特許第6424748号(P6424748)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6424748ノンハロゲン難燃絶縁電線及びノンハロゲン難燃ケーブル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6424748
(24)【登録日】2018年11月2日
(45)【発行日】2018年11月21日
(54)【発明の名称】ノンハロゲン難燃絶縁電線及びノンハロゲン難燃ケーブル
(51)【国際特許分類】
   H01B 7/295 20060101AFI20181112BHJP
   H01B 3/44 20060101ALI20181112BHJP
   H01B 7/18 20060101ALI20181112BHJP
   H01B 7/02 20060101ALI20181112BHJP
   C08L 23/02 20060101ALI20181112BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20181112BHJP
【FI】
   H01B7/295
   H01B3/44 F
   H01B3/44 G
   H01B7/18 H
   H01B7/02 Z
   C08L23/02
   C08K3/22
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-118481(P2015-118481)
(22)【出願日】2015年6月11日
(65)【公開番号】特開2017-4798(P2017-4798A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2017年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100071526
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100099597
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 賢二
(74)【代理人】
【識別番号】100124235
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100124246
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 和光
(74)【代理人】
【識別番号】100128211
【弁理士】
【氏名又は名称】野見山 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100145171
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩行
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 周
(72)【発明者】
【氏名】菊池 龍太郎
(72)【発明者】
【氏名】橋本 充
(72)【発明者】
【氏名】折内 卓矢
【審査官】 神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−017164(JP,A)
【文献】 特開2014−101446(JP,A)
【文献】 特開2005−171172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/295
C08K 3/22
C08L 23/02
H01B 3/44
H01B 7/02
H01B 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体の外周に、架橋された単層又は多層の絶縁層を有し、
前記絶縁層は、200mm/minの変位速度で行なう引張試験における引張弾性率が500MPa以上、破断伸びが120%以下であり、動的粘弾性試験における125℃の貯蔵弾性率が3×10Pa以上であることを特徴とするノンハロゲン難燃絶縁電線。
【請求項2】
前記絶縁層の最外層は、水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムが含有され、比重が1.4以上の被覆材からなることを特徴とする請求項1に記載のノンハロゲン難燃絶縁電線。
【請求項3】
前記絶縁層の最外層は、示差走査熱量測定(DSC)法で120℃以上の融点ピークが含まれている被覆材からなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のノンハロゲン難燃絶縁電線。
【請求項4】
前記被覆材は、ベースポリマとして、融点が120℃以上のポリオレフィンを含有していることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のノンハロゲン難燃絶縁電線。
【請求項5】
前記被覆材は、ベースポリマとして、融点が120℃未満のポリオレフィンを含有していることを特徴とする請求項4に記載のノンハロゲン難燃絶縁電線。
【請求項6】
200mm/minの変位速度で行なう引張試験における引張弾性率が500MPa以上、破断伸びが120%以下であり、動的粘弾性試験における125℃の貯蔵弾性率が3×10Pa以上である架橋されたシースを最外層に有することを特徴とするノンハロゲン難燃ケーブル。
【請求項7】
前記シースは、水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムが含有され、比重が1.4以上の被覆材からなることを特徴とする請求項6に記載のノンハロゲン難燃ケーブル。
【請求項8】
前記シースは、示差走査熱量測定(DSC)法で120℃以上の融点ピークが含まれている被覆材からなることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載のノンハロゲン難燃ケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノンハロゲン難燃絶縁電線及びノンハロゲン難燃ケーブルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両、自動車、機器用などに適用される電線・ケーブルには、必要に応じて、高い耐摩耗性、難燃性、優れた低温特性などが要求される。
【0003】
従来、電線被覆材料として、安価で高難燃であるポリ塩化ビニル(PVC)が広く使われてきた。しかし、PVCはハロゲン元素を含んでおり、燃焼時にハロゲンガスを発生させるため、環境問題が指摘され、ノンハロゲン化が求められている。
【0004】
ノンハロゲン難燃電線を得る方法としては、その被覆材に、難燃剤として、水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウム等の金属水酸化物を高充填する方法が知られている。これらの難燃剤を高充填するには、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)やエチレン−アクリル酸エステル共重合体などの軟質ポリオレフィンが被覆材のベースポリマとして使用される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−8873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、EVA等の軟質ポリオレフィンは、強度が低く、変形しやすいため、耐摩耗性に弱く、傷つきやすい。
【0007】
また、ワイヤーストリッパーなどで電線端末をストリップする際、被覆材が引き伸ばされ、きれいに切断できず、導体上に被覆材の一部が残ることがある。このような現象が発生すると、例えば、抵抗溶接時にスパークが発生し、加工が困難である。
【0008】
また、被覆材の融点を超える高温環境下で使用されると電線同士が融着又は変形することがあり、配線の点検、交換作業が困難となる問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、耐摩耗性、端末加工性、及び高温環境下での取扱い性に優れたノンハロゲン難燃絶縁電線及びノンハロゲン難燃ケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明によれば、以下のノンハロゲン難燃絶縁電線及びノンハロゲン難燃ケーブルが提供される。
【0011】
[1]導体の外周に、架橋された単層又は多層の絶縁層を有し、前記絶縁層は、200mm/minの変位速度で行なう引張試験における引張弾性率が500MPa以上、破断伸びが120%以下であり、動的粘弾性試験における125℃の貯蔵弾性率が3×10Pa以上であることを特徴とするノンハロゲン難燃絶縁電線。
[2]前記絶縁層の最外層は、水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムが含有され、比重が1.4以上の被覆材からなることを特徴とする前記[1]に記載のノンハロゲン難燃絶縁電線。
[3]前記絶縁層の最外層は、示差走査熱量測定(DSC)法で120℃以上の融点ピークが含まれている被覆材からなることを特徴とする前記[1]又は前記[2]に記載のノンハロゲン難燃絶縁電線。
[4]前記被覆材は、ベースポリマとして、融点が120℃以上のポリオレフィンを含有していることを特徴とする前記[2]又は前記[3]に記載のノンハロゲン難燃絶縁電線。
[5]前記被覆材は、ベースポリマとして、融点が120℃未満のポリオレフィンを含有していることを特徴とする前記[4]に記載のノンハロゲン難燃絶縁電線。
[6]200mm/minの変位速度で行なう引張試験における引張弾性率が500MPa以上、破断伸びが120%以下であり、動的粘弾性試験における125℃の貯蔵弾性率が3×10Pa以上である架橋されたシースを最外層に有することを特徴とするノンハロゲン難燃ケーブル。
[7]前記シースは、水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムが含有され、比重が1.4以上の被覆材からなることを特徴とする前記[6]に記載のノンハロゲン難燃ケーブル。
[8]前記シースは、示差走査熱量測定(DSC)法で120℃以上の融点ピークが含まれている被覆材からなることを特徴とする前記[6]又は前記[7]に記載のノンハロゲン難燃ケーブル。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、耐摩耗性、端末加工性、及び高温環境下での取扱い性に優れたノンハロゲン難燃絶縁電線及びノンハロゲン難燃ケーブルが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の絶縁電線の一実施形態(単層絶縁層)を示す断面図である。
図2】本発明の絶縁電線の一実施形態(2層絶縁層)を示す断面図である。
図3】本発明のケーブルの一実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔ノンハロゲン難燃絶縁電線〕
本発明の実施形態に係るノンハロゲン難燃絶縁電線は、導体の外周に、架橋された単層又は多層の絶縁層を有し、前記絶縁層は、200mm/minの変位速度で行なう引張試験における引張弾性率が500MPa以上、破断伸びが120%以下であり、動的粘弾性試験における125℃の貯蔵弾性率が3×10Pa以上であることを特徴とする。
【0015】
図1〜2は、本発明の絶縁電線の一実施形態を示す断面図であり、図1は絶縁層が単層からなる実施形態であり、図2は、絶縁層が2層からなる実施形態である。以下、図を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。
【0016】
本発明の実施の形態においては、絶縁層を、図1のように単層で構成してもよく、また、2層以上の多層構造とすることもできる(図2では2層を例示)。
【0017】
図1に示す本実施の形態に係る絶縁電線10は、導体11と、導体11の直上に被覆された絶縁層12とを備える。絶縁層12は、押出成形により設けることができる。
【0018】
また、図2に示す本実施の形態に係る絶縁電線20は、導体11と、導体11の直上に被覆される絶縁内層21と、絶縁内層21の周囲に被覆された絶縁外層22とを備える。絶縁層21,22は、2層同時押出成形により設けることができる。
【0019】
(導体)
導体11としては、例えば錫メッキ軟銅線を撚り合わせた導体などを好適に使用することができるが、これに限定されるものではない。導体外径も特に限定されるものではないが、例えば0.15〜7mmφ程度の導体を使用することができる。導体11は、図1のように1本である場合に限られず、複数本であってもよい。
【0020】
(絶縁層)
図1に示される単層の絶縁層11は、200mm/minの変位速度で行なう引張試験における引張弾性率が500MPa以上、破断伸びが120%以下であり、動的粘弾性試験における125℃の貯蔵弾性率が3×10Pa以上である。
【0021】
引張弾性率が500MPa未満であると耐摩耗性が確保されない。引張弾性率は600MPa以上が好ましく、700MPa以上ではシャープエッジなどに押し付けられても破断しにくいため、より好ましい。
【0022】
また、破断伸びが120%より高いと、電線端末ストリップ時に被覆材が変形し、導体上に被覆材が残るリスクが高まるため、端末加工性が不十分となる。破断伸びは120%以下であれば良いが、110%以下が好ましく、100%以下であるとより好ましい。
【0023】
また、125℃の貯蔵弾性率を3×10Pa以上とすることで、125℃環境下における電線同士の融着や変形を軽減することができる。125℃の貯蔵弾性率は3.5×10Pa以上であることが好ましく、4×10Pa以上であることがより好ましい。
【0024】
多層の絶縁層の場合においては、多層の絶縁層全体として(図2の2層の場合は、絶縁内層21及び絶縁外層22全体として)、上記の特性を満たしていればよい。全体として上記特性を有する絶縁層を絶縁電線の最外層として設ける。
【0025】
絶縁層の最外層(図1では絶縁層12、図2では絶縁外層22)は、比重が1.4以上の被覆材からなることが難燃性が高くなるため好ましい。
【0026】
また、絶縁層の最外層は、示差走査熱量測定(DSC)法で120℃以上の融点ピークが含まれている被覆材からなることが上記特性が得られやすいため好ましい。
【0027】
絶縁層の最外層を構成する被覆材は、ベースポリマとして、ノンハロゲンポリオレフィンであれば使用でき、特に限定されないが、融点が120℃以上のポリオレフィンを含有していることが優れた端末加工性などが得られやすくなるため好ましい。融点が120℃以上のポリオレフィンとしては、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。これらは単独で使用しても併用しても良い。
【0028】
融点が120℃以上のポリオレフィンは、ベースポリマ100質量部中、25〜55質量部含有することが好ましく、30〜50質量部含有することがより好ましく、35〜45質量部含有することがさらに好ましい。
【0029】
120℃以上の融点を持つポリマとしてポリブチレンテレフタレートなどに代表されるエンジニアリングプラスチックが挙げられるが、ノンハロゲン難燃剤を高充填することが難しいため、使用しないことが好ましい。
【0030】
また、上記被覆材は、ベースポリマとして、融点が120℃以上の上記ポリオレフィンと共に、融点が120℃未満のポリオレフィンを含有していることが難燃剤の受容性を高めるため好ましい。融点が120℃未満のポリオレフィンとしては、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、ブタジエン−スチレン共重合などが挙げられる。これらの材料は、マレイン酸などの酸で変性されていても良い。これらは単独で使用しても併用しても良い。マレイン酸などの酸で変性された上記材料と変性されていない上記材料とを併用することが好ましい。
【0031】
融点が120℃未満のポリオレフィンは、ベースポリマ100質量部中、45〜75質量部含有することが好ましく、50〜70質量部含有することがより好ましく、55〜65質量部含有することがさらに好ましい。
【0032】
絶縁層の最外層を構成する被覆材に使用される難燃剤は、ノンハロゲンであればよい。特に金属水酸化物である水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムが好ましい。これらは単独で使用しても併用しても良い。水酸化マグネシウムはメインの脱水反応が350℃と高く、難燃性が良好なためより好ましい。ノンハロゲン難燃剤として赤リンなどのリン系難燃剤やメラミンシアヌレートなどのトリアジン系難燃剤もあるが、人体に有害であるホスフィンガスやシアンガスを発生するため、使用しないことが好ましい。
【0033】
他に適用可能な具体的なノンハロゲン難燃剤としては、クレー、シリカ、スズ酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、ホウ酸カルシウム、水酸化ドロマイド、シリコーンが挙げられる。
【0034】
難燃剤は、分散性などを考慮し、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、ステアリン酸などの脂肪酸などによって表面処理が施されていても良い。
【0035】
難燃剤の添加量は特に限定はしないが、ポリオレフィンに水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムを高充填し、前述の通り、被覆材の比重を1.4以上にすると高い難燃性を得ることができる。例えば、水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムをベースポリマ100質量部に対し、110〜190質量部添加することが好ましい。
【0036】
絶縁層の最外層を構成する被覆材(樹脂組成物)には、必要に応じて、架橋剤、架橋助剤、難燃剤、難燃助剤、紫外線吸収剤、光安定剤、軟化剤、滑剤、着色剤、補強剤、界面活性剤、無機充填剤、酸化防止剤、可塑剤、金属キレート剤、発泡剤、相溶化剤、加工助剤、安定剤等の各種添加剤を添加することができる。
【0037】
絶縁層の最外層以外の層(図1では無し、図2では絶縁内層21)は、絶縁層全体として前述の特性を有していれば、その材料は特に限定されない。ノンハロゲン樹脂組成物であればよく、そのベースポリマとしては、特に限定されるものではないが、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、エチレン−アクリル酸エステル共重合体などのポリオレフィンが挙げられる。これらは、単独で使用しても2種類以上をブレンドしてもよい。絶縁層の最外層以外の層を構成する被覆材(樹脂組成物)にも、必要に応じて、架橋剤等の上記各種添加剤を添加することができる。
【0038】
絶縁層12、絶縁内層21及び絶縁外層22は、成形後に架橋させることにより形成される。架橋方法としては、有機過酸化物又は硫黄化合物あるいはシラン等を用いた化学架橋、電子線、放射線等による照射架橋、その他の化学反応を利用した架橋等があるが、いずれの架橋方法も適用可能である。
【0039】
絶縁電線10、20は、必要に応じて、編組線等を備えていてもよい。
【0040】
〔ノンハロゲン難燃ケーブル〕
本発明の実施形態に係るノンハロゲン難燃ケーブルは、200mm/minの変位速度で行なう引張試験における引張弾性率が500MPa以上、破断伸びが120%以下であり、動的粘弾性試験における125℃の貯蔵弾性率が3×10Pa以上である架橋されたシースを最外層に有することを特徴とする。
【0041】
図3は、本発明のケーブルの一実施形態を示す断面図である。以下、図を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。
【0042】
本実施の形態に係るケーブル30は、導体11に絶縁層12を被覆した上記の本発明の実施の形態に係る単層絶縁電線10、3本を紙等の介在13と共に撚り合わせた三芯撚り線と、その外周に巻き付けられた押えテープ14と、その外周に押出被覆されたシース15とを備える。三芯撚り線に限らず、電線1本(単芯)でもよく、三芯以外の多芯撚り線であってもよい。押えテープ14は省略することもできるし、編組に替えてもよい。
【0043】
シース15は、上記特性を有するものであり、好ましくは絶縁層12、絶縁外層22を構成する前述の被覆材(樹脂組成物)から構成されている。本実施の形態においては、絶縁層12も上記特性を有するものとし、前述の被覆材(樹脂組成物)から構成したが、これに限られるものではなく、その他の絶縁層用樹脂組成物(ノンハロゲン難燃性樹脂組成物であることが好ましい)から構成されていてもよい。シース15は、成形後に、前述の電子線照射等の方法により架橋処理が施される。
【0044】
本実施の形態においては、シースを、図3のように単層で構成したが、多層構造とすることもできる。この場合、少なくとも最外層は、上記特性を有し、好ましくは前述の被覆材(樹脂組成物)を用いて形成する。また、図1の単層絶縁電線10を使用したが、これに替えて図2の2層絶縁電線20を用いる実施形態としてもよい。
【0045】
ケーブル30は、必要に応じて、編組線等を備えていてもよい。
【実施例】
【0046】
以下に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例によって、いかなる制限を受けるものではない。
【0047】
図1に示す単層絶縁電線10及び図2に示す2層絶縁電線20を以下のようにして製造した。
(1)導体11として、構成37本/0.18mmの錫めっき導体を用いた。
(2)表1及び表2に示す各種成分を配合し、14インチオープンロールにて混練した樹脂組成物を造粒機でペレット化し、外層用材料及び内層用材料を得た。
(3)図1の単層絶縁電線10の製造においては、得られた外層用材料を用いて絶縁厚0.26mmになるように40mm押出機にて絶縁層12を導体11上に被覆した。
(4)図2の2層絶縁電線20の製造においては、得られた外層用材料及び内層用材料を用いて内層厚さ0.1mm、外層厚さ0.16mmになるように40mm押出機で2層押出を行い絶縁内層21及び絶縁外層22を導体11上に被覆した。
(5)得られた絶縁電線に電子線を照射し(実施例及び比較例1は照射量15Mrad、比較例2は10Mrad、比較例3は20Mrad、比較例5は2Mrad)、架橋を行った。比較例4は架橋を行わなかった。
【0048】
単層絶縁電線10の絶縁層12及び2層絶縁電線20の絶縁外層22の比重をJIS-Z8807に準拠して測定した。また、得られた架橋絶縁電線について以下に示す各種試験を行なった。結果を表1に示す。
【0049】
(1)引張試験
導体11を引き抜いた後の絶縁層について、引張速度200mm/minでJISC3005に準拠して引張試験を実施した。引張弾性率が500MPa以上及び破断伸びが120%以下のものを合格品とした。
【0050】
(2)動的粘弾性試験
導体11を引き抜いた後の絶縁層について、JISK7244-4に準拠して周波数10Hz、歪0.08%、昇温温度10℃/minの条件で動的粘弾性試験を実施した。125℃の貯蔵弾性率が3×10Pa以上のものを合格品とした。
【0051】
(3)摩耗試験
EN50305.5.2に準拠して絶縁電線を評価した。摩耗サイクル数が150サイクル以上を合格(○)とし、150サイクル未満を不合格(×)とした。
【0052】
(4)端末加工性試験
ワイヤーストリッパーを用いて、10本の絶縁電線端末を10mmそれぞれストリップし、10本すべての絶縁層が延伸せず処理できたら合格(○)とし、それ以外は不合格(×)とした。
【0053】
(5)融着変形試験(高温環境下での電線の取扱い性)
10本の絶縁電線を束ねて125℃の恒温槽に投入し、電線同士が融着又は変形した電線が5本未満なら合格(○)、5本以上なら不合格(×)とした。
【0054】
(6)難燃性試験
長さ600mmの絶縁電線を垂直にて保ち、絶縁電線にブンゼンバーナの炎を60秒間当てた。炎を取り去った後、炭化距離が300mm未満であれば◎、400mm未満であれば○、450mm未満であれば△、450mm以上を×とした。◎、○、△は合格とし、×を不合格とした。
【0055】
(7)総合評価
総合評価として、上記試験(3)〜(6)のすべての評価が◎又は○のものを合格(◎)とし、△が含まれるものを合格(○)とし、×が含まれるものを不合格(×)とした。
【0056】
表1中の材料は、以下のものを使用した。
1)高密度ポリエチレン(HDPE)(プライムポリマ製、商品名:ハイゼックス5305E) (融点:131℃)
2)直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(日本ポリエチレン製、商品名:ノバテックUF420) (融点:123℃)
3)低密度ポリエチレン(LDPE)(住友化学製、商品名:スミカセンF208-O) (融点:112℃)
4)エチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸3元共重合体(M−EEA)(アルケマ製、商品名:ボンダインLX4110)(融点:107℃)
5)エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(三井デュポンポリケミカル化学製、商品名:エバフレックスEV170)(融点:62℃)
6)エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)(日本ポリエチレン製、商品名:レクスパールA1150)(融点:100℃)
7)水酸化マグネシウム(協和化学社製、商品名:キスマ5L)
8)水酸化アルミニウム(日軽金製、商品名:BF013STV)
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
表1に示すように、実施例1〜4では、すべての評価において◎又は○であったため、総合評価として合格(◎)とした。実施例5では、難燃試験は△で、他の評価において○であったため総合評価として合格(○)とした。
【0060】
表1に示すように、比較例1〜5では以下の通りであった。
比較例1では、破断伸びが120%を超えていたため、端末加工性が不合格(×)であった。したがって、総合評価は不合格(×)とした。
比較例2では、引張弾性率が500MPa未満であり、破断伸びが120%を超えており、125℃の貯蔵弾性率が3×10Pa未満であったため、難燃試験以外の評価が全て不合格(×)であった。したがって、総合評価は不合格(×)とした。
比較例3では、引張弾性率が500MPa未満であったため、摩耗サイクルが不合格(×)であった。したがって、総合評価は不合格(×)とした。
比較例4では、絶縁層が架橋されておらず、また、引張弾性率が500MPa未満であり、破断伸びが120%を超えており、125℃の貯蔵弾性率が3×10Pa未満であったため、難燃試験以外の評価が全て不合格(×)であった。したがって、総合評価は不合格(×)とした。
比較例5では、引張弾性率が500MPa未満であり、破断伸びが120%を超えており、125℃の貯蔵弾性率が3×10Pa未満であったため、難燃試験以外の評価が全て不合格(×)であった。したがって、総合評価は不合格(×)とした。
【符号の説明】
【0061】
10:単層絶縁電線、11:導体、12:絶縁層
20:2層絶縁電線、21:絶縁内層、22:絶縁外層
30:ケーブル、13:介在、14:押えテープ、15:シース
図1
図2
図3