特許第6418085号(P6418085)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6418085シリコン単結晶の検査方法および製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6418085
(24)【登録日】2018年10月19日
(45)【発行日】2018年11月7日
(54)【発明の名称】シリコン単結晶の検査方法および製造方法
(51)【国際特許分類】
   C30B 29/06 20060101AFI20181029BHJP
   C30B 15/00 20060101ALI20181029BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20181029BHJP
【FI】
   C30B29/06 B
   C30B15/00 Z
   C30B29/06 502H
   H01L21/66 N
【請求項の数】6
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-134146(P2015-134146)
(22)【出願日】2015年7月3日
(65)【公開番号】特開2017-14080(P2017-14080A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2017年12月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】302006854
【氏名又は名称】株式会社SUMCO
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】倉垣 俊二
(72)【発明者】
【氏名】川添 真一
(72)【発明者】
【氏名】深津 宣人
【審査官】 西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−148925(JP,A)
【文献】 特開2000−1391(JP,A)
【文献】 特開2001−81000(JP,A)
【文献】 特開2008−133171(JP,A)
【文献】 特開2008−85333(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 1/00−35/00
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チョクラルスキー法により育成された同一のシリコン単結晶インゴットから切り出された2つのサンプルの一方に下記処理1を施し他方に下記処理2を施すこと、
下記処理1後のサンプル表面と、下記処理2後のサンプル表面とを対比し、ピットの局在状態がより明確に確認されるサンプルを評価用サンプルとして決定すること、および、
決定した評価用サンプル表面においてピットが局在した領域が広いほどDSODが多いと判定する判定基準に基づき、DSOD良否判定を行うこと、
を含み、
前記2つのサンプルは、COPおよび転位クラスタを含まない格子間酸素濃度(旧ASTM)が10.0E17atoms/cm以下のシリコン単結晶である、シリコン単結晶の検査方法。
(処理1)
サンプルの表面を銅で汚染すること、
前記汚染後のサンプルに、700℃以上800℃未満の温度域で5分間以上加熱した後に該温度域から2.5℃/分を超える降温速度で急冷する加熱冷却処理を施すこと、
前記加熱冷却処理後の前記サンプル表面を選択エッチングすること、
を含む処理。
(処理2)
サンプルに750〜900℃の温度域で加熱した後に1000〜1150℃の温度域で加熱する前処理を施すこと、
前記前処理を施したサンプルの表面を銅で汚染すること、
前記汚染後のサンプルに、700℃以上800℃未満の温度域で5分間以上加熱した後に該温度域から2.5℃/分を超える降温速度で急冷する加熱冷却処理を施すこと、
前記加熱冷却処理後の前記サンプル表面を選択エッチングすること、
を含む処理。
【請求項2】
チョクラルスキー法により育成されたシリコン単結晶インゴットから切り出されたサンプルに、下記処理1を施すこと、
下記処理1後のサンプル表面においてピットが局在した領域が広いほどDSODが多いと判定する判定基準に基づき、DSOD良否判定を行うこと、
を含み、
前記サンプルは、COPおよび転位クラスタを含まない格子間酸素濃度(旧ASTM)が7.5E17atoms/cm以下のシリコン単結晶である、シリコン単結晶の検査方法。
(処理1)
サンプルの表面を銅で汚染すること、
前記汚染後のサンプルに、700℃以上800℃未満の温度域で5分間以上加熱した後に該温度域から2.5℃/分を超える降温速度で急冷する加熱冷却処理を施すこと、
前記加熱冷却処理後の前記サンプル表面を選択エッチングすること、
を含む処理。
【請求項3】
チョクラルスキー法により育成されたシリコン単結晶インゴットから切り出されたサンプルに、下記処理2を施すこと、
下記処理2後のサンプル表面においてピットが局在した領域が広いほどDSODが多いと判定する判定基準に基づき、DSOD良否判定を行うこと、
を含み、
前記サンプルは、COPおよび転位クラスタを含まない格子間酸素濃度(旧ASTM)が5.0E17atoms/cm以上10.0E17atoms/cm以下のシリコン単結晶である、シリコン単結晶の検査方法。
(処理2)
サンプルに750〜900℃の温度域で加熱した後に1000〜1150℃の温度域で加熱する前処理を施すこと、
前記前処理を施したサンプルの表面を銅で汚染すること、
前記汚染後のサンプルに、700℃以上800℃未満の温度域で5分間以上加熱した後に該温度域から2.5℃/分を超える降温速度で急冷する加熱冷却処理を施すこと、
前記加熱冷却処理後の前記サンプル表面を選択エッチングすること、
を含む処理。
【請求項4】
前記サンプルは、ウェーハ形状サンプルであり、
前記ピットが局在した領域の広さを、下記S1およびS2に基づき判定する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシリコン単結晶の検査方法。
S1:前記サンプルの中心から、隣接する領域よりピットが局在している最外周部リング状領域の内周端までの距離、ただし前記最外周部リング状領域が存在しないサンプルではS1=前記サンプルの半径とする。
S2:前記サンプルの中心から、隣接する領域よりピットが局在している中央部円盤状領域の外周端までの距離、ただし前記中央部円盤状領域が存在しないサンプルではS2=0とする。
【請求項5】
前記ウェーハ形状サンプルは、前記シリコン単結晶インゴット端部から切り出されたスラグサンプルである請求項4に記載のシリコン単結晶の検査方法。
【請求項6】
チョクラルスキー法により、COPおよび転位クラスタを含まない格子間酸素濃度(旧ASTM)が10.0E17atoms/cm以下の検査用シリコン単結晶インゴットを育成すること、
前記検査用シリコン単結晶インゴットから切り出されたサンプルに対して請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法による検査を行うこと、
前記検査の結果に基づきシリコン単結晶インゴットの引き上げ条件を決定すること、および、
決定された引き上げ条件でチョクラルスキー法により、COPおよび転位クラスタを含まない格子間酸素濃度(旧ASTM)が10.0E17atoms/cm以下のシリコン単結晶インゴットを育成すること、
を含むシリコン単結晶の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チョクラルスキー法により育成されたシリコン単結晶の検査方法および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハ製造用のシリコン単結晶インゴットの育成方法としては、原料融液からシリコン単結晶を引き上げながら成長させるチョクラルスキー法(以下、「CZ法」ともいう)が広く用いられている。
【0003】
CZ法については、シリコン単結晶育成時に結晶内部に導入される欠陥の種類および分布は、結晶の引き上げ速度Vと固液界面の温度勾配Gに依存することが知られている。図7は、V/Gと欠陥の種類および分布との一般的な関係を示す図である。図7に示すように、V/Gがある値以上になると空孔が過剰となり、空孔の凝集体である微小ボイド(一般にCOP(Crystal Originated Particle)と呼ばれる欠陥)が発生する。一方、V/Gが小さい場合は格子間シリコン原子が過剰となり、格子間シリコンの凝集体である転位クラスタが発生する。
【0004】
COPおよび転位クラスタは、シリコン単結晶ウェーハの表層部に集積回路を形成した際にデバイス特性に大きな影響を与えるため、これらの欠陥が発生しない条件でシリコン単結晶を育成することが望ましい。そのためには、育成したシリコン単結晶の検査を行い各領域の分布を正確に把握し、結晶育成条件に対して必要なフィードバックをかけることが重要である。結晶育成条件の中で上記温度勾配Gは、単結晶引き上げ装置の炉内の高温部分(ホット・ゾーン)の構造により定まるため変更は容易ではない。したがって、V/Gの制御は、主に、引き上げ速度Vを非常に狭い範囲で厳密に制御することにより行われる。例えば、COPが発生しているのであれば、引き上げ速度Vを下げるように育成条件を修正し、転位クラスタが発生しているのであれば引き上げ速度Vを上げるように育成条件を修正することで、COPおよび転位クラスタのないシリコン単結晶を歩留まりよく安定生産することが可能となる。
【0005】
ところで、従来は酸素析出物密度を高密度に形成したゲッタリング能力に優れるウェーハの提供が強く求められてきた。しかしながら、酸素析出物はいわゆる結晶欠陥の一種であり、デバイスが形成されるウェーハ表層部に酸素析出物が存在するとデバイス不良をもたらす要因となる。近年、デバイスにおけるクリーン化が進み不純物汚染の危険性も大幅に低減されたため、ウェーハに要求される品質としてゲッタリング能力を不問とし、COP、転位クラスタに限らず、結晶欠陥の一種である酸素析出物さえも限りなく低減させたウェーハが次世代ウェーハとして今後要求されることが予想される。一般的に、ウェーハ中の酸素析出物は、結晶中の酸素濃度を低下させることにより低減することができる。
【0006】
かかる状況下、近年、低酸素濃度のシリコン単結晶に注目が集まっている。例えば特許文献1には、低酸素濃度のシリコン単結晶の結晶欠陥を、銅デコレーションを用いて評価する方法が開示されている。なお銅(Cu)デコレーションとは、サンプル表面に付着させたCuを熱処理によりサンプル内部に拡散させた後に急冷によって結晶表面の欠陥を顕在化させる方法である。また、必要に応じて、Cuデコレーション後に微細な欠陥の検出のために選択エッチングが行われる場合もある。一方、特許文献2には、酸素析出物の核を形成するランピング昇温熱処理と酸素析出物を成長させる酸素析出物成長熱処理を含む評価工程における判定に基づいて育成条件を調整することを含む、低酸素濃度のシリコン単結晶の育成方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−081000号公報
【特許文献2】特開2010−132509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、COPおよび転位クラスタが発生しない引き上げ条件で育成されたシリコン単結晶において、DSOD(Direct Surface Oxide Defect)と呼ばれる微小な結晶欠陥が発生し得ること、およびDSODがデバイスの電気特性を劣化させる原因となることが判明した。このDSODの発生傾向を、COPおよび転位クラスタを含まない低酸素濃度のシリコン単結晶において判定することができれば、判定結果に基づきDSODの発生を抑制するように引き上げ条件を決定することによって、COPおよび転位クラスタを含まず、低酸素濃度であり、しかもデバイスの電気特性の劣化の原因となるDSODが低減されたシリコン単結晶を提供することが可能となる。
【0009】
しかるに、DSODは、サイズがきわめて小さいため、通常の結晶検査に用いられるパーティクルカウンターでは検出することができない。また、特許文献1にも特許文献2にも、低酸素濃度のシリコン単結晶におけるDSOD評価に関する記載はない。
【0010】
一方、DSODに関しては、特開2006−208314号公報段落0005〜0007に記載されているように、DSODを銅(Cu)デポジション法により評価する方法が、従来提案されていた。Cuデポジション法によるDSODの評価は、具体的には、次のように行われる。シリコン単結晶ウェーハ表面に所定の厚さの酸化絶縁膜(以下、単に酸化膜ともいう)を形成し、ウェーハ表層に形成された欠陥部位上の酸化膜を破壊する。そして、破壊された酸化膜部位にCuを析出(デポジション)させる。より詳しくは、Cuイオンが存在する溶液の中で、ウェーハ表面に形成した酸化膜に電圧を加えると、酸化膜が劣化している部分に電流が流れ、CuイオンがCuとなって析出する。こうしてCuが析出した部位を、DSOD存在部と判定することにより、DSODの分布や密度を評価する。
【0011】
しかし、Cuデポジション法によるDSOD評価は、通常、評価終了まで2〜3週間ほどの時間を要する。したがって、評価結果に基づき結晶育成に対して必要なフィードバックをかけるまでの間に、DSODを多く含む不良ロットを生産し続けてしまう事態が生じ得ることとなる。
【0012】
そこで本発明の目的は、COPおよび転位クラスタを含まない低酸素濃度シリコン単結晶のDSOD良否判定を可能とする新たな手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、低酸素濃度のシリコン単結晶、詳しくは格子間酸素濃度(旧ASTM)(以下、単に「酸素濃度」とも記載する。)が10.0E17atoms/cm以下のシリコン単結晶では、
(1)酸素濃度が上記範囲内で低酸素濃度側にあるシリコン単結晶については、所定の銅デコレーションおよび選択エッチングを行うこと(具体的には後述の処理1)によりピットが局在する領域が広いほど、DSODが発生しやすい傾向があり、
(2)酸素濃度が上記範囲内で高酸素濃度側にある単結晶については、所定の熱処理を行った後に処理1を行うこと(具体的には後述の処理2)によりピットが局在する領域が広いほど、DSODが発生しやすい傾向がある、
という、従来知られていなかった新たな知見を得るに至った。この理由を本発明者らは、以下のように考えている。ただし下記の記載は、本発明者らによる推察であって、本発明を何ら限定するものではない。
図7に示されているように、COPが発生する領域と転位クラスタが発生する領域との間には、V/Gが大きい方から順に、OSF領域、Pv領域、Pi領域という3つの領域の領域が含まれている。これら領域は、熱処理された場合の挙動が異なる。OSF領域は、as-grown状態(結晶成長後に何の熱処理も行っていない状態)で板状酸素析出物(OSF(Oxidation Induced Stacking Fault)核)を含み、高温(一般的には1000℃〜1200℃程度)で熱酸化した場合にOSFが発生する領域である。ただし、OSF領域は、酸素濃度が10.0E17atoms/cm以下のシリコン単結晶では、通常顕在化しない。
一方、Pv領域とは、as-grown状態で酸素析出核を含んでおり、低温および高温(例えば、800℃程度および1000℃程度)の2段階の熱処理を施した場合に酸素析出物が発生し易い領域である。Pi領域とは、as-grown状態で殆ど酸素析出核を含んでおらず、熱処理を施されても酸素析出物が発生し難い領域である。
本発明者らは、酸素濃度が10.0E17atoms/cm以下のシリコン単結晶については、Pv領域が広いシリコン単結晶ほどDSODが多く発生する傾向があり、上記酸素濃度の範囲内で、より酸素濃度の低いシリコン単結晶では後述の処理1により、より酸素濃度の高いシリコン単結晶では後述の処理2により、Pv領域が、ピットが局在した領域として選択的に顕在化されると推察している。したがって、前者のシリコン単結晶では処理1の後に、後者のシリコン単結晶では処理2の後に、ピットが局在した領域が広いほどDSODが多いと判定する判定基準に基づきDSOD良否を判定すれば、例えば先に記載したような長時間を要するCuデポジション法によるDSOD評価を行うことなく、DSODが多く含まれるシリコン単結晶と少ないシリコン単結晶を判別することが可能になる。
本発明は、以上の知見に基づき完成された。
【0014】
本発明の一態様は、以下のシリコン単結晶の検査方法(以下、「検査方法A」ともいう。)に関する。
チョクラルスキー法により育成された同一のシリコン単結晶インゴットから切り出された2つのサンプルの一方に下記処理1を施し他方に下記処理2を施すこと、
下記処理1後のサンプル表面と、下記処理2後のサンプル表面とを対比し、ピットの局在状態がより明確に確認されるサンプルを評価用サンプルとして決定すること、および、
決定した評価用サンプル表面においてピットが局在した領域が広いほどDSODが多いと判定する判定基準に基づき、DSOD良否判定を行うこと、
を含み、
前記2つのサンプルは、COPおよび転位クラスタを含まない格子間酸素濃度(旧ASTM)が10.0E17atoms/cm以下のシリコン単結晶である、シリコン単結晶の検査方法。
(処理1)
サンプルの表面を銅で汚染すること、
前記汚染後のサンプルに、700℃以上800℃未満の温度域で5分間以上加熱した後に該温度域から2.5℃/分を超える降温速度で急冷する加熱冷却処理を施すこと、
前記加熱冷却処理後の前記サンプル表面を選択エッチングすること、
を含む処理。
(処理2)
サンプルに750〜900℃の温度域で加熱した後に1000〜1150℃の温度域で加熱する前処理を施すこと、
前記前処理を施したサンプルの表面を銅で汚染すること、
前記汚染後のサンプルに、700℃以上800℃未満の温度域で5分間以上加熱した後に該温度域から2.5℃/分を超える降温速度で急冷する加熱冷却処理を施すこと、
前記加熱冷却処理後の前記サンプル表面を選択エッチングすること、
を含む処理。
【0015】
本発明の他の一態様は、以下のシリコン単結晶の検査方法(以下、「検査方法B」ともいう。)に関する。
チョクラルスキー法により育成されたシリコン単結晶インゴットから切り出されたサンプルに、上記処理1を施すこと、
上記処理1後のサンプル表面においてピットが局在した領域が広いほどDSODが多いと判定する判定基準に基づき、DSOD良否判定を行うこと、
を含み、
前記サンプルは、COPおよび転位クラスタを含まない格子間酸素濃度(旧ASTM)が7.5E17atoms/cm以下のシリコン単結晶である、シリコン単結晶の検査方法。
【0016】
本発明の他の一態様は、以下のシリコン単結晶の検査方法(以下、「検査方法C」ともいう。)に関する。
チョクラルスキー法により育成されたシリコン単結晶インゴットから切り出されたサンプルに、上記処理2を施すこと、
上記処理2後のサンプル表面においてピットが局在した領域が広いほどDSODが多いと判定する判定基準に基づき、DSOD良否判定を行うこと、
を含み、
前記サンプルは、COPおよび転位クラスタを含まない格子間酸素濃度(旧ASTM)が5.0E17atoms/cm以上10.0E17atoms/cm以下のシリコン単結晶である、シリコン単結晶の検査方法。
【0017】
先に記載したように、酸素濃度が10.0E17atoms/cm以下のシリコン単結晶については、より酸素濃度が低いものには処理1、より酸素濃度が高いものには処理2を施すべきである。より酸素濃度が低いシリコン単結晶は、処理1を施されたほうが処理2を施されるよりピットの局在状態が明確に確認される傾向があり、より酸素濃度が高いシリコン単結晶は逆に、処理2を施されたほうが処理1を施されるよりピットの局在状態が明確に確認される傾向がある。したがって、酸素濃度が10.0E17atoms/cm以下であることは判明しているものの、具体的な酸素濃度が未知なシリコン単結晶については、同一のシリコン単結晶インゴットから切り出された2つのサンプルにそれぞれ処理1または処理2を施し、ピットの局在状態がより明確に確認されるサンプルを用いてDSOD良否判定を行えばよい。かかるDSOD良否判定を行う検査方法が、検査方法Aである。
これに対し検査方法Bは、酸素濃度が10.0E17atoms/cm以下の範囲内で、より酸素濃度の低いシリコン単結晶を検査対象とするものであり、処理1を施すことを含む。一方、検査方法Cは、酸素濃度が10.0E17atoms/cm以下の範囲内で、より酸素濃度の高いシリコン単結晶を検査対象とするものであり、処理2を施すことを含む。処理1、処理2の詳細は、後述する。
【0018】
以下の記載は、特記しない限り、検査方法A、B、Cのいずれにも適用されるものとする。また、以下において、検査方法A、B、Cをまとめて、本発明の検査方法ともいう。
【0019】
本発明において、「DSOD良否判定」とは、DSODを多く含む(または多く含むと推定される)シリコン単結晶を不良品、DSODが少ない(または少ないと推定される)シリコン単結晶を良品と判定することをいう。
【0020】
また、CZ法により育成されたシリコン単結晶インゴットやCZ法により育成されたシリコン単結晶インゴットから切り出されたサンプルがCOPおよび転位クラスタを含まないことは、例えば、以下の方法により確認することができる。なお以下において、チョクラルスキー法(CZ法)により育成されたシリコン単結晶インゴットを、単に「シリコン単結晶インゴット」、「インゴット」ともいう。
シリコン単結晶インゴットから切り出されたサンプルを、エッチング液(配合比は、体積比でHF:KCr(0.15mol)=2:1)に30分間浸漬した後、サンプル表面を光学顕微鏡(倍率100〜400倍)により観察する。観察の結果、エッチピットが観察されないことをもって、COPおよび転位クラスタを含まないと確認することができる。
【0021】
DSOD良否判定を行うサンプルは、一態様では、ウェーハ形状サンプルであることができる。また、他の一態様では、シリコン単結晶インゴットをインゴット引き上げ軸方向(結晶成長軸方向)に切断して切り出されたサンプルであることもできる。
【0022】
一態様では、DSOD良否判定を行うサンプルは、ウェーハ形状サンプルであり、前記ピットが局在した領域の広さを、下記S1およびS2に基づき判定する。
S1:前記サンプルの中心から、隣接する領域よりピットが局在している最外周部リング状領域の内周端までの距離、ただし前記最外周部リング状領域が存在しないサンプルではS1=前記サンプルの半径とする。
S2:前記サンプルの中心から、隣接する領域よりピットが局在している中央部円盤状領域の外周端までの距離、ただし前記中央部円盤状領域が存在しないサンプルではS2=0とする。
【0023】
一態様では、前記ウェーハ形状サンプルは、前記シリコン単結晶インゴット端部から切り出されたスラグサンプルである。スラグサンプルとは、シリコン単結晶インゴットのインゴット引き上げ軸方向(結晶成長軸方向)の端部から切り出されるものであって、ウェーハ加工(ウェーハスライス工程およびウェーハ研磨工程を含む)を経て得られるものではない。
なお先に記載したCuデポジション法によるDSODの評価は、特開2006−208314号公報段落0007に記載されているように、鏡面研磨加工が施されたシリコン単結晶ウェーハにおいて行われる。したがって、通常、Cuデポジション法によるDSOD評価は、ウェーハ加工の最終工程である鏡面研磨加工が行われたロットから、評価用ウェーハを抜き取り行われる。しかし、この段階で評価を行った結果、DSODが多く含まれるため同ロット内のウェーハは製品として出荷できないと判定されてしまうことは、製品として出荷できず廃棄されてしまうロットにも、製品として出荷されるロットと同様にウェーハ加工を施す(手間とコストをかける)という無駄を生じてしまうことを意味する。これに対し、本発明のシリコン単結晶の検査方法は、スラグサンプルを用いて実施することもできる。これにより、上記のような無駄を生じることなく、シリコン単結晶の検査を行うことが可能となる。
【0024】
本発明の更なる態様は、
チョクラルスキー法により、COPおよび転位クラスタを含まない格子間酸素濃度(旧ASTM)が10.0E17atoms/cm以下の検査用シリコン単結晶インゴットを育成すること、
前記検査用シリコン単結晶インゴットから切り出されたサンプルに対して検査方法A、BまたはCによる検査を行うこと、
前記検査の結果に基づきシリコン単結晶インゴットの引き上げ条件を決定すること、および、
決定された引き上げ条件でチョクラルスキー法により、COPおよび転位クラスタを含まない格子間酸素濃度(旧ASTM)が10.0E17atoms/cm以下のシリコン単結晶インゴットを育成すること、
を含むシリコン単結晶の製造方法、
に関する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、COPおよび転位クラスタを含まない低酸素濃度シリコン単結晶において、DSOD良否判定を行うことができる。更に、判定結果に基づき引き上げ条件を決定することにより、COPおよび転位クラスタを含まず、かつDSODが低減された低酸素濃度シリコン単結晶を安定供給することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】処理1または処理2の後のウェーハ形状サンプルの表面におけるピット局在所状態の具体的態様を示す模式図である。
図2】処理1または処理2の後のウェーハ形状サンプルの表面におけるピット局在所状態の具体的態様を示す模式図である。
図3】処理1または処理2の後のウェーハ形状サンプルの表面におけるピット局在所状態の具体的態様を示す模式図である。
図4】実施例で使用したシリコン単結晶引き上げ装置の構成を示す説明図である。
図5】実施例において後述するサンプル群1について測定されたS1、酸素濃度、Cuデポジション法によるDSOD良否評価結果を示す。
図6】実施例において後述するサンプル群2について測定されたS2、酸素濃度、Cuデポジション法によるDSOD良否評価結果を示す。
図7】CZ法における結晶育成条件とシリコン単結晶インゴット内に発生する領域の種類および分布との関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[シリコン単結晶の検査方法]
前述の検査方法A、BおよびCは、いずれも、COPおよび転位クラスタを含まない酸素濃度が10.0E17atoms/cm以下のシリコン単結晶サンプルのDSOD良否判定を、銅デコレーションおよび選択エッチングを含む処理(処理1または処理2)の後のサンプル表面のピットの局在状態に基づき行う。
【0028】
酸素濃度が10.0E17atoms/cm以下のシリコン単結晶は、近年注目されている低酸素濃度のシリコン単結晶である。先に記載したように本発明者らは、上記酸素濃度の範囲内で、
・より酸素濃度が低いシリコン単結晶は、処理1によりピットが局在する領域が広いほどDSODが発生しやすい傾向があること;
・より酸素濃度が高いシリコン単結晶は、処理2によりピットが局在する領域が広いほどDSODが発生しやすい傾向があること、
という、従来知られていなかった新たな知見を得た。前述のように、本発明者らは、ピットが局在する領域はPv領域であって、より酸素濃度が低いシリコン単結晶では処理1により、より酸素濃度が高いシリコン単結晶では処理2により、Pv領域をピットが局在した領域として選択的に顕在化させることができると推察している。
そこで本発明では、より酸素濃度が低いシリコン単結晶、具体的には酸素濃度が7.5E17atoms/cm以下のシリコン単結晶には、処理1を含む検査方法Bを実施する。また、より酸素濃度が高いシリコン単結晶、具体的には酸素濃度が5.0E17atoms/cm以上10.0E17atoms/cm以下のシリコン単結晶には、処理2を含む検査方法Cを実施する。
なお上記において、検査方法Bを実施するサンプルの酸素濃度と検査方法Cを実施するサンプルの酸素濃度は一部重複しているが、酸素濃度が重複している範囲にあるサンプルは、検査方法B、検査方法Cのいずれによっても、銅デコレーションおよび選択エッチングを含む処理(処理1または処理2)後のサンプル表面のピットの局在状態に基づき、DSOD良否判定を行うことができる。
【0029】
一方、シリコン単結晶について、酸素濃度が10.0E17atoms/cm以下であることは製造条件等から判明しているものの酸素濃度が詳細には判明していない場合には、検査方法Aを実施する。検査方法Aでは、同じインゴットから切り出された2つのサンプルの一方に処理1を施し他方に処理2を施し、処理1後のサンプル表面と、処理2後のサンプル表面とを対比する。前者においてピットの局在状態がより明確に確認されるならば、上記シリコン単結晶インゴットは、10.0E17atoms/cm以下の範囲内で酸素濃度が低酸素濃度側にあると推定することができる。他方、後者においてピットの局在状態がより明確に観察されるならば、上記シリコン単結晶インゴットは、10.0E17atoms/cm以下の範囲内で酸素濃度が高酸素濃度側にあると推定することができる。前述のように、より酸素濃度が低いシリコン単結晶では処理1により、より酸素濃度が高いシリコン単結晶では処理2により、Pv領域をピットが局在した領域として選択的に顕在化させることができると考えられるためである。
そして、検査方法Aでは、処理1を施したサンプルと処理2を施したサンプルのうち、ピットの局在状態がより明確に確認されるサンプルを評価用サンプルとして決定し、かかる評価用サンプル表面においてピットが局在した領域が広いほどDSODが多いと判定する判定基準に基づき、DSOD良否判定を行う。
【0030】
以上の通り、本発明によれば、検査方法A、BまたはCにより、酸素濃度が10.0E17atoms/cm以下の各種シリコン単結晶のDSOD判定を行うことができる。
【0031】
以下、本発明の検査方法について、更に詳細に説明する。
【0032】
<検査対象>
本発明の検査方法においてDSOD良否判定が行われるサンプルは、CZ法により育成されたシリコン単結晶インゴットから切り出されたサンプルである。例えば、シリコン単結晶インゴットをワイヤソー等を用いて横方向にスライスし、ウェーハ形状のサンプルを得ることができる。または、上記サンプルは、シリコン単結晶インゴットを結晶成長軸方向に切断して切り出すこともできる。前述の理由から、上記サンプルは、スラグサンプルであることが好ましい。ただし、本発明の検査方法は、ウェーハ加工を経たサンプルに実施してもよい。
【0033】
上記サンプルは、COPおよび転位クラスタを含まない酸素濃度が10.0E17atoms/cm以下のシリコン単結晶である。検査方法B、Cを実施するサンプルの酸素濃度については、先に記載した通りである。なお検査方法A、Bを実施するサンプルの酸素濃度は、例えば4.0E17atoms/cm以上であるが、これに限定されるものではない。
【0034】
次に、上記サンプルに施す処理(処理1、処理2)について説明する。
【0035】
<処理1、処理2>
検査方法A、Bにおいて行う処理1は、
サンプルの表面を銅(Cu)で汚染すること(以下、「Cu汚染」ともいう。)、
前記汚染後のサンプルに、700℃以上800℃未満の温度域で5分間以上加熱した後に該温度域から2.5℃/分を超える降温速度で急冷する加熱冷却処理を施すこと、
前記加熱冷却処理後の前記サンプル表面を選択エッチングすること、
を含む処理である。
検査方法A、Cにおいて行う処理2は、
サンプルに750〜900℃の温度域で加熱した後に1000〜1150℃の温度域で加熱する前処理を施すこと、
前記前処理を施したサンプルの表面を銅で汚染すること、
前記汚染後のサンプルに、700℃以上800℃未満の温度域で5分間以上加熱した後に該温度域から2.5℃/分を超える降温速度で急冷する加熱冷却処理を施すこと、
前記加熱冷却処理後の前記サンプル表面を選択エッチングすること、
を含む処理である。
【0036】
上記の通り処理1は、「Cu汚染」、「加熱冷却処理」、「選択エッチング」を含む。処理2は、処理1に先立ち上記前処理を施す。
前述の通り本発明者らは、Pv領域が広いシリコン単結晶ほどDSODが多く発生する傾向があると推察している。そして、10.0E17atoms/cm以下の範囲内で酸素濃度が低酸素濃度側にあるサンプルは、処理1におけるCu汚染および加熱冷却処理により、Pv領域を選択的にCuデコレーションすることができ(Pv領域におけるCu化合物の析出)、選択エッチングによりCu化合物が除去されピットが形成されることにより、ピットが局在した領域としてPv領域を顕在化させることができると、本発明者らは考えている。
一方、10.0E17atoms/cm以下の範囲内で酸素濃度が高酸素濃度側にあるサンプルは、上記前処理の後に行われるCu汚染および加熱冷却処理によりPv領域を選択的にCuデコレーションすることができ(Pv領域におけるCu化合物の析出)、選択エッチングによりCu化合物が除去されピットが形成されることにより、ピットが局在した領域としてPv領域を顕在化することができると、本発明者らは推察している。
【0037】
処理2は、処理1と共通の工程を含むため、以下、主に処理1について説明した後に、処理2について説明する。
【0038】
Cu汚染は、一般的なCuデコレーションにおけるCu汚染と同様に行うことができる。Cu汚染は、具体的には、例えば次のように行うことができる。サンプルを銅含有溶液中に浸漬した後、この溶液から取り出し所定時間自然乾燥等により乾燥させる。銅含有溶液としては、硝酸銅水溶液や硝酸銅とフッ酸(HF)との混合溶液等を用いることができる。銅含有溶液の銅濃度は、DSOD良否判定の信頼性向上の観点からは、3E20atoms/cm3以上とすることが好ましい。銅含有溶液の銅濃度が高いほどDSOD良否判定の信頼性向上の観点からは好ましく、例えば、溶解度上限まで銅を含有する溶液を使用することもできる。なお銅の溶解度は温度に依存し、例えば0℃では44E20atoms/cm3程度である。
【0039】
次いで、上記Cu汚染後のサンプルを熱処理した後に急冷する加熱冷却処理を施す。熱処理は、シリコンウェーハの熱処理に通常使用される卓上型電気炉、横型酸化炉等の各種熱処理炉を使用して行うことができる。なお本発明においてサンプルの熱処理に関して記載する温度および速度は、特記しない限り、サンプルが晒される雰囲気(例えば熱処理炉の炉内雰囲気)についての温度および速度をいうものとする。また、本発明では特記しない限りサンプルが晒される雰囲気は特に限定されるものではなく、空気中等の任意の雰囲気であることができる。
【0040】
Cu汚染後の熱処理により、サンプル内にCuを熱拡散させることができる。処理1においてCu汚染後のサンプルの加熱温度は700℃以上800℃未満とし、この温度域での加熱時間は5分間以上とする。5分間以上であればCuを十分に熱拡散させることができ、それ以上長くしても大きな違いはないので、加熱時間の上限は特に限定されるものではない。例えば10分間程度行うことも可能であるが、検査を短時間で行うためには加熱時間は5分程度とすることが最も好ましい。加熱中に温度を一定に維持することは必須ではなく、700℃以上800℃未満の範囲内であれば温度を変化させてもかまわない。なお、サンプルを導入する前の熱処理炉は、上記加熱温度に昇温しておいてもよく、サンプル導入後に上記加熱温度に昇温してもよい。サンプル導入後に昇温する場合には、昇温速度は2〜7℃/分程度とすることが、その後の急冷時のCu化合物の析出の観点から好ましい。
【0041】
処理1において、上記熱処理後にサンプルを急冷することにより、Pv領域にCu化合物を析出させることができると本発明者らは推察している。通常のCuデコレーションでは、例えば前述の特許文献1に記載されているように、サンプルを熱処理炉から取り出し放置することで室温まで冷却する。これに対し処理1では、冷却時の降速速度が2.5℃/分を超えるように冷却速度を制御する。好ましくは、上記加熱温度域(700℃以上800℃未満)から50〜100℃低い温度まで降温する際の降温速度を2.5℃/分超とする。Cuは各種元素の中でも拡散速度の速い元素であるため、上記加熱温度域からの冷却時の降温速度が2.5℃以下では、CuがPv領域から外方拡散してPv領域のCuデコレーションが不十分となる傾向があると本発明者らは考えている。降温速度は、熱処理炉の設定により制御可能である。
【0042】
上記降温速度はCuの外方拡散を抑えるためには速いほど望ましく、例えば100℃/分以上、更には200℃/分以上、特に300℃/分以上とすることができる。一般的な熱処理炉の性能を考慮すると500℃/分以下程度が上限となり得るが、上記のとおりCuの外方拡散を抑えるためには速いほど好ましいため上限は特に限定されるものではない。所定温度まで冷却したサンプルは、例えば、熱処理炉から取り出し室温放置してもよい。なお本発明における室温とは、15〜25℃程度の温度をいうものとする。
【0043】
上記Cu汚染と加熱冷却処理を施したサンプル表面を選択エッチングすると、サンプル表面から、Cuデコレーションにより析出したCu化合物を除去することができる。これにより、Cu化合物が析出していた箇所をピットとして検出することが可能となる。
【0044】
選択エッチングは、セコ液によって行ってもよく(セコエッチング(Secco etching:例えば、HF=100cm3、Cr=50g(0.15mol/リットル)の組成のもの))、ライト液によって行ってもよい(ライトエッチング(Wright etching:例えば、HF=60cm、HNO=30cm、Cr=30cm(5mol/リットル)、Cu(NO=2.2g、HO=60cm、CHCOOH=60cmの組成のもの))。エッチング液の安定性の観点からはライトエッチングを行うことが好ましい。エッチング量は、Cu化合物が除去されたピットを確認可能なエッチング量とすればよい。
【0045】
処理2において、上記Cu汚染の前に行われる前処理は、Cu汚染を施す前のサンプルを、750〜900℃の温度域で加熱(以下、「低温加熱」という)した後に1000〜1150℃の温度域で加熱(以下、「高温加熱」という)することにより行う。上記温度域での2段階加熱を行った後に処理1(前述のCu汚染、加熱冷却処理および選択エッチング)を行うことにより、10.0E17atoms/cm以下の範囲内で酸素濃度が高酸素濃度側にあるサンプルにおいて、ピットが局在した領域としてPv領域を顕在化することができると本発明者らは推察している。
【0046】
上記前処理における低温加熱は、例えば1〜3時間程度行うことができるが、3時間より長く行うことも可能である。一方、高温加熱は、5〜16時間程度行うことができるが、16時間より長く行うことも可能である。低温加熱から高温加熱へ移行する際の昇温速度は、例えば1〜10℃/分程度とすることができる。また、前処理は、酸素を含む雰囲気(酸化性雰囲気)で行うことが好ましい。酸化性雰囲気の酸素濃度は、例えば10〜100体積%である。また、ドライ酸化にて上記前処理を行うことが、析出物の成長を良好に進行させるうえで好ましい。
【0047】
上記前処理からCu汚染に移行する際には、前処理後に直ちにサンプルを熱処理炉から取り出してもよいが、急冷によるスリップ等の発生を防止するためには、降温速度を制御することが好ましい。この点から、高温加熱後に熱処理炉内で、例えば900〜950℃まで1〜10℃/分程度の降温速度で冷却した後、サンプルを熱処理炉から取り出し、その後室温放置することが好ましい。
【0048】
<DSOD良否判定>
検査方法A、B、Cでは、以上説明した処理1または処理2の後のサンプル表面のピットの局在状態を観察し、ピットが局在した領域が広いほどDSODが多いと判定する判定基準に基づき、DSOD良否判定を行う。これは先に説明したように、処理1または処理2によりPv領域をピットが局在した領域として選択的に顕在化させることができると推察され、こうして顕在化した領域が広いほどDSODが発生しやすい傾向があるためである。ピットの観察は、目視で行ってもよく顕微鏡下で行ってもよい。検査方法Aでは、前述のように、2つのサンプルの一方を処理1に、他方を処理2に付し、これら2つのサンプル表面を対比し、ピットの局在状態がより明確に確認されるサンプルを、評価用サンプルとして決定する。例えば、2つのサンプルの中で、サンプル表面を撮影した写真や画像におけるコントラスト(濃淡)がより鮮明なサンプルを、評価用サンプルとして決定することができる。
【0049】
図1図3は、処理1または処理2の後のウェーハ形状サンプルの表面におけるピット局在所状態の具体的態様を示す模式図である。図中、灰色で示した領域が、ピットが局在した領域である。なお前述のように、ピットが局在した領域は、Pv領域と推察される。
【0050】
ウェーハ形状サンプルでは、通常、図1図3に示すようにピットが局在した領域は同心円状に現れるため、サンプル中心からの下記距離S1、S2により、ピットが局在した領域の広さを評価することができる。
S1:サンプルの中心から、隣接する領域よりピットが局在している最外周部リング状領域の内周端までの距離、ただし図2に示すように最外周部リング状領域が存在しないサンプルでは、S1=サンプルの半径とする。
S2:サンプルの中心から、隣接する領域よりピットが局在している中央部円盤状領域の外周端までの距離、ただし図3に示すように中央部円盤状領域が存在しないサンプルでは、S2=0とする。
即ち、S1が小さいほど最外周部リング状領域は広く、S2が大きいほど中央部円盤状領域は広い。したがって、S1が小さく、S2が大きいほど、DSODが多いと判定することができる。例えば一態様では、S1およびS2、またはS1+S2について閾値を設定し、DSOD良否判定において、測定された値が閾値以下であれば良品と判定し、閾値を超えるならば不良品と判定することができる。S1、S2の測定は、例えば、サンプル表面を撮影した写真や画像上で行うことができる。
【0051】
以上説明したように、検査方法A、B、Cによれば、処理1または処理2の後のサンプル表面におけるピットの局在状態に基づき、DSOD良否判定を行うことができる。
一態様では、検査結果に基づき引き上げ条件を設定することにより、DSOD不良の発生率を低減することができる。この点について、以下に更に説明する。
また、一態様では、あるサンプル(例えばスラグサンプル)を本発明の検査方法により検査し、DSOD良否判定の結果、良品と判定されたならば、このサンプルと同じインゴットから製造されたシリコン単結晶ウェーハを製品ウェーハとして出荷することができる。これにより、DSODを含まない(またはDSODの少ない)製品ウェーハを市場に安定供給することが可能となる。
【0052】
[シリコン単結晶の製造方法]
本発明の更なる態様は、
チョクラルスキー法により、COPおよび転位クラスタを含まない格子間酸素濃度(旧ASTM)が10.0E17atoms/cm以下の検査用シリコン単結晶インゴットを育成すること、
前記検査用シリコン単結晶インゴットから切り出されたサンプルに対して前述の検査方法A、B、Cのいずれかによる検査を行うこと、
前記検査の結果に基づきシリコン単結晶インゴットの引き上げ条件(以下、単に「引き上げ条件」ともいう。)を決定すること、および、
決定された引き上げ条件でチョクラルスキー法により、COPおよび転位クラスタを含まない格子間酸素濃度(旧ASTM)が10.0E17atoms/cm以下のシリコン単結晶インゴットを育成すること、
を含むシリコン単結晶の製造方法、
に関する。検査方法A、B、Cによれば、前述のCuデポジション法と比べて短時間でのDSOD良否判定が可能であるため、引き上げ条件へのフィードバックを迅速に行うことができる。この結果、DSOD不良を含むシリコン単結晶インゴットを生産し続けてしまうことを防止することができる。また、前述のように、検査方法A、B、Cは、ウェーハ加工を経ていないサンプルに対して実施することができるため、先に詳述した利点を得ることもできる。更に、かかる検査方法による検査の結果に基づき引き上げ条件にフィードバックをかけることにより、DSOD不良の発生率(DSOD不良率)を下げることができる。DSOD不良率を下げることができれば、不良品の発生による製品出荷遅れに備えて在庫を多く保管しておく必要性は低くなるため、在庫数を低減することも可能となる。
【0053】
CZ法によるシリコン単結晶の育成を含むシリコンウェーハの製造工程には、
(1)引き上げ条件設定工程;
(2)設定された引き上げ条件によるCZ法によるシリコン単結晶インゴットの育成工程;
(3)育成されたインゴットの切断工程;
(4)ウェーハ加工工程(ウェーハスライス工程、ウェーハ研磨工程を含む);
が通常含まれる。例えば、検査方法A、B、Cは、前述のようにインゴットの切断工程で得られるスラグサンプルを用いて行うことができる。かかるサンプルを用いて行われた検査の結果に基づき引き上げ条件設定工程において引き上げ条件を設定することにより、DSOD不良率を下げることができる。例えば、DSOD不良率があらかじめ設定した閾値を超える場合には、引き上げ速度Vを下げることにより、DSOD良品率(全製造数に対する良品数の割合)を高めることができる。本発明のシリコン単結晶の製造方法には、引き上げ条件に、検査方法A、B、Cのいずれかによる検査の結果に基づくフィードバックをかける点を除けば、シリコン単結晶の製造やシリコンウェーハの製造に関する公知技術を、何ら制限なく適用することができる。
【実施例】
【0054】
以下、本発明を実施例に基づき更に説明する。ただし本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。
【0055】
1.CZ法によるシリコン単結晶の育成
図4に示すシリコン単結晶引き上げ装置を用いて、COPおよび転位クラスタを含まない各種酸素濃度のシリコン単結晶インゴットを育成した。以下、図4に示すシリコン単結晶引き上げ装置の詳細を説明する。
図4に示すシリコン単結晶引き上げ装置10は、チャンバー11と、チャンバー11の底部中央を貫通して鉛直方向に設けられた支持回転軸12と、支持回転軸12の上端部に固定されたグラファイトサセプタ13と、グラファイトサセプタ13内に収容された石英るつぼ14と、グラファイトサセプタ13の周囲に設けられたヒーター15と、支持回転軸12を昇降および回転させるための支持軸駆動機構16と、種結晶を保持するシードチャック17と、シードチャック17を吊設する引き上げワイヤー18と、ワイヤー18を巻き取るためのワイヤー巻き取り機構19と、ヒーター15および石英るつぼ14からの輻射熱によるシリコン単結晶インゴット20の加熱を防止すると共にシリコン融液21の温度変動を抑制するための熱遮蔽部材22と、各部を制御する制御装置23とを備えている。
チャンバー11の上部には、Arガスをチャンバー11内に導入するためのガス導入口24が設けられている。Arガスはガス管25を介してガス導入口24からチャンバー11内に導入され、その導入量はコンダクタンスバルブ26により制御される。
チャンバー11の底部には、チャンバー11内のArガスを排気するためのガス排出口27が設けられている。密閉したチャンバー11内のArガスはガス排出口27から排ガス管28を経由して外へと排出される。排ガス管28の途中にはコンダクタンスバルブ29および真空ポンプ30が設置されており、真空ポンプ30でチャンバー11内のArガスを吸引しながらコンダクタンスバルブ29でその流量を制御することでチャンバー11内の減圧状態が保たれている。
さらに、チャンバー11の外側にはシリコン融液21に磁場を印加するための磁場供給装置31が設けられている。磁場供給装置31から供給される磁場は、水平磁場であっても構わないし、カスプ磁場であっても構わない。
【0056】
2.検査用サンプルの作製
上記1.で育成したシリコン単結晶インゴットを切断して、インゴットの端部からスラグサンプル(ウェーハ形状サンプル、半径150mm)を切り出した。酸素濃度7.0E17atoms/cm以下のインゴットから得たスラグサンプルには下記処理1を施し、酸素濃度7.0E17atoms/cm超10.0E17atoms/cm以下のインゴットから得たスラグサンプルには下記処理2を施した。
【0057】
3.処理1
(i)サンプルを純水で超音波洗浄した後、HNO:HF=5:1(体積比)のエッチング液で5分間ミラーエッチングし、次いで10分間の水洗リンスを行った。
(ii)Cuデコレーション用の銅含有溶液として、水5リットルに硝酸銅3水和物(Cu(NO・3HO)30gを溶解した硝酸銅水溶液を調製した。調製した硝酸銅水溶液に上記(i)の処理を施したサンプルを5分間浸漬した後、引き上げて自然乾燥させた。
(iii)上記(ii)の処理を施したサンプルを卓上型電気炉(炉内温度660℃、炉内雰囲気:空気)にローディングし、5℃/分で昇温し750℃で5分間保持した。その後、5℃/分の降温速度で660℃まで冷却した後、卓上型電気炉からアンロードした。
(iv)上記(iii)の処理を施したサンプル表面を、HNO:HF=5:1(体積比)のエッチング液で5分間エッチングし10分水洗リンスし、更にライト液によりエッチング量5μmで選択エッチングした。
【0058】
4.処理2
(i)サンプルを純水で超音波洗浄した後、HNO:HF=5:1(体積比)のエッチング液で5分間ミラーエッチングし、次いで10分間水洗リンスを行った。
(ii)上記(i)の処理を施したサンプルを熱処理炉にローディングし、酸化性雰囲気(ドライO(=乾燥酸素100%))780℃で3時間保持後、5℃/分で1000℃まで昇温し、同温度で16時間保持した。その後2℃/分で950℃まで降温し、熱処理炉からアンロードして室温まで冷却した。
(iii)上記(ii)の処理を施したサンプルを、HO:HF=1:1(体積比)のエッチング液で3分間エッチングし、表面の酸化膜を除去した。
(iv)上記(iii)の処理を施したサンプルを、HNO:HF=5:1(体積比)のエッチング液で5分間ミラーエッチングし、次いで10分間の水洗リンスを行った。 その後、上記3.の(ii)〜(iv)の処理を施した。
【0059】
5.S1、S2の評価
上記処理1、処理2の選択エッチング後のサンプル表面を集光灯下で観察して写真を撮影した。撮影した写真を用いて、サンプルを、以下のサンプル群1とサンプル群2に分類した。サンプル群1についてはS1、サンプル群2についてはS2を計測した。
(サンプル群1)
隣接する領域よりピットが局在している最外周部リング状領域が確認され、隣接する領域よりピットが局在している中央部円盤状領域は確認されないサンプル群。したがって、S2=0である。
(サンプル群2)
隣接する領域よりピットが局在している中央部円盤状領域が確認され、隣接する領域よりピットが局在している最外周部リング状領域は確認されないサンプル群。したがって、S1は、サンプル半径である。
【0060】
6.Cuデポジション法によるDSOD良否評価
上記処理1、処理2に付した各スラグサンプルと同じインゴットから切り出したウェーハサンプルにウェーハ加工を施した後、Cuデポジション法によるDSOD良否評価を行い、所定の閾値に基づき、良品と不良品とを分類した。なお本評価には、2週間程度を要した。
【0061】
7.評価結果
サンプル群1について、S1、酸素濃度、Cuデポジション法によるDSOD良否評価結果を図5に示す。サンプル群1については、サンプルの最外周端から10mm内側の位置における酸素濃度を図5に示す。
サンプル群2については、S2、酸素濃度、Cuデポジション法によるDSOD良否評価結果を図6に示す。サンプル群2については、サンプル中心部における酸素濃度を図6に示す。
上記の酸素濃度は、赤外吸収法により測定した値である。
図5に示す破線は、一次関数y=−4.3×x+136の直線である。図5に示す結果から、サンプル群1(前述の通り、S2=0である。)については、格子間酸素濃度Oiに対して、「S1>−4.3Oi+136」をDSOD良否判定の判定基準として用いることにより、Cuデポジション法によるDSOD良否評価において良品と判定されるサンプルを、S1に基づき特定可能であることが確認できる。
一方、図6に示す破線は、y=65の直線である。図6に示す結果から、サンプル群2(前述の通り、S1はサンプル半径である。)については、「S2<65mm」をDSOD良否判定の判定基準として用いることにより、Cuデポジション法によるDSOD良否評価において良品と判定されるサンプルを、S2に基づき特定可能であることが確認できる。
【0062】
8.S1、S2に基づくDSOD良否判定
上記1.と同様に各種酸素濃度のインゴットを育成し、上記2.と同様にスラグサンプルを得た。酸素濃度7.0E17atoms/cm以下のインゴットから得たスラグサンプルには上記3.の処理1を施し、酸素濃度7.0E17atoms/cm超10.0E17atoms/cm以下のインゴットから得たスラグサンプルには上記4.の処理2を施した。
処理1、処理2の選択エッチング後のサンプル表面を集光灯下で観察して写真を撮影した。撮影した写真を用いて、サンプルを、前述のサンプル群1とサンプル群2に分類した。サンプル群1についてはS1、サンプル群2についてはS2を計測した。サンプル群1については、「S1>−4.3Oi+136」、サンプル群2については、「S2<65mm」をDSOD良否判定の判定基準として用いて、S1およびS2に基づくDSOD良否判定を行った。
処理1、処理2に付した各スラグサンプルと同じインゴットから切り出したウェーハサンプルにウェーハ加工を施した後、Cuデポジション法によるDSOD良否評価を行い、上記6.と同様の閾値に基づき、良品と不良品とを分類した。
サンプル群1について、「S1>−4.3Oi+136」を満たす30個の良品サンプルについて、同じインゴットから切り出したウェーハサンプルのCuデポジション法によるDSOD良否評価の結果、良品サンプルは29個であった。これに対し、「S1>−4.3Oi+136」を満たさない30個の不良品サンプルについて、同じインゴットから切り出したウェーハサンプルのCuデポジション法によるDSOD良否評価の結果、良品サンプルはわずか3個であった。
サンプル群2については、「S2<65mm」を満たす30個の良品サンプルについて、同じインゴットから切り出したウェーハサンプルのCuデポジション法によるDSOD良否評価の結果、良品サンプルは28個であった。これに対し、「S2<65mm」を満たさない30個の不良品サンプルについて、同じインゴットから切り出したウェーハサンプルのCuデポジション法によるDSOD良否評価の結果、良品サンプルはわずか5個であった。
以上の結果から、本発明の検査方法により、DSODの良否判定を高い信頼性をもって行うことができることが確認できる。
【0063】
9.S1、S2に基づくDSOD良否判定の結果に基づく引き上げ条件の設定
図4に示す装置を2種(装置1、装置2)用意し、各装置において、各種引き上げ条件でインゴットの育成を行った。得られたインゴットについて、前述の方法によりS1およびS2に基づくDSOD良否判定を行い、サンプル群1に分類されるサンプルについては「S1>−4.3Oi+136」を満たさないサンプルを切り出したインゴットの育成条件を変更し(引き上げ速度を下げ)、サンプル群2に分類されるサンプルについては「S2<65mm」を満たさないサンプルを切り出したインゴットの育成条件を変更し(引き上げ速度を下げ)、こうして変更した育成条件でインゴットの育成を行った。
育成条件の変更(フィードバック)前とフィードバック後にそれぞれ、得られたインゴットから切り出したウェーハサンプルにウェーハ加工を施した後、Cuデポジション法によるDSOD良否評価を行い、上記6.と同様の閾値に基づき、良品と不良品とを分類した。結果を下記表1に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
表1に示す結果から、本発明の検査方法による検査結果に基づき引き上げ条件を変更することにより、DSOD良品率向上が可能であることが確認できる。
【0066】
10.酸素濃度に関する検討
COPおよび転位クラスタを含まない各種酸素濃度のシリコン単結晶インゴットから切り出したウェーハ形状のスラグサンプルについて、上記3.の処理1または上記4.の処理2を施した後に、各処理後のサンプル表面を集光灯下で観察したところ、以下の傾向が確認された。
(1)酸素濃度が7.5E17atoms/cm以下のサンプルについては、処理1後のサンプル表面において、ピットの局在状態が鮮明に確認された。酸素濃度が7.5E17atoms/cmを超えると(特に酸素濃度が8.0E17atoms/cm以上では)、処理1後のサンプル表面ではピットが局在した領域を確認することは難しかった。
(2)酸素濃度が5.0E17atoms/cm以上10.0E17atoms/cm以下のサンプルについては、処理2後のサンプル表面において、ピットの局在状態が鮮明に確認された。酸素濃度が6.0E17atoms/cm以下では、酸素濃度が6.0E17atoms/cm超の場合と比べて、処理2後のサンプル表面の写真や画像のコントラスト(濃淡)が薄くなる傾向があり、酸素濃度が5.0E17atoms/cmを下回ると、処理2後のサンプル表面ではピットが局在した領域を確認することは難しかった。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、シリコン単結晶の製造分野において有用である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7