【文献】
RESEARCH DISCLOSURE,RESEARCH DISCLOSURE,英国,MASON PUBLICATIONS,2013年 3月,VOL:587, NR:47,PAGE(S):293 - 297
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1つ以上のアクチュエータを有するアクチュエータシステム及び位置測定システムをさらに備え、前記位置測定システムは位置センサを含み、前記制御システムは、前記アクチュエータシステムを制御して前記基板テーブルを移動させるように構成され、前記位置センサは、前記基板テーブルの位置の測定を行って前記基板の動作を測定するように構成される、請求項1〜7のいずれかに記載の基板位置決めシステム。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[0027]
図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置LAを概略的に示している。この装置は、投影ビームB(例えば紫外線又は他のあらゆる適切な放射)を調整するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを支持するように構築され、かつ特定のパラメータに従ってパターニングデバイスMAを正確に位置決めするように構成された第1位置決めデバイスPMに連結されたサポート構造(例えば、マスクサポート構造/マスクテーブル)MTとを含む。この装置は、基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構築され、かつ特定のパラメータに従って基板Wを正確に位置決めするように構成された第2位置決めデバイスPWに連結された基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WT又は「基板サポート」をさらに含む。この装置は、パターニングデバイスMAによって投影ビームBに付けられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成された投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSをさらに含む。投影ビームBは放射ビームである。
【0018】
[0028] 照明システムILとしては、放射を誘導し、整形し、又は制御するために、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、又はその他のタイプの光コンポーネント、あるいはそれらのあらゆる組合せなどのさまざまなタイプの光コンポーネントを含むことができる。
【0019】
[0029] サポート構造MTは、パターニングデバイスMAの重量を支えるなどしてパターニングデバイスMAを支持する。サポート構造MTは、パターニングデバイスMAの向き、リソグラフィ装置LAの設計、及び、パターニングデバイスMAが真空環境内で保持されているか否かなどの他の条件に応じた態様で、パターニングデバイスMAを保持する。サポート構造MTは、機械式、真空式、静電式又はその他のクランプ技術を使って、パターニングデバイスMAを保持することができる。サポート構造MTは、例えば、必要に応じて固定又は可動式にすることができるフレーム又はテーブルであってもよい。サポート構造MTは、パターニングデバイスMAを、例えば、投影システムPSに対して所望の位置に確実に置くことができる。本明細書において使用される「レチクル」又は「マスク」という用語はすべて、より一般的な「パターニングデバイス」という用語と同義であると考えるとよい。
【0020】
[0030] 本明細書において使用される「パターニングデバイス」という用語は、基板Wのターゲット部分C内にパターンを作り出すように、投影ビームBの断面にパターンを与えるために使用できるあらゆるデバイスを指していると、広く解釈されるべきである。なお、留意すべき点として、投影ビームBに付与されたパターンは、例えば、そのパターンが位相シフトフィーチャ又はいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板Wのターゲット部分C内の所望のパターンに正確に一致しない場合もある。通常、投影ビームBに付けたパターンは、集積回路などのターゲット部分C内に作り出されるデバイス内の特定の機能層に対応することになる。
【0021】
[0031] パターニングデバイスMAは、透過型であっても、反射型であってもよい。パターニングデバイスの例としては、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクは、リソグラフィでは公知であり、バイナリ、レべンソン型(alternating)位相シフト、及びハーフトーン型(attenuated)位相シフトなどのマスク型、ならびに種々のハイブリッドマスク型を含む。プログラマブルミラーアレイの一例では、小型ミラーのマトリックス配列が用いられており、各小型ミラーは、入射する放射ビームを様々な方向に反射させるように、個別に傾斜させることができる。傾斜されたミラーは、ミラーマトリックスによって反射される放射ビームにパターンを付ける。
【0022】
[0032] 本明細書において使用される「投影システム」という用語は、使われている露光放射にとって、あるいは液浸液の使用又は真空の使用といった他の要因にとって適切な、屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁型、及び静電型光学系、又はそれらのあらゆる組合せを含むあらゆる型の投影システムを包含していると広く解釈されるべきである。本明細書において使用される「投影レンズ」という用語はすべて、より一般的な「投影システム」という用語と同義であると考えるとよい。
【0023】
[0033] 本明細書に示されているとおり、リソグラフィ装置LAは、透過型のもの(例えば、透過型マスクを採用しているもの)である。また、リソグラフィ装置LAは、反射型のもの(例えば、上述のプログラマブルミラーアレイを採用しているもの、又は反射型マスクを採用しているもの)であってもよい。
【0024】
[0034] リソグラフィ装置LAは、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブルWT(及び/又は2つ以上のサポート構造MT)を有する型のものであってもよい。そのような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルは並行して使うことができ、又は準備工程を1つ以上のテーブル又はサポート上で実行しつつ、別の1つ以上のテーブルを露光用に使うこともできる。リソグラフィ装置LAは、投影システムPSの特性を測定するセンサなどの測定機器を保持するように配置された測定テーブル(図示せず)を含んでよい。ある実施形態では、測定テーブルは、基板Wを保持するように構成されていない。
図1の例にある2つの基板テーブルWTa及びWTbは、デュアルステージリソグラフィ装置LAの図である。
【0025】
[0035] リソグラフィ装置LAは、投影システムPSと基板Wとの間の空間を満たすように、比較的高屈折率を有する液体(例えば水)によって基板Wの少なくとも一部を覆うことができるタイプのものであってもよい。また、リソグラフィ装置LA内の別の空間(例えば、パターニングデバイスMAと投影システムPSとの間)に液浸液を加えてもよい。液浸技術を用いて投影システムPSの開口数を増加させることができる。本明細書において使用される「液浸」という用語は、基板Wのような構造物を液体内に沈めなければならないという意味ではなく、単に、露光中、投影システムPSと基板Wとの間に液体があるということを意味するものである。
【0026】
[0036]
図1を参照すると、イルミネータILは、放射源SOから投影ビームBを受ける。例えば、放射源SOがエキシマレーザである場合、放射源SOとリソグラフィ装置LAは、別個の構成要素であってもよい。そのような場合には、放射源SOは、リソグラフィ装置LAの一部を形成しているとはみなされず、また投影ビームBは、放射源SOからイルミネータILへ、例えば、適切な誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムBDを使って送られる。その他の場合においては、例えば、放射源SOが水銀ランプである場合、放射源は、リソグラフィ装置LAの一体部分とすることもできる。放射源SO及びイルミネータILは、必要ならばビームデリバリシステムBDとともに、放射システムと呼んでもよい。
【0027】
[0037] イルミネータILは、投影ビームBの角強度分布を調節するように構成されたアジャスタADを含むことができる。一般に、イルミネータILの瞳面内の強度分布の少なくとも外側及び/又は内側半径範囲(通常、それぞれσ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。さらに、イルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOといったさまざまな他のコンポーネントを含むことができる。イルミネータILを使って投影ビームBを調整すれば、投影ビームBの断面に所望の均一性及び強度分布をもたせることができる。放射源SOと同様に、イルミネータILは、リソグラフィ装置LAの一部を形成しているとみなしてよく又はみなさなくてもよい。例えば、イルミネータILは、リソグラフィ装置LAの一体部分であってよく、又はリソグラフィ装置LAとは別個の構成要素であってもよい。後者の場合、リソグラフィ装置LAは、イルミネータILがその上に取り付けられるように構成されてよい。任意選択として、イルミネータILは、取り外し可能であり、かつ(例えば、リソグラフィ装置LA製造業者又は別の供給業者によって)別個に設けられてもよい。
【0028】
[0038] 投影ビームBは、サポート構造MT上に保持されているパターニングデバイスMA上に入射して、パターニングデバイスMAによってパターン形成される。パターニングデバイスMAを通り抜けた後、投影ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは、基板Wのターゲット部分C上にビームの焦点をあわせる。第2位置決めデバイスPWは、2つのポジショナPWa及びPWbを含んでよい。第2位置決めデバイスPW及び位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、又は静電容量センサ)を使って、例えば、さまざまなターゲット部分Cを投影ビームBの経路内に位置決めするように、基板テーブルWTa/WTbを正確に動かすことができる。例えば、ポジショナPWaは、基板テーブルWTaを位置決めしやすくするために使用され、ポジショナPWbは、基板テーブルWTbを位置決めしやすくするために使用されるか、又はその逆の場合もある。同様に、第1位置決めデバイスPM及び別の位置センサ(
図1には明示的に示されていない)を使い、例えば、マスクライブラリから機械的に取り出した後又はスキャン中に、パターニングデバイスMAを投影ビームBの経路に対して正確に位置決めすることもできる。
【0029】
[0039] 通常、パターニングデバイスMAの移動は、第1位置決めデバイスPMの一部を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)を使って達成することができる。ロングストロークモジュールは、ショートストロークモジュールを、限られた精度で長い範囲移動させるように配置される。ショートストロークモジュールは、パターニングデバイスMAを、高い精度でロングストロークモジュールに対して短い範囲移動させるように配置される。同様に、基板テーブルWTa/WTbの移動も、第2位置決めデバイスPWの一部を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを使って達成することができる。ステッパの場合は(スキャナとは対照的に)、サポート構造MTは、ショートストロークアクチュエータのみに連結されてもよく、又は固定されてもよい。
【0030】
[0040] パターニングデバイスMA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1及びM2と、基板アライメントマークP1及びP2とを使って、位置合わせされてもよい。例示では基板アライメントマークP1及びP2が専用ターゲット部分Cを占めているが、基板アライメントマークP1及びP2をターゲット部分Cとターゲット部分Cとの間の空間内に置くこともできる。ターゲット部分Cとターゲット部分Cとの間の空間に配置されたマークは、スクライブラインアライメントマークとして公知である。同様に、複数のダイがパターニングデバイスMA上に設けられている場合、マスクアライメントマークM1及びM2は、ダイとダイの間に置かれてもよい。
【0031】
[0041] 例示のリソグラフィ装置LAは、リソグラフィ装置LAを様々なモードで使用して基板Wを露光させるために使用できる。例えば、露光をスキャンモードで形成することができる。サポート構造MTに対する基板テーブルWTa又WTbの速度及び方向は、投影システムPSの(縮小)拡大率及び像反転特性によって決めることができる。スキャンモードにおいては、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光時のターゲット部分Cの幅(非スキャン方向)が限定される一方、スキャン動作の長さによって、ターゲット部分Cの高さ(スキャン方向)が決まる。
【0032】
[0042]
図1のリソグラフィ装置LAは、2つの基板テーブルWTa及びWTb並びに露光ステーション及び測定ステーションの2つのステーションを有するいわゆるデュアルステージ型である。この2つのステーションの間で基板テーブルWTを交換することができる。一方の基板テーブル(例えば,WTa)上の1つの基板を露光ステーションで露光している間、別の基板Wを測定ステーションにおけるもう一方の基板テーブルWT(例えば、WTb)上にロードすることができることによって様々な準備工程を実行することができる。準備工程は、レベルセンサLSを用いて基板Wの表面をマッピングすることと、アライメントセンサASを用いて基板W上の基板アライメントマークP1及びP2の位置を測定することとを含むことができる。これによってリソグラフィ装置LAのスループットの大幅な増加を可能にする。基板テーブルWTが測定ステーション及び露光ステーションにあるときにその位置を位置センサIFによって測定することができない場合、基板テーブルWTの位置を両方のステーションで追跡できるように第2位置センサ(図示せず)を設けてもよい。2つの基板テーブルWTa及びWTbの代わりに、リソグラフィ装置LAは、1つの基板テーブルWTと、投影システムPSの特性を測定するセンサなどの測定機器を保持するように配置された測定テーブルとを含んでもよい。
【0033】
[0043] リソグラフィ装置LAは、記載する様々なアクチュエータ及びセンサの動き及び測定を制御するリソグラフィ装置制御ユニットLACUをさらに含む。リソグラフィ装置制御ユニットLACUは、リソグラフィ装置LAの動作に関する所望の計算を実施するために信号処理及びデータ処理能力も含む。実際には、リソグラフィ装置制御ユニットLACUは多数のサブユニットのシステムとして実現される。各サブユニットは、リソグラフィ装置LA内のサブシステム又はコンポーネントのリアルタイムデータ取得、処理及び制御を扱う。例えば、1つの処理サブシステムは、第2位置決めデバイスPWのサーボ制御専用のものであってもよい。個々のユニットは、異なるアクチュエータ又は異なる軸を扱うこともできる。別のサブユニットは位置センサIFの読み出し専用であることもできる。リソグラフィ装置LAの全体的な制御を中央処理装置によって制御することができる。中央処理装置は、サブユニット、オペレータ及びリソグラフィ製造プロセスに関わる他の装置と通信することができる。
【0034】
[0044] 投影システムPSの最終要素と基板Wとの間に液体を提供するための構成は、3つの一般的なカテゴリに分類することができる。これらは浴式構成、いわゆる局所液浸システム及びオールウェット(all wet)液浸システムである。浴式構成では、基板Wの実質的に全体及び任意選択として基板テーブルWTの一部が液体浴に沈められる。
【0035】
[0045] 提案されている構成は、投影システムPSの最終要素と基板W、基板テーブルWT又は両方との間の空間の境界の少なくとも一部に沿って延びる液体閉じ込め構造を有する液体供給システムを提供することである。そのような構成を
図2に示している。以下に説明する
図2示す構成は、
図1に示す上記のリソグラフィ装置LAに適用できる。
【0036】
[0046]
図2は、投影システムPSの最終要素と基板テーブルWT又は基板Wとの間の空間の境界の少なくとも一部に沿って延びる液体閉じ込め構造IHを有する局所液体供給システム又は流体取扱システムを概略的に示している。(特に明記しない限り、基板Wの表面に関する以下の記載は、追加的又は選択的に基板テーブルWTの表面も意味する。)ある実施形態では、シールが液体閉じ込め構造IHと基板Wの表面との間に形成され、そのシールはガスシール(そのようなガスシールを用いるシステムは欧州特許出願公開公報第EP−A−1,420,298号に開示されている)又は液体シールなどの非接触シールであってよい。
【0037】
[0047] 液体閉じ込め構造IHは、投影システムPSの最終要素と基板Wとの間の空間11に液体を少なくとも部分的に封じ込める。空間11は、投影システムPSの最終要素の下及びその周りに位置決めされた液体閉じ込め構造IHによって少なくとも部分的に形成される。液体は、液体入口12によって投影システムPSの下の及び液体閉じ込め構造IH内の空間へと運ばれる。液体出口13によって液体を除去することができる。液体入口12及び液体出口13は交換可能であり、液体入口12及び液体出口13の両方は、同時に液体入口12又は液体出口13として使用することができる。
【0038】
[0048] 液体は、使用中、液体閉じ込め構造IHの底面と基板Wの表面との間に形成されるガスシール16によって空間11に封じ込められてよい。ガスシール16内のガスは、加圧下でガス入口15を介して液体閉じ込め構造IHと基板Wとの間のギャップに提供される。ガスはガス出口14に連結されたチャネルを介して抽出される。ガス入口15への過剰圧力、出口14の真空レベル、及びギャップの幾何学的形状は、液体を閉じ込める内側への高速のガス流によってガスシール16が形成されるように構成される。高速ガス流は、閉じ込め構造IHと基板Wとの間の液体に力を加える。高速ガス流の力は、液体を空間11に封じ込める。このようなシステムは、本明細書中にその全容が組み込まれる米国特許出願公開第2004−0207824号に開示されている。ある実施形態では、液体閉じ込め構造IHはガスシール16を有さない。
【0039】
[0049] 局所液体供給システムでは、基板Wは、投影システムPS及び液体閉じ込め構造IHの下で移動される。基板W(又は他の物体)の縁部は、一定時間に空間11の下を通る。これは、例えば、基板Wの縁部が結像される場合、基板テーブルWT(又は測定テーブル)上のセンサが結像される場合、又は基板テーブルWTを移動させることによってダミー基板又はいわゆるクロージングプレートを液体供給システムの下に位置決めして、例えば、基板スワップを可能にする場合に行われる。物体の縁部が空間11の下を通ったとき、液体が物体の縁部におけるギャップに漏れることがある。例えば、
図4は、基板Wと基板テーブルWTとの間のギャップ5を示している。この液体は、静水圧若しくは動水圧又はガスナイフ若しくは他のガス流生成デバイスの力の下で押し込まれ得る。
【0040】
[0050]
図3は、ある実施形態によるさらなる液体供給システム又は流体取扱システムを示す側面断面図である。以下に説明する
図3に示す構成は、
図1に示す上記のリソグラフィ装置LAに適用できる。液体供給システムには、投影システムPSの最終要素と基板テーブルWT又は基板Wとの間の空間の境界の少なくとも一部に沿って延びる液体閉じ込め構造IHが設けられる。(特に明記しない限り、基板Wの表面に関する以下の記載は、追加的又は選択的に基板テーブルWTの表面も意味する。)
【0041】
[0051] 液体閉じ込め構造IHは、投影システムPSの最終要素と基板W及び/又は基板テーブルWTとの間の空間11に液体を少なくとも部分的に封じ込める。空間11は、投影システムPSの最終要素の下及びその周りに位置決めされた液体閉じ込め構造IHによって少なくとも部分的に形成される。ある実施形態では、液体閉じ込め構造IHは、本体部材53及び多孔質部材83を含む。多孔質部材83は、板状であって複数の孔(すなわち、開口又は細孔)を有する。ある実施形態では、多孔質部材83はメッシュ板であり、メッシュ内には多数の小さい孔84が形成されている。そのようなシステムは、米国特許出願公開第2010/0045949A1号に開示されている。
【0042】
[0052] 本体部材53は、液体を空間11に供給することができる供給ポート72及び液体を空間11から回収することができる回収ポート73を含む。供給ポート72は、通路74を介して液体供給装置75に接続される。液体供給装置75は、液体を供給ポート72に供給することができる。液体供給装置75から供給された液体は、該当する通路74を通って各供給ポート72に供給される。供給ポート72は、光路に面した本体部材53の所定の位置で光路の近くに配置される。回収ポート73は、液体を空間11から回収することができる。回収ポート73は、通路79を介して液体回収装置80に接続される。液体回収装置80は、真空システムを含み、かつ回収ポート73を介して液体を吸引することによって液体を回収することができる。液体回収装置80は、回収ポート73を介し通路79を通って回収された液体を回収する。多孔質部材83は、回収ポート73に配置される。
【0043】
[0053] ある実施形態では、一方側では投影システムPSと液体閉じ込め構造IHとの間に、かつ他方側では基板Wとの間に液体を有する空間11を形成するために、液体は供給ポート72から空間11に供給され、かつ液体閉じ込め構造IH内の回収チャンバ81内の圧力が負圧に調整されることによって多孔質部材83の孔84(すなわち、回収ポート73)を介して液体を回収する。供給ポート72を用いて液体供給動作を行い、かつ多孔質部材83を用いて液体回収動作を行うことは、投影システムPSと液体閉じ込め構造IHと基板Wとの間に空間11を形成する。
【0044】
[0054] 液体供給システムの下にある基板Wは、液体閉じ込め構造IHの下に移動されてよい。この液体供給システムは、上記したように、例えば、局所液体供給システムであってよい。基板Wを支持する基板テーブルWTa/WTbは、基板Wを位置決めするために移動可能であってよい。サポート構造MT及び基板テーブルWTa/WTbは、基準、例えば、投影システムPSに対して正確に位置決めされる必要があり得るリソグラフィ装置LA内の物体テーブルの例である。
【0045】
[0055] 物体を支える物体テーブルをリソグラフィ装置LA内の基準に対して位置決めするために、リソグラフィ装置LAは、本発明による少なくとも1つの物体位置決めシステムを備える。このことについては以下に詳細に述べる。
【0046】
[0056] 以下では基板テーブルWTと基板Wの縁部との間に形成されるチャネルに関する本発明の1つ以上の実施形態について説明するが、1つ以上の実施形態は、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MTを含むがこれに限定されない他の構成部品内に形成される二相流が通過するためのチャネルにも同様に適用できる。したがって、基板テーブルWT対する以下のあらゆる言及は、部品内で二相流が通過するためのチャネルが形成されかつ物体テーブル上で使用される他のあらゆる構成部品と同義であるとみなされるべきである。同様に、基板Wは、基板テーブルWTと組み合わせて以下に説明される。基板Wは、物体テーブルによって支えられているリソグラフィ装置LA内の他のあらゆる構成部品と同義であるとみなされるべきである。
【0047】
[0057]
図4は、本発明のある実施形態によるリソグラフィ装置LAの一部を示している。以下に説明する
図4に示す構成は、以下に説明する
図1に示すリソグラフィ装置LAに適用できる。
図4は、基板WT及び基板Wの断面である。基板Wの縁部と基板テーブルWTの縁部との間にギャップ5が存在する。基板Wの縁部が結像される場合又は基板Wが投影システムPSの下に最初に移動した場合などの別のとき(上記したように)、液体供給システム(例えば、液体閉じ込め構造IH)によって液体で満たされた空間11は、基板Wの縁部と基板テーブルWTの縁部との間のギャップ5の上を少なくとも部分的に通過する。これは空間11からの液体がギャップ5内に入るという結果となり得る。
【0048】
[0058] 基板Wは、基板テーブルWT上に1つ以上の突出部32(すなわち、バール)含む基板ホルダ30(例えば、ピンプル又はバールテーブル)によって保持される。基板ホルダ30は、物体ホルダの一例である。物体ホルダの別の例としてはマスクホルダが挙げられる。物体ホルダは物体テーブルの任意の部分である。物体テーブルは物体を支えるためのものである。基板Wと基板テーブルWTとの間に加えられる負圧は、基板が適切な位置にしっかりと保持されることを確実にする。しかしながら、液体が基板Wと基板テーブルWTとの間に入ると、これは、特に基板Wをアンロードするときの問題点へと繋がり得る。
【0049】
[0059] 液体がギャップ5内に入ることに対処するために、少なくとも1つのドレイン10,20を基板Wの縁部に設けてギャップ5に入る液体を取り除く。
図4の実施形態では、2つのドレイン10及び20が示されているが、ドレインは1つだけであっても2つ以上のドレインがあってもよい。ある実施形態では、第1ドレイン10及び第2ドレイン20のそれぞれは、基板Wの全周囲が囲われるように環状である。
【0050】
[0060]
(基板W/基板ホルダ30の縁部より半径方向外側の)第1ドレイン10の主な機能は、液体閉じ込め構造IHによって囲われた液体が存在する空間11にガス気泡が入ることを防止するのに役立つ。このような気泡は、基板Wの結像に有害な影響をもたらし得る。第1ドレイン10は、ギャップ5内のガスが液体閉じ込め構造IH内の空間11内へと漏れることを回避するのに役立つために存在する。ガスが空間11内へと漏れた場合、これは空間11内に浮く気泡へと繋がり得る。投影ビームの経路内に気泡があった場合、これは結像エラーへと繋がり得る。第1ドレイン10は、基板Wの縁部と基板Wが配置された基板テーブルWT内の凹部の縁部との間のギャップ5からガスを取り除くように構成される。基板テーブルWT内の凹部の縁部は、基板テーブルWTの支持体から任意に離れたカバーリング130によって定めることができる。カバーリング130は、平面図にて、リングとして形作られ、基板Wの外縁部を囲ってもよい。第1ドレイン10は、大部分はガス(例えば、1分毎に20〜100ノルマルリットル(Nl/min))及び僅か少量の液浸液(例えば、約10〜20ml/min)を抽出する。そのような二相流では、液浸液の一部が蒸発し、したがって、基板Wの縁部を囲う基板テーブルWTを冷却する。すなわち、二相流の蒸発は、チャネルを囲う基板テーブルWTに熱負荷を加えさせる。これは基板テーブルWT及び/又は基板Wの変形をもたらし、最終的にはオーバーレイ性能の低下へと繋がり得る。熱負荷は、物体及び/又は物体テーブルに作用し得る変動負荷の一例である。
【0051】
[0061] (基板W/基板ホルダ30の縁部より半径方向内側の)第2ドレイン20は、ギャップ5から基板Wの下へと進む液体が、結像後の基板Wの基板テーブルWTからの効率的な解放を妨げることを防止するのに役立たせるために設けられる。第2ドレイン20を設けることは、基板Wの下へと進む液体によって生じ得るあらゆる問題を減少又は除去する。
【0052】
[0062] 第1ドレイン10及び第2ドレイン20の両方は、負圧を用いて液体を取り除く。すなわち、両方のドレインは、1つ以上の出口(図示せず)を介して負圧源に接続される。負圧源は、第1ドレイン10及び/又は第2ドレイン10に入る液体を効果的に取り除く。しかしながら、負圧源は、基板テーブルWTの上のギャップ5の外から第1ドレイン10及び/又は第2ドレイン20を通ってガスを引き込みかつ出口からガスを引き出すためにも効果的である。この液体及びガスの流れは、液浸装置の使用中、第1ドレイン10又は第2ドレイン20のいずれかの外周では一定又は均一ではない。液体がギャップ5に入る可能性がある場合には、出口のみを負圧源に接続するために1つ以上の処置がとられることがあるが、第1ドレイン10及び第2ドレイン20のそれぞれを通過するガス及び/又は液体の量が変化するため、変わりやすい熱負荷(例えば、時間及び/又は空間が一定しない)が基板テーブルWTに加えられるリスクが依然と残る。
【0053】
[0063] 時間及び/又は空間が一定しないガス及び液体のあらゆる流れは、第1ドレイン10及び第2ドレイン20のそれぞれにおいて異なる液体蒸発率という結果となり、それによって、1ロットの基板の露光中に第1ドレイン10及び第2ドレイン20のそれぞれによって生成される熱損失のばらつきへと繋がる。なぜなら、基板テーブルWTは、単に基板Wの露光のために必要な経路によって一定時間中に基板Wの縁部が空間11の下にあるように位置決めされるだけであるからである。1ロットの基板のうちの最初の基板Wに対しては、後の基板とは蒸発負荷が異なる(なぜなら、最初の基板Wに対しては、変わりやすい蒸発負荷が設定される間に投影システムPSの下で移動する前の基板Wがないからである)。さらに、新しいロットの開始におけるトラックからの基板Wの送出の時間遅延は、第1ドレイン10及び/又は第2ドレインの乾燥による蒸発負荷変化(よって、少ない蒸発)という結果となる。露光に必要な時間及び経路の一貫性の欠如は、基板テーブルWTの温度が均一になるように制御する難しさを増大させる。
【0054】
[0064] ドレイン10の構成については、その詳細を以下に説明するが、本明細中の原理が液体供給システム又は流体取扱システム内のあらゆる型のチャネルに適用されると理解されるべきである。このチャネルには、リソグラフィ装置LAの使用により、その中を通る液体及び/ガスの変動する流れが提供され、それによって、熱負荷という結果となり、特に変動する蒸発量となることによって変動する熱負荷という結果となる。
【0055】
[0065] ある実施形態では、基板テーブルWTの温度をある(例えば、所定の)温度範囲に維持させるのに役立たせるために、少なくとも1つの熱調整チャネル120が、熱調整液体の通過のために基板テーブルWTに設けられる。しかしながら、必ずしもこれに限らない。ある実施形態では、基板テーブルWTの温度をある(例えば、所定の)温度範囲に維持させるのに役立たせるためにヒータが設けられる。ある実施形態では、ヒータは、例えば、電気ヒータ又はペルチェヒータである。ある実施形態では、熱調整チャネル120及びヒータが設けられる。所定の温度範囲は、目標温度の数mK内であってよい。
【0056】
[0066] 第1ドレイン10には、開口42及びチャネル46が設けられる。チャネル46は、通路44を通って開口42と流体連結されている。第2ドレイン20には、開口22及びチャネル26が設けられる。チャネル26は、通路24を通って開口22と流体連結されている。第1ドレイン10の開口42は、基板Wの縁部の周囲の1つ以上の別個の配置に設けられてよく、かつ、平面図において、スリット若しくは円形開口又は他のあらゆる形であってもよい。第2ドレイン20の開口22は、基板Wの縁部の周囲の1つ以上の別個の配置に設けられてよく、かつ、平面図において、スリット若しくは円形開口又は他のあらゆる形であってもよい。第1ドレイン10の開口42及び/又は第2ドレイン20の開口22は、単に、基板Wの周囲にある、例えば直径2mmの小さい開口であってもよい。
【0057】
[0067] 以下に説明する本発明の実施形態は、第1ドレイン10に適用されているが、本発明の実施形態は、第2ドレイン20又は第1ドレイン10と第2ドレイン20との両方にも同様に適用できる。
【0058】
[0068] 例えば、第1ドレイン10内の液体の蒸発の90%以上が、通路44ではなくチャネル46で行われるが、90%の数字は推定である。リソグラフィ装置LAの構成及び使用によって、数字は、例えば50%により近くてもよい。第1ドレイン10内の液体がチャネル46内では蒸発しないようにすることも可能である。チャネル46内の大きな熱負荷は、基板テーブルWTの周囲材料内に入り、これは材料の収縮へと繋がり、基板テーブルWTの一部を変形させる(さらに基板Wの変形という結果となり得る)。
【0059】
[0069] 上記したように、あらゆる温度変化は、基板W及び/又は基板テーブルWT内の変形をもたらし得る。温度変化は、基板テーブルWT及び/又は基板Wに直接影響を与え得る。温度が基板テーブルWTのみに影響を与える場合であっても、基板テーブルWTは基板Wを支えているので、基板テーブルWTの変形は(ほとんどの場合において)基板Wも変形させる。ある実施形態では、関心のある位置は、基板W上であり、測定ポイントは基板テーブルWT上にある。したがって、基板テーブルWT及び/又は基板Wのあらゆる変形は、測定ポイントに対する関心ポイントの位置を変更する。したがって、これは、測定ポイントに対する関心ポイントの位置を変更する。測定ポイントだけを基準として基板テーブルWTの位置を制御することは、関心ポイントをもはや正確に位置決めしない。したがって、そのような変形はオーバーレイエラーをもたらし得る。
【0060】
[0070] 本発明の目的は、変形を引き起こす物体及び物体テーブルの縁部におけるギャップから液体を取り除くためにチャネルを用いるにもかかわらず、関心ポイントを正確に位置決めする物体位置決めシステムを提供することである。本発明は、これを、チャネル内の二相流の特性及び/又は物体を支える物体テーブルの特性を測定、決定又は推定することによって、及び物体テーブルの位置の制御をこの特性に基づかせることによって行う。
【0061】
[0071] 本発明では、リソグラフィ装置LAは、二相流が通過するチャネル46を含む。チャネル46は、物体テーブル内に形成される。以下に説明する
図4に示す構成では、物体テーブルは基板テーブルWTである。物体テーブルが基板テーブルWTである必要はない。物体テーブルは、二相流が通過するためのチャネルを含む物体を支える任意の構成部品であってよい。例えば、ある実施形態では、物体テーブルは、サポート構造MTであってもよい。
【0062】
[0072] 本発明では、物体テーブル(例えば、基板テーブルWT)は、物体を支える。以下に説明する
図4に示す構成では、物体は基板Wである。物体が基板Wである必要はない。物体は、物体テーブルによって支えられる任意の構成部品であってもよい。例えば、ある実施形態では、物体は、パターニングデバイスMAであってもよい。
【0063】
[0073] 上記したように、チャネルは、物体テーブル及び/又は物体、例えば、基板テーブルWT及び基板Wのそれぞれの変形を引き起こす。
【0064】
[0074] 以下の説明では、本発明は、基板テーブルWT上の基板Wの半径方向外側に位置決めされたチャネル46について主に説明するが、チャネル46が基板Wの半径方向外側にある必要はない。例えば、本発明は、基板Wの下に位置決めされる
図4に示すチャネル26にも同様に適用できる。
【0065】
[0075]
図4に示すように、センサ50は、基板テーブルWT内でチャネル46の半径方向外側に配置されるが、センサ50がチャネル46の半径方向外側にある必要はない。本発明は、例えば、センサ50がチャネル46の下に配置された場合、チャネル46の上に配置された場合及び/又はチャネル46の半径方向内側に配置された場合にも簡単に適用できる。センサ50は、基板テーブルWTの特性を測定するために本実施形態で使用される。この測定はその後基板テーブルWTの動作を制御するために制御システム62によって使用されてよい。
【0066】
[0076] 本発明の実施形態の概略図を
図5に示している。この実施形態では、物体(すなわち、基板W)及び物体テーブル(すなわち、基板テーブルWT)は、基準RF、例えば、投影システムPSに対して位置決めされる。基板テーブルWTは、二相流が通過するためのチャネル26及び46を有する。さらに、制御システム62が、基板テーブルWTの動作を少なくとも一方向に制御するために設けられる。以下に説明するように、制御システム62は、チャネル26及び46を通る二相流による基板Wの一部の変形を表す量に基づいて基板テーブルWTの動作を制御することができる。変形を表す量は、変形の推定であってよい。
【0067】
[0077] さらに、測定システム55が、変形の推定を決定するために使用する特性を測定するために設けられてよい。測定システム55は、基板テーブルWTの少なくとも1つの特性及び/又はチャネル26及び46を通る二相流の少なくとも1つの特性を測定してよい。測定システム55は、測定特性に基づいて出力56を提供することができる。測定システム55の出力56は、予測器60に送信されてよい。測定システム55から受信された出力56は、制御システム62に送信される信号64を提供するために予測器60によって使用されてよい。信号64は、基板テーブルWTにおけるチャネル26及び46を通る二相流による基板Wの一部の変形の推定を示してよい。
【0068】
[0078] 測定システム55は、1つ以上のセンサ、例えば、
図1の位置センサIF及び/又は
図4に示すセンサ50を含んでよい。例えば、測定システム55は、基板テーブルWTの位置を、1つ以上の自由度、例えば、基準RFに対する方向X及び/又はYの並進運動及び/又は回転方向Rzで測定することができる。
【0069】
[0079] さらに、アクチュエータシステムASは、好ましくは力Fを基板テーブルWTに加えることによって基板テーブルWTを位置決めするための1つ以上のアクチュエータを有してよい。
図5から分かるように、制御システム62は、アクチュエータシステムASを駆動するように構成されてよい。制御システム62は、予測器60から受信した信号64及び基板テーブルWTの所望の位置を表すセットポイント信号63に基づいて、アクチュエータシステムASを制御して基板テーブルWTを位置決めするように構成されてよい。
【0070】
[0080] アクチュエータシステムASは、基板テーブルWTと基準RFとの間に力F(
図5に示す)を加える。基準RFは、基準RFに対する基板テーブルWTの位置を決定するために測定システム55によって使用されてよいが、力Fが必ずしも基準RFに加えられる必要はない。加える力の結果として生じる外乱を最小にするために別の力フレーム(図示せず)を設けてもよい。別の力フレームは、力Fを基板テーブルWTに加えるために使用されるリソグラフィ装置LA内のあらゆる構成部品であってよい。別の力フレームは、基準RFを妨害することなく力Fが基板テーブルWTに適用されるように基準RFから切り離されてよい。
【0071】
[0081] 制御システム62は、アクチュエータ制御システムを用いて少なくとも一方向で基板テーブルWTの位置を制御することができる。例えば、少なくとも一方向は、並進方向X及び/又はY及び/又は回転方向Rzのいずれかであってよい。少なくとも一方向は、基板テーブルWTの動作中のメインの移動方向に対応してよい。例えば、動作中の動作は、スキャン、ステップ又は測定中に基板テーブルWTを移動させることを含んでよい。
【0072】
[0082]
図5では、基準RFに対する基板テーブルWTの位置を測定する測定システム55を示している。この図は直接測定を行うことを示唆し得るが、測定システム55は、別の構造、例えば、投影システムPS又はポジショナPWa又はPWbのいずれかに対する基板テーブルWTの位置を測定するように構成される。測定システム55によって測定することができる自由度の例としては、X方向、X方向に垂直なY方向、X方向及びY方向の両方に垂直な軸を周る回転方向Rz(一般にZ軸と呼ぶ)が挙げられる。測定システム55は、位置測定システムであってよく、あらゆる型の位置センサ、例えば、干渉計デバイス、エンコーダグリッドプレート、加速度計、容量センサ等を含んでよい。位置センサは、物体テーブルの位置を測定、例えば、物体の動作を測定するように構成されてよい。
【0073】
[0083]
図5では、測定システム55は、基板テーブルWTの特性又は基板テーブルWTにおけるチャネル46内の二相流を測定することができる。
図4に示すように、測定システム55は、出力56を提供するためにセンサ50を含んでもよい。
【0074】
[0084] 測定システム55からの出力56は、得られた測定値を示す信号であって、この信号は予測器60に送信される。予測器60は、(1つ以上の)測定特性に基づいて測定箇所における特定の方向の基板Wの推定変形を表すように出力56を変換する。推定変形は、その時点における基板Wの推定空間変化である。推定変形は、基板W及び/又は基板テーブルWTの推定変形を含むことができる。
図5では、推定変形を表す信号64が、予測器60によって制御システム62に提供される。推定変形は、システムの動的モデルを用いて予測器60によって決定することができる。モデルは、有限要素モデルであってよい。モデルは、基板W、基板テーブルWT及び基板テーブルWT内に形成されるあらゆるチャネル及び/又はドレインの形状を含んでよい。ある実施形態では、予測器60は、測定システム55によって得られた測定値を用いて動的モードを適合させて、例えば、リアルタイムモデルを生成することができる。予測器60は、上記のあらゆる実施形態でフィードバックループを用いることができ、任意選択として、フィードバックループの応答の速度を速めるためにフィルタが使用される。ある実施形態では、予測器60は、何らかの較正処理を用いて、動的モデルの有無にかかわらず、推定変形と(1つ以上の)測定特性との間の関係を決定することができる。
【0075】
[0085]
図5に示すX方向及びY方向の関心ポイントの位置は、推定変形に影響を与え得る。チャネル内の蒸発による変形は、チャネルが基板Wの縁部、そして基板Wと基板テーブルWTとの間のギャップ5の下に配置された場合に、基板Wの縁部においてより大きくなる傾向がある。逆に、二相流を収容するチャネルによる変形は、特定の箇所、例えば、基板Wの中心で小さく又は無視できるほどであり得る。したがって、推定変形は、関心ポイントのX方向及びY方向の位置に基づいて、かつ異なる位置で引き起こされる変形のばらつきに基づいて計算することができる。
【0076】
[0086] 推定変形は、測定システム55からの出力56に基づいて予測器60によって計算される。この実施形態では、予測器60は、特性の変化によって引き起こされる推定変形と測定特性との間の所定の関係を用いて変形を推定する。例えば、基板テーブルWT内の変形は、測定特性に正比例してよい。したがって、推定変形及び測定特性は、特定の箇所で所定の定数と直線関係を有してよい。測定特性と推定変形との間の関係は、より複雑であってもよい。構造モデルは、例えば、構造方程式モデリングを用いて変形を推定するために使用されてよい。測定特性と推定変形との間の関係は、例えば、較正処理を用いて推定変形と測定特性との間の関係を決定することによって経験的に導き出すことができる。測定特性と推定変形との間の関係は、補間を用いて導き出すことができる。モデルは、これらのあらゆる関係に基づいて予測器60によって用いることができる。
【0077】
[0087] 制御システム62における推定変形を用いることは、基板テーブルWTを制御して基板テーブルWT内のチャネル26及び46における二相流の影響を減少又は取り消すことができることを意味する。したがって、チャネル26及び46における二相流によって誘発されるエラーを減少させることができる。このようにして、基板テーブルWTによって支えられた基板Wは、制御システム62が基板テーブルWTの位置を制御するときに推定変形を使用しない場合と比較としてより正確に位置決めすることができる。推定変形は、位置制御の異なる段階において異なる方法で使用されてよい。例えば、推定変形は、セットポイントを決定するために使用されるか、セットポイントに対する位置オフセットとして適用されるか、又はアクチュエータが基板テーブルWTに加えるための力オフセットとして適用されてもよい。
【0078】
[0088] セットポイント信号63は、セットポイントジェネレータ61によって制御システム62に提供されてよい。セットポイントは、関心ポイント及び測定システム55から受信した測定値及び/又は予測器60からの信号64及び/又は制御システム62からの出力に基づいて更新することができる。
図1にも示すように、セットポイントジェネレータ61、予測器60及び/又は制御システム62は、リソグラフィ装置制御ユニットLACUの一部であってよい。
【0079】
[0089]
図5に示すように、制御システム62への入力は、予測器60から(上記したように、基板Wの推定変形を表す信号64である)及びセットポイントジェネレータ61からの(基板Wの所望の位置を表す)セットポイント信号63である。制御システム62は、入力から、基板テーブルWTを所望の位置に位置決めするために必要な力Fを決定する。したがって、制御システム62は、基板Wの推定変形及び基板W上の関心ポイントの所望の位置を表すセットポイントに基づいて少なくとも一方向における基板テーブルWTの動作を制御することができる。このようにして、熱負荷による変形を減少させることができる。
【0080】
[0090] 上記したように、測定システム55からの出力56は、基板テーブルWT上の測定ポイントを表す。制御システム62及び/又は予測器60は、関心ポイントと測定ポイントとの間の既知の関係を用いて、測定ポイントの位置を用いて関心ポイントの位置を決定することができる。これらのポイントの関係は既知である(又は少なくとも推定される)が、基板W及び/又は基板テーブルWTにおけるあらゆる変形は、測定ポイントに対する関心ポイントの位置におけるエラーを引き起こす。推定変形を用いて測定ポイントと関心ポイントとの間の既知の関係におけるエラーを減少又は取り除くことができる。制御システム62は、これらの入力を用いて関心ポイントを所望の位置に位置決めする。
【0081】
[0091]
図6では、基板テーブルWTの一部に作用する熱負荷を示す例である。熱負荷は、上記の任意の実施形態の(任意に、複数のセンサを含む)測定システム55を用いて測定することができる。二相流によって引き起こされる熱負荷に依存する時間及び配置に対するモデルを用いて、基板テーブルWT及び基板Wの変形を計算する。モデリングされた熱負荷のスケーリングは、二相流の少なくとも1つの測定を用いてよい。このようなモデルの一例の精度を、
図6の残留負荷のプロットに示している。図から分かるように、残留負荷は、モデリングされた負荷を減算した測定負荷である。したがって、制御システム62が少なくとも1つの測定特性に基づいて熱負荷を説明するためのモデルを用いた場合、
図6に示すように、物体に作用する負荷の影響が測定負荷ではなく残留負荷の影響に近づくように熱負荷の影響を減少させることができる。
【0082】
[0092] ある実施形態では、予測器60からの信号64は、アクチュエータシステムASに直接送信されてよい。この実施形態では、予測器60は、信号64を制御システム62に送信されない場合がある。この実施形態では、制御システム62は、セットポイントに基づいて基板テーブルWTに加えられる力Fを決定することができる。ある実施形態では、予測器60は、測定システム55からの出力56に基づいて推定オフセット力を決定することができる。この実施形態では、制御システム62は、アクチュエータシステムASを制御して基板テーブルWTをできる限り正確に位置決めすることができ、予測器60は、チャネル26及び46における二相流によって引き起こされる温度変化による関心ポイントと測定ポイントとの間のあらゆるエラーを説明するために加えられる力Fに対するオフセットを示す。
【0083】
[0093] 測定システム55は、単一のセンサを含んでよい。測定システム55は、複数のセンサを含んでよい。この場合、センサは、同じか又は異なっていてもよく、かつ二相流及び/又は基板テーブルWTの特性のあらゆる組み合わせを測定することができる。センサは、基板テーブルWT上又は基板テーブルWT内の任意の箇所に配置されてよい。センサは、チャネル26及び46内及び/又はチャネル26及び46に隣接する基板テーブルWT内に配置されてよい。センサは、平面図において、基板Wの円周に基板テーブルWT内に配置されてよい。チャネル26及び46のより近くに配置されたセンサは、遠くに離れて配置されたセンサと比べて熱負荷による変化により速く反応する測定値を提供することができる。例えば、少なくとも1つのセンサは、温度センサ、歪み及び/又は温度及び歪みセンサであってもよい。
【0084】
[0094] ある実施形態では、測定システム55は、温度センサを含んでよく、測定特性は、物体テーブル上又は物体テーブル内の配置における物体テーブルの温度及び/又は二相流の温度である。例えば、センサは、負の温度係数サーミスタ(NTCセンサ)又は赤外線温度センサであってよい。
【0085】
[0095] ある実施形態では、測定システム55は、歪みセンサを含んでよく、測定特性は、物体テーブル上又は物体テーブル内の配置における物体テーブルの歪みである。歪みを測定するためにあらゆる種類の歪みセンサ、例えば、ピエゾアクチュエータ又は光ファイバ型センサを用いてよい。好ましくは、使用する歪みセンサは、約nε又はpεの歪み、すなわち、約nm又はpmの変動による歪みを測定するように構成される。
【0086】
[0096] ある実施形態では、測定システム55は、温度及び歪みセンサを含み、測定特性は、物体テーブル上又は物体テーブル内の配置における物体テーブルの温度及び歪みである。例えば、温度及び歪みセンサは、ファイバ・ブラッグ・グレーティングであってよい。ファイバ・ブラッグ・グレーティングは、他のセンサと比較して、必要な光ファイバの数を減少させ、速い測定反応を提供し、かつ電磁妨害を減少させることができる。
【0087】
[0097] ある実施形態では、測定システム55は、基板テーブル上又は基板テーブルWT内のターゲットポイントの位置を検出するように構成されたセンサを含んでよい。
【0088】
[0098] ある実施形態では、測定システム55は、二相流の特性を測定するように構成されたセンサを含んでよい。例えば、センサは、二相流のガス又は液相の質量流量、二相流の湿度(例えば、相対湿度)(すなわち、全二相流の湿度又は流入ガスの湿度)、二相流の温度、二相流の圧力、二相流の密度及び/又は二相流の光特性を、例えば、複屈折センサ又は干渉計等を用いて測定することができる。二相流は、液流及びガス流を含む。二相流のある部分の特定の特性、例えば、ガス流の質量流量、又はある点でのガス流の湿度、例えば、流入ガス流の湿度を測定することが好ましいことがある。例えば、負の温度係数サーミスタを用いて二相流の温度を測定することができる。
【0089】
[0099] ある実施形態では、測定システム55は、リソグラフィ装置LAの特性を測定するように構成されたセンサを含んでよい。例えば、センサは、リソグラフィ装置LA内の別の構成部品の特性を測定するように構成されてもよい。例えば、この実施形態では、測定システム55は、基板テーブルWTの温度を維持するのに役立たせるために設けられたヒータに供給されるパワーを測定するように構成されてよい。ヒータは、基板テーブルWT内に配置されてよい。供給されるパワーは、測定特性である。既知の関係は、供給されるパワーに基づいて変形を決定するために使用されてよい。
【0090】
[00100] ある実施形態では、測定システム55は、周囲環境の特性を測定するように構成されたセンサを含んでよい。例えば、センサは、リソグラフィ装置LAを囲う空気の温度及び/又は相対湿度を測定するように構成されてよい。
【0091】
[00101] 上記の任意の実施形態では、少なくとも1つのセンサ50及び/又は測定システム55は、基板テーブルWTの外側に配置されてよい。例えば、センサ50及び/又は測定システム55は、第2位置決めデバイスPW上又は第2位置決めデバイスPW内にあってよい。この実施形態では、センサ50は、依然として、基板テーブルWTの特性を測定するために使用されてよい。この実施形態の例では、センサ50は、基板テーブルWTの温度の測定をする赤外線温度センサであってよい。この実施形態の例では、センサ50は位置センサであってよい。この例では、基板テーブルWTは、基板テーブルWTの表面上に又は基板テーブル上の追加の構成部品としてグリッドを含んでよく、また、位置センサを用いてグリッドの位置を検出することができる。
【0092】
[00102] 上記の任意の実施形態では、リソグラフィ装置LAにおける既存のセンサは、本発明においてセンサ50として使用することができる。
【0093】
[00103] 上記の任意の実施形態では、測定特性は、上記したように、推定変形を決定するために使用することができる。測定特性は、変形を表す量であってよい。任意の実施形態では、測定特性は、例えば、システムの診断のため又はヒータの温度を制御するためにリソグラフィ装置LAの他の部分によっても使用することができる。
【0094】
[00104] ある実施形態では、測定システム55は、基板テーブルWT内にあってよく、かつ制御システム62に外付けの制御システム62に出力56を無線で送信してもよいが、必ずしもこの限りではない。
【0095】
[00105] 予測器60は、リソグラフィ装置制御ユニットLACUの一部であっても一部でなくてもよい。すなわち、予測器60は別の制御ユニットであってもよい。
図5に示すように、予測器60は、LACU内の制御システム62とは別であってよい。あるいは、予測器60は、制御システム62の一部であってよく、それによって制御システム62は、測定システム55から出力56を受信し、出力56を直接用いて変形を推定しかつ基板テーブルWTの位置を制御する。
【0096】
[00106] 上記の実施形態では、物体テーブルは、基板テーブルWTであり得るが、物体テーブルは、可能であれば、代替又は追加として、基板構造MT、第1位置決めデバイスPM、第2位置決めデバイス、又はリソグラフィ装置LA内に位置決めされる必要があって物体を支え得る任意の他の物体であってもよい。
【0097】
[00107] 物体上への投影ビームBの配置は、物体に対して少なくとも一方向で移動可能である。物体上への(投影ビームB内)のパターンの配置は、物体に対する少なくとも一方向で移動可能である。上記の実施形態では、物体テーブル、例えば、基板テーブルWTは、関心ポイントの位置を変更するように制御される。上記の実施形態に加えて又はその代替として、物体に対するパターン及び/又は投影ビームBの位置を制御することができる。例えば、サポート構造MT、パターニングデバイスMA、プレートマニピュレータ及び/又は投影システムPS内の構成部品、例えば、光学部品の位置は、物体に対する投影ビームBの位置決めを変更するように制御することができる。したがって、物体に対する投影ビームの配置は、例えば、プレートマニピュレータを用いて制御可能である。したがって、物体に対するパターン及び/又は投影ビームBの位置は、推定変形に基づいて制御することができる。したがって、物体に対するパターンの相対位置は、物体テーブル内のチャネル26及び46における二相流によって引き起こされる物体及び/又は物体テーブルの変形の影響を減少させる(又は取り除く)ために制御することができる。
【0098】
[00108] プレートマニピュレータは、放射ビームの焦点を制御するためにパターニングデバイスMAと基板Wとの間に配置される。プレートマニピュレータは、基板W上に投影される像がシフトされるように特定の軸に対して傾斜するように適合されてよい。
【0099】
[00109] X方向の位置決め精度がY方向に対して程要求が厳しくない場合があり、又は、X方向の挙動の関連性が低くなるように基板テーブルWTがY方向に加速されたときのみに所要の位置決め精度が適用される場合もある。したがって、測定システム55の出力に基づいて一方向にのみ基板テーブルWTを制御することが有用であり得る。上記の実施形態は、基板テーブルWTが移動又は位置決めされ得る方向の例としてX、Y及びRz方向を用いる。しかしながら、基板テーブルWTは、X、Y及び/又はZ方向、及びその方向に対する回転方向を含む任意の軸方向、又は図に示すX−Y軸に対して回転又は移動され得る任意の他の軸に基づく方向に移動又は位置決めされてよい。
【0100】
[00110] 物体及び/又は物体テーブルに作用し得る様々な変動負荷があり、本発明を用いて物体テーブル又は物体に対する投影ビームBの動作を制御してあらゆる負荷の組み合わせによって引き起こされる変形を減少させる(又は取り消す)ことができる。上記の任意の実施形態では、二相流が通過するためのチャネルが物体テーブルに含まれない場合があるが、動作中の変動負荷は、依然として、物体に影響を与える物体テーブル及び/又は物体の変形を引き起こし得る。したがって、制御システム62は、任意の実施形態と組み合わせて、二相流が通過するためのチャネルの有無に関わらず、上記したように変動負荷の影響を減少させるために使用することができる。基板テーブルWT又は物体テーブルについての言及は、本発明において制御されるリソグラフィ装置内の他の構成部品と同義であってよい。変動負荷は、あらゆる変動負荷、例えば、相転移、摩擦、放射、対流、伝導、電子放散又は任意の他の熱影響による負荷であってもよい。
【0101】
[00111] さらなる実施形態を
図7に示している。この実施形態は、ここで説明することを除いて、
図5に関して説明した上記の任意の実施形態と同じであってよい。この実施形態では、基板テーブルWTは、サポート構造MTと置き換えられてよく、すなわち、物体テーブルはサポート構造MTである。基板Wは、パターニングデバイスMAと置き換えられてよく、すなわち、物体はパターニングデバイスMAである。サポート構造MAは二相流が通過するためのチャネルを有さない場合もあるが、サポート構造MTの変形は、例えば、熱変動又は変動負荷によって依然として生じ、パターニングデバイスMAの変形という結果となる。サポート構造MT及び/又はパターニングデバイスMAのあらゆる変形は、投影ビームBに対するパターニングデバイスMA上の関心ポイントの位置を変更し得る。したがって、投影ビームB内のパターンの位置は、基板Wに対して変更される。投影ビームBにおけるパターンを位置決めするときのエラーは、オーバーレイエラーを引き起こし得る。さらに、(サポート構造MTの変形により得る)パターニングデバイスMAの変形は、投影ビームBにおける像を変形し、結像エラーを引き起こし得る。
【0102】
[00112] したがって、投影ビームBが正しくパターン付けされることを確実にするようにパターニングデバイスMAを正確に位置決めすることが有益である。パターニングデバイスMAは、関心ポイント、例えば、いかなる瞬間にパターンを投影ビームBに付与するために照明されるパターニングデバイスMAの領域の中心を有してよい。パターニングデバイスMA上の関心ポイントの配置を直接測定することができない場合がある(基板W上の関心ポイントと同様)。したがって、パターニングデバイスMAは、測定ポイントを制御することによって位置決めされてよく、測定ポイントに対する関心ポイントの位置は既知である。ある実施形態では、関心ポイントはパターニングデバイスMA上にあり、測定ポイントはサポート構造MT上にある。この実施形態では、
図7に示すように、サポート構造MTは、さらなる基準フレームREFに対して移動することができる。基準フレームRF及びさらなる基準フレームREFは、何らかの方法で接続されてよい。
【0103】
[00113] パターニングデバイスMA及び/又はサポート構造MTの変形は、測定ポイントに対する関心ポイントの位置を変更する。温度変動及び/又は他に加えられるあらゆる負荷は、パターニングデバイスMA及び/又はサポート構造MTの変形を引き起こして測定ポイントに対する関心ポイントの位置の変化へと繋がる。したがって、上記の実施形態で説明したように、本実施形態は、パターニングデバイスMA及び/又はサポート構造MTの温度又は負荷変動に関わらず関心ポイントを正確に位置決めする物体位置決めシステムを提供する。本実施形態は、これを上記の実施形態と同じように行い、サポートテーブルMTの特性が測定、決定又は推定され、サポートテーブルMTの位置の制御はこの測定に基づく。
【0104】
[00114] 測定システム55は、上記したように使用することができる。測定システム55は、基板テーブルWTがサポート構造MTと置き換えられ、かつ基板WがパターニングデバイスMAと置き換えられること以外は、上記したアクチュエータシステムAS、予測器60及び/又は制御システム62と使用することができる。測定システム55は、少なくとも上記のセンサのうちのいずれか、例えば、温度センサ(例えば、負の温度係数サーミスタ(NTCセンサ)又は赤外線温度センサ)、歪みセンサ(例えば、ピエゾ歪みセンサ又は光ファイバ型センサ)、温度及び歪みセンサ(例えば、ファイバ・ブラッグ・グレーティング)、サポート構造MT上又はサポート構造MT内のターゲットポイントの位置を測定するように構成されたセンサ、リソグラフィ装置LAの特性を測定するように構成されたセンサ、及び/又は周囲環境を測定するように構成されたセンサを含んでよい。
【0105】
[00115] さらなる実施形態を
図8に示している。この実施形態は、ここで説明することを除いて、
図5に関して説明した上記の任意の実施形態と同じであってよい。この実施形態は、変位測定システムを備える測定システム55を含む。この実施形態では、物体は変位測定システムの構成部品であり、物体テーブルは基板テーブルWTである。すなわち、基板テーブルWTは、変位測定システムの構成部品を支える。例えば、変位測定システムは、変位センサDS及びターゲットを含んでよい。
【0106】
[00116] ターゲットはグリッドプレートGであってよい。
図8に示すように、いくつかのグリッドプレートGを使用してもよい。変位測定システムの出力を用いてターゲットの配置を決定することができる。
図9に示すように、変位測定システムの構成部品、例えば、少なくとも1つの変位センサDSは、基準フレームRF上に配置されてよく、基準フレームRFは、上記のいずれかの実施形態で説明した基準フレームと同じであってよい。
【0107】
[00117] この実施形態では、変位センサDSを用いてターゲットの変位、よって、基板テーブルWTの変位を検出することができる。ターゲットは、関心ポイント、すなわち、変位測定システムが測定を行うターゲット上のポイントを有してよい。基板テーブルWT及び/又はグリッドプレートGの変形は、測定ポイントに対する関心ポイントの位置を変更し得る。温度変動及び/又は他に加えられるあらゆる負荷は、基板テーブルWT及び/又はグリッドプレートGの変形を引き起こして測定エラーとなり得る関心ポイントの位置の変化へと繋がる。したがって、上記の実施形態で説明したように、本実施形態は、基板テーブルWT及び/又は位置測定システムの構成部品の変動に関わらず関心ポイントを正確に位置決めする物体位置決めシステムを提供する。本実施形態は、これを上記の実施形態と同じように行い、基板テーブルWT及び/又はグリッドプレートGの特性が測定、決定及び/又は推定され、基板テーブルWTの位置の制御はこの測定に基づく。
【0108】
[00118] 測定システム55は、上記の実施形態で記載したように使用されてよく、グリッドプレートG及び/又は基板テーブルWTの特性が測定、決定及び/又は推定され、基板テーブルWTの位置の制御はこの測定に基づく。測定システム55は、基板WがグリッドプレートGと置き換えられること以外は、上記したようにアクチュエータシステムAS、予測器60及び/又は制御システム62と共に使用されてよい。測定システムは、少なくとも上記のセンサのうちのいずれか、例えば、温度センサ(例えば、負の温度係数サーミスタ(NTCセンサ)又は赤外線温度センサ)、歪みセンサ(例えば、ピエゾ歪みセンサ又は光ファイバ型センサ)、温度及び歪みセンサ(例えば、ファイバ・ブラッグ・グレーティング)、基板テーブルWT上又は基板テーブルWT内のターゲットポイントの位置を測定するように構成されたセンサ、リソグラフィ装置LAの特性を測定するように構成されたセンサ、及び/又は周囲環境を測定するように構成されたセンサを含んでよい。
図8に示すように、ターゲットは、基板テーブルWT上のグリッドプレートGであってよい。
図8では4つのグリッドプレートGを示しているが、他の適切な数、例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又はそれ以上であってもよい。グリッドプレートGは基板テーブルWTを囲うように示されているが、少なくとも1つのグリッドプレートGが基板テーブルWTの縁部内の基板テーブルWTの上面に設けられてよい。
図8は、2対のグリッドプレートGを示しており、各対は2つの同じように形作られたグリッドプレートGを有する。グリッドプレートGは、対で設けても設けなくてもよい。グリッドプレートGの形状は限定的ではない。多数のグリッドプレートGが設けられた場合、各グリッドプレートGは異なる形状を有するか、いくつかのグリッドプレートGは同じ形状を有するか、又は全てのグリッドプレートGは同じ形状を有してもよい。グリッドプレートGは、任意の適切なターゲットと置き換えられてもよい。
【0109】
[00119]
図9は、
図8の側面図を示しており、測定システム55は、グリッドプレートGの歪みを測定するために歪みセンサSTを含む。
図9の歪みセンサSTは、例示的であって測定システム55の一部として任意の適切なセンサと置き換えられてもよい。
図9に示すように、グリッドプレートG(すなわち、ターゲット)は、基板テーブルWT上に配置されてもよい。あるいは、変位測定システムの別の構成部品、例えば、変位センサDSは、基板テーブルWT上に配置されてよい。したがって、ある実施形態では、物体は、基板テーブルWTによって支えられた変位センサDSであってよい。
図5について説明したように、測定システム55を用いて基板テーブルWT上に配置された構成部品の特性を測定し、測定におけるあらゆる変形を説明して変位測定システムによって提供される測定の精度を上げる。ここで、基板Wは、上記した変位測定システムの構成部品と置き換えられる。
【0110】
[00120]
図10は、ここで説明することを除いて、
図9の実施形態と同じであるさらなる実施形態を示している。
図10の実施形態では、物体テーブルは
図9のような変位測定システムの少なくとも一部を支えるが、物体テーブル上に配置されていない変位測定システムの一部の変形を測定することができる。
図9のように、変位測定システムによる測定におけるあらゆるエラーは、物体テーブル、例えば、基板テーブルWTの位置決めにおけるエラーへと繋がり得る。
【0111】
[00121] この実施形態では、基板テーブルWTは、変位測定システムの少なくとも一部を支え、基板テーブルWTは、少なくとも一方向に移動可能である。変位測定システムは、変位センサDS及びグリッドプレートGを含む。変動負荷は、動作中に変位センサDS及び/又はグリッドプレートGに作用し、変位センサDS及び/又はグリッドプレートDのそれぞれの一部の変形を引き起こす。実施形態は、変位測定システムからの出力及び変位センサDS及び/又はグリッドプレートGのそれぞれの一部の変形を表す量に基づいて基板テーブルWTの動作を少なくとも一方向で制御するために制御システムをさらに備える。
【0112】
[00122] 変位測定システムの一部は、基準フレームRF上に配置されてよい。例えば、
図10に示すように、ターゲット、例えば、少なくとも1つのグリッドプレートGは、基準フレームRF上に配置されてよい。例えば、動作中の温度又はグリッドプレートGに作用する負荷の変動は、変位測定におけるエラーに繋がるグリッドプレートGの変形を引き起こす。したがって、変位測定システムの出力及びグリッドプレートGの変形を表す量に基づいて基板テーブルWTの動作を制御することは、変位測定システムの構成部品の変形によって誘発されるエラーの影響を減少させる。
【0113】
[00123]
図10では2つのグリッドプレートGの側面図を示しているが、任意の数のグリッドプレート、例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又はそれ以上のグリッドプレートを基準フレームRF上に設けてもよい。さらに、グリッドプレートGは、変位測定システムのあらゆる構成部品と置き換えられてよく、例えば、変位センサDSがグリッドプレートGの代わりに基準フレームRF上に配置されてよい。
【0114】
[00124] 上記の実施形態によると、関心ポイントを変更することができる。例えば、物体テーブルが基板Wである物体を支持する基板テーブルWTであった場合、基板テーブルWTを移動させて基板Wの異なるターゲット部分Cを露光させることができる。この場合、基板上の関心ポイントは、各露光に対して変化する。あるいは、物体テーブルがパターニングデバイスMAを支持するサポート構造MTであった場合、関心ポイントは露光中、すなわち、投影ビームBにパターンを付与するためにパターニングデバイスMAを照明するときに変化し得る。推定変形が特定の関心ポイントに対して決定された後、推定変形を他の関心ポイントに使用することが可能である。例えば、(推定変形の方向が変化する場合であっても)推定変形の大きさは与えられた半径で一定であると推定することができる。したがって、1つの関心ポイントからの推定変形は、他の関心ポイント、例えば、同じ半径における他のポイントに対して使用することができる。
【0115】
[00125] 上記の実施形態では、基板テーブルWTの動作を制御するために推定変形を制御システム62で使用する一方、測定システム55の出力56を、例えば、二相流の影響による変形を説明するために使用する。しかしながら、推定変形は、このようにして制御システム62によって使用されない場合がある。代替として、推定変形は、位置センサによって測定される位置上の測定システム補正として適用され得る箇所における推定オフセットを決定するために使用することができる。したがって、変形の原因、例えば、二相流を説明するように適合された測定は、関心ポイントの所望の位置との比較のために制御システム62によって直接使用されてもよい。このようにして、制御システム62は、セットポイント信号63に関連する入力及び測定システム55からの出力56に基づいて基板テーブルWTの位置を制御する。この実施形態では、予測器60は必要ではない場合がある。
【0116】
[00126] 本実施形態では、モデルを用いて物体、例えば、基板W、パターニングデバイスMA又は変位測定システムの構成部品の変形の変動を予測することができる。変形予測器システムを用いて予測変形を示す信号を生成することができる。変形予測器システムは、リソグラフィ装置制御ユニットLACUの一部であっても一部でなくてもよい。予測変形は、物体テーブル、例えば、基板テーブルWTの動作を制御する制御システム62における上記の実施形態のような推定変形と同じ方法で使用することができる。上記の実施形態で説明したように、このようにしてモデルを用いることは、基板テーブルWTにおけるチャネル内の二相流による悪影響の減少を可能にする。
【0117】
[00127] 以上、本発明の具体的な実施形態を説明してきたが、本発明は、上述以外の態様で実施できることが明らかである。例えば、本発明の制御システム62及び/又は予測器60は、上記で開示した方法を表す1つ以上の機械読取可能命令のシーケンスを含むコンピュータプログラムの形態、又はこのようなコンピュータプログラムが記憶されたデータ記憶媒体(例えば、半導体メモリ、磁気ディスク又は光ディスク)の形態であってもよい。
【0118】
[00128] 物体位置決めシステム及び/又はデバイス製造方法は、上記のいずれの実施形態によって提供することができる。製造方法は、本発明の実施形態のうちのいずれかによるリソグラフィ装置を用いてよい。
【0119】
[00129] いずれの実施形態において、物体及び物体テーブルの代わりに物体を用いることができる。このような実施形態では、物体は、少なくとも一方向に移動可能であってよい。二相流が通過するためのチャネルは、物体内に形成されてよく、チャネルを通る二相流は、物体の一部の変形を引き起こす。この実施形態では、制御システムは、物体を通る二相流による物体の一部の変形の推定に基づいて物体の動作を制御する。この実施形態では、物体は、位置決めされる必要があり得るリソグラフィ装置LA内の任意の構成部品であってよい。例えば、物体は、投影システムPS、第1位置決めデバイスPM、第2位置決めデバイスPW又は液体閉じ込め構造IH等の中の光学素子であってもよい。
【0120】
[00130] 本明細書において、IC製造におけるリソグラフィ装置LAの使用について具体的な言及がなされているが、本明細書記載のリソグラフィ装置LAが、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスパターン及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造といった他の用途を有し得ることが理解されるべきである。当業者にとっては当然のことであるが、そのような別の用途においては、本明細書で使用される「ウェーハ」又は「ダイ」という用語はすべて、それぞれより一般的な「基板」又は「ターゲット部分」という用語と同義であるとみなしてよい。本明細書に記載した基板は、露光の前後を問わず、例えば、トラック(通常、基板にレジスト層を塗布し、かつ露光されたレジストを現像するツール)、メトロロジーツール、及び/又はインスペクションツールで処理されてもよい。適用可能な場合には、本明細書中の開示内容を上記のような基板プロセシングツール及びその他の基板プロセシングツールに適用してもよい。さらに基板は、例えば、多層ICを作るために複数回処理されてもよいので、本明細書で使用される基板という用語は、すでに多重処理層を包含している基板を表すものとしてもよい。
【0121】
[00131] 本明細書で使用される「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外線(UV)(例えば、365nm、248nm、193nm、157nm、又は126nmの波長、又はおよそこれらの値の波長を有する)、赤外線及び極端紫外線(EUV)(例えば、5〜20nmの範囲の波長を有する)、ならびにイオンビームや電子ビームなどの微粒子ビームを含むあらゆる種類の電磁放射を包含している。
【0122】
[00132] 「レンズ」という用語は、文脈によっては、屈折、反射、磁気、電磁気、及び静電型光コンポーネントを含む様々な種類の光コンポーネントのいずれか1つ又はこれらの組合せを指すことができる。
【0123】
[00133] 以上、本発明の具体的な実施形態を説明してきたが、本発明は、上述以外の態様で実施できることが明らかである。上記の説明は、制限ではなく例示を意図したものである。したがって、当業者には明らかなように、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本記載の発明に変更を加えてもよい。