(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1光電変換領域に対する前記第1フローティング拡散領域の配置位置は、前記第2光電変換領域に対する前記第2フローティング拡散領域の配置位置とは異なる請求項1又は請求項2に記載の撮像素子。
前記第1フローティング拡散領域は、前記第1転送ゲートにより前記第1光電変換部からの電荷が転送される第1電荷電圧変換部と、前記第2転送ゲートにより前記第2光電変換部からの電荷が転送される第2電荷電圧変換部と、を有し、
前記第2フローティング拡散領域は、前記第3転送ゲートにより前記第3光電変換部からの電荷が転送される第3電荷電圧変換部と、前記第4転送ゲートにより前記第4光電変換部からの電荷が転送される第4電荷電圧変換部と、を有する請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の撮像素子。
前記第1光電変換領域に対する前記第1フローティング拡散領域の配置位置は、前記第2光電変換領域に対する前記第2フローティング拡散領域の配置位置とは異なる請求項9又は請求項10に記載の撮像素子。
前記第1フローティング拡散領域は、前記第1転送ゲートにより前記第1光電変換部からの電荷が転送される第1電荷電圧変換部と、前記第2転送ゲートにより前記第2光電変換部からの電荷が転送される第2電荷電圧変換部と、を有し、
前記第2フローティング拡散領域は、前記第3転送ゲートにより前記第3光電変換部からの電荷が転送される第3電荷電圧変換部と、前記第4転送ゲートにより前記第4光電変換部からの電荷が転送される第4電荷電圧変換部と、を有する請求項12から請求項14のいずれか一項に記載の撮像素子。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
(第一の実施形態)
図1は、本発明の第一の実施の形態による固体撮像素子3を搭載するデジタルカメラ1を例示するブロック図である。デジタルカメラ1には、撮像光学系として撮影レンズ2が装着される。撮影レンズ2は、マイクロプロセッサ9から指示を受けたレンズ制御部2aによって、フォーカシングレンズや絞りが駆動制御される。撮影レンズ2は、固体撮像素子3の撮像面に被写体像を結像させる。
【0010】
固体撮像素子3は、マイクロプロセッサ9から指示を受けた撮像制御部4からの駆動信号に基づいて、被写体像を光電変換する。固体撮像素子3から出力される光電変換信号は、信号処理部5、およびA/D変換部6を介して処理された後、メモリ7に一旦蓄積される。バス8には、レンズ制御部2a、撮像制御部4、メモリ7、マイクロプロセッサ9、焦点演算部(検出処理部)10、記録部11、画像圧縮部12および画像処理部13などが接続される。
【0011】
マイクロプロセッサ9には、レリーズ釦などの操作部9aから操作信号が入力される。マイクロプロセッサ9は、操作部9aからの操作信号に基づいて各ブロックへ指示を送り、デジタルカメラ1の撮影動作を制御する。焦点演算部10は、固体撮像素子3に形成されている画素からの出力信号を用いて位相差検出演算を行うことにより、撮像レンズ2による焦点調節状態(具体的にはデフォーカス量)を検出する。この位相差検出演算は、特開2007−317951号公報に開示されるものと同様であるため、説明を省略する。マイクロプロセッサ9は、デフォーカス量に応じてレンズ制御部2aへフォーカシングレンズの駆動を指示する。
【0012】
画像処理部13は、メモリ7に蓄積された光電変換信号に対して所定の画像処理を行う。画像圧縮部12は、画像処理後の画像データを所定形式でデータ圧縮する。記録部11は、圧縮後の画像データを所定のファイル形式で記録媒体11aに記録する。記録媒体11aは、記録部11に対して着脱自在のメモリカードなどで構成される。
【0013】
本実施形態は、固体撮像素子3において2つの光電変換部を有する画素からの光電変換信号のばらつきを抑える点に特徴を有するので、以降の説明は固体撮像素子3を中心に行う。
図2は、固体撮像素子3の概略構成を例示する図である。固体撮像素子3は、マトリクス状に配置された複数の画素20と、各画素20からの信号を出力するための周辺回路とを有する。撮像領域31は、画素20がマトリクス状に配置されている領域を示す。
図2の例では、撮像領域31として水平に4行×垂直に4列の16画素分の範囲を例示しているが、実際の画素数は
図2に例示するものよりはるかに多い。
【0014】
固体撮像素子3には、各画素20においてそれぞれ2つの光電変換部が設けられる。画素が水平および垂直方向に並ぶ固体撮像素子3において1画素当たり2つの光電変換部が設けられる場合、2つの光電変換部が水平方向に並ぶ場合(水平分割と呼ぶ)と、2つの光電変換部が垂直方向に並ぶ場合(垂直分割と呼ぶ)とが存在する。本実施形態では、撮像領域31の全域にわたって水平分割の画素が配される。ただし、所定の領域には、水平分割の画素に代えて垂直分割の画素が配される。なお、
図2においては水平分割の画素と垂直分割の画素とを区別することなく、共通の符号20で示した。各画素20は、周辺回路からの駆動信号にしたがって光電変換を行い、光電変換信号を出力する。
【0015】
周辺回路は、垂直走査回路21と、水平走査回路22と、これらと接続されている駆動信号線23、24と、画素20からの信号を受け取る垂直信号線25と、垂直信号線25に接続される定電流源26と、相関二重サンプリング回路(CDS回路)27と、CDS回路27から出力される信号を受け取る水平信号線28と、出力アンプ29などで構成される。
【0016】
垂直走査回路21および水平走査回路22は、撮像制御部4からの指示に応じて所定の駆動信号を出力する。各画素20は、垂直走査回路21から出力される駆動信号によって駆動され、光電変換信号を垂直信号線25に出力する。画素20から出力された信号は、CDS回路27にてノイズ除去が施され、水平走査回路22からの駆動信号によって水平信号線28および出力アンプ29を介して外部へ出力される。
【0017】
図3は、
図1で垂直方向に隣接する画素20nおよび20(n+1)を説明する回路図である。
図3において、画素20nは、図示しないマイクロレンズの内側に光電変換部として2つのフォトダイオードPDn1およびPDn2を有する。また、画素20(n+1)は、図示しないマイクロレンズの内側に光電変換部として2つのフォトダイオードPDn(n+1)1およびPD(n+1)2を有する。上述したように、画素20には水平分割の場合と垂直分割の場合とがあるが、両者は回路図に表すと同じである。
【0018】
画素20nにおいて、フォトダイオードPDn1およびPDn2は、それぞれが入射光に応じた電荷を生成する。フォトダイオードPDn1で生成された信号電荷は、転送ゲートTxn1を介して垂直信号線25A側に位置するFD(フローティング拡散)領域へ転送される。FD領域は信号電荷を受け取り、その信号電荷を電圧に変換する。FD領域の電位に応じた信号は、増幅トランジスタAMPによって増幅される。そして、「行」選択トランジスタSELによって選択された「行」の信号として、垂直信号線25Aを介して読み出される。リセットトランジスタRSTは、FD領域の電位をリセットするリセット部として動作する。
【0019】
一方、画素20nのフォトダイオードPDn2で生成された信号電荷は、転送ゲートTxn2を介して垂直信号線25B側に位置するFD(フローティング拡散)領域へ転送される。FD領域は信号電荷を受け取り、その信号電荷を電圧に変換する。FD領域の電位に応じた信号は、増幅トランジスタAMPによって増幅される。そして、「行」選択トランジスタSELによって選択された「行」の信号として、垂直信号線25Bを介して読み出される。リセットトランジスタRSTは、FD領域の電位をリセットするリセット部として動作する。
【0020】
また、画素20(n+1)において、フォトダイオードPD(n+1)1およびPD(n+1)2は、それぞれが入射光に応じた電荷を生成する。生成された電荷に基づく信号の読み出しは、上述した画素20nの場合と同様である。なお、「行」選択トランジスタSELの切替えは、垂直走査回路21から出力される駆動信号によって行われる。
【0021】
図4は、固体撮像素子3において垂直方向に隣接する画素20nおよび20(n+1)を例示する平面図である。
図4(a)は水平分割の場合を例示する図であり、
図4(b)は垂直分割の場合を例示する図である。
【0022】
図4(a)において、画素20nの左右に位置するフォトダイオードPDn1およびPDn2の形状および大きさは、略同じである。また、画素20(n+1)の左右に位置するフォトダイオードPD(n+1)1およびPD(n+1)2の形状および大きさも、略同じである。さらに、画素20nのフォトダイオードPDn1およびPDn2の形状および大きさは、画素20(n+1)のフォトダイオードPD(n+1)1およびPD(n+1)2の形状および大きさと略同じである。つまり、水平分割の画素20の構成は、他の水平分割の画素20と略同じである。
【0023】
本実施形態では、画素20nのフォトダイオードPDn1と、画素20(n+1)のフォトダイオードPD(n+1)1とが、垂直信号線25A側のFD領域、リセットトランジスタRST、「行」選択トランジスタSEL、および増幅トランジスタAMPを共有する。また、画素20nのフォトダイオードPDn2と、画素20(n+1)のフォトダイオードPD(n+1)2とが、垂直信号線25B側のFD領域、リセットトランジスタRST、「行」選択トランジスタSEL、および増幅トランジスタAMPを共有する。このように、複数のトランジスタを垂直方向に隣接する画素間で共有することにより、固体撮像素子3の実装効率を高めている。
【0024】
図4(b)において、画素20nの上下に位置するフォトダイオードPDn1およびPDn2の形状および大きさは、略同じである。また、画素20(n+1)の上下に位置するフォトダイオードPD(n+1)1およびPD(n+1)2の形状および大きさも、略同じである。さらに、画素20nのフォトダイオードPDn1およびPDn2の形状および大きさは、画素20(n+1)のフォトダイオードPD(n+1)1およびPD(n+1)2の形状および大きさと略同じである。つまり、垂直分割の画素20の構成は、他の垂直分割の画素20と略同じである。
【0025】
加えて、上記
図4(a)の場合と
図4(b)の場合とで、各フォトダイオードPDn1、PDn2、PD(n+1)1、およびPD(n+1)2の形状および大きさは、略同じである。つまり、本実施形態では、各画素20の形状および大きさ、すなわち、各画素20が有する2つのフォトダイオードの形状および大きさは、水平分割、垂直分割にかかわらず略同じである。
【0026】
図4(b)の場合も、
図4(a)の場合と同様に、画素20nのフォトダイオードPDn1と、画素20(n+1)のフォトダイオードPD(n+1)1とが、垂直信号線25A側のFD領域、リセットトランジスタRST、「行」選択トランジスタSEL、および増幅トランジスタAMPを共有する。また、画素20nのフォトダイオードPDn2と、画素20(n+1)のフォトダイオードPD(n+1)2とが、垂直信号線25B側のFD領域、リセットトランジスタRST、「行」選択トランジスタSEL、および増幅トランジスタAMPを共有する。
【0027】
第一の実施形態の特徴は、同一の画素内のフォトダイオードに配設される転送ゲートの配設位置が異なることで、水平分割の場合(
図4(a))と垂直分割の場合(
図4(b))とで、全体として転送ゲートTxn1、Txn2、Tx(n+1)1、Tx(n+1)2のゲート幅及びゲート長の大きさ、形状、およびその配設位置を共通に構成した点である。配設位置が共通とは、画素の基準位置(例えば、方形状の画素の対角線の交点である画素中心)からみた転送ゲートTxの位置座標が、各画素において一致することをいう。すなわち、水平分割の場合(
図4(a))と垂直分割の場合(
図4(b))とにかかわらず、対応する転送ゲートTx同士が、同じ大きさで、同じ向きで、同じ位置(画素20の右上と左下の所定位置)に設けられる。これにより、転送ゲートTxの位置が各画素20において同じになるため、全ての画素20において、2つのフォトダイオードPDからFD領域へ電荷Qを転送する条件が等しくなる。また、転送ゲートTxに存在する寄生容量が略等しくなるので、全ての画素20において、FD領域側の容量(FD領域のキャパシタと転送ゲートTxに存在する寄生容量などの合計)を略同じに揃えられる。
【0028】
上述したように、水平分割の場合と垂直分割の場合とにかかわらず、画素内の2つのフォトダイオードの大きさを略同じに構成しているので、フォトダイオードPDに同じ光量の光が入射される場合は、各フォトダイオードPDで発生する電荷Qが略等しくなる。一般に、電位差V=Q/Cが成立することから、上記の如く、電荷Q、電荷Qの転送条件、FD領域側の容量Cを略同じにすることによって、光電変換後の電圧Vが、各フォトダイオードPDの間で等しくなる。すなわち、水平分割の場合と垂直分割の場合とにかかわらず、複数の光電変換部からの光電変換信号のばらつきが抑えられる。
【0029】
複数の光電変換部からの光電変換信号のばらつきを抑えることは、電荷電圧変換効率のばらつきを抑えることと等価である。
【0030】
以上説明した第一の実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)固体撮像素子3は、第1光電変換部PDn1と第2光電変換部PDn2とが水平方向に並ぶ第1画素(水平分割)と、第3光電変換部PDn1と第4光電変換部PDn2とが垂直方向に並ぶ第2画素(垂直分割)と、を有する画素部と、第1画素の第1光電変換部PDn1により生成された信号電荷を第1電荷電圧変換部(FD領域)に転送する第1転送ゲートTxn1と、第1画素の第2光電変換部PDn2により生成された信号電荷を第2電荷電圧変換部(FD領域)に転送する第2転送ゲートTxn2と、第2画素の第3光電変換部PDn1により生成された信号電荷を第3電荷電圧変換部(FD領域)に転送する第3転送ゲートTxn1と、第2画素の第4光電変換部PDn2により生成された信号電荷を第4電荷電圧変換部(FD領域)に転送する第4転送ゲートTxn2と、を備え、第1転送ゲートTxn1、第2転送ゲートTxn2、第3転送ゲートTxn1、および第4転送ゲートTxn2は、第1電荷電圧変換部(FD領域)、第2電荷電圧変換部(FD領域)、第3電荷電圧変換部(FD領域)、および第4電荷電圧変換部(FD領域)による電圧変換効率を揃えるように、第1光電変換部PDn1、第2光電変換部PDn2、第3光電変換部PDn1、および第4光電変換部PDn2にそれぞれ配置されている。これにより、水平分割の場合(第1画素)と垂直分割の場合(第2画素)とにかかわらず、複数の光電変換部からの光電変換信号のばらつきが抑えられる。
【0031】
(2)上記(1)の固体撮像素子3において、水平方向と垂直方向とは、互いに直交するので、画素がマトリクス状に配される場合との整合性がよい。
【0032】
(3)上記(1)、(2)の固体撮像素子3において、第1画素の第1転送ゲートTxn1と第2転送ゲートTxn2とが略同じゲート幅及びゲート長で構成されるとともに、第2画素の第3転送ゲートTxn1と第4転送ゲートTxn2とが略同じゲート幅及びゲート長で構成され、かつ、第1転送ゲートTxn1と第2転送ゲートTxn2の第1画素(水平分割)における配置位置、および第3転送ゲートTxn1と第4転送ゲートTxn2の第2画素(垂直分割)における配置位置は、略同じである。これにより、水平分割の場合と垂直分割の場合とにかかわらず、複数の光電変換部からの光電変換信号のばらつきが抑えられる。
【0033】
(4)上記(3)の固体撮像素子3において、第1画素の第1光電変換部PDn1、第1画素の第2光電変換部PDn2、第2画素の第3光電変換部PDn1、および第2画素の第4光電変換部PDn2が略同じ大きさに構成され、第1画素において、第1光電変換部PDn1および第2光電変換部PDn2の長辺にそれぞれ第1転送ゲートTxn1および第2転送ゲートTxn2が配置され、第2画素において、第3光電変換部PDn1および第4光電変換部PDn2の短辺にそれぞれ第3転送ゲートTxn1および第4転送ゲートTxn2が配置されている。これにより、水平分割の場合と垂直分割の場合とにかかわらず、複数の光電変換部からの光電変換信号のばらつきが抑えられる。
【0034】
(変形例1)
第一の実施形態では、水平分割の場合(
図4(a))において、第1画素の転送ゲートTxn1、Txn2、Tx(n+1)1、Tx(n+1)2が、それぞれ長方形状のフォトダイオードPDn1、PDn2、PD(n+1)1、PD(n+1)2の長辺側に設けられる。これに対し、垂直分割の場合(
図4(b))においては、第2画素の転送ゲートTxn1、Txn2、Tx(n+1)1、Tx(n+1)2が、それぞれ長方形状のフォトダイオードPDn1、PDn2、PD(n+1)1、PD(n+1)2の短辺側に設けられる。
【0035】
仮に、転送ゲートTxが設けられるフォトダイオードPDの辺の長さの違いに起因して、水平分割の場合(第1画素)と垂直分割の場合(第2画素)との間で、2つのフォトダイオードPDからFD領域へ電荷Qを転送する条件、またはFD領域側の容量の差異が所定値を超える場合には、転送ゲートTxn1、Txn2、Tx(n+1)1、Tx(n+1)2を、それぞれフォトダイオードPDn1、PDn2、PD(n+1)1、PD(n+1)2の隅に設けるようにしてもよい。
【0036】
図5は、変形例1における、画素20nおよび20(n+1)を説明する平面図である。
図5(a)は水平分割の場合(第1画素)を例示する図であり、
図5(b)は垂直分割の場合(第2画素)を例示する図である。第一の実施形態の
図4(a)、
図4(b)と比べて、各転送ゲートTxの配設位置、およびフォトダイオードPDに対する各転送ゲートTxの角度が相違する。
【0037】
転送ゲートTxn1、Txn2、Tx(n+1)1、Tx(n+1)2を、それぞれフォトダイオードPDn1、PDn2、PD(n+1)1、PD(n+1)2の隅に、かつフォトダイオードPDに対して45度の角度で設けることで、転送ゲートTxn1、Txn2、Tx(n+1)1、Tx(n+1)2が、水平分割の場合(第1画素)と垂直分割の場合(第2画素)とにかかわらず、フォトダイオードPDn1、PDn2、PD(n+1)1、PD(n+1)2の長辺と短辺で挟まれた部位(隅)に、共通の角度(45度)で設けられる。
【0038】
これにより、水平分割の場合(第1画素)と垂直分割の場合(第2画素)とにかかわらず、2つのフォトダイオードPDからFD領域へ電荷Qを転送する条件、およびFD領域側の容量(FD領域のキャパシタと転送ゲートTxに存在する寄生容量などの合計)を略同じに揃えられる。すなわち、水平分割の場合と垂直分割の場合とにかかわらず、複数の光電変換部からの光電変換信号のばらつきが抑えられる。
【0039】
(第二の実施形態)
第一の実施形態では、水平分割の場合(第1画素)と垂直分割の場合(第2画素)とにかかわらず、各画素20において同じ位置(画素の右上と左下の所定位置)に、同じ大きさおよび形状の転送ゲートTxを設けるようにした。第二の実施形態では、水平分割の場合(第1画素)と垂直分割の場合(第2画素)とで、転送ゲートTxの位置を同じにしない代わりに、転送ゲートTxのゲート幅又はゲート長の大きさ、形状を異ならせることにより、水平分割の場合と垂直分割の場合との間で、2つのフォトダイオードPDからFD領域へ電荷Qを転送する条件、およびFD領域側の容量(FD領域のキャパシタと転送ゲートTxに存在する寄生容量などの合計)を揃える。
【0040】
図6は、第二の実施形態における、画素20nおよび20(n+1)を説明する平面図である。
図6(a)は水平分割の場合を例示する図であり、
図6(b)は垂直分割の場合を例示する図である。第一の実施形態の
図4(a)と比べて、水平分割の場合における
図6(a)の各転送ゲートTxn1*、Txn2*、Tx(n+1)1*、Tx(n+1)2*の配設位置、および大きさが相違する。垂直分割の場合における
図6(b)の内容は、第一の実施形態の
図4(b)と同じである。
【0041】
図6(a)において、転送ゲートTxn1*、Txn2*、Tx(n+1)1*、Tx(n+1)2*は、それぞれフォトダイオードPDn1、PDn2、PD(n+1)1、PD(n+1)2の長辺の中央に設けられる。一方、
図6(b)において、転送ゲートTxn1、Txn2、Tx(n+1)1、Tx(n+1)は、それぞれフォトダイオードPDn1、PDn2、PD(n+1)1、PD(n+1)2の短辺の中央に設けられる。ここで、転送ゲートTxn1、Txn2、Tx(n+1)1、Tx(n+1)2のゲート幅又はゲート長の大きさは、水平分割の場合と垂直分割の場合とで異なる。
【0042】
図7は、転送ゲートTxのゲート幅又はゲート長の大きさを、水平分割の場合と垂直分割の場合とで比較する図である。
図7の例では、水平分割の場合の転送ゲートTx*のゲート幅W1、ゲート長L1が、それぞれ垂直分割の場合の転送ゲートTxのゲート幅W2、ゲート長L2より長い。
【0043】
第二の実施形態では、転送ゲートTx*の形状をフォトダイオードPDの大きさに合わせる。例えば、転送ゲートTx*と接続するフォトダイオードPDの辺の長さが垂直分割の場合より水平分割の場合で長い場合は、転送ゲートTx*の形状を、垂直分割の場合より水平分割の場合に大きくする。この理由は以下の通りである。転送ゲートがフォトダイオードPDの長辺の略中央に配される場合は、転送ゲートがフォトダイオードPDの短辺の略中央に配される場合に比べて、転送ゲートの近くに存在する電荷Qが多い。このため、転送ゲートを大きく確保することで電荷転送時に効率よく転送できるから、転送不良の発生を避けることができる。
【0044】
これにより、水平分割の場合と垂直分割の場合とにかかわらず、2つのフォトダイオードPDからFD領域へ電荷Qを転送する条件(転送不良率)、およびFD領域側の容量(FD領域のキャパシタと転送ゲートTxに存在する寄生容量などの合計)を略同じに揃えられる。すなわち、水平分割の場合と垂直分割の場合とにかかわらず、複数の光電変換部からの光電変換信号のばらつきが抑えられる。
【0045】
以上説明した第二の実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)固体撮像素子3は、第1光電変換部PDn1と第2光電変換部PDn2とが水平方向に並ぶ第1画素(水平分割)と、第3光電変換部PDn1と第4光電変換部PDn2とが垂直方向に並ぶ第2画素(垂直分割)と、を有する画素部と、第1画素の第1光電変換部PDn1により生成された信号電荷を第1電荷電圧変換部(FD領域)に転送する第1ゲート部Txn1*と、第1画素の第2光電変換部PDn2により生成された信号電荷を第2電荷電圧変換部(FD領域)に転送する第2転送ゲートTxn2*と、第2画素の第3光電変換部PDn1により生成された信号電荷を第3電荷電圧変換部(FD領域)に転送する第3転送ゲートTxn1と、第2画素の第4光電変換部PDn2により生成された信号電荷を第4電荷電圧変換部(FD領域)に転送する第4転送ゲートTxn2と、を備え、第1転送ゲートTxn1*、第2転送ゲートTxn2*、第3転送ゲートTxn1、および第4転送ゲートTxn2のうち、少なくとも1つの転送ゲートは、第1電荷電圧変換部(FD領域)、第2電荷電圧変換部(FD領域)、第3電荷電圧変換部(FD領域)、および第4電荷電圧変換部(FD領域)による電圧変換効率を揃えるように、ゲート幅又はゲート長の大きさを変えて第1光電変換部PDn1、第2光電変換部PDn2、第3光電変換部PDn1、および第4光電変換部PDn2にそれぞれ配置されている。これにより、水平分割の場合(第1画素)と垂直分割の場合(第2画素)とにかかわらず、複数の光電変換部からの光電変換信号のばらつきが抑えられる。
【0046】
(2)上記(1)に記載の固体撮像素子3において、第1転送ゲートTxn1*と第2転送ゲートTxn2*の第1画素における配置位置、および第3転送ゲートTxn1と第4転送ゲートTxn2の第2画素における配置位置が異なっており、第1転送ゲートTxn1*および第2転送ゲートTxn2*で構成される転送ゲートの大きさと、第3転送ゲートTxn1および第4転送ゲートTxn2で構成される転送ゲートの大きさとが、第1転送ゲートTxn1*および第2転送ゲートTxn2*が配置される第1画素の第1光電変換部PDn1および第2光電変換部PDn2の辺の長さと、第3転送ゲートTxn1および第4転送ゲートTxn2が配置される第2画素の第3光電変換部PDn1および第4光電変換部PDn1の辺の長さと、に応じて異なる。これにより、水平分割の場合と垂直分割の場合とにかかわらず、複数の光電変換部からの光電変換信号のばらつきが抑えられる。
【0047】
(変形例2)
なお、第二の実施形態においては、水平分割の場合の転送ゲートTxの形状を垂直分割の場合より大きくする例を説明したが、垂直分割の場合の転送ゲートTxの形状を水平分割の場合より小さくすることによって、水平分割の場合と垂直分割の場合とで、複数の光電変換部からの光電変換信号のばらつきを抑えるように構成してもよい。
【0048】
以上の説明はあくまで一例であり、上記の実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【0049】
次の優先権基礎出願の開示内容は引用文としてここに組み込まれる。
日本国特許出願2012年第232422号(2012年10月19日出願)