(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
半芳香族ポリアミド樹脂(C1)が、ポリアミドMXD6、ポリアミド6T、ポリアミド6I、ポリアミド6T/I及びポリアミド9Tから選ばれる少なくとも1種からなる、請求項2又は3に記載の光ファイバケーブル。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の好適な実施形態について以下に説明する。
【0017】
(1)被覆材料
本発明の実施形態による光ファイバケーブルの被覆層は、被覆内層と被覆外層を少なくとも含み、被覆内層を構成する材料(被覆内層材料)は、ポリアミド(PA)樹脂(A)を含み、被覆外層を構成する材料(被覆外層材料)は、ポリアミド(PA)樹脂(C)を含み、この被覆外層材料はポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂(B)及び半芳香族ポリアミド樹脂(C1)の少なくとも1種を含む。
【0018】
この被覆外層材料は、第1の形態として、PPE樹脂(B)及びPA樹脂(C)を主成分として含むものを用いることができる。この被覆外層材料がPPE樹脂(B)及びPA樹脂(C)を主成分として含むことで、光ファイバケーブルに、特に長期耐熱性を付与でき、また十分な機械的強度等の機械特性を付与することができる。例えば、PPE樹脂(B)とPA樹脂(C)とからなるPPEアロイ樹脂を主成分として含むものを用いることができる。このような被覆外層材料は、PPE樹脂(B)及びPA樹脂(C)のみからなるものでもよいし、PPEアロイ樹脂のみからなるものでもよいし、これらの樹脂(B)及び(C)に或いはPPEアロイ樹脂に難燃剤、酸化防止剤等の種々の添加剤や他の樹脂を添加した組成物であってもよい。
【0019】
また、被覆外層材料は、第2の形態として、PA樹脂(C)として半芳香族ポリアミド樹脂(C1)を含むものを用いることができる。この被覆外層材料が半芳香族ポリアミド樹脂(C1)を含むことで、光ファイバケーブルに特に長期耐熱性を付与できる。この被覆外層材料は、半芳香族ポリアミド樹脂(C1)のみからなるものでもよいし、半芳香族ポリアミド樹脂(C1)に難燃剤、酸化防止剤等の種々の添加剤や他の樹脂(脂肪族ポリアミド樹脂(G)等の他の樹脂)を添加した組成物であってもよい。この被覆外層材料の樹脂成分として、半芳香族ポリアミド樹脂(C1)と脂肪族ポリアミド樹脂(G)とからなる半芳香族ポリアミドアロイ樹脂を用いることができる。
【0020】
(1−1)ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂(B)
本発明の実施形態におけるPPE樹脂(B)の種類は特には限定されず、公知のPPE樹脂を使用することができる。
【0021】
PPE樹脂(B)としては、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジメトキシ−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジクロロメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジブロモメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジフェニル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジトリル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジベンジル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,5−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル等が挙げられる。このようなPPE樹脂は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。これらの中でも、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが汎用的に入手しやすい点で特に好ましい。
【0022】
(1−2)ポリアミド(PA)樹脂(C)
被覆外層材料がPPE樹脂(B)とPA樹脂(C)を含む場合、PA樹脂(C)は、PPE樹脂(B)との相溶性が良好であり、あるいはPPE樹脂(B)とのアロイ樹脂を形成できるものが好ましい。このような被覆外層材料を用いると、光ファイバケーブルに長期耐熱性を付与することができ、十分な機械的強度も付与することができる。また、PA樹脂(C)含む被覆外層材料を、ポリアミド樹脂で被覆された光ファイバの外周に被覆する場合、形成された被覆外層とその下のポリアミド樹脂からなる被覆層との密着性が良好となる。
【0023】
PA樹脂(C)の種類は特には限定されず、公知のポリアミド樹脂を使用することができる。PA樹脂(C)としては、例えば、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド612、ポリアミド1010;ポリアミド6、ポリアミド66等の脂肪族ポリアミド;主鎖骨格の一部に芳香環を含むポリアミド6T、ポリアミドMXD6、ポリアミド9T等の芳香族系ポリアミド等を挙げることができる。このようなPA樹脂は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0024】
これらの中でも、高い耐熱性を有し、低い酸素透過性を有する、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミドMXD6が好ましい。
【0025】
(1−3)PPE樹脂(B)とPA樹脂(C)の併用/PPEアロイ樹脂
本発明の実施形態における被覆外層材料は、PPE樹脂(B)とPA樹脂(C)を主成分とし、あるいはこれらの樹脂(B)及び(C)からなるPPEアロイ樹脂を主成分とすることができる。ここで、主成分とは、被覆外層材料中のPPE樹脂(B)とPA樹脂(C)の合計含有量(あるいはPPEアロイ樹脂の含有量)が50質量%以上であることを示し、55質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。
【0026】
PPE樹脂(B)とPA樹脂(C)との混合割合は特には限定されず、長期耐熱性及び十分な機械特性が得られればよい。例えば、PA樹脂(C)を、PPE樹脂(B)100質量部に対して好ましくは10〜300質量部、より好ましくは35〜200質量部、さらに好ましくは50〜100質量部の割合で混合することができる。すなわち、PPE樹脂(B)に対するPA樹脂(C)の質量比率(C/B)は、10/100〜300/100の範囲にあることが好ましく、35/100〜200/100の範囲がより好ましく、50/100〜100/100の範囲がさらに好ましい。
【0027】
PA樹脂(C)の混合割合を10質量部以上とすることにより、PPEアロイ樹脂に十分な長期耐熱性及び十分な機械的強度を付与させることできる。PA樹脂(C)の混合割合を300質量部以下とすることにより、PPEアロイ樹脂の溶融粘度を低下させることでき、光ファイバに被覆した際に適度な柔軟性を有する光ファイバケーブルを得ることができる。
【0028】
PPE樹脂(B)とPA樹脂(C)とを混合してアロイ化する場合、その方法については両方の樹脂が十分に混合又は均一に分散させることができれば特には限定されない。例えば、両方の樹脂を均一に分散させることができる相溶化剤を用いてアロイ化することができる。相溶化剤はPPE樹脂(B)とPA樹脂(C)との界面に分散することにより、樹脂の界面張力を低下させることが可能となり、樹脂同士を互いに分散させることができる。
【0029】
相溶化剤の種類は特には限定されないが、例えば、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基等の極性反応性官能基を持つ相溶化剤を使用することが好ましい。極性反応基を有することにより、PA樹脂(C)のアミド基とPPE樹脂(B)のエーテル基との間に水素結合を形成し、両方の樹脂を十分に分散させることが可能となる。
【0030】
カルボキシル基を有する相溶化剤しては、例えば、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、マレイミド、マレイン酸ヒドラジド、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸;当該不飽和カルボン酸のエステル、酸アミド、無水物等を使用することができる。
【0031】
エポキシ基を有する相溶化剤としては、エピクロロヒドリン、2‐メチルエピクロロヒドリン、2,2−ビス(4‐グリシジルフェニルエ―テル)プロパン、エポキシ樹脂等を使用することができる。
【0032】
アミノ基を有する相溶化剤としては、ヘキサメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン等の脂肪族アミン系化合物;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の脂肪族系化合物;N,N−ジメチルアミノスチレン等の芳香族系化合物;モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、N−ビニルピロール、N−ビニルピロリドン、N−ビニルチオピロリドン等の複素環系化合物等を使用することができる。
【0033】
相溶化剤の使用量は、PPE樹脂(B)とPA樹脂(C)とが十分に分散されれば特に限定されない。例えば、相溶化剤の使用量は、PPE樹脂(B)とPA樹脂(C)との合計量に対して、0.5〜20質量%、好ましくは1〜15質量%、より好ましくは2〜10質量%とすることができる。
【0034】
相溶化剤の使用量を0.5質量%以上とすることにより、PPE樹脂とPA樹脂との十分な分散が可能となり、長期耐熱性及び十分な機械的強度を得ることができる。相溶化剤の使用量を20質量%以下とすることにより、PPEアロイ樹脂の耐熱性を損なうことなく、高い柔軟性を得ることができる。
【0035】
本発明の実施形態におけるPPEアロイ樹脂は、自ら製造することもできるし、公知又は市販されているものを使用することもできる。PPEアロイ樹脂の製造方法もPPE樹脂とPA樹脂とが十分に分散させることができれば、特に限定されない。例えば、PPE樹脂に相溶化剤を添加して十分に混合してからPA樹脂を添加することもできるし、PA樹脂に相溶化剤を添加して十分に混合してからPPE樹脂を添加することもできるし、PPE樹脂とPA樹脂とを混合してから相溶化剤を添加することもできる。
【0036】
一方、市販のPPEアロイ樹脂としては、例えば、サビックイノベーティブプラスチック社のノリルGTX(商標名)シリーズ、三菱エンジニアリングプラスチック社のレマロイ(商標名)シリーズを使用することができる。
【0037】
(1−4)半芳香族ポリアミド系樹脂(C1)
本発明の実施形態における被覆外層材料は、半芳香族ポリアミド系樹脂(C1)を主成分として含むことができる。ここで、主成分とは、被覆外層材料中の半芳香族ポリアミド系樹脂(C1)の含有量が50質量%以上であることを示し、55質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。被覆外層材料に含まれる樹脂材料として半芳香族ポリアミド系樹脂(C1)を単独で使用することができる。
【0038】
本発明の実施形態における半芳香族ポリアミド樹脂(C1)は、主鎖骨格の一部に芳香環を含むポリアミドであり、芳香族ジアミンとジカルボン酸との縮重合により得られるポリアミド樹脂、ジアミンと芳香族ジカルボン酸との縮重合により得られるポリアミド樹脂が挙げられる。これらの半芳香族ポリアミド系樹脂(C1)の中でも、結晶性が高過ぎず、被覆に適した融点を有することから、メタ位置換のベンゼン環を有するポリアミド樹脂が好ましい。メタ位置換のベンゼン環は、ベンゼン環上に置換している二つの置換基を1位と3位に有するものに由来の構造に相当する。メタ位置換のベンゼン環を有するポリアミド樹脂としては、例えば、ポリアミドMXD6、ポリアミド6Iが挙げられる。
【0039】
半芳香族ポリアミド系樹脂(C1)を構成する脂肪族ジアミンとしては、1,x−アルカンジアミン(xは2〜20の整数)で表される直鎖状脂肪族ジアミンを用いることができる。具体的には1,2−エチレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミンが挙げられる。
【0040】
半芳香族ポリアミド系樹脂(C1)を構成する芳香族ジアミンとしては、オルト‐キシリレンジアミン、メタ‐キシリレンジアミン、パラ‐キシリレンジアミンが挙げられる。
【0041】
半芳香族ポリアミド系樹脂(C1)を構成する脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸(エタン二酸)、マロン酸(プロパン二酸)、コハク酸(ブタン二酸)、グルタル酸(ペンタン二酸)、アジピン酸(ヘキサン二酸)、ピメリン酸(へプタン二酸)、スベリン酸(オクタン二酸)、アゼライン酸(ノナン二酸)、セバシン酸(デカン二酸)が挙げられる。
【0042】
半芳香族ポリアミド系樹脂(C1)を構成する芳香族ジカルボン酸としては、ベンゼン環上にカルボキシル基が2つ置換したフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸が挙げられる。
【0043】
これらに例示したジカルボン酸とジアミンを縮重合させることで例えば、ポリアミド4T(1,4−ブタンジアミンとテレフタル酸の共重合体)、ポリアミド6T(1,6−ヘキサンジアミンとテレフタル酸の共重合体)、ポリアミドMXD6(メタ−キシリレンジアミンとアジピン酸の共重合体)、ポリアミド6I(1,6−ヘキサンジアミンとイソフタル酸の共重合体)、ポリアミド6T/I(1,6−ヘキサンジアミンとテレフタル酸/イソフタル酸混合物との共重合体)、ポリアミド9T(1,9−ノナンジアミンとテレフタル酸の共重合体)などを得ることができる。
【0044】
半芳香族ポリアミド系樹脂(C1)は、耐熱性や酸素透過性の観点から、ポリアミドMXD6、ポリアミド6T、ポアミド6T/I、ポリアミド6I、ポリアミド9Tが好ましい。
【0045】
(1−5)半芳香族ポリアミドアロイ樹脂
本発明の実施形態における被覆外層材料は、半芳香族ポリアミド樹脂(C1)と脂肪族ポリアミド樹脂(G)とからなる半芳香族ポリアミドアロイ樹脂を主成分とすることができる。
【0046】
半芳香族ポリアミド樹脂(C1)とのアロイに用いる脂肪族ポリアミド樹脂(G)は、半芳香族ポリアミド(C1)との相溶性が良好であり、半芳香族ポリアミド樹脂(C1)とのアロイ樹脂を形成し、これを光ファイバの被覆層に用いると、適度な柔軟性を付与することが可能となる。
【0047】
脂肪族ポリアミド樹脂(G)としては、公知のものを使用することができる。例えば、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド612、ポリアミド1010、ポリアミド6、ポリアミド66が挙げられる。これらの中でも、耐熱性と酸素透過性の観点から、ポリアミド6、ポリアミド66が好ましい。
【0048】
被覆外層材料において、上記の半芳香族ポリアミドアロイ樹脂を主成分とするというのは、被覆外層材料中の半芳香族ポリアミドアロイ樹脂の含有量が50質量%以上であることを示し、55質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。
【0049】
半芳香族ポリアミド樹脂(C1)と脂肪族ポリアミド樹脂(G)との混合割合は特には限定されず、長期耐熱性が得られればよい。例えば、脂肪族ポリアミド樹脂(G)を、半芳香族ポリアミド樹脂(C1)100質量部に対して例えば300質量部以下の割合で混合することができ、5〜300質量部の範囲が好ましく、10〜200質量部の範囲がより好ましく、30〜100質量部の範囲がさらに好ましい。すなわち、半芳香族ポリアミド樹脂(C1)に対する脂肪ポリアミド樹脂(G)の質量比率(G/C1)は、5/100〜300/100の範囲にあることが好ましく、10/100〜200/100の範囲がより好ましく、30/100〜100/100の範囲がさらに好ましい。
【0050】
脂肪族ポリアミド樹脂(G)の混合割合を、半芳香族ポリアミド樹脂100質量部に対して5質量部以上とすることにより、ポリアミドアロイ樹脂により一層十分な長期耐熱性及び十分な機械的強度を付与させることできる。脂肪族ポリアミド樹脂(G)の混合割合を、半芳香族ポリアミド樹脂100質量部に対して300質量部以下とすることにより、ポリアミドアロイ樹脂の溶融粘度を低下させることでき、光ファイバに被覆した際に、適度な柔軟性を有する光ファイバケーブルを得ることができる。
【0051】
半芳香族ポリアミド樹脂(C1)と脂肪族ポリアミド樹脂(G)とを混合してアロイ化する場合、その方法については両方の樹脂が十分に混合又は均一に分散させることができれば特に限定されない。例えば、単純ブレンドにより混合後、両方の樹脂を均一に溶融混練して分散させたり、両方の樹脂を均一に分散させることができる相溶化剤を用いてアロイ化したりすることができる。相溶化剤は半芳香族ポリアミド樹脂と脂肪族ポリアミド樹脂との界面に分散することにより、樹脂の界面張力を低下させることが可能となり、樹脂同士を互いに分散させることができる。
【0052】
相溶化剤の種類は特には限定されないが、例えば、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基等の極性反応性官能基を持つ相溶化剤を使用することが好ましい。極性反応基を有することにより、両方の樹脂中のアミド基間に水素結合を形成し、両方の樹脂を十分に分散することが可能となる。
【0053】
カルボキシル基を有する相溶化剤としては、例えば、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、マレイミド、マレイン酸ヒドラジド、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸;当該不飽和カルボン酸のエステル、酸アミド、無水物等を使用することができる。
【0054】
エポキシ基を有する相溶化剤としては、エピクロロヒドリン、2‐メチルエピクロロヒドリン、2,2−ビス(4‐グリシジルフェニルエ―テル)プロパン、エポキシ樹脂等を使用することができる。
【0055】
アミノ基を有する相溶化剤としては、ヘキサメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン等の脂肪族アミン系化合物;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の脂肪族系化合物;N,N−ジメチルアミノスチレン等の芳香族系化合物;モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、N−ビニルピロール、N−ビニルピロリドン、N−ビニルチオピロリドン等の複素環系化合物等を使用することができる。
【0056】
相溶化剤の使用量は、半芳香族ポリアミド樹脂(C1)と脂肪族ポリアミド樹脂(G)とが十分に分散されれば特に限定されない。例えば、相溶化剤の使用量は、半芳香族ポリアミド樹脂(C1)と脂肪族ポリアミド樹脂(G)との合計量に対して、0.5〜20質量%、好ましくは1〜15質量%、より好ましくは2〜10質量%とすることができる。
【0057】
相溶化剤の使用量を0.5質量%以上とすることにより、半芳香族ポリアミド樹脂(C1)と脂肪族ポリアミド樹脂(G)との十分な分散が可能となり、長期耐熱性及び十分な機械的強度を得ることができる。相溶化剤の使用量を20質量%以下とすることにより、半芳香族ポリアミドアロイ樹脂の耐熱性を損なうことなく、高い柔軟性を得ることができる。
【0058】
本発明の実施形態で使用する半芳香族ポリアミド樹脂(C1)と脂肪族ポリアミド樹脂(G)は自ら製造することもできるし、公知又は市販されているものを使用することもできる。半芳香族ポリアミドアロイ樹脂の製造方法も半芳香族ポリアミド樹脂(C1)と脂肪族ポリアミド樹脂(G)とが十分に分散させることができれば、特に限定されない。例えば、半芳香族ポリアミド樹脂(C1)と脂肪族ポリアミド樹脂(G)を溶融混練して得ることもできるし、半芳香族ポリアミド(C1)に相溶化剤を添加して十分に混合してから脂肪族ポリアミド樹脂を添加することもできるし、脂肪族ポリアミド樹脂(G)に相溶化剤を添加して十分に混合してから半芳香族ポリアミド樹脂(C1)を添加することもできるし、半芳香族ポリアミド樹脂(C1)と脂肪族ポリアミド樹脂(G)とを混合してから相溶化剤を添加することもできる。
【0059】
本発明の実施形態における被覆外層材料としては、PPE樹脂(B)及びPA樹脂(C)のみからなるもの(例えば上記のPPEアロイ樹脂のみからなるもの)、又は半芳香族ポリアミド樹脂(C1)のみからなるもの、半芳香族ポリアミド樹脂(C1)及び他の樹脂のみからなるもの(例えば上記の半芳香族ポリアミドアロイ樹脂のみからなるもの)を使用することもできるが、種々の特性を付与するために、目的に応じた添加剤を含有させることができる。
【0060】
(1−6)難燃剤
本発明の実施形態による光ファイバケーブルの被覆層には難燃剤を添加することが好ましく、被覆外層材料に添加することがより好ましい。難燃剤の種類としては、PA樹脂の難燃化に高い相互作用を示す窒素系難燃剤が好ましい。このような窒素系難燃剤としては、例えば、メラミン系化合物、トリアジン系化合物、尿素系化合物、グアニジン系化合物、テトラゾール系化合物等の窒素系化合物を挙げることができる。これらの窒素系化合物から選ばれる少なくとも一種からなる難燃剤を好適に用いることができる。
【0061】
メラミン系化合物としては、メラミン骨格を持つ化合物を使用することができ、例えば、メラミン;メラミンの縮合体であるメラム、メレム、メロン等のメラミン誘導体;シアヌル酸;メラミンとシアヌル酸との塩であるメラミンシアヌレート;硫酸メラミン;メラミンとメラミンシアヌレートとの混合物等を挙げることができる。
【0062】
トリアジン系化合物としては、トリアジン骨格を持つ化合物を使用することができ、例えば、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、アクリルグアナミン、2,4−ジアミノ−6−ノニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ハイドロキシ−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4,6−ジハイドロキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−エトキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−プロポキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−イソプロポキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メルカプト−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4,6−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン等を挙げることができる。
【0063】
尿素系化合物としては、尿素骨格を持つ化合物及びその塩等を用いることができ、例えば、リン酸グアニル尿素等を挙げることができる。
【0064】
グアニジン系化合物としては、グアニジン骨格を持つ化合物及びその塩を用いることができ、例えば、スルファミン酸グアニジン、リン酸グアニジン等を挙げることができる。
【0065】
テトラゾール系化合物としては、テトラゾール骨格を持つ化合物、テトラゾール化合物の金属塩又はアミン塩等を使用することができる。例えば、5,5’−ビ−1H−テトラゾール・ジアンモニウム、5,5’−ビ−1H−テトラゾール・ピペラジン、5,5’−ビ−1H−テトラゾール・ジグアニジン、ビステトラゾールのバリウム、カルシウム、カリウム、リチウム、亜鉛又はナトリウムの塩等を挙げることができる。
【0066】
これらの窒素化合物は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。
【0067】
上記窒素化合物の中でも、ポリアミド樹脂との相互作用で難燃剤の分散性が向上することから、メラミン系化合物、トリアジン系化合物、テトラゾール系化合物が好ましく、メラミン系化合物がより好ましい。メラミン系化合物の中でも、メラミンシアヌレート、硫酸メラミン、硫酸メラミンの塩、メラミンとメラミンシアヌレートとの混合物等がさらに好ましい。これらの窒素化合物は、燃焼時に分解し不活性ガスを発生するため難燃性(自己消火性)が高くなるからである。
【0068】
このようなメラミン系化合物は市販のものを使用することもできる。例えば、市販のメラミン系化合物としては、STABIACE MC−2010N(商品名、堺化学工業社製)、MELAPUR MC 25(商品名、BASF社製)、MELAPUR 200/70(商品名、BASF社製)、アピノン−901(商品名、(株)三和ケミカル製)等が挙げられる。
【0069】
窒素化合物等の難燃剤の含有量は、被覆層を構成する材料(例えば被覆外層材料)中5〜50質量%の範囲で添加することが好ましく、10〜40質量%がより好ましく、20〜30質量%がさらに好ましい。窒素化合物の含有量を5質量%以上とすることにより、被覆用組成物に十分な難燃性を付与することができる。窒素化合物の含有量50質量%以下とするのは、添加量の増加に応じた飛躍的な効果の上昇が認められにくいからである。
【0070】
さらに、難燃効果を高める目的で、所望の特性を損なわない範囲で、本発明の実施形態における被覆材料に難燃助剤を添加することもできる。難燃助剤の種類も特には限定されないが、PPEとの相溶性の良いリン系化合物を使用するのが好ましい。
【0071】
このようなリン系化合物としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート等の芳香族リン酸エステル;レゾルシノールビス−ジフェニルホスフェート、レゾルシノールビス−ジキシレニルホスフェート、ビスフェノールAビス−ジフェニルホスフェート等の芳香族縮合リン酸エステル等の有機リン化合物を挙げることができる。これらのリン系化合物は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。これらの中でも、リン酸エステル、縮合リン酸エステル、リン酸塩、縮合リン酸塩が好ましい。
【0072】
リン系化合物等の難燃助剤の添加量は特に限定されないが、例えば、被覆層を構成する材料(例えば被覆外層材料)中0.1〜30質量%の範囲で添加することが好ましく、3〜20質量%がより好ましく、5〜15質量%がさらに好ましい。リン系化合物の添加量を0.1質量%以上とすることにより、被覆材料に十分な難燃性を付与することができる。リン系化合物の添加量を30質量%以下とするのは、添加量の増加に応じた飛躍的な効果の上昇が認められにくいからである。
【0073】
なお、これらの難燃剤及び難燃助剤の合計の使用量は、被覆層を構成する材料(例えば被覆外層材料)中5〜50質量%の範囲で添加することが好ましく、7〜40質量%がより好ましく、10〜30質量%がさらに好ましい。難燃剤及び難燃助剤を合計で5質量%以上添加することにより、後述する電線等の難燃性規格であるDIN72551−5に合格しうる難燃性を付与することができる。また、難燃剤及び難燃助剤を合計で50質量%より少なくするのは、添加量の増加に応じた飛躍的な効果の上昇が認められにくくなるためである。
【0074】
(1−7)酸化防止剤
本発明の実施形態による光ファイバケーブルの被覆層には、酸化防止剤を添加することもでき、被覆外層材料に添加することが好ましい。酸化防止剤を添加することにより、PA樹脂の高温環境下での熱酸化による劣化を抑制することができる。
【0075】
酸化防止剤の種類は特に限定されず、例えば、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤等を使用することができる。これらの中でも、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤が好ましく、これらの少なくとも一種を用いることが好ましい。
【0076】
フェノール系酸化防止剤としては特に限定されるものではなく、例えば、ヒンダードフェノール化合物が挙げられる。ヒンダードフェノール化合物としては、N,N’−(1,6−ヘキサンジイル)ビス[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシベンゼンプロパンアミド]、ペンタエリスリトールテトラキス[3−[3,5−ジ(t−ブチル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオナート]、2,2チオ[ジエチルビス−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸オクタデシル、4,4’,4’’−[(2、4、6−トリメチルベンゼン−1,3,5−トリイル)トリス(メチレン)]トリス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンゼンプロパン酸)エチレンビス(オキシエチレン)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌル酸、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−S−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等が挙げられる。
【0077】
これらの中でも、N、N’−(1,6−ヘキサンジイル)ビス[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシベンゼンプロパンアミド](分子量636;例えば、IRGANOX1098(商品名)、BASF社)、ペンタエリスリトールテトラキス[3−[3,5−ジ(t−ブチル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオナート](分子量1176;例えば、IRGANOX1010(商品名)、BASF社)、及び3、9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−S−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン(分子量741;例えば、アデカスタブAO−80(商品名)、ADEKA社)等が、PA樹脂中の分散性が良好なので好ましい。
【0078】
フェノール系酸化防止剤の添加量は、被覆層を構成する材料(例えば被覆外層材料)中0.01〜5質量%の範囲にあることが好ましく、0.5〜3質量%がより好ましく、0.1〜1質量%が更に好ましい。添加量を0.01質量%以上とすることにより、より一層十分な長期熱耐性を付与することができる。添加量を5質量%以下とすることにより本発明の実施形態における被覆材料の機械的強度の低下を抑制することができる。
【0079】
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、2価の硫黄にプロピオン酸エステルが結合したチオエーテル系化合物が挙げられる。これらの化合物としてはジラウリル‐3,3’‐チオジプロピオネート、ジミリスチル‐3,3’‐チオジプロピオネート、ジステアリル‐3,3’‐チオジプロピオネート、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾールなどを挙げることができる。これらの中でも、ジミリスチル‐3,3’‐チオジプロピオネート(分子量571;例えば、ヨシトミDMTP(商品名)、APIコーポレーション)、ジステアリル‐3,3’‐チオジプロピオネート(分子量683;例えば、ヨシトミDSTP(商品名)、APIコーポレーション)等が好ましい。
【0080】
硫黄系酸化防止剤の添加量は、被覆層を構成する材料(例えば被覆外層材料)中0.01〜15質量%の範囲にあることが好ましく、0.5〜10質量%がより好ましく、0.1〜3質量%が更に好ましい。添加量を0.01質量%以上とすることにより、より一層十分な長期熱耐性を付与することができる。添加量を15質量%以下とすることにより本発明の実施形態における被覆材料の機械的強度の低下を抑制することができる。
【0081】
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリスノニルフェニルホスフェート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート、ジステアリルペンタエリストールジホスフェート、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールホスフェート、ビス(2,6−ジ−t−ブチル4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールホスフェート、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスフェート、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4‘ビフェニレンージ−ホスフェート等が挙げられる。
【0082】
アミン系酸化防止剤としては、例えば、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシルーN’フェニル−p−フェニレンジアミン、P−イソプロポキシジフェニルアミン、N−フェニル−2−ナフチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−p−フェニレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−p,p’−ジアミノジフェニルメタン、N,N−ジメチル−2−ナフチルアミン、N,N’−ジフェニルキノンジイミン等が挙げられる。
【0083】
これらの酸化防止剤の中でも、分子量が500以上の化合物が好ましい。分子量が500以上の化合物を使用することにより、長期間の使用で酸化防止剤自体が光ファイバケーブルの表面にブリードアウトしたり、光ファイバに移行したりすることが原因で、光ファイバの機械特性及び光学特性が低下するのを抑制することができるからである。
【0084】
また本発明の実施形態においては、1種類の酸化防止剤を単独で使用することもできるし、2種以上の酸化防止剤を併用することもできる。2種以上の酸化防止剤を併用することで相乗効果が得られる場合は、2種類以上の酸化防止剤を併用することが好ましい。その中でも、フェノール系酸化防止剤と硫黄系酸化防止剤とを併用することが好ましい。
【0085】
フェノール系酸化防止剤と硫黄系酸化防止剤とを併用することの利点として以下のような効果が挙げられる。PA樹脂は、高温環境下では分解したラジカルが空気中の酸素原子と結合してペルオキシドラジカル(ROO・)(Rはアルキル基)が生成し、劣化が進行する。フェノール系酸化防止剤は、発生するペルオキシドラジカルを捕捉してヒドロキシペルオキシド(ROOH)に変える働きがある。さらに、硫黄系酸化防止剤がヒドロキシペルオキシドを分解して安定なアルコール成分に変えることができる。このため2種類の酸化防止剤の相乗効果を得ることができる。
【0086】
フェノール系酸化防止剤と硫黄系酸化防止剤とを併用する場合、その合計の添加量は、被覆層を構成する材料(例えば被覆外層材料)中0.01〜10質量%の範囲にあることが好ましく、0.05〜7質量%がより好ましく、0.1〜5質量%がさらに好ましい。フェノール系酸化防止剤と硫黄系酸化防止剤の合計の添加量を0.01質量%以上添加することにより、耐熱安定性を一層向上させることが可能となる。フェノール系酸化防止剤と硫黄系酸化防止剤の合計の添加量を10質量%以下とすることで光ファイバケーブルの機械的強度の低下を抑制することができる。また、フェノール系酸化防止剤と硫黄系酸化防止剤の添加比率も特には限定されず、例えば、1:1〜1:3程度とすることが好ましい。
【0087】
(1−8)その他の添加剤等
また、本発明の実施形態において、意匠性、識別性を高める目的で、光ファイバの特性を損なわない範囲で、被覆層を構成する材料(例えば被覆内層材料、被覆外層材料)中に顔料を添加することができる。顔料の種類は限定されず、無機系顔料又は有機系顔料のいずれも使用することができる。
【0088】
例えば、白色顔料として二酸化チタン、酸化亜鉛等;黄色顔料としてアゾ系有機顔料、黄鉛、クロム黄、亜鉛黄等;青色顔料として群青(ウルトラマリンブルー)、コバルトブルー等;緑色顔料として酸化クロム等を挙げることができる。
【0089】
顔料の添加量は特に制限されず、例えば、被覆層を構成する材料(例えば被覆内層材料、被覆外層材料)中0.5〜10質量%が好ましく、1〜7質量%がより好ましく、3〜5質量%が更に好ましい。
【0090】
顔料の添加量を0.5質量%以上とすることにより、十分な着色効果を発揮することができる。顔料の添加量を10質量%以下とすることにより、光ファイバケーブルの機械的強度が低下するのを防ぐことができ、光ファイバに顔料が移行して光学特性が低下するのを防ぐことがきる。
【0091】
(2)光ファイバケーブル
光ファイバの外周に上述の被覆層(被覆内層、被覆外層)を設けることにより、長期耐熱性、十分な機械特性等を有する光ファイバケーブルを得ることができる。
【0092】
(2−1)光ファイバ
本発明の実施形態による光ファイバケーブルにおいて使用する光ファイバの種類は限定されない。例えば、ガラス製の光ファイバを使用することもできるし、プラスチック製の光ファイバ(POF)を使用することもできる。
【0093】
ガラス製の光ファイバとしては、その種類は限定されず、コア、クラッドがともに石英ガラスからなる石英ガラスファイバ、コアが石英ガラス、クラッドがフッ素系樹脂等の樹脂からなるポリマークラッドシリカファイバ(PCS)等、公知のものを使用することができる。
【0094】
POFもその種類は限定されず、公知又は新たに開発されるPOFを使用することができる。本発明の実施形態による光ファイバケーブルには、POFを使用するのが好ましい。自動車等の移動媒体での使用を想定した場合、取扱いの容易さから好適である。
【0095】
POFとしては、例えば、中心から外周に向かって連続的にコアの屈折率が低下するGI型POF、中心から外周に向かってコアの屈折率が段階的に低下する多層POF、複数のコアをクラッドで取り囲んで一纏めにしたマルチコアPOF等が挙げられる。これらのなかでもPOFを広帯域化して高速信号伝送を行う観点から、多層POFを使用するのが好ましい。
【0096】
コアに使用する材質も特には限定されず、使用目的等に応じて適宜選択することができる。例えば、透明性の高い重合体を使用するのが好ましい。
【0097】
コアに使用する透明性の高い重合体としては、メタクリレート単位を含む重合体が好ましい。このような重合体としては、メチルメタクリレート単独重合体、メチルメタクリレート単位を主構成単位とする共重合体、フッ素化アルキルメタクリレート単位を主構成単位とする重合体が挙げられる。これらのなかでも、メチルメタクリレート単独重合体、メチルメタクリレート単位を主構成単位とする共重合体が好ましい。この共重合体としては、メチルメタクリレート単位が50質量%以上を含むことが好ましく、60質量%以上含むことがより好ましく、70質量%以上含むことがさらに好ましい。メチルメタクリレート単独重合体が、耐熱性と透明性に優れている点から特に好ましい。
【0098】
コアの外周に形成されるクラッドは、1層から形成されていても、2層以上の複数層から形成されても良い。POFのクラッドに使用する鞘材としては、コアに使用する材料(コア材)より屈折率が小さいものを使用する。
【0099】
コア材としてメチルメタクリレート(MMA)系重合体を用いた場合、鞘材としては、フッ化ビニリデン系重合体等のフッ素系重合体、パーフルオロアルキルメタクリレート系重合体、メタクリル酸エステル系重合体、パーフルオロアルキルメタクリレート系化合物と(メタ)アクリレート系化合物との共重合体等が用いられる。
【0100】
フッ化ビニリデン系重合体としては、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン単位を含有する共重合体、例えば、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロアセトン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン単位を含むその他の3元以上の共重合体等を使用することができる。
【0101】
このようなPOFは、溶融紡糸法等の公知の方法で製造することができる。また、光ファイバケーブルを温度差の激しい環境で用いる場合には、ピストニングを抑制するため、連続もしくはバッチ処理によってアニール処理を施すことが好ましい。
【0102】
本発明の実施形態におけるPOFは、伝送特性及び取り扱い性等の点から、直径を例えば500μm〜1200μmの範囲に設定するのが好ましく、700μm〜1100μmの範囲がより好ましく、750〜1000μmの範囲がさらに好ましい。
【0103】
POFのクラッドの厚みは、コアを通過する光を全反射させる為に3〜30μmの範囲にあることが好ましく、4〜20μmの範囲がより好ましく、5〜15μmの範囲にあることがさらに好ましい。クラッドの厚みを3μm以上とすることにより、十分にコア中の光を全反射することできる。クラッドの厚みを30μm以下とするのは、伝播する光量の低下を抑制することができ、また、厚みをさらに増大しても光の伝播に関して飛躍的な効果の上昇が認められにくいからである。
【0104】
(2−2)光ファイバケーブル
本発明の実施形態による光ファイバケーブルにおいて、光ファイバの外周に設ける被覆層は、内側に設けられる被覆内層と、外側に設けられる被覆外層を含む。これらの被覆層からなる2層構造でもよいし、他の材料からなる別の層をさらに設けることもできる。当該別の層は、被覆内層の内側(光ファイバ側)に設けられてもよいし、被覆外層の外側(光ファイバから遠い側)に設けられていてもよいし、被覆内層と被覆外層の間に設けられていてもよい。
【0105】
このような種々の構成の中でも、本発明の実施形態では、光ファイバの外周にまず被覆内層を設け、この被覆内層の外周に被覆外層を設けた構成が好ましい。被覆内層および被覆外層の種類に応じて、十分な機械的強度だけでなく、長期耐熱性を得ることができる。
【0106】
(2−2−1)被覆内層
本発明の実施形態における被覆内層は、ポリアミド(PA)樹脂(A)を主成分として使用することが好ましい。ここで、主成分とは、被覆内層材料中のPA樹脂(A)の含有量が50質量%以上であることを示し、55質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。
【0107】
PA樹脂(A)は、比較的融点が低く被覆しやすい(加工性が良い)点で優れている。また、光ファイバとして、クラッドにフッ化ビニリデン系樹脂を含むPOFを使用する場合は、被覆内層を構成するPA樹脂中のアミド結合とクラッドを構成するフッ化ビニリデン系樹脂中のC−F結合との相互作用により、クラッドと被覆内層との密着性を向上することができる。
【0108】
PA樹脂(A)としては、例えば、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド612、ポリアミド1010等の単独重合体、これら重合体を構成する単量体単位の組み合わせからなるポリアミド共重合体、これら重合体に柔軟なセグメントを導入したポリアミド系エラストマー、又はポリアミド系エラストマーと他のポリアミド系樹脂を含む混合物等が好ましい。
【0109】
これらの中でも、特に、耐熱性、耐屈曲性、耐薬品性等に優れるポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド1010の単独重合体が好ましい。ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド1010の単独重合体は、被覆工程における成形性が良好で、かつ適度な融点を有しているため、ポリメタクリル酸メチルの単独重合体又はメタクリル酸メチルを主成分とする共重合体をコア材とするPOFの伝送性能を低下させることなく容易にPOFを被覆することができる。
【0110】
これらの樹脂は、さらに寸法安定性にも優れることから、これらの樹脂を被覆内層に用いると、特に光ファイバケーブルが自動車内LAN用途として用いられる際に問題となる熱収縮及びピストニングの発生を効果的に防止できる。
【0111】
また、自動車内通信用途では、光ファイバケーブルにバッテリー液耐性が要求されるが、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド1010の単独重合体は、ポリアミド系樹脂の中でも特に優れたバッテリー液耐性を有することから好ましい。
【0112】
光ファイバから被覆層への漏光を防いだり、光ファイバ内部への外光の入射を防止したりする機能を付与する目的で、被覆内層にカーボンブラック等の黒色顔料を初めとする添加剤を添加することができる。
【0113】
添加剤の添加量は特に限定されないが、例えば、被覆内層材料中0.15〜5質量%の範囲にあることが好ましく、0.2〜2.5質量%の範囲がより好ましく、0.3〜1.5質量%の範囲がさらに好ましい。添加剤の添加量を0.15質量%以上とすることにより、外光の光ファイバへの入光の抑制効果を高めることができ、光ファイバの本来の利用目的である通信時の安定性を高めることができる。添加剤の添加量を5質量%以下とすることにより、光ファイバを屈曲した状態で敷設しても、屈曲部からの漏光を抑制することが可能となる。
【0114】
(2−2−2)被覆外層
本発明の実施形態による光ファイバケーブルでは、前記被覆内層の外周に、前述の被覆外層材料からなる被覆外層を設けることが好ましい。このような構成を取ることにより、光ファイバケーブルが優れた長期耐熱性を備えることができる。
【0115】
光ファイバの外周部に被覆層を形成する方法としては、例えば、押出機を具備するクロスヘッド型被覆装置等の公知の装置を用いた押出被覆方法等の公知の方法を採用することができる。
【0116】
POFのようなプラスチック製の伝送体に樹脂を被覆してケーブルとする場合、溶融温度が高すぎると被覆時にPOF自体が溶断しやすくなるため、POFに熱可塑性樹脂を被覆する場合、被覆樹脂の溶融温度は150℃から230℃の範囲に設定することが好ましい。
【0117】
本発明の実施形態においては、まず光ファイバの外周に被覆内層を形成してから、その外周に被覆外層を形成するのが好ましい。
【0118】
先に被覆内層を形成した後にバッチ式で被覆外層を形成することにより、高温な樹脂材料を被覆する際に、光ファイバへかかる熱的影響を被覆内層により抑えることができ、被覆材料の溶融温度が高くても光ファイバの光学特性を損なうことなく被覆外層を形成することが可能となる。
【0119】
これまで、POFには被覆が困難とされていた溶融温度が250℃以上のPPEアロイ樹脂のような樹脂は、POFの被覆材として使用するのは困難又は不可能であると考えられていた。しかし、本発明の実施形態では、PA樹脂(A)を被覆して被覆内層を形成した後に、高温の樹脂材料を被覆して被覆外層を形成することにより、このような課題を解決することもできた。
【0120】
本発明の実施形態による光ファイバケーブルの外径を、例えば一般的な2.2mmに設定し、POFの外径を例えば汎用に用いられているPOFの外径と同じ1.0mmに設定すると、被覆層の全体の厚さは0.6mmに設定できる。
【0121】
被覆層が多層の場合、被覆内層と被覆外層の厚み比は、50:50(例えば被覆内層300μm、被覆外層300μm)〜10:90(例えば被覆内層60μm、被覆外層540μm)の範囲にあることが好ましく、40:60(例えば被覆内層240μm、被覆外層360μm)〜15:85(例えば被覆内層90μm、被覆外層510μm)の範囲にあることがより好ましく、30:70(例えば被覆内層180μm、被覆外層420μm)〜20:80(例えば被覆内層120μm、被覆外層480μm)の範囲にあることがさらに好ましい。被覆内層と被覆外層の厚み比をこのような範囲内に設定することで、所望の耐熱性と難燃効果を得ることができる。
【0122】
本発明の実施形態による光ファイバケーブルは、長期耐熱性と高い十分な機械的強度とを備えることができるため、自動車、船舶、鉄道等の高温環境下にさらされ得る移動媒体に特に好適に用いることができる。
【実施例】
【0123】
以下、本発明の好適な実施形態について実施例を挙げてさらに説明する。
【0124】
実施例について行った光ファイバケーブルの評価方法は次の通りである。
【0125】
[伝送損失]
25m−1mカットバック法により伝送損失(dB/km)を測定した。測定波長が550nm、入射光のNA(開口数)が0.1の光を用いた。
【0126】
[長期耐熱試験]
第1の長期耐熱試験(条件A)として、105℃10%RH以下の温度条件下で5000時間後の伝送損失を測定した。
【0127】
第2の長期耐熱試験(条件B)として、85℃85%RHの湿熱条件で3000時間後の伝送損失を測定した。
【0128】
[燃焼試験]
難燃性試験は、DIN72551−5に準拠して行った。なお、この試験では、電線用の難燃性測定法であるDIN72551−5を、光ファイバケーブルの難燃性を測定するために、次のように若干変更している。
【0129】
すなわち、電線を測定する場合には、燃焼時又は燃焼後の電線を斜め45°に維持することが必要とされている。しかし、光ファイバケーブルは電線と異なり、燃焼した場合に光ファイバケーブルを斜め45°に維持することが困難である。そのため、光ファイバケーブルを測定する場合には、光ファイバケーブルを燃焼時に斜め45°に維持するために、光ファイバケーブルの外周面上に螺旋状に一対の銅線を、互いが交差するように巻き付けた状態で難燃性を測定した。この際に使用した銅線は直径0.7mmφのものであり、螺旋周期は光ファイバケーブルの長手方向に20mm周期とした。この難燃性試験における合否の判定基準は、光ファイバケーブルにバーナーの炎を10秒間あてて着火した後、炎を試料から遠ざけ、30秒以内に炎が消えたものを合格とし、消えなかったものを不合格とした。そして、このような試験を、10本のサンプルに対して行った。10本のサンプルに対する合格回数を燃焼試験結果として表1に示す。
【0130】
[機械特性試験]
(1)加水分解試験
85℃95%の湿熱環境下で1000時間保持したケーブルを直径10mmの金属棒に隙間なく巻きつけ24時間後の被覆層の割れ、亀裂等の劣化の有無を目視で観察した。表中において、被覆層の表面に割れがなかったものを○、割れがあったものを×と記載した。
【0131】
(2)耐衝撃試験
JIS C6861に準拠した試験を実施した。試料を平たんな鋼板に設置し、1kgのおもりを所定の高さから落下させ、試料と鋼板に衝撃を与え、その際のおもりの位置エネルギーを測定した。これを繰り返し行い、初期値より1dB損失増加が生じた時点で試験を終了し、その際の位置エネルギーを試験結果(耐衝撃性)として示した。
【0132】
(実施例1)
光ファイバとして、以下の構成を有するPOFを使用した。
【0133】
コア:PMMA;
第1クラッド(コアの外周に位置する1層目のクラッド):2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート(3FM)/2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート(17FM)/メタクリル酸メチル/メタクリル酸=51/31/17/1(質量比))共重合体;
第2クラッド(第1クラッドの外周に位置する2層目のクラッド):ビニリデンフルオライド/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(屈折率1.374)。
【0134】
上記のPOFを次のようにして被覆して光ファイバケーブルを製造した、まず、クロスヘッド型被覆装置を用い、POFの外周部にポリアミド樹脂を被覆して、厚みが260μmの被覆内層を形成し、外径1.52mmのケーブルを得た。その際、このポリアミド樹脂としては、ポリアミド12(商品名:ダイアミド L1640、ダイセルエボニック社製)を用い、クロスヘッド型被覆装置のクロスヘッドダイの温度を220℃に設定した。
【0135】
次いで、得られたケーブルの外周部に被覆外層材料を、クロスヘッドケーブル被覆装置を用いて被覆し、厚み390μmの被覆外層を形成し、二層被覆構造を有する外径2.3mmの光ファイバケーブルを得た。
【0136】
ここで、被覆外層材料として、ポリアミド66とポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルとのアロイ樹脂(商品名:ノリルGTX951、サビックイノベーティブプラスチック社製)100質量部に、日産化学工業社製の窒素系難燃剤(商品名:メラミンシアヌレート MC6000)30質量部を配合したものを使用した。
【0137】
得られた光ファイバケーブルの燃焼性試験を行ったところ、10本中9本合格し、優れた難燃性を示し、また長期耐熱性試験を行ったところ、条件A及びBの何れにおいても伝送損失が低く、優れた長期耐熱性を示した(表1)。
【0138】
(実施例2)
被覆外層材料の樹脂を、ポリアミド6とポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルとのアロイ樹脂(商品名:ノリルGTX600、サビックイノベーティブプラスチック社製)に変更し、このアロイ樹脂100質量部に対して、難燃剤として日産化学工業社製の窒素系難燃剤(商品名:メラミンシアヌレート MC6000)を30質量部、酸化防止剤としてADEKA社のヒンダードフェノール系酸化防止剤(商品名:アデカスタブ AO−80)を1質量部、APIコーポレーション社の硫黄系酸化防止剤(商品名:ヨシトミDSTP)を3質量部添加したものを使用した以外は、実施例1と同様にして光ファイバケーブルを作製した。得られた光ファイバケーブルの試験結果を表1に示す。
【0139】
(実施例3〜7)
被覆外層材料について、樹脂、難燃剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤および硫黄系酸化防止剤、並びにそれらの混合比を表1に示す通りとした以外は、実施例1と同様にして光ファイバケーブルを作製した。得られた光ファイバケーブルの試験結果を表1に示す。
【0140】
(実施例8
、参考例9、実施例10〜12)
被覆外層材料について、樹脂、難燃剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤および顔料、並びにそれらの混合比を表2に示す通りとした以外は、実施例1と同様にして光ファイバケーブルを作製した。得られた光ファイバケーブルの試験結果を表2に示す。
【0141】
(比較例1)
被覆外層材料として、樹脂をポリアミド6(商品名:ユニチカナイロン6 A1020BRL、ユニチカ社製)に変更し、この樹脂100質量部に対して、難燃剤として日産化学工業社製の窒素系難燃剤(商品名:メラミンシアヌレート MC6000)30質量部、酸化防止剤としてADEKA社のフェノール系酸化防止剤(商品名:アデカスタブ AO−80)を3質量部添加したものを使用した以外は、実施例1と同様にして光ファイバケーブルを作製した。得られた光ファイバケーブルの試験結果を表1に示す。
【0142】
(比較例2〜5)
被覆内層材料の樹脂、被覆外層材料の樹脂、難燃剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤および硫黄系酸化防止剤、並びにそれらの混合比を表1に示す通りとした以外は、実施例1と同様にして光ファイバケーブルを作製した。得られた光ファイバケーブルの試験結果について表1に示す。
【0143】
(比較例6、7)
被覆内層材料の樹脂、被覆外層材料の樹脂、難燃剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤および顔料、並びにそれらの混合比を表2に示す通りとした以外は、実施例1と同様にして光ファイバケーブルを作製した。得られた光ファイバケーブルの試験結果について表2に示す。
【0144】
【表1】
【0145】
【表2】
【0146】
表1及び2中の略語について以下に示す。
(A−1):ポリアミド12樹脂(商品名:ダイアミド L1640、ダイセル・エボニック(株)製)
(A−2):ポリアミド6樹脂(商品名「UBEナイロン 1011B」、宇部興産(株)製)
(A−3):ポリアミド66樹脂(商品名:マラニールナイロン66 A226、ユニチカ(株)製)
(A−4):ポリアミド66樹脂(商品名「レオナ1300S」、旭化成ケミカルズ(株)製)
(A−5):ポリアミド12エラストマー樹脂(商品名:グリルアミドXE3833、EMS社製)
(BC−1):ポリアミド66樹脂とPPE樹脂(ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル)とのアロイ樹脂(商品名:ノリルGTX951、サビックイノベーティブプラスチック社製)、アロイ樹脂中のポリアミド66樹脂とPPE樹脂の合計の含有量は70質量%以上
(BC−2):ポリアミド66樹脂とPPE樹脂(ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル)とのアロイ樹脂(商品名:ノリルGTX9400W、サビックイノベーティブプラスチック社製)、アロイ樹脂中のポリアミド66樹脂とPPE樹脂の合計の含有量は70質量%以上
(BC−3):ポリアミド6樹脂とPPE樹脂(ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル)とのアロイ樹脂(商品名:ノリルGTX600、サビックイノベーティブプラスチック社製)、アロイ樹脂中のポリアミド6樹脂とPPE樹脂の合計の含有量は70質量%以上
(C1−1):ポリアミドMXD6樹脂(商品名:ナイロンMXD6 S6001、三菱ガス化学(株)製)
(C1−2):ポリアミド9T樹脂(商品名:ジェネスタ N1000A、(株)クラレ製)
(C1−3):(C1−1)と(A−4)とのアロイ樹脂((C1−1):(A−4)=70:30(質量比))
(C1−4):(C1−1)と(A−4)とのアロイ樹脂((C1−1):(A−4)=60:40(質量比))
(C1−5):(C1−1)と(A−2)とのアロイ樹脂((C1−1):(A−2)=70:30(質量比))
(C1−6):(C1−2)と(A−3)とのアロイ樹脂((C1−2):(A−3)=70:30(質量比))
(D−1):メラミンシアヌレート(商品名:メラミンシアヌレート MC6000、日産化学工業(株)製)
(D−2):臭素化ポリスチレン(商品名:HP−3010、アルベマール日本(株)製、臭素原子の含有率68.5質量%)
(E−1):ヒンダードフェノール系酸化防止剤(商品名:アデカスタブ AO−80、(株)ADEKA製)
(E−2):ヒンダードフェノール系酸化防止剤(商品名:IRGANOX1010、BASF社製)
(E−3):ヒンダードフェノール系酸化防止剤(商品名:IRGANOX1098、BASF社製)
(E−4):硫黄系酸化防止剤(商品名:ヨシトミDSTP、(株)エーピーアイコーポレーション製)
(F−1):群青色顔料(商品名:強化群青 AP−205、第一化成工業(株)製)
条件A:温度105℃、相対湿度10%以下で5000時間暴露
条件B:温度85℃、相対湿度85%で3000時間暴露。
【0147】
表1に示すように、被覆内層の樹脂としてPA樹脂を用い、被覆外層の樹脂としてPA樹脂とPPE樹脂とのアロイ樹脂を用いた実施例1〜7の光ファイバケーブルは長期耐熱性に優れ、また難燃性も優れ、さらに、十分な耐衝撃性と耐加水分解性を示した。
【0148】
一方、表1に示すように、光ファイバケーブルの被覆材料にPA樹脂とPPE樹脂とのアロイ樹脂を用いなかった比較例1〜4の光ファイバケーブルは、長期耐熱性(条件A)が劣っていた。また、比較例1及び2の光ファイバケーブルは、加水分解試験において被覆層が劣化して割れ、亀裂が見らた。また、被覆内層および被覆外層の両方にアロイ樹脂を用いた比較例5の光ファイバケーブルは、長期耐熱性(条件A、B)が劣っていた。また、比較例1〜3は難燃性も劣っていた。
【0149】
表2に示すように、被覆内層の樹脂としてPA樹脂を用い、被覆外層の樹脂として半芳香族ポリアミド樹脂(または半芳香族ポリアミド樹脂とポリアミド樹脂とのアロイ樹脂)を用いた実施例8〜12の光ファイバケーブルは長期耐熱性に優れ、難燃性も優れていた。
【0150】
一方、表2に示すように、光ファイバケーブルの被覆材料に半芳香族ポリアミド樹脂を用いなかった比較例6、7の光ファイバケーブルは長期耐熱性(条件A)が劣っていた。