特許第6416923号(P6416923)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6416923半導体製造装置、半導体装置の製造方法および記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6416923
(24)【登録日】2018年10月12日
(45)【発行日】2018年10月31日
(54)【発明の名称】半導体製造装置、半導体装置の製造方法および記録媒体
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20181022BHJP
   H01L 21/22 20060101ALI20181022BHJP
   H01L 21/324 20060101ALI20181022BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20181022BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20181022BHJP
【FI】
   H01L21/31 A
   H01L21/22 511G
   H01L21/324 Q
   C23C16/44 F
   H01L21/68 A
【請求項の数】16
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-551648(P2016-551648)
(86)(22)【出願日】2015年8月27日
(86)【国際出願番号】JP2015074235
(87)【国際公開番号】WO2016052023
(87)【国際公開日】20160407
【審査請求日】2017年3月8日
(31)【優先権主張番号】特願2014-200884(P2014-200884)
(32)【優先日】2014年9月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(72)【発明者】
【氏名】小前泰彰
(72)【発明者】
【氏名】野上孝志
(72)【発明者】
【氏名】白子賢治
【審査官】 佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−173775(JP,A)
【文献】 特開2004−281881(JP,A)
【文献】 特開2011−166112(JP,A)
【文献】 実開平01−095730(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
C23C 16/44
H01L 21/22
H01L 21/324
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する反応管と、
前記基板を保持する基板保持具が上面に設置され、前記反応管の炉口部を閉塞するシールキャップと、
第2エレベータによる前記シールキャップの昇降動作を補助する第1エレベータと、
前記シールキャップを昇降させる第2エレベータと、
前記第1エレベータと前記第2エレベータとを制御するよう構成された制御部と、を備え、
前記第1エレベータは、前記シールキャップに連結可能な第1アームと、前記第1アームを昇降させる第1駆動部と、を有し、
前記第2エレベータは、前記シールキャップと固定され、前記シールキャップを支持する第2アームと、前記第2アームを昇降させる第2駆動部と、を有する基板処理装置。
【請求項2】
前記シールキャップは、前記第1アームに対面する側面に前記第1アームを収納する第1収納部を有する請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第1収納部は多角形状に形成される請求項2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記シールキャップを昇降させる際、前記第1アームが前記第1収納部の内壁面に接触しないよう前記第1駆動部および前記第2駆動部を制御するよう構成される請求項2または3記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記シールキャップを昇降させる際、前記第1アームが前記第2アームを追従するよう前記第1駆動部および前記第2駆動部を制御するよう構成される請求項1乃至4記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記第1駆動部は、前記第1収納部へ収納させる収納位置と前記第1収納部から退避させる退避位置との間で前記第1アームを移動させる第1アーム駆動機構をさらに有する請求項2乃至5記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記基板保持具に前記基板を装填可能となる保持具降下状態の位置と、前記反応管が前記シールキャップによって密閉されるシール位置との間で、前記シールキャップを一定の水平度に保ちながら昇降させるように、前記第1エレベータと前記第2エレベータとを制御する請求項記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記シールキャップの昇降を停止させた状態で前記第1アームを前記収納位置へ移動させるよう前記第1駆動部、前記第2駆動部および前記第1アーム駆動機構を制御するよう構成される請求項6または7記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記第1エレベータと前記第2エレベータは前記シールキャップを挟んで対面する位置に設置される請求項1乃至8記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記シールキャップが前記炉口部に接触した後、前記第2アームによる前記シールキャップの上部方向への押圧を、前記第1アームが補助するように前記第1駆動部及び前記第2駆動部を制御するよう構成される請求項乃至9記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記シールキャップを前記炉口部から引き離す際、前記第2アームによる前記シールキャップの下部方向への押圧を、前記第1アームが補助するよう前記第1駆動部及び前記第2駆動部を制御するよう構成される請求項乃至10記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記シールキャップは、前記第2アームに対面する側面に前記第2アームを収納する第2収納部有する請求項2記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記第2駆動部は、前記第2収納部へ収納させる収納位置と前記第2収納部から退避させる退避位置との間で前記第2アームを移動させる第2アーム駆動機構をさらに備える請求項1記載の基板処理装置
【請求項14】
前記シールキャップを昇降させる際、前記第1アームまたは第2アームを前記シールキャップに連結させた状態で昇降させるよう前記第1駆動部および前記第2駆動部を制御するよう構成される請求項12または13記載の基板処理装置。
【請求項15】
基板を保持する基板保持具が上面に設置されたシールキャップに、第1エレベータの第1アームを連結させる工程と、
前記シールキャップと固定され前記シールキャップを支持する第2アームと、前記第2アームを昇降させる第2駆動部と、を有する第2エレベータと、第1アームを昇降させる第1駆動部を有し、前記第2エレベータによる前記シールキャップの昇降動作を補助する前記エレベータとによって反応管内に前記基板保持具を搬送する工程と、
前記シールキャップによって炉口部が閉塞された前記反応管内で前記基板を処理する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項16】
基板を保持する基板保持具が上面に設置されたシールキャップに、第1エレベータの第1アームを連結させる手順と、
前記シールキャップと固定され前記シールキャップを支持する第2アームと、前記第2アームを昇降させる第2駆動部と、を有する第2エレベータと、第1アームを昇降させる第1駆動部を有し、前記第2エレベータによる前記シールキャップの昇降動作を補助する前記第1エレベータとによって、反応管内に前記基板保持具を搬送する手順と、
前記シールキャップによって炉口部が閉塞された前記反応管内で前記基板を処理する手順と、
をコンピュータによって基板処理装置に実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造装置、半導体装置の製造方法および記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
縦型基板処理装置においては、ウエハを保持した基板保持具(ボート)を1機のエレベータを用いて反応管内への搬入出を行っている(図8(a)、(b)参照)。
【0003】
近年、ウエハが大口径化される傾向があり、ウエハやボートの重量および搬送ユニット全体の重量が増加している。それらの重量増加により、ボート搬送の際に、搬送ユニットの一部に垂れや歪みが生じ、ボートの水平を保った状態での安定した搬送が困難となる問題が生じている。
【0004】
下記の特許文献1には、炉口シャッタが反応管の炉口部を閉塞する際に、閉塞力を補助するための閉塞補助装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−73746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ボート搬送時の安定性、安全性を向上させることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、
基板を処理する反応管と、
前記基板を保持する基板保持具が上面に設置され、前記反応管の炉口部を閉塞するシールキャップと、
第2エレベータによる前記シールキャップの昇降動作を補助する第1エレベータと、
前記シールキャップを昇降させる第2エレベータと、
前記第1エレベータと前記第2エレベータとを制御するよう構成された制御部と、を有する技術が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ボート搬送時の安定性、安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例で好適に用いられる縦型基板処理装置を示す斜視図である。
図2】本発明の実施例で好適に用いられる縦型基板処理装置の処理炉の垂直断面図である。
図3】(a)は、本発明の第1実施形態に係るボートエレベータの側面概略図である。(b)は、本発明の第1実施形態に係るボートエレベータの上面概略図である。
図4】(a)は、本発明の第2実施形態に係るボートエレベータの側面概略図である。(b)は、本発明の第2実施形態に係るボートエレベータの上面概略図である。
図5】本発明に係るコントローラ構成の概略図であり、コントローラの制御系をブロック図で示す図である。
図6】本発明に係るシールキャップ昇降機構の速度、位置等の監視制御時の説明図である。
図7】本発明に係るシールキャップ昇降機構の異常動作時の制御を示す図である。
図8】(a)は、従来のシールキャップ昇降機構の側面概略図である。(b)は、従来のシールキャップ昇降機構の上面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施の形態において、基板処理装置は、一例として、半導体装置(IC)の製造方法における処理工程を実施する半導体製造装置として構成されている。以下、本発明の第1の実施形態を、図面を用いて説明する。
【0011】
図1に示すように、基板処理装置10の筐体101内部の前面側には、I/Oステージ105が設けられている。I/Oステージ105は、図示しない外部搬送装置との間で、基板収納容器としてのポッド100の授受を行う。I/Oステージ105の後方には、ポッド搬送機115が設けられている。ポッド搬送機115の後方には、ポッド100を保管するためのポッド棚109が設けられる。ポッド棚109の一部として、移載棚123が設けられ、移載棚には、後述する基板移載機構(ウエハ移載機)112の搬送対象となる基板(ウエハ)200が収納されたポッド110が収納される。なお、移載棚123には、ポッドの蓋を開閉するポッドオープナ(図示せず)が設けられている。また、I/Oステージ105の上方には、ポッド100を保管するための予備ポッド棚110が設けられている。予備ポッド棚110の上方には、クリーンユニット118が設けられている。クリーンユニット118は、クリーンエアを筐体101の内部に流通させる。
【0012】
移載棚の後方には、ウエハ移載機112が設置されている。ウエハ移載機112は、ウエハ200を水平姿勢で保持するツイーザ(基板移載用保持具)を備えており、ウエハ200を移載棚123上のポッド110内からピックアップして、基板保持具(ボート)217へ装填(チャージング)したり、ウエハ200をボート217から脱装(ディスチャージング)して、移載棚123上のポッド110内へ収納したりすることができる。ボート217は、複数本の保持部材を備えており、複数枚(例えば、25〜150枚程度)のウエハ200を、水平姿勢で、かつその中心をそろえた状態で鉛直方向に整列させて多段に保持するように構成されている。
【0013】
筐体101の後部上方には、略円筒形状の処理炉202が設けられている。処理炉202の下方には、筐体101の側部の上下方向に沿って昇降機構としてのボートエレベータ(基板保持具昇降機構)121が設けられている。ボートエレベータ121は、ウエハ200を搭載したボート217を、反応管203の内外に昇降させるよう構成されている。ボートエレベータ121は、処理炉202の下端の炉口部を塞ぐための蓋体としての略円盤状のシールキャップ219を支持している。シールキャップ219の上面は、ボート217が垂直に載置できるように構成されている。なお、ボートエレベータ121の構造の詳細については、後述する。
【0014】
図2に示すように、処理炉202は、略円筒形状の石英製の反応管203を備える。反応管203は、ウエハ200を収容し、加熱処理する反応容器である。反応管203は、加熱部としてのヒータ207の内側に設けられている。ヒータ207は、反応管203に挿入されたウエハ200を、所定の温度に加熱する。図1に示すように、反応管203の下端(炉口部)は、略円盤状の蓋体としての炉口シャッタ(炉口開閉機構)116により開閉可能に構成されている。反応管203内部には基板を処理する処理室201が形成されている。
【0015】
図2に示すように、シールキャップ219上には、シールキャップ219と反応管203の炉口部との間を密閉する密閉部材としてのシールリング(Oリング)220が設けられている。シールキャップ219の処理室201と反対側には、ボート217を回転させる回転機構267が設けられている。回転機構267の図示しない回転軸は、シールキャップ219を貫通してボート217を下方から支持している。回転軸を回転させることで、処理室201内にてウエハ200を回転させることができる。
【0016】
ボート217は反応管203の下端開口から反応管203内に挿入される。ボート217の下部には、ヒータ207からの熱を反応管203の下部領域に伝えにくくするように構成された断熱部材218が設置されている。断熱部材218は、例えば石英から形成されたキャップや、石英や炭化ケイ素等の耐熱性材料から形成された円板形状をした複数枚の断熱板で構成されている。
【0017】
次に、反応管203の周辺構造について説明する。図2に示すように、処理室201内へ処理ガスを供給する処理ガス供給ノズル233が、反応管203の下部を貫通するよう設けられている。処理ガス供給ノズル233には処理ガス供給ラインとしての処理ガス供給管232が接続されている。図2の例では、処理ガス供給ノズルは1本だが、複数本用いることもできる。処理ガス供給管232には、上流側から順に、処理ガス供給源240と、流量制御装置としてのマスフローコントローラ(MFC)241と、開閉弁としてのバルブ243とが設けられている。処理ガス供給源240から処理ガスが、MFC241、バルブ243、及びノズル233を介し、処理室201内に供給される。主に、処理ガス供給管232、MFC241a、開閉バルブ243により、処理ガス供給系が構成される。処理ガス供給源240、処理ガス供給ノズル233を処理ガス供給系に含めて考えてもよい。
【0018】
反応管203には、処理室201内のガスを排気するガス排気管231の一端が接続されている。ガス排気管231の他端は、APC(Auto Pressure Controller)バルブ255を介して真空ポンプ246(排気装置)に接続されている。基板処理室201内は、真空ポンプ246によって排気される。なお、APCバルブ255は、弁の開閉により基板処理室201の排気および排気停止を行なうことができる開閉弁であり、かつまた、弁開度の調節により圧力を調整することができる圧力調整弁である。
【0019】
図3に本発明におけるボートエレベータ121の第一の実施形態を示す。図3(a)に示すように、ボートエレベータ121は、ボート217の昇降を補助する昇降機構としての第1昇降機構(第1エレベータ)501と、ボート217を昇降させる昇降機構として第2昇降機構(第2エレベータ)502とを備える。第1エレベータ501は、後述する第1支持部(第1アーム)301、第1駆動部311および第1アーム駆動機構313を備える。
【0020】
図3(b)に示すように、第1エレベータ501と第2エレベータ502とを結ぶ直線上の中間地点にはシールキャップ219が配置されている。シールキャップ219の側面であって、第1アーム301と対面する部分には、第1アーム301の先端部分(前方部分)を収納可能な空間(収納部)401が形成されている。本実施形態においては、収納部401の形状は断面多角形状に形成されている。第1アーム301は後端が第1駆動部311に接続され、第1駆動部311によって昇降可能に構成される。また、第1アーム301は第1アーム駆動機構313によって後述する収納位置と退避位置との間で水平移動可能に構成されている。
【0021】
第2エレベータ502は、第2支持部(第2アーム)302および第2駆動部312を備える。第2アーム302は、シールキャップ219を支持する支持部である。第2アーム302の先端はシールキャップ219に固定されている。第2アーム302の後端は第2駆動部312に接続され、第2駆動部312によって昇降可能に構成される。シールキャップ219は第2アーム302を介して第2駆動部312により昇降される。なお、本明細書において、エレベータという言葉を用いた場合は、第1エレベータのみを含む場合、第2エレベータのみを含む場合、もしくはその両方を含む場合がある。
【0022】
第1駆動部311は、例えばボールねじ構造に構成され、第1アーム301に設けられた図示しない第1ナット部に図示しない第1ボールを介してかみ合って第1アーム301を鉛直方向に昇降させる第1ボールねじ軸(第1エレベータ軸)121−1と、第1アーム301を鉛直方向に摺動させつつ案内する図示しない第1ガイド支柱と、を備えている。また、第1エレベータ軸121−1の上端(もしくは下端)には、第1エレベータ軸121−1を回転駆動させる第1モータ321が設けられている。これにより、第1モータ321を駆動して第1エレベータ軸121−1を回転させることで第1アーム301が昇降するようになっている。主に、第1ナット部と、第1ボールと、第1エレベータ軸121−1と、第1ガイド支柱と、第1モータ321とにより、本実施形態にかかる第1駆動部311が構成される。
【0023】
第2駆動部312は、例えばボールねじ構造に構成され、第2アーム302に設けられた図示しない第2ナット部に図示しない第2ボールを介してかみ合って第2アーム302を鉛直方向に昇降させる第2ボールねじ軸(第2エレベータ軸)121−2と、第2アーム302を鉛直方向に摺動させつつ案内する図示しない第2ガイド支柱と、を備えている。また、第2エレベータ軸121−2の上端(もしくは下端)には、第2エレベータ軸121−2を回転駆動させる第2モータ322が設けられている。これにより、第2モータ322を駆動して第2エレベータ軸121−2を回転させることで第2アーム302が昇降するようになっている。主に、第2ナット部と、第2ボールと、第2エレベータ軸121−2と、第2ガイド支柱と、第2モータ321とにより、本実施形態にかかる第2駆動部311が構成される。
【0024】
これら第1エレベータ501と第2エレベータ502とによって、シールキャップ219およびその上面に載置されたボート217が昇降され、ボート217が反応管203内に対して搬入出されるようになっている。
【0025】
図5に示すように、制御部(制御手段)であるコントローラ280は、CPU(Central Processing Unit)621a、RAM(Random Access Memory)621b、記憶装置621c、I/Oポート621dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM621b、記憶装置621c、I/Oポート621dは、内部バス621eを介して、CPU621aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ280には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置622が接続されている。
【0026】
記憶装置621cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置621c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件等が記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ280に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プロセスレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。RAM621bは、CPU621aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0027】
I/Oポート621dは、上述のMFC241、バルブ243、APCバルブ255、ヒータ207、真空ポンプ246、ボート回転機構267、第1エレベータ501を介して第1駆動部311および後述する第1アーム駆動機構313、第2エレベータ502を介して第2駆動部312および後述する第2アーム駆動機構314等、基板処理装置10の各構成部に電気的に接続されている。
【0028】
CPU621aは、記憶装置621cから制御プログラムを読み出して実行すると共に 、入出力装置622からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからプロセスレシピを読み出すように構成されている。CPU621aは、読み出したプロセスレシピの内容に沿うように、マスフローコントローラ241の流量調整、バルブ243の開閉動作、APCバルブ255の開閉および圧力調整動作、ヒータ207の温度調節、真空ポンプ246の起動・停止、ボート回転機構267の回転速度調節、第1エレベータ501及び第2エレベータ502の昇降動作制御、第1駆動部311及び第2駆動部312の動作制御、第1アーム駆動機構313及び第2アーム駆動機構314の動作制御等、基板処理装置10の各構成部を制御するように構成されている。
【0029】
コントローラ280は、外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)623に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。記憶装置621cや外部記憶装置623は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置621c単体のみを含む場合、外部記憶装置623単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置623を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行っても良い。
【0030】
上述の基板処理装置10を用いて、半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、基板上に膜を形成する処理(成膜処理)が行われる。
【0031】
次に、本発明に関わる基板処理装置10の動作概要について、図1を用いて説明する。なお、基板処理装置10は、コントローラ280により制御されるものである。ウエハ200が装填されたポッド100は、図示しない外部搬送装置からI/Oステージ105に搬入される。さらに、ポッド100は、ポッド搬送機115により、I/Oステージ105からポッド棚109または予備ポッド棚110に搬送される。ボート217に対してウエハ200が移載されるポッド100は、ポッド搬送機115により移載棚123に移載される。ポッド100が移載棚123に移載されると、ポッドオープナによりポッド100の蓋が開放され、ポッド100からボート217に、ウエハ移載機112によりウエハ200が移載される。
【0032】
ボート217に所定枚数のウエハ200が移載されると、ボートエレベータ121により、ボート217が反応管203内に挿入され、シールキャップ219により、反応管203が気密に閉塞される。気密に閉塞された反応管203内では、ウエハ200が加熱されると共に、処理ガスが反応管203内に供給され、ウエハ200に成膜処理がなされる。
【0033】
ウエハ200の処理が完了すると、上記した動作の逆の手順により、ボート217が反応管203内から搬出される。ウエハ200は、ウエハ移載機112により、ボート217からポッド100に移載され、ポッド100は、ポッド搬送機115により、移載棚123からI/Oステージ105に移載され、図示しない外部搬送装置により、筐体101の外部に搬出される。 ボート217が降下状態において、炉口シャッタ116は、反応管203の下端を気密に閉塞し、外気が処理室201内に巻き込まれるのを防止する。
【0034】
次に、図3、6、7を用いてボート搬送時の動作について説明する。ボート搬送は、上昇動作、閉塞動作、開放動作、下降動作を含む。
図3(b)に示すように、ボート217にウエハ200を装填する前、すなわち、ボート217にウエハ200が保持されていない状態の降下状態(スタンバイ状態)において、第1アーム301は退避位置にある(図3(b)破線位置)。退避位置とは、第1アーム301がシールキャップ219と干渉しない位置である。ボート降下状態において、第1アーム駆動機構313によって、第1アーム301を収納位置へと水平移動させる(図3(b)実線位置)。収納位置とは、第1アーム301が収納部401内に収納された時の位置である。この時、第1アーム301の高さ位置を調整し、シールキャップ219が一定の水平度となるように第1エレベータ501を制御する。シールキャップ219が一定の水平度となると、コントローラ280は一定の水平度となった時の第1アーム301の高さ位置(水平基準位置)を記憶し、ボート217へのウエハ200の装填を開始させる。
【0035】
ここで、一定の水平度とは、ボート217が傾斜してもウエハ200に悪影響を及ぼさない水平度のことである。すなわち、完全に水平ではなくても、ボート217上でウエハ200の保持位置にずれや、ウエハ200にキズや割れが生じない程度の傾斜であれば良い。そのような傾斜の場合は、ウエハ200に悪影響が生じないため、一定の水平度の範囲に含める。つまり、完全に水平の状態からウエハ200に影響を及ぼさない傾斜の状態までが一定の水平度の範囲である。
【0036】
ボート217へのウエハ200の装填が完了すると、水平基準位置を基準としてボート217の上昇動作を行う。ボート217の上昇開始前に、第1アーム301の高さ位置を再び調整し、シールキャップ219が一定の水平度となるように第1エレベータ501を制御するようにしても良い。
【0037】
図6に示すように、ボート217の上昇時は、速度指示値までは指定した加速度で加速し(T1)、速度指示値に達すると、一定の速度で上昇し、その後、指定位置(シール位置)に到達前に減速を開始し(T2)、停止する(T3)速度制御を行う。ここで、シール位置とは反応管203の炉口部がシールキャップ217により密閉された時の高さ位置である。この時、コントローラ280は、第1エレベータ501および第2エレベータ502に同じ速度を指示する。すなわち、第1エレベータ501と第2エレベータ502とが連携した状態となるように、コントローラ280によって第1エレベータ501および第2エレベータ502とが制御される。また、コントローラ280は、第1エレベータ501および第2エレベータ502間の絶対位置値(モータエンコーダ値)、位置偏差値、トルク値を監視することで、シールキャップ217の水平状態を検知し、シールキャップ217が一定の水平度に保たれるように第1エレベータ501および第2エレベータ502を制御する。
【0038】
ここで、シールキャップ219が一定の水平度に保たれた状態であれば、第1アーム301はシールキャップ219に連結されていなくてもよい。すなわち、第1アーム301が収納部401の上面および下面のどちらにも接触せず、収納部401内の中空位置に留まらせた状態となるようにしても良い。つまり、シールキャップ219が傾斜した時に、その傾斜が一定の水平度内に留まるように、第1アーム301がシールキャップ219に接触し支持できる位置に第1アーム301を位置させる。このような位置に第1アーム301を配置することで、ボート219が振動したり、第2アーム302の垂れによりシールキャップ219が傾斜したりした時に、第1アーム301がシールキャップ219の収納部401内の壁面に接触し支持することにより、ボート219の振動や傾斜を和らげることができ、ボート219を一定の水平度に保つことが可能となる。ここで、第1アーム301がシールキャップ219に連結されている状態とは、第1アーム301が収納部401の内壁面に接触している状態のことである。
【0039】
ボート217の減速が開始された後、反応管203の炉口部の閉塞動作が行われる(T2)。ウエハ200がボート217に装填された状態においては、その重量により第2アーム302が第1アーム301側に垂れやすくなっている。そのため、閉塞動作時において、第1アーム301側のシールキャップ219の密閉が不足する場合がある。閉塞動作時には、コントローラ280は、各エレベータ間の絶対位置値(モータエンコーダ値)、第1アーム301と第2アーム302との間の位置偏差値、第1モータおよび第2モータのトルクを監視しながら、第2アーム302の垂れ、または、シールキャップ219の水平度を補正し、シールキャップ219を上部方向へ押圧して閉塞するようエレベータ501、502を制御する。この時、第1アーム301が収納部401の上面を上部方向へ押圧するように第1エレベータ501を制御する。こうして、反応管203の炉口部とシールキャップ219とにより反応管203が気密に閉塞された状態(シールキャップ219がシール位置にある状態)となると、反応管203内にてウエハ200に対して成膜処理がなされる。
【0040】
次に、ウエハ200に対する成膜処理が完了すると、反応管203の炉口部が開放される開放動作が行われる。この時、シールキャップ219は反応管203の炉口部との貼り付きにより、反応管203の炉口部から剥がされ難い状態となっている。そのため、第1アーム301が収納部401の下面を下部方向に押圧し、第2アーム302によるシールキャップ219の下部方向への押圧を補助するように、第1エレベータ301を制御する。この時、第2エレベータ502が第1エレベータ501と連携をとりながら貼り付きを剥がす様に、第2エレベータ502を同時に制御する。
【0041】
シール位置より下降し始めてから炉口部の貼り付きが剥されるまでは、貼り付きが剥された後の下降時より小さい値のトルクの制限値によって、第1エレベータ501および第2エレベータ502は速度制御される。この制限値はボート昇降時の上限値とは異なる値である。トルク値が制限値となると、第1エレベータ501および第2エレベータ502の下降速度は、トルク値が制限値以下の時の下降速度よりも遅くなるよう制御される。これにより、炉口部の貼り付きを徐々に剥がし、炉口部が解放された時のボート219の振動を小さくすることができる。
【0042】
ここで、第2アーム302はシールキャップ219と固定された状態で連結されているのに対し、第1アーム301はシールキャップ219と固定されていない状態で間接的に連結されている。そのため、第1エレベータ501と第2エレベータ502とではトルク値が大幅に異なる。よって、第1エレベータ501と第2エレベータ502との両方のトルク値を監視せずとも、片方のトルク値を監視するだけで一定の水平度を保った状態で、かつ、炉口部の貼り付き開放時のボート217の振動が小さくでき、炉口部の貼り付きを効率良く剥すことが可能となる。第1エレベータ501と第2エレベータ502との両方のトルク値を監視すると、より精密に速度制御を行う事ができる。
【0043】
開放動作時において、第1アーム301は、第2アーム302によるシールキャップ219の下部方向への押圧を常時補助しなくても良い。すなわち、第1アーム301がシールキャップ219を押圧する動作と、押圧しない動作とを繰り返し行うように第1エレベータ501を制御するようにしても良い。このようにシールキャップ219の下部方向への押圧を分割して行うことにより、炉口部の貼り付きを少しずつ剥すことができ、炉口部の貼り付き開放時のボート217の振動をより小さくすることができる。押圧しない動作の時は、第1アーム301はシールキャップと連結された状態であっても、連結されない状態であっても良い。
【0044】
シールキャップ219が反応管203の炉口部から開放された後は、ボート217は上昇動作時とは逆の手順で、同様の制御により下降動作が行われる。
【0045】
上述の閉塞動作、開放動作およびボート昇降動作において、コントローラ280により監視されている絶対位置値、位置偏差値またはトルク値がそれぞれにあらかじめ設定された上限値を超えると、コントローラ280はシールキャップ219の一定の水平度が保たれていない、もしくは、シールキャップ219またはエレベータ501、502に異常が発生したと判断する(図7(T4)参照)。異常が発生したと判断されると、ボート217は減速停止または急停止され、異常が発生した旨のアラームが発報される。
【0046】
本実施形態においては、以下に示す1つまたは複数の効果が得られる。
(1)2機のボートエレベータでシールキャップを支えることにより、ウエハを安定に保持した状態でのボート搬送が可能となる。ボート搬送の際のシールキャップ支持は2点で行われるが、シールキャップと連結固定しているのは2機のエレベータのうちの1機である。ボートが振動したり、傾斜したりした時に、連結固定されていない方のエレベータがシールキャップに接触し支持することにより、シールキャップの傾斜やアームの歪みを和らげたり、ボート搬送時の振動を抑制したりすることが可能となる。
(2)2機のエレベータが互いに連携をとりながらシールキャップを昇降させることにより、シールキャップを一定の水平度を保った状態で搬送することができる。また、ボート、シールキャップおよび各エレベータの重量により、各エレベータのアーム垂れ方が異なる場合においても、それぞれの垂れに合わせてエレベータの移動速度等を調節する事が可能となる。
(3)ボートエレベータの組立て時、アームがシールキャップに連結固定されていないことで、ボートエレベータの組立や搬入搬出が容易となり、製造の際の作業性が向上する。
【0047】
次に、本発明におけるボートエレベータの第2の実施形態について、図4を用いて説明する。第1の実施形態との相違点は、第2アーム302も第1アーム301と同様の構成を備える点である。すなわち、第2アーム302が第2アーム駆動機構314によって、シールキャップ219の側面に形成された第2収納部402に収納される収納位置と退避位置(図4(b)点線部分)との間で移動可能に構成さている。この時、第2アーム駆動機構314を第2ボートエレベータ502に含めても良い。
【0048】
ボート搬送時において、シールキャップ219は第1アーム301と第2アーム302との両方、または、片方に連結された状態となる。例えば、上昇動作時において、第1アーム301の連結による上昇動作と、第2アーム302の連結による上昇動作とを交互に繰り返しながら搬送されても良い。このような構成とすることで、片方のエレベータをシールキャップに固定するよりも重量による負荷を分散させることができ、搬送ユニットの長寿命化を図ることができる。
【0049】
なお、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変更が可能であることはいうまでもない。 また、前記実施例においては、縦型基板処理装置を用いて説明したが、本発明は、横型装置等にも適用することができる。 また、前記実施例においては、ウエハに熱処理が施される場合について説明したが、処理対象はホトマスクやプリント配線基板、液晶パネル、コンパクトディスクおよび磁気ディスク等であってもよい。
【0050】
本発明は、成膜処理の他、拡散処理、アニール処理、酸化処理、窒化処理、リソグラフィ処理等の他の基板処理にも好適に適用できる。さらに、本発明は、薄膜形成装置の他、アニール処理装置、酸化処理装置、窒化処理装置、露光装置、塗布装置、乾燥装置、加熱装置等の他の基板処理装置にも好適に適用できる。
【0051】
本発明は、本実施形態にかかる半導体製造装置等のウエハ基板を処理する基板処理装置に限らず、LCD(Liquid Crystal Display)製造装置等のガラス基板を処理する基板処理装置にも好適に適用できる。
【0052】
なお、この出願は、2014年9月30日に出願された日本出願特願2014−200884を基礎として優先権の利益を主張するものであり、その開示の全てを引用によってここに取り込む。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明にかかる半導体製造装置、半導体装置の製造方法および記録媒体によれば、ボート搬送時の安定性、安全性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0054】
10・・・・基板処理装置 501・・第1ボートエレベータ 502・・第2ボートエレベータ 200・・・ウエハ 217・・・ボート 219・・・シールキャップ 280・・・コントローラ 301・・・第1アーム 302・・・第2アーム 311・・・第1駆動部 312・・・第2駆動部 313・・・第1アーム駆動機構 314・・・第2アーム駆動機構 401・・・第1収納部 402・・・第2収納部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8