特許第6417227号(P6417227)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6417227切削ブレード及び切削装置並びにウエーハの加工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6417227
(24)【登録日】2018年10月12日
(45)【発行日】2018年10月31日
(54)【発明の名称】切削ブレード及び切削装置並びにウエーハの加工方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20181022BHJP
   B24D 5/12 20060101ALI20181022BHJP
   B24B 55/02 20060101ALN20181022BHJP
【FI】
   H01L21/78 F
   B24D5/12 Z
   !B24B55/02 D
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-13151(P2015-13151)
(22)【出願日】2015年1月27日
(65)【公開番号】特開2016-139682(P2016-139682A)
(43)【公開日】2016年8月4日
【審査請求日】2017年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】特許業務法人東京アルパ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100087099
【弁理士】
【氏名又は名称】川村 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100063174
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 功
(74)【代理人】
【識別番号】100124338
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 健
(72)【発明者】
【氏名】竹之内 研二
【審査官】 中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−217189(JP,A)
【文献】 特開2012−044899(JP,A)
【文献】 特開2003−334762(JP,A)
【文献】 特開2014−108463(JP,A)
【文献】 特開2004−166856(JP,A)
【文献】 特開2004−025418(JP,A)
【文献】 特開2015−009343(JP,A)
【文献】 特開2004−105327(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
B24D 5/12
B24B 55/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエーハの加工方法であって、
ウエーハをチャックテーブルに保持するウエーハ保持工程と、
砥粒と光触媒粒とを混在させバインダーで固定した切り刃を外周部に備え高速回転する切削ブレードを切削すべき領域に位置づけると共に切削水を供給し該チャックテーブルと相対的に加工送りして切削する切削工程と、から少なくとも構成され、
該切削工程において、該切削ブレードの切り刃に光触媒粒を励起させる光を照射して、供給した切削水にヒドロキシラジカルによる酸化力を与えることを特徴とするウエーハの加工方法。
【請求項2】
前記砥粒はダイヤモンド砥粒であり、前記光触媒粒は酸化チタン(TiO2)粒である請求項1記載のウエーハの加工方法
【請求項3】
ウエーハを保持する保持面を有するチャックテーブルと、該チャックテーブルが保持するウエーハを切削ブレードで切削加工する切削手段と、前記切削ブレードに切削水を供給する切削水ノズルとを少なくとも備える切削装置であって、
該切削ブレードは、砥粒と光触媒粒とを混在させバインダーで固定した切り刃を外周部に備え、
該切削手段は、
該切削ブレードと、該切削ブレードが装着され回転可能なスピンドルと、光触媒粒を励起させる光を照射する光照射手段とを少なくとも備え、
該切削ブレードの切り刃に該光照射手段から光触媒粒を励起させる光を照射することで、該切削水ノズルから該切削ブレードに供給した切削水にヒドロキシラジカルによる酸化力を与えることを特徴とする切削装置。
【請求項4】
前記砥粒はダイヤモンド砥粒であり、前記光触媒粒は酸化チタン(TiO2)粒である請求項3記載の切削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物を切削する切削ブレード及び切削ブレードを備える切削装置並びにウエーハの加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI等の複数のデバイスが分割予定ライン(ストリート)によって区画され表面に形成されたウエーハは、回転可能な切削ブレードを備えた切削装置(例えば、特許文献1参照)によって個々のデバイスに分割され、各種電子機器等に利用されている。そして、ICやLSIによる処理の高速化を図るためは、デバイスの配線の抵抗や容量を削減する必要がある。これは、例えば、処理速度に大きな影響を与える信号遅延は抵抗と容量との積で決まるためである。そこで、シリコン等の半導体基板の上面に、無機物系のSiOF膜(フッ素添加シリコン酸化膜)やBSG膜または有機物系のポリイミド系やパリレン系等のポリマー膜からなる低誘電率絶縁体と、銅やアルミニウム等の金属箔とが絡みあうように積層され分割予定ラインによって区画されてデバイスが形成されたウエーハが実用化されている。
【0003】
ここで、低誘電率絶縁体と銅やアルミニウム等の金属箔とが絡みあうように積層された積層体は、比誘電率kの値が低いことからLow−k膜と呼ばれており、デバイス表面だけではなくストリート上にも積層されている。そして、Low−k膜は層間の隙間が多く非常に脆いために、雲母のようにデバイス表面から剥離しやすい。そのため、切削ブレードでストリートを切削すると、金属箔層の金属の延性に起因して、ストリートからデバイスにまで膜剥離が生じてしまい、個々のデバイスの品質を著しく低下させる。このデバイスに至る膜剥離を防ぐ手段としては、レーザー光線をストリートに沿って照射してストリート上のLow−k膜を除去し、その後、ストリートに沿って露出した半導体基板を切削ブレードで切削する方法がある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−144034号公報
【特許文献2】特開2008−4822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献2に記載されているような方法では、レーザー光線の照射によって半導体基板に熱歪みが残存し、デバイスの抗折強度を低下させるという問題が生じる。
【0006】
また、ストリートにTEG(評価用素子)と称される金属膜が形成されているウエーハを切削する場合にも、ストリートを切削ブレードで切削すると、金属の延性等に起因してバリが生じたり、TEGが剥離してデバイスの品質を低下させたりするという問題が生じる。
【0007】
さらに、窒化ガリウム(GaN)基板やシリコンカーバイド(SiC)基板などの難削材を切削ブレードで切削しようとすると、切削によりストリートからデバイスに対してクラックが生じたり、デバイス表面の剥離が生じたりすることから、切削ブレードによる切削は困難であった。
【0008】
したがって、Low−k膜やTEGがストリート上に形成されているウエーハや、GaN基板やSiC基板などの難削材に対して、そのストリート上に対してレーザー光線による前処理等を行わずに切削ブレードで切削を行う場合であっても、デバイスの品質及び抗折強度を低下させないようにするという課題が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明は、ウエーハの加工方法であって、ウエーハをチャックテーブルに保持するウエーハ保持工程と、砥粒と光触媒粒とを混在させバインダーで固定した切り刃を外周部に備え高速回転する切削ブレードを切削すべき領域に位置づけると共に切削水を供給し該チャックテーブルと相対的に加工送りして切削する切削工程と、から少なくとも構成され、該切削工程において、該切削ブレードの切り刃に光触媒粒を励起させる光を照射して、供給した切削水にヒドロキシラジカルによる酸化力を与えることを特徴とする。
【0010】
前記砥粒はダイヤモンド砥粒であり、前記光触媒粒は酸化チタン(TiO2)粒であると好ましい。
【0011】
また、上記課題を解決するための本発明は、ウエーハを保持する保持面を有するチャックテーブルと、該チャックテーブルが保持するウエーハを切削ブレードで切削加工する切削手段と、前記切削ブレードに切削水を供給する切削水ノズルとを少なくとも備える切削装置であって、該切削ブレードは、砥粒と光触媒粒とを混在させバインダーで固定した切り刃を外周部に備え、該切削手段は、該切削ブレードと、該切削ブレードが装着され回転可能なスピンドルと、光触媒粒を励起させる光を照射する光照射手段とを少なくとも備え、該切削ブレードの切り刃に該光照射手段から光触媒粒を励起させる光を照射することで、該切削水ノズルから該切削ブレードに供給した切削水にヒドロキシラジカルによる酸化力を与えることを特徴とする。
【0012】
前記砥粒はダイヤモンド砥粒であり、前記光触媒粒は酸化チタン(TiO2)粒であると好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る切削ブレードは、砥粒と光触媒粒とを混在させバインダーで固定した切り刃を外周部に備える。そのため、例えば、本発明に係る切削ブレードで、ストリート上にLow−k膜またはTEGがあるウエーハに対して切削加工を行う場合に、切削ブレードの切り刃に光を照射し光触媒粒を励起させ、切削ブレードに供給した切削水と励起した光触媒粒とを接触させることで、切削ブレードに供給した切削水にヒドロキシラジカルによる酸化力を与え、ストリート上のLow−k膜に積層された金属箔またはTEGを酸化させ、ストリートとデバイスとの間に跨る金属が有する延性を遮断しながら切削を遂行できるので、Low−k膜またはTEGがデバイス表面から剥離することを抑制できるとともに、バリの発生を抑制することができる。また、切削するウエーハがGaN基板やSiC基板である場合でも、そのストリート上を強い酸化力によって脆弱にしつつ切削ブレードで切削することができるため、切削ブレードによる切削が可能となる。
【0014】
また、砥粒をダイヤモンド砥粒とし、光触媒粒を酸化チタン(TiO2)粒としたことで、切削ブレードの切り刃に紫外線を照射し酸化チタン粒を励起させ、切削ブレードに供給した切削水と励起した酸化チタン粒とを接触させることで、切削ブレードに供給した切削水にヒドロキシラジカルによるより強い酸化力を与えることができる。
【0015】
また、本発明に係るウエーハの加工方法は、前記切削ブレードを用いるウエーハの切削工程において、前記切削ブレードに切削水を供給すると共に、ウエーハに切り込ませる前記切削ブレードの切り刃に光触媒粒を励起させる光を照射させることで、切削ブレードに供給した切削水と励起した光触媒粒とを接触させ、切削水を酸化させヒドロキシラジカルを生成させることを可能とし、生成させたヒドロキシラジカルにより、ストリート上のLow−k膜に積層された金属箔またはTEGを酸化させ、ストリートとデバイスとの間に跨る金属が有する延性を遮断しながら切削を遂行できるので、Low−k膜またはTEGがデバイス表面から剥離することを抑制できるとともに、バリの発生を抑制することができる。
【0016】
さらに、本発明に係る切削装置では、切削装置が備える切削手段が、前記切削ブレードと、光触媒粒を励起させる光を照射する光照射手段と備えることで、切削ブレードの切り刃に光触媒粒を励起させる光を照射させることで、切削ブレードに供給した切削水と励起した光触媒粒とを接触させ、供給した切削水にヒドロキシラジカルによる酸化力を与え、ストリート上のLow−k膜に積層された金属箔またはTEGを酸化させ、金属の延性を遮断しながら切削を遂行できるので、Low−k膜またはTEGがデバイス表面から剥離することを抑制でき、バリの発生等も防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態1の切削ブレードをスピンドルに固定する様子を示す分解斜視図である。
図2】実施形態1の切削ブレードの外周に備える切り刃の一部を拡大した正面図である。
図3】実施形態2の切削ブレードをスピンドルに固定する様子を示す分解斜視図である。
図4】実施形態2の切削ブレードの外周に備える切り刃の一部を拡大した正面図である。
図5】実施形態1の切削ブレードを備える切削手段の分解斜視図である。
図6】実施形態1の切削ブレードを備える切削手段の外観を示す斜視図である。
図7】実施形態1の切削ブレードを備える切削装置の外観を示す斜視図である。
図8】切削装置を用いた切削工程において、切削ブレードに対してウエーハを保持するチャックテーブルが切削送りされている状態を側面側から見た模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(切削ブレードの実施形態1)
図1に示す切削ブレード60は、例えば、電鋳ハブブレードであり、円盤状に形成されたアルミニウム製の基台600と、基台600の外周部に固定した切り刃601とを備える。切り刃601は、図2に示すように、ダイヤモンド砥粒P1と光触媒粒である酸化チタン粒P2とを混在させ、ニッケルメッキの電鋳バインダーB1で固定して形成されている。
【0019】
切削ブレード60の製造方法は、例えば以下のとおりである。まず、ニッケルメッキ液に粒径10μm前後のダイヤモンド砥粒P1と粒径10μm前後の酸化チタン粒P2とを、重量比でダイヤモンド砥粒30:酸化チタン粒40の割合で混入・攪拌して混在させる。次いで、円盤状に成型され直径が50mm程度のアルミニウム製の基台600とニッケルバーとを、ダイヤモンド砥粒P1と酸化チタン粒P2とが混在するニッケルメッキ液に浸漬し、ニッケルバーに陽極、アルミニウム製の基台600に陰極をそれぞれ接続し、外部電源から所定の電圧を印加する。すると、基台600の表面にニッケルメッキの電鋳バインダーB1がダイヤモンド砥粒P1および酸化チタン粒P2と共に電着層として堆積していくので、この電着層を所定の厚さ(実施形態1の切削ブレードにおいては、約50μmである。)に至るまで形成させる。その後、基台600をニッケルメッキ液から引き上げ、基台600の外周部をエッチング除去して、刃厚が約50μmで刃先長0.5〜2mm程度の切り刃を突出させる。これにより、図2に示すように、ダイヤモンド砥粒P1と酸化チタン粒P2とを混在させ、ニッケルメッキの電鋳バインダーB1で固定した切り刃601を外周に備えた切削ブレード60が製造できる。なお、ダイヤモンド砥粒P1と酸化チタン粒P2との重量比は、酸化チタン粒P2の種類等によって適宜変更可能である。
【0020】
図1に示すスピンドルユニット62は、スピンドルハウジング620と、スピンドルハウジング620中に回転可能に収容され軸方向がX軸方向に対し水平方向に直交する方向(Y軸方向)であるスピンドル621と、スピンドル621の先端に着脱可能に装着されたマウントフランジ622とを備える。マウントフランジ622は、フランジ部623と、フランジ部623から厚み方向(Y軸方向)に突出しその側面にネジが設けられた凸部624とを備える。切削ブレード60は、凸部624に挿入され、凸部624のネジと螺合するナット63によって、ナット63とフランジ部623とによりY軸方向両側から挟まれてスピンドル621に固定される。そして、図示しないモータによりスピンドル621が回転駆動されることに伴って、切削ブレード60も高速回転する。
【0021】
(切削ブレードの実施形態2)
図3に示す切削ブレード61は、例えば、外形が環状のワッシャー型のレジンボンドブレードであり、図4に示すように、ダイヤモンド砥粒P1と光触媒粒である酸化チタン粒P2とを混在させ、フェノール樹脂のレジンバインダーB2で成型・固定した切り刃611を外周に備える。
【0022】
切削ブレード61の製造方法は、例えば以下のとおりである。まず、レジンバインダーB2となるフェノール樹脂重量比100に対して、粒径10μm前後のダイヤモンド砥粒P1を重量比30で混入し、さらに粒径10μm前後の酸化チタン粒P2を重量比40で混入し攪拌して混在させる。次いで、この混合物を約160℃の温度で加熱し、10〜20分程度プレスし所定の厚み(例えば、約0.15mmである)に成型し、外形も環状(例えば、外径が約50mm、内径が約40mmである。)に成型する。その後、180℃から200℃の温度で数時間焼結させる。これにより、図4に示すように、ダイヤモンド砥粒P1と酸化チタン粒P2とを混在させ、フェノール樹脂のレジンバインダーB2で固定した刃厚約0.15mmの切り刃611を外周に備えた切削ブレード61を製造できる。なお、レジンバインダーB2、ダイヤモンド砥粒P1及び酸化チタン粒P2の重量比は、酸化チタンP2の種類等によって適宜変更可能である。
【0023】
図3に示すように、切削ブレード61は、スピンドルユニット62を構成するマウントフランジ622の凸部624に挿入され、さらに着脱フランジ625を凸部624に挿入して、次いでナット63を凸部624のネジに螺合させて締め付けることにより、マウントフランジ622のフランジ部623と着脱フランジ625によりY軸方向両側から挟まれてスピンドル621に固定される。そして、図示しないモータによりスピンドル621が回転駆動されることに伴って、切削ブレード61も高速回転する。
【0024】
図5、6に示す切削手段6は、スピンドルユニット62と、スピンドルユニット62に備えるスピンドル621に固定され回転可能な実施形態1の切削ブレード60と、切削ブレード60をカバーするブレードカバー64と、ブレードカバー64に取り付けられるブレード検出ブロック65と、ブレードカバー64に取り付けられる着脱カバー66と、ブレードカバー64に取り付けられる光照射手段67とを備えている。
【0025】
ブレードカバー64は、切削ブレード60を+Z方向から跨ぐようにカバーしている。また、ブレード検出ブロック65は、ブレード検出ブロック65の上面に設けられた穴65aにネジ65bを通してブレードカバー64の上面に設けられたネジ穴64aに螺合させることにより、ブレードカバー64に対して+Z方向から取り付けられる。ブレード検出ブロック65には、発光素子及び受光素子からなる図示しないブレードセンサが取り付けられており、調整ネジ65cによりブレードセンサのZ方向の位置を調整できる。そして、このブレードセンサにより切削ブレード60の切り刃601の状態を検出する。
【0026】
着脱カバー66は、着脱カバー66の側面に設けられた穴66aにネジ66bを通してブレードカバー64のY軸方向側面に設けられたネジ穴64bに螺合させることにより、ブレードカバー64に対して−Y方向から取り付けられる。
【0027】
光照射手段67は、例えば、波長が280nm〜380nm程度の紫外線を照射できる紫外線照射ランプであり、ブレードカバー64の下部に、切り刃601に対して+X方向から相対するように着脱可能に配設され、切削ブレード60によるウエーハの切削工程において切削ブレード60の切り刃601に酸化チタン粒P2を励起させる紫外線を照射する。なお、光照射手段67は、酸化チタン粒P2の種類によっては、紫外線を照射する紫外線照射ランプに限定されるものではなく、例えば、酸化チタン粒P2が、可視光線の照射で光触媒活性を発現する窒素をドープした窒素ドープ型酸化チタン粒等であれば、波長400nm〜740nm程度の可視光線を照射するキセノンランプや蛍光灯等でもよい。また、光照射手段67の配設位置は、ブレードカバー64の下部に限定されるものではないが、切り刃601がウエーハWに切り込む加工点に対して、例えば、紫外線が分散せず直接入射する位置であると好ましい。
【0028】
また、切削ブレード60のY軸方向前後には、切削ブレード60に切削水を供給する切削水ノズル20がそれぞれ一本ずつ設けられている。
【0029】
各切削水ノズル20は、例えば、切削水が流入する切削水流入口21に連通している。各切削水ノズル20及び各切削水流入口21は、それぞれが着脱カバー66、ブレードカバー64によって支持されている。また、各切削水ノズル20は、その長手方向が切削ブレード60の面に沿ったX軸方向であり、切削ブレード60に対面する位置には、切削ブレード60が備える切り刃601のウエーハWに対する加工点に対し切削水を噴射する噴射口220がX軸方向に整列して複数設けられている。
【0030】
図7に示す切削装置1によって切削されるウエーハWは、例えば、半導体ウエーハであり、ウエーハWのウエーハ上面Wa上は、シリコン基板の上面にLow−k膜が積層され、ストリートSによって区画された格子状の領域に多数のデバイスDが形成されている。そして、ウエーハWの図示しないウエーハ底面がダイシングテープTの粘着面に貼着され、ダイシングテープTの外周部は環状フレームFに貼着されることで、ウエーハWはダイシングテープTを介して環状フレームFに支持されている。なお、ウエーハWの形状及び種類は特に限定されるものではなく、ストリート上にTEGが配設されているウエーハや、GaN基板や、SiC基板等も含まれる。
【0031】
図7に示す切削装置1は、チャックテーブル30に保持されたウエーハWに対して、図5及び図6に示した切削手段6によって切削加工を施す装置である。チャックテーブル30は図示しない切削送り手段によってX軸方向へ移動可能となっている。また、切削手段6は、図示しない割り出し送り手段によってY軸方向へ移動可能となっており、図示しない切り込み送り手段によってZ軸方向に移動可能となっている。
【0032】
切削装置1の前面側には、Z軸方向に往復移動する昇降機構10上に設置されたウエーハカセット11が備えられている。ウエーハカセット11は、環状フレームFによって支持されたウエーハWを複数枚収容する。ウエーハカセット11の後方(+Y方向側)には、ウエーハカセット11からウエーハWの搬出入を行う搬出入手段12が配設されている。ウエーハカセット11と搬出入手段12との間には、搬出入対象のウエーハWが一時的に載置される仮置き領域13が設けられており、仮置き領域13には、ウエーハWを一定の位置に位置合わせする位置合わせ手段14が配設されている。
【0033】
仮置き領域13の近傍には、チャックテーブル30と仮置き領域13との間で、ウエーハWを搬送する第一の搬送手段15aが配設されている。第一の搬送手段15aにより吸着されたウエーハWは、仮置き領域13からチャックテーブル30に搬送される。
【0034】
第一の搬送手段15aの近傍には、切削加工後のウエーハWを洗浄する洗浄手段16が配設されている。また、洗浄手段16の上方には、チャックテーブル30から洗浄手段16へと、切削加工後のウエーハWを吸着し搬送する第二の搬送手段15bが配設されている。
【0035】
図7に示すチャックテーブル30は、例えば、その外形が円形状であり、ウエーハWを吸着する吸着部300と、吸着部300を支持する枠体301とを備える。吸着部300は図示しない吸引源に連通し、吸着部300の露出面である保持面300a上でウエーハWを吸引保持する。チャックテーブル30は、回転可能であり、カバー31によって周囲から囲まれている。また、チャックテーブル30の周囲には、環状フレームFを固定する固定手段32が配設されている。
【0036】
チャックテーブル30は、ウエーハWの着脱が行われる領域である着脱領域Aと、切削手段6によるウエーハWの切削が行われる領域である切削領域Bとの間を、カバー31の下に配設された図示しない切削送り手段によりX軸方向に往復移動可能となっており、チャックテーブル30の移動経路の上方にはウエーハWの切削すべきストリートSを検出するアライメント手段17が配設されている。アライメント手段17は、ウエーハ上面Waを撮像する撮像手段170を備えており、撮像手段170により取得した画像に基づき切削すべきストリートSを検出することができる。また、アライメント手段17の近傍には、切削領域B内で、チャックテーブル30に保持されたウエーハWに対して切削加工を施す切削手段6が配設されている。切削手段6はアライメント手段17と一体となって構成されており、両者は連動してY軸方向及びZ軸方向へと移動する。
【0037】
以下に、図7及び図8を用いて、図7に示すウエーハWを切削装置1により切削する場合の切削装置1の動作、切削ブレード60を備える切削手段6の動作及びウエーハWの加工方法について説明する。なお、図8の模式図中では、図7に示す切削装置1の各構成及び図6に示す切削手段6の各構成は簡略化してあり、図7で示した環状フレームF及びダイシングテープT等も省略してある。
【0038】
(1)ウエーハ保持工程
図7に示すように、まず、搬出入手段12により、一枚のウエーハWが、ダイシングテープTを介して環状フレームFに支持された状態で、ウエーハカセット11から仮置き領域13に搬出される。そして、仮置き領域13において、位置合わせ手段14によりウエーハWが所定の位置に位置決めされた後、第一の搬送手段15aがウエーハWを吸着して仮置き領域13からチャックテーブル30の保持面300aへとウエーハWを移動させる。次いで、環状フレームFが固定部32によって固定され、ウエーハWも保持面300a上で吸引されることで、チャックテーブル30によりウエーハWが保持される。
【0039】
(2)切削工程
保持工程が終了した後、保持工程でチャックテーブル30に保持されたウエーハWを切削手段6で切削する切削工程を開始する。切削工程においては、図示しない切削送り手段により、チャックテーブル30に保持されたウエーハWが−X方向に送られるとともに、撮像手段170によってウエーハ上面Waが撮像されて切削すべきストリートSの位置が検出される。ストリートSが検出されるのに伴って、切削手段6が図示しない割り出し送り手段によってY軸方向に駆動され、切削すべきストリートSと切削ブレード60とのY軸方向における位置合わせがなされる。
【0040】
図8に示すように、切削ブレード60と検出したストリートSとのY軸方向の位置合わせが図示しない割り出し送り手段によって行われた後、図示しない切削送り手段がウエーハWを保持するチャックテーブル30をさらに例えば約50mm/sの送り速度で−X方向に送り出すとともに、図示しない切込み送り手段が切削手段6を−Z方向に降下させていく。また、図示しないモータがスピンドル621を回転速度約20000rpmで高速回転させ、スピンドル621に固定された切削ブレード60がスピンドル621の回転に伴って高速回転をしながらウエーハWに切込み、ストリートSを切削していく。本切削工程中は、切削ブレード60がウエーハWに切り込む際に、切削ブレード60の切り刃601とウエーハWのストリートSとの接触部位に対して、切削水ノズル20が図5及び図6に示した流入口21から流入させた切削水を噴射口220から噴射することで、切削ブレード60に切削水を例えば2000cc/分の割合で供給する。
【0041】
さらに、図8に示すように、本切削工程中では、高速回転する切削ブレード60の切り刃601に対して、光照射手段67が、例えば波長365nm程度の紫外線を、少なくとも切り刃601がウエーハWのストリートSに切り込む直前から切り刃601がウエーハWから離間するまでの間は照射し、切り刃601に混在する酸化チタン粒P2を励起させる。すなわち、切り刃601に混在する酸化チタン粒P2の表面に紫外線を照射し、酸化チタン粒P2の価電子帯の電子を励起させ電子と正孔の2つのキャリアを生じさせる。
【0042】
切り刃601と切削水ノズル20から噴射された切削水とは、少なくともウエーハWのストリートS上で接触するため、切り刃601に混在する酸化チタン粒P2に生じた正孔が、酸化チタン粒P2の表面にある切削水を酸化し、酸化力の高いヒドロキシラジカルを生成する。そのため、切削水ノズル20から噴射される切削水は、少なくともストリートS上でヒドロキシラジカルによる酸化力を与えられる。そして、ウエーハWのストリートS上にも積層されたLow−k膜中の金属箔層が、生成したヒドロキシラジカルにより酸化されることで、ストリートSを隔てて隣り合うデバイスD間に存在するLow−k膜中の金属箔層の延性を遮断する。
【0043】
切削ブレード60は、ストリートS上の金属の延性を遮断しつつウエーハWに対して切削を行うことができるため、ストリートSからデバイスDに生じ得るLow−k膜の膜剥離を抑制でき、さらにチッピングやバリの発生も防がれる。また、生じたヒドロキシラジカルの存在時間は非常に短いため、切削水によるデバイスDの表面の酸化等も生じない。また、噴射された切削水は、切削ブレード60とウエーハWとの接触部位を冷却しかつウエーハWの加工点に生じた切削屑を除去も行う。
【0044】
切削ブレード60がストリートSを切削し終えるX軸方向の所定の位置までウエーハWが−X方向に進行すると、図示しない切削送り手段によるウエーハWの切削送りを一度停止させ、図示しない切込み送り手段が切削ブレード60をウエーハWから離間させ、次いで、図示しなし切削送り手段がチャックテーブル30を+X方向へ送り出して元の位置に戻す。そして、隣り合うストリートSの間隔ずつ切削ブレード60をY軸方向に割り出し送りしながら順次同様の切削を行うことにより、同方向の全てのストリートSを切削する。さらに、チャックテーブル30を図示しない回転手段によって90度回転させてから同様の切削を行うと、全てのストリートSが縦横に全てカットされる。
【符号の説明】
【0045】
1:切削装置 10:昇降機構 11:ウエーハカセット 12:搬出入手段
13:仮置き領域 14:位置合わせ手段
15a:第一の搬送手段 15b:第二の搬送手段 16:洗浄手段
17:アライメント手段 170:撮像手段
20:切削水ノズル 21:流入口 220:噴射口
30:チャックテーブル 300:吸着部 300a:保持面 301:枠体
31:カバー 32:固定手段
A:着脱領域 B:切削領域
6:切削手段
60:切削ブレード 600:基台 601:切り刃
61:切削ブレード 611:切り刃
62:スピンドルユニット 620:スピンドルハウジング 621:スピンドル
622:マウントフランジ 623:フランジ部 624:凸部 625:着脱フランジ
63:ナット
64:ブレードカバー 64a:ネジ穴 64b:ネジ穴
65:ブレード検出ブロック 65a:穴 65b:ネジ 65c:調整ネジ
66:着脱カバー 66a:穴 66b:ネジ
67:光照射手段
P1:ダイヤモンド砥粒 P2:酸化チタン粒
B1:電鋳バインダー B2:レジンバインダー
W:ウエーハ Wa:ウエーハ上面 S:ストリート D:デバイス F:環状フレーム T:ダイシングテープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8