(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
レーザーマーキングの用途、レーザー溶接の用途、塗料中、塗工液中、粉体塗料中、印刷用インク中、プラスチック材料中、調製物中、顆粒中における、添加剤としての、請求項1〜9のいずれか一項に記載の顔料の使用。
【背景技術】
【0002】
製品の識別用標識は、事実上、産業の全ての分野において、増々、重要となってきている。例えば、プラスチック製部品または柔軟なプラスチック製フィルムに、しばしば、製造日、満了日、バーコード、会社のロゴ、シリアル番号等を付記する必要がある。現状では、これらの印字は、通常、印刷、ホット・エンボス加工、その他のエンボス加工法、または、ラベル貼付等の従来手法を用いて実施されている。しかし、特に、プラスチック材料の場合には、レーザーを使用する、非接触で、非常に高速かつ適応性の高い印字方法に対する重要性が増している。この技術によって、例えば、バーコード等の図形印刷を、高速で、非平坦表面に対しても、付することが可能となる。印字は、プラスチック製部品自体に位置するため、長期間にわたり、耐摩耗性である。
【0003】
一般に、レーザー光により照射すると、ポリマー等のいくつかの材料、例えば、プラスチック材料および樹脂材料は、レーザー光からのエネルギーを吸収して、このエネルギーを熱に変換することができ、その際、該材料中において、変色反応(=印字)を引き起こすことができることが知られている。レーザー光の吸収に関して、ポリマーの固有の能力が不十分である場合には、レーザー光吸収剤を使用して、レーザー光の吸収を改善する。
【0004】
多くのプラスチック材料、例えば、ポリオレフィンおよびポリスチレンは、これまで、レーザーを使用して印字することが、困難あるいは不可能ですらあった。10.6μm域に赤外光を発するCO
2レーザーは、高出力を使用する場合でも、ポリオレフィンまたはポリスチレン上に、非常に弱い、実質的に判読不能な印字を引き起こすのみである。ポリウレタンエラストマーおよびポリエーテル−エステルエラストマーの場合、Nd−YAGレーザーとは、なんらの相互作用もないが、CO
2レーザーを使用する際には、エンボス加工が生じる。
【0005】
プラスチック材料は、いずれのレーザー光も反射または透過させてはならないため、なんらの相互作用も生じない。しかしながら、その場合には、プラスチック材料は蒸発し、浅い凹凸形状しか残らないため、過度に強い吸収を起こさせてもならない。レーザー光線の吸収、したがって、該材料との相互作用は、組成物の化学的構造、および、使用されるレーザー波長に依存している。プラスチック材料をレーザー印字可能とするために、吸収剤等の適切な添加剤を添加することが、しばしば必要となる。
【0006】
効を奏する吸収剤は、ごく淡い本来の色を有するべきであり、および/または非常に少ない量で使用されるべきである。従来技術は、コントラスト剤である三酸化アンチモンが、そのような基準を満足することを開示している。しかし、三酸化アンチモンは、毒性であり、また、発癌性であると疑われており、したがって、アンチモンを含まないレーザー印字添加剤が望まれている。
【0007】
例えば、特許出願:WO2011/083100A1、WO2011/050934A2、および、WO2006/065611A1に記載されるように、アンチモンを含まないレーザー印字添加剤は、文献から公知である。EP1190988B1は、ビスマスおよび少なくとも一つの付加的な金属を含有する、レーザー印字可能な化合物を開示している。US2007/029294A1は、式:MOClの化合物(式中、Mは、As、Sb、またはBiのいずれかである)を含み、かつ、BiONO
3、Bi
2O
2CO
3、BiOOH、BiOF、BiOBr、Bi
2O
3またはBiOC
3H
5O
7を含むポリマーのレーザー印字に向けたものである。
【0008】
例えば、WO2011/050934A2は、Bi
2O
3と官能基を有するポリマーの押し出し成形による、Bi
2O
3の安定化を開示しており、その結果、例えば、ポリエステル、ポリアミド、または、ポリカーボネート等の、220℃より高い融点を有するポリマー(「母材」)中に、Bi
2O
3を含有する添加剤を導入することを可能としている。この手法の欠点は、調製されたビスマス添加剤が、任意のポリマー母材に対して汎用することができないことである。すなわち、例えば、ポリエチレンやポリアミド等、様々なポリマーに対して非混和性である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
したがって、本発明は、式Iの顔料に関する。
mBi
2O
3・nBiOX・oBi
aTi
bO
c・pTi
xO
y I
式中、
Xは、ハロゲンを表し、
aは、1〜15を表し、
bは、1〜5を表し、
cは、1〜15を表し、
mは、0〜5を表し、
nは、1〜5を表し、
oは、1〜5を表し、
pは、0〜5を表し、
xは、1〜8を表し、
yは、1〜10を表す。
【0014】
本発明はまた、本発明に係る顔料を調製する方法、ならびに、特には、塗料中、塗工液中、プラスチック材料中、印刷用インク中、および、化粧品製剤中における、添加剤としての、該顔料の使用に関する。
【0015】
適する、下地基材それ自体は、例えば、Bi
2O
3、BiOCl、Bi(NO
3)
3、BiONO
3、Bi
2O
2CO
3、BiOOH、BiOF、BiOBr、BiOC
3H
5O
7、Bi(C
7H
5O
2)
3、BiPO
4、Bi
2(SO
4)
3、Bi
aM
bO
c(式中、M=Zn、Ti、Fe、Cu、Al、Zr、P、Sn、Sr、Si、Y、Nb、La、Ta、Pr、Ca、Mg、Mo、W、Sb、Cr、Ba、Ce、そして、a=0.3〜70、b=0.05〜8、かつ、c=1〜100である)等の、当業者に既知の、全ての被覆されていないビスマス化合物である。特に好ましい下地基材は、Bi
2O
3、さらにまた、BiOCl、BiOOH、BiOF、および、BiOBrである。とりわけ好ましい基材は、Bi
2O
3である。
【0016】
下地基材のサイズは、本質的には重要ではなく、特定の応用に適合させることができる。通常、ビスマス化合物は粒子形状であり、0.001〜100μm、好ましくは、0.005〜50μm、そして、特には、0.01〜10μmの粒径を有する。
【0017】
その粒子形状にかかわらず、当業者に既知である全てのビスマス化合物を用いることができる。該基材の形状は重要ではなく、例えば、球形、卵形、桿状、片状または無定形であることができる。
【0018】
Bi
2O
3は、例えば、5Nプラスリューベック社,ドイツ(従前の、MCP−HEK社)、Poch S.A.,ポーランド、または、メルクミリポア社,ドイツから市販されている。
【0019】
TiO
2による下地基材の被覆は、好ましくは、湿式の化学的方法により行われ、その際、真珠光沢顔料の調製用に開発された、湿式の化学的方法を使用することができる。さらにまた、TiO
2被覆は、流動床反応器中での気相被覆によって実施することができ、その際、例えば、EP0045851A1、および、EP0106235A1において提案されている真珠光沢顔料を調製する方法を、対応させて使用することができる。
【0020】
二酸化チタンの塗布としては、US3,553,001に記載される手法が、好適に用いられる。この手法では、好ましくは、無機チタン塩の水溶液を、約50〜100℃、特には、70〜80℃に加熱された、基材の懸濁液中にゆっくりと添加し、その際、塩基の流量を調節した同時添加により、pHを、0.5〜5、特には、約1.5〜2.5に、一定に保つと、その結果、対応する水和物が、二次凝析を起こすことなく、基材上に直接析出する。
【0021】
被覆された基材は、引き続き、分取され、洗浄され、そして、50〜150℃において、一般に、6〜18時間乾燥され、さらに、300〜815℃、好ましくは、500〜800℃において、一般に、15分間〜2時間焼成される。
【0022】
TiO
2の比率は、基材を基準として、好ましくは、0.1〜200%、特には、5〜100%、とりわけ好ましくは、10〜50%である。用いる基材の形状およびサイズに依存するが、TiO
2層は、好ましくは、1〜500nm、特に好ましくは、1〜300nmの層厚を有する。
【0023】
本発明に係る顔料には、任意に、例えば、色彩効果を達成するため、一つまたはそれ以上の付加的な層を設けることもできる。
【0024】
前記ビスマス化合物を安定化するための重要な因子は、TiO
2による被覆後の焼成プロセスである。焼成温度は、好ましくは、≧300℃である。焼成プロセス後、最終的な顔料は、一つまたはそれ以上の混合相を有している。
【0025】
本発明に係る、特に好ましい顔料は、下記ビスマス化合物の群から選択される、一つまたはそれ以上の化合物を含有する。
− Bi
2Ti
4O
11
− Bi
2Ti
2O
7
− Bi
1.74Ti
2O
6.62
【0026】
とりわけ好ましい顔料は、下記混合相を含有する。
− BiOCl、Bi
2Ti
4O
11、TiO
2 または
− BiOCl、Bi
2Ti
2O
7 または
− BiOCl、Bi
1.74Ti
2O
6.62 または
− BiOCl、Bi
2Ti
4O
11
【0027】
本発明に係る顔料は、粒子形状であり、好ましくは、0.01〜100.5μmの粒径を有し、好ましくは、0.02〜50μm、そして、特には、0.01〜10μmである。
【0028】
本発明に係る顔料は、粒子形状であり、全ての既知の、エフェクト顔料、従来型の光吸収性顔料、および/または機能性顔料との混合物として、全ての既知の塗工用媒体中で用いることができ、そして、該混合物の組成に依存して、例えば、プラスチック部材のレーザー印字において、稀有な色彩および塗工効果をもたらす。
【0029】
本発明に係る顔料は、例えば、自動車用塗料および工業用塗料等の、溶剤系さらには水系のいずれの、塗料、ならびに、粉体塗料中、プラスチック材料中、印刷用インク中、セラミック釉薬中、または、化粧品製剤中において、使用することができる。それらは、また、例えば、印刷用インク中、または、プラスチック材料中で使用するために、調製物(preparations:pearlets、ペースト)の形状で利用することも可能である。
【0030】
特に好ましくは、使用されるプラスチック材料と少なくとも同等、好ましくは、>220℃の融点を有する、本発明に係る顔料のプラスチック材料中での使用に供される。
【0031】
そして、本発明はまた、本発明に係る顔料と母材ポリマーを含む、レーザー印字可能な組成物にも関する。該顔料は、印字すべき母材ポリマーを基準として、好ましくは、0.05〜5質量%、特には、0.1〜2質量%、とりわけ好ましくは、0.2〜1質量%の濃度で用いられる。
【0032】
例えば、プラスチック材料、結合剤、樹脂材料等の、全ての既知の母材ポリマーを、レーザー印字およびレーザー溶接への応用のために用いることができる。適切なプラスチック材料は、例えば、以下に例示される熱可塑性材料および熱硬化性材料である:ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリエステル、ポリエーテル、ポリフェニレンエーテル、ポリアクリレート、ポリウレタン(PU)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ酢酸ビニル(PVAC)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、アクリロニトリル−スチレン−アクリレート(ASA)、ABSグラフトポリマー、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性エラストマー(TPE)、エポキシ樹脂(EP)、シリコーン樹脂(SI)、不飽和ポリエステル樹脂(UP)、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂(PF)、ユリア樹脂(UF)、メラミン樹脂(MF)、ならびに、それらの共重合体、および/またはそれらの混合物。前記ポリマーは、共重合体またはブロック共重合体等でもよい。さらに、標示される母材ポリマーは、従来の適合する添加剤を含有していてもよい。
【0033】
前記プラスチック材料は、適切なレーザー照射を利用して、以下のように、印字または溶接される。
【0034】
レーザー印字方法においては、パルスレーザービーム、好ましくは、Nd:YAGレーザーの光路中に、試料を配置する。例えば、マスク技術を使用して、CO
2レーザーを用いて印字を実施することもできる。使用される微粒子の高い光吸収領域中に、その波長を有する、その他の従来型のレーザーを使用して、所望の結果を達成することもできる。得られる印字は、照射時間(または、パルスレーザーの場合、パルス数)、および、該レーザーにより放射される光強度により、さらにまた、使用されるポリマー系によって決定される。使用されるレーザーの光強度は、具体的な応用に依存しており、具体的な場合において、当業者は、容易に決定することができる。
【0035】
レーザー印字の場合、使用されるレーザーは、通常、157nm〜10.6μmの範囲、好ましくは、532nm〜10.6μmの範囲の波長を有する。名前を挙げることができる例は、パルス・UVレーザーは勿論のこと、CO
2レーザー(10.6μm)およびNd:YAGレーザー(1064nm、532nmまたは355nm)である。エキシマレーザーは、下記の波長を有している:
F
2エキシマレーザー:157nm、
ArFエキシマレーザー:193nm、
KrClエキシマレーザー:222nm、
KrFエキシマレーザー:248nm、
XeClエキシマレーザー:308nm、
XeFエキシマレーザー:351nm、および
周波数逓倍Nd:YAGレーザー:波長355nm(周波数3倍)または265nm(周波数4倍)。
特に好ましくは、Nd:YAGレーザー(1064nmまたは532nm)およびCO
2レーザーの使用である。使用されるレーザーのエネルギー密度は、通常、0.3mJ/cm
2〜50J/cm
2、好ましくは、0.3mJ/cm
2〜10J/cm
2の範囲内である。
【0036】
パルスレーザーを使用する際には、パルス周波数は、通常、1〜150kHzの範囲内である。本発明に係るプロセスにおいて使用することができる、対応するレーザーは、市販されている。
【0037】
レーザーを使用する印字は、CO
2レーザー(10.6μm)またはパルスレーザー、好ましくは、Nd:YAGもしくはNd:YVO
4レーザーの光路中に、物品を導入することにより実施することが好ましい。
【0038】
本発明に係る顔料は、母材ポリマーへの印字または標識のために、これまで従来の印刷プロセスが使用されてきた、所望の領域のいずれにも使用することができる。実質的に、どのようなプラスチック製物品も、レーザー標識可能な、または、レーザー印字可能な形態とすることができる。プラスチック材料等の母材ポリマーからなる、いずれの種類の物品にも、機能情報、バーコード、ロゴ、図形、画像、および、識別コードを設けることができる。加えて、例えば、以下の用途に使用することができる:
−チューブ、組織サンプルまたは流体用容器、シリンジ、ポット、カバー、カテーテル等の医療器具中において、
−例えば、液体容器、配線、部品等の用途で、自動車の分野において、
−例えば、GSM(登録商標)端末の部品、キーボード、マイクロスイッチ等の用途で、電気通信および電気・電子(E&E)の分野において、
−例えば、クレジットカード、識別カード、動物用識別タグ、ラベル、警備用ストリップ等の、セキュリティおよび識別用塗布物中において、
−例えば、コルク製品、ゴルフボール、宣伝用物品上の装飾、ロゴ等の、マーケティング用の塗布物中において、
−例えば、単層および多層フィルム、ボトル、ボトル用スクリューキャップ、保安用包装、および合成コルクをはじめとする、蓋および閉包等のパッケージ中において。
【0039】
例えば、本発明に係る顔料を含有するプラスチック材料から作製される成形物は、電気工業、エレクトロニクス工業、または、自動車工業において、使用することができる。レーザー光を利用することで、例えば、ケーブル、電線、装飾用ストリップ、または、加熱、換気もしくは冷却領域中の機能部品、または、スイッチ、プラグ、レバーもしくはハンドル上等の、アクセスすることが困難な箇所にも、識別用表示または印字表示を形成することが可能である。式Iの顔料を含有する本発明に係るポリマー系は、食品もしくは飲料品の分野、または、玩具の分野におけるパッケージにも使用することができる。該パッケージ上の印字は、拭き取りおよびかき取りに対して耐性を有しており、下流の滅菌プロセスの間においても耐性であり、そして、印字プロセスの間、衛生学的に清浄な状態で用いることができる。再利用可能な系のパッケージに対して、耐久性を有する状態で、完全なラベルの模様を塗布することができる。レーザー印字のさらなる重要な応用分野は、畜牛用耳標、または、単に耳標として知られている、動物用の個体識別用標識の作製を目的とする、プラスチック材料の印字である。動物に個別的に付随している情報は、バーコードシステムを介して記憶される。それを、スキャナーを利用して、必要な時に、再び呼び出すことができる。いくつかの耳標は、長年にわたり動物に付されたままとなるため、印字は、極めて耐性でなければならない。
【0040】
本発明に係る顔料を用いることにより、レーザー標識において、ポリマーまたはプラスチック材料中での濃い印字が達成され、その際、該印字は、高い輪郭の鮮明さと共に、高いコントラストを有する。
【0041】
本発明に係る顔料を用いたレーザー溶接は、従来の接合方法が用いられてきた、かつ、レーザー透過性ポリマーまたは浅色のために、これまでは溶接プロセスを用いることができなかった、全ての領域において実施することができる。すなわち、レーザー透過性ポリマーに対する該溶接プロセスは、例えば、プラスチック製部品の高周波溶接、振動溶接、超音波溶接、熱風溶接、あるいは、また、接着剤接合等の、従来の接合方法に対する代替の意義がある。
【0042】
以下の例は、本発明を限定するものではなく、本発明を説明することを意図している。パーセント表示は、別段の表示がない限り、質量に関する。
【実施例】
【0043】
[例1](基材を基準として、100%のTiO
2;焼成温度:750℃)
100gのBi
2O
3(酸化ビスマス、バリスタ・グレード 微細;平均粒径:2μm、5Nプラスリューベック社)を、2lの脱イオン水中で、攪拌しつつ、75℃に加熱する。
【0044】
その後、該懸濁液のpHを、25%塩酸を用いて、2.2に調整する。そして、32%四塩化チタン溶液(TiCl
4溶液400g;w=60%を、350gの脱イオン水中に溶解している)を、流量を調整して添加する。その間、同時に、32%水酸化ナトリウム溶液を滴下混合して、pHを一定に保つ。
【0045】
添加が完了した後、混合物をさらに0.5時間攪拌する。生成物を濾別し、洗浄し、12時間乾燥し、750℃で0.5時間焼成し、100μm篩による、ふるい分けを行い、そして、XRDを用いて、調査する。
【0046】
この手法で得られる、僅かに黄色がかった材料を、押し出し成形機を用いて、0.25%の比率で、ポリアミド中に混入させる。次いで、該混合物を、射出成形装置内で成形し、試験平板を得る。Nd:YAGレーザー(トルンプ社:書き込み速度:500〜5000mm/s、パルス周波数:20〜100kHz)を用いて、これらの平板上に、それにより、レーザーのエネルギー、レーザービームの走査速度およびレーザーパルスの周波数に関する、様々なレーザーの設定の広い幅を表示することができる、テスト・グリッドを印字する。例1の添加剤は、実質的に、異なるレーザーのパラメータの全範囲にわたり、優れたコントラストで、一様な黒色標示を呈する。
【0047】
[比較例1](ポリアミド中へのBi
2O
3の混入)
Bi
2O
3(酸化ビスマス、バリスタ・グレード 微細;平均粒径:2μm、5Nプラスリューベック社)を、押し出し成形機を用いて、1%の比率でポリアミド中に混入させる。押し出し成形機中での加工時においてすら、分解反応が起こり、黒ずんだ色〜黒色を呈する生成物が形成される。
【0048】
次いで、該「混合物」を、射出成形装置内で成形し、暗褐色〜黒色の試験平板を得る。Nd:YAGレーザー(トルンプ社:書き込み速度:500〜5000mm/s、パルス周波数:20〜100kHz)を用いて、これらの平板上に、テスト・グリッドを印字する。暗黒の背景上の黒ずんだ印字のコントラストは、実質的に、目視では識別不能である。
【0049】
[例2](基材を基準として、12.5%のTiO
2;焼成温度:600℃)
100gのBi
2O
3(酸化ビスマス、バリスタ・グレード 微細;平均粒径:2μm、5Nプラスリューベック社)を、2lの脱イオン水中で、攪拌しつつ、75℃に加熱する。
【0050】
その後、該懸濁液のpHを、25%塩酸を用いて、2.2に調整する。そして、32%四塩化チタン溶液(TiCl
4溶液50g;w=60%を、44gの脱イオン水中に溶解している)を、流量を調整して添加する。その間、同時に、32%水酸化ナトリウム溶液を滴下混合して、pHを一定に保つ。
【0051】
添加が完了した後、混合物をさらに0.5時間攪拌する。生成物を、濾別し、洗浄し、15時間乾燥し、600℃で0.5時間焼成し、100μm篩による、ふるい分けを行い、そして、XRDを用いて、調査する。
【0052】
この手法で得られる、僅かに黄色がかった材料を、押し出し成形機を用いて、0.5%の比率で、ポリアミド中に混入させる。次いで、該混合物を、射出成形装置内で成形し、試験平板を得る。Nd:YAGレーザー(トルンプ社:書き込み速度:500〜5000mm/s、パルス周波数:20〜100kHz)を用いて、これらの平板上に、それにより、レーザーのエネルギー、レーザービームの走査速度およびレーザーパルスの周波数に関する、様々なレーザーの設定の広い幅を表示することができる、テスト・グリッドを印字する。例2の添加剤は、実質的に、異なるレーザーのパラメータの全範囲にわたり、優れたコントラストで、一様な黒色標示を呈する。
【0053】
[例3](基材を基準として、6.25%のTiO
2;焼成温度:750℃)
100gのBi
2O
3(酸化ビスマス、バリスタ・グレード 微細;平均粒径:2μm、5Nプラスリューベック社)を、2lの脱イオン水中で、攪拌しつつ、75℃に加熱する。
【0054】
その後、該懸濁液のpHを、25%塩酸を用いて、2.2に調整する。そして、32%四塩化チタン溶液(TiCl
4溶液25g;w=60%を、22gの脱イオン水中に溶解している)を、流量を調整して添加する、その間、同時に、32%水酸化ナトリウム溶液を滴下混合して、pHを一定に保つ。
【0055】
添加が完了した後、混合物をさらに0.5時間攪拌する。生成物を、濾別し、洗浄し、12時間乾燥し、750℃で2時間焼成し、100μm篩による、ふるい分けを行い、そして、XRDを用いて、調査する。
【0056】
この手法で得られる、僅かに黄色がかった材料を、押し出し成形機を用いて、1.0%の比率で、ポリアミド中に混入させる。次いで、該混合物を、射出成形装置内で成形し、試験平板を得る。Nd:YAGレーザー(トルンプ社:書き込み速度:500〜5000mm/s、パルス周波数:20〜100kHz)を用いて、これらの平板上に、それにより、レーザーのエネルギー、レーザービームの走査速度およびレーザーパルスの周波数に関する、様々なレーザーの設定の広い幅を表示することができる、テスト・グリッドを印字する。例3の添加剤は、実質的に、異なるレーザーのパラメータの全範囲にわたり、優れたコントラストで、一様な黒色標示を呈する。
【0057】
[例4](基材を基準として、6.25%のTiO
2;焼成温度:600℃)
100gのBi
2O
3(酸化ビスマス、バリスタ・グレード 微細;平均粒径:2μm、5Nプラスリューベック社)を、2lの脱イオン水中で、攪拌しつつ、75℃に加熱する。
【0058】
その後、該懸濁液のpHを、25%塩酸を用いて、2.2に調整する。そして、32%四塩化チタン溶液(TiCl
4溶液25g;w=60%を、22gの脱イオン水中に溶解している)を、流量を調整して添加する、その間、同時に、32%水酸化ナトリウム溶液を滴下混合して、pHを一定に保つ。
【0059】
添加が完了した後、混合物をさらに0.5時間攪拌する。生成物を、濾別し、洗浄し、12時間乾燥し、600℃で1時間焼成し、100μm篩による、ふるい分けを行い、そして、XRDを用いて、調査する。
【0060】
この手法で得られる、僅かに黄色がかった材料を、押し出し成形機を用いて、1.0%の比率で、ポリアミド中に混入させる。次いで、該混合物を、射出成形装置内で成形し、試験平板を得る。Nd:YVO
4レーザー(トルンプ社:書き込み速度:4000〜10000mm/s、パルス周波数:20〜60kHz)を用いて、これらの平板上に、それにより、レーザーのエネルギー、レーザービームの走査速度およびレーザーパルスの周波数に関する、様々なレーザーの設定の広い幅を表示することができる、テスト・グリッドを印字する。例4の添加剤は、実質的に、異なるレーザーのパラメータの全範囲にわたり、優れたコントラストで、一様な黒色標示を呈する。
【0061】
[例5](基材を基準として、50%のTiO
2;焼成温度:750℃)
100gのBi
2O
3(酸化ビスマス、バリスタ・グレード 微細;平均粒径:2μm、5Nプラスリューベック社)を、2lの脱イオン水中で、攪拌しつつ、75℃に加熱する。
【0062】
その後、該懸濁液のpHを、25%塩酸を用いて、2.2に調整する。そして、32%四塩化チタン溶液(TiCl
4溶液200g;w=60%を、175gの脱イオン水中に溶解している)を、流量を調整して添加する、その間、同時に、32%水酸化ナトリウム溶液を滴下混合して、pHを一定に保つ。
【0063】
添加が完了した後、混合物をさらに0.5時間攪拌する。生成物を、濾別し、洗浄し、12時間乾燥し、750℃で1時間焼成し、100μm篩による、ふるい分けを行い、そして、XRDを用いて、調査する。
【0064】
この手法で得られる、僅かに黄色がかった材料を、押し出し成形機を用いて、0.25%の比率で、ポリアミド中に混入させる。次いで、該混合物を、射出成形装置内で成形し、試験平板を得る。Nd:YVO
4レーザー(トルンプ社:書き込み速度:4000〜10000mm/s、パルス周波数:20〜60kHz)を用いて、これらの平板上に、それにより、レーザーのエネルギー、レーザービームの走査速度およびレーザーパルスの周波数に関する、様々なレーザーの設定の広い幅を表示することができる、テスト・グリッドを印字する。例5の添加剤は、実質的に、異なるレーザーのパラメータの全範囲にわたり、優れたコントラストで、一様な黒色標示を呈する。
【0065】
[例6](基材を基準として、12.5%のTiO
2;焼成温度:750℃)
100gのBi
2O
3(酸化ビスマス、バリスタ・グレード;平均粒径:4μm、5Nプラスリューベック社)を、2lの脱イオン水中で、攪拌しつつ、75℃に加熱する。
【0066】
その後、該懸濁液のpHを、25%塩酸を用いて、2.2に調整する。そして、32%四塩化チタン溶液(TiCl
4溶液50g;w=60%を、44gの脱イオン水中に溶解している)を、流量を調整して添加する。その間、同時に、32%水酸化ナトリウム溶液を滴下混合して、pHを一定に保つ。
【0067】
添加が完了した後、混合物をさらに0.5時間攪拌する。生成物を、濾別し、洗浄し、12時間乾燥し、750℃で0.5時間焼成し、100μm篩による、ふるい分けを行い、そして、XRDを用いて、調査する。
【0068】
[例7](基材を基準として、25.0%のTiO
2;焼成温度:750℃)
100gのBi
2O
3(酸化ビスマス、バリスタ・グレード;平均粒径:4μm、5Nプラスリューベック社)を、2lの脱イオン水中で、攪拌しつつ、75℃に加熱する。
【0069】
その後、該懸濁液のpHを、25%塩酸を用いて、2.2に調整する。そして、32%四塩化チタン溶液(TiCl
4溶液100g;w=60%を、88gの脱イオン水中に溶解している)を、流量を調整して添加する。その間、同時に、32%水酸化ナトリウム溶液を滴下混合して、pHを一定に保つ。
【0070】
添加が完了した後、混合物をさらに0.5時間攪拌する。生成物を、濾別し、洗浄し、15時間乾燥し、750℃で1時間焼成し、100μm篩による、ふるい分けを行い、そして、XRDを用いて、調査する。
【0071】
例1〜7の生成物中には、XRDにおいて、下記する相が見出される。
【0072】
【表1】