(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1構成部品及び第2構成部品を含むリソグラフィ装置であって、前記第1構成部品及び前記第2構成部品は、互いに対して、スキャン方向及び前記スキャン方向と実質的に垂直であるステップ方向のうちの一方において相対運動を経る、リソグラフィ装置であって、
前記第1構成部品は第1表面を有し、前記第2構成部品は第2表面を有し、前記第1表面及び前記第2表面は互いに向き合っており、前記第1表面及び前記第2表面のうちの少なくとも特定の1つはバリアシステムを収容し、
前記バリアシステムは、前記第1表面と前記第2表面との間のガスの保護容積内への周囲ガスの流入を減少又は防止するように動作するバリアを提供し、
前記バリアは、前記第1表面及び前記第2表面のうちの特定の1つに隣接する前記保護容積の一部を囲う壁であって、前記第1表面及び前記第2表面のうちの特定の1つからの突起である壁を含み、
前記バリアは、前記スキャン方向及び前記ステップ方向が位置する平面にジオメトリを有し、前記バリアは前記保護容積の周りの周囲ガスの流れを誘導するように動作し、前記周囲ガスの流れは、前記第1構成部品及び前記第2構成部品の相対運動によって誘発され、
前記ジオメトリは第1角及び第2角を有し、
前記第1構成部品及び前記第2構成部品が互いに対して前記スキャン方向及び前記ステップ方向のうちの特定の一方に移動した場合、前記第1角は前記バリアの先端として機能し、前記第2角は前記バリアの後端として機能し、
前記第1構成部品及び前記第2構成部品が互いに対して前記特定の方向と反対のさらなる方向に移動した場合、前記第1角は前記バリアの前記後端として機能し、前記第2角は前記バリアの前記先端として機能する、リソグラフィ装置。
前記第1表面及び前記第2表面のうちの特定の1つにおいて、第1方向の想像線が規定され、前記想像線は前記第1角及び前記第2角を通過し、前記第1方向は前記特定の方向に対して傾斜している、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
第1構成部品及び第2構成部品を含むリソグラフィ装置であって、前記第1構成部品及び前記第2構成部品は、互いに対して、スキャン方向及び前記スキャン方向と実質的に垂直であるステップ方向のうちの一方において相対運動を経る、リソグラフィ装置であって、
前記第1構成部品は第1表面を有し、前記第2構成部品は第2表面を有し、前記第1表面及び前記第2表面は互いに向き合っており、前記第1表面及び前記第2表面のうちの少なくとも特定の1つはバリアシステムを収容し、
前記バリアシステムは、前記第1表面と前記第2表面との間のガスの保護容積内への周囲ガスの流入を減少又は防止するように動作するバリアを提供し、
前記バリアは、少なくとも2つの開口であって、前記第1表面及び前記第2表面のうちの特定の1つに隣接する前記保護容積の一部を囲うガスカーテンを確立するために前記少なくとも2つの開口からのバリアガスの流れに適合されている少なくとも2つの開口を含み、前記少なくとも2つの開口のうちの一方は、バリアガスの乱流を提供する内側開口であり、前記少なくとも2つの開口のうちの他方は、バリアガスの層流を提供する外側開口であり、
前記バリアは、前記スキャン方向及び前記ステップ方向が位置する平面にジオメトリを有し、前記バリアは前記保護容積の周りの周囲ガスの流れを誘導するように動作し、前記周囲ガスの流れは、前記第1構成部品及び前記第2構成部品の相対運動によって誘発され、
前記ジオメトリは第1角及び第2角を有し、
前記第1構成部品及び前記第2構成部品が互いに対して前記スキャン方向及び前記ステップ方向のうちの特定の一方に移動した場合、前記第1角は前記バリアの先端として機能し、前記第2角は前記バリアの後端として機能し、
前記第1構成部品及び前記第2構成部品が互いに対して前記特定の方向と反対のさらなる方向に移動した場合、前記第1角は前記バリアの前記後端として機能し、前記第2角は前記バリアの前記先端として機能し、前記第1表面及び前記第2表面のうちの特定の1つにおいて、第1方向の想像線が規定され、前記想像線は前記第1角及び前記第2角を通過し、前記第1方向は前記特定の方向に対して傾斜している、リソグラフィ装置。
前記第1構成部品及び前記第2構成部品のうちの一方は基板テーブルを含み、前記第1構成部品及び前記第2構成部品のうちの他方は基準フレームを含む、請求項6、7又は8に記載のリソグラフィ装置。
前記リソグラフィ装置は、投影ビームを基板上に投影するための投影システムの上にプレートを含み、前記第1構成部品及び前記第2構成部品のうちの一方は前記プレートを含む、請求項9、10又は11に記載のリソグラフィ装置。
前記リソグラフィ装置はパターニングデバイステーブルを含み、前記第1構成部品及び前記第2構成部品のうちの他方は前記パターニングデバイステーブルを含む、請求項12に記載のリソグラフィ装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0010]
図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示している。このリソグラフィ装置は、
‐放射ビームB(例えば、UV放射)を調整するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、
‐パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを支持するように構築され、かつ特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1ポジショナPMに連結されたサポート構造(例えば、マスクテーブル)MTと、
‐基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構築され、かつ特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第2ポジショナPWに連結された基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WTと、
‐パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付けられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成された投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSとを備える。
【0011】
[0011] 照明システムとしては、放射を誘導し、整形し、又は制御するために、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、又はその他のタイプの光コンポーネント、あるいはそれらのあらゆる組合せなどのさまざまなタイプの光コンポーネントを含むことができる。照明システムは、リソグラフィ装置の一部を形成しているとみなしてもみなさなくてもよい。
【0012】
[0012] サポート構造は、パターニングデバイスの重量を支えるなどしてパターニングデバイスを支持する。サポート構造は、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置の設計、及び、パターニングデバイスが真空環境内で保持されているか否かなどの他の条件に応じた態様で、パターニングデバイスを保持する。サポート構造は、例えば、必要に応じて固定又は可動式にすることができるフレーム又はテーブルであってもよい。サポート構造は、パターニングデバイスを、例えば、投影システムに対して所望の位置に確実に置くことができる。本明細書において使用される「レチクル」又は「マスク」という用語はすべて、より一般的な「パターニングデバイス」という用語と同義であると考えるとよい。
【0013】
[0013] 本明細書において使用される「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分内にパターンを作り出すように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用できるあらゆるデバイスを指していると、広く解釈されるべきである。なお、留意すべき点として、放射ビームに付与されたパターンは、例えば、そのパターンが位相シフトフィーチャ又はいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分内の所望のパターンに正確に一致しない場合もある。通常、放射ビームに付けたパターンは、集積回路などのターゲット部分内に作り出されるデバイス内の特定の機能層に対応することになる。
【0014】
[0014] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブル(及び/又は2つ以上のマスクテーブル)を有する型のものであってもよい。そのような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルは並行して使うことができ、又は予備工程を1つ以上のテーブル上で実行しつつ、別の1つ以上のテーブルを露光用に使うこともできる。
【0015】
[0015] リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を満たすように、比較的高屈折率を有する液体(例えば水)によって基板の少なくとも一部を覆うことができるタイプのものであってもよい。また、リソグラフィ装置内の別の空間(例えば、マスクと投影システムとの間)に液浸液を加えてもよい。液浸技術は、当該技術分野において、投影システムの開口数を増加させることで知られている。本明細書において使用される「液浸」という用語は、基板のような構造物を液体内に沈めなければならないという意味ではなく、単に、露光中、投影システムと基板との間に液体があるということを意味するものである。
【0016】
[0016] 放射ビームBは、サポート構造(例えば、マスクテーブルMT)上に保持されているパターニングデバイス(例えば、マスクMA)上に入射して、パターニングデバイスによってパターン形成される。マスクMAを通り抜けた後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは、基板Wのターゲット部分C上にビームの焦点をあわせる。第2ポジショナPW及び位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、又は静電容量センサ)を使って、例えば、さまざまなターゲット部分Cを放射ビームBの経路内に位置決めするように、基板テーブルWTを正確に動かすことができる。同様に、第1ポジショナPM及び別の位置センサ(
図1には明示的に示されていない)を使い、例えば、マスクライブラリから機械的に取り出した後又はスキャン中に、マスクMAを放射ビームBの経路に対して正確に位置決めすることもできる。通常、マスクテーブルMTの移動は、第1ポジショナPMの一部を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)を使って達成することができる。同様に、基板テーブルWTの移動も、第2ポジショナPWの一部を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを使って達成することができる。ステッパの場合は(スキャナとは対照的に)、マスクテーブルMTは、ショートストロークアクチュエータのみに連結されてもよく、又は固定されてもよい。マスクMA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1及びM2と、基板アライメントマークP1及びP2とを使って、位置合わせされてもよい。例示では基板アライメントマークが専用ターゲット部分を占めているが、基板アライメントマークをターゲット部分とターゲット部分との間の空間内に置くこともできる(これらは、スクライブラインアライメントマークとして公知である)。同様に、複数のダイがマスクMA上に設けられている場合、マスクアライメントマークは、ダイとダイの間に置かれてもよい。
【0017】
[0017] 図示の装置をスキャンモードで使用することができる。スキャンモードにおいては、マスクテーブルMT及び基板テーブルWTを同期的にスキャンする一方で、放射ビームに付けられたパターンをターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一動的露光)。マスクテーブルMTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの(縮小)拡大率及び像反転特性によって決めることができる。あるいは、別のスキャンモードにおいては、プログラマブルパターニングデバイスを保持した状態で、マスクテーブルMTを基本的に静止状態に保ち、また基板テーブルWTを動かす、又はスキャンする一方で、放射ビームに付けられているパターンをターゲット部分C上に投影する。
【0018】
[0018] スキャンモードにおいては、ターゲット部分の行又は列を露光させるために、基板テーブルは蛇行経路に沿って又はスキャン方向に前後に動くことができる。基板テーブルWTがスキャン方向に沿って前後に動いているときに露光が生じることができる。両方の移動方向は同等である。説明の便宜上、一方向を前スキャン方向と呼び、他方向を後スキャン方向と呼ぶ。
【0019】
[0019] スキャンモードにおいて基板テーブル(及び/又はマスクテーブルMT)が動く方向がスキャン方向SCである。基板テーブルWT(及び/又はマスクテーブルMT)を蛇行の間又は行と行の間若しくは列と列の間でステップ方向STに動かすこともできる。ステップ方向STはスキャン方向SCと実質的に垂直である。スキャン方向SC及びステップ方向STを、それぞれX方向及びY方向又はその逆と呼ぶことができる。
【0020】
[0020] リソグラフィ装置は様々な異なる放射ビームを使用する。これらの放射ビームは、パターンを基板に照射するために使用される放射ビームである投影ビームを含む。放射ビームは、装置の異なる構成部品の位置又は特性を測定するために使用される様々な測定ビームも含む。放射ビームは、ビームが通過するガスによって影響される。
【0021】
[0021] いくつかの要素が、放射ビームがどのようにガス中を伝搬するかを影響し得る。例えば、温度、湿度及び組成がガスの屈折率を影響し得る。これらの要素及び乱流の局所的変化がガスの屈折率の不均一性及び時間的変化という結果となり得る。ガスを通過する放射ビームは、屈折率における不均一性及び時間的変化によって影響される。例えば、屈折率の変化は、投影ビームの軌道を変化させ、及び/又は波面誤差(すなわち、投影ビームにおける波面の凹凸)を引き起こし得る。測定誤差は、測定ビームの経路に沿った屈折率の変化によって誘発され得る。例えば、測定誤差は、装置の構成部品の位置決めの不正確さへと繋がり得る。そのようなあらゆる不正確さは、基板上のパターン付きビームの配置を変化させ、かつオーバーレイに悪影響を与え得る。
【0022】
[0022] 放射ビームBが通過する周囲ガスの屈折率の変動を減少させようとするために既知のシステムが実施されている。例えば、既知のシステムは、表面の開口からバリアガスを排出することによって提供されるガスカーテンを含む。ガスカーテンは、ガスカーテンの外にある周囲ガスの流れを妨害するバリアを形成する。ガスカーテンは、容積内のガスがガスカーテンの外の周囲ガスから効果的に切り離されるように容積の周りに設けられてよい。容積内のガスは、容積外のガスより均一となるように調整することができる。したがって、容積外の周囲ガスの変化の影響から放射ビームを保護するように、放射ビームが通過する容積の周りにバリアを提供するためにガスカーテンを用いることができる。この容積を保護容積と呼ぶ。容積内のガスを保護ガスと呼ぶ。しかし、保護容積に入るあらゆる未調整の周囲ガスは、放射ビームの伝搬を影響しかつ誤差を誘発し得る。
【0023】
[0023] 既知のシステムは屈折率の変動を減少させるためにガスカーテンをバリアとして使用しているが、風洞テストなどの様々なテスト及びシミュレーションにより、スキャン速度が上がるにつれてさらに多くの未調整の周囲ガスが保護容積に入って調整済みの保護ガスを汚染することが分かった。
【0024】
[0024] ガスカーテンは、バリアを含む構成部品が動いているとき又はバリアの周りの流れに相対運動がある場合に流れにおける変形体としてみなすことができる。異なる構成部品の相対運動の結果として、停滞ガスの領域がバリアの端に作り出される。これらの停滞領域では、停滞ガスは蓄積して圧力の上昇へと繋がり、これは内側に押す力をバリアに加える。停滞領域による力は速度の上昇と共に増大する。圧力はバリアにおいて上昇し、ガスバリア外の周囲ガスを保護容積内へと押し入れる圧力勾配を発生させる。このように保護容積に入るガスをブレイクスルーと呼ぶことがある。したがって、既知のバリアは、高速では、そのようなバリア有さない従来のシステムより有意な利点を与えない。
【0025】
[0025] 高スキャン速度では、未調整の周囲ガスのブレイクスルーが重大となり得る。この問題は、ステップ方向よりもスキャン方向でより顕著である。なぜなら、スキャン方向での相対運動の速度はステップ方向での速度より大きい傾向があるからである。例えば、測定中のスキャン方向SCでの動作速度は約2m/sであり、ステップ方向STでの動作速度は約0.8m/sである。
【0026】
[0026] 本発明の目的は、装置の構成部品の動作速度を低下させることなくバリアの縁部における停滞ガスのポケットの発生を防止又は減少させることによってブレイクスルーを最小限にすることである。これは、できる限り早くバリアの先端における周囲ガスの量を減少させることによって行われる。本発明は、バリアの界面を流れ方向に対して垂直にすることは停滞領域のサイズを増大させることを特定する。
【0027】
[0027] 本発明では、バリアは、停滞領域を減少させかつバリア内の保護容積を保護するように構成される。停滞領域は、流れ方向における同じ(又は同様の)断面積を有する本体と比べて低い効力を有するように本体を流線型にすることによって減少される。バリアにおける停滞領域は、バリアが(流れに対して相対的に)動くにつれてバリアの側面が周囲ガスの流れに対して垂直とならないようなジオメトリ(すなわち、平面図の形状)及び向きをバリアに与えることによって縮小される。平面図は、スキャン方向SC及びステップ方向STが位置する平面である。言い換えると、バリアのジオメトリは、特定の方向(例えば、スキャンが行われるときの保護容積より外側の周囲ガスの流れ方向)の周囲ガスの流れに対して流線型である。
【0028】
[0028] 本発明は、第1表面と第2表面との間の保護容積内への周囲ガスの流入を減少させるように動作するバリアを提供するように構成されたバリアシステムを提供する。放射ビームは、表面と表面との間の保護容積を通過することができる。したがって、放射ビームが通過する保護ガスを制御することができる。放射ビームは投影ビーム又は測定ビームであってよい。本発明は様々な実施形態を用いて以下に詳細に説明する。
【0029】
[0029] ある実施形態では、第1構成部品及び第2構成部品を備えるリソグラフィ装置が提供される。この実施形態では、第1構成部品は基板テーブルWTを含み、第2構成部品はグリッドGを含む。グリッドGは基準フレームRFに設置される。第1構成部品及び第2構成部品は、互いに対して、スキャン方向SC及びステップ方向STのうちの一方又は両方において相対運動を経るように構成される。第1構成部品又は第2構成部品は、静止している間、他方の構成部品がそれに対して動く。第1構成部品及び第2構成部品は、スキャン方向SC及びステップ方向ST以外の方向において互いに対して動いてもよい。
【0030】
[0030] 基板テーブルWTは第1表面1を有し、第2構成部品は上にグリッドGを有する第2表面を有する。第1表面1及び第2表面は互いに向き合っている。第1表面1及び第2表面は、平行面にあるようお互いに向き合っていてよい。
図3Bに示すように、両方の表面は水平であってもよい。
図2は、中心の矢印が第2構成部品に対する基板テーブルWTの相対運動を示す基板テーブルWTの概略的な平面図を示している。この実施形態では、基板テーブルWT上の矢印は、基板テーブルWT及び第2構成部品がスキャン方向SCに互いに対して動くことを示している。
【0031】
[0031] この実施形態では、基板テーブルWT上の第1表面1は、少なくとも1つのバリアシステム3を収容する。
図2の基板テーブルWT上には、4つのバリアシステム3が見える。図示されていない他の構成部品、例えば、基板を保持するために必要な構成部品を基板テーブルWT上に含んでもよい。各バリアシステム3は、第1表面1と第2表面との間のガスの保護容積内への周囲ガスの流入を減少させるように動作するバリア4を提供するように構成される。図示する各バリアシステム3は、少なくとも1つの開口を含み、この少なくとも1つの開口は第1表面1に隣接する保護容積の一部を囲うガスカーテンを確立するためにそこからのバリアガスの流れに適合している。
【0032】
[0032] この実施形態では、バリア4は、スキャン方向SC及びステップ方向STが位置する平面上のジオメトリを有する。バリア4は、周囲ガスの流れを保護容積の周りに誘導するように動作し、周囲ガスの流れは、基板テーブルWT及び第2構成部品の相対運動によって誘発される。周囲ガスの流れは、物体が通る周囲ガスであってよい。周囲ガスが事実上静止していても、周囲ガスの流れは、周囲ガスを通る物体の動きによって誘発され得る。周囲ガスの流れは、例えば物体に対する相対的な流れであってよい。
【0033】
[0033]
図3Aは、バリア4のジオメトリが第1角5及び第2角6を含むバリアシステム3を示している。図から分かるように、実施形態は、測定ビーム30放射するための放射源20及び測定ビーム30を検出するためのセンサ40をさらに含む。測定ビームは、グリッドGに向かって投影される(
図3Bに示す)。センサ40は、測定ビーム30を検出するように構成され、放射源20及び/又はセンサ40に対するグリッドGの位置及び/又は動きを示すために使用される。センサは、グリッドGを用いてリソグラフィ装置の構成部品の互いに対する位置を測定する。
【0034】
[0034] この実施形態では、第2構成部品は第2表面上にグリッドGを含む。グリッドGは第2表面上の第2構成部品の上に直接あってよい。あるいは、第2構成部品はグリッドプレートを含み、グリッドプレートの表面は第2表面である。この実施形態では、第2構成部品は、第2表面上にグリッドGを有するか又はその上に取り付けられたグリッドプレートを有する基準フレームRFである。
【0035】
[0035] バリア4は図面に線として示されているが、固体の物体ではない。むしろ、この実施形態のバリア4は、正確な境界を有さない流れ及び/又は圧力の領域に等しく、図示するバリア4はほぼ示されているとおりの形状を有するものとみなすべきである。
【0036】
[0036]
図3A、
図6A及び
図8Cの形状は、本発明で使用することができる異なる形状の例を示している。図示する形状はひし形及び六角形を含むが、例えば、第1対の側面が同じ長さであり第2対の側面が第1対の側面の長さとは異なる同じ長さであるたこ形ジオメトリなどのように本発明の請求の範囲内に入る変形が明らかに多数存在する。図示するバリアの形状及び図示していない他の形状は、開示する全ての実施形態のバリアシステムに対して交換可能である。
【0037】
[0037] 本発明のジオメトリの使用及びバリア4の形状の最適化の利点は、平面上のバリア4が必要とする全体的なスペースの縮小に繋がり得るということである。既知のリソグラフィシステムでは、多数のセンサが使用され、多くの場合異なるシステム間に重なりがあり、例えば、センサの周りのガスカーテンは、異なるセンサを囲う反対面上のバリアシステム上に直接放出される。この重なりはいずれかの又は両方のセンサの精度を低下させ得る。本発明で使用するジオメトリは、異なるバリアシステム間にあまり重なりがないようにバリア4、したがってバリアシステム3が必要とする平面上の領域を減少させる。
【0038】
[0038] 少なくとも第1角5及び第2角6は、必ずしも
図2及び
図3Aに示すような鋭い先端でない。ジオメトリの角は、所定の半径を有する丸みがあってよい。後ほど説明するようにジオメトリは長軸及び短軸を有する。各半径は、短軸の10%未満であることが好ましい。
【0039】
[0039] 図示するバリアジオメトリの側面は、
図3Aに示すように平面図において直線である。ジオメトリの側面は直線である必要はないが、少なくとも1つの側面は曲率半径を有してもよい。少なくとも1つの側面は平面上の湾曲形状を有してもよい。
【0040】
[0040] バリア4(すなわち、ガスカーテン)を確立するための少なくとも1つの開口は、測定ビームが通過する保護容積を遮蔽するバリアガスの流れを提供するために放射源20及びセンサ40を囲うように構成される。この実施形態では、バリアシステム3は開口を含み、この開口は第1表面1に隣接する保護容積を囲うガスカーテンを確立するためにそこからのバリアガスの流れに適合している。
図3AでX−Xで示したバリアシステム3の中心を通る断面を
図3Bに示している。
図3Bから分かるように、保護容積は基板テーブルWTの表面とグリッドGとの間で画定され、ここではバリアガスは基板テーブルWT上の開口によって制御される。
【0041】
[0041] バリア4は、バリア4外から第1表面1と第2表面との間のガスの保護容積に入る周囲ガスの量を減少させる。したがって、バリアシステム3は、バリア4内の保護容積を保護及び維持するためにバリア4を提供する。保護容積の中の保護ガスは制御又は調整することができ、これは上記したように測定ビーム30を影響する屈折率の変動を減少させる。
【0042】
[0042] 保護ガスは保護容積内のガスである。保護ガスはバリアガスから得ることができ及び/又は別の出口によって保護容積内に提供することができる(図示せず)。
【0043】
[0043] バリア4のジオメトリはバリアガス出口、すなわち、
図3A及び
図3Bに示す第1表面1上の開口の配置によって画定される。バリアガスはソース50によって提供される。放射源20及びセンサ40が移動物体上に設けられるため、バリアガスの流れは、2m/sまでの第2構成部品に対する基板テーブルWTの動作中及び静止中の両方の間に均一性及び安定性を維持する必要がある。さらに、バリアガスの流れは、リソグラフィ装置内の周囲ガスにおける他の外乱に対して頑強である必要がある。第1開口110は、放射源20及びセンサ40に隣接して設けられる。第1開口110は、ソース50から第1バリアガスを提供するように配置される。第1バリアガスは、ガスの混合(例えば、人工空気)又は単一ガス(例えば、窒素などの不活性ガス)であってもよい。第1バリアガスは、その温度、湿度及び/又は組成について調整することができる。第1バリアガスは、開口110から出る際にセンサビームパスに移動する。
【0044】
[0044] 第1開口110は、第1流れ特性を有する第1バリアガスを提供するように構築される。第1流れ特性は乱流であってよい。第1流れ速度は約10m/s〜20m/sであってよい。したがって、第1流れを高速ジェットとして記載することができる。第1開口110は、単一の連続開口又は一列になった個別の開口などの一連の開口であってよい。第1開口110は、
図3Aにおいて単一の連続開口として示されている。第1開口110は、その開口から出る第1バリアガスが測定ビームパスを囲う及び/又は測定ビームパスへと流れるように構成される。
【0045】
[0045] 第2開口120が提供される。第2開口120は、ソース50から第2バリアガスを提供するように構築及び配置される。第2バリアガスは、第1バリアガスと同じソースから供給されてよい。第2バリアガスは、ガスの混合(例えば、人工空気)又は単一ガス(例えば、窒素などの不活性ガス)であってもよい。第2バリアガスは、その温度、湿度及び/又は組成について調整することができる。
【0046】
[0046] 第2開口120からの第2バリアガスは、第1開口110からの第1バリアガスに隣接して提供される。第2開口120は、第2流れ特性を有する第2バリアガスを提供するように構築及び構成される。第2流れは第1流れ速度より低い速度を有し得る。第2流れは約1m/sの速度を有し得る。第2流れ特性は第1流れ特性とは異なる。第2流れ特性は層状であってよい。第2開口120から出る第2バリアガスの流れは、センサ40の光軸に対して第2開口120の半径方向外向きの未調整の周囲ガスが第1開口110から出る第1バリアガスの乱流によって同伴することを防止するシールドとして機能する。したがって、第2開口120は、第2バリアガスの流れが未調整の周囲ガスがセンサビームパスに到達することを防ぐように構成される。
【0047】
[0047] 第2開口120は、単一の連続開口又は一列になった個別の開口などの一連の開口であってよい。第2開口120は、
図3Aにおいて単一の連続開口として示されている。
【0048】
[0048] 放射源20及びセンサ40は、放射ビーム30が第1開口110及び第2開口120によって提供されるバリア内の保護容積を通過するように位置決めされる。放射源20及びセンサ40は保護容積に隣接して配置されてよく、放射源20及びセンサ40は基準フレームRF内に嵌め込まれるか又は放射源20及びセンサ40は保護容積内にあってもよい。放射源20及びセンサ40は保護容積に隣接して配置されてよく、放射源20及びセンサ40は基準フレームRF内に嵌め込まれてよく、放射源20及びセンサ40は保護容積内にあってよい。
図3Aの平面図で示すように、放射源20及びセンサ40は、第1開口110及び第2開口120によって囲われていることが分かる。さらに、第2開口120は第1開口110の反対側、第1開口110と周囲ガスとの間にある。第1開口110は内側開口である。第2開口120は外側開口である。
【0049】
[0049]
図3Aから分かるように、第1開口110及び第2開口120の両方が放射源20及びセンサ40を囲う。第1開口110及び第2開口120は同心である。
【0050】
[0050] 第1開口110及び第2開口120は、
図3Bに示すようなバリアガス流を提供する。バリアガス流は、測定ビーム30のパスの方向に対して実質的に平行の方向である。すなわち、流れは第2構成部品の表面上のグリッドGに向かっている。第1開口110を通る第1バリア流は乱流である。乱流は第2開口120から出る層流から第2バリアガスを同伴する。これにより、基板テーブルWTが高速で動いているときに良好な動的混合特性を保証する。さらに、乱流による未調整の周囲ガスの取り込みは、第1バリアガス乱流のすぐ外に第2バリアガスを能動的に供給することによって回避される。第2バリアガスの層流は、保護容積内に入ろうとするあらゆる未調整の周囲ガスを吹き飛ばすか又は遮蔽することによってシールとして機能する。未調整の周囲ガスは層流の外側に残り、保護容積に入ることが防止される。
【0051】
[0051] バリア4のジオメトリは第1角5及び第2角6を有する。基板テーブルWT及び第2構成部品が互いに対してスキャン方向SC、例えば前スキャン方向に移動した場合、第1角5はバリア4の前縁として機能し、第2角6はバリア4の後縁として機能する。基板テーブルWT及び第2構成部品が互いに対してスキャン方向SCと反対の方向、例えば後スキャン方向に移動した場合、第1角5はバリア4の後縁として機能し、第2角6はバリア4の前縁として機能する。前スキャン方向を
図2の矢印によって示している。
【0052】
[0052] 前縁角は周囲ガスの流れに交わるバリア4の最初の部分である。後縁角は相対運動の方向におけるバリア4の最後の部分である。これは、流れは表面に対して垂直の角度でバリア4の表面と交わらないことを意味し、すなわち、バリア4の端は流れに対して傾斜している。このジオメトリにより、流れをバリア4の周りに効率的に誘導することができる。これは、バリア4がより流線型であって停滞領域を縮小するため有益である。したがって、ブレイクスルーの量は減少(又は防止)され、保護容積に入る未調整の周囲ガスが減少される。測定ビーム30が通過する保護容積内のガスの温度、湿度及び/又は組成のばらつきは減少され、測定システムによって改善した測定値を得ることができる。これは、例えば、これらの測定値に基づいて互いに対する構成部品の位置を制御することによって基板上の放射ビームの位置決めを改善することができる。
【0053】
[0053]
図3Aに示すように、上記の実施形態によると、バリア4は平面上の角のあるジオメトリを有し、角のあるジオメトリはスキャン方向SC及びステップ方向STのうちの特定の一方に対して全てが垂直ではない側面を角と角の間に有する。角のあるジオメトリは前縁角及び後縁角を有する。いずれもスキャン方向SC及びステップ方向STに対して垂直ではない側面を有するバリア4の供給は、上記した停滞領域の縮小に役立つ。したがって、本発明は、バリア4内の保護容積の中への周囲ガスの流入を減少させるバリア4を提供する。
【0054】
[0054]
図3Aは、中心を通りかつジオメトリの二つの角を通過する想像線を有するジオメトリのバリア4を示している。想像線は、ジオメトリの中心及び少なくとも1つの角を通過してよい。この線は第1方向にある。この実施形態では、
図2及び
図3Aから分かるように、第1方向はスキャン方向SCと同じである。この実施形態では、想像線は前縁角である第1角5及び後縁角である第2角6を通過する。
【0055】
[0055]
図3Aに示すバリア4のジオメトリは、第1方向に直交する第2方向(短軸)の最大寸法より大きい第1方向(長軸)の最大寸法を有する。これはジオメトリが第1方向に細長いことを意味する。ジオメトリの伸長はより流線型の形へと繋がり、これはバリア4の周りの周囲流の動きを補助してブレイクスルーを減少させることができる。
【0056】
[0056] アスペクト比とは、第1方向の最大寸法対第2方向の最大寸法の比率である。アスペクト比は、バリア4の(1つ以上の)側面に構成される停滞領域を変更するように最適化されてよい。アスペクト比は、形状を流線型にするように変更されてよい。最適比は、構成部品が互いに対して移動する速度、バリアシステム3の配置、バリアシステム3を収容するために使用される表面等に依存し得る。さらに、バリアジオメトリの比率及び全体のサイズは、バリア4内に必要とされる最小容積によって制約される。例えば、本実施形態では、バリア4は、放射源20及びセンサ40を収容するのに十分に大きい必要がある。
【0057】
[0057] アスペクト比は、少なくとも1.3:1、好ましくは少なくとも1.5:1であってよい。本実施形態では、アスペクト比は2.5:1にまで達し得る。流線型のジオメトリを作成するために高アスペクト比を使用することは必須ではないが、流れがバリア4の周りにより効率的に誘導されるようにより細長いジオメトリ(すなわち、高アスペクト比を有する)がより流線型になる可能性が高い。アスペクト比は、所望のジオメトリ及び/又は形状によって選択することができる。所望のアスペクト比は、さらなる実施形態で記載したようにリソグラフィ装置内のバリアシステム3の配置に依存し得る。
【0058】
[0058] 隣接する側面は、ジオメトリがどのように流線型なのかを影響し得る。
図2及び
図3Aに示すように、ジオメトリは4つの側面を有する。一般に、ジオメトリは、包含的に4〜8つの側面、すなわち、4,5,6,7又8つの側面を有し得る(がこれらに限定されない)。
【0059】
[0059]
図3Aに示すように、隣接する側面の長さは同じであってよい。さらに、ジオメトリは平面に対して対称的となるように構成されてよく、平面は第1方向と平行であると共に第1方向及び第2方向の両方に対して垂直である方向と平行である。したがって、
図3Aのジオメトリは、平面図において第1方向の想像線のいずれの側にミラーイメージを形成する。ジオメトリが対称的であることは必須ではない。しかしながら、対称ジオメトリを有することは、バリア4内の保護容積にわたる圧力差を最小限にするという利点を与える。圧力差を最小限にすることにより、保護容積にわたるバリア4を通るガス流が減少される。これは、保護容積に入る周囲ガスの量を減少させるため有益である。
【0060】
[0060] 第1開口110及び第2開口120はそれぞれ、ジオメトリの周りの単一の連続開口として示されている。上記したように、第1開口110は一連の個別の開口であり及び/又は第2開口120は一連の個別の開口であってよい。
【0061】
[0061] ある実施形態では、開口を用いて動的なガスバリアを提供することができる。この実施形態は、バリアジオメトリが動的なバリアジオメトリである、すなわち、バリアジオメトリが可変の形状を有すること以外は上記の実施形態と同じである。さらに説明するように、動的のバリアジオメトリは、例えば、バリアシステム3によって供給されるガス流を変更することによって変更することができる。上記したように、第1開口110及び第2開口120のそれぞれは、一連の個別の開口を含んでよい。第1開口110のために使用される一連の個別の開口を第1出口と呼ぶ。第2開口120のために使用される一連の個別の開口を第2出口と呼ぶ。第1出口及び第2出口は、バリアガスを解放するためにバリアシステム3によって制御されてよい。提供されるガスバリアのジオメトリを制御するために種々の出口が異なる時間にバリアガスを解放することができる。第1出口及び第2出口は、平面上の異なるジオメトリを有するバリアを作成するために選択的に異なる個別の出口からバリアガスを解放するために制御されてよい。したがって、いくつかの第1出口及び/又はいくつかの第2出口は、第1開口110及び/又は第2開口120をそれぞれ提供するために使用されない場合がある(すなわち、特定の形状/ジオメトリには必要ないこともある)。
【0062】
[0062] 第1出口は、第1開口110に対して所定の形状を提供するために使用することができる。全ての第1出口が同時に使用されない場合がある。すなわち、所望の形状を提供するために、第1出口のサブセットのみが第1開口110を提供するために使用され得る。第2出口は、第2開口120に対して所定の形状を提供するために使用することができる。全ての第2出口が同時に使用されない場合がある。すなわち、所望の形状を提供するために、第2出口のサブセットのみが第2開口120を提供するために使用され得る。第1開口110及び第2開口120のそれぞれによって提供されるジオメトリは、バリアジオメトリが変更可能、すなわち動的であるように出口を制御することによって変更することができる。第1開口110及び第2開口120に使用される出口は交換可能であるように構成されてよい。すなわち、バリアジオメトリが変更された場合第1開口110のために使用される個別の出口は第2開口120のために使用することができ、その逆も同様である。
【0063】
[0063] 可変形状を有するバリアジオメトリを提供することは有益であり得る。なぜなら、このジオメトリは、バリア4の周りの周囲ガスの流れを最適化するように適合させることができるからであり、これは上記したように保護容積内に入る周囲ガスのブレイクスルーの減少に役立つことができる。例えば、バリアジオメトリの向きは、バリアガスを異なる出口、すなわち、第1出口の異なるサブセット及び/又は第2出口の異なるサブセットから解放することによって変更してよい。バリア4の向きなどのジオメトリは、様々な要因、例えば構成部品の相対運動の速度に応じて最適化することができる。
【0064】
[0064] 上記の実施形態では、重要な方向は、装置の構成部品が比較的高い速度で動く方向、例えばスキャン方向SC及びステップ方向STである。リソグラフィ装置内の周囲ガスは、通常、特定の主流方向を有さない乱流である。例えば、基板テーブルWTの位置では、周囲ガスは、リソグラフィ装置内の全体的な流れ動作を影響する様々なソース(例えば、ガスシャワー)からのガスから成る。周囲ガスの流れは、例えばガス抽出器等の他のフィーチャによっても影響され得る。しかしながら、スキャン中、変形体が経る最大の流れ速度は、通常、スキャン方向SCのスキャン速度によって決定される。この速度と比較して、他の方向の全ての他の流れ速度は通常さほど重要ではない。なぜなら、スキャン方向SCは、通常構成部品が互いに対して他の方向より高い速度で移動する方向であるからである。したがって、構成部品が互いに対してステップ方向STではなくスキャン方向SCに移動した場合に問題がより顕著になる傾向がある。なぜなら、構成部品はこの方向においてより速く移動する傾向があるからである。
【0065】
[0065] 構成部品の相対運動から生じる周囲ガス流の方向に対するバリアのジオメトリを最適化することが有益である。相対的な流れ方向は、第1構成部品及び第2構成部品の相対運動によって誘発される保護容積外の周囲ガスの流れの方向である。これはスキャン方向SCと同じ方向でなくてもよい。
【0066】
[0066] 異なる実施形態は、異なる最適なジオメトリの向きを有してよい。ジオメトリの向きは傾斜角に対して画定されてよい。この傾斜角は、想像線(中心及び少なくとも1つの角を通る線)とスキャン方向SCとの間の角度であり、すなわち、(ジオメトリを通る想像線の)第1方向がスキャン方向SCに対して傾斜している。バリアシステム100に対する傾斜角αを
図4に示している。バリアシステム100は、
図2及び
図3Aに示すバリアシステム3などの前述の実施形態に記載したバリアシステムと同じであってもよく、本願中においてバリアシステム3と交換可能である。傾斜角αは、構成部品の相対運動から生じる周囲ガス流の方向の流線型化を改善するために最適化することができる。前縁105及び後縁106は、
図4のスキャン方向SCに沿っていない。
【0067】
[0067] 最適な傾斜角αは、リソグラフィ装置内のバリアの配置によって変化し得る。最適な傾斜角αは、バリアの周りの周囲ガスの動きを影響する様々な要因、例えば、第1構成部品の速度、第2構成部品の速度、バリアシステム100の配置及び/又は構成部品の相対運動による周囲ガス流の方向に依存し得る。所望の傾斜角αは、どの他の構成部品がバリアシステム100の周囲又は近くにあるか、すなわち、どの近くの他の構成部品がバリアシステム100を囲う周囲ガスの相対的な流れを影響し得るかによっても変化し得る。
図2及び
図3Aに示すように、第1方向とスキャン方向SCとの間に傾斜がない場合がある。しかし、別の実施形態では、傾斜角は相対的な流れに応じて最適化される。例えば、いくつかの実施形態では、
図4に示すように第1方向とスキャン方向SCとの間の傾斜角αは、好ましくは0°より大きい及び/又は90°より小さい。より好ましくは、傾斜角αは5°より大きい。傾斜角αは、0°と60°の間、好ましくは30°と60°の間、より好ましくは40°と50°の間であってよい。
【0068】
[0068] 任意の実施形態では、グリッドGは、センサ40による検出のためにマーカ及び/又はターゲットによって置き換えられてもよい。
【0069】
[0069] さらなる実施形態を以下に説明する。以下の実施形態では、リソグラフィ装置のフィーチャは、前述した実施形態と同様の構造及び機能であり、よって同じ利点を与える。以下の実施形態では、実施形態間の違いについてのみ考察する。
【0070】
[0070] ある実施形態では、第1構成部品はセンサモジュールSMであり、第2構成部品はグリッドGを有する基板テーブルWTである。センサモジュールSMは第1表面1を有し、基板テーブルWTは第2表面を有する。センサモジュールSMは上記したバリアシステム3を収容する。グリッドGは基板テーブルWT自体に直接マーク付けされるか、あるいは、基板テーブルWTは、第2構成部品の表面がグリッドプレート上のグリッドGであるようにグリッドプレートを含む。この実施形態では、放射源20及びセンサ40は第1構成部品上、すなわち、上述の実施形態のように基板テーブルWTではなくセンサモジュールSM上にある。実質上、この実施形態は、第1構成部品と第2構成部品とが交換されたこと以外は前述の実施形態とほぼ同じである。この実施形態の例を
図5に示している。この実施形態では、センサモジュールSMは、基準フレームRFに設置されるか又はその一部であってよい。この実施形態では、グリッドGはセンサ40による検出のためにマーカ及び/又はターゲットによって置き換えられてもよい。
【0071】
[0071] ある実施形態では、上記した発明は、光学システム及びターゲット及び/又はマーカを含む測定システムに適用される。上記したバリアシステム3は表面上に提供され、バリア4はマーカ及び/又はターゲットを囲う(上記した放射源20及び/又はセンサ40を囲うのではなく)。すなわち、バリアシステム3は放射源20及び/又はセンサ40と反対の表面上にある。
【0072】
[0072] ある実施形態では、上記した発明は、基板W上のマーカを検出するように構成されたアライメントセンサに適用される。上述したバリアシステム3は表面上に提供され、バリアシステム3は基板Wの反対側にあるアライメントセンサと同じ表面上にある。バリアシステム3は多数のアライメントセンサを囲んでよい。各アライメントセンサは、単一のバリアによって囲われた保護容積を通過する放射ビームを検出する。さらに、異なる種類の多数のセンサが1つのバリアによって囲われてよい。さらに、同じ種類の多数のセンサが1つのバリアによって囲われてよい。各アライメントセンサは基板上の異なるマーカを測定することができ及び/又は多数のアライメントセンサを用いて同じマーカを検出することができる。さらに又は代替的に、多数のバリアシステム3が設けられてもよく、各バリアシステムは1つのアライメントセンサに関連して使用される。
【0073】
[0073] ある実施形態では、本発明のバリアシステムを、基準フレームRFに取り付けられ得る又はその一部を形成し得るアライメントセンサに適用することができる。アライメントセンサの例が米国特許出願公開第2008/0043212号に記載されており、その全体を本願に参考として組み込む。
【0074】
[0074] ある実施形態では、バリアシステム3は、第1表面及び第2表面のうちの特定の1つに隣接する保護容積の一部を囲う壁を含んでよい。この実施形態では、壁は規定容積を囲う。壁は第1表面又は第2表面からの突起である。壁は、ガスカーテンに対して説明したジオメトリのうちのいずれか1つと同じのジオメトリを有する。
【0075】
[0075] ガスカーテンを使用した場合、ブレイクスルーが問題となり得る。壁を使用するとき、ブレイクスルーは発生しないが周囲ガスは壁の上又は下を通って保護容積内へと流れ得る。したがって、本実施形態では、バリアは、保護容積内への周囲ガスの流れを減少させるために上記と同じジオメトリが提供される。バリアジオメトリの形状は、相対運動があるときにバリアの周りの流れを誘導する。したがって、これは保護容積に入る周囲ガスの量を減少(又は防止)する。結果的に、保護容積を通過する放射ビームは、本発明に従わない別のジオメトリを用いるバリア内に配置されたときと比べてあまり影響されない。
【0076】
[0076] この実施形態を
図6A及び
図6Bに示している。この実施形態では、第1構成部品は第1表面上にセンサ240を有する基板テーブルWTであり、バリアシステムはセンサ240の周りにバリア200を設ける。センサ240は、投影ビーム230を測定するために使用される透過イメージセンサ又はエネルギーセンサ(スポットセンサとしても知られている)であってよい。センサ240が使用中の場合、投影ビーム230はバリア200によって保護された保護容積を通過する。投影ビーム230は、透過マーカプレート250を通過してセンサ240に到達する。この実施形態では、バリア200は壁である。この実施形態に対して使用することができるジオメトリを
図6Aに示している。このジオメトリは、上記した他のあらゆるバリアに対して提供されるジオメトリと交換可能である。この実施形態によるバリアシステムの例を
図6Bに示している。この図は、
図6Aの断面V−Vを通る側面から見た透過イメージセンサを示している。
【0077】
[0077] 上記の実施形態の変形例を
図6Cに示しており、ここでは、反射マーカプレート260が透過マーカプレート250の代わりに第1表面上に設けられる。投影ビーム230はマーカプレート260から反射し、センサ(図示せず)によって検出される。この例では、センサは第1表面又は第2表面のいずれかの上にない場合がある。
【0078】
[0078] ある実施形態では、本発明のバリアシステムは、レベルセンサ285に適用され、このレベルセンサ285は、表面、この場合、基板Wのトポグラフィを測定するために使用される。この実施形態の例を
図7に示している。この実施形態では、第1構成部品は基板Wであり、第2構成部品はバリアシステム及びレベルセンサ285を収容し、バリアシステムは壁であり得るバリア290を提供する。第2構成部品は、基準フレームRFに取り付けられるか又はその一部を形成するセンサモジュールであってよい。この実施形態では、放射ビームは測定ビーム270であり、放射源280から第1構成部品又は第2構成部品のいずれにも放出されない。一般に、レベルセンサ285に使用される測定ビーム270は、レベルセンサ285に到達する前に垂直とは程遠い入射角で基板Wから反射する。この実施形態では、測定ビーム270は、レベルセンサ285に隣接する保護容積を通過する。基板Wのスキャン中又は測定値が求められるときにレベルセンサ285を使用してもよい。本発明のバリアシステムは、投影ビームが異なる構成部品の間を通過するときにその投影ビームを保護するために投影ビームの少なくとも一部の周りで利用されてよい。例えば、バリアシステムは、パターニングデバイスMAと基板Wとの間の投影ビームのパスを影響し得る保護ガスの屈折率の変動を減少させるためにパターン付き投影ビームを保護するために使用されてよい。
【0079】
[0079] ある実施形態では、投影ビームはバリアシステムを通過する。この実施形態では、第1構成部品は、第1表面301を有する、サポート構造MTと投影システムPSの上部との間のレンズトップ環境(lens top environment)(LTE)プレート310と呼ばれるプレートである。
図8Aは、本実施形態のバリアシステム300を示している。投影システムPSのトップレンズ320は、LTEプレート310の下にある。第2構成部品はサポート構造MTである。サポート構造MTの底面は、通常第2表面302である。投影ビームは、LTEプレート310内の開口360を通過する。LTEプレート310は、互いに実質的に平行及びサポート構造MTのスキャン方向SCに実質的に垂直である側壁360a及び360bを有する開口360を含んでよい。LTEプレート310の第1表面301はバリアシステム300を収容する。
【0080】
[0080]
図8Aでは、バリアシステム300は、第1表面301に隣接する保護容積の一部を囲うバリア(すなわち、ガスカーテン)を確立するための開口311及び312(これ以上又はこれ以下の開口を設けてもよい)を含む。前述のあらゆる実施形態に記載したバリアシステムは、LTEプレート310とサポート構造MTとの間の保護ガスの保護容積を保護するために使用してよい。バリアシステム300は、上記のあらゆるジオメトリを設けることができるバリアを含んでよい。
図8Aに示すように、この実施形態は、放射源、センサ、グリッドG又はマーカ及び/又はターゲットを含まない場合がある。投影ビームは保護容積を通過して投影システムPSに到達し、保護容積外のガスによってあまり影響されない。したがって、本実施形態は、上記した本発明の利点を与える。
図8Bは、LTEプレート310を含む本実施形態の例示的ジオメトリの平面図を示している。
図8Bは、上記の実施形態に類似するバリアジオメトリをどのようにLTEプレート310上に設けることができるかを示している。この例では、バリアシステムは、ガスを放出するために開口311及び312を用いてバリア内の容積を保護するバリアを提供する。開口311及び312は、上記したように連続的又は個別であってよい。投影ビームは、保護容積を通過し、開口360を通過して投影システムPSに到達する。
図8Bのバリアジオメトリは、例えば、
図4、
図6A及び
図8Cに示す他の実施形態のバリアジオメトリと交換することができる。
【0081】
[0081] マニピュレータプレート370は、任意選択としてLTEプレート310の開口360に設けられてもよい。これは
図8Bに示していない。国際公開第2013/174646号は、マニピュレータプレート370を含むリソグラフィ装置を開示している。マニピュレータプレート370は、放射ビームの焦点を制御するためにパターニングデバイスMAと基板WTとの間に配置される。国際公開第2013/174646号に記載したマニピュレータプレート370に関する装置は、参照することにより本明細書中に組み込まれている。
【0082】
[0082]
図8Cは、マニピュレータプレート370を含む本実施形態に対するジオメトリの例を示している。マニピュレータプレート370は、X方向及びY方向に傾斜するように適合されてよく、X方向はスキャン方向SCであり、Y方向はステップ方向STである。マニピュレータプレート370は、投影ビームが投影システムPS内へと入る際のその配置に影響を与えることによって基板W上の投影ビームの配置を調整するために使用されてよい。マニピュレータプレート370は、アクチュエータを用いて傾斜されてよい(図示せず)。マニピュレータプレート370を傾斜させることは、基板W上に投影されるイメージがシフトするように投影ビームをシフトさせる。Y方向の軸に対してマニピュレータプレート370を傾斜させることによってX方向のイメージシフトが引き起こされる一方、マニピュレータプレート370をX方向の軸に対して傾斜させることはY方向のイメージシフトをもたらす。マニピュレータプレート370を両方向に傾斜させることは、X方向及びY方向の両方のシフトを提供する。
【0083】
[0083] マニピュレータプレート370は、当該放射を透過させるあらゆる材料から成ってよく、例えば、ガラスが適切な材料である。マニピュレータプレート370は、可撓性材料から成ってもよく、それによって、傾斜運動に加えて又はその代わりにマニピュレータプレート370を曲げることができ、焦点のシフトを引き起こすことができる。マニピュレータプレート370の屈曲は、マニピュレータプレート370の1つ以上の端部に沿って設けられる1つ以上のアクチュエータ(図示せず)によって引き起こすことができる。
【0084】
[0084] 各実施形態では、バリア内の保護容積の安定性を向上させるために多数のパラメータを最適化することができる。これらのパラメータとして、(ジオメトリの中心及び少なくとも1つの角を通る)想像線と特定の方向(又は構成部品の相対運動から生じる周囲ガスの流れ方向)との間の傾斜角α、第1方向のジオメトリの最大寸法対第2方向のジオメトリの最大寸法の比率、隣接する側面の長さ及びジオメトリの対称性が挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
[0085] 第1構成部品及び第2構成部品のそれぞれは、リソグラフィ装置の多数の異なる構成部品であってよい。上記の実施形態の特徴は、第1構成部品及び第2構成部品の違い以外は同じのままであってよい。例えば、第1構成部品は、基板W、基板テーブルWT、基準フレームRF、投影システムPS、サポート構造MT、パターニングデバイスMA、照明システムILの構成部品又はリソグラフィ装置の別の構成部品のうちの1つであってよい。例えば、第2構成部品は、基板W、基板テーブルWT、基準フレームRF、投影システムPS、サポート構造MT、パターニングデバイスMA、照明システムILの構成部品又はリソグラフィ装置の別の構成部品のうちの1つであってよい。
【0086】
[0086] さらに、バリアシステムは、センサ、放射源及びマーカ及び/又はターゲットのうちの少なくとも1つと同じ表面上に収容されてよい。代替的に又は追加として、バリアシステムは、センサ、放射源及びマーカ及び/又はターゲットのうちの少なくとも1つと反対の表面上に収容されてもよい。
【0087】
[0087] 上記のあらゆる実施形態では、ガスカーテンを確立するために使用される開口は壁と交換可能であり、その反対も可能である。壁は、ガスカーテンを確立するために使用される開口に加えて又はその代わりに設けられてよい。
【0088】
[0088] 様々なバリアシステムがリソグラフィ装置内に設けられてよい。したがって、バリアシステムは、リソグラフィ装置中の異なる配置で利用されてよい。同じ又は異なる実施形態を用いて多数のバリアシステムを設けてもよい。
【0089】
[0089] 少なくとも1つの上記の実施形態によるリソグラフィ装置は、投影ビームを用いて基板を照射するためにデバイス製造方法で使用されてよい。
【0090】
[0090] 本明細書において、IC製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な言及がなされているが、本明細書記載のリソグラフィ装置が、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスパターン及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造といった他の用途を有し得ることが理解されるべきである。当業者にとっては当然のことであるが、そのような別の用途においては、本明細書で使用される「ウェーハ」又は「ダイ」という用語はすべて、それぞれより一般的な「基板」又は「ターゲット部分」という用語と同義であるとみなしてよい。本明細書に記載した基板は、露光の前後を問わず、例えば、トラック(通常、基板にレジスト層を塗布し、かつ露光されたレジストを現像するツール)、メトロロジーツール、及び/又はインスペクションツールで処理されてもよい。適用可能な場合には、本明細書中の開示内容を上記のような基板プロセシングツール及びその他の基板プロセシングツールに適用してもよい。さらに基板は、例えば、多層ICを作るために複数回処理されてもよいので、本明細書で使用される基板という用語は、すでに多重処理層を包含している基板を表すものとしてもよい。
【0091】
[0091] 光リソグラフィの関連での本発明の実施形態の使用について上述のとおり具体的な言及がなされたが、当然のことながら、本発明は、他の用途、例えば、インプリントリソグラフィに使われてもよく、さらに状況が許すのであれば、光リソグラフィに限定されることはない。インプリントリソグラフィにおいては、パターニングデバイス内のトポグラフィによって、基板上に創出されるパターンが定義される。パターニングデバイスのトポグラフィは、基板に供給されたレジスト層の中にプレス加工され、基板上では、電磁放射、熱、圧力、又はそれらの組合せによってレジストは硬化される。パターニングデバイスは、レジストが硬化した後、レジスト内にパターンを残してレジストの外へ移動される。
【0092】
[0092] 本明細書で使用される「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外線(UV)(例えば、365nm、355nm、248nm、193nm、157nm、又は126nmの波長、又はおよそこれらの値の波長を有する)、及び極端紫外線(EUV)(例えば、5〜20nmの範囲の波長を有する)、ならびにイオンビームや電子ビームなどの微粒子ビームを含むあらゆる種類の電磁放射を包含している。
【0093】
[0093] 「レンズ」という用語は、文脈によっては、屈折、反射、磁気、電磁気、及び静電型光コンポーネントを含む様々な種類の光コンポーネントのいずれか1つ又はこれらの組合せを指すことができる。
【0094】
[0094] 以上、本発明の具体的な実施形態を説明してきたが、本発明は、上述以外の態様で実施できることが明らかである。
【0095】
[0095] 上記の説明は、制限ではなく例示を意図したものである。したがって、当業者には明らかなように、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本記載の発明に変更を加えてもよい。