【実施例】
【0043】
本発明を、以下の実施例および図面と共により詳細に説明する。
【0044】
I.試験方法
粘度
ダム材料、フィル材料及びペースト材料についての粘度は、ブルックフィールドによって供給されるブルックフィールドモデルHBDV−III(CP−51)により、25℃、5rpmで測定した。
【0045】
T.I.(チキソトロピー指数)
ダム材料、フィル材料及びペースト材料のT.I.値は、以下の式に基づいて計算した。
TI=(0.5rpmでの粘度)/(5.0rpmでの粘度)
0.5rpm、5.0rpmの粘度は、ブルックフィールドによって供給されるブルックフィールドモデルHBDV−III(CP−51)により、25℃で測定した。
【0046】
DSC(示差走査熱量計)測定
ダム材料、フィル材料及びペースト材料の硬化プロファイルを、パーキンエルマー社により供給されるパーキンエルマー示差走査熱量計(DSC−7)を用いて、温度の関数として材料を通る熱流を測定することによって得た。温度範囲は、10℃/minの昇温速度で25℃から300℃である。
【0047】
ダイせん断強度
定義:均一の方向に、ダイと基板との間の結合を破壊するのに必要な接線方向の力(tangential force)の値。
ダイせん断試験機は、Dage社によって供給される、Dage社製4000である。
【0048】
BLT(Bond Line Thickness;ボンドラインの厚さ)
定義:粘着剤層の厚さ及びニコン顕微鏡MM−40(ニコン社により供給)によって測定した。
【0049】
ストリップ反り(μmで表現)
対象物を水平面上に配置し、反りの最高点と最低点との間の差を、Cyber scan laser profilometer VANTAGE−2(Cyber Technologies製)により決定するとによって、ストリップ反りを測定した。
【0050】
II.材料
・SR495B:イソデシルアクリレートモノマー、Sartomerが供給
・SR610:ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、Sartomerが供給
・RAS−1:官能化エポキシ樹脂、ヘンケルが供給
・EPON Resin 58005:CTBN変性エポキシ樹脂、Hexionが供給
・Art Resin UN9200:ポリウレタン変性アクリレート、根上化学が供給
・SRM−1: BMI樹脂、ヘンケルが供給
・Ricon 131 MA10:無水マレイン酸ブタジエン共重合体、Sartomerが供給
・Catalyst 313B:N,N’−(4−メチル−1,3−フェニレン)ジ(ピロリジン−1−カルボキサミド)、エポキシ硬化剤、ヘンケル社供給
・ジクミルパーオキサイド:過酸化物、Akzo Nobelが供給
・Z6040: 3(−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、Dow Corning供給
・Z6030:トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、Dow Corning供給
・BYK−333: シリコン系ポリマー、BYK Chemie供給
・Fomblin T4:2−オキシランメタノールの、還元重合酸化テトラフルオロエチレンの還元メチルエステルとのポリマー(2−Oxiranemethanol, polymers with reduced Me esters of reduced polymd. oxidized tetrafluoroethylene)、Solvay Solexisが供給
・Dow Corning Antifoam 1400:シリコーン化合物、Dow Corningが供給
・AO−802:アルミナ、Admatechsが供給
・XG−1270:シリカ、Gelestが供給
・SE6100:球状シリカ、平均粒子サイズ1.8μm、Admatechs company limitedが供給
・SE1050:球状シリカ、平均粒子サイズ0.8μm、Admatechs company limitedが供給
【0051】
<実施例1>
フィル材料1の調製
8.81gのSR495B(ビニル樹脂)、8.33gのRAS−1(エポキシ樹脂)、25.60gのSRM−1(BMI樹脂)、5.12gのRicon 131 MA10(ビニル樹脂)、0.48gのZ6040(添加剤)、0.36gのZ6030(添加剤)、0.36gのBYK−333(添加剤)、0.24gのCatalyst 313B(エポキシ硬化剤)、0.71gのジクミルパーオキサイド(硬化剤)および50.00gのAO−802(充填剤)を一緒に混合し、フィル材料を調製した。フィル材料の5rpmでの粘度は、3992mPa・sであり、0.5rpmでの粘度は4643mPa・sであり、従ってフィル材料のT.I.は1.163であった。フィル材料1のDSCピークに関連するデータを表1に報告する。
【0052】
<実施例2>
フィル材料2の調製
フィル材料2中の各成分の量を表1に示したデータのとおりに変更したこと以外は、フィル材料1と同様にしてフィル材料2を調製した。
【0053】
<実施例3>
フィル材料3の調製
フィル材料3中の各成分の量を表1に示したデータのとおりに変更したこと以外は、フィル材料1と同様にしてフィル材料3を調製した。
【0054】
【表1】
【0055】
<実施例4>
ダム材料4の調製
7.64gのSR610(ビニル樹脂)、6.11gのEPON Resin58005(エポキシ樹脂)、1.53gのArt Resin UN9200(ビニル樹脂)、23.45gのSRM−1(BMI樹脂)、9.27gのRicon 131 MA10(ビニル樹脂)、0.24gのCatalyst 313B(エポキシ硬化剤)、0.22gのジクミルパーオキサイド(硬化剤)、0.33gのDow Corning Antifoam 1400(添加剤)、0.44gのZ6040(添加剤)、0.33gのZ6030(添加剤)および50.70gのXG−1270(充填剤)を一緒に混合し、ダム材料4を調製した。ダム材料の5rpmでの粘度は、44370mPa・sであり、0.5rpmでの粘度は164400mPa・sであり、従ってダム材料4のT.I.は3.705である。ダム材料4のDSCピークに関連するデータを表2に報告する。
【0056】
<実施例5>
ダム材料5の調製
ダム材料5中の各成分の量を表2に示したデータのとおりに変更したこと以外は、ダム材料4と同様にしてダム材料5を調製した。
【0057】
<実施例6>
ダム材料6の調製
ダム材料6中の各成分の量を表2に示したデータのとおりに変更したこと以外は、ダム材料4と同様にしてダム材料6を調製した。
【0058】
【表2】
【0059】
<実施例7>
ペースト材料7の調製
5.46gのSR 495B(ビニル樹脂)、6.12gのEPON Resin 58005(エポキシ樹脂)、1.95gのArt Resin UN 9200(ビニル樹脂)、23.48gのSRM−1(BMI樹脂)、10.92gのRicon 131 MA10(ビニル樹脂)、0.27gのFomblin T4(添加剤)、0.44gのZ6040(添加剤)、0.33gのZ6030(添加剤)、0.24gのCatalyst 313B(エポキシ硬化剤)、0.44gのジクミルパーオキサイド(硬化剤)、および43.80gのSE 6100(充填剤)および6.55gのAO−802(充填剤)を一緒に混合し、ペースト材料7を調製した。ペースト材料の5rpmでの粘度は、21990mPa・sであり、0.5rpmでの粘度は45420mPa・sであり、従ってペースト材料4のT.I.は2.065である。ペースト材料7のDSCピークに関連するデータを表3に報告する。
【0060】
<実施例8>
ペースト材料8の調製
ペースト材料8中の各成分の量を表3に示したデータのとおりに変更したこと以外は、ペースト材料7と同様にしてペースト材料8を調製した。
【0061】
【表3】
【0062】
<性能実施例9>
D−Fプロセスに従って形成されたダイボンディング
13グループのダイボンディング試験を、D−Fプロセスに従って行った。グループ#1を例にとると、ダム材料4を最初に、コントローラダイの周りにディスペンスした。ここで、その粘度(44370mPa・s)は、標準的なダイボンディングの粘度(約10000mPa・s)よりも高く、したがってその元の形状を保つことができる。ダム材料用のノズル径(内径)は、フレーム状ディスペンスパターンで0.30mmであった。ダム材料をディスペンスするため、空気圧は0.34MPa、ディスペンス速度は9mm/s、ディスペンス高さは0.08mmであった。ステージ温度は25℃であった。フィル材料は非常に低い粘度およびT.I.を有し、BGA基板で非常に良好な流動性を持つことができる。フィル材料用のノズル径は、迷路v2状ディスペンスパターンで、0.50mmであった。フィル材料をディスペンスするため、空気圧は0.12MPa、ディスペンス速度は37.5mm/s、ディスペンス高さは0.14mmであった。流動性とカバレッジを向上させるために、基板をわずかに加熱した。ステージ温度は65℃であった。フィル材料が充填され完全なカバレッジを得た後、粘着性表面を形成するためにフィル材料を予備加熱した。そして、メモリダイをその上に付着させた。接着力は200gであり、接着時間は1000msであった。部分的に硬化した材料を、その後、完全硬化のためにオーブンに入れた。硬化後、ダイボンドの結果を表4に示す。即ち、BLTは80μmであり、室温での接着性は4.3kgf/mm
2であり、ストリップ反りは50μmであった。他の12のグループについて、対応するプロセスパラメータを表4に示したとおりに変更した以外は、グループ#1の場合と同じ方法で実施した。
【0063】
【表4】
【0064】
表4から、D−Fプロセスの性能が、BLT、室温での接着性及びストリップ反りの点で優れていることが明らかにわかる。本発明のD−Fプロセスによって、BLTを、80〜200μmの範囲内などに、制御可能であることが証明される。本発明のD−Fプロセスに従うと、室温で密着性が3.9kgf/mm
2以上であり、それは従来の平均値の約2.5kgf/mm
2よりもはるかに高い。ストリップ反りは、100μmよりずっと小さいので、さらに良好であり、それは、一方で本発明の方法に従えば、反りが肉眼では見えないことを意味し、他方で、従来技術の平均値100μm超よりも良好であることを意味する。
【0065】
<性能実施例10>
印刷プロセスに従って形成されたダイボンディング
8グループのダイボンディング試験を、印刷プロセスに従って行った。グループ#1を例に取ると、125μmの厚さと特定の開口部のセットとを有する印刷スチールステンシルを、基板上のコントローラダイを覆うために使用し、次にペースト材料7を、開口部に印刷してコントロールダイを被覆した。スキージ圧は1kg、スキージ速度10mm/secおよび分離速度を0.5mm/secであった。ペースト材料を部分的に硬化させた。次いで、メモリダイをペースト材料に付着させた。接着力は200g、接着時間は1000msであった。部分的に硬化した材料を、その後、完全硬化のためにオーブンに入れた。硬化後、ダイボンドの結果を表5に示す。即ち、BLTは100μm、室温での接着性は4.3kgf/mm
2であり、ストリップ反りは50μmであった。他の7グループについて、対応するプロセスパラメータを表5に示したとおりに変更した以外は、グループ#1の場合と同じ方法で実施した。
【0066】
【表5】
【0067】
表5から、印刷プロセスの性能が、BLT、室温での接着性及びストリップ反りの点で優れていることが明らかにわかる。本発明の印刷プロセスによって、BLTを、80〜100μmの範囲内などに、制御可能であることが証明される。本発明の印刷プロセスに従うと、室温で密着性が4.06kgf/mm
2以上であり、それは従来の平均値の約2.5kgf/mm
2よりもはるかに高い。ストリップ反りは、100μmよりずっと小さいので、さらに良好であり、それは、一方で本発明の方法に従えば、反りが肉眼では見えないことを意味し、他方で、従来技術の平均値100μm超よりも良好であることを意味する。
【0068】
本発明を、様々な実施形態を参照しながら、明細書に記載しそして図面で図示して開示したが、特許請求の範囲で定義された開示の発明の範囲を逸脱することなく、様々な変更がなされてもよいこと、それらの要素を等価物で置換してもよいことが当業者に理解される。さらに、種々の実施形態間の特徴、要素及び/又は機能の混合及び整合は、本願において明示的に意図されており、別段の記載がない限り、当業者はこの開示から、ある実施形態における特徴、要素及び/又は機能が、他の実施形態に適切に組み込まれることが理解できる。さらに、特定の状況又は材料を、本開示の教示に、その本質的な範囲から逸脱することなく、適合させるように、多くの改変がなされてよい。従って、本開示は、実施するための最良の形態として図面により説明し明細書に記載した特定の実施形態に限定されることを意図するものではなく、本開示が、上記の記載および添付の特許請求の範囲内にある任意の実施形態を包含することを意図するものである。