【文献】
Vaupotic, N. et al.,,Structure studies of the nematic phase formed by bent-core molecules,Physical Review E: Statistical, Nonlinear, and Soft Matter Physics,2009年,(2009), 80(3-1), 030701/1-030701/4
【文献】
Yoshizawa, Atsushi et al.,,Synthesis and physical properties of novel liquid crystal oligomers possessing polar terminal groups,Liquid Crystals,2007年,(2007), 34(3), 373-379
【文献】
Yu, F. C. et al.,Mesophases of Achiral Bent Molecules,Chemistry of Materials,2006年,(2006), 18(23), 5410-5420
【文献】
Yoshizawa, Atsushi et al.,,Phase transition behaviour of novel Y-shaped liquid crystal oligomers,Liquid Crystals,2006年,(2006), 33(5), 605-609
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ(LCD)は、情報を表示するために広汎に用いられている。LCDは直視ディスプレイに対し、ならびに投射型ディスプレイに対し用いられる。ほとんどのディスプレイに対して採用される電気光学方式は未だに、ねじれネマチック(TN)方式とそのさまざまな改変形である。この方式に加え、超ねじれネマチック(STN)方式および直近においては光学補償ベンド(OCB)方式および電気制御複屈折(ECB)方式が、さまざまなこれらの改変形、例えば垂直配向ネマチック(VAN)方式、パターン化ITO垂直配向ネマチック(PVA)方式、ポリマー安定化垂直配向ネマチック(PSVA)方式およびマルチドメイン垂直配向ネマチック(MVA)方式、ならびに他のものとともに、ますます使用されてきている。
【0003】
全てのこれらの方式は、基板に対し実質的に垂直な電界を、それぞれの液晶相に対して使用する。これらの方式に加え、基板、それぞれの液晶層に対し実質的に垂直な電界を採用する電気光学方式も、例えば平面内切替(短縮してIPS)方式(例えばDE 40 00 451およびEP 0 588 568において開示される)およびフリンジ電界切替(FFS)方式などもまた存在する。特に後者で述べられた電気光学方式は、良好な視野角特性および改善された応答時間を有し、近年のデスクトップモニターのLCDのため、およびTV用およびマルチメディア用のディスプレイのためにまでも、ますます用いられており、それゆえTN−LCDと競合している。
【0004】
これらのディスプレイに加え、相対的に短いコレステリックピッチを有するコレステリック液晶を使用する新規のディスプレイ方式が、いわゆる「フレキソエレクトリック」効果を活用するディスプレイにおける使用に対して提唱されてきている。用語「液晶(liquid crystal)」、「メソ形態化合物(mesomorphic compound)」、または「メソゲン化合物(mesogenic compound)」(短縮して「メソゲン」とも言及される)は、温度、圧力および濃度の好適な条件下でメソ相(mesophase)(ネマチック、スメクチック、など)として、または特にLC相として存在することができる化合物を意味する。非両親媒性のメソゲン化合物は、例えば、1種または2種以上の棒状(calamitic)、バナナ型のまたは円板状のメソゲン基を含む。
【0005】
フレキソエレクトリック液晶材料は、従来技術において公知である。フレキソエレクトリック効果は、とりわけ、Chandrasekhar, "Liquid Crystals", 2nd edition, Cambridge University Press (1992)およびand P.G. deGennes et al., "The Physics of Liquid Crystals", 2nd edition, Oxford Science Publications (1995)により記載される。
【0006】
これらのディスプレイにおいて、コレステリック液晶は「均質に位置するらせん」配置(uniform lying helix(ULH))で配向され、この表示方式もまたこの名前で称される。この目的のために、ネマチック材料と混合されたキラル物質はらせんねじれを誘発し、この材料を、コレステリック材料と等価であるキラルネマチック材料へと変形させる。用語「キラル」は一般的に、その鏡像に重ね合わせることができない対象を言い表すために用いられる。「アキラル」(非キラル)対象は、それらの鏡像と同一である対象である。用語キラルネマチックおよびコレステリックは本願において、他に明示的に示されない限り、同義に用いられる。キラル物質により誘発されるピッチ(P
0)は第1近似において、用いられるキラル物質の濃度(c)と反比例である。この関係の比例定数はキラル物質のらせんねじれ力(HTP)と呼ばれ、等式(1)により定義される。
HTP≡1/(c・P
0) (1)
式中
cは、キラル化合物の濃度である。
【0007】
均等に位置するらせんテクスチャは、典型的には0.2μm〜1μmの範囲の、好ましくは1.0μm以下の、特に0.5μm以下の、短いピッチのキラルネマチック液晶を用いていると解され、これはそのらせん軸を以って、液晶セルの、例えばガラス板などの基板に対して平行に、単向性に配向する。この構成において、キラルネマチック液晶のらせん軸は、複屈折板の光学軸に等価である。
【0008】
電界がらせん軸に垂直にこの構成へと適用される場合、表面安定化強誘電性液晶ディスプレイにおけるように強誘電性液晶のディレクタが回転するのに類似して、光学軸はセル平面において回転する。フレキソエレクトリック効果は、典型的には6μs〜100μsの範囲である迅速な応答時間を特徴とする。それはさらに、優れたグレースケール能を特徴とする。
【0009】
電界は、光学軸におけるチルトにより順応されるディレクタにおけるスプレイベンド構造を誘発する。軸の回転角は、第1近似において、電解強さに正比例および線形比例する。液晶セルが交差偏光板の間に、電力なしの状態における該偏光板の1つの吸収軸に対して22.5°の角度の光学軸を以って配置される場合、光学効果は最も良好に見ることができる。22.5°のこの角度はまた電界の回転の理想角でもあり、このため、電界の反転により、光学軸は45°回転し、らせん軸の優先方向の相対配向の適切な選択により、光学軸を1つの偏光板に平行から両方の偏光板の間の中心角へと切り替えることができる。および最適のコントラストは、光学軸の切替の合計角度が45°であるときに達成される。その場合、光学遅延、すなわち液晶の有効複屈折およびセルギャップの積が波長の4分の1であるように選択されるならば、切替可能な4分の1波長板としての配置を用いることができる。他に明示的に述べられなければ、本文脈において波長は、550nm、ヒトの目の感度が最も高い波長に言及する。
【0010】
光学軸の回転角度(Φ)は、式(2)により良好な近似で与えられる。
【数1】
式中
P
0は、コレステリック液晶の不攪乱(undisturbed)ピッチであり、
【数2】
は、スプレイフレキソエレクトリック係数(e
スプレイ)およびベンドフレキソエレクトリック係数(e
ベンド)の平均
【数3】
であり、
Eは、電界強さであり、および
Kは、スプレイ弾性定数(k
11)およびベンド弾性定数(K
33)の平均[K=2/1(k
11+k
33)]であり、
およびここで
【数4】
は、フレキソ弾性率と呼ばれる。
【0011】
この回転角は、フレキソエレクトリック切替素子における半分の切替角度である。
【0012】
この電気光学効果の応答時間(τ)は、式(3)により良好な近似で与えられる。
τ=[P
0/(2π)]
2・γ/K (3)
式中
γは、らせんの変形に関連する有効粘性率である。
【0013】
等式(4)から得ることができる、らせんを解く臨界磁場(E
c)が存在する。
E
c=(π
2/P
0)・[k
22/(ε
0・Δε)]
1/2 (4)
式中
k
22は、ねじれ弾性定数であり、
ε
0は、真空の誘電率であり、および
δεは、液晶の誘電異方性である。
【0014】
しかしこの方式において、とりわけ、必要とされる均等な配向を獲得する際の困難、一般の駆動電圧と互換性のない、アドレスに要する不利に高い電圧、コントラストを悪化させる、あまり暗くない「オフ状態」、および大事なことだが電気光学特性における顕著なヒステリシスという、いくつかの問題が未だに解決されずにいる。
【0015】
相対的に新しい表示方式、いわゆる均質起立(uniformly standing)らせん(USH)方式は、広い視野角を提供する他の表示方式(例えば、IPS、VAなど)と比較さえしても、改善された黒色レベルを示すため、IPSに引き続く代替の方式として考えられ得る。
【0016】
USH方式のために、例えばULH方式のためになどのように、ビメソゲン液晶材料を用いる、フレキソエレクトリック切替が提唱されてきている。ビメソゲン化合物は、従来技術から一般に公知である(Hori, K., Iimuro, M., Nakao, A., Toriumi, H., J. Mol. Struc. 2004, 699, 23-29もまた参照)。用語「ビメソゲン化合物」は、分子内に2つのメソゲン基を含む化合物に関する。ちょうど通常のメソゲンのように、これらは、その構造に依存して、多くのメソ相を形成する。特に、式Iで表される化合物は、ネマチック液晶媒体に添加されると、第2のネマチック相を誘発する。
【0017】
用語「メソゲン基」は、本文脈において、液晶(LC)相挙動を誘発する能力を有する基を意味する。メソゲン基を含む化合物は、自体、必ずしもLC相を呈しなければならないわけではない。それらが他の化合物との混合物においてのみLC相挙動を示すこともまた可能である。単純化のため、用語「液晶」は本明細書において、メソゲン材料およびLC材料の両方に対して用いられる。
【0018】
しかし、好ましくなく高い必要な駆動電圧のため、キラルネマチック材料の相対的に狭い相範囲のため、およびそれらの不可逆的な切替特性のため、従来技術からの材料は現行のLCD駆動スキームでの使用にふさわしくない。
【0019】
USHおよびULH方式のディスプレイのために、改善された特性を有する新規の液晶媒体が必要である。特に、複屈折(Δn)は最適な方式のために最適化されるべきである。本明細書において複屈折Δnは、等式(5)において定義される。
Δn=n
e−n
o (5)
式中、n
eは異常屈折率でありおよびn
oは通常屈折率であり、および平均屈折率n
av.は以下の等式(6)により与えられる。
n
av.=[(2n
o2+n
e2)/3]
1/2 (6)
【0020】
異常屈折率n
eおよび通常屈折率n
oは、Abbe屈折計を用いて測定することができる。Δnは、等式(5)から計算することができる。
【0021】
さらに、USHおよびULH方式を利用するディスプレイのために、液晶媒体の光学遅延d
*Δn(有効)は好ましくは以下の等式
sin2(π・d・Δn/λ)=1 (7)
式中
dは、セルギャップであり、および
λは、光の波長である
を充足するようにあるべきである。等式(7)の右手側に関する偏差の許容は、+/−3%である。
【0022】
本願において通常言及される光の波長は、他に明示的に特定されない限り550nmである。
セルのセルギャップは、好ましくは1μm〜20μmの範囲であり、特に2.0μm〜10μmの範囲内である。
【0023】
ULH/USH方式に対し、誘電異方性(Δε)は、アドレス電圧の印加の際にらせんが解けるのを防ぐために、できるだけ小さくあるべきである。好ましくは、0よりわずかに大きく、極めて好ましくは0.1以上であり、しかし好ましくは10以下、より好ましくは7以下、最も好ましくは5以下である。本願において用語「誘電的に正」は、Δε>3.0を有する化合物または成分に対して用いられ、「誘電的にニュートラル」は−1.5≦Δε≦3.0を有するもの、および「誘電的に負」はΔε<−1.5を有するものである。Δεは、1kHzの周波数においておよび20℃において決定される。それぞれの化合物の誘電異方性は、ネマチックホスト混合物におけるそれぞれの個々の化合物の10%の濃度の結果から決定される。
【0024】
ホスト媒体におけるそれぞれの化合物の溶解度が10%未満である場合、その濃度を2の倍数で、得られる媒体が安定して、その特性を決定できるようになるまで、低減させる。しかし、好ましくは、結果の優位性をできるだけ高く保つために、濃度は少なくとも5%に保たれる。試験混合物の容量は、ホメオトロピック配向を有するおよびホモジニアス配向を有するセルの両方で決定される。両方のタイプのセルのセルギャップは、約20μmである。印加電圧は1kHzの周波数を有する矩形波で、二乗平均平方根値は0.5V〜1.0Vであるが、常にそれぞれの試験混合物の容量しきい値の下となるように選択される。
【0025】
Δεは(ε
││−ε
⊥)で定義され、一方でε
avは(ε
││+2ε
⊥)/3で定義される。化合物の誘電体誘電率は、対象の化合物を添加した際のホスト混合物のそれぞれの値の変化から決定される。値は、100%の対象の化合物の濃度へと外挿される。典型的なホスト混合物はH.J. Coles et al., J. Appl. Phys. 2006, 99, 034104に開示され、以下の表に示される組成を有する。
【0026】
【表1】
【0027】
上述のパラメーターに加えて、媒体は好適に広汎な範囲のネマチック相、かなり小さな回転粘度および少なくとも適度に高度な比抵抗を呈する。
【0028】
フレキソエレクトリックデバイスのための短いコレステリックピッチを有する類似の液晶組成物は、EP 0 971 016、GB 2 356 629およびColes, H.J., Musgrave, B., Coles, M.J., and Willmott, J., J. Mater. Chem., 11, p. 2709-2716 (2001)から公知である。EP 0 971 016は、自体高度なフレキソエレクトリック係数を有する、メソゲン性エストラジオールを報告する。GB 2 356 629は、フレキソエレクトリックデバイスにおけるビメソゲン化合物の使用を提唱する。フレキソエレクトリック効果は、本明細書中において、純粋なコレステリック液晶化合物中で、およびある程度まで同族の化合物の混合物中で調査されてきた。これらの化合物のほとんどは、キラル添加物ならびに単純な従来のモノメソゲン性材料であるかまたはビメソゲンのもののいずれかであるネマチック液晶材料からなる二元混合物中で用いられた。これらの材料は、不十分に広い温度範囲のキラルネマチックまたはコレステリック相、小さすぎるフレキソエレクトリック比、小さな回転角度など、実用的用途のためのいくつかの欠点を有する。
【0029】
液晶挙動を示す対称な二量体化合物は、Joo-Hoon Park et al. “Liquid Crystalline Properties of Dimers Having o-, m- and p- Positional Molecular structures”, Bill. Korean Chem. Soc., 2012, Vol. 33, No. 5, pp. 1647-1652に開示されている。
【0030】
本発明の1つの目的は、高度なスイッチ角および迅速な応答時間を呈する改善されたフレキソエレクトリックデバイスを提供することにあった。もう1つの目的は、特に機械的せん断工程を用いずにディスプレイセルの全領域にわたって良好な均質な配向を実現するフレキソエレクトリックディスプレイにおいて使用するための、有利な特性、良好なコントラスト、高度なスイッチ角および迅速な応答時間を低温においてでさえも有する、液晶材料を提供することにあった。液晶混合物および好ましくはまた単一の化合物は、低い融点、広汎なキラルネマチック相範囲、短い温度非依存性ピッチ長および高いフレキソエレクトリック(flexoelectric)係数を呈するべきである。本発明の他の目的は、以下の詳細な説明から当業者には直ちに自明である。
【発明の概要】
【0031】
本発明者らは、上記の目的は、驚くべきことに、本発明によるビメソゲン化合物を提供することにより達成できることを見出した。これらの化合物は、キラルネマチック液晶混合物において用いられるとき、低い融点、広汎なキラルネマチック相を誘導する。特に、これらは、相対的に高い値の弾性定数k
11、低い値のベンド弾性定数k
33および高い値のフレキソエレクトリック係数を呈する。
【0032】
したがって、本発明は、式I
【化2】
式中
R
11およびR
12は、各々独立して、H、F、Cl、CN、NCSまたは1〜25個のC原子を有し、非置換であってもよいか、ハロゲンもしくはCNにより単置換もしくは多置換されていてもよい直鎖状もしくは分枝状アルキル基であり、また1または2以上の非隣接CH
2基が各出現において互いに独立して、−O−、−S−、−NH−、−N(CH
3)−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−または−C≡C−により、酸素原子が互いに直接結合しないように置き換えられていることが可能であり、好ましくは極性基、より好ましくはF、Cl、CN、OCF
3またはCF
3、より好ましくはFまたはCl、最も好ましくはFであり、
【0033】
MG
11およびMG
12は、各々独立してメソゲン基であり、それは、1つ、2つまたは3つ以上の6原子環を含み、2つまたは3つ以上の6原子環を含む場合においては、これらの少なくとも2つは、好ましくは結合基−CO−O−、−O−CO−、−CH
2−O−、−O−CH
2−、−CF
2−O−および−O−CF
2−の群から選択された2原子結合基によって結合していてもよく、
【0034】
MG
11は、1つの(a)(つまり1つの(one))1,3−フェニレンであるかまたはそれを含み、式中、任意に、1または2の非隣接CH基は、各々、N原子によって置き換えられていてもよく、かつそれは任意に、1個もしくは2個以上のハロゲン原子、好ましくはFおよび/もしくはClによって、ならびに/または各々独立して1〜9個のC原子を有する1つもしくは2つ以上のアルキル基によって、好ましくは1〜9個のC原子を有する1つのアルキル基によって、ならびに/または各々独立して1〜9個のC原子を有する1つまたは2つ以上のアルコキシ基(単数もしくは複数)によって、好ましくは1〜9個のC原子を有する1つのアルコキシ基によって置換されており、任意に前記1,3−フェニレンは、1〜5個のC原子を有する少なくとも1つのアルキル基によって、好ましくはCH
3によって、もしくはC
2H
5によって、および/または1〜4個のC原子を有する、つまりn=1、2、3もしくは4である少なくとも1つのアルコキシ基−O−C
nH
2n+1によって置換されており、
好ましくは、この環は、基Sp
1に結合しているかまたは隣接しており、
【0035】
Sp
1は、1、2、3、4または5〜40個のC原子を含むスペーサー基であり、ここで1つまたは2つ以上の非隣接かつ非末端CH
2基はまた、−O−、−S−、−NH−、−N(CH
3)−、−CO−、−O−CO−、−S−CO−、−O−COO−、−CO−S−、−CO−O−、−CH(ハロゲン)−、−CH(CN)−、−CH=CH−または−C≡C−により置き換えられていてもよいが、2個のO原子は互いに隣接せず、2つの−CH=CH−基は互いに隣接せず、−O−CO−、−S−CO−、−O−COO−、−CO−S−、−CO−O−および−CH=CH−から選択される2つの基は、互いに隣接せず、好ましくは−(CH
2)
n−(つまりn個のC原子を有する1,n−アルキレン)、ここでnは整数、好ましくは2〜19、より好ましくは2〜11、最も好ましくは偶数の整数(つまり2、4、6、8または10)であり、ここで−(CH
2)
n−中の1個もしくは2個以上のH原子は、互いに独立して任意にFもしくはCH
3によって置き換えられていてもよく、ならびに/または1つもしくは2つ以上の非隣接−CH
2−基は、−O−によって置き換えられていてもよく、
【0036】
X
11およびX
12は、各々、互いに独立して、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CF
2−O−、−O−CF
2−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−S−、−CS−S−、−S−CS−、−CO−S−、−S−CO−、−S−CO−S−および−S−CS−S−または単結合から選択された、
好ましくは−O−、−CO−O−、−O−CO−、−S−CO−および−CO−S−または単結合、
最も好ましくは−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−または−CO−O−から選択された基であり、
【0037】
しかし、−X
11−Sp
1−X
12−において、2つのO原子は互いに隣接せず、2つの−CH=CH−基は互いに隣接せず、および−O−CO−、−S−CO−、−O−COO−、−CO−S−、−CO−O−および−CH=CH−から選択される2つの基は互いに隣接しない条件下においてである、
で表されるビメソゲン化合物に関する。
【0038】
好ましくは、MG
11は、1,3−フェニレンであるかまたは1,3−フェニレン部分を含む。
好ましくは、式Iにおいて、
−X
11−Sp
1−X
12−は、−O−CO−Sp
1−CO−O−、−O−Sp
1−O−、−Sp
1−または−S−CO−Sp
1−CO−S−であり、
Sp
1は、−(CH
2)
n−であり、これと共に
nは、1、2、3、4または5〜15の整数、最も好ましくは偶数の整数および最も好ましくは6または8であり、
ここで、−(CH
2)
n−中の1個または2個以上のH原子は、互いに独立して、任意にFもしくはCH
3によって置き換えられていてもよく、かつ/または1つもしくは2つ以上の隣接していない−CH
2−基は、−O−によって置き換えられていてもよい。
【0039】
式Iで表される好ましい化合物は、
MG
11が(部分)式II*
−A*
11−(Z*
11−A*
12)
k− II*
で表される基であり、
および
MG
12が(部分)式II
−A
11−(Z
11−A
12)
l− II
で表される基であり
【0040】
式中
Z
11およびZ*
11は、互いに独立して、各出現において、単結合、任意に1個または2個以上のFで置換されている−COO−、−OCO、−O−CO−O−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−、−CF
2O−、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−CF
2CF
2−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−または−C≡C−、好ましくは単結合であり、
【0041】
MG
11中に存在するA*
11およびA*
12の1つは、1,3−フェニレンであり、ここで任意に、1つまたは2つの非隣接CH基は、各々、N原子によって置き換えられていてもよく、かつそれは、任意に、1個もしくは2個以上のハロゲン原子によって、および/または、各々独立して1〜9個のC原子を有する1つもしくは2つ以上のアルキル基によって、好ましくは1〜9個のC原子を有する1つのアルキル基によって、または、各々独立して1〜9個のC原子を有する1つもしくは2つ以上のアルコキシ基によって、好ましくは1〜9個のC原子を有する1つのアルコキシ基によって置換されており、
任意に前記1,3−フェニレンは、1〜5個のC原子を有する少なくとも1つのアルキル基によって、好ましくはCH
3によって、もしくはC
2H
5によって、および/または少なくとも1つのアルコキシ基によって置換されており、ならびに
【0042】
MG
11中に存在するA*
11およびA*
12の他方ならびにA
11およびA
12は、各々、互いに独立して、各出現において、さらに1つまたは2つ以上のCH基はNによって置き換えられていてもよい1,4−フェニレン、さらに1つまたは2つの非隣接CH
2基がOおよび/またはSによって置き換えられていてもよいトランス−1,4−シクロ−ヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−ビシクロ−(2,2,2)−オクチレン、ピペリジン−1,4−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、デカヒドロ−ナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2,6−ジイル、シクロブタン−1,3−ジイル、スピロ[3.3]ヘプタン−2,6−ジイルまたはジスピロ[3.1.3.1]デカン−2,8−ジイルであり、すべてのこれらの基は、非置換、F、Cl、CNまたは1〜7個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニルもしくはアルコキシカルボニル基で単、二、三または四置換されていることが可能であり、ここで1個または2個以上のH原子は、FまたはClによって置換されてもよく、好ましくはF、Cl、CH
3またはCF
3であり、ならびに
kおよびlは、互いに独立して0、1、2、3または4、好ましくは1、2または3および最も好ましくは1または2である、
化合物である。
【0043】
式Iで表される化合物であって、式中メソゲン基MG
11およびMG
12がそれぞれの出現において互いに独立して1つ、2つまたは3つの6員環、好ましくは2つまたは3つの6員環を含む該化合物が、特に好ましい。
【0044】
式IIで表される好ましいメソゲン基MG
12の下位概念を以下に一覧する。単純化の理由のため、これらの基におけるPheは1,4−フェニレンまたはアルキル−1,4−フェニレンであり、PheLは1〜4個の基で置換されているフェニレン、ここでLは好ましくはF、Cl、CN、OH、NO
2または1〜7個のC原子を有する任意にフッ素化されたアルコキシまたはアルカノイル基、とても好ましくはF、Cl、CN、OH、NO
2、CH
3、C
2H
5、OCH
3、OC
2H
5、COCH
3、COC
2H
5、COOCH
3、COOC
2H
5、CF
3、OCF
3、OCHF
2、OC
2F
5、特にF、Cl、CN、CH
3、C
2H
5、OCH
3、COCH
3およびOCF
3、最も好ましくはF、Cl、CH
3、OCH
3およびCOCH
3であり、ならびにCycは1,4−シクロヘキシレンである。この一覧は、以下に示す副次式ならびにそれらの鏡像を含む。
【0046】
式中、好ましくは
Cycは、1,4−シクロへキシレン、好ましくはトランス−1,4−シクロヘキシレンであり、
Pheは、1,4−フェニレンまたはアルキル−1,4−フェニレンであり、
PheLは、1つ、2つまたは3つのフッ素原子により、1つまたは2つのCl原子によりあるいは1つのCl原子および1つのF原子により置換されている、1,4−フェニレンであり、および
Zは、部分式IIのもとで与えられるZ
11の意味の1つを有し、少なくとも1つは好ましくは−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−または−CF
2O−から選択される。
【0047】
特に好ましいのは、副次式II−1、II−4、II−5、II−7、II−8、II−14、II−15、II−16、II−17、II−18およびII−19であり、および最も好ましいのは、副次式II−1である。
【0048】
式II*で表される好ましいメソゲン基MG
11のより小さな群を、以下に列挙する。ここで、同一の略語は、上の式II−1〜II−26の下で示したそれぞれの意味を有し、単純の理由のために、これらの基中のPhe*は、1,3−フェニレン、4−アルキル−1,3−フェニレンまたは4−アルコキシ−1,3−フェニレンであり、Phe*Lは、1〜4つの基Lによって、好ましくは1つもしくは2つの基Lによって置換されている1,3−フェニレン基、または4−アルキル−1,3−フェニレンもしくは4−アルコキシ−1,3−フェニレンであり、それは、1〜3つの基Lによって、好ましくは1つの基Lによって置換されており、各場合におけるLは、独立して、好ましくは、F、Cl、CN、OH、NO
2または、1〜7個のC原子を有する任意にフッ素化されたアルコキシもしくはアルカノイル基、とても好ましくはF、Cl、CN、OH、NO
2、CH
3、C
2H
5、OCH
3、OC
2H
5、COCH
3、COC
2H
5、COOCH
3、COOC
2H
5、CF
3、OCF
3、OCHF
2、OC
2F
5、特にF、Cl、CN、CH
3、C
2H
5、OCH
3、COCH
3およびOCF
3、最も好ましくはF、Cl、CH
3、OCH
3およびCOCH
3であり、Cycは、1,4−シクロヘキシレンである。このリストは、以下に示す副次式およびそれらの鏡像を含む。
【0050】
式中、好ましくは、
Cycは、1,4−シクロヘキシレン、好ましくはトランス−1,4−シクロヘキシレンであり、
Phe*は、1,3−フェニレンまたはアルキル−1,3−フェニレンであり、
Pheは、1,4−フェニレンまたはアルキル−1,4−フェニレンであり、1,3−フェニレンを含み、
Phe*Lは、1,3−フェニレンであり、それは、1、2もしくは3個のフッ素原子によって、1もしくは2個のCl原子によって、または1個のCl原子および1個のF原子によって置換されており、
【0051】
PheLは、1,4−フェニレンであり、それは、1、2もしくは3個のフッ素原子によって、1もしくは2個のCl原子によって、または1個のCl原子および1個のF原子によって置換されており、ならびに
Zは、部分式II*の下で示したZ*
11の意味の1つを有し、少なくとも1つは、好ましくは−COO−、−OCO、−O−CO−O−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−または−CF
2O−から選択される。
【0052】
特に好ましいのは、副次式II*−1、II*−4、II*−5、II*−7、II*−8、II*−14、II*−15、II*−16、II*−17、II*−18およびII*−19であり、最も好ましいのは、副次式II*−1である。
これらの好ましい基において、Zはそれぞれ場合において独立して、式Iのもとで与えられるZ
11の意味の1つを有する。好ましくは、Zの1つは−COO−、−OCO−、−CH
2−O−、−O−CH
2−、−CF
2−O−または−O−CF
2−、より好ましくは−COO−、−O−CH
2−または−CF
2−O−であり、および他のものは好ましくは単結合である。
【0053】
とても好ましくは、メソゲン基MG
11は、以下の式II*a1〜II*d2およびそれらの鏡像から選択される。
【表2】
【0054】
式中
Zは、部分式II*の下で示したZ*
11の意味の1つを有し、少なくとも1つは、好ましくは−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−または−CF
2O−から選択される。
Lは、各出現において互いに独立してR、FまたはCl、好ましくはRまたはFであり、
rは、各出現において互いに独立して0、1、2または3、好ましくは0、1または2であり、
【0055】
sは、0、1または2、好ましくは0または1であり、
Rは、1〜5個のC原子を有するアルキル、好ましくはn−アルキル、より好ましくはメチルまたはエチルであり、ならびに
R
13は、1〜9個のC原子を有するアルキルまたは1〜9個のC原子を有するアルコキシ、好ましくは1〜5個のC原子を有するアルキル、好ましくはn−アルキル、より好ましくはメチルまたはエチルである。
【0056】
好ましいのは、式II*a1、II*b1およびII*c1であり、特に好ましいのは、II*a1である。
【化3】
式中
Lは、各出現において互いに独立して上に定義したR、FまたはClである。
【0057】
【化4】
式中
Lは、各出現において互いに独立して上に定義したR、FまたはClであり、ならびに
R
13は、上に定義した通りであり、好ましくはアルキルまたはアルコキシ基である。
【0058】
とても好ましくは、メソゲン基MG
12は、以下の式IIa〜IIoおよびそれらの鏡像から選択される。
【表3】
【0060】
式中
Lはそれぞれの出現において互いに独立して、R、FまたはCl、好ましくはRまたはFであり、
rはそれぞれの出現において互いに独立して、0、1、2または3、好ましくは0、1または2である。
【0061】
【化5】
式中
Lは、各出現において互いに独立してR、FまたはClであり、
Rは、1〜5個のC原子を有するアルキル、好ましくはn−アルキル、より好ましくはメチルまたはエチルである。
特に好ましいのは、副次式IIa、IIbおよびIIcである。
【0062】
最も好ましくは、MG
11は、以下の式II*a2−1およびII*c2−1から選択される。
【表5】
【0063】
式中
R
13は、上に示した意味を有するか、または任意にHであってもよく、好ましくは1〜5個のC原子を有するアルキルまたは1〜5個のC原子を有するアルコキシ、好ましくはn−アルキルまたはn−アルコキシ、より好ましくはメチルもしくはエチルまたは1〜3個のC原子を有するアルコキシであり、最も好ましくはメチルである。
【0064】
非極性基を有する化合物の場合、R
11およびR
12は好ましくは、15個までのC原子を有するアルキルまたは2〜15個のC原子を有するアルコキシである。
【0065】
R
11およびR
12がアルキルまたはアルコキシラジカル、つまり、末端CH
2基が−O−により置き換えられている場合、これは直鎖または分枝であってもよい。好ましくは直鎖であり、2、3、4、5、6、7または8個の炭素原子を有し、よって好ましくは、例えば、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、ヘプトキシ、または、オクトキシ、さらにメチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ノノキシ、デコキシ、ウンデコキシ、ドデコキシ、トリデコキシまたはテトラデコキシである。
【0066】
オキサアルキル、つまり1つのCH
2基が−O−により置き換えられているものは、好ましくは、例えば、直鎖状2−オキサプロピル(=メトキシメチル)、2−(=エトキシメチル)または3−オキサブチル(=2−メトキシエチル)、2−、3−または4−オキサペンチル、2−、3−、4−または5−オキサヘキシル、2−、3−、4−、5−または6−オキサヘプチル、2−、3−、4−、5−、6−または7−オキサオクチル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−オキサノニルまたは2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−または9−オキサデシルである。
【0067】
末端極性基を有する化合物の場合、R
11およびR
12は、CN、NO
2、ハロゲン、OCH
3、OCN、SCN、COR
x、COOR
xまたは1〜4個のC原子を有する単フッ素化、オリゴフッ素化または多フッ素化アルキルまたはアルコキシ基から選択される。R
xは、1〜4個、好ましくは1〜3個のC原子を有する任意にフッ素化されたアルキルである。ハロゲンは好ましくは、FまたはCl、より好ましくはFである。
【0068】
式Iにおける特に好ましいR
11およびR
12は、H、F、Cl、CN、NO
2、OCH
3、COCH
3、COC
2H
5、COOCH
3、COOC
2H
5、CF
3、C
2F
5、OCF
3、OCHF
2、および特にH、F、Cl、CN、OCH
3およびOCF
3、殊にH、F、CNおよびOCF
3から選択される。
【0069】
加えて、アキラル分枝基R
11および/またはR
12を含有する式Iで表される化合物は、例えば、結晶化に対する傾向の低減のために、時に重要であり得る。この種の分枝基は一般的に、1つより多い鎖分枝を含有しない。好ましいアキラル分枝基は、イソプロピル、イソブチル(=メチルプロピル)、イソペンチル(=3−メチルブチル)、イソプロポキシ、2−メチル−プロポキシおよび3−メチルブトキシである。
【0070】
スペーサー基Sp
1は好ましくは、1、3または5〜40個のC原子、特に1、3または5〜25個のC原子、とても好ましくは1、3または5〜15個のC原子、および最も好ましくは5〜15個のC原子を有する線状または分枝アルキレン基であり、ここで、加えて、1個または2個以上の非隣接かつ非末端CH
2基は、−O−、−S−、−NH−、−N(CH
3)−、−CO−、−O−CO−、−S−CO−、−O−COO−、−CO−S−、−CO−O−、−CH(ハロゲン)−、−CH(CN)−、−CH=CH−または−C≡C−により置き換えられていてもよい。
【0071】
「末端の」CH
2基は、それぞれの結合基「X
11」および/もしくは「X
11」に、またはそれぞれのメソゲン性基MG
11および/もしくはMG
12に直接結合したものである。したがって、「非末端」CH
2基は、それぞれの結合基「X
11」および/もしくは「X
11」に、またはそれぞれのメソゲン性基MG
11および/もしくはMG
12に直接結合していない。
【0072】
典型的なスペーサー基は例えば、−(CH
2)
o−、−(CH
2CH
2O)
p−CH
2CH
2−であり、ここでoは5〜40の、特に5〜25の、極めて好ましくは5〜15の整数であり、およびpは1〜8の整数、特に1、2、3または4である。
【0073】
好ましいスペーサー基は、例えば、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、オクタデシレン、ジエチレンオキシエチレン、ジメチレンオキシブチレン、ペンテニレン、ヘプテニレン、ノネニレンおよびウンデセニレンである。
【0074】
式Iで表される本発明の化合物であって、式中Spが5〜15個のC原子を有するアルキレンを示している該化合物が、特に好ましい。直鎖状アルキレン基が特に好ましい。
【0075】
好ましいのは、奇数個のC原子を有する、好ましくは5、7、9、11、13または15個のC原子を有する直鎖状アルキレンであるスペーサー基であり、とても好ましいのは、7、9および11個のC原子を有する直鎖状アルキレンスペーサーである。
【0076】
本発明の別の態様において、スペーサー基は、偶数個のC原子を有する、好ましくは6、8、10、12および14個のC原子を有する直鎖状アルキレンである。この態様は、X
11およびX
12の1つが1個の原子からなる、つまり−S−もしくは−O−であるか、または3個の原子からなる、例えば−S−CO−、−S−CO−S−もしくは−S−CS−S−であり、他方が1または3個のC原子からならない場合に、特に好ましい。
【0077】
式Iで表される本発明の化合物が含む本発明の好ましい態様において、Sp
1は、5〜15個のC原子を有する完全な重水素化アルキレンを示す。とても好ましいのは、重水素化された直鎖状アルキレン基である。最も好ましいのは、部分的に重水素化された直鎖状アルキレン基である。
【0078】
本発明の1つの好ましい態様は、式Iで表され、式中メソゲン性基R
11−MG
11−X
11−およびR
12−MG
12−X
12−が互いに対して同一である化合物である。
本発明の別の好ましい態様は、式Iで表され、式中式I中のR
11−MG
11−X
11−およびR
12−MG
12−X
12−が互いに対して異なる化合物である。
【0079】
式Iで表される好ましい化合物は、式IA〜IEおよびIA’〜IE’で表される、好ましくは式IAおよび/またはICで表される化合物の群から選択される。
【化6】
【0083】
式中、
LG
1は−X
11−Sp
1−X
12であり、
および
パラメーターは好ましい意味を含む上に示したそれぞれの意味を有し、
【0084】
好ましくは、1,3−フェニレン環の少なくとも1つは、アルキル基Rおよび/もしくはアルコキシ基(R−O)によって、ならびに/または1個もしくは2個以上のFもしくはCl原子によって、好ましくは1つのアルキル基および/または1個もしくは2個以上のF原子によって置換されており、1,4−フェニレン環のすべては、任意にさらに1個または2個以上のFまたはCl原子によって、好ましくはせいぜい1個のClによって、または各々1個もしくは2個のF原子によって置換されており、ならびに
【0085】
LG
1は、好ましくは−O−CO−Sp
1−CO−O−、−O−Sp
1−O−、−Sp
1−または−S−CO−Sp
1−CO−S−、より好ましくは−O−CO−Sp
1−CO−O−、−O−Sp
1−O−または−Sp
1−であり、
Sp
1は、好ましくは−(CH
2)
n−であり、これと共に
nは、1〜15の整数、最も好ましくは偶数の整数および最も好ましくは2、4、6または8である。
【0086】
式IAで表される特に好ましい化合物は、式IA−1〜IA−3で表される化合物の群から選択される。
【化10】
【0087】
式中、パラメーターは、好ましい意味を含む上に示したそれぞれの意味を有し、
好ましくは、R
11およびR
12は、互いに独立して上に定義したようにOCF
3、CF
3、FまたはCN、より好ましくはFまたはCNおよび最も好ましくはCNである。
【0088】
特に好ましい化合物は、側方位において(つまりLとして)0、2つまたは4つのF原子を担持する、上で与えられる式の群から選択される。
本発明の好ましい態様において、R
11は、OCF
3またはCN、好ましくはCNであり、R
12は、OCF
3、FまたはCN、好ましくはまたCNである。
【0089】
式Iで表される化合物は、自体公知のおよび有機化学の標準的著作物、例えばHouben-Weyl, Methoden der organischen Chemie, Thieme-Verlag, Stuttgartなどに記載される方法に従ってまたは同様に合成することができる。好ましい製造方法は、以下の合成スキームから獲得することができる。
【0090】
式Iで表される化合物は、好ましくは以下の一般的な反応スキームに従ってアクセス可能である。
反応スキームI
【化11】
【0091】
式中、nは、2〜15の整数、好ましくは2、4、6または8、好ましくは偶数の整数および最も好ましくは6または8であり、Rは、独立して各出現においてR
11について示した意味の1つを有し、第2の出現においてあるいはまた、これらの基の好ましい意味を含むR
12について示した追加の意味の1つを有してもよく、連続的反応の条件は、以下のとおりである:
a) Pd(PPh
3)
2Cl
2、CuI、ジイソプロピルアミン(NH(iPr.)
2)、THF;
b) Pd(PPh
3)
2Cl
2、CuI、NH(iPr)
2、THF;
c) Pt/C、H
2;および
d) Pd(PPh
3)
2Cl
2、THF、NaCO
3、H
2O。
【0092】
このスキームおよび以下のスキームに示すすべてのフェニレン部分は、互いに独立して任意に1、2または3個、好ましくは0個または1個のFまたはCl、好ましくはF原子を保有していてもよい。
【0093】
かかるフッ素化された化合物の製造のための例示的な反応スキームを、以下のスキーム中に示す。
反応スキームII
【化12】
【0094】
式中、nは、0、1、2、3の、または4〜15の、好ましくは3、4、5、6、7または8の整数であり、連続的反応の条件は、以下のとおりである:
a) Pd(dppf)Cl
2、Na
2CO
3、H
2O、ジオキサン;
b) K
2CO
3、(CH
3)
2CO;および
c) K
2CO
3、(CH
3)
2CO。
【0095】
反応スキームIII
【化13】
式中、nは、0、1、2、3、4または5〜15、好ましくは3、4、5、6、7または8の整数であり、連続的反応の条件は、以下のとおりである:
a) Pd(dppf)Cl
2、Na
2CO
3、H
2O、ジオキサン;
b) DCC、DMAP、DCM;および
c) DCC、DMAP、DCM。
【0096】
反応スキームIV(非対称化合物)
【化14】
式中、nは、0、1または2〜15、好ましくは3、4、5、6、7または8の整数であり、ならびに連続的反応の条件は、以下のとおりである:
a) Pd(dppf)Cl
2、Na
2CO
3、H
2O、ジオキサン;
b) Pd(PPh
3)
2Cl
2、THF、NaCO
3、H
2O;
c) Pd(dppf)Cl
2、K
2CO
3、THF;
d) (C
2H
5)
3N、THF;
e) Pd(PPh
3)
4、K
3PO
4、ジオキサン;
f) TFAA、DCM;
g) TBAF、THF;および
h) TFAA、DCM。
【0097】
本発明のもう1つの目的は、液晶媒体における式Iで表されるビメソゲン化合物の使用である。
【0098】
式Iで表される化合物は、ネマチック液晶混合物へと添加されるとき、ネマチックの下の層を作り出す。本文脈において、ネマチック液晶混合物に対するビメソゲン化合物の影響の最初の示唆は、Barnes, P.J., Douglas, A.G., Heeks, S.K., Luckhurst, G.R., Liquid Crystals, 1993, Vol.13, No.4, 603- 613により報告された。この参考文献は、高度に極性なアルキルスペーサー性二量体を例示し、ネマチックの下の相を認識し、これをスメクチックの1タイプであると結論付けている。
【0099】
ネマチック相の下に存在するメソ相の写真証拠は、Henderson, P.A., Niemeyer, O., Imrie, C.T. in Liquid Crystals, 2001, Vol. 28, No.3, 463-472により刊行されたが、さらには調査されなかった。
【0100】
Liquid Crystals, 2005, Vol. 32, No. 11-12, 1499-1513 Henderson, P.A., Seddon, J.M. and Imrie, C.T.において、ネマチックの下の新しい相が、いくつかの特別な例において、スメクチックC相に属することが報告された。第1のネマチックの下の追加のネマチック相が、Panov, V.P., Ngaraj, M., Vij, J.K., Panarin, Y.P., Kohlmeier, A., Tamba, M.G., Lewis, R.A. and Mehl, G.H. in Phys.Rev.Lett. 2010, 105, 1678011 -1678014により報告された。
【0101】
本文脈において、式Iで表される新しい、本発明のビメソゲン化合物がまた、第2のネマチック相として割り当てられている新規のメソ相を示す。このメソ相は、元来のネマチック液晶相よりも下の温度において存在し、本願により提供される独自の混合物概念において観察されてきている。
【0102】
従って、本発明による式Iで表されるビメソゲン化合物は、第2のネマチック相をが、通常はこの相を有しないネマチック混合物において誘発せしめることを許容する。さらに、式Iで表される化合物の量を変化させることにより、第2のネマチックの相挙動を必要な温度へと合わすことを許容する。
【0103】
それゆえ本発明は、式Iで表される少なくとも1種の化合物を含む液晶媒体に関する。
【0104】
本発明による混合物のいくつかの好ましい態様を、以下に示す。
【0105】
式Iで表される化合物であって、式中メソゲン性基MG
11およびMG
12は、それぞれの出現において互いに独立して、1つ、2つまたは3つの6員環、好ましくは2つまたは3つの六員環を含む。
【0106】
部分式II−1、II−4、II−6、II−7、II−13、II−14、II−15、II−16、II−17およびI−18が好ましい。
【0107】
好ましくは、式IにおけるR
11およびR
12は、H、F、Cl、CN、NO
2、OCH
3、COCH
3、COC
2H
5、COOCH
3、COOC
2H
5、CF
3、C
2F
5、OCF
3、OCHF
2、およびOC
2F
5から、特にH、F、Cl、CN、OCH
3およびOCF
3から、殊にH、F、CNおよびOCF
3から選択される。
【0108】
本発明による媒体は好ましくは、1種、2種、3種、4種または5種以上の、好ましくは1種、2種または3種の、式Iで表される化合物を含む。
【0109】
液晶媒体における式Iで表される化合物の量は、全体の混合物の、好ましくは1〜50重量%、特には5〜40重量%、とても好ましくは10〜30重量%である。
【0110】
好ましい態様において、本発明による液晶媒体は加えて、GB 2 356 629から公知であるものまたはそれから公知であるものに類似するものなどのような、式IIIで表される1種または2種以上の化合物を含む。
R
31−MG
31−X
31−Sp
3−X
32−MG
32−R
32 III
式中
R
31およびR
32はそれぞれ独立して、H、F、Cl、CN、NCSあるいは非置換であってもよいか、ハロゲンまたはCNにより単置換または多置換されていてもよい1〜25個のC原子を有する直鎖または分枝のアルキルであって、それぞれの場合において互いに独立して−O−、−S−、−NH−、−N(CH
3)−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−または−C≡C−により酸素原子が互いにへと直接的に結合しないように置き換えられていることができる該アルキルであり、
【0111】
ハロゲンは、好ましくはFまたはCl、より好ましくはFであり、
MG
31およびMG
32はそれぞれ独立して、メソゲン基であり、
Sp
3は、5〜40個のC原子を含むスペーサー基であり、ここで1つまたは2つ以上の非隣接CH
2基はまた、−O−、−S−、−NH−、−N(CH
3)−、−CO−、−O−CO−、−S−CO−、−O−COO−、−CO−S−、−CO−O−、−CH(ハロゲン)−、−CH(CN)−、−CH=CH−または−C≡C−によって置き換えられていてもよく、ならびに
【0112】
X
31およびX
32はそれぞれ独立して、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH
2CH
2−、−OCH
2−、−CH
2O−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−C≡C−または単結合であり、および
式Iで表される化合物が除外される条件伴う。
【0113】
メソゲン基MG
31およびMG
32は好ましくは、式IIのものから選択される。
【0114】
式IIIで表される化合物であって、式中R
31−MG
31−X
31−およびR
32−MG
32−X
32−が同一である該化合物が、特に好ましい。
【0115】
本発明のもう1つの好ましい態様は、式IIIで表される化合物であって、式中R
31−MG
31−X
31−およびR
32−MG
32−X
32−が異なる該化合物に関する。
【0116】
式IIIで表される化合物であって、式中メソゲン性基MG
31およびMG
32が1つ、2つまたは3つの6員環を含む該化合物が特に好ましく、以下に一覧される式IIから選択されるメソゲン性基である該化合物がとても好ましい。
【0117】
式IIIにおけるMG
31およびMG
32に対し、副次式II−1、II−4、II−5、II−8、II−15およびII−19が特に好ましい。これらの好ましい基において、Zはそれぞれの場合において独立して、式IIにおいて与えられるZ
1の意味の1つを有する。好ましくはZは、−COO−、−OCO−、−CH
2CH
2−、−C≡C−または単結合である。
【0118】
とても好ましくは、メソゲン性基MG
31およびMG
32は、式IIa〜IIoおよびそれらの鏡像から選択される。
【0119】
非極性基を有する化合物の場合、R
31およびR
32は好ましくは、15個までのC原子を有するアルキルまたは2〜15個のC原子を有するアルコキシである。
【0120】
R
31またはR
32がアルキルまたはアルコキシラジカルである、つまり末端CH
2基が−O−で置き換えられている場合、これは直鎖または分枝であってもよい。好ましい直鎖は、2、3、4、5、6、7または8個の炭素原子を有し、よって好ましくは、例えば、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、ヘプトキシ、またはオクトキシ、さらにメチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ノノキシ、デコキシ、ウンデコキシ、ドデコキシ、トリデコキシまたはテトラデコキシである。
【0121】
オキサアルキル、つまり1つのCH
2基が−O−により置き換えられているものは、好ましくは、例えば、直鎖の2−オキサプロピル(=メトキシメチル)、2−(=エトキシメチル)または3−オキサブチル(=2−メトキシエチル)、2−、3−、または4−オキサペンチル、2−、3−、4−、または5−オキサヘキシル、2−、3−、4−、5−、または6−オキサヘプチル、2−、3−、4−、5−、6−または7−オキサオクチル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−オキサノニルまたは2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−または9−オキサデシルである。
【0122】
末端極性基を有する化合物の場合において、R
31およびR
32はCN、NO
2、ハロゲン、OCH
3、OCN、SCN、COR
x、COOR
xあるいは1〜4個のC原子を有する単フッ素化、オリゴフッ素化または多フッ素化アルキルまたはアルコキシ基から選択される。R
xは、1〜4個の、好ましくは1〜3個のC原子を有する、任意にフッ素化されたアルキルである。ハロゲンは好ましくは、FまたはCl、より好ましくはFである。
【0123】
特に好ましくは、式IIIにおけるR
31およびR
32は、F、Cl、CN、NO
2、OCH
3、COCH
3、COC
2H
5、COOCH
3、COOC
2H
5、CF
3、C
2F
5、OCF
3、OCHF
2,およびOC
2F
5から、特にF、Cl、CN、OCH
3およびOCF
3から選択される。
【0124】
式IIIにおけるスペーサー基Sp
3に関し、この目的に関し当業者に公知の全ての基を用いることができる。スペーサー基Spは好ましくは、5〜40個のC原子、特に5〜25個のC原子、とても好ましくは5〜15個のC原子を有する線状または分枝のアルキレン基であって、ここにおいて、加えて、1つまたは2つ以上の非隣接CH
2基が−O−、−S−、−NH−、−N(CH
3)−、−CO−、−O−CO−、−S−CO−、−O−COO−、−CO−S−、−CO−O−、−CH(ハロゲン)−、−CH(CN)−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよい該アルキレン基である。
【0125】
式IIIについての典型的なスペーサー基は例えば−(CH
2)
o−、−(CH
2CH
2O)
p−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−S−CH
2CH
2−または−CH
2CH
2−NH−CH
2CH
2−であり、ここでoは5〜40の、特に5〜25の、とても好ましくは5〜15の整数であり、およびpは1〜8の整数、特に1、2、3または4である。
【0126】
好ましいスペーサー基は、例えば、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、オクタデシレン、ジエチレンオキシエチレン、ジメチレンオキシブチレン、ペンテニレン、ヘプテニレン、ノネニレンおよびウンデセニレンである。
【0127】
特に好ましいのは、式IIIで表される本発明の化合物であって、式中Sp
3が5〜15個のC原子を有するアルキレンを示すものである。直鎖のアルキレン基が特に好ましい。
【0128】
本発明のもう1つの好ましい態様において、式IIIで表されるキラル化合物は、式IVで表されるキラル基である少なくとも1つのスペーサー基Sp
1を含む。
【0129】
式IIIにおけるX
31およびX
32は好ましくは、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−または単結合を示す。式III−1〜III−4から選択される以下の化合物が特に好ましい。
【化15】
【0130】
式中、R
31およびR
32は式IIIのもとで与えられた意味を有し、Z
31およびZ
31−IはZ
31として定義され、およびZ
32およびZ
32−Iはそれぞれ式IIIにおけるZ
31およびZ
32−Iの逆転の基であり、およびoおよびrはそれぞれの出現において独立して上に定義されるとおり、ならびにこれらの基の好ましい意味であり、およびLはそれぞれの出現において互いに独立して好ましくはF、Cl、CN、OH、NO
2あるいは1〜7個のC原子を有する任意にフッ素化されたアルキル、アルコキシまたはアルカノイル基、とても好ましくはF、Cl、CN、OH、NO
2、CH
3、C
2H
5、OCH
3、OC
2H
5、COCH
3、COC
2H
5、COOCH
3、COOC
2H
5、CF
3、OCF
3、OCHF
2、OC
2F
5、特にF、Cl、CN、CH
3、C
2H
5、OCH
3、COCH
3およびOCF
3、最も好ましくはF、Cl、CH
3、OCH
3およびCOCH
3であり、ならびにここから式Iで表される化合物は除外される。
【0131】
本発明による特に好ましい混合物は、式III−1a〜III−1eおよびIII−3a〜III−3bで表される1種または2種以上の化合物を含む。
【化16】
式中、パラメーターは上に定義されるとおりである。
【0132】
本発明の好ましい態様において、液晶媒体は2〜25種、好ましくは3〜15種の式IIIで表される化合物からなっている。
【0133】
液晶媒体における式IIIで表される化合物の量は、全体の混合物の、好ましくは10〜95重量%、特に15〜90重量%、とても好ましくは20〜85重量%である。
【0134】
好ましくは、全体として媒体における式III−1aおよび/またはIII−1bおよび/またはIII−1cおよび/またはIII−1eおよび/またはIII−3aおよび/またはIII−3bで表される化合物の割合は、好ましくは少なくとも70重量%である。
【0135】
本発明による特に好ましい媒体は、自体は液晶相を必ずしも示す必要がなく、自体に良好な均質な配向を与える少なくとも1種または2種以上のキラルドーパントを含む。
【0136】
式IV
【化17】
および式V
【化18】
ならびにそれぞれの(S,S)エナンチオマー、
式中EおよびFはそれぞれ独立して1,4−フェニレンまたはトランス−1,4−シクロヘキシレンであり、vは0または1であり、Z
0は−COO−、−OCO−、−CH
2CH
2−または単結合であり、およびRは1〜12個のC原子を有するアルキル、アルコキシまたはアルカノイルである
から選択されるキラルドーパントが特に好ましい。
【0137】
式IVで表される化合物およびこれらの合成は、WO 98/00428に記載される。特に好ましいのは、以下の表Dに示される、化合物CD−1である。式Vで表される化合物およびこれらの合成は、GB 2,328,207に記載される。
【0138】
特に好ましいのは、高度ならせんねじれ力(HTP)を有するキラルドーパント、特にWO 98/00428に開示されるものである。
【0139】
さらに典型的に用いられるキラルドーパントは、例えば、商業的に利用可能なR/S−5011、CD−1、R/S−811およびCB−15である(Merck KGaA, Darmstadt, Germanyから)。
【0140】
上述のキラル化合物R/S−5011およびCD−1ならびに式IVおよびVで表される化合物は、極めて高度ならせんねじれ力(HTP)を呈し、それゆえ本発明に目的のための特に有用である。
【0141】
液晶媒体は好ましくは、好ましくは上の式IV、特にCD−1、および/または式Vおよび/またはR−5011またはS−5011から選択される、1〜5個の、特に1〜3個の、極めて好ましくは1個または2個のキラルドーパントを含み、極めて好ましくはキラル化合物はR−5011、S−5011またはCD−1である。
【0142】
液晶媒体におけるキラル化合物の量は、全体の混合物の好ましくは1〜20%、特に1〜15%、極めて好ましくは1〜10重量%である。
【0143】
以下の式VI
【化19】
式中
R
5は、12個までのC原子を有するアルキル、アルコキシ、アルケニルまたはアルケニルオキシであり、
【0144】
【化20】
であり、
L
1〜L
4はそれぞれ独立して、HまたはFであり、
Z
2は、−COO−、−CH
2CH
2−または単結合であり、
mは、1または2である
から選択される1種または2種以上の添加剤を含む液晶媒体が、さらに好ましい。
【0145】
式VIで表される特に好ましい化合物は、以下の式から選択される。
【化21】
式中、Rは上のR
5の意味の1つを有し、ならびにL
1、L
2およびL
3は上の意味を有する。
【0146】
液晶媒体は、好ましくは上の式VIaかVIfから、とても好ましくはVIfから選択される、好ましくは1〜5種、特に1〜3種、とても好ましくは1種または2種を、好ましくは含む。
【0147】
液晶媒体における式VIで表される好適な添加剤の量は、全体の混合物の好ましくは1〜20重量%、特に1〜15重量%、特に好ましくは1〜10重量%である。
【0148】
本発明による液晶媒体は、さらなる添加剤を通常の濃度で含有してもよい。これらのさらなる成分の総濃度は、全体の混合物に基づき、0.1%〜10%の、好ましくは0.1%〜6%の範囲である。それぞれ用いられる個々の化合物の濃度は、好ましくは0.1%〜3%の範囲である。これらのおよび類似の添加剤の濃度は、本願における液晶媒体の液晶成分および化合物の濃度の値および範囲に対し考慮に入れない。これはまた、ホスト媒体の成分のそれぞれの化合物の濃度が特定される場合にカウントされない、混合物において用いられる二色性色素の濃度にもあてはまる。それぞれの添加剤の濃度は常に、最終的にドープされた混合物に対して与えられる。
【0149】
本発明による液晶媒体は、数種の化合物、好ましくは3〜30の、より好ましくは4〜20のおよび最も好ましくは4〜16の化合物からなる。これらの化合物は、慣用の方式で混合される。原則として、より少量で用いられる化合物の必要量を、より大量で用いられる化合物へと溶解させる。温度がより高い濃度で用いられる化合物の透明点よりも上である場合、溶解のプロセスの完了を観察することは、特に容易である。しかし、例えば、例えば化合物の均質なまたは共融混合物であることができる、いわゆる前混合を用いる、またはその成分が混合物自体を用いるようになっている、いわゆるマルチボトルシステムを用いる、他の慣用の方法により、媒体を調製することもまた可能である。
【0150】
特に好ましい混合物概念を、以下に示す:(用いられる略号は、表Aにおいて説明する)。
【0151】
本発明による混合物は、好ましくは以下のもの:
− 総濃度で全体の混合物の1〜50重量%、特に5〜40重量%、とても好ましくは10〜30重量%の範囲での式Iで表される1種または2種以上の化合物、
および/または
【0152】
− 総濃度で全体の混合物の10〜95重量%、特に15〜90重量%、とても好ましくは20〜85重量%での式IIIで表される1種または2種以上の化合物、好ましくはこれらの化合物は式III−1a〜III−1eおよびIII−3a〜III−bから選択され、特に好ましくはこれらは以下のものを含む:
− 全体としての混合物に基づいて、好ましくは>5%、特に10〜30%の濃度でのN−PGI−ZInZ−GP−N、好ましくはN−PGI−ZI7Z−GP−Nおよび/またはN−PGI−ZI9Z−GP−N、、
および/または
− 全体としての混合物に基づいて、好ましくは>5%、特に10〜30%の濃度でのF−UIGI−ZInZ−GU−F、好ましくはF−UIGI−ZI9Z−GU−F、
および/または
− 全体としての混合物に基づいて、好ましくは>1%、特に1〜20%の濃度でのF−PGI−OnO−PP−N、好ましくはF−PGI−O9O−PP−、
および/または
【0153】
− 全体としての混合物に基づいて、好ましくは>5%、特に5〜30%の濃度でのN−PP−OnO−PG−OT、好ましくはN−PP−O7O−PG−OT、
および/または
− 全体としての混合物に基づいて、好ましくは>1%、特に1〜20%の濃度でのN−PP−OnO−GU−F、好ましくはN−PP−O9O−GU−F、
および/または
− 全体としての混合物に基づいて、好ましくは>1%、特に1〜20%の濃度でのF−PGI−OnO−GP−F、好ましくはF−PGI−O7O−GP−Fおよび/またはF−PGI−O9O−GP−F、
および/または
− 全体としての混合物に基づいて、好ましくは>5%、特に10〜30%の濃度でのN−GIGIGI−n−GGG−N、特にN−GIGIGI−9−GGG−N、
および/または
− 全体としての混合物に基づいて、好ましくは>5%、特に15〜50%の濃度でのN−PGI−n−GP−N、好ましくはN−PGI−9−GP−N、
および/または
【0154】
− 全体としての混合物の1〜20重量%、特に1〜15重量%、とても好ましくは1〜10重量%の範囲の総濃度での式VIで表される1種または2種以上の好適な添加剤、これらの化合物は好ましくは式VIa〜VIfから選択され、これらは特に好ましくは以下を含む:
− 全体としての混合物に基づいて、好ましくは>1%、特に1〜20%の濃度でのPP−n−N、
および/または
【0155】
− 全体の混合物の好ましくは1〜20重量%、特に1〜15重量%、とても好ましくは1〜10重量%の範囲での1種または2種以上の化合物、これらの化合物は好ましくは式IV、VおよびR−5011またはS−5011から選択され、特に好ましくは以下を含む:
− 全体としての混合物に基づいて、好ましくは>1%、特に1〜20%の濃度でのR−5011、S−5011またはCD−1、
を含む。
【0156】
式Iで表されるビメソゲン化合物およびこれらを含む液晶媒体は、液晶ディスプレイ、例えばSTN、TN、AMD−TN、温度補償、ゲストホスト、相変化または表面安定化またはポリマー安定化コレステリックテクスチャ(SSCT、PSCT)ディスプレイなどにおいて、特にフレキソエレクトリックデバイスにおいて、能動および受動光学素子、例えば偏光板、補償板、反射板、配向層、カラーフィルターまたはホログラフィック素子において、接着剤、異方性機械特性を有する合成樹脂、コスメティクス、診断薬、液晶顔料において、装飾および保安用途のために、非線形光学、光学式情報ストレージにおいて、またはキラルドーパントとして用いることができる。
【0157】
式Iで表される化合物およびその得ることができる混合物は、フレキソエレクトリック液晶ディスプレイに対し特に有用である。それゆえ、本発明のもう1つの目的は、式Iで表される1種または2種以上の化合物を含む、または式Iで表される1種または2種以上の化合物を含む液晶媒体を含む、フレキソエレクトリックディスプレイである。
【0158】
式Iで表される本発明のビメソゲン化合物およびそれらの混合物は、それらのコレステリック相において、専門家に公知の方法、例えば表面処理または電解により、異なる配向へと整列する。例えば、これらはプラナー(グラジャン)状態へと、フォーカルコニック状態へと、またはホメオトロピック状態へと配向させることができる。強力な双極子モーメントを有する極性基を含む式Iで表される本発明の化合物はさらに、フレキソエレクトリック切り替えを施すことができ、それゆえ電気光学スイッチまたは液晶ディスプレイにおいて用いることができる。
【0159】
本発明の好ましい態様による異なる配向状態の間の切り替えは、以下において詳細に、式Iで表される本発明の化合物の例に対して、例示的に記載される。
【0160】
この好ましい態様によると、試料は電極層、例えばITO層で被覆された2つの平面平行ガラス板を含むセルへと配置され、コレステリックらせんの軸がセル壁に垂直に配向されるプラナー状態へとそのコレステリック相中に整列される。この状態はグラジャン状態としてもまた、そして例えば偏光顕微鏡で観察される試料のテクスチャはグラジャンテクスチャとして公知である。プラナー配向は、例えばセル壁の表面処理により、例えばポリイミドなどの配向層でのラビングおよび/または被覆により達成することができる。
【0161】
高品質な配向およびわずかな欠陥のみを有するグラジャン状態はさらに、試料をアイソトロピック相へと加熱し、次いでキラルネマチック−アイソトロピック相転移近傍の温度でキラルネマチック相へと冷却し、そしてセルをラビングすることにより達成することができる。
【0162】
プラナー状態において、材料のらせんピッチおよび平均屈折率に依存して、試料は、反射の中心波長で、入射光の選択的反射を示す。
【0163】
電界が、例えば10Hz〜1kHzの周波数、および12V
rms/□mの振幅で電極へと適用されるとき、試料は、らせんが解かれ、分子が電界と平行に、つまり電極の平面と垂直に配向されるホメオトロピック状態へと切り替えられる。ホメオトロピック状態において、試料は通常の日光中で見るときは透過性であり、交差した偏光板の間に配置されるときは黒色に見える。
【0164】
ホメオトロピック状態において電界が低減または除去されると、試料は、らせん軸が電界と垂直に、つまり電極の平面と平行に配向する、らせん状にねじれた構造を呈する、フォーカルコニックテクスチャを採る。フォーカルコニック状態はまた、そのプラナー状態において試料に弱い電界のみを適用することにより達成することができる。フォーカルコニック状態において、通常の日光中で見る際に試料は散乱し、交差偏光板中で明るく見える。
【0165】
異なる配向状態における本発明の化合物の試料は、異なる光の透過を呈する。それゆえ、それぞれの配向状態、ならびにその配向の質は、適用する電界強さに依存して、試料の光透過を測定することにより、制御することができる。このようにして、特定の配向状態およびこれらの異なる状態の間の転移を達成するために要する電界強さもまた、決定することができる。
【0166】
式Iで表される本発明の化合物の試料において、上述のフォーカルコニック状態は多くの無秩序な複屈折小ドメインからなる。好ましくはセルの追加のせん断を有する、フォーカルコニックテクスチャの核生成のための電界よりも大きな電界を適用することにより、広大な、良好に配向された領域において、らせん軸が電極の平面に平行である、均質に配向されたテクスチャが達成される。最先端のキラルネマチック材料の文献、例えばP. Rudquist et al., Liq. Cryst. 23 (4), 503 (1997)などによると、このテクスチャはまた均質に位置するらせん(ULH)テクスチャとも呼ばれる。このテクスチャは、本発明の化合物のフレキソエレクトリック特性を特徴付けるために必要である。
【0167】
電界を増加または低減させる際のラビングしたポリイミド基板上の式Iで表される本発明の化合物の試料において典型的に観察されるテクスチャの順序を、以下に示す:
【0169】
ULHテクスチャから開始して、本発明のフレキソエレクトリック化合物および混合物は、電界の適用によりフレキソエレクトリック切り替えに施すことができる。これにより、セル基板の平面における材料の光学軸の回転が引き起こされ、交差偏光板の間に材料を配置させる際に透過の変化を導き出す。本発明の材料のフレキソエレクトリック切り替えはさらに、上記の導入部および実施例において詳細に記載される。
【0170】
フォーカルコニックテクスチャから開始して、例えば10kHzの、高周波数の電界を試料に適用し、一方でアイソトロピック相からコレステリック相へとゆっくりと冷却し、セルをせん断することにより、ULHテクスチャを獲得することもまた可能である。電界周波数は、異なる化合物に対し異なり得る。
【0171】
式Iで表されるビメソゲン化合物は、顕微鏡的に均質な配向で容易に整列させ、高値の弾性定数k
11および高いフレキソエレクトリック係数eを液晶媒体中に導くことができるので、フレキソエレクトリック液晶ディスプレイにおいて特に有用である。
【0172】
液晶媒体は、好ましくは、
k
11<1×10
−10N、好ましくは<2×10
−11N、およびフレキソエレクトリック係数e>1×10
−11C/m、好ましくは>1×10
−10C/mを呈する。
【0173】
フレキソエレクトリックデバイスにおける使用とは別に、本発明のビメソゲン化合物ならびにその混合物はまた、他のタイプのディスプレイならびに他の光学および電気光学用途、例えば光学補償膜または偏向膜、カラーフィルター、反射コレステリック液晶(reflective cholesterics)、旋光パワー(optical rotatory power)および光学式情報ストレージなどに好適である。
【0174】
本発明のさらなる側面は、セル壁がハイブリッド配向(hybrid alignment)条件を呈するディスプレイセルに関する。用語「ハイブリッド配向」あるいはディスプレイセルにおけるまたは2つの基板の間の液晶またはメソゲン材料の配向(orientation)は、第1のセル壁に隣接するまたは第1の基板上のメソゲン基がホメオトロピック配向を呈し、第2のセル壁に隣接するまたは第2の基板状のメソゲン基がプラナー配向を呈することを意味する。
【0175】
用語「ホメオトロピック配向」あるいはディスプレイセルにおけるまたは基板上における液晶またはメソゲン材料の配向は、液晶またはメソゲン材料におけるメソゲン基がそれぞれ、セルまたは基板の平面に対して実質的に垂直に配向することを意味する。
【0176】
用語「プラナー配向」あるいはディスプレイにおけるまたは基板上の液晶またはメソゲン材料の配向は、液晶またはメソゲン材料におけるメソゲン基がそれぞれ、セルまたは基板の平面に対し実質的に平行に配向することを意味する。
【0177】
本発明の好ましい態様によるフレキソエレクトリックディスプレイは、2つの平行基板、好ましくは内側表面にインジウムスズ酸化物(ITO)などの透明導電層で被覆されたガラス基板、および該基板の間に設けられてなるフレキソエレクトリック液晶を含み、液晶媒体に関し、内側基板表面の1つがホメオトロピック配向状態を呈し、反対側の内側基板表面がプラナー配向状態を呈することを特徴とする。
【0178】
プラナー配向は、例えば、基板の最上部(top)に適用される、例えばラビングしたポリイミドまたはスパッタリングしたSiO
xなどの配向層により、達成することができる。
【0179】
代替的に、つまり追加の配向層を適用することなく、基板を直接的にラビングすることもまた可能である。例えば、ラビングは、ラビング布、例えばベルベット布により、またはラビング布で被覆した平棒で達成することが可能である。本発明の好ましい態様において、ラビングは少なくとも1つのラビングローラー、例えば基板にわたってブラシングする高速回転ローラーなどにより、または少なくとも2つのローラーの間に基板を置くことにより達成され、それぞれの場合においてローラーの少なくとも1つは任意にラビング布で被覆されている。本発明のもう1つの好ましい態様において、ラビングは、好ましくはラビング布で覆われているローラーの周りに、規定された角度で少なくとも部分的に基板を包むことにより達成される。
【0180】
ホメオトロピック配向は、例えば、基板の最上部に被覆された配向層により達成することができる。ガラス基板上に用いられる好適な配向層は、例えば、アルキルトリクロロシランまたはレクチンであり、一方プラスチック基板に対しては配向手段としてレクチンの薄膜、シリカまたは高チルトポリイミド配向膜が使用され得る。本発明の好ましい態様において、シリカ被覆プラスチック膜が基板として用いられる。
【0181】
プラナーまたはホメオトロピック配向を達成するためのさらなる好適な方法は、例えばJ. Cognard, Mol.Cryst.Liq.Cryst. 78, Supplement 1, 1-77 (1981)に記載される。
【0182】
ハイブリッド配向状態を有するディスプレイセルを用いることにより、極めて高いフレキソエレクトリック切り替えスイッチ角、迅速な応答時間および良好なコントラストが達成される。
【0183】
本発明によるフレキソエレクトリックディスプレイはまた、ガラス基板の代わりにプラスチック基板を含み得る。プラスチック膜基板は、上述のラビングローラーによるラビング処理に対し特に好適である。
【0184】
本発明のもう1つの目的は、式Iで表される化合物が、ネマチック液晶混合物へと添加されるときに、ネマチックの下の相を作り出すことである。
【0185】
したがって、本発明による式Iで表されるビメソゲン化合物は、第2のネマチック相を通常はこの相の兆候を示さないネマチック混合物において誘発させることを許容する。さらに、式Iで表される化合物の量を変化させることにより、第2のネマチック相の相挙動を要求される温度へと合わせることを許容する。
【0186】
これに対する例が与えられ、その得られることができる混合物はフレキソエレクトリック液晶ディスプレイに対し特に好適である。それゆえ、本発明のもう1つの目的は、第2のネマチック相を呈する式Iで表される1種または2種以上の化合物を含む液晶媒体である。
【0187】
さらなる労力なしに、当業者は、前述の記載を利用し、本発明をその最大限の程度にまで利用することができる。それゆえ以下の例は、単なる説明として考えられるべきであり、本開示の残りの部分を、全くいかようにも限定するものではない。
【0188】
文脈が他に明確に示さなければ、本明細書で用いられる複数形の用語は本明細書中では単数形も含むものと解され、逆もまたあてはまる。
【0189】
本明細書および本明細書の特許請求の範囲にわたって、用語「含む(comprise)」および「含有する(contain)」ならびにこれらの用語の変形、例えば「含んでいる(comprising)」および「含む(comprises)」は、「含むがそこへと限定しない(including but not limited to)」ことを意味し、他の成分を除外することを意図しない(および除外しない)。
【0190】
本願にわたって、これらの角度が、例えば3芳香族環、5芳香族環または5芳香族環など、小さい環の一部分であるなど、他に制限されなければ、いくつかの場合においていくつかの構造式においてこれらの角度は正確には表されてはいないが、3つの隣接する原子に結合するC原子における結合の、例えばC=CまたはC=O二重結合の、あるいは例えばベンゼン環における角度は120°であること、ならびに2つの隣接する原子に結合するC原子における結合の、例えばC≡CにおけるまたはC≡N三重結合における、またはアリル位C=C=Cにおける角度が180°であることが、当業者に理解されるべきである。
【0191】
本発明の前述の態様に対する変化形もまたなされることができ、一方でなお本発明の範囲内にあると考えられるべきであろう。本明細書において開示されるそれぞれの特徴は、他に述べられない限り、同じ、均等のまたは類似の目的の役割をする代替の特徴により置き換えられてもよい。それゆえ、他に述べない限り、開示されるそれぞれの特徴は、一般的な一連の均等なまたは類似の特徴の一例にすぎない。
【0192】
本明細書に開示される特徴の全ては、かかる構成および/またはステップの少なくともいくつかが互いに排他的である組み合わせを除き、任意の組合せで組み合わせてもよい。特に、本発明の好ましい組み合わせが本発明の全ての側面へと適用可能であり、任意の組合せで用いてもよい。同様に、必須でない組み合わせに記載される特徴は、(組み合わせにおいてではなく)別異に用いてもよい。
【0193】
本願による媒体における全ての化合物の総濃度は、100%である。
【0194】
前述のおよび以下の例において、他に示されない限り、全ての温度は未修整でセルシウス度で設定され、全ての部およびパーセントは重量によってである。
【0195】
以下の略号は、液晶化合物の液晶相挙動を説明するために用いられる:K=結晶;N=ネマチック;N2=第2のネマチック;SまたはSm=スメクチック;Ch=コレステリック;I=アイソトロピック;Tg=ガラス転移。記号の間の数字は、℃での相転移温度を示す。
【0196】
本願においておよび特に以下の例において、液晶化合物の構造は、「頭文字(acronym)」とも称される、略号により表される。略号の対応する構造への変換は、以下の3つの表A〜Cにより単純明快である。
【0197】
全ての基C
nH
2n+1、C
mH
2m+1およびC
lH
2l+1は、好ましくはそれぞれn、mおよびl個のC原子を有する直鎖アルキル基であり、全ての基C
nH
2n、C
mH
2mおよびC
lH
2lは、好ましくはそれぞれ(CH
2)
n、(CH
2)
mおよび(CH
2)
lであり、ならびに−CH=CH−は好ましくは、トランス−それぞれEビニレンである。
【0198】
表Aは、環要素に関して用いられる符号を、表Bは結合基に関するもの、および表Cは分子の左手側および右手側末端基に関する符号に関するものを羅列する。
表Dは、例示的な分子構造をそれらのそれぞれのコードとともに一覧する。
【0205】
式中、nおよびmはそれぞれ整数であり、および3つの点「…」はこの表の他の符号のためのスペースを示す。
【0206】
好ましくは、本発明による液晶は、式Iで表される化合物に加え、以下の表の式で表される化合物の群から選択される1種または2種以上の化合物を含む。
【0207】
表D
この表において、nは、他に明確に定義しない限り3および5〜15から、好ましくは3、5、7および9から選択された整数である。
キラルなドーパント
【化23】
【0208】
ネマチックまたはネマトゲン性(nematogenic)化合物
【化24】
【0224】
化合物および合成例
合成例1:ノニル−1−[4’−シアノ−ビフェニル−3−イル]−9−[4’−シアノ−ビフェニル−4−イル]の製造:
【化40】
ステップ1.1
【化41】
反応のための条件:(a)Pd(PPh
3)
2Cl
2、CuI、(C
2H
5)
3N、THF。
【0225】
1,8−ノナジエン(50.0g、416.0mmol)を、THF(150mL)に溶解し、500mL丸底フラスコ中に加える。フラスコを排気し、窒素で3回再び満たす。ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(1.1g、1.581mmol)、ヨウ化銅(0.23g、1.25mmol)およびジイソプロピルアミン(30mL)を、フラスコ中に加える。フラスコを排気し、窒素ガスで再び満たす。次に、それを超音波浴中で処理して、反応混合物を脱気し、本出願において短く「超音波処理」または短く「音波処理」と称される手順、30分間。1,3−ブロモヨードベンゼン(29.4g、104.0mmol)を、THF(50mL)に溶解し、15分の期間にわたってゆっくり加える。沈殿物が生成し、反応混合物を、他に明確に述べない限り本出願を通して約20℃の温度を意味する室温で1.5時間撹拌し、その後それを、真空中でろ過する。濾液を水で洗浄し、濃縮して、粗生成物を油として得る。この油を蒸留して、反応していないノナジエンを除去し、次に9:1ガソリン/ジエチルエーテルで溶出させてシリカゲルを使用してフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。
【0226】
ステップ1.2
【化42】
反応のための条件:(b)Pd(PPh
3)
2Cl
2、CuI、(C
2H
5)
3N、THF。
前のステップ、ステップ1.1からの生成物(6.7g、24.4mmol)を、THF(50mL)に溶解し、250mL丸底フラスコ中に加える。フラスコを3回排気し、窒素で再び満たす。ビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)ジクロリド(0.065g、0.09mmol)、ヨウ化銅(0.014g、0.07mmol)およびジイソプロピルアミン(10mL)を、フラスコに加える。フラスコを排気し、窒素で再び満たし、次に30分間超音波処理して脱気する。THF(50mL)に溶解した1,4−ブロモヨードベンゼン(6.8g、24.3mmol)を、15分の期間にわたってゆっくり加える。沈殿物が生成し、反応混合物を室温で1.5時間撹拌する。反応の完了の際に、反応混合物をろ過し、濾液を脱イオン水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮する。粗生成物を、ガソリンで溶出させてシリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、純粋な白色固体生成物を得る。
【0227】
ステップ1.3
【化43】
反応のための条件:(c)Pd(C)、H
2、THF。
ThalesNano Inc., Budapest, ハンガリーからの水素化装置「H-Cube」は、新たな白金/炭素触媒を装備しており、20barおよび40℃で流量10mL/minに設定する。6.50gの前のステップ、ステップ1.2からの生成物を、THF(200mL)と混合し、H-cubeを通じて供給する。分析によって、反応が不完全であることが示される。H-cubeを30barおよび50℃に再設定し、流量を同一に保持し、溶液を再び通過させ、生成物を得る。これを、精製せずに次のステップ上に運ぶ。
【0228】
ステップ1.4
【化44】
反応のための条件:(d)Pd(PPh
3)
2Cl
2、Na
2CO
3、H
2O、THF。
前のステップ、ステップ1.3からの生成物(4.50g、10.27mmol)および4−シアノフェニルボロン酸(4.70g、20.5mmol)を、250mLの3つ首丸底フラスコ中で1,4−ジオキサン(40mL)に溶解する。炭酸ナトリウム(2.08g、19.61mmol)および水(10mL)を反応混合物に加え、次に(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム(II)ジクロリド(0.45g、0.61mmol)を加える。この反応混合物を、80.0℃での温度に加熱し、16時間撹拌する。反応が完了した後、それ、反応混合物をろ過し、濾液を希塩酸で中和し、次に水で洗浄する。水溶液を合わせ、ジエチルエーテルで3回抽出する。合わせた抽出物を、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で濃縮して、茶色油を得る。これを、酢酸エチル/石油エーテル(1:20)で溶出させてのシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーによって精製し、アセトニトリルおよびイソプロピルアルコールからの2つのその後の再結晶を後続させて、純粋な生成物を得る。
【0229】
【化45】
相順序:K 88.3 I;T*(N,I)=71.5℃;e/K=1.85V
−1。
(注:T*(N,I)およびe/Kを、2%のR−5011を有するホスト混合物H−0中で10%から外挿した。)
【0230】
合成例2:ノニル−1−[4’−シアノ−ビフェニル−3−オキシ]−9−[4’−シアノ−ビフェニル−4−オキシ]の製造
【化46】
ステップ2.1
【化47】
4−シアノボロン酸(9.936g、67.917mmol)および3−ブロモフェノール(10.635g、61.470mmol)を、250mLの3つ首丸底フラスコ中で1,4−ジオキサン(70mL)に溶解する。炭酸ナトリウム(12.433g、117.408mmol)を水(21mL)に溶解し、(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム(II)ジクロリド(0.451g、0.610mmol)を反応混合物に加える。反応混合物を温度に加熱し、16時間撹拌する。GCMS試料を採取して、反応の完了の程度をモニタリングする。反応が完了した後、反応をろ過し、濾液を分離して、有機相を単離する。これを洗浄し、乾燥し、濃縮する。粗生成物を、シリカカラム上に乾燥負荷させ、生成物をDCM中の5%酢酸エチルで溶出させ、生成物を良好な純度において得る。
【0231】
ステップ2.2
【化48】
4’−シアノビフェノール(12.5g、64.0mmol)を、500mL丸底フラスコ中で最小量のアセトンに溶解する。炭酸カリウム(19.0g、137mmol)および1,9−ジブロモノナン(133.7g、467.3mmol)を、加える。反応混合物を撹拌し、還流下で16時間加熱する。反応の完了の際に、反応混合物を冷却し、ろ過する。濾液を分離し、有機相を洗浄し、乾燥し、濃縮する。粗生成物を、ガソリンからの再結晶によって精製して、生成物を良好な純度において得る。
【0232】
ステップ2.3
【化49】
前のステップ、ステップ2.2からの生成物(15.000g、37.467mmol)および3−シアノビフェノール、ステップ2.1からの生成物(7.314g、37.467mmol)を、500mL丸底フラスコ中で最小量のアセトンに溶解する。炭酸カリウム(10.874g、138.210mmol)を撹拌しながら加え、反応を24時間加熱して温和に還流させる。反応が完了した後、反応混合物を冷却し、沈殿物を真空中でのろ過によって除去する。フィルターパッドをアセトンでよく洗浄し、濾液を希塩酸で洗浄する。有機相を分離し、脱イオン水で洗浄し、濃縮する。生成物を(シリカゲルによるカラムクロマトグラフィーによって精製した?)それを、100%DCMを使用して溶出させ、次にアセトニトリルからの再結晶によって精製して、純粋な生成物を得る。
【0233】
【化50】
相順序:K 105.6(N 75.0)I;T*(N,I)=81.0℃;e/K=1.63V
−1。
(注:T*(N,I)およびe/Kを、2%のR−5011を有するホスト混合物H−0中で10%から外挿した。)
【0234】
合成例3:ウンデカン二酸4’−シアノ−ビフェニル−3−イルエステル4’−シアノ−ビフェニル−4−イル)エステル
【化51】
ステップ3.1
【化52】
ウンデカン二酸(9.971g(46.103mmol)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(9.512g、46.103mmol)およびジメチルアミノピリジン(DMAP)(5.632g、46.103mmol)を、250mL丸底フラスコ中で冷却したDCM(140mL)に懸濁させる。4’−シアノビフェノール(9.000g、46.103mmol)を30分の期間にわたって加え、反応混合物を室温で16時間撹拌する。最初のフェノールが合成例2のステップ2.1からの生成物と完全に反応した後、3’−シアノビフェノール(9.000g、46.103mmol)およびさらに1当量のDCC(9.512g、46.103mmol)を、反応混合物に加える。反応混合物を、室温で16時間もう1回撹拌する。反応の完了の後、反応混合物をろ過し、濾液を真空中で減少させる。粗生成物を、DCM中でフラッシュクロマトグラフィーを使用して精製する。純粋な生成物が得られ、その構造をNMRによって確認する。
【0235】
【化53】
相順序:K 73.0 X 93.0 Y 107.0 I;T*(N,I)=79.0℃;e/K=1.81V
−1。
(注:T*(N,I)およびe/Kを、2%のR−5011を有するホスト混合物H−0中で10%から外挿した、相XおよびY、未決定。)
【0236】
合成例4:セバシン酸4’−シアノ−ビフェニル−3−イルエステル4’−シアノ−ビフェニル−4−イル)エステル
【化54】
ステップ4.1
【化55】
セバシン酸(7.995g、39.531mmol)、DCC(8.156g、39.531mmol)およびDMAP(4.830g、39.531mmol)を、250mL丸底フラスコ中で冷却したDCM(120mL)に懸濁させる。4’−シアノビフェノール(7.717g、39.531mmol)を、30分の期間にわたってゆっくり加え、反応混合物を、次に室温で16時間撹拌する。反応の完了の際に、反応混合物をろ過し、濾液を真空中で減少させる。カラムクロマトグラフィーを使用して、非対称の生成物を精製するが、ある量の対称の生成物もまた、単離される。
【0237】
ステップ4.2
【化56】
前のステップ、ステップ4.2からの中間体生成物(4.890g、12.887mmol)、DCC(2.516g、12.887mmol)およびDMAP(1.574g、12.887mmol)を、100mL丸底フラスコ中で冷却したDCM(50mL)に懸濁させる。合成例2のステップ2.1からの3’−シアノビフェノール(2.516g、12.887mmol)を30分の期間にわたってゆっくり加え、反応混合物を室温で16時間撹拌する。反応の完了の後、反応混合物をろ過し、濾液を真空中で減少させる。粗生成物を、ガソリン中の2%酢酸エチルでのカラムクロマトグラフィーによって精製し、純粋な生成物を得る。
【0238】
【化57】
相順序:K 74 X 85 SmA 109 I;T*(N,I)=74.0℃;e/K=1.75V
−1。
(注:T*(N,I)およびe/Kを、2%のR−5011を有するホスト混合物H−0中で10%から外挿した、相X、未決定。)
【0239】
合成例5:ノニル−1−[(4’−ジフルオロ−テルフェニル−3−イル]−9−[4’−ジフルオロ−ビフェニル−4−イル]
【化58】
ステップ5.1
【化59】
この反応は、合成例1のステップ1.1のものと同様に進行する。
【0240】
ステップ5.2
【化60】
この反応は、合成例1のステップ1.2のものと同様に進行する。
【0241】
ステップ5.3
【化61】
この反応は、合成例1のステップ1.3のものと同様に進行する。
【0242】
ステップ5.4
【化62】
この反応は、合成例1のステップ1.4のものと同様に進行する。3,4−ジフルオロビフェニルボロン酸(3.00g、12.819mmol)およびステップ5.1からの生成物(2.809g、6.410mmol)を、100mLの3つ首丸底フラスコ中で1,4−ジオキサン(20mL)に溶解する。炭酸ナトリウム(1.15g、10.897mmol)を水(5mL)に溶解し、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(0.045g、0.064mmol)を加える。反応混合物を撹拌し、80.0℃で40時間還流下で加熱する。反応混合物をろ過し、濾液を分離する。有機相を洗浄し、乾燥し、濃縮し、粗生成物を得る。これを、ジクロロメタン/ガソリン混合物(3:1比)で溶出させてカラムクロマトグラフィーによって精製して、純粋な生成物を得る。
【0243】
【化63】
相順序:K 115 N 120 I;T*(N,I)=78.0℃;e/K=1.71V
−1。
(注:T*(N,I)およびe/Kを、2%のR−5011を有するホスト混合物H−0中で10%から外挿した。)
【0244】
化合物例6およびそれ以降
式Iで表される以下の化合物を、同様にして製造する。
【化64】
相順序:K 92(N 37)I;T*(N,I)=74.0℃;e/K=1.96V
−1。
(注:T*(N,I)およびe/Kを、2%のR−5011を有するホスト混合物H−0中で10%から外挿した。)
上記の表中の材料は、一般に、例えば以下の表中に示したもののような既知のより慣用のビメソゲン化合物と比較して、スクリーニング混合物において向上した性能を示した。
【0245】
使用例、混合物例
典型的に、逆平行のラビングしたPI整列層を有する厚さ5.6μmのセルを、ホットプレート上に、フレキソエレクトリック(flexoelectric)混合物がアイソトロピック相にある温度で満たす。
【0246】
セルを満たした後、透明点を含む相転移を、示差走査熱量測定(DSC)を使用して測定し、光学的検査によって確認する。光学的相転移測定のために、FP82ホットステージに接続したMettlerFP90ホットステージコントローラーを使用して、セルの温度を制御する。温度を、周囲温度から毎分摂氏5度の速度で、アイソトロピック相の開始が観察されるまで上昇させる。テキスチャ変化を、交差させた偏光子によって、オリンパスBX51顕微鏡を使用して観察し、それぞれの温度を書き留める。
【0247】
ワイヤーを、次にセルのITO電極に、インジウム金属を使用して取り付ける。セルを、Linkam TMS93ホットステージコントローラーに接続したLinkam THMS600ホットステージ中に固定する。ホットステージを、オリンパスBX51顕微鏡中の回転ステージに固定する。
【0248】
セルを、液晶が完全にアイソトロピックであるまで加熱する。セルを、次に試料が完全にネマチックであるまで印加した電場の下で冷却する。駆動波形を、Tektronix AFG3021B任意波形発生器によって供給し、それを、Newtons4th LPA400電力増幅器によって送り、その後セルに印加する。セル応答を、Thorlabs PDA55フォトダイオードでモニタリングする。入力波形および光学的応答の両方を、Tektronix TDS 2024Bデジタルオシロスコープを使用して測定する。
【0249】
材料のフレキソエラスチック(flexoelastic)応答を測定するために、光軸の傾斜の大きさの変化を、増加する電圧の関数として測定する。これを、以下の方程式を使用することにより達成する:
【数5】
【0250】
式中、φは、最初の位置(つまりE=0である場合)からの光軸におけるティルトであり、Eは印加した電界であり、Kは弾性定数(K
1およびK
3の平均)であり、eはフレキソエレクトリック係数(式中e=e
1+e
3)である。印加した電界を、HP 34401Aマルチメーターを使用してモニタリングする。ティルト角を、前述の顕微鏡およびオシロスコープを使用して測定する。影響を受けないコレステリックピッチ、P
0を、コンピューターに付けられたOcean Optics USB4000分光計を使用して測定する。選択的反射バンドを得、距離をスペクトルデータから決定する。
【0251】
以下の例において示す混合物は、USHディスプレイにおいて使用するのに良好に適している。そのために、適切な濃度のキラルなドーパントまたは使用するドーパントを、200nmまたはそれ以下のコレステリックピッチを達成するために適用しなければならない。
【0252】
比較混合物例1
ホスト混合物H−0
ホスト混合物H−0を製造し、調査する。
【表12】
【0253】
2%のキラルなドーパントR−5011を、混合物H−0に加え、混合物H−1を得、それをその特性について調査する。
【0255】
混合物H−1を、USHモードについて使用してもよい。それは、82℃の透明点および33℃のより低い転移温度[T(N2,N)]を有する。それは、0.9T(N,I)で291nmのコレステリックピッチを有する。この混合物のe/Kは、0.9T(N,I)で1.80Cm
−1N
−1である。
【0256】
混合物例1.1〜1.14
2%のキラルなドーパントR−5011および10%の合成例1の化合物を、混合物H−0に加え、混合物M−1.1を得、それを、その特性について調査する。
【0257】
混合物例1:混合物M−1
【表14】
【0258】
この混合物(M−1)を製造し、調査する。それは、ULHモードに良好に適している。
それは、35℃で294.4nmのコレステリックピッチを有する。
この混合物のe/Kは、37℃の温度で1.85Cm
−1N
−1である。
【0259】
混合物例2:混合物M−2
【表15】
【0260】
この混合物(M−2)を製造し、調査する。それは、ULHモードに良好に適している。
それは、35℃で331.4nmのコレステリックピッチを有する。
この混合物のe/Kは、45.6℃の温度で1.63Cm
−1N
−1である。
【0261】
混合物例3:混合物M−3
【表16】
【0262】
この混合物(M−1)を製造し、調査する。それは、ULHモードに良好に適している。
それは、35℃で309.6nmのコレステリックピッチを有する。
この混合物のe/Kは、43.8℃の温度で1.81Cm
−1N
−1である。