(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来より、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウム等は旨味成分として知られており、旨味調味料等に配合されている。近年、食品の味を構成する要素のうち旨味が重要視され、旨味の増強された調味料などの飲食品の需要は高まっており、少量で旨味増強効果の高い液体調味料の開発が望まれている。
【0003】
調味料の旨味を増強する方法としては、酵母エキス、蛋白加水分解物、魚介エキス、畜肉エキス等を調味料に添加する方法が知られているが、いずれも添加量が多く、元の調味料の風味が変化してしまうため、使用量に制限が生じ、十分に旨味を付与することができないという問題点を有している。
【0004】
メチオナール(3−メチルチオ−プロピオンアルデヒド又は3−メチルチオプロパナールとも称される)は、じゃがいも様の香りを奏することが知られており、じゃがいも以外にもトマト、醤油、味噌、チーズ、コーヒー等多様な食品中に存在している。メチオナールは、特定の濃度でグルタミン酸が呈する旨味を増強することや(例えば、特許文献1参照)、食塩が呈する塩味を増強することも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
しかし、既知のメチオナールの風味増強作用は、旨味成分の旨味、塩味成分の塩味というような、共存するある風味成分に固有の風味の増強に限られており、ある風味成分が呈する風味とは無関係の風味についてどのような影響を及ぼすかについての報告はない。
【0006】
特定の低級脂肪酸エステルは、果実様の香りを呈することが広く知られており、実際に香料として使用されているものも存在する。しかしながら、メチオナールとの組み合わせにおいて、低級脂肪酸エステルが旨味の増強に寄与することは知られていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
風味増強に関してメチオナールには未だ知られていないことが多い。また、食品業界においては、上述したとおり、少量で旨味増強効果の高い調味料についての要求が尚も存在している。そこで、本発明は、少量で顕著な効果を奏する新規の旨味増強剤、当該旨味増強剤を含む調味料及びその製法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述のとおり、メチオナールは、じゃがいも様の香り、そして低級脂肪酸は果実様の香りを呈することが知られている。本発明者らは驚くべきことに、メチオナールと、酢酸エステルを除く特定の低級脂肪酸エステルとの組み合わせがグルタミン酸ナトリウムと同質の旨味を呈することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
即ち、本願は以下の発明を包含する。
[1]
メチオナールと、
以下の一般式(I):
R
1−COO−R
2 (I)
(式中、R
1は炭素数1〜10の炭化水素基であり、R
2は炭素数1〜5の炭化水素基であり、
ただし、R
1が炭素数1の炭化水素基である場合、R
2は炭素数1又は2の炭化水素基ではない)
で表される化合物又はその塩とを含む、旨味増強剤。
[2] R
1が炭素数2〜6の炭化水素基であり、R
2が炭素数1〜3の炭化水素基である、[1]に記載の旨味増強剤。
[3] 前記化合物が、エチル−2−メチルプロパノエート、エチル−4−メチルペンタノエート、エチル−2−メチルペンタノエート、エチル−3−メチルブタノエート及びエチル−2−メチルブタノエートから成る群から選択される1種又は2種以上の化合物である、[1]又は[2]に記載の旨味増強剤。
[4] さらに塩化ナトリウムを含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の旨味増強剤。
[5] [1]〜[4]のいずれかに記載の旨味増強剤を含む飲食品。
[6] 液体調味料である、[5]に記載の飲食品。
[7] 前記液体調味料が醤油様調味料である、[6]に記載の飲食品。
[8] [5]〜[7]のいずれかに記載の飲食品の製造方法であって、[1]〜[4]のいずれかに記載の旨味増強剤を配合する工程を含む、製造方法。
【発明の効果】
【0011】
メチオナールと一般式(I)で表される低級脂肪酸エステルはグルタミン酸ナトリウムと同質の旨味を呈する。よって、メチオナールと低級脂肪酸エステルとを含有する本発明の旨味増強剤は、旨味の増強が必要とされる飲食品、特に液体調味料に好適に配合され得る。ここで、WO2013/118741号公報には、メチオナールと低級脂肪酸としてのイソ吉草酸(上記式におけるR
1が炭素数4のイソプロピル基であり、R
2が水素である化合物に相当)の組み合わせが、1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンの存在下で醸造発酵食品若しくは魚介系エキスが本来持つ好ましい香気及び/又は風味を、異風味無く、飲食品に対して付与できる旨記載されている。しかしながら、本発明者らは、メチオナールとの組み合わせにおいてイソ吉草酸が本発明で使用する低級脂肪酸エステルと比較して旨味増強効果を奏さないことを確認している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(旨味増強剤)
本発明に係る旨味増強剤においては、メチオナール
及び以下の一般式(I)で表される低級脂肪酸エステル又はその塩が有効成分として含まれる。
R
1−COO−R
2 (I)
(式中、R
1は炭素数1〜10の炭化水素基であり、R
2は炭素数1〜5の炭化水素基であり、
ただし、R
1が炭素数1の炭化水素基である場合、R
2は炭素数1又は2の炭化水素基ではない)
【0013】
好ましい態様において、上記一般式中、R
1は炭素数2〜6の炭化水素基であり、R
2は炭素数1〜3の炭化水素基である。本明細書で使用する場合、「炭化水素基」とは置換又は未置換の一価の炭化水素基を意味する。炭化水素基は、鎖状構造のみで構成された一価のものが好ましい。
【0014】
限定することを意図するものではないが、炭素数1〜5の炭化水素基の例として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基等のアルキル基;エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基等のアルケニル基;エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等のアルキニル基が挙げられる。
【0015】
上記炭化水素基は、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アシル基、アシロキシ基等で置換されていてもよい。
【0016】
より好ましい態様において、上記一般式で表される化合物は、エチル−2−メチルプロパノエート、エチル−4−メチルペンタノエート、エチル−2−メチルペンタノエート、エチル−3−メチルブタノエート及びエチル−2−メチルブタノエートから成る群から選択される。
【0017】
本明細書で使用する場合、「旨味」とは、グルタミン酸ナトリウムと同質の旨味を意味する。
【0018】
本明細書における「旨味増強作用」とは、他の旨味成分不在下での旨味の生成、あるいは他の旨味成分との組み合わせでの旨味の相加的又は相乗的な増強を意味する。上記低級脂肪酸エステルのうち、メチオナールとエチル−2−メチルブタノエートとの組み合わせは、特に旨味増強作用が高いため、本発明の旨味増強剤の有効成分として好ましい。
【0019】
本発明の旨味増強剤は、有効成分として、メチオナールと1種類以上の低級脂肪酸エステルとの組み合わせを単独で、あるいは公知の他の旨味成分との組み合わせで含有することができる。低級脂肪酸エステルは、塩の形態で存在していてもよい。
他の旨味成分としては、アミノ酸、酵母エキス、核酸、有機酸、タンパク質加水分解物などが挙げられる。これらの中でも、醤油様調味料に醤油の旨味を持たせる目的では、特にアミノ酸であるグルタミン酸塩や酵母エキス、核酸が好ましい。これらの旨味成分は、単独又は複数組み合わせて添加することができる。
【0020】
旨味増強剤の形態は、特に制限されず、例えば、乾燥粉末、ペースト、溶液などの形態であってもよい。所望とする旨味を損なわない限り、必要に応じて調味料、香辛料、無機塩、酸、アミノ酸、核酸、糖類等の飲食品に使用可能な各種添加物を旨味増強効剤に添加することもできる。上述のとおり、有効成分として公知の他の旨味成分、例えば、グルタミン酸ナトリウムを旨味増強剤に配合してもよい。
【0021】
本発明に係る旨味増強剤の飲食品への配合量は適宜決定されるが、例えば、飲食品中、メチオナールが10〜50,000ppb、好ましくは20〜5,000ppb、より好ましくは30〜3,500ppb、低級脂肪酸エステルが10〜40,000ppb、好ましくは15〜25,000ppb、より好ましくは20〜20,000ppbの濃度となるよう添加される。
【0022】
メチオナール及び低級脂肪酸エステルは、市販のものを使用してもよく、あるいは公知の手法により合成又は生成してもよい。一例を挙げると、メチオナールは、合成品、抽出品、発酵品やその処理品、各種素材の加熱反応、酵母を用いたメチオニンの発酵を利用して生成するものを用いてもよい。また、必要により調味料にメチオニンや糖を加えて加熱したり、発酵条件を変更したりすることにより、飲食品中にメチオナールを添加することなく所望の濃度まで増加させることも可能である。
【0023】
(メチオナール及び低級脂肪酸エステルを含む飲食品)
本発明に係る旨味増強剤を含む飲食品においては、メチオナールが10〜50,000ppb、好ましくは20〜5,000ppb、より好ましくは30〜3,500ppb、低級脂肪酸エステルが10〜40,000ppb、好ましくは15〜25,000ppb、より好ましくは20〜20,000ppbの濃度で含まれる。しかしながら、これらの配合量は、旨味増強剤を添加する前の飲食品に起因する風味や、所望とする旨味増強作用の程度等を考慮して適宜変更される。
【0024】
本発明の旨味増強剤は旨味の増強が必要とされる各種飲食品に特に制限なく使用することができる。各種食品又は飲料、例えば、肉類、魚介類、野菜類、藻類、キノコ類、果実類、ナッツ類等あるいはそれらを利用した調理品、ご飯類、麺類、パン類、野菜、漬け物、天ぷら、ゆで卵、スナック、シリアル、炒め物、チーズ、肉製品、スープ類(カップスープ、即席めんのスープ等)、ルー等の加工食品、蒲鉾、ちくわ、さつま揚げ、ハム、ソーセージ等の水産・畜肉加工製品等、各種醤油、各種減塩醤油、各種つゆ、各種たれ、酵母エキス、畜肉エキス、魚介エキス、蛋白加水分解物等の調味料や、核酸(イノシン一リン酸やグアノシン一リン酸など)を含有する調味料に本発明の旨味増強剤を添加することにより、それらの飲食品に固有の旨味をより増強させるか、旨味が不十分な飲食品の旨味を補うことが可能である。
本発明の旨味増強剤は、限定しないが、醤油、ぽん酢、つゆ、たれ、ドレッシング等の液体調味料、特に醤油風味を呈する醤油様調味料において使用することが想定される。
【0025】
本発明の旨味増強剤は、飲食品に直接添加しなくても、揮発させることで飲食品に旨味を付与し、あるいは飲食品中に含まれている旨味を更に増強させることもできる。例えば、このような効果は、本発明の旨味増強剤を基材(例えば、シールやコットンなど)に含浸させ、これを飲食品用容器に貼り付け、当該基材から有効成分を揮発させることにより達成することができる。揮発させる方法は特に限定されず、基材中に塩化ナトリウムを含ませ、塩析効果により有効成分を揮発させたり、アロマディフィーザーなどを用いて物理的に有効成分を揮発させてもよい。
【0026】
本発明の旨味増強剤は、単独で旨味を呈するが、適宜他の旨味成分との組み合わせで飲食品に添加される。旨味成分としては、アミノ酸、酵母エキス、核酸、有機酸、タンパク質加水分解物などが挙げられる。これらの中でも、醤油様調味料に醤油の旨味を持たせる目的では、特にアミノ酸であるグルタミン酸塩や酵母エキス、核酸が好ましい。これらの旨味成分は、単独又は複数組み合わせて添加することができる。
【0027】
(旨味増強剤含有飲食品の製造方法)
本発明に係る旨味増強剤を含有する飲食品の製造方法においては、任意のタイミングでメチオナール及び低級脂肪酸エステルが配合される。
【0028】
旨味増強剤の飲食品への配合量は適宜決定されるが、例えば、飲食品中メチオナールが10〜50,000ppb、好ましくは20〜5,000ppb、より好ましくは30〜3,500ppb、低級脂肪酸エステルが10〜40,000ppb、好ましくは15〜25,000ppb、より好ましくは20〜20,000ppbの濃度となるよう添加される。
【0029】
旨味増強剤は飲食品に直接添加されるのが好ましい。しかしながら、対象の飲食品が発酵品である場合、メチオナールの添加に代えて、発酵過程で所望の濃度まで有効成分を増大させてもよい。より具体的には、メチオニンや糖を加えて加熱したり、発酵条件を変更したりすることにより、飲食品中にメチオナールを添加することなく所望の濃度まで増加させることも可能である。
【0030】
以下、具体例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、これにより限定されるものではない。
【実施例1】
【0031】
本実験において官能評価は、特に断りのない限り十分に訓練された3名の専門パネラーを用いて実施した。また、特に断りのない限り、試薬には東京化成工業社製のものを用いた。
【0032】
(官能評価1)
・メチオナール及び低級脂肪酸エステルの香気による旨味増強効果の確認
サンプルは、メチオナール(シグマアルドリッチジャパン社製)343ppbの水溶液に低級脂肪酸及び低級脂肪酸エステルを添加し、調製した。更に、各サンプルには有効成分を塩析させるために、食塩16%(w/v)及びエタノール3%(v/v)を添加した。実施例1〜5及び比較例1〜2のサンプルの組成を表1に示す。
【0033】
官能評価では、黒い蓋つきのカップ280mlの内側にコットンを貼り付け、コットンにサンプル7mlを含ませた。カップに水120mlを入れ、サンプルで着香した蓋と着香していない蓋で蓋をしたカップ中の水を2つ一組としてパネラーにそれぞれ摂取させ、旨味が強いサンプルを選択させた。なお、旨味の強さに差がない場合には、差がないと答えさせた。また、パネラーが香り刺激の匂いを感知できるよう、蓋には1mm大の穴を5つ開けた。
【0034】
2つのサンプルの旨味の強さを比較し、着香したサンプルの方が強いと答えたパネラーが3人の場合◎、2人(もう一人のパネルは差がないと答える)の場合○、その他の場合はいずれも×として、結果を表1に示した。
【表1】
【0035】
官能評価の結果、食塩とエタノールとメチオナールにエチル−2−メチルプロパノエートあるいはエチル−4−メチルペンタノエート、エチル−2−メチルペンタノエート、エチル−3−メチルブタノエート、エチル−2−メチルブタノエートを添加したサンプル2〜6が旨味を感じさせることが確認された。
【0036】
その一方で、イソ吉草酸と酢酸エチルはメチオナールと組み合わせても旨味を呈さないことが確認された。
【0037】
また、2名のパネラーが、エチル−2−メチルブタノエートの旨味増強が最も強く、舌上で持続する旨味が最も強いとコメントし、低級脂肪酸エステルの中でも特にエチル−2−メチルブタノエートの効果が最も強いことが確認された。
【0038】
(官能評価2)
・メチオナール及び低級脂肪酸エステルの風味による旨味増強効果の確認
食塩1.6%(w/v)、エタノール0.3%(v/v)の水溶液と、食塩1.6%(w/v)、エタノール0.3%(v/v)の水溶液にメチオナールが343ppb、エチル−2−メチルプロパノエートが20ppbになるように添加した水溶液を調製した。
【0039】
2つの水溶液の旨味強度を官能評価により比較した結果、3人のパネラーすべてが、メチオナール及びエチル−2−メチルプロパノエートを添加した水溶液の方が旨味強度が強いと答えた。よって、メチオナール及びエチル−2−メチルプロパノエートは風味としても旨味を増強することを確認した。
【0040】
(官能評価3)
・メチオナールの最適添加濃度の確認
サンプルは、エチル−2−メチルプロパノエート 20ppbの水溶液にメチオナールを3.43〜34,300ppbになるように調製した。更に、各サンプルには有効成分を塩析させるために、食塩16%(w/v)及びエタノール3%(v/v)を添加した。実施例6〜9及び比較例3のサンプルの組成を表2に示す。
【0041】
官能評価では、官能評価1の手順と同様、黒い蓋つきのカップ280mlの内側にコットンを貼り付け、コットンにサンプル7mlを含ませた。カップに水120mlを入れ、サンプルで着香した蓋と着香していない蓋で蓋をしたカップ中の水を2つ一組としてパネラーにそれぞれ摂取させ、旨味が強いサンプルを選択させた。
【0042】
なお、旨味の強さに差がない場合には、差がないと答えさせた。また、パネラーが香り刺激の匂いを感知できるよう、蓋には1mm大の穴を5つ開けた。
【0043】
2つのサンプルの旨味の強さを比較し、着香したサンプルの方が強いと答えたパネラーが3人の場合◎、2人(もう一人のパネルは差がないと答える)の場合○、その他の場合はいずれも×として結果を示した。
【表2】
【0044】
官能評価の結果、メチオナールの濃度が34.3ppb以上でこれら混合香気が旨味を呈することが確認された。
【0045】
また、パネラーはメチオナールの濃度が3,430ppb及び34,300ppbで特に旨味が強いと評価したが、3,430ppbの方がより好ましい旨味増強効果が得られると答えた。これらの結果から、メチオナールの添加濃度は10〜50,000ppbで旨味が増強されることが判明した。
【0046】
(官能評価4)
・低級脂肪酸エステルの最適添加濃度の確認
サンプルは、メチオナールを343ppbの水溶液にエチル−2−メチルプロパノエートを2〜200,000ppbになるように調製した。更に、各サンプルには有効成分を塩析させるために、食塩16%(w/v)及びエタノール3%(v/v)を添加した。実施例10〜13及び比較例4〜5のサンプルの組成を表3に示す。
【0047】
官能評価では、官能評価1及び3の手順と同様、黒い蓋つきのカップ280mlの内側にコットンを貼り付け、コットンにサンプル7mlを含ませた。カップに水120mlを入れ、サンプルで着香した蓋と着香していない蓋で蓋をしたサンプルを2つ一組としてパネラーに提示し、旨味が強いサンプルを選択させた。なお、旨味の強さに差がない場合には、差がないと答えさせた。また、パネラーが香り刺激の匂いを感知できるよう、蓋には1mm大の穴を5つ開けた。
【0048】
2つのサンプルの旨味の強さを比較し、着香したサンプルの方が強いと答えたパネラーが3人の場合◎、2人(もう一人のパネルは差がないと答える)の場合○、その他の場合はいずれも×として、結果を表4に示した。
【表3】
【0049】
官能評価の結果、エチル−2−メチルプロパノエートの濃度が20〜20,000ppbでこれら混合香気が旨味を呈することが確認された。また、パネラーは、エチル−2−メチルプロパノエートの濃度が200ppb及び2,000ppbで特に旨味が強いと評価した。
【0050】
これらの結果から、エチル−2−メチルプロパノエートの添加濃度は、10〜40,000ppbで旨味が増強されることが判明した。