(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記芳香族基を有するビニル系化合物が、スチレン、ベンジルアクリレート又はベンジルメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1種の化合物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物。
画像表示ユニットと、保護パネルと、画像表示ユニットと保護パネルとの間に配置された、請求項1〜8のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物の硬化物からなる樹脂層と、を備える画像表示用装置。
画像表示ユニットと、保護パネルと、画像表示ユニットと保護パネルとの間に配置されたタッチパネルと、画像表示ユニットとタッチパネルとの間、又は、タッチパネルと保護パネルとの間に配置された、請求項1〜8のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物の硬化物からなる樹脂層と、を備える画像表示用装置。
画像表示ユニットと、保護パネルと、画像表示ユニットと保護パネルとの間に配置されたタッチパネルと、画像表示ユニットとタッチパネルとの間、又は、タッチパネルと保護パネルとの間に配置された樹脂層と、を備える画像表示用装置の製造方法であって、
前記画像表示ユニットと前記タッチパネルとの間、又は、前記タッチパネルと前記保護パネルとの間に請求項1〜8のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物を介在させる工程と、
前記保護パネル面側から光照射し、前記光硬化性樹脂組成物を硬化させて前記樹脂層を形成する工程と、を有する、画像表示用装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明するが、この実施形態により本発明が限定されるものではない。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0030】
本明細書における「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」又はそれに対応する「メタクリレート」を意味する。同様に「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」又はそれに対応する「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリロイル」とは「アクリロイル」又はそれに対応する「メタクリロイル」を意味する。
【0031】
本実施形態の光硬化性樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」ともいう。)は、(A)(メタ)アクリロイル基を有するイソプレン重合体(以下、「(A)成分」ともいう。)、(B)芳香族基を有するビニル系化合物と(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いてなる共重合体(以下、「(B)成分」ともいう。)及び(C)光重合開始剤(以下、「(C)成分」ともいう。)を含有する。
【0032】
また、本実施形態の光硬化性樹脂組成物は、更に、(D)エチレン性不飽和結合を有する化合物(以下、「(D)成分」ともいう。)、(E)可塑剤(以下、「(E)成分」ともいう。)又は(F)オイルゲル化剤(以下、「(F)成分」ともいう。)のうちの一種又は二種以上を含有することが好ましく、必要に応じて、安定剤、チオール化合物等のその他の添加剤を含有することができる。
【0033】
〔(A)成分:(メタ)アクリロイル基を有するイソプレン重合体〕
(A)(メタ)アクリロイル基を有するイソプレン重合体としては、例えば、下記一般式(I)で表される構造単位を有する化合物が好ましい。
【0035】
上記一般式(I)中、(メタ)アクリロイル基を有するイソプレンユニットの構造単位(以下、「構造単位(I−1)」ともいう。)の総数をmで示す。一般式(I)において、mは、1〜5であるが、好ましくは1.5〜4.0、より好ましくは2.0〜3.5、更に好ましくは2.0〜3.0である。一般式(I)において、R
11は水素原子又はメチル基を示す。
【0036】
(A)成分は、更に、(メタ)アクリロイル基を有さないイソプレンユニットの構造単位(以下、「構造単位(I−2)」ともいう。)を含んでもよい。(A)成分において、構造単位(I−2)の総数をnで示す。nは、50〜1000であるが、好ましくは100〜800、より好ましくは150〜700、更に好ましくは200〜600である。
【0037】
上記一般式(I)で表される構造単位を有する化合物の市販品としては、UC−102、UC−203(以上、株式会社クラレ製、商品名)等が挙げられる。
【0038】
(A)成分の含有量は、樹脂組成物の総量を基準として、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上である。さらに、(A)成分の含有量は、樹脂組成物の総量を基準として、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは80質量%以下、特に好ましくは70質量%以下である。(A)成分の含有量が上記範囲であると、硬化物としたときのピール強度をより向上することができるとともに、誘電率をより低減することができる。
【0039】
〔(B)成分:芳香族基を有するビニル系化合物と(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いてなる共重合体〕
(B)芳香族基を有するビニル系化合物と(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いてなる共重合体としては、例えば、下記一般式(II)及び(III)で表される構造単位を有する共重合体が好ましい。なお、(B)成分の共重合体は、一般式(II)及び(III)で表される構造単位以外の構造単位を有していてもよい。
【0041】
(B)成分中、一般式(II)で表される、芳香族基を有するビニル系化合物由来の構造単位の総数をxで示し、一般式(III)で表される、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構造単位の総数をyで示す。一般式(II)において、Xは芳香族基を有する1価の基を示し、Xは、フェニル基又はベンジル基であることが好ましく、フェニル基であることがより好ましい。一般式(III)において、R
12はアルキル基を示し、その炭素数は、4〜18であることが好ましく、5〜18であることがより好ましく、12〜18であることが更に好ましい。(B)成分中、xは、10〜90であるが、好ましくは15〜85、より好ましくは20〜80である。yは、10〜90であるが、好ましくは15〜85、より好ましくは20〜80である。
【0042】
上記一般式(III)中、R
12が示すアルキル基として、例えば、イソステアリル基、ラウリル基、トリデシル基、イソデシル基、イソノニル基、エチルヘキシル基、ブチル基等が挙げられる。これらの中でも好適なものとして、イソステアリル基又はラウリル基が挙げられ、イソステアリル基が特に好ましい。
【0043】
上記一般式(II)及び(III)で表される構造単位を有する共重合体は、芳香族基を有するビニル系化合物と(メタ)アクリル酸アルキルエステルとを既知の方法で共重合して得ることが出来る。
【0044】
芳香族基を有するビニル系化合物としては、例えば、スチレン、4−ビニルトルエン、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ナフタレノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのビニル系化合物の中で好適なものとして、スチレン(和光純薬工業(株)製)、FA−BzA(日立化成(株)製、商品名)、FA−BzM(日立化成(株)製、商品名)等が挙げられる。
【0045】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル中のアルキル基の炭素数は、4〜18であることが好ましく、5〜18であることがより好ましく、12〜18であることが特に好ましい。
【0046】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、例えば、イソステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレート等が挙げられる。これらの中でも好適なものとして、イソステアリル(メタ)アクリレート又はラウリル(メタ)アクリレートが挙げられ、イソステアリル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0047】
(B)成分の含有量は、樹脂組成物の総量を基準として、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上である。さらに、(B)成分の含有量は、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。
【0048】
〔(C)成分:光重合開始剤〕
光硬化性樹脂組成物は、(C)成分として光重合開始剤を含有する。これにより、(A)成分と(B)成分とを含む物理ゲル状物質を所定の形状に形成した後、(A)成分と(B)成分とを三次元架橋することができ、漏出しをより抑制できる。この光重合開始剤は、活性エネルギー線の照射により硬化反応が進むものである。ここで活性エネルギー線とは、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等をいう。
【0049】
光重合開始剤としては特に制限はなく、ベンゾフェノン系、アントラキノン系、ベンゾイル系、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、オニウム塩など公知の材料を使用することが可能である。
【0050】
光重合開始剤として、具体的には、ベンゾフェノン、N,N,N’,N'−テトラメチル−4,4'−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N,N’,N’−テトラエチル−4,4'−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4'−ジメチルアミノベンゾフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2−エチルアントラキノン、t−ブチルアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2,3−ジクロロアントラキノン、3−クロロ−2−メチルアントラキノン、1,2−ベンゾアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジエトキシアセトフェノン等の芳香族ケトン化合物;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンジル、ベンジルジメチルケタール等のベンジル化合物;β−(アクリジン−9−イル)(メタ)アクリル酸のエステル化合物;9−フェニルアクリジン、9−ピリジルアクリジン、1,7−ジアクリジノヘプタン等のアクリジン化合物;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メチルメルカプトフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モリホリノフェニル)−1−ブタノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン等のα-アミノアルキルフェノン系化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系化合物;オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)などが挙げられる。
【0051】
また、特に、樹脂組成物を着色させない光重合開始剤としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等のα−ヒドロキシアルキルフェノン系化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系化合物;オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)などが好ましく、これらを組み合わせたものがより好ましい。
【0052】
(C)成分の含有量は、樹脂組成物の総量を基準として、0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましく、0.3質量%以上であることが更に好ましい。(C)成分の含有量が0.1質量%以上であると、光重合をより良好に開始することができる傾向がある。さらに、(C)成分の含有量は、10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましく、6質量%以下であることが更に好ましい。(C)成分の含有量が10質量%以下であると、得られた硬化物の色相が黄色味を帯びることを抑制できる傾向がある。
【0053】
〔(D)成分:エチレン性不飽和結合を有する化合物〕
光硬化性樹脂組成物は、(D)成分として、エチレン性不飽和結合を有する化合物を含んでいてもよく、当該化合物として、(D1)分子内にエチレン性不飽和結合を有する重合体、又は、(D2)分子内に1個のエチレン性不飽和基を有する単量体を含んでいてもよい。以下、(D1)成分及び(D2)成分について説明する。
【0054】
<(D1)成分:分子内にエチレン性不飽和結合を有する重合体>
(D1)成分である分子内にエチレン性不飽和結合を有する重合体としては、例えば、(メタ)アクリロイル基を有するポリエステルオリゴマー、(メタ)アクリロイル基を有するウレタン重合体、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイル基を有するブタジエン重合体などが挙げられる。
【0055】
これらの中でも透明性、耐黄変性、及び種々の特性のバランスの観点から、(メタ)アクリロイル基を有するブタジエン重合体が好ましい。
【0056】
樹脂組成物中の(D1)成分の含有量は、硬化性、硬化収縮率及び弾性率の観点から、樹脂組成物の総量を基準として、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上である。(D1)成分の含有量が5質量%以上であれば、樹脂組成物の硬化性をより向上させることができると共に、硬化物の耐湿熱信頼性をより良好とすることができる傾向がある。一方、(D1)成分の含有量は、硬化性、硬化収縮率及び弾性率の観点から、樹脂組成物の総量を基準として、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である。(D1)成分の含有量が45質量%以下であれば、硬化収縮率がより良好となると共に、硬化物の弾性率が大きくなり過ぎない傾向があるため好ましい。
【0057】
<(D2)成分:分子内に1個のエチレン性不飽和基を有する単量体>
(D2)成分である分子内に1個のエチレン性不飽和基を有する単量体としては、常温(25℃)で液状であることが好ましく、下記一般式(IV)で表されるアルキル(メタ)アクリレート(以下、「(D2−1)成分」ともいう。)、並びに、分子内に(メタ)アクリロイル基、脂環式基、水酸基、エーテル結合、又はアミド基のいずれかを有する化合物(以下、「(D2−2)成分」ともいう。)であることがより好ましく、分子内に(メタ)アクリロイル基、脂環式基、水酸基、エーテル結合又はアミド基のいずれかを有する化合物であることが更に好ましい。
【0059】
上記一般式(IV)中、R
13は水素原子又はメチル基を示し、R
14は炭素数4〜20のアルキル基を示す。樹脂組成物の硬化物に柔軟性をより付与できる観点から、R
14は炭素数6〜18のアルキル基であることが好ましく、8〜16のアルキル基であることがより好ましい。
【0060】
<(D2−1)成分>
上記一般式(IV)で表されるアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0061】
<(D2−2)成分>
分子内に(メタ)アクリロイル基、脂環式基、水酸基、エーテル結合又はアミド基のいずれかを有する化合物としては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂環式基を有する(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等の水酸基含有(メタ)アクリルアミド;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート;ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート;ジブチレングリコール、トリブチレングリコール等のポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート;アクリロイルモルホリン等のモルホリン基含有(メタ)アクリレート、ジメチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド(イソボルニルアクリレート)、ヒンダードアミン含有(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0062】
これらの中でも、耐湿熱信頼性及び塗布時の作業性の観点から、脂環式基を有する(メタ)アクリレート、アミド基又はモルホリン基含有(メタ)アクリレートが好ましく、シクロペンタニル(メタ)アクリレート、FA−711MM(日立化成(株)製、商品名)、アクリロイルモルホリン、ライトアクリレートDCP−A(共栄社化学(株)製、商品名)、FA−513AS(日立化成(株)製、商品名)、FA−512M(日立化成(株)製、商品名)がより好ましい。
【0063】
樹脂組成物中の(D2)成分の含有量は、適度な粘度を有する樹脂組成物を得る観点、作業性、遮光部における硬化性及び硬化物の透明性の向上の観点、並びに、硬化収縮率、及び硬化物の弾性率の調整の観点から、樹脂組成物の総量を基準として、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは7質量%以上である。(D2)成分の含有量が1質量%以上であれば、より適度な粘度を有する樹脂組成物とすることができ、塗布時の作業性をより良好とすることができると共に、硬化収縮率をより低くすることができる傾向がある。さらに、得られる樹脂組成物の遮光部における硬化性をより良好とすることができると共に、硬化物の透明性をより向上させることができる傾向がある。樹脂組成物中の(D2)成分の含有量は、硬化収縮率及び硬化物の弾性率の調整の観点から、50質量%以下であることが好ましく、45質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることが更に好ましい。(D2)成分の含有量が50質量%以下であれば、硬化収縮率、弾性率が高くなりすぎることをより抑えることができ、画像表示用装置に用いた場合に、表示ムラの発生をより抑制することができる傾向がある。
【0064】
なお、本実施形態の光硬化性樹脂組成物は、熱によりラジカルを発生する熱重合開始剤を含有してもよい。ここで、光硬化して得られた硬化物に更に熱を加えることで、光硬化の際に重合しきれなかった微量なモノマーの重合を促し、硬化物のピール強度が向上する。
【0065】
熱重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド等の有機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等のアゾ系化合物などが挙げられる。
【0066】
熱重合開始剤を含有する場合、当該熱重合開始剤の含有量は、樹脂組成物の総量を基準として、好ましくは0.01質量%〜1質量%である。
【0067】
〔(E)成分:可塑剤〕
光硬化性樹脂組成物は、(E)成分として可塑剤を含んでもよい。(E)成分として用いる可塑剤は、実質的に(メタ)アクリロイル基を有さない25℃で液状の成分であることが好ましい。
【0068】
(E)成分としては、例えば、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、シリコンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、クロルスルホン化ポリエチレンゴム、フッ素ゴム、水素化ニトリルゴム、エピクロルヒドリンゴムの液状物;ポリブテン等のポリα−オレフィン、水添ポリブテン等の水添α−オレフィンオリゴマー、アタクチックポリプロピレン等のポリビニル系オリゴマー;ビフェニル、トリフェニル等の芳香族系オリゴマー;水添液状ポリブタジエン等の水添ポリエン系オリゴマー;パラフィン油、塩化パラフィン油等のパラフィン系オリゴマー;ナフテン油等のシクロパラフィン系オリゴマー;ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジフェニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジ(ヘプチル,ノニル,ウンデシル)フタレート、ベンジルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジノニルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等のフタル酸誘導体;ジメチルイソフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)イソフタレート、ジイソオクチルイソフタレート等のイソフタル酸誘導体;ジ−(2−エチルヘキシル)テトラヒドロフタレート、ジ−n−オクチルテトラヒドロフタレート、ジイソデシルテトラヒドロフタレート等のテトラヒドロフタル酸誘導体;ジ−n−ブチルアジペート、ジ(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソデシルアジペート、ジイソノニルアジペート等のアジピン酸誘導体;ジ−(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジイソオクチルアゼレート、ジ−n−ヘキシルアゼレート等のアゼライン酸誘導体;ジ−n−ブチルセバケート、ジ−(2−エチルヘキシル)セバケート等のセバシン酸誘導体;ジ−n−ブチルマレート、ジメチルマレート、ジエチルマレート、ジ−(2−エチルヘキシル)マレート等のマレイン酸誘導体;ジ−n−ブチルフマレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フマレート等のフマル酸誘導体;トリ−(2−エチルヘキシル)トリメリテート、トリ−n−オクチルトリメリテート、トリイソデシルトリメリテート、トリイソオクチルトリメリテート、トリ−n−ヘキシルトリメリテート、トリイソノニルトリメリテート等のトリメリット酸誘導体;テトラ−(2−エチルヘキシル)ピロメリテート、テトラ−n−オクチルピロメリテート等のピロメリット酸誘導体;トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ−(2−エチルヘキシル)シトレート等のクエン酸誘導体;モノメチルイタコネート、モノブチルイタコネート、ジメチルイタコネート、ジエチルイタコネート、ジブチルイタコネート、ジ−(2−エチルヘキシル)イタコネート等のイタコン酸誘導体;ブチルオレート、グリセリルモノオレート、ジエチレングリコールモノオレート等のオレイン酸誘導体;メチルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレート、グリセリルモノリシノレート、ジエチレングリコールモノリシノレート等のリシノール酸誘導体;n−ブチルステアレート、グリセリンモノステアレート、ジエチレングリコールジステアレート等のステアリン酸誘導体;ジエチレングリコールモノラウレート、ジエチレングリコールジペラルゴネート、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル等のその他の脂肪酸誘導体;トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ−(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェート等のリン酸誘導体;ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−(2−エチルブチレート)、トリエチレングリコールジ−(2−エチルヘキソエート)、ジブチルメチレンビスチオグリコレート等のグリコール誘導体;グリセロールモノアセテート、グリセロールトリアセテート、グリセロールトリブチレート等のグリセリン誘導体、エポキシ化大豆油、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジイソデシル、エポキシトリグリセライド、エポキシ化オレイン酸オクチル、エポキシ化オレイン酸デシル等のエポキシ誘導体などが挙げられる。これらの化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0069】
これらの中でも、揮発性、粘度、作業性、耐黄変性、相溶性及び耐熱性の観点から、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ポリα−オレフィン、水添α−オレフィンオリゴマー、ジ−(2−エチルヘキシル)セバケートが好ましく、ブタジエンゴム、ポリα−オレフィン、ジ−(2−エチルヘキシル)セバケートがより好ましい。
【0070】
(E)成分の含有量は、硬化物の弾性力を適度な範囲に調整する観点から、樹脂組成物の総量を基準として、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上、更に好ましくは10質量%以上である。同様の観点から、(E)成分の含有量は、好ましくは63質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。
【0071】
〔(F)成分:オイルゲル化剤〕
光硬化性樹脂組成物は、(F)成分としてオイルゲル化剤を含んでもよい。
【0072】
(F)成分としては、ヒドロキシ脂肪酸、脂肪酸アマイド、n−ラウロイル−L−グルタミン酸−α,β−ジブチルアミド、ジ−p−メチルベンジリデンソルビトールグルシトール、1,3:2,4−ビス−0−ベンジリデン−D−グルシトール、1,3:2,4−ビス−0−(4−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、ビス(2−エチルヘキサノアト)ヒドロキシアルミニウム、及び下記一般式(1)〜(12)で表わされる化合物等が挙げられる。
【0073】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【0074】
一般式(1)中、(−CF
2−)で表される構造単位(以下、「構造単位(1−1)」ともいう。)の総数をpで示し、(−CH
2−)で表される構造単位(以下、「構造単位(1−2)」ともいう。)の総数をqで示す。一般式(1)において、p個の構造単位(1−1)及びq個の構造単位(1−2)の重合形態は、ブロック共重合又はランダム共重合のいずれであってもよい。pは3〜10の整数、qは2〜6の整数、R
1は炭素数1〜20の飽和炭化水素基、Xは硫黄又は酸素である。
一般式(2)中、R
2は炭素数1〜20の飽和炭化水素基、Y
1は結合手又はベンゼン環である。
一般式(3)中、R
3は炭素数1〜20の飽和炭化水素基、Y
2は結合手又はベンゼン環である。
一般式(4)中、R
4は炭素数1〜20の飽和炭化水素基である。
一般式(6)中、R
5及びR
6は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の飽和炭化水素基である。
一般式(7)中、R
7は、炭素数1〜20の飽和炭化水素基である。
一般式(8)中、R
8は、炭素数1〜20の飽和炭化水素基である。
一般式(10)中、R
9及びR
10は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の飽和炭化水素基である。
【0075】
これらの化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0076】
これらのオイルゲル化剤は、水素結合、静電結合、π−π相互作用、ファンデルワールス力等の非共有結合的分子間相互作用を発現して互いに連結し、繊維状結合体を形成する。これにより、光硬化性樹脂組成物の少なくとも一部が、25℃の室温で物理ゲル状物質(以下、ゲル化又はゲル状ということがある。)となり、その結果、液体と比べて漏出し難く、固体と比べて所望の形状に成形し易くなるものと推測される。(F)成分としては、透明性、作業性及び相溶性の観点から、ヒドロキシ脂肪酸が好ましい。
【0077】
(F)成分の含有量は、樹脂組成物の総量を基準として、0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましく、0.3質量%以上であることが更に好ましい。(F)成分の含有量が0.1質量%以上であると、十分にゲル化することができる傾向がある。一方、(F)成分の含有量は、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましい。(F)成分の含有量が20質量%以下であると、相対的に(A)成分、(B)成分及び(C)成分の含有量が多くなり、十分に光硬化することができる傾向がある。
【0078】
〔その他の添加剤〕
光硬化性樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲において、更にその他の添加剤を配合することができる。
【0079】
その他の添加剤としては、亜燐酸トリフェニル等の安定剤、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)等のチオール化合物などが挙げられる。
【0080】
〔光硬化性樹脂組成物の物性〕
光硬化性樹脂組成物の25℃における粘度は、ブリードアウトの抑制及び作業性の観点から、好ましくは5.0×10
2mPa・s以上、より好ましくは1.0×10
3mPa・s以上、更に好ましくは2.0×10
3mPa・s以上である。同様の観点から、光硬化性樹脂組成物の25℃における粘度は、5.0×10
4mPa・s以下、より好ましくは4.7×10
4mPa・s以下、更に好ましくは4.0×10
4mPa・s以下である。なお、ここでいう25℃における粘度は、JIS Z 8803に基づいて測定した値であり、具体的には、B型粘度計(東機産業製、TPE−100)により測定した値を意味する。なお、粘度計の校正は、JIS Z 8809−JS14000に基づいて行うことができる。
【0081】
なお、光硬化性樹脂組成物は、紫外線、電子線、α線、β線等の活性エネルギー線の露光量が50mJ/cm
2と少なくても、十分に硬化反応を進行させることができる。
【0082】
〔光硬化性樹脂組成物の硬化物の物性〕
光硬化性樹脂組成物の密着性は、例えばピール強度により評価することができる。光硬化性樹脂組成物の硬化物を画像表示用装置の構成部材として使用した場合に、保護パネルと画像表示ユニット等の被着体との剥がれを抑制する観点から、ピール強度は0.8N/25mm以上であることが好ましく、1.0N/25mm以上であることがより好ましい。ピール強度が0.8N/25mm以上であれば、基材同士の剥がれを抑制できると考えられる。
【0083】
光硬化性樹脂組成物の硬化物の25℃、周波数100kHzの誘電率は、タッチパネル機能を有する画像表示用装置の構成部材として使用した場合に、タッチパネルのノイズを低減する観点から、好ましくは4.0以下であり、更に好ましくは3.8以下である。誘電率が4.0以下であれは、タッチパネルを使用する際の誤動作を抑制することができる。
【0084】
〔画像表示用装置〕
以下、本実施形態の光硬化性樹脂組成物を用いて製造することが可能な画像表示用装置の一例である液晶表示装置について説明する。
【0085】
図1は、本発明の画像表示用装置の一例である液晶表示装置の一実施形態を模式的に示す側面断面図である。
図1に示す液晶表示装置は、バックライトシステム50、偏光板22、液晶表示セル10及び偏光板20がこの順で積層されてなる画像表示ユニット1と、液晶表示装置の視認側となる偏光板20の上面に設けられた透明樹脂層32と、その表面に設けられた透明保護基板(保護パネル)40とから構成される。なお、透明樹脂層32は、本実施形態の光硬化性樹脂組成物の硬化物から構成される。
【0086】
図2は、本発明の画像表示用装置の一例である液晶表示装置の一実施形態である、タッチパネルを搭載した液晶表示装置を模式的に示す側面断面図である。
図2に示す液晶表示装置は、バックライトシステム50、偏光板22、液晶表示セル10及び偏光板20がこの順で積層されてなる画像表示ユニット1と、液晶表示装置の視認側となる偏光板20の上面に設けられた透明樹脂層32と、透明樹脂層32の上面に設けられたタッチパネル30と、タッチパネル30の上面に設けられた透明樹脂層31と、その表面に設けられた透明保護基板40とから構成される。
【0087】
なお、
図2の液晶表示装置においては、画像表示ユニット1とタッチパネル30との間、及びタッチパネル30と透明保護基板40との間の両方に透明樹脂層が介在しているが、透明樹脂層はこれらの少なくとも一方に介在していればよい。また、タッチパネルがオンセルとなる場合は、タッチパネルと液晶表示セルが一体化される。その具体例としては、
図1の液晶表示装置の液晶表示セル10が、オンセルで置き換えられたものが挙げられる。
【0088】
図1及び2に示す液晶表示装置は、本実施形態の光硬化性樹脂組成物の硬化物を透明樹脂層31又は32として備えているため、耐衝撃性を有し、二重写りがなく鮮明でコントラストの高い画像が得られる。
【0089】
液晶表示セル10は、当技術分野で周知の液晶材料から構成されるものを使用することができる。また、液晶材料の制御方法によって、TN(Twisted Nematic)方式、STN(Super−twisted nematic)方式、VA(Vertical Alignment)方式、IPS(In−Place−Switching)方式等に分類されるが、本実施形態では、いずれの制御方法を使用した液晶表示セルであってもよい。
【0090】
偏光板20及び22としては、当技術分野で一般的な偏光板を使用することができる。偏光板の表面には、反射防止、防汚、ハードコート等の処理がなされていてもよい。そのような表面処理は、偏光板の片面に対して、又はその両面に対して実施されていてよい。また、タッチパネル30としては、当技術分野で一般的に用いられているものを使用することができる。
【0091】
透明樹脂層31又は32は、例えば0.02mm〜3mmの厚さで形成することができる。特に、本実施形態の光硬化性樹脂組成物は、厚膜形成が容易であり、0.1mm以上の透明樹脂層31又は32を形成する場合に好適である。
【0092】
透明保護基板40としては、一般的な光学用透明基板を使用することができる。透明保護基板としては、例えば、ガラス板、石英板等の無機物の板、アクリル板、ポリカーボネート板等の樹脂板、厚手のポリエステルシート等の樹脂シート等が挙げられる。これらの中でも、高い表面硬度が必要とされる場合には、ガラス板、アクリル板が好ましく、ガラス板がより好ましい。なお、透明保護基板40の表面には、反射防止、防汚、ハードコート等の処理がなされていてもよい。そのような表面処理は、透明保護基板の片面に対して、又は両面に対して実施されていてよい。また、透明保護基板は、複数枚の基板を組み合わせて使用することもできる。
【0093】
バックライトシステム50としては、その構成に特に制限はないが、一般的には反射板等の反射手段とランプ等の照明手段とから構成される。これらの反射手段及び照明手段は、通常の画像表示用装置で適用される公知の手段・構成を適用することができる。
【0094】
〔画像表示用装置の製造方法〕
本実施形態の光硬化性樹脂組成物を用いた、
図1及び
図2に示されたような画像表示用装置は、以下の方法により製造することができる。
【0095】
まず、
図1に示されたような、画像表示ユニットと、保護パネルとを備える画像表示用装置は、画像表示ユニットと保護パネルとの間に、本実施形態の光硬化性樹脂組成物を介在させる工程(以下、「工程(1a)」ともいう。)と、当該保護パネル面側から光照射して光硬化性樹脂組成物を硬化させ、透明樹脂層を形成する工程(以下、「工程(2a)」ともいう。)とを経て製造することができる。
【0096】
また、
図2に示されたような、画像表示ユニットと、タッチパネルと、保護パネルとを備える画像表示用装置は、画像表示ユニットとタッチパネルとの間、又は、タッチパネルと保護パネルとの間に、本実施形態の光硬化性樹脂組成物を介在させる工程(以下、「工程(1b)」ともいう。)と、保護パネル面側から光照射して光硬化性樹脂組成物を硬化させ、透明樹脂層を形成する工程(以下、「工程(2b)」ともいう)とを経て製造することができる。
【0097】
工程(1a)及び(1b)において、画像表示ユニットと保護パネルとの間等に、光硬化性樹脂組成物を介在させる方法としては、例えば、ディスペンサーを用いて、画像表示ユニット又は保護パネル上に当該樹脂組成物を塗布した後に、真空(減圧)又は大気圧で貼合する方法、一定の間隔を開けて配置された画像表示ユニット及び保護パネルの間に、当該樹脂組成物を注型する方法等が挙げられる。なお、光硬化性樹脂組成物を注型する際には、画像表示ユニット及び保護パネルの周囲にダムを形成してもよい。
【0098】
工程(2a)及び(2b)における光照射は、紫外線、電子線、α線、β線等の活性エネルギー線を照射することで行われ、例えば、紫外線照射装置を用いて行うことができる。なお、光硬化性樹脂組成物は、例えば、露光量が50mJ/cm
2と少なくても十分に硬化反応を進行させることができる。そのため、露光量が50mJ/cm
2以上であれば、十分に硬化反応を進行させ、硬化物を得ることができる。なお、露光量の上限値は、5.0×10
3mJ/cm
2以下とすることが好ましい。なお、露光量とは、紫外線照射装置(オーク社製、商品名「UV−M02(受光器:UV−36)」)等で測定される照度に、照射時間(秒)を掛けた値をいう。
【0099】
紫外線照射用の光源としては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、LEDランプ等が挙げられる。これらの中でも、高圧水銀灯、メタルハライドランプが好ましい。
【0100】
なお、光照射の際には、保護パネル面側からの照射と、側面からの照射を併用してもよい。また、光照射と同時に光硬化性樹脂組成物を含む積層体を加熱する等して、硬化を促進させることもできる。
【0101】
以上のように、本実施形態の光硬化性樹脂組成物を用いることにより製造することが可能な画像表示用装置の一つである液晶表示装置について説明したが、本実施形態の光硬化性樹脂組成物を用いることにより製造することが可能な画像表示用装置はこれに限られない。本実施形態の光硬化性樹脂組成物は、例えば、プラズマディスプレイ(PDP)、陰極線管(CRT)、電界放出ディスプレイ(FED)、有機ELディスプレイ、3Dディスプレイ、電子ペーパー等に適用することも可能である。
【実施例】
【0102】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0103】
[実施例1]
スクリュー管内に、(A)成分としてイソプレンアクリレート(クラレ社製、商品名:UC−102)50質量部、(B)成分としてスチレン−イソステアリルアクリレート共重合体(作製方法は、下記の共重合体の製造例参照)50質量部、(C)成分として2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(BASF社製、商品名:TPO)2質量部を入れ、80℃のオーブンで加温した後、自公転攪拌させ、光硬化性樹脂組成物を得た。
【0104】
[実施例2〜
7、参考例8〜18及び比較例1〜6]
表1〜4に示した成分を同表に示す配合量(単位:質量部)でスクリュー管内に入れ、実施例1と同様に、80℃のオーブンで加温した後、自公転攪拌させ、実施例2〜
7、参考例8〜18及び比較例1〜6の光硬化性樹脂組成物を得た。
【0105】
(共重合体の製造例1)
2L反応容器中にメチルイソブチルケトン700gを仕込み、窒素ガス雰囲気、ゲージ圧0.30MPaの加圧下で1段目の合成温度(125℃)まで加熱した。125℃でスチレン(日本オキシラン株式会社製)280g、アクリル酸イソステアリル(大阪有機化学工業社製、商品名:ISTA)420g、パーブチルO(t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、日本油脂社製、商品名)42g、及びメチルイソブチルケトン70gの混合液を反応容器内に2時間に亘って滴下した。滴下終了後、更に1時間同一温度で反応を行い、その後、パーブチルO7gとメチルイソブチルケトン140gとの混合液を反応容器内に1時間に亘って滴下した。滴下終了後にメチルイソブチルケトン105gを投入し、2段目の合成温度(135℃)に加熱して更に2時間反応を続けた。得られた溶液を冷却した後、90℃、ゲージ圧−0.099MPaの減圧下でメチルイソブチルケトンを脱溶媒させ、スチレン−イソステアリルアクリレート共重合体を合成した。
【0106】
(共重合体の製造例2)
製造例1のアクリル酸イソステアリルをラウリルアクリレート(日立化成株式会社製、商品名:FA−112A)に変更した以外は製造例1と同様にして、スチレン−ラウリルアクリレート共重合体を合成した。
【0107】
(共重合体の製造例3)
製造例2のスチレンをベンジルアクリレート(日立化成株式会社製、商品名:FA−BzA)に変更した以外は製造例1と同様にして、ベンジルアクリレート−ラウリルアクリレート共重合体を合成した。
【0108】
(重量平均分子量及び数平均分子量の測定)
以下の機器測定条件で測定し、標準ポリスチレン換算分子量を求めた。
使用機器:日立L6000型高速液体クロマトグラフィー(日立製作所社製、商品名)
カラム:ゲルパックR400、R450及びR400M(日立化成(株)製、商品名)
溶離液:テトラハイドロフラン
カラム温度:40℃
試料濃度:0.1g/5ml
流量:2ml/min
検出器:日立L3350型示差屈折率計(日立製作所社製、商品名)
【0109】
上記測定条件で、製造例1〜3で得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定したところ、製造例1で得られたスチレン−イソステアリルアクリレート共重合体はMw7.7×10
3、Mn3.9×10
3であり、製造例2で得られたスチレン−ラウリルアクリレート共重合体はMw8.0×10
3、Mn3.4×10
3であり、製造例3で得られたベンジルアクリレート−ラウリルアクリレート共重合体はMw7.5×10
3、Mn3.2×10
3であった。
【0110】
[特性評価]
各実施例
、参考例及び比較例で得られた光硬化性樹脂組成物及びその硬化物について、以下に示す試験を行い、各特性を評価した。その結果を表1〜4に示す。
【0111】
(ピール強度の評価)
内側に長さ80mm、幅25mmの空間を有する厚さ175μmの枠状のスペーサーを、ナイスタック(ニチバン株式会社製)を用いて縦横100mmの寸法のソーダガラス上に貼り付け、スペーサーの内側の空間に光硬化性樹脂組成物を隙間なく塗布した。その上から、幅100mm、長さ200mm、厚さ125μmのポリエステルフィルム(東洋紡社製、商品名:コスモシャインA4300)を貼合わせた。ついで、ハイパワーメタルハライドランプを装着した露光機を用いて露光量1.0×10
3mJ/cm
2で露光し、光硬化性樹脂組成物を硬化させ、評価用サンプルを得た。ついで、引張試験機(オリエンテック社製、商品名:RTC−1210)を用いて、引き剥がし角度180°、引き剥がし速度300mm/minで、光硬化性樹脂組成物の硬化物の長さ方向に沿った方向に引き剥がし、ピール強度を測定した。
【0112】
(誘電率の評価)
ガラス基板の表面に離型PETフィルム(帝人デュポン社製、商品名:ユーピロンA63)を載置し、その上にシリコンゴムで作製した円形の枠(厚さ2mm、内径56mm)を乗せ、枠内に光硬化性樹脂組成物を流し込んだ。ここに更に、上記と同じ離型PETフィルムを乗せ、片面ずつUV照射し(片面の露光量1.0×10
3mJ/cm
2)、成型体を得た。この成型体から、離型PETフィルム及び枠を剥がし、光硬化性樹脂組成物の硬化膜を得た。この硬化膜の厚み(d)をマイクロメーター(株式会社ミツトヨ製、品番:543−285B ID−C112RB)を用いて測定した。その後、硬化膜の一方の面に直径56mmのアルミニウム板(厚さ2mm)を貼り付け、もう一方の面に直径36mmの銅箔(厚さ80μm)と、外径54mm、内径40mmのリング状銅箔(厚さ80μm)をこの順に貼り付け、測定サンプルとした。この測定サンプルを、ヒューレットパッカード社製の測定治具「HP16451B」で挟み、ヒューレットパッカード社製の測定器「HP4275A」を用い、25℃、周波数100kHzの条件で静電容量(C)を測定し、次式に代入することで誘電率ε
rを求めた。ここで、ε
0は真空の誘電率である。
C=ε
0×ε
r×(π×18mm×18mm)/d
【0113】
【表1】
【0114】
【表2】
【0115】
【表3】
【0116】
【表4】
【0117】
表1〜4に示した化合物は、以下の通りである。
UC−102:クラレ社製、商品名、イソプレンアクリレート
STC/ISTA:スチレン−イソステアリルアクリレート共重合体
STC/LA:スチレン−ラウリルアクリレート共重合体
BzA/LA:ベンジルアクリレート−ラウリルアクリレート共重合体
TPO:BASF社製、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド
G−1000:日本曹達社製、両末端水酸基含水添ポリブタジエン、平均分子量1500
FA−711MM:日立化成(株)製、ペンタメチルピペリジルメタクリレート
DCP−A:共栄社化学(株)製、商品名「ライトアクリレートDCP−A」、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート
FA−513AS:日立化成(株)製、ジシクロペンタニルアクリレート
FA−512M:日立化成(株)製、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート
ACMO:興人フィルム&ケミカルズ(株)製、アクリロイルモルホリン
FA−222A:日立化成(株)製、ジエチレングリコールジアクリレート
RICON−130:CARAY VALLEY社製、低分子量液状ポリブタジエン
【0118】
実施例1〜
7及び参考例8〜18の光硬化性樹脂組成物の硬化物は、ピール強度及び誘電率が共に良好であった。このため、該硬化物は、画像表示用装置の構成部材に用いた場合、基材の剥がれを抑えることができる。また、タッチパネル機能を有する場合には、感度良く、タッチ操作が可能である。
【0119】
一方、比較例1〜6の光硬化性樹脂組成物の硬化物は、誘電率が良好だったものの、ピール強度が低く、当該硬化物を画像表示用装置の構成部材に用いた場合、基材の剥がれが発生しやすいと考えられる。
【0120】
実施例5で特にピール強度が格段に良くなったことについて、本発明者らは以下のように推察している。粘着強さは、界面が十分に密着するための軟らかさと、樹脂の凝集力に起因する硬さという、相反する性質が必要なことが知られている。ゴムにタッキファイヤ(粘着付与剤)を入れると、軟らかさと硬さが両方とも向上することが知られているが、その理由はこれまで不明であった。しかし、近年、ナノレベルの解析技術の進展に伴い、タッキファイヤはゴムに相溶しているのではなく、ナノサイズの分散構造を形成する場合に粘着強さが出ることが分かってきた。以上の知見から、実施例5の光硬化性樹脂組成物においても、特に他の素材との相溶性が低いと推察されるSTC/ISTA共重合体が、特定の組成の時に高度なナノ分散構造を構築し、その結果、ピール強度が非常に高まったと推察している。