特許第6427266号(P6427266)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルジー・ケム・リミテッドの特許一覧

特許6427266リガンド化合物、有機クロム化合物、オレフィンオリゴマー化触媒システム、およびこれを用いたオレフィンのオリゴマー化方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6427266
(24)【登録日】2018年11月2日
(45)【発行日】2018年11月21日
(54)【発明の名称】リガンド化合物、有機クロム化合物、オレフィンオリゴマー化触媒システム、およびこれを用いたオレフィンのオリゴマー化方法
(51)【国際特許分類】
   C07F 9/46 20060101AFI20181112BHJP
   C07C 11/02 20060101ALI20181112BHJP
   C07C 11/107 20060101ALI20181112BHJP
   C07C 2/32 20060101ALI20181112BHJP
   B01J 31/26 20060101ALI20181112BHJP
   C07F 11/00 20060101ALN20181112BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20181112BHJP
【FI】
   C07F9/46CSP
   C07C11/02
   C07C11/107
   C07C2/32
   B01J31/26 Z
   !C07F11/00 A
   !C07B61/00 300
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-519268(P2017-519268)
(86)(22)【出願日】2015年12月2日
(65)【公表番号】特表2018-500277(P2018-500277A)
(43)【公表日】2018年1月11日
(86)【国際出願番号】KR2015013077
(87)【国際公開番号】WO2016093548
(87)【国際公開日】20160616
【審査請求日】2017年9月22日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0178771
(32)【優先日】2014年12月11日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2015-0073180
(32)【優先日】2015年5月26日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2015-0169714
(32)【優先日】2015年12月1日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】イ、ヨン−ホ
(72)【発明者】
【氏名】シン、ウン−チ
(72)【発明者】
【氏名】パク、チン−ヨン
(72)【発明者】
【氏名】サ、ソク−ピル
(72)【発明者】
【氏名】イ、キ−ス
【審査官】 高橋 直子
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第103044181(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0172645(US,A1)
【文献】 Blann, Kevin; Bollmann, Annette; De Bod, Henriette; Dixon, John T.; Killian, Esna; Nongodlwana, Palesa; Maumela, Munaka C.; Maumela, Hulisani; McConnell, Ann E.; Morgan, David H.; Overett, Matthew J.; Pretorius, Marie; Kuhlmann, Sven; Wasserscheid, Peter,Ethylene tetramerization: Subtle effects exhibited by N-substituted diphosphinoamine ligands,Journal of Catalysis ,2007年,249(2),244-249
【文献】 Cloete, Nicoline; Visser, Hendrik G.; Engelbrecht, Ilana; Overett, Matthew J.; Gabrielli, William F.; Roodt, Andreas,Ethylene Tri- and Tetramerization: a Steric Parameter Selectivity Switch from X-ray Crystallography and Computational Analysis,Inorganic Chemistry,2013年,52(5),2268-2270
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 9/46
B01J 31/26
C07C 2/32
C07C 11/02
C07C 11/107
C07B 61/00
C07F 11/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式3または4で表される、リガンド化合物
【化19】
【請求項2】
i)クロムソース;請求項1に記載のリガンド化合物;および助触媒を含むオレフィンオリゴマー化触媒システム。
【請求項3】
前記クロムソースは、クロミウム(III)アセチルアセトネート、クロミウム(III)クロライドテトラヒドロフラン、クロミウム(III)2−エチルヘキサノエート、クロミウム(III)アセテート、クロミウム(III)ブチレート、クロミウム(III)ペンタノエート、クロミウム(III)ラウレート、クロミウム(III)トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3.5−ヘプタンジオネート)、およびクロミウム(III)ステアレートからなる群より選択された1種以上の化合物である、請求項2に記載のオレフィンオリゴマー化触媒システム。
【請求項4】
前記助触媒は、トリメチルアルミニウム(trimethyl aluminium)、トリエチルアルミニウム(triethyl aluminium)、トリイソプロピルアルミニウム(triisopropyl aluminium)、トリイソブチルアルミニウム(triisobutyl aluminum)、エチルアルミニウムセスキクロライド(ethylaluminum sesquichloride)、ジエチルアルミニウムクロライド(diethylaluminum chloride)、エチルアルミニウムジクロライド(ethyl aluminium dichloride)、メチルアルミノキサン(methylaluminoxane)、および改質されたメチルアルミノキサン(modified methylaluminoxane)からなる群より選択された1種以上の化合物である、請求項2または3に記載のオレフィンオリゴマー化触媒システム。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか一項に記載の触媒システムの存在下、オレフィンのオリゴマー化反応によりアルファ−オレフィンを形成する段階を含むオレフィンのオリゴマー化方法。
【請求項6】
前記アルファ−オレフィンは、1−ヘキセン、1−オクテン、またはこれらの混合物を含む、請求項5に記載のオレフィンのオリゴマー化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互参照]
本出願は、2014年12月11日付の韓国特許出願第10−2014−0178771号、2015年5月26日付の韓国特許出願第10−2015−0073180号、および2015年12月1日付の韓国特許出願第10−2015−0169714号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
[技術分野]
本発明は、リガンド化合物、有機クロム化合物、前記リガンド化合物または有機クロム化合物を含むオレフィンオリゴマー化用触媒システム、およびこれを用いたオレフィンのオリゴマー化方法に関する。
【背景技術】
【0003】
1−ヘキセン、1−オクテンなどのような線状アルファ−オレフィン(Linear alpha−olefin)は、洗浄剤、潤滑剤、可塑剤などに使用され、特に、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)の製造時、ポリマーの密度調節のための共単量体として多く使用される。
【0004】
このような線状アルファ−オレフィンは、Shell Higher Olefin Processにより主に生産された。しかし、前記方法は、Schultz−Flory分布により多様な長さのアルファ−オレフィンが同時に合成されるため、特定のアルファ−オレフィンを得るためには、別途の分離工程を経なければならないという煩わしさがあった。
【0005】
このような問題点を解決するために、エチレンの三量化反応により1−ヘキセンを選択的に合成したり、エチレンの四量化反応により1−オクテンを選択的に合成する方法が提案された。そして、このような選択的なエチレンのオリゴマー化を可能にする触媒システムに対する多くの研究が行われている。
【0006】
しかし、以前に知られた触媒システムは、1−ヘキセンまたは1−オクテンなどに対する選択度が十分でなかったり、オリゴマー化に対する触媒活性に劣る問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、オレフィンのオリゴマー化反応において、高い触媒活性と選択度の発現を可能にする新規なリガンド化合物を提供する。
【0008】
また、本発明は、オレフィンのオリゴマー化反応において、高い触媒活性と選択度の発現を可能にする新規な有機クロム化合物を提供する。
【0009】
さらに、本発明は、前記リガンド化合物または有機クロム化合物を含むオレフィンオリゴマー化用触媒システムを提供する。
【0010】
また、本発明は、前記触媒システムを用いたオレフィンのオリゴマー化方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、
分子内に下記化学式1で表されるグループを2個以上含み、
前記化学式1で表されるそれぞれのグループの間を1または2個の連続的炭素−炭素結合で連結するリンカーを含み、
前記リンカーは、1つ以上のヘテロ元素を含むか含まない炭素数3〜10の分枝鎖状アルキレン基またはアルケニレン基であるリガンド化合物が提供される:
【0012】
【化1】
【0013】
前記化学式1において、
Nは、窒素であり、
Xは、それぞれ独立に、リン(P)、砒素(As)、またはアンチモン(Sb)であり、
1〜R4は、それぞれ独立に、ヒドロカルビル基またはヘテロヒドロカルビル基であり、
*は、結合部位を表し、実線は、共有結合を表す。
【0014】
そして、本発明によれば、
分子内に下記化学式1’で表される2以上のグループと、前記化学式1’で表されるそれぞれのグループの間を1または2個の連続的炭素−炭素結合で連結するリンカーとを含み、
前記リンカーは、1つ以上のヘテロ元素を含むか含まない炭素数3〜10の分枝鎖状アルキレン基またはアルケニレン基である有機クロム化合物が提供される:
【0015】
【化2】
【0016】
前記化学式1’において、
Nは、窒素であり、
Xは、それぞれ独立に、リン(P)、砒素(As)、またはアンチモン(Sb)であり、
1〜R4は、それぞれ独立に、ヒドロカルビル基またはヘテロヒドロカルビル基であり、
Crは、クロムであり、
1〜Y3は、それぞれ独立に、ハロゲン、水素、炭素数1〜10のヒドロカルビル基、または炭素数1〜10のヘテロヒドロカルビル基であり、
*は、結合部位を表し、実線は、共有結合を表し、点線は、配位結合を表す。
【0017】
そして、本発明によれば、
i)クロムソース;前記リガンド化合物;および助触媒、または
ii)前記有機クロム化合物;および助触媒を含むオレフィンオリゴマー化触媒システムが提供される。
【0018】
そして、本発明によれば、前記触媒システムの存在下、オレフィンのオリゴマー化反応によりアルファ−オレフィンを形成する段階を含むオレフィンのオリゴマー化方法が提供される。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るオレフィンオリゴマー化触媒システムは、優れた触媒活性を有しながらも1−ヘキセンまたは1−オクテンに対する高い選択度を示し、より効率的なアルファ−オレフィンの製造を可能にする。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係るリガンド化合物、有機クロム化合物、オレフィンオリゴマー化触媒システム、およびこれを用いたオレフィンのオリゴマー化方法についてより詳細に説明する。
【0021】
それに先立ち、本明細書全体において、明示的な言及がない限り、専門用語は単に特定の実施例を言及するためのものであり、本発明を限定することを意図しない。そして、ここで使用される単数形態は、文章がこれと明らかに反対の意味を示さない限り、複数形態も含む。また、明細書で使用される「含む」の意味は、特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分を具体化し、他の特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素、成分および/または群の存在や付加を除外させるわけではない。
【0022】
そして、本明細書において、「触媒システム」とは、クロムソース、リガンド化合物、および助触媒を含む3成分、または代案的に、有機クロム化合物および助触媒の2成分が同時にまたは任意の順序で添加され、活性のある触媒組成物として得られる状態のものを意味する。前記触媒システムの3成分または2成分は、溶媒および単量体の存在または不存在下で添加され、担持または非担持状態で使用される。
【0023】
発明の一実施形態によれば、
分子内に下記化学式1で表されるグループを2個以上含み、
前記化学式1で表されるそれぞれのグループの間を1または2個の連続的炭素−炭素結合で連結するリンカーを含み、
前記リンカーは、1つ以上のヘテロ元素を含むか含まない炭素数3〜10の分枝鎖状アルキレン基またはアルケニレン基であるリガンド化合物が提供される:
【0024】
【化3】
【0025】
前記化学式1において、
Nは、窒素であり、
Xは、それぞれ独立に、リン(P)、砒素(As)、またはアンチモン(Sb)であり、
1〜R4は、それぞれ独立に、ヒドロカルビル基またはヘテロヒドロカルビル基である。
【0026】
本発明者らの継続的な実験の結果、前記構造を満足するリガンド化合物をオレフィンのオリゴマー化触媒システムに適用する場合、優れた触媒活性を示しながらも1−ヘキセンまたは1−オクテンなどのアルファ−オレフィンに対する高い選択度を示し、より効率的なアルファ−オレフィンの製造を可能にすることが確認された。
【0027】
発明の実施形態によれば、前記リガンド化合物は、分子内に前記化学式1で表されるグループ(例えば、ジホスフィノアミニル残基(diphosphino aminyl moiety))を2以上含み、前記化学式1で表されるそれぞれのグループの間を1または2個の連続的炭素−炭素結合で連結するリンカーを有する。このようなリンカーは、炭素数3〜10の分枝鎖状アルキレン基またはアルケニレン基、より具体的な例において、炭素数3〜8の分枝鎖状アルキレン基になってもよい。
【0028】
より具体的には、このような炭素数3〜8の分枝鎖状アルキレン基になってもよいリンカーは、以下の化学式3または4から明らかなように、前記化学式1で表されるグループの窒素の間を炭素数2または3のアルキレン基(1または2個の連続的炭素−炭素結合)で連結しながら、このアルキレン基に含まれている1つ以上の炭素が炭素数1〜5のアルキル基で追加置換された分枝鎖状アルキレン基の構造を有することができる:
【0029】
【化4】
【0030】
このようなリンカーは、従来知られたリンカー、リガンド化合物、または有機クロム化合物などの構造と比較して、2以上の化学式1のグループの間を比較的近距離(1または2個の連続的炭素−炭素結合)で連結することができ、芳香族環または脂肪族環が含まれている他の種類のリンカーと比較して、柔軟性(Flexible)が大きい構造的特性を有することができる。その結果、一実施形態のリガンド化合物およびこれから得られる有機クロム化合物などを適用する場合、オレフィン(エチレン)のオリゴマー化過程において、互いに隣接した前記化学式1のグループおよび隣接したクロム活性点がより容易に相互作用し、さらに、各活性点に結合されたオレフィン(エチレン)が非常に容易に相互作用および結合できることが予測される。このため、前記一実施形態のリガンド化合物などを適用する場合、オレフィン(エチレン)のオリゴマー化に対してより高い活性が発現できるだけでなく、前記オリゴマー化による三量化または四量化産物の1−ヘキセンまたは1−オクテンをより選択性高く得られると考えられる。
【0031】
一方、以下、発明の一実施形態に係るリガンド化合物についてより具体的に説明する。
【0032】
まず、前記リガンド化合物は、前記化学式1で表される2以上のグループを有する。そして、前記化学式1で表されるそれぞれのグループは、上述したリンカーによって連結される。
【0033】
前記化学式1において、Nは、窒素である。
【0034】
そして、前記化学式1において、Xは、それぞれ独立に、リン(P)、砒素(As)、またはアンチモン(Sb)であってもよい。好ましくは、前記化学式1で表されるグループは、それぞれのXがリン(P)であるジホスフィノアミニル残基(diphosphino aminyl moiety)であってもよい。
【0035】
前記化学式1において、R1〜R4は、それぞれ独立に、ヒドロカルビル基またはヘテロヒドロカルビル基であってもよい。ここで、前記ヒドロカルビル基は、炭化水素から水素原子の除去によって形成された1価の基である。そして、前記ヘテロヒドロカルビル基は、ヘテロ原子を含む炭化水素から水素原子の除去によって形成された1価の基である。
【0036】
非制限的な例として、前記R1〜R4は、それぞれ独立に、置換もしくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数4〜10のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6〜15のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7〜15のアリールアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数1〜10のアルコキシ基であってもよい。ここで、前記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、およびアルコキシ基に含まれている少なくとも1つの水素は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、ハロゲン原子、またはシアノ基で置換されていてもよい。
【0037】
より具体的には、前記R1〜R4は、それぞれ独立に、メチル(methyl)、エチル(ethyl)、プロピル(propyl)、プロペニル(propenyl)、プロピニル(propynyl)、ブチル(butyl)、シクロヘキシル(cyclohexyl)、2−メチルシクロヘキシル(2−methylcyclohexyl)、2−エチルシクロヘキシル(2−ethylcyclohexyl)、2−イソプロピルシクロヘキシル(2−isopropylcyclohexyl)、ベンジル(benzyl)、フェニル(phenyl)、トリル(tolyl)、キシリル(xylyl)、o−メチルフェニル(o−methylphenyl)、o−エチルフェニル(o−ethylphenyl)、o−イソプロピルフェニル(o−isopropylphenyl)、o−t−ブチルフェニル(o−t−butylphenyl)、o−メトキシフェニル(o−methoxyphenyl)、o−イソプロポキシフェニル(o−isopropoxyphenyl)、m−メチルフェニル(m−methylphenyl)、m−エチルフェニル(m−ethylphenyl)、m−イソプロピルフェニル(m−isopropylphenyl)、m−t−ブチルフェニル(m−t−butylphenyl)、m−メトキシフェニル(m−methoxyphenyl)、m−イソプロポキシフェニル(o−isopropoxyphenyl)、p−メチルフェニル(p−methylphenyl)、p−エチルフェニル(p−ethylphenyl)、p−イソプロピルフェニル(p−isopropylphenyl)、p−t−ブチルフェニル(p−t−butylphenyl)、p−メトキシフェニル(p−methoxyphenyl)、p−イソプロポキシフェニル(p−isopropoxyphenyl)、クミル(cumyl)、メシチル(mesityl)、ビフェニル(biphenyl)、ナフチル(naphthyl)、アントラセニル(anthracenyl)、メトキシ(methoxy)、エトキシ(ethoxy)、フェノキシ(phenoxy)、トリロキシ(tolyloxy)、ジメチルアミノ(dimethylamino)、チオメチル(thiomethyl)、またはトリメチルシリル(trimethylsilyl)グループであってもよい。
【0038】
そして、前記リガンド化合物において、前記化学式1で表される2以上のグループは、各グループの窒素原子の間を1または2個の連続的炭素−炭素結合で連結するリンカーによって連結される。特に、発明の実施形態によれば、前記リンカーは、炭素数3〜10の分枝鎖状アルキレン基またはアルケニレン基であって、より具体的な例において、炭素数3〜8の分枝鎖状アルキレン基になってもよい。最も具体的な例において、前記リンカーは、前記化学式1で表されるグループの窒素の間を炭素数2または3のアルキレン基(1または2個の連続的炭素−炭素結合)で連結しながら、このアルキレン基に含まれている1つ以上の炭素が1つ以上の炭素数1〜5のアルキル基で追加置換された分枝鎖状アルキレン基になってもよい。
【0039】
上述したリガンド化合物は、分子内に2個の前記化学式1で表されるグループを有する化合物であって、下記化学式2で表される化合物になってもよい:
【0040】
【化5】
【0041】
前記化学式2において、
Lは、窒素(N)原子の間を1または2個の連続的炭素−炭素結合で連結するリンカーであって、1つ以上のヘテロ元素を含むか含まない炭素数3〜10の分枝鎖状アルキレン基またはアルケニレン基であり、
Xは、それぞれ独立に、リン(P)、砒素(As)、またはアンチモン(Sb)であり、
1〜R4は、それぞれ独立に、ヒドロカルビル基またはヘテロヒドロカルビル基である。
【0042】
また、上述したリガンド化合物の最も具体的な例としては、下記化学式3または4の化合物が挙げられる:
【0043】
【化6】
【0044】
上述したリガンド化合物は、前記例以外にも、上述した条件を満足する範囲において多様な組み合わせで実現できる。そして、前記リガンド化合物は、公知の反応を応用して合成される。
【0045】
発明の他の実施形態によれば、
分子内に下記化学式1’で表される2以上のグループと、前記化学式1’で表されるそれぞれのグループの間を1または2個の連続的炭素−炭素結合で連結するリンカーとを含み、
前記リンカーは、1つ以上のヘテロ元素を含むか含まない炭素数3〜10の分枝鎖状アルキレン基またはアルケニレン基である有機クロム化合物が提供される:
【0046】
【化7】
【0047】
前記化学式1’において、
Nは、窒素であり、
Xは、それぞれ独立に、リン(P)、砒素(As)、またはアンチモン(Sb)であり、
1〜R4は、それぞれ独立に、ヒドロカルビル基またはヘテロヒドロカルビル基であり、
Crは、クロムであり、
1〜Y3は、それぞれ独立に、ハロゲン、水素、炭素数1〜10のヒドロカルビル基、または炭素数1〜10のヘテロヒドロカルビル基であり、
*は、結合部位を表し、実線は、共有結合を表し、点線は、配位結合を表す。
【0048】
前記有機クロム化合物は、上述したリガンド化合物のクロム錯化合物(complex compound)であって、クロムソースに含まれているクロムが、前記化学式1で表されるグループに含まれている2つのXに配位結合をなした形態を有する。このような有機クロム化合物は、オレフィンのオリゴマー化反応用触媒システムに適用され、向上した触媒活性と1−ヘキセンまたは1−オクテンに対する高い選択度を示すことができる。
【0049】
一方、前記化学式1’において、前記XとR1〜R4に関する説明と具体的な例は、前記化学式1で定義された通りである。そして、前記化学式1’において、Crは、クロムであり、前記Y1、Y2およびY3は、それぞれ独立に、ハロゲン、水素、炭素数1〜10のヒドロカルビル基、または炭素数1〜10のヘテロヒドロカルビル基である。
【0050】
具体的には、前記有機クロム化合物は、下記化学式2’で表されてもよい:
【0051】
【化8】
【0052】
前記化学式2’において、
Lは、窒素(N)原子の間を1または2個の連続的炭素−炭素結合で連結するリンカーであって、1つ以上のヘテロ元素を含むか含まない炭素数3〜10の分枝鎖状アルキレン基またはアルケニレン基であり、
Xは、それぞれ独立に、リン(P)、砒素(As)、またはアンチモン(Sb)であり、
1〜R4は、それぞれ独立に、ヒドロカルビル基またはヘテロヒドロカルビル基であり、
Crは、クロムであり、
1〜Y3は、それぞれ独立に、ハロゲン、水素、炭素数1〜10のヒドロカルビル基、または炭素数1〜10のヘテロヒドロカルビル基である。
【0053】
そして、前記化学式2’において、Lは、一実施形態のリガンド化合物に関して説明したように、炭素数3〜10の分枝鎖状アルキレン基またはアルケニレン基、より具体的には、炭素数3〜8の分枝鎖状アルキレン基になってもよいし、最も具体的な例において、前記化学式1で表されるグループの窒素の間を炭素数2または3のアルキレン基(1または2個の連続的炭素−炭素結合)で連結しながら、このアルキレン基に含まれている1つ以上の炭素が1つ以上の炭素数1〜5のアルキル基で追加置換された分枝鎖状アルキレン基になってもよい。
【0054】
そして、前記化学式1’の有機クロム化合物は、前記リガンド化合物とクロムソースとを反応させる通常の方法で形成される。
【0055】
発明のさらに他の実施形態によれば、上述したリガンド化合物または有機クロム化合物を含むオレフィンオリゴマー化触媒システムが提供される。
【0056】
一例として、前記オレフィンオリゴマー化触媒システムには、クロムソース;上述した一実施形態のリガンド化合物;および助触媒が含まれてもよい。他の例として、前記オレフィンオリゴマー化触媒システムには、上述した他の実施形態の有機クロム化合物;および助触媒が含まれてもよい。つまり、発明の実施形態によれば、前記オレフィンオリゴマー化触媒システムは、i)クロムソース、上述したリガンド化合物、および助触媒を含む3成分系触媒システム、またはii)上述した有機クロム化合物および助触媒を含む2成分系触媒システムであってもよい。
【0057】
前記触媒システムにおいて、前記クロムソースは、クロムの酸化状態が0〜6の有機または無機クロム化合物であって、例えば、クロム金属であるか、または任意の有機または無機ラジカルがクロムに結合された化合物であってもよい。ここで、前記有機ラジカルは、ラジカルあたり1〜20の炭素原子を有するアルキル、アルコキシ、エステル、ケトン、アミド、カルボキシレートラジカルなどであってもよく、前記無機ラジカルは、ハライド、硫酸塩、酸化物などであってもよい。
【0058】
より具体的には、前記クロムソースは、オレフィンのオリゴマー化に高い活性を示すことができ、使用および入手が容易な化合物であって、クロミウム(III)アセチルアセトネート、クロミウム(III)クロライドテトラヒドロフラン、クロミウム(III)2−エチルヘキサノエート、クロミウム(III)アセテート、クロミウム(III)ブチレート、クロミウム(III)ペンタノエート、クロミウム(III)ラウレート、クロミウム(III)トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3.5−ヘプタンジオネート)、およびクロミウム(III)ステアレートからなる群より選択された1種以上の化合物であってもよい。
【0059】
また、前記助触媒は、13族金属を含む有機金属化合物であって、一般に遷移金属化合物の触媒下でオレフィンを重合する時に用いられるものであれば特に限定なく適用可能である。
【0060】
例えば、前記助触媒は、下記化学式4〜6で表される化合物からなる群より選択された1種以上の化合物であってもよい:
【0061】
【化9】
【0062】
前記化学式4において、R41は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、ハロゲンラジカル、炭素数1〜20のヒドロカルビルラジカル、またはハロゲンで置換された炭素数1〜20のヒドロカルビルラジカルであり、cは、2以上の整数であり、
【0063】
【化10】
【0064】
前記化学式5において、Dは、アルミニウムまたはボロンであり、R51は、炭素数1〜20のヒドロカルビル、またはハロゲンで置換された炭素数1〜20のヒドロカルビルであり、
【0065】
【化11】
【0066】
前記化学式6において、
Lは、中性ルイス塩基であり、[L−H]+は、ブレンステッド酸であり、Qは、+3形式酸化状態のホウ素またはアルミニウムであり、Eは、それぞれ独立に、1以上の水素原子が、ハロゲン、炭素数1〜20のヒドロカルビル、アルコキシ官能基、またはフェノキシ官能基で置換もしくは非置換の炭素数6〜20のアリール基または炭素数1〜20のアルキル基である。
【0067】
具体的な例として、前記化学式4で表される化合物は、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、ブチルアルミノキサンなどのアルキルアルミノキサンであってもよい。
【0068】
そして、前記化学式5で表される化合物は、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、ジメチルクロロアルミニウム、ジメチルイソブチルアルミニウム、ジメチルエチルアルミニウム、ジエチルクロロアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−s−ブチルアルミニウム、トリシクロペンチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリイソペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、エチルジメチルアルミニウム、メチルジエチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリ−p−トリルアルミニウム、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、トリメチルボロン、トリエチルボロン、トリイソブチルボロン、トリプロピルボロン、トリブチルボロンなどであってもよい。
【0069】
また、前記化学式6で表される化合物は、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリブチルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリメチルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)ボロン、トリプロピルアンモニウムテトラ(p−トリル)ボロン、トリエチルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルボロン、N,N−ジエチルアニリニウムテトラフェニルボロン、N,N−ジエチルアニリニウムテトラフェニルボロン、N,N−ジエチルアニリニウムテトラペンタフルオロフェニルボロン、ジエチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルボロン、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルボロン、トリメチルホスホニウムテトラフェニルボロン、トリエチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)アルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(p−トリル)アルミニウム、トリエチルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)アルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム、N,N−ジエチルアニリニウムテトラフェニルアルミニウム、N,N−ジエチルアニリニウムテトラフェニルアルミニウム、N,N−ジエチルアニリニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム、ジエチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリフェニルカルボニウムテトラフェニルボロン、トリフェニルカルボニウムテトラフェニルアルミニウム、トリフェニルカルボニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ボロン、トリフェニルカルボニウムテトラペンタフルオロフェニルボロンなどであってもよい。
【0070】
また、非制限的な例として、前記助触媒は、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物、有機マグネシウム化合物、有機亜鉛化合物、有機リチウム化合物、またはこれらの混合物であってもよい。具体的には、前記助触媒は、有機アルミニウム化合物であることが好ましく、より好ましくは、トリメチルアルミニウム(trimethyl aluminium)、トリエチルアルミニウム(triethyl aluminium)、トリイソプロピルアルミニウム(triisopropyl aluminium)、トリイソブチルアルミニウム(triisobutyl aluminum)、エチルアルミニウムセスキクロライド(ethylaluminum sesquichloride)、ジエチルアルミニウムクロライド(diethylaluminum chloride)、エチルアルミニウムジクロライド(ethyl aluminium dichloride)、メチルアルミノキサン(methylaluminoxane)、および改質されたメチルアルミノキサン(modified methylaluminoxane)からなる群より選択された1種以上の化合物であってもよい。
【0071】
一方、前記触媒システムを構成する成分の含有量比は、触媒活性と線状アルファ−オレフィンに対する選択度などを考慮して決定される。一例によれば、前記3成分系触媒システムの場合、前記リガンド化合物のジホスフィノアミニル残基:クロムソース:助触媒のモル比は、約1:1:1〜10:1:10,000、または約1:1:100〜5:1:3,000に調節されることが有利である。そして、前記2成分系触媒システムの場合、前記有機クロム化合物のジホスフィノアミニル残基:助触媒のモル比は、1:1〜1:10,000、または1:1〜1:5,000、または1:1〜1:3,000に調節されることが有利である。
【0072】
そして、前記触媒システムを構成する成分は、同時にまたは任意の順序で、適切な溶媒および単量体の存在または不在下で添加され、活性のある触媒システムとして作用できる。この時、好適な溶媒としては、ヘプタン、トルエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、1−ヘキセン、1−オクテン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン、メタノール、アセトンなどが使用できる。
【0073】
また、一例において、前記触媒システムは、担体をさらに含むことができる。つまり、上述した一実施形態のリガンド化合物は、担体に担持された形態でエチレンオリゴマー化に適用可能である。前記担体は、通常の担持触媒に適用される金属、金属塩、または金属酸化物などであってもよい。非制限的な例として、前記担体は、シリカ、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシアなどであってもよいし、Na2O、K2CO3、BaSO4、Mg(NO32などのような金属の酸化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩成分を含むことができる。
【0074】
一方、発明のさらに他の実施形態によれば、前記触媒システムの存在下、オレフィンのオリゴマー化反応によりアルファ−オレフィンを形成する段階を含むエチレンオリゴマー化方法が提供される。
【0075】
本発明に係るオレフィンのオリゴマー化方法は、オレフィン(例えば、エチレン)を原料として、上述した触媒システムと通常の装置および接触技術を適用して行われる。非制限的な例として、前記オレフィンのオリゴマー化反応は、不活性溶媒の存在または不在下での均質液相反応、または前記触媒システムが一部溶解しないか全部溶解しない形態のスラリー反応、または生成物のアルファ−オレフィンが主媒質として作用するバルク相反応、またはガス相反応で行われる。
【0076】
そして、前記オレフィンのオリゴマー化反応は、不活性溶媒下で行われる。非制限的な例として、前記不活性溶媒は、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロペンタン、n−ヘキサン、1−ヘキセン、1−オクテンなどであってもよい。
【0077】
そして、前記オレフィンのオリゴマー化反応は、約0〜200℃、または約0〜150℃、または約30〜100℃、または約50〜100℃の温度下で行われる。また、前記反応は、約15〜3000psig、または15〜1500psig、または15〜1000psigの圧力下で行われる。
【0078】
上述したオリゴマー化反応は、1−ヘキセン、1−オクテン、またはこれらの混合物を含むアルファ−オレフィンの選択的形成のための方法に適切に適用可能である。
【0079】
以下、発明の理解のために好ましい実施例を提示する。しかし、下記の実施例は発明を例示するためのものに過ぎず、発明をこれらにのみ限定するものではない。
【0080】
製造例:リガンド化合物の合成
全ての反応は、Schlenk techniqueまたはgloveboxを用いてアルゴン下で進行した。合成されたリガンドは、Varian 500MHz spectrometerを用いて1H(500MHz)と31P(202MHz)NMR spectraを撮って分析した。Shiftは、residual solvent peakをreferenceとしてTMSからdown fieldにおいてppmで表した。Phosphorous probeは、aqueous H3PO4でcalibrationした。
【0081】
(製造例1:化学式3の化合物の合成)
アルゴン(Ar)雰囲気下、1,2−ジアミノプロパンと、トリエチルアミン(1,2−ジアミノプロパンに対する3〜10当量)をジクロロメタン(約50ml)に溶解させた。フラスコをwater bathに浸漬した状態で、クロロジフェニルホスフィン(1,2−ジアミノプロパンに対する4当量)をゆっくり入れて一晩撹拌した。真空を取って溶媒を飛ばした後、ジエチルエーテル(またはTHF)溶媒を入れて十分に撹拌し、air free glass filterでトリエチルアンモニウムクロライド塩を除去した。ろ過液から溶媒を除去して、下記化学式3のリガンド化合物を合成した。
【0082】
【化12】
【0083】
31P NMR(202MHz,CDCl3):58.5(s),50.4/55.8(broad)ppm
(製造例2:化学式4の化合物の合成)
1,2−ジアミノプロパンの代わりに2,4−ジアミノ−4−メチルペンタンを用いたことを除けば、製造例1と同様の方法で下記化学式4のリガンド化合物を合成した。
【0084】
【化13】
【0085】
31P NMR(202MHz,CDCl3):55.0(broad,s),47.7(broad,s)ppm
(比較製造例1:リガンド化合物の合成)
1,2−ジアミノプロパンの代わりに2−イソプロピル−6−メチルアニリンを用い、クロロジフェニルホスフィンを2−イソプロピル−6−メチルアニリンに対する2当量で用いたことを除けば、製造例1と同様の方法で下記化学式のリガンド化合物を合成した。
【0086】
【化14】
【0087】
31P NMR(202MHz,CDCl3):57ppm
(比較製造例2:リガンド化合物の合成)
1,2−ジアミノプロパンの代わりに3,3,5−トリメチルシクロヘキサンアミンを用い、クロロジフェニルホスフィンを3,3,5−トリメチルシクロヘキサンアミンに対する2当量で用いたことを除けば、製造例1と同様の方法で下記化学式のリガンド化合物を合成した。
【0088】
【化15】
【0089】
31P NMR(202MHz,CDCl3):45.5(br s),55.5(br s)
(比較製造例3:リガンド化合物の合成)
1,2−ジアミノプロパンの代わりに1,2−ジアミノエタンを用いたことを除けば、製造例1と同様の方法で下記化学式4のリガンド化合物を合成した。
【0090】
【化16】
【0091】
31P NMR(202MHz,CDCl3):62ppm
実施例1
アルゴンガス雰囲気下、クロミウム(III)アセチルアセトネート(17.5mg、0.05mmol)と製造例1によるリガンド化合物(0.025mmol)をフラスコに入れた後、これに10mlのシクロヘキサンを入れて撹拌し、5mM(Cr基準)の触媒溶液を準備した。
【0092】
600ml容量のParr反応器を準備して120℃で2時間真空を取った後、内部をアルゴンに置換し、温度を45℃に下げた。その後、90mlのシクロヘキサンおよび2mlのMMAO(isoheptane solution、Al/Cr=1200)を注入し、前記触媒溶液0.5ml(2.5マイクロモルCr)を注入した。2分間500rpmで撹拌後、45barに合わされたエチレンラインのバルブを開けて反応器の中をエチレンで満たした後、45℃に制熱されるように調節して、500rpmで15分間撹拌した。エチレンラインバルブを閉じ、反応器をドライアイス/アセトンbathを用いて0℃に冷やした後、未反応エチレンをゆっくりventした後、0.5mlのノナン(GC internal standard)を入れた。10秒間撹拌した後、反応器の液体部分を2ml取って水でquenchし、得られた有機部分をPTFE syringe filterでフィルタして、GC−FIDサンプルを作った。そして、liquid productのdistributionをGCで分析した。また、残りの反応液にethanol/HCl(10vol% of aqueous 12M HCl solution)400mlを入れて撹拌し、フィルタして、固体の量を分析した。得られたポリマーは、65℃ vacuum ovenにて一晩乾燥した。
【0093】
実施例2
製造例1によるリガンド化合物の代わりに製造例2によるリガンド化合物を用いたことを除いて、実施例1と同様の方法でエチレンのオリゴマー化反応を進行させた。
【0094】
比較例1
製造例1によるリガンド化合物の代わりに比較製造例1によるリガンド化合物を用いたことを除いて、実施例1と同様の方法でエチレンのオリゴマー化反応を進行させた。
【0095】
比較例2
製造例1によるリガンド化合物の代わりに比較製造例2によるリガンド化合物を用いたことを除いて、実施例1と同様の方法でエチレンのオリゴマー化反応を進行させた。
【0096】
比較例3
製造例1によるリガンド化合物の代わりに比較製造例3によるリガンド化合物を用いたことを除いて、実施例1と同様の方法でエチレンのオリゴマー化反応を進行させた。
【0097】
比較例4
リガンド化合物を用いないことを除いて、実施例1と同様の方法でエチレンのオリゴマー化反応を進行させた。
【0098】
下記の実施例および比較例のオリゴマー化反応において、触媒活性および得られた生成物を分析して、その分析結果を下記表1にまとめた。
【0099】
【表1】
【0100】
前記表1を参照すれば、実施例の場合、比較例に比べて、触媒活性が高かったり、1−ヘキセンと1−オクテンに対する選択度の合計が高いことが確認された。