【実施例】
【0022】
以下、本発明の一実施例に係る洗浄機1について説明する。なお、以下の実施例において、構成要素の数、数値、量、範囲等に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも構わない。
【0023】
また、構成要素等の形状、位置関係に言及するときは、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似又は類似するもの等を含む。
【0024】
また、図面は、特徴を分かり易くするために特徴的な部分を拡大する等して誇張する場合があり、構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、構成要素の断面構造を分かり易くするために、一部の構成要素のハッチングを省略することがある。
【0025】
なお、本実施例において、「上」、「下」の語は、垂直方向における上方、下方に対応するものとする。
【0026】
図1は、洗浄機1の装置構成を示す図である。なお、
図1では、特徴が分かり易いように、洗浄機1内の洗浄装置10を破線ではなく実線で表している。洗浄機1は、洗浄前のウェハを背面に設けられた図示しない搬入口から搬入して、洗浄後のウェハを左側面に設けられた図示しない搬出口から搬出する。洗浄機1に投入されるウェハの形状は、多角形状であれば如何なる形状であっても構わない。洗浄機1には、ハウジング2内に洗浄装置10が配置されている。
【0027】
洗浄装置10は、ウェハを収容するテンプレート20と、テンプレート20を回転させる回転手段30と、ウェハを洗浄する洗浄手段40と、ウェハに洗浄液を供給する後述する洗浄液供給手段50と、を備えている。洗浄装置10は、チャンバ60内に収容されている。
【0028】
洗浄機1の動作は、制御手段3によって制御される。制御手段3は、洗浄機1を構成する構成要素をそれぞれ制御するものである。制御手段3は、例えば、CPU、メモリ等により構成される。なお、制御手段3の機能は、ソフトウェアを用いて制御することにより実現されても良く、ハードウェアを用いて動作することにより実現されても良い。
【0029】
次に、洗浄装置10について、図面に基づいて説明する。
図2は、洗浄装置10を示す平面図、正面図及びハッチングを省略した断面図である。
図3は、チャンバ60を除いた洗浄装置10を示す平面図、正面図及び側面図である。
図4は、洗浄装置10を示す斜視図である。
図5は、ウェハ支持部21の中心付近を示す要部拡大図である。
図6は、ウェハ支持部21にウェハWを載置した状態を示す縦断面図である。
【0030】
テンプレート20は、略扇状に形成された4つのウェハ支持部21と、ウェハ支持部21を載置する環状基部22と、を備えている。テンプレート20の具体的な構成については後述する。
【0031】
回転手段30は、1つの駆動ギア31と、4つの従動ギア32と、で構成されている。駆動ギア31と従動ギア32は、テンプレート20を囲繞するように配置されている。駆動ギア31は、図示しない駆動源に接続されており自転可能である。駆動ギア31は円筒状に形成されており、環状基部22の下端部に接触している。従動ギア32は鼓状に形成されており、環状基部22の後述する外周面22aを受けることにより、環状基部22を安定して支持している。
【0032】
洗浄手段40は、上方ブラシ41と、下方ブラシ42と、で構成されている。上方ブラシ41は、上方ブラシユニット43の一部であり、駆動部43aによって駆動される。上方ブラシ41の両端は、上方ブラシユニット43のフランジ43bに支持されている。上方ブラシユニット43は、回転軸43c回りに搖動可能であり、垂直方向に昇降自在である。下方ブラシ42は、下方ブラシユニット44の一部であり、駆動部44aによって駆動される。下方ブラシ42の両端は、下方ブラシユニット44のフランジ44bに支持されている。下方ブラシユニット44は、回転軸44c回りに搖動可能であり、垂直方向に昇降自在である。なお、下方ブラシユニット44は、図示しないストッパによって搖動幅を規制されている。
【0033】
洗浄液供給手段50は、上方ノズル51と、下方ノズル52と、で構成されている。上方ノズル51と下方ノズル52とは、それぞれ3つずつ配置されている。上方ノズル51と下方ノズル52とは、図示しない洗浄液供給源と接続されている。上方ノズル51は、ウェハWの表面Waの中央付近に向けて洗浄液を吐出する。下方ノズル52は、ウェハWの裏面Wbの中央付近に向けて洗浄液を吐出する。
【0034】
図5及び
図6に示すように、ウェハ支持部21には、ウェハ支持部21の中心に略矩形状の切欠き部21aが形成されている。ウェハ支持部21には、切欠き部21a内でウェハ支持部21の中心に向けて突出する爪部21bが設けられている。爪部21bは、ウェハWの角部Weを支持する。切欠き部21aはウェハWの角部We外径より大きく切り欠かれており、ウェハWを爪部21bに載置した状態でウェハWとウェハ支持部21との間に隙間G1が確保される。これにより、ウェハWの角部Weに残留する洗浄液が切欠き部21aを介して排水し易くなっている。
【0035】
ウェハ支持部21は、爪部21bの外周側でウェハ支持部21の表面から凸設したストッパ21cを備えている。ストッパ21cは、ウェハWをテンプレート20に載置した状態で、ウェハWの角部Weに当接する位置に配置されている。ストッパ21cは、ウェハWの水平方向のスライドを抑制する。
【0036】
隣り合うウェハ支持部21、21同士は、所定の間隔を空けて配置されている。ウェハ支持部21、21同士の隙間G2は、ウェハWを搬送する搬送手段としての後述するロボットアームA1及びクランプアームA2が通過可能であれば良い。
【0037】
環状基部22の外周面22aは、中央を外方に膨出して形成されている。外周面22aは、従動ギア32に支持されている。環状基部22は、リング状に形成されており、下方ブラシ52が環状基部22内を通過可能である。
【0038】
なお、テンプレート20の具体的な形状は、任意に変更可能であり、本実施例では、4つのウェハ支持部21が矩形状のウェハWの四隅を支持するように配置されているが、これに限定されるものではなく、例えば、半円状に形成された2つのウェハ支持部が矩形状のウェハの角部を支持するものであっても構わない。また、ウェハWの形状に応じて、ウェハ支持部21の形状及び個数は任意に変更される。
【0039】
次に、洗浄装置10を用いたウェハWのスクラブ洗浄方法について、図面に基づいて説明する。
図7は、洗浄装置10を用いたスクラブ洗浄方法を示すフローチャートである。
図8は、ロボットアームA1でウェハWをテンプレート20に収容する様子を示す平面図である。
図9は、クランプアームA2でテンプレート20内のウェハWを把持する様子を示す斜視図である。
【0040】
スクラブ洗浄の前処理工程について説明する。まず、ウェハWがテンプレート20に収容される(S1)。この工程S1では、
図8に示すように、ロボットアームA1がウェハWをテンプレート20内の中央に搬送する。ロボットアームA1は、ウェハ支持部21、21間の隙間G2を通じてウェハWを搬送する。ウェハWの角部Weは、爪部21b上に載置され、ウェハWとウェハ支持部21との間には、隙間G1が確保されている。
【0041】
次に、駆動ギア31を回転させてテンプレート20を回転させる(S2)。その後、洗浄液がウェハWに供給される(S3)。
【0042】
次に、上方ブラシ41がウェハWの表面Waに接触するまで上方ブラシ41を下降させる(S4)。その後、下方ブラシ42がウェハWの裏面Wbに接触するまで下方ブラシ42を上昇させる(S5)。すなわち、下方ブラシ42がウェハWに接触する前に、上方ブラシ41がウェハWに接触するようになっている。
【0043】
以上の前処理工程が終了した後に、ウェハWのスクラブ洗浄を開始する(S6)。上方ブラシ41及び下方ブラシ42がウェハWの角部Weまで接触可能なことにより、ウェハWの角部Weまでスクラブ洗浄することができる。ウェハW上に供給された洗浄液は、ウェハ支持部21の切欠き部21aや隣り合うウェハ支持部21、21間の隙間G2から流下することにより、切削屑を含んだ洗浄液の滞留が抑制される。ウェハW上の切削屑が除去されると、スクラブ洗浄が終了する(S7)。スクラブ洗浄の時間は、切削屑の量に応じて任意に調整可能である。
【0044】
次に、スクラブ洗浄の後処理工程について説明する。まず、洗浄液の供給を停止する(S8)。そして、駆動ギア31の回転を停止してテンプレート20の回転を停止する(S9)。
【0045】
次に、下方ブラシ42をウェハWの裏面Wbから離して下降させる(S10)。その後、上方ブラシ41をウェハWの表面Waから離して上昇させる(S11)。すなわち、下方ブラシ42がウェハWに接触している間は、上方ブラシ41がウェハWに接触するようになっている。
【0046】
次に、クランプアームA2がウェハWを把持する(S12)。この工程S12では、
図9(a)に示すように、一対のクランプアームA2が隣り合うウェハ支持部21、21間の隙間G2を通じてウェハWに接近し、
図9(b)に示すように、クランプアームA2がウェハWを把持する。
【0047】
クランプアームA2がウェハWを洗浄後のウェハWを収容する図示しないラック等に搬送する(S13)。
【0048】
このようにして、上述した本実施例に係る洗浄装置10は、ウェハ支持部21が多角形状のウェハWの角部Weを支持することにより、上方ブラシ41及び下方ブラシ42がウェハWの角部Weまで接触可能なため、ウェハWを精密洗浄することができる。
【0049】
また、ウェハWとウェハ支持部21とが爪部21bでのみ接触することにより、ウェハWとウェハ支持部21との接触面積が縮小される分だけウェハWの洗浄面積が拡大するため、ウェハWをさらに精密洗浄することができる。
【0050】
また、ウェハW上の洗浄液が切欠き部21aを介して排水されるため、切削屑を含んだ洗浄液を効率的に排水することができる。
【0051】
また、ロボットアームA1やクランプアームA2がウェハ支持部21、21間の隙間G2を通過可能なため、洗浄前のウェハWの搬入や洗浄後ウェハWの搬出を効率的に行うことができる。
【0052】
さらに、上方ブラシ41及び下方ブラシ42がウェハWを挟むようにしてスクラブ洗浄することにより、ウェハWの表面Waと裏面Wbを同時に洗浄可能なため、ウェハWを効率的に洗浄することができると共に、下方ブラシ42がウェハWに接触している間は、上方ブラシ41がウェハWに接触していることにより、下方ブラシ42のみウェハWに接触してウェハWが押し上げられることに起因するウェハWのスリップアウトを抑制することができる。
【0053】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変をなすことができ、そして、本発明が該改変されたものにも及ぶことは当然である。