特許第6427322号(P6427322)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三星電子株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社ADEKAの特許一覧

特許6427322アルミニウム前駆体と、それを用いた薄膜及びキャパシタの形成方法
<>
  • 特許6427322-アルミニウム前駆体と、それを用いた薄膜及びキャパシタの形成方法 図000024
  • 特許6427322-アルミニウム前駆体と、それを用いた薄膜及びキャパシタの形成方法 図000025
  • 特許6427322-アルミニウム前駆体と、それを用いた薄膜及びキャパシタの形成方法 図000026
  • 特許6427322-アルミニウム前駆体と、それを用いた薄膜及びキャパシタの形成方法 図000027
  • 特許6427322-アルミニウム前駆体と、それを用いた薄膜及びキャパシタの形成方法 図000028
  • 特許6427322-アルミニウム前駆体と、それを用いた薄膜及びキャパシタの形成方法 図000029
  • 特許6427322-アルミニウム前駆体と、それを用いた薄膜及びキャパシタの形成方法 図000030
  • 特許6427322-アルミニウム前駆体と、それを用いた薄膜及びキャパシタの形成方法 図000031
  • 特許6427322-アルミニウム前駆体と、それを用いた薄膜及びキャパシタの形成方法 図000032
  • 特許6427322-アルミニウム前駆体と、それを用いた薄膜及びキャパシタの形成方法 図000033
  • 特許6427322-アルミニウム前駆体と、それを用いた薄膜及びキャパシタの形成方法 図000034
  • 特許6427322-アルミニウム前駆体と、それを用いた薄膜及びキャパシタの形成方法 図000035
  • 特許6427322-アルミニウム前駆体と、それを用いた薄膜及びキャパシタの形成方法 図000036
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6427322
(24)【登録日】2018年11月2日
(45)【発行日】2018年11月21日
(54)【発明の名称】アルミニウム前駆体と、それを用いた薄膜及びキャパシタの形成方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/316 20060101AFI20181112BHJP
   H01L 21/8242 20060101ALI20181112BHJP
   H01L 27/108 20060101ALI20181112BHJP
   C23C 16/18 20060101ALI20181112BHJP
   C23C 16/40 20060101ALI20181112BHJP
   C07C 31/32 20060101ALI20181112BHJP
   C07C 49/92 20060101ALI20181112BHJP
   C07F 5/06 20060101ALI20181112BHJP
【FI】
   H01L21/316 X
   H01L27/108 651
   H01L27/108 621C
   C23C16/18
   C23C16/40
   C07C31/32CSP
   C07C49/92
   C07F5/06 D
【請求項の数】10
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-31269(P2014-31269)
(22)【出願日】2014年2月21日
(65)【公開番号】特開2014-165496(P2014-165496A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2017年2月8日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0019559
(32)【優先日】2013年2月25日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
(73)【特許権者】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尹 相 チョル
(72)【発明者】
【氏名】桜井 淳
(72)【発明者】
【氏名】畑瀬 雅子
(72)【発明者】
【氏名】チョ 侖 廷
(72)【発明者】
【氏名】姜 知 那
(72)【発明者】
【氏名】山田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】崔 晶 植
【審査官】 桑原 清
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−502541(JP,A)
【文献】 特開2009−088236(JP,A)
【文献】 特開2004−002864(JP,A)
【文献】 特表平11−500789(JP,A)
【文献】 特開2004−056142(JP,A)
【文献】 特開2014−005242(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/105310(WO,A1)
【文献】 特表2005−534809(JP,A)
【文献】 特開2013−089846(JP,A)
【文献】 Chemical Vapor Deposition,2001年,Vol.7, No.2, p.69-74
【文献】 Surface and Coatings Technology,2002年,Vol.160, No.2-3,p.124-131
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/316
H01L 21/8242
H01L 27/108
C23C 16/18
C23C 16/40
C07C 31/32
C07C 49/92
C07F 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式(1)で表される原子層蒸着工程での蒸着ソースであるアルミニウム前駆体。
【化1】
(上記式(1)において、Xは下記式(2)又は式(3)で表される官能基である。)
【化2】
【化3】
【請求項2】
下記式(1)で表されるアルミニウム前駆体を含む誘電膜形成用蒸着ソースをチャンバ内に配置された基板上に提供する段階と、
前記チャンバ内に残留する蒸着ソース及び副産物を除去するパージ段階と、
前記チャンバ内に配置された前記基板上に反応ガスを提供して前記基板表面に吸着した前記蒸着ソースと反応させる段階と、を含むことを特徴とする薄膜形成方法。
【化1】
(上記式(1)において、Xは下記式(2)又は式(3)で表される官能基である。)
【化2】
【化3】
【請求項3】
前記蒸着ソースは、シリコン前駆体又は有機金属前駆体をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の薄膜形成方法。
【請求項4】
前記蒸着ソースは、不活性気体を含むキャリアガスとともに前記チャンバ内に配置された前記基板上に供給されることを特徴とする請求項2に記載の薄膜形成方法。
【請求項5】
前記反応ガスは、酸化剤、還元剤又は窒化剤のうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項2に記載の薄膜形成方法。
【請求項6】
基板上に下部電極を形成する段階と、
下記式(1)で表されるアルミニウム前駆体を原子層蒸着工程の蒸着ソースに使って前記下部電極の表面に誘電膜構造物を形成する段階と、
前記誘電膜構造物をカバーする上部電極を形成する段階と、を含むことを特徴とするキャパシタ形成方法。
【化1】
(上記式(1)において、Xは下記式(2)又は式(3)で表される官能基である。)
【化2】
【化3】
【請求項7】
前記基板上に前記下部電極を形成する前に、
前記基板上に層間絶縁膜を形成する段階と、
前記層間絶縁膜を貫通し、前記基板上面に接触するコンタクトプラグを形成する段階と、をさらに含み、
前記下部電極は前記コンタクトプラグ上に形成されて電気的に接続されることを特徴とする請求項6に記載のキャパシタ形成方法。
【請求項8】
前記基板上に前記層間絶縁膜を形成する前に、
前記基板上にゲート構造物を形成する段階と、
前記ゲート構造物に隣接する前記基板の部分に不純物領域を形成する段階と、を含み、
前記コンタクトプラグは、前記不純物領域の上面に接触することを特徴とする請求項7に記載のキャパシタ形成方法。
【請求項9】
前記基板上に前記ゲート構造物を形成する段階は、
前記基板上に順次に積層されたゲート絶縁膜パターン、バッファ膜パターン及びゲート導電膜パターンを形成する段階を含むことを特徴とする請求項8に記載のキャパシタ形成方法。
【請求項10】
前記基板上に前記下部電極を形成する段階は、
前記層間絶縁膜上に前記コンタクトプラグの表面を露出させる開口を有するモールド膜を形成する段階と、
前記開口の内壁上に導電膜パターンを形成する段階と、
前記モールド膜を除去する段階と、を含むことを特徴とする請求項7に記載のキャパシタ形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム前駆体、それを用いた薄膜形成方法及びキャパシタ形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近高い誘電率及び低い電気抵抗を有する薄膜に対する要求が増加している一方、高集積化によって前記薄膜は縦横比(aspect_ratio)が大きい開口内に形成される。その際、スパッタリング(sputtering)工程などの物理気相蒸着工程では前記のような開口内に薄膜を形成することが容易ではないので、金属前駆体を利用した化学気相蒸着工程或いは原子層蒸着工程を通じて薄膜を形成している。しかし、これらの工程の場合、高い蒸着温度を必要とするので、前記金属前駆体が蒸着前に簡単に熱分解されて部分的に薄膜が形成されないという問題が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】韓国特許1072002号明細書
【特許文献2】米国公開特許第2011−274878号公報
【特許文献3】特開2004−015034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一目的は、高い熱安定性を有するアルミニウム前駆体を提供することにある。
【0005】
本発明の他の目的は、前記アルミニウム前駆体を使って薄膜を形成する方法を提供することにある。
【0006】
本発明のまた他の目的は、前記アルミニウム前駆体を使ってキャパシタを形成する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一目的を達成するための例示的な実施例に係るアルミニウム前駆体は、下記の式(1)で表される。
【化1】
式(1)において、Xは下記式(2)又は式(3)で表される官能基である。
【化2】
【化3】
【0008】
本発明の他の目的を達成するための例示的な実施例に係る薄膜形成方法においては、前記式(1)で表されるアルミニウム前駆体を含む蒸着ソースを基板上に提供する。前記基板上に反応ガスを提供して前記蒸着ソースと反応させる。
【0009】
例示的な実施例において、前記蒸着ソースは、シリコン又は有機金属前駆体をさらに含む。
【0010】
例示的な実施例において、前記蒸着ソースは、不活性気体を含むキャリアガスとともに前記基板上に供給される。
【0011】
例示的な実施例において、前記反応ガスは、酸化剤、還元剤又は窒化剤のうち、少なくとも1つを含む。
【0012】
例示的な実施例において、前記式(1)で表されるアルミニウム前駆体を含む蒸着ソースを前記基板上に提供した後に前記基板にパージ工程を行う。
【0013】
本発明の他の目的を達成するための例示的な実施例に係るキャパシタ形成方法においては、基板上に下部電極を形成する。前記式(1)で表されるアルミニウム前駆体を使って前記下部電極の表面に誘電膜構造物を形成する。前記誘電膜構造物をカバーする上部電極を形成する。
【0014】
例示的な実施例において、前記式(1)で表されるアルミニウム前駆体を使って前記下部電極の表面に誘電膜構造物を形成する時、前記アルミニウム前駆体を含む蒸着ソースを前記下部電極上に提供する。前記下部電極上に反応ガスを提供する。前記反応ガスと前記蒸着ソースを反応させることによって前記下部電極上に薄膜を形成する。
【0015】
例示的な実施例において、前記蒸着ソースは、シリコン前駆体又は有機金属前駆体をさらに含む。
【0016】
例示的な実施例において、前記反応ガスは酸化剤、還元剤又は窒化剤のうち、少なくとも1つを含む。
【0017】
例示的な実施例において、前記反応ガスと前記アルミニウム前駆体を反応させることによって前記下部電極上に薄膜を形成した後に前記基板にリフロー(reflow)工程を行う。
【0018】
例示的な実施例において、前記基板上に前記下部電極を形成する前に、前記基板上に層間絶縁膜を形成する。前記層間絶縁膜を貫通し、前記基板上面に接触するコンタクトプラグを形成する。前記下部電極は前記コンタクトプラグ上に形成されて電気的に接続される。
【0019】
例示的な実施例において、前記基板上に前記層間絶縁膜を形成する前に、前記基板上にゲート構造物を形成する。前記ゲート構造物に隣接する前記基板の部分に不純物領域を形成する。前記コンタクトプラグは、前記不純物領域の上面に接触する。
【0020】
例示的な実施例において、前記基板上に前記ゲート構造物を形成する時、前記基板上に順次に積層されたゲート絶縁膜パターン、バッファ膜パターン及びゲート導電膜パターンを形成する。
【0021】
例示的な実施例において、前記基板上に前記下部電極を形成する時、前記層間絶縁膜上に前記コンタクトプラグの表面を露出させる開口を有するモールド膜を形成する。前記開口の内壁上に導電膜パターンを形成する。前記モールド膜を除去する。
【発明の効果】
【0022】
本発明の実施例によると、式(1)で表されるアルミニウム前駆体は、低融点及び高い蒸気圧を有すると同時に高温で高い熱安定性を有するので、化学気相蒸着工程或いは原子層蒸着工程における蒸着ソースとして用いることができる。
これによって、前記アルミニウム前駆体を用いて高い縦横比を有する開口内に薄膜を容易に形成することができ、これは、例えばキャパシタの誘電膜形成に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】例示的な実施例に係る薄膜形成方法を説明するための断面図である。
図2】例示的な実施例に係る薄膜形成方法を説明するための断面図である。
図3】例示的な実施例に係る薄膜形成方法を説明するための断面図である。
図4】例示的な実施例に係るキャパシタ形成方法を説明するための断面図である。
図5】例示的な実施例に係るキャパシタ形成方法を説明するための断面図である。
図6】例示的な実施例に係るキャパシタ形成方法を説明するための断面図である。
図7】例示的な実施例に係るキャパシタ形成方法を説明するための断面図である。
図8】例示的な実施例に係るキャパシタ形成方法を説明するための断面図である。
図9】例示的な実施例に係るキャパシタ形成方法を説明するための断面図である。
図10】例示的な実施例に係るキャパシタ形成方法を説明するための断面図である。
図11】例示的な実施例に係るキャパシタ形成方法を説明するための断面図である。
図12】他の例示的な実施例に係るキャパシタ形成方法を説明するための断面図である。
図13】他の例示的な実施例に係るキャパシタ形成方法を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付した図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳細に説明する。
本明細書に開示されている本発明の実施例に対して、特定の構造的ないし機能的説明は、単に本発明の実施例を説明するための目的で例示されたものであり、本発明の実施例は多様な形態で実施することができ、本明細書に説明された実施例に限定されるものではない。
【0025】
本発明は多様な変更を加えることができ、種々の形態を有することができるが、特定の実施例を図面に例示して本明細書に詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物ないし代替物を含むと理解するべきである。
【0026】
[アルミニウム前駆体]
例示的な実施例に係るアルミニウム前駆体は下記の式(1)と表示されて、低融点及び十分な揮発性を有しながらも熱安定性が高い特性を有するので、高温の蒸着温度を伴う化学気相蒸着工程或いは原子層蒸着工程を通じた薄膜形成時に蒸着ソースとして用いることができる。
【化1】
(式(1)において、Xは下記式(2)又は式(3)で表される官能基である。)
【化2】
【化3】
【0027】
前記アルミニウム前駆体は、トリアルキルアルミニウム(trialkylaluminium)とアルコール又はジケトナート(diketonate)を反応させることによって形成できる。
【0028】
例示的な実施例において、前記アルミニウム前駆体は、トリメチルアルミニウム(trimethylaluminium)及び第3ペンチルアルコール(pentyl alcohol)を反応させるか、又は、トリメチルアルミニウム及び2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン(2,2,6,6,−tetramethyl−3,5−heptanedione、TMHD)を反応させることによって形成できる。
【0029】
[実施例1]
アルゴンガスの雰囲気下において、脱水処理したトルエン115mlにトリメチルアルミニウム7.5gを溶解させた溶液を氷槽(ice bath)で撹はんして10℃付近まで冷却させた。次いで、前記冷却された溶液に脱水処理した(dehydrated)ジピバロイルメタン(dipivaloyl methane、DMP)19.2g及びトルエン30mlの混合溶液を3時間、ゆっくり添加し、反応中に発生したメタンガスはアルゴンガスを使って除去した。その後、前記混合物を室温で約15時間撹はんした後、100℃減圧下でトルエンを除去することによって液体残渣を得た。前記液体残渣を230Pa及び107℃の条件で減圧蒸留して塔頂温度78℃で流出することによって、無色透明の液体である、下記の式(4)と表されるアルミニウム前駆体を製造した。
【化4】
【0030】
[実施例2]
アルゴンガスの雰囲気下で、脱水処理したトルエン1200gにトリメチルアルミニウム144gを溶解させた溶液を氷槽(ice bath)で撹はんして10℃付近まで冷却させた。次いで、前記冷却された溶液に脱水処理した第3ペンチルアルコール243gを3時間ゆっくり添加し、反応中に発生したメタンガスはアルゴンガスを使って除去した。その後、前記混合物を室温で約15時間撹はんした後、120℃減圧下でトルエンを除去することによって粘性の液体残渣を得た。前記液体残渣を50Pa及び107℃の条件で減圧蒸留して塔底温度78℃で流出することによって、白色の固体である、下記の式(5)と表されるアルミニウム前駆体を製造した。
【化5】
【0031】
[アルミニウム前駆体の発火性評価]
発火性有無に係る安定性を評価するために、本発明の実施例1及び実施例2に係るアルミニウム前駆体と比較例1としてトリメチルアルミニウム、比較例2として下記の式(6)と表されるアルミニウム前駆体、及び比較例3として下記の式(7)と表されるアルミニウム前駆体を大気中に放置した結果を表1に表した。
【化6】
【化7】
【表1】
【0032】
表1を参照すると、比較例1に係るアルミニウム前駆体は発火性を有するが、実施例1乃至実施例2及び比較例2乃至比較例3に係るアルミニウム前駆体は発火性を有しない。これによって、実施例1乃至実施例2及び比較例2乃至比較例3に係るアルミニウム前駆体を使って大気中で化学気相蒸着工程或いは原子層蒸着工程を通じて安全に薄膜を形成できることがわかる。
【0033】
[アルミニウム前駆体の物性評価]
化学気相蒸着工程或いは原子層蒸着工程の原料としての適合性を評価するために、前記実施例1乃至実施例2及び比較例2乃至比較例3について、微量融点測定装置で融点を測定した結果並びにTG−DTA(ThermoGravity_metric−Differential_Thermal_Analyser,示差熱・熱重量同時解析)測定装置でアルゴンの雰囲気下で加熱することによって試料重量が50重量%減少した時点の温度を測定した結果を表2に表した。
【表2】
【0034】
表2を参照すると、実施例1乃至実施例2に係るアルミニウム前駆体は40℃の温度条件で液体として存在するので低融点を有し、また高い蒸気圧を有することを確認することができた。これによって、実施例1乃至実施例2に係るアルミニウム前駆体を使って低いエネルギでも化学気相蒸着工程或いは原子層蒸着工程を通じて容易に薄膜を形成できることがわかる。
【0035】
[アルミニウム前駆体の熱的安定性評価]
熱分解発生温度に係る熱的安定性を評価するために、前記実施例1乃至実施例2及び比較例2に対してDSC測定装置で熱分解が発生する温度を測定した結果を表3に表した。
【表3】
【0036】
表3を参照すると、比較例2に係るアルミニウム前駆体は、200℃の温度条件で熱分解される反面、実施例1乃至実施例2に係るアルミニウム前駆体は300℃温度条件でも熱分解されないことが確認できた。これによって、実施例1乃至実施例2に係るアルミニウム前駆体は、300℃以上の非常に高い熱安定性を有するので、実施例1乃至実施例2を使って高温の蒸着温度を必要とする化学気相蒸着工程或いは原子層蒸着工程を通じて容易に薄膜を形成できることがわかる。
【0037】
[薄膜形成方法]
図1乃至図3は例示的な実施例に係る薄膜形成方法を説明するための断面図である。前記薄膜は例示的な実施例に係るアルミニウム前駆体を使う化学気相蒸着工程或いは原子層蒸着工程を通じて形成される。
【0038】
図1を参照すると、チャンバ(図示せず)内に配置された基板100上に例示的な実施例に係るアルミニウム前駆体を含む蒸着ソース110を提供する。
【0039】
蒸着ソース110は、例えば、25℃乃至400℃の温度、望ましく250℃乃至350℃の温度で気化して基板100上に提供されることによって、基板100の上面に吸着される。特に、例示的な実施例に係るアルミニウム前駆体は低融点及び高い蒸気圧を有しながらも高温で安定するので、高い蒸着温度にも熱分解されずに基板100上に提供できる。
【0040】
例示的な実施例において、蒸着ソース110は形成しようとする薄膜の種類によって、シリコン前駆体及び/又は有機金属前駆体をさらに含み得る。この場合、蒸着ソース110は前記アルミニウム前駆体並びにシリコン前駆体及び/又は有機金属前駆体の各々を独立的に気化させるか、若しくは、各々を予め望む組成で混合した後、気化させることによって提供できる。
【0041】
前記有機金属前駆体は特に限定されないが、例えば、チタン(Ti),ジルコニウム(Zr),及びハフニウム(Hf)などを含む金属と、アルコール化合物、グリコール化合物、β−ジケトン化合物、シクロペンタジエン(cyclopentadiene)化合物、有機アミン化合物、及びこれらの混合物を含む有機配位化合物と、を含み得る。
【0042】
前記アルコール化合物は、例えば、メタノール、エタノール、プロパノ−ル、イソプロピルアルコール、ブタノール、第2ブチルアルコール、イソブチルアルコール、第3ブチルアルコール、ペンチルアルコール、イソアミルアルコール、第3ペンチルアルコールを含むアルキルアルコール(alkyl alcohol)と、
2−メトキシエタノール(2−methoxyethanol)、2−エトキシエタノール(2−ethoxyethanol)、2−ブトキシエタノール(2−butoxyethanol)、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール(2−(2−methoxyethoxy)ethanol)、2−メトキシ−1−メチルエタノール(2−methoxy−1−methylethanol)、2−メトキシ−1,1− ジメチルエタノール(2−methoxy−1,1−dimethylethanol)、2−エトキシ−1,1− ジメチルエタノール(2−ethoxy−1,1−dimethylethanol)、2−イソプロポキシ−1,1− ジメチルエタノール(2−isopropoxy−1,1−dimethylethanol)、2−ブトキシ−1,1− ジメチルエタノール(2−butoxy−1,1−dimethylethanol)、2−(2−メトキシエトキシ)−1,1− ジメチルエタノール(2−2(methoxyethoxy)−1,1−dimethylethanol)、2−プロポキシ−1,1−ジエチルエタノール(2−propoxy−1,1−diethylethanol)、2−2−ブトキシ−1,1−ジエチルエタノール(2−2−butoxy−1,1−diethylethanol)、3−メトキシ−1,1−ジメチルプロパノール(3−methoxy−1,1−dimethylpropanol)を含むエーテルアルコールと、を含む。
【0043】
前記グリコール化合物は、例えば、1,2−エタンジオール(1,2−ethanediol)、1,2−プロパンジオール(1,2−propanediol)、1,3−プロパンジオール(1,3−propanediol)、2,4−ヘキサンジオール(2,4−hexanediol)、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(2,2−dimethyl−1,3−propanediol)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(2,2−diethyl−1,3−propandiol)、1,3−ブタンジオール(1,3−butanediol)、2,4−ブタンジオール(2,4−butanediol)、2,2−ジエチル−1,3−ブタンジオール(2,2−diethyl−1,3−propanediol)、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール(2−ethyl−2−butyl−1,3−propanediol)、2,4−ペンタンジオール(2,4−pentanediol)2−メチル−1,3−プロパンジオール(2−methyl−1,3−propanediol)、2−メチル−2,4−ペンタンジオール(2−methyl−2,4−pentanediol)、2,4−ヘキサンジオール(2,4−hexanediol)、及び、2,4−ジエチル−2,4−ペンタンジオール(2,4−diethyl−2,4−pentanediol)を含む。
【0044】
前記β−ジケトン化合物は、例えば、アセチルアセトン(acetylacetone)、ヘキサン−2,4−ジオン(hexane−2,4−dione)、5−メチルヘキサン−2,4−ジオン(5−methylhexane−2,4−dione)、ヘプタン−2,4−ジオン(heptane−2,4−dione)、2−メチルヘプタン−3,5−ジオン(2−methylheptane−3,5−dione)、5−メチルヘプタン−2,4−ジオン(5−methylheptane−2,4−dione)、6−メチルヘプタン−2,4−ジオン(6−methylheptane−2,4−dione)、2,2−ジメチルヘプタン−3,5−ジオン(2,2−dimethylheptane−3,5−dione)、2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオン(2,6−dimethylheptane−3,5−dione)、2,2,6−トリメチルヘプタン−3,5−ジオン(2,2,6−trimethylheptane−3,5−dione)、2,2,6,6−トリメチルヘプタン−3,5−ジオン(2,2,6,6−trimethylheptane−3,5−dione)、オクタン−2,4−ジオン(octane−2,4−dione)、2,2,6−トリメチルオクタン−3,5−ジオン(2,2,6−trimethyloctane−3,5−dione),2,6−ジメチルオクタン−3,5−ジオン(2,6−dimethyloctane−3,5−dione)、2,9−ジメチルノナン−4,6−ジオン−2−メチル−6−エチルデカン−3,5−ジオン(2,9−dimethylnonane−4,6−dione−2−methyl−6−ethyldecane−3,5−dione)、及び2,2−ジメチル−6−エチルデカン−3,5−ジオン(2,2−dimethyl−6−ethyldecane−3,5−dione)を含むアルキル置換β−ジケトンと、
1,1,1−トリフルオロペンタン−2,4−ジオン(1,1,1−trifluoropentane−2,4−dione)、1,1,1−トリフルオロ−5,5−ジメチルヘキサン−2,4−ジオン(1,1,1−trifluoro−5,5−dimethylhexane−2,4−dione)、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロペンタン−2,4−ジオン(1,1,1,5,5,5−hexafluoropentane−2,4−dione)、及び1,3−ジパーフルオロヘキシルプロパン−1,3−ジオン(1,3−diperfluorohexyl propane−1,3−dione)を含むふっ素置換アルキルβ−ジケトンと、
1,1,5,5−テトラメチル−1−メトキシヘクサン−2,4−ジオン(1,1,5,5−tetramethyl−1−methoxyhexane−2,4−dione)、2,2,6,6−テトラメチル−1−メトキシヘプタン−3,5−ジオン(2,2,6,6−tetramethyl−1−methoxyheptane−3,5−dione)、及び、2,2,6,6−テトラメチル−1−(2−メトキシエトキシ)ヘプタン−3,5−ジオン(2,2,6,6−tetramethyl−1−(2−methoxyethoxy)heptane−3,5−dione)を含むエーテル置換β−ジケトンと、を含む。
【0045】
前記シクロペンタジエン化合物は例えば、シクロペンタジエン(cyclopentadiene)、メチルシクロペンタジエン(methylcyclopentadiene)、エチルシクロペンタジエン(ethylcyclopentadiene)、プロピルシクロペンタジエン(propylcyclopentadiene)、イソプロピルシクロペンタジエン(isopropylcyclopentadiene)、ブチルシクロペンタジエン(butylcyclopentadiene)、第2ブチルシクロペンタジエン、イソブチルシクロペンタジエン(isobutylcyclopentadiene)、第3ブチルシクロペンタジエン、ジメチルシクロペンタジエン(dimethylcyclopentadiene)、及びテトラメチルシクロペンタジエン(tetramethylcyclopentadiene)を含む。
前記有機アミン化合物は、例えば、メチルアミン(methylamine)、エチルアミン(ethylamine)、プロピルアミン(propylamine)、イソプロピルアミン(isopropylamine)、ブチルアミン(butylamine)、第2ブチルアミン、第3ブチルアミン、イソブチルアミン(isobutylamine)、ジメチルアミン(dimethylamine)、ジエチルアミン(diethylamine)、ジプロピルアミン(dipropylamine)、ジイソプロピルアミン(diisopropylamine)、エチルメチルアミン(ethylmethylamine)、プロピルメチルアミン(propylmethylamine)、及びイソプロピルメチルアミン(isopropylmethylamine)を含む。
【0046】
また、蒸着ソース110は、基板100上に搬送及び供給する方法に応じてキャリアガス及び有機溶剤をさらに含んでもよい。
【0047】
例示的な実施例において、蒸着ソース110を、気体搬送法を通じて基板100上に提供する場合、蒸着ソース110を加熱及び加圧して気化させた後、例えば、アルゴン、窒素、ヘリウムなどの不活性気体を含むキャリアガスとともに前記基板100上で供給できる。
【0048】
これとは異なって、蒸着ソース110を、液体搬送法を通じて基板100上に提供する場合、例えば、0.01乃至2.0mol/L、望ましく0.05乃至1.0mol/Lの蒸着ソース110を先に有機溶剤に溶解させて組成物(composition)を製造した後、前記組成物を加熱及び加圧して気化させることによって前記キャリアガスとともに基板100上に供給できる。
【0049】
例示的な実施例において前記有機溶剤は、特に限定されないが、例えば、エチルアセテート(ethyl acetate)、ブチルアセテート(butyl acetate)、及びメトキシエチルアセテート(methoxyethyl acetate)を含む酢酸エステル(acetic ester)と、
テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)、テトラヒドロピラン(tetrahydropyran)、エチレングリコールジメチルエーテル(ethylene glycol dimethyl ether)、ジエチルレングリコールジメチルエーテル(diethylene glycol dimethyl ether)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(triethylene glycol dimethyl ether)、ジブチルエーテル(dibuthyl ether)、及び、ジオキサン(dioxane)を含むエーテル(ether)と、
メチルブチルケトン(methyl butyl ketone)、メチルイソブチルケトン(methyl isobutyl ketone)、エチルブチルケトン(ethyl butyl ketone)、ジプロピルケトン(dipropyl ketone)、ジイソブチルケトン(diisobutyl ketone)、メチルアミルケトン(methyl amyl ketone)、シクロヘキサノン(cyclohexanone)、及びメチルシクロヘキサノン(methylcyclohexanone)を含むケトン(ketone)と、
ヘキサン(hexane)、シクロヘキサン(cyclohexane),メチルシクロヘクサン(methylcyclohexane)、ジメチルシクロヘクサン(dimethylcyclohexane)、エチルシクロヘキサン(ethylcyclohexane)、ヘプタン(heptane)、オクタン(octane)、トルエン(toluene)、及びキシレン(xylene)を含む炭化水素と、
1−シアノプロパン(1−cyanopropane)、1−シアノブタン(1−cyanobutane)、1−シアノヘキサン(1−cyanohexane)、シアノシクロヘキサン(cyanocyclohexane)、シアノベンゼン(cyanobenzene)、1,3−ジシアノプロパン(1,3−dicyanopropane)、1,4−ジシアノブータン(1,4−dicyanobutane)、1,6−ジシアノヘキサン(1,6−dicyanohexane)、1,4−ジシアノシクロヘキサン(1,4−dicyanocyclohexane)、及び1,4−ジシアノベンゼン(1,4−dicyanobenzene)を含む、シアノ(cyano)基を有する炭化水素と、
ピリジン(pyridine)と、ルチジン(lutidine)と、及び/又は、これらの混合物と、を含む。
【0050】
一方、蒸着ソース110は、形成される薄膜の電気的特性に影響を与える恐れがある、不純物金属元素、不純物ハロゲン元素、有機不純物、水分、及び/又はパーティクルを含むべきではない。特に、ゲート絶縁膜又はバリア膜として用いる薄膜形成時に前記蒸着ソースは、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、又は、前記蒸着ソースの同族元素(homologous_element)を含むべきではない。
【0051】
前記不純物金属元素は、例えば、元素ごとに100ppb以下を含んでもよく、望ましくは10ppb以下を含んでもよく、総量は1ppmを含んでもよく、望ましくは100ppb以下を含んでもよい。
【0052】
前記不純物ハロゲン元素は、例えば、100ppm以下を含んでもよく、望ましくは10ppm以下を含んでもよい。
【0053】
前記有機不純物は、例えば、総量は500ppm以下を含んでもよく、望ましくは50ppm以下を含んでもよい。
【0054】
前記水分は、化学気相蒸着工程或いは原子層蒸着工程で薄膜を形成する時、パーティクル発生の原因になるので、事前に前記シリコン前駆体、金属前駆体、又は有機溶剤内の水分を事前にできるだけ除去するべきである。これによって、蒸着ソース110は、例えば10ppm以下、望ましく1ppm以下の水分を含んでもよい。
【0055】
前記パーティクルは、例えば、液体のうち、パーティクルカウンタによる測定で0.3μmより大きい粒子が液状1ml中に100個以下を含んでもよく、望ましくは、0.2μmより大きい粒子が液状1ml中に1000個以下を含んでもよい。
【0056】
図2を参照すると、基板100にパージ(purge)工程を行う。これによって、基板100上に吸着されずに前記チャンバ内に残留する蒸着ソース及び副産物が除去される。
【0057】
パージ工程は、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスを使って前記チャンバ内部を排気する方法、前記チャンバ内部を減圧する方法、及びこれらの組合わせによって行われる。
【0058】
不活性ガスを使って前記チャンバ内部を排気する場合、前記不活性ガスは、例えば、200乃至5000sccmでチャンバ内に注入され、望ましくは500乃至2000sccmでチャンバ内に注入される。
【0059】
これとは異なって、前記チャンバ内部を減圧する場合、減圧度は、例えば、0.01乃至300PAであり、より望ましくは0.01乃至100PAである。
【0060】
図3を参照すると、基板100上に反応ガスを提供することによって基板100表面に吸着した蒸着ソース100と反応させる。これによって、前記反応に係る反応物が基板100上に蒸着されて薄膜115が形成される。
【0061】
反応ガスは酸素、オゾン、二酸化窒素、一酸化窒素、水蒸気、過酸化水素、ギ酸、酢酸、及び無水醋酸などを含む酸化剤と、水素などを含む還元剤と、モノアルキルアミン(monoalkylamine)、トリアルキルアミン(trialkylamine)、及びアルキレンジアミン(alkylenediamine)などを含む有機アミン化合物、ヒドラジン(hydrazine)並びに、アンモニアなどを含む窒化剤と、のうち、少なくとも1つを含む。
【0062】
従って、前記反応を通じて形成される薄膜115は、アルミニウム薄膜、酸化アルミニウム薄膜、窒化アルミニウム薄膜、アルミニウム含有複合酸化薄膜、及び/又はアルミニウム含有複合窒化薄膜を含む。
【0063】
例示的な実施例において、前記アルミニウム含有複合酸化薄膜は、AlSi、ZrAlSiO、TiALSiO及びHfALSiOを含み、この時、前記x及びyは特に限定されない。
【0064】
前記反応は、例えば、100℃以上の温度、望ましくは150乃至300℃の温度で行われ、前記反応を活性化させるために基板100にプラズマ、光、熱、電圧などのエネルギが追加的に供給される。
【0065】
一方、基板100に光、又は、熱エネルギを供給して薄膜を形成する場合、前記反応は、例えば、大気圧又は10paの圧力条件で行われ、基板100にプラズマを供給して薄膜を形成する場合、前記反応は、例えば、10乃至2000Paの圧力で行われる。
【0066】
薄膜115は、非常に低い蒸着速度で形成される場合には生産性が低下し、反面、非常に高い蒸着速度で形成される場合には薄膜の特性が悪化するので、例示的な実施例においては、約0.01乃至5000nm/minの蒸着速度、望ましくは、0.1乃至1000nm/minの蒸着速度で形成される。ただし、これに限定されず、形成しようとする薄膜の特性に応じて容易に変更が可能である。
【0067】
ここまでは、薄膜形成のための蒸着反応を1回行う場合について説明したが、これに制限されず、上述の反応を1サイクルとして、形成しようとする薄膜の厚さに応じて選択的に複数回の蒸着反応を進行できる。ただし、後続して進行される蒸着反応を考慮して1サイクルの進行後、チャンバ内に残留する蒸着ソース及び反応ガスと副産物を除去するパージ工程をさらに行う。
【0068】
また、リセス又はコンタクトホールなどの段差のある開口の表面に複数回の蒸着反応を通じて薄膜を形成するか、或いは、半導体装置の配線形成時と同様に前記段差を埋めたてるように薄膜を形成する場合、段差被覆率(step coverage)を高めるために基板100に熱を加えるリフロー(reflow)工程をさらに行ってもよい。
【0069】
上述したように、蒸着ソースとして例示的な実施例に係るアルミニウム前駆体を使う場合、前記アルミニウム前駆体が低融点及び高い蒸気圧を有すると同時に高温熱安定性を有する特性を有するので、化学気相蒸着工程或いは原子層蒸着工程を通じて容易に薄膜を形成できる。
【0070】
また、前記蒸着ソース及び反応ガスを形成しようとする薄膜の特性に応じて好適に選択することによって多様な種類の薄膜を、化学気相蒸着工程或いは原子層蒸着工程を通じて容易に形成できる。従って、上述した薄膜形成方法は、半導体素子の配線及びゲート絶縁膜、キャパシタの誘電膜構造物又は電子部品のコーティング膜などの製造に多様に活用できる。
【0071】
[キャパシタ形成方法]
図4乃至図11は、本発明の例示的な実施例に係るキャパシタ形成方法を説明するための断面図である。
【0072】
図4を参照すると、素子分離膜205が形成された基板200上に順次に積層されたゲート絶縁膜210、バッファ膜220及びゲート導電膜230を形成する。
【0073】
ゲート絶縁膜210は、酸化物、窒化物及び酸窒化物などの絶縁物質を用いて基板200上に形成され、特に例示的な実施例に係るアルミニウム前駆体を使って金属酸化物又は金属窒化物を含んで形成される。
【0074】
ゲート導電膜230は、化学気相蒸着CVD工程、原子層蒸着ALD工程などを通じて形成され、例えば、不純物がドーピングされたポリシリコンを含んで形成される。
【0075】
バッファ膜220は、前記ゲート絶縁膜210とゲート導電膜230が互いに反応することを防止するために前記ゲート絶縁膜210とゲート導電膜230との間に形成されるが、場合によっては省略できる。例えば、バッファ膜220はシリコン窒化物を含んで形成される。
【0076】
図5を参照すると、ゲート絶縁膜210、バッファ膜220、及びゲート導電膜230をパターニングすることによって、ゲート絶縁膜パターン215、バッファ膜パターン225及びゲート導電膜パターン235を含むゲート構造物245を形成する。
【0077】
ゲート絶縁膜パターン215、バッファ膜パターン225、及びゲート導電膜パターン235は、ゲート導電膜230上にマスク(図示せず)を形成して前記マスクをエッチングマスクとして用いて、ゲート絶縁膜210、バッファ膜220及びゲート導電膜230を異方性エッチングすることによって形成される。その後、前記マスクは、例えば、湿式エッチング工程を通じて除去される。
【0078】
図6を参照すると、ゲート構造物245の側壁上にスペーサ250を形成し、ゲート構造物245に隣接する基板200の上部に第1及び第2不純物領域261、263を形成する。
【0079】
スペーサ250は例えば、ゲート構造物245及び露出した基板200の上面にスペーサ膜(図示せず)を形成し、それを異方性エッチングして部分的に除去することによって形成される。スペーサ膜、従ってスペーサ250は、例えば、シリコン窒化物を含んで形成される。
【0080】
第1及び第2不純物領域261、263は、例えばイオン注入工程を通じて基板200に不純物をドーピングすることで形成され、これによって、第1及び第2不純物領域261、263は、ゲート構造物245と共にトランジスタを定義する。この時、第1及び第2不純物領域261、263は、前記トランジスタのソース/ドレーン領域の機能を行う。
【0081】
図7を参照すると、前記トランジスタをカバーする第1層間絶縁膜270を前記基板200上に形成し、第1層間絶縁膜270を貫通して第1及び第2不純物領域261、263と接触する第1及び第2コンタクトプラグ281、283を基板200上に形成する。
【0082】
第1及び第2コンタクトプラグ281、283は、例えば、第1層間絶縁膜270をエッチングすることによって基板200の第1及び第2不純物領域261、263を露出させる複数の第1開口(図示せず)を形成し、前記第1開口を十分に埋めたてるように基板200及び第1層間絶縁膜270上に第1導電膜(図示せず)を形成した後、第1層間絶縁膜270の上面が露出するまで前記第1導電膜上部を平坦化することによって形成される。これによって、第1及び第2コンタクトプラグ281、283は、第1及び第2不純物領域261、263と各々電気的に接続される。
【0083】
続いて、第1及び第2コンタクトプラグ281、283をカバーする第2層間絶縁膜290を第1層間絶縁膜270上に形成し、第2層間絶縁膜290を貫通し第2コンタクトプラグ283と接触するビットラインコンタクト300を形成する。
【0084】
ビットラインコンタクト300は、例えば、第2層間絶縁膜290をエッチングして第2コンタクトプラグ283の上面を露出させる第2開口(図示せず)を形成した後、前記第2開口を十分に埋めたてるように第2コンタクトプラグ283及び第1層間絶縁膜270上に第2導電膜(図示せず)を形成し、第2導電膜上部を第2層間絶縁膜290の上面が露出するまで平坦化することによって形成される。
【0085】
以後、前記ビットラインコンタクト300に接触する第3導電膜(図示せず)を前記第2層間絶縁膜290上に形成した後、パターニングすることによって前記ビットラインコンタクト300と電気的に接続されるビットライン310を形成して、ビットライン310をカバーする第3層間絶縁膜320を第2層間絶縁膜290上に形成する。
【0086】
例示的な実施例において、第1乃至第3層間絶縁膜270、290、320は例えば、酸化物、窒化物などの絶縁物質を含んで形成され、前記第1乃至第3導電膜は例えば、ドーピングされたポリシリコン、及び/又は、金属を含んで形成される。
【0087】
図8を参照すると、第2及び第3層間絶縁膜290、320を貫通して第1コンタクトプラグ281の上面と接触するキャパシタコンタクト330を形成し、キャパシタコンタクト330及び第3層間絶縁膜310上にエッチング阻止膜340及びモールド膜350を順次に形成する。
【0088】
キャパシタコンタクト330は、例えば、第2及び第3層間絶縁膜290、320をエッチングして第1コンタクトプラグ281の上面を露出させる第3開口(図示せず)を形成し、前記第3開口を十分に埋めたてるように第4導電膜(図示せず)を形成した後、前記第4導電膜の上部を第3層間絶縁膜320の上面が露出するまで平坦化することによって形成される。
【0089】
次いで、エッチング阻止膜340及びモールド膜350を貫通する第4開口(図示せず)を形成することによってキャパシタコンタクト330の上面を露出させた後、前記第4開口の内壁及びモールド膜350上に第5導電膜360を形成する。
【0090】
例示的な実施例において、エッチング阻止膜340はシリコン窒化物を含んで形成され、モールド膜350はシリコン酸化物を含んで形成される。一方、前記第4及び第5導電膜は、例えば、ドーピングされたポリシリコン、及び/又は、金属を含んで形成される。
【0091】
図9を参照すると、第5導電膜360上に、前記第4開口を埋めたてる犠牲膜(図示せず)を形成した後、モールド膜350の上面が露出するまで前記犠牲膜及び第5導電膜360を平坦化することによって第4開口の内壁上に第5導電膜パターン及び犠牲膜パターン(図示せず)を形成する。次いで、モールド膜350及び犠牲膜パターンを、例えば、湿式エッチング工程を通じて除去することによって下部電極365を形成する。これによって、下部電極365はキャパシタコンタクト330の上面をカバーするように形成され、第1コンタクトプラグ281と電気的に接続される。
【0092】
図10を参照すると、例示的な実施例に係るアルミニウム前駆体を使ってエッチング阻止膜340及び下部電極365の表面に誘電膜370を形成する。
【0093】
誘電膜370は薄膜形成方法で上述したように、例示的な実施例に係るアルミニウム前駆体を含む蒸着ソースを、不活性気体を含むキャリアガスとともに下部電極365上に提供し、引き続き、下部電極365上に反応ガスを提供してそれらを反応させることによって形成される。
【0094】
例示的な実施例において、前記反応ガスは酸化剤、還元剤又は窒化剤のうち、少なくとも1つを含み、これによって、誘電膜370はアルミニウム酸化物又はアルミニウム窒化物を含んで形成され、高い誘電率を示すことができる。
特に、本発明の例示的な実施例に係るアルミニウム前駆体は、低融点及び高い揮発性だけでなく、高温熱安定性を有するので、これを誘電膜形成のための蒸着ソースとして用いる場合、高い蒸着温度にあっても簡単に熱分解されないので、縦横比が大きい下部電極の表面に容易に誘電膜を形成できる。
【0095】
例示的な実施例において、前記蒸着ソースは、シリコン前駆体又は有機金属前駆体をさらに含み、これによって、前記誘電膜は、例えば、ALSi、ZrAlSiO、TiAlSiO、及びHfAlSiOを含んで形成される。この時、前記x及びyは特に限定されないが、例えば、前記xは0.8乃至1.2であり、前記yは3.1乃至3.9である。
【0096】
以後、下部電極365の高い縦横比に係る、誘電膜370の段差被覆率(step coverage)を高めるために、例示的な実施例において、基板200にリフロー工程をさらに行う。前記リフロー工程は、例えば250乃至1000℃の温度、望ましくは300乃至500℃の温度で行われる。
【0097】
図11を参照すると、誘電膜370上に上部電極380を形成する。
【0098】
上部電極380は、誘電膜370をカバーするように形成され、下部電極365と同じ物質、例えば、ドーピングされたポリシリコン及び/又は金属を含んで形成される。
【0099】
図12及び図13は、他の例示的な実施例に係るキャパシタ形成方法を説明するための断面図である。前記キャパシタ形成方法は、図4乃至図9を参照して説明したキャパシタ形成方法と実質的に同一又は類似の工程を含むので、同じ構成要素には同じ参照符号を与え、それに対する詳しい説明は省略する。
【0100】
先ず、図4乃至図9を参照で説明した工程と実質的に同一又は類似の工程を行う。これによって、トランジスタ、層間絶縁膜270、290、320、コンタクトプラグ281、283、ビットライン コンタクト300、キャパシタコンタクト330、ビットライン310、エッチング阻止膜340及び下部電極365が形成される。
【0101】
以後、図12を参照すると、例示的な実施例に係るアルミニウム前駆体を使って下部電極265の表面に第1及び第2誘電膜400、410を含む誘電膜構造物420を形成する。
【0102】
第1誘電膜400は、上述の薄膜形成方法に従い、例示的な実施例に係るアルミニウム前駆体を含む蒸着ソースを、不活性気体を含むキャリアガスとともに下部電極365上に提供し、下部電極365上に反応ガスを提供してこれらを反応させることによって形成される。
【0103】
第2誘電膜410は、第1誘電膜400形成方法と類似に、アルミニウムを含まない有機金属前駆体又はシリコン前駆体を含む蒸着ソースを、不活性気体を含むキャリアガスとともに第1誘電膜400上に提供し、第1誘電膜400上に反応ガスを提供してこれらを反応させることによって形成される。
【0104】
例示的な実施例において、第1誘電膜400を形成した後、第2誘電膜410を形成する前に基板200にパージ工程及びリフロー工程をさらに行い、この時、前記リフロー工程は、例えば250乃至1000℃の温度、望ましくは300乃至500℃の温度で行う。
【0105】
前記反応ガスは、例えば酸化剤、還元剤又は窒化剤のうち、少なくとも1つを含み、前記有機金属前駆体は、例えばジルコニウム、チタン、ハフニウムを含む。これによって、第1誘電膜400は、例えばアルミニウム酸化物又はアルミニウム窒化物を含むように形成され、第2誘電膜410は、例えばシリコン窒化物、シリコン酸化物、アルミニウムを含まない金属窒化物又はアルミニウムを含まない金属酸化物を含んで形成される。
【0106】
これとは異なって、アルミニウムを含まない有機金属前駆体又はシリコン前駆体を含む蒸着ソースを、不活性気体を含むキャリアガスとともに下部電極365上に提供した後、下部電極365上に反応ガスを提供することによって第1誘電膜400を形成し、例示的な実施例に係るアルミニウム前駆体を含む蒸着ソースを、不活性気体を含むキャリアガスとともに第1誘電膜400上に提供した後、第1誘電膜400上に反応ガスを提供することによって第2誘電膜410を形成できる。
【0107】
これによって、第1誘電膜400は、例えばシリコン窒化物、シリコン酸化物、アルミニウムを含まない金属窒化物又はアルミニウムを含まない金属酸化物を含んで形成され、第2誘電膜410は、例えばアルミニウム酸化物又はアルミニウム窒化物を含んで形成される。
【0108】
図13を参照すると、誘電膜構造物420上に上部電極430を形成する。
【0109】
上部電極430は誘電膜構造物420をカバーするように形成され、下部電極365と同じ物質、例えばドーピングされたポリシリコン及び/又は金属を含んで形成される。
【0110】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0111】
上述したように、例示的な実施例に係るアルミニウム前駆体の低融点、高揮発性及び高温熱安定性という特性を活用することにより、高い縦横比を有する下部電極の表面にも化学気相蒸着工程或いは原子層蒸着工程を通じて容易に薄膜を形成することができる。
【符号の説明】
【0112】
100,200 基板
110 蒸着ソース
115 薄膜
205 素子分離膜
210 ゲート絶縁膜
215 ゲート絶縁膜パターン
220 バッファ膜
225 バッファ膜パターン
230 ゲート導電膜
235 ゲート導電膜パターン
245 ゲート構造物
250 スペーサ
261 第1不純物領域
263 第2不純物領域
270 第1層間絶縁膜
281 第1コンタクトプラグ
283 第3コンタクトプラグ
290 第2層間絶縁膜
300 ビットラインコンタクト
310 ビットライン
320 第3層間絶縁膜
330 キャパシタコンタクト
340 エッチング阻止膜
350 モールド膜
360 第5導電膜
365 下部電極
370 誘電膜
380,430 上部電極
400 第1誘電膜
410 第2誘電膜
420 誘電膜構造物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13