(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
患者に装着され、内蔵のバッテリから電力が供給されて前記患者の生体情報に関する測定項目を測定するウェアラブル生体センサ装置を制御する生体センサ制御装置において、
前記バッテリの残量を取得する第1取得部と、
前記ウェアラブル生体センサ装置の測定期間を取得する第2取得部と、
前記残量および前記測定期間に基づいて、前記ウェアラブル生体センサ装置の駆動条件を決定する決定部と、を備え、
前記決定部は、前記測定期間中に前記駆動条件の変更の要否を判定し、かつ、前記測定期間中に、前記測定期間の変更の有無と前記残量の予測値と実測値の差である予実差を監視し、監視結果に基づいて、前記駆動条件の変更の要否を判定する生体センサ制御装置。
前記決定部は、前記測定期間が短縮された場合、または前記実測値が前記予測値を上回っていた場合に、前記ウェアラブル生体センサ装置の駆動電力を増やす内容に前記駆動条件を変更する請求項3に記載の生体センサ制御装置。
患者に装着され、内蔵のバッテリから電力が供給されて前記患者の生体情報に関する測定項目を測定するウェアラブル生体センサ装置を制御する生体センサ制御装置の作動方法において、
前記バッテリの残量を取得する第1取得ステップと、
前記ウェアラブル生体センサ装置の測定期間を取得する第2取得ステップと、
前記残量および前記測定期間に基づいて、前記ウェアラブル生体センサ装置の駆動条件を決定する決定ステップと、を備え、
前記決定ステップは、前記測定期間中に前記駆動条件の変更の要否を判定し、かつ、前記測定期間中に、前記測定期間の変更の有無と前記残量の予測値と実測値の差である予実差を監視し、監視結果に基づいて、前記駆動条件の変更の要否を判定する生体センサ制御装置の作動方法。
患者に装着され、内蔵のバッテリから電力が供給されて前記患者の生体情報に関する測定項目を測定するウェアラブル生体センサ装置を制御する生体センサ制御装置の作動プログラムにおいて、
前記バッテリの残量を取得する第1取得機能と、
前記ウェアラブル生体センサ装置の測定期間を取得する第2取得機能と、
前記残量および前記測定期間に基づいて、前記ウェアラブル生体センサ装置の駆動条件を決定する決定機能とを、コンピュータに実行させ、かつ、前記決定機能は、前記測定期間中に前記駆動条件の変更の要否を判定し、かつ、前記測定期間中に、前記測定期間の変更の有無と前記残量の予測値と実測値の差である予実差を監視し、監視結果に基づいて、前記駆動条件の変更の要否を判定する機能である生体センサ制御装置の作動プログラム。
患者に装着され、内蔵のバッテリから電力が供給されて前記患者の生体情報に関する測定項目を測定するウェアラブル生体センサ装置と、前記ウェアラブル生体センサ装置を制御する生体センサ制御装置とを備える生体センサシステムにおいて、
前記生体センサ制御装置は、
前記バッテリの残量を取得する第1取得部と、
前記ウェアラブル生体センサ装置の測定期間を取得する第2取得部と、
前記残量および前記測定期間に基づいて、前記ウェアラブル生体センサ装置の駆動条件を決定する決定部と、を備え、
前記決定部は、前記測定期間中に前記駆動条件の変更の要否を判定し、かつ、前記測定期間中に、前記測定期間の変更の有無と前記残量の予測値と実測値の差である予実差を監視し、監視結果に基づいて、前記駆動条件の変更の要否を判定する生体センサシステム。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[第1実施形態]
図1において、生体センサシステム10は、ウェアラブル生体センサ装置11、生体センサ制御装置に相当する生体センサ制御サーバ12、およびクライアント端末13等を備える。これらはインターネットや公衆通信網といったWAN(Wide Area Network)等のネットワーク14を介して相互に通信可能に接続されている。ネットワーク14には、情報セキュリティを考慮して、VPN(Virtual Private Network)が構築されたり、HTTPS(Hypertext Transfer Protocol Secure)等のセキュリティレベルの高い通信プロトコルが使用されている。
【0027】
ウェアラブル生体センサ装置11は患者Pに装着され、心拍数や呼吸数といった患者Pの生体情報に関する各種測定項目を測定する。患者Pは、例えば自宅15で療養しており、医療施設16に定期的に通院している。ウェアラブル生体センサ装置11が装着される患者Pには、監視が必要と認められる患者が医師Dにより選定される。例えば慢性閉塞性肺疾患(COPD;Chronic Obstructive Pulmonary Disease)や不整脈等の疾患に罹っている患者や、手術を受けて退院したばかりの患者が選定される。また、ウェアラブル生体センサ装置11の測定期間は、測定の開始日時(例えば患者Pの今回の診察終了後)と終了日時(例えば次回の診察予定日の朝9時)が医師Dにより設定される。
【0028】
ウェアラブル生体センサ装置11にはバッテリ17が内蔵されている。ウェアラブル生体センサ装置11は、この内蔵のバッテリ17から電力が供給されて駆動する。バッテリ17は、例えばボタン電池等の使い捨ての電池である。また、ウェアラブル生体センサ装置11は無線送受信機能を有し、患者Pの自宅15に設置された無線送受信機18と無線通信が可能である。このため、ウェアラブル生体センサ装置11はワイヤレスで使用することができる。無線送受信機18はネットワーク14に接続されており、ウェアラブル生体センサ装置11は、この無線送受信機18を介して、各種測定項目の測定値等の情報を生体センサ制御サーバ12と送受信する。
【0029】
生体センサ制御サーバ12およびクライアント端末13は、サーバコンピュータ、パーソナルコンピュータ、ワークステーションといったコンピュータをベースに、オペレーティングシステム等の制御プログラムや、各種アプリケーションプログラム(以下、APと略記)をインストールして構成される。
【0030】
生体センサ制御サーバ12は、医療施設16に設置される。生体センサ制御サーバ12は、ウェアラブル生体センサ装置11を制御する。より詳しくは、生体センサ制御サーバ12は、バッテリ17の残量およびウェアラブル生体センサ装置11の測定期間に基づいて、ウェアラブル生体センサ装置11の駆動条件を決定する。また、生体センサ制御サーバ12は、測定値に基づいて、患者Pの状態に何らかの異常が認められるか否かを判定する。
【0031】
クライアント端末13は、患者Pの状態を監視する看護師Nや医師D等の医療スタッフにより医療施設16内で携行されるタブレットコンピュータである。クライアント端末13は、測定値を確認する際等に医療スタッフにより操作される。
【0032】
図2において、ウェアラブル生体センサ装置11は、測定値、並びにバッテリ17の残量を生体センサ制御サーバ12に送信する。生体センサ制御サーバ12は、駆動条件をウェアラブル生体センサ装置11に送信する。また、生体センサ制御サーバ12は、測定値、並びに患者Pの状態に何らかの異常が認められたと判定した旨の通知をクライアント端末13に送信する。クライアント端末13は、医療スタッフの手による各種指示を生体センサ制御サーバ12に送信する。
【0033】
図3において、ウェアラブル生体センサ装置11は、前述のバッテリ17の他に、センサ部20と、無線送受信部21と、駆動制御部22と、残量測定部23とを備えている。センサ部20は、心電図センサ24、心拍数センサ25、呼吸数センサ26、体動量センサ27、および体温センサ28の計5つのセンサを有する。これら5つのセンサ24〜28は、バッテリ17から駆動電力の供給を受けて駆動する。なお、これら5つのセンサ24〜28は、1つの電気信号から複数の測定項目を測定可能なセンサ(例えば心拍の電気信号から心電図および心拍数を測定する等)であってもよいし、各々の電気信号から各々の測定項目を1対1で測定可能なセンサであってもよい。
【0034】
心電図センサ24は患者Pの心電図波形を測定する。心拍数センサ25は1分間当たりの患者Pの心拍数(単位:BPM(Beat per minute))を測定し、呼吸数センサ26は1分間当たりの患者Pの呼吸数(単位:BrPM(Breath per minute))を測定する。体動量センサ97は患者Pの動きの量を示す体動量(単位:m/s
2)を測定する。体温センサ28は患者Pの体温(単位:℃)を測定する。各センサ24〜28は、それぞれの測定結果である測定値を無線送受信部21に出力する。
【0035】
無線送受信部21は、各センサ24〜28からの心電図、心拍数、呼吸数、体動量、および体温の各測定項目の測定値を、装置ID(Identification Data)とともに無線送受信機18に無線送信する。装置IDは個々のウェアラブル生体センサ装置11を識別する記号や番号であり、ウェアラブル生体センサ装置11の内部メモリ(図示せず)に記憶されている。
【0036】
また、無線送受信部21は、生体センサ制御サーバ12からの駆動条件を無線送受信機18から無線受信する。駆動条件には、各センサ24〜28のオン/オフ、心電図センサ24の測定時間、並びに心電図センサ24以外の各センサ25〜28の測定間隔が指定されている。無線送受信部21は、駆動条件を駆動制御部22に出力する。
【0037】
駆動制御部22は、駆動条件にしたがって各センサ24〜28の駆動を制御する。具体的には、駆動制御部22は、駆動条件でオンの指定がされたセンサに対しては、バッテリ17から駆動電力を供給させて駆動させる。一方、駆動条件でオフの指定がされたセンサに対しては、バッテリ17から駆動電力を供給させず、駆動させない。なお、1つの電気信号から複数の測定項目を測定可能なセンサの場合には、駆動電力を供給する/しないではなく、電気信号から測定項目を求める演算のオン/オフを駆動条件のオン/オフに応じて切り替えてもよい。演算によっても電力を消費するため、演算をオフした場合はオンした場合よりも電力消費が少なくなる。
【0038】
駆動制御部22は、駆動条件で指定された測定時間の間、心電図センサ24を駆動させる。また、駆動制御部22は、駆動条件で指定された測定間隔で、心電図センサ24以外の各センサ25〜28に測定を実施させる。
【0039】
残量測定部23は、例えば1時間毎等の所定時間間隔でバッテリ17の残量を測定する。残量測定部23は、測定した残量を無線送受信部21に出力する。無線送受信部21は、残量測定部23からの残量を、装置IDとともに無線送受信機18に無線送信する。なお、本実施形態では、フルの状態を100%、空の状態を0%とした百分率で残量を表現する。また、以下では、残量が100%の状態で測定が開始されることを前提として説明する。
【0040】
図4において、生体センサ制御サーバ12およびクライアント端末13を構成するコンピュータは、基本的な構成は同じであり、それぞれ、ストレージデバイス30、メモリ31、CPU(Central Processing Unit)32、通信部33、ディスプレイ34、入力デバイス35、およびスピーカー36を備えている。これらはデータバス37を介して相互接続されている。
【0041】
ストレージデバイス30は、生体センサ制御サーバ12等を構成するコンピュータに内蔵、またはケーブルやネットワークを通じて接続されたハードディスクドライブ、もしくはハードディスクドライブを複数台連装したディスクアレイである。ストレージデバイス30には、オペレーティングシステム等の制御プログラムや各種AP、およびこれらのプログラムに付随する各種データ等が記憶されている。
【0042】
メモリ31は、CPU32が処理を実行するためのワークメモリである。CPU32は、ストレージデバイス30に記憶されたプログラムをメモリ31へロードして、プログラムにしたがった処理を実行することにより、コンピュータの各部を統括的に制御する。
【0043】
通信部33は、ネットワーク14を介した各種情報の伝送制御を行うネットワークインターフェースである。ディスプレイ34は、マウスやキーボード、あるいはタッチパネル等の入力デバイス35の操作に応じた各種画面を表示する。画面にはGUI(Graphical User Interface)による操作機能が備えられる。生体センサ制御サーバ12等を構成するコンピュータは、画面を通じて入力デバイス35からの操作指示の入力を受け付ける。
【0044】
なお、以下の説明では、生体センサ制御サーバ12を構成するコンピュータの各部には添え字の「A」を、クライアント端末13を構成するコンピュータの各部には添え字の「B」をそれぞれ符号に付して区別する。
【0045】
図5において、生体センサ制御サーバ12のストレージデバイス30Aには、APとして作動プログラム40が記憶されている。作動プログラム40は、生体センサ制御サーバ12を構成するコンピュータを、生体センサ制御装置として機能させるためのAPである。
【0046】
ストレージデバイス30Aには、作動プログラム40の他に、測定値テーブル41(
図6参照)、複数種の初期駆動条件42(
図7〜
図10参照)、残量・期間テーブル43(
図11参照)、消費電力量情報44(
図12参照)、要否判定条件45(
図13参照)、および異常判定条件46が記憶されている。
【0047】
作動プログラム40が起動されると、生体センサ制御サーバ12のCPU32Aは、メモリ31等と協働して、指示受付部50、第1取得部51、第2取得部52、第3取得部53、情報管理部54、異常判定部55、および決定部56として機能する。
【0048】
指示受付部50は、クライアント端末13からの各種指示を受け付ける。各種指示には、初期設定指示、測定期間変更指示、測定値要求指示等がある。初期設定指示は、ウェアラブル生体センサ装置11による測定項目の測定を開始する前になされる指示である。初期設定指示には、ウェアラブル生体センサ装置11が装着される患者Pを識別するための記号や番号である患者ID、ウェアラブル生体センサ装置11の装置ID、患者Pの担当の医療スタッフがもつクライアント端末13を識別するための記号や番号である端末ID、ウェアラブル生体センサ装置11の測定期間(開始日時および終了日時)、並びに初期駆動条件42が含まれる。初期設定指示には初期駆動条件42が含まれるので、初期設定指示は駆動条件の手動設定指示に相当する。
【0049】
測定期間変更指示は、初期設定指示で設定された測定期間中に、測定期間のうちの終了日時を変更する指示である。測定値要求指示は、その時点で最新の測定値の表示を要求する指示である。測定期間変更指示および測定値要求指示には患者IDが含まれる。また、測定値要求指示には端末IDが含まれる。指示受付部50は、初期設定指示および測定期間変更指示を第2取得部52に、初期設定指示および測定値要求指示を情報管理部54にそれぞれ出力する。
【0050】
第1取得部51は、ウェアラブル生体センサ装置11からの残量を取得する。第2取得部52は、指示受付部50からの初期設定指示に含まれる測定期間、および測定期間変更指示に含まれる変更後の終了日時を、ウェアラブル生体センサ装置11の測定期間として取得する。第3取得部53は、ウェアラブル生体センサ装置11からの測定値を取得する。これら各取得部51〜53は、取得した残量、測定期間、および測定値を、それぞれ情報管理部54に出力する。
【0051】
情報管理部54は、第1取得部51からの残量、第2取得部52からの測定期間、並びに指示受付部50からの初期設定指示に含まれる、患者IDや装置ID等の測定期間以外の情報を残量・期間テーブル43に登録する。また、情報管理部54は、第3取得部53からの測定値を測定値テーブル41に登録する。
【0052】
情報管理部54は、ストレージデバイス30Aの複数種の初期駆動条件42の中から、初期設定指示で選択された初期駆動条件42を読み出し、読み出した初期駆動条件42を、測定期間および装置IDとともに決定部56に受け渡す。また、情報管理部54は、残量・期間テーブル43の残量に関する情報および測定期間に関する情報を決定部56に受け渡す。さらに、情報管理部54は、測定値テーブル41の測定値を異常判定部55に受け渡す。
【0053】
情報管理部54は、指示受付部50からの測定値要求指示に応じて、測定値要求指示に含まれる患者IDの患者Pの最新の測定値を測定値テーブル41から読み出し、読み出した測定値を測定値要求指示の送信元のクライアント端末13に送信する。測定値要求指示の送信元のクライアント端末13は、測定値要求指示に含まれる端末IDで特定することが可能である。
【0054】
異常判定部55は、情報管理部54からの測定値に基づいて、測定項目が異常判定条件46を満たすか否かを判定する。異常判定部55は、測定項目が異常判定条件46を満たすと判定した場合に、測定項目が異常判定条件46を満たすと判定した旨の通知をクライアント端末13に送信する。
【0055】
異常判定条件46は、心拍数、呼吸数等のそれぞれの測定項目に基づき、患者Pの状態に何らかの異常が発生したか否かを判定するための条件である。異常判定条件46には、例えば、心拍数100BPMおよび呼吸数25BrPMといった各測定項目の測定値の閾値と、1分間等の期間とが設定されている。異常判定部55は、測定値が閾値以上の状態が、設定された期間以上続いた場合に、測定項目が異常判定条件46を満たすと判定する。
【0056】
決定部56は、情報管理部54からの初期駆動条件42を、測定期間とともにウェアラブル生体センサ装置11に送信する。また、決定部56は、情報管理部54からの残量に関する情報および測定期間に関する情報に基づいて、ウェアラブル生体センサ装置11の駆動条件を決定する。決定部56は、決定した駆動条件を、測定期間とともにウェアラブル生体センサ装置11に送信する。
【0057】
図6に示すように、測定値テーブル41には、心拍数、呼吸数等の各測定値を第3取得部53で取得した取得時刻と各測定値とが、患者ID別に登録されている。測定値テーブル41には、1人の患者Pの測定期間中に取得された全ての測定値が登録される。なお、
図6では、例えば患者ID:P001の患者Pの生体センサ装置11の駆動条件が、体温センサ28以外の各センサ24〜27がオンの指定とされ、心電図センサ24の測定時間に常時が指定され、かつ心電図センサ24以外の各センサ25〜27の測定間隔に30秒が指定されている例を示している。この場合、患者ID:P001の体温のフィールドには、駆動条件でオフの指定がされているため、当然ながら測定値は登録されない。
【0058】
情報管理部54は、測定値テーブル41から測定値を異常判定部55に受け渡す際に、患者IDを付帯させる。また、異常判定部55は、測定項目が異常判定条件46を満たすと判定した旨の通知に患者IDを付帯させる。
【0059】
図7〜
図10に示すパターン1〜4の初期駆動条件42A〜42Dは、複数種の初期駆動条件42の例である。初期駆動条件42A〜42Dには、前述のように心拍数、呼吸数等の各測定項目を測定する各センサ24〜28のオン/オフ、心電図センサ24の測定時間、並びに心電図センサ24以外の各センサ25〜28の測定間隔が登録されている。心電図センサ24がオフの指定の場合は、測定時間のフィールドには何も登録されない(
図7および
図9参照)。また、心電図センサ24以外の各センサ25〜28がオフの指定の場合は、そのセンサの測定間隔のフィールドには何も登録されない(
図7の体温のフィールド等参照)。
【0060】
初期駆動条件42A〜42Dには、残量を縦軸、時間を横軸にとり、100%から0%になるまでの残量の時間経過を一点鎖線で示す線分で表した残量推定グラフを表すデータが登録されている。この残量推定グラフにより、測定期間中のある時点における残量の予測値を求めることができる。
【0061】
図7に示すパターン1の初期駆動条件42Aは、慢性閉塞性肺疾患の患者用であり、心拍数センサ25、呼吸数センサ26、および体動量センサ27がオンの指定とされている。測定間隔は、心拍数が30秒であるのに対し、呼吸数および体動量は慢性閉塞性肺疾患で重点的に監視する必要があるため、呼吸数は5秒、体動量は10秒がそれぞれ指定されている。
【0062】
図8に示すパターン2の初期駆動条件42Bは、不整脈の患者用であり、心電図センサ24、心拍数センサ25、および体動量センサ27がオンの指定とされている。不整脈の場合は心電図を重点的に監視する必要があるため、心電図センサ24の測定時間には常時が指定されている。
【0063】
図9に示すパターン3の初期駆動条件42Cは、術後の患者用であり、心電図センサ24以外の各センサ25〜28がオンの指定とされ、かつ測定間隔には一律に30秒が指定されている。
【0064】
図10に示すパターン4の初期駆動条件42Dは、残量10%以上の場合と残量10%未満の場合とで指定が異なっている。すなわち、残量10%以上の場合は、各センサ24〜28が全てオンの指定とされ、心電図センサ24の測定時間に常時が指定され、さらに心電図センサ24以外の各センサ25〜28の測定間隔に10秒が指定されている。一方、残量10%未満の場合は、心電図センサ24、心拍数センサ25、および呼吸数センサ26がオンの指定とされ、心電図センサ24の測定時間に09:00〜10:00が指定され、さらに心拍数センサ25および呼吸数センサ26の測定間隔に60秒が指定されている。
【0065】
このように、初期駆動条件42Dは、残量10%以上の場合は全センサ24〜28をオンさせ、心電図を常時測定し、かつ比較的短い10秒の測定間隔で各センサ25〜28に測定を実施させ、残量10%未満の場合は体動量センサ27および体温センサ28をオフさせ、心電図を限定した時間測定し、かつ比較的長い60秒の測定間隔で心拍数センサ25および呼吸数センサ26に測定を実施させるもので、測定期間の前半重視型であるといえる。
【0066】
図10の初期駆動条件42Dの場合の残量推定グラフは、時間経過に連れて100%から0%に一直線に残量が減少する
図7〜
図9の初期駆動条件42A〜42Cの残量推定グラフとは異なり、100%から10%までは比較的残量の減少が急で、10%から0%までは比較的残量の減少が緩やかな、残量の減少の仕方が2段階に分かれたものとなる。なお、初期駆動条件42としては、
図7〜
図10に例示した初期駆動条件42A〜42Dに限らず、様々なパターンの初期駆動条件42を用意してもよい。
【0067】
図11に示すように、残量・期間テーブル43には、各患者Pに装着されたウェアラブル生体センサ装置11の装置IDと、各患者Pの担当の医療スタッフがもつクライアント端末13の端末IDと、初期設定指示で選択された初期駆動条件42のパターンとが、患者ID別に登録されている。
【0068】
また、残量・期間テーブル43には、残量と、予実差と、測定期間とが、患者ID別に登録されている。残量のフィールドは実測値と予測値の2つのサブフィールドに分かれている。実測値のサブフィールドには、第1取得部51で取得した残量、すなわちウェアラブル生体センサ装置11の残量測定部23で実測した残量が登録される。予測値のサブフィールドには、第1取得部51で残量を取得した時点における残量の予測値が登録される。予測値は、初期駆動条件のフィールドに登録されたパターンの初期駆動条件42の残量推定グラフから求めることができる。
【0069】
予実差は、予測値と実測値の差である。例えば患者ID:P001の場合、実測値が50%、予測値が30%であるため、予実差は50−30=+20%となる。なお、予実差が生じる原因としては、患者Pの自宅15の室温や、無線送受信機18と無線送受信部21との間の通信状態といったウェアラブル生体センサ装置11の使用環境が、残量推定グラフを作成した際の想定と異なることが考えられる。
【0070】
測定期間のフィールドには、開始日時および終了日時のサブフィールドと、測定期間変更指示で変更される前の終了日時のサブフィールド(終了日時(変更前))とが用意されている。測定期間変更指示がない場合、開始日時および終了日時のサブフィールドには、初期設定指示で設定された開始日時および終了日時が登録され、終了日時(変更前)のサブフィールドには何も登録されない。
図11では患者ID:P002、P005が該当する。
【0071】
一方、測定期間変更指示があった場合は、開始日時のサブフィールドに初期設定指示で設定された開始日時が登録されることに変わりはないが、終了日時のサブフィールドには測定期間変更指示に含まれる変更後の終了日時が登録される。そして、測定期間変更指示の前に終了日時のサブフィールドに登録されていた終了日時が、終了日時(変更前)のサブフィールドに書き換えられる。
図11では、元々の終了日時が2015.06.09の09:00:00であったが、患者Pの都合により次回の診察予定日が早まる等して、測定期間変更指示で終了日時が2015.06.04の09:00:00に変更された患者ID:P001が該当する。
【0072】
情報管理部54は、残量・期間テーブル43を参照して、測定値テーブル41への測定値の登録先の患者IDを特定する。具体的には、情報管理部54は、ウェアラブル生体センサ装置11から測定値とともに送信される装置IDと対応する患者IDを残量・期間テーブル43で認識し、認識した患者IDを測定値の登録先とする。
【0073】
異常判定部55は、残量・期間テーブル43を参照して、通知を送信するクライアント端末13を特定する。具体的には、異常判定部55は、情報管理部54からの測定値に含まれる患者IDと対応する端末IDを残量・期間テーブル43で認識し、認識した端末IDのクライアント端末13を通知の送信先とする。
【0074】
図12において、消費電力量情報44には、各センサ24〜28の消費電力量が登録されている。心電図センサ24以外の各センサ25〜28には、測定間隔毎の消費電力量が登録されている。残量推定グラフは、この消費電力量情報44に基づいて作成される。また、この消費電力量情報44を参照することで、測定期間の終了時に残量が予め設定された設定値またはそれ以下となる内容の駆動条件を決定部56で決定することができる。
【0075】
情報管理部54は、残量に関する情報として実測値と予実差を決定部56に出力する。また、情報管理部54は、測定期間変更指示があった場合、測定期間に関する情報として変更前と変更後のそれぞれの終了日時を決定部56に出力する。情報管理部54は、これらの情報を決定部56に出力する際に、装置IDを付帯させる。
【0076】
決定部56は、情報管理部54から初期駆動条件42や予実差等とともに受け渡される装置IDに基づいて、初期駆動条件42や変更後の駆動条件を送信するウェアラブル生体センサ装置11を特定する。
【0077】
決定部56は、測定期間中に駆動条件の変更の要否を判定する。より具体的には、決定部56は、測定期間中に、測定期間の変更の有無と予実差を監視し、これらの監視結果に基づいて、駆動条件の変更の要否を判定する。
【0078】
図13において、要否判定条件45は、決定部56が測定期間中に駆動条件の変更の要否を判定するための条件である。測定期間変更指示がなく、測定期間の変更がない場合(C1)、決定部56は駆動条件の変更は不要と判定する(J1)。また、予実差が所定範囲である±25%の範囲内であった場合(C2)、決定部56は同じく駆動条件の変更は不要と判定する(J1)。
【0079】
一方、決定部56は、情報管理部54から変更前と変更後のそれぞれの終了日時を受けた場合に、測定期間が変更されたと認識し(C3)、駆動条件の変更が必要と判定する(J2)。また、予実差が±25%の範囲外であった場合(C4)、決定部56は同じく駆動条件の変更が必要と判定する(J2)。この場合、決定部56は、駆動条件を変更する。
【0080】
決定部56は、測定期間が短縮された場合、または実測値が予測値を上回っていた場合に、ウェアラブル生体センサ装置11の駆動電力を増やす内容に駆動条件を変更する。より具体的には、決定部56は、測定期間が短縮された場合、または実測値が予測値を上回っていた場合に、測定項目の数を増やす、および/または測定間隔を短くする。
【0081】
一方、決定部56は、測定期間が延長された場合、または実測値が予測値を下回っていた場合に、ウェアラブル生体センサ装置11の駆動電力を減らす内容に駆動条件を変更する。より具体的には、決定部56は、測定期間が延長された場合、または実測値が予測値を下回っていた場合に、測定項目の数を減らす、および/または測定間隔を長くする。
【0082】
また、決定部56は、消費電力量情報44を参照して、測定期間の終了時に残量が予め設定された設定値またはそれ以下となる内容の駆動条件を決定する。
【0083】
図14は、測定期間が短縮された場合に、ウェアラブル生体センサ装置11の駆動電力を増やす内容に駆動条件を変更する例である。矢印の左側の
図14(A)、(B)は測定期間変更指示を指示受付部50で受け付ける前、矢印の右側の
図14(C)、(D)は測定期間変更指示を指示受付部50で受け付け、駆動条件を変更した後をそれぞれ示す。
【0084】
測定期間変更指示を指示受付部50で受け付ける前は、
図14(A)に示すように、
図7に示すパターン1の初期駆動条件42Aが選択され、
図14(B)に示すように、初期設定指示で15日間が測定期間として設定されている。また、この状態において、予測値は、
図14(B)に一点鎖線で示すように、測定期間の終了日時である15日目に丁度設定値の0%となると推定されている。
【0085】
ここで、例えば測定期間5日目に測定期間変更指示がなされ、測定期間が15日間から7日間に変更、つまり測定期間が短縮された場合、決定部56は、
図14(C)に示すように、心電図センサ24および体温センサ28のオン/オフの指定をオフからオンに変更して、測定項目の数を増やす。また、心拍数センサ25の測定間隔を30秒から5秒に、体動量センサ27の測定間隔を10秒から5秒にそれぞれ変更して、測定間隔を短くする。このとき、決定部56は、
図14(D)に示すように、実線で示す実測値と、消費電力量情報44とに基づいて、一点鎖線で示す5日目以降の予測値が、変更後の終了日時である7日目に丁度設定値の0%となるように、増やす測定項目の数および測定間隔を調整する。
【0086】
図15は、バッテリ17の残量の実測値が予測値を上回っていた場合に、ウェアラブル生体センサ装置11の駆動電力を増やす内容に駆動条件を変更する例である。矢印の左側の
図15(A)、(B)は駆動条件を変更する前、矢印の右側の
図15(C)、(D)は駆動条件を変更した後をそれぞれ示す。駆動条件を変更する前は、
図15(A)、(B)に示すように、
図14(A)、(B)と同じく、
図7に示すパターン1の初期駆動条件42Aが選択され、初期設定指示で15日間が測定期間として設定されている。
【0087】
ここで、
図15(B)に示すように、例えば測定期間10日目に、実線で示す実測値と一点鎖線で示す予測値の予実差が+25%以上となった場合、つまり予実差が±25%の範囲外で、かつ実測値が予測値を上回っていた場合、決定部56は、
図15(C)に示すように、体温センサ28のオン/オフの指定をオフからオンに変更して、測定項目の数を増やす。また、体動量センサ27の測定間隔を10秒から5秒に変更して、測定間隔を短くする。このとき、決定部56は、
図15(D)に示すように、実線で示す実測値と、消費電力量情報44とに基づいて、一点鎖線で示す10日目以降の予測値が、終了日時である15日目に丁度設定値の0%となるように、増やす測定項目の数および測定間隔を調整する。
【0088】
図14および
図15の場合、ウェアラブル生体センサ装置11の駆動電力を増やす内容に駆動条件を変更するので、駆動条件変更後の残量推定グラフは、駆動条件変更前と比べて傾きが急峻になる。
【0089】
図16は、測定期間が延長された場合に、ウェアラブル生体センサ装置11の駆動電力を減らす内容に駆動条件を変更する例である。矢印の左側の
図16(A)、(B)は測定期間変更指示を指示受付部50で受け付ける前、矢印の右側の
図16(C)、(D)は測定期間変更指示を指示受付部50で受け付け、駆動条件を変更した後をそれぞれ示す。
【0090】
測定期間変更指示を指示受付部50で受け付ける前は、
図16(A)に示すように、
図8に示すパターン2の初期駆動条件42Bが選択され、
図16(B)に示すように、初期設定指示で10日間が測定期間として設定されている。また、この状態において、予測値は、
図16(B)に一点鎖線で示すように、測定期間の終了日時である10日目に丁度設定値の0%となると推定されている。
【0091】
ここで、例えば測定期間5日目に測定期間変更指示がなされ、測定期間が10日間から15日間に変更、つまり測定期間が延長された場合、決定部56は、
図16(C)に示すように、心拍数センサ25および体動量センサ27の測定間隔を30秒から60秒に変更して、測定間隔を長くする。このとき、決定部56は、
図16(D)に示すように、実線で示す実測値と、消費電力量情報44とに基づいて、一点鎖線で示す5日目以降の予測値が、変更後の終了日時である15日目に丁度設定値の0%となるように、測定間隔を調整する。
【0092】
図17は、バッテリ17の残量の実測値が予測値を下回っていた場合に、ウェアラブル生体センサ装置11の駆動電力を減らす内容に駆動条件を変更する例である。矢印の左側の
図17(A)、(B)は駆動条件を変更する前、矢印の右側の
図17(C)、(D)は駆動条件を変更した後をそれぞれ示す。駆動条件を変更する前は、
図17(A)、(B)に示すように、
図16(A)、(B)と同じく、
図8に示すパターン2の初期駆動条件42Bが選択され、初期設定指示で10日間が測定期間として設定されている。
【0093】
ここで、
図17(B)に示すように、例えば測定期間5日目に、実線で示す実測値と一点鎖線で示す予測値の予実差が−25%以上となった場合、つまり予実差が±25%の範囲外で、かつ実測値が予測値を下回っていた場合、決定部56は、
図17(C)に示すように、体動量センサ27のオン/オフの指定をオンからオフに変更して、測定項目の数を減らす。また、心拍数センサ25の測定間隔を30秒から120秒に変更して、測定間隔を長くする。このとき、決定部56は、
図17(D)に示すように、実線で示す実測値と、消費電力量情報44とに基づいて、一点鎖線で示す5日目以降の予測値が、終了日時である10日目に丁度設定値の0%となるように、減らす測定項目の数および測定間隔を調整する。
【0094】
図16および
図17の場合、ウェアラブル生体センサ装置11の駆動電力を減らす内容に駆動条件を変更するので、駆動条件変更後の残量推定グラフは、駆動条件変更前と比べて傾きが緩やかになる。
【0095】
なお、
図14〜
図17では、測定期間中に駆動条件を初期駆動条件42から1回変更する例を挙げたが、測定期間が変更される度に、または予実差が±25%の範囲外となる度に、駆動条件は測定期間中に何度でも変更することが可能である。また、
図14〜
図17では、測定期間の終了時の残量の設定値を0%としているが、設定値を5%や10%とし、測定期間の終了時に僅かな余力を残してもよい。
【0096】
図18において、クライアント端末13のストレージデバイス30Bには、APとして監視プログラム60が記憶されている。監視プログラム60が起動されると、クライアント端末11のCPU32Bは、メモリ31等と協働して、AP制御部61として機能する。
【0097】
AP制御部61は、各種指示の入力を受け付ける各種画面、具体的には初期設定指示の入力を受け付ける初期設定入力画面65(
図19参照)、測定値要求指示の入力を受け付ける指示入力画面80(
図20参照)、および測定期間変更指示の入力を受け付ける測定期間変更画面90(
図22参照)をディスプレイ34Bに表示し、かつこれら各種画面を通じて入力デバイス35Bから入力される各種指示を受け付ける。AP制御部61は、各種指示を生体センサ制御サーバ12に送信する。
【0098】
また、AP制御部61は、情報管理部54からの測定値に基づいて、測定値表示画面85(
図21参照)をディスプレイ34Bに表示する。さらに、AP制御部61は、異常判定部55からの通知に応じて、通知画面95(
図23参照)をディスプレイ34Bに表示するとともに、スピーカー36Bからビープ音等の警告音声を出力させる。なお、クライアント端末13にバイブレーション機能がある場合は、AP制御部61は、通知画面95の表示および警告音声の出力とともにバイブレーション機能を作動させてもよい。
【0099】
図19において、初期設定入力画面65は、基本情報入力領域66と、測定期間入力領域67と、駆動条件入力領域68と、設定ボタン69と、キャンセルボタン70とを備えている。基本情報入力領域66には、患者IDの入力ボックス71、装置IDの入力ボックス72、および端末IDの入力ボックス73が設けられている。測定期間入力領域67には、開始日時の入力ボックス74および終了日時の入力ボックス75が設けられている。駆動条件入力領域68には、複数種の初期駆動条件42の中から1つの初期駆動条件42を選択するためのプルダウンメニュー76が設けられている。
【0100】
各入力ボックス71〜75に所望の患者IDや開始日時、終了日時等が入力され、プルダウンメニュー76で1つの初期駆動条件42が選択されて、設定ボタン69が選択された場合、AP制御部61から生体センサ制御サーバ12に初期設定指示が送信される。
【0101】
図20において、指示入力画面80には、患者IDの入力ボックス81、測定値ボタン82、および測定期間変更ボタン83が設けられている。入力ボックス81に所望の患者Pの患者IDが入力され、測定値ボタン82が選択された場合、AP制御部61から生体センサ制御サーバ12に測定値要求指示が送信される。
【0102】
図21は、測定値要求指示に応じて情報管理部54から送信された測定値に基づいて表示される測定値表示画面85を示している。測定値表示画面85には、指示入力画面80で指定された患者ID、測定値の取得時刻、および測定値が表示される。なお、符号86は、測定値表示画面85を消去するための確認ボタンである。
【0103】
図22は、指示入力画面80において、入力ボックス81に所望の患者Pの患者IDが入力され、測定期間変更ボタン83が選択された場合に表示される測定期間変更画面90を示している。測定期間変更画面90には、指示入力画面80で指定された患者ID、および当該患者IDに対応する、残量・期間テーブル43に登録された変更前の終了日時が表示される。
【0104】
また、測定期間変更画面90は、変更後の終了日時の入力ボックス91と、変更ボタン92と、キャンセルボタン93とを備えている。入力ボックス91に所望の終了日時が入力され、変更ボタン92が選択された場合、AP制御部61から生体センサ制御サーバ12に測定期間変更指示が送信される。
【0105】
図23において、通知画面95には、通知に含まれる患者IDの患者Pに異常が認められる旨のメッセージと、確認ボタン96と測定値ボタン97とが表示される。確認ボタン96は、測定値表示画面85の確認ボタン86と同様に、通知画面95を消去するためのボタンである。また、測定値ボタン97は、指示入力画面80の測定値ボタン82と同様の機能を有するボタンであり、通知に含まれる患者IDの患者Pの測定値表示画面85を表示させるためのボタンである。
【0106】
以下、上記構成による作用について、
図24および
図25のフローチャートを参照して説明する。まず、医師Dにより選定された患者Pにウェアラブル生体センサ装置11が装着される。医師Dは、クライアント端末13を操作して監視プログラム60を起動し、ディスプレイ34Bに初期設定入力画面65を表示させる。そして、初期設定入力画面65を通じて、患者ID、装置ID、端末ID、測定期間(開始日時および終了日時)、並びに初期駆動条件42を入力、選択し、設定ボタン69を選択する。これによりクライアント端末13から生体センサ制御サーバ12に初期設定指示が送信される。
【0107】
生体センサ制御サーバ12では、初期設定指示が指示受付部50で受け付けられ、初期設定指示に含まれる測定期間が第2取得部52で取得される。また、初期設定指示で選択された初期駆動条件42が、決定部56からウェアラブル生体センサ装置11に送信される。さらに、初期設定指示に含まれる患者ID等の各種情報が情報管理部54により残量・期間テーブル43に登録される。
【0108】
ウェアラブル生体センサ装置11では、決定部56からの初期駆動条件42が受信される。そして、初期駆動条件42に付帯された測定期間の開始日時に、初期駆動条件42に応じた各センサ24〜28の駆動が開始される。各センサ24〜28の測定値は、生体センサ制御サーバ12に送信される。
【0109】
また、ウェアラブル生体センサ装置11では、各センサ24〜28の駆動開始と合わせてバッテリ17の残量の測定が開始され、測定された残量が生体センサ制御サーバ12に送信される。
【0110】
生体センサ制御サーバ12では、第3取得部53で測定値が取得される。測定値は、情報管理部54により測定値テーブル41に登録されるとともに、情報管理部54から異常判定部55に出力される。そして、異常判定部55により、測定項目が異常判定条件46を満たすか否かが判定される。
【0111】
異常判定部55で測定項目が異常判定条件46を満たすと判定された場合、異常判定部55からクライアント端末13に通知が送信される。クライアント端末13では、異常判定部55からの通知に応じた通知画面95がディスプレイ34Bに表示され、かつスピーカー36Bから警告音声が出力される。これにより、患者Pの状態に異常が発生したことを医療スタッフが確実に把握することができる。なお、医療スタッフは、指示入力画面80を介して測定値要求指示を入力し、個人的に気になる患者Pの測定値表示画面85をディスプレイ34Bに表示させることもできる。
【0112】
図24のステップS100に示すように、生体センサ制御サーバ12では、第1取得部51で残量が取得され、第2取得部52で測定期間が取得される。そして、これら残量および測定期間に基づいて、決定部56により測定期間中に駆動条件の変更の要否が判定される(ステップS110)。より具体的には、測定期間中に、測定期間の変更の有無と予実差が監視され、これらの監視結果に基づいて、駆動条件の変更の要否が判定される。
【0113】
測定期間の変更がない場合、または予実差が所定範囲内であった場合は、決定部56により駆動条件の変更は不要と判定される(ステップS120でNO)。一方、測定期間が変更された場合、または予実差が所定範囲外であった場合は、決定部56により駆動条件の変更が必要と判定される(ステップS120でYES)。この場合、決定部56により駆動条件変更処理が実施される(ステップS130)。
【0114】
図25において、駆動条件変更処理S130では、測定期間が短縮されたか、または実測値が予測値を上回っているかが判定される(ステップS131)。
【0115】
測定期間が短縮された場合、または実測値が予測値を上回っていた場合(ステップS131でYES)は、決定部56により、測定期間の終了時に残量が設定値またはそれ以下となるよう、測定項目の数が増やされる、および/または測定間隔が短くされる(ステップS132)。
【0116】
一方、測定期間が延長された場合、または実測値が予測値を下回っていた場合(ステップS131でNO)は、決定部56により、測定期間の終了時に残量が設定値またはそれ以下となるよう、測定項目の数が減らされる、および/または測定間隔が長くされる(ステップS133)。これにて駆動条件変更処理S130が終了する。
【0117】
図24のステップS140に示すように、駆動条件変更処理S130で変更された駆動条件は、決定部56からウェアラブル生体センサ装置11に送信される。これらS100からS140の各処理は、測定期間が終了する(ステップS150でYES)まで継続される。
【0118】
ウェアラブル生体センサ装置11では、変更後の駆動条件が受信された場合、各センサ24〜28の駆動が変更後の駆動条件に応じて切り替えられる。例えばオン/オフの指定がオフからオンに変更されたセンサは、バッテリ17から駆動電力が供給されて駆動を開始する。また、測定間隔が変更されたセンサは、変更された測定間隔で測定を実施する。
【0119】
残量および測定期間に基づいて駆動条件を決定するので、測定期間の終了前にバッテリ17の電力が尽きて測定不能となったり、測定期間の終了時にバッテリ17の残量が比較的多く残っていたりする事態を避けることができ、測定期間内でバッテリ17の電力を有効活用することができる。
【0120】
測定期間中に駆動条件の変更の要否を判定し、駆動条件の変更が必要と判定した場合は直ちに駆動条件を変更するので、常に現状に即した適切な駆動条件でウェアラブル生体センサ装置11を駆動させることができる。
【0121】
測定期間中に、測定期間の変更の有無と予実差を監視し、測定期間が変更された場合、または予実差が所定範囲外であった場合に、駆動条件の変更が必要と判定するので、患者Pの都合で急に測定期間が変更された場合や、生体センサ装置11の使用環境の想定との差異が比較的大きい場合にも対応することができる。
【0122】
測定期間の終了時に残量が設定値またはそれ以下となる内容の駆動条件を決定するので、設定値を0%または0%に近い値としておけば、測定期間の終了時に丁度バッテリ17の電力が尽きる理想的な使い方をすることができる。このため、バッテリ17が使い捨ての電池であった場合は、中途半端な残量が残ることがなく、資源を有効活用することができる。また、通常、医療施設16に通院している患者Pの場合、医療施設16に来院する直前の最新の測定値が医師Dによる診断に役立つことが多いため、測定期間の終了時までできるだけ多くの測定項目を測定し、かつ継続的な測定を行うことで、診断精度を向上させることができる。
【0123】
測定期間が短縮された場合、または実測値が予測値を上回っていた場合に、測定項目の数を増やしたり測定間隔を短くしたりするので、より詳細な生体情報を取得することができる。より詳細な生体情報を取得することができれば、患者Pが測定期間中に何らかの疾患を発症した場合に、その疾患の鑑別に大いに役立てることができる。
【0124】
一方、測定期間が延長された場合、または実測値が予測値を下回っていた場合に、測定項目の数を減らしたり測定間隔を長くしたりして、ウェアラブル生体センサ装置11の駆動電力を減らす内容に駆動条件を変更するので、ウェアラブル生体センサ装置11の駆動時間を長引かせることができる。
【0125】
なお、残量推定グラフで残量が設定値以上の日が測定期間の終了日に設定され、終了日の前日に、測定期間の終了時に残量が設定値以上残ることが明らかであった場合(例えば、
図14(B)および
図15(B)に示すように残量が15日目に丁度0%となると推定される初期駆動条件42Aが選択された場合に、測定期間の終了日が5日目に設定され、終了日の前日の4日目に残量が50%以上残ることが推定される場合)には、終了日の前日に測定項目の数を増やしたり測定間隔を短くしたりして駆動条件を変更し、測定期間の終了時に必ず残量が設定値またはそれ以下となるようにすることが好ましい。
【0126】
患者Pは、自宅15で療養中の患者に限らず、医療施設16に入院している患者でもよい。この場合、ウェアラブル生体センサ装置11と生体センサ制御サーバ12とは、医療施設16内に敷設されたLAN(Local Area Network)等のネットワークを介して相互に通信可能に接続される。また、この場合、例えば入院日の次の日の朝が開始日時に設定され、例えば退院予定日またはリハビリ開始予定日の前日の夜が終了日時に設定される。
【0127】
さらに患者Pは、自宅15で定期的に往診や訪問介護を受けている患者でもよい。この場合は例えば今回の往診または訪問介護の後が開始日時に設定され、例えば次回の往診予定日または訪問介護予定日の朝が終了日時に設定される。
【0128】
上記第1実施形態では、医療スタッフが手動で設定した測定期間を第2取得部52で取得しているが、患者Pの次回の診察予定日等が記述される電子カルテを管理する電子カルテサーバや病院情報システム(HIS;Hospital Information System)サーバから自動的に取得してもよい。
【0129】
駆動条件の変更の要否を判定するための予実差の所定範囲を±25%としているが、これはあくまでも一例であり、±10%の範囲としてもよいし、±50%の範囲としてもよい。また、所定範囲を一律に同じ値とするのではなく、例えば測定期間の前半は±50%の範囲とし、測定期間の後半は±10%の範囲とする等、測定期間に応じて予実差の所定範囲を変更してもよい。さらに、全測定期間にわたって予実差を監視するのではなく、予実差を監視する日を例えば終了日の前日に限り、その監視結果に基づいて駆動条件の変更の要否を判定してもよい。
【0130】
測定項目の数を増減したり、測定間隔を長くしたり短くしたりする代わりに、あるいは加えて、測定時間を長くしたり短くしたりしてもよい。例えば
図8に示す初期駆動条件42Bでウェアラブル生体センサ装置11を駆動させていて、測定期間が延長された場合、心電図センサ24の測定時間を常時から09:00:00〜12:00:00に変更する。あるいは、心電図センサ24以外の各センサ25〜28の測定時間も指定可能としておき、心電図センサ24以外の各センサ25〜28の測定時間を変更してもよい。
【0131】
初期駆動条件42毎に必須の測定項目を予め設定しておき、測定項目の数を減らすことでウェアラブル生体センサ装置11の駆動電力を減らす内容に駆動条件を変更する場合に、必須の測定項目だけはオン/オフの指定をオフにしない取り決めとしてもよい。例えば
図7の慢性閉塞性肺疾患の患者用の初期駆動条件42Aは、呼吸数および体動量を必須の測定項目に設定する。こうすれば、重点的に監視する必要がある測定項目のオン/オフの指定が誤ってオフにされることを防止することができる。
【0132】
例示した各センサ24〜28に代えて、あるいは加えて、生体情報として患者Pの皮膚インピーダンスを測定するセンサや、患者Pの血中酸素濃度を測定するセンサをセンサ部20に設けてもよい。
【0133】
各センサ24〜28が一体的に設けられたウェアラブル生体センサ装置11を例示したが、各センサ24〜28が別体で設けられ、各々がバッテリ17や無線送受信部21等を備えたウェアラブル生体センサ装置でもよい。この場合は個々のウェアラブル生体センサ装置からの残量を第1取得部51で取得し、個々のウェアラブル生体センサ装置の駆動条件を決定部56で決定する。
【0134】
また、バッテリ17が1個の場合で説明しているが、バッテリ17を複数個用意し、患者Pに交換させてもよい。この場合の初期駆動条件42の残量推定グラフは、例えば4個のバッテリ17が用意された場合の
図26に示すように、1個1個のバッテリ17の残量推定グラフを時間軸方向に繋げたものとなる。また、この場合、決定部56は、何個目のバッテリ17が現在使用されているかという情報を得て、この情報も加味して駆動条件を決定する。例えばバッテリ17が4個用意され、現在3個目のバッテリ17が使用されていて、3個目のバッテリ17で測定項目の数を減らしたり測定間隔を短くすれば測定期間の終了まで残量がもちそうだと判断した場合は、4個目のバッテリ17を次回の測定に利用するべく駆動条件を変更する。
【0135】
バッテリ17は、使い捨ての電池に限らず、充電可能な二次電池であってもよい。バッテリ17が二次電池であった場合も、測定期間の終了時に丁度バッテリ17の電力が尽きる理想的な使い方をすることで、残量が残っているにも関わらず充電が行われてバッテリ17が劣化してしまうことを防ぐことができる。
【0136】
[第2実施形態]
初期駆動条件42の残量推定グラフによれば、当該初期駆動条件42にて測定を行った場合に、どの程度の期間で残量が100%から0%になるか、つまり測定可能期間の大凡の見当がつく。この測定可能期間内に、医師Dが初期設定入力画面65で設定した測定期間が収まっていれば、測定期間の終了前にバッテリ17の電力が尽きて測定不能となる事態を避けられる確率が高い。そこで、
図27〜
図29に示す第2実施形態では、推定される測定可能期間内に、第2取得部52で取得された測定期間が収まっていない場合、測定期間が測定可能期間をオーバーしている旨を決定部56からクライアント端末13に通知する。
【0137】
この場合、初期駆動条件42には、
図27に例示する初期駆動条件42Aのように、残量推定グラフ等に加えて、測定可能期間が登録される。
【0138】
また、
図28に示すように、決定部56は、初期設定指示が指示受付部50で受け付けられたときに、初期駆動条件42に登録された測定可能期間と、第2取得部52で取得され、残量・期間テーブル43に登録された測定期間とを情報管理部54から受け取る。そして、受け取った測定可能期間と測定期間とを比較する。
【0139】
決定部56は、測定期間が測定可能期間以下で、測定可能期間内に測定期間が収まっていた場合(C5)は何もしない(J3)。一方、決定部56は、測定期間が測定可能期間よりも長く、測定可能期間内に測定期間が収まっていない場合(C6)、測定期間が測定可能期間をオーバーしている旨の通知を、初期設定指示の送信元のクライアント端末13に送信する(J4)。
【0140】
例えば初期設定指示で測定可能期間が15日間の初期駆動条件42Aが選択され、測定期間として10日間が設定された場合は、測定可能期間内に測定期間が収まっているので、決定部56から通知は送信されない。一方、測定期間として20日間が設定された場合は、測定可能期間内に測定期間が収まっていないので、決定部56からクライアント端末13に通知が送信される。なお、
図28では、情報管理部54および決定部56以外の各機能部の図示を省略している。
【0141】
AP制御部61は、決定部56からの測定期間が測定可能期間をオーバーしている旨の通知を受けて、
図29に示す警告画面100をディスプレイ34Bに表示する。警告画面100は、例えば初期設定入力画面65上にポップアップ表示される。警告画面100には、測定期間が測定可能期間をオーバーしていて、このままの設定では終了日時前にバッテリ17の電力が尽きるおそれがある旨のメッセージと、設定のやり直しを促すメッセージと、警告画面100を消去するための確認ボタン101とが表示される。
【0142】
このように、測定可能期間内に測定期間が収まっていない場合に、測定期間が測定可能期間をオーバーしている旨の通知を決定部56からクライアント端末13に送信するので、測定期間の終了前にバッテリ17の電力が尽きて測定不能となる事態を避けられる確率をより高めることができる。
【0143】
なお、測定期間の終了前にバッテリ17の電力が尽きて測定不能となる事態を避ける対策としては、例えば
図30に示すように、初期設定入力画面65の駆動条件入力領域68に、プルダウンメニュー76で選択された初期駆動条件42の残量推定グラフおよび測定可能期間を表示する方法を採用してもよい。
【0144】
初期駆動条件42や決定部56で変更した駆動条件を、ウェアラブル生体センサ装置11に送信する前に、医療スタッフが手動で修正可能に構成してもよい。この場合、AP制御部61により、駆動条件の修正指示の入力を受け付ける修正画面をディスプレイ34Bに表示し、修正指示を手動設定指示として指示受付部50で受け付ける。
【0145】
またこの場合、消費電力量情報44を参照して、修正後の残量推定グラフを作成し、この修正後の残量推定グラフと、修正前の残量推定グラフとを比較可能にディスプレイ34Bに表示してもよい。
【0146】
また、上記第2実施形態を適用し、第1取得部51で取得された残量および消費電力量情報44を参照して、修正後の駆動条件にて測定を行った場合の測定可能期間を推定し、推定した測定可能期間内に測定期間が収まっていない場合に、測定期間が測定可能期間をオーバーしている旨の通知を決定部56から修正指示の送信元のクライアント端末13に送信してもよい。
【0147】
決定部56で変更した駆動条件を医療スタッフに表示して、医療スタッフの承認を得てからウェアラブル生体センサ装置11に送信する構成としてもよい。測定項目の数を増やす内容に駆動条件を変更した場合には特に問題はないが、測定項目の数を減らす内容に駆動条件を変更した場合は、前述の慢性閉塞性肺疾患の患者用の初期駆動条件42Aの呼吸数および体動量のような必須の測定項目が減らされてしまうと診断に影響を与える可能性がある。このため少なくとも測定項目の数を減らす内容に駆動条件を変更した場合に医療スタッフの承認を得る構成とすることが好ましい。なお、この承認の際に駆動条件の修正指示を受け付けてもよい。
【0148】
上記第1実施形態では、異常判定部55で測定項目が異常判定条件46を満たすと判定した場合の処理として、測定項目が異常判定条件46を満たすと判定した旨の通知をクライアント端末13に送信する処理のみを挙げているが、これに加えて、異常判定部55で測定項目が異常判定条件46を満たすと判定した場合に、残量および測定期間に関わらず、駆動条件を
図31に示す異常時用の駆動条件105としてもよい。
【0149】
図31において、異常時用の駆動条件105は、各センサ24〜28が全てオンの指定とされ、心電図センサ24の測定時間に常時が指定され、さらに心電図センサ24以外の各センサ25〜28の測定間隔に5秒が指定されている。つまり、異常時用の駆動条件105は、全ての測定項目を比較的短い測定間隔で測定する内容である。
【0150】
このように、異常判定部55で測定項目が異常判定条件46を満たすと判定した場合に、駆動条件を異常時用の駆動条件105に切り替えれば、患者Pの状態に何らかの異常が発生したときにより詳細な生体情報を取得することができ、疾患の鑑別に役立てることができる。
【0151】
異常時用の駆動条件105は、全ての測定項目を比較的短い測定間隔で測定する内容であるため電力消費が激しい。したがって異常時用の駆動条件105で長くウェアラブル生体センサ装置11を駆動させていると、終了日時前にバッテリ17の電力が尽きてしまう確率が高くなる。そこで、駆動条件を異常時用の駆動条件105に切り替えてから、異常判定部55で測定項目が異常判定条件46を満たさないと判定している状態が所定期間続いた場合、駆動条件を異常時用の駆動条件105から元の駆動条件に戻すことが好ましい。
【0152】
駆動条件を異常時用の駆動条件105から元の駆動条件に戻したときには、異常時用の駆動条件105による急激な電力消費により、予実差が所定範囲外で、かつ実測値が予測値を下回っている可能性が高い。しかしその場合は決定部56により測定期間の終了時に残量が予め設定された設定値またはそれ以下となるよう、ウェアラブル生体センサ装置11の駆動電力を減らす内容に駆動条件が変更されるので問題はない。
【0153】
また、異常時用の駆動条件105を用いる場合は、異常時用の駆動条件105による電力消費を見越して、終了日時前にバッテリ17の電力が尽きる事態を避けるために、測定期間が短めに設定されることが考えられる。そうすると、測定期間中に駆動条件が異常時用の駆動条件105に切り替えられなかった場合は、測定期間の終了時に残量が設定値以上となる可能性が高い。しかしその場合は決定部56により測定期間の終了時に残量が設定値またはそれ以下となる内容の駆動条件が決定されるので問題はない。
【0154】
本発明の生体センサ制御装置に相当する生体センサ制御サーバ12を構成するコンピュータのハードウェア構成は種々の変形が可能である。例えば、生体センサ制御サーバ12を、処理能力や信頼性の向上を目的として、ハードウェアとして分離された複数台のサーバコンピュータで構成することも可能である。例えば、指示受付部50、第1取得部51、第2取得部52、および第3取得部53の機能と、情報管理部54の機能と、異常判定部55および決定部56の機能とを、3台のサーバコンピュータに分散して担わせる。この場合は3台のサーバコンピュータで生体センサ制御装置を構成する。第1取得部51、第2取得部52、および第3取得部53の機能を1つの取得部に統合して担わせてもよい。
【0155】
また、上記各実施形態では、生体センサ制御サーバ12からクライアント端末13に測定値または通知を送信し、クライアント端末13のAP制御部61で測定値表示画面85や通知画面95、警告画面100を生成してディスプレイ34Bに表示する態様を例示したが、生体センサ制御サーバ12側で各種画面を生成し、その画面データをクライアント端末13に送信して、AP制御部61で画面データに基づいて各種画面を再現し、これをディスプレイ34Bに表示してもよい。なお、画面データとしては、例えばXML(Extensible Markup Language)やJSON(JavaScript(登録商標) Object Notation)等のデータ記述言語によって作成されるウェブ配信用の画面データを利用することができる。
【0156】
さらに、生体センサ制御サーバ12のCPU32Aに構築した各機能部をクライアント端末13のCPU32Bに構築し、クライアント端末13を生体センサ制御装置として稼働させてもよい。この場合、指示受付部50は、入力デバイス35Bから直接各種指示を受け付ける。また、決定部56等の機能部を、ウェアラブル生体センサ装置11内に設けてもよい。
【0157】
このように、コンピュータのハードウェア構成は、処理能力、安全性、信頼性等の要求される性能に応じて適宜変更することができる。さらに、ハードウェアに限らず、作動プログラム40等のアプリケーションプログラムについても、安全性や信頼性の確保を目的として、二重化したり、あるいは、複数のストレージデバイスに分散して格納することももちろん可能である。
【0158】
上記各実施形態では、生体センサ制御サーバ12を1つの医療施設16で利用する形態で説明したが、生体センサ制御サーバ12を複数の医療施設が利用可能な形態としてもよい。
【0159】
上記各実施形態では、生体センサ制御サーバ12は、1つの医療施設16内に設置され、当該医療施設16に通院する患者Pに装着されたウェアラブル生体センサ装置11を制御して各種測定値を取得し、かつ当該医療施設16の医療スタッフがもつクライアント端末13からの各種指示に応じた各種情報を提供する形態である。
【0160】
これを複数の医療施設で利用可能とするためには、生体センサ制御サーバ12を、複数の医療施設に通院する患者Pに装着されたウェアラブル生体センサ装置11、および複数の医療施設の医療スタッフがもつクライアント端末13とネットワーク14を介して通信可能に接続する。そして、複数の医療施設に通院する患者Pに装着されたウェアラブル生体センサ装置11に、ネットワーク14を介して生体センサ制御サーバ12から駆動条件を送信し、かつウェアラブル生体センサ装置11からの測定値と残量、および複数の医療施設の医療スタッフがもつクライアント端末13からの各種指示を、ネットワーク14を介して生体センサ制御サーバ12で受け付けて、クライアント端末13に対して各種情報を提供する。
【0161】
なお、この場合は測定値テーブル41、残量・期間テーブル43等は複数の医療施設毎に管理される。また、この場合の生体センサ制御サーバ12の設置場所および運営主体は、例えば医療施設とは別の会社が運営するデータセンタでもよいし、複数の医療施設のうちの1つでもよい。
【0162】
生体センサ制御サーバ12の設置場所は医療施設16に限らない。患者Pの自宅15に生体センサ制御サーバ12が設置されていてもよい。患者Pの自宅15に生体センサ制御サーバ12が設置された場合は、医療施設16に生体センサ制御サーバ12が設置された場合と比較して、患者Pの自宅15と医療施設16間のネットワーク14を介した情報の通信量を低下させることができる。ネットワーク14は、今後モノのインターネット(IoT;Internet of Things)が進展してビッグデータが増加することにより通信負荷が拡大することが予想される。このため、患者Pの自宅15に生体センサ制御サーバ12を設置すれば、ネットワーク14を介した通信が減るので、ネットワーク14の通信負荷を軽減することができる。
【0163】
本発明は、上述の種々の実施形態や種々の変形例を適宜組み合わせることも可能である。また、上記各実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない限り種々の構成を採用し得ることはもちろんである。さらに、本発明は、プログラムに加えて、プログラムを記憶する記憶媒体にもおよぶ。