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特許6427119コンテンツ配信システム及びコンテンツ配信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6427119
(24)【登録日】2018年11月2日
(45)【発行日】2018年11月21日
(54)【発明の名称】コンテンツ配信システム及びコンテンツ配信方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/70 20130101AFI20181112BHJP
   H04N 21/482 20110101ALI20181112BHJP
【FI】
   H04L12/70 F
   H04N21/482
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-9745(P2016-9745)
(22)【出願日】2016年1月21日
(65)【公開番号】特開2017-130831(P2017-130831A)
(43)【公開日】2017年7月27日
【審査請求日】2017年12月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】清水 秀和
(72)【発明者】
【氏名】須川 智規
(72)【発明者】
【氏名】結城 直彦
【審査官】 鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−118841(JP,A)
【文献】 特開2013−059062(JP,A)
【文献】 特開2011−061401(JP,A)
【文献】 特開2014−007673(JP,A)
【文献】 特表2015−510301(JP,A)
【文献】 IPv6ネットワーキング ケーススタディ 衛星動画配信サービスを地上に広げるIPv6マルチキャスト,IPv6 magazine No.6 Summer 2003,日本,株式会社インプレス Impress Corporation,2003年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00−12/955
H04L 13/00−13/18
H04L 29/00−29/14
H04N 21/00−21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配信するコンテンツにマルチキャストアドレスを付与する1つ以上のコンテンツ配信部と、
前記コンテンツ配信部からのコンテンツに、前記コンテンツが所属するグループを識別するグループIDを付与し、グループIDを付与されたコンテンツを多重化してブロードキャスト型ネットワークへ送信するコンテンツ多重化送出部と、
前記ブロードキャスト型ネットワークから多重化されたコンテンツを受信し、所望のグループIDを有するコンテンツを選別してグループIDを削除するとともに、他のコンテンツを廃棄するコンテンツ選択部と、
所望のマルチキャストアドレスを有するコンテンツを透過させる設定に基づき、前記コンテンツ選択部が選別したコンテンツのうち、所望のマルチキャストアドレスを有するコンテンツのみを透過させてマルチキャストアドレスを削除するとともに、他のコンテンツを廃棄するコンテンツ処理部と、
を備えるコンテンツ配信システム。
【請求項2】
前記コンテンツ多重化送出部は、前記グループをコンテンツ配信事業者とし、前記グループIDをVLAN−IDとすることを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項3】
前記コンテンツ選択部に選別対象の前記グループIDを設定し、前記コンテンツ処理部に前記マルチキャストアドレスを設定する操作部をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項4】
前記操作部は、前記ブロードキャスト型ネットワークと異なる通信経路で前記グループID及び前記マルチキャストアドレスを取得することを特徴とする請求項3に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項5】
前記操作部は、前記ブロードキャスト型ネットワークと異なる通信経路でコンテンツの再生に必要な情報を取得することを特徴とする請求項3又は4に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項6】
前記コンテンツ処理部は、グループID毎に複数あり、
前記コンテンツ選択部は、コンテンツのグループIDを確認して対応する前記コンテンツ処理部に入力することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のコンテンツ配信システム。
【請求項7】
前記操作部は、
所望のマルチキャストアドレスを有するコンテンツを透過させる設定に基づき、前記コンテンツ選択部が選別したコンテンツのうち、所望のマルチキャストアドレスを有するコンテンツのみを透過させてマルチキャストアドレスを削除するとともに、他のコンテンツを廃棄するコンテンツ処理機能と、
前記コンテンツ処理機能が透過させたコンテンツを表示するコンテンツ出力機能と、
を備えることを特徴とする請求項3、4、5、もしくは請求項3、4又は5を引用する請求項6に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項8】
配信するのコンテンツにマルチキャストアドレスを付与するコンテンツ配信手順と、
前記コンテンツ配信手順後のコンテンツに、前記コンテンツが所属するグループを識別するグループIDを付与し、グループIDを付与されたコンテンツを多重化してブロードキャスト型ネットワークへ送信するコンテンツ多重化送信手順と、
前記ブロードキャスト型ネットワークから多重化されたコンテンツを受信し、所望のグループIDを有するコンテンツを選別してグループIDを削除するとともに、他のコンテンツを廃棄するコンテンツ選択手順と、
所望のマルチキャストアドレスを有するコンテンツを透過させる設定に基づき、前記コンテンツ選択手順で選別したコンテンツのうち、所望のマルチキャストアドレスを有するコンテンツのみを透過させてマルチキャストアドレスを削除するとともに、他のコンテンツを廃棄するコンテンツ処理手順と、
を行うコンテンツ配信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像、音声、ゲーム、電子書籍、アプリケーションソフトと言ったデジタルコンテンツ(以下これらをコンテンツと称する)の配信システム及びその配信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
映像、音声、ゲーム、電子書籍、アプリケーションソフトと言ったデジタルコンテンツの容量は拡大傾向にあり、例えば映像コンテンツは、4K/8Kなどの高ビットレート多チャンネル映像のような、高精細化、多チャンネル化の動きが見られる。このような動きによって、現在FTTH(Fiber−To−The−Home)上で実現されている、1Gbpsまでのデータ伝送能力を有するGE−PON(Gigabit Ethernet(登録商標)−Passive Optical Network)方式や、ケーブル上で同じく1Gbpsのデータ伝送能力を有するDOCSIC3.0(Data Over Cable Service Interface Specifications 3.0)方式等のデータ伝送システムは、高ビットレート多チャンネル映像を配信する場合には将来的に伝送容量に不足が生じる事が想定され、伝送容量の更なる拡大が必要とされている。
【0003】
また、コンテンツが多チャンネル化すると、それらのチャンネルを管理する技術も必要となる。一例として、VLAN−ID(Virtual LAN Identifier)とIP(Internet Protocol)マルチキャストアドレスを対応付けて管理するマルチキャスト管理テーブルを有するマルチキャスト通信装置があり(例えば、特許文献1を参照。)、マルチキャスト用論理リンクを設定する事無く容易な実装で多チャンネルコンテンツの配信を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−5997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の通り、従来の光伝送システムは、将来的に伝送容量に不足が生じる事が想定される。
【0006】
光ファイバネットワーク上でデータ伝送システムの伝送容量を拡大する技術の一例として、ベースバンド光信号をWDM(Wavelength Division Multiplexing)方式で合波する方式が考えられる。この方式は10Gbps級のデータ伝送能力を実現できる事から、高ビットレート多チャンネル映像の配信にも対応できる事が期待される。例えば、ベースバンド光信号を十分低い電力で副搬送波多重光信号に合波することで既存の副搬送波多重伝送ネットワークを活用する技術(特願2015−029559)がある。
【0007】
しかし、利用者の宅内におけるネットワークの伝送容量が従来と変わらず10Mbps〜1Gbps程度であるために、利用者宅までの光伝送システムを広帯域化するだけでは伝送容量の不足という課題を解決しきれない。この課題は10G−EPON(10 Gigabit−Ethernet Passive Optical Network)でも同様に発生する。
【0008】
また、利用者宅までのネットワークを、光伝送システムではなく無線システム(例えば、LTE(Long Term Evolution)や5G)によって広帯域化する事も可能ではある。しかし、光伝送システムと同様に利用者の宅内におけるネットワークの伝送容量に関する問題が解決できない他、それらの無線システムは既存の通信(例えば、電話やインターネット)と帯域を共用する他、電波環境による影響も受けるため、常に十分な伝送帯域を確保できるとは限らない。
【0009】
さらに、仮に大容量(例えば、10Gbps程度)の伝送が可能な宅内ネットワークを利用者が新たに構築するか、あるいは当初より所有しているとしても、利用者が保有している家電製品のネットワークインターフェイスが10Mbps〜1Gbps程度の場合、次のような問題も発生する。このネットワークインターフェイスに10Gbpsのデータが入力される事になるため、それら家電製品の処理能力が不足しデータを取りこぼしたりする他、最悪の場合、ハングアップすることになる。また、古い家電製品は、そのような広帯域のネットワークインターフェイス自体を備えていない。つまり、利用者宅までのネットワークの伝送容量を拡大したとしても、宅内のネットワーク、ならびにネットワークに接続する家電製品が高ビットレート多チャンネル映像配信に対応できていなければ、伝送容量の不足という課題を解決しきれない。
【0010】
前記した、利用者の宅内におけるネットワークの伝送容量ならびに利用者が保有している家電製品のネットワークインターフェイスに関する問題を解決する次の手法が考えられる。その手法は、利用者宅までのネットワークの終端装置(例えばONU(Optical Network Unit))において、その利用者が選択したコンテンツのみを宅内のネットワークに透過し他は破棄する機能を設ける手法である。そのような機能を設ける事で、宅内のネットワークに流通するコンテンツのデータ量は、既存の宅内ネットワークでも伝送可能な程度に低減させる事ができる。
【0011】
しかし、この手法を実現するためには、終端装置が各コンテンツを一意に識別できる必要がある。コンテンツのチャンネル数が増加すれば、コンテンツを識別するために必要な識別子も多数の組み合わせに対応する必要が生じる。よって、対応する組み合わせ数が少ない識別子を用いる簡易な実装では識別子が枯渇する。例えば、特許文献1の方式では、マルチキャストアドレスごとに異なるVLAN−IDが設定されているため、識別できるチャネル数はVLAN−IDの組み合わせ数である4096が上限となる。このように、上記手法を採用するためには、多数の組み合わせに対応する識別子(例えば、IPマルチキャストアドレス)を用いる高度な実装が必須となり、終端装置が複雑化、高価格化することになる。つまり、従来の技術には、伝送容量の増大を図れば、複雑で高価格な終端装置を採用しなければならず、ユーザの既存のネットワークを活用することが困難という課題があった。
【0012】
そこで、本発明は、上記課題を解決すべく、将来的なデータ伝送システムの伝送容量の不足を解決でき、かつ、利用者の宅内における既存のネットワークを活用できる経済的なコンテンツ配信システム及びコンテンツ配信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明は、コンテンツ配信事業者から利用者宅までの区間には広帯域なブロードキャスト型のネットワークを用い、利用者宅においてコンテンツ配信事業者を一意に識別可能な情報とコンテンツそのものを一意に識別可能な情報との2階層の情報によってコンテンツを識別することとした。
【0014】
具体的には、本発明に係るコンテンツ配信システムは、
配信するコンテンツにマルチキャストアドレスを付与する1つ以上のコンテンツ配信部と、
前記コンテンツ配信部からのコンテンツに、前記コンテンツが所属するグループを識別するグループIDを付与し、グループIDを付与されたコンテンツを多重化してブロードキャスト型ネットワークへ送信するコンテンツ多重化送出部と、
前記ブロードキャスト型ネットワークから多重化されたコンテンツを受信し、所望のグループIDを有するコンテンツを選別してグループIDを削除するとともに、他のコンテンツを廃棄するコンテンツ選択部と、
所望のマルチキャストアドレスを有するコンテンツを透過させる設定に基づき、前記コンテンツ選択部が選別したコンテンツのうち、所望のマルチキャストアドレスを有するコンテンツのみを透過させてマルチキャストアドレスを削除するとともに、他のコンテンツを廃棄するコンテンツ処理部と、
を備える。
【0015】
また、本発明に係るコンテンツ配信方法は、
配信するコンテンツにマルチキャストアドレスを付与するコンテンツ配信手順と、
前記コンテンツ配信手順後のコンテンツに、前記コンテンツが所属するグループを識別するグループIDを付与し、グループIDを付与されたコンテンツを多重化してブロードキャスト型ネットワークへ送信するコンテンツ多重化送信手順と、
前記ブロードキャスト型ネットワークから多重化されたコンテンツを受信し、所望のグループIDを有するコンテンツを選別してグループIDを削除するとともに、他のコンテンツを廃棄するコンテンツ選択手順と、
所望のマルチキャストアドレスを有するコンテンツを透過させる設定に基づき、前記コンテンツ選択手順で選別したコンテンツのうち、所望のマルチキャストアドレスを有するコンテンツのみを透過させてマルチキャストアドレスを削除するとともに、他のコンテンツを廃棄するコンテンツ処理手順と、
を行う。
【0016】
本発明は、コンテンツ多重化送出部から受信部までの区間には広帯域な(例えば、10Gbps)ブロードキャスト型のネットワークを用いることで、コンテンツ事業者設備から利用者宅内までの区間における伝送容量の不足を解決する。次に、コンテンツ配信事業者を一意に識別可能な情報とコンテンツそのものを一意に識別可能な情報との2階層の情報によってコンテンツを選別して利用者宅内のネットワークへ導入することで、利用者の既存のネットワークを活用できる。
【0017】
従って、本発明は、将来的なデータ伝送システムの伝送容量の不足を解決でき、かつ、利用者の宅内における既存のネットワークを活用できる経済的なコンテンツ配信システム及びコンテンツ配信方法を提供することができる。
【0018】
本発明に係るコンテンツ配信システムの前記コンテンツ多重化送出部は、前記グループをコンテンツ配信事業者とし、前記グループIDをVLAN−IDとすることが好ましい。
【0019】
本発明に係るコンテンツ配信システムは、前記コンテンツ選択部に選別対象の前記グループIDを設定し、前記コンテンツ処理部に前記マルチキャストアドレスを設定する操作部をさらに備えることを特徴とする。
【0020】
本発明に係るコンテンツ配信システムの前記操作部は、前記ブロードキャスト型ネットワークと異なる通信経路で前記グループID及び前記マルチキャストアドレスを取得することを特徴とする。
【0021】
本発明に係るコンテンツ配信システムの前記操作部は、前記ブロードキャスト型ネットワークと異なる通信経路でコンテンツの再生に必要な情報を取得することを特徴とする。
【0022】
グループIDやマルチキャストアドレスの情報及びコンテンツの再生に必要な情報はコンテンツ本体より小さく既存の公衆通信ネットワークで十分である。このため、利用者はコンテンツの情報を公衆通信ネットワークを通じて場所を問わず入手することができる。
【0023】
本発明に係るコンテンツ配信システムの前記コンテンツ処理部は、グループID毎に複数あり、前記コンテンツ選択部は、コンテンツのグループIDを確認して対応する前記コンテンツ処理部に入力することを特徴とする。コンテンツ処理部を配信事業者ごとのコンテンツ配信方式に対応させることができる。利用者はコンテンツ配信方式の異なる諸所の配信業者のコンテンツを利用可能となる。
【0024】
本発明に係るコンテンツ配信システムの前記操作部は、
所望のマルチキャストアドレスを有するコンテンツを透過させる設定に基づき、前記コンテンツ選択部が選別したコンテンツのうち、所望のマルチキャストアドレスを有するコンテンツのみを透過させてマルチキャストアドレスを削除するとともに、他のコンテンツを廃棄するコンテンツ処理機能と、
前記コンテンツ処理機能が透過させたコンテンツを表示するコンテンツ出力機能と、
を備えることを特徴とする。
利用者は、携帯可能な操作部でコンテンツを視聴することができる。利用者は操作部を持ち出すことで任意の場所でコンテンツを視聴できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、将来的なデータ伝送システムの伝送容量の不足を解決でき、かつ、利用者の宅内における既存のネットワークを活用できる経済的なコンテンツ配信システム及びコンテンツ配信方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明に係るコンテンツ配信システムを説明する図である。
図2】本発明に係るコンテンツ配信システムの動作を説明する図である。
図3】コンテンツ配信局から利用者宅へダウンロードされる情報を説明する図である。
図4】本発明に係るコンテンツ配信システムを説明する図である。
図5】本発明に係るコンテンツ配信システムの動作を説明するシーケンス図である。
図6】本発明に係るコンテンツ配信システムの操作部がコンテンツ一覧を表示した画面例である。
図7】本発明に係るコンテンツ配信システムの操作部で視聴したいコンテンツを選択した画面例である。
図8】本発明に係るコンテンツ配信システムを説明する図である。
図9】本発明に係るコンテンツ配信システムの操作部に表示された、利用者宅内のネットワークの伝送容量が不足する場合の警告メッセージ表示例である。
図10】本発明に係るコンテンツ配信システムの操作部が再生制御画面を表示した例である。
図11】本発明に係るコンテンツ配信システムを説明する図である。
図12】本発明に係るコンテンツ配信システムの動作を説明するシーケンス図である。
図13】本発明に係るコンテンツ配信システムを説明する図である。
図14】本発明に係るコンテンツ配信システムの動作を説明する図である。
図15】本発明に係るコンテンツ配信システムを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施形態であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0028】
[発明概要]
図1は、本発明に係るコンテンツ配信システム300を説明する図である。
コンテンツ配信システム300は、
コンテンツ配信事業者(コンテンツそのものを製作する事業者がコンテンツ配信事業者を兼ねてもよい)がコンテンツごとに異なるIP(Internet Protocol)マルチキャストアドレスを付与した上でコンテンツを送信する、少なくとも1つ以上のコンテンツ配信部11と、
コンテンツ配信部11からのコンテンツを多重化し、コンテンツ配信事業者ごとに異なるVLAN−ID(Virtual LAN Identifier)を付与し、送信するコンテンツ多重化送出部12と、
コンテンツ多重化送出部12からの信号を伝送する広帯域な(例えば、10Gbps)ブロードキャスト型ネットワーク13と、
利用者の宅内にてブロードキャスト型ネットワーク13からの信号を受信する受信部14と、
受信部14からの信号を受信した後、利用者が契約しているコンテンツ配信事業者のコンテンツのみをVLAN−IDを除去した上で出力し他は破棄するコンテンツ選択部15と、
コンテンツ選択部15からの信号を受信した後、利用者からの視聴要求に従って視聴要求があったコンテンツのみをIPマルチキャストアドレスを除去した上で出力し他は破棄するコンテンツ処理部16と、
利用者の操作によってコンテンツ処理部16に視聴要求信号を送信する他、視聴するコンテンツの再生制御(例えば、早送り、巻き戻し、一時停止)を行う操作部18と、
コンテンツ処理部16からのコンテンツを出力するコンテンツ出力部17と、
を備え、
コンテンツ配信部11と操作部18との通信は、ネットワーク19を介して行う。
【0029】
ブロードキャスト型ネットワーク13はPON(Passive Optical Network)のような光伝送システムであってもよいし、LTEのような無線通信システムであってもよい。ネットワーク19は、インターネットや電話回線であってもよい。
【0030】
コンテンツ配信システム300は、コンテンツ配信局101でコンテンツごとに異なるIPマルチキャストアドレスを付与し、さらにコンテンツ配信事業者ごとに異なるVLAN−IDを付与する。コンテンツ配信システム300は、利用者宅102でコンテンツ選択部15が、利用者が契約している配信事業者のコンテンツのみをVLAN−IDを除去した上でコンテンツ処理部16に出力し他は破棄し、コンテンツ処理部16が、利用者が要求したコンテンツのみをIPマルチキャストアドレスを除去した上でコンテンツ出力部17に出力し他は破棄する。
【0031】
前述したとおり、コンテンツ配信システム300は、ブロードキャスト型ネットワーク13によって、利用者宅102に多種多様なコンテンツを配信できるようになるが、それだけでは利用者はその効果を得ることができない。
【0032】
コンテンツ配信システム300は、コンテンツ選択部15を設け、利用者が契約している配信事業者のコンテンツのみを透過し他は破棄する。さらに、コンテンツ配信システム300は、コンテンツ処理部16を設け、利用者が視聴要求をしたコンテンツのみを透過し他は破棄する。この構成によって、コンテンツ配信システム300は、コンテンツ出力部17に入力される信号の帯域幅を、ブロードキャスト型ネットワーク13から受信部14に入力される信号の帯域幅より十分小さく、かつ既存の様々な家電製品でも十分に処理可能な程度(例えば、10〜100Mbps程度)とすることができる。この構成を採用することにより、利用者宅102内のネットワークを広帯域に変更する必要が無く、コンテンツ出力部17を従来使用されてきた宅内の様々な機器に実装することができる。
【0033】
図2は、コンテンツ選択部15およびコンテンツ処理部16の動作を説明する図である。本発明に係るコンテンツ配信システム300は、ブロードキャスト型ネットワーク13によって、利用者宅まで多種多様かつ大容量のコンテンツが配信されており、それらがコンテンツ選択部15に入力される。コンテンツ選択部15は、はじめにコンテンツのVLAN−IDを識別し、利用者が契約している配信事業者のコンテンツであれば前記VLAN−IDを除去した上でそのコンテンツを透過し、そうでないコンテンツは破棄する。次に、コンテンツ処理部16は、コンテンツのIPマルチキャストアドレスを識別し、利用者が視聴要求をしたコンテンツであれば前記IPマルチキャストアドレスを除去した上でそのコンテンツを透過し、そうでないコンテンツは破棄する。そして、透過したコンテンツのみがコンテンツ出力部17に表示される。
【0034】
ここで、コンテンツ選択部15がVLAN−IDによってコンテンツ配信事業者を識別している理由は次の2点である。1つは、コンテンツ配信事業者の数がコンテンツの数よりはるかに少ないと考えられるためVLAN−IDの組み合わせ数で十分であることである。もう1つは、VLAN−IDの識別がデータリンク層の処理であるためコンテンツ選択部15の実装が容易になることである。
【0035】
一方、コンテンツ処理部16がIPマルチキャストアドレスによってコンテンツを識別している理由は、コンテンツの多チャンネル化に対応できる十分な組み合わせ数が必要であることである。
【0036】
本発明に係るコンテンツ配信システム300の操作部18は、コンテンツ配信局101から、ブロードキャスト型ネットワーク13で伝送されるコンテンツの、再生の制御に必要なメタデータのみをネットワーク19を介して取得する。そして、操作部18は、それを用いてコンテンツ再生の制御を行う。メタデータとは、例えば、コンテンツ名、チャプター、再生時間、料金などである。
【0037】
図3は、コンテンツとメタデータの容量を比較する図である。
図3に記載の通り、コンテンツの容量のうち、大半を占めるのは映像や音声のコンテンツ本体であり、メタデータの容量はコンテンツ本体の容量よりも遥かに小さい。メタデータをダウンロードするだけならば広帯域のネットワークは不要であり、既存の公衆通信ネットワークで十分である。そのため、利用者は、視聴できるコンテンツのメタデータを公衆通信ネットワークを通じて場所を問わず入手することができる。一方、利用者は、ブロードキャスト型ネットワーク13を介して宅内まで容易にコンテンツをダウンロードできる。この特徴は、大容量のコンテンツを所望する場合に特に有益である。
【0038】
さらに、本発明に係るコンテンツ配信システムは、利用者が使い慣れた端末を操作部18としてリモコンのように使用し、コンテンツを利用することができる。このため、子どもや高齢者のような層も含めた幅広い利用者が容易にコンテンツ配信システムを利用することができる。
【0039】
なお、操作部18そのものでコンテンツを利用することももちろん可能である。そのような利用形態をとる場合は、操作部18がコンテンツ処理部16およびコンテンツ出力部17の機能をも備える。
【0040】
本発明に係るコンテンツ配信システム300のコンテンツ配信方法は、
少なくとも1つ以上のコンテンツに、コンテンツごとに異なるIPマルチキャストアドレスを付与し、少なくとも1つ以上のコンテンツ配信部11からディジタル信号を送信するコンテンツ送信手順と、
コンテンツのディジタル信号を多重化し、多重化後の多重ディジタル信号を、コンテンツ配信事業者ごとに異なるVLAN−IDを付与した上で、ブロードキャスト型ネットワーク13に送信するコンテンツ多重化送出手順と、
多重化されたコンテンツのすべてを受信する受信手順と、
利用者の契約している配信事業者のコンテンツのみをVLAN−IDを除去した上で抽出し他は破棄するコンテンツ選択手順1と、
利用者の操作部18からの要求によって、その要求に対応するコンテンツのみをIPマルチキャストアドレスを除去した上でさらに抽出し他を破棄するコンテンツ選択手順2と、
コンテンツの再生の制御に必要なメタデータを元にコンテンツの再生制御を行う再生制御手順と、
を順に行う。
【0041】
(実施形態1)
図4は、本実施形態のコンテンツ配信システム301を説明する図である。コンテンツ配信システム301は、コンテンツ配信局101と利用者宅102からなる。
コンテンツ配信局101は、
配信するコンテンツにマルチキャストアドレスを付与する1つ以上のコンテンツ配信部11と、
コンテンツ配信部11からのコンテンツに、前記コンテンツが所属するグループを識別するグループIDを付与し、グループIDを付与されたコンテンツを多重化してブロードキャスト型ネットワーク13へ送信するコンテンツ多重化送出部12と、
を備える。
【0042】
ここで、コンテンツ多重化送出部12は、前記グループをコンテンツ配信事業者とし、グループIDをVLAN−IDとすることができる。つまり、図4のコンテンツ配信部11それぞれがコンテンツ配信事業者であり、コンテンツ多重化送出部12は、それぞれのコンテンツ配信部11から出力されるコンテンツにコンテンツ配信事業者に割り当てたVLAN−IDを付与する。
【0043】
利用者宅102には、
ブロードキャスト型ネットワーク13から多重化されたコンテンツを受信し、所望のグループIDを有するコンテンツを選別してグループIDを削除するとともに、他のコンテンツを廃棄するコンテンツ選択部15と、
所望のマルチキャストアドレスを有するコンテンツを透過させる設定に基づき、コンテンツ選択部15が選別したコンテンツのうち、所望のマルチキャストアドレスを有するコンテンツのみを透過させてマルチキャストアドレスを削除するとともに、他のコンテンツを廃棄するコンテンツ処理部16と、
が配置される。
【0044】
さらに、利用者宅102には、
ブロードキャスト型ネットワーク13からの光信号を受信し、電気信号に変換する受信部14と、
利用者の操作によってコンテンツ処理部16に視聴要求信号を送信する他、視聴するコンテンツの再生制御(例えば、早送り、巻き戻し、一時停止)を行う操作部18と、
コンテンツ処理部16からのコンテンツを利用者が利用可能な形式で出力するコンテンツ出力部17と、
を備える。
【0045】
操作部18は、コンテンツ選択部15に選別対象のグループIDを設定し、コンテンツ処理部16にマルチキャストアドレスを設定する。操作部18は、ブロードキャスト型ネットワーク13と異なる通信経路(ネットワーク19)でグループID及びマルチキャストアドレスを取得してもよい。
【0046】
ここで、ブロードキャスト型ネットワーク13はコンテンツ多重化送出部12からの光信号を伝送する広帯域な(例えば、10Gbps)ネットワークである。例えば、PONである。また、ネットワーク19は、コンテンツ配信部11と操作部18との通信を行う公衆通信ネットワークである。
【0047】
以下、操作部18から視聴要求を行ったコンテンツを、コンテンツ出力部17にて視聴する場合の形態を説明する。なお、本実施形態のコンテンツは全て無料であるものとする。
【0048】
まず、コンテンツ配信部11を有する少なくとも1つ以上のコンテンツ配信事業者が、コンテンツ多重化送出部12に、それぞれコンテンツが格納された信号を入力する。コンテンツ多重化送出部12へ入力する信号の形式は、電気信号であっても良いし、光信号であっても良く、その信号が準拠する規格もイーサネット(登録商標)やOTN(Optical Transport Network)等、自由に決定する事ができるが、それらの信号には、コンテンツごとに異なるIPマルチキャストアドレスが付与されているものとする。
【0049】
コンテンツ多重化送出部12は、それらのコンテンツに、コンテンツ配信事業者ごとに異なるVLAN−IDを付与する。その後、それらのコンテンツ全てを多重化し、光信号にてブロードキャスト型ネットワーク13に送出する。ここで、コンテンツ多重化送出部12には、各コンテンツ配信事業者が割り当てられているより大きい伝送容量をブロードキャスト型ネットワーク13に送出しないよう、帯域制御(例えば、シェーピング、ポリシング)の機能を設けても良い。また、コンテンツ配信事業者に割り当てる伝送容量は、例えばブロードキャスト型ネットワーク13を有する通信事業者との契約によって決定される。
【0050】
そして、送出されたコンテンツは、ブロードキャスト型ネットワーク13の内部において何ら変更を加える事なく、すべてのコンテンツが受信部14まで光信号にて到達する。広帯域なブロードキャスト型ネットワーク13を用いる事で、コンテンツ配信事業者は、コンテンツ多重化送出部12への入力条件さえ満たしていれば、ネットワーク部分の伝送条件や伝送容量を意識する事無く、多種多様なコンテンツを利用者宅102まで容易に配信する事が可能となる。
【0051】
受信部14は、入力される光信号を電気信号に変換し、コンテンツ選択部15に入力する。
【0052】
一方、利用者は、操作部18を用いて、利用可能なコンテンツのうち希望するものの視聴要求を行う。
【0053】
図5は、コンテンツの視聴要求処理シーケンスの例である。
図5では、(Ch.A)(Ch.B)(Ch.C)の3つのコンテンツが記載されている。(Ch.A)と(Ch.B)は同一のコンテンツ配信事業者αのコンテンツ、(Ch.C)はそれらとは異なるコンテンツ配信事業者βのコンテンツである。利用者はコンテンツ配信事業者αのみと契約しているものとする。
【0054】
なお、利用者がコンテンツ配信事業者αと契約完了した時点でコンテンツ選択部15にコンテンツ配信事業者αのVLAN−IDが設定される。コンテンツ選択部15にVLAN−IDを設定する手法は、利用者が操作部18を利用して直接コンテンツ選択部15にVLAN−IDを入力してもよいし、操作部18とコンテンツ配信事業者α(コンテンツ配信部11)とがネットワーク19を介して通信経路を確立し、コンテンツ配信事業者αがVLAN−IDをネットワーク19と操作部18を介してコンテンツ選択部15に設定してもよい。
【0055】
続いて、コンテンツ処理部16にIPマルチキャストアドレスを設定する手法を説明する。まず、操作部18はコンテンツ配信部11との間に通信経路を確立する。その通信経路を用いて、その利用者が利用可能なすべてのコンテンツのメタデータをネットワーク19からダウンロードする。なお、メタデータのダウンロード方法はこの方法に限定しなくても良く、例えば、何らかの媒体(例えば、広告やフリーペーパー、メールマガジン等)に記載の情報(例えば、URL(Uniform Resource Locator)やQRコード(登録商標)等)をもとに利用者の操作によってダウンロードする形態であっても良い。
【0056】
いずれかの形態によって、操作部18は、利用者が利用可能なコンテンツのメタデータを保持する。操作部18は、そのメタデータをもとに、図6の例の通り、利用可能なコンテンツの一覧と、付随する情報(例えば、ジャンル、再生時間、シリーズ名、視聴数等、以下同じ)とともに操作部18のディスプレイに一覧表示する。ここで、一覧表示する際には何らかのサブカテゴリ(例えばコンテンツ制作者別、出演者別など)を付与しても良い。その後、利用者は所望のコンテンツを選択することによって視聴要求が行われる。図7は、図5に記載の(Ch.A)(Ch.B)(Ch.C)のうち、(Ch.A)の視聴要求が行われ、再生するかどうかの確認を利用者に求める画面の表示例である。
【0057】
ここで、利用者が既に多数のコンテンツを同時視聴していたり、視聴要求を行ったコンテンツが大容量のものであったなど、視聴要求を行ったコンテンツに対し利用者の宅内ネットワークの伝送容量が不足する場合には、警告メッセージを表示させても良い。このような警告メッセージを表示させるには、利用者がどのコンテンツを視聴しているかを管理することが必要となる。例えば、このような処理機能はコンテンツ選択部15または操作部18に実装することが可能である。図8はコンテンツ選択部15に当該処理機能を実装した場合の構成例であり、図9は警告メッセージの表示例である。
【0058】
次に、視聴要求が行われると、操作部18はコンテンツ処理部16との間に通信経路を確立する。その通信経路を用いて視聴要求信号がコンテンツ処理部16に入力される。ここで、操作部18とコンテンツ処理部16との通信方式は、DLNA(Digital Living Network Alliance)のような既存の規格に準拠したものであっても良いし、操作部18とコンテンツ処理部16が通信可能である限りにおいて独自規格であっても良い。
【0059】
上記のようにVLAN−IDとIPマルチキャストアドレスの設定が完了すると、利用者宅102内で次のように信号処理がなされる。
コンテンツ選択部15は、はじめにコンテンツのVLAN−IDを識別する。(Ch.A)と(Ch.B)は利用者が契約している配信事業者のコンテンツであるため、VLAN−IDを除去した上でコンテンツ処理部16に出力され、(Ch.C)はそうでないコンテンツであるため破棄される。
次に、コンテンツ処理部16は、コンテンツのIPマルチキャストアドレスを識別する。(Ch.A)は視聴要求信号に従って視聴要求があったコンテンツであるため、IPマルチキャストアドレスを除去した上でコンテンツ出力部17に出力し、(Ch.B)はそうでないコンテンツであるため破棄される。
【0060】
コンテンツ出力部17は、例えばテレビであり、コンテンツ処理部16から出力される映像信号を人間が利用可能な形式で出力し、利用者はそのコンテンツを視聴する。
【0061】
コンテンツの再生が開始されると、操作部18には図10のように再生の制御(例えば、早送り、巻き戻し、一時停止)を行うためのメニューが現れ、利用者は操作部18をSTBのリモコンのように操作し、コンテンツ処理部16に対してコンテンツの再生の制御を行うことができる。以上の手順によって、利用者はコンテンツを視聴することができる。
【0062】
なお、受信部14、コンテンツ選択部15、およびコンテンツ処理部16は、その一部または全部を一体型の筐体に実装しても良いし、全て別々の筐体に実装しても良い。
【0063】
(実施形態2)
図11は、本実施形態のコンテンツ配信システム302を説明する図である。コンテンツ配信システム302は、無料のコンテンツの他、有料のコンテンツを配信することができる。コンテンツ配信システム302は、図4のコンテンツ配信システム301に、有料コンテンツの購入情報を管理する課金情報管理部20と、暗号化されたコンテンツを視聴可能とする復号化鍵を保管する鍵管理部21と、を備える。
【0064】
コンテンツ配信システム302は、操作部18がネットワーク19を介して課金情報管理部20との通信を行い、コンテンツ配信部11のうち少なくとも1つが課金情報管理部20と接続され、有料コンテンツの購入に関する情報の授受を行う。
【0065】
図11を用いてさらに実施形態1との差異を説明する。
有料のコンテンツは暗号化されており、そのコンテンツを購入していない利用者は視聴する事ができない。有料コンテンツの視聴を所望する利用者は、操作部18によって、有料コンテンツの購入処理を行ったのち、そのコンテンツの視聴要求を行う。
【0066】
有料コンテンツの購入処理が行われると、その情報はネットワーク19を経由して課金情報管理部20に通知される。課金情報管理部20は、鍵管理部21に対し、有料コンテンツの復号化鍵を払い出すよう指示する。鍵管理部21から払い出された復号化鍵は、ネットワーク19を経由して操作部18に通知される。さらに、操作部18は視聴要求を行う際に確立した通信路を経由して復号化鍵をコンテンツ処理部16に通知する。
【0067】
コンテンツ処理部16には、ブロードキャスト型ネットワーク13を介して、購入した有料コンテンツが到着している。コンテンツ処理部16は、通知された復号化鍵を用いて当該有料コンテンツの暗号化を解除する。利用者は購入した有料コンテンツを視聴することができる。
【0068】
図12は、有料コンテンツの視聴要求処理シーケンスである。
図12では、(Ch.A)(Ch.B)(Ch.C)の3つのコンテンツが記載されているが、3つとも有料コンテンツで、また(Ch.A)と(Ch.B)は同一のコンテンツ配信事業者αのコンテンツ、(Ch.C)はそれらとは異なるコンテンツ配信事業者βのコンテンツであるものとする。
【0069】
まず、有料コンテンツの購入要求が行われると、操作部18は課金情報管理部20との間に通信経路を確立する。操作部18はその通信経路を用いて有料コンテンツ(Ch.A)の購入処理を課金情報管理部20との間で行う。次に、課金情報管理部20は鍵管理部21に、(Ch.A)の鍵発行を要求する。鍵管理部21は(Ch.A)の復号化鍵を発行し、操作部18に配布する。
【0070】
その後、実施形態1と同様のシーケンスで視聴要求を行い、(Ch.A)のみがコンテンツ出力部17に出力され、購入していないコンテンツである(Ch.B)はコンテンツ処理部で、契約していない配信事業者のコンテンツである(Ch.C)はコンテンツ選択部でそれぞれ破棄される。
【0071】
ここで、視聴要求を行う際、実施形態1の項で記載の通り、操作部18のディスプレイには利用可能なコンテンツの一覧と付随する情報が表示されるが、付随する情報として、有料コンテンツの料金を表示してもよい。また、購入処理の方法は、既に存在する料金回収代行サービスを利用してもよいし、独自の課金プラットフォームを構築してもよい。いずれの購入処理の方法も最終的にはコンテンツ配信事業者に料金が支払われる。
【0072】
さらに、その利用者が購入したコンテンツに関する情報は、必要に応じてコンテンツ事業者が収集し、コンテンツの購入状況の把握や新たなコンテンツの宣伝に利用してもよい。
【0073】
(実施形態3)
図13は、本実施形態のコンテンツ配信システム303を説明する図である。コンテンツ配信システム303は、図11のコンテンツ配信システム302の構成と比較し、コンテンツ処理部16がグループID毎に複数あり、コンテンツ選択部15がコンテンツのグループIDを確認して対応する前記コンテンツ処理部に入力することを特徴とする。
【0074】
コンテンツ配信システム303は、2つ以上のコンテンツ処理部16を備える。コンテンツ選択部15は操作部18からの視聴要求信号に従って視聴要求があったコンテンツに対し、そのコンテンツの出力先となるコンテンツ処理部16を選択し、そのコンテンツ処理部16にのみ出力させ、他のコンテンツ処理部16には出力させない機能を更に備える。
【0075】
実施形態1および2では、コンテンツ処理部16は単一であったが、複数のコンテンツ配信事業者が存在する場合は、それぞれのコンテンツ配信方式に対応した複数のコンテンツ処理部16が存在する。
【0076】
コンテンツ選択部15は、複数のコンテンツ処理部16が存在する場合に、操作部18からの視聴要求(有料コンテンツの場合は視聴要求ならびに購入処理)があったコンテンツに対し、そのコンテンツの出力先となるコンテンツ処理部16を選択し、そのコンテンツ処理部16にのみ出力し他のコンテンツ処理部16には出力しない。また、コンテンツ選択部15は、他の実施形態と同様に、視聴要求がされていないコンテンツを破棄する。ここで、コンテンツ選択部15は、コンテンツの出力先となるコンテンツ処理部16を識別するために、コンテンツ配信事業者を一意に識別するためのユニークな情報(VLAN−ID)を用いる。
【0077】
図14は、コンテンツ配信システム303の動作例である。
(Ch.A)と(Ch.B)が同一のコンテンツ配信事業者αのコンテンツ、(Ch.C)は(Ch.A)および(Ch.B)と別のコンテンツ配信事業者βのコンテンツ、(Ch.D)は(Ch.A)および(Ch.B)、(Ch.C)とは更に別のコンテンツ配信事業者γのコンテンツである。また、コンテンツ配信事業者αにはVLAN−ID=1000、コンテンツ配信事業者βにはVLAN−ID=2000、コンテンツ配信事業者γにはVLAN−ID=3000が割り当てられている。
【0078】
図14の例では、コンテンツ選択部15にはコンテンツ処理部16が2つ接続され、コンテンツ選択部15はこの2つのコンテンツ処理部16を識別できる。その識別方法は静的(例えば配信事業者毎にコンテンツ選択部の特定のポートに接続するよう定める)であっても動的(例えばコンテンツ選択部とコンテンツ処理部の間で何らかの試験トラフィックを送受信する)であっても良い。
【0079】
まず、利用者はコンテンツ配信事業者αおよびコンテンツ配信事業者βのコンテンツ配信サービスを申し込む。その後、コンテンツ配信事業者αおよびコンテンツ配信事業者βは、当該利用者のコンテンツ選択部15に対し、VLAN−ID=1000であればコンテンツ処理部16−1へ、VLAN−ID=2000であればコンテンツ処理部16−2へ出力するよう遠隔で設定を投入する。例えば、コンテンツ選択部15は、コンテンツ配信事業者のサービスオーダで設定される。
【0080】
次に、利用者は、実施形態1および2と同様に、操作部18を用いて、コンテンツ処理部16−1に対して(Ch.A)の視聴要求を行い、コンテンツ処理部16−2に対して(Ch.C)の視聴要求を行う。
【0081】
コンテンツ選択部15は、入力される全てのコンテンツのVLAN−IDを取得する。そして、コンテンツ選択部15は、前述した設定に従い、VLAN−ID=1000であればコンテンツ処理部16−1へ、VLAN−ID=2000であればコンテンツ処理部16−2へ出力し、それ以外のVLAN−IDが付与されたコンテンツは破棄する。つまり、(Ch.A)と(Ch.B)はコンテンツ処理部16−1へ、(Ch.C)はコンテンツ処理部16−2へ引き渡される。(Ch.D)は、利用者が契約していないコンテンツ配信事業者γのコンテンツであり、VLAN−ID=3000が付与されているため、コンテンツ選択部15にて破棄される。
【0082】
次に、コンテンツ処理部16−1には(Ch.A)と(Ch.B)が入力されるが、視聴要求が行われているのは(Ch.A)のみであるため、コンテンツ処理部16−1は(Ch.A)のみをコンテンツ出力部17−1に出力し(Ch.B)は破棄する。また、コンテンツ処理部16−2には(Ch.C)が入力されるが、(Ch.C)は視聴要求が行われているため、コンテンツ処理部17−2に出力される。
【0083】
以上の動作によって、利用者は視聴要求を行った(Ch.A)をコンテンツ出力部17−1で、(Ch.C)をコンテンツ出力部17−2にてそれぞれ視聴することができる。
【0084】
(実施形態4)
図15は、本実施形態のコンテンツ配信システム304を説明する図である。コンテンツ配信システム304は、図13のコンテンツ配信システム303の構成と比較し、前記操作部が、
所望のマルチキャストアドレスを有するコンテンツを透過させる設定に基づき、前記コンテンツ選択部が選別したコンテンツのうち、所望のマルチキャストアドレスを有するコンテンツのみを透過させてマルチキャストアドレスを削除するとともに、他のコンテンツを廃棄するコンテンツ処理機能51と、
コンテンツ処理機能51が透過させたコンテンツを表示するコンテンツ出力機能52と、
を備えることを特徴とする。
【0085】
コンテンツ配信システム304は、操作部18が前述のコンテンツ処理部16およびコンテンツ出力部17の機能をも備え、コンテンツ選択部15が、操作部18からの視聴要求信号に従って視聴要求があったコンテンツを、操作部18に出力する機能を更に備える。
【0086】
実施形態1から3では、操作部18はコンテンツの再生の制御に用い、コンテンツ自体はコンテンツ出力部17で利用する形態であったが、本実施形態の操作部18は、コンテンツ処理機能51およびコンテンツ出力機能52を備え、コンテンツの利用をも行うことが可能である。
【0087】
コンテンツ選択部15は、視聴要求(有料コンテンツの場合は視聴要求ならびに購入処理)を行ったコンテンツを操作部18に出力する。そして操作部18自身がコンテンツ処理機能51およびコンテンツ出力機能52を更に備えているため、操作部18自身がコンテンツを出力することができ、利用者はコンテンツを携帯可能な操作部18で視聴できる。
【0088】
有料コンテンツの場合は、購入処理によって操作部18がダウンロードした復号化鍵を用いて、操作部18自身がコンテンツを復号化し出力する。なお、コンテンツ選択部15から操作部18へのコンテンツ転送は、コンテンツを適切なデータ形式に変換(例えば、データ圧縮を行う)する処理を行っても良い。
【0089】
[発明の効果]
本発明に係るコンテンツ配信システムを用いることで、コンテンツ配信事業者は高ビットレート映像をはじめとする、多種多様かつ大容量のコンテンツを、利用者宅までのネットワークを意識する事なく配信する事ができる。また利用者は、宅内のネットワークに変更を加えることなく、かつ既に保有している機器をそのまま用いて、それらのコンテンツを利用する事ができる。
【0090】
また、実施形態3に記載した(Ch.A)と(Ch.C)の再生制御は、ともに操作部の操作によって行われるが、従来のシステムの場合は、コンテンツ処理部1とコンテンツ処理部2はそれぞれ別のSTB(Set Top Box)に相当するため、別々のリモコン、またはSTBのボタン等によって再生制御を行うことになる。本発明に係るコンテンツ配信システムでは、単一の操作部によって再生制御が行えるため、操作性が向上することが期待される。
【0091】
以上のような効果によって、利用者が既に保有している機器を活用した、新たなコンテンツ配信ビジネスを展開する事ができる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、上記実施形態により限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、上記実施形態の説明では、コンテンツ配信システムによって、映像コンテンツを視聴する場合の形態を例に説明したが、本発明に係るコンテンツ配信システムは、映像以外のコンテンツを配信することももちろん可能である。映像以外のコンテンツには、例えば高音質の音声データや、ゲーム、電子書籍、アプリケーションソフト、利用者宅内にある様々な家電製品(コンテンツ選択部やコンテンツ処理部も含む)のファームウェアなどがあげられる。
【符号の説明】
【0093】
11:コンテンツ配信部
12:コンテンツ多重化送出部
13:ブロードキャスト型ネットワーク
14:受信部
15:コンテンツ選択部
16、16−1、16−2、・・・:コンテンツ処理部
17、17−1、17−2、・・・:コンテンツ出力部
18:操作部
19:ネットワーク
20:課金情報管理部
21:鍵管理部
51:コンテンツ処理機能
52:コンテンツ出力機能
101:コンテンツ配信局
102:利用者宅
300〜304:コンテンツ配信システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15