(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ターゲットと、前記結像位置と、前記第2の撮像装置の結像部とを、互いに光学的に共役となる位置に配置して、前記ターゲットマークを、前記第1の撮像装置及び前記第2の撮像装置の各結像部に同時に投影する請求項2に記載のプローブ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
光学的な手段で一対のカメラの位置合わせを行う上記特許文献3、4では、位置合わせの際に、両方のカメラで同時にターゲットマークの代わりとなるスポット光や2次元パターンを認識できない。そのため、これらの従来技術では、位置合わせを複数のステップに分けて行わざるを得ない。その結果、位置合わせに要する手間と時間がかかり、プローブ検査全体のスループットが低下する、という問題があった。
【0008】
また、特許文献3、4の位置合わせ方法では、両方のカメラで同時にスポット光や2次元パターンを認識できないことから、不透明物体をいずれかのカメラの光軸上に挿入してスポット光や2次元パターンを認識させる動作が必要となる。従って、特許文献3、4の位置合わせ方法では、可動部材を用いることになり、従来の機械式ターゲットを用いる場合の上記問題点のほとんどが未解決のままである。
【0009】
例えば、特許文献3のプローブ装置では、スポット光を照射する側に置かれたカメラは、スポット光の光軸を遮る物体面にスポット光を結像させることによってはじめてカメラの光軸とスポット光との位置合わせが可能になる。また、特許文献4のプローブ装置では、投影光学系が配置された側のカメラによって直接二次元パターンを認識することができないため、不透明な板などの物体を、当該カメラの光を遮るように挿入して二次元パターンの実像を予め撮像し、その座標を保存しておくことが必要となる。
【0010】
従って、本発明の目的は、機械式のターゲットを使用せず、光学的な手段によって短時間に一対のカメラの位置合わせを行うことが可能なプローブ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明のプローブ装置は、
被検査基板を保持するとともに、水平方向及び垂直方向に移動可能なステージと、
前記被検査基板の表面に形成されているデバイスの電極に接触させるプローブ針を撮像する第1の撮像装置と、
前記第1の撮像装置によって撮像を行うための光学系を有する第1の撮像光学部と、
前記被検査基板が前記ステージに保持された状態で前記電極を撮像する第2の撮像装置と、
前記第2の撮像装置による撮像を行うための光学系を有する第2の撮像光学部と、
前記第1の撮像装置と前記第2の撮像装置との位置合わせに用いる光学的なターゲットマークを、前記第1の撮像装置及び前記第2の撮像装置の各結像部に同時に投影する光学系を有する投影光学部と、
を備えている。
【0012】
本発明のプローブ装置は、さらに、前記ターゲットマークを生成するターゲットを備えていてもよく、
前記投影光学部は、前記第1の撮像装置の結像部に対して光学的に共役な位置に、前記ターゲットの像である前記ターゲットマークを結像させる結像位置を形成するものであってもよい。
【0013】
本発明のプローブ装置は、前記ターゲットと、前記結像位置と、前記第2の撮像装置の結像部とを、互いに光学的に共役となる位置に配置して、前記ターゲットマークを、前記第1の撮像装置及び前記第2の撮像装置の各結像部に同時に投影するものであってもよい。
【0014】
本発明のプローブ装置において、前記投影光学部は、
前記ターゲットへ光を照射する投影用光源と、
前記ターゲットを通過した前記投影用光源からの光を分割させる分割手段と、
前記第1の撮像装置の前記結像部に前記ターゲットマークが形成されるように、前記分割手段によって分割された光線を集束させる集束手段と、
を備えていてもよい。
【0015】
本発明のプローブ装置は、前記集束手段が凹面反射鏡であってもよい。
【0016】
本発明のプローブ方法は、上記のいずれかのプローブ装置を用いるプローブ方法である。このプローブ方法は、
前記第1の撮像装置及び前記第2の撮像装置の各結像部に同時に前記ターゲットマークを投影させ、それらの画像データから、前記第1の撮像装置及び前記第2の撮像装置の位置合わせを行うステップと、
前記第2の撮像装置によって前記被検査基板の複数箇所の前記電極を撮像し、そのときの前記電極の位置座標を記憶するステップと、
前記第1の撮像装置によって前記プローブ針を撮像し、そのときの前記プローブ針の位置座標を記憶するステップと、
前記各工程で得られた位置座標に基づき、前記プローブ針を前記電極に接触させて、前記被検査基板の表面に形成されたデバイスの電気的特性を検査するステップと、
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明のプローブ装置は、光学的なターゲットマークを、第1の撮像装置及び第2の撮像装置の各結像部に同時に投影する投影光学系を備えている。そのため、機械式なターゲットを使用せず、設置スペースが小さく、簡易な構成の光学的手段によって、短時間に一対の撮像装置の位置合わせを行うことが可能になる。また、1回の位置合わせで一対の撮像装置を、X、Y方向だけでなく、Z方向にも高精度に位置合わせできる。従って、本発明のプローブ装置及びプローブ方法によれば、被検査基板に形成されたデバイスの電気的特性を短時間で正確に測定できる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るプローブ装置100の外観構成を示す斜視図である。
図2は、
図1のプローブ装置100の内部構造の概略を示す斜視図である。
【0020】
本実施の形態のプローブ装置100は、半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」と記すことがある)Wに形成された半導体デバイス等のデバイス(図示せず)の電気的特性の検査を行うものである。プローブ装置100は、本体1と、この本体1に隣接して配置されるローダー部3と、本体1を覆うように配置されるテストヘッド5とを備えている。
【0021】
<本体>
本体1は、内部が空洞の筐体であり、ウエハWを載置するステージ7を収容する。本体1の天井部1aには、開口部1bが形成されている。開口部1bは、ステージ7に載置されたウエハWの上方に位置しており、この開口部1bに、円板状のプローブカード9を保持する略円板状のプローブカードホルダ(図示せず)が係合する。このプローブカードホルダによって、プローブカード9は、ステージ7に載置されたウエハWと対向して配置される。
【0022】
<ローダー部>
ローダー部3は、搬送容器であるフープ(図示省略)に収容されているウエハWを取り出して本体1のステージ7へ搬送する。また、ローダー部3は、デバイスの電気的特性の検査が終了したウエハWをステージ7から受け取り、フープへ収容する。
【0023】
<テストヘッド>
テストヘッド5は、直方体形状をなし、本体1に設けられたヒンジ機構11によって上方向へ回動可能に構成されている。テストヘッド5は、上方から本体1を覆った状態で、図示しないコンタクトリングを介してプローブカード9と電気的に接続される。テストヘッド5は、プローブカード9から伝送されるデバイスの電気的特性を示す電気信号を測定データとして記憶するとともに、測定データに基づいてデバイスの電気的な欠陥の有無を判定する機能を有している。
【0024】
<ステージ>
図2に示すように、ステージ7は、基台20上に配置されており、図中に示すX方向に沿って移動するX方向移動ユニット21と、図中に示すY方向に沿って移動するY方向移動ユニット23と、図中に示すZ方向に沿って移動するZ方向移動ユニット25とを有している。
【0025】
X方向移動ユニット21は、X方向に配置されたガイドレール27に沿って、ボールねじ21aの回動によってステージ7をX方向に高精度に移動させる。ボールねじ21aは、モータ(図示せず)によって回動される。また、このモータに組み合わされたエンコーダ(図示せず)によってステージ7の移動量の検出が可能となっている。
【0026】
Y方向移動ユニット23は、Y方向に配置されたガイドレール29に沿って、ボールねじ23aの回動によってステージ7をY方向に高精度に移動させる。ボールねじ23aは、モータ23bによって回動される。また、このモータ23bに組み合わされたエンコーダ23cによってステージ7の移動量の検出が可能となっている。
【0027】
このように、X方向移動ユニット21とY方向移動ユニット23は、ステージ7を、水平面に沿い、互いに直交するX方向とY方向に移動させる。
【0028】
Z方向移動ユニット25は、図示しないモータ及びエンコーダを有し、ステージ7をZ方向に沿って上下に移動させるとともに、その移動量を検出できるようになっている。Z方向移動ユニット25は、ステージ7をプローブカード9へ向けて移動させてウエハW上のデバイスにおける電極とプローブ針とを当接させる。また、ステージ7は、図示しないモータによって、Z方向移動ユニット25の上において、図中に示すθ方向に回転自在に配置されている。
【0029】
<プローブカード>
プローブカード9は、ステージ7と対向する面に多数のプローブ針9a(
図10及び
図11を参照)を備えている。プローブ装置100では、ステージ7を水平方向(X方向,Y方向,θ方向)及び垂直方向(Z方向)に移動させることによって、プローブカード9及びウエハWの相対位置を調整し、デバイスの電極とプローブ針9aとを当接させる。テストヘッド5は、プローブカード9の各プローブ針9aを介してデバイスに検査電流を流す。プローブカード9は、デバイスの電気的特性を示す電気信号をテストヘッド5に伝送する。テストヘッド5は、伝送された電気信号を測定データとして記憶し、検査対象のデバイスの電気的な欠陥の有無を判定する。なお、プローブ針9aは、デバイスの電極に接続する機能を有するものであれば、どの様な形状であってもよい。
【0030】
本体1の内部には、ステージ7に隣接してプローブカードホルダ交換ユニット31が配置されている。プローブカードホルダ交換ユニット31は、プローブカード9を保持する図示しないプローブカードホルダを担持するフォーク33を有している。フォーク33は、Y方向及びZ方向に移動可能に構成されておりプローブカード9の交換を行う。
【0031】
<下部撮像ユニット>
また、本体1の内部には、ステージ7とプローブカードホルダ交換ユニット31の間に、下部撮像ユニット35と、針先研磨ユニット37とが配置されている。ここで、下部撮像ユニット35は、プローブカード9に形成されたプローブ針9aを撮像する。下部撮像ユニット35及び針先研磨ユニット37は、ステージ7に固定されており、ステージ7とともにX方向、Y方向及びZ方向に移動する。下部撮像ユニット35の詳細な構成については後述する。
【0032】
<アライメントユニット>
また、本体1の内部において、ステージ7の上方には、アライメントユニット41が配置されている。アライメントユニット41は、図示しない駆動部によって、
図2中、Y方向に移動可能に構成されている。アライメントユニット41は、ステージ7や下部撮像ユニット35と対向する水平面に沿う下面を有している。
【0033】
<上部撮像ユニット>
アライメントユニット41には、上部撮像ユニット43が設けられている。上部撮像ユニット43は、ステージ7上に載置されたウエハWに形成されたデバイスの電極を撮像する。上部撮像ユニット43の詳細な構成については後述する。
【0034】
以上の構成によって、プローブ装置100において、下部撮像ユニット35と上部撮像ユニット43は、互いに対向する位置をはじめ、下部撮像ユニット35がプローブカード9に対向する位置や、上部撮像ユニット43がステージ7に対向する位置など、複数の位置に相対移動可能となっている。
【0035】
<撮像ユニットの詳細構造>
次に、
図3を参照しながら、下部撮像ユニット35及び上部撮像ユニット43の詳細な構成について説明する。
図3は、下部撮像ユニット35と上部撮像ユニット43を上下に対向させた状態で、それらの構成を光学的な特徴を中心に示したものである。
【0036】
<下部撮像ユニット>
下部撮像ユニット35は、第1の撮像装置としての下部カメラ61と、下部カメラ61によってプローブカード9のプローブ針9aを撮像するための下部撮像光学部63と、光学的なターゲットマークを生成するためのターゲット65と、ターゲットマークを下部カメラ61の結像部61a及び上部カメラ91の結像部91aに同時に投影するための投影光学部67とを有している。ここで、下部カメラ61及び上部カメラ91の「結像部」とは、下部カメラ61及び上部カメラ91における、例えばCCD素子、CMOS素子などの撮像素子を意味する。
【0037】
(下部カメラ)
下部カメラ61は、プローブカード9に形成されたプローブ針9aを撮像し、その画像データを生成する。また、下部カメラ61は、ターゲットマークの画像データを生成する。
【0038】
(下部撮像光学部)
下部撮像光学部63は、例えばLEDランプなどの撮影用光源71と、撮影用光源71からの照射光又はその反射光を集束させるレンズ73A,73B,73Cと、撮影用光源71からの照射光又はその反射光を分割するビームスプリッタ75を備えている。ビームスプリッタ75は、例えばハーフミラーでもよい。
【0039】
(ターゲット)
ターゲット65は、例えばアクリル、ガラス、アルミニウム、鉄などの材質の50〜1000μm程度の厚みの薄板であり、光学的なターゲットマークに対応する模様が形成されている。本実施の形態において、ターゲットマークに対応する模様は、ターゲット65を構成する薄板に設けられた貫通開口によって形成されている。なお、貫通開口の代わりに、例えば透明なアクリル板、ガラス板などの片側の面に、蒸着、塗工などの方法でターゲットマークに対応する模様を形成したものを使用してもよい。ターゲットマークに対応する模様の形状は任意であり、円形、四角形、十字形、同心円、放射パターンなどの幾何学模様を例示できる。
【0040】
(投影光学部)
投影光学部67は、ターゲット65から、その像である光学的なターゲットマークを生成するとともに、ターゲットマークを下部カメラ61及び上部カメラ91の各結像部61a,91aに同時に投影するための光学系である。
図3では、ターゲットマークを下部カメラ61の結像部61aに投影するときの光束を太線で模式的に示し、下部カメラ61及び上部カメラ91で撮像をするときの光束と、ターゲットマークを上部カメラ91の結像部91aに投影するときの光束を細線で模式的に示している。投影光学部67は、例えばLEDランプなどの投影用光源81と、投影用光源81からの光を反射し集束させる凹面反射鏡83と、投影用光源81からの光を分割する分割手段としてのビームスプリッタ85とを備えている。ビームスプリッタ85は、例えばハーフミラーでもよい。また、凹面反射鏡83は、下部カメラ61の結像部61aに向けて光を集束させる集束手段としての機能と、光を反射する反射手段としての機能とを有している。そのため、凹面反射鏡83を用いることによって、投影光学部67の構成を簡素化し、省スペース化、小型化を図ることができる。なお、凹面反射鏡83は、例えば平面反射鏡とレンズとの組み合わせで代替することもできる。
【0041】
<上部撮像ユニット>
上部撮像ユニット43は、第2の撮像装置としての上部カメラ91と、上部カメラ91によってウエハW上のデバイスを撮像するための上部撮像光学部93と、を有している。
【0042】
(上部カメラ)
上部カメラ91は、ウエハW表面に形成されたデバイスの電極を撮像し、その画像データを生成する。また、上部カメラ91は、ターゲットマークの画像データを生成する。
【0043】
(上部撮像光学部)
上部撮像光学部93は、例えばLEDランプなどの撮影用光源101と、撮影用光源101からの照射光又はその反射光を集束させるレンズ103A,103B,103Cと、撮影用光源101からの照射光又はその反射光を分割するビームスプリッタ105を備えている。ビームスプリッタ105は、例えばハーフミラーでもよい。
【0044】
(結像位置)
下部撮像光学部63と上部撮像光学部93との間には、ターゲットマークの結像位置Pが形成されている。本実施の形態のプローブ装置100では、投影光学部67によって、ターゲット65と、ターゲットマークの結像位置Pと、下部カメラ61の結像部61aとを、互いに光学的共役の関係になるように配置している。
【0045】
また、
図3に示す状態では、ターゲットマークの結像位置Pと上部カメラ91の結像部91aとが互いに光学的共役の関係になるように、下部撮像光学部63と上部撮像光学部93を配置している。つまり、
図3に示す状態において、下部撮像光学部63及び上部撮像光学部93は、ターゲットマークの結像位置Pと、ターゲット65と、下部カメラ61の結像部61aと、上部カメラ91の結像部91aとが、互いに光学的共役の関係になるように構成されている。
【0046】
下部撮像ユニット35では、撮影用光源71から照射された光は、レンズ73Aで集束し、その一部分がビームスプリッタ75で反射してレンズ73Bで集束し、結像位置Pに照射される。また、結像位置Pに配置された物体(例えばプローブ針9a)の表面で反射した光は、その一部分がビームスプリッタ75を透過してレンズ73Cで集束し、下部カメラ61の結像部61aに投影される。
【0047】
上部撮像ユニット43では、上部撮影用光源101から照射された光は、レンズ103Aで集束し、その一部分がビームスプリッタ105で反射してレンズ103Bで集束し、下方に配置された物体(例えば、デバイスの電極)に照射される。また、物体の表面で反射した光は、その一部分がビームスプリッタ105を透過してレンズ103Cで集束し、上部カメラ91の結像部91aに投影される。
【0048】
さらに、
図3に示すように、上部カメラ91の結像部91aと結像位置Pとが互いに光学的共役の位置に配置されているとき、上部カメラ91の焦点は結像位置Pに合っている。そのため、結像位置Pに物体(例えば、デバイスの電極)を配置したときの物体の像や、結像位置Pに結像されている像(例えば、ターゲット65の像であるターゲットマーク)は、上部カメラ91の結像部91aに正確に投影される。
【0049】
下部撮像ユニット35の投影光学部67では、投影用光源81から照射された光が、ターゲット65を通過することによって光学的なターゲットマークを生成する。また、投影用光源81から照射された光は、その一部分がビームスプリッタ85を通過し、凹面反射鏡83によって反射されるとともに集束し、さらにビームスプリッタ85で反射して下部カメラ61に入射する。従って、ターゲット65で生成されるターゲットマークは、投影用光源81から照射された光によって下部カメラ61の結像部61aに投影される。
【0050】
また、投影用光源81から照射された光の一部分は、ビームスプリッタ85で反射し、レンズ73C、ビームスプリッタ75、レンズ73Bを介して、結像位置Pに照射される。従って、ターゲット65で生成されたターゲットマークは、投影用光源81から照射された光によって結像位置Pに投影される。
【0051】
さらに、上記のとおり、
図3に示す状態では、ターゲットマークの結像位置Pと、ターゲット65と、下部カメラ61と、上部カメラ91とを、互いに光学的共役となる位置に配置している。従って、投影用光源81を点灯させて、ターゲットマークを結像位置Pに結像させることによって、下部カメラ61と上部カメラ91の双方の結像部61a,91aに、同時にターゲットマークを投影できる。
【0052】
[投影光学部の変形例]
次に、プローブ装置100における投影光学部の変形例について説明する。
図4〜
図6は、それぞれ投影光学部の変形例を示している。投影光学部は、ターゲットマークを下部カメラ61及び上部カメラ91の各結像部61a,91aに同時に投影できるものであればよいため、種々のバリエーションが存在する。ここでは、代表的に3つの変形例について説明する。なお、
図4〜
図6において、上部撮像ユニット43、並びに下部カメラ61及び下部撮像光学部63の構成は
図3と同じであるため、同一の符号を付して説明を省略する。
図4〜6では、ターゲットマークを下部カメラ61の結像部61aに投影するときの光束を太線で模式的に示し、下部カメラ61及び上部カメラ91で撮像をするときの光束と、ターゲットマークを上部カメラ91の結像部91aに投影するときの光束を細線で模式的に示している。
【0053】
<第1の変形例>
図4は、第1の変形例を示すものである。第1の変形例の投影光学部67Aは、例えばLEDランプなどの投影用光源81と、投影用光源81からの光を集束させる凹面反射鏡83と、投影用光源81からの光を分割するビームスプリッタ85とを備えている。
【0054】
第1の変形例の投影光学部67Aは、下部カメラ61、投影用光源81及びターゲット65に対する凹面反射鏡83の配置が、
図3に示した投影光学部67と相違している。すなわち、
図3に示した投影光学部67では、投影用光源81からターゲット65を通過し、ビームスプリッタ85を透過する光束の光軸上に凹面反射鏡83を配置したのに対し、本変形例の投影光学部67Aでは、投影用光源81からターゲット65を通過し、ビームスプリッタ85で反射する光束の光軸上に凹面反射鏡83を配置した。
【0055】
本変形例の投影光学部67Aでは、投影用光源81から照射された光は、ターゲット65を通過することによって光学的なターゲットマークを生成する。また、ターゲット65を通過した光の一部分は、ビームスプリッタ85で反射し、凹面反射鏡83によって反射されるとともに集束させられ、さらにビームスプリッタ85を透過して下部カメラ61に入射する。従って、ターゲット65で生成されたターゲットマークは、投影用光源81から照射された光によって下部カメラ61の結像部61aに投影される。
【0056】
また、本変形例の投影光学部67Aでは、投影用光源81から照射された光の一部分は、ビームスプリッタ85を透過し、レンズ73C、ビームスプリッタ75、レンズ73Bを介して、結像位置Pに照射される。従って、ターゲット65で生成されたターゲットマークは、投影用光源81から照射された光によって結像位置Pに投影される。
【0057】
なお、本変形例において、結像位置Pに物体を配置したとき、物体面で反射した光は、レンズ73B、ビームスプリッタ75、レンズ73Cを介して、一部分がビームスプリッタ85で反射し、下部カメラ61に入射する。
【0058】
<第2の変形例>
図5は、第2の変形例を示すものである。第2の変形例の投影光学部67Bは、例えばLEDランプなどの投影用光源81と、投影用光源81からの光を反射する一対の平面反射鏡111,113と、投影用光源81からの光を集束させるレンズ115と、投影用光源81からの光を分割するビームスプリッタ85と、結像位置Pと下部カメラ61と間で光軸を直角に曲げるためのビームスプリッタ117を備えている。
【0059】
第2の変形例の投影光学部67Bでは、投影用光源81から照射された光は、ターゲット65を通過することによって光学的なターゲットマークを生成する。また、ターゲット65を通過した光の一部分がビームスプリッタ85を透過し、平面反射鏡111及び平面反射鏡113で順次反射されるとともにレンズ115で集束し、さらにビームスプリッタ117を透過して下部カメラ61に入射する。従って、ターゲット65で生成されたターゲットマークは、投影用光源81から照射された光によって下部カメラ61の結像部61aに投影される。
【0060】
また、本変形例の投影光学部67Bでは、投影用光源81から照射された光の一部分は、ビームスプリッタ85で反射し、レンズ73C、ビームスプリッタ75、レンズ73Bを介して、結像位置Pに照射される。従って、ターゲット65で生成されたターゲットマークは、投影用光源81から照射された光によって結像位置Pに投影される。
【0061】
なお、本変形例において、結像位置Pに物体を配置したとき、物体面で反射した光は、レンズ73B、ビームスプリッタ75、レンズ73C、ビームスプリッタ85を介して、一部分がビームスプリッタ117で反射し、下部カメラ61に入射する。
【0062】
<第3の変形例>
図6は、第3の変形例を示すものである。第3の変形例の投影光学部67Cは、例えばLEDランプなどの投影用光源81と、投影用光源81からの光を反射する一対の平面反射鏡111,113と、投影用光源81からの光を集束させるレンズ115と、投影用光源81からの光を分割するビームスプリッタ85と、投影用光源81と結像位置Pとの間で光軸を直角に曲げるためのビームスプリッタ119を備えている。
【0063】
第3の変形例の投影光学部67Cにおいて、投影用光源81から照射された光は、ターゲット65を通過することによって光学的なターゲットマークを生成する。また、ターゲット65を通過した光の一部分がビームスプリッタ119を透過し、レンズ115で集束させられるとともに平面反射鏡111及び平面反射鏡113で順次反射され、さらにビームスプリッタ85を透過して下部カメラ61に入射する。従って、ターゲット65で生成されたターゲットマークは、投影用光源81から照射された光によって下部カメラ61の結像部61aに投影される。
【0064】
また、本変形例の投影光学部67Cでは、投影用光源81から照射された光の一部分は、ビームスプリッタ119で反射し、ビームスプリッタ85を透過して、レンズ73C、ビームスプリッタ75、レンズ73Bを介して、結像位置Pに照射される。従って、ターゲット65で生成されたターゲットマークは、投影用光源81から照射された光によって結像位置Pに投影される。
【0065】
なお、本変形例においては、結像位置Pに物体を配置したとき、物体面で反射した光は、レンズ73B、ビームスプリッタ75、レンズ73Cを介し、一部分がビームスプリッタ85で反射し、下部カメラ61に入射する。
【0066】
以上の3つの変形例に限らず、本実施の形態のプローブ装置100において、投影光学部は、ターゲットマークを下部カメラ61の結像部61a及び上部カメラ91の結像部91aに同時に投影できればよく、種々の変形が可能である。
【0067】
<制御部>
プローブ装置100は、さらに制御部50を備えている。制御部50は、プローブ装置100の各構成部の動作を制御する。制御部50は、典型的にはコンピュータである。
図7は、制御部50のハードウェア構成の一例を示している。制御部50は、主制御部201と、キーボード、マウス等の入力装置202と、プリンタ等の出力装置203と、表示装置204と、記憶装置205と、外部インターフェース206と、これらを互いに接続するバス207とを備えている。主制御部201は、CPU(中央処理装置)211、RAM(ランダムアクセスメモリ)212およびROM(リードオンリメモリ)213を有している。記憶装置205は、情報を記憶できるものであれば、その形態は問わないが、例えばハードディスク装置または光ディスク装置である。また、記憶装置205は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体215に対して情報を記録し、また記録媒体215より情報を読み取るようになっている。記録媒体215は、情報を記憶できるものであれば、その形態は問わないが、例えばハードディスク、光ディスク、フラッシュメモリなどである。記録媒体215は、本実施の形態のプローブ装置100において行われるプローブ方法のレシピを記録した記録媒体であってもよい。
【0068】
制御部50は、本実施の形態のプローブ装置100において、複数のウエハWに対し、ウエハW上に形成されたデバイスに対する検査を実行できるように制御する。具体的には、制御部50は、プローブ装置100において、各構成部(例えば、モータ23bなどの駆動装置、エンコーダ23cなどの位置検出装置、下部撮像ユニット35、上部撮像ユニット43等)を制御する。これらは、CPU211が、RAM212を作業領域として用いて、ROM213または記憶装置205に格納されたソフトウエア(プログラム)を実行することによって実現される。
【0069】
[プローブ方法]
次に、
図8〜
図11を参照しながら、プローブ装置100を使用してウエハW上に形成されたデバイスの電気的特性の検査を行うプローブ方法の手順の一例について説明する。
図8〜
図11は、本実施の形態のプローブ方法の工程を説明する説明図である。
図8〜
図11では、ステージ7、下部撮像ユニット35、上部撮像ユニット43、プローブ9(プローブ針9a)及びウエハW(不図示のデバイス)の位置関係を模式的に示している。
図8〜
図11中、符号301は、下部カメラ61の結像部61aと結像位置P又は物体(プローブ針9a)との間の光束を模式的に示しており、符号303は、上部カメラ91の結像部91aと結像位置P又は物体(デバイスの電極)との間の光束を模式的に示している。
【0070】
本実施の形態のプローブ方法は、機械的なターゲットマークに代えて、光学的なターゲットマークを用いるとともに、そのターゲットマークを、下部カメラ61及び上部カメラ91の各結像部61a,91aに同時に投影させる点以外は、従来のプローブ装置におけるプローブ方法と同様に実施できる。例えば、本実施の形態のプローブ方法は、下記の工程A〜工程Dを含むことができる。
【0071】
まず、準備段階として、ローダー部3のフープ(図示せず)から被検査基板であるウエハWを取り出してステージ7に搬送する。図示は省略するが、ウエハWの表面には、測定対象となるデバイスが形成されている。
【0072】
工程A:
工程Aでは、下部カメラ61及び上部カメラ91の各結像部61a,91aに同時にターゲットマークを投影させ、それらの画像データから、下部カメラ61及び上部カメラ91の位置合わせを行う。
図8に示すように、下部撮像ユニット35と上部撮像ユニット43が上下に対向する位置まで相対移動させる。次に、下部撮像ユニット35の投影光学部67の投影用光源81を点灯し、ターゲット65で生成されたターゲットマークを結像位置Pに投影する。その結果、ターゲットマークが、下部カメラ61及び上部カメラ91の各結像部61a,91aに同時に投影される。そして、下部カメラ61及び上部カメラ91により、それぞれ得られたターゲットマークの画像データに基づき、上部カメラ91の結像部91aと、結像位置Pとが互いに光学的に共役の位置関係となるように位置合わせを行う。具体的には、下部カメラ61及び上部カメラ91の各結像部61a,91aに同時に投影されたターゲットマークの中心と、下部カメラ61及び上部カメラ91の光軸とが一致し、かつ、上部カメラ91の焦点が結像位置Pに合致するように位置を求める。
【0073】
このような位置合わせは、下部カメラ61で取得されたターゲットマークの画像データと、上部カメラ91で取得されたターゲットマークの画像データとを比較しながら、ステージ7に固定された下部撮像ユニット35をX、Y、Z方向に移動させることによって行われる。そして、下部カメラ61の結像部61aは、はじめからターゲット65及び結像位置Pと光学的に共役の位置関係にあるので、下部カメラ61及び上部カメラ91は、互いに焦点及び光軸が一致していることになる。このときのステージ7のX、Y、Z座標を、例えば(X0、Y0、Z0)として制御部50のメモリであるRAM212、記憶装置205又は記録媒体215に格納する。
【0074】
本実施の形態のプローブ方法では、工程Aで、ターゲットマークを、下部カメラ61及び上部カメラ91の各結像部61a,91aに同時に投影することによって、1回の位置合わせで下部カメラ61と上部カメラ91をX、Y、Z方向に位置合わせできる。従って、2つのカメラで別々にターゲット65の実像を取得する場合に比べて、位置合わせに要する時間を短縮できるとともに、結像位置Pに実像を表示するための不透明な板などを挿入する機構と手間が必要なくなる。
【0075】
工程B:
工程Bでは、上部カメラ91によってウエハW上のデバイスの複数箇所の電極を撮像し、そのときの電極の位置座標を記憶する。投影用光源81を消灯した状態で、
図9に示すように、ステージ7を上部撮像ユニット43の下方に相対移動させ、撮影用光源101を点灯して、上部カメラ91の焦点を予め定められたウエハW上の複数(例えば5つ)の撮像ポイントに合わせて、撮像する。ここで、撮像ポイントは、ウエハW上に形成されたデバイスの所定の電極に設定する。得られた画像データから、そのときの各撮像ポイントの位置座標を求める。ここでは、便宜上、各撮像ポイントの位置座標を総称して(X1、Y1、Z1)として表す。位置座標(X1、Y1、Z1)は、制御部50のメモリであるRAM212、記憶装置205又は記録媒体215に格納する。
【0076】
なお、以上の説明では、ステージ7のθ方向(周方向)の位置合わせについては考慮していないが、プローブ針9aの配列方向とデバイスの配列の方向とのずれを考慮する場合には、前記複数の撮像ポイントの中の任意の2点から、θ方向のずれを求めてステージ7をθ方向に移動させる補正を行えばよい。
【0077】
工程C:
工程Cでは、下部カメラ61によってプローブカード9のプローブ針9aを撮像し、そのときのプローブ針9aの位置座標を記憶する。投影用光源81を消灯した状態で、
図10に示すように、下部撮像ユニット35の下部カメラ61をプローブ針9aの下方まで相対移動させる。そして、撮影用光源71を点灯し、下部カメラ61の焦点が予め決められた所定のプローブ針9aに一致するように、ステージ7に固定された下部撮像ユニット35をX、Y、Z方向に移動させ、撮像する。得られた画像データから、そのときのプローブ針9aの位置座標(X2、Y2、Z2)を求める。この位置座標(X2、Y2、Z2)は、制御部50のメモリであるRAM212、記憶装置205又は記録媒体215に格納する。
【0078】
以上工程A〜工程Cの動作を行えば、工程Aで上部カメラ91の結像部91aと、ターゲットマークの結像位置Pと、下部カメラ61の結像部61aとが互いに光学的に共役の位置となるように、上部カメラ91及び下部カメラ61のX、Y、Z方向の位置を合わせているので、一つの撮像装置によってウエハWとプローブ針9aとを撮像する場合と等価になる。従って、ウエハW上の複数の撮像ポイントとプローブ針9aとの相対位置を、上記各位置座標から正確に把握できる。上記各位置座標は、例えば、ステージ7が所定の標準位置に位置する場合に対するX、Y、Z方向のそれぞれのエンコーダのパルス数によって管理することができる。なお、本実施の形態のプローブ方法では、工程A〜工程Cの順序は問わない。例えば、工程A、B、Cの順、工程A,C、Bの順、工程B、A、Cの順、工程B、C、Aの順、工程C、A、Bの順、又は、工程C、B、Aの順に実施できる。また、工程A〜工程Cは、アライメントユニット41を移動させる毎に実施することが好ましい。
【0079】
工程D:
工程Dでは、上記工程A、工程B、工程Cの各工程で得られた位置座標に基づき、
図11に示すように、プローブ針9aとウエハWの表面に形成された所定のデバイスの電極との位置が合うようにステージ7をX、Y、Z方向に移動させる。その後、プローブ針9aを電極に接触させて、デバイスの電気的特性を検査する。
【0080】
以上のように、本実施の形態のプローブ装置100は、下部カメラ61と上部カメラ91との位置合わせに用いる光学的なターゲットマークを、下部カメラ61及び上部カメラ91の各結像部61a,91aに同時に投影する投影光学部を備えている。そのため、機械式なターゲットを使用せず、設置スペースが小さく、簡易な構成の光学的な手段によって短時間に一対のカメラの位置合わせを行うことが可能になる。また、1回の位置合わせで下部カメラ61と上部カメラ91をX、Y方向だけでなく、Z方向にも位置合わせできる。従って、本実施の形態のプローブ装置100によれば、ウエハWに形成されたデバイスの電気的特性を短時間で正確に測定することが可能になる。また、本実施の形態のプローブ装置100によれば、機械式ターゲットを使用する場合の諸問題、例えば、誤動作による接触事故、パーティクル発生、部品点数が多く小型化が困難であること、コスト高であること、定期的なメンテナンスが煩雑であること、などを解消することができる。
【0081】
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態では、投影光学部67,67A,67B,67Cを下部撮像ユニット35に設けたが、上部撮像ユニット43に設けることもできる。また、位置合わせの対象となる一対のカメラは、上下の位置関係に限るものではなく、例えば、一対のカメラを水平方向に配置した場合であっても、同様に本発明を適用できる。
【0082】
また、被検査基板としては、半導体ウエハに限らず、例えば液晶表示装置に用いるガラス基板に代表されるフラットパネルディスプレイ用などであってもよい。