(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記凹部は、底部と、該底部から前記凸部に向かって延在する側壁部とを有し、前記凹部領域は、前記側壁部の前記第2面から前記第1面まで前記厚さ方向に延在する側壁部領域において前記コットンの繊維塊を含む、請求項1に記載の不織布。
前記凸部が第1の方向に延びる畝部であり、前記凹部が前記第1の方向と直交する第2の方向において前記畝部と隣接し且つ前記第1の方向に延びる溝部であり、前記コットンの繊維塊は、前記第1繊維層において、前記凸部領域から前記凹部領域に跨って存在する、請求項2に記載の不織布。
前記凸部領域から前記凹部領域に跨って存在する前記コットンの繊維塊は、前記凸部領域に存在する部分の第2の方向の長さが前記凹部領域に存在する部分の第2の方向の長さよりも長い、請求項3に記載の不織布。
前記コットンの繊維塊は、コットンの繊維が凝集した塊部と、前記塊部から第1面側に向かって面方向に広がりながら延びる複数のコットンの繊維からなる拡散繊維部とを有する、請求項2〜7のいずれか一項に記載の不織布。
前記第2繊維層に含まれる前記熱可塑性樹脂繊維は、繊度が前記第1繊維層に含まれる前記熱可塑性樹脂繊維及び前記コットンの各々の繊度よりも大きい、請求項1〜8のいずれか一項に記載の不織布。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この特許文献1に開示された表面層のような不織布、すなわちコットンが面方向に分散した不織布に対して、良好な肌触り等を得ることを目的として、複数の凸部及び凹部からなる凹凸構造を形成すると、相対的に厚みの薄くなる凹部においては、不織布の内部から外部までの間の距離が短いため、不織布の内部に分散するコットンが摩擦や振動等の物理的負荷によって不織布の外部へ抜け落ち易く、また、不織布の内部に分散するコットンが着用者から排出された尿などの排泄液を吸収して保持している場合には、当該コットンに保持された排泄液が着用者の体圧等によって不織布の表面上へ滲出し易く(すなわち、リウェットが生じ易く)、結果的に着用者の肌に湿潤感を与えてしまう虞があった。
【0006】
そこで、本発明は、良好な肌触りを備えつつ、内部のコットンが抜け落ち難く且つ着用者の肌に湿潤感を与え難い、吸収性物品の液透過性シート用の不織布を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様(態様1)は、厚さ方向に対向する第1面及び第2面を有する、吸収性物品の液透過性シート用の不織布であって、前記不織布は、前記液透過性シートの非肌対向面となる前記第1面を形成し、コットン及び熱可塑性樹脂繊維を含む第1繊維層と、前記液透過性シートの肌対向面となる前記第2面を形成し、熱可塑性樹脂繊維を含み且つコットンを含まない第2繊維層とによって構成され、且つ、前記第1面から前記第2面に向かう方向に突出する複数の凸部と、前記第2面から前記第1面に向かう方向に窪む複数の凹部とを備え、さらに、前記不織布は、前記凸部の前記第2面から前記第1面まで前記厚さ方向に延在する凸部領域と、前記凹部の前記第2面から前記第1面まで前記厚さ方向に延在する凹部領域とを有していて、前記凹部領域は、前記第1繊維層におけるコットンの含有量が前記凸部領域よりも小さい、前記不織布である。
【0008】
本態様の不織布は、コットン及び熱可塑性樹脂繊維を含む第1繊維層と、熱可塑性樹脂繊維を含み且つコットンを含まない第2繊維層とによって構成され、且つ、上記の複数の凸部と複数の凹部とを備えているため、当該複数の凸部及び凹部によって良好な肌触りを発揮しつつ、本態様の不織布が吸収性物品の液透過性シート(例えば、表面シート等)に用いられたときには、着用者の肌に対向する肌対向面(すなわち、不織布の第2面)から離れた位置にある第1繊維層にコットンが含まれていることによって(換言すれば、コットンを含む第1繊維層の肌対向面側に第2繊維層が介在していることによって)、全体的に、当該コットンが液透過性シートの肌対向面側(すなわち、不織布の第2面側)から外部へ抜け落ち難く、また、親水性のコットンが着用者から排出された尿などの排泄液を吸収して保持している場合でも、当該排泄液が液透過性シートの肌対向面上へは滲出し難くなっている。
そして、本態様の不織布は、上記凸部の第2面から第1面まで厚さ方向に延在する凸部領域と、上記凹部の第2面から第1面まで厚さ方向に延在する凹部領域とを有していて、さらに、当該凹部領域は、第1繊維層におけるコットンの含有量が凸部領域よりも小さくなっているため、厚みが薄く上述のコットンの抜け落ちや排泄液の滲出が特に生じ易い凹部領域において、第1繊維層内のコットンが外部へ抜け落ちる可能性が低減する上、コットンに保持される排泄液の量自体も少なくなることで、当該排泄液が液透過性シートの肌対向面上(すなわち、不織布の第2面上)に滲出し難くなる。
以上より、本態様の不織布は、良好な肌触りを備えつつも、内部のコットンが抜け落ち難く、且つ着用者の肌に湿潤感を与え難い、吸収性物品の液透過性シート用の不織布を提供することができる。
【0009】
また、本発明の別の態様(態様2)では、上記態様1の不織布において、前記凹部は、底部と、該底部から前記凸部に向かって延在する側壁部とを有し、前記凹部領域は、前記側壁部の前記第2面から前記第1面まで前記厚さ方向に延在する側壁部領域において前記コットンの繊維塊を含む。
【0010】
本態様の不織布は、凹部領域の中でも厚みが最も薄く、上述のコットンの抜け落ちや排泄液の滲出が最も生じ易い底部領域(すなわち、凹部の底部における第2面から第1面まで厚さ方向に延在する領域)に隣接する、上述の側壁部領域において、コットンを繊維塊の形態で含み、かかる繊維塊は、繊維(コットン)が分散した状態で存在する形態(すなわち、個々の繊維が単独で存在する形態)よりも嵩が大きい上に、排泄液を吸収及び保持し易いため、かかるコットンの繊維塊を含む本態様の不織布は、凹部領域におけるコットンの外部への抜け落ちをより確実に抑制しつつ、排泄液を側壁部領域内のコットンの繊維塊に優先的に吸収及び保持させることで、特に底部領域からの排泄液の滲出をより一層生じ難くすることができる。
【0011】
本発明の更に別の態様(態様3)では、上記態様2の不織布において、前記凸部が第1の方向に延びる畝部であり、前記凹部が前記第1の方向と直交する第2の方向において前記畝部と隣接し且つ前記第1の方向に延びる溝部であり、前記コットンの繊維塊は、前記第1繊維層において、前記凸部領域から前記凹部領域に跨って存在する。
【0012】
本態様の不織布は、上述のコットンの繊維塊が、第1繊維層において凸部領域から凹部領域に跨って存在しているため、相対的に繊維密度の高い凹部領域においては、第1繊維層内の熱可塑性樹脂繊維等によってコットンの繊維塊を着実に支持することができる一方、相対的に繊維密度の低い凸部領域においては、不織布に振動等の物理的負荷が加わって繊維塊が動くような場合に、当該繊維塊の動きを許容し得る微小空間を確保することができる(換言すれば、振動等の物理的負荷に対応しながらコットンの繊維塊を支持することができる)ので、本態様の不織布は、振動等の物理的負荷が掛かり易い環境下においても、コットンの抜け落ちをより確実に生じ難くすることができる。
【0013】
本発明の更に別の態様(態様4)では、上記態様3の不織布において、前記凸部領域から前記凹部領域に跨って存在する前記コットンの繊維塊は、前記凸部領域に存在する部分の第2の方向の長さが前記凹部領域に存在する部分の第2の方向の長さよりも長い。
【0014】
本態様の不織布は、上記態様3の不織布の凸部領域から凹部領域に跨って存在するコットンの繊維塊において、凸部領域に存在する部分の第2の方向の長さが凹部領域に存在する部分の第2の方向の長さよりも長くなっているため、上述の態様3の不織布のようにコットンの抜け落ちをより一層生じ難くしつつも、排泄液をコットンの繊維塊によって(より具体的には、コットンの繊維塊の凸部領域に存在する部分によって)優先的に凸部領域内に吸収及び保持させることができ、上述の凹部領域からの排泄液の滲出をより一層生じ難くすることができる。
【0015】
本発明の更に別の態様(態様5)では、上記態様2〜4のいずれかの不織布において、前記コットンの繊維塊は、前記第1繊維層において、前記厚さ方向の第1面側寄りに偏在している。
【0016】
本態様の不織布は、上述のコットンの繊維塊が第1繊維層において厚さ方向の第1面側寄りに偏在しているため、本態様の不織布が吸収性物品の液透過性シートに用いられたときには、液透過性シートの肌対向面(すなわち、不織布の第2面)からより一層離れた位置にコットンの繊維塊が存在することになり、当該コットンの繊維塊が排泄液を保持していても、液透過性シートの肌対向面へは、より一層滲出し難くなっている。
【0017】
本発明の更に別の態様(態様6)では、上記態様2〜5のいずれかの不織布において、前記コットンの繊維塊は、一部分が前記第1面から露出している。
【0018】
本態様の不織布は、コットンの繊維塊の一部分が第1面から露出しているため、本態様の不織布が吸収性物品の液透過性シートに用いられたときには、液透過性シートの非肌対向面(すなわち、不織布の第1面)から露出した繊維塊の一部分が橋渡しとなって、当該液透過性シートの非肌対向面側に位置する吸収体等の部材へ排泄液を移行させ易くすることができる。
これにより、本態様の不織布は、吸収性物品の吸収性能を向上させることができる上、リウェットもより生じ難くすることができるため、着用者の肌に対して湿潤感をより一層与え難くすることができる。
【0019】
本発明の更に別の態様(態様7)では、上記態様6の不織布において、前記コットンは、繊維の一部分における断面形状が扁平形状である。
【0020】
本態様の不織布は、上記態様6の不織布においてコットンの繊維の一部分における断面形状が扁平形状であるため、本態様の不織布が吸収性物品の液透過性シートに用いられたときには、液透過性シートの非肌対向面から露出した繊維塊の一部分に含まれるコットン繊維が、液透過性シートの非肌対向面側に位置する吸収体等の部材に対してより広い接触面積で接触し易く、排泄液をより効率よく吸収体等の部材へ移行させることができる。
【0021】
本発明の更に別の態様(態様8)では、上記態様2〜7のいずれかの不織布において、 前記コットンの繊維塊は、コットンの繊維が凝集した塊部と、前記塊部から第1面側に向かって面方向に広がりながら延びる複数のコットンの繊維からなる拡散繊維部とを有する。
【0022】
本態様の不織布は、上述のコットンの繊維塊が、上記塊部と拡散繊維部とを有する特定の構造を備えているため、上記拡散繊維部のコットン繊維が第1繊維層内の熱可塑性樹脂繊維と絡み合ったり、熱可塑性樹脂繊維の繊維間に入り込んだりしてアンカー効果を発揮し、上述のコットンの繊維塊を第1面側から更に確実に抜け難くすることができる。
さらに、本態様の不織布は、吸収性物品の液透過性シートに用いられたときには、当該液透過性シートの肌対向面に供給されて厚さ方向に透過してきた排泄液を、上述のコットンの繊維塊の塊部において集中的に(スポット的に)吸収及び保持しつつ、拡散繊維部においては、上記塊部に保持された排泄液を液透過性シートの面方向に拡散させながら厚さ方向の非肌対向面側(すなわち、不織布の第1面側)へ移行させることができるため、排泄液をより広範囲の領域から吸収体等の部材へ移行させることができるとともに、当該液透過性シートの非肌対向面側から肌対向面側への排泄液の液戻り、ひいては液透過性シートの肌対向面上への排泄液の滲出(リウェット)をより一層生じ難くすることができる。
【0023】
本発明の更に別の態様(態様9)では、上記態様1〜8のいずれかの不織布において、前記第2繊維層に含まれる前記熱可塑性樹脂繊維は、繊度が前記第1繊維層に含まれる前記熱可塑性樹脂繊維及び前記コットンの各々の繊度よりも大きい。
【0024】
本態様の不織布は、第2繊維層に含まれる熱可塑性樹脂繊維の繊度が第1繊維層に含まれる熱可塑性樹脂繊維及びコットンの各々の繊度よりも大きいため、相対的に繊度の小さい第1繊維層に含まれる熱可塑性樹脂繊維とコットンが、第1繊維層内において或いは第2繊維層に含まれる熱可塑性樹脂繊維と絡み合い易く、コットンと熱可塑性樹脂繊維の解離に伴う第1繊維層の分裂や各繊維層間の層間剥離などが生じ難くなることで、不織布が構成成分としてコットンを含むものであっても、優れた強度ないし形状保持性を発揮することができる。さらに、第2繊維層に含まれる熱可塑性樹脂繊維の繊維間距離が、第1繊維層に含まれる熱可塑性樹脂繊維及びコットンの繊維間距離よりも相対的に小さくなり易いため、第1繊維層に含まれる繊維(特に、コットン)が、第2繊維層を通過して第2面側へ抜け難くなる(すなわち、コットンが外部へ抜け落ち難くなる)上、リウェットも更に生じ難くなる。
【0025】
本発明の更に別の態様(態様10)は、上記態様1〜9のいずれかの不織布がロール状に巻き取られてなる、吸収性物品の液透過性シート用の不織布ロールである。
【0026】
本態様の不織布ロールは、摩擦や振動等の物理的負荷が掛かっても不織布内のコットンが外部へ抜け落ち難い不織布(すなわち、上記態様1〜9のいずれかの不織布)を用いているため、当該不織布を、コットンの抜け落ちを抑制しつつ、吸収性物品の高速生産(すなわち、摩擦や振動等の物理的負荷が掛かり易い条件下の生産)に適応した資材として提供することができる。
【0027】
本発明の更に別の態様(態様11)では、上記態様10の不織布ロールにおいて、前記不織布の第1面がネット面である。
【0028】
本態様の不織布ロールは、不織布の第1面が相対的に繊維密度の高いネット面であるため、不織布の製造過程において不織布をロール状に巻き取る際又は吸収性物品の製造過程において不織布ロールから不織布を繰り出す際に、厚さ方向に重なる不織布同士が擦れたりしても、繊維密度の高い第1面(ネット面)は、表面構造が変化し難く、第1繊維層に含まれるコットンを第1面側から抜け難くすることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、良好な肌触りを備えつつ、内部のコットンが抜け落ち難く且つ着用者の肌に湿潤感を与え難い、吸収性物品の液透過性シート用の不織布を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の不織布の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本明細書においては、特に断りのない限り、「展開した状態で水平面上に置いた対象物(例えば、不織布、吸収性物品、表面シート等)を、垂直方向の上方側(対象物が吸収性物品の場合は、表面シート側)から対象物の厚さ方向に見ること」を、単に「平面視」という。
【0032】
本明細書に用いられる各種方向等については、特に断りのない限り、以下のとおりである。
本明細書において、「長手方向」は、「平面視における縦長の対象物(例えば、吸収性物品、不織布等)の長さの長い方向」を指し、「幅方向」は、「平面視における縦長の対象物の長さの短い方向(短手方向)」を指し、「厚さ方向」は、「展開した状態で水平面上に置いた対象物に対して垂直方向」を指し、これらの長手方向、幅方向及び厚さ方向は、それぞれ互いに直交する関係にある。また、本明細書において、「面方向」は、「平面視における略シート状の対象物(例えば、不織布、吸収性物品、表面シート等)の平面が延びる方向(すなわち、水平面方向)」を指し、当該面方向と厚さ方向とは、互いに直交する関係にある。
さらに、本明細書では、特に断りのない限り、吸収性物品の厚さ方向において、「吸収性物品の着用時に、着用者の肌面に対して相対的に近位側」を「肌対向面側」といい、「吸収性物品の着用時に、着用者の肌面に対して相対的に遠位側」を「非肌対向面側」という。
なお、本明細書においては、吸収性物品及び当該吸収性物品を構成する各種部材(例えば、表面シート、吸収体、裏面シート等)の「肌対向面側の表面」及び「非肌対向面側の表面」を、それぞれ単に「肌対向面」及び「非肌対向面」ということがある。
【0033】
図1は、本発明の一実施形態に係る不織布20を表面シート2として用いた使い捨ておむつ1の平面図であり、
図2は、使い捨ておむつ1の
図1におけるII−II'線に沿った断面の部分断面図である。
図1に示すように、使い捨ておむつ1(本発明における「吸収性物品」の一例である。)は、平面視にて、長手方向L及び幅方向Wを有し、さらに、長手方向Lの略中央部分が幅方向Wの内方側に向かって細く括れた略砂時計形の縦長の外形形状を有している。なお、本発明の不織布が適用される吸収性物品の外形形状は、このような態様のものに限定されず、長手方向Lの長さが幅方向Wの長さよりも長い長形状のものであれば、各種用途等に応じた任意の縦長の形状(例えば、長方形、楕円形、瓢箪形など)を採用することができる。
【0034】
さらに、使い捨ておむつ1は、
図2に示すように、厚さ方向Tにおいて、肌対向面側に位置し且つ本発明の一実施形態に係る不織布20からなる液透過性の表面シート2(本発明における「液透過性シート」の一例である。)と、非肌対向面側に位置する液不透過性の裏面シート3と、これら両シートの間に位置する吸液性の吸収体4とを、主な構成部材として備えている。
また、この使い捨ておむつ1においては、
図1及び
図2に示すように、防漏壁部を形成する一対の液不透過性のサイドシート5、5と、使い捨ておむつ1の幅方向Wにおける両端部(すなわち、着用者の大腿部に当接する左右の脚周り部)をそれぞれ長手方向Lに伸縮させるための、糸ゴム等からなる伸縮部材6、6と、着用時に使い捨ておむつ1の腹部対向領域と背部対向領域を連結するための連結テープ7、7と、裏面シート3の非肌対向面側に配置された外装シート(不図示)とを、構成部材として更に備えている。すなわち、使い捨ておむつ1は、いわゆるテープ型の使い捨ておむつである。
なお、
図1に示す使い捨ておむつ1においては、
図1の下方に位置する長手方向Lの一端側の領域が着用者の腹部に対向する腹部対向領域であり、
図1の上方に位置する長手方向Lの他端側の領域が着用者の背部(臀部)に対応する背部対向領域である。
【0035】
また、上述の使い捨ておむつ1において、表面シート2以外の構成部材については、吸収性物品の各種構成部材としてそれぞれ機能し得るものであれば特に制限されず、当分野において公知の任意の構成部材を用いることができる。
【0036】
例えば、裏面シート3は、使い捨ておむつ1における非肌対向面側(
図2における吸収体4の下方側)に配置されて、着用者から排出される尿などの排泄液の透過を防止し、当該排泄液が着用者の肌着や衣服等に漏れ出ないように機能する、液不透過性シートによって形成されている。なお、裏面シートを形成する液不透過性シートは、排泄液等の液体を透過しないものの、所定の通気性を備えていることが好ましい。裏面シートがこのような通気性を備えていると、吸収体から放出される湿気(具体的には、吸収体に吸収及び保持された排泄液に由来する湿気)を、裏面シートを介して吸収性物品の外部へ放出し易いため、吸収性物品の内部或いは吸収性物品と着用者の肌面との間に湿気を溜まり難くすることができる。
【0037】
裏面シートとして用い得る液不透過性シートは、特に制限されず、例えば、任意の疎水性の熱可塑性樹脂繊維(例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系繊維、芯鞘型等の各種複合繊維など)によって形成された疎水性不織布;PEやPP等の疎水性の熱可塑性樹脂によって形成された通気性を有する樹脂フィルム;該樹脂フィルムに不織布を貼り合わせた積層体;SMS不織布等の積層不織布などの任意の液不透過性シートを用いることができる。
【0038】
裏面シートの厚みや坪量、外形形状等は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、所望の防漏性能や通気性、強度等に応じた任意の厚みや坪量、外形形状等を採用することができる。なお、上述の使い捨ておむつ1においては、裏面シート3は、表面シート2との間に吸収体4を挟んだ状態で、周縁部分が表面シート2と接合されている。
【0039】
また、上述の使い捨ておむつ1において、吸収体4は、表面シート2と裏面シート3の間に配置されて、表面シート2を透過してきた尿などの排泄液を吸収して保持し得る、所定の吸液性を備えた吸収性部材によって形成されている。かかる吸収体4は、
図1に示すように、平面視にて、使い捨ておむつ1における長手方向Lの広範囲に亘って延在し、さらに、長手方向Lの略中央部分が幅方向Wの内方側に向かって細く括れた略砂時計形の縦長の外形形状を有している。なお、本発明の不織布が適用される吸収性物品の吸収体は、このような態様のものに限定されず、各種用途等に応じた任意の縦長の形状(例えば、長方形、楕円形、瓢箪形等)のものを採用することができる。
【0040】
吸収体として用い得る吸収性部材は、尿などの排泄液を吸収して保持し得るものであれば特に制限されず、例えば、吸水性繊維及び高吸収性ポリマーの少なくとも一方を含む吸収性材料からなる吸収コアと、該吸収コアの外周面を被覆する少なくとも1枚の液透過性のコアラップシート(例えば、親水性のセルロース系繊維からなるティッシュ等)とによって構成されたものなどを用いることができる。ここで、吸水性繊維としては、例えば、セルロース系繊維などを用いることができ、更に具体的には、針葉樹又は広葉樹を原料として得られる木材パルプ;ケナフ、麻、綿等の非木材パルプ;レーヨン、フィブリルレーヨン等の再生セルロース;アセテート、トリアセテート等の半合成セルロースなどを用いることができる。また、高吸収性ポリマーとしては、例えば、デンプン系の高吸収性ポリマー;アクリル酸ナトリウムコポリマー等の合成ポリマー系の高吸収性ポリマー(いわゆる「SAP」)などの粒状物を用いることができる。
【0041】
吸収体の厚みや坪量等は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、所望の吸収性能や柔軟性等に応じた任意の厚みや坪量等を採用することができる。また、吸収体の厚みや坪量等は、吸収体の面方向の全体に亘って一定であってもよいし、部分的に異なっていてもよい。なお、本発明の不織布が適用される吸収性物品は、吸収体以外の構成部材(例えば、表面シート等)が所定の吸液性を有するものであれば、このような吸収体を備えていなくてもよい。
【0042】
なお、上述の使い捨ておむつ1においては、吸収体4は、肌対向面において表面シート2と、非肌対向面において裏面シート3と、それぞれホットメルト型接着剤等の任意の接合手段により接合されている。
【0043】
そして、上述の使い捨ておむつ1において、液透過性の表面シート2は、
図2に示すように、肌対向面側(
図2における吸収体4の上方側)に配置されて、着用者から排出される尿などの排泄液を吸収体4へ向けて素早く移行させるように機能する、液透過性シートによって形成されており、さらに、上述の使い捨ておむつ1においては、かかる液透過性シートとして本発明の一実施形態に係る不織布20が用いられている。
なお、上述の使い捨ておむつ1においては、表面シート2は、
図1に示すように、平面視にて、長手方向Lに長い矩形状の外形形状を有しているが、本発明の不織布が適用される吸収性物品においては、このような態様のものに限定されず、表面シートは、各種用途等に応じた任意の外形形状のものを採用することができる。
【0044】
以下、本発明の一実施形態に係る不織布20について、図面を参照しながら更に詳細に説明する。
ここで、
図3は、本発明の一実施形態に係る不織布20の部分斜視図であり、
図4は、不織布20の
図3におけるIV−IV'線に沿った断面の断面図である。
【0045】
図3及び
図4に示すように、本実施形態に係る不織布20は、使い捨ておむつ1の長手方向Lに対応する第1の方向D
1と、使い捨ておむつ1の幅方向Wに対応する第2の方向D
2と、これらの方向に直交する厚さ方向Tとを有するとともに、厚さ方向Tにおいて対向する第1面2aと第2面2bとを有している。
そして、本実施形態に係る不織布20は、
図3及び
図4に示すように、使い捨ておむつ1における表面シート2(液透過性シート)の非肌対向面となる第1面2aを形成し、コットンC及び熱可塑性樹脂繊維F
1を含む第1繊維層21と、表面シート2の肌対向面となる第2面2bを形成し、熱可塑性樹脂繊維F
2を含み且つコットンを含まない第2繊維層22とによって構成され、さらに、第1面2aから第2面2bに向かう方向に突出する複数の凸部23と、第2面2bから第1面2aに向かう方向に窪む複数の凹部24とを備えている。さらに、不織布20は、
図4に示すように、複数の凸部23の各々において凸部23の第2面2bから第1面2aまで厚さ方向Tに延在する凸部領域23Aと、複数の凹部24の各々において凹部24の第2面2bから第1面2aまで厚さ方向Tに延在する凹部領域24Aとを有していて、当該凹部領域24Aは、第1繊維層21におけるコットンCの含有量が凸部領域23Aよりも小さくなっている。
【0046】
このように、不織布20は、コットンC及び熱可塑性樹脂繊維F
1を含む第1繊維層21と、熱可塑性樹脂繊維F
2を含み且つコットンを含まない第2繊維層22とによって構成され、且つ、上記の複数の凸部23と複数の凹部24とを備えているため、当該複数の凸部23及び凹部24によって良好な肌触りを発揮しつつ、使い捨ておむつ1における表面シート2の肌対向面(すなわち、不織布20の第2面2b)から離れた位置にある第1繊維層21にコットンCが含まれていることによって(換言すれば、コットンCを含む第1繊維層21の肌対向面側に第2繊維層22が介在していることによって)、全体的に、コットンCが表面シート2の肌対向面側(すなわち、不織布20の第2面2b側)から外部へ抜け落ち難く、また、親水性のコットンCが着用者から排出された尿などの排泄液を吸収して保持している場合でも、当該排泄液が表面シート2の肌対向面上へは滲出し難くなっている。
さらに、不織布20は、上記凸部23の第2面2bから第1面2aまで厚さ方向Tに延在する凸部領域23Aと、上記凹部24の第2面2bから第1面2aまで厚さ方向Tに延在する凹部領域24Aとを有していて、当該凹部領域24Aは、第1繊維層21におけるコットンCの含有量が凸部領域23Aよりも小さくなっているため、厚みが薄く上述のコットンCの抜け落ちや排泄液の滲出が特に生じ易い凹部領域24Aにおいて、第1繊維層21内のコットンCが外部へ抜け落ちる可能性が低減する上、コットンCに保持される排泄液の量自体も少なくなることで、当該排泄液が表面シート2の肌対向面上(すなわち、不織布20の第2面2b上)に滲出し難くなっている。
したがって、本実施形態に係る不織布20は、良好な肌触りを備えつつも、内部のコットンCが抜け落ち難く、且つ着用者の肌に湿潤感を与え難い表面シート2(液透過性シート)を形成することができる。
【0047】
ここで、本明細書において、凸部領域及び凹部領域の各々におけるコットンの含有量は、例えば、次のようにして得ることができる。すなわち、(1)予め105℃で1時間乾燥した不織布から対象となる領域のサンプルを切り出した後、該サンプルの初期質量(g)を測定する。(2)サンプルを70%の硫酸中に1時間浸漬してコットンを溶解させる。(3)硫酸浸漬後のサンプルをブフナー漏斗上で吸引しながら約6リットルの水で洗浄した後、さらに、約1リットルの純水で洗浄する。(4)洗浄後のサンプルを105℃で2時間乾燥した後、サンプルの処理後質量(g)を測定する。(5)上記サンプルの初期質量からサンプルの処理後質量を差し引くことにより、サンプル中のコットン含有質量(g)を算出し、さらに、得られたコットン含有質量を単位平面視面積当たりの質量に換算することによって、上記コットンの含有量を得ることができる。
したがって、上述の凸部領域及び凹部領域の各々におけるコットンの含有量の大小関係は、それぞれの領域のコットンの含有量を求めた後にそれらを比較することで得ることができる。なお、上述のコットンの含有量の測定にあったては、任意の異なる5箇所で測定を行い、その平均値を採用する。
【0048】
また、本明細書において、凸部と凹部は次のようにして区画される。すなわち、
図4に示すように、不織布の第1面を下方側にして不織布を水平面上に置いたときに、第2面の高さが最も高い部分を凸部の「最高部」とし、第2面の高さが最も低い部分を凹部の「最深部」として、これら最高部と最深部の高さの差dを2等分する位置(すなわち、最高部及び最深部からの厚さ方向の距離がそれぞれd/2となる位置)に広がる仮想基準水平面P
Bよりも上方側に突出する部分が「凸部」であり、下方側に窪む部分が「凹部」である。
なお、後述する凸部の「頂部」(
図4における「頂部231」を参照。)は、上述の最高部を含み且つ当該最高部からの厚さ方向の距離が凸部全体の高さ(すなわち、d/2)の3%以内となる部分を指し、凹部の「底部」(
図4における「底部241」を参照。)は、上述の最深部を含み且つ当該最深部からの厚さ方向の距離が凹部全体の深さ(すなわち、d/2)の3%以内となる部分を指す。
さらに、本明細書においては、
図4に示すように、凸部の第2面から第1面まで厚さ方向に沿って延在する領域を「凸部領域」といい、凹部の第2面から第1面まで厚さ方向に沿って延在する領域を「凹部領域」という。
【0049】
そして、上述の不織布20においては、
図3に示すように、複数の凸部23は、第1の方向D
1に連続的に延びる複数本の畝部として形成されており、複数の凹部24は、第1の方向D
1と直交する第2の方向D
2において畝部と隣接し(すなわち、第2の方向D
2に隣り合う畝部の間に位置し)且つ第1の方向D
1に連続的に延びる複数本の溝部として形成されている。不織布20は、このような特定の畝溝構造を備えているため、厚さ方向Tのクッション性に優れ、良好な肌触りを発揮することができる上に、排泄液を畝部及び溝部が延びる第1の方向D
1(すなわち、表面シート2の長手方向L)に沿って拡散させることができ、使い捨ておむつ1に優れた吸収性能をもたらすことができる。
【0050】
なお、本発明においては、不織布の凹凸構造(すなわち、複数の凸部及び凹部を備えた構造)は、上述の実施形態のような畝溝構造に限定されず、良好な肌触りを発現し得るものであれば任意の凹凸構造を採用することができる。そのような凹凸構造としては、例えば、第1の方向に間欠的に延び且つ第2の方向に並ぶ複数列の凸部と、第2の方向に隣り合う凸部の間において第1の方向に間欠的に延びる複数列の凹部とからなる凹凸構造;半球状や円柱状の複数の凸部と、隣り合う凸部の間に位置する複数の凹部とからなる凹凸構造などが挙げられる。
【0051】
本発明において、不織布の凸部及び凹部の具体的な構造は、良好な肌触りを発現し得るものであれば特に制限されず、例えば、凸部の高さ(すなわち、上記仮想基準水平面P
Bから最高部までの厚さ方向の距離)は0.1mm〜3.0mmの範囲内であり、凹部の深さ(すなわち、上記仮想基準水平面P
Bから最深部までの厚さ方向の距離)は0.1mm〜3.0mmの範囲内であり、さらに、複数の凸部のピッチ(すなわち、隣り合う2つの凸部の最高部同士の間隔)は0.5mm〜5.0mmの範囲内である。
また、不織布の凹凸構造が畝溝構造の場合、凸部の幅(すなわち、凸部における第2の方向の長さが最長となる部分の第2の方向の長さ)は、例えば0.1mm〜5.0mmの範囲内であり、凹部の幅(すなわち、凹部における第2の方向の長さが最長となる部分の第2方向の長さ)は、例えば0.1mm〜5.0mmの範囲内である。なお、これら凸部及び凹部のピッチや幅は、無加圧状態における不織布を走査型電子顕微鏡等の拡大観察手段により拡大観察して、その平面写真又は平面画像から測定することができる。
【0052】
また、上述の実施形態においては、不織布20は、表面シート2の非肌対向面となる第1面2aが略平坦な表面構造を有している。このため、不織布20は、表面シート2の非肌対向面側に配置される吸収体4との接触面積をより広く確保することができ、表面シート2を透過する排泄液を吸収体4へより効率よく、より確実に移行させることができる。また、不織布20の第1面2aがこのような略平坦な表面構造を有していると、凸部領域23Aにおいて十分な厚みを確保することができるため、上述の第1繊維層21に含まれるコットンCがより抜け落ち難くなるという利点もある。
【0053】
なお、本発明において、不織布の第1面の表面構造は、このような態様に限定されず、例えば、不織布の第1面は、第2面側の凸部と厚さ方向に対応する部分が第2面側に向かって窪んだ表面構造を有していてもよい。不織布の第1面がこのような表面構造を有していると、上述の第2面側に向かって窪んだ部分が空隙部となって、より良好なクッション性を発揮することができる上、当該空隙部が表面シートと吸収体との間のスペーサーとして機能して、吸収体との接触面積も小さくなるため、吸収体に吸収及び保持された排泄液が表面シートの肌対向面へより一層滲出し難くなる(すなわち、リウェットが生じ難くなる)という利点がある。
【0054】
不織布に上述のような凹凸構造を形成する方法は、特に限定されず、例えば、不織布を形成する前の繊維ウェブに連続的に気体(例えば、エア等)を吹き付ける方法(以下、「気体吹付け法」ということがある。)や、ギア加工を利用する方法(以下、「ギア加工法」ということがある。)、真空成形又は圧縮成形を利用する方法などの、任意の賦形方法を採用することができる。中でも、凹凸構造を賦形しつつ、第1繊維層に含まれるコットンを偏在させ易い(すなわち、第1繊維層に含まれるコットンの含有量を、凹部領域における含有量が凸部領域の含有量よりも小さくなるように制御し易い)という点から、気体吹付け法が好ましい。
【0055】
以下、本発明の不織布を構成する各繊維層について、上述の実施形態に係る不織布20を用いて更に詳細に説明する。
【0056】
[第1繊維層]
本発明の不織布において、第1繊維層は、当該不織布が適用される吸収性物品の液透過性シートの非肌対向面となる第1面を形成し、コットンと熱可塑性樹脂繊維を含む繊維層によって構成されている。この第1繊維層に含まれるコットンは、特に制限されず、例えば、繊度が1.0dtex〜15dtexの範囲内であり、繊維長が5mm〜40mmの範囲内であるコットンなどを用いることができる。中でも、繊維長が20mm以上のコットンは、第1繊維層と第2繊維層を積層する際に、コットン繊維の一部が第2繊維層の内部に入り込み易く、さらに、この第2繊維層の内部に入り込んだコットン繊維が第1繊維層と第2繊維層との間の橋渡しとなって不織布全体の液透過性を向上させることができるため、好適に用いることができる。また、繊維長が20mm以上のコットン(以下、「長繊維コットン」ということがある。)と、繊維長が10mm以下のコットン(以下、「短繊維コットン」ということがある。)とを混ぜ合わせた混合コットンは、長繊維コットンにより不織布の液透過性を向上させることができる上に、短繊維コットンにより不織布の嵩を増大させることができるため、特に好適に用いることができる。
【0057】
第1繊維層におけるコットンの含有量は、特に制限されないが、吸水性や保水性、柔軟性などの点から、例えば1質量%〜70質量%の範囲内であり、好ましくは2質量%〜30質量%の範囲内である。
そして、本発明においては、不織布の第1繊維層に含まれるコットンは、凹部領域における含有量が凸部領域における含有量よりも小さくなるように、第1繊維層内に偏在していることが必要である。コットンがこのように第1繊維層内で偏在していると、厚みの薄い凹部領域の第1面側及び第2面側からコットンが抜け落ちる可能性が低減する上、コットンに保持される排泄液の量自体も少なくなることで、当該排泄液が不織布の表面上に滲出し難くなる。
【0058】
上述のようにコットンを第1繊維層内に偏在させる手段は、特に制限されず、例えば上述の気体吹付け法を利用することができる。具体的には、第1繊維層用の熱可塑性樹脂繊維に対してコットンを略均等に分散混合してなる第1繊維ウェブの上に、第2繊維層用の熱可塑性樹脂繊維からなる第2繊維ウェブを重ねて積層繊維ウェブとし、該積層繊維ウェブを搬送しながら該積層繊維ウェブの第2繊維ウェブ側の表面(すなわち、第2面)に対して複数の噴射口から所定温度及び所定圧力の気体(例えば、エア等)を吹き付けることにより、各繊維ウェブ内及び各繊維ウェブ間の繊維同士を交絡させつつ積層繊維ウェブに複数の凹部を形成するとともに、当該凹部の下方側の領域(すなわち、凹部領域)において第1繊維ウェブに含まれるコットンを凹部に隣接する凸部の下方側の領域(すなわち、凸部領域)側へ吹き飛ばし或いは移動させた後(すなわち、第1繊維ウェブに含まれるコットンを偏在化させた後)、該積層繊維ウェブをエアスルー方式の加熱装置に搬送し、該加熱装置において各繊維ウェブ内及び各繊維ウェブ間の繊維同士を熱可塑性樹脂繊維により融着させることで、上述のようなコットンが偏在した第1繊維層とコットンを含まない第2繊維層とからなる不織布を得ることができる。この気体吹付け法を利用した手段によれば、積層繊維ウェブに吹き付ける気体の圧力(噴射圧)や噴射口径等の噴射条件を調節するだけで、容易に第1繊維層に含まれるコットンの偏在化を実現することができるため、特に好ましく用いることができる。
【0059】
なお、上述のようなコットンを第1繊維層内に偏在させる他の手段としては、例えば、上述のギア加工法を利用することもできる。具体的には、予めコットンを偏在配置した第1繊維ウェブと、熱可塑性樹脂繊維からなる第2繊維ウェブとを重ね合わせて、積層繊維ウェブを作製した後、該積層繊維ウェブの両面を一対のギア加工ロールで挟み込んで、コットンの配合量の少ない部分を局所的に押圧することにより、積層繊維ウェブに複数の凹部を形成しながら、上述のようなコットンが偏在した第1繊維層とコットンを含まない第2繊維層とからなる不織布を得ることができる。
【0060】
また、本発明において、第1繊維層に含まれるコットンは、個々のコットン繊維が寄り集まって形成された凝集物である繊維塊の形態で、熱可塑性樹脂繊維の集合体からなるマトリックス中に分散していることが好ましい。
ここで、
図5は、
図4の断面図における不織布20の構成繊維の態様を模式的に示す図であり、
図6は、
図5のVI線によって囲まれた部分の拡大図である。
【0061】
図5に示すように、不織布20は、第1繊維層21内において、コットンの繊維塊CBが熱可塑性樹脂繊維F
1の集合体からなるマトリックス中に分散している。このように、不織布の第1繊維層内にコットンの繊維塊が分散していると、当該不織布によって形成される表面シート(液透過性シート)の非肌対向面側に位置する吸収体から、当該吸収体に保持されていた排泄液が湿気として放出されたとしても、放出された湿気を上述の第1繊維層内のコットンの繊維塊において集中的に(スポット的に)吸収及び保持することができるため、吸収体から放出された湿気(排泄液)が、表面シートの肌対向面上へより一層滲出し難くなる。
【0062】
さらに、上述の不織布20においては、凹部24は、
図4及び
図5に示すように、底部241と、該底部241から凸部23に向かって延在する側壁部242とを有し、凹部領域24Aは、上記側壁部242の第2面2bから第1面2aまで厚さ方向Tに延在する側壁部領域242Aにおいて上述のコットンの繊維塊CBを含んでいる。このように、上述の不織布20は、凹部領域24Aの中でも厚みが最も薄く、上述のコットンCの抜け落ちや排泄液の滲出が最も生じ易い底部領域241A(すなわち、凹部24の底部241における第2面2bから第1面2aまで厚さ方向Tに延在する領域)に隣接する、上述の側壁部領域242Aにおいて、コットンCを繊維塊CBの形態で含んでおり、さらに、かかる繊維塊CBは、繊維(コットンC)が分散した状態で存在する形態(すなわち、個々の繊維が単独で存在する形態)よりも嵩が大きい上に、排泄液を吸収及び保持し易いため、このようなコットンの繊維塊CBを含む不織布20は、凹部領域24AにおけるコットンCの外部への抜け落ちをより確実に抑制しつつ、排泄液を側壁部領域242A内のコットンの繊維塊CBに優先的に吸収及び保持させることで、特に底部領域241Aからの排泄液の滲出をより一層生じ難くすることができる。
【0063】
なお、本明細書において、凹部の側壁部は、
図4に示すように、凹部の底部から上述の仮想基準水平面P
Bまで(すなわち、凸部と凹部の境界まで)延在する部分を指す。
【0064】
また、上述の不織布20においては、コットンの繊維塊CBは、
図5に示すように、第1繊維層21において、上述の凸部領域23Aから凹部領域24Aに跨って存在している。このように、コットンの繊維塊CBが、第1繊維層21において凸部領域23Aから凹部領域24Aに跨って存在していると、相対的に繊維密度の高い凹部領域24Aにおいては、第1繊維層21内の熱可塑性樹脂繊維F
1等によってコットンの繊維塊CBを着実に支持することができる一方、相対的に繊維密度の低い凸部領域23Aにおいては、不織布20に振動等の物理的負荷が加わって繊維塊CBが動くような場合に、当該繊維塊CBの動きを許容し得る微小空間を確保することができる(換言すれば、振動等の物理的負荷に対応しながらコットンの繊維塊CBを支持することができる)ので、上述の不織布20は、振動等の物理的負荷が掛かり易い環境下においても、コットンCの抜け落ちをより確実に生じ難くすることができる。なお、上述の凸部領域と凹部領域の繊維密度については、一般に、面方向に均等な繊維密度を有する繊維ウェブに対して凹凸構造を形成すると、厚みが薄くなる凹部領域においては相対的に繊維密度が高くなり、厚みが維持される(換言すれば、相対的に厚みが高くなる)凸部領域においては相対的に繊維密度が低くなる。
【0065】
さらに、上述の不織布20においては、凸部領域23Aから凹部領域24Aに跨って存在するコットンの繊維塊CBは、
図5に示すように、凸部領域23Aに存在する部分の第2の方向D
2の長さが凹部領域24Aに存在する部分の第2の方向D
2の長さよりも長くなっている。このように、不織布20の凸部領域23Aから凹部領域24Aに跨って存在するコットンの繊維塊CBにおいて、凸部領域23Aに存在する部分の第2の方向D
2の長さが凹部領域24Aに存在する部分の第2の方向D
2の長さよりも長くなっていると、上述のようにコットンCの抜け落ちをより一層生じ難くしつつも、排泄液をコットンの繊維塊CBによって(より具体的には、コットンの繊維塊CBの凸部領域23Aに存在する部分によって)優先的に凸部領域23A内に吸収及び保持させることができ、上述の凹部領域24Aからの排泄液の滲出をより一層生じ難くすることができる。
【0066】
なお、繊維塊の各領域に存在する部分の第2の方向の長さは、例えば、対象となる領域の断面を走査型電子顕微鏡により拡大観察し、その領域に存在する部分の第2の方向の長さを測定することにより得ることができる。
【0067】
また、本発明においては、コットンの繊維塊は、第1繊維層において厚さ方向の第1面側寄りに偏在していることが好ましい。このようにコットンの繊維塊が第1繊維層において厚さ方向の第1面側寄りに偏在していると、不織布が吸収性物品の液透過性シートに用いられたときには、液透過性シートの肌対向面(すなわち、不織布の第2面)からより一層離れた位置にコットンの繊維塊が存在することになり、当該コットンの繊維塊が排泄液を保持していても、液透過性シートの肌対向面へは、より一層滲出し難くなる。
【0068】
さらに、上述の不織布20においては、
図5及び
図6に示すように、コットンの繊維塊CBは、その一部分が不織布20の第1面2aから露出している(
図6における繊維塊CBの「露出部CB
d」を参照。)。このようにコットンの繊維塊CBの一部分が第1面2aから露出していると、当該不織布20によって形成される表面シート2の非肌対向面(すなわち、不織布20の第1面2a)から露出した繊維塊CBの一部分(より具体的には、
図6に示すように、繊維塊CBの露出部CB
dに含まれるコットン繊維C
d)が橋渡しとなって、当該表面シート2の非肌対向面側に位置する吸収体4へ排泄液を移行させ易くすることができる。これにより、上述の不織布20は、使い捨ておむつ1の吸収性能を更に向上させることができる上、リウェットもより生じ難くすることができるため、着用者の肌に対して湿潤感をより一層与え難くすることができる。
【0069】
さらに、このようにコットンの繊維塊の一部分が第1面から露出している場合は、コットンは、繊維の一部分における断面形状が扁平形状であることが好ましい。コットン繊維の一部分における断面形状が扁平形状であると、不織布が吸収性物品の液透過性シートに用いられたときに、液透過性シートの非肌対向面(すなわち、不織布の第1面)から露出した繊維塊の一部分に含まれるコットン繊維(
図6における露出部CB
dに含まれる「コットン繊維C
d」を参照。)が、液透過性シートの非肌対向面側に位置する吸収体等の部材に対してより広い接触面積で接触し易く、排泄液をより効率よく吸収体等の部材へ移行させることができる。
【0070】
また、本発明の不織布においては、コットンの繊維塊は、コットンの繊維が凝集した塊部と、当該塊部から第1面側に向かって面方向に広がりながら延びる複数のコットンの繊維からなる拡散繊維部とを有する、特定の構造を備えていることが特に好ましい。ここで、
図7は、本発明の別の実施形態に係る不織布20’の
図5に対応する図である。なお、上述の実施形態に係る不織布20と異なる構成以外の構成は、基本的に上述の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0071】
図7に示すように、本発明の別の実施形態に係る不織布20’においては、第1繊維層21に含まれるコットンの繊維塊CBは、コットンCの繊維が凝集した塊部BPと、当該塊部BPから第1面2a側に向かって面方向に広がりながら延びる複数のコットンCの繊維からなる拡散繊維部DPとを有する、特定の構造を備えている。この不織布20’においては、コットンの繊維塊CBが、上述の塊部BPと拡散繊維部DPとを有する特定の構造を備えているため、上述の拡散繊維部DPのコットン繊維が第1繊維層21内の熱可塑性樹脂繊維F
1と絡み合ったり、熱可塑性樹脂繊維F
1の繊維間に入り込んだりしてアンカー効果を発揮し、上述のコットンの繊維塊CBを第1面2a側から更に確実に抜け難くすることができる。さらに、この不織布20’は、当該不織布20’によって形成される表面シート2の肌対向面に供給されて厚さ方向Tに透過してきた排泄液を、上述のコットンの繊維塊CBの塊部BPにおいて集中的に(スポット的に)吸収及び保持しつつ、拡散繊維部DPにおいては、上記塊部BPに保持された排泄液を表面シート2の面方向に拡散させながら厚さ方向Tの非肌対向面側(すなわち、不織布20’の第1面2a側)へ移行させることができるため、排泄液をより広範囲の領域から吸収体4へ移行させることができるとともに、当該表面シート2の非肌対向面側から肌対向面側への排泄液の液戻り、ひいては表面シート2の肌対向面上への排泄液の滲出(リウェット)をより一層生じ難くすることができる。
【0072】
次に、第1繊維層に含まれる熱可塑性樹脂繊維について説明する。
本発明において、第1繊維層に含まれる熱可塑性樹脂繊維は、熱可塑性樹脂からなる繊維であれば特に制限されず、その熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸(PLA)等のポリエステル系樹脂;6−ナイロン等のポリアミド系樹脂などの公知の樹脂が挙げられ、これらの樹脂は単独で使用しても、二種類以上の樹脂を併用してもよい。
また、このような熱可塑性樹脂からなる繊維の構造は、特に制限されず、例えば、PET/PE等の芯鞘型繊維、サイド・バイ・サイド型繊維、島/海型繊維等の複合繊維;中空タイプの繊維;扁平、Y字形、C字形等の異形断面型繊維などが挙げられ、これらの構造を有する繊維は単独で使用しても、二種類以上の繊維を併用してもよい。
【0073】
第1繊維層に含まれる熱可塑性樹脂繊維の繊度は、特に制限されないが、不織布の強度や柔軟性、肌触り、液透過性などの点から、通常0.6dtex〜8.8dtexの範囲内であり、好ましくは1.1dtex〜4.6dtexの範囲内である。また、この第1繊維層に含まれる熱可塑性樹脂繊維の繊度は、後述する第2繊維層に含まれる熱可塑性樹脂繊維の繊度(繊維径)よりも小さいことが好ましい。このように、第1繊維層に含まれる熱可塑性樹脂繊維の繊度が第2繊維層に含まれる熱可塑性樹脂繊維よりも小さいと、第1繊維層に含まれる繊度の小さい熱可塑性樹脂繊維が、同じ第1繊維層に含まれるコットンや第2繊維層に含まれる熱可塑性樹脂繊維と絡み合い易くなるため、コットンと熱可塑性樹脂繊維との解離に伴う第1繊維層の分裂や各繊維層間の層間剥離が生じ難くなり、不織布が構成成分としてコットンを含むものであっても、優れた強度ないし形状保持性を発揮することができる。
【0074】
また、第1繊維層に含まれる熱可塑性樹脂繊維の繊維長は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されないが、不織布の強度や柔軟性、液透過性などの点から、通常20mm〜100mmの範囲内であり、好ましくは30mm〜65mmの範囲内である。この熱可塑性樹脂繊維は、親水化処理が施されていてもよく、かかる親水化処理としては、例えば、界面活性剤や親水剤等を利用した処理(例えば、繊維内部への界面活性剤の練り込み、繊維表面への界面活性剤の塗布等)などが挙げられる。
【0075】
本発明において、第1繊維層に含まれる熱可塑性樹脂繊維の含有量は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されないが、不織布の強度や柔軟性などの点から、例えば30質量%〜99質量%の範囲内であり、好ましくは70質量%〜98質量%の範囲内である。なお、第1繊維層は、本発明の効果を阻害しない範囲内において、コットン及び熱可塑性樹脂繊維以外の繊維や任意の添加剤などを含んでいてもよい。
【0076】
[第2繊維層]
次に、本発明の不織布を構成する第2繊維層について説明する。
本発明の不織布において、第2繊維層は、当該不織布が適用される吸収性物品の液透過性シートの肌対向面となる第2面を形成し、熱可塑性樹脂繊維を含み且つコットンを含まない繊維層によって構成されている。この第2繊維層に含まれる熱可塑性樹脂繊維は、熱可塑性樹脂からなる繊維であれば特に制限されないが、疎水性を有する熱可塑性樹脂からなる繊維、すなわち、疎水性の熱可塑性樹脂繊維であることが好ましい。不織布の第2面(すなわち、当該不織布が適用される吸収性物品の液透過性シートの肌対向面)を形成する第2繊維層を、このような疎水性の熱可塑性樹脂繊維で構成すると、着用者の肌に直に接触する可能性のある第2繊維層が排泄液や湿気を吸収及び保持し難くなるため、着用者の肌に対して湿潤感をより一層与え難くすることができる。
【0077】
ここで、本明細書における「疎水性」とは、水となじみ難い或いは水分を保持し難い性質を意味し、例えば、イオン交換水との接触角が80°〜100°程度となるものをいう。なお、イオン交換水との接触角は、例えば、特開2005−324010号公報における「初期接触角の測定」に記載された方法により測定することができる。
【0078】
第2繊維層に含まれる熱可塑性樹脂繊維は、上述の第1繊維層に含まれる熱可塑性樹脂繊維として例示した繊維と同様のものを用いることができるが、各繊維層間の繊維同士の絡み合い易さなどの点から、上述の第1繊維層に含まれる熱可塑性樹脂繊維と同じ繊維(すなわち、第1繊維層に含まれる熱可塑性樹脂繊維と同じ材質(樹脂)からなり、同じ繊維長及び同じ構造を有する繊維など)を用いることが好ましい。
【0079】
また、第2繊維層に含まれる熱可塑性樹脂繊維の繊度は、特に制限されないが、不織布の強度や柔軟性、肌触り、液透過性などの点から、通常0.6dtex〜8.8dtexの範囲内であり、好ましくは1.1dtex〜4.6dtexの範囲内である。さらに、この第2繊維層に含まれる熱可塑性樹脂繊維の繊度は、上述の第1繊維層に含まれる熱可塑性樹脂繊維及びコットンの各々の繊度よりも大きいことが好ましい。このように第2繊維層に含まれる熱可塑性樹脂繊維の繊度が第1繊維層に含まれる熱可塑性樹脂繊維及びコットンの各々の繊度よりも大きいと、相対的に繊度の小さい第1繊維層に含まれる熱可塑性樹脂繊維とコットンが、第1繊維層内において或いは第2繊維層に含まれる熱可塑性樹脂繊維と絡み合い易いため、コットンと熱可塑性樹脂繊維との解離に伴う第1繊維層の分裂や各繊維層間の層間剥離が生じ難くなり、不織布が構成成分としてコットンを含むものであっても、優れた強度ないし形状保持性を発揮することができる。さらに、第2繊維層に含まれる熱可塑性樹脂繊維の繊維間距離が、第1繊維層に含まれる熱可塑性樹脂繊維及びコットンの繊維間距離よりも相対的に小さくなり易いため、第1繊維層に含まれる繊維(特に、コットン)が、第2繊維層を通過して第2面側へ抜け難くなる(すなわち、コットンが外部へ抜け落ち難くなる)上、リウェットも更に生じ難くなる。
【0080】
なお、繊維の繊度は、走査型電子顕微鏡を用いて、対象となる繊維の断面形状を拡大観察して繊維の断面積を測定し、その断面積と繊維の比重(すなわち、繊維の構成成分の比重)から算出することができる。
【0081】
また、本発明において、第2繊維層は、本発明の効果を阻害しない範囲内において、上述の熱可塑性樹脂繊維以外の繊維や任意の添加剤などを含んでいてもよい。
【0082】
さらに、本発明において、不織布を構成する各繊維層の坪量は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されないが、不織布の強度や柔軟性、吸収性などの点から、それぞれ、例えば1g/m
2〜60g/m
2の範囲内であり、好ましくは10g/m
2〜30g/m
2の範囲内である。不織布全体としての坪量も、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されないが、通常10g/m
2〜100g/m
2の範囲内であり、好ましくは15g/m
2〜75g/m
2の範囲内であり、更に好ましくは20g/m
2〜50g/m
2の範囲内である。さらに、不織布の厚みも、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されないが、通常0.1mm〜5mmの範囲内であり、好ましくは0.5mm〜3mmの範囲内、更に好ましくは0.8mm〜2mmの範囲内である。
【0083】
なお、本発明の不織布が適用される吸収性物品の液透過性シートは、上述の表面シートに限定されず、例えば、表面シートと吸収体との間に配置される中間シート等であってもよい。さらに、本発明の不織布が適用される吸収性物品も上述の使い捨ておむつに限定されず、本発明の不織布は、(軽)失禁パッド、生理用ナプキン、パンティーライナー等の様々な吸収性物品に適用することができる。
また、本発明において、不織布の形態は特に限定されず、例えば、上述の不織布がロール状に巻き取られてなる不織布ロールの形態であってもよい。
【0084】
[不織布ロール]
以下、本発明の不織布ロールの好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ここで、
図8は、不織布20がロール状に巻き取られてなる不織布ロール200の斜視図である。
図8に示すように、本発明の更に別の実施形態では、上述の実施形態に係る不織布20がロール状に巻き取られることによって、不織布ロール200が形成されている。かかる不織布ロール200は、摩擦や振動等の物理的負荷が掛かっても内部のコットンが外部へ抜け落ち難い不織布20を用いているため、当該不織布20を、コットンの抜け落ちを抑制しつつ、上述の使い捨ておむつ1のような吸収性物品の高速生産(すなわち、摩擦や振動等の物理的負荷が掛かり易い条件下の生産)に適応した資材として提供することができる。
【0085】
また、本発明においては、不織布ロールは、不織布の第1面が製造時にネット状の支持体に接していた面、すなわちネット面であることが好ましい。このように、不織布の第1面が相対的に繊維密度の高いネット面であると、不織布の製造過程において不織布をロール状に巻き取る際又は吸収性物品の製造過程において不織布ロールから不織布を繰り出す際に、厚さ方向に重なる不織布同士が擦れたりしても、繊維密度の高い第1面(ネット面)は、表面構造が変化し難く、第1繊維層に含まれるコットンを第1面側から抜け難くすることができる。
【0086】
なお、本発明の不織布ないし不織布ロールは、上述した各実施形態等に制限されることなく、本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内において、適宜組み合わせや代替、変更等が可能である。また、本明細書において、「第1」、「第2」等の序数は、当該序数が付された事項を区別するためのものであり、各事項の順序や優先度、重要度等を意味するものではない。
【課題】本発明は、良好な肌触りを備えつつ、内部のコットンが抜け落ち難く且つ着用者の肌に湿潤感を与え難い、吸収性物品の液透過性シート用の不織布を提供するものである。
)を含み且つコットンを含まない第2繊維層(22)とによって構成され、且つ複数の凸部(23)と複数の凹部(24)とを備え、さらに、前記不織布(20)は、前記凸部(23)の第2面(2b)から第1面(2a)まで厚さ方向に延在する凸部領域(23A)と、前記凹部(24)の第2面(2b)から第1面(2a)まで厚さ方向に延在する凹部領域(24A)とを有していて、前記凹部領域(24A)は、前記第1繊維層(21)におけるコットン(C)の含有量が前記凸部領域(23A)よりも小さい。