(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6429170
(24)【登録日】2018年11月9日
(45)【発行日】2018年11月28日
(54)【発明の名称】堆積チャンバ向けの冷却式の反射性のアダプタプレート
(51)【国際特許分類】
C23C 14/34 20060101AFI20181119BHJP
【FI】
C23C14/34 T
C23C14/34 K
【請求項の数】15
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-508977(P2015-508977)
(86)(22)【出願日】2013年3月21日
(65)【公表番号】特表2015-515550(P2015-515550A)
(43)【公表日】2015年5月28日
(86)【国際出願番号】US2013033353
(87)【国際公開番号】WO2013162797
(87)【国際公開日】20131031
【審査請求日】2016年3月18日
(31)【優先権主張番号】61/638,381
(32)【優先日】2012年4月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/719,019
(32)【優先日】2012年10月26日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/789,263
(32)【優先日】2013年3月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ゴール アシシュ
(72)【発明者】
【氏名】スブラマニ アナンサ
(72)【発明者】
【氏名】エバート モーリス イー
【審査官】
有田 恭子
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−012551(JP,A)
【文献】
米国特許第06780294(US,B1)
【文献】
特開2010−166033(JP,A)
【文献】
特開2008−227001(JP,A)
【文献】
特開平09−167742(JP,A)
【文献】
特開平08−315965(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0032741(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0217848(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0121143(US,A1)
【文献】
特開昭62−270765(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00−14/58
C23C 16/00−16/56
H01L 21/26,21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央の長手方向軸に沿って配置される本体を備える堆積チャンバ向けのアダプタプレートであって、
前記アダプタプレートは、更に、
前記長手方向軸に沿って中央に位置する取付け板と、
前記本体の前記長手方向軸に沿って前記取付け板の第1の取付け表面から延び、前記取付け板の外面から径方向内向きに配置された第1の環状部分であって、前記長手方向軸に平行な方向に形成された複数の貫通孔を含む前記第1の環状部分と、
前記長手方向軸に沿って前記取付け板の反対側の第2の取付け表面から延び、前記取付け板の前記外面から径方向内向きに配置された第2の環状部分であって、前記本体の前記長手方向軸に向かって集束する内部表面を有する第2の環状部分と、
前記第1の環状部分の内部上に配置され、6Ra以下の平均表面粗さを有する鏡面仕上げ面と、
前記鏡面仕上げ面に形成された複数のスロットであって、各々が前記長手方向軸と整列した長さを有する複数のスロットと
を備える堆積チャンバ向けのアダプタプレート。
【請求項2】
前記鏡面仕上げ面が、放射エネルギーについて70パーセント〜90パーセントの反射率を含む、請求項1に記載のアダプタプレート。
【請求項3】
前記鏡面仕上げ面が曲面である、請求項2に記載のアダプタプレート。
【請求項4】
前記鏡面仕上げ面が72パーセントの反射率である、請求項2に記載のアダプタプレート。
【請求項5】
前記本体が、
第1の平面内に配置された第1の側および前記第1の側の反対側の第2の側と、
前記第1の表面に結合され、前記第1の平面に実質上直交する第2の平面内に配置された第1の側壁とを備える、請求項1に記載のアダプタプレート。
【請求項6】
前記本体が、
前記第2の表面に結合され、前記第2の平面内に配置された第2の側壁と、
前記第1の側壁と前記第2の側壁との中間に結合された外方へ延びるフランジとをさらに備える、請求項5に記載のアダプタプレート。
【請求項7】
前記本体が、前記本体内に形成された熱制御チャネルを含む、請求項1に記載のアダプタプレート。
【請求項8】
前記熱制御チャネルが、前記第1の環状部分および前記第2の環状部分の一方または両方に実質上外接する、請求項7に記載のアダプタプレート。
【請求項9】
第1の平面内に配置された第1の側および前記第1の側の反対側の第2の側を有する本体と、
前記第1の側に結合され、前記第1の平面に実質上直交する第2の平面内に配置された第1の側壁であって、前記本体の長手方向軸に対して径方向に開口部が形成された複数の凹部を有し、前記凹部の1つが前記凹部の別の1つから180度間隔があけられており、複数の貫通孔が前記長手方向軸に平行な方向に前記第1の側壁を通って形成される、前記第1の側壁と、
前記第2の側に結合され、前記第2の平面に平行に配置された第2の側壁と、
前記第1の側壁と前記第2の側壁との中間に結合され、前記第1の側壁と前記第2の側壁の両方の径方向外向きに延びるフランジと
を備え、前記第1の側壁は、複数のスロットが形成された鏡面仕上げ面を備えている、堆積チャンバ向けのアダプタプレート。
【請求項10】
前記第2の側が、前記第1の平面に対して平行である、請求項9に記載のアダプタプレート。
【請求項11】
前記第1の側壁が第1の環状部分を含み、前記第2の側壁が第2の環状部分を含む、請求項10に記載のアダプタプレート。
【請求項12】
前記第1の環状部分および前記第2の環状部分が内部棚部分を構成する、請求項11に記載のアダプタプレート。
【請求項13】
前記第2の環状部分が、前記第2の側壁の反対側の収束部分を構成する、請求項11に記載のアダプタプレート。
【請求項14】
前記本体が、少なくとも部分的に前記外方へ延びるフランジ内に形成された熱制御チャネルを備える、請求項11に記載のアダプタプレート。
【請求項15】
第1の平面内に配置された第1の側に配置された第1の環状部分および前記第1の平面に平行で前記第1の側の反対側の第2の側に配置された第2の環状部分を備える本体と、
前記第1の側に結合され、前記第1の平面に実質上直交する第2の平面内に配置された第1の側壁であって、複数の貫通孔が前記本体の長手方向軸に平行な方向に前記第1の側壁を通って形成される、前記第1の側壁と、
前記第2の側に結合され、前記第2の平面に平行に配置された第2の側壁と、
前記第1の側壁と前記第2の側壁との中間に結合され、前記第1の側壁及び前記第2の側壁の両方の径方向外向きに延びるフランジとを備え、前記フランジ内に、熱制御チャネルの少なくとも一部分が形成され、
前記第2の環状部分は、前記第2の側の側面に対して鈍角に配置される集束面を備え、前記第1の環状部分は、鏡面仕上げ面を有しており、前記本体の長手方向軸に対して径方向に前記第1の環状部分を介して開口部が形成された凹部を含んでいる、
堆積チャンバ向けのアダプタプレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する実施形態は、半導体処理に関する。より詳細には、本明細書に開示する実施形態は、半導体基板の材料および熱処理のための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
材料プロセスおよび熱プロセスは、基板上に電子デバイスを製造するための半導体の製造で一般的である。電子デバイスの製造プロセスでは、半導体基板は、堆積、注入、またはエッチングを含む材料プロセスにかけられることが多く、この材料プロセスの前、途中、または後に、熱プロセスを実行することができる。いくつかの熱プロセスでは、基板は、材料プロセス後、ランプなどの放射源を利用して加熱され、放射源は、基板へ放射エネルギーを誘導して、基板をアニールし、かつ/または基板上で急速熱プロセス(RTP)を実行する。しかし、熱プロセスは、典型的には、別個のチャンバ内で実行され、これには基板を別のチャンバへ移送する必要がある。材料プロセス中に基板を加熱することもできる。しかし、基板内に収容される熱エネルギーの多くは、ロボットブレードなどのチャンバ構成要素および移送デバイスに失われることがあり、それによってデバイス製造プロセスの効率が低減され、プロセス時間が増大する。機械を利用する場合、機械が基板を処理するために動作している時間は、作製される各チップのコストを低減させる上で重要な要因である。したがって、より効率的な半導体デバイス製造プロセスおよび装置が引き続き必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
基板上に材料を堆積させることが可能なプロセスチャンバを利用して基板を処理する方法および装置が開示される。このチャンバはまた、堆積の前、途中、または後に基板を加熱するために利用する。チャンバはまた、アダプタプレートを含み、アダプタプレートは、ランプ取付け機構と、基板の表面上へ放射エネルギーを集束させる反射面とを含む。
一実施形態では、堆積チャンバ向けのアダプタプレートが提供される。アダプタプレートは、本体と、本体上の中央に位置する取付け板と、取付け板の第1の表面から長手方向に延び、取付け板の外面から径方向内向きに配置された第1の環状部分と、取付け板の反対側の第2の表面から長手方向に延び、取付け板の外面から径方向内向きに配置された第2の環状部分と、第2の環状部分の内部上に配置され、6Ra以下の平均表面粗さを有する鏡面仕上げ面とを備える。
【0004】
別の実施形態では、堆積チャンバ向けのアダプタプレートが提供される。アダプタプレートは、第1の平面内に配置された第1の側および第1の側の反対側の第2の側を有する本体と、第1の表面に結合され、第1の平面に実質上直交する第2の平面内に配置された第1の側壁と、第2の表面に結合され、第2の平面内に配置された第2の側壁と、第1の側壁と第2の側壁との中間に結合された外方へ延びるフランジとを備える。
別の実施形態では、堆積チャンバ向けのアダプタプレートが提供される。アダプタプレートは、第1の平面内に配置された第1の側を有する第1の環状部分および第1の側の反対側で第1の平面内に配置された第2の側を有する第2の環状部分を備える本体と、第1の表面に結合され、第1の平面に実質上直交する第2の平面内に配置された第1の側壁と、第2の表面に結合され、第2の平面内に配置された第2の側壁と、第1の側壁と第2の側壁との中間に結合された外方へ延びるフランジとを備え、外方へ延びるフランジ内に、熱制御チャネルの少なくとも一部分が形成される。
本発明の上述の特徴を詳細に理解できるように、上記で簡単に要約した本発明のより具体的な説明は、実施形態を参照することによって得ることができる。これらの実施形態のいくつかを、添付の図面に示す。しかし、本発明は他の等しく有効な実施形態も許容しうるため、添付の図面は本発明の典型的な実施形態のみを示しており、したがって本発明の範囲を限定すると見なすべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】一実施形態による堆積チャンバの概略横断面図である。
【
図2A】
図1のアダプタプレートの等角上面図である。
【
図3】
図2Aのアダプタプレートの本体の部分横断面図である。
【
図4】
図2Cの線4−4に沿って切り取った
図2Aのアダプタプレートの側面横断面図である。
【
図5】
図2Cの線5−5に沿って切り取った
図2Aのアダプタプレートの側面横断面図である。
【
図6】
図2Cの線6−6に沿って切り取った
図2Aのアダプタプレートの側面横断面図である。
【
図7】
図1のアダプタプレートおよび遮蔽リングの一部分の拡大断面図である。
【
図8A】
図1の堆積チャンバ内で利用することができるアダプタプレートの別の実施形態の等角上面図である。
【
図9】アダプタプレートおよび隣接する構成要素内ならびにアダプタプレートと隣接する構成要素との間に形成された様々な伝導ゾーンを示すアダプタプレートの一部分の概略側面横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
理解を容易にするために、可能な場合、複数の図に共通の同一の要素を指すのに同一の参照番号を使用した。一実施形態で開示する要素は、具体的な記述がなくても、他の実施形態で有益に利用できることが企図されている。
【0007】
図1は、一実施形態による堆積チャンバ100の概略横断面図である。堆積チャンバ100は本体101を備え、本体101は、本体101を画定する下部側壁102、上部側壁103、およびリッド部分104を有し、それによって本体101の内部体積105を密閉する。下部側壁102と上部側壁103との間に、アダプタプレート106を配置することができる。アダプタプレート106の一部分は、本体101の外面107を含むことができる。堆積チャンバ100の内部体積105内に、ペデスタル108などの基板支持体が配置される。下部側壁102内に、内部体積105との間で基板を移送するための基板移送ポート109が形成される。
一実施形態では、堆積チャンバ100は、たとえばチタン、酸化アルミニウム、アルミニウム、銅、タンタル、窒化タンタル、タングステン、または窒化タングステンを基板上に堆積させることが可能なスパッタリングチャンバを構成し、物理的気相堆積(PVD)チャンバとしても知られている。適したPVDチャンバの例には、どちらもカリフォルニア州サンタクララのApplied Materials,Inc.から市販されているALPS(登録商標)PlusおよびSIP ENCORE(登録商標)というPVD処理チャンバが含まれる。他の製造業者から入手可能な処理チャンバが、本明細書に記載する実施形態を利用することもできることが企図される。
【0008】
堆積プロセスでは、ガス源110から内部体積105へプロセスガスを流すことができる。内部体積105の圧力は、内部体積105と連通しているポンピングデバイス112によって制御することができる。リッド部分104は、ターゲットなどのスパッタリング源114を支持することができる。スパッタリング源114は、スパッタリング源114に対する磁石および電力供給を備えるソースアセンブリ116に結合することができる。内部体積105内でスパッタリング源114とペデスタル108との間に、コリメータ118を位置決めすることができる。コリメータ118に近接してリッド部分104の内部に、遮蔽管120が位置することができる。コリメータ118は、内部体積105内でガスおよび/または材料のフラックスを誘導するための複数の開孔を含む。コリメータ118は、遮蔽管120に機械的および電気的に結合することができる。一実施形態では、コリメータ118は、溶接プロセスなどによって遮蔽管120に機械的に結合され、それによってコリメータ118が遮蔽管120に一体化される。別の実施形態では、コリメータ118は、チャンバ100内で電気的に浮遊した状態とすることができる。別の実施形態では、コリメータ118は、電源に結合することができ、かつ/または堆積チャンバ100のリッド部分104に電気的に結合することができる。
【0009】
遮蔽管120は、管状本体121を含むことができ、管状本体121の上面に凹部122が形成される。凹部122は、コリメータ118の下面と嵌合する接合面を提供する。遮蔽管120の管状本体121は肩部領域123を含むことができ、肩部領域123の内径は、管状本体121の残り部分の内径より小さい。一実施形態では、管状本体121の内面は、先細りした表面124に沿って肩部領域123の内面まで径方向内向きに遷移する。チャンバ内で遮蔽管120に隣接して、遮蔽管120とアダプタプレート106との中間に、遮蔽リング126を配置することができる。遮蔽リング126は、遮蔽管120の肩部領域123の反対側に形成された凹部128内に少なくとも部分的に配置することができる。一態様では、遮蔽リング126は、軸方向に突出することができる環状部分127を含む。環状部分127は、遮蔽管120の肩部領域123の外径より大きい内径を含む。環状部分127から、径方向のフランジ130が延びる。径方向のフランジ130は、遮蔽リング126の環状部分127の内径表面に対して約90度(90°)より大きい角度で形成することができる。径方向のフランジ130は、径方向のフランジ130の下面上に形成された突起132を含む。突起132は、遮蔽リング126の環状部分127の内径表面に対して実質上平行な向きで径方向のフランジ130の表面から延びる円形のリッジとすることができる。突起132は、概して、ペデスタル108上に配置されたエッジリング136内に形成された凹形のフランジ134に嵌合するように適合される。凹形のフランジ134は、エッジリング136内に形成された円形の溝とすることができる。エッジリング136は、リフロープロセスまたはシリサイド化プロセス中に堆積リングとして利用することができる。エッジリング136は、エネルギーを基板表面の方へ集束させる1つまたは複数の反射面を含むことができる。突起132と凹形のフランジ134の係合により、ペデスタル108の長手方向軸に対して遮蔽リング126が中央に位置合わせされる。基板138(リフトピン140上に支持された状態で示す)は、ペデスタル108とロボットブレード(図示せず)との間の連係した位置決め較正によって、ペデスタル108の長手方向軸に対して中央に位置合わせされる。このようにして、処理中に、基板138は、堆積チャンバ100内で中央に位置合わせすることができ、遮蔽リング126は、基板138の周りで径方向中央に位置合わせすることができる。
【0010】
動作の際には、基板138を有するロボットブレード(図示せず)が、基板移送ポート109を通って延ばされる。ペデスタル108を下げて、ペデスタル108から延びるリフトピン140へ基板138を移送することを可能にすることができる。ペデスタル108および/またはリフトピン140の上げ下げは、ペデスタル108に結合されたドライブ142によって制御することができる。基板138は、ペデスタル108の基板受取り面144上へ下ろすことができる。基板138がペデスタル108の基板受取り面144上に位置決めされた状態で、基板138上でスパッタ堆積を実行することができる。エッジリング136は、処理中に基板138から電気的に絶縁することができる。したがって、基板138がエッジリング136に接触しないように、基板受取り面144は、エッジリング136のうち基板138に隣接する部分の高さより大きい高さを含むことができる。スパッタ堆積中、基板138の温度は、ペデスタル108内に配置された熱制御チャネル146を利用することによって制御することができる。追加として、堆積中に基板138に隣接する堆積チャンバ100の構成要素は、最適化された体積ガス流量を提供するように構成される。構成要素とアダプタプレート106内に形成された貫通孔(
図2Aに貫通孔226として示す)との間の間隙は、摂氏約400度(℃)で約7.54〜約11.2の伝導値(すなわち、伝導比(たとえば、L/Dで表される流れ抵抗の逆数))を提供する複数の伝導ゾーンを形成する。
【0011】
スパッタ堆積後、基板138は、リフトピン140を利用して、ペデスタル108から隔置された位置へ上昇させることができる。上昇させた場所は、遮蔽リング126およびリフレクタリング148の一方または両方の近傍で、アダプタプレート106に隣接した場所とすることができる。アダプタプレート106は、リフレクタリング148の下面とアダプタプレート106の反射面152との中間に結合された1つまたは複数のランプ150を含む。反射面152は、曲面または凹面とすることができる。ランプ150は、赤外(IR)および/または紫外(UV)スペクトルなど、可視または近可視波長の放射エネルギーを提供する。ランプ150からの放射エネルギーは、基板138の裏側(すなわち、下面)の方へ集束され、基板138および基板138上に堆積した材料を加熱する。アダプタプレート106の反射面152およびエッジリング136の反射面など、基板138を取り囲むチャンバ構成要素上の反射面は、他のチャンバ構成要素から離れるように放射エネルギーを基板138の裏側の方へ集束させる働きをし、他のチャンバ構成要素では、エネルギーが失われるはずであり、かつ/または利用できなくなるはずである。アダプタプレート106を冷却剤源154に結合して、加熱中にアダプタプレート106の温度を制御することができる。
【0012】
基板138は、数秒以内で約300℃〜約400℃、たとえば約350℃の第1の温度まで加熱することができる。基板138を第1の温度まで加熱することで、リフロープロセスまたはシリサイド化プロセスを可能にすることができる。リフロープロセスは、基板138の凹部内の金属の張り出しを低減させるために利用される。シリサイド化プロセスは、金属とシリコンとの間の反応を起こすために利用することができる。
【0013】
本明細書に記載する加熱方法には、金属堆積プロセスに関して利点がある。基板表面上に金属が堆積しているとき、表面の反射率が増える。概して、金属化された表面上では、放射エネルギーの吸収が低減される。金属化された表面への照射は、金属化された表面の反対側の表面、たとえば基板の裏側の加熱ほど効果的ではない。金属化された表面を加熱するのではなく、シリコンのエネルギー吸収を改善することで、熱処理プロセスのエネルギー効率が改善される。
【0014】
基板を第1の温度まで加熱した後、基板138は、ペデスタル108の基板受取り面144上の位置まで下ろされる。基板138は、ペデスタル108内の熱制御チャネル146を利用して伝導を介して、急速に冷却することができる。基板の温度は、数秒から1分のうちに、第1の温度から第2の温度まで低下させることができる。第2の温度は、ほぼ室温、たとえば約23℃〜約30℃、たとえば約25℃とすることができる。基板138は、さらなる処理のために、基板移送ポート109を通って堆積チャンバ100から取り出すことができる。
図2Aは、
図1のアダプタプレート106の等角上面図である。
図2Bは、
図2Aのアダプタプレート106の等角底面図である。
図2Cは、
図2Aのアダプタプレート106の底面図である。アダプタプレート106は、フランジ202を有する本体200を含み、フランジ202は、
図1のチャンバ100の外面107を構成することができる。フランジ202は、中央に配置されて第1の環状部分204および第2の環状部分206から径方向へ延びる取付け板とすることができる。第1の環状部分204および第2の環状部分206はそれぞれ、フランジ202の外面107から径方向内向きに配置することができる。フランジ202は、第1の表面207Aと反対側の第2の表面207Bとの間に形成された開口208を含むことができる。開口208は、本体200と堆積チャンバ100(
図1に示す)の結合を容易にするために、締め具(図示せず)として利用される。フランジ202はまた、フランジ202内に形成された熱制御チャネル210を含むことができる(
図2Bに破線で示す)。熱制御チャネル210は、熱制御チャネルの入り口212で冷却剤源154に結合される。熱制御チャネル210の出口214は、リザーバ216に結合することができ、リザーバ216は、熱交換器または排水設備とすることができる。本体200は、アルミニウムなどの金属材料から製造することができる。
【0015】
図2Bを参照すると、本体200は、少なくとも部分的に第1の環状部分204内に形成された1つまたは複数の径方向の凹部218を備えることができる。径方向の凹部218はそれぞれ、第1の環状部分204を通って形成された開口220を含むことができる。径方向の凹部218は、ランプ150への電力を保持および提供するランプ取付けデバイス219として利用される(どちらも
図2Aに破線で示す)。ランプ150はそれぞれ、U字状とすることができ、ランプ150の端部は、ランプ取付けデバイス219上に配置されたソケットに接合される。また、径方向の凹部218はそれぞれ、第1の環状部分204の内方へ延びる表面224内に形成された細長いチャネル222を含むことができる。細長いチャネル222は、径方向の凹部218内に配置されたランプ取付けデバイス219に電気ケーブルを取り付けるために利用される。本体200の外部から細長いチャネル222および径方向の凹部218へのケーブルに対するアクセスを提供するために、第1の環状部分204内に穿孔223を形成することができる。
【0016】
一態様では、径方向の凹部218はそれぞれ、半円形のランプの端部を支持するように、本体200の両側(たとえば、互いから約180度の位置)に配置される。細長いチャネル222は、第1の環状部分204の内方へ延びる表面224の半径に対して接線方向にある実質上線形の溝として形成することができる。第1の環状部分204はまた、第1の環状部分204の内方へ延びる表面224を通って形成された複数の貫通孔226を含むことができる。貫通孔226はそれぞれ、本体200の長手方向軸228に対して平行とすることができる中心線を含む。貫通孔226は、処理中に体積流量を最適化する(すなわち、ガス伝導を増大させる)ために利用される。貫通孔226はそれぞれ、約0.40インチ〜約0.54インチの直径を含むことができ、第1の環状部分204は、約30〜約70個の貫通孔226を含むことができる。処理中、リフレクタリング148と径方向のフランジ130との間の間隙内の流れと、貫通孔226を通る流れとを組み合わせて、摂氏約400度で約14.22の組み合わされた伝導値が提供される。
【0017】
本体200はまた、反射面152内に形成された複数のスロット230を含むことができる(
図2Aに示す)。スロット230は、ランプ150を支持する支持部材300(
図3に示す)に結合するように構成される。第1の環状部分204の内方へ延びる表面224はまた、複数の軸方向の凹部232を含むことができる。軸方向の凹部232は、締め器具305(
図3に示す)を受け取って支持部材300を固定するために利用される。スロット230はそれぞれ、互いから約40度〜約60度の間隔で隔置することができる。
【0018】
一実施形態では、反射面152は凹面であり、平滑な表面を含む。反射面152は、約8インチの半径で形成することができる。一態様では、反射面152は、約6以下の表面粗さ(平均表面粗さ(Ra))を有する。一実施形態では、反射面152は、約85度の入射角で約85パーセント(%)の反射率を含む。別の実施形態では、反射面152は、約20度の入射角で約72%の反射率を含む。別の実施形態では、反射面152は、約60度の入射角で約72%の反射率を含む。
図3は、
図2Aのアダプタプレート106の本体200の部分横断面図である。支持部材300の横断面が示されており、支持部材300はスロット230内に配置される。支持部材300は、締め具315を受け取る貫通孔310を含む。締め具315は締め器具305に固定され、締め器具305は軸方向の凹部232内に受け取られる。支持部材300はまた、ランプ150の外径を受け取ってランプ150を少なくとも部分的に支持するスロット320を含む。本体200はまた、収束部分330に隣接している内部棚部分325を含む。内部棚部分325は、第1の内面335および第2の内面340を含む。第1の内面335は、第1の平面内に配置され、第2の内面340は、第1の内面335の平面に対して約30度〜約60度の平面内に配置される。貫通孔226の少なくとも一部分は、内部棚部分325の第1の内面335および第2の内面340のそれぞれの中に形成される。
【0019】
図4は、
図2Cの線4−4に沿って切り取った
図2Aのアダプタプレート106の側面横断面図である。アダプタプレート106の本体200は、第1の側400Aなどの下面と、第2の側400Bなどの上面とを含む。細長いチャネル222の一部分が、第1の側400A内に示されている。本体200は、細長いチャネル222からランプ取付けデバイス219(
図2Aに示す)まで電気ケーブルの経路指定を提供するように本体200内に形成された他の開口(図示せず)を含む。第1の側400Aと第2の側400Bは、概して平行である。第1の側400Aは、第1の側400Aの平面に対して実質上垂直な第1の側壁405などの下部側壁面へ遷移する。第1の側壁405は、外方へ延びるフランジ410へ遷移する。外方へ延びるフランジ410は、第1の取付け面415などの下面と、外部側壁面420と、第2の取付け面425などの上面とを含む。第1の取付け面415は、第1の取付け面415の平面に対して実質上垂直な角度で外部側壁面420に結合される。外部側壁面420は、外部側壁面420の平面に対して実質上垂直な角度で第2の取付け面425に結合される。したがって、第1の取付け面415と第2の取付け面425は実質上平行である。同様に、第1の取付け面415および第2の取付け面425は、第1の側400Aおよび/または第2の側400Bの平面と実質上平行である。第2の取付け面425は、第2の取付け面425の平面に対して実質上垂直な角度で第2の側壁430などの上部側壁面へ遷移する。したがって、第1の側壁405は、第2の側壁430に対して実質上平行である。
【0020】
図5は、
図2Cの線5−5に沿って切り取った
図2Aのアダプタプレート106の側面横断面図である。
図3に示すように、アダプタプレート106の本体200は内部棚部分325を含み、少なくとも部分的に内部棚部分325内に貫通孔が形成される。内部棚部分325は第1の内面335を含み、第1の内面335は、本体200の第1の側400Aおよび/または第2の側400Bの平面に対して実質上垂直とすることができる。第1の内面335は、平坦面500を含む収束部分330へ遷移する。一実施形態では、平坦面500は、第2の側400Bの平面に対して鈍角αで配置される。角度αは、約100度〜約120度とすることができる。別の実施形態では、第1の内面335は、凹面の交差部505によって、収束部分330へ遷移することができ、凹面の交差部505は、半径約1インチとすることができる。
【0021】
図6は、
図2Cの線6−6に沿って切り取った
図2Aのアダプタプレート106の側面横断面図である。この図では、本体200を通って細長いチャネル222が示されている。また、本体200を通って形成された貫通孔226の1つが示されている。また、熱制御チャネル210上に配置されたキャッププレート600が示されている。キャッププレート600は、アルミニウムから形成することができ、溶接によって本体200に固定することができる。
図7は、アダプタプレート106、リフレクタリング148、および遮蔽リング126の一部分の拡大断面図である。一実施形態では、リフレクタリング148は、反射面152およびランプ150に隣接して、アダプタプレート106の表面上に載置される。一態様では、アダプタプレート106の内面705とリフレクタリング148の外面710との間に間隙700が提供される。内面705は、外面710の直径よりわずかに小さい寸法(たとえば、直径)を含むことができ、したがって間隙700は、リフレクタリング148の周辺部の周りで連続している。処理中、リフレクタリング148は、ランプ150からのエネルギーから加熱することができ、それによってリフレクタリング148を膨張させることができる。間隙700により、間隙700がなくなるまで、自由な膨張が可能になる。さらに追加の熱が加えられると、リフレクタリング148とアダプタプレート106の表面との間で接触抵抗が低減し、それによってリフレクタリング148から離れる方へ熱が伝達される。一態様では、間隙700は、処理中にリフレクタリング148の最大温度を摂氏約100度以下に制限する自己制限機構である。
【0022】
図8Aは、
図1の堆積チャンバ100内で利用することができるアダプタプレート800の別の実施形態の等角上面図である。
図8Bは、
図8Aのアダプタプレート800の等角底面図である。アダプタプレート800は、
図2A〜7に示すアダプタプレート106に類似しているがいくつかの例外があり、アダプタプレート800およびアダプタプレート106に共通の参照番号の一部は、話を簡単にするために説明しないこととする。
【0023】
この実施形態では、アダプタプレート800は、支持部材300内に配置された反射面152およびランプ150(破線で示す)を含む。アダプタプレート800はまた、反射面152と内部棚部分325との間に配置された階段状の内部部分802を含む。追加として、貫通孔226は、完全に内部棚部分325内に形成される。この実施形態では、貫通孔226の第1の開口803Aは、
図2A〜7に示すアダプタプレート106に関して記載した部分的な長円形の形状ではなく、円形の形状を含む。
【0024】
階段状の内部部分802は、反射面152と第1の内壁810との間に配置された第1の肩部部分805を含む。第1の肩部部分805は、反射面152から径方向外向きに延び、実質上垂直の角度(たとえば、85度〜95度)で第1の内壁810に接合される。第1の内壁810の径方向の寸法よりわずかに大きい径方向の寸法(たとえば、長手方向軸228からの距離)を有する第2の内壁815は、実質上垂直の角度で内部棚部分325に接合される。第1の内壁810と第2の内壁815との間に、面取り部820を配置することができる。
図8Bは、
図8Aのアダプタプレート800の等角底面図である。第1の環状部分204の内方へ延びる表面224上に、貫通孔226の第2の開口803Bが示されている。また、第1の環状部分204の内方へ延びる表面224内に形成された2つの細長いチャネル222が示されている。細長いチャネル222はそれぞれ穿孔223を含み、穿孔223内に電気コネクタ825を配置することができる。電気コネクタ825は、キャップ835およびプラグ840を有する導管830を含む。導管830は、ランプ取付けデバイス219(
図2Aに示す)およびランプ150(
図8Aに示す)に対する電力接続を提供するワイアおよび電気コネクタを収納する。電気コネクタ825は、保持器845によって第1の環状部分204内に固定される。
【0025】
図9は、
図2A〜7のアダプタプレート106または
図8Aおよび
図8Bのアダプタプレート800の実施形態によるアダプタプレート900の一部分の概略側面横断面図であり、アダプタプレート900および隣接する構成要素内ならびにアダプタプレート900と隣接する構成要素との間に形成された様々な伝導ゾーン905A〜905Eを示す。遮蔽リング126の環状部分127の周囲と遮蔽管120の肩部領域123の周囲面との間に、第1の伝導ゾーン905Aが形成される。アダプタプレート900の本体200の収束部分330の表面と遮蔽リング126の環状部分127の周辺部の外面との間の空間内に、第2の伝導ゾーン905Bが形成される。貫通孔226(1つのみを示す)内に、第3の伝導ゾーン905Cが形成される。アダプタプレート106の本体200の第2の内面340と遮蔽リング126の外周面との間に、第4の伝導ゾーン905Dが形成される。リフレクタリング148の内周面とペデスタル108の本体の外面との間に、第5の伝導ゾーン905Eが形成される。伝導ゾーン905A、905B、905D、905Eを形成する隣接する構成要素の表面間の間隔、ならびにこれらの構成要素の寸法(貫通孔226の直径など)は、所望の伝導をもたらすように提供することができ、それによって処理中の圧力を最適化する。
【0026】
堆積チャンバ100の試験が実行され、スパッタリング源114と基板138(どちらも
図1に示す)との間の距離ならびに遮蔽リング126の近似温度などの様々なプロセス条件で、ゾーン905A〜905Eのそれぞれの抵抗値からゾーン905A〜905Eに対する総伝導値が計算された。試験の結果を表にする際、伝導ゾーン905Dおよび905Eは伝導ゾーン905Cと同時に考慮され、連続して伝導ゾーン905A、905Bに加えられる。
【0027】
図2A〜7のアダプタプレート106の例示的な伝導値は、次のとおりである。遮蔽リング126の近似温度が摂氏約400度であり、スパッタリング源114と基板138との間の間隔が約393mmである状態で実行された1つの試験結果では、約1.56の総伝導力が得られた。遮蔽リング126の近似温度が摂氏約25度であり、スパッタリング源114と基板138との間の間隔が約393mmである状態で実行された別の試験結果では、約2.96の総伝導力が得られた。遮蔽リング126の近似温度が摂氏約400度であり、スパッタリング源114と基板138との間の間隔が約405mmである状態で実行された別の試験結果では、約2.073の総伝導力が得られた。
【0028】
図8Aおよび
図8Bのアダプタプレート800の例示的な伝導値は、次のとおりである。遮蔽リング126の近似温度が摂氏約400度であり、スパッタリング源114と基板138との間の間隔が約393mmである状態で実行された1つの試験結果では、約7.534の総伝導力が得られた。遮蔽リング126の近似温度が摂氏約25度であり、スパッタリング源114と基板138との間の間隔が約393mmである状態で実行された別の試験結果では、約6.678の総伝導力が得られた。遮蔽リング126の近似温度が摂氏約400度であり、スパッタリング源114と基板138との間の間隔が約405mmである状態で実行された別の試験結果では、約11.136の総伝導力が得られた。
【0029】
上記は本発明の実施形態を対象とするが、本発明の基本的な範囲から逸脱することなく、本発明の他のさらなる実施形態を考案することもできる。