【文献】
鎌村 星平 Shohei KAMAMURA,大規模故障に対する中継網の復旧工程最適化法の提案 Carrier-grade Progressive Network Recovery after a Large Scale Disruption,電子情報通信学会技術研究報告 Vol.113 No.129 IEICE Technical Report,日本,一般社団法人電子情報通信学会 The Institute of Electronics,Information and Communication Engineers,2013年 7月11日,第113巻,第191-196頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この非特許文献1,2に記載の手法では、トラヒックの復旧量が実数制約として与えられることから、トラヒックの分岐、すなわち、同一対地間に複数の伝送パスが設定されることを許容している。この複数の伝送パスはトラヒック分岐のために利用されるものであり、プロテクション目的の予備パスではない。一般的な伝送網の運用においては、同一対地間には単一の伝送パスが設定されるか、若しくは、現用の伝送パスの予備となる伝送パスが設定されることが一般的である。つまり、トラヒック分岐を目的として同一対地間に複数の伝送パスを設定することは一般的でなく、運用が煩雑となる。例えば、同一対地間について、複数の伝送パス毎に疎通性の確認(障害発生の検証)等を実行することが必要となり、管理コストが増大する。
【0007】
なお、非特許文献1,2に記載の手法を用いて、例えばトラヒックの復旧量に相当する変数を整数制約化し、同一対地間に複数の伝送パスを許容しないようにすることは可能である。しかしながら、同一対地間に複数の伝送パスを許容しないようにすると、0/1整数計画問題として定式化されることとなる。この0/1整数計画問題は、NP困難問題であり計算時間が膨大となるため、大規模なキャリア通信網において現実的な計算時間で解を得ることが不可能となる。
【0008】
上記のように、激甚災害が発生した場合には、物理資源の復旧は一斉に行われるのではなく、複数の復旧工程(ステージ)を遷移して段階的に行われることが想定される。その際、キャリアネットワークでは、復旧の中間ステージにおいても所定値以上のトラヒック流量を担保することが必要であるため、効率的な物理資源と伝送パスの復旧手順が求められる。しかしながら、同一対地間に複数の伝送パスを許容しないようにする場合、従来技術では、上記の問題が発生してしまう。
【0009】
このような背景に鑑みて本発明がなされたのであり、本発明は、大規模障害発生時での物理資源復旧と伝送パス復旧を計算する問題において、同一対地間に複数の伝送パスを設定することを許容せずに、現実的な計算時間で解を得ることができる、ネットワーク制御装置およびネットワーク制御方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記した課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、障害が発生した通信ネットワークの復旧を制御するネットワーク制御装置であって、前記通信ネットワークには、複数のノードと、前記ノード間を接続する物理リンクとで構成される物理網において、前記ノード間に伝送パスが設定されることにより、前記物理網上のレイヤに論理リンクが設定されており、障害発生時の前記複数のノード間の接続関係を示すトポロジ情報、第1の所定のロジックに基づき決定された前記論理リンクそれぞれの第1の優先度、および、第2の所定のロジックに基づき決定された前記伝送パスそれぞれの第2の優先度、が記憶される記憶部と、障害発生時の前記トポロジ情報を用いて障害の発生した前記論理リンクを特定し、前記特定した論理リンクを、障害の各復旧工程において、前記第1の優先度の高い順に、復旧させる論理リンクとして決定し、決定した前記復旧させる論理リンクを構成する前記ノードおよび前記物理リンクを、当該復旧工程で復旧させる物理資源として決定する物理資源復旧計算部と、障害発生時の前記トポロジ情報を用いて障害の発生した前記伝送パスを特定し、前記特定した伝送パスを、前記各復旧工程において、前記第2の優先度の高い順に、復旧させる伝送パスとして決定し、前記各復旧工程において前記物理資源復旧計算部が決定した前記物理資源が復旧したものとして、前記復旧させる伝送パスおよび前記各復旧工程それぞれにおいてそれ以前に設定されている伝送パスについての経路計算を行うパス計算部と、を備えることを特徴とするネットワーク制御装置とした。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、障害が発生した通信ネットワークの復旧を制御するネットワーク制御装置のネットワーク制御方法であって、前記通信ネットワークには、複数のノードと、前記ノード間を接続する物理リンクとで構成される物理網において、前記ノード間に伝送パスが設定されることにより、前記物理網上のレイヤに論理リンクが設定されており、前記ネットワーク制御装置が、障害発生時の前記複数のノード間の接続関係を示すトポロジ情報、第1の所定のロジックに基づき決定された前記論理リンクそれぞれの第1の優先度、および、第2の所定のロジックに基づき決定された前記伝送パスそれぞれの第2の優先度、が記憶される記憶部を備えており、障害発生時の前記トポロジ情報を用いて障害の発生した前記論理リンクを特定し、前記特定した論理リンクを、障害の各復旧工程において、前記第1の優先度の高い順に、復旧させる論理リンクとして決定し、決定した前記復旧させる論理リンクを構成する前記ノードおよび前記物理リンクを、当該復旧工程で復旧させる物理資源として決定するステップと、障害発生時の前記トポロジ情報を用いて障害の発生した前記伝送パスを特定し、前記特定した伝送パスを、前記各復旧工程において、前記第2の優先度の高い順に、復旧させる伝送パスとして決定し、前記各復旧工程において前記物理資源が復旧したものとして、前記復旧させる伝送パスおよび前記各復旧工程それぞれにおいてそれ以前に設定されている伝送パスについての経路計算を行うステップと、を実行することを特徴とするネットワーク制御方法とした。
【0012】
このようにすることで、障害が発生した通信ネットワークを復旧させる際における、物理資源の復旧と伝送パスの復旧順序を算出する問題に対し、本発明によれば、当該問題を物理資源復旧順序問題と伝送パス設定問題に分割し、さらに、伝送パス設定問題を、伝送パス復旧順序問題と伝送パス経路計算問題に分割することにより計算を簡略化し、同一対地間に複数の伝送パスを許容しない解を、現実的な時間で算出することが可能となる。
本発明では、物理資源復旧順序問題を、所定の第1のロジックに基づく優先度を用いて解決し、伝送パス設定問題に関しては、所定の第2のロジックに基づく優先度を用いて復旧順序を決定し、その決定した伝送パスの対地間の経路計算を行うことにより復旧経路を計算する。よって、従来技術では解決できなかった、同一対地間で複数の伝送パスを設定せずに、現実的な時間で、物理資源の復旧順序と伝送パスの復旧順序を算出することが可能となる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、障害が発生した通信ネットワークの復旧を制御するネットワーク制御装置であって、前記通信ネットワークには、複数のノードと、前記ノード間を接続する物理リンクとで構成される物理網において、前記ノード間に伝送パスが設定されることにより、前記物理網上のレイヤに論理リンクが設定されており、障害発生時の前記複数のノード間の接続関係を示すトポロジ情報、障害発生前の前記論理リンク毎のトラヒック量を含むトラヒック情報、および、所定のロジックに基づき決定された前記伝送パスそれぞれの優先度、が記憶される記憶部と、障害発生時の前記トポロジ情報を用いて障害の発生した前記論理リンクを特定し、前記特定した論理リンクを、障害の各復旧工程において、障害発生前の前記トラヒック量の多い順に、復旧させる論理リンクとして決定し、決定した前記復旧させる論理リンクを構成する前記ノードおよび前記物理リンクを、当該復旧工程で復旧させる物理資源として決定する物理資源復旧計算部と、障害発生時の前記トポロジ情報を用いて障害の発生した前記伝送パスを特定し、前記特定した伝送パスを、前記各復旧工程において、前記優先度の高い順に、復旧させる伝送パスとして決定し、前記各復旧工程において前記物理資源復旧計算部が決定した前記物理資源が復旧したものとして、前記復旧させる伝送パスおよび前記各復旧工程それぞれにおいてそれ以前に設定されている伝送パスについての経路計算を行うパス計算部と、を備えることを特徴とするネットワーク制御装置とした。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、障害が発生した通信ネットワークの復旧を制御するネットワーク制御装置のネットワーク制御方法であって、前記通信ネットワークには、複数のノードと、前記ノード間を接続する物理リンクとで構成される物理網において、前記ノード間に伝送パスが設定されることにより、前記物理網上のレイヤに論理リンクが設定されており、前記ネットワーク制御装置が、障害発生時の前記複数のノード間の接続関係を示すトポロジ情報、障害発生前の前記論理リンク毎のトラヒック量を含むトラヒック情報、および、所定のロジックに基づき決定された前記伝送パスそれぞれの優先度、が記憶される記憶部を備えており、障害発生時の前記トポロジ情報を用いて障害の発生した前記論理リンクを特定し、前記特定した論理リンクを、障害の各復旧工程において、障害発生前の前記トラヒック量の多い順に、復旧させる論理リンクとして決定し、決定した前記復旧させる論理リンクを構成する前記ノードおよび前記物理リンクを、当該復旧工程で復旧させる物理資源として決定するステップと、障害発生時の前記トポロジ情報を用いて障害の発生した前記伝送パスを特定し、前記特定した伝送パスを、前記各復旧工程において、前記優先度の高い順に、復旧させる伝送パスとして決定し、前記各復旧工程において前記物理資源が復旧したものとして、前記復旧させる伝送パスおよび前記各復旧工程それぞれにおいてそれ以前に設定されている伝送パスについての経路計算を行うステップと、を実行することを特徴とするネットワーク制御方法とした。
【0015】
このようにすることで、障害が発生した通信ネットワークを復旧させる際における、物理資源の復旧と伝送パスの復旧順序を算出する問題に対し、本発明によれば、当該問題を物理資源復旧順序問題と伝送パス設定問題に分割し、さらに、伝送パス設定問題を、伝送パス復旧順序問題と伝送パス経路計算問題に分割することにより計算を簡略化し、同一対地間に複数の伝送パスを許容しない解を、現実的な時間で算出することが可能となる。
本発明では、物理資源復旧順序問題を、障害発生前の論理リンクのトラヒック量が多い順に復旧させることで解決し、伝送パス設定問題に関しては、所定のロジックに基づく優先度を用いて復旧順序を決定し、その決定した伝送パスの対地間の経路計算を行うことにより復旧経路を計算する。よって、従来技術では解決できなかった、同一対地間で複数の伝送パスを設定せずに、現実的な時間で、物理資源の復旧順序と伝送パスの復旧順序を算出することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、大規模障害発生時での物理資源復旧と伝送パス復旧を計算する問題において、同一対地間に複数の伝送パスを設定することを許容せずに、現実的な計算時間で解を得る、ネットワーク制御装置およびネットワーク制御方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という)におけるネットワーク制御装置1等について説明する。
【0019】
<ネットワーク制御システムの構成>
まず、
図1を参照して、本実施形態に係るネットワーク制御装置1を含むネットワーク制御システム100の構成について説明する。
図1に示すように、ネットワーク制御システム100は、通信ネットワーク50と、その通信ネットワーク50を制御するネットワーク制御装置1とから構成される。通信ネットワーク50には、転送ノード5a(IPルータ等)、伝送ノード5b(光スイッチ等)、および、それらを接続する物理リンク(光ファイバ等)から構成される物理網が設定される。そして、転送ノード5a(IPルータ等)を始終点として伝送パス(波長パスやMPLS−TP等の電気パス)が物理網上に設定され、伝送パスが上位レイヤの論理的なリンク(論理リンク)を構成する。
なお、ネットワーク制御装置1は、後記するように複数の機能(例えば、情報収集や装置設定の機能)を備えるため、機能毎に複数台で構成したり、制御対象ノード種別毎や制御対象ノード数毎に、同一機能の装置(ネットワーク制御装置1)を複数台設置したりするようにしてもよい。
【0020】
<概要>
図1に示すようなネットワーク制御システム100において、激甚災害等によりノード5(転送ノード5aおよび伝送ノード5b)や物理リンクが故障する大規模障害が発生したことを想定する。このとき、物理資源(ノード5や物理リンク)の復旧は、一斉に行われるのではなく、数週間から数カ月のスパンで複数の復旧工程(ステージ)を遷移して段階的に行われる。
例えば、
図2に示すように、障害発生時(ステージ0)において、転送ノード「A」〜「D」間と転送ノード「C」〜「D」間の伝送パスの疎通性が保たれていたとする(
図2(a)参照)。なお、
図2において、故障した伝送ノード5bや故障した物理リンクをドットで表わしている。次の復旧工程であるステージ1(一次復旧)では、転送ノード「B」に接続する伝送ノード5bが復旧したことにより、転送ノード「B」〜「C」間の伝送パスが復旧する(
図2(b)参照)。その次の復旧工程であるステージ2(二次復旧)では、転送ノード「A」〜「B」間の伝送ノード5bと物理リンクが復旧したことにより、転送ノード「A」〜「B」間の伝送パスが復旧する(
図2(c)参照)。そして、その次の復旧工程であるステージ3(三次復旧)では、障害が発生したすべての伝送ノード5bとすべての物理リンクが復旧する(完全復旧)(
図2(d)参照)。
【0021】
ここで、ネットワーク制御装置1は、復旧の中間ステージにおいても、所定値以上のトラヒック流量を担保することが必要であるため、より効率的な物理資源と伝送パスの復旧手順が求められる。この復旧工程(ステージ)において、本実施形態に係るネットワーク制御装置1は、従来の手法とは異なり、同一対地間に複数の伝送パスを設定することを許容しない現実的な解を、現実的な計算時間で解くことを特徴とする。
【0022】
(従来の数理計画法による処理)
ここで、従来の数理計画法を用いて、同一対地間に複数の伝送パスを許容しないようにした場合の、0/1整数計画問題による解法について、本実施形態で示す処理の比較例として説明する。
図3は、「物理資源復旧と伝送パス復旧問題」を、数理計画法を用いて定式化した例を示す。ここでの問題の定義は、物理トポロジが与えられたときに、復旧工程(ステージ)毎に、復旧する物理リンクの順序と、伝送パス経路を決定することである。なお、問題を単純化するため、一復旧工程(1ステージ)で、一物理リンクを復旧するものとする。また、目的関数を、「収容効率を最大化すること」として設定する。
【0023】
図3に示すように、入力情報は、物理トポロジ、リンク容量、復旧工程(ステージ)の最大工程数、物理リンクの初期状態、対地間の交流トラヒック量であり、具体的には、以下に示す情報となる。
・G=(V,E)
ここで、Gは、物理トポロジを示す。Vは、ノードを示す。Eは、物理リンクを示す。
・C
ij : リンク(i,j)の容量(ノードi、ノードj間の物理リンクの容量)
・K : 最大工程数
・y
initij ∈ {0,1} : 物理リンクの初期状態(障害発生時)
「0」は、物理リンクが「疎通不可」であること示す。「1」は物理リンクが「疎通可」であることを示す。
・d
p : 対地Pの交流トラヒック量
【0024】
変数は、以下に示すものとなる。
・α
k : 復旧工程(ステージ)kの最大リンク使用率
・x
pijk ∈ {0,1}
対地P間の伝送パスが、ステージkにおいて、リンク(i,j)を通らない場合に「0」、通る場合に「1」を示す。つまり、ステージkにおける伝送パス経路を示す。
・y
ijk ∈ {0,1}
ステージkにおいて、リンク(i,j)を通らない場合に「0」、通る場合に「1」を示す。つまり、物理リンクの復旧順序を示す。
【0025】
出力情報は、各ステージの最大リンク使用率、物理資源復旧順序、各ステージで設定される伝送パス経路である。
目的関数は、
図3の式(1)に示すように、各ステージの最大リンク使用率の総和を最小化すことを設定する。つまり、資源利用効率を最大化する(トラヒック疎通量を最適化する)目的関数を設定する。
【0026】
次に、制約式について説明する。
制約式の式(2)は、各ステージにおいて、一般的なフロー保存則が成り立つことを示す。
なお、if i=s(p)は、ノードiが、始点ノードである場合を示す。
また、if i=t(p)は、ノードiが、終点ノードである場合を示す。
【0027】
制約式の式(3)は、各物理リンクに収容されるトラヒック量が、各ステージにおいて疎通している物理リンクにおけるリンクキャパシティ(リンク容量)に係数α
kを乗算した値を超えない容量制約を示す。
制約式の式(4)〜(6)は、物理リンクの復旧制約を示す。具体的には、式(4)よび式(5)により、一度に復旧するリンクはあるノード間(ノードi,j間)の両方向のリンク(2本)のみであることを保障する。また、式(6)により、故障したリンクが一度だけ復旧されることを保障する。
なお、得られた解において、最大リンク使用率α
kが1を超える場合には収容できないため、流入する交流トラヒック量に1/α
kを乗算するというような流入量のポリシング処理が必要となる。
【0028】
このように、従来の数理計画法を用いた場合には、同一対地間に複数の伝送パスを許容しないように、リンクの復旧数を整数制約化(式(4)および式(5)参照)するため、
0/1整数計画問題となり計算時間が膨大となってしまう。
【0029】
これに対し、本実施形態に係るネットワーク制御装置1は、従来の数理計画法で定式化される物理資源の復旧と伝送パスの復旧とからなる最適化問題を、後記するように分割することで、簡易なアルゴリズムにより問題を解くことを特徴とする。物理資源の復旧に関しては、例えば、障害発生前(直前)に収容される論理リンクのトラヒック量に基づいて、復旧の順序(物理資源復旧順序)を決定する。また、伝送パスの復旧に関しては、どのパスから復旧するか(伝送パス復旧順序)と、パスの経路計算(伝送パス経路計算)とにさらに問題を分割して計算を簡略化する。以下、詳細に説明する。
【0030】
<ネットワーク制御装置>
次に、本実施形態に係るネットワーク制御装置1について説明する。ネットワーク制御装置1は、激甚災害等によりネットワークに障害が発生した場合に、ノード5や物理リンク等の物理資源についての復旧と、伝送パスの復旧の最適化問題を現実的な計算時間で解き、ネットワークを復旧させる制御装置である。
なお、以下の説明では、ネットワーク制御装置1が行う伝送パスの設定やそれに必要となる情報取得に関する機能についてのみ記述する。よって、例えば、伝送パスを論理リンクとみなしたときに構成される論理トポロジ(IPネットワーク、MPLS(Multi Protocol Label Switching)ネットワーク等)上のルーティング処理については、一般的なIPルーティング、MPLSスイッチング機能を具備することにより実現可能であるため、ここでの説明を省略する。
【0031】
図4は、本実施形態に係るネットワーク制御装置1の構成例を示す機能ブロック図である。ネットワーク制御装置1は、制御部10と、入出力部20と、メモリ部30と、記憶部40とを備える。
【0032】
入出力部20は、通信回線を介して情報の送受信を行う通信インタフェースと、不図示のキーボード等の入力手段やモニタ等の出力手段等との間で情報の入出力を行う入出力インタフェースとから構成される。
【0033】
メモリ部30は、RAM(Random Access Memory)等の一次記憶手段からなり、制御部10によるデータ処理に必要な情報を一時的に記憶する。
【0034】
記憶部40は、ハードディスクやフラッシュメモリ等の記憶手段からなり、通信ネットワーク50内の各ノード5の接続関係を示すトポロジ情報を記憶する網トポロジDB(DataBase)41と、各リンク(論理リンク)のトラヒック量を含むトラヒック情報を記憶するトラヒックDB42と、復旧する伝送パスの経路情報を復旧工程(ステージ)毎に記憶するパスDB43と、各復旧工程(ステージ)で復旧する物理資源(ノード5や物理リンク)の情報が記憶される物理資源復旧順序DB44とを記憶する。
なお、この記憶部40には、後記する、所定のロジック(第1の所定のロジック)に基づき決定された論理リンクそれぞれの優先度や、所定のロジック(第2の所定のロジック)に基づき決定された伝送パスそれぞれの優先度等の情報が適宜記憶される。
【0035】
制御部10は、ネットワーク制御装置1全体の制御を司り、ネットワーク情報収集部11と、物理資源復旧計算部12と、パス計算部13と、パス設定部14とを含んで構成される。この制御部10は、大規模災害等による障害の復旧の際に、「物理資源復旧と伝送パス復旧問題」を、従来の線形計画法等により解決するのではなく、物理資源復旧問題(物理資源復旧順序問題)と伝送パス設計問題とに分割して処理する。そして、制御部10は、この分割した伝送パス設計問題を、伝送パス復旧順序決定問題と伝送パス経路計算問題とにさらに分割して処理する。これは、
図3を用いて説明したように、「物理資源復旧と伝送パス復旧問題」は、収容効率を最大化するという目的関数を設定しているため、物理資源復旧順序、伝送パスの設計のいずれにおいても、同一の目的関数を指向した計算を行うことにより、問題を分割しても性能への影響は小さい、という考え方に基づくものである。
なお、この制御部10は、例えば、記憶部40に格納されたプログラムをCPU(Central Processing Unit)がメモリ部30であるRAMに展開し実行することで実現される。
【0036】
ネットワーク情報収集部11は、通信ネットワーク50上の各ノード5の接続関係であるトポロジ情報を取得し、記憶部40内の網トポロジDB41に記憶する。
また、ネットワーク情報収集部11は、所定の時間間隔で、通信ネットワーク50上の各論理リンク(波長パス等に該当)に収容されているトラヒック量や、転送ノード5a間で発生する交流トラヒック情報等の情報(トラヒック情報)を、記憶部40内のトラヒックDB42に記憶する。
また、ネットワーク情報収集部11は、通信ネットワーク50内の大規模災害等に伴う障害によるトポロジの変更情報(障害発生時のトポロジ情報)やノード5の障害発生情報等を、ネットワーク監視装置(不図示)等から取得し、記憶部40内の網トポロジDB41に記憶する。この障害発生時のトポロジ情報やノード5の障害発生情報等に基づき、障害が発生したノード5および障害が発生した物理リンクを特定することができる。
【0037】
物理資源復旧計算部12は、網トポロジDB41に格納されたトポロジ情報(障害発生時のトポロジ情報等)とトラヒックDB42に格納されたトラヒック情報(障害発生前の各論理リンクの収容トラヒック量)とに基づいて、物理資源の復旧順序を計算する。
この物理資源の復旧順序の決定問題は、「ある復旧工程(ステージ)において復旧可能な物理資源量が与えられたときに、どの物理資源量から復旧するか」を決定する問題である。解の数は順列にしたがって増加するため、厳密な最適解の算出には膨大な計算時間を要する。そこで、物理資源復旧計算部12は、ネットワーク制御装置1が障害発生前の各論理リンクの収容トラヒック量を記憶していることを利用し、以下の処理を実行することにより、物理資源の復旧順序を決定する。
【0038】
(物理資源復旧順序計算の処理手順A)
・(手順A−1)
物理資源復旧計算部12は、記憶部40に記憶されたトラヒックDB42内の障害発生時(直前)の各論理リンクのトラヒック量を参照し、障害が発生した結果、疎通断となった論理リンクの内、収容トラヒック量の多い順に当該論理リンクをソートする。
・(手順A−2)
物理資源復旧計算部12は、(手順A−1)で決定した順序(収容トラヒック量の多い順)にしたがって、その論理リンクを構成する物理資源(ノード5および物理リンク)を復旧する。
【0039】
このようにすることで、物理資源復旧計算部12は、障害発生時の各論理リンクのトラヒック量を用いて、単純な解法により、物理資源の復旧順序を決定することができる。
なお、ここでは、計算の単純化のため、一工程で一論理リンクを復旧するものとして説明したが、一工程で復旧可能な資源量が与えられた場合、(手順A−1)のソート順に可能な限りの論理リンクを選択し、復旧を行えばよい。
【0040】
また、(手順A−1)においては、トラヒックDB42に記憶された各論理リンクのトラヒック量に基づき、復旧する論理リンクを決定したが、それ以外にも、所定のロジック(第1の所定のロジック)に基づき決定された優先度(第1の優先度)を用いて、復旧する論理リンクを決定してもよい。例えば、ネットワークオペレータのポリシに基づき論理リンクに優先度を付し(重み付けし)、ソートするようにしてもよい。例えば、東京・大阪間のリンクを優先したり、電話等のサービスを提供するリンクを優先したり、重要なサーバに接続するリンクを優先したりして、優先度を高くした重み付けを行う。これにより、ネットワークオペレータがより早く復旧させたい論理リンクを優先して、物理資源の復旧順序を決定することができる。
【0041】
物理資源復旧計算部12は、(手順A−1)および(手順A−2)に基づき、各ステージにおいて復旧する物理資源(ノード5および物理リンク)を決定すると、ステージ毎に復旧を決定した物理資源の情報を、記憶部40内の物理資源復旧順序DB44に記憶する。
【0042】
パス計算部13は、記憶部40内の網トポロジDB41に記憶されたトポロジ情報(障害発生時のトポロジ情報等)と、トラヒックDB42に記憶されたトラヒック情報に基づいて、伝送パス設定問題を解く。
この伝送パス設定問題は、与えられた通信ネットワーク50上で、すべての伝送パスをどのように配置するかを決定する問題である。大規模災害等による障害の復旧を想定した場合、基本的にはステージ毎にネットワークトポロジが異なるため、ステージ毎に伝送パス設計問題を解く必要がある。同一対地間に複数の伝送パスを設定することを許容しない、つまり、トラヒック分岐を許容しない伝送パス設計問題は、参考文献1(Y. Wang, and Z. Wang, "Explict Routing Algorithms for Internet Traffic Engineering," in Eight International Conference on Computer Communications and Networks, 1999. Proceedings, pp. 582-588, Oct. 1999.)に示されるように、0/1整数計画問題として定式化させるため、NP困難な問題となる。
そこで、この伝送パス設計問題を、伝送パスの復旧順序の決定問題(伝送パス復旧順序問題)と、伝送パス経路計算問題とに分割する。これは、一般的なネットワーク管理の運用を考慮すると、伝送パスの復旧順序が計算による最適解ではなく、ネットワーク管理者等の運用ポリシで決定されることが一般的であるということに基づく。
パス計算部13は、上記のように、伝送パス設計問題を、伝送パス復旧順序問題と伝送パス経路計算問題とに分割して解く。
【0043】
(伝送パス復旧順序計算の処理手順B
1)
伝送パス復旧順序問題は、「どの伝送パスから復旧するか」を決定する問題である。解の数は、順列にしたがって増加するため、厳密な最適解の算出には膨大な計算時間を要する。そこで、上記した通り伝送パスの復旧順序がネットワーク管理者の運用ポリシで決定されることが一般的であることを考慮し、パス計算部13が、以下の手順で、伝送パスの復旧順序を決定する。その際、各伝送パスには、ネットワーク管理者により決定された所定のロジック(第2の所定のロジック)に基づく優先度(第2の優先度)が予め付与されているものとする。ネットワーク管理者は、例えば、伝送パスの収容トラヒック量の多い順や、東京−大阪間のような重要な拠点を接続する伝送パスを優先する、電話回線を収容する等の早期復旧が要求される伝送パスを優先する等の運用ポリシに基づく所定のロジックにより、各伝送パスの優先度(重み)を決定する。
【0044】
・(手順B
1−1)
パス計算部13は、障害が発生した結果、疎通断となった伝送パスの内、その伝送パスに付された優先度の高い(重みの大きい)順に当該伝送パスをソートする。
・(手順B
1−2)
パス計算部13は、その処理の時点(各ステージ)でまだ復旧していない伝送パスについて、(手順B
1−1)で決定した順序(優先度が高い順)に伝送パスを選択し、伝送パス経路計算問題(後記する処理手順B
2)を解く。
【0045】
このようにすることで、パス計算部13は、ネットワーク管理者が予め設定した優先度の高い順に、伝送パスを選択して処理することができる。よって、パス計算部13は、より単純な解法により、伝送パスの復旧順序を計算することができる。
なお、パス計算部13は、この伝送パスの復旧順序を、既存のアルゴリズム(参考文献2:S. Kamamura et al., "Optimization of Light-path Configuration Order in IP over WDM Networks using Fast Traffic Matrix Estimation," OSA OFC 2014, Mar.)により計算し決定してもよい。参考文献2には、流量の少ない対地間を演算処理から除外するフィルタ処理により、復旧効果の高いパスから順次再設定を実行する手法が記載されている。
【0046】
(伝送パス経路計算の処理手順B
2)
次に、伝送パス経路計算問題について説明する。
上記した伝送パス復旧順序計算の処理手順B
1(具体的には、手順B
1−2)により処理対象の伝送パスが選択されることで、伝送パス経路計算問題は、他品種流問題(複数の対地間の経路計算)から一品種流問題(単一対地間の経路計算)に変換される。しかしながら、一品種流問題は、以前として0/1整数計画問題であり、数理計画法を用いた計算では、現実的な計算時間で解を得ることは困難である。そこで、パス計算部13は、伝送パスの経路をヒューリスティックな手法で計算する。パス計算部13は、例えば、ダイクストラ法等の最短経路を提供する手法や、残容量が無いリンクを除去したり、リンク残容量に基づいてリンクの重みを変化させたりするCSPF(Constrained shortest path first)計算の手法、K−shortestアルゴリズムの結果から最も収容効率がよい結果を選択する手法などを用いて、伝送パスの経路を計算する。
この処理手順B
2を採用する理由は、キャリア中継網のように、管理されたネットワークは、インターネットとは異なり複雑系とはならないため、単一対地間に存在する経路はそれほど多くない。そこで、上記のような単純な計算手法を用いれば、十分に効率の良い結果が得られるという考え方に基づく。
【0047】
このようにすることで、パス計算部13は、伝送パス復旧順序に基づき選択された伝送パスについて、数理計画法を用いることなく経路計算を実行することができる。
パス計算部13は、各ステージにおいて復旧する伝送パスの経路計算の結果(経路情報)を、記憶部40内のパスDB43に記憶する。
【0048】
パス設定部14は、各復旧工程(ステージ)において物理資源が復旧した場合に、パスDB43を参照し、伝送パスの経路情報に基づき、各ノード5に対し伝送パスを設定する。
【0049】
<処理の流れ>
次に、ネットワーク制御装置1の処理の流れについて説明する。
図5は、本実施形態に係るネットワーク制御装置1の処理の流れを示すフローチャートである。
ここで、ネットワーク制御装置1は、後記する伝送パス復旧順序問題を処理するため、通信ネットワーク50内に設定した各伝送パスの優先度(第2の優先度)を決定しておき、記憶部40内に記憶しているものとする。また、ネットワーク制御装置1のネットワーク情報収集部11が、通信ネットワーク50内のトポロジ情報(障害発生前のトポロジ情報)を取得し、網トポロジDB41に記憶しているものとのする。
なお、以下の処理の流れでは、物理資源復旧計算部12が、トラヒックDB42に記憶された各論理リンクのトラヒック量に基づき、復旧する論理リンクを決定するものとして説明するが、所定のロジックに基づき決定された優先度(第1の優先度)を用いて、復旧する論理リンクを決定してもよい。
【0050】
図5に示すように、まず、ネットワーク制御装置1のネットワーク情報収集部11は、所定の時間間隔で、各ノード5やネットワーク監視装置(不図示)等から各論理リンクのトラヒック量や、ノード5間の交流トラヒック量の情報などのトラヒック情報を取得し(ステップS1)、記憶部40のトラヒックDB42に格納する。
なお、各論理リンクのトラヒック量の情報は、後記するステップS3において、物理資源の復旧順序を決定する際に用いられる。また、ノード5間の交流トラヒック量の情報は、後記するステップS8の伝送パスの経路計算に必要となる場合に取得される。
【0051】
次に、ネットワーク制御装置1のネットワーク情報収集部11が、通信ネットワーク50内の大規模障害の発生に伴うトポロジの変更情報(障害発生時のトポロジ情報)やノード5の障害発生情報等をネットワーク監視装置(不図示)等から取得し(ステップS2)、これらの障害発生時(
図2(a)のステージ0)のトポロジ情報等を、記憶部40内の網トポロジDB41に記憶する。ネットワーク制御装置1は、ネットワーク監視装置(不図示)から障害発生時のトポロジ情報を取得すること等により、以下の通信ネットワーク50の復旧処理を開始する。
【0052】
ネットワーク制御装置1の物理資源復旧計算部12は、記憶部40内の網トポロジDB41に記憶された障害発生時のトポロジ情報等と、記憶部40内のトラヒックDB42に記憶された各論理リンクのトラヒック量(障害発生前の各リンクのトラヒック量)を参照し、障害が発生した結果、疎通断となった論理リンクを特定し、その特定した論理リンクについて、収容トラヒック量の多い順にソートする(ステップS3)。
【0053】
続いて、物理資源復旧計算部12は、収容トラヒック量の多い順に、まだ選択していない論理リンクを1つ選択し、その論理リンクを通る物理資源(ノード5や物理リンク)をその復旧工程(ステージ)において復旧させる物理資源として決定する(ステップS4)。そして、物理資源復旧計算部12は、復旧を決定した物理資源の情報を、物理資源復旧順序DB44に記憶する(ステップS5)。なお、物理資源復旧計算部12は、復旧を決定した物理資源の情報を、その復旧工程(ステージ)に対応付けて、物理資源復旧順序DB44に記憶する。ここでは、ステージ1(
図2(b)一次復旧)に対応付けて、復旧を決定した物理資源の情報が物理資源復旧順序DB44に記憶される。
なお、ステップS3〜S5が、物理資源復旧順序計算の処理手順に該当する。
【0054】
次に、ネットワーク制御装置1のパス計算部13は、障害が発生した結果、疎通断となった伝送パスを特定し、その特定した伝送パスについて、優先度の高い順にソートする(ステップS6)。
【0055】
続いて、パス計算部13は、優先度が高い順に、まだ選択していない(経路計算の結果を取得していない)伝送パスを1つ選択する(ステップS7)。
なお、このステップS6およびステップS7が、伝送パス復旧順序計算の処理手順に該当する。
【0056】
次に、パス計算部13は、ステップS7において選択した伝送パスについて、ステップS4において決定した物理資源が復旧したものとして、その経路を計算する(ステップS8)。このステップS8が、伝送パス経路計算の処理手順に該当する。
このステップS8において、パス計算部13は、障害が発生していない伝送パスと、当該ステージ以前に復旧した伝送パスについても、ステップS7において新たに選択した伝送パスとともに経路の再計算を行う。このようにすることで、各復旧工程(ステージ)において、最適な伝送パス経路を計算することが可能となる。
【0057】
そして、パス計算部13は、ステップS8の結果として、選択した伝送パスの経路計算の計算結果(経路情報)が取得できたか否かを判定する(ステップS9)。
ここで、パス計算部13は、計算結果が取得できなかった場合(ステップS9→No)、つまり、当該ステージにおいて復旧している物理資源だけでは、当該伝送パスの設定(経路計算)ができない場合には、ステップS7に戻り、優先度が次に高い伝送パスを選択し処理を続ける。
一方、パス計算部13は、計算結果が取得できた場合には(ステップS9→Yes)、次のステップS10に進む。
【0058】
ステップS10において、パス計算部13は、ステップS6において、ソートされたすべての伝送パスを確認したか否かを判定する。つまり、パス計算部13は、疎通断となった伝送パスすべてについて経路計算を行い、計算結果を取得できるか、即ち、その伝送パスを設定できるか否かを判定する。
ここで、まだ確認していない伝送パスがある場合には(ステップS10→No)、ステップS7に戻り、優先度が次に高い伝送パスを選択して処理を続ける。
一方、パス計算部13は、伝送パスすべてを確認した場合には、ステップS11に進む。
【0059】
ステップS11において、パス計算部13は、当該ステージにおいて復旧している物理資源において、復旧を決定した伝送パスの経路情報、および、当該ステージ以前に疎通している伝送パスについて再計算した経路情報を、パスDB43に記憶する(ステップS11)。なお、パス計算部13は、これらの計算した伝送パスの経路情報を、その復旧工程(ステージ)に対応付けて、パスDB43に記憶する。ここでは、ステージ1に対応付けて、復旧を決定した伝送パスの経路情報および再計算した伝送パスの経路情報がパスDB43に記憶される。
【0060】
次に、物理資源復旧計算部12は、ステップS3においてソートされた論理リンク(障害発生により疎通断となった論理リンク)のすべてが、選択されたか否かを判定する(ステップS12)。
ここで、物理資源復旧計算部12は、まだ選択されていない論理リンクがある場合には(ステップS12→No)、復旧工程(ステージ)をインクリメントし(ステップS13)、ステップS4に戻り処理を続ける。
一方、物理資源復旧計算部12は、論理リンクがすべて選択されている場合(ステップS12→Yes)、つまり、すべての物理資源の復旧計算の処理が終了している場合には、その旨の情報を、パス設定部14に出力し、処理を終了する。
【0061】
なお、パス設定部14は、記憶部40内の物理資源復旧順序DB44に記憶された、各ステージにおいて復旧を決定した物理資源が実際に復旧されると、パスDB43に記憶された、そのステージでの復旧を決定した伝送パスの経路情報に基づき、その伝送パスを復旧させる。
【0062】
以上説明したように、本実施形態に係るネットワーク制御装置1およびネットワーク制御方法によれば、従来、数理計画法で定式化される物理資源の復旧と伝送パスの復旧とからなる最適化問題を、物理資源復旧順序問題と伝送パス設定問題に分割し、さらに伝送パス設定問題を、伝送パス復旧順序問題と伝送パス経路計算問題に分割して処理することにより、簡易なアルゴリズムで問題を解くことができる。よって、同一対地間に複数パスを許容しない解を現実的な時間で算出することが可能となる。すなわち、従来の技術では実現できなかったトラヒックを分岐させない運用制約での解が算出可能となる。よって、激甚災害等に伴う大規模障害の復旧方式についての実現性を向上させ、ネットワーク信頼性を大幅に向上させることができる。