特許第6420072号(P6420072)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6420072N−11短縮化アミロイド−ベータモノクローナル抗体、組成物、方法および使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6420072
(24)【登録日】2018年10月19日
(45)【発行日】2018年11月7日
(54)【発明の名称】N−11短縮化アミロイド−ベータモノクローナル抗体、組成物、方法および使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/47 20060101AFI20181029BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20181029BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20181029BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20181029BHJP
【FI】
   C07K14/47ZNA
   A61K39/395 N
   A61P25/28
   C12P21/08
【請求項の数】16
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2014-129164(P2014-129164)
(22)【出願日】2014年6月24日
(62)【分割の表示】特願2004-538886(P2004-538886)の分割
【原出願日】2003年9月9日
(65)【公開番号】特開2014-208678(P2014-208678A)
(43)【公開日】2014年11月6日
【審査請求日】2014年6月24日
【審判番号】不服2017-3547(P2017-3547/J1)
【審判請求日】2017年3月9日
(31)【優先権主張番号】PCT/EP02/11062
(32)【優先日】2002年9月27日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】397060175
【氏名又は名称】ヤンセン ファーマシューティカ エヌ.ベー.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100153693
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】マルク・フベルト・メルケン
(72)【発明者】
【氏名】マルク・マリア・ピエール・ペラジエ・バンデルメーレン
【合議体】
【審判長】 中島 庸子
【審判官】 山中 隆幸
【審判官】 高堀 栄二
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第02/47466(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K1/00-1/19
C12N1/00-7/08
G01N33/48-33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Glu11でのBACE−1によるAPPタンパク質の切断後に得られるAβ11−xペプチドを特異的に認識するモノクローナル抗体であって、
該モノクローナル抗体は、完全長AβであるAβ1−40との交差反応性が無く、かつ、完全長AβであるAβ1−42との交差反応性が無く
β−セクレターゼ 11切断部位の最初の5〜7個のヒトのアミノ酸、すなわち配列番号1および配列番号2、またはβ−セクレターゼ 11切断部位の最初の5〜7個のマウスのアミノ酸、すなわち配列番号3および配列番号4を免疫原として特異的に認識する、
上記モノクローナル抗体。
【請求項2】
Aβ11−xペプチドがヒトAβ11−40である、請求項1に記載のモノクローナル抗体。
【請求項3】
検出可能に標識された請求項1または2に記載の抗体。
【請求項4】
検出可能な標識が、放射性標識、酵素標識、発光標識または蛍光標識である、請求項3に記載の抗体。
【請求項5】
担体に固定化されている、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項6】
2002年8月19日にベルギーの細菌のカルチャーコレクションに寄託番号LMBP5896CBおよびLMBP5897CBでそれぞれ寄託されたハイブリドーマ細胞J&JPRD/hAβ11/1およびJ&JPRD/hAβ11/2により発現される、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体。
【請求項7】
2002年8月19日にベルギーの細菌のカルチャーコレクションに寄託番号LMBP5896CBおよびLMBP5897CBでそれぞれ寄託されたハイブリドーマ細胞J&JPRD/hAβ11/1およびJ&JPRD/hAβ11/2。
【請求項8】
サンプル中のGlu11でのBACE−1によるAPPタンパク質の切断後に得られるAβ11−xペプチドを測定または検出するためのイムノアッセイ法であって、サンプルを請求項1ないし3のいずれか1項に記載のAβ11−xペプチドに対する抗体と接触させ、そして免疫複合体が抗体とAβ11−xペプチドとの間に形成されるかどうかを決定することを含んでなる上記方法。
【請求項9】
組織サンプル中にGlu11でのBACE−1によるAPPタンパク質の切断後に得られるAβ11−xペプチドの存在を検出する方法であって:
個体の組織に由来する組織サンプルを造影に有効な量の検出可能に標識された請求項3または4に記載の抗体と接触させ;そして
標識を検出して組織サンプル中のAβ11−xペプチドの存在を確立する、
ことを含んでなる上記方法。
【請求項10】
抗体が請求項7に記載の少なくとも1つのハイブリドーマ細胞により発現される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
体液サンプル中にGlu11でのBACE−1によるAPPタンパク質の切断後に得られるAβ11−xペプチドの存在を検出する方法であって:
個体の組織に由来する体液サンプルを造影に有効な量の検出可能に標識された請求項3または4に記載の抗体と接触させ;そして
標識を検出して体液サンプル中のAβ11−xペプチドの存在を確立する、
ことを含んでなる上記方法。
【請求項12】
抗体が請求項7に記載の少なくとも1つのハイブリドーマ細胞により発現される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項9または10に記載の方法における請求項1ないし6のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体の使用。
【請求項14】
請求項1ないし6のいずれかに記載の抗体を含んでなる、β−アミロイド関連疾患を診断するための診断用組成物。
【請求項15】
請求項1ないし6のいずれかに記載の抗体および製薬学的に許容され得る担体を含んでなる診断用組成物。
【請求項16】
請求項2ないし5のいずれかに記載の抗体および抗体の担体手段を含んでなる、β−アミロイド関連疾患を診断するためのイムノアッセイキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくともヒトのアミロイド−ベータ 11N−末端部位、すなわちAβ11−xペプチドに特異的な抗体、その特定部分またはバリアントに関する。さらに治療用製剤、投与およびデバイスを含む該抗体の作成および使用法を提供する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
本発明は一般にβ−アミロイド前駆体タンパク質のプロセッシングをモニタリングするための方法および組成物に関する。より詳細には本発明はアルツハイマー病および他のベータ−アミロイド関連疾患の診断、予後および治療に対する応答をモニタリングするためのそのような方法および組成物の使用、ならびにアルツハイマー病およおよび他のベータ−アミロイド関連疾患の処置法として、受動免疫において開示された抗体の使用に関する。
【0003】
アルツハイマー病(AD)は、次第に深い精神的衰退、そして最終的には死を導く記憶、認知、推理、判断および感情的安定性の進行的喪失を臨床的な特徴とする変性的脳障害である。ADは老人の進行的な精神機能不全(痴呆)の大変よくある原因であり、そして米国では4番目に多い死亡の医学的原因を表すと考えられている。ADは世界中の種および民族群で観察され、そして現在および将来の主たる公衆衛生の問題を提示する。この疾患には現在、米国だけで約2〜3百万人の個体が罹患していると予想される。ADは現時点では治癒できない。ADを効果的に防止する、またはその症状および過程を逆転する処置は現在、知られていない。
【0004】
AD個体の脳は、老人性(またはアミロイド)斑、アミロイド血管障害(血管のアミロイド沈着)および神経原線維変化(neurofibrillary tangle)と名付けられた特徴的損傷を表す。これら損傷の大多数、特にアミロイド斑および神経原線維変化は、一般にAD患者の記憶および認知機能に重要なヒトの脳の幾つかの領域で見いだされる。より限定された解剖学的分布では、より少ない数のこれら損傷が臨床的にはADではない最高齢のヒトの脳でも見いだされる。アミロイド斑およびアミロイド血管障害は、21トリソミー(ダウン症候群)、びまん性レヴィー小体病およびオランダ型のアミロイドーシスがある遺伝性脳出血(HCHWA−D)の個体の能でも特徴的である。
【0005】
アミロイド斑の主成分は、β−アミロイド前駆体タンパク質(APP)の切断により生成される種々のアミロイド−ベータ(Aβ)ペプチドである。過去には斑およびもつれ(tangle)が原因であるのか、またはアルツハイマー病の結果であるのかについて重要な科学的論争があったが、現在の知見はアミロイド斑が原因となる前駆体または因子であることを示す。特にAβペプチドの生成はアミロイド前駆体タンパク質(正常にプロセッシングされた時、Aβペプチドを生成しないタンパク質)をコードする遺伝子の突然変異から生じ得ることが見いだされた。家族性、若年性アルツハイマー病を引き起こすアミロイド前駆体タンパク質遺伝子中の突然変異の同定は、アミロイド代謝がこの疾患の基にある病理プロセスの中心的出来事である強力な証拠である。現在、APPタンパク質の正常(非病原性)なプロセッシングは、タンパク質内のAβペプチド領域のアミノ酸16と17との間を切断する「アルファ−セクレターゼ」による切断を介して起こると考えられている。さらに病原性プロセッシングの一部は、前駆体タンパク質内のAβペプチド領域のアミノ末端で切断する「ベータ−セクレターゼ」を介しても起こると考えられている。
【0006】
最近、BACE−1がAPPの+1部位での切断に必要な主要なβ−セクレターゼであり、そしてBACE−1の過剰発現はAβの+11部位でのさらなる切断をもたらし、より短いAβ11−40およびAβ11−42断片(今後Aβ11−xペプチドと言う)を生成することが示された。これらのAβペプチドはラットの初代ニューロン細胞培養のコンディショニングした培地中およびマウスN2a細胞で検出され、それらがニューロンで生成される正常なAPP切断産物であることを示唆している(非特許文献、1、2、3)。重要なことは、より短いこれらのAβ断片が主な種のAD脳および正常な加齢した脳でも生化学的分析により(非特許文献4)、ならびにAD病のダウン症候群の脳でも免疫組織化学的実験で(非特許文献5)同定された点である。この出来事はアルツハイマー病の病因におけるAβ11−40/42の役割、特にGlu11から始まるAβ種がAβの1位で始まるものよりも不溶性であることを示す事実の点から再評価を要する。
【0007】
ADおよび他のAβ−関連疾患の基にあるメカニズムを理解するためになされた進歩にもかかわらず、疾患(1つまたは複数)を診断および処置するための方法および組成物を開発する必要性が存在する。すなわちアミロイド前駆体タンパク質の細胞性プロセッシングをモニタリングする能力は、アルツハイマー病の診断、予後および治療的管理に重要な価値があるだろう。特に血清、脳脊髄液(CSF)等のような容易に得られる患者のサンプル中に検出可能な診断マーカーをスクリーニングし、そして評価するための侵襲性が最も少なく反復可能な手順を同定することが望ましい。非特許文献6に記載されているようなポリクローナル抗体は、生物サンプル中の種々のAβペプチドを検出するために有用であるが、各バッチのポリクローナル抗体は異なるという事実を仮定すると、これらの抗体は容易に得られる患者のサンプル中に、検出可能な診断マーカーをスクリーニングし、そして評価するための再現性のある手順を行うための道具を提供しない。さらにポリクローナル抗体を使用した非特異的結合は典型により高く、そしてウエスタンブロッティングにおける精度は典型的にはより低い。
【0008】
アルツハイマー病に関して多数の有力な診断マーカーが提案されてきた。中でも本発明で特に興味深いのは、APPタンパク質のベータ−セクレターゼ切断後に得られるAβ前駆体タンパク質のより短いカルボキシ末端断片である。これらのマーカーはそれら自体で、および/または他の診断マーカーおよび手順と組み合わせて有用である。好ましくは診断マーカーは、CSF、血液、血漿、血清、尿のような体液中、組織等で検出できるので、侵襲性が最少な診断手順を利用することができる。
【0009】
Aβ11−x検出用の特異的アッセイは、再現性があり、しかも一貫した様式で流体サンプル中のAβ11−xを大変低濃度で検出でき、ならびにAβ11−xペプチドとサンプル中に存在し得るAPPの他の断片とを識別できるべきである。
【0010】
本発明のこれらのおよび他の観点を本明細書により詳細に記載する。
[参考文献]
【0011】
【非特許文献1】Gouras,G.K.,et al.,J.Neurochem.,71(1998)1920−1925
【非特許文献2】Wang,R.,et al.,J.Biol.Chem.,271(1996)31894−31902
【非特許文献3】Vandermeerem,M.,et al.,Neurosci.Lett.315(2001)145−148
【非特許文献4】Naslund,J.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.91(1994)8378−8382
【非特許文献5】Iwastubo,T.,et al.,Am.J.Pathol.149(1996)1823−1830
【非特許文献6】Said T.C.,et al.,Neuroscience Letters 215(1996),173−176
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1A:β−セクレターゼ 11切断部位の最初の5〜7個のヒトのアミノ酸、すなわちEVHHQ−C(ヒトAβ 11(5AA)−配列番号1)およびEVHHQKI−C(ヒトAβ 11(7AA)−配列番号2)、またはβ−セクレターゼ 11切断部位の最初の5〜7個のマウスのアミノ酸、すなわちEVRHQ−C(マウスAβ 11(5AA)−配列番号3)およびEVRHQKL−C(マウスAβ 11(7AA)−配列番号4)を免疫原として注射したマウスの血清力価。使用したコーティング抗原は、2.0μg/mlのhAβ(11−40)(アメリカンペプチドカンパニー)であった。
図2A】捕捉抗体として精製したモノクローナル抗体JRF/AβN/25、J&JPRD/hAβ11/1およびJ&JPRD/hAβ11/2を、そして検出抗体としてJRF/cAβ40/10−HRPOを使用したサンドイッチELISA。抗体の組み合わせは、ヒトAβ1−40およびヒトAβ11−40(アメリカンペプチドカンパニー)との反応性について評価する。A:JRF/AβN/25とJRF/cAβ40/10−HRPOとの組み合わせは、hAβ11−40に対する交差反応無しでヒトAβ1−40と特異的に反応する(Aβ1−40検出に関する陽性対照)。
図2B】捕捉抗体として精製したモノクローナル抗体JRF/AβN/25、J&JPRD/hAβ11/1およびJ&JPRD/hAβ11/2を、そして検出抗体としてJRF/cAβ40/10−HRPOを使用したサンドイッチELISA。抗体の組み合わせは、ヒトAβ1−40およびヒトAβ11−40(アメリカンペプチドカンパニー)との反応性について評価する。B:J&JPRD/hAβ11/1とJRF/cAβ40/10−HRPOとの組み合わせは、ヒトAβ1−40に対する交差反応無しでhAβ11−40と特異的に反応する。
図2C】捕捉抗体として精製したモノクローナル抗体JRF/AβN/25、J&JPRD/hAβ11/1およびJ&JPRD/hAβ11/2を、そして検出抗体としてJRF/cAβ40/10−HRPOを使用したサンドイッチELISA。抗体の組み合わせは、ヒトAβ1−40およびヒトAβ11−40(アメリカンペプチドカンパニー)との反応性について評価する。C:J&JPRD/hAβ11/2とJRF/cAβ40/10−HRPOとの組み合わせは、ヒトAβ1−40に対する交差反応無しでhAβ11−40と特異的に反応する。
図3】J&JPRD/hAβ11/1と、ヒトAPPsweおよびヒトBACE1で安定にトランスフェクトされたHEK細胞の膜抽出物中のAPPのβ11−切断CTF断片との特異的反応を示すウエスタンブロッティング。C6/6.1はAPPのC末端に向けられ、そしてAPPのβ1およびβ11−切断CTF断片の両方と反応する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の要約
本発明は、Glu11でBACE−1によりAPPタンパク質の切断後に得られる、より短いAβペプチド、すなわちAβペプチド断片Aβ11−40およびAβ11−42(今後Aβ11−xペプチドとも言う)を特異的に認識するモノクローナル抗体を提供する。本発明はさらにモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマ細胞、ならびに抗体およびハイブリドーマ細胞の生産法;および抗体を使用した競合法またはサンドイッチ法によるAβペプチドのイムノアッセイを提供する。
【0014】
特に本発明は、免疫原としてβ−セクレターゼ 11切断部位の最初の5〜7個のヒトのアミノ酸、すなわちEVHHQ−C(ヒトAβ 11(6AA)−配列番号1)およびEVHHQKI−C(ヒトAβ 11(8AA)−配列番号2)を使用して、あるいはβ
−セクレターゼ 11切断部位の最初の5〜7個のマウスのアミノ酸、すなわちEVRHQ−C(マウスAβ 11(6AA)−配列番号3)およびEVRHQKI−C(マウスAβ 11(8AA)−配列番号4)を使用して調製されるモノクローナル抗体を提供する。該抗体は他のAPP断片との交差反応性無しに、Aβ11−xペプチドと特異的に反応し、したがってアルツハイマー病の病因におけるAβ11−xの役割を究明するイムノアッセイにおいて有用である。
【0015】
より具体的な態様では、モノクローナル抗体はヒトAβ 11(6AA)免疫原に対して反応性であり、そして2002年8月19日にベルギーの細菌のカルチャーコレクションに寄託番号LMBP5896CBおよびLMBP5897CBでそれぞれ寄託されたハイブリドーマ細胞J&JPRD/hAβ11/1およびJ&JPRD/hAβ11/2により発現される。このように本発明のモノクローナル抗体を発現する前記ハイブリドーマ細胞を提供することは本発明のさらなる態様である。
【0016】
本発明のさらなる観点では、本発明の抗体は、β−アミロイド関連疾患をモニタリングするための生物学的サンプルおよびAPPの細胞内プロセッシングをモニタリングするための細胞培養に由来するコンディショニングした培地を含め、存在し得る場合はどこでもAβ11−xペプチドを検出するための通例の免疫学的技術に使用される。適切な免疫学的技術は当業者には周知であり、そして例えばELISA、ウエスタンブロット分析、競合またはサンドイッチイムノアッセイ等を含み、免疫学的技法はすべて抗原−抗体免疫複合体の形成に依存することは周知であるので、ここでアッセイの目的に、抗体は例えば放射性、酵素または蛍光標識で検出可能に標識されることができ、あるいは抗体は不溶性担体に固定化されることができる。
【0017】
また本発明はアルツハイマー病、ダウン症候群、HCHWA−D、脳のアミロイド血管障害または他のβ−アミロイド関連疾患を処置、防止または反転させるために;臨床的または未だ病状が現れていないアルツハイマー病、ダウン症候群、HCHWA−Dまたは脳のアミロイド血管障害における認知低下を処置、防止または反転させるために;あるいはヒトにおけるアミロイド斑の形成または毒性の可溶性Aβ種の効果を抑制するための薬剤の製造に本発明のヒト化抗体の使用も含む。
【0018】
詳細な説明
本発明は、Glu11でBACE−1によるAPPタンパク質の切断後に得られる、より短いAβペプチドを特異的に認識するモノクローナル抗体を提供する。本発明の抗体は、ヒトAβのβ−セクレターゼ 11切断部位の最初の5〜7個のアミノ酸上、またはマウスAβのβ−セクレターゼ 11切断部位の最初の5〜7個のアミノ酸上に存在する1以上のエピトープに対して特異性を有する。
【0019】
特に本発明は、免疫原としてβ−セクレターゼ 11切断部位の最初の5〜7個のヒトのアミノ酸、すなわちEVHHQ−C(ヒトAβ 11(6AA)−配列番号1)およびEVHHQKI−C(ヒトAβ 11(8AA)−配列番号2)を使用して、あるいはβ−セクレターゼ 11切断部位の最初の5〜7個のマウスのアミノ酸、すなわちEVRHQ−C(マウスAβ 11(6AA)−配列番号3)およびEVRHQKI−C(マウスAβ 11(8AA)−配列番号4)からなるペプチドを使用して調製されるモノクローナル抗体を提供する。
【0020】
前記ペプチドは、アミノ酸が成長している鎖に順次加えられる周知なメリフィールド固相合成技術(Merrifield(1963)、J.Am.Chem.Soc.85:2149−2136)のような当該技術分野で知られている方法により調製生成することができる。アミノ酸配列は上で説明したAβ断片の配列に基づくものでよく、または自然
に存在するか、もしくは操作した変異体配列を利用してもよい。免疫原として使用するために、このように得られたペプチドはそれ自体を使用することができ、または適切な免疫を活性化する天然もしくは合成の担体、例えばウシ、ウサギおよびヒトのような哺乳動物のマレイミド活性化血清アルブミン、およびウシ、ウサギ、ヒトおよびヤギのような哺乳動物のチログロブリン、および鍵穴カサガイヘモシアニン(KLH)、または他の適当なタンパク質担体、例えばスチレンポリマー、アクリル酸ポリマー、ビニルポリマーおよびプロピレンポリマーを含む合成ポリマー担体に結合することかできる。免疫感作の詳細な説明は実施例に見いだすことができる。
【0021】
いったん十分量の免疫原が得られれば、Aβ11−xペプチドに特異的なポリクローナル抗体は、インビトロまたはインビボの技術を含む技術を使用した様々な方法で生産することができる。インビトロの技術には、免疫原に対するリンパ球の暴露が関与し、一方、インビボの技術には免疫原の適当な脊椎動物宿主への注射が必要である。適当な脊椎動物宿主は非ヒトであり、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ヤギ等を含む。免疫原は予め定めたスケジュールに従い動物に注射され、そして動物は周期的に採血され、向上した力価および特異性を有する連続的な出血を得る。注射は筋肉内、腹腔内、皮下等に行うことができ、そしてフロイント完全アジュバントまたはフロイント不完全アジュバントのようなアジュバントを抗体生産能を高めるために与えてもよい。血清力価レベルをスクリーニングする方法には、典型的には標準的なELISAまたはRIAアッセイを含む。例えばELISAスクリーニング形式では、Aβ11−xペプチドもしくは担体(BSAのような)にカップリングしたAβ11−xペプチドのいずれかをコーティングした固相(例えばマイクロプレートの底)に血清を加え、次いで検出可能な標識、例えば酵素、好ましくは西洋ワサビペルオキシダーゼもしくは放射性同位体、例えば125Iに結合した抗−免疫グロブリン抗体(例えば免疫感作がマウスで行われる時、抗−マウス免疫グロブリン抗体、例えばヒツジ−抗マウス免疫グロブリン(Ig)を使用する)を加える。
【0022】
所望により、モノクローナル抗体は当業者により十分理解されている技術を使用して、ちょうど記載した方法により所望する免疫原で超免疫化したマウスのような脊椎動物宿主から調製することができる。都合よく高力価抗体を示す脊椎動物宿主を、所望の免疫原で免疫感作した動物から選択する。典型的には最終免疫感作から2〜5日、好ましくは4日後に、脾臓またはリンパ節をそれらから集め、そして中に含まれる抗体生産細胞を不死化する。不死化の様式は重要ではない。現在、最も多い技術はミエローマ細胞融合パートナーとの融合である。融合手順は当該技術分野で既知の方法、例えばKohler and
Milsteinの方法(Nature,256,495−497(1975))に従い行うことができる。他の技術にはEBV形質転換、裸のDNA、例えば癌遺伝子、レトロウイルス等を用いた形質転換、または細胞株の安定な維持およびモノクローナル抗体の生産を提供する任意の他の方法を含む。ポリエチレングリコール(PEG)およびセンダイウイルスを含む融合促進物質も使用することができる。特にPEGが好ましく使用される。ミエローマ細胞の例には、NS−1、P3U1、SP2/0およびAP−1を含み、SP2/0細胞が好ましく使用される。
【0023】
ヒトAβのβ−セクレターゼ 11切断部位の最初の5〜7個のアミノ酸上、またはマウスAβのβ−セクレターゼ 11切断部位の最初の5〜7個のアミノ酸上に見いだされるエピトープに対して特異的なモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマは、最初に例えばBalb/cマウスのようなハイブリドーマを生産できる動物を、フロイントアジュバント中の所望する免疫原の初回腹腔内注射により免疫感作し、続いて2週間毎に追加免疫注射することにより最も効果的に生産される。引き続き単離した脾臓の融合は、当業者により一般的に知られている技術、好ましくはSP2/0細胞を使用して、Kohler and Milsteinの改良手順(Eur.J.Immunol.,6,292−295(1976))により行うことができる。どれがAβ11−xペプチドに特異的
な抗体を生産しているかを決定するためのハイブリドーマのスクリーニングは、標準的なELISAまたはRIAアッセイのいずれかで今までに記載したように行うことができる。所望のモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマの選択および育種は通常、10〜20%のウシ胎児血清および例えばHAT(ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジン)、またはESGハイブリドーマサプリメントのような他の成分を補充した動物に関する培地(例えばダルベッコの改良イーグル培地(DMEM)またはイーグルの最少必須培地(MEM))中で行う。したがって本発明の1つの態様は、2002年8月19日にベルギーの細菌のカルチャーコレクションに寄託番号LMBP5896CBおよびLMBP5897CBでそれぞれ寄託されたハイブリドーマ細胞J&JPRD/hAβ11/1およびJ&JPRD/hAβ11/2を提供する。
【0024】
抗−Aβ11−xモノクローナル抗体の選択および精製は、塩沈殿、アルコール沈殿、等電点沈殿、電気泳動、イオン交換物質(例えばDEAE)での吸着および脱着、超遠心、ゲル濾過、および抗原結合固相およびプロテインAもしくはプロテインGアフィニティクロマトグラフィーを含む特異的なイムノアフィニティ分離技術のようなポリクローナル抗体の通常の分離および精製に順じて行う。適当なタンパク質精製技術は、Methods in Enzymology,Vol.182,Deutcher,ed.,アカデミック出版社、サンディエゴ,1990に記載され、この開示は引用により本明細書に編入する。
【0025】
このように本発明の目的は前記ハイブリドーマ細胞により発現される単離されたモノクローナル抗体を提供することであり、該抗体はAβ11−xペプチドを特異的に認識することができる。好ましくはこれらの単離されたモノクローナル抗体は、2002年8月19日にベルギーの細菌のカルチャーコレクションに寄託番号LMBP5896CBおよびLMBP5897CBでそれぞれ寄託されたハイブリドーマ細胞J&JPRD/hAβ11/1およびJ&JPRD/hAβ11/2により発現される。
【0026】
本発明の抗体は、β−アミロイド関連疾患をモニタリングするための生物学的サンプル、およびAPPの細胞内プロセッシングをモニタリングするための細胞培養から得たコンディショニングした培地を含め、存在する場合はどこでもAβ11−xペプチドを検出するために通例の免疫学的技術で使用される。適当な免疫学的技術は当業者には周知であり、そして例えばELISA、ウエスタンブロット分析、競合もしくはサンドイッチイムノアッセイ等を含み、免疫学的技術はすべて抗原−抗体免疫複合体の形成に依存することは周知であるので、ここでアッセイの目的に、抗体は例えば放射性、酵素、発光または蛍光標識で検出可能に標識されることができ、あるいは抗体は不溶性担体に固定化されることができる。このように本発明の目的はサンプル中のAβ11−xペプチドの測定または検出のためのイムノアッセイを提供することであり、この方法はサンプルをAβ11−xペプチドに対する抗体と本発明に従い接触させ、そして抗体とAβ11−xペプチドとの間に免疫複合体が形成されるかどうかを決定することを含んでなる。これらの方法は組織サンプルまたは体液サンプルのいずれかで行うことができ、そして一般に個体の身体に由来するサンプルを得;該サンプルを造影に有効量の検出可能に標識された抗体と本発明に従い接触させ;そして標識を検出してサンプル中のAβ11−xペプチドの存在を確立することを含んでなる。
【0027】
本発明の抗体を使用した測定法は、特に限定されない。抗原の量、特に測定される溶液中のAβ11−xペプチドの量に対応する抗体、抗原または抗原−抗体複合体の量が化学的または物理的手段により検出され、そして既知の量の抗原を含有する標準溶液の使用により調製された標準曲線から算出される限り任意の測定法を使用することができる。例えば比濁法、競合法、免疫測定法およびサンドイッチ法が適当に使用される。感度および特異性に関して、以下に記載するサンドイッチ法を使用することが特に好ましい。
【0028】
標識物質を使用する測定法では、放射性同位体、酵素、蛍光物質、発光物質等が標識剤として使用される。放射性同位体の例には、125I、131I、3Hおよび14Cを含む。酵素は通常、次いで検出可能な反応を触媒する適切な基質との結合により検出可能とされる。それらの例には例えばベータ−ガラクトシダーゼ、ベータ−グルコシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼおよびマレイン酸デヒドロゲナーゼ、好ましくは西洋ワサビペルオキシダーゼを含む。発光物質には例えば、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、エクオリルおよびルシフェラーゼを含む。さらにアビジン−ビオチン系も、本発明の抗体および免疫原を標識するために使用することができる。
【0029】
免疫原または抗体が不溶性である時、通常、タンパク質または酵素の不溶化または固定化に使用する物理的吸着または化学的結合のいずれかを使用することができる。担体の例にはアガロース、デキストランおよびセルロースのような不溶性多糖、ポリスチレン、ポリアクリルアミドおよびシリコンポリマーのような合成樹脂、およびガラスを含む。
【0030】
サンドイッチ法では、試験溶液を不溶化した抗−Aβ11−xペプチド抗体(第1反応)と反応させ、さらに標識した抗−Aβ11−xペプチド抗体と反応させ(第2反応)、そして次に不溶化担体中の標識剤の活性をアッセイし、これにより試験溶液中のAβ11−xペプチドの量を決定することができる。第1反応および第2反応は、同時または順次に行うことができる。
【0031】
β−アミロイド関連疾患を診断するためのさらなる態様では、組織、体液、例えばCSF、血液、血漿、血清、尿等を含む生物学的サンプルが含まれ、そして適当量の第1抗体と接触させて免疫複合体を形成する。接触には典型的にはサンプルを、第1抗体でコーティングした固体マトリックスに加えることを含む。サンプルと第1抗体との接触から生成した複合体は、溶出によりサンプルから分離する。しかし他の回収法を使用することもできる。回収した複合体は、抗原上の抗原決定基に向けられ、そして複合体中の抗原に結合することができる少なくとも1つの第2抗体と接触させる。第2抗体が向けられる抗原決定基は、抗原実体のマルチエピトープ性により第1抗体が向けられる抗原決定基と同じであることができる。第1または第2抗体のいずれかを、上記の任意の標識を使用して検出可能にすることができる。好適な態様では、第2抗体を検出可能とする。第1および第2抗体に結合した抗原からなる複合体に結合した検出可能な抗体の存在は、技術的に知られている技法を使用して容易に検出することができる。生物学的サンプルで得られた結果を、対照サンプルで得られた結果と比較することにより、変化したAβ11−xペプチドレベルの存在が測定される。
【0032】
したがって本発明の目的は、固体マトリックスにコーティングされた第1抗体(今後コーティング抗体と言う)が、Aβ11−xペプチドおよび完全長のAβ40またはAβ42を認識する抗体からなり、そして第2抗体(これは検出可能にされている)が、Aβ11−xペプチドを特異的に認識するサンドイッチアッセイを提供することである。好ましくはコーティング抗体はヒトのAβ11−xペプチドおよび完全長のヒトAβ40またはAβ42を認識し、より好ましい態様では、コーティング抗体はAβ11−40および完全長のAβ40を特異的に認識するモノクローナル抗体JRF/cAβ40/10からなり、該モノクローナル抗体は配列番号5のアミノ酸配列を有する少なくとも1つの重鎖可変領域、および/または配列番号6のアミノ酸配列を有する少なくとも1つの軽鎖可変領域を含んでなることを特徴とし(今後モノクローナル抗体JRF/cAβ40/10と言う)、あるいはコーティング抗体はAβ11−42および完全長のAβ42を特異的に認識するモノクローナル抗体JRF/cAβ42/12からなり、該モノクローナル抗体は配列番号7のアミノ酸配列を有する少なくとも1つの重鎖可変領域、および/または配列番号8のアミノ酸配列を有する少なくとも1つの軽鎖可変領域を含んでなることを特徴と
する(今後モノクローナル抗体JRF/cAβ42/12と言う)。したがって好適な態様では、第2抗体は2002年8月19日にベルギーの細菌のカルチャーコレクションに寄託番号LMBP5896CBおよびLMBP5897CBでそれぞれ寄託されたハイブリドーマ細胞J&JPRD/hAβ11/1またはJ&JPRD/hAβ11/2により発現されるモノクローナル抗体の1つである。また本発明の目的は、完全長Aβ40またはAβ42に対するAβ11−xペプチドの比率を決定するためのサンドイッチアッセイを提供することである。この態様では、完全長Aβ40およびAβ42の両方を認識するが、Aβ11−xペプチドとは交差反応を示さないさらなる第2抗体も使用する。好ましくはこのさらなる第2抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を有する少なくとも1つの重鎖可変領域、および/または配列番号10のアミノ酸配列を有する少なくとも1つの軽鎖可変領域を含んでなることを特徴とするJRF/AβN25からなる。したがって本発明の1つの目的は、コーティング抗体が例えば2002年8月19日にベルギーの細菌のカルチャーコレクションに寄託番号LMBP5896CBおよびLMBP5897CBでそれぞれ寄託されたハイブリドーマ細胞J&JPRD/hAβ11/1またはJ&JPRD/hAβ11/2により発現されるモノクローナル抗体のような、Aβ11−xペプチドを特異的に認識するが、完全長Aβ40またはAβ42ペプチドに交差反応性を示さない抗体を、例えばこれまでに特性付けたようなJRF/cAβ42/12またはJRF/cAβ40/10のようなAβ11−40またはAβ11−42を特異的に認識する第2抗体と組み合わせてなる、サンドイッチアッセイを提供することである。具体的な態様では、コーティング抗体はJ&JPRD/hAβ11/1からなり、そして第2抗体はAβ11−42および完全長Aβ42を特異的に認識するJRF/cAβ42/26からなり、該モノクローナル抗体は、配列番号11のアミノ酸配列を有する少なくとも1つの重鎖可変領域、および/または配列番号12のアミノ酸配列を有する少なくとも1つの軽鎖可変領域を含んでなることを特徴とする(今後モノクローナル抗体JRF/cAβ42/26と言う)。
【0033】
完全長Aβ40またはAβ42に対するAβ11−xペプチドの比率を測定するための別のサンドイッチアッセイでは、コーティング抗体はAβ11−xペプチド、好ましくはヒトのAβ11−xペプチドを特異的に認識する抗体、およびペプチドAβ11−40またはAβ11−42、好ましくはヒトのAβ11−40またはヒトのAβ11−42を特異的に認識する、検出可能にされた第2抗体からなる。この別のサンドイッチアッセイでは、コーティング抗体は2002年8月19日にベルギーの細菌のカルチャーコレクションに寄託番号LMBP5896CBおよびLMBP5897CBでそれぞれ寄託されたハイブリドーマ細胞J&JPRD/hAβ11/1またはJ&JPRD/hAβ11/2により発現されるモノクローナル抗体の1つからなり、そして第2の検出可能に標識された抗体は、これまでに特性付けたモノクローナル抗体JRF/cAβ40/10またはモノクローナル抗体JRF/cAβ42/12のいずれかからなる。
【0034】
本発明のモノクローナル抗体は、サンドイッチ法以外のアッセイ系、例えば競合法および比濁法にも使用することができる。競合法では、試験溶液中の抗原および標識免疫原を抗体と競合的に反応させ、続いて未反応の標識免疫原(F)を抗体に結合した標識免疫原(B)から分離する(B/F分離)。次いでBまたはFの標識量を測定して、試験溶液中の免疫原の量を決定する。これらの反応法には液相法(これは抗体として可溶性抗体が使用され、そしてポリエチレングリコールおよび上に挙げた抗体に対する第2抗体がB/F分離に使用される)、および固体化法(これは第1抗体として固体化された抗体を使用するか、または第1抗体として可溶性抗体を使用し、そして第2抗体として固体化された抗体を使用する)を含む。
【0035】
比濁法には抗体−抗原反応の結果としてゲルまたは溶液中に生成される不溶性沈殿物の量を測定する。たとえ抗原の量がわずかであり、そして得られた沈殿物が少量のみであっ
ても、レーザー散乱を使用したレーザー比濁計が適切に使用される。
【0036】
さらなる観点では、本発明はヒトにおけるベータ−アミロイドタンパク質を含有する斑の形成を特徴とする状態を処置し、そして防止するための方法を対象とし、この方法はそのような処置が必要なヒトに治療に、または予防に有効量の本発明のヒト化モノクローナル抗体またはその免疫学的に反応性の断片を投与、好ましくは末梢的に投与することを含んでなり、この抗体はヒトまたはマウスAβペプチドのβセクレターゼ 11切断部位の最初の5〜7個のアミノ酸上に存在する1以上のエピトープに特異的に結合する。別の観点では、本発明はアミロイド斑の形成を阻害し、そしてヒトのアミロイド斑を取り除く(clear)方法を対象とし、この方法はそのような阻害が必要なヒト個体に、Aβペプチドがその循環から血中に形成されることを封鎖し、そして脳から流出ならびに血漿および脳における改変Aβの排出を誘導する有効量のヒト化抗体を投与することを含んでなる。さらなる観点では、本発明はその免疫学的に効果的な部分を含むそのようなヒト化抗体、およびそれらの調製法を対象とする。
【0037】
「ヒト化抗体」とは、非ヒト相補性決定領域(CDR)を有する抗体の配列を改変することによるヒト抗体生殖細胞系に由来するアミノ酸配列の一部または全部からなる抗体を意味する。"CDR"は免疫グロブリン重および軽鎖の超可変性領域である抗体の相補性決定領域のアミノ酸配列と定める。例えば、Kabat et al.、免疫学的に興味深いタンパク質の配列(Sequences of proteins of immunological interest)、第4版、米国保健福祉省、国立衛生研究所(1987)を参照にされたい。免疫グロブリンの可変部分には3つの重鎖および3つの軽鎖CDR(またはCDR領域)がある。すなわち本明細書で使用する"CDR"は、3つすべての重鎖CDRまたは3つすべての軽鎖CDR(または適当ならば軽および重鎖CDRの両方)を指す。
【0038】
最も単純なそのような改変は、マウス定常領域に代えて単にヒト抗体の定常領域を使用することであり、これにより製薬学的使用に許容され得る十分に低い免疫原性を有することができるヒト/マウスキメラを生じる。
【0039】
しかし好ましくは、抗体の可変領域およびさらにCDRも、今では当該技術分野で周知である技術によりヒト化される。可変領域の骨格領域は、対応するヒトの骨格領域により置換され非ヒトCDRを実質的に完全なままとするか、またはさらにCDRをもヒトゲノムに由来する配列に置き換える。完全なヒト抗体は、免疫系が対応するヒト免疫系に改変された遺伝的に修飾されたマウスで生産される。上に述べたように本発明の方法での使用については、単鎖形を表す断片を含め、抗体の免疫学的に特異的な断片を使用することで十分である。
【0040】
ヒト化抗体は、再度、ヒト骨格、非ヒト抗体に由来する少なくとも1つのCDRを含んでなる抗体を称し、そしてここで存在する任意の定常領域はヒト免疫グロブリンの定常領域と実質的に同一であり、すなわち少なくとも約85、90%、好ましくは少なくとも95%同一である。したがってヒト化抗体のすべての部分(恐らくCDRを除く)は、1以上の天然のヒト免疫グロブリン配列の対応する部分に実質的に同一である。例えばヒト化免疫グロブリンは、典型的にはキメラマウス可変領域/ヒト定常領域抗体を包含しない。
【0041】
ヒト化抗体は、ヒトの治療に使用するために非ヒトおよびキメラ抗体よりも少なくとも3つの潜在的な利点を有する:
1)エフェクター部分がヒトであるので、ヒト免疫系の他の部分ともより良く相互反応することができる(例えば、補体依存性細胞傷害(CDC)または抗体依存性細胞傷害(ADCC)により、標的細胞をより効率的に破壊する)。
2)ヒトの免疫系はヒト化抗体の骨格またはC領域を外来とは認識しないはずなので、そのような注射された抗体に対する抗体応答は、全部が外来の非ヒト抗体または部分的に外来のキメラ抗体に対するよりも低いはずである。
3)注射された非ヒト抗体は、ヒトの循環においてヒト抗体の半減期よりもはるかに短い半減期を有すると報告されてきた。注射されたヒト化抗体は自然に存在するヒト抗体と本質的に同一の半減期を有し、与える用量をより少なく、そして頻度を低くできる。
【0042】
ベータ−アミロイドタンパク質を含む斑の形成を特徴とする状態を処置または防止するための方法で抗体(免疫学的に反応性の断片を含む)は、臨床的もしくは症状発現前のアルツハイマー病、ダウン症候群、または臨床的もしくは症状発現前のアミロイド血管症のようなAβ−関連症状または病状の危険性があるか、それらを現す個体に標準的な投与技術を使用して、好ましくは末梢に(すなわち中枢神経系による投与によるものではない)、静脈内、腹腔内、皮下、肺、経皮、筋肉内、鼻内、頬内、舌下または座薬投与により投与される。抗体は脳室系、脊髄液または脳の実質に直接投与してもよく、そしてこれらの位置へ向ける技術は当該技術分野では周知であるが、これらのより複雑な手法を利用する必要はない。本発明の抗体は末梢循環系に依る、より単純な技術により投与する時に効果的である。本発明の利点には、たとえ中枢神経系自体に直接提供されなくても、抗体がその有利な効果を発揮する能力を含む。実際に本明細書では血液脳関門をわたる抗体の量が<0.1%の血漿レベルであり、しかも本発明の抗体は末梢循環中のAβを封鎖し、ならびにCNSおよび血漿の可溶性Aβ排出を改変する能力を発揮することが証明された。
【0043】
投与用の製薬学的組成物は、選択された投与様式に適するように計画され、そして分散剤、バッファー、表面活性剤、保存剤、可溶化剤、張性調節剤、安定化剤等のような製薬学的に許容され得る賦形剤が適切に使用される。レミングトンの製薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)、マック出版社、イーストン、ペンシルバニア州、最新版(引用により本明細書に編入する)は、一般的に熟練者に知られている製剤技術の概論を提供する。
【0044】
本発明の抗体の溶解性を改変すること、例えばそれらをリポソームにカプセル化することにより、または極性基をブロッキングすることによりさらに親油性にすることは特に有用である。
【0045】
静脈内または腹腔内または皮下注射による末梢全身送達が好適である。そのような注射に適当な賦形剤は簡単である。しかしさらに、投与は鼻用エーロゾルまたは座薬により粘膜を通して行うこともできる。そのような投与様式に適当な製剤は周知であり、そして典型的には膜を通る輸送を促進する表面活性剤を含む。そのような表面活性剤はしばしばステロイドに由来するか、またはN−[1−(2,3−ジオレオイル)プロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド(DOTMA)のようなカチオン性脂質、またはコレステロールヘミスクシネート、ホスファチジルグリセロール等のような種々の化合物である。
【0046】
製剤中のヒト化抗体の濃度は、わずか約0.1%から15または20重量%まで、そして主に流体容量、粘度等に基づき選択した特定の投与様式に従い選択される。このように注射用の典型的な製薬学的組成物は、リン酸緩衝化塩水の1mLの滅菌緩衝水および1〜100mgの本発明のヒト化抗体を含むように作成することができる。製剤は製剤を作成した後に滅菌濾過することができ、あるいは微生物学的に許容され得るように作成することができる。静脈内注入用の典型的組成物は、滅菌リンゲル溶液のような250mLもの容量、およびmlあたり1〜100mg以上の抗体濃度を有することができる。
【0047】
本発明の治療薬は、貯蔵のために凍結または凍結乾燥し、そして使用前に適切な滅菌担
体中に再構成することができる。凍結乾燥および再構成は程度が変動する抗体活性の損失を導く可能性がある(例えば通例の免疫グロブリンでは、IgM抗体はIgG抗体よりも大きな活性の損失を有する傾向がある)。投薬用量は補正するために調整されなければならないかもしれない。製剤のpHは抗体の安定性(化学的および物理的)と投与する時の患者の満足のバランスを取るように選択される。
【0048】
一般に、4から8の間のpHで耐容される。
【0049】
前記の方法はヒト化抗体のようなタンパク質の投与に最も便利かつ最も適切であると思われるが、適切に適合させることにより経皮的投与および経口投与のような他の投与技術も、適切な製剤が設計されれば採用することができる。
【0050】
加えて、生分解性フィルムおよびマトリックス、または浸透圧ミニポンプ、またはデキストランビーズ、アルギネートまたはコラーゲンに基づく送達系を使用した放出制御製剤を使用することも望ましい。
【0051】
まとめると製剤は本発明の抗体を投与するために利用可能であり、そして当該技術分野で周知であり、そして種々な選択肢から選ぶことができる。典型的な投薬用量レベルは、標準的な臨床的技術を使用して至適化することができ、そして投与様式および患者の状態に依存するだろう。
【0052】
本発明はさらに上記方法に使用することができるキットを提供する。1つの態様では、キットは本発明の抗体、好ましくは精製された抗体、より好ましくはモノクローナル抗体、さらに一層好ましくは2002年8月19日にベルギーの細菌のカルチャーコレクションに寄託番号LMBP5896CBおよびLMBP5897CBでそれぞれ寄託されたハイブリドーマ細胞J&JPRD/hAβ11/1およびJ&JPRD/hAβ11/2により発現される単離されたモノクローナル抗体を1以上の容器に含んでなる。具体的な態様では本発明のキットは、キットに含まれる抗体と特異的に免疫反応性であるエピトープを含んでなる実質的に単離されたポリペプチドを含む。さらなる態様では、このエピトープは免疫原としてβ−セクレターゼ 11切断部位の最初の5〜7個のヒトのアミノ酸、すなわちEVHHQ−C(ヒトAβ 11(6AA)−配列番号1)およびEVHHQKI−C(ヒトAβ 11(8AA)−および配列番号2)、またはβ−セクレターゼ 11切断部位の最初の5〜7個のマウスのアミノ酸、すなわちEVRHQ−C(マウスAβ
11(6AA)−配列番号3)およびEVRHQKL−C(マウスAβ 11(8AA)−配列番号4)からなる群から選択される。好ましくは本発明のキットはサンドイッチアッセイに使用され、そしてさらに目的のポリペプチドとは特異的に反応しないコーティング抗体を含んでなり、具体的な態様では、このコーティング抗体はAβ11−xペプチドおよび完全長のAβ40またはAβ42を認識し、好ましくはこのコーティング抗体はヒトAβ11−xペプチドおよび完全長のヒトAβ40またはAβ42を認識し、さらに好適な態様では、このコーティング抗体はAβ11−40および完全長のAβ40を特異的に認識するモノクローナル抗体JRF/cAβ40/10(すでに特性付けしたような)からなるか、またはコーティング抗体はAβ11−42および完全長のAβ42を特異的に認識するモノクローナル抗体JRF/cAβ42/12(すでに特性付けしたような)からなる。本発明による別のサンドイッチアッセイでは、キットはAβ11−xペプチド、好ましくはヒトのAβ11−xペプチドを特異的に認識するコーティング抗体、およびさらにAβ40またはAβ42のC−末端、好ましくはヒトAβ40またはAβ42のC−末端に特異的な抗体を含んでなる。より好適な態様ではキットは、コーティング抗体として2002年8月19日にベルギーの細菌のカルチャーコレクションに寄託番号LMBP5896CBおよびLMBP5897CBでそれぞれ寄託されたハイブリドーマ細胞J&JPRD/hAβ11/1およびJ&JPRD/hAβ11/2により発現される単
離されたモノクローナル抗体、およびさらなる抗体としてモノクローナル抗体JRF/cAβ40/10(これまでに特性付けしたような)およびモノクローナル抗体JRF/cAβ42/12(これまでに特性付けしたような)を含んでなり、後者は検出可能な標識、物質に連結されている。
【0053】
本発明の別の態様では、本発明のキットは抗体の目的とするポリペプチドへの結合を検出するための手段を含む(例えば抗体は蛍光化合物、酵素基質、放射性化合物または発光化合物のような検出可能物質、あるいは第1抗体を認識する第2抗体を検出可能な物質に結合することができる)。特にキットはAβ11−xペプチドへの抗体の結合を検出するための、好ましくはβ−セクレターゼ 11切断部位の最初の5〜7個のヒトのアミノ酸、すなわちEVHHQ−C(ヒトAβ 11(6AA)−配列番号1)およびEVHHQKI−C(ヒトAβ 11(8AA)−および配列番号2)、またはβ−セクレターゼ 11切断部位の最初の5〜7個のマウスのアミノ酸、すなわちEVRHQ−C(マウスAβ 11(6AA)−配列番号3)およびEVRHQKL−C(マウスAβ 11(8AA)−配列番号4)からなる群から選択されるエピトープとの結合を検出するための手段を含む。前記サンドイッチアッセイでは、検出可能な物質に結合した抗体は、コーティング抗体ではない。
【0054】
さらなる態様では、本発明は組織、体液、例えばCSF、血液、血漿、血清、尿等を含む生物学的サンプルのスクリーニングに使用するための診断キットを含む。該生物学的サンプルはAb11−xペプチドを含む。この診断キットはAb11−xペプチドと、特にβ−セクレターゼ 11切断部位の最初の5〜7個のヒトのアミノ酸、すなわちEVHHQ−C(ヒトAβ 11(6AA)−配列番号1)およびEVHHQKI−C(ヒトAβ
11(8AA)−および配列番号2)、またはβ−セクレターゼ 11切断部位の最初の5〜7個のマウスのアミノ酸、すなわちEVRHQ−C(マウスAβ 11(6AA)−配列番号3)およびEVRHQKL−C(マウスAβ 11(8AA)−配列番号4)からなる群から選択されるエピトープと特異的に免疫反応性の実質的に単離された抗体、および抗体の免疫原への結合を検出する手段を含む。1つの態様では、抗体が固体支持体に結合している。具体的な態様では、抗体はモノクローナル抗体、特に2002年8月19日にベルギーの細菌のカルチャーコレクションに寄託番号LMBP5896CBおよびLMBP5897CBでそれぞれ寄託されたハイブリドーマ細胞J&JPRD/hAβ11/1およびJ&JPRD/hAβ11/2により発現されるモノクローナル抗体であることができる。
【0055】
キットの検出手段には第2の標識されたモノクローナル抗体を含むことができ、好ましくはこの第2の標識されたモノクローナル抗体は、JRF/cAβ40/10またはJRF/cAβ42/12からなり、ここでJRF/cAβ40/10との前記固定化モノクローナル抗体の組み合わせはAβ1−40との交差反応無しでAβ11−40を特異的に認識し、そしてここでJRF/cAβ42/12との前記固定化モノクローナル抗体の組み合わせはAβ1−42との交差反応無しでAβ11−42を特異的に認識する。あるいは、または加えて、検出手段は標識された競合抗原を含んでなることができる。
【0056】
上記アッセイにおける固体表面試薬は、タンパク質材料をポリマー性ビーズ、浸漬棒、96ウェルプレートまたはフィルター材料のような固体支持体材料に結合させるために知られている技術により調製される。これらの結合法は一般にタンパク質の支持体への非特異的吸着、または典型的には遊離アミノ基を介するタンパク質の、固体支持体上の化学的な反応性基、例えば活性化カルボキシル、ヒドロキシルまたはアルデヒド基への共有結合を含む。あるいはストレプトアビジンをコートしたプレートをビオチン化抗原(1つまたは複数)との結合に使用することができる。
【0057】
このように本発明はこの診断法を行うためのアッセイ系またはキットを提供する。このキットは一般に本発明に従い表面に結合した抗体を含む支持体、および抗体と免疫原との結合を検出するためのレポーターである標識された抗体を含む。
【0058】
本発明は以下の実験の詳細を参照にすることによりより良く理解されるであろうが、当業者にはこれらが添付する特許請求の範囲でより詳細に記載するような本発明の単なる具体的説明であることは明らかであろう。さらに本出願を通して、種々の刊行物が引用されている。これら刊行物の開示は引用により本出願に編入して、本発明が係わる技術分野の状況をより完全に説明する。
【実施例】
【0059】
実験
材料および方法
モノクローナル抗体の作成
Balb/cマウスを、完全フロイントアジュバント中の4種のペプチドで初回免疫した。最初の2つの合成ペプチドはβ−セクレターゼ 11切断部位の最初の5〜7個のヒトのアミノ酸(AA)からなった:EVHHQ(KI)−C(ヒトAβ 11(6〜8AA))。免疫感作用の他の2つのペプチドは、マウスAβ 11AA配列を含んだ;EVRHHQ(KL)−C。すべてのペプチドは、ピアス(Pierce)のImject Maleimide Activated mcKLH/BSAキットのような市販されているキットを使用して、製造元(ピアス、ロックフォード、イリノイ州)の使用説明に従いペプチドをCOOH−末端システイン残基を介してマレイミド活性化mc(鍵穴カサガイ:Megathura crenulata)KLHに、またはマレイミド活性化ウシ血清アルブミンにカップリングすることにより調製した。マウスは2週間毎に100μgのKLHにカップリングしたペプチドで、最初は完全そして続いて不完全フロイントアジュバント中で追加免疫した。
【0060】
すべてのマウスの脾臓を単離し、そしてヒトのAβ 11(6AA)ペプチドで免疫感作したマウスの1つの脾臓を除き、液体窒素中で凍結した。選択したマウスは最高の血清力価を示し、したがって融合に選択した。融合または脾臓摘出の4日前に、すべてのマウスは塩水中のmcKLHにカップリングされた100μgのAβ 11ペプチドで腹腔内に追加免疫された。マウスの脾臓細胞をSP2/0細胞とKohler and Milstein(8)の改良手順により融合した。ハイブリドーマは30x96ウェルプレートにまき、そして10日後にBSAがカップリングした6AAのhAβ 11ペプチドで直接的ELISAによりスクリーニングし、そしてカップリングしていないAβ11−40ペプチドで確認した。遊離hAβ 11−40について陽性細胞を直ちにサブクローン化し、そして陽性クローンを液体窒素中で凍結した。
【0061】
すべてのハイブリドーマは、10%ウシ胎児血清(ハイクローン(Hyclone)、ヨーロッパ)、2.5%ESGハイブリドーマサプリメント(エルスコラボ(Elscolab)、クルイベーク、ベルギー)、2%HT(シグマ(Sigma)、米国)、1mM ピルビン酸ナトリウム、2mM L−グルタミン酸およびペニシリン(100U/ml)およびストレプトマイシン(50mg/ml)を補充したダルベッコの改良イーグル培地で成長させた。すべての製品は市販されており、そしてライフ−テクノロジーズ(Life−Technologies)(ペーズリー、英国)から購入した。細胞は加湿した8%CO2エアーインキュベーター中でインキュベーションした。
【0062】
ELISA抗体の選択
抗−Aβ 11抗体の検出に使用したスクリーニングELISAは、1μg/mlの遊離ヒト/マウスAβ11−40またはBSAがカップリングしたヒト/マウスAβ 11
ペプチドを4℃にて一晩、50μl/ウェルのコーティングバッファー(10mM Tris、10mM NaClおよび10mM NaN3、pH8.5)中でNUNC(ライフテクノロジーズ)のU底高結合96ウェルマイクロタイタープレートにコーティングした直接ELISAであった。翌日、プレートは85μl/ウェルの0.1%カゼイン(PBS中)で37℃で60分間コーティングされて非特異的結合を減少させた。ついで50μlのハイブリドーマ上清を加え、そして37℃で1時間、インキュベーションした。洗浄後、結合したモノクローナル抗体は、西洋ワサビペルオキシダーゼに結合した50μl/ウェルのヒツジ−抗−マウスIgで37℃で1時間、検出した(アマシャム−ファルマシア バイオテック)。両試薬は0.1%カゼイン/PBSで希釈した。プレートを洗浄し、そして50μlの0.42mM 3,5,3',5'−テトラメチル−ベンジジン、0.003(容量/容量)%H2O2の溶液(100mMのクエン酸および100mMリン酸水素二ナトリウム(pH4.3)中)を基質として加えた。反応は室温でプレート振盪機上で最大15分間進め、その後、発色を2N H2SO4、50μl/ウェルで止め、そしてプレートをマイクロタイタープレートリーダー上で450nmにて読んだ(Thermomax、モレキュラーデバイス(Molecular Devices)。選択したモノクローナル抗体と完全サイズのヒト遊離Aβ1−40ペプチドとの交差反応性は、スクリーニングアッセイと同一の直接的ELISAで試験したが、ただし完全サイズの遊離ヒトAβ1−40ペプチドをBSAにカップリングしたhAβ 11(6AA)ペプチドの代わりに使用した。第2の確認ELISAでは、選択した陽性カルチャーを遊離ヒトAβ11−40ペプチドで再試験した。
【0063】
アミロイドβ検出のためのサンドイッチELISA
hAβ(1−40)またはhAβ(11−40)標準希釈(アメリカンペプチドカンパニー:American Peptide Company)の測定用のELISAは、以下のように行った:簡単に説明すると、モノクローナル抗体JRF/AβN/25、J&JPRD/hAβN11/1およびJ&JPRD/hAβN11/2を、5μg/mlで4℃にて一晩、100μl/ウェルのコーティングバッファー中でNUNC平底高結合96ウェルマイクロタイタープレートにコーティングした。翌日、プレートは125μl/ウェルの0.1%カゼイン(PBS中)で37℃で30分間オーバーコーティングされて非特異的結合を減少させ、そして100μl/ウェルのhAβ(1−40)またはhAβ(11−40)ペプチド希釈サンプルと37℃で90分間、インキュベーションした。プレートを洗浄した後、100μl/ウェルのHRP標識化JRF/cAβ40/10−HRPOとインキュベーションした。プレートを洗浄し、そして100μlの0.42mM 3,5,3',5'−テトラメチル−ベンジジン、0.003(容量/容量)%H2O2の溶液(100mMのクエン酸および100mMリン酸水素二ナトリウム(pH4.3)中)を基質として加えた。反応はRTでプレート振盪機上にて最大15分間進め、その後、発色を2N H2SO4、50μl/ウェルで止め、そしてプレートをマイクロタイタープレートリーダー上で450nmにて読んだ(Thermomax、モレキュラーダイナミックス(Molecular Dynamics))。
【0064】
APP CTFの免疫検出
CTF(STUBS)断片の免疫検出には、ヒトAPPsweおよびヒトBACE1で安定にトランスフェクトされたHEK細胞を、75cm2フラスコ(ライフテクノロジーズ、ペーズリー、英国)中でコンフルエンスになるまで成長させ、そして続いて細胞を溶菌させ、そして50mM Tris:pH=7.0、0.15M NaCl、1% TritonX−100および市販のプロテアーゼ−インヒビター−カクテル(ロッシュ(Roche)、ベーリンガーマンハイム、独国)中で超音波処理した。粗溶菌液を4℃で10000gにて10分間遠心して核および屑を除いた。清澄化した細胞ライセートをタンパク質含量について標準化し、そしてサンプルを95℃にて2xトリシンレムリー(Tricine Laemmli)バッファー中で5分間変性させ、そしてプレキャストの1
0〜20%TrisTricineSDS勾配ゲル(NONEX、インビトロジェン(Invitrogen)、グロニンゲン、オランダ)にのせ、そして0.22μmのHybond−ECLナイロン膜(APB)に1.5mA/cm2で45分間、セミドライブロッテングした。低分子量タンパク質のラダーを分子量標準(MagicMark Western標準、インビトロジェン)として使用した。膜は10(重量/容量)%の無脂肪ドライミルク(バイオラッド:BioRad)(PBS中)で1時間ブロックした。次いで膜を適切な5μg/mlのモノクローナル抗体と4℃で一晩インキュベーションした(APPのC末端エピトープに対するモノクローナル抗体C1/6.1は、オレンジベルグ、Nathan S.Kline研究所のMathews博士の好意により得られた)。次いで膜はバッファーを5回変えながらPBS−0.1%Tween20で5分間洗浄し、HRP結合ヤギ抗−マウス(シグマ)1:2000希釈物と室温(RT)で1時間インキュベーションした。洗浄後、目的バンドは製造元(ロッシュ、ベーリンガーマンハイム、独国)の使用説明に従い化学発光により視覚化した。スキャンはLumi−Imager(ロッシュ、ベーリンガーマンハイム、独国)で取った。
【0065】
AD患者の脳切片におけるAPPの免疫検出
脳切片は10(重量/容量)%の無脂肪−乾燥ミルク(バイオラッド)(PBS中)で1時間ブロックした。次いで切片を5μg/mlの適切なモノクローナル抗体と4℃で一晩インキュベーションした。次いで膜はバッファーを5回変えながらPBS−0.1%Tween20で室温(RT)にて5分間洗浄し、HRP結合ヤギ抗−マウス(シグマ)1:2000希釈物と室温(RT)で1時間インキュベーションした。洗浄後、目的バンドは製造元(ロッシュ、ベーリンガーマンハイム、独国)の使用説明に従い化学発光により視覚化した。スキャンはLumi−Imager(ロッシュ、ベーリンガーマンハイム、独国)で取った。
【0066】
結果および考察
「融合マウス」の選択
4種のmcKLHをカップリングしたペプチドのパネルをマウスに注射した。各ペプチドについて、3種のマウスを免疫感作した。1回目の追加免疫感作後、各マウスから採血し、そして血清を単離し、そして直接コーティングしたBSA−ヒトAβ(6AA)ELISAで試験した。hAβ 11(6AA)で免疫感作したマウスの免疫感作プロトコールは、注射したすべてのマウスについて同一であり、そして表1に示す。図1.aでは、KLH hAβ11(6AA)(配列番号1)で免疫感作したマウス1が、遊離のヒトAβ11−40ペプチドに関して大変高い血清力価を示すことが明らかに証明された。この理由から、hAβ 11(6AA)で免疫感作したマウス1を融合に選択した。
【0067】
hAβ11(6aa)の融合、脾臓1
この高免疫感作マウスの多数の脾臓細胞により(全部で6.5×108の脾臓細胞)、融合手順は半数の脾臓細胞で2回行った。すべての細胞は、ESGを補充した培地に播種し、そして30×96のハイブリドーマプレートを10日後にスクリーニングした。
【0068】
これらのハイブリドーマの中から、65のカルチャーウェルがBSAをカップリングしたペプチドでのスクリーニングELISAアッセイで明らかな陽性シグナルを最初に示した。これらの陽性上清をIgG特異的ELISAで遊離ペプチドについて試験した。わずか5つのカルチャーが陽性と確認され、すなわち最初の陽性ウェルの10%未満であった。これらすべてのカルチャーは完全長のヒトAβ1−40には陰性であり、hAβ11−40/42の末端にある(end−standing)AAに対する反応性を示した。
【0069】
カルチャーは直ちにクローン化し、そして母のカルチャーを凍結した。これら5つのうち、29B5(J&JPRD/hAβ11/1)および5C4(J&JPRD/hAβ1
1/2)と命名された2つのハイブリドーマは成功裏にクローン化され、そして液体窒素中に凍結した。これら2つのハイブリドーマから4種のサブクローンをそれぞれ培養し、そして凍結した。表2では陽性のサブクローンをまとめる。
【0070】
【表1】
【0071】
非ADのヒト対照、ビーグル犬およびモルモットのCSFサンプル中のAβ1−40/42および短縮化Aβ11−40の決定
CSFサンプル中のAβ1−40/42および短縮化Aβ11−40の測定に関するELISAは以下のように行った:簡単に説明すると、モノクローナル抗体J&JPRD/hAβ11/1または特異的Aβx−40およびAβx−42モノクローナル抗体(Vandermeeren M.,et al.,2001;Pype S.,et al.,2003)JRF/cAβ40/10およびJRF/cAβ42/26を、5μg/mlで4℃にて一晩、100μl/ウェルのコーティングバッファー中でNUNC平底高結合96ウェルマイクロタイタープレートにコーティングした。翌日、プレートは150μl/ウェルの0.1%カゼイン(PBS中)で37℃で30分間オーバーコーティングされて非特異的結合を減少させ、そして100μl/ウェルのPBSバッファーで希釈したCSFサンプルと37℃で90分間、インキュベーションした。プレートを洗浄した後、100μl/ウェルのHRP標識化JRF/AβN/25−HRPOまたはJRF/cAβ40/28−HRPOとインキュベーションした。プレートを洗浄し、そして100μlの0.42mM 3,5,3',5'−テトラメチル−ベンジジン、0.003(容量/容量)%H22の溶液(100mMのクエン酸および100mMリン酸水素二ナトリウム(pH4.3)中)を基質として加えた。反応はRTでプレート振盪機上にて最大15分間進め、その後、発色を2N H2SO4、50μl/ウェルで止め、そしてプレートをマイクロタイタープレートリーダー上で450nmにて読んだ(Thermomax、モレキュラーダイナミックス)。
【0072】
本発明のモノクローナル抗体を使用して、短縮化11−40ベータ−アミロイドのアイソフォームを非ADのヒト対照、ビーグル犬およびモルモットのCSFサンプル(n=6)で定量的に検出することができた(ng±標準偏差)。
【0073】
【表2】
【0074】
結論
全部で30,000以上のハイブリドーマの中から、我々はヒトAβ11−40ペプチドの遊離N−末端を特異的に認識する2つの異なるハイブリドーマクローンを選択した。これらのモノクローナル抗体は、完全サイズのヒトAβ1−40では陰性である。抗体の特異性を評価するために、抗体をプロテインGアフィニティクロマトグラフィーで精製し、そして特異的抗−ヒトcAβ40およびcAβ42mAbを用いたサンドイッチELISAに使用した。検出抗体としてJRF/cAβ40/10−HRPOと組み合わせて、JRF/AβN/25をAβ1−40の特異的モノクローナル抗体として使用した。検出抗体はAβのC末端部を特異的に認識し、したがって検出抗体としてJRF/AβN/25およびJ&JPRD/hAβ11/1およびJ&JPRD/hAβ11/2(Aβ11−xペプチドに特異的な抗体)の両方と一緒に使用することができる。図2Aでは、JRF/AβN/25がAβ11−40との交差反応性無しでAβ1−40と特異的に反応することが確認される。図2Bおよび2Cからは、抗体J&JPRD/hAβ11/1およびJ&JPRD/hAβ11/2がヒトAβ1−40に対する交差反応無しでhAβ11−40を特異的に認識することが分かる。
【0075】
生物学的サンプル中のAβ11−xペプチドを特異的に標識するための本発明の抗体の能力は、ヒトAPPおよびヒトBACE1で安定にトランスフェクトされたHEK細胞の膜抽出物でのウエスタンブロット(図3)、ならびにAD患者のアミロイド斑中の脳切片で証明された(表3)。したがってサンドイッチELISAにおいてこれら抗体を特異的な抗−ヒトcAβ40および抗−ヒトcAβ42モノクローナル抗体と組み合わせて使用することにより、生物学的流体および脳のホモジネートを含む種々の生物学的サンプル中のヒトAβ11−xペプチドを特異的に検出する感受性のあるアッセイが得られる。
【0076】
【表3】
【0077】
【表4】
【0078】
【表5】
【0079】
表1 EVHHQ−C(ヒトAβ 11(5AA)−配列番号1)を注射したマウスに関する免疫感作手順および脾臓回収および融合のスケジュール表
表3 AD患者の脳切片中のAβ11−xペプチドの特異的検出を示すウエスタンブロッティングの結果
【0080】
以下に本発明の主な特徴と態様を列挙する。
【0081】
1. Aβ11−xペプチドを特異的に認識するモノクローナル抗体。
【0082】
2. β−セクレターゼ 11切断部位の最初の5〜7個のヒトのアミノ酸、すなわち配列番号1および配列番号2、またはβ−セクレターゼ 11切断部位の最初の5〜7個のマウスのアミノ酸、すなわち配列番号3および配列番号4を免疫原として特異的に認識する、1.に記載のモノクローナル抗体。
【0083】
3. 検出可能に標識された1.または2.に記載の抗体。
【0084】
4. 検出可能な標識が、放射性標識、酵素標識、発光標識または蛍光標識である、3.に記載の抗体。
【0085】
5. 担体に固定化されている、1.ないし4.のいずれか1項に記載の抗体。
【0086】
6. 2002年8月19日にベルギーの細菌のカルチャーコレクションに寄託番号LMBP5896CBおよびLMBP5897CBでそれぞれ寄託されたハイブリドーマ細胞J&JPRD/hAβ11/1およびJ&JPRD/hAβ11/2により発現される、1.ないし5.のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体。
【0087】
7. 2002年8月19日にベルギーの細菌のカルチャーコレクションに寄託番号LMBP5896CBおよびLMBP5897CBでそれぞれ寄託されたハイブリドーマ細胞J&JPRD/hAβ11/1およびJ&JPRD/hAβ11/2。
【0088】
8. サンプル中のAβ11−xペプチドを測定または検出するためのイムノアッセイ法であって、サンプルを1.ないし3.のいずれか1項に記載のAβ11−xペプチドに対する抗体と接触させ、そして免疫複合体が抗体とAβ11−xペプチドとの間に形成されるかどうかを決定することを含んでなる上記方法。
【0089】
9. 組織サンプル中にAβ11−xペプチドの存在を検出する方法であって:
個体の身体から組織サンプルを得;
組織サンプルを造影に有効な量の検出可能に標識された3.または4.に記載の抗体と接触させ;そして
標識を検出して組織サンプル中のAβ11−xペプチドの存在を確立する、
ことを含んでなる上記方法。
【0090】
10. 検出可能に標識された抗体が7.に記載の少なくとも1つのハイブリドーマ細胞により発現される、9.に記載の方法。
【0091】
11. 体液サンプル中にAβ11−xペプチドの存在を検出する方法であって:
個体の身体から体液サンプルを得;
体液サンプルを造影に有効な量の検出可能に標識された3.または4.に記載の抗体と接触させ;そして
標識を検出して体液サンプル中のAβ11−xペプチドの存在を確立する、
ことを含んでなる上記方法。
【0092】
12. 検出可能に標識された抗体が7.に記載の少なくとも1つのハイブリドーマ細胞により発現される、10.に記載の方法。
【0093】
13. 9.または10.に記載の方法における1.ないし6.のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体の使用。
【0094】
14. β−アミロイド関連疾患を診断するための1.ないし6.のいずれかに記載の抗体の使用。
【0095】
15. 1.ないし6.のいずれかに記載の抗体および製薬学的に許容され得る担体を含んでなる診断用組成物。
【0096】
16. 2.ないし5.のいずれかに記載の抗体および抗体の担体手段を含んでなる、β−アミロイド関連疾患を診断するためのイムノアッセイキット。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]