に充填される封止部材4、および封止部材4に含有される蛍光体の量や種類等を考慮して決定される。したがって、開口部の形状や大きさ、及び容積は、特に限定されない。
【0063】
樹脂パッケージ2の枠部22は、リードフレーム1の樹脂連結部14を被覆して、リードフレーム1を定位置に連結している。さらに、樹脂パッケージ2の枠部22は、第一リード1Aのリード中央領域17と第二リード1Bのリード接続領域18の両側縁部も被覆して、連結強度を強くしている。とくに、枠部22は、第二リード1Bの両側部に設けられた延伸部15を被覆している。この構造は、第二リード1Bの延伸部15を枠部22で支持することで、第二リード1Bの対向縁側が破損するのを有効に防止している。
【0064】
さらに、図に示す樹脂パッケージ2は、リードフレーム1の下面1aを露出させている。この構造は、リードフレーム1の下面1aを外部端子として外部電極に接続して電気接続することができる。また、リードフレーム1の下面1aを表出させることで、放熱効果を高めることができる。
【0065】
樹脂パッケージ2は、リードフレームを定位置に固定するとともに、反射面(開口部の内側壁)で半導体発光素子からの光を反射させるための部材である。材料としては、例えば、脂肪族ポリアミド樹脂、半芳香族ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンテレフタレート、液晶ポリマー、ポリカーボネート樹脂、シンジオタクチックポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリアリレート樹脂などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ変性樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、ポリビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、などの熱硬化性樹脂が挙げられる。製造工程時の熱履歴を考慮すると、熱硬化性樹脂が熱や化学的な影響に対しての耐性を備えているため好ましく、中でも、エポキシ樹脂又はエポキシ変性樹脂、例えばEMC(Epoxy Molding Compound)が好適である。しかし、熱硬化性樹脂は、硬化後、熱可塑性樹脂に比べると硬質なものが多く、クラックや割れが発生しやすい。このため、本件発明の実施形態の構成が特に効果を奏する。
【0066】
また、これら樹脂中に、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、珪酸カルシウム、酸化亜鉛、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライト等の光反射部材を含有させることができる。特に、樹脂パッケージが凹状の開口部を形成する際には、樹脂パッケージの材料を光反射率の高い材料とすることで光取り出し効率が向上する。
【0067】
以上の樹脂パッケージ2の成形方法としては、例えば、注型成形法、射出成形法、押出成型法、プレス加工法等が挙げられるが、その成形方法は、樹脂や、これに嵌着されるリードフレーム1の特質、成型形状等を考慮して決定することができる。
【0068】
(半導体発光素子3)
半導体発光素子3は、発光ダイオードや半導体レーザ等が利用できる。このような半導体発光素子3は、液相成長法、HDVPE法やMOCVD法により基板上にZnS、SiC、GaN、GaP、InN、AlN、ZnSe、GaAsP、GaAlAs、InGaN、GaAlN、AlInGaP、AlInGaN等の半導体を発光層として形成させたものが好適に用いられる。半導体層の材料やその混晶度の選択により、半導体発光素子3の発光波長を紫外光から赤外光まで種々選択することができる。特に、緑色系及び青色系の高輝度に発光する発光素子の材料として、窒化物半導体を選択することが好ましい。例えば、発光層の材料として、In
XAl
YGa
1-X-YN(0≦X≦1、0≦Y≦1、X+Y≦1)などが利用できる。
【0069】
半導体発光素子3は、
図1と
図2に示すように、樹脂パッケージ2の開口部21の底面において、樹脂パッケージから露出されたリードフレーム1の上面に実装される。半導体発光素子3は、第一リード1Aのリード中央領域17の所定の位置に実装され、そのために接合部材が用いられる。例えば、青及び緑発光を有し、サファイア基板上に窒化物系半導体層を成長させて形成された発光素子の場合には、エポキシ樹脂、シリコーン等を用いることができる。また、発光素子からの光や熱による劣化を考慮して、発光素子裏面にAl等の金属メッキをしてもよいし、樹脂を使用せず、Au−Sn共晶などの半田、低融点金属等のろう材を用いてもよい。さらに、GaAs等からなり、赤色発光を有する発光素子のように、両面に電極が形成された発光素子の場合には、銀、金、パラジウムなどの導電性ペースト等によってダイボンディングしてもよい。
【0070】
(導電性ワイヤ32)
また、半導体発光装置100は、半導体発光素子31とリードフレームとを接続するための導電性ワイヤ32を備えている。半導体発光素子31に形成された一対の電極が、発光素子への電力供給のために、導電性ワイヤ32によってリードと電気的に接続される。導電性ワイヤ32の材料、直径などは特に限定されるものではなく、当該分野で通常使用されているものを利用することができる。特に、発光素子の電極とのオーミック性が良好であるか、機械的接合性が良好であるか、電気伝導性及び熱伝導性が良好なものであることが好ましい。
【0071】
導電性ワイヤ32は、例えば、金、銀、銅、白金、アルミニウム等の金属及びそれらの合金を用いたもの、ワイヤ表面に銀又は銀合金を被覆したもの等を用いることができる。なかでも、反射率が高い材料を選択する場合には、銀、銅、鉛、アルミニウム、白金又はこれらの合金が好ましく、銀又は銀合金がより好ましい。ワイヤの直径は、特に限定されるものではないが、10μm〜70μm程度が挙げられる。好ましくは15〜50μm程度、より好ましくは18〜30μm程度である。
【0072】
(保護素子5)
さらに、
図2の半導体発光装置100は、樹脂パッケージ2の開口部21内において、リードフレーム1の露出されている領域に保護素子5を実装している。保護素子5は、逆電圧が印加された際に半導体発光素子3が破損される事態を回避する。このような保護素子5として、半導体発光素子3の導通方向と逆向きに並列に接続されたツェナーダイオード5Aが好適に利用できる。
【0073】
(封止部材4)
封止部材4は、樹脂パッケージ2の開口部21に充填されて、半導体発光素子3や導電性ワイヤ32、保護素子5等を封止して、塵芥や煙、水分、外力等から保護するための部材である。封止部材4には、例えばポッティングによって樹脂パッケージ2の開口部21に充填されて、この開口部21を封止する。また、熱可塑性樹脂を用いるインジェクションモールド、又は熱硬化性樹脂を用いるトランスファーモールドにより、この樹脂封止を行うこともできる。
【0074】
封止部材4の材料は、絶縁性を有し、半導体発光素子から出射される光を透過可能な材料であることが好ましい。具体的には、エポキシ樹脂、エポキシ変性樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、TPX樹脂、ポリノルボルネン樹脂、又はこれらの樹脂を1種類以上含むハイブリッド樹脂が挙げられる。なかでも、シリコーン樹脂またはエポキシ樹脂を用いることが好ましい。さらに、封止部材は、有機物に限られず、ガラス、シリカゲル等の耐光性に優れた無機物を用いることもできる。さらにまた、封止部材の発光面側を所望の形状にすることによってレンズ効果を持たせることができ、半導体発光素子からの発光を集束または発散させることができる。具体的には、凸レンズ形状、凹レンズ形状、さらには、発光観測面から見て楕円形状やそれらを複数組み合わせた形状にすることができる。
【0075】
(波長変換材料)
封止部材4は、波長変換部材を備えてもよい。これにより、半導体発光素子3の光を異なる波長の光に変換し、半導体発光素子3の光と波長変換部材で波長変換された光との混色光を外部に取り出すことが可能となる。このような波長変換部材として、半導体発光素子3の発光で励起可能な蛍光体が好適に利用できる。例えば、ユーロピウム、セリウム等のランタノイド系元素で主に賦活される窒化物系蛍光体・酸窒化物系蛍光体、より具体的には、ユーロピウムで賦活されたα又はβサイアロン型蛍光体、各種アルカリ土類金属窒化シリケート蛍光体、ユーロピウム等のランタノイド系元素、マンガン等の遷移金属系元素により主に賦活されるアルカリ土類金属ハロゲンアパタイト蛍光体、アルカリ土類のハロシリケート蛍光体、アルカリ土類金属シリケート蛍光体、アルカリ土類金属ホウ酸ハロゲン蛍光体、アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体、アルカリ土類金属ケイ酸塩、アルカリ土類金属硫化物、アルカリ土類金属チオガレート、アルカリ土類金属窒化ケイ素、ゲルマン酸塩、セリウム等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類アルミン酸塩、希土類ケイ酸塩又はユーロピウム等のランタノイド系元素で主に賦活される有機物及び有機錯体等が挙げられる。特に、青色発光素子と組み合わせることで白色に発光するYAG(Yttrium Aluminum Garnet)系蛍光体が好適に用いられる。また、赤色蛍光体であるKSF等も用いることができる。この他にも同様の性能、効果を有する蛍光体を適宜使用することができる。
【0076】
さらに、蛍光体は、封止部材に含有させるのみに限らず、発光素子の表面に蛍光体を含む蛍光体層を形成する工程を別に設けても良い。この場合、蛍光体層を形成する方法としては特に限定されるものではなく、例えば、スプレー法、電着法、静電塗装法を用いることができる。あるいは、樹脂に蛍光体を分散させた材料から成る蛍光体シート等を半導体発光素子に接着してもよい。また、蛍光体材料は、例えば、いわゆるナノクリスタル、量子ドットと称される発光物質でもよい。このような材料としては、半導体材料、例えば、II−VI族、III−V族又はIV−VI族の半導体、具体的には、CdSe、コアシェル型のCdS
xSe
1−x/ZnS、GaP、InAs等のナノサイズの高分散粒子を挙げることができる。このような蛍光体は、例えば、粒径が1〜100nm、好ましくは1〜20nm程度(原子10〜50個程度)のものを挙げることができる。このような蛍光体を用いることにより、内部拡散を抑制することができ、色変換された光の散乱を抑制し、光の透過率をより一層向上させることができる。
【0077】
また、蛍光体材料として有機系の発光材料を用いてもよい。有機系の発光材料として代表的なものは、有機金属錯体を用いた発光材料を挙げることができ、透明性の高い発光材料が多い。このため、蛍光体材料として有機系の発光材料を用いた場合には、量子ドット蛍光体を用いた場合と同様の効果を得ることができる。
【0078】
また、封止部材4は、光拡散剤、顔料等、使用用途に応じて適切な部材を適宜備えても良い。例えば、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、珪酸カルシウム、酸化亜鉛、チタン酸バリウム、酸化鉄、酸化クロム、酸化マンガン、ガラス、カーボンブラック、および、これらを少なくとも一種以上含む混合物等を挙げることができる。これによって良好な指向特性を有する半導体発光装置が得られる。同様に外来光や半導体発光素子からの不要な波長をカットするフィルター効果を持たせたフィルター材として各種着色剤を添加させることもできる。
【0079】
(半導体発光装置の製造方法)
以上の半導体発光装置100は、以下の工程で製造される。
【0080】
[リード準備工程]
金属板を所定の形状に打抜加工して、第一リード1Aと第二リード1Bからなるリードフレーム1を準備する。第一リード1Aと第二リード1Bは、
図10に示すように、完全に分離されることなく、リードフレーム1の両端部がリード連結部10を介してリードランナー60に連結されたフレームユニット6として成形される。第一リード1Aと第二リード1Bは、対向部分が所定の間隔だけ離間されて、絶縁隙間20が形成された状態に配置される。さらに、打抜加工される第一リード1Aと第二リード1Bは、
図8に示すように、所定の形状に切断される。第一リード1Aと第二リード1Bは、リードフレーム1の長さ方向において、第一リード1Aが第二リード1Bよりも長く形成される。第二リード1Bは、第一リード1Aと対向する領域において、隅部を第一リード1A側に延伸させて延伸部15が形成されると共に、この延伸部15の外周縁が面取りされた形状に成形される。さらに、第一リード1Aは、第二リード1Bと対向する領域の両端部において、第二リード1Bの延伸部15に対向する窪み部16が形成される。ここで、リードフレーム1は、好ましくは、複数個をリードランナー60に連結した状態で成形される。
図10に示すフレームユニット6は、複数のリードフレーム1をマトリクス状に並べる状態で成形している。このように、1つのフレームユニット6に複数のリードフレーム1を設ける構造は、能率よく多量生産できる特徴がある。
【0081】
[樹脂成形工程]
リード準備工程で成形されたリードフレーム1の表面を樹脂で被覆して樹脂パッケージ2を成形する。樹脂パッケージ2は、所定の内面形状を有する加熱金型のキャビティに流動性の中間体樹脂を注入すると共に、このキャビティ内の所定の位置に、第一リード1Aと第二リード1Bとを配置して注型成形される。樹脂を加熱等により硬化させた後、成形された樹脂パッケージ2をキャビティから脱型する。以上の樹脂成形工程において、樹脂パッケージ2は、リードフレーム1を被覆する枠部22の中央部に開口部21を備える形状であって、この開口部21の底面にリードフレーム1が露出し、リードフレーム1の両端部が枠部22の両側に延伸する形状に成形される。
【0082】
[半導体発光素子の実装工程]
図2に示すように、樹脂パッケージ2の開口部21の底面から露出する第一リード1Aの実装面19に半導体発光素子3を接合部材を用いて実装する。図に示す半導体発光装置100は、6個の半導体発光素子3を実装している。複数の半導体発光素子3は、開口部21の中央領域であって、第一リード1Aのリード中央領域17の所定の位置に実装される。また、実装された半導体発光素子31のp側電極とn側電極に接続された導電性ワイヤ32を、第一リード1Aのリード中央領域17と第二リード1Bのリード接続領域18にそれぞれ接続する。
【0083】
[保護素子5の実装工程]
さらに、
図2に示すように、樹脂パッケージ2の開口部21の底面において、リードフレーム1の露出領域に保護素子5を実装する。図の保護素子5はツェナーダイオード5Aで、半導体発光素子3の導通方向と逆向きに並列に接続される。
【0084】
[封止部材4の充填工程]
図1に示すように、樹脂パッケージ2の開口部21に封止部材4を充填する。封止部材4は、リードフレーム1の上面に実装された半導体発光素子3や保護素子5を封止する。封止部材4には、透光性を有する樹脂であって、好ましくは熱硬化性樹脂が利用できる。封止部材4は、ポッティング方式によって樹脂パッケージ2の開口部21に充填される。
【0085】
[リード連結部10の切断工程]
リードフレーム1の両端において、リード連結部10を切断して、個々の半導体発光装置100をリードランナー60から切り離して分離する。リード連結部10は、
図3ないし
図6の鎖線で示すように、外部リード凸部13aの先端面から多少後退した位置で切断される。これにより、リード連結部10の切断面10Aが外部リード凸部13aの先端面よりも内側に形成されるので、切断面10Aの端縁で他の半導体発光装置を損傷するのを有効に防止できる。
【0086】
リード連結部10の切断工程において、第一リード1Aよりも短く構成される第二リード1Bは、
図5に示すように、切断部にかかる剪断力(矢印Aで表示)によって、第一リード1A側の対向縁に応力が作用しやすくなるが、以上の第二リード1Bは、第一リード1Aと対向する領域の隅部に延伸部15を設けているので、第一リード1Aと対向する領域に応力が集中するのを効果的に抑制できる。このため、リード連結部10の切断時の衝撃で樹脂パッケージ2が破損されるのを抑制できる。