(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記多孔性コーティング層が、多孔性基材の一面を基準で0.5〜20μmの厚さで多孔性基材の一面にのみ形成されたことを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載の電極組立体。
前記多孔性コーティング層が、多孔性基材の一面を基準で3〜6μmの厚さで多孔性基材の一面にのみ形成されたことを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載の電極組立体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、高電圧用正極が用いられる場合、正極活物質が溶出して発生する分離膜の気孔閉塞の問題点を解消することを目的とする。
また、本発明は、優れた高温サイクル容量を有する二次電池を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、正極、負極、及び正極と負極との間に介された分離膜を含む電極組立体であって、前記正極が、高電圧用正極活物質を含み、前記分離膜が、多孔性基材と、無機物粒子及び有機バインダー高分子を含み、前記多孔性基材の少なくとも一面に形成された多孔性コーティング層とを含み、前記分離膜に形成された気孔が、10nm〜5μm範囲の最長直径を有する電極組立体が提供される。
【0010】
前記リチウム酸化物は、下記の化学式1〜4で表れる化合物より選択される一種または二種以上の混合物であり得る。
Li
x[Ni
aCo
bMn
c]O
2 [化1]
(上記式1中、0.95≦x≦1.05、0≦a,b,c≦1、a+b+c=1であり、但し、aとcとは、同時に0とならない。)
Li[Li
xNi
aCo
bMn
c]O
2 [化2]
(上記式2中、0.05≦x≦0.6、x+a+b+c=1である。)
Li
x[Ni
aCo
bMn
c]O
2 [化3]
(上記式3中、0.95≦x≦1.05、0<a,b,c≦1、a+b+c=1、0.4<c<1である。)
LiMn
2-xM
xO
4 [化4]
(上記式4中、M=Ni、Co、Fe及びAlからなる群より選択される一つ以上の元素であり、0≦x≦2である。)
【0011】
前記気孔が、50〜500nm範囲の最長直径を有し得る。
前記分離膜が、1〜3,000sec/100cc範囲のガーレー(Gurley)値を有し得る。
前記分離膜が、50〜2,000sec/100cc範囲のガーレー値を有し得る。
【0012】
前記多孔性コーティング層が、多孔性基材の一面を基準で0.5〜20μmの厚さで多孔性基材の少なくとも一面に形成され得る。
前記多孔性コーティング層が、多孔性基材の一面を基準で3〜6μmの厚さで多孔性基材の少なくとも一面に形成され得る。
前記多孔性コーティング層が、前記多孔性基材の一面に形成され、負極に向って正極と負極との間に介され得る。
【0013】
前記多孔性基材が、ポリエチレン樹脂から形成された多孔性膜(membrane)であり得る。
前記多孔性基材が、不織布であり得る。
【0014】
本発明の他の態様によれば、前述の電極組立体を含む二次電池が提供される。
前記二次電池は、4.3V以上5.0V以下の上限電圧を有し得る。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一実施形態によって、不織布のように大きい気孔が形成されている多孔性基材に多孔性コーティング層を形成し、このような分離膜を二次電池、特に、高電圧二次電池に採用する場合、正極活物質に高電圧用正極活物質を用いる場合にも高温サイクル容量が急減する現象が起きず、二次電池の寿命が向上する。
【0016】
また、ポリオレフィン系多孔性膜の一面に多孔性コーティング層を形成し、前記多孔性コーティング層が負極に向うように電極組立体を組み立てる場合、分離膜を介した正極活物質の円滑な移動を確保することができ、分離膜の気孔閉塞及び負極におけるデンドライトの生成が防止されることによって、高温サイクル容量の急減も防止される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0019】
本発明においては、正極活物質の円滑な移動を確保できる多孔性コーティング層が形成されている複合分離膜を提供する。本発明の複合分離膜は、リチウムイオン伝達能力を有する無機物粒子とバインダー高分子を構成成分に含む多孔性コーティング層が、多孔性基材の少なくとも一面に形成されている。ここで、前記複合分離膜は、多孔性基材に形成されたマイクロ気孔によって電解液含浸率が向上するだけでなく、無機物粒子のリチウムイオン伝達能力によってリチウムイオンの伝導度が上昇する。
【0020】
本発明において使用可能な多孔性基材は、ナノ繊維の交差によって多孔性ウェブが形成された不織布(nonwoven)形態または複数個の気孔部を含む多孔性膜(membrane)形態であり得る。これらの非制限的な例には、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート(polyethyleneterephthalate)、ポリブチレンテレフタレート(polybutyleneterephthalate)、ポリエステール(polyester)、ポリアセタール(polyacetal)、ポリアミド(polyamide)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリイミド(polyimide)、ポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketone)、ポリエーテルスルホン(polyethersulfone)、ポリフェニレンオキサイド(polyphenyleneoxide)、ポリフェニレンスルファイド(polyphenylenesulfide)、ポリエチレンナフタレン(polyethylenenaphthalene)またはこれらの混合物などが挙げられる。特に、内部に大きい気孔構造が複数存在して電解液の含浸率を向上できる不織布の形態が望ましい。
【0021】
前記多孔性基材の厚さは特に制限されないが、1〜100μmの範囲が望ましく、5〜50μmの範囲がさらに望ましい。1μm未満の場合は、希望する効果を得にくく、100μmを超過する場合は、抵抗層として作用する恐れがある。
【0022】
無機物粒子、有機バインダー高分子及び溶媒を含んでなる多孔性コーティング層用スラリーが、前記多孔性基材に塗布、乾燥されて形成される多孔性コーティング層は、多孔性基材の一面を基準で0.5〜20μmの厚さであり、例えば、3〜6μmの厚さであり得る。前記厚さが0.5μm未満の場合は、気孔の確保など、目的とする効果を得にくく、20μmを超過する場合は、抵抗層として作用する恐れがある。
【0023】
本発明の多孔性コーティング層の形成に用いられる無機物粒子は、電気化学的に安定していれば、特に制限されない。即ち、本発明において用い得る無機物粒子は、適用される二次電池の作動電圧範囲(例えば、Li/Li
+基準で0V〜5V)で酸化及び/または還元反応が起こらないものであれば、特に制限されない。特に、イオン伝達能力のある無機物粒子を用いる場合、二次電池内のイオン伝導度を高めて性能向上を図ることができる。また、無機物粒子として誘電率〔比誘電率〕の高い無機物粒子を使う場合、液体電解質内の電解質塩、例えば、リチウム塩の解離度増加に寄与して電解液のイオン伝導度を向上させることができる。前述の理由で、前記無機物粒子は、誘電率(定数)〔比誘電率〕が5以上、または10以上の高誘電率無機物粒子、リチウムイオン伝達能力を有する無機物粒子またはこれらの混合物を用いることが望ましい。
【0024】
誘電率(定数)〔比誘電率〕が5以上である無機物粒子の非制限的な例には、BaTiO
3、Pb(Zr、Ti)O
3、Pb
1-xLa
xZr
1-yTi
yO
3(PLZT)、Pb(Mg
1/3Nb
2/3)O
3−PbTiO
3(PMN−PT)、ハフニア(HfO
2)、SrTiO
3、SnO
2、CeO
2、MgO、NiO、CaO、ZnO、ZrO
2、Y
2O
3、Al
2O
3、TiO
2、SiC、またはこれらの混合物などがあある。特に、前述のBaTiO
3、Pb(Zr、Ti)O
3(PZT)、Pb
1-xLa
xZr
1-yTi
yO
3(PLZT)、Pb(Mg
1/3Nb
2/3)O
3−PbTiO
3(PMN−PT)、ハフニア(HfO
2)のような無機物粒子は、誘電率定数100以上の高誘電率特性を示すだけでなく、一定圧力を印加して引張または圧縮する場合、電荷が発生して両面の間に電位差が発生する圧電性(piezoelectricity)を有することで、外部衝撃による両電極の内部短絡の発生を防止して電気化学素子の安全性の向上を図ることができる。また、前述の高誘電率無機物粒子とリチウムイオン伝達能力を有する無機物粒子を混用する場合、これらの上昇効果は倍加され得る。
【0025】
本発明において、リチウムイオン伝達能力を有する無機物粒子とは、リチウム元素を含みながら、リチウムを貯蔵せずリチウムイオンを移動させる機能を有する無機物粒子を指称し、リチウムイオン伝達能力を有する無機物粒子は、粒子構造の内部に存在する一種の欠陷(defect)によってリチウムイオンを伝達及び移動させることができるため、電池内のリチウムイオン伝導度が向上し、これによって電池性能の向上を図ることができる。前記リチウムイオン伝達能力を有する無機物粒子の非制限的な例には、リチウムフォスフェート(Li
3PO
4)、リチウムチタンフォスフェート(Li
xTi
y(PO
4)
3、0<x<2、0<y<3)、リチウムアルミニウムチタンフォスフェート(Li
xAl
yTi
z(PO
4)
3、0<x<2、0<y<1、0<z<3)、14Li
2O−9Al
2O
3−38TiO
2−39P
2O
5などのような(LiAlTiP)
xO
y系ガラス(0<x<4、0<y<13)、リチウムランタンチタネート(Li
xLa
yTiO
3、0<x<2、0<y<3)、Li
3.25Ge
0.25P
0.75S
4などのようなリチウムゲルマニウムチオフォスペート(Li
xGe
yP
zS
w、0<x<4、0<y<1、0<z<1、0<w<5)、Li
3Nなどのようなリチウムナイトライド(Li
xN
y、0<x<4、0<y<2)、Li
3PO
4−Li
2S−SiS
2などのようなSiS
2系ガラス(Li
xSi
yS
z、0<x<3、0<y<2、0<z<4)、LiI−Li
2S−P
2S
5などのようなP
2S
5系ガラス(Li
xP
yS
z、0<x<3、0<y<3、0<z<7)またはこれらの混合物などがある。
【0026】
無機物粒子の大きさ(粒径、平均粒子径)に制限はないが、0.01μm〜10μmの範囲であることが望ましい。0.01μm未満の場合は、分散性が低下して多孔性コーティング層の構造及び物性を調節しにくく、10μmを超過する場合は、同一の固形粉の含量から形成される多孔性コーティング層の厚さが増加して機械的物性が低下し、さらに、大きい気孔サイズによって、電池の充放電時、内部の短絡を起こす確率が高くなる。
【0027】
多孔性コーティング層を構成する有機バインダー高分子としては、無機物粒子とともに多孔性コーティング層の形成に用い得る有機バインダー高分子であれば、すべて用いることができ、望ましくは、溶解度指数が、15〜45Mpa
1/2の有機バインダー高分子が用いられる。有機バインダー高分子は、無機物粒子同士を連結して安定的に固定する機能を果たす。このような有機バインダー高分子の例には、ポリビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン(polyvinylidene fluoride−co−hexafluoropropylene)、ポリビニリデンフルオライド−トリクロロエチレン(polyvinylidene fluoride−co−trichloroethylene)、ポリメチルメタクリレート(polymethyl methacrylate)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone)、ポリビニルアセテート(polyvinylacetate)、ポリエチレンビニルアセテート(polyethylene−co−vinyl acetate)、ポリエチレンオキサイド(polyethylene oxide)、セルロースアセテート(cellulose acetate)、セルロースアセテートブチレート(cellulose acetate butyrate)、セルロースアセテートプロピオネート(cellulose acetate propionate)、シアノエチルプルラン(cyanoethylpullulan)、シアノエチルポリビニルアルコール(cyanoethylpolyvinylalcohol)、シアノエチルセルロース(cyanoethylcellulose)、シアノエチルスクロース(cyanoethylsucrose)、プルラン(pullulan)、カルボキシルメチルセルロース(carboxyl methyl cellulose)、アクリロニトリルスチレンブタジエン共重合体(acrylonitrile−styrene−butadiene copolymer)及びポリイミド(polyimide)などが挙げられ、これらをそれぞれ単独で、またはこれらの二種以上を混合して用いることができる。
【0028】
前記リチウムイオン伝達能力を有する無機物粒子の含量は、多孔性コーティング層を構成する無機物粒子と有機バインダー高分子を合わせた100重量部当たり50〜99重量%の範囲が望ましく、特に、60〜95重量%が望ましい。50重量%未満の場合は、有機バインダー高分子の含量が多すぎるようになり、無機物粒子間に形成された空き空間の減少による気孔の大きさ及び気孔度が減少して最終電池性能の低下をもたらし、99重量%超過時は、有機バインダー高分子の含量が少なすぎるため、無機物同士の接着力弱化によって最終複合分離膜の機械的物性が劣化する。
【0029】
多孔性コーティング層の形成のためのスラリーに用いられる溶媒には、使用しようとするバインダー高分子と溶解度指数が類似であり、沸点(boiling point)が低いものが望ましい。これは、均一な混合及び後の溶媒除去が容易であるためである。前記溶媒の非制限的な例には、アセトン(acetone)、テトラハイドロフラン(tetrahydrofuran)、メチレンクロライド(methylene chloride)、クロロホルム(chloroform)、ジメチルホルムアミド(dimethylformamide)、N−メチル−2−ピロリドン(N−methyl−2−pyrrolidone,NMP)、シクロヘキサン(cyclohexane)、水またはこれらの混合物などがある。
【0030】
複合分離膜に形成された多孔性コーティング層は、その構成成分である無機物粒子の大きさ、無機物粒子の含量及び無機物粒子と有機バインダー高分子の組成を調節することで、マイクロ単位のインタースティシャルボリウムを形成することができ、気孔の大きさ及び気孔度を調節することができる。本明細書において、「インタースティシャルボリウム(interstitial volume)」とは、多孔性コーティング層の無機物粒子が、バインダー高分子によって互いに結着して形成される充填構造(closed packed or densely packed)において実質的に面接する無機物粒子によって限定された空き空間であって、気孔を形成する空間をいう。
【0031】
本発明の一態様では、多孔性コーティング層が多孔性基材の一面にのみに形成されて負極に向って正極と負極との間に介され、このような態様の電極組立体を含む二次電池は、正極活物質に高電圧用正極活物質が用いられても高温サイクル時における容量急減が発生しなくなる。これは、高電圧用正極活物質から溶出した金属イオンが負極にデポジション(deposition)されるとき、本発明の一態様による電極組立体においては、前記金属イオンが多孔性コーティング層の気孔を先に満たすようになることにより、分離膜の全般的な気孔の大きさ及び孔隙率を増加させることができ、リチウムデンドライト発生時の気孔閉塞を遅延させることができるためである。その結果、寿命性能を大幅向上させることができる。
【0032】
本明細書において用いられる「高電圧用正極活物質」とは、4.3V〜5.0V範囲の高電圧に適用可能であり、リチウムを可逆的にインターカレーション/ディインターカレーションできる化合物を意味する。この際、前記4.3V〜5.0Vは、正極活物質の上限電圧であり得る。
【0033】
複合分離膜に形成された気孔、より具体的には、複合分離膜の多孔性コーティング層に形成されている気孔は、10nm〜5μmまたは50nm〜1μmまたは50nm〜500nmの最長直径を有することが望ましい。気孔の大きさが10nmよりも小さい場合、ポリエチレン、ポリプロピレンのような通常の分離膜基材の気孔の大きさに類似になり、多孔性コーティング層の効果を期待できず、5μmを超過する場合は、分離膜の機械的強度が著しく低下する不具合が発生する。また、前述の気孔の大きさは、一般的に直径400nmのアルミナを球と仮定したときのインタースティシャルボリウムを理想的な空隙と仮定するが、実際の気孔は逆オパール(inverse opal)構造を有するようになるため、気孔の大きさがアルミナのような無機物粒子の半径よりは大きく、直径よりは小さくなければならない点、さらに、実際は前記粒子が理想的に積もらずバインダーによる影響が存在する点を考慮して決められた気孔の大きさである。
【0034】
前記のような本発明の複合分離膜は、多孔性基材に1〜3,000sec/100cc範囲のガーレー値を有することが望ましい。より望ましくは、50〜2,000sec/100cc範囲のガーレー値を有する。本明細書において「ガーレー(Gurley)値」とは、空気100ccが一定面積を通過するにかかる時間を意味し、「通気度」として理解し得る。
【0035】
このように製造された本発明の分離膜は、正極と負極との間に介して二次電池に用いられる。特に、前記二次電池のうちリチウム金属二次電池、リチウムイオン二次電池、リチウムポリマー二次電池またはリチウムイオンポリマー二次電池などを含むリチウム二次電池が望ましい。
【0036】
二次電池は、当技術分野に知られた通常の方法によって製造され得、一実施例を挙げれば、正極と負極との間に前述の分離膜を介して組み立てた後、電解液を注入することで製造することができる。
前記分離膜とともに適用される電極は、当業界に知られた通常の方法によって電極活物質が電極電流集電体に結着された形態に製造し得る。
【0037】
本発明において用い得る正極活物質は、4.3V〜5.0V範囲の高電圧に適用可能であり、かつリチウムを可逆的にインターカレーション/ディインターカレーションできる化合物であれば、制限なく用いることができ、非制限的な例には、マンガンサイトの一部が、アルミニウム、マグネシウム、リチウム、コバルト、ニッケルのうち少なくとも一種以上に置換されたスピネル系リチウムマンガン複合酸化物、または化学式LiMn
2-xM
xO
4(Mは、Al、Mg、Li、Co、Niのうち少なくとも一種であり、xは、0≦x≦0.1であり得る。)で表れるリチウムマンガン複合酸化物がある。
【0038】
望ましい一例には、下記の化学式1〜4より選択されるいずれか一種またはこれらの二種以上の混合物である正極活物質を含み得る。
Li
x[Ni
aCo
bMn
c]O
2 [化1]
(0.95≦x≦1.05,0≦a,b,c≦1,a+b+c=1であり、但し、aとcとは、同時に0とならない。)
Li[Li
xNi
aCo
bMn
c]O
2 [化2]
(0.05≦x≦0.6、x+a+b+c=1である。)
Li
x[Ni
aCo
bMn
c]O
2 [化3]
(0.95≦x≦1.05、0<a,b,c≦1、a+b+c=1、0.4<c<1である。)
LiMn
2-xM
xO
4 [化4]
(M=Ni、Co、Fe及びAlからなる群より選択される一つ以上の元素であり、0≦x≦2である。)
【0039】
前記正極活物質における粒子の平均粒径は5〜15μmであることが望ましく、平均粒径が5μm未満の場合、活物質のタブ密度が低下する短所があり、平均粒径が15μmを超過する場合は、活物質の粒子分布が均一でなく、タブ密度が低下し、粒子の大きさ(粒径、平均粒子径)が大きすぎれば、Liイオンの拡散長さ(diffusion length)が長くなり、電気化学的特性が低下する問題点がある。
【0040】
負極活物質の非制限的な例には、従来の二次電池の負極に用い得る通常の負極活物質を用いることができ、特に、リチウム金属またはリチウム合金、炭素、石油コーク(petroleum coke)、活性化炭素(activated carbon)、グラファイト(graphite)またはその他の炭素類などのようなリチウム吸着物質などが望ましい。正極電流集電体の非制限的な例には、アルミニウム、ニッケルまたはこれらの組合せによって製造されるホイルなどがあり、負極電流集電体の非制限的な例には、銅、金、ニッケルまたは銅合金またはこれらの組合せによって製造されるホイルなどがある。
【0041】
本発明の一実施例に使用可能な電解液は、A
+B
-のような構造の塩であって、A
+は、Li
+、Na
+、K
+のようなアルカリ金属陽イオンまたはこれらの組合せからなるイオンを含み、B
-は、PF
6-、BF
4-、Cl
-、Br
-、I
-、ClO
4-、AsF
6-、CH
3CO
2-、CF
3SO
3-、N(CF
3SO
2)
2-、C(CF
2SO
2)
3-のような陰イオンまたはこれらの組合せからなるイオンを含む塩が、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、テトラハイドロフラン、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ガンマ−ブチロラクトンまたはこれらの混合物からなる有機溶媒に溶解または解離されたものがあるが、これらに限定されることではない。
【0042】
前記電解液の注入は、最終製品の製造工程及び要求される物性に応じて、電池の製造工程中の適切な段階で行われ得る。すなわち、電池の組立ての前、または電池の組立ての最終段階などに適用され得る。
【0043】
本発明の一実施例による分離膜の電池への適用工程としては、一般的な工程である巻取(winding)の他、分離膜と電極との積層(lamination、stack)及び折り畳み(folding)が可能である。
【実施例】
【0044】
以下、本発明を具体的な実施例を挙げて詳述する。しかし、本発明による実施例は多くの他の形態に変形されることができ、本発明の範囲が後述する実施例に限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例は当業界で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0045】
実施例1−1:分離膜の製造
ポリビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVdF−HFP)高分子を5重量%でアセトンに入れ、50℃で約12時間以上溶解してバインダー高分子溶液を製造した。製造したバインダー高分子溶液に Al
2O
3粉末をバインダー高分子/Al
2O
3=10/90の重量比となるように添加し、12時間以上ボールミル(ball mill)を用いてAl
2O
3粉末を破砕及び分散させることで、多孔性コーティング層の形成のためのスラリーを製造した。このように製造されたスラリーのAl
2O
3粒径は、約400nmであった。このように製造されたスラリーを、ディップ(dip)コーティング法で多孔性基材であるポリエチレン樹脂(SK512GK、SKI社製、厚さ12μm、多孔度40%)の一面にコーティングし、前記コーティング層の厚さは、約5μmとなるようにした。このように製造された分離膜は、約50nm〜1μm範囲の空隙サイズを有するようになった。
【0046】
実施例1−2:二次電池の製造
(正極の製造)
正極活物質として、Li[Li
0.29Ni
0.14Co
0.11Mn
0.46]O
2 94重量%、導電材としてカーボンブラック(carbon black)3重量%、バインダーとしてPVdF 3重量%を、溶剤のN−メチル−2ピロリドン(NMP)に添加して正極混合物スラリーを製造した。前記正極混合物スラリーを、厚さが20μm程度の正極集電体であるアルミニウム(Al)薄膜に塗布及び乾燥することで正極を製造した。
【0047】
(負極の製造)
負極活物質として炭素粉末、バインダーとしてPVdF、導電材としてカーボンブラックを、それぞれ96重量%、3重量%及び1重量%にして溶剤のNMPに添加することで負極混合物スラリーを製造した。前記負極混合物スラリーを、厚さが10μmの負極集電体である銅(Cu)薄膜に塗布及び乾燥することで負極を製造した。
【0048】
(電池の製造)
分離膜の多孔性コーティング層が負極に向うように実施例1−1で製造した分離膜を正極と負極との間に介して積層(stacking)方式で組み立て、組み立てられた電池に1Mのリチウムヘキサフルオロホスフェート(LiPF
6)が溶解されたエチレンカーボネート/プロピレンカーボネート/ジエチルカーボネート(EC/PC/DEC=30:20:50重量%)系電解液を注入することで二次電池を製造した。
【0049】
実施例2−1:分離膜の製造
多孔性基材としてポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン樹脂(C210、Celgard社製、厚さ16μm)を用いたことと、前記多孔性基材の両面に多孔性コーティング層がそれぞれ3μm(総6μm)の厚さとなるように分離膜を製造したことを除いては、実施例1−1と同様の方法で分離膜を製造した。
【0050】
実施例2−2:二次電池の製造
実施例2−1で製造した分離膜を用いたことを除いては実施例1−2に記載の方法で二次電池を製造した。
【0051】
実施例3−1:分離膜の製造
多孔性コーティング層が多孔性基材の両面にそれぞれ5μm(総10μm)の厚さに形成されるように分離膜を製造したことを除いては、実施例2−1と同様の方法で分離膜を製造した。
【0052】
実施例3−2:二次電池の製造
実施例3−1で製造した分離膜を用いたことを除いては、実施例1−2に記載の方法で二次電池を製造した。
【0053】
実施例4−1:分離膜の製造
多孔性コーティング層が多孔性基材の両面にそれぞれ6μm(総12μm)の厚さに形成されるように分離膜を製造したことを除いては、実施例2−1と同様の方法で分離膜を製造した。
実施例4−2:二次電池の製造
実施例4−1で製造した分離膜を使ったことを除いては、実施例1−2に記載の方法で二次電池を製造した。
【0054】
実施例5−1:分離膜の製造
多孔性基材としてポリプロピレン樹脂(PP1615、Celgard社製、厚さ16μm)を使ったこと、及び多孔性コーティング層が前記多孔性基材の両面にそれぞれ5μm(総10μm)の厚さに形成されたことを除いては、前記実施例2−1と同様の方法で分離膜を製造した。
【0055】
実施例5−2:二次電池の製造
実施例5−1で製造した分離膜を用いたことを除いては、実施例1−2に記載の方法で二次電池を製造した。
【0056】
実施例6−1:分離膜の製造
多孔性基材として、ポリエチレンテレフタルレート不織布(PET)(厚さ 15μm)を用いたこと、及び多孔性コーティング層が前記多孔性基材の両面にそれぞれ5μm(総10μm)の厚さに形成されたことを除いては、前記実施例2−1と同様の方法で分離膜を製造した。
【0057】
実施例6−2:二次電池の製造
実施例6−1で製造した分離膜を用いたことを除いては、実施例1−2に記載の方法によって二次電池を製造した。
【0058】
比較例1−1:分離膜の製造
多孔性基材であるポリエチレン樹脂(SK512GK、SKI社製、厚さ12μm,ガーレー値160sec)を分離膜として用いた。
【0059】
比較例1−2:二次電池の製造
比較例1−1の分離膜を用いたことを除いては、実施例1−2に記載の方法で二次電池を製造した。
【0060】
比較例2−1:分離膜の製造
実施例1−1で得られた分離膜を用いた。
【0061】
比較例2−2:二次電池の製造
比較例2−1で製造した分離膜を、多孔性コーティング層が正極に向うように負極と正極との間に介したことを除いては、実施例2−2に記載の方法によって二次電池を製造した。
【0062】
比較例3−1:分離膜の製造
多孔性基材であるポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン樹脂(C210、Celgard社製、厚さ16μm)を分離膜として用いた。
【0063】
比較例3−2:二次電池の製造
比較例3−1の分離膜を用いたことを除いては、実施例1−2に記載の方法で二次電池を製造した。
【0064】
比較例4−1:分離膜の製造
多孔性基材であるポリプロピレン樹脂(PP1615、 Celgard社製、厚さ16μm)を分離膜として用いた。
【0065】
比較例4−2:二次電池の製造
比較例4−1の分離膜を用いたことを除いては、実施例1−2に記載の方法で二次電池を製造した。
【0066】
評価例
分離膜のガーレー値の評価
【0067】
実施例1−1〜6−1、比較例1−1〜4−1で製造された分離膜を、50 mm×50mmで裁断して試料を準備した。その後、前記準備した試料に対し、空気100mlが完全に通過しきるのにかかった時間(秒)を測定し、下記の表1に示した。
【0068】
【表1】
【0069】
前記評価例から、ポリエチレンテレフタルレート不織布の両面に多孔性コーティング層を形成した実施例6−1の分離膜が最も優れた通気度を示し、次いで、多孔性基材に多孔性コーティング層を形成していない比較例1−1の分離膜が優れた通気度を示した。続いて、ポリエチレンから形成された多孔性膜の一面にのみ多孔性コーティング層を形成した実施例1−1及び比較例2−1の分離膜が優れた通気度を有することが分かった。
【0070】
高温寿命評価
実施例及び比較例で製造されたセルを、45℃で、4.35V〜2.5Vの電圧範囲で1C充電/1C放電を40サイクルまたは80サイクル施し、その結果を
図1〜
図4に示した。
【0071】
特に、多孔性基材の一面にのみ同一の厚さで多孔性コーティング層を適用した実施例1−1及び比較例2−1の分離膜は、ガーレー値においては同一の結果が得られたことに対し、これらの分離膜を多孔性コーティング層の適用方向のみを異にして製作した実施例1−2及び比較例2−2の二次電池においては、多孔性コーティング層が負極に向って適用された実施例1−2の二次電池が、多孔性コーティング層が正極に向って適用された比較例2−2の二次電池に比べ、優れた高温サイクル寿命を有することが分かった(
図2参照)。
【0072】
また、
図4から不織布の両面に多孔性コーティング層が形成された実施例 6−2の二次電池が、多孔性コーティング層が形成されていない比較例1−2の二次電池に比べて優れた高温寿命を有することが分かった。