特許第6424085号(P6424085)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6424085
(24)【登録日】2018年10月26日
(45)【発行日】2018年11月14日
(54)【発明の名称】展開型使い捨ておむつ
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/493 20060101AFI20181105BHJP
   A61F 13/56 20060101ALI20181105BHJP
【FI】
   A61F13/493
   A61F13/56 211
【請求項の数】12
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-261992(P2014-261992)
(22)【出願日】2014年12月25日
(65)【公開番号】特開2016-120077(P2016-120077A)
(43)【公開日】2016年7月7日
【審査請求日】2017年7月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】磯貝 友美
【審査官】 米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−179070(JP,A)
【文献】 特開2012−016455(JP,A)
【文献】 特開2013−070735(JP,A)
【文献】 特開平07−313552(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15−13/84
A61L 15/16−15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する縦方向と横方向と厚さ方向とを有するおむつ本体部が、第1胴回り部と股下部と第2胴回り部とを前記縦方向に並んで有し、前記第2胴回り部から前記横方向の外側に突出して設けられたファスニングテープを、前記第1胴回り部に係止することによって、前記第1胴回り部と前記第2胴回り部とが連結されて、一つの胴回り開口部と一対の脚回り開口部とが形成される展開型使い捨ておむつであって、
前記ファスニングテープは、前記第2胴回り部に固定部を介して固定された基材シートと、前記基材シートにおいて前記固定部よりも前記横方向の外側の位置に設けられて、前記第1胴回り部に係止可能な係止部と、を有し、
前記基材シートにおける前記固定部と前記係止部との間の部分の少なくとも一部は、前記横方向の伸縮性を有し、
前記基材シートにおける前記固定部と前記係止部との間の部分には、前記固定部から前記係止部を切り離すための切断線が形成されており、
前記基材シートは、製造時の延伸方向が前記縦方向に沿った樹脂フィルムを有し、
前記樹脂フィルムには、前記切断線が前記縦方向に沿って形成されていることを特徴とする展開型使い捨ておむつ。
【請求項2】
互いに直交する縦方向と横方向と厚さ方向とを有するおむつ本体部が、第1胴回り部と股下部と第2胴回り部とを前記縦方向に並んで有し、前記第2胴回り部から前記横方向の外側に突出して設けられたファスニングテープを、前記第1胴回り部に係止することによって、前記第1胴回り部と前記第2胴回り部とが連結されて、一つの胴回り開口部と一対の脚回り開口部とが形成される展開型使い捨ておむつであって、
前記ファスニングテープは、前記第2胴回り部に固定部を介して固定された基材シートと、前記基材シートにおいて前記固定部よりも前記横方向の外側の位置に設けられて、前記第1胴回り部に係止可能な係止部と、を有し、
前記基材シートにおける前記固定部と前記係止部との間の部分の少なくとも一部は、前記横方向の伸縮性を有し、
前記基材シートにおける前記固定部と前記係止部との間の部分には、前記固定部から前記係止部を切り離すための切断線が形成されており、
前記基材シートは、繊維配向が前記縦方向に沿った不織布を有し、
前記不織布には、前記切断線が前記縦方向に沿って形成されていることを特徴とする展開型使い捨ておむつ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の展開型使い捨ておむつであって、
前記切断線は、少なくとも前記基材シートにおける前記縦方向の端部に形成されていることを特徴とする展開型使い捨ておむつ。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の展開型使い捨ておむつであって、
前記切断線は、前記厚さ方向に貫通する複数の貫通孔を有するともに、前記複数の貫通孔は、前記切断線の延びるべき方向に沿って並んでおり、
前記切断線の延びるべき方向の単位長さ当たりに占める前記貫通孔の長さの割合について比べた場合に、前記基材シートにおける前記縦方向の端部での前記割合よりも前記縦方向の中央部での前記割合の方が小さいことを特徴とする展開型使い捨ておむつ。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載の展開型使い捨ておむつであって、
前記切断線は、前記基材シートにおける前記縦方向の中央部には形成されていないことを特徴とする展開型使い捨ておむつ。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載の展開型使い捨ておむつであって、
前記基材シートにおける前記固定部と前記係止部との間の部分のうちで、前記係止部よりも前記固定部に近い位置に前記切断線が形成されていることを特徴とする展開型使い捨ておむつ。
【請求項7】
請求項6に記載の展開型使い捨ておむつであって、
前記切断線は、前記第2胴回り部に重なっていることを特徴とする展開型使い捨ておむつ。
【請求項8】
請求項1乃至5の何れかに記載の展開型使い捨ておむつであって、
前記基材シートにおける前記固定部と前記係止部との間の部分のうちで、前記固定部よりも前記係止部に近い位置に前記切断線が形成されていることを特徴とする展開型使い捨ておむつ。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れかに記載の展開型使い捨ておむつであって、
展開状態の前記おむつを前記厚さ方向から見た場合に、前記おむつ本体部の形状は、長方形をなしていることを特徴とする展開型使い捨ておむつ。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れかに記載の展開型使い捨ておむつであって、
前記基材シートにおいて前記切断線が形成されている部分には、補強シートが積層されていることを特徴とする展開型使い捨ておむつ。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れかに記載の展開型使い捨ておむつであって、
前記基材シートにおいて前記横方向の伸縮性を有する部分は、3.0(N/25mm)の引っ張り力で前記横方向に引っ張られた場合に、自然長の1.5倍以上に伸長可能であるとともに、伸長状態の解除後には、自然長の1.1倍以下に収縮することを特徴とする展開型使い捨ておむつ。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れかに記載の展開型使い捨ておむつであって、
前記第2胴回り部における前記横方向の各端部には、それぞれ前記ファスニングテープが一つずつ固定されていることを特徴とする展開型使い捨ておむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、展開型使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、展開型の使い捨ておむつが知られている。同おむつは、互いに直交する縦方向と横方向と厚さ方向とを有する。また、同おむつは、第1胴回り部と股下部と第2胴回り部とを縦方向に並んで有する。そして、第2胴回り部の横方向の各端部に設けられた各ファスニングテープを、第1胴回り部のターゲット領域に係止することにより、胴回り開口部と一対の脚回り開口部とが形成されて着用対象者に装着される(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−253608号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、3000グラム以下の低体重で出産される低体重児が存在する。そして、かかる低体重児は出生後、母体内にいたときの胎児様屈曲姿勢で大半の時間を過ごす場合がある。この胎児様屈曲姿勢は、ポジショニング姿勢とも呼ばれ、当該姿勢においては、図1Aに示すように側面視C字状に背中を丸めた状態であるとともに、その脚は、図1Bに示すようにM字に開脚しつつ、両膝が腹部に付くくらい引きつけられた状態となっている。そして、不図示の円座上に寝かせる等の適宜な安全処置が施された上でうつぶせ姿勢とされ、これにより、大半の時間をうつぶせ姿勢で過ごしている。
また、低体重児101によっては、余計なストレスを与えないという観点から、身体に触れないことが望ましいとされるミニマルハンドリングの考え方が適用される場合がある。そして、かような低体重児101にも、展開型の使い捨ておむつ1dp’が使用される。
【0005】
ここで、うつぶせ姿勢においては、一般にファスニングテープ11’のフック材11m’が係止される第1胴回り部1a’のターゲット領域1at’は、低体重児101の腹側、すなわち同児101の身体の下に位置している。そのため、おむつ交換に伴って低体重児101からおむつ1dp’を脱がす際に、第1胴回り部1a’のターゲット領域1at’からフック材11m’を取り外し難い。よって、通常は、同児101を仰向けに体位変更して同ターゲット領域1at’を上に向けてからフック材11m’の係止を外している。
【0006】
しかしながら、上記のような体位変更は、ミニマルハンドリングの観点からは極力行わないのが望ましく、つまり、うつぶせ姿勢のまま低体重児101等の着用対象者からおむつ1dp’を取り外し可能であるのが望ましい。
また、同じくミニマルハンドリングの観点に立てば、同おむつ1dp’を取り外す際に、おむつ交換の作業者が、着用対象者101の身体に極力触れないようにするのが望ましい。
【0007】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、うつぶせ姿勢の着用対象者の身体に極力触れないようにしながら、当該着用対象者から取り外し可能な展開型使い捨ておむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための主たる発明は、
互いに直交する縦方向と横方向と厚さ方向とを有するおむつ本体部が、第1胴回り部と股下部と第2胴回り部とを前記縦方向に並んで有し、前記第2胴回り部から前記横方向の外側に突出して設けられたファスニングテープを、前記第1胴回り部に係止することによって、前記第1胴回り部と前記第2胴回り部とが連結されて、一つの胴回り開口部と一対の脚回り開口部とが形成される展開型使い捨ておむつであって、
前記ファスニングテープは、前記第2胴回り部に固定部を介して固定された基材シートと、前記基材シートにおいて前記固定部よりも前記横方向の外側の位置に設けられて、前記第1胴回り部に係止可能な係止部と、を有し、
前記基材シートにおける前記固定部と前記係止部との間の部分の少なくとも一部は、前記横方向の伸縮性を有し、
前記基材シートにおける前記固定部と前記係止部との間の部分には、前記固定部から前記係止部を切り離すための切断線が形成されており、
前記基材シートは、製造時の延伸方向が前記縦方向に沿った樹脂フィルムを有し、
前記樹脂フィルムには、前記切断線が前記縦方向に沿って形成されていることを特徴とする展開型使い捨ておむつである。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、うつぶせ姿勢の着用対象者から取り外し可能な展開型使い捨ておむつを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1Aは、ポジショニング姿勢の低体重児101の概略側面図であり、図1Bは、図1A中のB−B矢視図である。
図2】本実施形態の使い捨ておむつ1dpの展開状態の概略平面図である。
図3図3A図3B、及び図3Cは、それぞれ、図2中のA−A断面図、同B−B断面図、及び同C−C断面図である。
図4】着用状態の使い捨ておむつ1dpの概略斜視図である。
図5図2とは厚さ方向の逆側から見た同おむつ1dpの展開状態の概略平面図である。
図6図6Aは、おむつ1dpを取り外す前のうつぶせ姿勢の低体重児101の概略側面図であり、図6Bは、うつぶせ姿勢の同児101からおむつ1dpを取り外す様子を示す概略側面図である。
図7】基材シート11aにおける縦方向の各端部11aeには切断線11acを形成し、中央部11amには切断線11acを形成しない態様を示す要部拡大図である。
図8】切断線11acを補強する補強シート14の要部拡大図である。
図9】基材シート11aにおいて第2胴回り部1bと重なる部分11apkに切断線11acが形成された態様を示す要部拡大図である。
図10】新品のおむつ1dpの装着手順の一例を示す概略側面図であり、図10Bは、図10A中のB−B矢視図である。
図11図11A乃至図11Cは、図6Aの着用状態と逆配置でおむつ1dpを着用した場合のおむつ1dpの取り外し手順の説明図である。
図12図12Aは、基材シート11aのうちで固定部jよりもフック材11mに近い位置11apoutに切断線11acが形成された態様を示す要部拡大図であり、図12Bは、当該切断線11acが形成された基材シート11aを有したおむつ1dpを通常の逆配置でうつぶせ姿勢の低体重児101に着用した場合の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
互いに直交する縦方向と横方向と厚さ方向とを有するおむつ本体部が、第1胴回り部と股下部と第2胴回り部とを前記縦方向に並んで有し、前記第2胴回り部から前記横方向の外側に突出して設けられたファスニングテープを、前記第1胴回り部に係止することによって、前記第1胴回り部と前記第2胴回り部とが連結されて、一つの胴回り開口部と一対の脚回り開口部とが形成される展開型使い捨ておむつであって、
前記ファスニングテープは、前記第2胴回り部に固定部を介して固定された基材シートと、前記基材シートにおいて前記固定部よりも前記横方向の外側の位置に設けられて、前記第1胴回り部に係止可能な係止部と、を有し、
前記基材シートにおける前記固定部と前記係止部との間の部分の少なくとも一部は、前記横方向の伸縮性を有し、
前記基材シートにおける前記固定部と前記係止部との間の部分には、前記固定部から前記係止部を切り離すための切断線が形成されていることを特徴とする展開型使い捨ておむつである。
【0012】
このような展開型使い捨ておむつによれば、おむつ交換の際に、第1胴回り部に係止された係止部を当該第1胴回り部から取り外し難いうつぶせ姿勢の場合でも、着用対象者からおむつを容易に取り外すことができる。すなわち、当該うつぶせ姿勢の場合には、ファスニングテープの基材シートは、着用対象者の身体の側方に位置しているので、おむつ交換の作業者は、基材シートに形成された切断線に沿って同シートを比較的容易に切断することができる。そして、同シートを切断すれば、係止部を第1胴回り部への係止状態に維持したまま、第1胴回り部と第2胴回り部との連結を概ね解くことができて、結果、うつぶせ姿勢の着用対象者からおむつを速やかに取り外すことができる。
また、基材シートは、少なくとも上記一部に横方向の伸縮性を有していることから、当該切断作業を同シートの伸長状態で行うことができる。よって、おむつ交換の作業者は、着用対象者の身体から離れた位置で当該切断作業を行うことができて、これにより、作業者の手等が着用対象者の身体に触れること等で与え得るストレスを軽減可能となる。
更に、当該切断線は、基材シートにおける上記固定部と上記係止部との間の部分に形成されている。すなわち、上記固定部よりも横方向の外側の部分であって且つ上記係止部よりも横方向の内側の部分に切断線は形成されている。そのため、基材シートにおいて切断線が形成された部分には、上記固定部及び上記係止部が存在しておらず、このことから、当該切断線を容易に切ることができる。そして、これにより、作業者は切断作業を比較的短時間で終えることができて、このことも、上記のストレスの軽減に有効に寄与する。
【0013】
かかる展開型使い捨ておむつであって、
前記切断線は、少なくとも前記基材シートにおける前記縦方向の端部に形成されているのが望ましい。
【0014】
このような展開型使い捨ておむつによれば、切断線は少なくとも縦方向の端部に形成されているので、当該端部から切り始める際に、切り始めのきっかけをつけ易くなって、結果、基材シートの切断を容易に行うことができる。
【0015】
かかる展開型使い捨ておむつであって、
前記切断線は、前記厚さ方向に貫通する複数の貫通孔を有するともに、前記複数の貫通孔は、前記切断線の延びるべき方向に沿って並んでおり、
前記切断線の延びるべき方向の単位長さ当たりに占める前記貫通孔の長さの割合について比べた場合に、前記基材シートにおける前記縦方向の端部での前記割合よりも前記縦方向の中央部での前記割合の方が小さいのが望ましい。
【0016】
このような展開型使い捨ておむつによれば、切断線は、基材シートにおける縦方向の各端部では切断し易いが、縦方向の中央部では切断し難くなっている。よって、切断線を上記端部から切り始める際に当該切断線を切り易くすることができる。また、おむつの着用中に同シートに作用し得る引っ張り力については、当該中央部でしっかりと受けることができて、結果、当該着用中に切断線が意図せずに完全に分断されてしまう事態を有効に防ぐことができる。
【0017】
かかる展開型使い捨ておむつであって、
前記切断線は、前記基材シートにおける前記縦方向の中央部には形成されていないのが望ましい。
【0018】
このような展開型使い捨ておむつによれば、切断線は、基材シートにおける縦方向の中央部には形成されていないので、おむつの着用中に同シートに作用し得る引っ張り力を同中央部で、よりしっかりと受けることができる。よって、当該着用中に切断線が意図せずに完全に分断されてしまう事態を有効に防ぐことができる。
【0019】
かかる展開型使い捨ておむつであって、
前記基材シートにおける前記固定部と前記係止部との間の部分のうちで、前記係止部よりも前記固定部に近い位置に前記切断線が形成されているのが望ましい。
【0020】
このような展開型使い捨ておむつによれば、切断線は上記固定部に近い位置に形成されている。よって、当該固定部から、切断に必要な反力を速やかに得ることができて、結果、当該切断を容易且つ円滑に行うことができる。
また、一般に、第2胴回り部が着用対象者の背側に位置することが多いことから、うつぶせ姿勢の際には、当該第2胴回り部が着用対象者の上方に位置することが多いが、ここで、上記のように第2胴回り部との上記固定部に近い位置に切断線を形成していれば、当該切断線は、着用対象者の身体における上側の部分に位置し易くなる。よって、切断線の切断作業時に干渉し得るものが少なくなって、当該切断作業を行い易くなる。
【0021】
かかる展開型使い捨ておむつであって、
前記切断線は、前記第2胴回り部に重なっているのが望ましい。
【0022】
このような展開型使い捨ておむつによれば、切断線は、第2胴回り部に重なっているので、同切断線は、上記固定部により近い位置に形成されている。よって、当該固定部から、切断に必要な反力をより速やかに得ることができて、結果、当該切断をより一層容易且つ円滑に行うことができる。
【0023】
かかる展開型使い捨ておむつであって、
前記基材シートにおける前記固定部と前記係止部との間の部分のうちで、前記固定部よりも前記係止部に近い位置に前記切断線が形成されているのが望ましい。
【0024】
このような展開型使い捨ておむつによれば、うつぶせ姿勢の着用対象者の背側に第1胴回り部が位置するようにおむつを装着した場合に、基材シートの切断線の切断作業を行い易くなる。詳しくは次の通りである。先ず、このような装着態様では、第1胴回り部が、うつぶせ姿勢の着用対象者の上方に位置することになるが、ここで、第1胴回り部には上記係止部が係止されるとともに、当該係止部に近い位置に切断線が形成されている。よって、当該切断線は、着用対象者の身体における上側の部分に位置し易くなる。そして、これにより、切断線の切断作業時に干渉し得るものが少なくなって、当該切断作業を行い易くなる。
【0025】
かかる展開型使い捨ておむつであって、
展開状態の前記おむつを前記厚さ方向から見た場合に、前記おむつ本体部の形状は、長方形をなしているのが望ましい。
【0026】
このような展開型使い捨ておむつによれば、おむつ本体部は、所謂サイドフラップに相当する部分を有しない構成となっている。よって、同おむつ本体部が、着用対象者の脚の付け根及びその近傍を概ね覆わないようにすることができる。そして、これにより、脚の付け根及びその近傍に、基材シートの切断作業用の空間を確保することができて、結果、着用対象者に触れることを防ぎながら同シートを容易に切断可能となる。
【0027】
かかる展開型使い捨ておむつであって、
前記基材シートは、製造時の延伸方向が前記縦方向に沿った樹脂フィルムを有し、
前記樹脂フィルムには、前記切断線が前記縦方向に沿って形成されているのが望ましい。
【0028】
このような展開型使い捨ておむつによれば、基材シートに係る樹脂フィルムの製造時の延伸方向は縦方向に沿っているので、同シートは縦方向に切れ易い。よって、当該基材シートを、縦方向に沿った切断線で容易に切断可能となる。
【0029】
かかる展開型使い捨ておむつであって、
前記基材シートは、繊維配向が前記縦方向に沿った不織布を有し、
前記不織布には、前記切断線が前記縦方向に沿って形成されているのが望ましい。
【0030】
このような展開型使い捨ておむつによれば、基材シートに係る不織布の繊維配向は縦方向に沿っているので、同シートは縦方向に切れ易い。よって、当該基材シートを、縦方向に沿った切断線で容易に切断可能となる。
【0031】
かかる展開型使い捨ておむつであって、
前記基材シートにおいて前記切断線が形成されている部分には、補強シートが積層されているのが望ましい。
【0032】
このような展開型使い捨ておむつによれば、基材シートにおいて切断線が形成されている部分は、補強シートで補強されている。よって、おむつの着用時に切断線が意図せずに完全に分断されてしまう事態を有効に防ぐことができる。
【0033】
かかる展開型使い捨ておむつであって、
前記基材シートにおいて前記横方向の伸縮性を有する部分は、3.0(N/25mm)の引っ張り力で前記横方向に引っ張られた場合に、自然長の1.5倍以上に伸長可能であるとともに、伸長状態の解除後には、自然長の1.1倍以下に収縮するのが望ましい。
【0034】
このような展開型使い捨ておむつによれば、基材シートにおいて横方向の伸縮性を有する部分は、自然長の1.5倍以上に伸長可能である。よって、おむつ交換の作業者は、自身の手を着用対象者の身体から離した状態で基材シートの切断作業を行うことができて、その結果、当該手が着用対象者の身体に触れること等で与え得るストレスを軽減することができる。
【0035】
かかる展開型使い捨ておむつであって、
前記第2胴回り部における前記横方向の各端部には、それぞれ前記ファスニングテープが一つずつ固定されているのが望ましい。
【0036】
このような展開型使い捨ておむつによれば、ファスニングテープは、上記各端部にそれぞれ一つずつ設けられている。よって、ファスニングテープの基材シートが、横方向におむつ本体部を横切るような長さの一つの長尺シートで形成された場合と比べて、各基材シートの横方向の長さの合計値を短くすることができて、その結果、コスト削減を図れる。
【0037】
===本実施形態===
図2は、本実施形態の使い捨ておむつ1dpの展開状態の概略平面図である。また、図3A図3B、及び図3Cは、それぞれ、図2中のA−A断面図、同B−B断面図、及び同C−C断面図である。更に、図4は、着用状態の使い捨ておむつ1dpの概略斜視図である。図5は、図2とは逆側から見た同おむつ1dpの展開状態の概略平面図である。
【0038】
このおむつ1dpは、ファスニングテープ11を用いて着用対象者101に装着される所謂展開型のおむつであり、特に、3000グラム以下の低体重児101に好適に使用されるものである。以下では、着用対象者を低体重児101として説明するが、何等これに限らず、着用対象者は、乳児や幼児でも良いし、大人でも良い。すなわち、前述のミニマルハンドリングの考え方は、体力低下した高齢者などの大人の介護の際にもあてはまることから、当該おむつ1dpの着用対象者は、大人でも良い。
【0039】
おむつ1dpは、吸収体3を有するおむつ本体部1と、おむつ本体部1に固定された一対のファスニングテープ11,11と、を有する。そして、図2の展開状態においては、おむつ本体部1は、互いに直交する三方向として縦方向と横方向と厚さ方向とを有する。ここで、同おむつ本体部1は、縦方向に関しては、第1胴回り部1aと股下部1mと第2胴回り部1bとをこの順番で並んで有していて、図4の装着状態では、一般に、第1胴回り部1aは低体重児101の腹側を覆い、股下部1mは同児101の股間を覆い、第2胴回り部1bは同児101の背側を覆う。但し、場合によっては、おむつ本体部1の縦方向を上述とは逆向きにして低体重児101に装着することもある。つまり、第1胴回り部1aが低体重児101の背側を覆い、第2胴回り部1bが同腹側を覆うようにおむつ1dpを装着しても良い。
【0040】
一方、各ファスニングテープ11,11は、それぞれ第2胴回り部1bの横方向の各端部1be,1beに設けられている。そして、同おむつ本体部1を低体重児101に装着する際には、図4に示すように、第1胴回り部1aに設けられたターゲット領域1atに、各ファスニングテープ11の係止部11mを係止する。すると、同図4に示すように、同テープ11を介して第1胴回り部1aと第2胴回り部1bとが連結されて、これにより、胴回り開口部1HBと一対の脚回り開口部1HL,1HLとが形成されて、おむつ本体部1は低体重児101に装着される。
【0041】
なお、以下では、おむつ本体部1の厚さ方向の一方側のことを「肌側」とも言い、他方側のことを「非肌側」とも言う。ちなみに、図2の概略平面図は、展開状態のおむつ1dpを肌側から見たものである一方、図5の概略平面図は、同おむつ1dpを非肌側から見たものである。
【0042】
<<<おむつ本体部1>>>
図2の展開状態では、おむつ本体部1の外形形状は、縦方向に長い縦長形状をなしており、この例では、長方形をなしている。すなわち、おむつ本体部1に係る第1胴回り部1aと股下部1mと第2胴回り部1bとの三者は、横方向の寸法が一定且つ互いに同寸とされている。また、この例では着用対象者が低体重児101であることから、おむつ本体部1の横方向の寸法L2は、320mm〜350mmの任意値に設定され、この例では335mmとされている。更に、縦方向の寸法L1は、100mm〜170mmの任意値に設定され、この例では135mmとされている。但し、縦方向及び横方向の各寸法L1,L2は、何等上記に限るものではなく、着用対象者101に応じて適宜変更され得る。
【0043】
おむつ本体部1は、尿等の排泄液を吸収する平面視略矩形形状の吸収体3と、吸収体3を肌側から覆う液透過性のトップシート2と、吸収体3を非肌側から覆う液不透過性の防漏シート4と、防漏シート4を非肌側から覆っておむつ本体部1の最外層をなす外装シート5と、トップシート2上に横方向に一対並んで設けられ、吸収体3の横方向の各端部にそれぞれ立体ギャザー6g,6gを形成する一対の立体ギャザーシート6,6と、を有している。
【0044】
図3A乃至図3Cに示すように、吸収体3は、吸収性コア3cと、吸収性コア3cのほぼ全外周面を被覆するコアラップシート3rsと、を有する。吸収性コア3cは、所定の液体吸収性素材を所定形状の一例としての平面視略矩形形状に成形したものである(図2)。液体吸収性素材としては、パルプ繊維等の液体吸収性繊維や、高吸収性ポリマー(以下、SAPとも言う)等の液体吸収性粒状物を例示できる。また、コアラップシート3rsには、ティッシュペーパーや不織布等の液透過性シートが使用される。なお、吸収性コア3cの形状は、何等上記の平面視略矩形形状に限らず、例えば平面視略砂時計形状でも良い。
【0045】
トップシート2は、例えばエアスルー不織布等の不織布で形成され、図2図3A乃至図3Cに示すように、吸収体3の縦方向の両側及び横方向の両側から突出するような平面寸法を有する。また、防漏シート4も吸収体3の縦方向の両側及び横方向の両側から突出するような平面寸法を有し、ポリエチレンフィルム等の樹脂フィルムで形成される。そして、これら両シート2,4は、吸収体3から縦方向及び横方向に突出する部分で接着や溶着等によって互いに接合され、これにより、両シート2,4同士の間に吸収体3が保持されている。また、防漏シート4の非肌側面に設けられる外装シート5は、例えば不織布等の柔軟なシートで形成されており、そして、同シート5についても、接着や溶着等で防漏シート4に固定されている。但し、この外装シート5については必須構成ではなく、省略可能である。
【0046】
立体ギャザーシート6,6は、不織布等の柔軟なシートで形成され、図2に示すように、トップシート2の横方向の各端部をそれぞれ肌側から覆うように当該各端部に対応させて一対で設けられている。そして、各シート6,6は、それぞれトップシート2の肌側面から起立する立体ギャザー6g,6gを縦方向に沿って形成する。すなわち、各立体ギャザーシート6は、トップシート2にホットメルト接着剤等で固定されて起立不能な縦方向に沿った帯状の基端部6kと、同基端部6kを支点として厚さ方向の肌側に起立可能な起立部6sとを横方向に並んで有している。そして、起立部6sの横方向の先端部には、縦方向に沿った立体ギャザー用弾性部材6rとしての糸ゴム6rが縦方向に伸長状態でホットメルト接着剤等により固定されている。また、図2図3A、及び図3Cに示すように、同起立部6sのうちの縦方向の各端部6sea,6sebは、それぞれトップシート2に伏せられた状態で同シート2に同接着剤6j等で固定されている。よって、当該起立部6sには、上記の立体ギャザー用弾性部材6rから縦方向の収縮力が付与されていて、これにより、起立部6sが複数の襞を形成しながら縦方向に収縮して、厚さ方向の肌側に起立する(図2図3B)。ちなみに、この例では、図2図3A乃至図3Cに示すように、起立部6sが横方向の内側に延びた状態で、縦方向の端部6sea,6sebにて伏せられてトップシート2に固定されているが、何等これに限らない。例えば、起立部6sが横方向の外側に折り返された状態で、縦方向の端部6sea,6sebにてトップシート2に伏せられて固定されていても良い。また、更に言えば、これら立体ギャザー6g,6gについても必須構成ではなく、省略可能である。
【0047】
また、図2及び図3Bに示すように、おむつ本体部1の横方向の各端部には、レッグギャザーを形成する目的で脚回り弾性部材21が縦方向に沿って設けられている。この例では、脚回り弾性部材21として糸ゴムが使用されているとともに、同糸ゴムは防漏シート4と外装シート5との間に介挿されつつ縦方向に伸長状態で接着等により固定されている。よって、当該脚回り弾性部材21の伸長状態が緩和されると、防漏シート4及び外装シート5が縦方向に収縮して複数の襞が形成されて当該襞がレッグギャザーとなる。ちなみに、仮に外装シート5が省略された場合には、同弾性部材21は、防漏シート4と立体ギャザーシート6との間に介挿される。但し、かかるレッグギャザーについても必須構成ではなく、省略可能である。
【0048】
<<<ファスニングテープ11>>>
図5に示すように、ファスニングテープ11,11は、第2胴回り部1bにおける横方向の各端部1be,1beにそれぞれ一つずつ設けられている。各ファスニングテープ11は、それぞれ横長の長方形状の柔軟な基材シート11aを有している。そして、基材シート11aの横方向の内側の端部11aeinが、第2胴回り部1bの非肌側面における横方向の端部1beに重ね合わせられて固定され、これにより、基材シート11aの大半の部分は、第2胴回り部1bよりも横方向の外方に突出している。ここで、かかる固定は、熱溶着や超音波溶着等の溶着で行われていて、これにより、基材シート11aの内側の端部11aeinと第2胴回り部1bの端部1beとの間には、これらを固定するための固定部として溶着部jが形成されている。すなわち、この例では、溶着部jを介して基材シート11aと第2胴回り部1bとは固定されている。但し、固定方法は、何等これに限らない。例えば圧着でも良いし、接着剤による接着でも良く、前者の場合には、固定部jとして圧着部が形成され、後者の場合には、固定部jとして接着剤の硬化層が形成される。
【0049】
また、基材シート11aにおいて第2胴回り部1bよりも横方向の外側に突出している部分の肌側面には、前述の係止部11mとして面ファスナーのフック材11mが固定されており、更にフック材11mは、その肌側面に多数の係止用突起(不図示)を有している。よって、当該係止用突起が、第1胴回り部1aの非肌側面に設定されたターゲット領域1atに引っ掛かることにより、ファスニングテープ11は第1胴回り部1aに係止される。かかるフック材11mには、面ファスナーの分野で周知なものを適宜適用できて、例えば係止用突起が釣り針状のものやT字状のもの等を使用可能である。
【0050】
なお、この例では、外装シート5が不織布であることに起因して、同シート5が上記のフック材11mとの間で十分な係止力を確保可能であることから、外装シート5の非肌側面の一部がターゲット領域1atとして使用されている。但し、何等これに限らない。例えば、外装シート5を省略した場合には、ターゲット領域1atの形成用として、別途、専用のターゲットテープを防漏シート4の非肌側面に貼着しても良い。また、場合によっては、係止部11mとして粘着テープを用いても良く、その場合には、防漏シート4にも粘着で係止可能なことから、ターゲットテープの省略も可能である。
【0051】
以上、おむつ1dpの基本構成について説明したが、本実施形態では、図6Aのうつぶせ姿勢の低体重児101の身体に極力触れないようにしながら、おむつ1dpを取り外し可能にする目的で、ファスニングテープ11の基材シート11aに対して幾つかの工夫を施している。以下、これについて説明する。
【0052】
先ず、図5に示すように、基材シート11aにおける固定部jと係止部11mとの間の部分11apには、固定部jからフック材11mを切り離すための切断線11acが形成されている。この例では、切断線11acはミシン目で形成されているとともに、同切断線11acは、縦方向に沿って形成されている。
そして、図6Aのように低体重児101がうつぶせ姿勢の際には、当該基材シート11aは、主に同児101の身体の側方に位置している。よって、おむつ交換の作業者は、基材シート11aに形成された切断線11acに沿って同シート11aを比較的容易に切断することができる。そして、図6Bのように、同シート11aを切断すれば、フック材11mを第1胴回り部1aへの係止状態に維持したまま、第1胴回り部1aと第2胴回り部1bとの連結を解くことができる。よって、最後に、第2胴回り部1bを後方(脚側)へ引き抜けば、おむつ1dpを速やかに取り外すことができる。
また、この基材シート11aは、図5に示すように横方向の伸縮性を横方向の全長に亘って有している。例えば、この例では、基材シート11aの全長を3.0(N/25mm)の引っ張り力で且つ100(mm/分)の引っ張り速度で横方向に引っ張った場合に、同シート11aは、自然長の2倍まで伸長可能であるとともに、伸長状態の解除後には、自然長の1.1倍以下に収縮する。よって、基材シート11aを引っ張れば、おむつ交換の作業者は、基材シート11aの切断作業を同シート11aの伸長状態で行うことができて、これにより、同児101の身体から離れた位置で同切断作業を行うことができる。そして、その結果、当該切断作業時に、作業者の手等が同児101の身体に極力触れないようにすることができて、これにより、触れることに起因したストレスを軽減可能となる。ちなみに、上述の「3.0(N/25mm)の引っ張り力で且つ100(mm/分)の引っ張り速度で横方向に引っ張る」と言うのは、例えば横方向の長さが20mmの基材シート11aに対して縦方向に25mm当たり3.0Nの引っ張り力を100(mm/分)の引っ張り速度で横方向に付与するという意味である。よって、例えば基材シート11aの縦方向の寸法L11a1が50mmの場合には、6.0Nの引っ張り力を付与することになる。
【0053】
また、図5に示すように、当該切断線11acは、基材シート11aにおける固定部jとフック材11mとの間の部分11apに形成されている。すなわち、固定部jよりも横方向の外側の部分であって且つフック材11mよりも横方向の内側の部分に切断線11acは形成されている。そのため、基材シート11aにおいて切断線11acが形成された部分には、固定部j及びフック材11mが存在しておらず、このことから、当該切断線11acを容易に切ることができる。そして、これにより、おむつ交換の作業者は切断作業を比較的短時間で終えることができて、このことも、上記のストレスの軽減に有効に寄与する。
【0054】
以下、基材シート11a及び切断線11acについて更に詳しく説明する。
図5に示すように、基材シート11aは、横方向に長い横長形状の柔軟なシートであり、より具体的には、平面視長方形のシートである。また、この例では、着用対象者が低体重児101であることや、既述のようにおむつ本体部1の第2胴回り部1bの横方向の寸法L2が95mmであること、並びに同シート11aが自然長の2倍まで伸長可能な伸縮性を有していること等を勘案して、基材シート11aには、横方向の自然長L11a2が60mmよりも若干長いシートが使用されている。そのため、同シート11aが第2胴回り部1bの非肌側面に重ねられて固定部jで固定された状態では、同シート11aは、同第2胴回り部1bから横方向に60mmの長さL11a2pで突出されているとともに、その伸縮性に基づいて、その状態から横方向に最大120mmまで突出した状態に伸長可能である。そして、これにより、基材シート11aには、低体重児101の身体のうちの少なくとも側部を確実に覆いながら、第2胴回り部1bを第1胴回り部1aに連結するための十分な長さが確保されている(図6A)。
【0055】
また、同図5に示すように、基材シート11aの縦方向の寸法L11a1は、例えば25mm〜50mmというように小さく設定されており、この例では、35mmである。そして、このように縦方向の寸法L11a1を小さくしていれば、図6Aに示す着用時に、低体重児101の脚の付け根に基材シート11aがきつく当たることを有効に防ぐことができて、このことも、上記のストレスの軽減に有効に寄与する。
【0056】
かかる伸縮性を有したシート11aとしては、略弾性を示す樹脂フィルムを主体とするシートを例示できる。例えば、ファスニングテープ11の肌面・着衣側表面に配されることとなる不織布(スパンボンド゛等)にポリスチレン系エラストマー(SIS,SBS系)からなる伸縮フィルムをホットメルト接着剤等により貼り合せて一体化し、表面の不織布層をギア延伸したものや、予め伸長させた不織布にスチレン系エラストマーからなるフィルムを貼り合せて作ったもの等の、公知のラミネート樹脂フィルムを用いることが可能である。なお、フィルム層の目付けは40〜100(g/m2)が好ましい。しかし、何等上記のようなフィルムを主体とするシートに限らない。例えば、伸縮性不織布を使用しても良い。
【0057】
なお、上述のように樹脂フィルムを用いた場合には、望ましくは、同フィルムの製造時の延伸方向が、縦方向に沿うように同フィルムが設けられていると良い。すなわち、一般に樹脂フィルムは、その延伸方向に樹脂配向が揃う等の理由で、延伸方向に沿って切り易くなっている。そのため、当該延伸方向が縦方向に沿っていれば、基材シート11aを縦方向に沿った切断線11acで切り易くなる。
【0058】
なお、同様のことが、樹脂フィルムに代えて伸縮性不織布を使用した場合にも言える。すなわち、一般に不織布は繊維配向に沿って切れ易いという性質を有する。そのため、繊維配向が縦方向に沿っていれば、基材シート11aを縦方向に沿った切断線11acで切り易くなる。かかる伸縮性不織布の一例としては、ポリウレタン系エラストマー等の略弾性を示す熱可塑性エラストマー製繊維と、ポリオレフィン系樹脂等の略非弾性を示す熱可塑性樹脂製繊維とを有した不織布等を例示できる。
【0059】
ちなみに、この例では、基材シート11aの全長を3.0(N/25mm)の引っ張り力で且つ100(mm/分)の引っ張り速度で横方向に引っ張った場合に、同シート11aは、自然長の2.0倍まで伸長可能であるとともに、伸長状態の解除後には、自然長の1.1倍以下に収縮する旨を述べたが、何等これに限らない。例えば、同じ引っ張り条件下で、自然長の1.5倍以上に伸長可能であるとともに、伸長状態の解除後には、自然長の1.1倍以下に収縮するシートでも、ファスニングテープ11の基材シート11aとして好適に使用可能である。しかし、望ましくは、同じ引っ張り条件下で、自然長の2.0倍以上に伸長可能であるとともに、伸長状態の解除後には、自然長の1.05倍以下に収縮するシートであると良く、そのようなシートであれば、基材シート11aとして使い易いものとなる。
【0060】
一方、この図5の例では、切断線11acは、基材シート11aに縦方向に沿った直線状に形成されている。よって、基材シート11aを最短距離で切断することができる。但し、何等これに限らない。例えば、縦方向に沿った円弧等の曲線状や、縦方向に沿った波形線状でも良いし、これら以外の形の線状に形成されていても良い。
【0061】
また、この例では、切断線11acはミシン目で形成されている。ミシン目は、周知なように、複数の直線状のスリットの集合体である。すなわち、厚さ方向に基材シート11aを貫通する直線状のスリット(不図示)が、切断線11acの延びるべき方向に沿って複数並んだものである。そして、スリットの長さや、スリットのピッチについては、切断性などを考慮して適宜設定されるが、ここで具体例を挙げると、スリットの長さについては、0.5mm〜3mmを例示でき、また、スリットとスリットとの間の間隔(つまり、スリット同士の間に位置するスリットが無い部分の長さ)については、0.5mm〜2mmを例示できる。ちなみに、上記のスリットのピッチとは、スリットの長さと上記の間隔との合算値のことであると言うこともできる。
【0062】
そして、この図5の例では、切断線11acの縦方向の全長に亘って、スリットの長さは一定値とされており、また、上記の間隔も一定値とされている。よって、縦方向の全長に亘って切断線11acの切断し易さをほぼ一定に維持可能であり、その結果、全長に亘って安定して切断することができる。但し、何等これに限らず、縦方向の位置に応じて切断線11acの切断し易さを異ならせても良い。
【0063】
例えば、図5の右部に示すように、切断線11acを仮想的に縦方向に三つの部分11ace,11acm,11aceに区分した場合に、縦方向の中央部11acmには切断し難いミシン目を設定する一方、縦方向の各端部11ace,11aceには切断し易いミシン目を設定しても良い。そして、このようにしていれば、縦方向の端部11aceから切断線11acを切り始める際に、切るきっかけをつけ易くなって全体として切断線11acを切り易くできる一方で、おむつ1dpの着用中に切断線11acが意図せずに完全に分断してしまう事態を有効に防ぐことができる。すなわち、上記のように縦方向の中央部11acmにおいて切断し難くしていれば、おむつ1dpの着用中に同シート11aに作用し得る引っ張り力を同中央部11acmでしっかりと受けることができて、その結果、上記の着用中の切断線11acの意図しない完全分断を効果的に防ぐことができる。
【0064】
ここで、上記の切断し易いミシン目及び切断し難いミシン目の設定は、例えばミシン目が具備するスリットの長さを変更することで実現することができる。すなわち、一般に、切断線11acの延びるべき方向の単位長さ当たりに占めるスリットの長さの割合が大きい方が切断し易く、この割合が小さい方が切断し難い。そのため、例えば、スリットのピッチを一定に維持しつつ、スリットの長さを異ならせることにより、中央部11acmでの上記割合を、端部11aceでの上記割合よりも小さくすれば、上述の如き端部11aceで切断し易く中央部11acmで切断し難いミシン目を実現可能である。
【0065】
また、上記の意図しない完全分断をより確実に防ぐ観点からは、図7の要部拡大図に示すように、基材シート11aにおける縦方向の中央部11amには切断線11acを形成しないようにして、基材シート11aにおける縦方向の各端部11ae,11aeにのみ切断線11acを形成すると良い。そして、このようにすれば、おむつ1dpの着用中に同シート11aに作用し得る引っ張り力を同中央部11amで、よりしっかりと受けることができて、その結果、上記の完全分断をより確実に防ぐことができる。
【0066】
なお、かかる意図しない分断を防ぐ別の方法として、図8の要部拡大図に示すように、基材シート11aにおける切断線11acが形成されている部分に補強シート14を厚さ方向から積層固定して補強することが挙げられる。かかる補強シート14には、不織布やフィルム等の柔軟なシートを使用可能である。また、補強シート14は伸縮性シートでも良いし、非伸縮性シートでも良いが、補強効果を高める観点からは、非伸縮性シートの方が好ましい。ちなみに、ここで言う伸縮性シートとは、「伸縮性に関する既述の条件を満足するシート」のことを言い、また、非伸縮性シートとは、「3.0(N/25mm)の引っ張り力で且つ100(mm/分)の引っ張り速度で横方向に引っ張った場合に、自然長の1.1倍以下でしか伸長しないシート」のことを言う。また、補強シート14には、基材シート11aの切断線11acと重なる位置にミシン目等で切断線が形成されていても良いし、形成されていなくても良いが、補強効果を高める観点からは、形成されていない方が好ましい。
【0067】
また、図5の左図に示すように、切断線11acの横方向の形成位置は、基材シート11aにおける固定部jとフック材11mとの間の部分11apのうちで、フック材11mよりも固定部jに近い位置11apinとされているのが望ましい。つまり、上記部分11apを横方向に二等分してなる二つの部分11apin,11apoutのうちで固定部j側の部分11apinに切断線11acが形成されていると良い。そして、このようにしていれば、当該固定部jから、切断に必要な反力を速やかに得ることができて、結果、当該切断を容易且つ円滑に行うことができる。
また、同図6Aに示すように、この着用例では、第2胴回り部1bが低体重児101の背側に位置するようにおむつ1dpは着用されている。よって、同図6Aのうつぶせ姿勢の際には、当該第2胴回り部1bが低体重児101の上方に位置することになるが、ここで、上記のように第2胴回り部1bとの上記固定部jに近い位置11apin(図5)に切断線11acが形成されていれば、当該切断線11acは、低体重児101の身体における上側の部分に位置し易くなる。よって、切断線11acの切断作業時に干渉し得るものが少なくなって、当該切断作業を行い易くなる。
なお、これら二つの作用効果は、切断線11acの形成位置が固定部jに近いほど高くなる。そのため、望ましくは、基材シート11aにおける上記部分11apを横方向に五等分してなる五つの領域のうちで最も固定部j側の領域に切断線11acが形成されていると良く、更に望ましくは、上記部分11apを横方向に八等分してなる八つの領域のうちで最も固定部j側の領域に切断線11acが形成されていると良く、更に望ましくは、図9の要部拡大図に示すような非伸長状態において、上記部分11apのうちで第2胴回り部1bと重なる部分11apkに切断線11acが形成されていると良い。
【0068】
ちなみに、図6Bの状態を経て使用済みのおむつ1dpを低体重児101から取り外した後には、新品のおむつ1dpを装着することになるが、その場合には次のようにすれば、うつぶせ姿勢のまま低体重児101におむつ1dpを速やかに装着することができる。
図10Aは、その装着手順を示す概略側面図であり、図10Bは、図10A中のB−B矢視図である。なお、これら図10A及び図10Bでは、新品のおむつ1dpを2点鎖線で示している。
先ず、図10Bに示すように、新品のおむつ1dpは、各ファスニングテープ11,11が横方向の内側に折り畳まれた状態にあって、これにより、同テープ11,11は、おむつ本体部1よりも横方向の外側に突出していない状態にある。そのため、この時点の展開状態のおむつ1dpの外形形状は、おむつ本体部1の外形形状と同じ長方形をなしている。よって、同図10A及び図10Bに示すように、第2胴回り部1bを先頭にして、同児101の下方の空間に、脚側から頭側へと水平の前方に向けておむつ1dpを差し込めば、第2胴回り部1bを同児101の下に速やかに敷き込むことができる。
そうしたら、図10Aに示すように、股下部1mにて同おむつ本体部1を上方に折り曲げて、これにより、第1胴回り部1aで同児101の臀部や背中を上方から覆った状態にする。また、これと同時並行或いは相前後して、第2胴回り部1b上に折り畳まれた各ファスニングテープ11,11を展開して横方向に広げる。そして、最後に、図11Aに示すように、第2胴回り部1bのファスニングテープ11を第1胴回り部1aのターゲット領域1at(図11Aでは不図示)に係止すれば、おむつ1dpは低体重児101に装着される。
ちなみに、この例では、おむつ本体部1の外形形状が長方形であって、サイドフラップのような横方向に突出した部分を有しないことから、上述の差し込み作業(図10A)を円滑に行うことができる。
【0069】
また、上述からわかるように、この図11Aの着用状態は、前述した図6Aの着用状態(通常の着用状態)とは縦方向の配置関係が逆になっている。すなわち、この図11Aでは、低体重児101の腹側に第2胴回り部1bが位置し、同背側に第1胴回り部1aが位置しているが、このような逆配置のおむつ1dpを使用後に取り外すには、次のようにすれば良い。
先ず、低体重児101の背側に位置する第1胴回り部1aのターゲット領域1atからファスニングテープ11のフック材11mの係止を外して、これにより、図11Bに示すように、第1胴回り部1aと第2胴回り部1bとの連結を解く。すると、各ファスニングテープ11の基材シート11aは横方向の外側に突出し得るが、この状態だと、この後に行う第2胴回り部1bの後方(脚側)への引き抜き時に(図11C)、基材シート11aが低体重児101の脚等に引っ掛かる恐れがある。そして、このことは、低体重児101のストレスになる。そこで、図11Bの基材シート11aを切断線11acで切断して、これにより、図11Cのように同シート11aの残部が概ね突出していない状態してから、第2胴回り部1bを後方へ引き抜き、以上をもって、おむつ1dpが低体重児101から取り外される。
【0070】
ちなみに、この図11Aのような逆配置の着用態様時に、万一フック材11mの係止が外れ難い場合には、上記の切断線11acで基材テープ11aを切断して第1胴回り部1aと第2胴回り部1bとの連結を解けば、おむつ1dpを容易に取り外すことができる。そして、その際の切断作業の容易化の観点からは、望ましくは、図12Aに示すように切断線11acが、基材シート11aにおける固定部jとフック材11mとの間の部分11apのうちで固定部jよりもフック材11mに近い位置11apoutに形成されていると良い。
すなわち、このようにされていれば、図12Bのように、切断線11acは、フック材11mが係止される第1胴回り部1aに近い位置に形成されることになるが、そうすると、同図12Bのように、当該切断線11acは、低体重児101の身体における上側の部分に位置し易くなる。そのため、切断線11acの切断作業時に干渉し得るものが少なくなって、当該切断作業を行い易くなる。
【0071】
ところで、冒頭では、本実施形態のおむつ1dpが特に3000グラム以下の低体重児101に好適な旨を述べたが、当該おむつ1dpが、ミニマルハンドリングに伴う前述の課題を有効に解決可能なことを勘案すると、ミニマルハンドリングがより要求されるような場合に、当該おむつ1dpがより有効なものと考えられる。そして、このような場合とは、体重がより軽い場合である。
よって、本実施形態のおむつ1dpは、望ましくは500グラム以上2500グラム未満の低出生体重児に使用されると良く、より望ましくは1000グラム以上1500グラム未満の極低出生体重児に使用されると良く、より一層望ましくは1000グラム未満の超低出生体重児に使用されると良い。
【0072】
また、図2の本実施形態のおむつ1dpは、低体重児101用に特化していることから、既存の新生児用のおむつ1dpよりも小さく形成されている。例えば、新生児用のおむつ1dpの製品長L1、すなわち、おむつ本体部1の縦方向の寸法L1が365mmであり、同横方向の寸法L2が185mm〜265mmであるのに対して、本実施形態のおむつ1dpは低体重児用であることから、既述のように、おむつ本体部1の縦方向の寸法L1が320mm〜350mmとされており、また同横方向の寸法L2が100mm〜170mmとされている。
【0073】
ちなみに、低出生体重児のおむつ本体部1の縦方向の寸法L1及び横方向の寸法L2の一例としては、それぞれ290mm〜330mm及び95mm〜160mmを挙げることができ、また、極低出生体重児のおむつ本体部1の縦方向の寸法L1及び横方向の寸法L2の一例としては、それぞれ250mm〜290mm及び90mm〜130mmを挙げることができ、また、超低出生体重児のおむつ本体部1の縦方向の寸法L1及び横方向の寸法L2の一例としては、それぞれ210mm〜250mm及び85mm〜100mmを挙げることができる。
【0074】
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。例えば、以下に示すような変形が可能である。
【0075】
上述の実施形態では、おむつ本体部1の平面形状を長方形にしていたが、何等これに限らない。例えば、同平面形状を略砂時計形状にしても良い。すなわち、第1胴回り部1a及び第2胴回り部1bがそれぞれ横方向の両側に突出した所謂サイドフラップを有し、これにより、これら第1胴回り部1a及び第2胴回り部1bの横方向の寸法が、股下部1mの横方向の寸法よりも大きくなっていても良い。
但し、ファスニングテープ11の基材シート11aの切断作業性の観点からは、おむつ本体部1の形状は、前者の長方形の方が好ましい。すなわち、後者の略砂時計形状にすると、図1Aのような着用時に、サイドフラップ1asf’が脚の付け根及びその近傍を覆ってしまって切断作業の邪魔になる恐れがあるが、この点につき、前者の長方形にしていれば、図6Aに示すように、着用状態のおむつ本体部1は、脚の付け根及びその近傍を概ね覆わないようになって、これにより、脚の付け根及びその近傍に、基材シート11aの切断作業用の空間を確保することができる。そして、その結果、切断線11acの切断作業を行い易くなる。
【0076】
上述の実施形態では、切断線11acの一例としてミシン目を挙げ、当該ミシン目は、複数の直線状のスリットの集合体であったが、何等これに限らない。例えば、切断線11acの延びるべき方向に沿った円弧状や波形のスリットにしても良い。
【0077】
上述の実施形態では、切断線11acの一例としてミシン目を挙げたが、何等これに限らない。すなわち、周囲の部分と比べて切断線11acが切断し易くなっていれば、ミシン目以外でも良い。例えば、厚さ方向に圧搾又は圧搾溶着して形成された複数の凹部、又は連続した溝状の凹部によって、切断線11acを形成しても良い。
【0078】
上述の実施形態では、基材シート11aとして横方向に長い長方形のシートを例示したが、基材シート11aの平面形状は、何等これに限らない。例えば、横方向の外側へ向かうに従って縦方向の寸法が小さくなった略台形形状でも良いし、これ以外の形状でも良い。
【0079】
上述の実施形態では、図3Aに示すように第2胴回り部1bの非肌側面から基材シート11aが重ね合わせられて同第2胴回り部1bに固定されていたが、何等これに限らない。例えば、第2胴回り部1bの肌側面から基材シート11aが重ね合わせられて固定されても良いし、又は、外装シート5と防漏シート4との間に介挿されて固定されても良いし、或いは、防漏シート4と立体ギャザーシート6との間に介挿されて固定されても良い。
【0080】
上述の実施形態では、図5に示すように第2胴回り部1bにおける横方向の各端部1be,1beには、それぞれファスニングテープ11,11が一つずつ設けられていたが、何等これに限らない。例えば、第2胴回り部1bを横方向に横断するとともに同第2胴回り部1bから横方向の両側に突出するような長さの一つの基材シート11aを使用し、この基材シート11aの横方向の各端部にそれぞれフック材11m,11mをそれぞれ設けても良い。なお、この場合には、基材シート11aは、その横方向の略中央部において第2胴回り部1bに重ね合わせられて、溶着部や圧着部、接着部等の固定部を介して固定される。
【0081】
上述の実施形態では、基材シート11aは、横方向の全長に亘って伸縮性を有していたが、何等これに限らない。例えば、少なくとも基材シート11aにおける固定部jとフック材11mとの間の部分が横方向の伸縮性を有していれば良く、つまり、上記部分以外の部分は、伸縮性を有さない非伸縮性であっても良い。更に言えば、上記固定部jとフック材11mとの間の部分の少なくとも一部が、横方向の伸縮性を有していれば良く、つまり、上記一部以外の部分は、非伸縮性であっても良い。
そして、このようになっていても、切断線11acの切断作業時に、基材シート11aにおいて伸縮性の有る部分を伸長させることができるため、当該切断作業を、低体重児101の身体から離れた位置で行うことができる。よって、このように部分的に伸縮性を有した基材シート11aのファスニングテープ11も、本発明の概念に含まれる。
但し、基材シート11aの全長に亘って伸縮性を有している場合と比べれば、切断作業性が劣ってしまうので、望ましくは、横方向の全長に亘って伸縮性を有していると良い。
なお、このような部分的に伸縮性を有した基材シート11aは、例えば、前述のポリウレタン系エラストマー等の略弾性を示す熱可塑性エラストマー製繊維と、ポリオレフィン系樹脂等の略非弾性を示す熱可塑性樹脂製繊維とを有した不織布に対して、部分的に延伸処理を施すことで得ることができる。すなわち、延伸処理を施した部分では、略非弾性の熱可塑性樹脂製繊維が塑性変形されたり、同繊維同士の接合点が破壊等されて、熱可塑性エラストマー製繊維の略弾性的な伸縮変形を阻害し難い構造に当該部分を変化させることができて、これにより、同部分の伸縮性が発現する一方、延伸処理を施さない部分では、上記の略非弾性の熱可塑性樹脂製繊維がそのままの状態で維持されて、これにより、当該部分には、非伸縮性が維持されることになる。
また、このように部分的に伸縮性を有した基材シート11aの場合において、切断線11acを形成する位置は、伸縮性を有する部分でも良いし、非伸縮性の部分でも良い。但し、意図しない完全切断を防ぐ観点からは、非伸縮性の部分に切断線11acを形成した方が良い。なお、非伸縮性の定義は、前述の補強シート14の説明で述べた定義と同じである。
【符号の説明】
【0082】
1dp おむつ(使い捨ておむつ)、
1 おむつ本体部、1HB 胴回り開口部、1HL 脚回り開口部、
1a 第1胴回り部、1at ターゲット領域、
1b 第2胴回り部、1be 端部、
1m 股下部、
2 トップシート、3 吸収体、3c 吸収性コア、3rs コアラップシート、
4 防漏シート、5 外装シート、6 立体ギャザーシート、
6g 立体ギャザー、6k 基端部、6r 立体ギャザー用弾性部材、
6s 起立部、6sea 端部、6sea 端部、6j 接着剤、
11 ファスニングテープ、11a 基材シート、
11am 中央部、11ae 端部、
11ac 切断線、11ace 端部、11acm 中央部、
11aein 端部、11ap 部分、11apin 位置、11apout 位置、11apk 部分、
11m フック材(係止部)、
14 補強シート、
21 脚回り弾性部材、101 低体重児(着用対象者)、
j 溶着部(固定部)
図1
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図12