(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリアルキレングリコールは、5,000〜15,000ダルトンの分子量を有し、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリエチレン−ポリプロピレングリコールからなる群から選択される、請求項3又は4に記載の接着剤系。
【背景技術】
【0002】
木材抽出物は所定の木材に存在する物質であり、それはセルロース構造の必須部分ではなく、熱水又は冷水による、或いは他の化学的に不活性な溶媒による木材の処理後に、溶液中でその木材から取り除くことができる。所定の木材における抽出物の種類及び濃度は、接着結合組立品の強度や耐久性における重要変数である(Chapter 10 Wood Handbook、Wood as an Engineering Material, U.S. Department of Agriculture, FPL-GTR-190、2010年)。
【0003】
抽出物は木材表面に移動することができ、その表面の不活性化を生じさせるか、又はそこに適用された任意の接着剤と反応し得ることが知られている。抽出物移動に起因する表面不活性化の結果、接着剤が木材を濡らし得ない;接着剤が木材表面における抽出物の薄層に結合する;若しくは抽出物が接着剤に溶解して硬化速度に影響を及ぼすか、又は接着剤があまりに粘性がありすぎて木材構造に適度に浸透しないことがあり得る。
【0004】
本出願は、高濃度の抽出物(特にアラビノガラクタン)を含有するそれらの木材又はリグノセルロース基材に関する。様々な割合のガラクトース及びアラビノースユニットを含み、分子量の異なる多糖類は、広範な温度範囲及び高濃度であっても完全に水に溶解し、その結果安定な低粘度溶液である。抽出物はカラマツ、ツガ、クロトウヒ、ベイマツ、ヒマラヤスギ、ジュニパー及びサトウカエデ等の木材において高濃度で存在する。
【0005】
これらの木材のうち、カラマツは、その高い強度、及び水、昆虫腐敗及び害虫に対してその高い耐久性のために、橋、バルコニー及び遊び場等の屋外用途の相当な商業的利用が見出されている。カラマツはその良好な美的外観のために、フローリング及び家具等の屋内用途にも通常使用される。そうは言っても高濃度の抽出物、特にカラマツのアラビノガラクタンは、パルプ及び紙産業における原材料としてのこの木材の使用に制限がある(Bergstedら、Larch Wood-A Literature Review, Forest & Landscape Denmark, Univer-4、1990年、第263〜272頁)。カラマツ材の接着の場合には、これらの抽出物が、本出願の主題であるポリウレタン接着剤系を含む種々の接着剤系の接着耐久性を低減させることが考えられる。
【0006】
木材構造用目的のためのポリウレタン接着剤の耐久性は、例えば、欧州規格(EN)、米国材料試験協会(ASTM)、及びカナダ規格協会(CSA)によって厳密に規制されている。規制及び実用的要件の両方を満たすために、“A Review of Adhesion Promotion Techniques for Solid Timber Substrates”、The Journal of Adhesion 84、2008年、第502〜529頁において、Custodioらは、木材要素のための多数の接着改良技術を提案し;これらの技術のうち、木材表面にポリウレタン接着剤組成物を適用する前に、木材表面を処理するプライマーの使用が実用的かつ安全であり、環境上の利点がある。実際に、ある著者は木製基材に対するポリウレタン接着剤の接着耐久性の問題に対処するためにプライマーを使用した。
【0007】
カラマツの接着におけるアラビノガラクタンの化学的及び技術的効果、Cost Action E34, SBF Nr. C05.0046、Eidgenoessiches Material Pruefungsamt (EMPA) Duebendorf, Schweiz(2006年)において、Kuennigerらは、カラマツの抽出物の水洗浄が一成分(1K)系ポリウレタン接着剤の性能に悪影響を及ぼすことを見出した。この文献は、米国特許第5,543,487号(Vickら)の教示に従って、カラマツの接着用のヒドロキシメチル化レゾルシノール(HMR)の使用も評価している。HMRカップリング剤を形成するために、150g/m
2の高拡散率で木材表面に適用する前に、ホルムアルデヒド及びレゾルシノールを65°〜85°Fの温度で4〜6時間、インサイチューで穏やかなアルカリ条件下反応させた。適用後、接着前に下塗りした木材を4時間保持した。全体として、Kuennigerらのカラマツ接着工程は、数日単位の時間を要するため、製品プラントにおける経済的応用のためにはあまりに遅すぎるであろう。さらに、試薬のホルムアルデヒドは公知のヒト発癌性物質であり、その使用には予防的及び高価なプラントを構築する必要があるだろう。
【0008】
国際特許出願公開第2007/096570号(豪州連邦科学産業研究機構)には、ポリアミン−好ましくはポリエチレンイミンを含んでなり、少なくとも11.5のpHを有する、特にポリウレタン接着剤の前に基材に適用するための水性プライマー組成物が開示されている。この文献の可能な実施態様において、硬材試料はこのプライマーの適用前に、連続的な、粗い磨き、次ぐ仕上げ磨きからなる手間のかかる2つの研磨工程を必要とした。さらに、プライマー含有試料の乾燥引張強度は改善されるが、この引例は構造用使用規制により必要とされるような湿式接着強度、耐剥離性又は耐熱性に関する結果、又はカラマツ材等の種における特定の結果は何ら報告されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、カラマツ及び木製基材等に適用する際、先行技術の上記欠点を受けない接着剤系の範囲で、ポリウレタン接着剤組成物の接着耐久性及び理想的には接着強度を向上するために用いることができるプライマー組成物を開発する必要性が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1態様において、リグノセルロース複合材料を調製するための接着剤系であって:
a)プライマー組成物;及び
b)ポリウレタン接着剤組成物
を含んでなり、
前記プライマー組成物が:
i)30mgKOH/g以下のヒドロキシル価を有し、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールモノエーテル及びポリアルキレングリコールジエーテルからなる群から選択される、該組成物に対して1〜100重量%の少なくとも1つの化合物;及び
ii)該組成物に対して0〜99重量%の溶媒
を含んでなる、接着剤系が提供される。
【0013】
プライマー組成物は、iii)水溶性界面活性剤、水乳化性界面活性剤及びそれらの混合物からなる群から選択される、該プライマー組成物に対して5重量%以下の界面活性剤をさらに含んでよく、前記界面活性剤は化合物i)ではない。
【0014】
本発明の接着剤系の特定の実施態様において、前記プライマー組成物は、30mgKOH/g以下のヒドロキシル価を有し、5,000〜20,000ダルトンの重量平均分子量(Mw)を有する、式(I):
【化1】
(式中、nは1〜5の整数、好ましくは1又は2の整数であり;mは正の整数であり;及びR
1、R
2及びR
3は独立して、水素、アルキル、アリール、アラルキル、アルキルアリール及びそれらの組み合わせから選択される)
で表される少なくとも1つのポリアルキレングリコールを含んでなる。
【0015】
本発明の接着剤系の別の実施態様において、前記プライマー組成物は、30mgKOH/g以下のヒドロキシル価を有し、90〜20,000ダルトンの重量平均分子量(Mw)を有する、式(II):
【化2】
(式中、xは1〜5の整数、好ましくは1又は2の整数であり;yは正の整数であり;R
4、R
5、R
6及びR
7は独立して、水素、アルキル、アリール、アラルキル、アルキルアリール及びそれらの組み合わせから選択され;及びR
4及びR
7の両方が同時に水素にはならない)
で表される少なくとも1つのグリコールエーテルを含んでなる。
【0016】
さらに、接着剤系のさらなる独立の実施態様において、ポリウレタン接着剤組成物は、湿気硬化型一成分系ポリウレタン接着剤組成物である。この一成分系ポリウレタン接着剤組成物は、好ましくは:遊離NCO基を有する少なくとも1つのプレポリマーであって、イソシアネートと反応する化合物を含んでなる少なくとも1つの成分Aと、イソシアネートを含んでなる少なくとも1つの成分Bとから得られる前記プレポリマー;0〜40重量%、好ましくは0.1〜30重量%のフィラー;0〜20重量%の慣用の添加剤及び助剤;及び0〜20重量%の活性剤を含むべきである。
【0017】
プライマー組成物の後に適用される一成分系ポリウレタン接着剤組成物が、i)プレポリマーに基づいて、5〜30重量%、好ましくは10〜25重量%のNCO含有量;ii)2.2〜3、好ましくは2.4〜2.9の官能価;及びiii)300〜35,000mPas、好ましくは1000〜10,000mPasの20℃における粘度により特徴付けられる、遊離NCO基を有する少なくとも1つのプレポリマーを含んでなる接着剤系において、良好な結果が得られていることが留意される。
【0018】
接着剤組成物は1つより多くのプレポリマーを含有してよいことが想定される。第2の又はさらなるプレポリマーは、上記特徴i)〜iii)を満たす必要はなく、プレポリマーの平均化された特性がこれらの特徴を満たすことが好ましい。最適には包含される各プレポリマーがこれらの特徴を満たすべきである。
【0019】
本発明の第2態様に従って、リグノセルロース接着物品の製造方法であって:
(a)少なくとも2つのリグノセルロース表面を供給する工程;
(b)上記に定義される接着剤系を供給する工程;
(c)前記リグノセルロース表面の少なくとも1つの少なくとも一部に前記接着剤系を適用する工程;及び
(d)前記少なくとも1つのリグノセルロース表面と他方のリグノセルロース表面とを、それらの間に接着結合を形成するために適当な条件下で、それらを接触させる工程を含んでなる方法が提供される。少なくとも1つの共に接触されたリグノセルロース表面はカラマツを含むべきである。
【0020】
本発明の方法の特定の実施態様において、その工程c)は、前記リグノセルロース表面の少なくとも1つの少なくとも一部にプライマー組成物を適用する工程;及びリグノセルロース表面の前記一部に、前記ポリウレタン接着剤組成物を適用する工程を含んでなる。リグノセルロース基材のプライマー化部分への接着剤の適用は、プライマーの適用後、15分以下、例えば1〜10分で行ってよいが、より長い待ち時間も許容される。
【0021】
リグノセルロース表面へのプライマー組成物の適用は、接着強度及び具体的には続いて適用されるポリウレタン接着剤組成物の湿潤接着強度を改善するのに役立つ。このことは、上記に定義された方法により得られるリグノセルロース物品が、構造用木材製品のために設定された規格を満たすことを可能にする。とりわけリグノセルロース物品は、欧州規格 EN 391:2001、カナダ規格協会(CSA)規格 112.9及び/又は米国材料試験協会(ASTM) D2259の湿式使用要件を満たす又は上回ることができる。
【0022】
本発明のさらなる態様において、
30mgKOH/g以下のヒドロキシル価を有し、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールモノエーテル及びポリアルキレングリコールジエーテルから選択される、該組成物に対して1〜100重量%の少なくとも1つの化合物;及び
該組成物に対して0〜99重量%の溶媒
を含んでなる組成物の、リグノセルロース材料のための接着剤系におけるプライマーとしての使用が提供される。共に定義された組成物は、カラマツを含有するリグノセルロース材料のための接着剤系においてプライマーとして特定の有用性がある。
【0023】
<定義>
本明細書で用いられる場合、EN391とは、「集成材−接着剤層の離層試験」と題された欧州規格 EN391:2001を意味する。
【0024】
本明細書で用いられる場合、CSA 112.9とは、「構造用木材製品(外部暴露)用接着剤の評価のための標準規格」と題されたカナダ規格協会(CSA)規格 112.9を意味する。
【0025】
本明細書で用いられる場合、ASTM D2559とは、「外部(湿潤用途)暴露条件下における用途の構造用集成木材製品用接着剤の評価のための標準規格」と題された米国材料試験協会のASTM規格 D2259−04を意味する。
【0026】
本明細書で用いられる場合、「活性水素部分」とは、Journal of the American Chemical Society、第49巻、第3181頁(1927年)において、Wohlerにより記載されたZerewitnoff試験に従い、分子中におけるその位置により著しい活性を示す水素原子を含む部分を意味する。
【0027】
本明細書で用いられる場合、用語「界面活性剤」とは、液体に溶解したときに、液体の表面張力を低下させ、2つの液体の間の表面張力を低下させ、又は液体と固体との間の表面張力を低下させる化合物を意味する。より一般的には、用語「界面活性剤」は本明細書において、水に溶解したときに、水の表面張力を低下させる化合物を意味するのに用いられる。
【0028】
別段の記載が無い限り、本明細書において用いられるオリゴマー種、ポリマー種及びコポリマー種についての用語分子量とは、Colloids and Surfaces A. Physico Chemical & Engineering Aspects、第162巻、2000年、第107〜121頁に記載の手順に従って、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて決定された重量平均分子量(Mw)を意味する。
【0029】
本明細書で用いられる用語「ポリオール」は、2つ、3つ又はそれ以上のヒドロキシル基を有する化合物を含むものとする。
【0030】
本明細書で記載されるヒドロキシル(OH)価は、日本工業規格(JIS)K−1557、6.4に従って測定される。
【0031】
本明細書で与えられるイソシアネート含有量は、EN ISO 11909に従って測定される。
【0032】
本明細書に記載の接着剤組成物及びプレポリマーの粘度は、以下の手順に従って決定される:20℃及び相対湿度(RH)50%の標準条件において、ブルックフィールド粘度計(モデルRVT)を用いて測定される。粘度計は、5,000cps〜50,000cpsまでの異なる既知の粘度のシリコーンオイルを用いて校正される。粘度計に取り付けるRVスピンドルのセットが校正に用いられる。プレポリマーの測定は、6番のスピンドルを用いて20回転毎分の速度で1分間、粘度計が平衡になるまで行われる。平衡の測定値に相当する粘度がその後校正により計算される。
【0033】
本明細書で用いられる場合、「無水」とは、関連する組成物が0.25重量%未満の水を含むことを意味する。例えば、該組成物は0.1重量%未満の水を含有する又は完全に水を含有しないことができる。用語「溶媒を含まない」は、関連する組成物が0.25重量%未満の溶媒を含んでなることと同様の意味として解釈されるべきである。
【0034】
本明細書で用いられる場合、用語「リグノセルロース材料」とは、木質材料を意味することが意図され、限定されないが、木板;ベニヤ板;木繊維;木材ストリップ;木材フレーク;木材粒子;例えばもみ殻、バガス及びわら等の農業廃棄物;他の木質系複合材料;及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【発明を実施するための形態】
【0035】
多くのより詳細な実施形態を参照して本発明を説明する。
【0036】
<プライマー組成物>
本発明のプライマー組成物は:
i)30mgKOH/g以下のヒドロキシル価を有する、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールモノエーテル及びポリアルキレングリコールジエーテルからなる群から選択される、該組成物に対して1〜100重量%の少なくとも1つの化合物;及び
ii)該組成物に対して0〜99重量%の溶媒
を含んでなる。
【0037】
プライマー組成物は、iii)水溶性界面活性剤、水乳化性界面活性剤及びそれらの混合物からなる群から選択される、該プライマー組成物に対して5重量%以下の界面活性剤をさらに含んでよく、前記界面活性剤は化合物i)ではない。
【0038】
プライマー組成物は、無水又は溶媒を含まなくてよく、一実施態様ではグリコール系化合物以外からなるプライマー組成物である。より一般的にプライマー組成物はグリコール系化合物の希釈溶媒を含んでよく、組成物における溶媒含有量は、99重量%以下、典型的には95重量%以下、好ましくは50〜85重量%である。
【0039】
溶媒の種類は特に限定されないが、組成物を適用する木製基材の天然粒子の膨張を低減するように作用すべきである。選択される溶媒はまた、組成物に存在してよい任意の界面活性剤と反応すべきでない。好ましくは溶媒は水であるか、又は相当量の水、例えば少なくとも80重量%の溶媒を含んでなり;そのような水は水道水、脱イオン化水、脱塩水又はそれらの混合物とすることができる。しかしながら、エステル、エーテル、アルコール、ケトン、アミド等は、同様に溶媒として適当であり得る。さらに、溶媒の混合物を使用してよい。
【0040】
水性プライマー組成物を用いる場合、公知のように、強アルカリ性組成物により酸の木材損傷を引き起こさず、木材を変色させないpHを有するべきである。実際上、そのような水性プライマー組成物は、典型的には6〜8、好ましくは6.5〜7.5の範囲のpHを有するべきである。
【0041】
希釈プライマー組成物は、様々な成分の単純な混合により調製される。この混合は、組成物の基材表面への適用のかなり前に行ってよく:従って、希釈組成物は、調製された溶液として基材表面に適用されるだろう。別の実施態様において、希釈組成物は、基材表面との接着の直前又はその間に、すすぎ流の中で調製することができる。例えば、該当する場合、界面活性剤と共に所定量のグリコール系化合物を、水と、任意に共溶媒との連続的な流れに注入し、水性プライマー組成物を形成することができる。
【0042】
<グリコール系化合物>
プライマー組成物の第1実施態様に従って、該組成物は、30mgKOH/g以下のヒドロキシル価を有し、5,000〜20,000ダルトンの分子量を有する、式(I):
【化3】
(式中、nは1〜5の整数、好ましくは1又は2の整数であり;mは正の整数であり;及びR
1、R
2及びR
3は独立して、水素、アルキル、アリール、アラルキル、アルキルアリール及びそれらの組み合わせから選択される)
で表される少なくとも1つのポリアルキレングリコールを含んでなる。好ましくはR
1、R
2及びR
3は独立して、水素及びC
1−C
10アルキル又はC
1−C
5アルキルからなる群から選択される。
【0043】
m>1である場合、整数nは各m単位に対して、独立に選択することができる。さらに、n>1及び/又はm>1である場合、R
1、R
2及びR
3は各繰り返し単位において同じ又は異なっていてよい。従って、ポリアルキレングリコールは単数単位の繰り返しからなっていても、若しくはポリマー鎖に沿ってブロックに配置される又はランダムに配置される複数の異なる単位を含んでいてもよい。
【0044】
好ましい実施態様において、式(I)のR
1、R
2及びR
3は全て水素である。特に、プライマー組成物が5,000〜15,000ダルトンの分子量を有する、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリエチレン−ポリプロピレングリコールからなる群から選択される、ポリアルキレングリコールを含んでなる場合、良好な結果が得られる。
【0045】
典型的な商業的に入手し得るポリアルキレングリコールとしては:Renex(商標)PEG 6000-FL(クロ−ダインターナショナルから入手可能);SYNPERONIC(商標)PE/P 105及びSYNPERONIC(商標)PE/F 68(クロ−ダインターナショナルから入手可能);及びPluronic(商標)PE 6800及びPluronic(商標)PE 10500(BASFから入手可能)が挙げられる。
【0046】
プライマー組成物の第2実施態様に従って、該組成物は、30mgKOH/g以下のヒドロキシル価を有し、90〜20,000ダルトンの重量平均分子量(Mw)を有する、式(II):
【化4】
(式中:xは1〜5の整数、好ましくは1又は2の整数であり;
yは正の整数であり、好ましくは1〜60の正の整数、より好ましくは2〜30の正の整数、さらに好ましくは5〜30の正の整数;
R
4、R
5、R
6及びR
7は独立して、水素、アルキル、アリール、アラルキル、アルキルアリール及びそれらの組み合わせから選択され;及び
R
4及びR
7の両方が同時に水素にはならない)
で表される少なくとも1つのグリコールエーテルを含んでなる。
好ましくは、R
4、R
5、R
6及びR
7は独立して水素原子及びC
1−C
10アルキル、例えばC
1−C
5アルキルからなる群から選択され、但しR
4及びR
7の両方が同時に水素にはならない。
【0047】
y>1である場合、整数xは各y単位に対して独立に選択することができる。さらに、x>1及び/又はy>1である場合、R
5及びR
6は各繰り返し単位において同じ又は異なっていてよい。従って、ポリアルキレングリコールエーテルは単数単位の繰り返しからなっていても、若しくはポリマー鎖に沿ってブロックに配置される又はランダムに配置される複数の異なる単位を含んでいてもよい。
【0048】
好ましい実施態様において、式(I)のR
5及びR
6はともに水素である。代わりに又はさらに、R
4及びR
7の少なくとも1つはメチルであることが好ましい。
【0049】
典型的な商業的に入手し得る(ポリ−)グリコールモノ−又はジエーテルとしては:Clariant Produkte(ドイツ)GmbH製の純粋な形態で入手できるTetraglyme(商標)、ポリテトラエチレングリコールジメチルエーテルを含み;及びTriglyme(商標)はClariant Produkte(ドイツ)GmbH製の純粋な形態で入手できるトリエチレングリコールジメチルエーテル(Mw178)が挙げられる。
【0050】
<界面活性剤>
プライマー組成物は、任意にiii)水溶性界面活性剤、水乳化性界面活性剤及びそれらの混合物からなる群から選択される5重量%以下、通常は1重量%以下、好ましくは0.01〜0.1重量%の界面活性剤を含んでよい。
【0051】
そのような界面活性剤の選択は、限定されることを意図しない:例えば、界面活性剤は、イソシアネート部分と反応する官能基を含有しても含有しなくてもよい。それらは、ゲル浸透クロマトグラフィーによりポリスチレン標準に対して決定された100,000g/mol以下の数平均分子量(Mn)を有してよいが、より一般的には界面活性剤は、400〜25000又は400〜5000の数平均分子量(Mn)を有するだろう。これらのような基準を満たす界面活性剤は、例えば、Surfactants and Interfacial Phenomena、第2版、M. J. Rosen、 1989年、John Wiley and Sons社、ニューヨーク、第1〜32頁において見出すことができ、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0052】
完全を期するために、30mgKOH/g以下のヒドロキシル価を有する所定のポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールモノエーテル及びポリアルキレングリコールジエーテルが、界面活性剤として分類されてよいことが留意される。その場合、用語界面活性剤がプライマー組成物の成分iii)に当てはまるように、用語界面活性剤からそのようなグリコール又はグリコールエーテルを除外する。
【0053】
本発明の好ましい界面活性剤は、シロキサン系界面活性剤;アルキル多糖を含むアルキルポリグルコシド;アルコキシル化脂肪酸;アルコキシル化アルコール;アルキルスルホコハク酸塩;アセチレンジオール;及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0054】
適当なシロキサン系界面活性剤としては、水系と相溶性のあるシリコーン界面活性剤が挙げられる。そのような界面活性剤としては、シリコーンポリオキシアルキレンコポリマー、有機シリコーンポリエーテルコポリマー界面活性剤等が挙げられるが、それらに限定されない。特定の実施形態において、好ましいシロキサン系界面活性剤としては、BYK Chemie GmbHから入手可能なBYK(登録商標)界面活性剤、及びEvonik Industriesから入手可能なTego(登録商標)界面活性剤が挙げられ、それらの中でBYK(登録商標)347及び348並びにTego(登録商標)Wet280及びWet265が特に留意され得る。他のシリコーン界面活性剤は、例えばHill(1999年)シリコーン界面活性剤(Marcel Decker、ニューヨーク)中に確認することができる。
【0055】
上述のように、プライマー組成物は、好ましくは天然由来のアルキル置換基、例えばヤシ脂肪アルコール又は天然脂肪アルコールの蒸留した留分等を有してよい1つ以上のアルキルポリグルコシド界面活性剤を含有してよい。適当なアルキルポリグルコシド界面活性剤としては、アルキル多糖が挙げられ、とりわけ米国特許:第5,776,872号(Giret他);第5,883,059号(Furman他);第5,883,062号(Addison他);及び第4,565,647号(Llenado)に開示される。また、例示的な市販のアルキルポリグルコシド界面活性剤としては:Dow Chemical Companyから入手可能なTriton(登録商標)CG110;Akzo Nobelから入手可能なAG6202(登録商標);及びHuntsman Corporationから入手可能なAlkadet 15(登録商標)が挙げられる。
【0056】
アルキルスルホコハク酸塩界面活性剤化合物は周知であり、必要に応じてアルコキシル化されてよいスルホコハク酸のモノエステル塩、スルホコハク酸のジエステル塩及びそれらの混合物が挙げられる。例示的なスルホコハク酸塩界面活性剤化合物としては、モノオクチルスルホコハク酸ジナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸ジナトリウム、ラウレススルホコハク酸ジナトリウム、ラウリミド(MEA)スルホコハク酸ジナトリウム、モノアルキルフェニルエーテルスルホコハク酸ジナトリウム及びそれらの混合物が挙げられる。
【0057】
アルコキシル化脂肪酸界面活性剤も当該技術分野において周知である。一般的に、そのようなアルコキシル化脂肪酸界面活性剤の脂肪酸部分は、飽和又は不飽和のモノ又はジ脂肪酸、一般的には例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ベヘン酸、エルカ酸等のC
6−C
30脂肪酸に由来する。そのような酸は、植物油、例えばトール油、菜種油、キャノーラ油、大豆油、ヤシ油、ヒマシ油、トウモロコシ油、オリーブ油、ヒマワリ油、綿実油、パーム油、ピーナッツ油、ゴマ油、サフラワー油、アマニ油(linseed oil)、アマニ油(flax seed oil)、パーム核油及びそれらの混合物等に由来し得る。これらの脂肪酸は、2〜20モル、より一般的には5〜20モルのC
2−C
4アルキレンオキシド、より一般的にはエチレンオキシドによりアルコキシル化される。
【0058】
本発明に用いられる適切なアルコキシル化アルコール界面活性剤化合物としては、エトキシル化(15)トリデシルアルコール、エトキシル化(7)ラウリルアルコール、エトキシル化(20)オレイルアルコール、エトキシル化(15)ステアリルアルコール及びそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0059】
アセチレンジオール系界面活性剤は、アセチレンスペーサー末端の疎水基、並びにヒドロキシル基をぶらさげた親水性エーテル及び/又は疎水性エーテルを含むアセチレンジオールであることができる界面活性剤である。アセチレンジオール系界面活性剤の例としては、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール(TMDD)、2,5,8,11−テトラメチル−6−ドデシン−5,8−ジオール、それらの誘導体及びそれらの混合物が挙げられる。市販のアセチレンジオール系界面活性剤の重要な例としては、Air Products & Chemicalsから入手可能なDynolシリーズ(例えばDynol604)及びSurfynolシリーズが挙げられる。
【0060】
本発明の好ましい実施形態に従って、プライマー組成物の界面活性剤は、BYK Chemie GmbHから入手可能なBYK 348である。
【0061】
<一成分系ポリウレタン組成物>
本発明の接着剤系の好ましい実施形態において、遊離NCO基を有するプレポリマーを含む一成分系ポリウレタン接着剤組成物が用いられる。より詳細には、その一成分系ポリウレタン接着剤組成物は:
遊離NCO基を有するプレポリマーであって、イソシアネートと反応する化合物を含んでなる少なくとも1つの成分Aとイソシアネートを含んでなる少なくとも1つの成分Bとから得られる前記プレポリマー;
0〜40重量%、好ましくは0.1〜30重量%のフィラー;
0〜20重量%の慣用の添加剤及び助剤;及び
0〜20重量%の活性剤
を含むべきである。
【0062】
プレポリマーは、硬化による架橋ポリウレタンの調製を可能にするのに十分であるが高すぎてポリマーが不安定にならない平均イソシアネート官能価を有するべきである。本明細書における安定性とは、プレポリマー又はプレポリマーから調製された接着剤組成物のどちらか一方が、周囲温度において少なくとも2ヶ月の保存寿命を有し、かかる期間の間、適用又は使用を妨げる粘度の増加を示さないことを意味する。好ましくは、プレポリマー又はそれから調製された接着剤組成物は、前記期間の間、約50%より大きい粘度の増加を受けない。
【0063】
一般的に、プレポリマーの平均イソシアネート官能価は、少なくとも約2.2、好ましくは少なくとも約2.4であり;約2.2より低い場合、プレポリマーの架橋により得られた接着剤が柔らかすぎる又は弾力がありすぎる傾向があり、場合によっては硬化した接着剤の強度が損なわれる。さらに、プレポリマーの平均イソシアネート官能価は、一般的に3.0以下、より好ましくは2.9以下であり;3.0を超える平均イソシアネート官能価の場合、プレポリマー及びプレポリマーから調製された接着剤は、許容できない安定性を示す場合がある。
【0064】
プレポリマーは、プレポリマーから調製された接着剤における60分後の許容できる強度とプレポリマーの許容できる安定性とを容易にする水準であるべきNCO含有量によっても特徴付けられ得る。NCO(イソシアネート)含有量は、一般的にはプレポリマーの5〜30重量%の範囲、好ましくは10〜25重量%、より好ましくは15〜25重量%であるべきである。NCO含有量が30重量%より大きい場合、プレポリマーから調製された接着剤組成物が60分後、目的の用途のためには低すぎる重ねせん断強さを示すことがあり、またプレポリマーから調製された接着剤組成物の硬化の間に多少の発泡が起こることがあり;約5重量%のNCO含有量未満の場合、プレポリマーは、例えば1〜3日以内にゲル化等の不安定性を示すことがある。
【0065】
プレポリマーは、安定であり、ポンプ移送可能であり、ゲル化しない良好な生強度を有する接着剤組成物の調製を容易にする粘度を示すべきである。この点において、プレポリマーの粘度は、一般的に300〜35,000mPas、好ましくは1,000〜30,000mPas、より好ましくは1,000〜10,000mPasであるべきである。接着剤組成物の粘度は、当然フィラーで調製することができるが、これらは最終的な接着剤の生強度に寄与し得ない。
【0066】
まとめると、プレポリマーは、好ましくは:i)プレポリマーに基づいて、5〜30重量%、好ましくは10〜25重量%のNCO含有量;ii)2.2〜3.0、好ましくは2.2〜2.9又は2.4〜2.9の官能価;及びiii)300〜35,000mPas、好ましくは1000〜10,000mPasの20℃における粘度により特徴付けられるべきである。これらの性質は、既知の市販のプレポリマーを用いることにより見出されてよい。あるいは、成分A及びBを、得られるプレポリマーのこれらの性質が達成されるような比率及び条件下で反応させればよい。
【0067】
プレポリマーの調製に用いられるポリイソシアネート(B)としては、任意の脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、アリール脂肪族ポリイソシアネート、複素環ポリイソシアネート若しくは芳香族ポリイソシアネート又はそれらの混合物が挙げられ、少なくとも約2.0の平均イソシアネート官能価と少なくとも約80の当量とを有する。ポリイソシアネートのイソシアネート官能価は、より一般的には約2.2〜4.0、例えば2.3〜3.5であろう。4.0より大きい官能価が用いられ得るが、それらの使用は過剰な架橋を引き起こすことがあり、粘稠すぎて取扱い及び適用することが容易にできない接着剤組成物をもたらし;さらに、硬化した接着剤は脆すぎることがあり、また二酸化炭素ガス発生に起因して発泡を引き起こすことがある。ポリイソシアネートの当量は、一般的には50〜300g/eq、好ましくは110〜250g/eq、より好ましくは120〜200g/eqである。
【0068】
必要な場合、ポリイソシアネートは、一般的に既知の方法、例えば英国特許第889,050号に記載の方法等により、ビウレット化され及び/又はイソシアヌレート化されてよい。
【0069】
適当なポリイソシアネートの例としては、エチレンジイソシアネート;1,4−テトラメチレンジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI);HDIのビウレット又は三量体;1,12−ドデカンジイソシアネート、シクロブタン−1,3−ジイソシアネートシクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート及びシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート並びにこれら異性体の混合物;1−イソシアナート−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナートメチルシクロヘキサン;2,4−ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート及び2,6−ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート並びにこれら異性体の混合物;ヘキサヒドロ−1,3−フェニレンジイソシアネート及び/又はヘキサヒドロ−1,4−フェニレンジイソシアネート;ペルヒドロ−2,5’−ジフェニルメタンジイソシアネート及び/又はペルヒドロ−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート;1,3−フェニレンジイソシアネート及び1,4−フェニレンジイソシアネート;2,4−トリレンジイソシアネート及び2,6−トリレンジイソシアネート並びにこれら異性体の混合物;ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート及び/又はジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI);ナフチレン−1,5−ジイソシアネート;トリフェニルメタン−4,4’4’−トリイソシアネート;及び、アニリンとホルムアルデヒドとを縮合し、例えば英国特許第874,430号及び第848,671号に記載のホスゲン化等が後に続くことにより得られる種類のポリフェニルポリメチレンポリイソシアネートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
エステル基、尿素基、アロファネート基、カルボジイミド基、ウレトジオン基及び/又はウレタン基を含むジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートは本発明に係る方法に用いられてもよい。
【0071】
ある実施形態において、ジフェニルメタンジイソシアネート(メチレンジフェニルジイソシアネート、MDI)が、ポリマー又はモノマーのMDIとして、プレポリマーの調製に用いられる。好ましくは、そのMDIは、特に好ましい4,4’−MDI又は2,4’−MDIと4,4’−MDIとの混合物のどちらかを有するモノマーの形態である。
【0072】
本明細書で用いられる用語イソシアネート反応性化合物(A)は、水と、平均して1つより多くの、好ましくは2〜4つのイソシアネート反応性部分を有する任意の有機化合物とを含む。これらは一般的に、活性水素部分を含有する化合物である。活性水素部分の例示は、−COOH、−OH、−NH
2、−NH−、−CONH
2、−SH及び−CONHであり、一般的な活性水素含有化合物としては、ポリオール、ポリアミン、ポリメルカプタン、多酸及び少なくとも1つのオキサゾリジン部分を含有する化合物が挙げられる。
【0073】
本発明に用いられる好ましいイソシアネート反応性化合物は、ポリオール、とりわけ2〜4つのイソシアネート反応性水素部分を有するポリオールである。ポリオールは、例えば、1つ以上のジオールと1つ以上のトリオールとの混合物であってよい。ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリ(アルキレンカーボネート)ポリオール、ヒドロキシル含有ポリチオエーテル、ポリマーポリオール及びそれらの混合物が例示できる。ポリヒドロキシ化合物のヒドロキシル数は、一般に20〜850mgKOH/g、好ましくは25〜500mgKOH/gである。
【0074】
低分子量、例えば60〜400又は60〜300のジオール及びトリオールは、イソシアネートと反応し得るが、これらのポリオールはより一般的には、1つ以上のさらなる活性水素化合物を含有する反応混合物におけるスターター分子、連鎖延長剤及び/又は架橋剤として用いられる。この点において:2〜14個、好ましくは4〜10個の炭素原子を有する、脂肪族ジオール、脂環式ジオール及び/又は芳香脂肪族ジオール、例えばエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、o−ジヒドロキシシクロヘキサン、m−ジヒドロキシシクロヘキサン、p−ジヒドロキシシクロヘキサン;ジエチレングリコール;ジプロピレングリコール;ビス(2−ヒドロキシエチル)ハイドロキノン等;及びトリオール、例えば1,2,4−トリヒドロキシシクロヘキサン、1,3,5−トリヒドロキシシクロヘキサン、グリセロール及びトリメチロールプロパン等が挙げられ得る。
【0075】
ポリエーテルポリオールは当該技術分野において周知であり、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、並びにポリテトラメチレンエーテルジオール及びポリテトラメチレンエーテルトリオールが挙げられる。ポリエーテルポリオールは一般的に、400〜10000、例えば1000〜7000の分子量を有してよく、例えば米国特許第4,269,9945号、第4,218,543号及び第4,374,210号に記載されるように、活性水素含有開始剤化合物の存在下でアルキレンオキシドを重合することにより調製される。アルキレンオキシドモノマーは一般的には、エチレンオキシド;プロピレンオキシド;ブチレンオキシド;スチレンオキシド;エピクロロヒドリン;エピブロモヒドリン;及びそれらの混合物:からなる群から選択される。活性水素開始剤については一般的には、水;エチレングルコール;プロピレングリコール;ブタンジオール;ヘキサンジオール;グリセリン;トリメチロールプロパン;ペンタエリスリトール;ヘキサントリオール;ソルビトール;スクロース;ハイドロキノン;レゾシノール;カテコール;ビスフェノール;ノボラック樹脂;リン酸;アミン及びそれらの混合物:からなる群から選択される。本発明のポリウレタンプレポリマーの調製に有用なポリエーテルポリオールの好例は、グリセリンとプロピレンオキシドとを反応させ、その生成物とエチレンオキシドとの反応が後に続くことにより調製される、エチレンオキシドキャップポリオールである。
【0076】
当該技術分野において既知であるように、ポリエステルポリオールは、ポリカルボン酸又はそれらの酸無水物と多価アルコールとを反応させることにより調製されてよい。適当なポリカルボン酸の例としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、トリメリット酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水テトラクロロフタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、フマル酸及びそれらの混合物が挙げられる。ポリエステルポリオールの調製に有用な多価アルコールの例としては、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、キニトール、マンニトール、ソルビトール、メチルグルコシド、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びそれらの混合物が挙げられる。本発明に関しては、有用なポリエステルポリオールは一般的に、1200〜3000の分子量を有するだろう。
【0077】
活性水素部分としてのアミンポリオールの使用は除外されない。この群としては、低分子量ポリオール、例えばジエタノールアミン、トリエタノールアミン及びN−メチル−N,N’−ジエタノールアミン等が挙げられるが、例えばエチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン及び1,6−ヘキサンジアミン等のアミノ化合物とアルキレンオキシド(例えば、プロピレンオキシド(PO)及びエチレンオキシド(EO))との付加反応により得られるアミンポリオールも挙げられる。適当なアミンポリオール、又は具体的なエチレンジアミン開始ポリオールの例としては、Synperonic(商標)Tブランド ポリオール、Synperonic(商標)T304 ポリオール(クロ−ダインターナショナルから入手可能)が例示できる。
【0078】
活性水素部分(A)として有用性を見出すポリマーポリオールとしては、とりわけ米国特許第4,309,645号、第4,463,107号、第4,148,840号及び第4,574,137に記載の連続ポリオール相におけるビニルモノマーのポリマー又はコポリマーの分散体が挙げられる。スチレン/アクリロニトリル(SAN)コポリマーポリオール、ポリイソシアネート重付加(PIPA)ポリオール(ポリオール中のポリ尿素−ポリウレタン粒子の分散体)及びポリオール中のポリ尿素分散体(PHDポリオール)も有用である。
【0079】
本発明のある実施形態において、反応物質のポリオールは、少なくとも1.5、好ましくは少なくとも1.8、より好ましくは少なくとも2.0の平均官能価を有するが、4.0以下、好ましくは約3.5以下、より好ましくは約3.0以下である。独立的に又は付加的に、反応物質のポリオールの当量は、少なくとも200、好ましくは少なくとも500、より好ましくは少なくとも約1,000であるが、3500以下、好ましくは3000以下、より好ましくは2500以下である。
【0080】
ポリオールは、プレポリマーの所望の遊離イソシアネート含有量と調和するのに十分なイソシアネート基を残すイソシアネートのイソシアネート基の多くと反応するのに十分な量で存在する。ポリオールがジオールとトリオールとの混合物を含むその実施形態において、トリオールに対するジオールの割合は、プレポリマーの所望のイソシアネート官能価を達成するように選択されなければならない。
【0081】
上記の成分A及びBから開始して、任意の適当な方法、例えばバルク重合及び溶液重合等により、ポリウレタンプレポリマーが調製されてよい。プレポリマーを調製する反応は、無水条件下、例えば窒素ブランケット下で実行されて、大気の湿気によるイソシアネート基の架橋を防ぐ。
【0082】
標準的なプレポリマー合成において、イソシアネート反応性基を含有する化合物又はポリマーを、最初に触媒がない状態で45〜55℃の温度に加熱する。その後、反応混合物中に均一に分散されることを確保するために、ポリイソシアネートを混合しながら加える。その後、ポリウレタン触媒を加えてよい。触媒を加えた後、一般的に発熱を生じ;この場合、ゲル化しないことを確実にするために、反応混合物の温度を下げなければならないことがある。発熱が収まった後、反応物質を希釈して反応を抑えるために、可塑剤を加えてよい。反応は、全ての遊離イソシアネート反応性部分がイソシアネート部分と反応するように継続されるべきである。
【0083】
標準的なポリウレタン触媒としては:カルボン酸のスズ塩、例えばオクタン酸スズ、オレイン酸スズ、酢酸スズ及びラウリン酸スズ等;ジカルボン酸ジアルキルスズ、例えばジラウリン酸ジブチルスズ及び二酢酸ジブチルスズ等;第三級アミン;アルカノールアミン化合物;2,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン;水酸化テトラアルキルアンモニウム;アルカリ金属水酸化物;アルカリ金属アルコラート;及びスズメルカプチドが挙げられる。イソシアネートの性質によってが、用いられる触媒の量は一般的に、触媒される混合物の0.005〜10重量%の範囲である。
【0084】
反応に用いられるイソシアネート反応性基に対するイソシアネート基の割合は、得られるプレポリマーが遊離イソシアネート反応性基を有しないが、妥当な促進も得られるような割合であるべきである。通常は、イソシアネート反応性基に対するイソシアネート基の当量比は、1.2:1〜2:1、例えば1.4:1〜1.6:1の範囲である。
【0085】
上記のように、本発明の一成分系接着剤組成物は、湿気の存在下においてポリウレタンの硬化を促進することで既知の活性剤又は触媒を、接着剤組成物の20重量%以下、又は0.1〜5重量%の量でさらに含んでよい。適当な触媒としては、例えばカルボン酸スズ、オルガノシリコーンチタン酸塩、チタン酸アルキル、カルボン酸ビスマス及びジモルホリノジエチルエーテル又はアルキル置換ジモルホリノジエチルエーテル等の金属塩が挙げられる。好ましい触媒としては、オクタン酸ビスマス、ジモルホリノジエチルエーテル及び(ジ−(2−(3,5−ジメチルモルホリノ)エチル))エーテルが挙げられる。
【0086】
当該技術分野において既知であるように、接着剤組成物はフィラー及び添加剤と共に配合されてよく、組成物の物理的性質、例えば粘度、流速等を変更する。ポリウレタン又はプレポリマーの早期硬化を防ぐため、フィラー及び添加剤はそれらの混合前に徹底的に乾燥されるべきである。
【0087】
補強フィラーが、通常は接着剤組成物の0.1〜40重量%又は0.1〜30重量%の量で接着剤組成物に加えられてよく、チキソトロープ性を変更し、また得られる接着剤の強度を増大させる。そのようなフィラーは、当該技術分野における当業者に周知であり、カーボンブラック、二酸化チタン、炭酸カルシウム、表面処理シリカ、酸化チタン、フュームシリカ、タルク等が挙げられる。
【0088】
本発明に含まれてよいさらなる添加剤又は添加材料としては:粘土、例えば粒状カオリン、表面処理カオリン、焼成カオリン、ケイ酸アルミニウム及び表面処理無水ケイ酸アルミニウム等;可塑剤、例えばフタル酸アルキル、部分的に水素化されたテルペン、リン酸トリオクチル、エポキシ可塑剤、トルエンスルファミド、クロロパラフィン、アジピン酸エステル、ヒマシ油、トルエン及びアルキルナフタレン等;安定剤、例えばマロン酸ジエチル及びアルキル化アルキルフェノール等;チキソトロープ剤;紫外線安定剤;粒状ゴム材料;殺菌剤;防炎加工剤;及び酸化防止剤が挙げられる。これらの添加剤の適当又は望ましい量は、当該技術分野における当業者に周知であるが、任意の所定の添加剤の種類について、接着剤組成物の10重量%より多い量で存在することが通常であろう。
【0089】
本発明の接着剤組成物は、適当な方法を用いることにより、好ましくは酸素及び湿気のない不活性雰囲気下で複数の成分を共に混合することにより配合されてよい。一旦接着剤組成物が混合されたら、大気の湿気及び酸素からまた保護されるように、適当な容器に詰められる。
【0090】
<基材>
十分には規定されない幾何学的形状を有するリグノセルロース基材、例えばチップボード、ファイバーボード及びパーティクルボード等が、本発明におけるリグノセルロース複合材料の調製において接着されてよいが、好ましいリグノセルロース基材は、最終的な複合材料の構造において明確且つ事前に決定された相対的な幾何学的関係で組み合わせる目的のために切断又は成形される基材である。これに関して、ホールボード(Whole board)、フィンガジョイント(finger-joint)、ハーフエッジボード(half-edged board)、I−根太、角材、木材ストリップ及び/又はベニヤ板が挙げられる。付随して、好ましいリグノセルロース複合材料は、共に貼り合わされる少なくとも2つの木板、ハーフエッジボード(half-edged board)、角材、ベニヤ板、又は木材ストリップを含む積層品である。
【0091】
本発明のプライマー組成物は、ポリイソシアネート系接着剤組成物を用いて接着することが可能な任意の材種にもちろん適用することができる。しかしながら、本発明の重要な実施態様に従って、プライマー組成物は高濃度の水溶性抽出物により特徴付けられるこれらの木材種、例えば、カラマツ、米スギ、ヨーロッパオーク及びアメリカンホワイトオークに使用されるべきである。より特に、高濃度の抽出アラビノガラクタンを有するリグノセルロース基材のための、及びさらに特に、カラマツ属(カラマツ)の木由来の基材を含んでなるリグノセルロース基材のためのプライマーとしてのプライマー組成物の利用が見出される。高濃度水溶性抽出物を含んでいても、含んでいなくてもよいカラマツと他の木材種との組み合わせは必要に応じて、所定のリグノセルロース複合材料物品の調製に用いられてよいが、カラマツ種単独で接着することが一般的に好ましい。
【0092】
ある実施形態において、接着される木材の空気乾燥密度は、0.4g/cm
3より高く、好ましくは0.40g/cm
3〜0.75g/cm
3である。
【0093】
高温で乾燥された又は過乾燥された長期間熟成した木材は、吸湿性が低下することがあり、また低下した湿潤性を示すことがあり:基材表面はこれらの処理により不活性化されることがあり、またその処理は木材抽出物を表面にもたらすことがあり、基材接着に悪影響を及ぼすことがある。それ故に、リグノセルロース基材について、低温乾燥技術、例えば150℃より低い温度での乾燥又は凍結乾燥が行われていることが好ましい。代わりに又は付加的に、リグノセルロース基材は、プライマー組成物の基材への適用前に前処理されてよく、いかなる不活性化された表面層をも取り除き及び/又は抽出物を取り除く。基材表面の湿潤性の改善において所定の前処理の有効性は材種に依るが:表面のハケ塗り及び/又は平削り;極性溶媒及び非極性溶媒での表面の処理;及び水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、硝酸及び過酸化水素での化学的処理を挙げることができる。
【0094】
<方法>
プライマー組成物は、例えば浸水、浸漬、ハケ塗り、ロール塗布、ドクターブレード塗布、印刷法、エアアトマイズスプレー、エアアシストスプレー、エアレススプレー、高容量低圧スプレー、エアアシストエアレススプレー及び高速回転ベル等の従来の適用方法により適用してよい。
【0095】
プライマー組成物の粘度は、ブルックフィールド粘度計を用いて25℃で測定したときに、0.005〜1Pa・s(50cps〜1000cps)であってよい。当業者により認識されるであろうように、種々の適用方法に適切な粘度は大きく変化する。いずれにしても、プライマー組成物は一般的に、5〜50g/m
2、好ましくは10〜30g/m
2、例えば20〜30g/m
2の量で、接着される表面に適用するべきである。
【0096】
プライマー組成物は、接着剤の表面への適用の前に、表面に浸透することを可能にするべきである。適切な浸透時間は、適用されるプライマー組成物の量及び密度、リグノセルロース材料の含水量及び形態に依るだろう。一般的に、標準条件(20℃、相対湿度65%)下で、20分以下、例えば0〜15分又は1〜10分の浸透時間が許容されるべきである。しかし、プライマーを適用してから4時間後、また最大24時間後でさえも、接着剤の適用に関して良好な接着結果が得られることは注目に値する。
【0097】
本発明に係る接着剤組成物は同様に、当該技術分野において既知である任意の従来の方法により適用することができる。例えば、接着剤組成物は、機械のロール塗布、手動のロール塗布又は手動のハケ塗りにより基材に適用することができる。いずれにしても、接着剤組成物は一般的に、50〜500g/m
2、好ましくは75〜300g/m
2、より好ましくは100〜250g/m
2の量で、接着される表面に適用するべきである。
【0098】
接着剤組成物及びプライマー組成物が接着される基材に適用した後、好ましくはポリイソシアネート接着剤とプライマー組成物で処理された領域との重なりを最大にする条件下で、これらの基材の表面を接着接触の状態におく。接着結合の形成は、圧力の基材への適用、例えば締付圧により容易となり得て、基材をより密着させる。圧力とは無関係に又は圧力と共に熱を適用してよく、ポリウレタン接着剤の硬化を早める。同じ目的で、接着される1つ以上の表面に湿気が加えられてよいことも想定される。
【0099】
最適な接着結合の達成はとりわけ、ポリウレタン接着剤の処方、接着される基材の性質、製造される複合材料の種類、並びに接着剤組成物とプライマー組成物両方の濃度及び配合に依存するだろう。当該技術分野における当業者は、熱、湿気及び圧力の組み合わせである適切な硬化条件を選択してよく、接着結合を最適化する。
【0100】
当該技術分野において既知であるように、基材は、照射により、又は熱風若しくは蒸気の流れを介して、オーブン又は加熱プレスで加熱してよく;これらの技術の組み合わせを用いてもよい。しかし、外部から加熱することなく、すなわち「常温硬化」により、接着結合が周囲温度で形成されることが好ましい。
【0101】
以下の実施例は本発明の例示であり、決して本発明の範囲を限定することを意図しない。
【実施例1】
【0102】
以下の材料を実施例に用いる。
【0103】
Tetraglyme(商標)は、Clariant Produkte (ドイツ) GmbH製の純粋な形態で入手可能なポリテトラエチレングリコールジメチルエーテルである。
【0104】
Triglyme(商標)は、Clariant Produkte (ドイツ) GmbH製の純粋な形態で入手可能なトリエチレングリコールジメチルエーテル(Mw178)である。
【0105】
Tween(登録商標)20は、100mgKOH/gの平均ヒドロキシル価と16.7の所定HLB(親水性−親油性バランス)とを有する天然脂肪酸(ラウリン酸)に基づくエトキシル化(20)ソルビタンエステルであり、クロ−ダインターナショナルから入手可能である。
【0106】
BYK(登録商標)348は、BYK Chemie GmbHから入手可能なポリエーテル変性シロキサン界面活性剤である。
【0107】
プライマーAは:100重量%のTetraglyme(商標)(無水、0.2重量%未満の水)からなる。
【0108】
プライマーBは:50重量%の水;及び50重量%のTetraglyme(商標)からなる。
【0109】
プライマーB’は:49.9重量%の水;0.1重量%のBYK(登録商標)348、及び50重量%のTetraglyme(商標)からなる。
【0110】
プライマーCは:49.9重量%の水;0.1重量%のBYK(登録商標)348、及び50重量%のTriglyme(商標)からなる。
【0111】
プライマーDは:49.9重量%の水;0.1重量%のBYK(登録商標)348;及びClariant Produkte(ドイツ)GmbHから入手可能な50重量%のポリ(エチレングリコール)ジメチルエーテル(Mw200、CASNo.24991−55−7)からなる。
【0112】
プライマーEは:84.9重量%の水;0.1重量%のBYK(登録商標)348;及びClariant Produkte(ドイツ)GmbHから入手可能な15重量%のポリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル(Mw750、CASNo.9004−74−4)からなる。
【0113】
プライマーFは:84.9重量%の水;0.1重量%のBYK(登録商標)348;及びClariant Produkte(ドイツ)GmbHから入手可能な15重量%のポリ(エチレングリコール)ジメチルエーテル(Mw500、CASNo.24991−55−7)からなる。
【0114】
プライマーGは:84.9重量%の水;0.1重量%のBYK(登録商標)348;及びClariant Produkte(ドイツ)GmbHから入手可能な15重量%のポリ(エチレングリコール)ジメチルエーテル(Mw1000、CASNo.24991−55−7)からなる。
【0115】
プライマーH(比較例):80重量%の水、及び20重量%のTween(商標登録)20。
【0116】
接着剤P1は、メチレンジイソシアネート(MDI)系プレポリマーを含み、前記接着剤組成物は、15重量%のNCO含有量;スピンドル6を用いて1分間の回転後、20℃で測定された25,000MPa・sのブルックフィールドの粘度;2.4の平均イソシアネート官能価数及び30分間の開放時間によって特徴付けられる。
【0117】
実施例1
ウッドリングを接線方向に切断し、寸法37×110×330mm(厚み×幅×長さ)を有する、構造用使用のためのカナダ規格CSA112.9により設定された要求を満たす3対の3層カラマツ板(特定重量0.51−0.63)を調製した。実験室でこれらのサンプルを従来法で平削りした。
【0118】
プライマーA及びプライマーBを、10g/m
2の塗布量で2対の合わせ面の接着面にそれぞれ適用した。残りの1対の合わせ面の接着面にはプライマーを適用しなかった。24時間後、合わせられる各対の1つの合わせ面に(すなわち適用された一方の側に)160g/m
2の量の接着剤P1を適用した。合わせ面を合わせ、その後組み立てたパーツを室温において3時間、液圧プレスを用いて0.8MPaでプレスした。
【0119】
合わせたサンプルを20℃かつ相対湿度65%において7日間保管して、十分な接着剤の硬化を確実にした。その後、各バリエーションの木材サンプルを75mmの試験片に切り分け、EN391サイクルB基準に基づいて、剥離耐久(%)試験を行った。各バリエーションについて4つの試験片を試験し、結果を平均した。これらの試験結果を以下の表1に示す。
【0120】
【表1】
【0121】
結果は本発明によるプライマー組成物を使用する利点を明瞭に示す。
【0122】
実施例2
ウッドリングを接線方向に切断し、寸法37×110×330mm(厚み×幅×長さ)を有する、構造用使用のためのカナダ規格CSA112.9により設定された要求を満たす3対の3層カラマツ板(特定重量0.60−0.70)を調製した。実験室でこれらのサンプルを従来法で平削りし、3時間以内に接着させた。
【0123】
プライマーB’及びプライマーHを20g/m
2の塗布量で2対の合わせ面の接着面にそれぞれ適用した。残りの1対の合わせ面の接着面にはプライマーを適用しなかった。10分のプライマー浸透時間を与えた後、合わせられる各対の1つの合わせ面に(すなわち適用された一方の側に)160g/m
2の量の接着剤P1を適用した。合わせ面を合わせ、その後組み立てたパーツを室温において3時間、液圧プレスを用いて0.8MPaでプレスした。
【0124】
合わせたサンプルを20℃かつ相対湿度65%において7日間保管して、十分な接着剤の硬化を確実にした。その後、各バリエーションの木材サンプルを75mmの試験片に切り分け、EN391サイクルB基準に基づいて、剥離耐久(%)試験を行った。各バリエーションについて4つの試験片を試験し、結果を平均した。これらの試験結果を以下の表2に示す。
【0125】
【表2】
【0126】
表2は、カラマツに対する1成分系PURの剥離耐久性において、プライマーB’を使用する利点を明瞭に示す。効力を低下させずに浸透時間を10分にまで短くすることができることも示す:これはプライマーの実用的又は工業的適用において重要であり得る。
【0127】
実施例3
実施例3は、低分子量グリムを含有するプライマーを用いる剥離耐久性における効果を実証する。
【0128】
ウッドリングを接線方向に切断し、寸法37×110×330mm(厚み×幅×長さ)を有する、構造用使用のためのカナダ規格CSA112.9により設定された要求を満たす4対の4層カラマツ板(特定重量0.55−0.64)を調製した。実験室でこれらのサンプルを従来法で平削りし、3時間以内に接着させた。
【0129】
プライマーB’、プライマーC及びプライマーDを20g/m
2の塗布量で3対の合わせ面の接着面にそれぞれ適用した。残りの1対の合わせ面の接着面にはプライマーを適用しなかった。10分のプライマー浸透時間を与えた後、次いで一方の側に160g/m
2の量の接着剤P1を適用した。合わせ面を合わせ、その後組み立てたパーツを室温において3時間、液圧プレスを用いて0.8MPaでプレスした。
【0130】
合わせたサンプルを20℃かつ相対湿度65%において7日間保管して、十分な接着剤の硬化を確実にした。その後、各バリエーションの木材サンプルを75mmの試験片に切り分け、EN391サイクルB基準に基づいて、剥離耐久(%)試験を行った。各バリエーションについて4つの試験片を試験し、結果を平均した。これらの試験結果を以下の表3に示す。
【0131】
【表3】
【0132】
実施例4
実施例4は、500〜1000の範囲の分子量(Mw)を有するグリムを含有するプライマーを用いる剥離耐久性における効果を実証する。例えば、低分子量テトラグリムを用いる他に例示のプライマーと比較すると、これらのグリムの低減された濃度が強調され得る。
【0133】
ウッドリングを接線方向に切断し、寸法35×160×330mm(厚み×幅×長さ)を有する4対の6層カラマツ板(特定重量0.44−0.55)を調製した。実験室でこれらのサンプルを従来法で平削りし、3時間以内に接着させた。
【0134】
プライマーE、プライマーF及びプライマーGを20g/m
2の塗布量で3対の合わせ面の接着面にそれぞれ適用した。残りの1対の合わせ面の接着面にはプライマーを適用しなかった。10分のプライマー浸透時間を与えた後、次いで一方の側に160g/m
2の量の接着剤P1を適用した。合わせ面を合わせ、その後組み立てたパーツを室温において3時間、液圧プレスを用いて0.8MPaでプレスした。
【0135】
合わせたサンプルを20℃かつ相対湿度65%において7日間保管して、十分な接着剤の硬化を確実にした。その後、各バリエーションの木材サンプルを75mmの試験片に切り分け、EN391サイクルB基準に基づいて、剥離耐久(%)試験を行った。各バリエーションについて4つの試験片を試験し、結果を平均した。これらの平均された試験結果を以下の表4に示す。
【0136】
【表4】