特許第6420911号(P6420911)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6420911混成担持触媒およびこれを用いるオレフィン系重合体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6420911
(24)【登録日】2018年10月19日
(45)【発行日】2018年11月7日
(54)【発明の名称】混成担持触媒およびこれを用いるオレフィン系重合体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 4/6592 20060101AFI20181029BHJP
   C08F 10/00 20060101ALI20181029BHJP
【FI】
   C08F4/6592
   C08F10/00 510
【請求項の数】8
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2017-533150(P2017-533150)
(86)(22)【出願日】2015年9月7日
(65)【公表番号】特表2017-530247(P2017-530247A)
(43)【公表日】2017年10月12日
(86)【国際出願番号】KR2015009418
(87)【国際公開番号】WO2016036221
(87)【国際公開日】20160310
【審査請求日】2017年9月13日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0119030
(32)【優先日】2014年9月5日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2015-0126105
(32)【優先日】2015年9月7日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】クォン、ヒョン−ヨン
(72)【発明者】
【氏名】シン、ウン−ヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ、キ−ス
(72)【発明者】
【氏名】ホン、テ−シク
(72)【発明者】
【氏名】キム、セ−ヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ、スン−ミン
(72)【発明者】
【氏名】クォン、ヒョン−チ
(72)【発明者】
【氏名】イ、ヨン−ホ
(72)【発明者】
【氏名】スン、ユ−テク
(72)【発明者】
【氏名】チョン、トン−フン
【審査官】 三原 健治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−169341(JP,A)
【文献】 特表2006−509904(JP,A)
【文献】 特表2013−500331(JP,A)
【文献】 特表2001−510847(JP,A)
【文献】 特開2003−192618(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0121006(US,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2015−0066484(KR,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2015−0058054(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)下記化学式1で表される第1触媒;および
ii)下記化学式2で表される第2触媒および下記化学式3で表される第3触媒からなる群より選択された1種以上を含む、混成担持触媒:
【化21】
前記化学式1において、
Mは、4族遷移金属であり;
Bは、炭素、シリコン、またはゲルマニウムであり;
1およびQ2は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C6-20アリール、C7-20アルキルアリール、C7-20アリールアルキル、C1-20アルコキシ、C2-20アルコキシアルキル、C3-20ヘテロシクロアルキル、またはC5-20ヘテロアリールであり;ただし、Q1およびQ2のうちの少なくとも1つは、C2-20アルコキシアルキルであり;
1およびX2は、それぞれ独立に、ハロゲン、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C6-20アリール、ニトロ、アミド、C1-20アルキルシリル、C1-20アルコキシ、またはC1-20スルホネートであり;
1は、下記化学式2aであり、
2は、下記化学式2aまたは化学式2bであり、
【化22】
【化23】
前記化学式2aおよび2bにおいて、
1〜R13は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C1-20アルキルシリル、C1-20シリルアルキル、C1-20アルコキシシリル、C1-20エーテル、C1-20シリルエーテル、C1-20アルコキシ、C6-20アリール、C7-20アルキルアリール、またはC7-20アリールアルキルであり、
R’1〜R’3は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、またはC6-20アリールであり、
【化24】
前記化学式2において、
10〜R13およびR’10〜R’13は、それぞれ独立に、水素、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C6-20アリール、C7-20アルキルアリール、C7-20アリールアルキル、C2-20アルコキシアルキル、またはC1-20アミンであるか、またはR10〜R13およびR’10〜R’13のうちの隣接する2個以上が互いに連結されて1個以上の脂肪族環、芳香族環、またはヘテロ環を形成し、前記脂肪族環、芳香族環、またはヘテロ環は、非置換であるかもしくはC1-20アルキルで置換され;
Qは、−CH2CH2−、−C(Z1)(Z2)−、または−Si(Z1)(Z2)−であり;
1およびZ2は、それぞれ独立に、水素、C1-20アルキル、C3-20シクロアルキル、C1-20アルコキシ、C2-20アルコキシアルキル、C6-20アリール、C6-10アリールオキシ、C2-20アルケニル、C7-40アルキルアリール、またはC7-40アリールアルキルであり;
2は、4族遷移金属であり;
3およびX4は、それぞれ独立に、ハロゲン、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C6-20アリール、ニトロ、アミド、C1-20アルキルシリル、C1-20アルコキシ、またはC1-20スルホネートであり;
【化25】
前記化学式3において、
3は、4族遷移金属であり;
5およびX6は、それぞれ独立に、ハロゲン、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C6-20アリール、ニトロ、アミド、C1-20アルキルシリル、C1-20アルコキシ、またはC1-20スルホネートであり;
14〜R19は、それぞれ独立に、水素、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C1-20アルコキシ、C6-20アリール、C7-20アルキルアリール、C7-20アリールアルキル、C1-20アルキルシリル、C6-20アリールシリル、またはC1-20アミンであるか;または前記R14〜R17のうちの隣接する2個以上が互いに連結されて1個以上の脂肪族環、芳香族環、またはヘテロ環を形成し;
2は、C1-10の直鎖もしくは分枝鎖アルキレンであり;
2は、−O−、−S−、−N(R)−、または−Si(R)(R’)−であり、ここで、RおよびR’は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、またはC6-20アリールであり;
2は、水素、ハロゲン、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C6-20アリール、C7-20アルキルアリール、C7-20アリールアルキル、C1-20アルコキシ、C2-20アルコキシアルキル、C2-20ヘテロシクロアルキル、またはC5-20ヘテロアリールであり;
Bは、炭素、シリコン、またはゲルマニウムであり、シクロペンタジエニル系リガンドとJ(R19z-yを共有結合によって結ぶ橋であり;
Jは、周期律表15族元素または16族元素であり;
zは、J元素の酸化数であり;
yは、J元素の結合数である。
【請求項2】
前記化学式1において、
Mは、ジルコニウムであり、
Bは、シリコンであり、
1およびQ2は、それぞれ独立に、C1-20アルキルまたはC2-20アルコキシアルキルであり、ただし、Q1およびQ2のうちの少なくとも1つは、C2-20アルコキシアルキルであり、
1およびX2は、ハロゲンである、請求項1に記載の混成担持触媒。
【請求項3】
1は、メチルであり、Q2は、6−タート−ブトキシ−ヘキシルである、請求項2に記載の混成担持触媒。
【請求項4】
前記化学式2aおよび2bにおいて、
1〜R13は、水素であり、
R’1〜R’3は、C1-20アルキルであることを特徴とする、請求項1に記載の混成担持触媒。
【請求項5】
R’1〜R’3は、メチルであることを特徴とする、請求項4に記載の混成担持触媒。
【請求項6】
前記化学式2において、
10〜R13およびR’10〜R’13は、それぞれ独立に、水素、C1-20アルキル、またはC2-20アルコキシアルキルであるか、またはR10〜R13およびR’10〜R’13のうちの隣接する2個以上が互いに連結されて1個以上の脂肪族環または芳香族環を形成し、前記脂肪族環または芳香族環は、非置換であるかもしくはC1-20アルキルで置換され;
Qは、−CH2CH2−、−C(Z1)(Z2)−、または−Si(Z1)(Z2)−であり;
1およびZ2は、それぞれ独立に、C1-20アルキルまたはC2-20アルコキシアルキルであり;
2は、ジルコニウムであり;
3およびX4は、ハロゲンである、請求項1に記載の混成担持触媒。
【請求項7】
10〜R13およびR’10〜R’13は、それぞれ独立に、水素、メチル、または6−タート−ブトキシ−ヘキシルであるか、またはR10〜R13およびR’10〜R’13のうちの隣接する2個以上が互いに連結されて1個以上のベンゼン環またはシクロヘキサン環を形成し、前記ベンゼン環は、非置換であるかもしくはタート−ブトキシで置換され;
Qは、−CH2CH2−、−C(Z1)(Z2)−、または−Si(Z1)(Z2)−であり;
1およびZ2は、それぞれ独立に、メチルまたは6−タート−ブトキシ−ヘキシルであり;
2は、ジルコニウムであり;
3およびX4は、クロロである、請求項6に記載の混成担持触媒。
【請求項8】
前記化学式3において、
3は、チタンであり;
5およびX6は、ハロゲンであり;
14〜R19は、C1-20アルキルであり;
2は、C1-10の直鎖もしくは分枝鎖アルキレンであり;
2は、−O−であり;
2は、C1-20アルキルであり;
Bは、シリコンであり;
Jは、窒素であり;
zは、J元素の酸化数であり;
yは、J元素の結合数である、請求項1に記載の混成担持触媒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互参照]
本出願は、2014年9月5日付の韓国特許出願第10−2014−0119030号および2015年9月7日付の韓国特許出願第10−2015−0126105に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
[技術分野]
本発明は、混成担持触媒およびこれを用いるオレフィン系重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
オレフィン重合触媒系は、チーグラーナッタおよびメタロセン触媒系に分類することができ、これら2つの高活性触媒系はそれぞれの特徴に合わせて発展してきた。チーグラーナッタ触媒は、1950年代に発明されて以来、既存の商業プロセスに幅広く適用されてきたが、活性点が多数混在する多活性点触媒(multi site catalyst)であるため、重合体の分子量分布が広いことが特徴であり、共単量体の組成分布が均一でなく、所望の物性確保に限界がある問題がある。
【0004】
一方、メタロセン触媒は、遷移金属化合物が主成分の主触媒と、アルミニウムが主成分の有機金属化合物である助触媒との組み合わせからなり、このような触媒は、均一系錯体触媒で単一活性点触媒(single site catalyst)であり、単一活性点特性により分子量分布が狭く、共単量体の組成分布が均一な高分子が得られ、触媒のリガンド構造の変形および重合条件の変更により、高分子の立体規則度、共重合特性、分子量、結晶化度などを変化させられる特性を持っている。
【0005】
米国特許第5,914,289号(特許文献1)には、それぞれの担体に担持されたメタロセン触媒を用いて高分子の分子量および分子量分布を制御する方法が記載されているが、担持触媒の製造時に使用された溶媒の量および製造時間が多くかかり、使用されるメタロセン触媒を担体にそれぞれ担持させなければならない煩わしさが伴った。
【0006】
大韓民国特許出願第2003−12308号(特許文献2)には、担体に二重核メタロセン触媒と単一核メタロセン触媒を活性化剤と共に担持して、反応器内の触媒の組み合わせを変化させて重合することにより、分子量分布を制御する方策を開示している。しかし、このような方法は、それぞれの触媒の特性を同時に実現するのに限界があり、また、完成した触媒の担体成分からメタロセン触媒部分が遊離して、反応器にファウリング(fouling)を誘発するという欠点がある。
【0007】
したがって、前記欠点を解決するために、簡便に活性に優れた混成担持メタロセン触媒を製造して所望の物性のオレフィン系重合体を製造する方法への要求が続いている。
【0008】
一方、線状低密度ポリエチレンは、重合触媒を用いて、低圧でエチレンとアルファオレフィンを共重合して製造され、分子量分布が狭く一定長さの短鎖分枝を有し、長鎖分枝がない樹脂である。線状低密度ポリエチレンフィルムは、一般のポリエチレンの特性と共に、破断強度と伸び率が高く、引裂強度、落錘衝撃強度などに優れ、既存の低密度ポリエチレンや高密度ポリエチレンの適用が難しいストレッチフィルム、オーバーラップフィルムなどへの使用が増加している。
【0009】
しかし、1−ブテンまたは1−ヘキセンを共単量体として使用する線状低密度ポリエチレンは、大部分が単一気相反応器または単一ループスラリー反応器で製造され、1−オクテン共単量体を使用する工程に比べて生産性は高いものの、このような製品も、使用触媒技術および工程技術の限界により、物性が1−オクテン共単量体の使用時より大きく劣り、分子量分布が狭くて加工性が不良である問題がある。
【0010】
このような問題改善のために多くの努力が進められており、米国特許第4,935,474号(特許文献3)には、2種またはそれ以上のメタロセン化合物が使用され、広い分子量分布を有するポリエチレン製造法について報告されている。米国特許第6,828,394号(特許文献4)には、共単量体の結合性が良いものとそうでないものを混合使用して、加工性に優れ、特にフィルム用に適したポリエチレンの製造方法について記載されている。また、米国特許第6,841,631号(特許文献5)、米国特許第6,894,128号(特許文献6)には、少なくとも2種のメタルコンパウンドが使用されたメタロセン系触媒として二峰または多峰分子量分布を有するポリエチレンを製造して、フィルム、ブローモールディング、パイプなどの用途に適用できると記載されている。しかし、これらの製品は、加工性は改善されたものの、単位粒子内の分子量別の分散状態が均一でなく、比較的良好な押出条件においても押出外観が粗く物性が安定的でない問題がある。
【0011】
このような背景から、物性と加工性との間のバランスの取れた、より優れた製品の製造が絶えず要求されており、これに対する改善がさらに必要な状態である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第5,914,289号明細書
【特許文献2】韓国公開特許第2003−12308号公報
【特許文献3】米国特許第4,935,474号明細書
【特許文献4】米国特許第6,828,394号明細書
【特許文献5】米国特許第6,841,631号明細書
【特許文献6】米国特許第6,894,128号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記の従来技術の問題を解決するために、本発明は、加工性に優れ、向上した機械的物性を有するオレフィン系重合体を製造することのできる混成担持触媒およびこれを用いるオレフィン系重合体の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するために、本発明は、i)下記化学式1で表される第1触媒;およびii)下記化学式2で表される第2触媒および下記化学式3で表される第3触媒からなる群より選択された1種以上を含む、混成担持触媒を提供する:
【0015】
【化1】
【0016】
前記化学式1において、
Mは、4族遷移金属であり;
Bは、炭素、シリコン、またはゲルマニウムであり;
1およびQ2は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C6-20アリール、C7-20アルキルアリール、C7-20アリールアルキル、C1-20アルコキシ、C2-20アルコキシアルキル、C3-20ヘテロシクロアルキル、またはC5-20ヘテロアリールであり;ただし、Q1およびQ2のうちの少なくとも1つは、C2-20アルコキシアルキルであり;
1およびX2は、それぞれ独立に、ハロゲン、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C6-20アリール、ニトロ、アミド、C1-20アルキルシリル、C1-20アルコキシ、またはC1-20スルホネートであり;
1は、下記化学式2aであり、
2は、下記化学式2aまたは化学式2bであり、
【0017】
【化2】
【0018】
【化3】
【0019】
前記化学式2aおよび2bにおいて、
1〜R13は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C1-20アルキルシリル、C1-20シリルアルキル、C1-20アルコキシシリル、C1-20エーテル、C1-20シリルエーテル、C1-20アルコキシ、C6-20アリール、C7-20アルキルアリール、またはC7-20アリールアルキルであり、
R’1〜R’3は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、またはC6-20アリールであり、
【0020】
【化4】
【0021】
前記化学式2において、
10〜R13およびR’10〜R’13は、それぞれ独立に、水素、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C6-20アリール、C7-20アルキルアリール、C7-20アリールアルキル、C2-20アルコキシアルキル、またはC1-20アミンであるか、またはR10〜R13およびR’10〜R’13のうちの隣接する2個以上が互いに連結されて1個以上の脂肪族環、芳香族環、またはヘテロ環を形成し、前記脂肪族環、芳香族環、またはヘテロ環は、非置換であるかもしくはC1-20アルキルで置換され;
Qは、−CH2CH2−、−C(Z1)(Z2)−、または−Si(Z1)(Z2)−であり;
1およびZ2は、それぞれ独立に、水素、C1-20アルキル、C3-20シクロアルキル、C1-20アルコキシ、C2-20アルコキシアルキル、C6-20アリール、C6-10アリールオキシ、C2-20アルケニル、C7-40アルキルアリール、またはC7-40アリールアルキルであり;
2は、4族遷移金属であり;
3およびX4は、それぞれ独立に、ハロゲン、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C6-20アリール、ニトロ、アミド、C1-20アルキルシリル、C1-20アルコキシ、またはC1-20スルホネートであり;
【0022】
【化5】
【0023】
前記化学式3において、
3は、4族遷移金属であり;
5およびX6は、それぞれ独立に、ハロゲン、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C6-20アリール、ニトロ、アミド、C1-20アルキルシリル、C1-20アルコキシ、またはC1-20スルホネートであり;
14〜R19は、それぞれ独立に、水素、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C1-20アルコキシ、C6-20アリール、C7-20アルキルアリール、C7-20アリールアルキル、C1-20アルキルシリル、C6-20アリールシリル、またはC1-20アミンであるか;または前記R14〜R17のうちの隣接する2個以上が互いに連結されて1個以上の脂肪族環、芳香族環、またはヘテロ環を形成し;
2は、C1-10の直鎖もしくは分枝鎖アルキレンであり;
2は、−O−、−S−、−N(R)−、または−Si(R)(R’)−であり、ここで、RおよびR’は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、またはC6-20アリールであり;
2は、水素、ハロゲン、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C6-20アリール、C7-20アルキルアリール、C7-20アリールアルキル、C1-20アルコキシ、C2-20アルコキシアルキル、C2-20ヘテロシクロアルキル、またはC5-20ヘテロアリールであり;
Bは、炭素、シリコン、またはゲルマニウムであり、シクロペンタジエニル系リガンドとJ(R19z-yを共有結合によって結ぶ橋であり;
Jは、周期律表15族元素または16族元素であり;
zは、J元素の酸化数であり;
yは、J元素の結合数である。
【0024】
前記化学式1で表される第1触媒は、特にC1(化学式2a)にシリル基が置換されていることを特徴とする。また、C1(化学式2a)のインデン誘導体は、インデノインドール誘導体やフルオレニル誘導体に比べて相対的に電子密度が低く、立体障害の大きいシリル基を含むことにより、立体障害効果および電子密度的要因によって類似の構造のメタロセン化合物に比べて相対的に低い分子量のオレフィン重合体を高活性で重合することができる。さらに、C2(化学式2b)のように表されてもよいフルオレニル誘導体がブリッジによって架橋された構造を形成し、リガンド構造にルイス塩基として作用し得る非共有電子対を有することにより、高い重合活性を示す。
【0025】
好ましくは、前記化学式1において、Mは、ジルコニウムであり、Bは、シリコンであり、Q1およびQ2は、それぞれ独立に、C1-20アルキルまたはC2-20アルコキシアルキルであり、ただし、Q1およびQ2のうちの少なくとも1つは、C2-20アルコキシアルキル(好ましくは、t−ブトキシで置換されたC1-6アルキル)であり、X1およびX2は、ハロゲンである。より好ましくは、Q1は、メチルであり、Q2は、6−タート−ブトキシ−ヘキシルである。
【0026】
また、好ましくは、前記化学式2aおよび2bにおいて、R1〜R13は、水素であり、R’1〜R’3は、C1-20アルキルである。より好ましくは、R’1〜R’3は、メチルである。
【0027】
前記第1触媒の製造方法は、後述する実施例に具体化して説明する。
【0028】
前記混成担持触媒において、化学式1で表される第1触媒は、主に高分子量の共重合体を作るのに寄与し、化学式2または化学式3で表される触媒は、相対的に低分子量の共重合体を作るのに寄与することができる。
【0029】
好ましくは、前記化学式2において、
10〜R13およびR’10〜R’13は、それぞれ独立に、水素、C1-20アルキル、またはC2-20アルコキシアルキルであるか、またはR10〜R13およびR’10〜R’13のうちの隣接する2個以上が互いに連結されて1個以上の脂肪族環または芳香族環を形成し、前記脂肪族環または芳香族環は、非置換であるかもしくはC1-20アルキルで置換され;
Qは、−CH2CH2−、−C(Z1)(Z2)−、または−Si(Z1)(Z2)−であり;
1およびZ2は、それぞれ独立に、C1-20アルキルまたはC2-20アルコキシアルキルであり;
2は、ジルコニウムであり;
3およびX4は、ハロゲンである。
【0030】
より好ましくは、前記化学式2において、
10〜R13およびR’10〜R’13は、それぞれ独立に、水素、メチル、または6−タート−ブトキシ−ヘキシルであるか、またはR10〜R13およびR’10〜R’13のうちの隣接する2個以上が互いに連結されて1個以上のベンゼン環またはシクロヘキサン環を形成し、前記ベンゼン環は、非置換であるかもしくはタート−ブトキシで置換され;
Qは、−CH2CH2−、−C(Z1)(Z2)−、または−Si(Z1)(Z2)−であり;
1およびZ2は、それぞれ独立に、メチルまたは6−タート−ブトキシ−ヘキシルであり;
2は、ジルコニウムであり;
3およびX4は、クロロである。
【0031】
前記第2触媒の製造方法は、後述する実施例に具体化して説明する。
【0032】
前記化学式3で表される第3触媒は、前記第1触媒と第2触媒との中間程度の分子量の共重合体を作るのに寄与することができる。
【0033】
好ましくは、前記化学式3において、
3は、チタンであり;
5およびX6は、ハロゲンであり;
14〜R19は、C1-20アルキルであり;
2は、C1-10の直鎖もしくは分枝鎖アルキレンであり;
2は、−O−であり;
2は、C1-20アルキルであり;
Bは、シリコンであり;
Jは、窒素であり;
zは、J元素の酸化数であり;
yは、J元素の結合数である。
【0034】
前記第3触媒の製造方法は、後述する実施例に具体化して説明する。
【0035】
本発明に係る混成担持触媒において、前記担体としては、表面にヒドロキシ基を含有する担体を使用でき、好ましくは、乾燥して表面に水分が除去された、反応性の大きいヒドロキシ基とシロキサン基を有する担体を使用できる。
【0036】
例えば、高温で乾燥したシリカ、シリカ−アルミナ、およびシリカ−マグネシアなどが使用でき、これらは通常、Na2O、K2CO3、BaSO4、およびMg(NO32などの酸化物、炭酸塩、硫酸塩、および硝酸塩成分を含有することができる。
【0037】
本発明に係る混成担持触媒において、触媒対担体の質量比は、1:1〜1:1000であることが好ましい。前記質量比で担体および触媒を含む時、適切な担持触媒活性を示し、触媒の活性維持および経済性の側面で有利であり得る。
【0038】
また、前記i)前記化学式1で表される第1触媒と、ii)前記化学式2で表される第2触媒および前記化学式3で表される第3触媒からなる群より選択された1種以上の質量比は、1:100〜100:1であることが好ましい。前記質量比で最適な触媒活性を示し、触媒の活性維持および経済性の側面で有利であり得る。
【0039】
前記触媒のほか、助触媒を追加的に用いてオレフィン重合体を製造するのに使用できる。前記助触媒としては、下記化学式4、化学式5、または化学式6で表される助触媒化合物のうちの1種以上を追加的に含むことができる。
【0040】
【化6】
【0041】
前記化学式4において、
30は、互いに同一でも異なっていてもよいし、それぞれ独立に、ハロゲン;炭素数1〜20の炭化水素;またはハロゲンで置換された炭素数1〜20の炭化水素であり;
mは、2以上の整数であり;
【0042】
【化7】
【0043】
前記化学式5において、
31は、前記化学式4で定義されたのと同じであり;
Jは、アルミニウムまたはボロンであり;
【0044】
【化8】
【0045】
前記化学式6において、
Eは、中性または陽イオン性ルイス塩基であり;
Hは、水素原子であり;
Zは、13族元素であり;
Aは、互いに同一でも異なっていてもよいし、それぞれ独立に、1以上の水素原子がハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素、アルコキシまたはフェノキシで置換もしくは非置換の炭素数6〜20のアリール基、または炭素数1〜20のアルキル基である。
【0046】
前記化学式4で表される化合物の例としては、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、ブチルアルミノキサンなどがあり、より好ましい化合物は、メチルアルミノキサンである。
【0047】
前記化学式5で表される化合物の例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、ジメチルクロロアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−s−ブチルアルミニウム、トリシクロペンチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリイソペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、エチルジメチルアルミニウム、メチルジエチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリ−p−トリルアルミニウム、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、トリメチルボロン、トリエチルボロン、トリイソブチルボロン、トリプロピルボロン、トリブチルボロンなどが含まれ、より好ましい化合物は、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムの中から選択される。
【0048】
前記化学式6で表される化合物の例としては、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリブチルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリメチルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルボロン、N,N−ジエチルアニリニウムテトラフェニルボロン、N,N−ジエチルアニリニウムテトラペンタフルオロフェニルボロン、ジエチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルボロン、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルボロン、トリメチルホスホニウムテトラフェニルボロン、トリエチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)アルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(p−トリル)アルミニウム、トリエチルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)アルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム、N,N−ジエチルアニリニウムテトラフェニルアルミニウム、N,N−ジエチルアニリニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム、ジエチルアンモニウムテトラペンタテトラフェニルアルミニウム、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(p−トリル)ボロン、トリエチルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ボロン、トリフェニルカルボニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ボロン、トリフェニルカルボニウムテトラペンタフルオロフェニルボロンなどがある。
【0049】
本発明に係る混成担持触媒は、担体に助触媒化合物を担持させる段階、前記担体に前記第1触媒を担持させる段階、および前記担体に前記第2触媒および/または第3触媒を担持させる段階で製造することができ、触媒担持順序は、必要に応じて変更可能である。
【0050】
前記混成担持触媒の製造時に、反応溶媒として、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどのような炭化水素系溶媒、またはベンゼン、トルエンなどのような芳香族系溶媒が使用できる。さらに、メタロセン化合物と助触媒化合物は、シリカやアルミナに担持された形態でも利用可能である。
【0051】
また、本発明は、前記混成担持触媒の存在下、オレフィン系単量体を重合させる段階を含むオレフィン系重合体の製造方法を提供する。
【0052】
本発明に係るオレフィン系重合体の製造方法において、前記オレフィン系単量体の具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−アイトセンなどがあり、これらを2種以上混合して共重合してもよい。
【0053】
前記オレフィン系重合体は、エチレン/アルファオレフィン共重合体であることがより好ましいが、これにのみ限定されるものではない。
【0054】
前記オレフィン系重合体がエチレン/アルファオレフィン共重合体の場合において、前記共単量体のアルファオレフィンの含有量は特に制限されるわけではなく、オレフィン系重合体の用途、目的などに応じて適切に選択できる。より具体的には0超過99モル%以下であってもよい。
【0055】
前記重合反応は、1つの連続式スラリー重合反応器、ループスラリー反応器、気相反応器、または溶液反応器を用いて、1つのオレフィン系単量体でホモ重合するか、または2種以上の単量体で共重合して進行させることができる。
【0056】
前記混成担持触媒は、炭素数5〜12の脂肪族炭化水素溶媒、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ノナン、デカン、およびこれらの異性体と、トルエン、ベンゼンのような芳香族炭化水素溶媒、ジクロロメタン、クロロベンゼンのような塩素原子で置換された炭化水素溶媒などに溶解または希釈して注入することができる。これに使用される溶媒は、少量のアルキルアルミニウム処理することにより、触媒毒として作用する少量の水または空気などを除去して使用することが好ましく、助触媒をさらに使用して実施することも可能である。
【0057】
本発明に係る混成担持触媒は、高分子量および広い分子量分布を有するオレフィン系重合体の製造時に使用できる。したがって、前記混成担持触媒を用いて製造されたオレフィン系重合体は、加工性および機械的物性に優れ、フィルムなどの用途に有用に使用できる。
【実施例】
【0058】
以下、本発明の理解のために好ましい実施例を提示する。しかし、下記の実施例は本発明をより容易に理解するために提供させるものに過ぎず、これによって本発明の内容が限定されるものではない。
【0059】
I.第1触媒の製造
製造例1−1(前駆体A)
【0060】
【化9】
【0061】
段階1)リガンド化合物の製造
乾燥した250mLのSchlenk flask(第1フラスコ)に、1.66g(10mmol)のフルオレン(fluorene)を満たしてアルゴン状態にした後、減圧下でエーテル50mLを注入した。0℃まで冷却した後、フラスコの内部をアルゴンに置換し、2.5Mのn−BuLiヘキサン溶液4.8mL(12mmol)をゆっくり滴加した。反応混合物をゆっくり常温まで上げた後、1日間撹拌した。他の250mLのSchlenk flaskに、ヘキサン40mLを満たした後、(6−タート−ブトキシヘキシル)ジクロロ(メチル)シラン2.713g(10mmol)を注入した。−78℃まで冷却し、これに前記準備した混合物をゆっくり滴加した。常温までゆっくり昇温させ、12時間撹拌した。
【0062】
他の乾燥した250mLのSchlenk flask(第2フラスコ)に、((1H−インデン−3−イル)メチル)トリメチルシラン((1H−inden−3−yl)methyl)trimethylsilane)2.02g(10mmol)を入れて、THF50mLを加えて溶解した。この溶液を0℃に冷却させ、2.5Mのn−BuLiヘキサン溶液4.8mL(12mmol)を滴加し、常温に昇温させた後、12時間撹拌した。
【0063】
第1フラスコの混合物を−78℃に冷却し、これに第2フラスコの溶液を滴加した後、常温にゆっくり昇温し、24時間撹拌した。これに水50mLを入れて、有機層をエーテルで3回抽出(50mL×3)した。集められた有機層に適量のMgSO4を入れてしばらく撹拌した後、フィルターして、減圧下で溶媒を乾燥させた結果、5.8g(分子量566.96、10.3mmol、収率:103%)の黄色オイル形態のリガンド化合物を得た。得られたリガンド化合物は、別の分離過程なしにメタロセン化合物の製造に使用した。
【0064】
1H NMR(500MHz,CDCl3):0.00,0.26(3H,d),0.46(9H,m),0.67(1H,m),0.83(1H,m),1.01(1H,m),1.25(2H,m),1.42(2H,m),1.49(2H,m),1.60(9H,m),1.72(2H,m),2.41(2H,m),3.66(2H,m),3.70,3.77(1H,s),4.52(1H,m),6.01,6.26,6.37(1H,s),7.50(1H,m),7.59−7.80(7H,m),7.81(1H,q),7.97(1H,d),8.29(2H,m)。
【0065】
2)メタロセン化合物の製造
オーブンで乾燥した250mLのSchlenk flaskに、前記段階1で合成したリガンド化合物を入れて、4当量のメチルターシャリーブチルエーテル(methyl tert−butyl ether、MTBE)とトルエン60mLに溶かした後、2当量のn−BuLiヘキサン溶液を加えた。1日経過後、真空条件でフラスコ内部の溶媒を全て除去し、同量のトルエンに溶解した。Glove box内から1当量のZrCl4(THF)2を取って250mLのSchlenk flaskに入れて、トルエンを入れたサスペンション(suspension)を準備した。前記2つのフラスコとも−78℃まで冷却させた後、lithiationされたリガンド化合物をゆっくりZrCl4(THF)2のトルエンサスペンションに加えた。注入が終わった後、ゆっくり常温まで上げて1日間撹拌して反応を進行させた後、混合物内のトルエンを約1/5体積まで真空減圧により除去し、残ったトルエンの5倍程度の体積のヘキサンを加えて再結晶させた。外部空気と接しないように混合物をろ過してメタロセン化合物を得ており、若干のヘキサンを用いてフィルターの上部分に得られたフィルターケーキ(filter cake)を洗った後、Glove box内で計量して、合成の有無、収率および純度を確認した。その結果、4.05g(5.56mmol、55.6%)の橙色固体を得た(純度:100%、分子量:727.08)。
【0066】
1H NMR(500MHz,CDCl3):−0.13(9H,m),−0.13(3H,m),0.53(2H,m),0.87(2H,m),1.25(9H,m),1.29(4H,m),1.51(2H,s),1.64(2H,m),3.34(2H,m),5.26(1H,s),6.81(1H,m),7.07(2H,m),7.18(1H,m),7.38(1H,m),7.46−7.56(4H,m),7.72(1H,q),7.95(1H,d),8.03(1H,d)。
【0067】
製造例1−2(前駆体B)
【0068】
【化10】
【0069】
段階1)リガンド化合物の製造
乾燥した250mLのSchlenk flask(第1フラスコ)に、((1H−インデン−3−イル)メチル)トリメチルシラン((1H−inden−3−yl)methyl)trimethylsilane)4.05g(20mmol)を入れて、アルゴン気体下でジエチルエーテル40mLに溶かした。0℃まで冷却した後、2.5Mのn−BuLiヘキサン溶液9.6mL(24mmol)をゆっくり滴加した。反応混合物をゆっくり常温に昇温させた後、24時間撹拌した。他の250mLのSchlenk flaskに、(6−タート−ブトキシヘキシル)ジクロロ(メチル)シラン2.713g(10mmol)をヘキサン30mLに溶かした溶液を準備し、これを−78℃まで冷却した後、これに第1フラスコの混合物をゆっくり滴加した。滴加した後、混合物を常温にゆっくり昇温し、24時間撹拌した。これに水50mLを入れて、有機層をエーテルで3回抽出(50mL×3)した。集められた有機層に適量のMgSO4を入れてしばらく撹拌した後、フィルターして、減圧下で溶媒を乾燥させた結果、6.1g(分子量:603.11、10.05mmol、100.5%の収率)の黄色オイル形態のリガンド化合物を得た。得られたリガンド化合物は、別の分離過程なしにメタロセン化合物の製造に使用した。
【0070】
1H NMR(500MHz,CDCl3):0.02(18H,m),0.82(3H,m),1.15(3H,m),1.17(9H,m),1.42(H,m),1.96(2H,m),2.02(2H,m),3.21(2H,m),3.31(1H,s),5.86(1H,m),6.10(1H,m),7.14(3H,m),7.14(2H,m)7.32(3H,m)。
【0071】
段階2)メタロセン化合物の製造
オーブンで乾燥した250mLのSchlenk flaskに、前記段階1で合成したリガンド化合物を入れて、4当量のMTBEとトルエン60mLに溶かした後、2当量のn−BuLiヘキサン溶液を加えた。1日経過後、真空条件でフラスコ内部の溶媒を全て除去し、同量のトルエンに溶解した。Glove box内から1当量のZrCl4(THF)2を取って250mLのSchlenk flaskに入れて、トルエンを入れたサスペンション(suspension)を準備した。前記2つのフラスコとも−78℃まで冷却させた後、lithiationされたリガンド化合物をゆっくりZrCl4(THF)2のトルエンサスペンションに加えた。注入が終わった後、反応混合物はゆっくり常温まで上げて1日間撹拌して反応を進行させた後、混合物内のトルエンを約1/5体積まで真空減圧により除去し、残ったトルエンの5倍程度の体積のヘキサンを加えて再結晶させた。外部空気と接しないように混合物をろ過してメタロセン化合物を得ており、若干のヘキサンを用いてフィルターの上部分に得られたフィルターケーキ(filter cake)を洗った後、Glove box内で計量して、合成の有無、収率、純度を確認した。その結果、6.1g(10mmol)のリガンド化合物から7.3g(9.56mmol、95.6%)の赤紫色オイルを得て、トルエン溶液で保管した(純度:100%、分子量:763.23)。
【0072】
1H NMR(500MHz,CDCl3):0.03(18H,m),0.98,1.28(3H,d),1.40(9H,m),1.45(4H,m),1.66(6H,m),2.43(4H,s),3.47(2H,m),5.34(1H,m),5.56(1H,m),6.95(1H,m),6.97(1H,m),6.98(1H,m),7.22(1H,m),7.36(2H,m),7.43(1H,m),7.57(1H,m)。
【0073】
II.第2触媒の製造
製造例2−1(前駆体C)
【0074】
【化11】
【0075】
前記構造のメタロセン触媒(CAS No.100163−29−9)をSigma−Aldrich社から購入して使用した。
【0076】
製造例2−2(前駆体D)
【0077】
【化12】
【0078】
J.AM.CHEM.SOC.VOL.126,No.46,2004pp.15231−15244に開示されたところにより、1,2−ethylene bis(indenyl)ZrCl2化合物を合成した。
【0079】
製造例2−3(前駆体E)
【0080】
【化13】
【0081】
段階1)リガンド化合物の製造
乾燥した250mLのSchlenk flaskに、インデン(indene)2.323g(20mmol)を入れて、アルゴン気体下でMTBE40mLを注入した。前記溶液を0℃まで冷却した後、2.5Mのn−BuLiヘキサン溶液8mL(20mmol)を滴加した。前記混合物をゆっくり常温に昇温させ、24時間撹拌した。他の250mLのSchlenk flaskに、(6−タート−ブトキシヘキシル)ジクロロ(メチル)シラン((6−tert−butoxyhexyl)dichloro(methyl)silane)2.713g(10mmol)とヘキサン30mLを入れて、−78℃まで冷却した後、これに前記準備された混合物を滴加した。前記混合物をゆっくり常温に昇温させ、24時間撹拌した。これに水50mLを入れてquenchingし、有機層を分離してMgSO4で乾燥させた。その結果、3.882g(9.013mmol、90%)の生成物を得た。
【0082】
NMR基準purity(wt%)=100%、Mw=430.70
1H NMR(500MHz,CDCl3):−0.45,−0.22,−0.07,0.54(total 3H,s),0.87(1H,m),1.13(9H,m),1.16−1.46(10H,m),3.25(2H,m),3.57(1H,m),6.75,6.85,6.90,7.11,7.12,7.19(total 4H,m),7.22−7.45(4H,m),7.48−7.51(4H,m)。
【0083】
段階2)メタロセン化合物の製造
オーブンで乾燥した250mLのSchlenk flaskに、前記段階1で合成したリガンド化合物を入れて、4当量のMTBEとトルエン60mLに溶かした。これに2.1当量のn−BuLiヘキサン溶液を加えて24時間lithiationさせた後、溶媒を全て真空減圧して除去した。これを、ヘキサン溶媒下、schlenk filterを通してLi−saltのみ得た(3.092g、6.987mmol)。より純粋な触媒前駆体を得るためにpurificationを進行させた。Glove box内から2.1当量のZrCl4(THF)2を取って250mLのSchlenk flaskに入れて、トルエンを入れてサスペンション(suspension)を準備した。前記2つのフラスコとも−78℃まで冷却させた後、lithiationされたリガンド化合物をゆっくりZrCl4(THF)2のトルエンサスペンションに加えた。前記混合物をゆっくり常温に昇温させて1日間撹拌した後、混合物内のトルエンを真空減圧により除去し、前の溶媒程度の体積のヘキサンを加えて再結晶させた。製造されたヘキサンスラリーをアルゴン下でろ過し、ろ過した固体とろ過液を全て真空減圧下で溶媒を蒸発させた。前記残ったフィルターケーキ(filter cake)とfiltrateをそれぞれNMRを通して確認し、Glove box内で計量して、収率および純度を確認した。
【0084】
3.1g(6.987mmol)のリガンド化合物から1.321g(2.806mmol、40.2%)の黄色オイルを得て、トルエン溶液で保管した(0.3371mmol/mg)。
【0085】
NMR基準purity(wt%)=100%、Mw:605.85
1H NMR(500MHz,CDCl3):0.88(3H,m),1.15(9H,m),1.17−1.47(10H,m),1.53(4H,d),1.63(3H,m),1.81(1H,m),6.12(2H,m),7.15(2H,m),7.22−7.59(8H,m)。
【0086】
製造例2−4(前駆体F)
【0087】
【化14】
【0088】
Glove boxのアルゴン雰囲気下、599mLの高圧反応器に、前記製造例2−3で製造した触媒とPtO2(0.023g、0.1mmol)を入れた後、メチレンクロライド30mLを入れて、反応器を組み立てて、Glove boxから取り出した。高圧反応器に水素ガスを40barまで満たした後、60℃で12時間撹拌した。常温に冷却した後、filter fritで乾燥したceliteを満たしてろ過した。ろ過液の溶媒を真空下で除去して、黄色ゴム(gum)形態の生成物0.39gを得た。
【0089】
1H NMR(500MHz,CDCl3):0.72(3H,s),1.17(9H,t),1.96−1.25(20H,m),2.87−2.32(8H,m),3.33(2H,t),5.48(2H,d),6.64(2H,d)。
【0090】
製造例2−5(前駆体G)
【0091】
【化15】
【0092】
段階1)リガンド化合物の製造
乾燥した250mLのSchlenk flaskに、2−(6−タート−ブトキシヘキシル)シクロペンタ−1,3−ジエン(2−(6−tert−butoxyhexyl)cyclopenta−1,3−diene)5.25g(23.6mmol)を入れて、メタノール50mLとアセトン4mLを入れた後、0℃まで冷却させた。これにピロリジン2.95mL(1.5当量)を滴加した後、ゆっくり常温に昇温させ、7時間撹拌した。これに水50mLを入れてquenchingし、有機層を分離してMgSO4で乾燥させた。その結果、2−(6−タート−ブトキシヘキシル)−5−(プロパン−2−イリデン)シクロペンタ−1,3−ジエン(2−(6−tert−butoxyhexyl)−5−(propaan−2−ylidene)cyclopenta−1,3−diene)5.0g(19.07mmol、80.7%)が生成されたことをNMRで確認し、これをエーテルに溶かした。
【0093】
他の乾燥した250mLのSchlenk flaskに、2,7−ジ−タート−ブチル−9H−フルオレン(2,7−di−tert−butyl−9H−fluorene)2.784g(10mmol)を入れてアルゴン状態にした後、減圧下でエーテル50mLを入れて溶かした。前記溶液を0℃に冷却した後、2.5Mのn−BuLiヘキサン溶液4.8mL(12mmol)を滴加し、常温に昇温させた後、1日間撹拌した。前記溶液を前記製造した2−(6−タート−ブトキシヘキシル)−5−(プロパン−2−イリデン)シクロペンタ−1,3−ジエンのエーテル溶液に滴加した後、1日間撹拌した。これに水50mLを入れてquenchingし、有機層を分離してMgSO4で乾燥させた後、ろ過して純粋な溶液を得た。前記溶液を真空減圧下で溶媒を全て蒸発させて、5.0g(9.36mmol、93.6%)のオイルを得た。
【0094】
NMR基準purity(wt%)=100%、Mw=540.86
1H NMR(500MHz,CDCl3):0.87(1H,m),0.99(6H,m),1.19(9H,s),1.30(11H,s),1.41(11,s),1.51−1.67(5H,m),3.00,3.13(1H,s),3.35(2H,m),3.87,4.05,4.09,4.11(1H,s),5.72,5.97,6.14,6.61(3H,s),7.28(1H,m),7.35(1H,m),7.42(1H,m),7.58(2H,m),7.69(2H,d)。
【0095】
段階2)メタロセン化合物の製造
オーブンで乾燥した250mLのSchlenk flaskに、前記段階1で合成したリガンド化合物を入れて、MTBE4当量とトルエンに溶かした後、2.1当量のn−BuLiヘキサン溶液を加えて24時間lithiationさせた。Glove box内から2.1当量のZrCl4(THF)2を取って250mLのSchlenk flaskに入れて、エーテルを入れてサスペンション(suspension)を準備した。前記2つのフラスコとも−78℃まで冷却させた後、lithiationされたリガンド化合物をゆっくりZrCl4(THF)2のサスペンションに加えた。前記混合物をゆっくり常温に昇温させて1日間撹拌した後、混合物内のエーテルを真空減圧により約1/5体積まで除去し、残っている溶媒の5倍の体積のヘキサンを加えて再結晶させた。製造されたヘキサンスラリーをアルゴン下でろ過し、ろ過した固体とろ過液を全て真空減圧下で溶媒を蒸発させた。前記残ったフィルターケーキ(filter cake)とfiltrateをそれぞれNMRを通して確認し、Glove box内で計量して、収率および純度を確認した。5.1g(9.4mmol)のリガンド化合物から4.4g(6.3mmol、67.4%)の褐色固体が得られた。
【0096】
NMR基準purity(wt%)=100%、Mw:700.98
1H NMR(500MHz,CDCl3):1.17(9H,s),1.23−1.26(6H,m),1.27(12H,s),1.38(6H,s),1.40−1.44(4H,m),2.33(3H,s),2.36(3H,s),3.33(2H,t),5.31(1H,m),5.54(1H,m),5.95(1H,m),7.39(1H,m),7.58(2H,m),7.62(1H,m),7.70(1H,s),8.00(1H,t)。
【0097】
製造例2−6(前駆体H)
【0098】
【化16】
【0099】
段階1)リガンドの製造
−30℃で、反応器に、フルオレン100g(0.60mol)、ヘキサン4.5L、およびMTBE35.7mL(0.3mol)を入れて、1当量のn−BuLi(2.5M in Hexane)をゆっくり加えて、常温で6時間撹拌した後、40℃で3時間以上撹拌した。撹拌終了後、反応器の温度を−30℃に冷却させ、−30℃で、ヘキサン(3L)に溶けている(6−タート−ブトキシヘキシル)ジクロロ(メチル)シラン((6−tert−butoxyhexyl)dichloro(methyl)silane)162.8g(0.6mol)溶液に、前記製造されたフルオレニルリチウム溶液を1時間かけてゆっくり加えた。常温で8時間以上撹拌した後、再び−30℃に冷却させた後、C55Na(55.9g、0.6mol)/THF(4L)溶液と6時間以上反応させた後、全ての揮発性物質を真空乾燥で除去し、ヘキサンで抽出して、最終リガンドの黄色オイル形態の化合物を得た(収率99%、リガンドoverall yield91%)。リガンドの構造はNMRを通して確認した。
【0100】
1H NMR(400MHz,CDCl3):−0.13,0.06(MeSi,3H,s),0.27,0.35(Si−CH2,2H,m),1.19(tert−BuO,9H,s),1.15−1.40(CH2,4H,m),1.41−1.55(CH2,4H,m),2.70,3.10(methylene CpH,2H,brs),3.31(tert−BuO−CH2,2H,t),4.01(methylene Flu−H,1H,s),6.00−6.30,6.40−6.70(CpH,4H,m),7.26−7.50(Flu−H,3H,m),7.51(Flu−H,1H,d),7.58(Flu−H,1H,d),7.80(Flu−H,1H,d),7.90(Flu−H,2H,d)。
【0101】
2)メタロセン化合物の製造
−30℃で、前記段階1で製造したリガンド(310.1g、0.72mol)/トルエン(3.0L)溶液に、2当量のn−BuLi(2.5M in Hexane)をゆっくり加えて、常温に上げながら8時間以上反応させた後、−30℃で、ZrCl4(THF)2(271.7g、0.72mol)/トルエン(2.5L)のスラリー溶液を、前記製造されたジリチウム塩(dilithium salts)スラリー溶液にゆっくり加えて、常温で8時間さらに反応させた。全ての揮発性物質を真空乾燥し、得られたオイル性液体物質にジクロロメタン溶媒を加えてろ過した。ろ過した溶液を真空乾燥した後、ヘキサンを加えて沈殿物を誘導した。得られた沈殿物を数回ヘキサンで洗って、赤色固体の化合物を得た(収率70%)。
【0102】
1H NMR(400MHz,C66):0.66(MeSi,3H,s),1.16(tert−BuO,9H,s),1.35(Si−CH2,2H,m),1.40−1.75(CH2,8H,m),2.70,3.30(tert−BuO−CH2,2H,t),5.46(CpH,2H,br d),6.46(CpH,2H,br s),7.05−7.20(Flu−H,2H,m),7.34(Flu−H,1H,d),7.39(Flu−H,1H,d),7.46(Flu−H,2H,t),7.89(Flu−H,2H,d)。
【0103】
製造例2−7(前駆体I)
【0104】
【化17】
【0105】
段階1)リガンド化合物の製造
−20℃で、反応器に、フルオレン(3.33g、20mmol)、ヘキサン(100mL)、およびMTBE(1.2mL、10mmol)を入れて、8mLのn−BuLi(2.5M in Hexane)をゆっくり加えて、常温で6時間撹拌した。撹拌終了後、反応器の温度を−30℃に冷却させ、−30℃で、ヘキサン(100mL)に溶けている(6−タート−ブトキシヘキシル)ジクロロ(メチル)シラン((6−tert−butoxyhexyl)dichloro(methyl)silane)(2.7g、10mmol)溶液に、前記製造されたフルオレニルリチウム溶液を1時間かけてゆっくり加えた。常温で8時間以上撹拌した後、水を添加して抽出し、乾燥(evaporation)して、リガンド化合物を得た(5.3g、収率100%)。リガンドの構造はNMRを通して確認した。
【0106】
1H NMR(500MHz,CDCl3):−0.35(MeSi,3H,s),0.26(Si−CH2,2H,m),0.58(CH2,2H,m),0.95(CH2,4H,m),1.17(tert−BuO,9H,s),1.29(CH2,2H,m),3.21(tert−BuO−CH2,2H,t),4.10(Flu−9H,2H,s),7.25(Flu−H,4H,m),7.35(Flu−H,4H,m),7.40(Flu−H,4H,m),7.85(Flu−H,4H,d)。
【0107】
段階2)メタロセン化合物の製造
−20℃で、前記段階1で製造したリガンド(3.18g、6mmol)/MTBE(20mL)溶液に、4.8mLのn−BuLi(2.5M in Hexane)をゆっくり加えて、常温に上げながら8時間以上反応させた後、−20℃で、前記製造されたジリチウム塩(dilithium salts)スラリー溶液を、ZrCl4(THF)2(2.26g、6mmol)/ヘキサン(20mL)のスラリー溶液にゆっくり加えて、常温で8時間さらに反応させた。沈殿物をろ過し、数回ヘキサンで洗って、赤色固体形態の化合物を得た(4.3g、収率94.5%)。
【0108】
1H NMR(500MHz,C66):1.15(tert−BuO,9H,s),1.26(MeSi,3H,s),1.58(Si−CH2,2H,m),1.66(CH2,4H,m),1.91(CH2,4H,m),3.32(tert−BuO−CH2,2H,t),6.86(Flu−H,2H,t),6.90(Flu−H,2H,t),7.15(Flu−H,4H,m),7.60(Flu−H,4H,dd),7.64(Flu−H,2H,d),7.77(Flu−H,2H,d)。
【0109】
製造例2−8(前駆体J)
【0110】
【化18】
【0111】
前記構造のメタロセン触媒(CAS No.126642−97−5)をALFA Chemistry社から購入して使用した。
【0112】
製造例2−9(前駆体K)
【0113】
【化19】
【0114】
段階1)リガンド化合物の製造
アルゴン下で乾燥した250mLのSchlenk flask(第1フラスコ)に、インデン(indene)1.162g(10mmol)を入れて、エーテル5mLおよびヘキサン40mLの共溶媒に溶解した。前記溶液を0℃まで冷却した後、2.5Mのn−BuLiヘキサン溶液4.8mL(12mmol)を滴加した。前記混合物をゆっくり常温に昇温させて1日間撹拌した。他の250mLのSchlenk flask(第2フラスコ)に、(6−タート−ブトキシヘキシル)ジクロロ(メチル)シラン((6−tert−butoxyhexyl)dichloro(methyl)silane)2.713g(10mmol)とヘキサン100mLを入れて、−78℃まで冷却した後、これに前記準備された第1フラスコの混合物を滴加した。
【0115】
他の乾燥した250mLのSchlenk flask(第3フラスコ)に、2−メチル−4−フェニルインデン(2−methyl−4−phenyl indene)2.063g(10mmol)を入れて、エーテル40mLに溶解した。前記溶液を0℃まで冷却した後、2.5Mのn−BuLiヘキサン溶液4.8mL(12mmol)を滴加した。前記混合物をゆっくり常温に昇温させて1日間撹拌した。これに0.1mol%のcopper cyanideを滴加した後、1時間撹拌した。前記混合物を前記第2フラスコに入れて1日間撹拌した。これに水50mLを入れてquenchingし、エーテルでwork−upして有機層を分離して、MgSO4で乾燥させた。その結果、5.53g(10.61mmol、106.1%)の生成物を褐色オイルとして得た。
【0116】
NMR基準purity(wt%)=100%、Mw:520.82
1H NMR(500MHz,CDCl3):−0.44,−0.36,−0.28,−0.19,0.09−0.031(total 3H,m),0.84(1H,m),1.09(9H,s),1.23−1.47(10H,m),2.14(3H,s),3.25(2H,m),3.45(2H,m),6.38,6.53,6.88,6.92(total 2H,m),6.93(1H,m),7.11−7.24(2H,m),7.28−7.32(3H,m),7.35(2H,m),7.44(3H,m),7.53(2H,m)。
【0117】
段階2)メタロセン化合物の製造
オーブンで乾燥した250mLのSchlenk flaskに、前記段階1で合成したリガンド化合物を入れて、4当量のMTBEとトルエンに溶かした後、2.1当量のn−BuLi溶液を加えて24時間lithiationさせた。Glove box内から2.1当量のZrCl4(THF)2を取って250mLのSchlenk flaskに入れて、エーテルを入れてサスペンション(suspension)を準備した。前記2つのフラスコとも−78℃まで冷却させた後、lithiationされたリガンド化合物をゆっくりZrCl4(THF)2のサスペンションに加えた。前記混合物をゆっくり常温に昇温させて1日間撹拌した後、真空減圧し、トルエン溶液をアルゴン下でろ過し、ろ過した固体フィルターケーキ(filter cake)のLiClを除去した。ろ過液を真空減圧してトルエンを除去し、前の溶媒程度のペンタンを加えて再結晶させた。製造されたペンタンスラリーをアルゴン下でろ過し、ろ過した固体とろ過液を全て真空減圧下で溶媒を蒸発させた。前記残ったフィルターケーキ(filter cake)とfiltrateをそれぞれNMRを通して確認し、Glove box内で計量して、収率および純度を確認した。その結果、フィルターケーキ(filter cake)3.15g(4.63mmol、46.3%)の橙色固体が得られた。
【0118】
NMR基準purity(wt%)=100%、Mw:680.93
1H NMR(500MHz,CDCl3):0.01(3H,s),0.89(3H,m),1.19(9H,s),1.26−1.33(6H,m),1.50(4H,m),2.06,2.15,2.36(total 3H,m),3.35(2H,m),3.66(1H,s),6.11−6.99(3H,s),7.13−7.17(2H,m),7.36−7.68(10H,m)。
【0119】
III.第3触媒の製造
製造例3(前駆体L)
【0120】
【化20】
【0121】
テトラメチルシクロペンタジエン(tetramethylcyclopentadiene)150g(1.2mol)とTHF2.4Lを反応器に入れて、反応器の温度を−20℃に冷却した。n−BuLi480mLを、フィーディングポンプを用いて5mL/minの速度で反応器に加えた。反応器の温度をゆっくり常温に昇温しながら12時間撹拌した。1当量の(6−タート−ブトキシヘキシル)ジクロロ(メチル)シラン326g(350mL)を速やかに反応器に加えた。反応器の温度をゆっくり常温に上げながら12時間撹拌した後、再び反応器の温度を0℃に冷却させ、2当量のt−BuNH2を加えた。反応器の温度をゆっくり常温に昇温しながら12時間撹拌した。THFを除去し、ヘキサン4Lを加えて、ラブドリを通して塩を除去したフィルター溶液を得た。フィルター溶液を再び反応器に加えた後、ヘキサンを70℃で除去して黄色の溶液を得ており、NMRを通してメチル(6−t−ブトキシヘキシル)(テトラメチルCpH)t−ブチルアミノシラン(Methyl(6−t−buthoxyhexyl)(tetramethylCpH)t−Butylaminosilane)化合物であることを確認した。−78℃でn−BuLiを入れて、TiCl3(THF)3(10mmol)を速やかに加えた。反応溶液をゆっくり常温に昇温しながら12時間撹拌した。常温で1当量のPbCl2(10mmol)を加えた後、12時間撹拌して、青色を呈する濃黒色の溶液を得た。生成された反応溶液からTHFを除去した後、ヘキサンを加えて生成物をフィルターした。得られたフィルター溶液からヘキサンを除去して、生成物を得た。
【0122】
1H NMR(CDCl3):0.7(3H,s),1.2(9H,s),1.4(9H,s),0.8−1.8(8H,m),2.1(6H,s),2.2(s,6H),3.3(4H,s)。
【0123】
IV.混成担持触媒の製造
実施例1
350mLのautoclaveガラス反応器にトルエン100mLを入れて、シリカ(Grace Davison、SP2410)10gを投入した後、40℃に上昇させながら撹拌した。反応器に30wt%メチルアルミノキサン(MAO)/トルエン溶液(Albemarle社)30mLを投入し、70℃に昇温した後、200rpmで12時間撹拌した。40℃に冷却した後、撹拌を中止して10分間セトリングし、反応溶液をデカンテーションした。反応器にトルエン100mLを投入して10分間撹拌した後、撹拌を中止して10分間セトリングさせ、トルエン溶液をデカンテーションした。反応器にトルエン50mLを投入し、製造例1−1で製造した化合物0.30gとトルエン30mLを反応器に投入し、200rpmで90分間撹拌した。撹拌を中止して10分間セトリングした後、反応溶液をデカンテーションした。反応器にトルエン50mLを投入し、製造例2−3で製造した化合物0.20gとトルエン20mLを反応器に投入し、200rpmで90分間撹拌した。反応器の温度を常温に冷却し、撹拌を中止した後、10分間セトリングし、反応溶液をデカンテーションした。反応器にヘキサン100mLを投入し、ヘキサンスラリーを250mLのSchlenk flaskに移送し、ヘキサン溶液をデカンテーションした。常温で3時間減圧下で乾燥して、15.0gの担持触媒を製造した。
【0124】
実施例2
前記実施例1と同様の方法で製造するが、製造例2−3で製造した化合物の代わりに製造例2−1で製造した化合物0.15gを使用して、担持触媒15.5gを製造した。
【0125】
実施例3
前記実施例1と同様の方法で製造するが、製造例2−3で製造した化合物の代わりに製造例2−5で製造した化合物0.13gを使用して、担持触媒15.0gを製造した。
【0126】
実施例4
前記実施例1と同様の方法で製造するが、製造例1−1で製造した化合物の代わりに製造例1−2で製造した化合物0.20gを使用し、製造例2−3で製造した化合物の代わりに製造例2−4で製造した化合物0.30gを使用して、担持触媒15.5gを製造した。
【0127】
実施例5
前記実施例4と同様の方法で製造するが、製造例2−4で製造した化合物の代わりに製造例2−1で製造した化合物0.30gを使用して、担持触媒16.5gを製造した。
【0128】
実施例6
前記実施例4と同様の方法で製造するが、製造例2−3で製造した化合物の代わりに製造例2−2で製造した化合物0.25gを使用して、担持触媒16.1gを製造した。
【0129】
実施例7
前記実施例4と同様の方法で製造するが、製造例2−3で製造した化合物の代わりに製造例2−6で製造した化合物0.13gを使用して、担持触媒16.1gを製造した。
【0130】
実施例8
前記実施例4と同様の方法で製造するが、製造例2−3で製造した化合物の代わりに製造例2−7で製造した化合物0.20gを使用して、担持触媒14.9gを製造した。
【0131】
実施例9
前記実施例1と同様の方法で製造するが、製造例1−1で製造した化合物の代わりに製造例1−2で製造した化合物0.22gを使用し、製造例2−3で製造した化合物を0.30gを使用して、担持触媒15.4gを製造した。
【0132】
実施例10
前記実施例9と同様の方法で製造するが、製造例2−3で製造した化合物の代わりに製造例2−8で製造した化合物0.20gを使用して、担持触媒16.7gを製造した。
【0133】
実施例11
前記実施例9と同様の方法で製造するが、製造例2−3で製造した化合物の代わりに製造例2−9で製造した化合物0.32gを使用して、担持触媒16.7gを製造した。
【0134】
実施例12
350mLのautoclaveガラス反応器にトルエン100mLを入れて、シリカ(Grace Davison、SP2410)10gを投入した後、40℃に上昇させながら撹拌した。反応器に30wt%メチルアルミノキサン(MAO)/トルエン溶液(Albemarle社)30mLを投入し、70℃に昇温した後、200rpmで12時間撹拌した。40℃に冷却した後、撹拌を中止して10分間セトリングし、反応溶液をデカンテーションした。反応器にトルエン100mLを投入して10分間撹拌した後、撹拌を中止して10分間セトリングさせ、トルエン溶液をデカンテーションした。反応器にトルエン50mLを投入し、反応器の温度を60℃に昇温させた。反応器に製造例3で製造した化合物0.18gを投入し、200rpmで90分間撹拌した。250mLのSchlenk flaskに、製造例1−2で製造した化合物0.18gと製造例2−1で製造した化合物0.20gを入れて、トルエン50mLを投入した。前記フラスコの溶液を前記反応器に投入し、200rpmで90分間撹拌した。反応器の温度を常温に冷却し、撹拌を中止した後、10分間セトリングし、反応溶液をデカンテーションした。反応器にヘキサン100mLを投入し、ヘキサンスラリーを250mLのSchlenk flaskに移送し、ヘキサン溶液をデカンテーションした。常温で3時間減圧下で乾燥して、16.4gの担持触媒を製造した。
【0135】
実施例13
前記実施例12と同様の方法で製造するが、製造例2−1で製造した化合物の代わりに製造例2−4で製造した化合物0.21gを使用して、担持触媒16.1gを製造した。
【0136】
実施例14
前記実施例12と同様の方法で製造するが、製造例2−1で製造した化合物の代わりに製造例2−7で製造した化合物0.15gを使用して、担持触媒15.1gを製造した。
【0137】
実施例15
前記実施例12と同様の方法で製造するが、製造例3で製造した化合物の代わりに製造例2−5で製造した化合物0.10gを使用して、担持触媒16.3gを製造した。
【0138】
実施例16
前記実施例12と同様の方法で製造するが、製造例3で製造した化合物の代わりに製造例2−3で製造した化合物0.13gを使用して、担持触媒16.0gを製造した。
【0139】
実施例17
前記実施例12と同様の方法で製造するが、製造例3で製造した化合物の代わりに製造例2−2で製造した化合物0.17gを使用して、担持触媒15.4gを製造した。
【0140】
実施例18
350mLのautoclaveガラス反応器にトルエン100mLを入れて、シリカ(Grace Davison、SP2410)10gを投入した後、40℃に上昇させながら撹拌した。反応器に30wt%メチルアルミノキサン(MAO)/トルエン溶液(Albemarle社)25mLを投入し、60℃に昇温した後、200rpmで12時間撹拌した。40℃に冷却した後、撹拌を中止して10分間セトリングし、反応溶液をデカンテーションした。反応器にトルエン100mLを投入して10分間撹拌した後、撹拌を中止して10分間セトリングさせ、トルエン溶液をデカンテーションした。反応器にトルエン50mLを投入し、反応器の温度を40℃に昇温させた。250mLのSchlenk flaskに、製造例1−2で製造した化合物0.30g、製造例2−4で製造した化合物0.20g、および製造例2−6で製造した化合物0.15gを入れて、トルエン70mLを投入した。前記フラスコの溶液を前記反応器に投入し、200rpmで90分間撹拌した。反応器の温度を常温に冷却し、撹拌を中止した後、10分間セトリングし、反応溶液をデカンテーションした。反応器にヘキサン100mLを投入し、ヘキサンスラリーを250mLのSchlenk flaskに移送し、ヘキサン溶液をデカンテーションした。常温で3時間減圧下で乾燥して、15.7gの担持触媒を製造した。
【0141】
比較例1
350mLのautoclaveガラス反応器にトルエン100mLを入れて、シリカ(Grace Davison、SP2410)10gを投入した後、40℃に上昇させながら撹拌した。反応器に30wt%メチルアルミノキサン(MAO)/トルエン溶液(Albemarle社)30mLを投入し、70℃に昇温した後、200rpmで12時間撹拌した。40℃に冷却した後、撹拌を中止して10分間セトリングし、反応溶液をデカンテーションした。反応器にトルエン100mLを投入して10分間撹拌した後、撹拌を中止して10分間セトリングさせ、トルエン溶液をデカンテーションした。反応器にトルエン50mLを投入し、製造例2−6で製造した化合物0.30gとトルエン30mLを反応器に投入し、200rpmで90分間撹拌した。撹拌を中止して10分間セトリングさせた後、反応溶液をデカンテーションした。反応器にトルエン30mLを投入し、製造例2−1で製造した化合物0.15gとトルエン20mLを反応器に投入し、200rpmで90分間撹拌した。反応器の温度を常温に冷却し、撹拌を中止した後、10分間セトリングし、反応溶液をデカンテーションした。反応器にヘキサン100mLを投入し、ヘキサンスラリーを250mLのSchlenk flaskに移送し、ヘキサン溶液をデカンテーションした。常温で3時間減圧下で乾燥して、15.8gの担持触媒を製造した。
【0142】
比較例2
前記比較例1と同様の方法で製造するが、製造例2−6で製造した化合物の代わりに製造例2−3で製造した化合物0.30gを使用し、製造例2−1で製造した化合物の代わりに製造例2−3で製造した化合物0.10gを使用して、担持触媒15.8gを製造した。
【0143】
比較例3
前記比較例2と同様の方法で製造するが、製造例2−3で製造した化合物の代わりに製造例2−4で製造した化合物0.11gを使用して、担持触媒15.9gを製造した。
【0144】
V.重合実験
2LのAutoclave高圧反応器にTeal2mL(1M in Hexane)および1−ヘキセン(1−hexene)80gを投入し、ヘキサン0.6kgを投入した後、500rpmで撹拌しながら温度を70℃に昇温させた。実施例1〜18および比較例1〜3で製造された担持触媒それぞれをヘキサンと共にvialに入れて反応器に投入し、追加的にヘキサン0.2kgを投入した。反応器の内部温度が70℃になると、エチレン圧力30bar下、500rpmで撹拌しながら1時間反応させた。反応終了後、得られたポリマーをフィルターを通してヘキサンを一次除去し、80℃のオーブンで3時間乾燥させた。重合結果を下記表1および表2に示した。また、比較のために、slurry loop process重合工程で製造された商業用mLLDPEのLG化学のLUCENETM SP330およびLUCENETM SP310も併せて示した。
【0145】
【表1】
【0146】
【表2】
【0147】
【表3】